2 : VIPに... - 2014/04/22 23:40:18.49 OelR1OL+o 1/96


科学室


「入るわよー」

「……ん?」

「鍵がかかってる」

「ちょっとー、開けなさいよー」

「おーい」

「いるんでしょー?」

「あーけーなーさーいーよー」

『……ドアを叩かないでくれないか』

ガチャ

「何よ。鍵なんてしめて」

沙衣「鍵をしめなくてはいけない都合というのも、時にはあるんだ」


元スレ
沙衣「新発明、服だけを溶かすスライムさ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398177587/

3 : VIPに... - 2014/04/22 23:41:15.83 OelR1OL+o 2/96


「ふーん、入るわよ」

沙衣「いらっしゃい。ちゃんと鍵は閉めてね」

「何?着替えでもしてたの?」

沙衣「まあ、似たようなものだよ」

沙衣「カーテンと窓、鍵を閉めた科学室。あまりいい思い出はないね」

「ミンミンミン」

沙衣「やめてくれ」

「盛本さんは?」

沙衣「ああ、準備室にいるよ。そろそろ来ると思うが……」

雨柚「部長ー、準備できましたー」

雨柚「あ、長倉さん。こんにちはー」

「あ、盛本さ……」

「何その格好!?」


4 : VIPに... - 2014/04/22 23:47:30.52 OelR1OL+o 3/96


沙衣「ナイロンの帽子、ポリエステルのワイシャツ、アクリルのセーター、ジーンズ、グローブ……」

沙衣「その他レーヨンや綿、革など、安物ではあるが色んな材質で固めたファッションだ」

沙衣「保護ゴーグルがワンポイントにクールだよ」

雨柚「暑いですー」

「何でそんな着込んでるのよ。可哀想じゃない」

沙衣「これも実験のためさ」

「何の実験よ」

沙衣「今回作ったのはこれだ」

「何それ?……ゼリー?」

沙衣「これは特定の物質を溶かすスライムさ」

「溶かすスライム?何を?」

沙衣「はっはっは、話の流れでわかるだろう」

沙衣「新発明の『服だけを溶かすスライム』だ」

「!?」


5 : VIPに... - 2014/04/22 23:48:37.30 OelR1OL+o 4/96


沙衣「名前募集中」

「やだ!それHなヤツでしょ!」

沙衣「……そういう用途で作ったんじゃないんだけどな」

「嘘よ!服だけ溶かすなんてそういう用途以外にないわ!」

雨柚「?」

雨柚「えっちな用途ってなんですか?」

「ぐっ!そ、そんな無垢な目で見ないで!」

沙衣「まあ私の話を聞きたまえ」

沙衣「この『服だけを溶かすスライム』の解説をするとだね」

沙衣「これは事故等で衣類をどうにかしなければならないって時を想定して作られたものさ」

沙衣「事故の状況によっては衣類を破かないと救助も治療もできないこともある。服が処置の邪魔、服が引っかかって救助できない、とかね」

沙衣「特にジーンズや革製品は丈夫だから切れにくいし、かといってケガを庇って脱がすのも難しい」

沙衣「そこで、服だけを溶かせれば……ってことで作ったのさ」


6 : VIPに... - 2014/04/22 23:49:43.32 OelR1OL+o 5/96


「……意外に真面目だ」

沙衣「私の研究の大半は真面目だ」

「一部はふざけてるって認めた!」

沙衣「まあ時にジョークも必要だよ。新しい発見のきっかけになるかもしれない」

沙衣「……と、いうことで」

沙衣「このスライムを盛本くんにぶっかける」

「ちょお!?」

沙衣「そのために着替えさせたんだからね」

「で、でも!危険性とか大丈夫なの!?溶かすんでしょ!?」

沙衣「大丈夫。無害だよ。私の発明が信用できないのかい?」

「できないわよ!」

「そ、それに、服を溶かすってことは……盛本さんは……!」


7 : VIPに... - 2014/04/22 23:51:22.90 OelR1OL+o 6/96


沙衣「まあ、そういう目線で見れば『いかがわしい状態』になるね」

「ダメだって!女の子なんだから!」

沙衣「ここには女しかいないんだ。別に困ることもあるまい」

「で、でも……!」

雨柚「長倉さん!私なら大丈夫です!」

「盛本さん……」

雨柚「ちょっと恥ずかしいけど……人命救助の役に立つ研究ですから!」

沙衣「健気だね」

「うぅ……」

沙衣「さあ、準備はいいかい。盛本くん」

雨柚「はい!」


8 : VIPに... - 2014/04/22 23:52:39.61 OelR1OL+o 7/96


沙衣「まずはお腹周りからいこう」

「……どこまで溶かすつもり?」

沙衣「ん?勿論全身だよ」

「なっ!?全部!?パンツも!?」

沙衣「何のために色んな材質の服を着せたと思っているんだい」

沙衣「当然、盛本くんの尊厳のため、鍵もカーテンもしめているわけだから、覗かれるような心配は無用だ」

「ぐぬ……!」

沙衣「じゃ、このウォーターガンを改造したスライム射出銃で……」

沙衣「盛本くん。準備はいいかい?」

雨柚「はーい!」

(盛本さんの服が……そのスライムで……)

(パンツまで……裸に……)



9 : VIPに... - 2014/04/22 23:54:05.24 OelR1OL+o 8/96


~~~~

雨柚『いやぁーん』

沙衣『ふふふふ、いやらしい姿だね。ちゃんと溶け具合を見せるんだ。実験にならないだろう』

雨柚『あっはーん』

沙衣『うぇひひ、次はブラジャーだ。さあ隠してないで手をどけるんだ』

雨柚『うふぅーん』

沙衣『ふひひひ、全身にスライムを塗りたくるよ。炎症を起こさないかチェキだ』

雨柚『ぬるぬるぅ』

沙衣『げへへへ、パンツは自分で脱ぎなさい。私達がじっくりと見ているからね』

雨柚『らめなのぉ』

沙衣『ぐふふふ、靴下は残す』

雨柚『いっちゃう』

~~~~

(……な、なんてことに!)



10 : VIPに... - 2014/04/22 23:55:31.31 OelR1OL+o 9/96


沙衣「よーし、いくよ」

雨柚「ドンと来いです!」

「…………」

「や……」

「やめろおおおおッ!」

沙衣「あっ、何をするんだい」

「盛本さんを辱める実験なんて風紀的にダメよ!委員長として放っておけないわ!」

沙衣「何を言ってるんだキミは」

「アウトよ!それを寄越しなさい!」

沙衣「ひ、引っ張るらないでくれっ」

「離しなさ……!」

沙衣「あっ、そのレバーは……」


ドパァン


11 : VIPに... - 2014/04/22 23:56:48.49 OelR1OL+o 10/96


「ぎゃあ!」

沙衣「わぷ!」

雨柚「あ……」


ベチョ…

「うええ、ぬるぬるするぅ……」

沙衣「けほっ……やれやれ、少し飲み込んでしまったよ」

沙衣「やめろといったのに。タンクが爆発したじゃないか」

「何をどうしたら水鉄砲のタンクが爆発するのよ……」

沙衣「色々改造したからね」

雨柚「だ、大丈夫ですか!?」

沙衣「ああ、大丈夫だ。害はない」

「アンタ飲んじゃったみたいだけど、大丈夫なの?」



12 : VIPに... - 2014/04/22 23:57:46.37 OelR1OL+o 11/96


沙衣「盛本くんには保護ゴーグルをつけてもらってはいるが……」

沙衣「元々人にかけるものだからね。目や口に入っても害はないよ」

沙衣「とは言え薬品は薬品。早く洗い落とさないと」

沙衣「不快だし、それに下手したら私達の方が風紀的にアウトになる」

「!?」

沙衣「そうでなくても……っと」

雨柚「部長が白衣脱いだとこ久しぶりに見ました」

沙衣「そうかい?……ああ、これはセーターもワイシャツもダメだね。仕方ない」

雨柚「ひゃっ」

「ちょー!何脱ごうとしてんのよ!?」

沙衣「薬品が服にかかったら脱ぐ。常識だよ」

「いや、それはそうかもしんないけど……!」


13 : VIPに... - 2014/04/22 23:58:50.47 OelR1OL+o 12/96


「な、何でそんな躊躇なく……恥ずかしくないの!?」

沙衣「ここには私達しかいないからね」

沙衣「それにこんなこともあろうかとこのスライムには恥ずかしいという感情を抑える弱いび……薬効果がある。それもあるかも」

「『び』って何よ!『び』って何なのよ!」

沙衣「服を脱がされるのは誰だって恥ずかしいだろ。粋な心遣いさ。効果の程はわからないけどね」

沙衣「麻酔でもよかったんだが……まあ脱ぎにくかったらスライムを飲み込んでみるといい」

「何言ってんのよ!」

沙衣「ほら、それよりキミも早く脱ぎたまえ」

「で、でも……」

沙衣「急がないと薬品が染みこむよ。まだ下着は無事かもしれない」

沙衣「いや、だが念のため脱いでおくことをオススメする」

「ぎゃー!?わかったから脱ぐな!人が見てる前でボタンを外してんじゃないわよ!」



14 : VIPに... - 2014/04/23 00:00:36.16 Hg071Fj+o 13/96


「ぬ、脱ぐ!脱ぐわよ!」

沙衣「ん?テーブルの下で脱ぐのかい?」

「当たり前でしょ!」

沙衣「別に私達に見られて減るもんでもないじゃないか」

「スケベ!」

沙衣「助平って……キミは体育の時どうしてるのさ」

「パンツも脱がなくちゃいけないんだから仕方ないじゃない!」

沙衣「まぁそれはそうだが……」

沙衣「仕方ない。そんなに言うなら電気を消そう。薄暗くすればまだ着替えやすいだろうしね」

沙衣「じゃあ盛本くん、悪いけど電気を消し……さっきからどこ見てるんだい?」

雨柚「部長……おへそがえっちぃです……」

雨柚「裸じゃないってところが逆にもっとえっちぃです」

沙衣「そうか。あまりジロジロ見ないでくれると助かるんだがね」


15 : VIPに... - 2014/04/23 00:03:10.30 Hg071Fj+o 14/96


沙衣「さて盛本くん。このままでは私と彼女の服は溶解する一方だ」

沙衣「だが、このスライムは実験用に薄くしてあるから、服を溶かすスピードこそあまり早くない」

雨柚「なるほど」

沙衣「そこで悪いんだけど、私達の服を近くのコインランドリーにかけてきてくれ」

沙衣「今ならまだ洗い落とせるだろう」

雨柚「はーい」

「……あのー」

雨柚「あ、長倉さん」

沙衣「もう全裸かい?」

「テーブルの下ですっぽんぽんよ!言わせんじゃないわよ!」

沙衣「隠れてないで出てきなよ。別にキミの裸に興味なんてないし」

「うるさい!」

沙衣「しかし脱ぐの早いんだね。私はまだワイシャツのボタンを……」

「実況すんな!」


17 : VIPに... - 2014/04/23 00:04:42.09 Hg071Fj+o 15/96


雨柚「あの、長倉さん。服を脱いだらシャワーを使ってください」

「シャワー?」

雨柚「科学室にはそういう事故が起きた時のためのシャワーがついているんです」

「へぇー」

沙衣「これもまた常識だよ。流石科学部員」

「ぐっ……!」

沙衣「じゃあ私も下着を脱ぐから……」

沙衣「盛本くん。この袋に服をまとめておいてくれ」

沙衣「下着はもしかしたら無事かもしれないから、別にまとめて」

雨柚「はーい」

沙衣「そして体操着を頼む」


103 : VIPに... - 2014/04/23 09:48:19.49 Hg071Fj+0 16/96


沙衣「場所はわかるかな?」

「お願い!盛本さん!私のはA組で、ロッカーの中!」

沙衣「私のはB組の、机に体操着袋がかけてあるはずだ」

雨柚「服オッケーです!了解しました!行ってきます!」

沙衣「頼んだよ」

「な、なるべく早くね」

雨柚「はい!」

ガチャ

雨柚「あれ!?開かない!」

雨柚「壊れちゃいました!?こんな時に!」

沙衣「鍵」

雨柚「あ、そうでした。では、改めて行ってきます!」

沙衣「うん」

19 : VIPに... - 2014/04/23 00:10:00.07 Hg071Fj+o 17/96


カチャリ

沙衣「……さ、鍵をかけたぞ」

沙衣「この薄暗い科学室にいるのは丸裸で粘液にまみれた二人だけだ」

沙衣「さあ安心して出てきたまえ。シャワーはこっちだ」

「何に安心しろと言うのよ……あっち向いててよね!」

沙衣「わかったわかった」

沙衣「キミこそ、私の裸体をあまり見ないでくれたまえ」

「言われなくても見ないわよ……」

沙衣「ああ、そうそう」

「ちょ、裸で歩き回らないでよ!アンタのお尻が見えちゃったじゃない」

沙衣「……いちいち言わないでよろしい」

沙衣「そこのテーブルの上」

「テーブル?あ、これ……タオル?」

沙衣「流し終わったらそのタオルでよく拭くんだ」



20 : VIPに... - 2014/04/23 00:12:00.68 Hg071Fj+o 18/96


沙衣「私が新発明した体積の十倍もの水を吸う強吸水力タオル」

「通販で似たようなの見たよ私」

沙衣「それならバラ売りで買ったけど全然吸ってくれなくてがっかりしたよ。あれは誇大広告だ」

「買ったんだ……」

沙衣「で、体を拭いたら、私の白衣を羽織るといい。貸すから」

「は、白衣……?裸の上に?」

沙衣「ないよりはマシだろう」

「うう……何で科学室でそんな破廉恥な格好に……」

沙衣「キミのせいだよ」

「うるさい!」

沙衣「やれやれ」

「うう……シャワー……」


21 : VIPに... - 2014/04/23 00:12:48.18 Hg071Fj+o 19/96

キュ

「ぎゃあああ!冷たっ!」

沙衣「お湯が出ると思ったかい?」

「ひぃぃぃぃ!」

沙衣「髪をよく濯ぐんだ」

「ひゃあああああ!」

沙衣「スライムは水溶性だし、元々薄いから軽く流すくらいで……」

沙衣「うん。そんなんでいいだろう」

「タオル!タオル!」

「うぅぅぅぅ」

「ちょっと!そんなに吸水しないじゃない!」

「寒い!寒い!」

沙衣「騒がしいなぁ……」

「ひぃぃ……!」


22 : VIPに... - 2014/04/23 00:14:11.25 Hg071Fj+o 20/96


沙衣「ああ、ほら、ちゃんと身体拭かないと……床がびしょびしょだ」

「あああ後でふふふ拭けばいいいいいでしょ……!」

沙衣「そんなに寒がって……大げさだな」

「うぶるるる……お、大げさじゃないわよ……!他人事と思って!」

沙衣「ほら、白衣を羽織って」

「こんな白衣だけじゃ……うぅぅぅ」

「何か温かくする道具を出して!」

沙衣「私は猫型ロボットか何かかい?」

「何かしらあるでしょ!?」

沙衣「あるにはあるが……生憎故障中でね」

「じゃ、じゃあ、ピンポイント何とか除湿機は!?」

沙衣「実用性がイマイチなんで、元に戻してしまったよ」

「肝心な時に使えないとか……ますます猫型ロボじゃない」

沙衣「劇場版のね」



23 : VIPに... - 2014/04/23 00:14:57.38 Hg071Fj+o 21/96


沙衣「準備室に電気ポットがあるから、何か飲んでればいいよ」

「何があるの……?ココア飲みたい」

沙衣「やっぱり結構余裕あるじゃないか」

沙衣「盛本くんが何かしら持ち込んでると思うよ」

沙衣「なかったら白湯でも飲んでればいい」

「うん……」

沙衣「ちゃんと髪も乾かすんだよ。風邪ひくからね」


沙衣「……では、次は私か」

沙衣「思えばこのシャワーを使うのは初めてか」

沙衣「プールに入る前のシャワーって、とても冷たいんだよね」

沙衣「…………」

キュ

沙衣「……おうっ!」


24 : VIPに... - 2014/04/23 00:15:52.90 Hg071Fj+o 22/96




ドンドンドンドン


雨柚「開かない!開かない!」

雨柚「部長ー!長倉さんー!」

『落ち着きたまえ、盛本くん』

ガチャ

雨柚「体操着持ってきました!」

沙衣「ああ、ありがとう」

雨柚「!?」

雨柚「ぶ、部長!その格好!」

沙衣「ん?」


25 : VIPに... - 2014/04/23 00:16:44.90 Hg071Fj+o 23/96


沙衣「あぁ、これか」

沙衣「裸のまま待つわけにはいかないからね」

雨柚「う、薄暗いから尚更えっちぃです」

沙衣「全裸に白衣とはまたマニアックかな。はっはっは」

沙衣「……くしゅん!」

雨柚「だ、大丈夫ですか!?」

沙衣「ああ……やはり水浴びをするには寒すぎる」

雨柚「体操着です!すぐ着てください!」

沙衣「ありがとう」

雨柚「あれ?長倉さんは?」

沙衣「準備室にいるよ」

雨柚「わかりました。では、長倉さんに渡したらそのまま『これ』を洗濯しに行ってきますね」

沙衣「ああ、よろしく」



26 : VIPに... - 2014/04/23 00:17:54.19 Hg071Fj+o 24/96


沙衣「……さて、着るか」

沙衣「ん?下着が入ってる?」

沙衣「乾いている……ああ、やはり無事だったんだね」

沙衣「それで盛本くん、体操着と一緒に」

沙衣「助かる……と、言いたいところだが」

沙衣「この下着は私のじゃないね」

沙衣「間違えたか……しょうがないな。盛本くん」

沙衣「仕方ない……とにかく、とりあえず着るか」

沙衣「…………」

沙衣「……ふぅ」

沙衣「ああ、やはり何らか着ているだけで随分と温かい。……何やらスースーするが」

沙衣「……しかし」


27 : VIPに... - 2014/04/23 00:19:29.30 Hg071Fj+o 25/96


沙衣「なるほど……?と、いうことは、これは彼女の下着ということになる」

沙衣「……下だけか。無事だったのは」

沙衣「…………」

沙衣「……ふふーん?」

沙衣「また随分とナンセンスな下着を穿いているんだね」

沙衣「白か……」

沙衣「自称エリート委員長だからもっと……こう」

沙衣「見栄を張ったようなのを穿いていると思ったが……」

沙衣「…………」

沙衣「って、人の下着をまじまじと見て、何を想像しているんだ。私は……」

沙衣「これじゃまるで変態……」

沙衣「……ん?」



28 : VIPに... - 2014/04/23 00:20:12.68 Hg071Fj+o 26/96


沙衣「待てよ……」

沙衣「そうか……もしや……」

沙衣「いや、しかし……」

沙衣「…………」

沙衣「……ふっふっふ」

沙衣「これだ」

沙衣「……いい発明を思いついた」

沙衣「あれをこうして、そうすれば……」

沙衣「なるほどなるほど……」

沙衣「ふふふふ……!」

ガチャ

「沙衣ー」


29 : VIPに... - 2014/04/23 00:21:06.79 Hg071Fj+o 27/96


沙衣「ッ!?」ビクッ

「ん?どうしたのよ?」

沙衣「きゅ、急に開けないでくれ!」

「……え、何よ」

沙衣「き……着替え中かもしれないだろう」

「…………」

「……別にそんなの関係ないんじゃなかったの?」

沙衣「……わ、私だって、人並みには……」

「ふーん……薬切れたのね」

沙衣「まったく……も、もう着替えたのかい?」

「ええ」

「盛本さんはそのままコインランドリー行っちゃったわ」

沙衣「ああ、わかってるよ」



30 : VIPに... - 2014/04/23 00:22:25.33 Hg071Fj+o 28/96


沙衣(ま、マズイ……!)

沙衣(我ながら……意味がわからないが……)

沙衣(咄嗟に……)

沙衣(咄嗟に『彼女の下着を頭に被って』しまった)

沙衣(彼女の下着を頭に被ってしまった)

沙衣(ただ、いいアイディアが浮かんだ故に、下着を掲げたらそのまま被ってしまった)

沙衣(何を言っているのかよくわからないかもしれないが、私自身もよくわからない)

沙衣(……だが、彼女の下着を抓んでニヤニヤしている私の姿を見せずに済んだんだ)

沙衣(それを思えば、セーフといったところだね)

沙衣(……下着を頭に被っているのも、まあ際どいところだが)

沙衣(まだ……まだ、ジョークとして誤魔化が効く)

沙衣(下着に顔を近づけてニヤニヤ見つめているのは『ガチ』に見られるからね)

沙衣(……しかし)


31 : VIPに... - 2014/04/23 00:24:07.89 Hg071Fj+o 29/96


「さて……どうすんの?このスライム」

沙衣「ああ……片付けないといけないね」

「雑巾溶けちゃわない?」

沙衣「まあ溶けるね」

「じゃあどうすんのよ」

沙衣「このスライムの場合、薬品の成分を分解する特殊な、別の薬品をかけるんだ」

沙衣「そうすれば雑巾でふき取れる」

「へー」

沙衣(……ツッコミがない?)

沙衣(……まさか)

沙衣(まさか、とは思うが……)

沙衣(……『気付いていない』のか?)

沙衣(確かに、下着の色と私の髪の色は似ていたが……被ってるだけに)

沙衣(だが、自分の下着を目の前の人間が被っているんだぞ)

沙衣(暗がりとは言え……いくらなんでも……やはりバ……)

沙衣(……まあ何にしても、気付かれていないのならこっちとしても好都合だ)


32 : VIPに... - 2014/04/23 00:24:36.35 Hg071Fj+o 30/96


「…………」

沙衣「ん?どうかしたのかい?」

「……ううん、白衣着るんだなって」

沙衣「まぁ……私のトレードマークみたいなものだし……体操着と白衣のギャップも面白いだろう?」

「まあいいけど……あ!ちょっと待って!」

沙衣「な、何かな」

「ちょっと……忘れ物?」

沙衣「忘れ物?何を忘れるような……」

沙衣(は!いや、これはむしろチャンス!)

沙衣「あ、あぁ、とっておいで」

「えぇ」


(……見てなさいよ!)


33 : VIPに... - 2014/04/23 00:25:44.21 Hg071Fj+o 31/96




――準備室

ガチャ

雨柚「長倉さーん。持ってきましたよー」

「も、盛本さん!よ、よかった……!」

雨柚「さ、寒そうですね……」

「だ、だって、シャワー冷たい水しか出ないんだもの!」

「電気ポットも電源入ってなかったし!」

雨柚「あ、ごめんなさい……後で洗おうと思ってコンセント抜いたの忘れてました」

「そ、そうだったの……」

雨柚「それじゃ私、コインランドリーに行ってきますね」

「うん。ごめんね、こんなことになっちゃって」

雨柚「いえいえー」


34 : VIPに... - 2014/04/23 00:26:14.11 Hg071Fj+o 32/96



雨柚「…………」

「……?どうしたの?」

雨柚「部長も同じ格好でしたけど……」

雨柚「裸に白衣、えっちぃです」

「な!?」

「へ、変なこと言わないでよ!」

雨柚「あ、ごめんなさい!に、似合ってますよっ」

「フォローになってないからそれ……」

雨柚「えっと……」

雨柚「じゃあ私、行きますね?」

「ええ、行ってらっしゃい」

「……さて、着よう」


35 : VIPに... - 2014/04/23 00:27:08.29 Hg071Fj+o 33/96


「……あれ?パンツだ」

「スライムから無事だったのね」

「……でもこれ、私のじゃない」

「盛本さん間違えちゃったんだ」

「まあ仕方ないわよね」

「……って」

「黒のレース!?」

「わ、わー……す、すごい……」

「でも……私のじゃないってことは……」

「……!」

「やだ!ってことは沙衣ったら、普段こんなHなパンツ穿いてるの!?」

「うっそ!アイツが!?」


36 : VIPに... - 2014/04/23 00:28:02.86 Hg071Fj+o 34/96


「し、信じられない……」

「もっと大人しいヤツだと思ってたのに……」

「もっと、こう……」

「落ち着いた……地味なというか……」

「こんないかがわしくないパンツ」

「……って」

「私は人のパンツ片手に何を考えてるのよ……」

「何だろう。この、やりきれない感じ」

「っていうか、盛本さんがこれを私のに入れたってことは……あれよね」

「私、盛本さんにこういうの穿いてるって思われてる?」

「……それはそれで、また、やりきれないわね」

「はぁ……」


37 : VIPに... - 2014/04/23 00:29:24.20 Hg071Fj+o 35/96


「……へっくちゅん!」

「あー……寒っ」

「し、仕方ない……ノーパンのまま体操着着よ」

「…………」

「ああー……」

「体操着がこんなに温かく感じたの初めて」

「でもブラもパンツもないからスースーして落ち着かない……」

「……さて」

「このパンツどうしよ」

「沙衣のが無事だったってことは、私のも平気だったのかしら」

「そうなると沙衣のとこに私のパンツがあるかも?」

「沙衣はもう着替え終わったかな……」


38 : VIPに... - 2014/04/23 00:30:30.77 Hg071Fj+o 36/96


「沙衣ー」

沙衣「ッ!?」ビクッ

「ん?どうしたの?」

沙衣「きゅ、急に開けないでくれ!」

「……え、何よ」

沙衣「き……着替え中かもしれないだろう」

(えっと……)

(いや、まさか……)

(あ……うん)

「…………」


(……何でパンツを被ってんの?)


39 : VIPに... - 2014/04/23 00:31:25.27 Hg071Fj+o 37/96


(え?目の錯覚?)

(違うわよね……どう見ても)

(脚出すとこからアホ毛が出ちゃってるじゃないのよ)

(え?ギャグ?)

「……別にそんなの関係ないんじゃなかったの?」

沙衣「……わ、私だって、人並みには……」

「ふーん……薬切れたのね」

沙衣「まったく……も、もう着替えたのかい?」

「ええ」

「盛本さんはそのままコインランドリー行っちゃったわ」

沙衣「ああ、わかってるよ」


40 : VIPに... - 2014/04/23 00:31:52.02 Hg071Fj+o 38/96


「さて……どうすんの?このスライム」

沙衣「ああ……片付けないといけないね」

「雑巾溶けちゃわない?」

沙衣「まあ溶けるね」

「じゃあどうすんのよ」

沙衣「このスライムの場合、薬品の成分を分解する特殊な、別の薬品をかけるんだ」

沙衣「そうすれば雑巾でふき取れる」

「へー」

(何か沙衣……ちょっとぎこちないわね)

(まあパンツ被ってるものね。そりゃそうか)

(っていうか何なの?博士キャラがパンツ被るって何?流行り?)

(……あ)

(もしや……)


41 : VIPに... - 2014/04/23 00:32:20.28 Hg071Fj+o 39/96


(まさか私……)

(……試されている?)

(いや、まさか、沙衣ともあろうヤツが、そんな真似……)

(でも、実際に目の前に現実に……)

(……私を馬鹿にしているの?)

(挑発!?宣戦布告!?)

(ジーニアスギャグ!?嫌味!?)

(くっ……!沙衣め……!)

(ここで突っ込んだら……何か、負けな気がしてきた)

(なるほどね。わかったわよ……)

(私にツッコミをいれさせようって魂胆ね)



42 : VIPに... - 2014/04/23 00:33:34.86 Hg071Fj+o 40/96


(ああ……目に見えるわ)

(何でパンツ被ってんのよ!って言われてニヤリとほくそ笑む沙衣の顔が……!)

(キミは本当にわかりやすいね……脳内のアイツのしたり顔が、そう囁く……!)

(負けるもんですか!)

(絶対に突っ込んでやるもんですか)

(でも……さて、どうしたものかしら)

(そのままガン無視するのも何だかね)

(……そうだ!)

「…………」

沙衣「ん?どうかしたのかい?」

「……ううん、白衣着るんだなって」

沙衣「まぁ……私のトレードマークみたいなものだし……体操着と白衣のギャップも面白いだろう?」

「まあいいけど……あ!ちょっと待って!」


43 : VIPに... - 2014/04/23 00:34:44.92 Hg071Fj+o 41/96


沙衣「な、何かな」

「ちょっと……忘れ物?」

沙衣「忘れ物?何を忘れるような……」

沙衣「……あ」

沙衣「あぁ、とっておいで」

「えぇ」

(……見てなさいよ!)

(一泡吹かせてやるんだから!)


沙衣「……よ、よし。今がチャンスだ!」

沙衣(脱いだ下着をテーブルに置いて、下着が紛れていたよ、と返して……)

沙衣「…………」

沙衣(……はっ!?い、いや、待て……)

沙衣(よく考えたら……)


44 : VIPに... - 2014/04/23 00:36:08.37 Hg071Fj+o 42/96


沙衣(私の髪は今……生乾きじゃないか……!?)

沙衣(つまり、今、彼女の下着は水分を吸って、十中八九濡れていることだろう)

沙衣(と、なると……)


~~~~

沙衣『キミの下着が紛れていたよ』

『あー、よかったー』

『あれ?濡れてるじゃない。それに何か濡れた髪みたいな臭いが……』

『ん、よくみたら白い毛が……』

『アンタまさか……被った?』

沙衣『いや、それはちが……』

『アンタ、そういう趣味なの……キモ……』

沙衣『だから違うんだ。話を聞いてくれ』

『そうやって言い訳しようとするところがマジくさい……最低』

~~~~


45 : VIPに... - 2014/04/23 00:37:19.29 Hg071Fj+o 43/96


沙衣(……うぐ、そ、それはマズイ。中途半端に誤魔化すと余計な疑いがかかる)

沙衣(しかし隠しても、もしバレた時の言い訳が尚更つかないし、隠し場所も良さそうな場所が……)

沙衣(白衣のポケット……はダメだ。下着分ポケットも膨れるだろうし、彼女がふざけてポケットに手を突っ込む可能性も否定できない)

沙衣(それなら、冗談で被っていたという方がまだ何とかなる可能性を見込めるんじゃなかろうか。ツッコミ待ちというヤツだ。プライドを投げ捨てた渾身のギャグだ)

沙衣(いや、しかし……)

沙衣(私としても他人の下着をいつまでも被っているのも自尊心というか……そういう問題も……)

沙衣(ああ、我が発明ながら、あのタオルの吸水力の微妙さが恨めしいね)


「沙衣!」バンッ

沙衣「おう!?」

「な、何よ、ビックリするなんてらしくないわね」

沙衣「い、いや、何でもないよ」

沙衣(……どっちにしてもタイミングを逃したね)


46 : VIPに... - 2014/04/23 00:38:25.73 Hg071Fj+o 44/96


沙衣(……だが、湿った下着を手に持っている状態を見られなかっただけマシか)

沙衣(私としては、さっさとキミの下着に気付いて欲しいものだが……)

沙衣(いや……どこか必ず脱ぐチャンスはあるだろう)

沙衣(それなら……いっそ気付かれないままにしておいた方がいいんじゃないか)

沙衣(バレたらジョークということにする……というのはあくまで保険だ。隠し通せれば、私のプライドも守れる)

沙衣(ここは……何とか騙し通そう)


(ふふふ……)

(どうよ!沙衣!)

(アンタの黒レースパンツを頭に被ってやったわよ!)バーン

(ちょっと……いえ、かなり恥ずかしいけど……!)

(ツッコミかますだけが長倉蓮じゃない!)

(アンタにツッコミを入れさせてやるわ!)

(さあ『何でパンツ被ってんねん!ネタを被せてどうすんねん!』……と、ツッコミなさい!)



47 : VIPに... - 2014/04/23 00:39:19.50 Hg071Fj+o 45/96


沙衣「……さて、スライムとシャワー……床掃除をしようか」

「……え?」

沙衣「……ん?」

「え、えぇ、そうね……」

沙衣「うん」

「…………」

(今……沙衣、私の顔見たわよね……?)

(ほら!ほら!私!アナタのパンツ……!)

(……スルー?)

(くっ……!)

(一切動揺しないとは……役者じゃないの)

「……そうね……掃除しよ」

「…………」



48 : VIPに... - 2014/04/23 00:40:06.51 Hg071Fj+o 46/96


「ねえ、沙衣。何で電気消しっぱなの?」

沙衣「え?」

「着替えたならもういいわよね。つけるわよ」

沙衣「!」

沙衣(……マズイな)

沙衣(薄暗いからこそ彼女は私の頭に気付かないのかもしれないというのに……)

沙衣(明るくなったら今度こそ下着に気付かれるかもしれない……!)

沙衣「待ってくれ!」

「な、何よ?」

沙衣「えっと……」

沙衣「何と言えばいいか……」


49 : VIPに... - 2014/04/23 00:40:48.78 Hg071Fj+o 47/96


沙衣「そ、そのスライムは蛍光灯の紫外線側に偏ったスペクトル分布のエフェクトで、成分のベンゼンが振動し内包された粒子のエントロピーのフェーン現象がフレミングすることで……」

「?」

沙衣「とにかく今、電気をつけるとスライムが……掃除しにくくなるんだ」

「えっと……?」

沙衣「とにかく、電気はつけないでくれ」

「電気つけて実験してたじゃない」

沙衣「そ、それは……」

沙衣「掃除する場合は違うんだ」

沙衣「とにかく、電気は消しっぱなしでいいんだ。いいね?頼むよ」

「え、えぇ……わかったわ」

沙衣(……やれやれ、危なかった)

沙衣(自分の発明について嘘をつくのは心痛いが……)

沙衣(何とか電気をつけさせずに済んだか)


50 : VIPに... - 2014/04/23 00:41:17.28 Hg071Fj+o 48/96


「……ちっ」

沙衣「ん、何の音?」

「あ、いえ、多分スライム踏んだ音かも」

沙衣「そう……念のため後で上履きも洗っておくといい。ゴムだから溶けないとは思うが」

「わ、わかったわ」

「しかし変なスライムね……」

沙衣「ああ、そうだね……我ながらそう思う」

沙衣(不審そうな顔だ……今の電気の下りで、怪しまれている可能性がある)

沙衣(しかし、つけさせる訳にもいかないから、しょうがないじゃないか)

沙衣(ここは……私の方から何らかのアクションを起こした方がよさそうだ)

沙衣(……そうだ。ここは一つ)

沙衣「……なあ、キミ」


51 : VIPに... - 2014/04/23 00:42:44.97 Hg071Fj+o 49/96


「何?」

沙衣「……その、何だ」

沙衣「キミ……さ」

沙衣「……下着、穿いているのかい?」

「え?」

沙衣「もしかしたら……下着は無事だったんじゃ、なんて思ってだね。私のは、残念ながら……」

(残念ながら……じゃないわよ!)

(……今まさに私アンタの頭に被ってるわよ!?)

(い、いや、これは……まさか!牽制してる!?)

(くっ、沙衣め……!ひょっとしたら気付いてないんじゃないかって思ったけど……)

(やっぱり気付いてるわよね)

(くっ……でも、私を馬鹿にしてられるのもこれまでよ!)

「……沙衣のもダメだったんだね」

沙衣「!」ギクッ


52 : VIPに... - 2014/04/23 00:44:50.53 Hg071Fj+o 50/96


(そうか、そうなんだね……ってキミが被っとるやないかーい!)

(……ってツッコミやがりなさいよ!)

(意識するな……パンツを気にしてはいけない。あくまで沙衣の目を見て話すのよ)

沙衣「……と、言うことは……お互い、間に合わなかった、ようだね」

沙衣「困ったものだ。あの下着は気に入っているんだが……溶けてないといいな」

(このエロパンツ、お気に入りなんだ……)

(沙衣って案外むっつりスケベなのね)

「……そうね」

「私もあのパンツ気に入ってたから……溶けてたらどうしよう」

沙衣(な、何とか誤魔化せたか……?)

沙衣(危ない危ない……体操着に下着があったことを自らバラすところだった)

沙衣(しかしやはり、私の頭にある下着……彼女愛用下着の存在に気付いていないようだね)

沙衣(これがお気に入り……か。ごめんよ。お気に入りを頭に被って)



53 : VIPに... - 2014/04/23 00:45:53.69 Hg071Fj+o 51/96


「そうなるとお互い……」

沙衣「ん?」

「……ノーパンってことよね」

沙衣「……ま、まぁ、そうなるね」

沙衣「これが現実なんだ。は、ははは」

(薄暗いからわかりにくいけど……沙衣、照れてる?)

(気のせいかしら……よくわからないわ)

沙衣(……いかがわしいことを言い出して……まったくしょうがないな)

沙衣(いや、待て……まさか)

沙衣(やはり私が下着を被っているのを気付いているんじゃ……!?)

沙衣(それで気付いてないフリをして、報復に私に精神攻撃をしかけて……)

沙衣(い、いや……重なる実験で培った私の観察眼が言っている)

沙衣(彼女は私の頭に一切目を向けていない)

沙衣(つまり、下着に気付いていない!)



54 : VIPに... - 2014/04/23 00:46:25.97 Hg071Fj+o 52/96


沙衣(意識するな……彼女の頭に……目線を変に逸らせば、怪しまれる……)

(沙衣……私の頭を一度も見てこないわね)

(……まさか、実は気付いていない?)

(パンツは黒のレース……私の黒髪の上に、色的に被ってるし……電気ついてないしカーテン閉じて、薄暗いし)

(……いや、そんなまさかね)

(いくら黒髪の上に黒のレースだからって……普通気付くわよね)

(あくまでも、私に突っ込ませようって言うのよね……!)

(そうはいくもんですか!)

「そろそろいい加減掃除するわよ」

沙衣「あ、ああ、そうだね。それもそうだ」

「…………」

沙衣「……ん?」



55 : VIPに... - 2014/04/23 00:47:02.47 Hg071Fj+o 53/96


「ん?じゃないわよ。ほら、薬」

沙衣「薬?」

「掃除する時はスライムにかけるって言ってたじゃない。準備室でしょ?」

沙衣「……あ、ああ!そうだね。そうだった」

沙衣(しまった……そうだった)

沙衣(このスライム……ただでは掃除できない)

沙衣(準備室にある、専用の薬を使ってから片付けるんだ)

沙衣(ちなみに燃えるゴミだ)

沙衣(準備室……彼女がさっきまで着替えていた場所だな)

沙衣「……ん?」

「ん?じゃないわよ。早く入りなさいよ」

沙衣「え……キミも来る気?」

「は?来ちゃ悪いの?」

沙衣「……一人で十分だよ」



56 : VIPに... - 2014/04/23 00:47:46.58 Hg071Fj+o 54/96


「何よ!ほら、いいから入るわよ!」

沙衣「ま、まあ落ち着きたまえ」

沙衣「……な、なぁ」

「何?」

沙衣「もしかして……準備室の電気は……」

「?」

「消したわよ?勿体ないじゃない」

沙衣「つけたり消したりを繰り返す方が……いや、そうじゃなくて」

沙衣「……カーテンは?」

「しめたわ。万に一つでも覗かれたくないもん」

沙衣「……そ、そうか」

沙衣(電気の消えた部屋に……入る二人)


57 : VIPに... - 2014/04/23 00:48:13.08 Hg071Fj+o 55/96


沙衣(困るな……ついていてもそうだが、一緒に来られたら確実に電気をつけられる」

沙衣(電気をついたが最後……明るい状態なら、ほぼ確実に気付かれる!)

(きっかけを与えてやったわよ……!)

(電気がついて……)

(いやー、明るい明るい。暗い部屋にずっといたからね、キミの顔と私のパンツもよく映える……って、何で被ってんねーん!)

(……って、突っ込ませてやる!)

沙衣(それは……避けたい)

沙衣(考えろ……考えるんだ)

沙衣(……そうだ!)

沙衣(このスライムは実験用に薬の成分が薄くなっている……つまり、効果は弱い)

沙衣(だから普通に雑巾で拭いても、すぐに水ですすげば雑巾が溶ける心配はない)

沙衣(……つまり)



58 : VIPに... - 2014/04/23 00:48:56.46 Hg071Fj+o 56/96


沙衣「待った、待ってくれ。準備室に用はなくなった!」

「え!?」

沙衣「見つけたからさ。これこれ、準備室から既に持ち出していたことを忘れていた」

沙衣「さあ、早く掃除しようじゃないか。うん、それがいい」

「えっ、ちょ……」

沙衣(パッと目に入った『これ』を薬として誤魔化そう)

沙衣(準備室に入らなくて済む)

沙衣(……でも、なんなんだろう、これ)

沙衣(色々ありすぎて何が何だかわからない)

沙衣(まあ適当に手につくようなものだ。大したもんでもないだろう)

(ちくしょう……)

(ちくしょうううううう!)


59 : VIPに... - 2014/04/23 00:49:29.67 Hg071Fj+o 57/96


沙衣「じゃあ私はスライムを掃除する」

沙衣「だからキミはシャワーでびしょぬれになった床を頼む」

「…………」

沙衣「……こ、今度は何かな?」

「いや……どうやってスライム掃除するのかなーって」

沙衣「……そ、そんなのなんだっていいだろう」

沙衣「た、ただ普通に、薬品を散布して、雑巾でまとめてペーパータオルで包んで捨てるだけさ」

「近くで見せてよ」

(そんで近くで私を見てよ!それでパンツに突っ込めよ!)

沙衣「べ、別々にした方が効率的だ。それにキミもこんな薬品に触りたくないだろう」

沙衣(近くに来ないでくれ。下着に気付かれる)

「で、でも私スライム触りたいな」

沙衣「全身に浴びたからいいだろう……」


60 : VIPに... - 2014/04/23 00:50:05.16 Hg071Fj+o 58/96


「手につける分には問題ないんでしょ?」

「スライム触りたいわ」

沙衣「……ダメだ」

沙衣「キミがよくても私は嫌だ」

「何でよ」

沙衣「……キミにさせたくないからだ」

沙衣「キミには……このスライムのせいで恥ずかしい思いをさせたからね」

沙衣「だから私が責任を持って処理をさせてもらう」

「……!」

「む……」

(珍しく沙衣が何か……良い感じの言い方。パンツ被ってるけど)

(しかしそう言われると……前に出にくいわね)


61 : VIPに... - 2014/04/23 00:51:18.36 Hg071Fj+o 59/96


「……わかったわ」

「じゃあ私こっちやるから……」

沙衣「ああ、助かる」

沙衣「キミ、濡れたままで歩き回ったから意外と範囲広いよ」

「げっ」

沙衣「あと排水溝にたまった私達の髪の毛と……スライムは溶けているとは思うが、もし残っていたら回収してくれ」

「……はーい」

(こうなったら……アレよ)

(さっさと私は私の掃除をして……)

(手伝うという名目で沙衣と接近するわ!)

(そしてこの頭のパンツを見せつけてツッコミ入れさせてやる!)

「よーし……!」


62 : VIPに... - 2014/04/23 00:51:44.15 Hg071Fj+o 60/96


十数分後


「……よし!終わった!」

「床も拭き終わったし……」

「排水溝の髪の毛も全部とった!」

「薄暗いからちょっと手こずったけど……」

「お掃除完了!」

「と、いうことで……」

「沙衣~、スライムてつだ……」


ベチョ


「……べちょ?」

「……?」

「ほ、ほわー!?スライムが飛んできた!?」



63 : VIPに... - 2014/04/23 00:52:11.28 Hg071Fj+o 61/96


沙衣「触りたいんだろう?少しだけならいいよ」

沙衣(これくらいなら大丈夫だろう……)

「ちょっとー!掃除したばっかなのに!」

沙衣「ははは、それは悪かったね」

沙衣「まあ、終わったならスライム遊びでもしていたまえ」

「やめてよ!ジャージが溶けるでしょ!」

沙衣「このスライムなら大丈夫だよ」

沙衣「溶かす成分は入っていないスライムだ」

「くっ……!だ、だからって放り投げる?普通」

沙衣(すまないね。キミに近づけないんだ)

(くそっ!先手を討たれた……)

(何よ!ボケる割にはツッコミ辛くさせて……!何がしたいのよ!)

「…………」



64 : VIPに... - 2014/04/23 00:53:07.16 Hg071Fj+o 62/96


プニッ

「…………」

プニュン

「…………」

プルッ

「…………」

(やだ……ちょ、ちょっとかわいいじゃない……!)

(何よこれ……た、楽しい……悔しいけど、このスライム楽しい……!)

(でも、スライムに集中しすぎてはダメよ……!沙衣に目を光らせる!)


沙衣(ふふふ……かかったね)

沙衣(これは服だけを溶かすスライムのプロトタイプ……服を溶かす機能がない代わりに、弾力性に特化された……)

沙衣(要はただの『ちょっと良いスライム』だ!)

沙衣(私の掃除が終わるまで遊び続ければいい)

沙衣(しかし……)


65 : VIPに... - 2014/04/23 00:53:37.67 Hg071Fj+o 63/96


沙衣(彼女は、掃除している最中チラチラとこっちを見ていた)

沙衣(そのせいでパンツを脱いで隠す隙が見出せなかった……)

沙衣(白衣のポケットに入れられるならいいものの……やはりダメなんだな)

沙衣(いつこっちを見るかわからないような……そんな状態だった)

沙衣(下手に動けない……)

沙衣(これも私の今までの言動が彼女に不信感に抱かせたからだ)

沙衣(これは……その結果だ)

沙衣(だが、彼女は幸いにも下着に気付いていない)

沙衣(せいぜい、何か私が悪巧みをしていると思っているに違いない)

沙衣(むしろ、その方がマシだ)

沙衣(スライムに夢中にさせたいところだが……)

沙衣(隙は、できるのか……!?)



66 : VIPに... - 2014/04/23 00:54:04.35 Hg071Fj+o 64/96


十数分後


沙衣(できなかった)

沙衣「……ふぅ、やっと終わった」

沙衣「キミの方も終わったようだね」

「…………うん」

(結局……スライムが楽しくて沙衣に近づけなかった)

(結局……お互いパンツ被ったまま掃除とか……どういうコンビよ)

プルルン

「くっ、生意気なプルプルして……!」

沙衣「そんなに楽しかったかい?そのスライム」

「……うん」

沙衣「はは、ありがたいね。なら後で分けてあげよう」

「……ありがとう」

「…………」

沙衣「……よし、ここで待っててくれ」

沙衣「準備室から飲み物でも持ってくるよ」


67 : VIPに... - 2014/04/23 00:54:47.00 Hg071Fj+o 65/96


沙衣(もう我慢できない。準備室だ。準備室に下着を隠そう)

沙衣(下着を脱ぎ、髪の毛がついてないかチェックして、彼女の体操着袋に入れる)

沙衣(掃除をしている間に、少しは乾いただろうし……)

沙衣(何があっても、体操着袋にあった以上、彼女が『見逃してた』ということで何とでもなる……!)

沙衣(そして私は下着を被っていたなんていう醜態がなく、普段通りに……)

沙衣(今しかない)

沙衣(電気をつけない理由のスライムがなくなった以上、もう時間は稼げない)

沙衣(準備室に隠す以外に、もう逃れる道は……!)

(準備室……!)

(準備室で、電気をつけて……!)

(もう!こうなったらヤケよ!)

(無理矢理にでも、最悪頭突きしてでも突っ込ませてやる!)

「私も行くわ!」

沙衣「……む」


68 : VIPに... - 2014/04/23 00:55:14.91 Hg071Fj+o 66/96


沙衣「キミはここで待ってたまえ」

「何よ!ついてったっていいでしょ」ツカツカ

沙衣「珍しくも私がお茶を淹れると言っているんだ。素直に待って……」

「変な薬盛りそうだから監視してなくちゃ!」

沙衣「失礼な。人聞きの悪い……」

沙衣(いや、疑われるような真似をしていたんだろう。私は)

「それにちょっと暑くなったからジャージ脱ごうかと思って」

沙衣「むむっ……」

沙衣「こ、ここに置いておけばいいだろう?」

「あら?準備室に行かせたくない理由でもあるの?」

沙衣(そう来られたら来るなとは言えないじゃないか)

「やっぱり薬を……」

沙衣(くっ……ど、どうしたものか)


69 : VIPに... - 2014/04/23 00:56:20.32 Hg071Fj+o 67/96


沙衣「…………」

「沙衣?」

「さーいー?」

沙衣「頼む。頼むから、ここで大人しく待っていてくれ……何もしない。何もしないから……」

沙衣「もう折れそうだよ私は……」

「は?何を言ってんのよ……折れる?」

「……は!」

(ついに耐えきれないと!ツッコミたくて仕方ないと!)

(よーし!もう一押しよ!)

「さあさあ!準備室に行くわよー!」

「ちょっと汗ばんじゃったわ!」

沙衣「もう勘弁して……ん?『汗ばむ』……?」

沙衣「…………」


70 : VIPに... - 2014/04/23 00:56:53.91 Hg071Fj+o 68/96


沙衣「……ハッ!?」

ツルッ

「うおっ!?」

沙衣「!」

「な、何……!?何か床がヌルヌルするんだけど!?何か床テカってない?」

沙衣「……!」

沙衣(この光沢……)

沙衣「ま、まさか……」

沙衣「スライムにかけたこの『薬』は……!」

「薬……?」

「ちょっと!まさかアンタ薬間違えて……!」

沙衣(私の新発明『顆粒ハンドクリーム』か!?)



71 : VIPに... - 2014/04/23 00:57:28.04 Hg071Fj+o 69/96


沙衣(そうだ!思い出したぞ……!)

沙衣(砂状のスキンケア成分で、水分に吸着すると溶解しそのままハンドクリームになるという……)

沙衣(そうだった!忘れていた!)

沙衣(汗でも十分効果が発揮するのか確かめるために、実験で着込ませて汗をかいた盛本くんで試そうと思って……置いておいたんだった!)

「ちょっと!その薬は何なのよ!ちょっと見せなさい!」

沙衣「待つんだ!そこを駆けたら……!」

ツルッ

「うぇっ!?」

沙衣「あ、危な――」

ツルッ

沙衣「あっ」


「きゃあっ!」

沙衣「うぶっ!」



72 : VIPに... - 2014/04/23 00:58:10.80 Hg071Fj+o 70/96


「いっ……!」

「……たく、ない?」

「私、スッ転んで……」

沙衣「ごほっ……す、すまないが」

沙衣「ど、どいてくれると助かる……」

「……!」

「沙衣!」

「まさか、私を庇って……」

沙衣「た、偶々だよ……偶々下敷きになっただけさ……」

(っていうか……な、何よこれ!)

(わ、私が沙衣を押し倒したみたいじゃないの!)

(やだ!ラブコメみたい!)



73 : VIPに... - 2014/04/23 00:59:27.51 Hg071Fj+o 71/96


「あ、ご、ごめん!私、足を滑らせて……」

沙衣「あぁ……大丈夫だよ……」

沙衣「結果的には、キミを庇うような形になったね」

沙衣「ふふ、それはそれでよかったよ。ケガはないかい?」

「――ッ!?」ドキッ

沙衣「ん……どうしたんだい?」

「い、いえっ……な、何でも……!」

「ぐぷっ……べ、別に……!くっ!」

沙衣「……?」

(い、今のセリフと……微笑みが……ちょっと、カ、カッコイイと思っちゃった)

(でも頭にパンツ!)

(ふ、ふふへ……お、面白すぎでしょ!何なのよコイツ!)



74 : VIPに... - 2014/04/23 01:00:59.27 Hg071Fj+o 72/96


「くぷっ……く、ふ……!」

(わ、笑うな……堪えるんだ……!)

(パンツから、アホ毛が……アホ毛が揺れる……!)

沙衣「……?」

沙衣「……!」

沙衣(……そうか)

沙衣(動揺している……のか)

沙衣(……そう、なんだね)

沙衣(こんなにまで近くで見られたら……気付かれないはずがない)

沙衣(バレてしまったか)

沙衣(私が彼女のパンツを被っていること)

沙衣(……腹を決めよう)



75 : VIPに... - 2014/04/23 01:01:28.33 Hg071Fj+o 73/96


沙衣「……あのだね」

「な、何よ……」

沙衣「その……何というか」

沙衣「すまなかった」

沙衣「……ごめん」

「え、ど、どうしたのよ」

沙衣「……そんなつもりはなかったんだ」

沙衣「軽い、冗談のつもりだったんだ」

沙衣「決して、キミに不快な思いをさせるつもりはなかった」

「……ぐっ」

沙衣「……どうしたの?」

「い、いえ、何でも……」



76 : VIPに... - 2014/04/23 01:02:20.07 Hg071Fj+o 74/96


「く……ぷふ……ぐっ」

(さ、沙衣が珍しくしおらしくなってる……)

(不可抗力だけど、押し倒すような形になって……)

(見下ろす、沙衣の、そんな顔……薄暗いってこともあって、何だか……色っぽいわ)

(でも頭にパンツ!)

(バカだ!パンツ被ってる私が言うのもなんだけど、コイツバカだ!)

「く、くふっ、ふぐ、む……!」

沙衣「……本当に大丈夫かい?」

沙衣「もしかして痛いの我慢してるんじゃ……」

沙衣「どこか打った?」

「や……優しく……しないで」プルプル

(ツボるから……!)

沙衣「え……」



77 : VIPに... - 2014/04/23 01:03:07.93 Hg071Fj+o 75/96


沙衣「…………」

沙衣(……優しくするな、か)

沙衣(まぁ、そうだよな)

沙衣(人の下着を被るような輩だ……軽蔑するだろう)

沙衣(ジョークということで誤魔化そうと思ったが……)

沙衣(……私は、彼女を傷つけてしまったようだ)

沙衣(嫌われてしまったことだろう)

沙衣(そんな……しょうもないことで)

沙衣(そんなことで、友人を失いたくない)

(パンツ被ってるのに……)

(気を遣ってる!優しい……!)

(パンツ被ってるのに!ぐくくっ……ふふ……)



78 : VIPに... - 2014/04/23 01:03:56.46 Hg071Fj+o 76/96


沙衣「……すまない。本当に、本当に悪かったと思っている」

沙衣「キミは憤りを感じていることだろう……私にとっては、ただの……悪ふざけみたいなものだったんだ。許してほしい」

(でしょうね)

沙衣「でも私は、そういう趣味があるわけじゃないんだ」

「…………」

沙衣「確かに、キミがいると……賑やかで……正直、楽しいと思う」

沙衣「実験も捗るというか、新しいアイディアも浮かぶこともある」

沙衣「新発明に対するキミのリアクションが、作る楽しみの一つと感じている私も確かに存在している」

沙衣「そういう意味では……私はキミに好意を持っている」

「えっ……」

沙衣「純粋な意味合いで、私はキミが好きだ。大切な友人なんだ」

沙衣「決してやましい感情はない……信じてほしい」

「さ、沙衣……」

沙衣「悪意はなかった……でも、本当にすまなかった」



79 : VIPに... - 2014/04/23 01:05:20.98 Hg071Fj+o 77/96


(パンツ被って何言ってんのよ……)

(でも……)

(沙衣……私のこと、ちゃんと友達って思っててくれてたんだ)

(いつも、淡泊で、冷静で、何考えてるのかわからないけど……)

(……友人って、言ってくれた)

(な、何だろう……すごくムズ痒いけど……)

(……嬉しい、かも)

(それに、何だか……)

(私の方こそ……沙衣を傷つけちゃったみたいね)

(沙衣も女の子だものね)

「…………」

「……私の方こそ、意地悪してごめんなさい」


80 : VIPに... - 2014/04/23 01:05:47.01 Hg071Fj+o 78/96


沙衣「……はは」

沙衣「何をキミが謝ることが」

「ううん、ごめん」

「それと、ありがとう」

沙衣「私が謝っているのに、どうしてお礼なんか……」

「わ、私も、アナタのこと……その……」

「まあ、大切な……と、友達だって……思ってるわよ?」

沙衣「……そう、かい?」

沙衣「それは……嬉しいね」

「そ、そう言う意味で言うなら、私だって……」

「私も、アナタのこと……好――」


ガチャ


81 : VIPに... - 2014/04/23 01:06:21.31 Hg071Fj+o 79/96


雨柚「ただいま戻りましたー!」

沙衣「!」

「も、盛本さん!?」

雨柚「あれ?何で電気消えてるんですか?」

雨柚「つけますね」

パチッ

沙衣(……マズイ)

(やばっ……!)

沙衣(今……私は彼女に押し倒されたような姿勢に)

(わ、私……沙衣の上に乗ってるような姿勢に!?)

沙衣(これは……誤解されるね)

(いけない……!勘違いされちゃう!)


82 : VIPに... - 2014/04/23 01:07:56.71 Hg071Fj+o 80/96


雨柚「…………」

雨柚「な、長倉さんが……部長を……」

雨柚「は、はわわ……も、もしかして私お邪魔しました!?」

(二人で変なことしてるって思われてる!)

沙衣「……ち、違うんだ。盛本くん」

雨柚「……え!?」

沙衣「これは事故なんだ」

「そ、そうなの!盛本さん!足を滑らせちゃって……!」

雨柚「…………」

沙衣「だからそこ滑るから気を付けて」

雨柚「は、はい……」

雨柚「えと……あの、部長……長倉さん、その前に……」

沙衣「……な、何だい?」

「な、なに?」

雨柚「その……」

雨柚「どうして二人とも……パンツ被ってるんですか……?」


83 : VIPに... - 2014/04/23 01:08:29.61 Hg071Fj+o 81/96


沙衣「へ?」

「え?」

沙衣「……あ」

「……は!」

沙衣(しまった……結局私は下着を被ったままだった……!)

沙衣(こんな姿を、盛本くんに見られたら、部長としての威厳が……)

(し、しまった!わ、私、パンツを……!)

(盛本さんに二人して変なプレイしてるって思われちゃうんじゃ……!)

(な、何とか逃げ道は……!えっと、えっとぉ……!)

沙衣「……ん?ま、待ってくれ」

沙衣「ちょっと、盛本くん、今、何て……」

雨柚「え?」

沙衣「す、すまないが……もう一度さっきの言葉を」



84 : VIPに... - 2014/04/23 01:09:12.01 Hg071Fj+o 82/96


雨柚「え?えっと……?」

雨柚「……どうして二人ともパンツ被っ……」

沙衣「ま、待ってくれ!」

沙衣「え……な……!」

沙衣「キミ!」

「……さ、沙衣?」

沙衣「……んん?」

「!」

(か、顔近っ!)

沙衣「……な、何で?」

沙衣「何でキミまで……下着を被っているんだい……!?」

「…………」

「はあ!?」


85 : VIPに... - 2014/04/23 01:10:01.91 Hg071Fj+o 83/96


沙衣「し、下着なんて被ってどうかしちゃったのかい?」

「アンタにだけは言われたくないわよ!」

「え!?何!何なのよ!」

「ま、まさか……アンタ気付いてなかったの!?」

沙衣「何を?」

「私がパンツ被ってたって!ずっと!?」

沙衣「え?ああ……うん」

沙衣「え、ずっと被ってたの?」

「うっそぉ!?」

沙衣「なるほど……黒い下着か……キミの髪が保護色になっていて気付かなかった」

「し、信じらんない!目ぇ悪いんじゃないの!?」

沙衣「何でそんな驚いているの……暗がりだったから気付かなかったんだよ」

「アンタ……私が眼鏡せずに来たら眼鏡してないことに言われるまで気付かなかったし……」

「私がパンツ被ってるの最後の最後まで気付かないなんて……どんだけ私に興味ないのよ!」

沙衣「そ、そういうつもりはないよ。興味あるよ。キミにとても」

「私はてっきりツッコミ待ちと思ってネタ被せてきたのに!被るだけに!」

沙衣「被せるって、何を?」


86 : VIPに... - 2014/04/23 01:10:44.77 Hg071Fj+o 84/96


「何をって……アンタのパンツネタよ!」

沙衣「パン……」

沙衣「下着を被っていて……被せて……」

沙衣「ま、まさか……キミ……もしかして……」

沙衣「気付いていたのかい……!?」

沙衣「私が下着を頭に被っているって……!い、いつから?」

「当たり前でしょうが!最初からよ!どんだけ私をバカだと思っていたのよ!」

「パンツ被ったアンタに試されてる思って、対抗して私もパンツ被ったのよ!」

「アンタにツッコミさせるためにね!」

「もう!結局私が全部突っ込んじゃったじゃないのよ!」

沙衣「…………」

沙衣「な……なんということだ……」

沙衣「そんな……最初から気付いていたなんて……!」



87 : VIPに... - 2014/04/23 01:11:36.97 Hg071Fj+o 85/96


沙衣「すまない……本当にごめん。キミを騙すような真似をして」

「騙すとか以前の問題よ!もう沙衣なんて知らない!」

沙衣「そんな、さっきの今でそんなこと言わないでよ」

沙衣「本当に、本当に変な意味はなかったんだ。信じてくれ」

沙衣「この下着をナンセンスだとバカにしてニヤついているところを見られてはいけないと思って、咄嗟に被ってしまったんだよ」

「いやその理屈はおかしい」

沙衣「決して私はそういういかがわしい趣向があるわけじゃないんだ」

沙衣「だから嫌わないでくれ……頼むから……」

「…………」

「……ふーん?」ニヤリ

「そういう趣味はない……って、本当かしら?」

沙衣「ほ、本当だとも」

「だって、こ~んなHなパンツ穿いてる人だしなぁ~」ヒラヒラ

沙衣「……うん?」



88 : VIPに... - 2014/04/23 01:12:36.85 Hg071Fj+o 86/96


「こんな黒のレースだなんて、勝負しちゃってるパンツの人の私はHじゃない宣言」

「いまいち、信用ならないわねー」

「ってか何?ブラもスケスケの黒しちゃってんの?ひゃー」

沙衣「…………」

沙衣「……キミ」

「んー?」

沙衣「私がそんなの穿くわけないだろう……」

「へ?」

沙衣「誰のだい、それは」

「え、だ、だって……私の、体操着と一緒に入ってて……」

「盛本さんが間違えてアンタの入れたんじゃ……」

沙衣「それを言うなら、私も……被ってしまったこの白い下着が入っていて……」

沙衣「……もしかしてこれは?」

「……私のパンツじゃないわ」




89 : VIPに... - 2014/04/23 01:13:17.16 Hg071Fj+o 87/96


沙衣「…………」

「…………」

雨柚「あ、あのー……そのパンツ……」

雨柚「……私のです」

沙衣「……え?」

「……へ?」

雨柚「すみません……センスなくて……」

「……ええぇっ!?」

沙衣「何……だと……?」

沙衣「この白いのはともかく……この、その、黒のレースのもかい?」

「そんな……盛本さんがこんないかがわしいのを穿くわけないわ!」

沙衣「キミはこれを私が穿いてると思っていたようだが?」

「だってアンタHだもん」

沙衣「全力で否定する」



90 : VIPに... - 2014/04/23 01:13:54.16 Hg071Fj+o 88/96


沙衣「しかし、そうなると……盛本くん」

雨柚「?」

沙衣「キミはこんな下着をどうして……」

雨柚「へ?実験に使う服を買う時に、買ったやつですよ?」

雨柚「セールしてた三枚セットのパンツを買ったんです」

雨柚「一枚は今も穿いてますよ。ピンクです」

「……実験用?」

雨柚「はい。それで二人が裸になっちゃって、でもパンツがないは可哀想だなって思ったんです」

雨柚「だからその余ったのを体操着に入れといたんです」

沙衣「な、なるほど……」

雨柚「でもそのパンツ、部長にも確認してもらってたはずですが……」

沙衣「え?」

沙衣「……あ」

「……思い出した?」

沙衣「…………うん」


91 : VIPに... - 2014/04/23 01:14:50.41 Hg071Fj+o 89/96


「…………」

沙衣「……は、ははは、笑顔で下着を振り回すのはやめてくれないか?これは元々盛本くんの……」

「ふん!」

パシッ

沙衣「あうっ!」

沙衣「し、下着で遊んではいけな……」

ペチッ

沙衣「おうっ!」

「くっそー!やりきれない!不完全燃焼!やり場がない!」

「どうしろというのよ!どうしろというのよ!」

沙衣「あっ!あっ!や、やめてくれ!別に私そんな言うほど悪くは……痛いって!」

「どの口がー!」

沙衣「ごめんってば!」

雨柚「な、長倉さん!やめてください!」


92 : VIPに... - 2014/04/23 01:16:37.58 Hg071Fj+o 90/96


雨柚「わ、私こそごめんなさい!」

「盛本さんは悪くないわ!悪いのはこのエロアホ毛よ!」

沙衣「何だいその称号は」

雨柚「いえ!渡す時に言うのうっかりしちゃったのが悪いんです……!」

雨柚「部長がえっちだから」

沙衣「盛本くん!?」

雨柚「あ、部長の裸白衣がえっちだったから……」

「白衣おっぴろげて露出したとか?」

沙衣「キミは私を何だと思っているんだ……」

雨柚「でも……よかったです」

「よ、よくないわよ」

雨柚「あ、いえ、お二人の裸がじゃなくて」

沙衣(そういう意味でもないんだけど……)

雨柚「部長と長倉さん……」

雨柚「とっても仲良しさんですね」



93 : VIPに... - 2014/04/23 01:17:53.19 Hg071Fj+o 91/96


「んぁ?」

沙衣「……仲良し?」

雨柚「はい!」

雨柚「部長をパンツで叩けるのは長倉さんだけです」

沙衣「彼女以外にいたらたまったもんじゃないよ」

「盛本さんも叩く?」

沙衣「やめたまえ」

雨柚「えっと、長倉さんが科学部来てくれて……とっても賑やかになりましたよね」

雨柚「とっても楽しいです。私、科学部に入ってよかったって、心からそう思います」

沙衣「……盛本くん」

「そ、そう言われると……何だか、照れるわね……」

沙衣「……時に私は、盛本くん。キミの明るさに救われるよ」

雨柚「えへへ、部長に褒められた」

(……あれ?何か奇麗な話っぽくなってるけど)

(私達、パンツ被ってたんだよ?いいの?)


94 : VIPに... - 2014/04/23 01:18:25.43 Hg071Fj+o 92/96


(……まあいいや)

「えーっと……沙衣」

沙衣「……うん」

「何か……パンツで殴ってごめん。それで……」

「こ、これからもよろしくされてやるわ」

「絶対にマッドサイエンティストから更正させてやるんだから!」

沙衣「更正って……」

沙衣「でも……ふふ、私の方こそこれからもよろしく頼むよ」

沙衣「被験者として」

「ちょ!」

沙衣「冗談だよ、盟友」

「……ん」

雨柚「わー」パチパチ


95 : VIPに... - 2014/04/23 01:19:34.81 Hg071Fj+o 93/96


雨柚「あ、そうです」

雨柚「はい、服です。洗いたて」

沙衣「ああ、そうだったそうだった。ありがとう。盛本くん」

「ありがとう。盛本さん。助かったわ」

雨柚「ユニフォーム交換しますか?」

沙衣「うん、しない」

雨柚「あ、でも、ちょっと困ったことがありまして」

「困ったこと?どっか溶けちゃった?」

沙衣「もしかして縮んでしまったかな?」

雨柚「いえ……」

雨柚「そのー……なんというか」

雨柚「どっちがどっちの下着かわかんなくなっちゃって……」

沙衣「また下着かい?」

「仕方ないわよ。二人がどんな下着してるかなんてわかるわけないわ」



96 : VIPに... - 2014/04/23 01:20:02.61 Hg071Fj+o 94/96


沙衣「まぁ、そうだね。他人の下着なんてそう見る物でもないし」

「……私はアンタがあんなHなのを穿いてるってビックリしたけど、なるほどねって思ったわ」

沙衣「む、失礼な。私がそんないかがわしい下着を穿くものか」

沙衣「もっとセンスがいいものだよ」

沙衣「そういうキミこそ、地味で、らしいと思ったがね?」

「何よ!私のはもっとキュートよ!」

雨柚「えーっと」

雨柚「このパンツとブラジャーです」

「……えっ」

沙衣「……えっ」

雨柚「どっちのがどっちのですか?」




97 : VIPに... - 2014/04/23 01:20:53.54 Hg071Fj+o 95/96


「…………」

沙衣「…………」

雨柚「……あれ?どうしました」

沙衣「いや、あの……」

沙衣「これは……だね?」

「……うん」

雨柚「……?」

「…………」

沙衣「…………」

「……被ったわね」

沙衣「被るだけにね」




98 : VIPに... - 2014/04/23 01:27:49.97 Hg071Fj+o 96/96

これでおしまい
もっと短編にするはずだったんだ……でも書いてたら微妙に長くなった
一昨日単行本買ったばかりだけど、沙衣と蓮の百合絵をpixivに期待している

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