関連記事
姫「とりあえず、新世界でも創りますか?」【本編】
姫「とりあえず、新世界でも創りますか?」【番外編】

前作
魔王「姫・・・おまえを愛している。どんな絶望があろうと、俺と共にあれ」
騎士王「『魔王、ずっとずっと、だいすきだよ!』」

409 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 02:57:04 7VJP1wH6 327/539

----------------------
後日談1 魔王「誓え。お前の全てを俺に捧げると」
----------------------


魔王「・・・美女と魔獣?」


メイド姫「野獣、です。王国の童話ですね。お時間が空いたのでしたら、お暇潰しにいかがでしょう」

魔王「美女が野獣の慰み物になるのか?」

メイド姫「・・・いえ、童話ですので。そういったシーンはございません」

魔王「つまらない」

メイド姫「・・・可愛らしいお話ですが、魔王様には確かに不向きでした。申し訳ありません」

魔王「それが、おまえは好きなのか?」

メイド姫「・・・野獣が、まぁ実は人間の王子が呪いによって変身している姿なのですが、それが人間に戻るまでは、好きです」

魔王「・・・野獣が、好きだと?」

メイド姫「野獣が好きな訳ではありませんが、いえ、でもその・・・まぁ、はい。その童話で限って言えば好きですね・・・」

魔王「・・・」

410 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 02:57:59 7VJP1wH6 328/539


メイド姫「ご覧になりますか?」

魔王「・・・暇だし、見るか・・・」

メイド姫「書籍と映像がございますが」

魔王「お前はどちらが好きなのだ?」

メイド姫「映像で!」

魔王「・・・」

メイド姫「あ・・・// い、いえ。映像はミュージカル風な演出がよく出来ていて、その、野獣の可愛らしさが・・・その・・・//」

魔王「野獣の・・・可愛らしさ・・・」

メイド姫「・・・//」

魔王「・・・まぁいい。準備をしたら声をかけろ。赴こう」

メイド姫「はいっ、では急いで準備を致してきます!」
トタタタタタ

魔王「野獣・・・そんな趣味があるとは・・・どうしたものか・・・」

411 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 02:58:32 7VJP1wH6 329/539


魔王「・・・まぁよいか、見ればわかるだろう。さて、今のうちに雑務を・・・」ガサガサ

トントン
メイド姫「ご準備が整いました」


魔王「(早すぎる!)」



~♪(鑑賞中)


魔王「・・・あ、人間になったな」

メイド姫「ここからはあまり好きではないので、2倍速にしましょうか」

魔王「いや、それならば消してよいだろう」

メイド姫「同感です」

412 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 02:59:49 7VJP1wH6 330/539


魔王「・・・で、これの何が好きなのだ?」

メイド姫「え?・・・野獣が可愛らしいと思いませんか?」

魔王「いや、ありえないかと思ったな」

メイド姫「ありえない、ですか?」

メイド姫「・・・まぁ、確かに野獣であれば食い散らかしそうなものですが、元が人間なのですし、愛するものを探し、愛されるために美女に優しくするのは展開としてはおかしくはないかと・・・」

魔王「いや、そうではなく。野獣の元がわがまま王子なら、それこそ野獣のように手込めにしておいてからモノにすれば・・・」

メイド姫「そうなんです!それができない小心っぷりや、優しくしたいのにうまく出来ない不器用さがもうたまらなく可愛らしいんです!」

魔王「・・・」

メイド姫「・・・あ//」

魔王「・・・」

メイド姫「・・・う、あの。も、申し訳ありません・・・//」

魔王「・・・」

メイド姫「じ、自分でも幼稚な趣味である事は理解しておりますが・・・」

魔王「・・・」

413 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:00:49 7VJP1wH6 331/539


メイド姫「う、うう。あの、何かその、仰っていただきたく・・・」

魔王「・・・『がぉー』・・・」

メイド姫「!?」

魔王「・・・」


メイド姫「・・・っふ、くっ、クスクスクス」

魔王「おい」

メイド姫「・・・//っ、あ、くふ、く、クスクスクス」プルプル

魔王「・・・」

メイド姫「・・・す、すみませ・・・クスクス・・・あ、あれ、とまらな・・・ふ」プルプル

魔王「おちつけ」

メイド姫「す、すみま・・・ちょっ、離席いたしますっ//」クスクスクス

414 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:02:01 7VJP1wH6 332/539


10分経過

ガチャリ
魔王「・・・おい、そろそろ帰ってこい・・・」

メイド姫「・・・スー・・・ハー・・・。・・・。はい、今もどります。申し訳ありません、取り乱しました」シャキッ

魔王「・・・」

魔王「がぉ」ボソッ

メイド姫「!?」プッ

魔王「駄目だな」


メイド姫「クスクス、あ、ふふ、や、ひどいですっ、ふふふっ、せっかくっ、たちなおった、のにっ、クスクス」

魔王「・・・おまえのツボがわからん・・・」

メイド姫「で、ですが、あ、あはは・・・く、ふふふ」プルプル

魔王「・・・おまえのそんな顔は初めてだ。なんだかこちらまでおもしろくなってきたな」

メイド姫「え?クスクスクス・・・や、もう、やめてくださいね、クスクス・・・と、とまらな・・・クスクス」

415 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:03:22 7VJP1wH6 333/539


魔王「ふむ。少し、まっていろ」

メイド姫「・・・?ふふっ・・・スーハー・・・う、あ、駄目ですほんと・・・くっ、ふふっ」プルプル


魔王「・・・」ボワン
モワモワ

魔王(魔獣)「『がお』」

メイド姫「・・・」ピタ


魔王(魔獣)「・・・は?いや、なぜこれで止まる」

メイド姫「・・・(野獣のおつもりなんでしょうが・・・いえ、これはこれで、とてもかわいいです//・・・でもやはり魔王様のお姿のほうが・・・)」ジー

魔王「・・・」

メイド姫「・・・あ」ジー

メイド姫(いけない、また思考を読ん『あれ、何故喜ばない?野獣になってないのか?というか変身までしておいて笑ってくれないと立場が・・・一体このあとどうすれば・・・』・・・って)

メイド姫「・・・っ、ふ、くふ、ふ、あ、あははは、ふ、ふふふふふ」プルプルプルプル

魔王(魔獣)「!?」ビクッ

416 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:04:46 7VJP1wH6 334/539


メイド姫「っ!!」

魔王(魔獣)「・・・」

メイド姫「・・・」プルプル


魔王(魔獣)「・・・いや、まぁ、うん。笑わせようとしたのは確かなんだが・・・」

メイド姫「す、すみませんでした・・・。あまりにも、その・・・あの・・・。い、いえ。あ、よろしければ触れても・・・?」

魔王(魔獣)「・・・ああ」

メイド姫「では・・・」ソッ

モフ
メイド姫「!」

魔王(魔獣)「どうした?」

メイド姫(なんとふさふさな・・・しかしこれは魔王様。控えねば・・・)ナデナデ

魔王(魔獣)(あ、ちょっと気持ちよい)

417 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:05:35 7VJP1wH6 335/539


メイド姫「・・・♪」ナデナデナデ

魔王(魔獣)「・・・」

メイド姫「♪♪」ナデナデナデナデナデ

魔王(魔獣)「・・・」

メイド姫「♪♪♪」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ


魔王(魔獣)(姫が止まらない・・・もう好きにさせよう・・・)ハァ・・・ペタン


・・・・・・・・・・・・・

418 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:07:25 7VJP1wH6 336/539


メイド姫「ああ、本当に可愛らしいですね・・・♪」ポー
ナデナデナデ

魔王(魔獣)「・・・そんなに、野獣が好きか?」

メイド姫「いいえ、魔王様が好きなのですよ・・・♪」ポー
ナデナデナデ

魔王(魔獣)「・・・は?」

メイド姫「野獣は魔王様をデフォルメした物のようで好きだったのですが・・・やはり本物には敵いませんね・・・♪」ウットリ

魔王(魔獣)「・・・おい、姫?」クルッ

メイド姫「魔王様は・・・本当に格好よくて、凛々しくて、素敵で、かわいいです・・・♪」トローン
ギュウウウ

魔王(魔獣)「は? おい? ・・・どうしたのだ一体・・・何か・・・目が・・・」

メイド姫「あああ、モフりたい・・・モフりたいです・・・♪」トローン
モフモフモフモフ

魔王(魔獣)「う・・・これは・・・瘴気酔い・・・? 一体何故・・・?」

メイド姫「あぁ・・・とても幸せ・・・こんなことがあってよいのでしょうか・・・♪」ニコニコ
モフモフモフモフモフモフモフモフ

魔王(魔獣)「! これか!」
パサッ・・・モワモワ・・・

419 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:09:28 7VJP1wH6 337/539


魔王(魔獣)「やはり・・・瘴気が染み出ている。そうか、俺は野獣じゃなく魔獣に・・・毒素の代わりに瘴気を出していたのか・・・いや、しかし神気で払えるはずだが・・・」

メイド姫「ふぁぁぁ♪ モフモフです、モフモフですね♪」トローン
クンクンモフモフクンクンモフモフ


魔王(魔獣)「・・・わざわざ吸い込んでいるのか・・・体質的に受け付けるはずの無いものを無理に・・・悪酔いだな・・・」ガックリ

魔王(魔獣)「とにかくまずは瘴気を出さないようにして・・・」フッ
モワモ・・・

魔王(魔獣)「おい。起きろ」ベロン

メイド姫「ひゃっ♪」クスクスクス

魔王(魔獣)「・・・おい・・・」ベロン

メイド姫「やぁん♪」クスクス

魔王(魔獣)「・・・・・・」ベロンベロン

メイド姫「ぷ、ちょっ、あはは、駄目ですよぉー♪」ニコニコ

魔王(魔獣)「(もはや犬扱いされてる気もするが、楽しくなってきている俺がおかしいのだろうか)」ベロンベロンベロン

420 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:10:45 7VJP1wH6 338/539


メイド姫「もー、いたづらしたら駄目ですよぉ♪」ギュ
チュー

魔王(魔獣)「!」

メイド姫「ふふふー、お返しですー♪」ニコニコ

魔王(魔獣)(~ッええい、勝手に酔ったのだ、俺のせいではない!)ガシッ

メイド姫「きゃっ、こらぁ♪」
ドサッ

魔王(魔獣)「・・・(いちいち無駄に可愛い)」ベロベロベロベロベロ

メイド姫「・・・ひゃっ、やん、ちょっと、駄目ですー!舐めすぎですよー!」ジタバタ

魔王(魔獣)「・・・(なんか癖になるなコレ)」ベロベロベロ

メイド姫「・・・あ、あれ・・・?あ、ちょっ」

魔王(魔獣)「・・・(ああ、そうか。魔獣化で嗅覚も敏感なのか・・・、今なら気配や感情まで舐めとれる気がする・・・)」
ベロベロベロベロベロベロベロベロベロ

421 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:12:31 7VJP1wH6 339/539


メイド姫「あ、え、なっ?ま、魔王様っ?」

魔王(魔獣)「・・・(あぁ、違うな。舐めることでしょうきを回収できているんだ。姫の中に入ったしょうきだから姫の感情が・・・)」
ベロベロベ・・・ロ

メイド姫「・・・ま、まおう、さま・・・///」

魔王(魔獣)「(・・・読め、た・・・)」ベロン

メイド姫「あの・・・//」

魔王(魔獣)「・・・」ゴクリ



メイド姫「・・・あ、あの・・・何を・・・というか・・・一体何が・・・?//」

魔王(魔獣)「(記憶がないとか残酷な。気が付いたら舐め倒されてるとか、俺にどう弁解しろと?)」

メイド姫「・・・あ、あの魔お・・・


キンッ・・・・


魔王(魔獣)「!?」
メイド姫「ひゃ!」ビクッ

422 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:13:58 7VJP1wH6 340/539


シュタン!
騎士王「やっほー!魔王いるー!?」

「っ、や、やっぱりこの移動魔法は慣れないですね」ドキドキ

騎士王「・・・ん?」


魔王(魔獣)「・・・」←のしかかり
メイド姫「・・・」←下敷き



騎士王「・・・!?」

「きゃぁっ!メイドさんが魔獣に食べられるっ!?」

騎士王「魔王はどうした!メイドちゃん、今助けるっ!」チャキン


メイド姫「はっ!だ、駄目です!斬らないでください!」

騎士王「はぁっ!?でもそんな大型魔獣、メイドちゃんじゃ倒せないだろ!!」

423 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:14:59 7VJP1wH6 341/539


メイド姫「違うんです!こ、これは・・・」チラ

魔王(魔獣)「・・・」ジッ

メイド姫「・・・!!」ジー


魔王(魔獣)『誤魔化せ。手法は問わない』


メイド姫(って、無理いいますね、魔王様・・・!)

騎士王「メイドちゃんっ、ごめん、斬るよ!?」ザッ

メイド姫「駄目です!・・・大丈夫なので、剣を収めてください・・・」

「・・・メイドさん・・・?」

メイド姫「魔お、・・・ま、魔獣様。退いていただけますか?」

魔王(魔獣)「・・・」ノソッ

メイド姫「・・・」ホッ

騎士王「・・・言うことを聞くのか?」

424 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:15:41 7VJP1wH6 342/539


メイド姫「は、はい。魔獣様はその・・・そう。魔王様が留守の間、私に付いていただく事になった魔獣なのです。そう、魔獣です。よろしいですか?」

魔獣「・・・」フイッ
スッ・・・、ドサッ

「・・・寝そべった・・・」

騎士王「・・・番犬ってことなのか?じゃあなんでメイドちゃんに襲い掛かってたんだ・・・」

メイド姫「襲い掛かっていたわけではないです。・・・じゃれていた、と言いますか・・・」

騎士王「じゃれ・・・って・・・」ハハ

「い、命懸けの遊びですね・・・さすが魔王城・・・」アハハ


メイド姫「ですので、お二方ともご安心ください。・・・魔獣様は、・・・多分、安全です」

騎士王「多分て」

メイド姫「す、少なくとも私に危害はありませんので」

「・・・まぁ、確かによく見ると、可愛らしい気もしますね」

騎士王「そうか?」ジッ

425 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:16:44 7VJP1wH6 343/539


騎士王「・・・いやー、こんなふてぶてしい顔したクソ生意気そうな魔獣はそういないぜ?」

「・・・うーん、そうですかねぇ?」

騎士王「そうそう。こんなんなら、まだ魔王のが可愛げあるよ!まぁ番犬ならいいのかな!」アハハ
ポンポンッ

魔獣「」イラッ
ガブッ

騎士王「ぎゃぁぁっ!?」ベシッ

メイド姫「あ!あの、あまり容易に触れない方が・・・」

騎士王「はやく言ってよ!?つか安全ですって言わなかった!?」イテテテ

メイド姫「大丈夫ですか、・・・魔獣様?」ナデナデ

魔獣「・・・」フン

騎士王「俺の心配じゃないのかい!」

426 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:20:09 7VJP1wH6 344/539


「でもちょっと残念ですね。私もその柔らかそうな毛に触れて見たかったです」ショボン

魔獣「・・・」
トテトテ・・・スッ・・・スリッ

「ひゃっ。わ、すごいふかふか・・・! でも、なんで・・・?」

メイド姫「・・・魔獣様のすることですので・・・触れてよいということではないかと」

「ひゃぁ♪ かわいい!ふかふかしてて温かい!これはじゃれたくなりますね!」ギュウッ

メイド姫「あ」

魔獣「・・・」←硬直オスワリ


騎士王「しっかし俺の時と態度ちがうだろ! どうなってんだこの変態魔獣!」

魔獣「」イラッ


魔獣「・・・」ニヤ

騎士王「あ?なんだよ。なんか文句あんのか?」

427 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:21:57 7VJP1wH6 345/539


魔獣「」ペロペロ

「きゃっ、や、こすぐったい!あはは、やめてくださいー♪」

魔獣「・・・」チラ

騎士王「~っ!!このやろっ・・・喧嘩うってんのか馬鹿犬!姫ちゃんから離れろ!!」ベシッ

魔獣「」イライラ


魔獣「・・・」フン
パクッ

「きゃっ!ちょ、くわえた!?食べられちゃう!?」

魔獣「」シュタタタタ

「きゃー!」

バターン

騎士王「てめぇ!姫ちゃん傷付けたら斬るだけじゃ済まさねぇぞ!!」

メイド姫「・・・騎士王様、早めに謝罪してください・・・」

騎士王「メイドちゃん何いってんの!? 姫ちゃん食べられちゃうよ!?」

428 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 03:23:36 7VJP1wH6 346/539


メイド姫「・・・そう、ですね。・・・どうでしょう・・・随分苛ついてらしたので、うっかり手を出す・・・とも思えませんが・・・」

騎士王「はぁぁ!?」

メイド姫「とにかく土下座でもなんでも謝罪すれば解放していただけるはずです」キッパリ

騎士王「どんだけ高慢な犬だ!! 俺が躾けてやる!」ダッ

バターン! シュタタタタ・・・・


メイド姫「・・・躾・・・」

メイド姫「魔王様が姫様に手を出すとは思えませんが・・・」ウーン

メイド姫「・・・あまりに無礼だと、騎士王さまのせいで、本当に姫様を辱しめることになるかもしれませんね・・・私も追いましょう」
トテテテ

429 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:04:05 7VJP1wH6 347/539


--------------------
<魔王城 姫の客室>


魔獣「・・・」スッ・・・

「・・・あ、あれ? ・・・食べないんですか? というか、私の部屋・・・よく知ってましたね?」

魔獣「・・・」ハァ

「・・・? えっと・・・話は通じるんですよね?」

魔獣「・・・」ジッ

「んー・・・。痛いこととか、しないですか?」

魔獣「・・・」コクリ

「そうですか・・・本当に騎士王様に喧嘩うるつもりなら、やめたほうがいいですよ?」

「あの方は強いので、魔獣さんとはいえ勝てないと思いますし」

魔獣「・・・」ニヤ

「!?」ゾクッ

430 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:06:49 7VJP1wH6 348/539


魔獣「・・・」スッ・・・ ペタン

「・・・な、なんか余裕ですね。まぁ魔王様が留守の護衛に残したなら余程強いのかもしれません・・・というか、なにやらいいしれぬ恐怖感が・・・」


魔獣「・・・」ゴロリ

「・・・それにしても、おっきいなぁ・・・ふさふさだし・・・うん、強そうだし。怖いけど、かっこいいかも。こんな魔獣に護られてるなら、メイドさんも安心ですね」

魔獣「・・・」パッサパッサ

「ふふふ。もしかして喜んでるのかな?・・・ね、撫でてもいいですか?」

魔獣「・・・」フイ

「ふふ。何してもかわいいっ。うん、やっぱりかわいいです。いいなぁ、私にもこんな魔獣をくれないかな、魔王様・・・抱っこして寝たら暖かそう・・・♪」

魔獣「・・・・・・・・・」ハァ ゴロリ

「あ、寝っころがった!いいのかな!じゃあ失礼して・・・」モソモソ

魔獣「!?」ブンブン

「ひゃぁ!あったかーいっ!ふかふか!ふかふかだよー!気持ちいい!ベッドより最高っ!ふわふわのふわふわだぁ」ギュウ

431 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:10:19 7VJP1wH6 349/539


魔獣「・・・」ハァ

「いい匂いー・・・あー・・・なんか・・・気持ちよくなってきましたね・・・ふふ・・・あぁ、眠いような・・・」

魔獣「・・・?」

「ああ、だめです・・・もう、目が・・・あけてられな・・・」

魔獣「・・・・」

魔獣「・・・・・・!」ガバッ
モワモワ

魔獣「・・・」チラ

「クー・・・クー・・・」


魔獣「・・・」ガックリ


魔獣「」スッ・・・
モワモ・・・

魔獣「・・・」ペロペロ

「ふにゃ・・・ふふ、くすぐったいー」ギュー

魔獣「・・・」ハァー ペロペロ・・・ペロペロ

432 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:13:08 7VJP1wH6 350/539


バターン!
騎士王「おら馬鹿犬!ここかっ!?」


魔獣「」ハァ ←舐めてる
「ふにゃー・・・」 ←瘴気に酔って自我を失ってる


騎士王「・・・!!」ムッカー

騎士王「てめぇ・・・消すぞ!姫ちゃんに何しやがったぁぁぁぁ!!」ジャキン!

魔獣「・・・」イライラ

騎士王「喰らえ!」シュパッ

魔獣「・・・」スッ・・・

騎士王「避けんじゃねぇ!!刻んでスープにして生ゴミに棄ててやる!!」

魔獣「・・・」イライラ

騎士王「はぁっ!!」ザンッ

魔獣「・・・」チッ 
ダンッ・・・ガブッ

騎士王「・・・っ、こ・・・のやろっ・・・剣を、喰う気・・・かっ!!オラッ!!」スパン!!

433 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:14:43 7VJP1wH6 351/539


魔獣「・・・」フム

魔獣「」ニヤ
シュタ・・・

騎士王「疾い!?」

魔獣「・・・」フン
ダンッ・・・ドサッ!!

騎士王「ぐっ、てめ・・・」グググ

魔獣「・・・」グイッ

騎士王「ぐ、は・・・重・・・っぐ」ガクッ


バタン

メイド姫「魔獣様、騎士王様、姫様、ご無事でしょう・・・か・・・」

魔獣「・・・」←押し倒してる
騎士王「」←気を失ってる
「ふふ・・・ムニャムニャ・・・」←寝てる


メイド姫「・・・」ハァ

434 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:16:03 7VJP1wH6 352/539


メイド姫「・・・姫様どころか・・・騎士王様までも貞操の危機が・・・」

魔獣「違うぞ!?この馬鹿が斬りかかってきたから倒したのだ!気色悪いことを言うな!!」


メイド姫「・・・申し訳ありません、ですがあまりにもわからぬことばかりで・・・。とにかくお部屋へ。こちらは片付けておきますので・・・」

魔獣「・・・元はといえば見境を無くしたおまえの責任だ。始末はつけて当然だ」イライラ

メイド姫「・・・そう、でしたか。ですが、お話は聞かせていただきたく」

魔獣「ふん、気が向けばな」フイッ

メイド姫「・・・魔王様・・・ずいぶんと荒れたご様子。私、なにか大変なご無礼を?」

魔獣「・・・無礼というほどのものではない。だが始末はつけろ!」

メイド姫「・・・魔王様・・・」ジー

魔獣「チッ」イライラ


『野獣野獣と騒ぐのに妬いて魔獣になったせいで、まったく面倒なことに!
つまらぬ事に妬くんじゃなかった。くそ、紛らわしいこと言いやがって・・・なにが野獣だ!
俺が好きならそれでいいだろう!俺を愛でたいなら愛でればよいのだ!』

メイド姫「え」

435 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:17:20 7VJP1wH6 353/539


魔獣「なんだ!?」

メイド姫「! も、申し訳ありませんでした。私にこのような落ち度があったとは露とも考えつきませんでした・・・」

魔獣「・・・! おまえ、読んだな?」

メイド姫「申し訳ありません!故意ではないのですが、あまりのご様子に見つめてしまいました・・・」

魔獣「・・・ッ! ・・・ハァ」

メイド姫「っ、如何様にもご処分をお与えください!」

魔獣「・・・チッ。奴等を帰したら部屋に来い」

メイド姫「・・・はいっ」


-------------------

436 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:19:03 7VJP1wH6 354/539


<魔王城 魔王の自室>

魔王「・・・」

トントン
メイド姫「・・・魔王、様。参りました」

魔王「入れ」

メイド姫「っ・・・失礼、いたします・・・」


魔王「・・・随分、怯えているな」

メイド姫「・・・っ」

魔王「どのような処罰だと思っている?」

メイド姫「・・・考えも及びません・・・」

魔王「嘘をつくな。何も考えつかないのにおまえは怯えるのか」


メイド姫「・・・その。私の、最も厭うことでないように願っていまして・・・」

魔王「嫌な事はされたくないと?処罰なのに?」

メイド姫「・・・そう、思ってしまう自分の勝手さを思うと・・・震えが止まらないのです・・・」

437 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:20:03 7VJP1wH6 355/539


魔王「・・・確かに、勝手だな」

メイド姫「・・・申し訳がございません・・・」

魔王「目を、隠せ」

メイド姫「・・・?」

魔王「また考えを読まれてはたまらない。その目を、隠せ」

メイド姫「では、潰します」

魔王「隠せ、といったのだ。これ以上勝手なことはするな」

メイド姫「・・・はい」スッ・・・
クルクル・・・キュッ

魔王「・・・腰ひもを解いては、ロクに身動きもとれまい。本当にそれを使ってよいのか?逃げることもままならないぞ」

メイド姫「魔王様から頂く処罰から逃げるつもりはございません」


魔王「・・・さて。これからどうされると思う?おまえの最もされたくない事とはなんだ?」

メイド姫「・・・それ、は」

魔王「なぶる事、打つ事、姿を変えられる事・・・それとも、単に殺される事、か?」

メイド姫「殺される事など苦ではありません。それで魔王様の気が晴れるのならば、是非・・・」

438 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:21:20 7VJP1wH6 356/539


魔王「・・・そういえば、お前は俺が傷つくのが嫌だと言っていたな」

メイド姫「!それもだめです!どのような処罰からも逃げませんが、それだけは止めてみせます!」

魔王「それ『も』?」

メイド姫「・・・っ」

魔王「ふむ」
スッ・・・


メイド姫「・・・?」

・・・。

メイド姫「魔王、様・・・?」

・・・。

メイド姫「魔王さま、どちらにいらっしゃいますか・・・?」

・・・。

メイド姫「・・・魔王様・・・魔王さま?」

メイド姫「どちらです? ・・・嫌です、いなくならないでくださいね」

・・・。

439 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:23:08 7VJP1wH6 357/539


メイド姫「や、魔王様・・・」ガタガタ

メイド姫「・・・っふ、ぅう・・・」ポロポロ

・・・。

メイド姫「・・・」ポロポロ

・・・」スッ・・・

メイド姫「・・・! 魔王様・・・?」

魔王「ほう。気配を戻すだけですぐに気がつくか。たいしたものだ・・・まぁ、俺が動いてもいないことには気が付かないようだが」

メイド姫「・・・」ホッ


魔王「・・・で?何を慌てることがあった?処罰を下す者がいなくなったなら安堵してもよいものだが?」

魔王「・・・俺はてっきり、いなくなった隙に逃げ出すかと思ったのだがな・・・」

メイド姫「・・・」フルフル

魔王「申せ。一切の隠し事や誤魔化しを許さぬ」

メイド姫「・・・っ」

魔王「・・・」

440 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:24:06 7VJP1wH6 358/539


メイド姫「・・・わ・・・」

魔王「・・・」

メイド姫「・・・わた、くしの・・・最も厭うのは・・・魔王様がいなくなってしまう事・・・だから、です・・・」ガクガク

魔王「・・・俺の側にいたい、と?」

メイド姫「・・・いえ。ご健在でここに居てくださるなら・・・私はそれを知れるだけで・・・どのような辺境にでも赴きます・・・」

魔王「・・・続けろ」

メイド姫「・・・あ・・・」

魔王「・・・」

メイド姫「・・・」ポロポロ


魔王「・・・何故、泣く?」

メイド姫「・・・間違い、ました・・・。魔王様が・・・突然にここから消え・・・まるで消息をたち・・・安否もわからぬまま・・・私では何もできないことが・・・最も厭うと、思っておりましたが・・・」

魔王「・・・」

メイド姫「ですが・・・私は・・・思ったよりも欲深く・・・やはり、お側を離れる事を思うと・・・それだけで怖くなりました・・・」ポロポロ

441 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:25:15 7VJP1wH6 359/539


魔王「・・・それを聴いて、俺がそれを処罰に採用したら、とは思わないのか。それとも、暗にそうしてほしいという為の・・・嘘か」

メイド姫「・・・」ポロポロ

魔王「隠すな。黙るな。思うことを全て晒せ」

メイド姫「っ、嘘ではありません・・・ですが・・・申し訳ありません・・・どうか、どのような形でも、お側にだけはいさせてくださいませ・・・お許しくださいませ・・・」ポロポロ

魔王「どのような処罰も、逃げないのではなかったのか」

メイド姫「・・・ふ、ぅっ・・・ぅぅ・・・」ポロポロ
ガタガタ

魔王「・・・目隠しを外せば、俺の考えを読めるのだろう。そうすれば、もしかしたらそんなに怯えずにすむかもしれない・・・何故、そうしない?」

メイド姫「・・・お許しがでておりません・・・逆らう気もありません・・・必要な、処罰なら、・・・それが恐ろしくとも・・・私は・・・わたくし、は、受け入れ・・・っ」ポロポロ

メイド姫「・・・ぅ・・・うう・・・」ト・・・ペタン・・・

魔王「・・・何故、膝をつく。赦しを乞うのか」

メイド姫「・・・いえ・・・いいえ・・・立っていられなかったのです・・・怖くて・・・」フルフル

魔王「・・・」

442 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:26:39 7VJP1wH6 360/539


メイド姫「魔王様・・・魔王様。どうぞ一思いにお斬りください・・・」

魔王「・・・」

メイド姫「耐えられそうにないのです。離れろと言われ、離れていられないのです」

メイド姫「ですが決して、自らの欲に負けて逆らいたくはないのです・・・。どうか今のうちに、私を斬り捨ててくださいませ・・・」ポロポロ


魔王「・・・ハァ」

魔王「・・・いっそ、目隠しを取って俺を見ろと思っても、さすがに伝わらないのだな」ボソ

メイド姫「・・・?」ポロポロ


魔王「・・・仕置きは、終わりだ。もう、それを取って良い。泣き止み、立て。こちらへ来い」

メイド姫「・・・ですが、処罰が・・・」

魔王「終わりだと言った。・・・俺の考えを一方的に読んだのだ。おまえの考えを一方的に聞き出した。それが処罰だ」

メイド姫「・・・ぁ」

443 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:28:11 7VJP1wH6 361/539


魔王「俺は命令を出したのだが?早く、従え」

メイド姫「・・・っ」シュルッ・・・

魔王「・・・早くしろ」

メイド姫「・・・ぁ・・・魔王様・・・」ポロポロ

魔王「・・・」

メイド姫「~っ」グッ
スタ・・・タタタタタ

魔王「・・・」スッ・・・
グイッ

ギュー

魔王「・・・まったく卑怯だ、この姫は」

メイド姫「ふ・・・ぅぅ、魔王様・・・魔王さま、魔王さまっ・・・」ギュウ

魔王「馬鹿馬鹿しい。まったく馬鹿馬鹿しいな。そんな処罰をしてどうする。俺の考えを読んだなら、いっそ全て読むがいい。半端に読むな。面倒だ」

メイド姫「・・・魔王さま・・・」

魔王「・・・これでは、どちらが処罰されたのかわからないではないか・・・」ギュウ

444 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:31:34 7VJP1wH6 362/539


メイド姫「ぁ・・・ま、おう・・・さま・・・?」

魔王「俺は、お前に触れられないだけで、世界すら滅ぼすつもりの魔王だぞ・・・」

魔王「そんな魔王がいる世界で・・・お前は俺の側以外、どこで生きられるというのか・・・」

メイド姫「・・・はい・・・はいっ・・・」

魔王「望め、叶えてやる。 晒せ、愛でてやる。 奪え、赦してやる」


魔王「誓え、お前の全てを俺に捧げると。全て俺の物となれ。代価として、俺はお前の全てを赦し、全ての煩いから解放しよう」

メイド姫「・・・ま、ぉう・・・さま? それは・・・」

魔王「・・・」

メイド姫「ぁ・・・」

魔王「誓え」

メイド姫「・・・! 誓います。この世界にかけて誓います!有象無象の万物をかけて、私は魔王様に全てを捧げると誓います!」

445 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:33:12 7VJP1wH6 363/539


シュワァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

キラッ・・・カツン


魔王「・・・出たか」

メイド姫「・・・これ、は?」

魔王「正しく誓った場合にのみ出る、婚姻の誓約呪だ。虚偽は通用しない」

魔王「これは魔王自信の肉体よりもさらに高濃度の瘴気で固体化されている。その呪縛は絶対だ。俺ですら解けない。覚悟を持って身に付けろ」


メイド姫「魔王様・・・本当に、私でよろしいのですか?」

魔王「言っただろう。奪え、全てを赦すと。おまえが俺自身を強引に奪ったとしても、俺はそれを赦す誓いを建てた」

魔王「だが、俺を所有するお前は確実に俺の物だ。・・・魔王の后とはそういうものだ」


メイド姫「・・・」ソッ・・・

・・・キラ
シュワァァァァァァ・・・。

メイド姫「・・・っ!?」ズキン!

446 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:39:47 7VJP1wH6 364/539


魔王「瘴気の呪縛だ。噛み千切られるようなものではないが・・・契る痛みは耐え難いと聞く。痛みを恐れるのならば、破棄してもよい」

メイド姫「・・・」

スッ・・・スルッ

メイド姫「・・・ーーっ!? ぅ、~~っ!!」グッ

魔王「・・・すまない」

メイド姫「・・・っ!っ!!ぅぅ、くっ・・・あ・・・っ!」グググ


魔王「・・・耐えずともいい。泣き叫んで構わない・・・」

メイド姫「ぅっ・・・~~っ!か、はッ・・・ぐ・・・!」ギュッ

魔王「血を、吐くほどか。・・・俺はいつも、お前に苦しみばかりを与えているな・・・」

メイド姫「うぅ・・・っ、ぐ、・・・・あぁっ・・・」


魔王「こうでもしなければ・・・望みを与えることを出来ない・・・。そのためにまた苦しませる・・・魔王とは残酷なものだな・・・」

447 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:41:43 7VJP1wH6 365/539


メイド姫「・・・っ!ま、お・・・さ、ま・・・っ」グググ

魔王「・・・頼む・・・決して痛みに負けて逝くな・・・」

メイド姫「・・・っ~ぅぅ!!あ、まぉ・・・っ、い、で・・・」

魔王「・・・・・・?」

メイド姫「っぁ。なか、な・・・い、で・・・っぁ、ぁぁっ!」

魔王「・・・ぁ・・・」

メイド姫「・・・ーーっ!!ぁ、う・・・っ!!」

魔王「・・・姫・・・姫・・・」ギュ

メイド姫「・・・まお・・・さ、ま・・・」フラ・・・

クタリ・・・

魔王「!!」グッ

メイド姫「・・・」クテ


ギューッ
魔王「・・・ありがとう・・・姫・・・」

-----------------

448 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:42:30 7VJP1wH6 366/539


<魔王城>


魔王「・・・目が醒めたか」

メイド姫「・・・まお・・・さ、ま・・・?」

魔王「ああ。ここにいる。・・・無事か?」

メイド姫「・・・私は・・・」

魔王「指を、見てみろ」

キラ・・・
メイド姫「・・・あ」

魔王「・・・婚姻の誓約は無事に結ばれた」

メイド姫「・・・婚姻・・・」

魔王「姫・・・いや、后。本当に無事に目を醒ましてくれてよかった」ギュ

メイド姫改め后「魔王様・・・。私はこれで、まだ、これからも、魔王様の為にお側にいられるのですか・・・?」

魔王「・・・ああ。そして俺も、お前の為に側にありつづけるさ」ナデ・・・

449 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:43:39 7VJP1wH6 367/539


「あ・・・」

魔王「どうした。・・・後悔しているか?」

「違います!その・・・。言葉にならなくて・・・この喜びをどう表現したらよいか・・・」ワタワタ

魔王「ククク、好きにしてよい。そうだな、俺の頭でも撫でて礼でもするか?」

「ま、魔王様の頭を撫でるなんて・・・!」

魔王「触れる事に臆するな。お前はこの魔王の后だぞ、唯一それが赦される身となったのだ」

「・・・。・・・で、では・・・」ソッ・・・


魔王「・・・いや、それは撫でるというより触れるというのだが・・・」

「・・・いえ、充分に幸せです//」


魔王「・・・ふむ。少し慣れるべきだな」

「?」

450 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:44:37 7VJP1wH6 368/539


魔王「そうだな・・・何か我が儘を言ってみろ」

「ワガママ・・・ですか?」

魔王「そう。なんでも叶えてやるぞ」

「・・・?」

魔王「・・・いや、要求の1つくらいあるだろう。欲しいものや、してほしいこと、俺への不満や文句でもよいのだぞ」

「ないですね」


魔王「・・・。 ああ、いや。即答せずとも・・・。何か考えてみろ」

「・・・お時間さえくだされば・・・1つくらいなら考え出せる可能性は少しはあるかもしれません」

魔王(逆にプレッシャーが半端ない)

451 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:45:34 7VJP1wH6 369/539


「・・・ワガママ・・・魔王様にしてほしいこと・・・?」ウーン

魔王「まぁよい、時間はある。考えてみろ」ナデナデ

「・・・」

魔王「」ナデナデ

「・・・」

魔王「」ナデナデ

(・・・幸せです// このままで一生を終えたい、なんてダメですよね//)

魔王(なんか変なこと考えてそうで恐い)ナデナデ


「あ・・・」

魔王「ん?」

「あの・・・してほしいことはないのですが・・・『してみたいこと』でも良いですか?」

魔王「ふむ、言ってみよ」

「・・・いつも、私ばかり幸せに感じているので・・・何か、魔王様のワガママを叶えてさしあげたいです」

魔王「・・・は?」

452 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:47:03 7VJP1wH6 370/539


「も、申し訳ありませんっ! ついつい甘えて出過ぎた事を・・・!」

魔王「いや、そうじゃなく・・・お前はいつでも俺のワガママばかり聞いて付き合っているじゃないか」

「?」

魔王「俺は充分にワガママを叶えてもらっているぞ?」

「そう、ですか?メイドとしての仕事しかしてこれなかった気が・・・」

魔王(メイド業を何だと思ってるんだ・・・)ハァ・・・


「・・・うーん・・・」

魔王「まぁ、よいか。内容はともかく后として初めての願いだ、間違いなく聞き届けよう」ナデ・・・

「・・・で、では何か・・・ワガママを仰ってくださいませ・・・」

魔王「ワガママ・・・ねぇ」ナデナデ

「・・・」ドキドキ

魔王「・・・うーむ」ナデナデ

「・・・」ソワソワ

魔王(あれ、ワガママとか言われてもいつも通りすぎる要求しか出てこない)ナデナデナデナデ

453 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:49:39 7VJP1wH6 371/539


「・・・あ、あの・・・」モジモジ

魔王「・・・ああ、じゃあこうしよう。『気を張らずに俺に接してみよ』」

「・・・え?」

魔王「瘴気に酔った素のお前がなかなか面白かったのでな。また見てみたいが、面倒になるのも嫌なのだ」

「は、はい。わかりました・・・やってみますっ」グッ

魔王「・・・いや、いきなり肩肘張られてもな」

「・・・ええと・・・あの時は・・・魔獣化した魔王様が可愛くて・・・それから・・・」ブツブツ

魔王「可愛い?俺が?」


「!す、すみません、声に出ていましたか?!」

魔王「構わない。それが素のおまえの本音なら聞いてみたい」


「・・・ぁぅ//」

魔王「聞かせてくれ」ジッ

454 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:51:03 7VJP1wH6 372/539


「その、あの時は・・・何かこうモコモコしていて、普段の魔王様とは違くて、思わず可愛がりたくなるというか・・・何か、母性的なものが出たというか・・・//」

魔王「・・・俺を、可愛がりたい?本気か?」

「ぅ・・・//いえ、ですがやはりその、普段の魔王様には・・・『可愛がられたい』、です・・・//」

魔王(なんかいろいろやばい俺がいる)ドキドキ


「ですから、その、魔獣の姿は・・・また普段とは違う趣旨の『好き』、なのです//」

魔王「・・・あー・・・では・・・」パチン
ボヤンッ

魔獣「ほら。これでよいか?」

「!」

魔獣「さてさて、あの時のように素のままに、愛でてみるがいい」ククク

「・・・私は、なんてことをしていたのでしょう//」

魔獣「今更すぎる。まぁ俺と知って愛でる奴などいないからな、これもなかなか貴重な体験だ」ペロ・・・

「ひゃ!//」

455 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:53:01 7VJP1wH6 373/539


魔獣「・・・お前が愛でないのなら、俺が愛でる」ペロペロ
ドサ・・・

「ちょっ、ひゃぁ!//  ぅ//」


魔獣(やっぱりクセになってるかな俺。楽しい)ベロンベロンベロンベロン

(尻尾!尻尾がフリフリしててすごく可愛い!!けど気付いてなさそうだから言えません!//)モフモフ


魔獣「どうだ?」

「・・・可愛いです。大好きです。抱きしめたくなります」

魔獣「なんと。これだけのサイズになっているのに、まったく威厳がないとは」ククク


「・・・あの・・・ワガママ、もうひとつ思い付きました・・・言ってもよいですか?」

魔獣「もちろん」

456 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:54:43 7VJP1wH6 374/539


「・・・魔獣の正体を、私以外には隠しつづけたいです・・・」

魔獣「・・・ほう?」

「この可愛らしい魔王様だけは・・・誰にもとられたくないと・・・。この姿の時だけでも、私のものにしたいと思いました・・・」

魔獣「・・・限定された時間とはいえ、魔王を全て独占したいと?」

「・・・はい//」

魔獣「その間、この国は王が実質不在となるようなものだが?」

「・・・それでも、です//」

魔獣「・・・く・・・くくく」

「・・・ダメですか?」

魔獣「・・・いいな、その強欲こそ、魔王の后にふさわしい」ククク


魔獣「その望み・・・この魔王が確かに叶えよう・・・」ベロン

「・・・魔王様・・・」モフ

457 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/28 04:55:32 7VJP1wH6 375/539

---------------------
魔王「誓え。お前の全てを俺に捧げると」 おわり

467 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:39:30 bBMaWK5Y 376/539

-----------------------------
後日談2 騎士王「誓うよ。君の為に生きる。俺という剣を君に託そう」
-----------------------------

<魔王城 玉座>

(元メイド姫)「騎士王様が、自殺未遂・・・ですか?」キョトン


聖母姫「い、いえ。自殺未遂とか、そういうのじゃないと本人は言っているのですが・・・」

「王国の城主が・・・城の頂から落下して、自殺未遂じゃない、なんてことが?」

聖母姫「う・・・」


私は今日、魔王城に相談に来ています。
理由は今お話した件で、メイドさん・・・じゃなかったお后様に聞いて欲しくて。

468 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:40:36 bBMaWK5Y 377/539


聖母姫「・・・おそらく本当に、ちょっとした不注意なのだとおもいます。確かに・・・結構な騒ぎになってしまいましたが・・・」

「逆によく無事でしたね」

聖母姫「落着の瞬間、我に返って移動魔法を使われたそうです・・・」

「『瞬間、我に返る』だなんて、完全に自殺未遂者の言い訳ですよ・・・姫様はなぜ、違うと思われるのですか?」

聖母姫「・・・最近・・・よく塔頂にいらっしゃるのです、騎士王様は・・・」

「それは、煙とかと同じで高いところが好きなだけでは?」

聖母姫「あ、暗に騎士王様を貶めないでくださいー!」


「すみません。ですが・・・騎士王様は、そんな場所で一体何をしているのですか?」

聖母姫「・・・何か、おかしいのです。ここのところ・・・ずっと・・・」


騎士王様は、ここ1ヶ月の間、明らかに挙動不審でした。
朝、お部屋を訪ねると、うなされていたり、一睡もしていない様子だったり。
部屋から出てくるなり、やたらと不機嫌にどこかへ行ってしまわれたり。

この間は、夜も深い時間だというのにお部屋にいらっしゃらず・・・
は!別に夜這いにいったわけではありません!

(うぅ・・・我ながら何を弁解するのか・・・恥ずかしい・・・)

469 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:41:45 bBMaWK5Y 378/539


「屋根にも、よく登ると?」

聖母姫「・・・最近、何度か、チラとお見かけしたことがあるので・・・」

「・・・」


お后様の側には、最近はいつでも大きな魔獣が寝そべっています。
魔王様の留守を守るための番犬なのだとか。
それを優しげな眼で見つめながら、そのふさふさの毛をしきりに撫でているお后様。
気持ちよさそうに、お后様の膝に頭を預ける魔獣さん・・・。

(いいなぁ・・・ふわふわ、私も触りたいー)

「・・・騎士王様は、ご自身では何かそれについておっしゃらないのですか?」

聖母姫「・・・一応、かなり早い段階で聞いては見たのですが。明らかに動揺しながらも、何も無いよー、と・・・」

「嘘をつくならもっとマシについてほしいものですね」

聖母姫「今までに無いことなのです。それに昼間にしょっちゅう眠っていられるようですし・・・」

「・・・夜に寝つけていないのならば、仕方ないことなのでは?」

聖母姫「寝ている間中、止まることなく何やらブツブツと喋りつづけているのですよ?」

「怖いです」

470 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:44:15 bBMaWK5Y 379/539


お后様が野獣を優しく撫でていると、魔獣さんが顔を上げて后様の顔を舐めました。
少し困ったような顔をしてるけれど、とても幸せそうなお后様。

まったく、新婚だというのに、動物と戯れている場合じゃないですよ。
魔王様はどうしたんですか、魔王様は!


聖母姫「・・・そういえば、今日も魔王様はお留守なのですね?」

「え、はい。・・・そうですね」

聖母姫「いいんですか? 新婚なのに・・・最近、いつ来ても外出してばっかりじゃないですか」

「・・・よろしいのです。魔王様のなさることですから・・・ひゃっ」


魔獣がお后様に甘えてます。もうすっかり懐いてますね。あーあー・・・
最初に見たときはすごく驚いて・・・お后様が食べられてしまうとおもったのだけれど。
今のこの、魔獣さんの、お后様を溺愛する様子を見ると心配したのも馬鹿らしくなります。
あー・・・ベロンベロンですよ、お后様・・・なに喜んでるんですか。

471 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:47:32 bBMaWK5Y 380/539


聖母姫「・・・はぁ。まぁ、魔王様はよいのです・・・今日は、メイ・・・お后様にご相談にあがったので」

「ですが、私ではあまりよいご意見もできませんよ?」

聖母姫「よいのです・・・魔王様に騎士王さまのことを相談しては、騎士王様に叱られますので」


「ふふふ。婚姻披露の宴でも。叫んで帰られましたものね」


お后様に言われて、すぐに思い出せる出来事。
『どうしたら自分だけ先に飄々と結婚できるんだ、やっぱり魔王だなお前!
お前を倒して俺も結婚してみせるからな!!』
って、いきなり宣誓しちゃったあの時・・・白い目が痛かったです。まぁ、ずいぶん呑まれてましたしね。


聖母姫「あはは・・・『メイドちゃん幸せになれよぉぉぉぉぉ』って泣きながら逃げていかれると、完全に捨てられた男みたいですよね」

「あの後は大変でした。騎士王様のことを知らない魔物達が、完全武装で兵列を組もうとしていて・・・」

聖母姫「え」

「魔王様も『祝いの義で俺を倒すだなどと不吉な。お前らアレが勇者だ、行って殴ってこい』と便乗して」

聖母姫「ひっ」

「・・・私が后として発言力を認められていなければ、勇者撲滅戦争が危うくスタートするところでした・・・」

472 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:48:55 bBMaWK5Y 381/539


聖母姫「ちなみに、お后様は・・・なんとおっしゃったんですか?」

「・・・・・・」

聖母姫「?」


「いえ、その・・・場を、収めるために・・・『その勇者が居なければ、魔王様が暇つぶしできなくなるからやめたほうがいいと思います』と・・・」

聖母姫「対勇者は暇つぶし・・・ですか。さすが魔王様って感じですね」フフ

「申し訳ありません、ですが騎士王様がいらっしゃると魔王様にもなんだか楽しそうでよい刺激にn

ベロンベロンベロンベロンベロンベロンベロン

聖母姫「!?だ、大丈夫ですかお后様!!」


「~~~~っま、まってくだs」ドサ

聖母姫「ちょ!?魔、魔獣さん、舐めたおしちゃダメですよ!その方は魔王様の后なんですよ!?」

ピタリ

聖母姫「話の通じる魔獣さんでよかったです・・・さすがに2メートル半の魔獣がのしかかるのを見ると、心臓が飛び出しそうで」ホッ

473 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:49:49 bBMaWK5Y 382/539


ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ
ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ


聖母姫「エスカレートしましたよ!?話通じてないんですか!?」ガーン

「ちょ、きゃ// だ、だめですだめですだめです!ひゃぅっ!?// 変なところ舐めないでくださいーーー!//」

聖母姫「喜ばないでください、お后様!!構図がかなりアブないですよ!?」


まったく、この魔獣さんは油断なりません。
どうして魔王様は、こんな番犬にしたのでしょう?明らかにお后様を独占しようとしてますが・・・あ

聖母姫「そう、ですよね。 ペットって・・・飼い主に似るっていいますものね」ガックリ


(そうだ、この魔獣さんは行動こそ違うけど、溺愛っぷりが魔王様に似てるんだ)

それなら仕方ないのかなぁ、と思いながら
私には寄り付かなくなってしまった魔獣さんが、お后様を好き勝手するのをしばらく見ている事にしました。
しばらくして、お后様が何か囁かれると、魔獣さんは大きな尻尾を揺らして部屋を出て行きました。

474 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:51:54 bBMaWK5Y 383/539


「・・・・」グッタリ

聖母姫「・・・大丈夫でしたか?かれこれ30分ほど舐められてましたね・・・」

「はい・・・服がドロドロになってしまいました。失礼して、着替えてまいりますね・・・」ヨロヨロ

聖母姫「ど、どうぞごゆっくり」アハハ・・・


「そうだ、姫様。よろしかったら共に昼食はいかがですか?」

聖母姫「よろしいのですか?」

「ふふ。実は、いつか姫様と一緒にお料理などしてみたいと思っていたのです」

聖母姫「! 楽しそうです! 私にも手伝わせてください!」

「では、よろしければご一緒に厨房へ・・・いえ、着替えもありますし、私の部屋にしましょうか」

聖母姫「・・・あの部屋、なんでもできるんですね・・・」

「昔からあるという、普通の民家程度の設備が一式揃っている部屋を頂いたのです」

聖母姫「それは・・・もはや部屋とはいわないのでは・・・?」


(やっぱり魔王様が何を考えてるのか私にはわかりません・・・はぁ)

------------------

475 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:52:53 bBMaWK5Y 384/539


<魔王城 后の部屋>

聖母姫「后になって、女神になってもお料理とかなさるんですね」カチャカチャ


「はい。長年の習慣というのもありますが、やはり人間として食は大切にしたいので」

「なるべく、私と魔王様の分は作るようにしています」シャカシャカ・・・

聖母姫「人間、なんですか?」

「・・・」


聖母姫「あ、いえ! べ、別に変な意味ではなく! 女神になったと聞いていたので・・・」

「そう、ですね・・・。騎士王様ならは、元の魂が人間ですから魔物の肉体もゆっくりとそこに近づくのでしょうが・・・」ギュゥギュゥ

聖母姫「あ、そういえば・・・騎士王さまはいまだに魔物の素体部分が多いとか」シャクシャク

「それでも、おそらくは数年もたてば、人間にすべて変わっていくでしょう?」

私の場合、魂も肉体も普通の人間ですので・・・いくら神気を与えられても、神事にはなれません」ギュゥギュゥ

476 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:53:25 bBMaWK5Y 385/539


聖母姫「女神程の力をもっていても、ですか?」シャクシャク

「・・・魂が肉体に与える影響というのは強いのだそうです。今は女神と同等の力を持っていても、いずれは・・・」

聖母姫「・・・?」

「いずれは、以前のようなただの力ない人間に戻るだろうと、魔王様はおっしゃっていました」カタン

聖母姫「ふふ。私自身もただの人間なので・・・女神ほどの力がある方が不思議に感じます」ギュゥギュゥ

「そうですね」ニコ


「女神の加護。大変な目にもあいましたが・・・でもやはり、素晴らしいものなのですよ」ムニムニ

聖母姫「ちょっと、羨ましいです」ムニムニ

「ふふ。姫様には、必要ありませんよ」クスクス

聖母姫「ふふふ」

477 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:54:06 bBMaWK5Y 386/539


「さぁ、できましたね。姫様と私の共同制作『いなりずし』です」カタン

聖母姫「何故、いなりずし・・・?」

「ふふ。お嫌いですか?」

聖母姫「いえ! ぷにぷにしてて好きです! あと・・・簡単でおいしいです!」

「だと、思いました」クスクス

聖母姫「お見通しなんですね」クスクス


------------------------

478 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/30 23:57:26 bBMaWK5Y 387/539


<魔王城 黒百合の庭園>


「せっかくなので、ピクニック気分でいただきましょう」

聖母姫「いただきます♪」


聖母姫「・・・こちらの庭も、すっかり見頃で綺麗ですね。全体的に黒いけれど」

「魔王城が彩り鮮やかというのもどうかと。ですが毎日、手入れをしています」

聖母姫「お后様がですか?」

「はい」

聖母姫「ふふ。なんだか、お后様らしくはないですね」

「私は、魔王様の為にできることがしたいだけですので」クス


「・・・ですが、騎士王さまが騎士王さまらしくないのは気になりますね」

聖母姫「あ・・・ちょっと忘れそうでした」

「昼食をたべて帰るだけでは、夜に後悔して眠れなくなってしまいますよ?」

聖母姫「本当にそのとおりですね・・・。どうしたらよいのでしょう」

479 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:01:17 3zt5RR/c 388/539


「・・・騎士王様は、何かお悩みなのではないかとおもいます」

聖母姫「悩み、ですか?」

「はい。一人になる時は大体集中したいときが多いですから。ボンヤリしているとしても、何かお考えなのでは?」

聖母姫「・・・騎士王様の・・・悩み・・・」

「あるいは、勇者として。王として。騎士として、個人として。 側近として、は無いでしょうが」クス

聖母姫「ふふ」


「もう少しそのあたりに注意をして様子を見守られてはいかがですか?」

聖母姫「そう、ですね。あれ以来、塔頂に登るのはなるべく控えていらっしゃるようですし」

「2度落ちたら、さすがに笑えませんものね」

聖母姫「もしかしたら逆に、国暦に残るほどの笑い者になってしまうかもしれません」ハァ

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・
---------------

480 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:03:47 3zt5RR/c 389/539


<王国 白薔薇の庭園>

聖母姫(すっかり遅くなってしまいました・・・帰城した魔王様に城門まで送っていただけてよかったです)テテテ

聖母姫(? あれ・・・庭園に誰か居る。 もしかしてまた、騎士王様ですかね?)ピタ


騎士王「・・・」


聖母姫(あ、やっぱり。何してるのでしょう。また一人でぼんやりと・・・)


騎士王「・・・あ・・・、また・・・?」


聖母姫「?」カサ


騎士王「! ・・・」

キンッ・・・


聖母姫(あれ・・・いま・・・私に気がつい・・・た? もしかして、私から逃げた・・・?)

聖母姫「・・・騎士王様・・・?」

---------------------

481 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:04:37 3zt5RR/c 390/539


<夜 王国 姫の自室>

ゴロゴロ・・・ゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・

聖母姫「はぁ・・・」ポフ


聖母姫「このままじゃ・・・やっぱり、寝れそうにないです・・・」

スクッ

聖母姫「騎士王様に会って、もう一度きいてみましょう! 私に何か原因があるのかもしれませんし・・・」

スタタタタ・・・


---------------------

482 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:07:04 3zt5RR/c 391/539


<王国 騎士王の自室>

聖母姫(今日はお部屋にいるでしょうか・・・)

トントン
聖母姫(・・・うー。居てほしいような、居てほしくないような)


騎士王『誰だ』

聖母姫(・・・?)

騎士王「ああ・・・おい、誰だ?」

ガチャ

聖母姫「っ! あ・・・その、すみません・・・」

騎士王「姫ちゃん・・・。あぁ、こっちこそごめん。兵の誰かかと思ったんだ、こんな時間だし・・・」

聖母姫「すみません、夜も遅い時間に突然・・・」

騎士王『・・・どうかしましたか』

聖母姫(あ、また・・・なんか、雰囲気が・・・急に・・・?)

483 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:09:52 3zt5RR/c 392/539


騎士王「あ・・・姫ちゃん? えっと・・・」

聖母姫「あの、明日! 明日はほら、建国式典で国民の前に立たれるので! その応援に・・・!」


騎士王「わざわざ来てくれたの・・・? ・・・ありがとう。でも大丈夫だよ、少しは慣れてきたしね」

聖母姫「あ・・・そう、ですよね。戴冠とかも国民挨拶ありましたし・・・」

騎士王「うん、やったねー」ヘヘ


騎士王「それに昔もよく人前に出る機会はあったから。緊張とかはあんまないかな?」

聖母姫「昔・・・、ですか?」

騎士王「・・・っ。 う、うん。騎士だった時も一応は部隊長だったしね」

聖母姫「そうでしたね。団長以上の実力はありましたけれど」

484 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:10:25 3zt5RR/c 393/539


騎士王「俺は貴族上がりの騎士じゃなかったから・・・部隊長までなれたなら、よかった方だよ」

聖母姫「旅人だとか言ってましたっけ?」

騎士王「あ・・・いや、違うんだ。あれは・・・勇者の記憶と混同してただけで・・・」

聖母姫「そうでした」クス

騎士王「混同・・・してたんだ・・・」

聖母姫「・・・騎士王様・・・?」

騎士王「・・・ごめん、少し疲れてて。応援ありがとうね。今日はもう寝ることにするよ」

聖母姫「! 長居してしまってすみませんでした!」

騎士王「おやすみ」ニコ

聖母姫「・・・はい、おやすみなさい。騎士王様・・・」


バタン

---------------------

485 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:11:19 3zt5RR/c 394/539


<王城 渡り廊下>

トボトボ・・・

聖母姫(騎士王様・・・やっぱり、なんだか様子が・・・)ハァ・・・

聖母姫(・・・あ、今日は新月なんですね・・・外が真っ暗)

聖母姫(・・・私も、庭園でぼんやり過ごしたら・・・少しは騎士王様を理解できるでしょうか・・・)

テクテクテクテク・・・

---------------------

486 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:12:35 3zt5RR/c 395/539


<王国 白薔薇の庭園>

聖母姫「・・・ほんとに来ちゃいました。ちょっと怖い・・・かな?」ドキドキ

聖母姫「はぁ・・・でも夜風はきもちいいな・・・」ノビー


ボソボソ


聖母姫「? この声・・・まさか・・・まさかね」ソッ・・・


騎士王「・・・くっそ、なんなんだ・・・」ブツブツ


聖母姫(! 騎士王様・・・なんで? さっき、疲れてるから寝るっていったばかり・・・)

聖母姫(私を、部屋に返すための言い訳だったんだ・・・)ズキ


聖母姫(・・・部屋に、帰りましょう。見つからないように)

聖母姫(こういうときって必ず小枝とか踏んでバレるんですよね、慎重に・・・)ソッ・・・

487 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:15:15 3zt5RR/c 396/539


騎士王『なにしている?』

聖母姫「!」


騎士王『すっかり夜も深いんだぞ、こんな時間に出歩くような・・・』

聖母姫「あ・・・騎士王、様?」


騎士王『・・・出歩けば・・・殺される・・・外に出れない・・・』ブツブツ

聖母姫「~~っ!?」ゾクッ・・・

タタタタタ・・・


騎士王『・・・逃げた・・・』


騎士王「っ! 姫ちゃ・・・。ああもう・・・・・・何でこんな・・・」ハァ・・・


---------------------

488 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:15:55 3zt5RR/c 397/539


<王城 姫の自室>

ガチャ、バタン!!

ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・

聖母姫(何、何、何!!)

聖母姫(怖い。騎士王様が、怖いなんて)

聖母姫(知らない。あんな騎士王様は知らない。どうして。何があったの・・・)ポロ・・・


聖母姫「騎士王・・・様・・・」ポロポロ・・・


---------------------

489 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:17:01 3zt5RR/c 398/539


<翌日 王城バルコニー>

・・・・・
ザワザワザワ・・・

大臣「これより建国式典、開催の挨拶を行う!まずは先代王よりお言葉がある!心して・・・


チラ
聖母姫(・・・騎士王様・・・ですよね)

聖母姫(どう見ても別人のようには見えないのに・・・あんなに怖いなんて・・・)

聖母姫(昨日のは、なんだったのかな・・・。今朝は普通に話し掛けてくれましたが・・・)

聖母姫(夜だったし・・・何かの・・・間違いだったのかな・・・あ、でも逃げちゃったや・・・)ボー



大臣「・・・めさま。姫様! どうなされました。次は姫様の番です! 前にでて、お言葉を!」

聖母姫「! すみませんっ」スタタタ


聖母姫「本日は多くの国民の皆様がこの式典に参加していただいてこの国の姫として大変・・・

聖母姫(・・・気になって頭は動いてないのに。私の口は、勝手に調子よい挨拶を述べるものですね・・・)

490 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:18:49 3zt5RR/c 399/539


テクテク・・・


騎士王「姫ちゃん、かっこよかったよ!」コソッ

聖母姫「騎士王様」

騎士王「次は俺かー、ヘマしなきゃいいけどなぁ。あ、姫ちゃんが応援してくれたから平気か」アハハ

聖母姫「・・・」


聖母姫(やっぱりいつも通りの・・・騎士王様、ですよね・・・?)


大臣「次は現国王であらせられる騎士王殿よりお言葉と、式典開催の令!」

聖母姫(っ! 気にしてばかりいても仕方ないですよね。・・・ちゃんと、見守らなくちゃ)


コツコツコツ・・・コホン
騎士王「騎士王だ。戴冠より間もなくでありながら、この国の歴史ある式典を俺の名の元で開催出来ることを・・・・・・


聖母姫(やっぱりすごいな、騎士王様は)

聖母姫(堂々としてて、凛々しくて、力強くて・・・国王としての威厳を、もうもってる)

聖母姫(こういう時の、普段とはまったく違う様子にはいまだに驚くけれど・・・、それも素敵なんですよね)

491 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:19:56 3zt5RR/c 400/539


聖母姫(普段とは・・・違う・・・けど・・・)

聖母姫(・・・騎士王様・・・)ボー


ザワザワ・・・ザワザワ・・・


聖母姫(っいけない! またボンヤリしてしまって・・・! あれ、なんか・・・騒がしい・・・?)

聖母姫(騎士王様は・・・)チラ


騎士王「・・・ぁ・・・」ツー

聖母姫「・・・え? 泣いて、る? 何が・・・」


騎士王「・・・・・・」フラ・・・

キャー!!オチルゾ!!オウサマ!!


聖母姫「騎士王様っ!?」タタタッ
ガシッ

騎士王「・・・」ブラン・・・

聖母姫「っ・・・ぅぅ・・・っ!」ズル・・・

492 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:21:33 3zt5RR/c 401/539


大臣「・・・! 騎士王殿、姫様! おい何してる、はやく引き上げろ!」

警備兵達「「「っ、はいっ!」」」


グ・・・グイッ・・・ズル

ハァッ・・・ハァッ・・・
聖母姫「騎士王様っ! 騎士王様!?」

騎士王「・・・」グタ・・・


大臣「大王様・・・」チラ

元国王「・・・ああ」コクン

ツカツカツカ
元国王「皆、驚かせてすまない。騎士王殿が急病のご様子だ。悪いが式典は延期とする!」

ザワザワ・・・

493 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:22:07 3zt5RR/c 402/539


聖母姫「騎士王様!大丈夫ですかっ!!」ユサユサ

元国王「姫、離れなさい。今看護師を呼ぶ。感染症の類だといけない」

聖母姫「そんなことない!騎士王様!騎士王様っ!!」

元国王「姫・・・。おい、看護師はまだか。急いで呼べ!!」

・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

---------------------

494 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:23:10 3zt5RR/c 403/539


<数日後 王城 医務室>


聖母姫「・・・騎士王様・・・」

騎士王「・・・」スー・・・スー・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「騎士王殿は・・・魔物の肉体をいまだ持たれている。人の治癒の療法では効果が芳しくないのかもしれない」

「そんな・・・」

「生体反応などに異常はないのです。深く眠られているとしか・・・」

「どうしたら・・・目覚めるのですか?」

「・・・せめて原因さえわかれば・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

聖母姫「そんなこと・・・どうしたらよいのでしょう・・・」ペタン

495 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:25:13 3zt5RR/c 404/539


聖母姫「・・・騎士王様、起きてください・・・」ユサユサ

騎士王「・・・」スー・・・スー・・・

聖母姫「騎士王様・・・」


~~~~~~~~~~~~
側近「俺の一番大事なもの、守らせてくれる?」
~~~~~~~~~~~~


聖母姫「・・・っ」

聖母姫「自分で言ったんじゃないですか・・・ちゃんと、守ってくれなきゃ・・・嫌ですよ・・・」ポロポロ


騎士王「・・・」スー・・・スー・・・

聖母姫「原因・・・魔物の身体・・・治癒・・・」


聖母姫「! 魔物! もしかしたら、魔王様なら・・・っ!」ガバッ

聖母姫「騎士王様、魔王様に相談してきます。・・・だから・・・起きたら、叱ってくださいね」ニコ

タタタタタ・・・ ギィ・・・ パタン

---------------------

496 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:26:50 3zt5RR/c 405/539


<魔王城 玉座>

シュン・・・

聖母姫「魔王様っ! 魔王様はいますかっ!」


「! ・・・姫様? いきなり転送陣で玉座にまで入られるのは、流石に・・・」

魔獣「・・・」ペロ


「・・・。 姫様、どうかなさいましたか?」

聖母姫「魔獣さんがいる・・・ってことは、魔王様はまた外出なさってるのですか・・・?」

聖母姫「いつもどられますか!? どこにいらっしゃいますか!? 私はどうしたら・・・っ!」ペタン

「・・・何かあったのですね。話してみてください」

497 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:28:01 3zt5RR/c 406/539


・・・・・・・・・・・・・・・

「騎士王様が・・・原因不明の昏睡・・・」

聖母姫「あれからもずっと、なおさらに、様子がおかしかったのです・・・こんなことならば問い詰めてでも聞くべきでした・・・」ポロポロ

「姫様のせいでは・・・」

聖母姫「いいえ・・・怖いと感じて避けてしまったのです。逃げてしまったのです・・・」

「・・・」


「魔獣様・・・あの・・・」

魔獣「・・・」スッ
クル・・・ タタタ・・・

聖母姫「・・・?」

「大丈夫です・・・きっと魔王様が、来てくださいますよ」ニコ

聖母姫「もしかして・・・魔獣様が、呼びに・・・?」

「ふふ」

聖母姫「魔王様・・・騎士王様をお助けしてくださるでしょうか・・・」

「大丈夫ですよ、姫様」ソッ・・・

498 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:32:26 3zt5RR/c 407/539


ブン・・・!
スタ

魔王(いちいち隠れて元の姿に戻るの、間抜けで嫌だ・・・ウル○ラマンか俺は・・・)ハァ

聖母姫「魔王様!」


「魔王様。騎士王様の昏睡原因は一体・・・」

聖母姫「え?そんないきなり言っても・・・」

「あ」

魔王「・・・ああ。あの魔獣は『特別製』でな・・・」ククク

「・・・//」

魔王「あの魔獣の知るもの全て、俺が知る所になる。以後、内緒話をしたい時は気を付けるのだな」ククク


聖母姫「そ、そうなのですか・・・?」

魔王「例え『ベッドよりふわふわ』でも創ってやれるようなものじゃない」

聖母姫「う・・・。本当に知られているのですね・・・」

499 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:34:47 3zt5RR/c 408/539


聖母姫(・・・もしかして・・・魔獣って魔王様とお后様の子・・・?)

聖母姫(いや、意外とあり得るのかも・・・魔王様に似てるし、お后様になついてるし・・・いっぱいシてたし・・・)

聖母姫(って、いやいや。そんな場合ではないです、今は!)ブンブン

魔王(何やら盛大な勘違いをしてそうだな。いや助かるけど)


「そ、それで魔王様。騎士王様ですが・・・」コホン

魔王「ああ、前回の話からして原因に心当たりはあったのだ。だが・・・」

聖母姫「教えてください! 騎士王様を目覚めさせる方法になるかもしれません!」

魔王「だが、そうだとしたら具体的な治し方などない。それでも聞くか?」

聖母姫「・・・え? は、はい・・・」

魔王「側近の様子が『まるで別人のよう』・・・と言ったな」

聖母姫「はい・・・」

魔王「事実、別人と考えてよいだろう」

聖母姫「どういう・・・ことですか?」


魔王「ふむ。・・・1から話そう」

500 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:37:56 3zt5RR/c 409/539


魔王「魔王は代々、魂を後継にそのまま移譲する。それはつまり記憶や経験も含み、子という新しい人格の中に入り込むということだ」

聖母姫「・・・はい、」

魔王「その中で希に、先代の記憶に影響を受けすぎる魔王もいる。完全に受け入れれば、ほぼ『幼体化』したような状態になるな」

聖母姫「・・・?」

魔王「だが受け付けない場合、二重人格、錯乱、情緒不安定、不審行動など様々な問題を引き起こして、結果死亡する事が・・・魔王にも、あるのだ」


聖母姫「・・・で、ですがそれは、魔王様のような魂をもつ場合ですよね!? 騎士王様は・・・」

魔王「勇者の魂は人間と同様、死んで新たな人格が転生するタイプだな」

聖母姫「・・・」ホッ


魔王「だが、あいつは・・・2000年前の記憶を呼び起こされている」

「・・・先代勇者・・・ですね」

501 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:39:52 3zt5RR/c 410/539


魔王「騎士の記憶も受け継いでいた時から多少危惧はしていたのだ。さらに先代勇者は2000年前から魂を見続けてきたらしい。つまり・・・」

聖母姫「2000年分の・・・前世の記憶が・・・?」

魔王「・・・元が自分の魂だからな。見てきた記憶が蘇ることで、釣られて当人としての経験や感情まで蘇っている可能性が高い」

魔王「直前の前世である、騎士の記憶がすぐに目覚めたのはそのせいだろう。・・・記憶に共通する姫もいた事だしな」

聖母姫「前世の記憶が・・・今の人格に入り込んでいると、そう仰るですか? そんなことありえるのですか?!」


魔王「王国にはドン・キホーテという書物があろう」

聖母姫「え?」

魔王「本を読み耽った男が、自分自身をその登場人物に当てはめる」

魔王「最初はただなりきっていただけだが、次第に本当の事のように思い込み、自身を喪失していく話だったかと」

聖母姫「・・・あ」

魔王「本を読むだけでもそうなるような種だ、そこに記憶と経験が足されれば・・・充分に他人になってしまうのではないか?」

聖母姫「そんな、そんな!嫌です、騎士王様が、過去の誰かになってしまうなんて!」

502 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:44:42 3zt5RR/c 411/539


魔王「誰かになるならまだよい。それも一人格と言える。魔王でいう『幼体化』と結果は同じだ」

聖母姫「・・・もっと酷いことが?」


魔王「勇者として生きていないなら平均寿命は80年程あったとしよう。・・・2000年で25人だ。恐らくそれ以上だが・・・」

聖母姫「・・・25人分以上の人格が・・・騎士王様の中にあるかもしれぬと・・・そう、仰るのですか・・・?」

魔王「・・・脳はそれほどの処理能力を持たない。実際は何人分がどの程度甦っているのかわからない」


魔王「昏睡原因は、恐らく脳の処理能力不足による機能停止・・・。まったく、嫌な事を見せ付けてくれる」

聖母姫「?」

魔王「それの治療方法など、無いのだ。・・・あれば、とっくに・・・」グ

「魔王様・・・」ソッ


魔王「・・・。 ともかく、俺は聖母姫の力にはなれない。昏睡がただの病気によるものであるといいな」

503 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:47:02 3zt5RR/c 412/539

魔王「・・・俺の予想通りならば・・・このまま眠り続けても、あいつはそう遠くないうちに死ぬだろうから」

聖母姫「! そんな・・・そんな・・・!」フラ・・・

バタン

「姫様!」タッ・・・

542 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 06:18:13 3zt5RR/c 413/539

魔王「・・・側近か・・・まったく、どうしてこう・・・」

「魔王様・・・このままでは、あまりにも姫様がお可哀想です・・・」ギュッ

魔王「・・・助けたい、と?」

「・・・はい・・・」

魔王「・・・あいつは勇者の魂を持つ・・・。まだ、可能性はあるか・・・?」

「では・・・」

クルッ
魔王「それが后の願いならば、必ず叶えよう。最大限、聖母姫を助けてやる」

「!」

魔王「俺は書庫に行く。まずは過去の記録の中に回復した例がないか浚ってみよう」

魔王「后は姫を。王国に伝令をだし姫を休ませる旨、伝えておけ」

「はいっ! お願いしますっ!!」

ブン・・・

「騎士王様・・・どうかまだしばらくは・・・魔王様と共に居てあげてくださいませ・・・」ギュ

505 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:50:17 3zt5RR/c 414/539


<翌日朝 魔王城 姫の客室>

シュルシュル・・・クルッ


「おはようございます、姫様。・・・お加減はいかがですか?」

聖母姫「え・・・」

「王国には疲労の色が濃いので泊まらせると伝えておきました」

「元国王様より、姫様に『しばらく城を離れることを許可する、静養をとれ』との伝言が戻ってきております」

聖母姫「それはつまり・・・騎士王様は未だ寝たまま、なんの兆しもないと・・・」

「・・・姫様は、あまりお休みになられていないと聞きました」

「今、魔王様が書庫で回復の当てを探してくださっています。ですからどうか今しばらくおやすみください」

聖母姫「魔王様が・・・?」

「はい、昨夜あのあとから、ずっと」

聖母姫「何故、魔王様がそこまで・・・?」

「ふふ。魔王様のなさることですから・・・」ニコ

---------------------

506 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:52:32 3zt5RR/c 415/539


<同日 昼>

トントン
聖母姫「はい! 今あけます!」スタタ・・・

ガチャリ

魔王「起きていたか。体調はもうよいのか」

聖母姫「魔王様・・・。はい、ゆっくり休ませていただきました」

魔王「その割に顔色が未だ優れぬようだが。・・・手短に用件を済ませよう」

聖母姫「用件・・・?」

魔王「・・・魔王の例があてはまるのかはわからないが、一部に回復例があった。いま、后が状況と状態を側近に照らし会わせて確認をしている」

聖母姫「!」

507 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:53:57 3zt5RR/c 416/539



魔王「・・・もしかしたらだが、姫にも手伝ってもらう事があるかもしれない、とだけ伝えておこう」

魔王「充分な休養を取り、体力を戻しておけ」

聖母姫「はいっ!魔王様・・・ありがとうございました!」

魔王「・・・礼ならば、后に。俺はあれの願いを叶えているだけだ」

聖母姫「願いを・・・?」

魔王「・・・時間が惜しいからな。出来ることは全てしたい。俺は他の例を探してくるので、休むように。明日また声を掛けよう」
クルッ・・・スタスタ


聖母姫「・・・?」

・・・・・・・・・

----------------

508 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:54:40 3zt5RR/c 417/539


<翌日 魔王城玉座>


魔王「結論から言おう。目覚める可能性は、ある」


聖母姫「それは本当ですか!」

魔王「史実を調べ直すと、記録と記憶が違うところがあるのだ。恐らく、先代勇者が歴史を変えた結果だろう」

「先代勇者が・・・」

魔王「俺の記憶では、2000年前の魔王は魔力暴走による自滅で30年程度とかなりの短命だった」

魔王「・・・だが、記録によると100年程は生きた事になっている」

「・・・そんなことが?」


魔王「以降の魔王の在任期間が記憶より少しづつ減っている気がする。歴史を変えたことにより調整が働くようだな」

聖母姫「そ、それでは魔王様ももしかしたら・・・!?」

魔王「くく、そんなことは構わない。むしろ愉快だ」

聖母姫「ですが!」

509 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:55:15 3zt5RR/c 418/539


魔王「それよりも、その史実の改編が興味深い事になっていてな」

魔王「魔王に従事した娘が、魔力暴走を抑えるためにその力を封印したことにより・・・却って、今まで以上の魔力量のコントロールを可能にし、魔王は精神の安定を得た、とあるのだ」

「それは、一体?」

魔王「魔力暴走の原因は書かれていない。が、おそらくは先代の記憶への拒否反応による情緒不安定、あるいは先代の意思による供給過多による暴走だろう」

聖母姫「・・・」

魔王「娘の行為の結果を考えると、後者だった場合が有力だ」

魔王「これはつまり『別人によって与えられ過ぎた魔力を削ることで、適正量を保ちつづけて扱えるようになった』と言うことだな」

聖母姫「・・・す、すみません・・・魔力を持たない私には感覚が・・・」

510 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:56:01 3zt5RR/c 419/539


魔王「ふむ。ではバケツに水を貯めると考えろ」

聖母姫「バケツ・・・ですか?」

魔王「バケツにバケツより多い量の水を一気にひっくり返し入れたらどうなる?

聖母姫「・・・溢れます」

魔王「バケツの水は?

聖母姫「恐らく、勢いで・・・満量は入らないままになるかと・・・」

魔王「そうだな。では、ゆっくりとバケツの満量分を注ぎ入れたらバケツの水はどうなる?」

聖母姫「ぴったりに入ります。 そういうことですか・・・」


魔王「・・・勇者の史実は残されていない。元々の勇者がどれだけの魔力を持っていたのか判らない」

魔王「側近には俺が適当な魔力を無理に入れたんだ。・・・供給過多による負担はありえるな」


聖母姫「騎士王様の中の魔力を抜けば、自身の本来の適正な魔力量によって、精神の安定をもたらす、と?」

魔王「魔力とは精神力に近いからな。溢れれば高揚するし、減れば暗鬱となる」

魔王「そして本来の魔力値を維持させれば精神は安定する。・・・だが、逆もありうる」

聖母姫「逆、とは」

511 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:59:04 3zt5RR/c 420/539


魔王「魔物の肉体に、魔王の魔力。それが、勇者の魂を抑えて記憶の甦りを遅らせている可能性も考えられる」

魔王「その場合、俺の魔力を減らすことで記憶はより早く甦り・・・昏睡では済まない事になるな」

聖母姫「・・・まさに、生か死か、という選択なのですね・・・」

「魔王様、それでは・・・」


魔王「俺ならば、魔力を削ってみるな」

聖母姫「そんな・・・何故、そのように断定できるのですか?」

魔王「今の状態、恐らく夢という形で記憶を整理しているのだと思う」

魔王「だが容量が空いてもまた新しく記憶は増えて埋めていく。・・・じわじわと溢れだすそれは、最後には生命活動を阻害し自滅する」

聖母姫「このまま寝たままでも死ぬというのは・・・そういう事だったのですね」


魔王「今死ぬか、後で死ぬか、生きる可能性にかけるか。単純な選択肢だな」

魔王「・・・まぁ、全て検討違いという可能性もあるが、今はそれを見直す余地も方法もない。魔力を削ぐ、それが俺の答えだ」

魔王「それにより即死したとしても、な」

512 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 00:59:35 3zt5RR/c 421/539


魔王「姫が決めろ。実行するのならば明日、王国に向かおう。今夜は部屋でよく考えるがいい」

聖母姫「・・・魔王様・・・昨日いっていた、私が手伝うかもしれない事とは・・・?」

魔王「・・・魔力を削った後、精神の安定に至る過程」

魔王「その段階で・・・あいつが混乱状態に陥り、暴走するかもしれない。暴走とは残す人格の選択そのものだろう」

魔王「側近・・・いや『騎士王』を残すためには・・・姫がそれを表裏に導くのが一番に効果的だと思う」

聖母姫「・・・暴走・・・?」

魔王「暴走状態のあいつなどリスクはかなり高いが。俺・・・魔王が抑えては、その印象から魔王討伐を志した人格が呼び起こされ、それが定着してしまう。・・・暴走した場合は頼みたい」

聖母姫「・・・私が・・・」

魔王「あまりに危険だと判断した場合は俺が抑えよう」

513 : 以下、名... - 2014/03/31 01:00:27 3zt5RR/c 422/539


聖母姫「・・・」

魔王「今夜はゆっくり考えろ。・・・いっそ綺麗な想い出のまま、あいつの胸に剣を突き立てるのもいいかもしれない」クルッ・・・
スタスタ・・・


聖母姫「・・・」

「姫様・・・お部屋にお送りします・・・」ソッ・・・

聖母姫「・・・」

---------------------

514 : 以下、名... - 2014/03/31 01:02:01 3zt5RR/c 423/539


<翌朝 魔王城 玉座>

魔王「・・・決めたか?」

聖母姫「・・・」フルフル


魔王「そうか。悩むのも、回復を待つという手段だ。咎めはしないさ」

聖母姫「いえ・・・ひとつだけ、どうしても決断できない理由があるのです・・・」

魔王「なんだ」

聖母姫「魔王様に・・・騎士王様殺しをさせたくありません」


魔王「・・・馬鹿な事を。俺は魔王、あいつは勇者。殺し合いこそが本分だ」

聖母姫「それでも・・・共に新世界を創ろうと誓った仲間です」

魔王「・・・あれが死ねば、どのみちそのような世界は成立しない。意味がないな」

聖母姫「それでも、騎士王様は魔王様に・・・哀しみを与えたくないはずです」

魔王「殺されたくない、だろう?」

聖母姫「いえ。騎士王様は・・・魔王様が好きなのだと思いますから」

515 : 以下、名... - 2014/03/31 01:02:55 3zt5RR/c 424/539


聖母姫「殺し合いが宿命だとしても、このような形で『殺させる』のは・・・きっとどうしたって嫌がると思います」

聖母姫「自滅するほうがマシ、と考えるでしょう」


魔王「・・・耳が痛いな」

聖母姫「え?」

魔王「気にするな。逆もまたしかりだ」

聖母姫「・・・すみません、何を仰っているのか・・・」

魔王「何を間違ったか、あいつが勇者だから・・・その可能性もあるというだけだ」・・・フイ


「魔王・・・様?」

魔王「・・・」ナデナデ

516 : 以下、名... - 2014/03/31 01:03:32 3zt5RR/c 425/539


魔王「ともかく、魔力を削いであいつが死んでも、暴走を止めるために斬ったとしても俺は気にしない」

魔王「むしろ俺の魔力の責任だから始末をつけるべきだ。恨むのはよいが、決して気に病むことはない」

聖母姫「そんな・・・お后様からも何か・・・っ」

「魔王様が、そう・・・仰るのならば・・・としか。すみません」

聖母姫「・・・わかり、ました」


聖母姫「魔王様。どうか、騎士王様の魔力を削いでください。お願いいます」

魔王「・・・お前の願いを叶えるつもりはない。それを后が望むから叶うのだと、留め置け」スッ・・・

聖母姫「・・・はい」

魔王「行くぞ」パチン・・・

ブン・・・パッ

-------------------

520 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:33:51 3zt5RR/c 426/539


<王国 城門前>

ブン・・・ スタッ スタスタッ

聖母姫「・・・え? 城門・・・? 何故、直接騎士王様の所に・・・」キョロ・・・

魔王「失礼する」ズカズカ


門番1「何者だ!」

魔王「魔王だ」

門番2「なっ!?」

魔王「騎士王に用がある。邪魔をするな」

聖母姫「~っ! あの、お通ししてください!」


門番1「・・・姫様!?」

門番2「これは一体!?魔王殿の来訪は聞いていません!」

聖母姫「それは・・・むぐっ!?」


魔王「騎士王が倒れているそうだな。姫が惜しければここを通すがいい。あいつ以外に俺に手を出せる者などいないのは承知のはずだ」

521 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:34:27 3zt5RR/c 427/539


聖母姫「むぐぐぐっ!?」ジタバタ

門番1「なっ・・・くっ・・・」ジリ・・・


魔王「利口だな。ついでだ、騎士王の元まで連れていけ。国ごと滅ぼしたくなければ逆らうな」ギロ

門番2「っ!! ・・・・・・」チラ

門番1「姫様が・・・。く、仕方あるまい・・・俺達ではどうしようも・・・」

魔王「逆らわなければこの国に・・・少なくとも、この場で手荒な真似はしないと約束しよう」

門番1「・・・おそらく、騎士王様ならば医務室のはずだ。魔王殿とは懇意の間柄と聞いている。その約束を信じ、お連れしよう・・・」

魔王「・・・ふん」

聖母姫(魔王様・・・? なんでわざわざこんな真似を・・・?!)

ザッザッザッ・・・

---------------

522 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:35:03 3zt5RR/c 428/539


<王城 医務室前>

門番1「ここだ・・・」

魔王「入らせてもらう。・・・人払いを」

門番1「!? なりません、王との謁見には、場所を問わず必ず立ち会いが必要です!」

魔王「王同士の密談だ、立会人は聖母姫を据え置こう」

門番1「そんなことは許されm

魔王「黙れ」ギロ

門番1「ひっ・・・」ガクガク


魔王「許しを乞うつもりはない。死にたくなければ立ち去り、人払いをしろ」

魔王「城門は閉じ、全ての兵と使用人をまとめて、城内に固まっているんだな」ククク

門番1「~~っ」コクコク

魔王「聡明な判断だ。・・・行け!」

門番1「っ!」ダダダダダ・・・

・・・・・・・・・・・・

523 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:35:35 3zt5RR/c 429/539


魔王「やっと行ったか。この国の兵は少し鈍いな」フム

聖母姫「っぷは! 魔王様、これは一体!?」

魔王「・・・気にするな」

聖母姫「ですが! これではまるで魔王様が侵攻してきたかのように思われてしまいます!」

「・・・姫様。この国の為ですから仕方ありません」

聖母姫「え?」


「・・・この後、騎士王様に何かあった場合・・・こうでもしていなければ姫様が罪に問われます」

聖母姫「っ!」

魔王「本来の王位継承者はおまえだ。現王を失ったとしたら姫は一番に疑われる」フン

「・・・『魔王をたぶらかし、王殺し・婚約者殺しをさせた姫』として断罪されるでしょう。この国は継承者を失います」

524 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:36:07 3zt5RR/c 430/539


聖母姫「そんな・・・! ですがこれでは魔王様が・・・!」

「・・・継承者争いというのは、綺麗事では済みませんよ。多くの犠牲を伴うものです」

魔王「側近が無事ならばいくらでも言い様はある。死んでも俺が殺したのは事実だしな」

魔王「そしてなにより、俺達は勇者と魔王だ。・・・俺を裁ける奴がいたら見てみたいものだな」ククク

聖母姫「魔王様・・・」


魔王「入ろう。人払いは済んだようだ。今は時間が惜しいはずだ」

聖母姫「はい・・・」

ガチャ・・・ 

----------------

525 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:36:41 3zt5RR/c 431/539


<王城 医務室>


騎士王「・・・・・・」

聖母姫「騎士王様・・・魔王様がいらしてくださいました」


騎士王「・・・・・・」

魔王「なるほど。確かに寝ているだけのようだな」

魔王「・・・魂を見てみよう。暴走するとは思わないが、何かあるかもしれない。離れていろ」スッ・・・
モワ・・・

騎士王「・・・・・・」

魔王「・・・これは」

聖母姫「どうなっているのですか・・・?」

魔王「酷いな。予想以上に魂の情報が乱れている。倒れるまで錯乱しなかったのは奇跡だ」

「それほどに・・・?」

526 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:37:18 3zt5RR/c 432/539


魔王「以前こいつの魂を見たとき、必要以上に情報が失われてぼやけていたが・・・今は逆に鮮明すぎる」

魔王「・・・今思うと、初代勇者の意思がこれらの記憶を魂の奥底に念入りに隠していたのかもしれない」

聖母姫「・・・隠す? 何のためにですか・・・?」


魔王「・・・本来は勇者であるべき魂が、それをしてこなかったのだ」

魔王「後世は恵まれ過ぎた才にも気付けず、報われぬまま・・・非業の死ばかり遂げてきている」

魔王「初代勇者。・・・責任逃れのつまらぬ隠蔽だな。善意だとしてもそれは偽善だ」

聖母姫「そんな・・・。 っ! では、もしや騎士様も、そのような最期を・・・?!」


魔王「・・・どれがその記憶か判別はつかない。記憶が断片化した状態で流れ続けている」

魔王「だが・・・一番よく再現するコレだとしたらキツいな。何故、騎士などになったのか・・・」


聖母姫「魔王様・・・。どうか、騎士様の最期・・・私に教えてください・・・」

魔王「・・・」

527 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:37:53 3zt5RR/c 433/539


魔王「・・・そういえば、側近も創ったそばから戦闘能力を持っていたな」

魔王「勇者として過ごした昔からの戦闘スタイル。意識せずとも再現されるほどに、魂が記憶していたのか」

聖母姫「・・・魔王様?」


魔王「機動力を活かした単騎突進、悪くて少数精鋭。本来はそんな戦いをする者が軍属になったのだ・・・哀れとしか言えない」

聖母姫「・・・まさか」

魔王「魔物と仲間が入り乱れる混戦。溢れる屍の中、立つのは一人。・・・そいつが泣きながら自分で喉を斬り落とすのが見える」

聖母姫「・・・っ! そんな・・・そんな、騎士様が・・・そのような最期を!?」

「姫様・・・」ギュ・・・


聖母姫「昏睡の直前・・・バルコニーで、騎士王様は泣いていました・・・っ。もしや・・・その記憶が・・・」

魔王「騎士ならば、出軍前に城に上がり前に立つこともあろう。精神不安定の中で・・・致命的なフラッシュバックが起きたのかもな」

聖母姫「・・・騎士様・・・騎士王様っ・・・」ポロポロポロ・・・

「そんな記憶が・・・延々と甦ってくるだなんて・・・」ブルッ

魔王「先代勇者か。魔王を救おうなどと愚かな事をしたために、子孫を犠牲にしてしまったな」スッ・・・

528 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:39:18 3zt5RR/c 434/539


魔王「だが朗報だ。騎士としての記憶の再生が今も強いのならば、選択の際の有力候補だろう」

魔王「よほどの犯罪者まがいが出てくるよりは、やりやすいかもな」クク


魔王「・・・魔力を削ぐ。一度、部屋から出ていろ」

聖母姫「・・・ここに、居させてください・・・」

魔王「何を馬鹿な・・・暴走がはじまって、必要な場合には呼ぶ。室外に出ていろ」

聖母姫「嫌です・・・魔王様だけに、罪を背負わせるかもしれないなんて・・・」

聖母姫「好意はありがたく受け取ります! ですが、いざとなれば、私も共犯です!」

魔王「・・・暴走のタイミングかわからない。バーサク状態で襲いかかるかもしれない。聞き分けろ」

聖母姫「嫌です!」

魔王「くそ、出ていけ!」ダンッ!

聖母姫「嫌です! 嫌です嫌です嫌です!」

魔王「強情な・・・っ! 死にたいのか! こいつに姫殺しをさせる気なのか!?」

聖母姫「っ・・・! ですが・・・それでも・・・っ」ポロポロ

529 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:40:22 3zt5RR/c 435/539


「・・・魔王様・・・。私が、結界を張ってみます。姫様の立合いを許して差し上げて貰えませんか・・・?」

魔王「神気を使う気か。・・・破られたらどうする」

「なるべく厚く、硬く張ります」

魔王「それでも破られたら」

「急いで張り直します」

魔王「そうじゃない・・・! 破られたら、お前では霧散していく神気までは回収できないんだ!」

「・・・っ」

魔王「・・・ちっ」


「・・・破らせません。必ず自力で畳みます。魔王様・・・どうかやらせてくださいっ・・・!」

魔王「・・・っ!」


「あ・・・」

魔王「・・・・・・」フイ

魔王「『叶えよう』」ボソ

「・・・魔王・・・様・・・。申し訳ありません・・・」

530 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:41:31 3zt5RR/c 436/539


魔王「張り終わったら声を掛けろ」

「はい・・・」

聖母姫「・・・あの、いいの・・・ですか?」オズオズ

「・・・」ニコ


パァァァァ・・・! キラキラキラ・・・
「・・・。 張り終わりました、魔王様」

魔王「決して破らせるな。 ・・・魔力を抽出する」スッ・・・

魔王「・・・念のため・・・少しづつ、削るか」

ゴシュッ!

騎士王「・・・・・・」

魔王「・・・反応、しないか」

魔王「もう一度・・・今度はもう少し多めに抜いてみよう」スッ

ゴシュゥッ!

騎士王「・・・・・・」

魔王「これでもダメか・・・仮定が間違っていたか・・・? いや、だが魂の状態を見ても理屈は合ってるはず・・・」

531 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:42:09 3zt5RR/c 437/539


魔王「もう一度・・・今度は半分以上抜くつもりでやってみよう」スッ・・・

ゴシュァッ!!

騎士王「・・・・・・」

魔王「」イラ


魔王「スースーと寝てるコイツの顔見てるだけで腹ただしい。いっそ全部抜いてしまおう、そうしよう!」スッ

聖母姫「え」

「ま、魔王さま・・・?」

魔王「っ、来い!」 


ガシュゥゥゥゥッッ!!


聖母姫「・・・っ!」

「騎士王様は・・・!?」

532 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:44:01 3zt5RR/c 438/539

騎士王『・・・・・・う』

魔王「む。意識が戻ったか・・・? こいつ、元々の魔力値はかなり低いんだな・・・」スッ

ガッ!!

魔王「!! 腕を、離せ・・・っ」グググ・・・

騎士王『お前・・・俺に触れたなッ!』グッ・・・グイッ!

魔王「投げ・・・! っく!」

ドガシャーンッ!!

「魔王様!!!」

騎士王『ハァ・・・ハァ・・・! 俺に触れるな!ちかづくな!』

騎士王『・・・何か・・・武器・・・、武器になるもの・・・ あったッ!!』 チャキッ


聖母姫「っ剣を! 騎士王様の剣を取られました!! 魔王様、気をつけてください!」

魔王「うーむ。投げられるとか初めてだな・・・そういえば体術はあまりやった記憶がない・・・」パンッ、パンッ

「魔王様・・・よかった、ご無事でしたか」ホッ

魔王「ああ。驚きのあまり、珍しく怒りが出てこなかった。帰ったら体術を鍛えよう」

聖母姫「そんな場合じゃ・・・」

533 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:44:43 3zt5RR/c 439/539

騎士王『来るな・・・嫌だ、やめろ!俺は誰も殺したりしないから!』ブルブル・・・カチャカチャ・・・

魔王(剣先が震えている・・・恐怖に支配されている? コイツも『非業の死』に苛まれた人格か・・・)

騎士王『っうわぁぁ!!!!』ダダダダダ

魔王「っ馬鹿か、長剣を持ってるのに突進してきてどうする・・・!」スッ・・・


「魔王様、そいつの動き、格闘家と思われます!」

魔王「ちっ、肉弾戦など俺はしないというのに!」

騎士王『・・・』ピタ


魔王「・・・なんだ?」

騎士王『結界・・・? 中に・・・誰が・・・?』フラ・・・

騎士王『ああああああああああああああああああ』ダダダッ

「!!」

ガンッ!ガン、ガン、ガンッッ!!!

魔王「なっ・・・結界を・・・!?」シュタッ

534 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:45:34 3zt5RR/c 440/539


騎士王『うあああああああああああ!!!』
ダガダガダガダガダガダガダ!!

魔王「やめろ!」ゲシッ!

騎士王『っうるさい!』
クルッ、バシィィィ!

ピキ

魔王「! 結界が・・・!」

魔王「ちっ、ありがたく思えよ・・・お望みの、肉弾戦だッ!」ダッ・・・

ドカァァァッ!! 

騎士王『!?!?』

ズシャッァァ!


「体当たり!?」

魔王「后は結界の維持に集中しろ!」

535 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:46:05 3zt5RR/c 441/539


騎士王『ハァ・・・ハァ・・・刺した・・・刺してやった・・・刺される前に・・・ハハ・・・ハァ・・・』ニヤ

魔王「・・・ち。やはり肉弾戦は稽古せねばならんか・・・」

「・・・! 魔王様、腕から血が・・・!」

魔王「少し突かれただけだ!動揺するな!!」


騎士王『ハァ・・・やった・・ハァ・・・刺した・・・違うっ・・ハァッ・・・』ブツブツ・・・ブツブツ・・・


魔王「・・・なんだ・・・? 殺気が消えた・・・今のうちか・・・。転移術! 外へ連れ出す!」パチン!


ブンッ・・・パッ

-----------------

536 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:46:35 3zt5RR/c 442/539


<王城 裏庭>

ブン・・・ スタッ グシャッ

騎士王『・・・ブツブツ・・・ブツブツ・・・』

魔王「う・・・こいつの絶望時のスタイルは・・・もしや前世の影響を受けていたのか・・・?」

魔王「・・・しかし、俺を刺したら急に動かなくなった・・・? 一体どのような経験が・・・」


<魔王サマッ!
タタタタタ・・・

魔王「結界を解いたか・・・」ハァ

「魔王様!お怪我の具合はどうなのですか!」タタタ・・・

魔王「后、あまりコチラにちかづくな。 興奮こそしていないが、いまだ別人格だ」

聖母姫「ならば今のうちに、私が騎士王様の人格を呼び起こします!」
スタタッ・・・


騎士王『・・・・う・・・』


魔王「・・・待て、聖母姫! ・・・様子が変わった」チャキ・・・

537 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:47:27 3zt5RR/c 443/539


騎士王「・・・・ぐ、う・・・あっ・・・痛い・・・っ!?」

聖母姫「! 騎士王様! 騎士王様ですね!!」


騎士王「・・・ぐ・・・」フラ・・・

聖母姫「騎士王様!?」


騎士王『・・・・・・?』ユラ・・・

魔王「・・・また別人格に変わってしまったか・・・ちっ、面倒な・・・」


シュタ!


魔王「跳んだ!? 何処に・・・」


「きゃぁぁぁ!?」

魔王「! 后!?」

538 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:48:17 3zt5RR/c 444/539


騎士王『オンナノコ。いいにおい・・・カワイイ女の子?』キョトン

「・・・はい?」


騎士王『・・・おぉ・・・こんなとこにカワイイ子が。はじめまして、俺と恋のバカンスでもどうでしょう?』ホッペチュー

「!」


聖母姫「!?!?」

魔王「何してるふざけんな貴様!!」シュタッ!


「っ、相手を・・・お間違いですっ!!」グイッ

シュタン!

ジャキンッ
魔王「ちっ、ちょろちょろ跳びやがって・・・!つかなんだ!さっきとは真逆の人格じゃないか!」


騎士王『相手・・・俺の、相手?』

魔王「聞いてない・・・っ、前世まで女好きとか筋金入りかあの馬鹿は!」スチャ

539 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:48:50 3zt5RR/c 445/539


騎士王『俺の相手って誰?』


「それは・・・」

魔王「まて、教えるな。もはやこれは暴走とは違う、完全な別人格だ・・・意識がはっきりしすぎている・・・」

聖母姫「・・・私です!」

魔王「~~っ!揃って馬鹿か!」

聖母姫「今は別人格でも! 諦めなければ騎士王様を呼び起こせるかもしれないじゃないですか!」


シュタン!

聖母姫「きゃっ!?」ビクッ

騎士王『うわ・・・すげー可愛い・・・? なんか・・・』スッ・・・
ギュー・・・


魔王「・・・っ!」


騎士王『・・・名前は?』

聖母姫「姫・・・聖母姫です・・・」ビクビク・・・

540 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/03/31 05:51:27 3zt5RR/c 446/539


魔王「油断するな、それは側近ではないんだぞ!危害を加える可能性があるんだ!」

騎士王『は?なんで?女の子傷付けたりしねーよ馬鹿か!』

魔王「・・・くそ、なんだか毒気が抜かれる!なんなんだこのアホ面は!」

「昔の側近様のようですね・・・事実、昔の側近様の魂なのですが」


騎士王『んー・・・聖母姫、か。・・・そっか』

騎士王『きれーな名前だね。しかも本気で可愛い。俺の“相手”なの?』ナデナデ

聖母姫「え、いえ・・・正確にはあなたの相手なわけでは・・・」

騎士王『そうか・・・残念。でもさ。 ・・・口説いてもいいよね?』ギュ・・・

シュタンッ・・・

聖母姫「きゃぁっ!?」

魔王「なんて跳躍を・・・! くそ、何処に・・・?!」

「姫様が!」

魔王「くそ、予想斜め上の面倒な人格に定まろうとしやがって・・・あんなのただのアイツの本能だ!!」

「元々同じ魂ですから仕方ありません!探しましょう!」

553 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:21:02 pfnnllZ. 447/539

--------------

<王城 兵用・武器格納庫>

騎士王『うわ、なんか雰囲気あるかも・・・思ったより暗いかな』


聖母姫「目が・・・目が回ります・・・ピョンピョンしながら壁が降ってくる・・・」クラクラ・・・フラ・・

騎士王『おっと』ギュッ

聖母姫「ふぁぁ・・・しょ、焦点が・・・焦点が回ってます・・・」グテン

騎士王『あはは・・・乗り物よい? 俺はジェットコ-スターか?』ケラケラ

騎士王『よいしょ、っと』ドサッ


騎士王『ほい。膝の上だけど、しばらく抱っこしててあげるから。休んで? ごめんな』ナデナデ

聖母姫「う・・・騎士王様の顔で、騎士王様の声で、騎士王様の性格なのに、なんかどっか変です!」


騎士王『ひどいなー。誰だよ騎士王サマって』アハハ

聖母姫「あなたのその身体の本当の持ち主ですよ!」

騎士王『え? ん? ・・・そりゃやだな・・・』

554 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:21:33 pfnnllZ. 448/539


聖母姫「・・・身体と中身が別だとわかってるのですか・・・?」

騎士王『いや、これは俺の身体だけど・・・騎士王って男だろ?やっぱ女の子にあげたいよね、カラダもココロも』モゾ

聖母姫「ひゃっ?! 耳は・・・顔が!近いですっ」

騎士王『お。耳弱いとみた。かわいー』チュ

聖母姫「ひゃぅ!//」


騎士王『あはは、敏感すぎ。それとも誘ってくれてる?』

聖母姫「馬鹿いわないでください!」

騎士王『馬鹿ねー。まぁ確かに』

聖母姫「自覚あるならちゃんと騎士王様を・・・」

騎士王『一目で好きになった。俺、本気だよ。馬鹿みたいだろ?』

騎士王『・・・自分でもよくわからないんだ、なんでこんなにも君が好きなのか』ジッ

聖母姫「・・・っ!//」

555 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:22:10 pfnnllZ. 449/539


騎士王『頬とか、おでことか、髪とか』チュッ、チュッ、チュ・・・

聖母姫「!」

騎士王『首とか、耳とか』チュ・・・、チュゥ

聖母姫「ひゃ?! やめっ」

騎士王『・・・そんなんじゃ、足りなくなりそう。・・・唇に、触れたくなる』

聖母姫「え・・・」

騎士王『聖母姫がどこの姫かは知らないけど・・・』

騎士王『姫なら、駄目だよね。王族って貞操にはきびしいっていうし。したことないでしょ、オヒメサマ?』ニヤニヤ

聖母姫「・・・むっ。ありますよ、騎士王様とならっ!」

556 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:22:44 pfnnllZ. 450/539


騎士王『・・・・・・え?』

聖母姫「あ//」

騎士王『婚前の、将来の女王の身を汚した!?』

聖母姫「ち、ちがいます! 私からしたんです!」

騎士王『どっちからとか関係ない! なんでそいつは処刑されていない!?』

聖母姫「落ち着いてくださいっ!?」

騎士王『さっさと殺せよ、国はなにしてんだ! つか俺が斬ってやる!』

聖母姫(それは他殺か自殺かどっちでしょう!)


聖母姫「はぁ。ええとですね・・・私は、既に継承権を譲っているんですよ。だから騎士王様は許されるのです」

騎士王『・・・継承権を?』

聖母姫「はい。ですから・・・処刑とか、物騒な事はいわないでください・・・」ハァ・・・

騎士王『・・・・・・・・・』

聖母姫「どうしました?」

557 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:23:23 pfnnllZ. 451/539


騎士王『罪にならなくても、やっぱり許せない。悔しくて我慢できなくなった』ガシッ 

聖母姫「え? ちょ・・・な、なんですか! やめっ・・・」

騎士王『気付かない? 今の発言で、俺を止める理由がなくなった事に』

聖母姫「・・・っそんなつもりじゃ・・・だ、駄目ですよ!」

騎士王『駄目じゃなくなった』ジッ

聖母姫「~~っ!」

騎士王『そんなの我慢できない。・・・誰かがその唇に触れたなんて許せない』グッ

騎士王『』チュ・・・

聖母姫「!」

騎士王『・・・・・・・・・』チュー・・・

聖母姫「・・・・・・・・・!」

騎士王『・・・』・・・チュ

聖母姫「・・・・・・ッぷは!」ハァ・・・

558 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:23:57 pfnnllZ. 452/539


騎士王『・・・さすがに頑なだね。息を止めてまで口を開けないなんて』

聖母姫「え?」キョトン

騎士王『・・・えっ、て。・・・いや、拒絶されたんだよね俺?』

聖母姫「・・・・・・無理矢理キスしておいて、何を」

騎士王『・・・いや、今のは・・・・・・って、もしかして・・・』

聖母姫「な・・・なんですか?」ビクビク


騎士王『・・・姫、口開けて?』

聖母姫「く、口ですか? なんで・・・」

騎士王『軽くでいいから』

聖母姫「?」アー

騎士王『ん』

チュ・・・クチュ・・・

聖母姫「?!」

559 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:24:47 pfnnllZ. 453/539


騎士王『・・・・・・・・・・・・』チュウ・・・チュパ、チュ・・・ムチュ・・・チュ・・・パ

聖母姫「んっ、んんっ! むぅ・・・まっ・・・んっ・・・・・・・・・ん・・・」

騎士王『・・・』ツー・・・

聖母姫「・・・ハ・・・ぁ・・・・・・」クテン・・・


騎士王『・・・キスって、こういうやつだと思うけど・・・知らなかった?』クス

聖母姫「・・・・・・!//」カァッ

騎士王『脱力しちゃって、すごく可愛い。・・・他のヤツに取られてなくてよかった』ナデナデ

聖母姫「・・・う・・・だって、そんな・・・こんなの・・・っ」カァ

騎士王『・・・気持ちよかったんだ?』

聖母姫「! ちがっ・・・」

騎士王『違わないよね。君は顔や態度に出すぎるって言われない?』

聖母姫「~っ!//」

560 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:25:38 pfnnllZ. 454/539


騎士王『・・・もうさ、こんなの罠だよね。本当に誘われてるとしか思えないもんな』グイッ

聖母姫「やっ、まって! もうだめですっ!これ以上は・・・っ!」

騎士王『・・・じゃあ、もっかいキスしよう。・・・もっと欲しくなるようなキスを』チュ…

聖母姫「やっ・・・んん・・・っ」

(だめ、なんか頭まわってくる・・・っ、離して、もらわなきゃ・・・)

騎士王『・・・』ナデ

聖母姫「んんっ・・・・・・んっ・・・」

(足・・・触られてる・・・? でも、なんか・・・段々・・・あぁだめ、ぼーっとする・・・)

騎士王『・・・』モゾ

聖母姫「・・・ん・・・ぅ・・・・・・ぁ・・・」チュ・・・

(・・・内腿・・・手が・・・あったかい。撫でられてるだけなのに・・・なんか・・・・・・キモチイイ・・・?)

騎士王『・・・チュ、パ・・・』ナデナデ

聖母姫「・・・んぁっ・・・」モジ

騎士王『姫・・・?』ナデナデ

聖母姫『・・・・んぅ・・・・』クテ・・・

561 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:26:09 pfnnllZ. 455/539


騎士王『・・・まって、敏感すぎる。キスはもうやめてるし、次の段階にはいってるけど・・・コレ、いいの?』ナデナデ

聖母姫「・・・ぇ・・・?」

騎士王『気付いてない? あと20cmくらいでアウト領域なんだけど』ハハ・・・

聖母姫「・・・・・・・・・ひゃっ!?//」バサッ!

騎士王『なんだこれなんだこれ、もうほんとに可愛すぎるー!!!』ギュウーー!!


聖母姫「~~っ!// なんなんですかっ、もう!」

騎士王『本気7割、理性2割、からかい1割』シレッ

聖母姫「もっと理性を高めてくださいっ!!」

騎士王『いや、だって・・・本気で理性なんて飛びそうなくらい誘われてたし』

聖母姫「誘ってません!」

騎士王『じゃあ誘って?』

562 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:27:44 pfnnllZ. 456/539


聖母姫「・・・っ、何を・・・」

騎士王『・・・ぶっちゃけ、ギリギリなんだよね。ふざけて自制するのも限界なくらいに』ジッ

聖母姫「何が・・・」

騎士王『理性』
聖母姫「!」

騎士王『可愛い。大好きだ。君の全部がすごく可愛くて仕方ない』チュ・・・チュ

聖母姫「う・・・」

騎士王『・・・抵抗しないの? してくれないと、そろそろ本当に理性が飛びそうなんだけど』ナデ・・・

聖母姫「こ・・・こんなの・・・おかしいのに・・・っ」

騎士王『姫・・・』スッ・・・

ドサ

騎士王『・・・君が、欲しい』チュ・・・

シュル・・・

聖母姫(騎士王様じゃないのに・・・なんで逆らえないの!?)グッ

563 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:28:30 pfnnllZ. 457/539


チャキ


騎士王『!』

魔王「馬鹿か。上から抑え込んでおいて、何が抵抗しないのか、だ」


騎士王『あ。 ・・・邪魔者』

聖母姫「っ、た、たすけてください!!」


魔王「まさかこんな場所にいるとはな。ギリギリ無事で何よりだ」

聖母姫「わた、わたしっ! どうしたらよいかわからなくなってきました!!」パニック

魔王「予想と違う意味で危険すぎるなコイツは。また魔力ぶち込んで昏倒させてしまうか」

聖母姫「そんなことして大丈夫なんですか!?」

魔王「馬鹿は死ななきゃ治らんだろう。ぶったおして再選択する」

564 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:29:03 pfnnllZ. 458/539


騎士王『つか誰ださっきから。もしかしておまえが騎士王サマとかってやつ?姫なら奪わせないよ?』ギュ

魔王「誰が騎士王だって?」イラ

騎士王『なんだ違うのか。じゃあ馬に蹴られろ』ベー

魔王「貴様・・・」イライラ

騎士王『見てわかるでしょ? 俺、今からマジで忙しいから帰れ、すぐに。それとも野次馬する気? 変態? そーゆー趣味?』

魔王「」プチ


聖母姫「・・・騎士王様も、素はこんななのかなーと思えてきました・・・」

「あれで意外と理性が働いてたのかもしれませんね」


魔王「后。本っ当にコレを助けたいか・・・?」プルプル

「・・・『姫様』を助けたいのです。未だ下敷きにされてますし・・・その、服も少し//」

聖母姫「! やっ// いつの間にか腰紐が全部ほどかれてますっ!//」

騎士王『それも気付いてなかったのか。ほんと可愛いなー』ナデナデ

565 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:29:49 pfnnllZ. 459/539


魔王「ち、手癖の悪い。ともかく聖母姫を助ける、お前を斬ってでもな」スチャ


騎士王『誰が。昔からプリンセスを助けるのはナイトって相場が決まってんだよッ!』ギュッ

聖母姫「ふぇ?」


シュタンッ

聖母姫「き、きゃぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・!?」


魔王「~~~~~っ!!! また跳んで逃げやがった・・・ッ!!」プルプル

「・・・単純に、騎士王様本人がこれを機に大暴走してるだけって可能性はないですよね・・・?」

魔王「知るか! なんであいつはいつも俺の横を跳んで通り抜けられるんだ?!」


魔王「くそっ・・・今度こそ聖母姫の貞操が危うい!! 急いで探すぞ!!」

(命を守るときより、なぜか必死に感じるのは気のせいでしょうか)ハァ


----------------------

566 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:31:03 pfnnllZ. 460/539


<王城 塔頂>

シュタン、スト
騎士王『んー、絶景!』

聖母姫「ひっ・・・高いっ?! どうしたら脚力でこんな場所まで登れるんですか!?」


騎士王『君との時間、次こそ邪魔されたくなかったから。もしかして恐い?』

聖母姫「答えになってないし、いまはあなた以上に物理的に恐いです!」

騎士王『んじゃ』ギュ-

聖母姫「ひゃっ!?」

騎士王『・・・俺に抱きついてれば大丈夫でしょ』ナデナデ

聖母姫「う・・・」

騎士王『このまま座ろうか。膝から降りないでね、滑るといけないし』ヨイショ

567 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:31:46 pfnnllZ. 461/539


騎士王『うーん、やっぱ密着してると、からかいたくなる』チュ

聖母姫「ひゃ! も、もうやめてくださいっ! 高い場所で目が眩んでいるのです!」

騎士王『あはは、それはすごく残念だなー。絶景を二人占めなんて、デートスポットにいいと思ったのに』ナデナデ

聖母姫「はぁ・・・」

聖母姫「あのですね。ちゃんと言っておきますが・・・私は騎士王と婚約しているので、口説いてもダメです」

騎士王『え。ソイツと婚約までしてるの?』

聖母姫「・・・まぁ、魔王様に勝ったらという条件付ですけど」

騎士王『ぷ、あはははは!!』


聖母姫「な、なんで笑うんですか!」

騎士王『いや、最高の求婚の断り文句だなと思って。結婚する気なんか無いじゃん、ソレ。普通もう諦めてる』クックック

聖母姫(本人が言ってるわけじゃない本人が言ってるわけじゃない本人が言ってるわけじゃない!)

568 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:32:48 pfnnllZ. 462/539


騎士王『あー、おかしかった・・・』ハハハ

聖母姫「もう・・・笑わないでください! 本気なんです!」

騎士王『お、元気でてきたね。高いのにも、少しは慣れてきた?』

聖母姫「え? あー・・・そうですね。下さえ見なければ・・・」

騎士王『ん、よかった。じゃぁ・・・ 』

騎士王『もっかい、さっきの続きから 口説いてイイよね?』チュ・・・ チュ、チュ、チュ・・・

聖母姫「!? ちょ、やです! やめ・・・ひゃ// 耳! 耳やめてください!! やぅ!// 首もダメです!!」

騎士王『やめれないー』ギュムー

聖母姫「う。そんなに抱きしめられたら・・・動けな・・・」クル

騎士王『』ジッ

聖母姫「・・・う」フイッ

騎士王『下、見ると怖いよ?』

聖母姫「~~~っぁぅ」ブルッ・・・

騎士王『下は、いいから。俺だけ見てて』

聖母姫「~~~っ」コクコクコク!

569 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:33:20 pfnnllZ. 463/539


騎士王『・・・姫は・・・俺が、怖い?』ジッ・・・

聖母姫「・・・・・・ぁ・・・」ドキ

騎士王『・・・・・・ほんとに、俺のこと、嫌?』

聖母姫「・・・」ドキ…ドキ…


(こんなの・・・)


騎士王『・・・否定も、抵抗もされないなら・・・、無視されてるだけでも、今はすごく嬉しい』チュ・・・チュゥ・・・

聖母姫「んっ・・・む、ぅ・・・」


(こんなのは・・・あんまりにもズルすぎる・・・)


騎士王『・・・』チュ・・・ムチュ、チュゥゥ・・・

聖母姫「んん・・・ぁ・・・む・・・ぷは。・・・んっ、む・・・う・・・」


(騎士王様にしか、見えないなんて・・・)

570 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:33:55 pfnnllZ. 464/539


騎士王『・・・』ジッ

聖母姫「・・・ぁ・・・」


(・・・逆らいたく、ないなんて・・・)



騎士王『嫌だったら・・・ちゃんと、言ってくれたら・・・やめるから』
ゴロ・・・トサ


(ずるい)


騎士王『姫・・・』ソッ・・・




ザク。


騎士王『・・・』

魔王「お前という奴は・・・・っ」プルプルプル

571 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:34:26 pfnnllZ. 465/539


騎士王『・・・』フー

聖母姫「ぁ・・・魔王、さま・・・?」ボー

「大丈夫ですか、姫様・・・何かされていませんか?」

魔王「どうしたら野外、それもこんな高所で行為におよぼうと思えるんだ! 猿以下か!」

騎士王『・・・』スー


騎士王『お前は! なんで! どうして! ココぞって時に邪魔するんだ!!』

魔王「俺だって毎回押し倒してるとこに割り込みたくは無いわ、この痴漢猿!」

騎士王『本当にタイミング見て計ってんじゃないのか、この変態!!』


聖母姫「・・・・・・」チラ

「・・・安心してください、もちろん計ってません。これは偶然です」

572 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:34:58 pfnnllZ. 466/539


魔王「おまえみたいななぁ・・・・・・」イライライラ

魔王「本能で爆走してるような25重人格者に言われたくない!! 斬り捨ててやる!」チャキッ

騎士王『わー最低。女の子二人も居るのに剣だすとか。こんな場所で斬るつもり?」ジロッ

魔王「何処に居ようと、斬ることに変わりはないだろうが」ギロ

騎士王『・・・姫を傷付けたら、俺は許さないよ?』ギュッ

魔王「そちらに当てない程度の腕はあるさ。せいぜいそのまま盾になってろ!」シュパッ

シュタッ・・・・
ジャキキン

スタン・・・
騎士王『・・・斬りつけたな』

魔王「ふむ。この足場で、あの体勢から姫を抱えて避けるとは」

魔王「やはり機動力は侮れない。正直、側近以上のようだな。手加減していては斬れないか・・・」


騎士王『・・・姫、ごめん。恐いけど許してね』

573 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:35:47 pfnnllZ. 467/539


聖母姫「え・・・?」

シュタッ・・・

聖母姫「まって・・・! ここ・・・塔頂・・・っ!」

騎士王『大丈夫。俺、”姫”は絶対守るから』ギュ

聖母姫「え・・・?」

ヒューーーーーーン・・・

シュタッ

騎士王『ね。・・・大丈夫だったでしょ?』

聖母姫「~~ぁぅ」クラクラ

騎士王『ありゃ、ごめん。どーも俺は精神的な負担ってやつが予想できなくて・・・』


ブン・・・パッ

魔王「お前は忍者か何かなのか。あの高さ、飛び降りるなどと正気じゃないぞ」

騎士王『あれ?・・・お前も飛び降りたの?』

魔王「馬鹿な。転移したのだ」

574 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:36:36 pfnnllZ. 468/539


騎士王『・・・そんな魔法が使えるなら、なんで今まで使わなかったんだよ?』

魔王「・・・・・・」フイ

騎士王『・・・?』


(駆けて逃げるのを見て、つい駆けて追いかけてしまいました・・・『取って来い』の犬になった気分です)ハァ

魔王(后に、犬みたいって思われたらどうしよう・・・最近ずっと魔獣だったしなー・・・)ハァ

騎士王『溜息のシンクロって何気に気持ち悪いからやめろよ・・・何考えてんだ・・・』


騎士王『まぁ、追ってきたのには変わらないか』


騎士王『姫。 俺の後ろ、少し離れた所に下がってて』スッ

聖母姫「あの・・・」

騎士王『絶対に、動いちゃ駄目だよ?』ニコ

聖母姫(・・・騎士王様・・・じゃ、ないの・・・? 本当に・・・?)

575 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:37:07 pfnnllZ. 469/539


騎士王『おい!そこの黒いの!』

魔王「黒・・・」

騎士王『ここならば姫も安心して離れていられるだろう。掛かってくるのならば受け立つ!』

魔王「・・・何?」

騎士王『剣を抜かないのならば退け。深追いはしない。姫に危害をくわえる気ならば容赦はしないと心得ろ!』

魔王「ち、面倒な。さらにまた別人格が・・・?」

騎士王『俺を侮辱する位ならば許してやる』


魔王「・・・・・・いつの間にか、俺が悪者の立ち位置にいるな」

「魔王ですから、あってますよ魔王様」

魔王「そうだった・・・。とにかく、姫をこちらによこせ」

騎士王『断る。姫は俺が必ずお守りすると決めたのだ』キリッ


魔王(やばい、長いこと不真面目だったから魔王の立ち位置がわからなくなってる)ウーン

魔王(よく考えたら、今まで相手が弱すぎて、こういう、いかにもVS魔王戦ってしたことないんだよな・・・・・・)

576 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:37:58 pfnnllZ. 470/539


魔王「・・・・・・・・・あ」

騎士王『何だ!』スチャッ!


魔王「成る程、な。 わかった」

騎士王『・・・企み事か』

魔王「まぁ、そうだな。ククク・・・余興としては面白いか」

騎士王『・・・不吉な奴め』

魔王「当たり前だろう?・・・俺は魔王なのだから」

騎士王『!?』

聖母姫「魔王様・・・?」


魔王「姫は奪わせてもらうぞ」

騎士王『魔王。俺の前に現れたことを後悔しろ』スチャ

577 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:39:39 pfnnllZ. 471/539


魔王「さて・・・どこまでできるかな」チラ・・・

スタっ

聖母姫「きゃ・・・私!?」

騎士王『姫っ!』シュタッ・・・

ガキン!!

魔王「ほう。よく守った」

騎士王『貴様・・・なんのつもりだ!姫を殺す気か!?』

魔王「そうだ、と言ったら?」クク

聖母姫「え?」

騎士王『くそ、それが狙いか!』

魔王「守りきって見せろ」
バシュッ!!

聖母姫「きゃぁぁぁっ!? 」

・・・シュババババン!

騎士王『姫っ!!』
ガキキキキン!!

578 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:40:16 pfnnllZ. 472/539


魔王「ふむ」スチャ  ブンッ!

ガキン!
騎士王『! っく・・・っ』グググ・・・

魔王「キツそうだな? 力比べや防衛戦は苦手か」ククク

騎士王『だとしても・・・姫は命に代えても守る。盾として死ねれば本望だ』

魔王「・・・」カチャッ

騎士王『っ!? ・・・引いた?』

スタッ・・・トン
魔王「・・・少し時間をやろう。俺とて弱い者虐めをしたいわけではない」

騎士王『何のつもりだ』

魔王「どうしたら、守れるか。考えてみるんだな・・・ 行こう、后」

「はい、魔王様」


魔王「30分で戻る。あまりふざけたことをしていれば、次は間違いなく姫を殺されると思え」パチン
ブン・・・パッ

騎士王『な! ・・・消えた?! 本気で時間を与える気なのか、なんて傲慢な!』

579 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:40:53 pfnnllZ. 473/539


騎士王『・・・姫を殺す、か。 口説いてる場合じゃなくなっちゃったな・・・』

スタスタ・・・

騎士王『・・・大丈夫?』

聖母姫「あ・・・はい・・・」


騎士王『魔王ってやな奴だな。女の子に刃を向けるなんて。しかもなに考えてんだか・・・』ポンポン

聖母姫「あ、あの?」

騎士王『どした?もしかして腰抜けた?』アハハ

聖母姫「い、いえ、そうじゃなくて・・・あなたは・・・え? 別人格・・・なわけでもない? 戻った? 誰??」

騎士王『うーん・・・騎士王サマーって呼ばれるよりは、まだアナタのがいいか。新婚みたいでドキドキ』ヘヘ

聖母姫「なっ?!//」

580 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:41:32 pfnnllZ. 474/539


騎士王『・・・ごめんな、恐い思いさせて。でも絶対守るから。約束するから』ナデナデ

聖母姫「・・・・・・あ・・・騎士王様・・・?」

騎士王『・・・へへ。わりとキツいんだな。・・・好きな子に、俺以外の男の名前で呼ばれるのって』

騎士王『そいつの名前・・・ あんま言うと俺、泣くよ?』ポンポン

聖母姫「・・・・・・違うの? 本当に、騎士王様ではないって言うの・・・?」ポロ

騎士王『・・・俺は、そんな名前じゃない・・・ごめんね』

聖母姫「こんなに・・・同じで・・・なんで、違うの・・・? もう・・・わかんないよ・・・私は・・・誰が好きなのか・・・」ポロポロポロ・・・


騎士王『・・・姫・・・泣かないで。・・・ごめん、なんか・・・俺のせいなのかな・・・』

聖母姫『・・・・・・・・・』ポロポロポロ・・・

騎士王『・・・』ナデナデ

581 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:42:14 pfnnllZ. 475/539


騎士王『・・・あのさ。 姫、抱いてもいい?』

聖母姫「え・・・?」

騎士王『ごめん』グイ
ギュー・・・

聖母姫「きゃっ・・・何を・・・」


騎士王『あ。姫・・・結構小さいんだね?』

聖母姫「なっ! ひど・・・//」

騎士王『さっきから思ってたんだけどね。俺より頭一個近く違うかな。うん、細いし。やっぱり軽い』

聖母姫(う// 身長の話でしたか・・・つい胸の話かと・・・)モジ

騎士王『・・・っぷは、顔にも態度にも出てる! それじゃバレバレだよ、考えてること!』アハハハ

聖母姫「~~っ//」

騎士王『うん。泣いてるよりは、怒ってるくらいのが元気でいいよね。できれば笑顔も見せて欲しいけど』ナデナデ

聖母姫「あ・・・ そのために、そんな話を・・・?」

騎士王『流石に今は触って確かめてる場合じゃないのがすごく悔しいけどねー』ヘヘ

582 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:43:01 pfnnllZ. 476/539


スクッ・・・

聖母姫「・・・あ、あの?」

騎士王『姫も立てる? 今のでちょっとわかったかもしれないんだ、守りながら戦う方法』グッ・・・

聖母姫「・・・方法・・・?」スク・・・ッ トン

ギュッ

聖母姫「っ、また! ・・・どうしてそうやってすぐに抱きしめるんで・・・」


騎士王『姫なら、きっと抱いたまま戦える』ギュー・・・

聖母姫「・・・・・・え?」



騎士王『なんでかな。姫を抱いてると、すごい勇気わくのな』

騎士王『絶対守りたいって思えるし、姫なら離さないでいられる自信もある。俺も随分、傲慢だよなー』ハハ・・・

聖母姫「・・・(・・・騎士王様じゃないのに・・・なんで私は・・・大人しく、このヒトに抱きしめられているの・・・?)」

583 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:44:18 pfnnllZ. 477/539


騎士王『このまま、魔王が戻ってきても・・・君を抱いたままでいてもいい?』

聖母姫「・・・(ダメなのに。頭では、ちゃんとわかってるのに)・・・」コクン

騎士王『ありがと』チュ


聖母姫(騎士王様・・・ごめんなさい。どうしても・・・逆らえません・・・)ギュ・・・


ブン・・・  パ

騎士王『!』

魔王「・・・さて、そろそろよい頃合か?」

騎士王『・・・女を置いてきたのか。 少なくとも良識くらいはあるようだな』

チャキン

騎士王『・・・・・・あれ?』

聖母姫「どうしましたか・・・?」


騎士王『・・・これ、誰の剣?』

聖母姫「騎士王様の、愛用する剣ですね・・・」

584 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:44:59 pfnnllZ. 478/539


騎士王『・・・あれ? いや、この剣は俺のだよ。 俺のだけど・・・誰かいじった?』

聖母姫「ですから、騎士王さまの愛剣です」

騎士王『??』

魔王「クク…やはりな。それは模造品だ」

騎士王『模造品? 俺の剣はどこへやった?』

魔王「知らん。だがそれを使ってかまわぬさ、元々俺の作ったものだ」

騎士王『……』スチャ・・・

騎士王『…いや、やっぱり俺の剣だ。 でも・・・なんか違う?』

聖母姫「だから違うと言ってます! なんなんですかもう!」


魔王「…こちらは既に準備を整えてきたのだ。くだらぬ事に気をとられていると死後に後悔する」

騎士王『・・・準備、だと?』

魔王「いくぞ!」パチン
ブン・・・ 

パッ

-------------------

585 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:45:41 pfnnllZ. 479/539


<魔王城 黒百合の庭園より、少し手前の広場>

・・・ブンッ パッ

スタッ スタタッ
騎士王『・・・!? どこだここは!』

聖母姫「ここは…魔王城?」


騎士王『…! あいつ、俺に時間を与えたのは…この支度をするためだったのか…!』

聖母姫「支度? 魔王様は・・・一体…?」


グルグルグル・・・ ガゥルルルル・・・
   ギャォォォ! ギャオオオオオ!
ピヤァァァァ!
      ガガ・・・シンニュウシャ・・・コロス・・・コロス・・・


聖母姫「な…魔物が…?」

騎士王『くそっ、領地に引き込むとは…』

聖母姫「か、軽くみただけで・・・50体程はいますね…みんな殺気立ってる・・・」ゴクリ

騎士王『正々堂々と戦わないなんて・・・なんて卑劣な奴!』

586 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 07:46:15 pfnnllZ. 480/539


魔王「ククク・・・俺は魔王だぞ? 魔物をけしかけて、何がおかしいというのだ」ニヤ

魔王「・・・魔物達、後は任せよう。そいつら・・・『両方とも、殺せ』・・・」


ギャオォォォォォ! ギャオオオオ!
   コロセ! コロセ! コロセ!
 ガオオオオオオオッ! 
      キシャァァァァァ!


聖母姫「え…? 嘘・・・魔王様・・・」


魔王「・・・これならば…『おまえ』とは2度と会うこともあるまい」パチン
ブン・・・ 

パッ

588 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:15:43 pfnnllZ. 481/539


騎士王『まて、魔王っ! ・・・くそ!!』

聖母姫「…魔王様…これは一体…」ブツブツ


騎士王『ああもう! 俺はなんってことしちゃったんだ・・・!』

騎士王『ハァ。 …ごめん、姫。俺のせいで、恐ろしいことに巻き込んじゃったな・・・』

聖母姫「え?」

騎士王『え、って・・・』


騎士王『恐く…ないの? 姫は。 これだけの魔物に囲まれているのに・・・』

聖母姫「・・・守ってくださるのでしょう? ・・・これくらいなら、倒せるんじゃないですか?」

騎士王『は…はは。なんで俺のほうが萎縮してんだ・・・みっともないトコ見せちゃったな。うん、そうだ。”姫”の前ではカッコよくいようって決めてたのに・・・よし、やり直す!』


騎士王『姫を、抱いていたのは正解でした。間違いなく姫は、俺の希望そのものです』 ジャキン!

騎士王『一撃千倒と言われたこの腕…お見せ致します!!』

---------------------

589 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:16:29 pfnnllZ. 482/539

----------------

私を片腕に抱いたまま、低空で跳躍する。

鞭のように翻る剣と、美しい金属音の残響。

いつか見た、騎士王様とおんなじ戦い方。


あの時と違うのは 私がその腕に抱かれていること。

円舞のようなその回転をするたびに、私のドレスの裾が翻る。

曲芸のような剣の持ち替えに、私の体がターンする。

抜いた瞬間に血液を振り払われ、輝きを取り戻す剣の光は まるでスポットライト。

誰かをその腕に抱いて戦うのが前提のような、完成されたステップ。


それはまるで、殺戮という恐怖を 誰かの心に植えつけないために

目を閉じていれば、まるで踊っているかのように錯覚させられる 戦い方。

590 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:17:19 pfnnllZ. 483/539


負担や衝撃のかかる 拮抗した鍔競り合いなどを許さない。

一息で駆け抜けて 早々にその場を終わらせるための 跳躍と疾走。

誰かの為に 誰かを守るためだけに生まれた 勇者の戦い方。


勇者が、姫を抱いて戦うためにつくりだした 戦闘曲。

姫の心を思いやるために生まれてきた 場違いな舞踏曲。

間違いなく、この方のカラダと魂は騎士王様・・・勇者様なのだと確信できるのに。

591 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:18:25 pfnnllZ. 484/539


眼前に迫る 最後に残された一頭。

双頭の巨大な蛇。

その末端が見えないほどに

長く伸び、蠢く大蛇。

その口元に、突如打ち込まれた一本の杭。

そして一瞬の構えの後に、一息に尾まで切り裂かれる。


騎士王さまに出会うより、ずっと以前に見たものと 寸分たがわぬその動き。

そういえば 彼はこう言っていた気がする。

『プリンセスを助けるのはナイト』なのだと。

彼は・・・ まさしくナイト ――騎士 なのだと ようやく理解できた。

---------------------

592 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:19:28 pfnnllZ. 485/539


聖母姫「・・・まさか・・・そんな・・・」
騎士王『…静まったな。どうやら敵の増援もなさそうだ…』ハァ

聖母姫「・・・なんで、気がつかなかったの・・・」

騎士王『よかった、姫が無事で。…とにかくすぐに城に戻らねば…』

聖母姫「…この技…この、戦い方は・・・騎士様のものです…」

騎士王『え』


聖母姫「あなたは…騎士様…ですね?」

騎士王『俺を、知ってる・・・? 君は… 一体…』


聖母姫「私は・・・王国の一人娘、姫です!」

騎士王『な…姫? 王国姫か!? でも…俺の知ってる姫はもっとずっと幼い子供で・・・』

聖母姫「あれから…10年以上もたっているのです…私だとわかりませんか…?」

騎士王『10年・・・?! あ…。だから…俺はこんなに君の事が…? でもなんでそんな・・・俺は一体・・・?』

593 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:20:04 pfnnllZ. 486/539


聖母姫「・・・もう・・・もう、いいです・・・そんなことより・・・! そんなことより・・・言わせてください・・・っ」ポロポロ

聖母姫「あれから・・・ずっと、ずっと後悔していて・・・どうしても、言いたかったのに・・・っ言えなかった言葉を・・・」ポロポロ

騎士王『言いたかった・・・こと・・・?』

聖母姫「騎士様…ありがとうございました! 騎士様の無事の生還を、何より願っておりました・・・っ」ニコ

騎士王『!』

聖母姫「・・・ようやく・・・言えました・・・っ。・・・また、『騎士様』に・・・会えましたっ・・・帰ってきてくれましたっ」ポロポロ・・・


騎士王『・・・・・・”帰れた”? ・・・っ』ズキッ

聖母姫「騎士、様・・・?」

騎士王『俺・・・? あぁ、そうか・・・ 俺・・・帰れなかったんだっけ・・・』フラ

聖母姫「騎士様!?」

騎士王『ようやく・・・姫のもとに…帰れた・・・』

ガクン

聖母姫「騎士様!?」ガシッ

594 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:21:55 pfnnllZ. 487/539


聖母姫「大丈夫ですか!? まさか、また記憶と人格が・・・」

騎士王「・・・あ・・・だいじょうぶ・・・」フラ・・・

聖母姫「ですが・・・ っこれは、もしかして・・・騎士様の人格が、定着した・・・?」


騎士王「・・・・聞いてくれる・・・?」

聖母姫「え・・・?」


騎士王「ずっと前に・・・お城で生まれた、小さな姫のお披露目があったんだ」

騎士王「・・・真っ白な布にくるまれて、白でも銀でもない髪が美しく輝いてて」

騎士王「丸くて大きな瞳を、惜し気もなく綻ばせて…その姫は笑ってた」

聖母姫「騎士様・・・?」


騎士王「天使だって思ったんだよね」

騎士王「俺は天使に仕えるんだって思って…騎士としてがむしゃらに頑張れたんだー」ヘヘ

騎士王「その姫の前ではいつも格好つけて騎士らしくしてたのに…ついに、騎士の素の顔がばれちゃったや」

595 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:23:22 pfnnllZ. 488/539


聖母姫「ふふ・・・そんなこと、しなくてもよかったのに・・・」

騎士王「な。みんなに二重人格者って散々いわれるほど、がんばって素を隠してさ」

騎士王「公の場所での、騎士の振る舞いが癖にまでなったのに・・・こんなバレ方するとか、最悪だよ」アハハ

聖母姫「しかも、私じゃないヒトを口説いてたつもりだったなんて、2重でヒドイです」クス

騎士王「うん、でもやっぱり、姫ちゃんだったから口説いたんだと思うよ」ヘヘ


聖母姫「え? ・・・いま、私のこと・・・。騎士・・・様? え? 騎士王様なのですか?」


騎士王「…約束、守れなくてごめん…」ナデ

聖母姫「約束・・・?」

騎士王「へへ。覚えてないか?」

騎士王「可愛いかったなー。『いつか私をお嫁さんにしてください!』って、俺に言ってくれたんだよ」

騎士王「俺も、『騎士として、いつまでも姫様のお側でお守り致しましょう』…なんて。カッコつけて約束したつもりなんだけどなー」ハハハ

596 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:23:53 pfnnllZ. 489/539


聖母姫「あれ…子供から受けた告白を、体よく流されたのだと思ってました…」

騎士王「だよね。うん、なんか反応おかしいなーとは思ってたんだー。超解釈でもしたの?」

聖母姫「だってそれって、『王になるかどうかは別として、少なくとも騎士としては支えるよ』って意味ですよね?」

騎士王「・・・いや、だって・・・結婚したとしても俺は王にはならなかったはずだよ? あくまで婿・・・」

聖母姫「ああ・・・お父様は昔、よく私に

『お前が国を継いだら国が潰れるから、お前は王位を譲れるだけの相手と結婚せにゃならんよ』

と言い聞かせてましたから・・・そういうものなのかと・・・すみません」

騎士王「oh...確かにちょっと当時から破天荒な姫だったかも…」


騎士王「まぁ、約束の意味が伝わってないのは気付いてたんだ。どうしたもんかと、苦労もしたし」アハハ

騎士王「俺は勝手に・・・意味はちがくても、約束だけは守るつもりだったんだ。本気でね」

聖母姫「・・・騎士様・・・」

597 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:24:26 pfnnllZ. 490/539


騎士王「でも…魔王討伐に向かう途中…魔物の群れに出くわして・・・」

騎士王「…仲間が・・・分散していて、うまく戦えずに、追い詰められて。…錯乱状態で、隊の仲間まで一緒に…」

聖母姫「・・・ッ それ、は・・・!」


騎士王「とてもじゃないけど、このまま天使の側には帰れないと思ったんだ。でも他に行くべき場所もなくて・・・」

聖母姫「・・・騎士様・・・」


騎士王「でも…そっか。全部わかった。ようやく、繋がった」

騎士王「どうして・・・2度目の初めても、3度目の初めても、姫ちゃんを一目見ただけでこんなに好きになるのか・・・」

騎士王「これで……ようやく、繋がったんだ・・・」グラ

バターン

聖母姫「!?」


聖母姫「だ、大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

聖母姫「ま、まさかまた・・・昏睡状態に・・・!? いやです、騎士様・・・、騎士王様!?」

598 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:25:28 pfnnllZ. 491/539


ブンッ・・・ 

パ

魔王「そいつなら大丈夫だ」

聖母姫「魔王様! 騎士様が・・・!!」


魔王「城から水晶で見ていた。安心しろ。・・・大きな精神的ダメージの封印が解禁されて、一時的に負担が高まっているのだろう」

魔王「さしずめ、脳の記憶の整理のために、また睡眠状態に入ったというところだ」

聖母姫「大丈夫・・・なんですか?」

魔王「昏睡は昏睡だろうが、以前よりは確実によくなっているはずだ」


聖母姫「・・・あの・・・今までの人格は・・・騎士様・・・ですよね? 騎士様が・・・新しく人格として定着してしまったのですか?」

魔王「・・・ふむ。あの人格がもつ記憶の経験時点でいえば、騎士ということになるな」

聖母姫「・・・経験時点?」

599 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:26:07 pfnnllZ. 492/539


魔王「自己防衛の為に封印していた記憶が、前後の記憶を分断させていたんだ」


魔王「ずっと姫のそばにいたかった騎士の記憶」

魔王「・・・『それを不可能にさせ、自殺にまで追い込んだ大失態』の記憶」

魔王「俺に創生されて、1から生まれ変わってからの側近としての記憶」


魔王「『姫の下に帰る』という目的が擬似的にでも達成されることで・・・中間の封印された記憶が受け入れられるようになり、ようやく側近としての記憶まで、一つに繋がったのだろう」

聖母姫「・・・騎士様と、騎士王様は・・・同じ魂なだけで、別人格だったはずでは・・・?」

魔王「俺もそう思っていたがな」フン


魔王「・・・側近の肉体は、元々俺が創った魔物のカラダ。親からの遺伝や、別の魂からの影響などを持たないただの『外観』だ」

魔王「元々、魔物は生前の魂に影響を受けて創生されるものではあるのだが・・・」

魔王「これだけ元の意識体の記憶を残した魂なんだ、もはや肉体を移し変えられるというか、生まれ変わるというか・・・」


魔王「ざっくり言うと、『強くてニューゲーム』状態になってたんだな・・・」ハァ

600 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:27:01 pfnnllZ. 493/539


聖母姫「では・・・騎士さまと騎士王さまは・・・?」

魔王「肉体は別、成長過程も別。・・・だが、その魂も意識体も、間違いなく『同一人物』だろうな」


聖母姫「・・・では、先程まで一緒に居た騎士様とは・・・」

魔王「騎士として生育してきた場合の、アイツ自身だな」


聖母姫「私の知ってる騎士王様は・・・?」

魔王「魔物として俺に生み出された場合の、騎士自身だな」

聖母姫「・・・」

魔王「ちなみに今そこで寝てるのは、両方の記憶をつなげて持ってるんだろうな」

聖母姫「臨死体験どころじゃないですね、それ。完全に死んだ記憶があるとか、怖くて人間として必要な理性が飛びそうです」

魔王「俺も、二度と勇者の魂を使って創生しないように、法を作っておこうと思う」


聖母姫「では・・・今までのは結局・・・本来あるべき騎士王様自身の暴走ってことなんですか・・・?」

魔王「・・・頭が痛いから、その結論をださないでくれ」ハァ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

601 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:27:49 pfnnllZ. 494/539


聖母姫「騎士王様は・・・また、昏睡してしまうのですか・・・?」

魔王「さあな。その時はまた、一番負担の高い魂から、ストレスを昇華させねばならないのだろうが」

聖母姫「目覚めたら…どうなりますか?」

魔王「…少なくとも、目覚めるのならば昏睡する前以上には精神が安定したと言うことだ」


聖母姫「・・・・・騎士王様を、王城にお連れします」

魔王「いや、触れるな、放っておけ」

聖母姫「?」


魔王「・・・以前、側近と話したときの仮説なのだが。こいつは勇者の能力で、大地から聖気や魔力を吸収する可能性があるんだ」

聖母姫「・・・そうなのですか?」

魔王「いま、こいつは気も魔力もすっからかんなはずだからな」

魔王「うまく吸収すれば、正しい量の魔力と聖気が付いて、精神の安定を大きく助けるだろう」

魔王「…倒れてもなお立ち上がるという伝説の…『勇者の蘇生能力』の正体は、聖気による自然回復能力だったんだろうな」パチン 

モワモワモワモワ・・・

聖母姫「魔王様、何を・・・」

602 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:28:54 pfnnllZ. 495/539


魔王「簡易テントで屋根だけ創った。さすがに気付くまでには日を要するかもしれん。こいつは俺が様子をみる、聖母姫は城に戻れ」

聖母姫「…ですが、騎士王様を置いたままなど…」 

魔王「早く帰れ。…俺も城へ戻る。倒れた后を置いてきたままだ」

聖母姫「お后様が…?」

魔王「先程、城にもどった時に傷の手当を買ってでてな。だがあいつの思っていたより怪我が深かったらしい。
自分のせいでと興奮しはじめて倒れたので、少し眠らせている」

聖母姫「それは…私がわがままを言って、無理に室内にとどまったせいです…結界を張ってくださったのに、お后様に申し訳ないことをしました・・・」

魔王「…。望んだのは后だ。俺は何も咎めたりしない」パチン

モワモワモワ・・・ バシュッ

聖母姫「魔王様…? このおうちは…?」

魔王「どうせコイツから離れる気はないのだろう。おまえを説得する時間が惜しい。だが聖母姫を助けるのがあいつの願いだからな…」ハァ

魔王「ただの小屋だが、ないよりはマシだ。せめてこの中で待つくらいに留めておけ」

603 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/02 10:30:03 pfnnllZ. 496/539



聖母姫「ですが、騎士王様が地に伏されているというのに…」

魔王「…先程、聞き分けのないことを反省したように聞こえたが、嘘なのか」

聖母姫「っ! ……わかりました。ありがとうございます、魔王様。使わせていただきます…」

魔王「それでよい。俺は急ぐ。…ワガママならば、ソイツが目覚めてからソイツに言うんだな」

ブン・・・

聖母姫「騎士王様…どうか、必ず目を醒ましてくださいね…」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・

------------------

610 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:35:40 C/qfdJCI 497/539

------------------
<魔王城 魔王の自室>

「………あ」

目を覚ますと、魔王様の腕の中。
窓枠から漏れる、薄い青が、明け方の時刻を教えている。

(……そうだ。魔王様のお怪我…!)

自分が眠り込んだ原因を思い出す。
結界を破こうとする騎士王様をとめるために、魔王様自らが…

視線をずらすと、私が頭を乗せているその腕に包帯をみつけた。
慌てて体を起こし、怪我の具合を悪くさせなかったか確かめようとする。

するとすぐ、眠ったままの魔王様が手を伸ばし、私を元の位置へと誘導してきた。
私を腕の中に収める途中、僅かに傷口に私の頭が触れる。
一瞬、僅かに眉をひそめたけれど、抱きしめたままの姿勢を崩そうとはしない。
痛みを与えないよう魔王様の胸に重心を寄せると、また規則的な呼吸を繰り返しはじめた。

ここしばらくの間で、急にすっかり定位置を決めた寝姿。
怪我の痛みなどどうでもいいのだというように、私を抱いて離そうとしない寝姿。

温かな腕と、小さすぎる心音が私を包んでくれている。
五感の全てを使わせて、私に幸せを届けてくれている。

611 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:36:29 C/qfdJCI 498/539


毎日が幸せ。

生きられるはずのない時を生きてきた幸せ。
やれることはなんでもやってきた幸せ。
最愛の方の側でそれだけ過ごしてこれた幸せ。
最愛の方の、伴侶となれた幸せ。

それらがあまりにも溜まりすぎて溢れている。
溢れていく幸せに溺れているなど、私はどれだけ贅沢なのでしょう。

200年以上もの時間を過ごしたこの城で
私は静かに静かに沈んでいく。

612 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:38:07 C/qfdJCI 499/539


最初に、それに気が付いたのは魔王様でした。

魔獣の姿の時、意識をしないと漏れだしてくる瘴気。
私の中に入り込んだそれを舐めとることで、私の気配や感情が読み取れるのだそうです。

それを日常的に繰り返している内に、
魔王様は私自身ですら気が付かなかった体調不良や…気配の薄弱化すらをも、読み取りました。

気配の薄弱。
それはつまり魂の劣化を表しているのだそうです。

200年以上の時を生きた、
普通の人間の魂。
それはあまりに長く同じ肉体に留まり続ける事で…劣化してしまったのだろうと。

それから、200年分の記憶や経験を突然保持するようになった、
普通の人間の身体。
それも、脳の処理能力不足により…機能が停止しつつあるのだと。

女神の力が、いまの私の崩壊を留めてくれている。
女神と神に注がれたこの“幸運”は、死に行く人の命を留めるために、逆巻く水のようにどんどんと使われていく。
その奇跡の力が尽きたとき、私もまた尽きるのでしょう。 持って、数年。

613 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:39:25 C/qfdJCI 500/539


魔王様は、魔物の私が人間に戻ったとしても、人間としての寿命程度は生きられると思っていたそうです。
…魔王様はわかること、調べたこと、予想できることを全て私に教えてくださいました。

そのあとで、すまない、と。
私の身体を強く抱き締めて…一言だけ、仰りました。

翌日になって、魔王様は神気の補充を私に提案しました。
ですが、望まないと私が答えると、それ以上には仰らないでいてくれました。

私の指に輝く、残酷な呪縛。
それは私ではなく、魔王様を捕らえてしまっている。

ですがきっと、本当は魔王様もわかっているのでしょう。

勇者や、王国と争わなくなったこの世界で…どれだけの期間を魔王様が生きる事になるか。
過去には数千年生きた魔王もいるという、その寿命。

人の身で…神気に頼り、神に頼み、最期まで付き添うことなど…元々、不可能なのだと。

614 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:42:57 C/qfdJCI 501/539


魔王様はそれ以来
外出と偽り、公務を人に任せ、多くの時間を魔獣として私の側にいてくださるようになった。

じゃれて甘えあい、寄り添い、癒しあう蕩けた時間。
そのような日常の中でも、定期的に私の気配を確認せずにはいられない魔王様。

夜になると帰城したふりで元のお姿に戻り、私を抱き締めて眠る。
…夜毎、そうしていなければ、眠ることもできぬようになった魔王様。


私が居なくなってから、魔王様は一体どれだけの時を、どのように刻むのか。
今の私にはそれだけが気掛かりです。

「魔王様…私は最期に、何をして差し上げられますか…?」ギュ・・・

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
------------------

615 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:45:07 C/qfdJCI 502/539


<2日後 魔王城 黒百合の庭園より、手前の広場>

魔王「ふむ。…魂を見ると、未だ情報は乱れているようだな。かなりマシにはなっているが…」

聖母姫「あれから、時々うなされることもありましたが・・・ずっと、眠ったままでした」

魔王「他の人格は手付かずのままだし、仕方ないだろう」

魔王「だが、この魂の乱れが勇者としての能力を妨げ、聖気の回収を阻んでいるのかもしれん」

聖母姫「…そんな」

魔王「まったく、厄介な事をしてくれるな、2000年前の勇者は…」


魔王「聖気…生気。まさに活力か。なにか助長させることができればよいが…」フム

「騎士王様でしたら、姫様との仲の進展が一番の活力でしょうね」クス

魔王「『目覚めのキス』でもしろと? 后は童話の読みすぎだな」ハァ

「騎士王様は、いつだって愛の力を信じていらっしゃいましたよ」クスクス

616 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:46:28 C/qfdJCI 503/539


魔王「では、愛の力など有り得ないと証明してやろうか。どちらに転がろうと損は無い。…聖母姫」

聖母姫「え…っ、その、私が…キスをすればよいのですか?」

魔王「試しにな。何、寝ているのだから本人にはわからんさ」

聖母姫「……で…では…」

スッ…

聖母姫「…騎士王様…」

聖母姫「…」チュ

チュ…ムチュ…チュー、クチュ…


(なんと濃厚な// 目覚めのキスというより、まるきり襲っているように見えます//)ドキドキ

魔王(あー、騎士に習ったのか…。アレで婚前交渉は無しとか、ハニートラップすぎるな…)ウーム

617 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:47:31 C/qfdJCI 504/539


チュパ…ツー…

聖母姫「ん…騎士王様…起きて…」

騎士王「…」

聖母姫「…騎士王様…。やっぱりだめなのですか…?」


騎士王「……ぁ」ボー

聖母姫「…騎士王様…?」


騎士王「…なんかすごいいい夢みた気が……続き…。うん、もっかい寝なきゃ…」ゴロン

魔王(愛の力じゃなく、馬鹿の力が証明されたな…)ハァ

聖母姫「ま、まってまって!まってください!? 起きて!」

騎士王「だいじょうぶ…いまいくよー」ウトウト

聖母姫「騎士王様!! 私はここにいます!!」

騎士王「!」パチ

618 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:49:36 C/qfdJCI 505/539


騎士王「あ、あれ? 姫ちゃん? 本物? 夢?」キョロキョロ

ギュ・・・
聖母姫「良かった…目が醒めて…」ポロ

騎士王「ちょ、何? どこまで夢? どうなってんの?」

聖母姫「夢にしないでください…。ちゃんと起きてください…」ポロポロ・・・

騎士王「え…」


騎士王「…ごめん…もしかしてなんか迷惑かけた…?」

聖母姫「覚えて…ないのですか?」

騎士王「…なんか、ずいぶん長い事…いろんな夢みてたわ…」

聖母姫「……」ポロポロ

騎士王「最悪なことばっか続くような…いや、まぁ最後の方の夢はすごく楽しかったけど」

619 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:51:47 C/qfdJCI 506/539


聖母姫「…ふふ。夢ではありませんでしたよ」

騎士王「なんだ、夢じゃなかったのか… って、え? 夢じゃない?」

聖母姫「散々、口説かれました。これでは浮気だと思い、随分と苛まれました…」

騎士王「う、うわ…ごめっ。でもあれは夢の中の事で勝手に… って何これ、夢遊病か、俺?」


魔王「夢遊病患者に刺されるとか、たまったもんじゃない」ハァ

騎士王「…あ、魔王。 …あれ、それももしかしてマジで…」

魔王「刺されたな。散々、俺を邪魔者扱いしやがって」

騎士王「俺の意思ではなかったとだけ言わせてくれ、ずいぶん昔の夢を見てた気がしてるんだ…」ズーン

620 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:54:17 C/qfdJCI 507/539


聖母姫「…どうして、倒れるまで…何も言ってくださらなかったのですかっ?」

騎士王「倒れた…んだっけ。そっか…式典の演説中だったな…ごめん」


騎士王「…俺、あの後どうなったの…?」

魔王「身体を死に至らせるだけの精神的ダメージを持つ『騎士の記憶』。他にもあるようだが、おまえはそれらの影響を受けて昏睡していた」


騎士王「騎士…か。俺の前世。確かに、俺自身のように思ってはいたけど…」

騎士王「その割には、ソイツの最期をはっきりとは思い出せなかったんだよな…」ハァ

魔王「自己防衛だな。自殺者の感情は強く魂に刻まれる。精神的ダメージだけで肉体を死に追いやるほどの記憶だったのだろう」

騎士王「……。うん。キツかったな。日に日に、記憶がいろいろ蘇り始めて…すごくリアルで、段々怖くなって…」

騎士王「自分が・・・自分じゃないような気がしてきて」

騎士王「このままじゃいけないと思って…一人で、ひとつひとつの記憶に向き合おうとしたんだ」

聖母姫「…それで、あのような不審行動を…?」

621 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:56:16 C/qfdJCI 508/539


騎士王「向き合おうとすればするほど…次々に記憶がでてきて。キリがなくて…やめたくても、止まらなくなって…」

騎士王「騎士のあの記憶が蘇ったときには…俺は死ぬべきだと思った」

「騎士王様…では、塔から落ちたのは本当に自殺を…?」

騎士王「…ごめん。記憶が蘇ってるとき、本当に自分がソイツになるような感覚があって…混同しちゃうんだ」

聖母姫「バルコニーで…泣いていたのは…?」

騎士王「騎士の記憶が…魔王討伐の出兵式の記憶がよぎって」

騎士王「あの時もみんなが期待して集まってくれて、挨拶して出発したんだ。…でも、その後どうなるか知ってて…それを思い出したら…」ハァ


聖母姫「辛いときには、独りで抱え込まないでください…私はそんなに頼りないですか…?」

騎士王「…ごめん。姫ちゃんには、弱ってるとこ見せたくなかったんだ」

聖母姫「ふふ、騎士様と同じですね。私の前だからって、カッコつけたりしなくてもいいのに…」

622 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:58:50 C/qfdJCI 509/539


騎士王「なんだろ。騎士の記憶が、本当に自分が過去に体験した記憶みたいに感じる。一気に年を取った気分だ」

魔王「同じ意識体だ。時系列で脳が整理したら、そうなるだろうな」

騎士王「やばいな…。騎士のイメージ崩れた上に、悟り開けそうな過去がいろいろ思い出せる…」

騎士王「記憶喪失者が記憶を取り戻すときって、こんな感じなのかな」ハァ


聖母姫「悟りそうな騎士様の過去って、どんなものですか?」

騎士王「…騎士になる前の記憶がいろいろヒドい。姫に出会って180度人生かわったレベル」ドンヨリ

聖母姫(すごく聞きたい)

(とても知りたいです)

騎士王「そんな顔されても絶対言わない。既に俺の過去みたいなもんなんだ…ほんとごめん姫ちゃん」ハァ

聖母姫「謝られるような過去って一体…怖くて聞けなくなりました…」

623 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 02:59:55 C/qfdJCI 510/539


魔王「…それにしても謝ってばかりだな」

騎士王「なんか…前みたいに、思い出したソイツになるような感覚は無いんだけどさ」

騎士王「相変わらず、ボーっとすると騎士だけじゃない他の記憶もでてきて…なんか、謝りたくなる」


魔王「…立ち直ったのか、立ち直ってないのかわからんな。全く情けない奴だ」

騎士王「はは。そだな。ちょっとこれは情けないわ」

聖母姫「騎士王様…。騎士王様は、騎士王さまですよ。元気だしてください」

騎士王「やばいなー。姫に励まされる騎士とか、かっこわるすぎるなー」ハハ…


魔王「ふむ。騎士以前に、お前は勇者だったはずだけどな。もういっそ全部、肩書きを捨てたらどうだ?」

騎士王「ひでえな。俺に何が残るんだよ、ソレ。名前まで無くなるわ」

魔王「ふん。その時はまた、軽男とでも呼んでやるさ」

騎士王「ふざけんな、懐かしい名前だしやがって。絶対ヤだね」

624 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:00:59 C/qfdJCI 511/539


聖母姫「何ですか、その『軽男』って?」

「騎士王様は以前、創生されてから側近になるまでの間で、魔王様にそう呼ばれていたのです」

聖母姫「そうでしたか…ですが、なんで軽男?」

魔王「ノリも口調も態度も動きも、何もかもが軽いだけの男だったから」

魔王「今なら『存在も軽い』ってことでますます丁度いいんじゃないか?」ククク


騎士王「魔王、あんまふざけんな。殴るぞ」

魔王「やれるもんなら。軽男の時は本気でやってようやく一本。その後、俺に吹き飛ばされて昏倒してたな」

騎士王「…今の俺には騎士として散々鍛えた体験記憶もあんだ、ナメんなよ」イラ

魔王「確かに騎士の跳躍は見事だったがな。おまえのせいで逆に鈍ってるんじゃないか?」クク


聖母姫「魔王様…騎士王様が弱ってると思って、容赦ないですね」

「刺されたり馬鹿にされたりした恨みがジワジワでてますね。あれでも優しくしてるつもりですよきっと」

625 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:03:01 C/qfdJCI 512/539


騎士王「優しくしてんのは俺だっつの、つけあがりやがって。関わってらんねーな」フイ

魔王「関わられてたまるか。・・・そうだな、いっそ聖母姫も、もうコイツなど見限ったらどうだ?」

騎士王「あ?」イラ

聖母姫「え、あの、流れが読めませんが・・・」


魔王「こんな情けない男なんかの所で一生過ごしたってつまらんだろう」

騎士王「てめ、何を・・・」イライラ

魔王「なんなら魔王城にきてもいいぞ、后もいるしな」

騎士王「」プッチン

626 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:06:16 C/qfdJCI 513/539


聖母姫「え、あー、いや、その…。お誘いはうれしいですが…」

騎士王「姫ちゃん、マジでやめとけ」

魔王「お前のトコにいるよりはマシだと思うがな」

騎士王「何処が」

騎士王「こんな変態スライムつくるわ、色情狂リリス隠し持ってたわ、清掃にくるメイドちゃんの様子を隠れてみてるわ、隠し部屋に大量に貯めこんだsy  魔王「死ね」 」 チャキ

騎士王「…あ」

魔王「…なかなかいい覚悟じゃないか…」プルプルプルプル

騎士王「しまった。ついバラしてしまった」

「……魔王さま。…今のお話は…」


魔王「死ね今すぐ死んで詫びて後悔しながら焼かれ尽くして骨まで残さず熔けて塵屑のように散り飛べ、いいな?」ピキピキ

627 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:07:18 C/qfdJCI 514/539


騎士王「…いやー、ご、ごめんってっ。てへ?」

魔王「赦されると思うな、斬る!」ザクッ

騎士王「あっぶねーな! 何しやがる!!」

魔王「お前に容赦する必要性は無いし、あったとしてもするつもりは無い!!」ザンッ、バシュゥゥゥッ!

騎士王「ちょっ、まじかよ!」シュタンッ

魔王「飛び散るまで潰してやる」ブンッ! 

ビュォォォォォォォオ!!

騎士王「!? やめろ、魔力投げんな、範囲攻撃は危ない!!」


聖母姫「…余程、隠しておきたかったんでしょうね…魔王様」

「騎士王さまの口ぶりからして、他にも続きがありそうですけどね」ハァ


騎士王「ちょ、たんま! タイムだ魔王!」シュタン! シュタタッ!

魔王「生かしておけるか」ダンッ

628 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:08:22 C/qfdJCI 515/539


ジャキキキキン!
バシュッ! 

魔王「その足から塞いでやる」パチン
モワモワモワモワ・・・

バシュゥゥゥ!!

騎士王「! か、囲い!? また跳びにくいものを…」

魔王「逃げられると、余分な被害が出るからな」ギロリ

騎士王「ま、マジでキれてる…?」


「…諦めて、真面目に対抗してください。死んでしまいます」

騎士王「くっそ、なんでこんな…」

「それは『変態スライム』あたりからの発言のせいですね」

騎士王「自爆体質が悔しい!!」

魔王「肩書きも存在も記憶も後悔も、俺がいますぐ消してやるよ…」ゴゴゴゴゴ

629 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:10:22 C/qfdJCI 516/539


聖母姫「…か、壁のせいで、ここが闘技場のように見えてきました」

「魔王vs勇者の正しい構図ですね。これはかなり貴重ですよ」


騎士王「…やばい魔王の気配が、シャレにならない殺気を放っているんだけど…これはリアルに殺されるかも…!?」

「…タヲルでもなげましょうか?」

騎士王「…いやー。ここまできたら、倒すか倒されるかだなー…」チャキン…

聖母姫「大丈夫なんですか!?」

騎士王「まぁ・・・どうせいつかは一回倒しとかなきゃ、姫ちゃんと結婚もできないし…ね!!」ダンッ

魔王「!」

630 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:27:49 C/qfdJCI 517/539


ガキン!

シュババババ! バシュッ!
ガガシャーーーン! ドドド! 

<クチまで軽い馬鹿は死ね! ガシャシャーン!
<俺はもう生きるって決めたんだよ! シュタタン! バシュバシュッ!
<男なら初志貫徹だ! モワモワモワ! バシュバシュバシュ!!
<ふざけんな!そんな後ろ向きな初志貫徹があるか! ヒュンッ!ザクゥゥゥ!
<元々俺の進行方向が後ろなんだ!魔王だからな! ブワッ、ビュォォォォ!
<わけわかんねーこというな!変態! スタタン! ズザザァァァァァ!
<お前に俺を分かられてたまるか! ブン! ガキン!!


聖母姫「・・・み、見えない速さで、罵声と破壊音だけが響いています!!」

「これはすごいですね。どちらも本気の状態だと、ここまでのお力が出せるとは…」


<変態ストーカー魔王! ジャキン! シュタッ
<陰湿ネガティブ勇者! スチャッ! バシュッ

631 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:30:23 C/qfdJCI 518/539


聖母姫「罵声の内容が、行動に対してひどく低レベルなのに関してはつっこまないんですか?」

「……いつもどおりですよ」クス

聖母姫「うーん…確かにいつも通り…喧嘩と戦争くらいの武力程度差を除けば…」

幼天神「なんか、おもしろそうなことしてるね?」ヒョイ

「勇者VS魔王戦ですね… って、え?」


幼天神「遊びにきたら、魔王城にへんな囲いがあったから、転移で入ってきちゃった♪」

聖母姫「幼天神くん…本当に神出鬼没ですね」

幼天神「神だからねー♪」

聖母姫「…結構あぶないですよ、ココ。幼天神くんじゃ、ここぞとばかりに巻き込まれるリスクが…」

幼天神「いやいや、むしろチャンスだよ。あんだけ戦闘に夢中になってて僕にも気付いてないもの」ニコ

「…まさか…また貴方は・・・」

聖母姫「わざわざ、私たちに変なことするために…こんなとこまで…?」

幼天神「母親も人妻も大好物だからね!!」ムギュゥ!

632 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:33:07 C/qfdJCI 519/539


<ひゃ、きゃぁっ!//
<やぁんっ!//

魔王「っ、后!?」

騎士王「幼天神!?」

魔王「ちっ、先にあいつを…」クルッ

騎士王「俺の専売特許は一刀両断! おまえらまとめて倒してやる!」シュタタン!

シュババッ!

魔王「!? ぐぅっ!」

幼天神「やb」 パァァァァァ! パッ


スタン…
騎士王「…あれ、おもいっきり本気の斬撃、魔王の背後から入っちゃった…?」


魔王「」 バッタリ

「ま、魔王様!? ご無事ですか!?」タタタタ…

聖母姫「幼天神くんは、距離があった分逃げちゃいましたね…何しに来たんだか・・・」ハァ

633 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:39:12 C/qfdJCI 520/539


騎士王「……なんだこれ、魔王の負けになるのか? また無効試合?」

聖母姫「まぁ…状況はイーブンでしたし…魔王様が気を取られたのが敗因でいいんじゃないかと…」

騎士王「魔王にとって、后ちゃんってアキレス腱すぎるだろ…」ハァ


ドサッ、ゴロン…
騎士王「なんか、勝ったけど…勝負のきっかけから、勝敗の決め手まで情けないっつーか…」

聖母姫「…クス。気分はどうですか?」

騎士王「つかれた! っと、その前に…后ちゃん! 魔王の様子どお!?」

「…傷は入ってません。恐らく直前で瘴気を盾にしたのでしょう…衝撃で目を眩ませているだけかと」

騎士王「おお…本気でやっても死なないとか、さすが魔王だな…」


「…あの、今の内に、変態スライムと覗き見と隠し扉についておしえていただけると…」

騎士王「何その再戦申し込み。教えたら終わりだよね。次こそ死ねっていってるようなもんだからね?」

「………」

騎士王「そんな目でみつめないで!? さすがに次も勝つ自信はない!!」

634 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:40:26 C/qfdJCI 521/539


聖母姫「…いつもの騎士王さまだ…」

騎士王「え?」

聖母姫「ずっと…最近はずっと、遠くに行っちゃったみたいだったから…」グス


騎士王「あー…。ごめんね、心配かけまくったよね…」ナデナデ

聖母姫「ううん、もういいんですっ! ちゃんと騎士王様に戻ってくれたなら!」

騎士王「魔王とひっさびさにフルパワーであばれたら、すっきりしたわ。やっぱ俺、屋外戦闘だと力出るのかも」

聖母姫「勇者の能力ってやつですか?」

騎士王「そう、みたいだね。魔王が魔王城で瘴気あつめるのと同じだって、魔王が言ってた」

騎士王「なー、魔王? そろそろ起きてるだろ?」


魔王「…あぁクソ。あの馬鹿天神さえ来なければ勝ってたのに…」ノソ…

「魔王様…もうすこし、横になったままでいてください」

騎士王「ケケ。俺の勝ち」

635 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:48:24 C/qfdJCI 522/539


魔王「……おまえ、記憶とかハッキリ戻ったのに…その身体の存在意義は思い出さないのか?」

騎士王「え? ああ、そういやわかんないままだったな」

魔王「……」

騎士王「でもなー、感じろっていわれても、わっかんねえんだよな。何なんだよ、俺の存在意義」

魔王「『魔王の暇つぶし相手として俺に従う』だ。意義を失って消えればいいのに」ボソ


騎士王「……」

聖母姫「……な、なんて適当な…というか、勝っても負けても本気で消すつもりだったんですね…」

(そこまでして隠されるものって何でしょう? 魔王様なら何をしてもされても良いですのに)キョトン


魔王「何故、霧散しない? 肉体が人間に変わりつつあるからか? 勇者の魂に、騎士の強い意志を刻まれているせいか?」

騎士王「しらない…しらないけど…意義の内容に文句もあるけど… 何が一番インパクトあるかっていうと…」

636 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:49:00 C/qfdJCI 523/539


騎士王「俺って…『魔王の暇つぶし相手になりつつ、姫ちゃんのそばにいて守りたい』ってだけで、産まれ変わったのか…?」


魔王「……おお」

聖母姫「……わりと…」

「そのままですね…」

騎士王「試合に勝って、何かに負けた!?」ガーン

魔王「ああもう、側近うるさい。 帰れ!」

騎士王「帰るよ!」ギュッ
聖母姫「ひゃっ!?」

騎士王「魔王なんか…だいきらいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

キンッ・・・ パ

魔王「うるさい! 好かれてたまるか!!」

「もう居ません、魔王様」ハァ

----------------------

637 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:50:21 C/qfdJCI 524/539


<王国 王城 城薔薇の庭園>

キンッ… パッ

ストッ
騎士王「……ああもう。やっと帰ってこれた…」ハァ

聖母姫「……クスクス。『側近うるさい!』って、怒ってましたね」

騎士王「まったく魔王はほんと魔王だよな。いつまで側近させてるつもりなんだか。俺、仮にも勇者なのに」

聖母姫「ふふ。ですが魔王様と一緒にいる時の騎士王様が、一番元気がよくて好きです!」

騎士王「そうかな?」

聖母姫「はいっ! 今回も元気でましたし!」

騎士王「…ちぇ。じゃあ姫ちゃんのために、もうしばらくなら『魔王の側近』してやっててもいいかな…」

聖母姫「くす。素直じゃないですね?」

騎士王「まぁ、魔王あるとこに勇者ありってね」

聖母姫「じゃあ、勇者様とお呼びするべきですかね?」

騎士王「まだ6割以上魔物の身体なんだけどね」

聖母姫「いいんですよ。魔物の勇者さまでも。姫の勇者様だから」

638 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:51:01 C/qfdJCI 525/539


騎士王「姫ちゃん…」

聖母姫「はい、なんですか勇者さまっ」

騎士王「んー…。なんかむずがゆいー」

聖母姫「クスクス」


騎士王「ハァ。魔王の側近だし、勇者だし、なんかもうめちゃくちゃだけどさ。姫ちゃん守れるならなんでもいいや」

聖母姫「そのへんは騎士って感じですよね。やっぱり騎士王様のままがいいかなー?」

騎士王「そだね。その方が落ち着く。 …まぁでも俺さ、魔王に勝ったんだよね?」

聖母姫「はい。おめでとうございます!」

騎士王「…んじゃあ、さ」

聖母姫「?」

騎士王「…姫ちゃんに初めてあったときのキモチで、言えてなかったことあんだけど、言っていい?」

聖母姫「初めてって、ええと…。はっ! まさか、暗黒微笑のクマの時ですか?!」

騎士王「俺、おまえまるかじりー・・・ってあほか!! こんなときに下ネタださねーよ!」ガバッ

聖母姫「きゃぁっ食べられる!?」

639 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:51:59 C/qfdJCI 526/539


シーン

聖母姫「……」ソー

聖母姫「…って、え? な、なんでひざまづいてるんですか!?」

騎士王「……」

聖母姫「や、やめてください、王様なんですよ!? 一体どうし…

騎士王「…俺、いったよね? 姫ちゃんが産まれたときから知ってるって」

聖母姫「…騎士様の…記憶ですね」

騎士王「俺の記憶だよ。俺が最初に君にあったのは騎士の時だっておもう」


騎士王「…だから、騎士としていいたいんだ。言えなかった事」

聖母姫「騎士王、さま? なにを…」

騎士王「あの日の告白の返事、ちゃんとやり直したいと思ってた」

640 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:56:09 C/qfdJCI 527/539


騎士王「誓うよ。君の為に生きる。俺という剣を…君に託そう」

聖母姫「あ…」

騎士王「………」


聖母姫「…王国の第一王女の名において、姫は汝を騎士とします。命果てるまでその誓いを守りなさい」

騎士王「全て、姫の御為に」


聖母姫「……」

騎士王「…・…っぷ、あはははは!!」

聖母姫「くすくすくす、もう! なにやらせるんですかー!」

アハハハハ…

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

641 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:57:28 C/qfdJCI 528/539

----------------------
 エンディング  「ふたり」
----------------------

<魔王城 黒薔薇の庭園 手前の広場>


「ふふ、騎士王様、強くなりましたね」ナデナデ

魔王「ただの馬鹿だったのに、ついに俺を倒せるようになったな」ゴロン

「まさか勇者まで創ってしまうなんて。魔王様はすごいです、本当になんでもできてしまうのですね」

魔王「ああ。これで…創生者は絶対ではないと思える。…少し、肩の荷がおりた気分だ」

「魔王様…?」


魔王「后。…俺の『わがまま』を、また聞いてくれるか?」

「はい。なんなりと」


魔王「…子を、産んでほしい」

「それ…は」

642 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 03:59:17 C/qfdJCI 529/539


魔王「お前の身体に…どれだけの負担がかかるか…無事に産めるのかもわからない」

魔王「だが俺は…お前のいない世界で独り生き続ける事など…耐えられそうになくてな」

「魔王様…?」


魔王「人間のお前を愛してしまったときから…覚悟をしていたはずなのに」

魔王「俺が、俺のままでいれば…死んでもまた、お前の魂を見つけて創生して、側に置くことができると思っていた…」

魔王「何百年かかっても、1からまた始められるからと…、永遠に、共にいられると思っていたんだ」


魔王「でも…耐えられない。待てるわけがない」

魔王「今回のことで……お前の魂ではなく…、おまえを離していられないのだと気付いてしまった」

「……」

魔王「俺の子を成してくれ」

魔王「子を成さねば、俺は死んでもまた俺として復活してしまう。他の誰かとの間に子を作る気はない」

魔王「子を成してその子を魔王に足りるだけ育て…お前も居なくなったときには…俺も、俺を終わらせよう」

「魔王様!?」

643 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:01:50 C/qfdJCI 530/539


魔王「ここ数日の間、その時に俺を殺せる奴がいなかったらどうしようかと思っていたんだ」

魔王「お前を失えば、俺は我を忘れて世界を壊そうとするかもしれないからな」ククク

魔王「側近がいれば、いざとなれば俺を倒せるだろう」


「…私が…荷を、負わせてしまっていたのですね。 …私が、人間だから…」

魔王「まぁ、こうして俺が倒れるときは、いつもお前の膝の上に乗っているからよいだろう。俺は重いか?」

「…はい。とてもとても、心地の良い重さがします。側にいることを実感できて幸せです」

魔王「俺の荷も、同じことだ」

「…子が生まれたら、膝の上では寝れなくなるかもしれませんね? 場所を取られそうです」クス

魔王「む。どかせばよいのだ、そんなもの。第一、お前に乗っていいのは俺だけのはずだ」

「クスクス…」ナデナデ


「はい。私は最期まで、ずっと魔王様だけのものです」

魔王「ああ。后は最期まで、俺から離れてくれるな」

------------------------

644 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:03:42 C/qfdJCI 531/539


<王城 白薔薇の庭園>


聖母姫「…これから、忙しくなりますね?」

騎士王「なんで?」

聖母姫「…魔王様に勝ったのに、まだオアズケさせるつもりですか?」クス

騎士王「…あ。そか…結婚…」


聖母姫「私が姫から后になったら、慣れるまではお后様だけ振り向きそうです」クスクス

騎士王「んー…じゃぁ、今のうちから練習しとく?」

聖母姫「え? 練習?」

645 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:04:17 C/qfdJCI 532/539


騎士王「…后、好きだよ」ニコ

聖母姫「は、はずかしいです// でもなんか幸せです!」

騎士王「后、大好き。后、カワイイ。后、ちっちゃい」ナデナデ

聖母姫「もう!//最後のはどっちの意味ですかっ!//」

騎士王「俺の后。優しい后。世界一大切な后」オデコチュー

聖母姫「ちょ、ちょっとまってください!// どうしたんですか!?// なんかもういろいろアウト…」

騎士王「后。 結婚しよう」

聖母姫「う…//」

騎士王「…俺だけの、后になってくれる?」ジッ


聖母姫「…はい。よろしくおねがいします…//」


騎士王「ぃやったぁぁぁーー!!!」ギュゥゥゥゥゥゥ

聖母姫「~~~っ// 騎士王様はなんかいろいろギャップがありすぎます!!// ずるいです!//」

646 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:05:29 C/qfdJCI 533/539


騎士王「そうかー? しっかし、こんどは『后』の一声で、二人共振り返りそうだなー」ハハハ

聖母姫「ふふ、まだまだみんな一緒に居そうですもんね」

騎士王「ああ。俺たちが作る新世界なら大丈夫さ」

聖母姫「はいっ! …あ、白薔薇がいい香り。今年も綺麗に咲きましたねっ!」

騎士王「そうだな、小さな苗木だったのに…、やっぱり育つのは嬉しいよな」

聖母姫「え?」

騎士王「覚えてない? 昔、庭で毒蛇がでてさ。俺…つか、騎士が捌いて」

聖母姫「おぼえてますけど…」


騎士王「でも姫ちゃん、あのあと怖くてしばらく庭に出なくなったんだよな」

聖母姫「え? そう…でしたか?」

騎士王「わすれてるんじゃん」アハハ

647 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:06:51 C/qfdJCI 534/539


聖母姫「蛇を、捌いたのは…おぼえています」

騎士王「あー…ごめんな、嫌な記憶ってやつか」

聖母姫「いえ。怖い記憶なわけではないので…ただ一閃、一瞬の内に行われたそれが、あまりに印象的で…」


騎士王「そか。…この白薔薇はさ、姫ちゃんを外に誘い出すために…騎士だった俺が、植えたんだ」

聖母姫「え?」

騎士王「蛇のとき、白薔薇なかっただろ?」

聖母姫「そう、いえば…」


騎士王「…最後の一苗は、姫ちゃんと一緒に植えたんだよ」

聖母姫「ご、ごめんなさいっ! 私、覚えてなくて…!」

騎士王「うん、いいんだ。…忘れてほしかったから」

聖母姫「な、なんで…ですか?」

648 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:08:03 C/qfdJCI 535/539


騎士王「最後に植えたのは、魔王討伐に行く出発の朝だったから」

騎士王「…俺はそのまま、帰ってこれなかったから」

聖母姫「っ!!」


騎士王「幼い姫が、愛を語ってくれたんだ」

騎士王「永遠の想いを教えてくれたんだ」

騎士王「勇気も希望も全部持たせて、抱きしめてくれたんだ」

騎士王「俺は、もっと早く…ちゃんと応えたかったけど…最後まで口にできそうになかったから…」

スッ

聖母姫「…騎士王様?」

騎士王「この花を、選んだんだよね」


--------------------

649 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:08:53 C/qfdJCI 536/539


<魔王城 黒百合の庭園>


魔王「ああ、黒百合が、揺れているな」

「そうですね。毎年増えて…ついには黒百合の庭園とまで呼ばれるようになるとは。本当によく育ちました」

魔王「世話を任せていてすまない」

「いえ。魔王様が大切にするものは、私にとっても大切にしたいものですから」

魔王「ああ。とても大切な庭園だ。…この庭園は、お前に贈るために作ったのだから」

スッ

「…魔王様?」


魔王「この花の全て、受け取ってくれ」


--------------------

650 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:13:43 C/qfdJCI 537/539


…………………………
……………………………

「この花を、送る意味を知っているか?」

「この花の、花言葉がわかる?」


『いえ…何ですか?』


「”いつか…それが誰だか知らなくとも…また愛し合えるように”」

「”この約束は守る”」


『…それは…、その花を育てたのは…つまり…』


「おまえへの願い」

「君への誓い」


『こんなに…庭園に溢れるほどに…?』

651 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:16:36 C/qfdJCI 538/539



「いつかその日が来ても…きっとまた『魔王』は『お前』を見つけ出すから」

「前は、守れなかったから…今度こそは」


『はい…っ、お願い、します…っ』


「愛している 黒百合の后」

「愛してるよ 白薔薇の后」


『…はいっ私も………』


------------------
エンディング 「ふたり」 

Even if not written down, this love will be never-ending story.

I wish xxx all the happiness in the world, With many thanks.

------------------

652 : 生キャラメル ◆XksB4AwhxU - 2014/04/04 04:21:57 C/qfdJCI 539/539

3部にわたって、お付き合いいただきありがとうございました。
これでこのお話は完結です。

皆様の応援、ご感想などありがとうございました!

記事をツイートする 記事をはてブする