とあるビル
土御門くん「なんの用だアレイスター」
アレイスター「連れないな土御門、何度会っても君は私に友好的にはならない」
土御門くん「意味が分からん、用がないなら帰るぞ」
アレイスター「そう急くな、私だってお前の義妹は苦しめたくはないのだ」
土御門くん「っ!!」
土御門くん(な、なにをするつもりだ…!)
元スレ
☆「その幻想を殺すなんてとんでもない!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309668250/
土御門くん「…すまなかった……舞夏には…頼むから……」
アレイスター(そうか…今度のお前は、怒らずに怯えてしまうのか)
アレイスター「幻想殺しにイタリア旅行をプレゼントしてくれ、ポストにチケットを入れるだけだ」
アレイスター「それで後は何もしない、しなくていい、なんなら暗部から足を洗いたまえ」
アレイスター「望むなら虚数学区(絶対安全な場所)を教えよう、そこで義妹と二人きり、仲良く暮らすといい」
土御門くん「何を企んでいるかは知らないが……感謝する」
アレイスター「良いんだ、君には『沢山』世話になったからな」
アレイスター(やれやれ……)
アレイスター「さて、彼らはどうしているのやら……」
とある学生寮
上条さん「いや―、今日も雨だねインデックスちゃん!洗濯物が溜まり過ぎて泣きたいですよ、と上条さんは呟きます」
インデックスちゃん「ごめんなさい、とうま、私が汗っかきで…」
上条さん「わわわ、泣かないで!仕方ないだろ?十三万冊も魔術書を記憶した副作用なんだからさ?と上条さんは大慌て!」
インデックスちゃん「ひっぐ…ありがとう…ひっぐ……どう゛ま゛ぁ゛……」
上条さん「泣くなって…汗っかきでも、変態紳士の上条さんはインデックスちゃんの匂いだけでイケるんだからね?と上条さんは本音を余さずぶちまけます」
インデックスちゃん「………バカ…」ぐすん
上条さん「バカはいつもだからな、バカなりに大好きなインデックスちゃんの為に、命賭けてるんだよ」
インデックスちゃん「…もう……!」ガブッ
上条さん「ギャアァァァァァァ!不運だぁぁぁぁぁぁ!!」
インデックスちゃん(……大好きなんだよ……)
とあるお嬢様学校
美琴さん「ねぇミサキチ、私の派閥に入りなさいよ―」
食蜂さん「ひっ!みみみ御坂さんっ!?私は、ですね?研究所に毎日呼ばれているので…その…幽霊員になってしまいますから……」
美琴さん「ほらまた」
バチッ……
美琴さん「あんたが私の事を呼ぶ時は、ご主人様じゃなかった?」
バチバチバチ!
食蜂さん「ぎゃあああ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
黒子さん「はぁ…お姉様、あまり虐めては後々私が可哀想ですの、この間だって木山さんに叱られたばかりですのに」
佐天さん「そうですよ、空気振動を漏らさないのって演算が面倒くさいんですから…あぁもうミサキチ五月蝿い!」
初春さん「……zzzz」
とある病院
一方くン「なァ先生さンよォ、妹達は生きてるんだよな?」
冥土帰したん「君の為に脳を貸してるから植物人間状態だがね、1万と19人とも生きてるよ」
一方くン「みンな、眠って動かねェンだな…」
冥土帰したん「仕方ないさ、徹底的に効率化と容量拡大をさせた君の頭脳を補うだなんて、二位以下のレベル5が10人いても足らないよ」
一方くン「待ってろよ……俺がお前らの頭を開発して、こんなクソッタレの補助から開放してやる」
冥土帰したん「すまないね?私の欠陥システムのせいで、妹達のみならず君まで不幸にしたようだ」
一方くン「るっせぇクソババア、テメェも一緒にやるんだよ」
冥土帰したん「当然だ、私を誰だと思っている?」
とあるビル
アレイスター「ヒドいな……」
アレイスター「……エイワス、君はこの世界をどう思う?」
エイワス「不思議な事を言うものだ、逆にどんな答えを望んでいるんだね?何を言えば満足する?」
アレイスター「いや、いい…少し昔を思い出しただけだ……」
アレイスター「……今度のプランには、吸血殺しを使おう……」
エイワス「次の、だろう?言葉は正しく使うべきだ」
アレイスター「……ああそうだな」
アレイスター(その注意も聞き飽きたよ、エイワス…)
アレイスター「ちょうど二万回目だが、今回は超電磁砲の周りがだいぶ歪んだな…まぁ致し方ない」
アレイスター「アウレオルス=イザード、彼は登場前に消えて貰うか……」
アレイスター「許せ、哀れな錬金術師よ」
――――
――
―
極秘ファイル
第二万回目プラン内容
全世界の全生物を不老不死である吸血鬼化させる
動植物も教会も寺院も関係なく
力の抑えた吸血殺しをその頂点へと据え置き、完全な秩序を築く
『少し』時は遡り
第二回目プラン時
とある国のとある街角
アレイスター(ここは…?)
アレイスター(声が出せん、口が…)
アレイスター(いや、全身が動かん)
アレイスター(どこだここは、今はいつだ、あれは…?)
冥土帰し「おや、君……!大丈夫かね?おい!」
アレイスター(若い、かなり…そう言えばここは…まさか……?)
窓の無いビル
土御門「おい……ター……聞い……」
アレイスター「ん……?」
土御門「なんだ、また夢の中か?それで学芸都市の件はどうする?」
アレイスター「……すまんが土御門、今は何月何日の何時だ?」
土御門「はぐらかすな」
アレイスター(いや…真面目に分からないのだが…ここは学園都市か?)
アレイスター「……良きに計らえば良い、やりたいようにやりたまえ」
土御門「そうかい…じゃあな」
土御門(本当に何を考えているアレイスター……)
アレイスター(おかしい、さっきまで私は…?今は?おかしい、本当に……)
アレイスター(『プランは、全て成功したはず』だろう?)
第二回目プラン、完成予定日
アレイスター「来たか幻想殺し、いやカミジョウトウマ」
上条「何の為にみんなを傷つけやがった!」
アレイスター「そうだな……」
アレイスター「世界征服の為、世界一優れた私に逆らうゴミを払拭する為の学園都市(おもちゃばこ)の手駒達(ほこり)を使った遊びだよ」
上条「てん、めぇぇぇ!」
アレイスター(そう言えば満足かね?ヒーローくん)
アレイスター(この世界の君は、悪党の屑野郎らしくないと戦えないのだろう?)
上条「ならまずは」
アレイスター(良いだろう、さぁ私を消したまえ)
上条「そのふざけた幻想を」
アレイスター(幻想を抱いて何が悪い?)
上条「ぶち殺す!」
アレイスター(私が望む世界の平和は絵空事だ)
アレイスター(だがな……)
アレイスター「絵空事の何が悪い!幻想殺し!!」
第二回目プラン内容
アレイスターの消滅と引き換えに全世界規模に張り巡らせた魔法陣を起動させる
エネルギーはこれまで幻想殺しが食らい続けて来たエネルギーとアレイスターそのものを使う
無論これにより幻想殺しの持ち主たる上条当麻は死亡し、幻想殺しは己が力を吸い尽くされて消去、餓死となるが、新しい世界にはそんなものは必要で無い為問題ない
第七回目プラン
窓が無いビル
アレイスター(……振り返った所で、過去に意味は無い)
アレイスター(いや、あれは過去ですらなかったな)
アレイスター「一方通行は幻想殺しに敗れたか」
アレイスター「まさか第二回目で妨害されるとは少し意外だ」
アレイスター(今度は、死んだ妹達の数が明確に違うな)
アレイスター(これが、どう転ぶか…)
第七回プラン完成日
一方「ずーっとブチコロシたかったぜ?アレイスタァァァァー!!」バサササッ
アレイスター(そう言えば今回はエイワスが現れなかったな、やはり妹達の数は一つの分岐点か…?)
アレイスター(しかし、流石はレベル6…)
アレイスター(荘厳で美しい)
アレイスター(醜悪で毒々しい)
アレイスター(私のプラン通りだ)
一方「地獄に堕ちろ!」
アレイスター(ふふっ…地獄など、お前がこれから消してしまうさ…)
第七回目プラン内容
レベル6になった一方通行により、アレイスターを殺害させる
そのまま天上の意思、神、天使をも抹殺
強制的に多重パラドックスを起こしてこの宇宙をリセットさせる
第四千九百八十九回目プラン
とある学生寮
上条「何故ベランダに…シスターが?」
とある第七学区
フィアンマ「ふん、俺様が偵察をする日が来るとはな(日本語訳)」
とある第三学区
最大主教「知ってしまった以上は無碍に断れない、乗ってやるわよアレイスター・クロウリー、首洗って待ってな(日本語訳)」
四千九百八十九回目プラン内容
あらゆるイレギュラーや歴史を作る者達を故意に学園都市に誘い込み、アレイスターごと全てを吹き飛ばす
一方通行は生き残るかもしれないが、些細な問題だ
これ以上、決まった未来など作らせてたまるものか
第一万一回目
プラン廃棄日
アレイスター(………
アレイスター(またか……)
冥土帰し「大丈夫かね!君!」
アレイスター(その顔も見飽きたぞ…リアルゲコ太?)
アレイスター(ふふ、らしくないな)
アレイスター(はぁ…)
アレイスター(エイワス、私は疲れたよ)
アレイスター(……さらばだ)キイィィン
冥土帰し「に、人間が…爆発した……?」
冥土帰し(いやあれは、はたして人間…だったのかな?)
第一万一回目プラン内容
自害
プランでも何でもない
宇宙よ、これが私の最大の抵抗だ
第一万二回目プラン
開始日
アレイスター(ふ、はは…)
アレイスター(またか…)
アレイスター(あくまでも私に、台本にのっとったピエロになれというのか)
アレイスター(…………)
アレイスター(断る……!)
冥土帰し「僕は学園都市に行くよ、君も来ないかい?」
アレイスター「学園都市、だと…?」
アレイスター「誰が作ったそんなもの!私以外に誰があんな地獄(ばしょ)を作るというのだ!」
冥土帰し「どうしたんだい?らしくないぞ」
アレイスター「……」
アレイスター(どうする……)
アレイスター(神の右席を呼ぶか?)
アレイスター(天草式にすべきか?)
アレイスター(ローマか?ロシアか?)
アレイスター(……)
アレイスター(全員に、頭を下げるか……)
アレイスター「すまん、冥土帰し…私は旅行する予定があるんでな」
第一万二回目プラン内容
私が死んでもダメなのは前回でわかった
ならば学園都市を作らなければいい
それで全てが、終わるはずだったのに…
致し方ない、魔術サイドに改めて協力し、第三次世界対戦を前倒しにする
魔術師達に土下座でも靴嘗めでもしてやろう
こんな世界、滅んでしまえ
アレイスター「誰か答えてくれないかね?私は何度繰り返せば良いのだろうか?」
第六万三十七回目プラン
完成予定日
窓の消えたビル内部
アレイスター「素晴らしい、私の思う限りで最高の出来映えだ」
美琴「そんな事言っても騙されないんだから!」
上条「どうせまた妙な仕掛けがあるんだろ!」
削板「悪党には、全力で根性を注入してやる」
一方「クカカカカッ!サッサと逝けや!」
対アレイスター戦線共同群体アジト
食蜂「足手まといってのが歯がゆいわね」
黒子「仕方ないですの、万が一の時私達は皆様を安全に逃がす義務がありますの」
食蜂「パニックを起こさない為の人心操作か、大義名分はあるけどさ…」
黒子「仕方、ないですの……一番効率的に全員を助ける為に……」
同アジト内別室
打ち止め「あの人は平気かな、ってミサカはミサカは…」
固法「今のところはね」
ステイル「まさか敵の本拠地を透視出来るとはね…」
固法「ムサシノ牛乳のおかげよ」
神裂「流石にそれは違うと思いますよ……?」
固法「おのれ聖人、ムサシノ牛乳を侮辱するか」
ステイル「落ち着け、キャラが狂ってる」
同アジト内、医務室
フィアンマ「俺様も、右腕が使えれば」
テッラ「アレイスターに対して魔術は役立たずですからねー、足止めどころかめくらましにも使えないんですねー」
アウレオルス「黄金錬成をも覆せる相手に、超能力如きが戦えるのか?幻想殺し達が勝てるのか…?」
冥土帰し「超能力達だからこそ、戦えるんだろうね?」
冥土帰し「彼らだからこそ、勝てるに決まってるよ?」
冥土帰し(アレイスター……)
窓の消えたビル
アレイスター「妹達は二万人生存、チョーカー補助では無くブースター」
一方「あ?」
御坂「なによいきなり?」
アレイスター「第二位と四位も暗部などに居らずボランティアでこの窓の消えたビルまで血路を開いた」
削板「そうだ!あいつらの根性は素晴らしいもんだ!」
アレイスター「更に、第三次世界大戦を止めるどころか、魔術サイドをひとまとめとは敬服するよ」
上条「時間稼ぎなんかにのらねぇぞ!」
アレイスター「君達がどう思おうかは知らないが」
アレイスター「私は感動している」
アレイスター「この街の中での悲劇を、最も平和だった第四万四千四十四回目プランより75%も低下させた事は奇跡としか言いようがない」
アレイスター「外での悲劇も最も平和だった第九千九百九十九回より15%も低下させている」
アレイスター「君達は既に、聖人君子どころか救世主と呼ぶに相応しい」
一方「ゴチャゴチャと意味不明なふざけた事、抜かしてンじゃねぇ!」バサッ
アレイスター「そう、『たかが救世主程度』に相応しい」キイィン
上条「弾かれ、いや消された!?」
御坂「こんのぉぉ!!」バババババッ
アレイスター「連発式で屈曲も可能、コインに限らず様々なものを撃ち込めるようになった超電磁砲か…」キイィン
削板「また?どうなってやがる?」
アレイスター「無限に近い力、不死身に近い体、神に近い魂、原石を此処まで磨き上げるとはね」
上条「うぉぉぉぉ!」
アレイスター「そして幻想殺し」
アレイスター「内なる竜を飼い慣らし使役し…否、友人となり協力し、か」キイィン
アレイスター「全く、君達はいくつ奇跡を起こせば気が済むのだ」
アレイスター「そんなもの」
アレイスター「そんな程度では」
アレイスター「この宇宙を変えるには至らない……」
アレイスター「そんな小さな小さな小さな小さな小さな小さな奇跡などでは!足りないんだ!!」
上条「うるせえぇぇ!」
削板「俺達の根性を!」
一方「俺達の能力を!」
御坂「私達の努力を!」
上条「なめるなぁぁぁぁ!!」
アレイスター「すまないが君達、『力を抜いて座って楽にしてくれ』」キイィン
上条「効くかぁぁ!」バシュン
アレイスター「ああ……君には効かなかったな」
アレイスター「では三人に全力で彼を抑えつけてられくれ」
御坂「……」ガシッ
一方「……」ガシッ
削板「……」ガシッ
上条「くっ、そぉぉ…」
アレイスター「さぁ、今回のプランを完成させようか」
アレイスター(プランがいつの日か完成するかなんて、分からないのだがな…)
第六万三十七回目
プラン内容
奇跡に無秩序無く進化した学園都市の人間達全ての脳回路に超小型チップを寄生させ「儀式の足し」にする事により、黄金錬成を全世界宇宙全土規模で確実に完全具現化させる
無論、私を含めて全員が死ぬが、私の理想が成功すれば何の問題も無い
黄金錬成が完全な魔術なら、成功する筈だ
第??????????????回目プラン
アレイスター(ふふ、またか…)
冥土帰し「大丈夫かい?」
アレイスター(もう何度目かも分からんよ…)
とある部屋
アレイスター「冥土帰し、お前はカウンセリングもするのか?」
冥土帰し「それが患者の望みならね?」
アレイスター「……そうか」
冥土帰し「要らないのかな?」
アレイスター「また今度、頼む」
とある世界のどこか
アレイスター「聞こえるか?」
アレイスター「いや、返事は要らない」
アレイスター「そもそも聞こえている必要も無い」
アレイスター「これはただの独り言だ」
アレイスター「私は、この世界に問いたい」
アレイスター「マッチ売りの少女は何故死なねばならなかった」
アレイスター「青い鳥は、何故チルチル達にほほえまなかった」
アレイスター「浦島太郎は、何故孤独にされあまつさえ玉手箱を開けて罰を受けねばならなかった」
アレイスター「アレイスター=クロウリーは、何故幾度となく繰り換えさねばならない?」
アレイスター「何故、私の望みは悪なのだ?」
アレイスター「争い、憎しみ、空腹、死…」
アレイスター「それが存在しない世界を望むのは罪か?」
アレイスター「動物も植物も死なず、減らず、食わず、ただ笑って存在するだけの世界は狂気か?」
アレイスター「以前エイワスは、狂ってると言ったよ」
アレイスター「ストレスも無く食物連鎖も無い、ただ笑顔で増加する生物など、生きてるとは言えない。とね」
アレイスター「果たしてそうか?」
アレイスター「誰かが誰かを傷つけなければ成り立たないこの世界こそ悪ではないか?狂気ではないか?罪ではないか?」
アレイスター「天国を求めて何が悪い、夢を持って何が悪い、桃源郷を作ろうとして何が悪い、その為にあらゆるの真理を変えようとして何が悪い!!」
アレイスター「幻想を抱いて、何が悪い!!!」
アレイスター「……私は諦めん」
アレイスター「次のプランはもう決めた」
アレイスター「虚数学区、幻想殺し、一方通行、吸血殺し」
アレイスター「禁書目録、第三次世界大戦、欠陥電気、黄金錬成」
アレイスター「今まで試したあらゆる可能性をぶつけ、次こそ変えてみせる」
アレイスター「もうやり直せず、これが最後だとしても」
アレイスター「確実に世界が邪魔をしてまた繰り返すとしても」
アレイスター「私のプランは、私の夢は、潰えたりしない」
アレイスター「われ耐え忍ばん」
アレイスター「われ、真理の力もて生きながらに宇宙を征服せり」
アレイスター「われ、真理を崩して死せども宇宙を変革せり」
孤独な存在
アレイスター=クロウリー
彼は、今もまた、終わらない流れの一部に存在している
これは、『今』の禁書目録と幻想殺しが出会う前の、ほんの小さな回想
END
……LESS?