佐天「第四……波動……か」【前編】
佐天「第四……波動……か」【後編】
佐天「ストリームディストーション!」
佐天「第四……波動……か」【第六幕】
9月1日 昼
佐天「あー、なんか麻酔切れてきたみたい。痛い痛いよー、っと」
蛙医者「その様子なら案外大丈夫そうだね?」
佐天「えー。でも痛いですよ。局所麻酔くださいな」
蛙医者「あまり薬に頼りすぎるのもよくないからね?」
佐天「いやいやー、能力開発で薬漬けなのに今更ですよ。あ、薬漬けってなん
だかえっちな響きだと思いませんか?」
蛙医者「医者である僕としては薬をそんな風に使って欲しくないんだけどね。そ
れに、僕は和姦派だからね?」
佐天「そりゃあ私だって愛がなきゃ嫌ですけど、禁忌に近づけば近づくほどエロ
チックな感じがします」
蛙医者「確かに医者が力を使ってナースを、ってのは燃えるけどね」
佐天「ですよねぇ。あ、そういうば、妹さんのナース服可愛かったなぁ」
蛙医者「それには同意だけどまだナース服に着られている感じではあったね?そ
の点ではまだまだかな」
佐天「あー、確かに確かに」
佐天「そうだ、妹さんてもうすぐ調整終わるんですか?」
蛙医者「あと1週間、といったところだね」
佐天「そっかー。じゃあ一緒に遊べるのは1週間後かぁー」
蛙医者「うん?いやいや、それは無理だね」
佐天「えっ」
蛙医者「だって君が完治するまであと二週間はかかるからね」
佐天「えぇっ!?そんなに?」
蛙医者「あの子は君の容態を詳しく説明していかなかったようだね?
前回同様の筋肉と間接の裂傷擦過傷、さらに銃弾により撃たれた足を無意識に
庇って走り続けたことによる、片足への負担からくる疲労骨折寸前の骨。
止めにお腹に穴が空いてるからね?しかも周囲が抉られたかねような傷がある。
なんとか痕が残らないようぬするけど、とにかくそれだけの怪我なんだ、二週間で完治することを喜ぶべきだよね?」
佐天「うっ・・・・・・そんなに大変な傷だったんですか」
蛙医者「そういうことだからお大事にね。あの子は担当につけておくから、好きにつかうといいね?」 ぱたん
佐天「うーん、二週間かぁ。能力身に付けたし、ちょっと授業楽しみだったんだけど」
佐天「ま、いっか。初春に頼んで教科書や本持ってきて貰おう」
佐天「・・・・・・暇だなぁ」
佐天「別に眠くもないし」
佐天「暇だ・・・・・・テレビでもつけよ」
TV「―――学区の地下街にて大規模テロが――――」
佐天「うぇ……テロリスト?そんな物騒なの本当にいたんだ」
TV「―――た、……のため―――びいんがと、……めん……」
佐天「うん?ノイズ?おっかしいなぁ、学園都市のテレビがノイズって……
あー、もしかしてカメラの方に異常でも出たのかな」ピッ
佐天「テロ、テロねぇ……って、あの辺りって初春達の管轄じゃないの?
……いや、テロリストとかそんなのは警備員が出勤するだろうし、大丈夫だと思うけど……」
佐天「……電話してみよ」
pllllllpllllllllllllll
初春『はっ、はい!初春飾利ですっ!!』
佐天「……どうしたの?そんなに丁寧に」
初春『えっ、あっ、え?いや……なんでもないです!それよりどうしたんですか?』
佐天「いや、さっきニュースでテロリストがどうのこうのってやってたから、風紀委員はどうなのかなぁーと思って」
初春『私は役に立たないので支部に居ますけど……白井さんは地下街に閉じ込められた人の救出活動に行ってますよ。
基本は警備員の人たちが相手してくれてますから、全く問題ないです。さっすが戦闘のプロ』
佐天「そっか。心配したけど大丈夫そうだね」
初春『はうっ!……佐天さんはこんな私でも心配してくれるんですか?』
佐天「?当たり前じゃん、友達……いや、親友でしょ?」(キリッ
初春「うううっ!……朝、あんなことしたのに?」
佐天「(あんなこと……?えーと……お見舞いきてくれて、ああ、そういえばなんかやたらすごい剣幕で怒られたっけ?あんなこと気にしないのに)」
佐天「あはは、あんなの気にしないよ?初春って結構繊細なんだねぇ」
初春「(あんなこと!?親友を襲おうとして傷口を開いてしまった行為をあんなこと!?なんて懐の広い……)」
初春「そ、そんな……佐天さんっ、もう一生ついていきますっ!」
佐天「えー。大げさだよー。それじゃ、仕事頑張ってねー」
初春「はいっ!頑張ります!」
ピッ
佐天「ふぅ……っと、お、お、おお……?」
佐天「う、あ、何、これ……くらくら、して……」
佐天「t、・・・k・・l・;jkl・・・」
――――9月1日 夕暮れ時
佐天「――――っは!」
佐天「え、あ、夕日?今何時―――って18時!?何これキングクリムゾン?」
佐天「……わけわかんない、けど、まぁいっか。どうせすることもなかったし」
ガラッ
佐天「お……?」
上条「よっ」
佐天「あ、どもー。って何しに来たんですか?」
上条「見舞いだよ見舞い。たまたま病院きたらたまたま佐天さんが入院してるって知ってな。
下の店でプリン買ってきたからあとで食べてくれ」
佐天「おー、ありがとうございます!……いつもお金無いって騒いでるのに大丈夫なんですか?」
上条「お見舞いのお菓子だすことに躊躇うほど、上条さんは小さな男ではありませんよ、っと」
上条「でだな……」
佐天「はい?」
上条「ていっ」 ピンッ
佐天「いたっ」 ビクンッ
上条「あの医者から聞いたぞ……何してたのかは聞かないが、女の子なんだからそんな怪我するほど無理しちゃダメだろ」
佐天「う、ううー……いやまあ、これには深いワケがあったんですよ。それに怪我だったら上条さんだってしてるじゃないですかー」
上条「俺は男だからいいんだよ」
佐天「それって男女差別だと思いますぅー」
上条「えぇー……いやまあ冗談抜きで、本当に死にかけの怪我だったんだろ?」
佐天「そうらしいですけど……けど、やる時はやらねばならないのですよ」
上条「言ってることは共感できるが、俺としてはあんまり女の子に無理してほしくないけどな。佐天さんが怪我したら俺が心配する」
佐天「それは私にホの字だからですかね?」
上条「はっはっは、確かに家庭的な女の子が好きですけど上条さんのタイプはお姉さんですよ」
佐天「うーん、私結構お姉さんっぽいと思ったんですけど駄目ですかねー?」
上条「あと少し早く生まれてきてたらなぁ。惜しかった惜しかった」
佐天「それは……残念ですね。私、上条さんのこと結構狙ってたのに……」シュン
上条「ぶふぉっ!え、何、なんでこのノリでいきなり真面目!?ちょっとびっくりしましたよ!?」
佐天「だって……真面目に聞くの、恥ずかしいじゃないですか……」
上条「え、ええ、ええええええ?」
佐天「……って、冗談ですよ冗談。第一、私なんかじゃ上条さんと吊りあいませんって」ニヤニヤ
上条「……そんなことねぇよ、佐天さんは家事出来るし頑張りやだし、そんな性格だし……むしろ俺の方が釣り合わないって」
佐天「そうですか?じゃあ彼女にしてくださいっ」
上条「げほぅっ!!だからいきなりノリ変えないで!びっくりするから!」
佐天「あははははは!上条さんって面白いですね!」
上条「くっ、3つも下の中学生に舐められたままの上条さんじゃあないぜ!よし、涙子!」
佐天「なにかな、当麻クンっ」
上条「くそぅ、さも当然のように返された!そして恥ずかしい!」
佐天「私も恥ずかしいですよ……」
ミサカ「ひゅーひゅー、やってるねぇ、とミサカは一昔前のようにあおりたてます」
佐天「あ、どうもー」
上条「ミサカ?ってナース服?……あのクソ医者めぇぇぇ!!!」
ミサカ「おそらく貴方はあの医者の趣味で着せられたものだと勘違いしているようですが、これは私の意志で来ています、とミサカは公言します」
上条「な……お前、ナース服好きだったのか……」
ミサカ「この服が好きかどうかというよりも、常に同じ制服だったので別の服を着ることに興味があるというだけです、とミサカはあなたの認識を訂正します」
佐天「あ、そうだ、妹さん。上条さんがプリン買ってきてくれたから一緒に食べよ?」
ミサカ「それはとても魅力的な誘いですがそのプリンは貴女のもので、さらに私は勤務中ですので、とミサカは自分の仕事に対する真面目さをアピールします」
佐天「実は私あのお医者さんから妹さんのこと好きにしていいって言われてるんだー。
だから一緒に食べよ?ね?」
ミサカ「……ですが」チラッ
上条「うん?ああ、そうだな、一緒に食べるか。丁度1パック3つ入りだしな」
ミサカ「……では、頂きます、とミサカは少々照れながら椅子に座ります」
佐天「じゃあはい、これ」
インデックス「とぉーーーーーうぅーーーーーーまぁーーーーーーーーー」
上条「うぉっ、い、いんでっくす……はっ!いや、違うんだインデックス!このプリンは佐天さんから貰ったもので……!」
インデックス「へぇーそれじゃあとうまは私をほったらかしにして病室で女の子と喋りながらその子がくれたプリンにシタツヅミを撃ちながら
きゃっきゃうふふってするつもりだったんだね」
上条「あ、いや、それはだな……」
インデックス「……うううううううううう」
ミサカ「……そんなにプリンが欲しいのならミサカの分をどうぞ、とミサカはシスターにプリンを差し出します」
インデックス「え、いいの?さっすがくーるびゅーてぃー!」
上条「おいおいそんなことする必要ないぞ。ほら、インデックス、そのプリンはミサカ妹に返してこっちを食べなさい」
インデックス「えぇーだってそれ食べ掛けだもん」
ミサカ「いいのですよ、私は。ただ、涙子の好意を無駄にしてしまったことをミサカは謝罪します」
佐天「うぇ?いいよいいよそんなの。ほら、私と半分子しよ?」
上条「おいおいそのプリンはもともと佐天さんのために買ってきたもんだぜ?
なあミサカ妹、嫌じゃなけりゃ俺と半分子しようぜ?」
ミサカ「……!そ、それは」
上条「あ、やっぱり食べ掛けじゃ嫌だったか?そうだよな、ごm「いえ、そんなこと全く全然嫌悪感など抱きません、とミサカは早口でまくしたてます!」
ミサカ「あっ……えっと、はい。もし分けていただけるのでしたら、その、是非」
上条「おぉ、うちのインデックスが迷惑かけたからな、ほれ、あーん」
ミサカ「……・!!!!」ビシッ
上条「ん?どうした?」
ミサカ「い、え……あーん……んん」
上条「安物だからそんなに美味くないと思うけど、どうだ?」
ミサカ「い、え……はい、以前涙子に貰ったものと同じくらい、美味です、とミサカは顔の毛細血管に血液が集まって行くのを確認しながら答えます」ゴニョゴニョ
佐天「(!はっはーん……)」
インデックス「むぅー……なんだか変な雰囲気なんだよ。でもプリンは美味しいんだよ」
上条「それじゃ佐天さん、お大事にな。また見舞いくるからさ」
インデックス「早く良くなってご飯つくりにきてね!待ってるよ!」ぱたん
オイオイインデックスオマエイツモソレバッカダナ
エーダッテトウマノツクルゴハンヨリオイシイシーソレヨリナニアノフンイキコノー!
エエエエエエオレナニカシタッケ!?フコウダー!
佐天「……さて、妹さん」
ミサカ「はい、何でしょう、とミサカは返事をします」
佐天「あなたは今上条さんに恋をしていますね?」
ミサカ「……何のことかわかりかねます、とミサカは口笛をふきます」
佐天「とぼけるんじゃありませんっ!あの反応、ずばり恋!」
ミサカ「はて、私は常に冷静沈着クールビューティー10032ですが、とミサカは夕日を眺めながらうわあまぶしい」
佐天「……ねえ妹さん、私言ったよね?あのお医者さんに妹さんのこと好きにしていいって」
佐天「さぁ、というわけだから、教えなさいな」
ミサカ「断固、黙秘権を行使します、とミサカは口をつぐみます」
佐天「…………ふっふっふ!馬鹿め、素直に「好きでない」と言えばいいものを!黙秘は肯定ということがわからなかったのかなぁー?」ニヤニヤ
ミサカ「・・・・・・!とミサカは動揺を隠しきれません」
ミサカ「なかなかやりますね、涙子、とミサカはあなたの話術に称賛を送りつつ憎さ百倍」
佐天「さて、ところで妹さん」
ミサカ「何でしょう、とミサカは警戒しつつ返事をします」
佐天「さっき私のことを「涙子」って呼んでくれたよね」
ミサカ「……嫌でしたか?とミサカは少々不安になって尋ねます」
ミサカ「その、友達というものは下の名前で呼び合うものだと文献で拝見したものですから、とミサカはとってつけたかのような言い訳も」ゴニョゴニョ
佐天「嫌なわけないじゃんっ!すっごい嬉しかったんだからっ!」ぎゅうっ
ミサカ「はぅ。あ、そんな風に抱きつくとまた傷が開きますよ?とミサカは窓の外へ目線をやりながらうおまぶしい」
佐天「いいのいいの!あーなんだかやっと妹さんと友達になれた気がするなぁー!んー嬉しい!」
ミサカ「は、う、うう……とミサカは言葉を無くして……」
シュンッ
御坂「佐天さん怪我したって聞いたけど大丈夫……」
白井「初春からひどい怪我だったと聞いてやって……」
御坂 白井「oh.......」
御坂「佐天さん……まさかあなたに黒子みたいな趣味があるだなんて……しかも相手が妹達」
白井「そそそそそそそのお姉さまそっくりな方はどっどどどどどなたですの佐天さん!?」
佐天「え、いや待ってください御坂さん私別にそんな趣味なんか無く手ですね!」
ミサカ「おやおやお姉さま、これくらいおそらく友人同士のスキンシップですよ?とミサカは」
白井「おおおおおおおおねえさま!?ということは妹さんですの?!ははははじめまして私白井黒子と申しますわ!
お姉さまの朝から夜までパートナーを務めさせていただいております白井黒子ですわ!!!」
御坂「何言ってんのアンタは!それにしても、うん、だって佐天さん初春さんのスカートめくりが趣味だもんね……ううん、いいの!
私は別にそんなことくらいで友人を変な眼でみたりしないわ!そして黒子アンタは離れなさい!病院で電気使えないと知ってのこれか!」
佐天「ちょ、違いますから!確かに初春のスカートをめくるのは私のライフワークですけどそれとこれとは別の話です!」
ミサカ「初春とは涙子の親友でしたか。ということはスカートをめくれば涙子と親友になれるのでしょうか、とミサカはスカートに手をかけ」
白井「う、うはあああああああ!短パン履いてないお姉さま!お姉さまお姉さまお姉さまうわああああああああああ!!!」
御坂「こらやめなさいそういうことじゃないでしょ!そんで黒子アンタは外見が私だったらどうでもいいんかい!!!!」
白井「は!そうでしたわ!私としたことがなんたる粗相……お許しくださいませお姉さまそしてそのまま短パンも瞬間移動!」
佐天「ちょ、駄目だよ妹さん!そんなことしちゃ駄目だって!」
ミサカ「そんな……ということは私はまだ涙子と親友になれるほどの絆をもっていないのですね、とミサカは少々悲しみながら窓の外をうわあまぶしい」
佐天「はぁ……はぁ……いてて」
白井「」びくんびくんっ
御坂「……ごめんね佐天さん……さわいじゃって……」
ミサカ「夕日を見過ぎて目が痛いです、とミサカは暗視ゴーグルをかけてみます」
佐天「いえ……大丈夫ですが……」
ミサカ「……少々傷が開きかけているようですね、とミサカは涙子に横になるようすすめます」
御坂「え……大丈夫なの?」
佐天「大丈夫ですよ、これくらい」
御坂「そう……?あ、これおみまい。よかったら食べてね。あと、何か必要だったら言ってね?」
佐天「あ、そんなわざわざ。ありがとうございます御坂さん」
御坂「いいのよ、これくらい。ほら、黒子起きなさい、そろそろ行くわよ」げしげし
白井「……っは!了解ですわお姉さま。それでは佐天さん、お姉さまの妹様、ご機嫌よう」シュンッ
佐天「いやぁ、なんだか一気につかれちゃったなあ」
ミサカ「……楽しそうでしたね、とミサカはたずねます」
佐天「ん……そっかな」
ミサカ「ええ……それでは、一応傷をみますので」
佐天「はーい」
ミサカ「(ミサカの肌も綺麗ですが、涙子の肌もきれいですね、とミサカは内心……)すこし血がにじんでますね。包帯も替えるので、外します、
とミサカは口にします」
佐天「うん……んっ」ぴくんっ
佐天「……あ、あの、いもうとさんっ……」
ミサカ「なんでしょう、とミサカは包帯をくるくる巻き取ります」
佐天「その、ガーゼ外すときって痛いよね……?」
ミサカ「そうですね……一応ゆっくりと外しますが、少々痛むことは確かでしょう、とミサカは答えます」
佐天「できるだけ、痛まないようにしてほしいなぁーって、涙子は涙子は頼んでみたり……」
ミサカ「……!了解しました。任せてください、とミサカは自信満々にガーゼに手をかけます」
佐天「ぅあっ……」
ミサカ「まだ何もはがしていませんが、どうかしましたか?とミサカはたずねます」
佐天「え、いや……なんでもなあっ……ぁっ」
ミサカ「…………」
佐天「あ……ん、…………ひあぁ」
佐天「んぅ……あ、あの、いもうとさぁあっ」
ミサカ「!な、なんでしょう?とミサカはたずねます」
佐天「その、私お腹弱いからあんまり触れないようにとってもらえないかなぁ、って」
ミサカ「そ、そうですか。ならばそのようにしますが、けれど痛くないようにしようと思うとこうなってしまいまして、とミサカは返答します」
佐天「え、あ、そうなんだ……えっと、それじゃ痛くないように、で」
ミサカ「はい……」
佐天「……、くぅ……っあ、は――――」
ミサカ「(これは不味いですミサカの中の何かが弾けそうです、とミサカはなんとなく涙子の表情を確認―――!)」
佐天「……」ふるふる
ミサカ「(涙目で耳まで真っ赤な涙子……これは、これは……!)」さわさわ
佐天「ひゃんっ!あ、あのいもうとさんっ!?」
ミサカ「こうしてなでるようにはがすことにより、痛みを軽減できるのです、とミサカはコタエマス」
ミサカ「――――は!」
ミサカ「あぶないあぶない、またダークサイドへおちかけました、とミサカは一気にはがします」べりっ
佐天「づ―――――!!!!!!!!!!」
ミサカ「……ふむ、この程度ですか。それではタオルで拭いてから消毒しますからじっとしててくださいね、とミサカはタオルを手にします」
佐天「ちょ、妹さんもうすこしやさし、いっ―――!!!」
ミサカ「薬をぬって……最後に消毒を」
佐天「ああああああああっ!!」びくんびくんっ
ミサカ「・・・・・・これで終わりです、とミサカは包帯をまきたいんで起き上がってくれませんか?」
佐天「……ひっ、く……うぇぇ……」ぐしぐし
ミサカ「?どうしました?何故泣いているのですか?とミサカは起き上がることwうながします」
佐天「……」ぐしぐし
ミサカ「包帯をまいて―――終わりです、とミサカはなかなかの手際のよさに関心します」
佐天「……」
ミサカ「?どうしたのですか?何故そんなに睨んで、ぇ」
佐天「妹さんに命令します。今すぐここまで耳をもってきなさい」
ミサカ「はぁ……とミサカは素直に行動します」
佐天「」すぅー
佐天「馬鹿ぁ!すっごくいたかったんだから!!」
ミサカ「」くわんくわん
ミサカ「は」
ミサカ「それは、その、申し訳ありませんでした、とミサカは謝罪します」
佐天「もう……痛くて泣いたの初めてだよ」
ミサカ「それではお大事に、何かあったらナースコール、とミサカは退散します」
佐天「うん、ありがとねー」
佐天「……ふぅ。なんだか今日は疲れたな」
佐天「全然眠たくないと思ってたけど……お見舞いきてくれたおかげでちょっと疲れたし、寝ようかな」
ぱたん
9月1日 終了
入院中はとても暇なものになると思っていたけれど、妹さんがいてくれたおかげでそれなりに楽しかった。
初春は毎日お見舞いに来てくれるし(とてもいい奴だ。さすが親友)、その日のノートをコピーして貸してくれた。
「佐天さんは成績悪いんですから、新学期早々こけてちゃ駄目ですよ」
「なにをぅ。夏休みの宿題を手伝ってあげたのは誰だったか忘れたかこのーっ」
と、毎日じゃれあっている。そのたび初春の息が荒くなっているけれど、あまりに体力なさすぎじゃないでしょうか。
ちなみに、宿題は初春が代わりに出してくれた。初春サマさまだ。
暇なときは勉強して、妹さんと話し、初春と遊んで。
入院生活中なのに、とくに不自由もなかった。
そして、
――――――9月8日
ミサカ「だいぶ傷も塞がってきたようですね、とミサカは薬を塗りながら状態を確認します」
佐天「んっ……本当だ。その薬って凄いね」
ミサカ「自己治癒能力を高める代わりに寿命が減るらしいですが、とミサカはぽつりと口にします」
佐天「……うそだよね?」
ミサカ「嘘です、とミサカはしれっと嘘をつきました。はい、これで終わりです」ぺしっ
佐天「はいっ、ありがとうございました」
ミサカ「いえいえ」
佐天「そういえばさ、」
ミサカ「はい、なんでしょう?とミサカはたずねます」
佐天「一週間前だったっけなぁ……あ、私が怪我したあの日、妹さんの、えっと……妹さん?に会ったんだー」
ミサカ「?」
佐天「たしか、検体番号14444って言ってた―――ってどうしたの妹さんっ!顔近いっ!」
ミサカ「そのミサカは何か粗相をいたしませんでしたか、とミサカはひやひやしながら尋ねます」
佐天「そそう?いや、別に……って、でも何いきなり」
ミサカ「……そうですね、涙子は恩人ですから、話しておきましょうか、とミサカはベッドに腰かけます」
ミサカ「ミサカ達妹達は複製として製造された時点では、知能は産まれたばかりの幼児、つまり赤ん坊と大差ありません」
ミサカ「そのため、まず行うことが学習装置と呼ばれる機械で知能を植え付けることです」
佐天「知能を植え付け……」
ミサカ「ドン引きするのは当たり前の反応ですよ、とミサカはとくに気にせず口にします」
佐天「……ごめん、続きどうぞ」
ミサカ「はい。それで、その学習装置によって妹達は一般知識、常識、実験内容、人格を書きこまれます。
そしてそれがミサカ達の基盤になります。もっとも、あれから随分と経ったので、それぞれ個体ごとに個性というものが現われてきていますが」
佐天「ああ、妹さんが上条さんに恋してるのと一緒だね」
ミサカ「……ま、まあそういうことです、とミサカは窓の外を見ます。ちなみに今はお昼なのでビルからの光が反射してうわあまぶしい」
ミサカ「っと、ボケている場合ではありませんでした、話を戻します、とミサカは真剣な口調にもどります」
ミサカ「それで、その書きこみの際、少々不手際があったのですよ」
佐天「不手際?」
ミサカ「いえ、不手際というより事故と言いますか、とミサカは訂正します」
ミサカ「急な停電による機械の不調―――とでもいいますか。その時書きこみをしていたのが、
涙子が以前会ったという14444なのです、とミサカは衝撃の事実を明かします」
佐天「てことは、14444さんの人格に問題あるってこと?特にそんな風に見えなかったけど」
ミサカ「いえ、問題というか……14444は少々我が強すぎるところがあるのです、とミサカは教えます」
佐天「うぇ?それの何が駄目なの?」
ミサカ「妹達の元々の存在理由は実験のためですから―――ああ、そんな悲しそうな顔しないでください、とミサカはおどおどしてしまいます」
佐天「あ、うん、ごめん……」
ミサカ「……まあ、ですから個体自体の我など、実験の際には必要ありませんでした。
しかし14444はそれを持ってしまい―――結局実験をすることに逆らおうとは思っていませんでしたからそのまま14444として実験に使用される予定でした」
ミサカ「14444はその時からたまに考えていました。自分が産まれてきた理由。生命というもの」
ミサカ「それらの思考はあの頃のミサカ達には必要のないものでしたから、他の妹達は14444を異端視していました。私も例外ではありません、とミサカは説明します」
ミサカ「そういう理由もあって、14444はどこか卑屈になっている所があるのですよ、とミサカは少々きまずく口にします」
佐天「うーん……」
佐天「よくわかんなかったけど、産業でまとめると、
学習装置の不備のせいで14444さんは妹さん達の中では変わり者
実験中も色々考えてたから自分の環境にいろいろ疑問があった
そんな14444さんも今は晴れて自由の身
ってことだよね?」
ミサカ「……その最後が、問題なんです、とミサカはうなだれます」
佐天「えっ?」
ミサカ「ミサカ達は調整のために色々な機関へと預けられました。14444も例外ではなく、彼女は学園都市のある研究所へと派遣されました。ですが、」
佐天「ですが?」
ミサカ「そこで一度問題を起こしてしまって……今は別の研究所で問題なく過ごしているそうなのですが、同じミサカとして心配なのです、とミサカははらはらします」
佐天「ああ……そういえば、あの妹さん、妹さんのことを羨ましい、って言ってたっけ」
ミサカ「羨ましい?とミサカは頭に?を浮かべてみます」
佐天「うん。でね、なんだかそう言ってる14444さん、寂しそうに見えたっけ」
ミサカ「……もし」
ミサカ「もし、涙子がよければの話ですが」
佐天「うん?」
ミサカ「14444と仲良くしてあげていただけませんか、とミサカはお願いします」
佐天「へぇっ?何、いきなり改まって」
ミサカ「……ミサカはおそらく他のミサカより、14444と少々縁があります。
一度は実験中に。もう一度はミサカが怪我を直している時に。
少しだけ話をしていました、とミサカは窓の外を見ながら口にします」
ミサカ「あの時は14444の言葉の意味がよくわかりませんでしたが―――今こうして涙子と一緒にいると、少しわかった気がします、とミサカは視線を涙子に写します」
ミサカ「そしてその時のことをおm―――」
佐天「あーあー、いいよいいよ。難しい話は別にいいって」
佐天「とにかく、14444さんと仲良くしてあげてほしい、ってことなんだよね?」
ミサカ「―――はい、とミサカはうなずきます」
佐天「そういうことならおまかせあれ!この柵川中学一年生佐天涙子の特技は友達を作ることだよ?」
佐天「そんなことお願いされなくても私のほうから友達になりにいくって!」
ミサカ「……そうですか、とミサカはやはり涙子に言ってよかったと安心します」
佐天「えへへ……私も妹さん自身の話聞けて嬉しかったなぁー」
ミサカ「そうですか?とミサカは不思議におもいます」
佐天「うん。だって妹さんってあんまり自分の話とか、してくれないんだもん。名前で呼んでくれるようになったけど、なんだか線引かれてるみたいでさー」
佐天「そりゃあ、話したくないってんならしょうがないけど……」
ミサカ「いえ……しかしミサカも生まれてから少ししかたっていませんから、自分のことと言っても実験中のことくらいしかありませんから、とミサカは告白します」
佐天「あ……じゃあじゃあ!」
佐天「今からいろいろ楽しいことしてけばいいよね!それでさ、あの時はあんなことしたなぁって笑いながら話せるようになったらいいよねっ!」
ミサカ「さて、それではそろそろ、とミサカは席をたちます」
ミサカ「それでは次は夕方に―――っとそうでした、その傷の具合からすれば、
今日からお風呂に入っても大丈夫でしょう、とミサカは去り際に伝えます」
佐天「あー……そういえばもう一週間も入ってなかったなぁ。うん、ずっとタオルで拭いてもらうだけじゃ気持ち悪かったし、よかったよかった」
ミサカ「それは重畳です、それでは湯あみの際はお手伝いいたしますので、とミサカは扉を閉めます」ぱたん
佐天「……14444さんかぁ」
佐天「あ、そういえば妹さんのことも妹さんとしか呼んでないなぁ……10032さんだっけ?うーん……」
佐天「……ま、これはおいおいでいいや」
佐天「―――大覇星祭、か。私も準備手伝いたいな」
佐天「――――」
佐天「―――風がすっかり秋風にかわってる」
佐天「熱感知のおかげかな。なんだか空気の変化に敏感になったなぁ」
佐天「うんうん、能力のおかげで違う世界が見えるなぁ。能力さまさまだね」
佐天「―――――痛」
佐天「うーん……駄目だなあ。能力使うとすぐ頭痛くなる」
佐天「そういえば演算?とかそんなの無視してる気がする……そのせい?」
佐天「わっかんないなー。学校行って先生に聞いてみたいけどなー」
佐天「わかんないから寝よ。寝る子は育つし怪我も治るからね。ぐぅ」
―――夕暮れ前
ミサカ「さあさあ湯あみの時間ですよ、とミサカは扉をあけます」
ミサカ「おや……」
佐天「すぅ……すぅ……」
ミサカ「ふむ……お昼に昼食を持って来た時も寝てましたね、とミサカは記憶をさぐります」
ミサカ「その時からずっと眠っていたのでしょうか?とミサカは涙子の眠気を不思議に思います」
佐天「―――すぅ」
ミサカ「……それにしても」
ミサカ「綺麗な髪ですね……黒色なのに夕日を反射して不思議な色合いです、とミサカは髪をさらさらと……oh」
ミサカ「なんというさらさら感……これは、これはこれは……」さらさら
佐天「――――んん……」
ミサカ「」ビクッ
ミサカ「危ない危ない……またダークサイドへ堕ちていきそうでした、とミサカは邪念を払います」
ミサカ「起きてください、とミサカはほっぺをぷにぷにします」
佐天「――んぁーうー……」
ミサカ「起きなさい起きなさい、とミサカはたてたてよこよこ」
佐天「う、うん……」
ミサカ「まるかいてちょんっ」
佐天「ふにゃっ……あ、妹さん」
ミサカ「湯あみの時間ですよ、とミサカはほっぺをむにむにしながら伝えます」
佐天「あうあう。わかったからはなしてくらひゃい」
ミサカ「それにしても柔らかい肌ですね、とミサカはたてたてよこよこ」
佐天「ひゃめてひゃめて。むー」
ミサカ「あはははは、はっ!また調子に……ごめんなさいと反省します」
佐天「べっ、別に痛くはなかったからいいんだけどね?あ、お風呂だったねーお風呂お風呂ー」
ミサカ「車いすと松葉づえ、どちらにしますか?とミサカは選択肢を提示します」
佐天「んー……そろそろ松葉づえでリハビリしないと駄目かなーって」
ミサカ「そうですか、では。辛くなったら言ってください、肩を貸しますので、とミサカは松葉づえを渡します」
佐天「ん、ありがと」
佐天「おっふろーおっふろー」
ミサカ「随分ご機嫌ですね、とミサカはたずねます」
佐天「もともとお風呂好きだからねー。それに久しぶりに入れると思うと、やっぱりわくわくするかなー」
佐天「それはそうと、そのお風呂セットは何なの?」
ミサカ「私と涙子のお風呂セットです」
佐天「……私と妹さんの?」
ミサカ「はい、とミサカは短的に返事をします」
佐天「え、え、一緒にはいるの?」
ミサカ「涙子はまだ一人で入れるほど回復していませんし、浴槽というのはそれなりに危険ですから、とミサカは当然のように返します」
佐天「え、え……」
ミサカ「……嫌、ですか?」
佐天「あ、えっと、別に嫌じゃないんだけどね」
佐天「その、んー……同年代の人と一緒にお風呂はいったことないから恥ずかしいなぁ、って」
ミサカ「なるほど、つまりミサカが初めての人、ということですね、とミサカはどこか優越感にひたります」
佐天「誤解を生むような表現はやめましょうっ」
ミサカ「恥ずかしがる必要はありません、世の中には銭湯というものがありますから、とミサカは安心させます」
佐天「そりゃそうだけど……」
そんなこんなで風呂場ですが。
佐天「うあー……このお湯の匂い、久々だなー」
ミサカ「それでは先ず髪を洗いますから、とミサカは椅子に座ることを勧めます」
佐天「はーい……って、え、洗ってくれるの?」
ミサカ「ええまあ、とミサカはさも当然のように答えます」
しゃこしゃこしゃこ
佐天「うあ……妹さん髪あらうのじょうず……」
ミサカ「オリジナルがオリジナルですから……そのDNAマップを使用したミサカは何故かこれくらいできるのです、とミサカは髪の毛を洗います」
佐天「へぇぇ……じゃあ御坂さんも髪あらうのうまいのかなぁー……」
ミサカ「なんだかんだで手先が器用ですからね、とミサカはオリジナルの能力を推測します」
佐天「あぁぁぁ……そういえば……盛夏祭の……ときも……あ”ー……」
ミサカ「……どうしたのですか、そのようなだらしのない声で、とミサカは頭をかしかしかし」
佐天「あ、あ、あ、……だってぇ……人に頭あらってもらうのきもちいしぃ……いもうとさんじょうずだもん……」
ミサカ「」ゾクゾクッ
ミサカ「で、では我が友人佐天涙子のために、私も本気で髪を洗いましょう、とミサカは本気を出しますっ」
佐天「はああああああ……ん」
打ち止め「なんだか近くで甘い香りがした気がする!ってミサカは反応してみる!」
一方通行「何いってンだ……いいから風呂いく準備しやがれ」
一方通行「ったくよォ、ンで俺がガキの風呂入れなきゃいけないンですかァ?」
黄泉川「子供がお風呂で溺れたら大変だからじゃんよ」
一方通行「だったらテメェがいれてやりゃァいいだろォが。第一いいンですかァ、俺ァ男だぜ?」
打ち止め「路上で毛布をとったあなたが何をいまさら?ってミサカはミサカは首をかしげてみる」
黄泉川「……まさかお前こんな子供に欲情するのか?それはないじゃんよ……」
一方通行「誰がするかァ!!!」
打ち止め「おっふろーおっふろーってミサカはミサカは大はしゃぎ!」
一方通行「ったく……っと、ここかァ」
『あああああああ!だめだめだめ妹さんっそれいじょうはだめええええええ!!!』
『これくらいの頭皮マッサージで根をあげていては誰にも勝てませんよ、とミサカはフルパワーで繊細かつ優しく洗います!』
『ひああああっやあああああたまからとろけちゃうううう』
一方通行「oh....」
打ち止め「あれ?あの声って……」
一方通行「……先客がいたみてェだなァ。あっち使うぞガキ」
打ち止め「ん……」
検体番号20001【運営】がログインしました。
以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ちょっと10032とお話したいんだけどいるかな?ってミサカはミサカは書きこみこみ
以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
こんな場所で発言するより強制割り込みしたほうがいいんじゃないですかね?運営様
以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
そっか。ありがとね、ってミサカはミサカはログアウト
一方通行「オイ、何してンだ」
打ち止め「なんでもないよーってミサカはミサカは小走りで近づいてみる」
ミサカ「はうっ」がくんっ
20001:やっほー
10032:う、運営サマ?あの、一体どうなされたのでしょうか
20001:えっとね、さっきお風呂場の前通ったの
10032:
20001:……あんまりオイタがすぎると、ね?
ミサカ「さ、さーてそろそろ流しましょうか、とミサカはシャワーに手をかけます」
佐天「ひ、あ……う、うん……」ハァハァ
ミサカ「あまり洗いすぎても傷めてしまいますからね、とミサカはシャワーでざばー」
佐天「ん……ふぅ」
打ち止め「うん、話せばわかる子は好きだなってミサカはミサカは超ご機嫌」
一方通行「ご機嫌なのはいいから浴槽であばれンじゃねェ!11」
佐天「……さて」
佐天「それじゃあ妹さん、今度は私が頭洗ってあげる番だよね?」
ミサカ「へ?いや、ミサカはそんな」
佐天「遠慮なさらずにーほらほら!」
ミサカ「あ、いや、遠慮ではなく」
ミサカ「あっ、ああああああっ、なぁ、やあああたま、あああ」
佐天「ふははははは!いつも長い髪を洗ってるから妹さんくらいの髪の毛を洗うことなど造作もないことなのだー!」
ミサカ「あ、らめれす、あああ、ああ、あぁ、ひ」
佐天「(やだなにこの妹さんの声エロい)」
佐天「あ、じゃ、じゃあそろそろ流しましょうか……?」
ミサカ「……やめないでぇ」
ミサカ「もっと、もっとあらってくらさいってみさかはおねがいしますぅ……」
佐天「(えええええ何この妹さんやべええええええええ)」
打ち止め「うーん……今度はなんだかおかしな予感?ってミサカはミサカは不思議な気分」
一方通行「いいからおとなしくしろってンだよォ!!!洗えねえだろォが!!!」
―――風呂上がり
佐天「」ハァハァ
ミサカ「」ハァハァ
佐天「……」
ミサカ「……」
佐天「……あの、妹さん」
ミサカ「……なんでしょう、とミサカは返事します」
佐天「……その、ね」
佐天「また、一緒にお風呂はいろっか……?」
ミサカ「……勿論です、とミサカは真っ白に燃え尽きながら答えます」
打ち止め「あーすっごいお湯へっちゃったかも、ってミサカはミサカはちょっと反省」
一方通行「バタ足なんざするからだろォがクソガキがァ!!!」
佐天「いやぁーそれにしてもさっぱりしたなぁー」
ミサカ「それはよかったです、とミサカは満足気に答えます」
打ち止め「お風呂楽しかったーってミサカはミサカはすっごくさっぱり!」
一方通行「俺ァ疲れたぜェ……」
佐天「あ」
ミサカ「げ」
打ち止め「え」
一方通行「ん」
佐天「(一方通行……ここに入院してたのは薄々知ってたけど、まさかはち合わせるなんて……!)」
ミサカ「(上位個体……先の件もあってかやりづらいですね、とミサカは考えます)」
一方通行「(あの女ァ……って、待て、あの声はコイツラのかァ?)」
打ち止め「(どうしてみんな見つ目合って黙ってるんだろってミサカはミサカは思考中)」
佐天「(あ……そういえば)」
佐天「あ、あの……一方通行……さん」
一方「……あァ?(さん付けとか初めてだぞオイ)」
佐天「この傷……その節は、ありがとうございました」ペコリ
一方「……なンのことですかァ?ンな昔のこたァ忘れちまったなァ」
佐天「なっ……人が素直にお礼言ってるのに……!」
一方「(つーか礼言うのはこっちだってのによォ……)」
――――9月2日
医者「やぁ目が覚めたかい」
一方「……」
医者「さて、もし僕の言っている意味がわかるのなら手を動かしてくれるかな?声はとどいてるかい?」
一方「……」モゾ
医者「ふむふむ。じゃあ喋れるかな?返事をしてみようか」
一方「……チ。ンの真似だクソが」
医者「よしよし。それじゃあ次は、能力が使えるか試してみようか?」
一方「……。…………!?」
医者「……ま、ここが限界だろうね?残念だけどね」
一方「……オイ、どォいうこった」
医者「説明するからあわてないあわてない―――かくかくしかじか」
一方「しかくいムゥブ、ってかァ?……ハ、ザマァねェ、ってワケか」
医者「けれど相当危なかったからね?あと少しでも銃弾が進んでいたら完全に壊れていたからね?」
一方「……(そォいや)」
一方「(あン時あの女が叫んで……それにあのクソ野郎がビビって動作止めてたっけなァ)」
一方「(てことたァ……俺ァあの女にギリギリで助けられたってことかァ……?)」
一方「……ふン」
―――回想終了
一方「……はァ」
佐天「あぁ!なんでため息!?もー相変わらずむかつくなぁー!」
一方「(怪我で演算機能は完全に停止―――いや、反射くれェなら出来るが、演算だけに集中しねェと無理だから結局使いもンになりゃしねェか)」
一方「(それでもまァ……こォして動けるだけマシってもンなんだろォな)」
一方「(もしあの場でやられてりゃァ、今頃このガキは……)」
打ち「どうしたの難しい顔してってミサカはミサカはたずねたり」
一方「ンでもねェよ」
一方「オラ、そこ退きなァ」
佐天「くぅぅぅぅぅ!!!!何よ何よー!」
一方「あァ、それとなァ」
一方「そっちのヤツとよろしくやンのは構わねェが、せいぜい外に聞こえねェようにすンだなァ」
佐天「なっ――――!!」
ミサカ「…………///」
打ち止め「じゃあねー10032-ってミサカはミサカはまっかな人達に手をふってさよならー」
―――佐天、病室
佐天「嫌な奴嫌な奴嫌な奴!!!」
ミサカ「どうぞ、とミサカは牛乳を渡します」
佐天「」ゴクゴク
佐天「ぷはぁーっ」
佐天「『そっちのヤツとよろしくやンのは構わねェが、せいぜい外に聞こえねェようにすンだなァ』」
佐天「なにさ!嫌な奴!」
ミサカ「このポジションだとミサカは誰に振られるのでしょう?とミサカは某有名映画と現実を照らし合わせます」
佐天「人がせっかくお礼いったのにさ!もー!」
コンコン
佐天「?どーぞー」
ガタガタ
打ち止め「やっほー、ってミサカはミサカは下位個体と恩人さんに挨拶しにきたの」
ミサカ「これはこれは上位個体、ミサカと涙子のひと時を邪魔しにきたのですか?とミサカは悪意をとばします」
佐天「ええー。そんな誤解されるようなこと言わないでよ。それで、えっとどちらさま?」
打ち止め「私は検体番号20001、妹達のまとめ役の、通商打ち止めですってミサカはミサカは自己紹介!」
佐天「へぇー、打ち止めちゃんも妹達なんだー。通りで御坂さんににてると思った。うわー可愛いー」
打ち止め「ふわわっ!いきなり頭なでなでされるとびっくりしちゃうってミサカはミサカは後ずさりっ」
佐天「あ、ごめんね。ほら、怖くないからおいでおいでー」
ミサカ「すっかり蚊帳の外になってしまいました、とミサカは露骨に不満を申し立てます」ぷぅ
打ち止め「怖くないのは知ってるの、だってあなたはミサカたちの恩人だものってミサカはミサカはあなたに飛びつくの」だきっ
佐天「あー恩人、ね……私は何にもやってないよ、本当のヒーローは上条さんだもん」なでなで
打ち止め「ううん、あなたがいなかったら10032は殺されてたし、お姉さまも、もう一人の恩人さんも皆やられてたもの。立派な恩人だよ
ってミサカはミサカは頬釣りするの」すりすり
打ち止め「それに今回だって」
佐天「え?」
打ち止め「今回だってね、あの人がああいう風に動いていられるの、あなたのおかげなのよ、ってミサカはミサカは衝撃の事実を明かしてみる」
佐天「えっと……どういうこと?」
打ち止め「えっとね、あの人の思考がMNWを通してたまにこっちへ入ってくるんだけど、その時に知ったことでね」
佐天「ちょちょちょちょっとまって。え?MNWを通して一方通行の思考?その辺りkwsk」
ミサカ「それについてはミサカから説明しましょう、とミサカは出番を取りに来ます」
ミサカ「あのロ……一方通行は涙子も知っているようにかくかくしかじか」
佐天「まるまる……なるほど、一方通行は打ち止めちゃんの治療のために全能力を使用してて、
銃弾を撃たれて被弾はしたけどすんでの所で能力を取り戻して助かった、と」
打ち止め「そうなの、それでね、あと少しでも早く被弾してたら喋ることも出来ないようになってたんだって、ってミサカはミサカは自分の仕事をとりもどす」
打ち止め「あなたは覚えてる?あの時、撃った男があなたの声で少し動きを止めたことを、ってミサカは確認するの」
佐天「ん……そういえば」
ミサカ「それがなければあのセロ……一方通行は今より悲惨な状態になっていたはずです、とミサカはアピールを怠りません」
打ち止め「だからね、あの人はずっと感謝してたのよ……ってミサカはミサカこれ以上は語らないかも!」
佐天「うぇーと、それで、なんでMNWが関係してくるの?」
打ち止め「それはあの人の演算能力をMNWを使って代理演算してるからなの、ってミサカはミサカはあっさり説明」
ミサカ「あの時あのモヤ……一方通行の首に黒いチョーカーがあったでしょう。あれが一通さんの脳波とミサカ達の脳波をつなぎ、
代理演算を可能にしていた代物です、とミサカは懇切丁寧に説明しました」
佐天「つまり……今の一方通行は一万近くの頭を使って演算できるってこと?」
打ち止め「いくざくとりぃ、ってミサカはミサカはその通り!」
佐天「うわあ……それって本当に最強じゃん」
打ち止め「それがそうでもないの、あのチョーカーは日常で使うなら二日はもつんだけど、能力を使おうとするとすぐに電池切れになっちゃうの。
特注だから替えのバッテリーもないし、大変なんだよってミサカはミサカは人ごとらしく話してみる」
ミサカ「それに、どうやらミサカ達の頭をつかっても全盛期の半分ほどしか能力を発揮できないようです、
本当、ふざけたセロリですよね、とミサカは首を振ります」
佐天「セロリ……?けど、なるほど……そう考えると一方通行さんって凄い人だったんだ。第一位は伊達じゃなかったんだね」
打ち止め「うん……」
佐天「?どうしたの?」
打ち止め「……ううん、なんでもないっ、ってミサカはミサカは笑顔でお返事!」
打ち止め「そーだ、もしあの人に何かあるなら言ってあげてね?あの人、なんだかんだであなたに恩を感じてるみたいだから、
ってミサカはミサカは知られたくないだろう秘密を暴露ー」
佐天「えぇー別にあいつに何か頼みごとなんてないけどなぁ……」
ミサカ「いっそのことここで土下座などさせてみてはどうでしょうか、とミサカは悪魔のささやきをしてみます」
打ち止め「あ、あんまりひどいことはやめてね?ってミサカはミサカはおろおろするの」
佐天「あはは、大丈夫だよ打ち止めちゃん。そんなことしないからねー」なでなで
打ち止め「あ、ふぅぅ……っは!何かへんな感情が芽生えそうだったかもってミサカはMisakaは正気に戻る!」
打ち止め「それじゃあそろそろ戻るね、さよなら佐天お姉ちゃん10032ってミサカは元気よくばいばーい!」ふりふり
ぱたん
佐天「……はぁー、妹さんの妹さんになるのかな?かわいかったなぁ、無邪気なとことか」」
佐天「けど、、何かあったらって、本当に何もないなぁ……」
ミサカ「何もなければそれでいいでしょう、とミサカは踵をかえします」
ミサカ「それでは、そろそろミサカは調整の時間ですので。おやすみなさいとお別れの挨拶をします」
佐天「、あ、おやすみー」
ミサカ「ええ、では」ぱたん
佐天「……何かあるなら、か」
佐天「そりゃあ……聞きたいことくらいあるけど」
佐天「けど、今のあの人にこれを聞くのは―――はぁ」
佐天「いいや、寝ながら考えよう」
――――9月8日 終了
―――9月9日
佐天「そ、れ、で」
上条「……あい」
佐天「なんですかその怪我は!まーた何かに首つっこんできたんですね!」
上条「いや、今回のはなんというか、主に不可抗力というかそういうのなんだけど……」
佐天「全く……私のことを心配してくれるのは嬉しいですけど、自分の身体の心配もしてくださいよ」
上条「つっても、どうしても身体が先に動いちまうんだよなぁ。
記憶無くす前の俺もこんなんだったのかな……」
佐天「……はぁ。まあいいです。けど、本当にあんまり無理しないでくださいね」
佐天「上条さんが怪我をして救われる人もいますけど―――悲しむ人だってたくさんいるんですから」
上条「……ああ。わかってるさ」
上条「ところで、佐天さんの身体はどんな具合だ?」
佐天「んー、松葉づえついてますけど、もうほとんど治ってる感じはありますね。
あと2、3日ってとこでしょう」
上条「そりゃよかった。けど、その腹の傷……痕は」
佐天「……抉られてましたからね。綺麗には治りませんよ」
上条「……そっか。女の子なのに、な」
佐天「ま、これくらいならあんまり目立ちませんし。いざとなったら上条さんがもらってくれるんですよね?」
上条「そうだな、いざとなったら俺が責任とる。だから、嫁に来てくれないか?」
佐天「ぶはっ!うえええいきなり真面目にならないでくださいー!」
上条「ははははは前のおかえしだよ」
佐天「むー……それじゃ、私は用事がありますからこの辺りで」
上条「うん?ああ、ありがとな」
佐天「いえいえー」
佐天「さってと」
コンコン
打ち止め「はいはーいってミサカはミサカは扉を―――あーっ佐天お姉ちゃん!」
佐天「やっほー打ち止めちゃん。一方通行さんいる?」
打ち止め「いるけど今はお眠り中かも、ってミサカはミサカはお部屋へどうぞー」
佐天「えー結構日ものぼったんだけどなー」
打ち止め「この人は眠りたいだけ眠る人だから……ってミサカはミサカは呆れて見る」
佐天「ふーん……」
一方通行「――――、――――」
佐天「(こうして見ると……すっごい綺麗な肌してるなあ。真っ白だし、眠ってると目つきも悪くないし)」
佐天「(白い肌に白い髪の毛もあってるし……中性的で、身体ほそくって、女の子みたい)」
佐天「……」さらさら
一方通行「――――ン」ごろん
佐天「(わぁ……髪の毛さらさらだ。本当女の子みたい)」
打ち止め「はわわわわ……佐天お姉ちゃん顔近いかも、ってミサカはミサカはどきどきするの」
佐天「え?あっ!」
佐天「あ、うあああ……無意識に……」
一方通行「―――あァ……」
打ち止め「あ、おはよーってミサカはミサカは元気に挨拶!」
一方通行「……あァ、おはよォさん……」
佐天「へぇー一方通行さんも挨拶とかするんだね。おはよー」
一方通行「!?ンでてめェがここにいやがる!?」
佐天「あれ?私には挨拶なし?」
一方通行「黙れ!俺の質問に答えなァ!」
佐天「えっと―――お願いしにきたの」
一方通行「……お願いだァ?」
佐天「あなたの能力ってベクトル操作でしょ?」
一方通行「ま、今ァ使えやしねェがなァ」
佐天「……それでね、私の能力開発を手伝ってほしいの」
一方通行「ンで俺がンなことしなきゃならないンですかァ?」
打ち止め「そんなこと言わずに手伝ってあげてよ、ってミサカはミサカは涙目でお願いっ」
佐天「わ、私も涙目で……」うるっ
一方通行「……チッ、まァここで断ってもそのガキが後からうるせェだろォからなァ。手伝ってやンよクそが」
打ち止め「(素直じゃないなあ)」
佐天「なんか釈然としないけどありがとうございます?」
一方通行「ンで?テメェの能力はなンなンだよ」
佐天「えっと……たぶん、熱ベクトルを操作する能力です」
一方通行「たぶンって何だ」
佐天「今のとこ自分だけの現実を作り上げただけで……熱ベクトルが視覚化できるだけなんですよ」
一方通行「ベクトルを視覚化ァ?オイオイ、何の冗談だァそりゃァよォ。ンな能力あるかよ」
佐天「なっ……けど実際に使えますもん!すぐに頭痛くなるけど……」
一方通行「頭痛くなるってよォ……そりゃ演算ふっとばしてンなバカみてェな能力使うからじゃねェのか?」
佐天「あの、なんでさっきから私の能力のこと馬鹿にするんですか?」
一方通行「馬鹿にするより信じられねェんだよ。ンな能力あったら俺ァとっくにレベル6だっつゥの」
一方通行「いいかァ、ベクトル操作において最も面倒なのがそもそものベクトルがどォいうものか考えることだ」
一方通行「だがテメェのその能力はその工程をふっとばせる……つゥまァりィ、操作の仕方さえわかっちまえば元々のベクトル座標だのを
頭ン中で組み立てず目でみたもンをいれちまえばいいンだ。これがどれだけ便利なことかわかったンのかァ?」
佐天「えっと……よくわかんないです」
一方通行「ちッ」
佐天「しょ、しょうがないじゃないですか!ちょっと前まで無能力者だったんですから!」
一方通行「……あァ?」
一方通行「オイ、待て……そォいやお前、熱線打のだしてたろ……ありゃァ能力じゃねェのか?」
佐天「……あー」
佐天「……はぁ。まあ、協力してもらいますし話しますけど、絶対誰にも言わないでくださいね」
一方通行「……わあったよ」
一方通行「(ンだよ……こンな悪党信用して話すってのかァ?どンだけお人よしなンですかコイツは)」
佐天さん説明中だよ!
佐天「――――ということなんです」
一方「頭湧いてンのかテメェ」
佐天「えー!なにそれ!」
一方「いやむしろ俺が常識的な反応だろォが。ンなファンタジーなこと言われても信じられるかっての。アレですかァ?思春期特有のアレですかァ?」
佐天「なんかよくわかんないけどあなたには言われたくないですその台詞!」
佐天「まあ、ともかく、実際に見たんだから信じるしかないでしょ?」
一方「……まァそォなんだが」
一方「……けどよォ。ンな能力あンならなンで今更能力開発なンざしようと思ったンだァ?」
佐天「……それは、」
佐天「それは、もっと強くなりたいからです」
一方「ほォ……」
一方「強くなる、ねェ……ンで?強くなってどォすんだ?」
佐天「どうするって……だって、強くなったら皆を守れるじゃないですか」
佐天「今までは力がなかったから何も出来なかった……御坂さんや白井さん、初春の役にたとうとしたけど出来なかった」
佐天「だから強くなるんです。強くなれば、皆と一緒にたたかって、皆を守れますから!」
一方「……はァ」
佐天「むっ。なんですかそのため息」
一方「べっつにィ。―――ま、約束しちまったからなァ。一応教えてやンよ」
打ち止め「たぶんあんまり気にすることないよ、あの人の考えてること、ってミサカはミサカは耳打ちしてみる」ヒソ
佐天「だよねぇ」ヒソヒソ
佐天「(あれ?でもなんだろ……さっき自分で言ってて、なんかひっかかったなぁ)」
一方「さァて、能力使うと頭痛がするンだったか」
一方「そりゃァ演算式ふっ飛ばしてるからだろォな」
佐天「けど、演算式って言われても何が何やら」
一方「そっからかよ……つってもンなもン一人ひとり違ってっからなァ」
佐天「?そうなんですか?」
一方「演算式ってのは自分だけの現実を元にして作り上げる、まァ言っちまえば自分勝手な公式みたいなもンだ」
一方「俺とテメェじゃ自分だけの現実が違うだろ。だから俺の使ってる式を口にしたところで使えるわけがねェんだよ」
佐天「へぇー……」
一方「つーワケだ。まずは自分が自分だけの現実を獲得した時にどォいう風に捉えたか思い出してみろ。
そっから演算式を作り上げンぞ」
佐天「はい……なんだかんだで結構丁寧に教えてくれるんですね」
一方「ぶっ殺すぞ」
佐天「何故!?褒めただけなのに!」
一方「無駄口叩いてンじゃねェ、さっさとしろ!」
佐天「はぁーい」
佐天「(自分だけの現実を手に入れたあの時、か)」
佐天「(元々、熱を肌で感知できてた……これは左天さんの能力が身について、誘発的に私の能力が発現した結果なんだろうけど)」
佐天「(熱を感知―――それを、集中して集中して集中して―――感知した熱の方向や大きさを捉えてたんだっけ)」
佐天「(それから、そうして捉えた熱を数字じゃなくて大雑把なイメージで映像化したから―――)」
佐天「あの……」
一方「うン?」
佐天「思い出したけど、さっぱりわかんないです……」
一方「はッ!だろォなァ!!!」
打ち「(うわぁすっごい嬉しそう、ってミサカはミサカは引いちゃうね)」
一方「一夕一朝で演算式までくみ上げられりゃァ能力開発は苦労しねェからな。地道にやってみろ。コツは教えたからな」
佐天「ん……わかりました」
一方「あとな、式が完成するまで能力は使うな」
佐天「えーなんでですか?」
一方「その頭痛は本来ありえねェもンを視てる代償だ。使い過ぎると脳が焼き切れンぞ」
佐天「どういうことなの」
一方「廃人になるってことだよ」
佐天「な―――廃人って……」
一方「わかったなら使うな。俺のせいで勝手に死なれても迷惑だかンなァ」
佐天「えー、でも能力使わないと感覚つかめませんよ」
一方「……なら一日3秒だ。これ以上は使うな」
佐天「3秒!?そりゃ少なすぎやしませんか」
一方「ほざけ。どォせそンくれェ使ったら頭痛してくンだろ」
佐天「……まあ、たぶん」
打ち「なんだかんだであなたのことが心配なんだよってミサカはミサカはこの人の気持ちを伝えてみるの」
一方「勝手なこと言ってンじゃねェぞガキが」
打ち止め「それじゃ佐天お姉ちゃんばいばーいってミサカは手を振るの!」
佐天「ばいばい打ち止めちゃん、また来るからね」
一方「もうくンじゃねェよ」
打ち「そんなこと言っちゃってー本当は女の子と話せてうれしかったくせにーってミサカはミサカは肘であいたぁっ!」
一方「はいはいィィィうるさいお子様はお仕置きですねェェェェ」
佐天「(目つき怖っ)」
佐天「じゃ、じゃあ……今日はありがとうございました」
一方「……あァ」
打ち「離して離してーってミサカはミサカはじたばたじたばた」
一方「おォ」
打ち「あれ?なんだか今日は優しいかも、ってミサカはミサカはあなたの豹変っぷりに驚いてみる」
一方「……」
一方「……打ち止めよォ」
打ち「(初めて名前で……)な、なにかな、ってミサカはミサカはどきどきしてるんだけど……」
一方「……いや、なンでもねェよ」
一方「(……なんだろォな、最近は)」
一方「(昔の俺ならあンな風に話してなかっただろォな)」
一方「(一応の”恩人”だからなンですかねェ……わっかンねェな)」
一方「(……ま、悪くねェか、こんな気分も)」
一方「(わかっちゃいるがな……俺みてェな悪党がこんな光を浴びていられるわけがねェってことくらい)」
一方「(それでもよォ……今くれェは、許してもらえンのかね)」
一方「(……こンな風になれたのも、癪だがコイツのおかげか)」
一方「おい、クソガキ。ちょっと来い」
打ち「(えぇー今度は名前じゃないんだ)」なにかなぁ、ってミサカはミサカは少しテンション下がり気味で……)」
一方「」なでなで
打ち「ひゃあああああ!?な、なにかななにかな、ってミサカはミサカは素直に驚くの!」
一方「……ハッ、なんでもねェよ、気分だ気分」ぐりぐり
打ち「痛い痛い!わけわかんないってミサカはミサカは理不尽さに身もだえするーっ!」
佐天「演算式、かぁ」
佐天「世界の熱量のベクトルを視覚化する演算式……って、本当にわけわかんないよね」
佐天「視覚化を演算って何?みたいな……」
佐天「……まぁー、おいおいやってくしかないよねぇ」
土御門「お」
佐天「あれ?土御門さん」
土御門「にゃー。そういえば佐天ちゃん入院してたんだっけか。かみやんから聞いてたが……ごめんにゃーお見舞い来てなくて」
佐天「あぁ、気にしないでください。もう結構よくなりましたし」
佐天「土御門さんは上条さんのお見舞いですか?」
土御門「まぁそんなところだぜい」
佐天「あの……今回は上条さん何したんですか?詳しいことは聞いてないんで……」
土御門「簡単に言うとフラグ建設だにゃー。美人おっとりシスターさんを口説きに行ってた、ってところですたい」
佐天「oh...」
佐天「さすがすぎます上条さん……」
土御門「本当だにゃー。大けがしてまでフラグ建設とはおそれいりますにゃー」
土御門「そんじゃ佐天ちゃん、お大事ににゃー。大覇星祭もあるし、頑張って体直すことだぜい」
佐天「はーい」
―――病室にて
佐天「大覇星祭ねー楽しみだなー準備とかしてクラスの人とキャッキャウフフしたいなー」
佐天「それでーそこで仲良くなった男子が彼氏になってーやんややんやの関係になってー」
佐天「まぁいざ!って時にこのお腹の傷見たらどうせ引くんだろうけどさー」
佐天「あはははははは!」
佐天「……はぁ」さすさす
佐天「夏が終わっててよかった……こんなんじゃ水着きられないもん」
佐天「来年までに目立たなくなってるといいんだけどなぁ」
佐天「……後悔はない。そうだよ、後悔はないんだ。うん、大丈夫」
佐天「よし―――勉強しますか」
―――9月9日 終了
……。
ミサカ「それではお元気で、とミサカは涙ぐみながらさよならの握手を交わします」しくしく
佐天「いや、また会えるからね?あと退院するのにそんなに悲しそうにされるとなんとも言えない気持ちになるんだけど……」
ミサカ「そうですか?演技が過剰すぎましたね、とミサカは嘘泣きを止めます」
佐天「えー」
ミサカ「それではまたどこかへ遊びにいきましょう、とミサカは携帯電話をぶらぶらさせてみます」
佐天「うん、また連絡してね?」
―――公園にて
佐天「うおー久々の娑婆だー」シャバダバ
佐天「って、今日は普通に学校あるから、あんまり騒ぐと目立っちゃうかな」
佐天「それにしても、さすが学園都市。平日は全然人いないなー」
佐天「おっ……なのにクレープ屋さんは動いてるのかー。赤字になっちゃうと思うんだけどなぁ」
佐天「まぁいいや、久々に食べよっかな。お金は……おお、ギリギリたりそう」
佐天「なーにーにーしーよー……って、あれえ?妹さんだ」
店主「あいよ。780円ね」
ミサカ「ちょいお待ち、とミサカはスカートのポケットを……うん?」
ミサカ「あれ?あれあれ?おおおおお?」ぽすぽすシュバババ
店主「うん?どうしたんだい」
ミサカ「(これは不味いですね。どうやら財布を忘れてきたようです、とミサカは現状把握した後冷や汗が)」
店主「……まさか佐天「妹さーん!……っと、どちらさまの妹さん?」
ミサカ「おや、二週間ぶりですね、と検体番号14444のミサカは挨拶をします」
佐天「ああーあの時の妹さんかー。久しぶり」
店主「久しぶりはいいんだけどよ、そろそろ代金もらえねぇかな」
店主「まさか、タダ食いするつもりだったとかねぇよな?」
ミサカ「いえ、別にそんなつもりではありませんが、少々予期せぬ事態が起こりまして、とミサカは嫌な汗をぬぐいながら答えます」
佐天「……ああ。なるほど」ゴソゴソ
佐天「はい、これで」つ1000円札
店主「いいのかい?嬢ちゃん」
佐天「問題ないっすよー」
店主「まあ俺は代金もらえりゃいいからな。そんじゃおつりね、220円」
佐天「はーい。ありがとございましたー。さっ、妹さんいこ?」トテテ
ミサカ「はっ、はい」テテテ
店主「いいなぁ。ああいうのいいなぁ」
佐天「はいどうぞ」
ミサカ「……良いのですか?とミサカはあなたとクレープを交互に見ながらたずねます」
佐天「きにするめー。佐天ちゃんはこれくらいでどうこう言ったりしないのよ」
ミサカ「……それでは、お言葉に甘えて、いただきます」
佐天「おいしい?」
ミサカ「……はい。薄く焼かれたクレープ生地はしっとりとしていて、中の生クリームの甘さとチョコソースのほろ苦さ、
果物の酸味のバランスが最高ですね。普通ならば生地が破れないように厚く焼くか、破れて中身が飛び出てくるのに対して、
ここの生地はそれらの欠点がありません。しかもこれは……なるほど、生地自体に何か細工がしてあるようです。
ミサカではわかりませんが、この隠し味がここのクレープの真髄といったところなのでしょう、とミサカは
じっくり味わいつつ分析しながら食べていますもそもそ」
佐天「そっか。よかったよかった」
ミサカ「……すみません、あなたのお金なのにミサカばかり食べていて、とミサカはクレープをあなたへどうぞ」
佐天「うん?いいよいいよそんなの。たくさんお食べ?」
ミサカ「……そうですよね、食べ掛けなんていりませんよね、とミサカは少々ショックを受けつつクレープを口へと運びます」
佐天「べっ、別にそんなことないけど……」
ミサカ「では食べてください、とミサカはあなたの口元へクレープをもっていきます」
佐天「そう?それじゃ遠慮なく……はむ」ハムハム
ミサカ「oh...」
佐天「ん?ろうかひは?」
ミサカ「(なんでしょう、この感情……上目づかい気味でクレープをほおばりながらこちらを見る女の子に抱くこの感情、
ミサカでは分析できません、とミサカは込みあがってくるものを必死で押さえます)」
佐天「ん……うん、おいしい!ありがとね、妹さんっ」
ミサカ「あ、いえ、お構いなく……とミサカはクレープを口に運びます」
佐天「けどこれ生地に何入ってるんだろ……甘さに飽きないように爽やかな味があったけど」
佐天「うーん……梅?いや、ちがうかな……この香り、どっかで……」
佐天「……うーわー!わかんない!なんか悔しい!」
ミサカ「そりゃまあすぐ解られるようでは隠し味にならないでしょうしね、とミサカは思ったままを口にします」
佐天「あはは、そりゃそうだねー。手厳しいなあ、妹さんは」
ミサカ「あ……いえ、気分を害してしまったのなら謝罪します、とミサカはしゅんとします」
佐天「えー。これくらいでへこまないって。ただ最近料理を褒められたりしてたから、私ってそっちの才能あるのかなーと思ってさ。
だから解らなかったのが悔しかったんだけど……やっぱりプロには敵わないね」
佐天「っと、そうだ妹さん」
ミサカ「はて、なんでしょう?とミサカは指についたクリームをぺろぺろ舐めながら答えます」
佐天「友達になろう!」
ミサカ「……唐突すぎてどう回答すれば良いのか判断できません、とミサカは何か裏があるのではないかと探ります」
佐天「んー……裏なんてないけど。たださ、この前言ったと思うけど、妹さん寂しそうだったからさ」
ミサカ「……成程。つまりあなたは私に同情しているのですね、とミサカは席を立ちます」
佐天「いや、そういうわけじゃないんだけどさ……」
ミサカ「確かにあなたは恩人です。感謝しています。ですが、先ほどの言葉はミサカの心を傷つけました、とミサカはあなたを
見下ろしながら申し上げます」
佐天「え……」
ミサカ「クレープ、ありがとうございました。代金は近々返しますので、それでは、とミサカはお別れの挨拶をします」
佐天「ちょ、ちょっとまって!嫌なこと言ったんなら謝るよ!」
ミサカ「嫌なこと言ったなら、ですか。その言葉自体、不快にさせていると気付いていないあなたとは、
これ以上話をしたくありません、とミサカは歩き出します」
佐天「なっ……そんな言い方ってないじゃん!」
ミサカ「だまりなさい」
佐天「」ビクッ
ミサカ「……っ。それでは」
佐天「……何さ」
――――9月14日
佐天「うーいーはーるーっ!!!」
初春「ひゃぁぁぁっ!?」
佐天「よっし久々の感覚!精度もばっちり!柄はしましまかー」
初春「もぉー……って違いました!なんで退院したこと言ってくれなかったんですかぁー!」
佐天「あ。ごめんごめん、浮かれて忘れてた」
初春「しかも電話しても繋がらないし!」
佐天「いやぁー久々の自室でさー。帰ったらすぐ寝ちゃってて」
佐天「(本当は演算式組み立てるために能力使って疲れて眠ってたんだけどね)」
初春「……怪我はもう全快したんですか?」
佐天「うんっ、ばっちり!……ごめんね、心配かけて。それに、入院中は随分お世話になっちゃったね」
初春「いいんですよ、佐天さんが元気ならそれで」
佐天「くぅー!嬉しいこと言ってくれるなぁー親友!」
初春「あっ、もぅ、駄目です佐天さんっ、人がみてますぅぅ」
学生「huuuuuuuuuuuuuu!」
学生「ヒーハー!」
――――学校
「―――それでは身体検査を行います。各生徒は―――」
佐天「あっ、そうだ!私この能力のこと学校に報告してない」
初春「そういえばそうですね。今からでも報告した方がいいんじゃないですか?検査方法も変わりますし」
佐天「うん、ちょっと先生のとこ行ってくる」
佐天「せんせー」
先生「ん?どうかしたかい?」
佐天「今日の身体検査なんですけど、私能力身に付けたんですよ。ずっと入院してて報告できなかったんですが」
先生「おー、おめでとう!それで、どんな能力だい?」
佐天「熱量のベクトルを視覚化する能力です、たぶん」
先生「たぶん?」
佐天「知り合いの発火能力の専門家の先生いわく、もしかしたら熱ベクトルを操作できるようになるかもしれないって」
先生「なるほどね。うん、わかったよ。それじゃあそのように時間割組み直そう。それから、今日の検査は受けなくていいよ」
佐天「えっ」
先生「能力が発現したばかりではまだどうにもできないからね。時間割をこなしてからでないとどうしようもない。
それに熱ベクトル視覚化……珍しい能力だし、強度も計りにくいだろうからね」
佐天「はぁ……わかりました」
先生「もしよければその専門家の先生の連絡先教えてくれないかな?時間割を組むのに協力してもらいたいから」
佐天「あー……私も紹介された身なんで、連絡先はちょっと……○○高校の先生やってる月詠って先生です」
先生「わかった。それじゃあ今日は身体検査だけだから、帰ってもいいけど、どうする?」
佐天「あー……それじゃ、そうさせてもらいます」
佐天「そんなわけで急きょ暇になってしまった佐天涙子ちゃんだけどどうしよう……」
佐天「……よし!セロ……一方通行さんとこにお礼参りに行こう」
佐天「というわけでお礼参りに参りました」
一方「ハッ、上ォ等ォ!表ェ出な!相手してやっからよォ!」カチカチッ
佐天「えええええええ!?なんでバトル!?」
打ち「ねぇ、もしかしたらサテンはお礼参りの意味間違えてるのかもよ?ってミサカはミサカはあなたに言ってみる」
佐天「えっ、お礼参りってお見舞いの別称じゃないの?」
一方「……ハァ。なンだよ、ただの馬鹿か」
打ち「お礼参りっていうのは普通ある意味お世話になった人に暴力振るいにいくことなんだよ、って
ミサカはミサカは教えてあげる」
佐天「えぇっ、そうなんだ……」
一方「ンでェ?何しにきたンですかァ?」
佐天「いや、じゃあお見舞い?」
打ち「わぁープリンだプリンだ、ってミサカは喜びを身体で表わすの!」
一方「ンなクソ甘ェもン食えるかっての」
佐天「そういうと思ってあなたにはコーヒーゼリーとアロマブラックを買ってきました」
一方「よくきたな、まァ座れ」
打ち「このプリン美味しいけど個人的には焼きプリンの方が好きかも!ってミサカはミサカはダメだししてみる」
一方「(コーヒーゼリーうめぇ)」
佐天「私もそっちの方が好きなんだけど、それだと卵黄いっぱい使ってるからカロリーとかどうかなぁーって」
一方「(ブラックうめぇ)」
打ち「でもでももしこの後死ぬかもしれなかったらきっと後悔すると思うの。
「ああ、どうせ死ぬならとろけるプリン食べたかった……」ってミサカはミサカは例えてみる」
一方「(アロマブラックの飲み口でかいのはこういう理由だったのかよ……)」
佐天「そんなほとんどありえないような可能性は却下します」
一方「コーヒー使った菓子とかねェのか……」ボソッ
佐天「あ、それならティラミスとかどうですか?生地に純ココア混ぜて砂糖少なくして、
チーズの部分も砂糖少なめで、とか。勿論生地には濃い目のコーヒーたっぷりしみこませて」
打ち「というかあなたもお菓子とか食べたいのね、ってミサカはミサカは驚きの新事実にうちひしがれてみる」ビリビリ
一方「はァ!?べっ、別にンなもン食いたくねェよォ!!ただあるのか気になっただけだろォが!!」
佐天「照れない照れない。今度作ってきてあげるから、ね?」
打ち「んー、ミサカはあんまり苦すぎないほうがいいなぁ、ってミサカはミサカは遠まわしにお願いするの」
一方「照れてないですゥー!くそっ、テメェらンな目で見るなよォォォおおおおお!!!」
佐天「(この人意外と可愛いんじゃないか)」
打ち「(萌え)」
佐天「あ、そういえば本題なんですが」
佐天「一方通行さんってどこで能力開発したんですか?」
一方「……。ンでそンなこと聞くンだ?」
佐天「学校で先生が珍しい能力だから時間割たてるの難しいって言ってたんで。それで、ベクトル操作な一方通行さんの能力開発を担当した人なら
私の能力開発の時間割も組んでくれないかなぁーって」
一方「……はァ。やっぱり馬鹿だったなァ」
佐天「えー」
一方「お前よォ、俺の能力開発した奴がマトモなワケねェだろォが。実験で2万の複製殺させようとする奴らだぜ?」
佐天「あー……」
打ち「それならこの人に時間割組んでもらったらいいんじゃない?ってミサカはミサカは提案してみる」
一方「誰がンなめンどクセェことするかよ。そもそもいちいち覚えてねェっつゥの」
打ち「えぇー、うっそだぁー。頭良いあなたが覚えてないはずないのよってミサカはミサカは遠まわしに覚えてない
あなたのことを馬鹿にしてみ痛い痛い!」
一方「ンな挑発には乗りませんよォこのクソガキがァ!」グリグリ
打ち「しっかり乗ってると思うの!てミサカはミサカは痛みを我慢しながら突っ込んでみ痛いよー!」
一方「ッたく」パッ
一方「まァ覚えてたとしてもそりゃァお前みてェな奴が受けるモンじゃねェよ。学校の先生共にまかせときゃいいだろォが」
佐天「まーそれはそうなんですけど」
一方「ンで?もう演算式は完成したかァ?」
佐天「まだでっす!いやぁーなかなか難しいですね。というか視覚化を演算ってわけわかめ……」
一方「目ェ使うンなら透視能力系の能力者に聞いたほうが早ェンじゃねェか」
佐天「あ、盲点だった。それもそうですね。知り合いに居ますし」
一方「じゃァ早くそっち行きな。しっし」ペッペ
佐天「うぅっ、そんな冷たくしないでくださいよ……」
一方「ハァ?慣れ合うつもりなンざねェんだよ。ほれ、消えた消えた」
打ち「本当は寂しいくせに素直じゃないね、ってミサカは痛いいたい!」
一方「寂しくないですゥー。そんなこと言うのはこの口かァ?」グニグニ
佐天「いやいや実際寂しそうな顔してましたけどね?」
一方「テメェまでンなこと言いやがりますかァ?」グニグニ
佐天「いひゃいいひゃい!」
打ち「身代りになってくれるのは嬉しいけどこの人をとられたみたいでなんだか悔しいかも、ってミサカはミサカは嫉妬しちゃう!」
ミサカ「おやおや、謎の三角関係の出来あがりですね、とミサカはぶふぃーと噴き出しながら登場します」
打ち「こんなところで何してるの?ってミサカはミサカはたずねてみる」
佐天「ふぁれ?ろうひはのいもうほはん」
一方「別に三角関係でもなンでもねェだろうが」
ミサカ「またまた御冗談を、両手に花で両方とも12歳以下ですよ?本当は嬉しいくせに、とミサカは一方通行を指さして痛い!」カーン
一方「人を異常性癖者みてェに言うンじゃねェよ」
佐天「というかなんで私がまだ12歳って知ってるの?」
打ち「空き缶の飲み口を額に当てるなんて結構運動神経いいのね、ってミサカはミサカはあなたのコントロールに驚くの」
ミサカ「涙子が12歳なのはカルテを見たからです、とミサカはなんてことない事実を明かします。
そしてここにいる理由ですが、病室の前を通ったら涙子の声がしたので野獣の毒牙にかかっていないか心配できました、
とミサカは一方通行の危険性を考慮して行動したことをお知らせします」
一方「誰がこンなガキを相手にすっかよ」
佐天「正直一方通行さんの毒舌いやみにも慣れてきました」
佐天「あぁ、そういえば妹さん。昨日14444さんと会ったよ」
打ち「14444ってあの変わった子のこと?ってミサカはミサカは10032に確認してみる」
ミサカ「ええそうです、それで、どうでしたか?とミサカは少々心配そうに聞いてみますが」
佐天「取り付く島もなかったよ」
一部始終説明中
一方「そりゃテメェが悪ィな」
佐天「えー」
一方「話を聞いてっと14444はひねくれてンだろ?だったら「寂しそうだから」なンて理由は憐れみみてェでいい気はしねェだろ」
ミサカ「まるで自分のことを言っているようですね、とミサカは上位個体に耳打ちします」ヒソヒソ
打ち「もしかしたら14444とこの人って結構似てるかも、ってミサカはミサカは思ってみる」ヒソヒソ
一方「まァ俺は別に友達なンざ必要ねェからわかンねェけどよ……憐憫だ同情だで友達になられるなンざ屈辱以外の何もンでもねェよ」
一方「まァ俺は別に友達なンざ必要ねェからわかンねェけどよ。友達ってのはそォいうもンじゃねェんじゃねェの?」
佐天「それは、確かに……」
ミサカ「二度同じこと言いましたね、とミサカは強調した文章に一方通行の何かを感じます」ヒソヒソ
打ち「たぶんこの人も友達が欲しいんだよ、ってミサカはミサカは考えてみるの」ヒソヒsp
佐天「……私、妹さんに謝ってくる」
一方「……ハァ。三度目になるがな、だからテメェは馬鹿なンだよ」
佐天「……じゃあ他にいい方法あるっていうんですか」
一方「方法だのなンだの言ってる時点で間違ってンだよ。あとそれくれェ自分で考えな。少なくとも謝る場面じゃねェだろォからな」
ミサカ「友達いないくせに随分知った風な口を叩くのですね、とミサカは第一位のしったかぶりを鼻で笑います」ヒソヒソ
打ち「きっと友達欲しかったから”友達を作るための本”とか読んでそっからの知識だと思うの、ってミサカはミサカは命の恩人に
ひどいこといってみる」ヒソヒソ
一方「……って、何言ってンだ俺ァ。らしくもねェ。別にテメェと妹達がどうなろォと知ったこっちゃなかったわな」
佐天「随分ひどいことを言いますね……」
一方「事実だからな。オラ、用がすんだら出てけっつゥの。眠てェんだよ。それともアレか?テメェはけが人に睡眠もとらせない
ドSちゃんなンですかァ?」
佐天「わかりましたよ、っと。それじゃあね、打ち止めちゃん」ぱたん
佐天「謝るな、謝るな、か……」
佐天「……ふぅ。わっかんないな。けど」
佐天「もし私が妹さんのことを見下してたのなら……その時味わう気持ちは、私はよく知ってるはずだから」
佐天「ああ、そっか。そういうことか」
佐天「……、全く。何も成長してないじゃない、私は」
―――夕暮れ前 177支部
佐天「やっほー初春」
初春「あれ?佐天さん、どうしたんですか……ていうか、今日早退したんですね」
佐天「早退っていうか、身体検査受けなくていいって先生から言われたからねー。それで、固法先輩いる?」
初春「先輩なら今日は非番ですよ……っと、」
佐天「うん?どうしたの?」
初春「いや……うん、うんうん……うーん?」
佐天「えー本当にどうしたの?」
初春「……、あ、そっか……うはー、これはめんどうなことになりそうです」
佐天「何がなにがー?」ひょいっ
佐天「……oh、サングラスかけた男の人が10人……初春ってこういう趣味だったの?」
初春「違います!って、そうじゃなくて、白井さん白井さん、っと」
pllllllllllllplllllllllllllllll
白井『お姉さまと夕暮れの中逢引してましたのに、それを邪魔する初春はその花をひっこぬいてほしいんですのね?』
初春「つまり御坂先輩のお役に立てたってことですね。イエイ!」
白井『イエイ!じゃありませんの!で?たいした用でなければすぐに切りますけれど?』
初春「たいした用ですよー。すぐに177支部まできてください。かなり緊急です」
白井『……にわかには信じられませんが、まあ行かないわけにもいきませんわね。待ってなさい』ピッ
佐天「そんなにたいへんな用なの?」
初春「そうですねー。ちょっとこれみてください」
初春「かたかたーっと……こっちは白井さんに聞かなきゃわかんないからー……えい」
初春「これです、これ」
佐天「何何ー……えっと、何?」
初春「あれ?佐天さんって結構洋画とか見てたりしそうだからわかると思ったんですけど」
佐天「……あ、わかった。これね、拳銃とか差し込むアレ」
初春「そうです、アレですよ」
佐天「まーたしかに変だけど……集団コスプレかもよ?」
初春「佐天さんらしからぬ意見ですね。いつもならもっとくいつてくるのに……っと」
佐天「うわっ、これ拳銃?」
初春「どうにも外のみたいなんですよねー」
白井「お待たせですの……初春、佐天さんがいらっしゃるということは大したことではないのでは?」
佐天「どういうことなの……」
白井「ああ、失礼。別に佐天さんがどうこうということではなく、お姉さまとの逢瀬をほっぽりだしてまで来なければならない用ならば、
部外者である佐天さんに教えられるはずありませんので」
佐天「て言ってるけど、教えてよかったの初春?」
初春「……えへっ」
白井「えへっ、じゃありませんのー!それで?もし本当にくだらないことならその首をテレポートしますわよ」
初春「まぁまぁ見てください……かくしか」
白井「まるうま……なるほど、それは妙ですわね」
白井「ただの窃盗ならば警備員の仕事ですが……少しおかしな予感がしますわね」
佐天「奇遇ですね、私もです!」
初春「二人とも予知能力にでも目覚めたんですか?」
白井「経験ですわ」
佐天「直感だけど」
白井「さて、それではここはひとつ、私が直々に出向きましょうか。初春、現在位置と予想逃走経路を出しなさいな」
初春「えー、白井さんが行っちゃったら警備員に聞かれたとき私が受け答えしなきゃならないじゃないですかー。めんどくさいです」
白井「シャラップ、ですわ。お姉さまとのデートを台無しにされたのですもの、これくらい働かなければ気が済みませんわ」
初春「それじゃ後で御褒美くださいね!」
白井「甘えるんじゃありませんの。ほら、さっさと渡しなさい」
初春「はーい」
佐天「これが風紀委員の連携プレーか……入り込む余地がないぜ……」
―――数分後
初春「あーあー。白井さんが上手いことしてくれると楽なんですけどねー」
佐天「白井さんなら大丈夫でしょー。なんたって大能力者なんだし」
初春「そうですかねー……と」
初春「噂をすればなんとやらっ。白井さんからメール着信ー。どうやらキャリーケースは取り戻せたみたいですねー」
佐天「早っ!さっすが空間移動能力者……」
初春「『解析求ム』……ふむふむ、これですかね……」カタカタ
佐天「いつも思うけど初春ってパソコン凄いよねー」
初春「そんなことないですよー、っと……えっと、これが……」
初春「……うわーい、これでおっけーですね、っと」
plllllllllplllllllllll
初春「どもども白井さん、解析結果出ましたので報告しますねー。かくかく」
白井『うまうま。宇宙用の素材、とはまた……それで?R.W.Sモードってなんですの?』
初春「前に説明したじゃないですか……まず携帯のメインメニューからですね……」
白井『……ああ、ありましたわ。今送りますの』
初春「きたきた、っと……うんうん」
初春「荷札自体は学園都市発行のもので間違いないですね。ICチップ内のデータは……簡単に言うと第23学区からです。
うわー、なんだか怪しい匂いがしてきましたよー。まるで悪の秘密結社が何か企んでそうです」
白井『23学区……ああ、どこかで見たと思ったらこのエンブレム、23学区のものでしたのね』
初春「ちなみに23学区は機密性が高いので、これ以上の情報は記載されてませんねー」
白井『御苦労さまですの。あとはこの男共とキャリーケースを運びがてら考えてみますの』
初春「あ!御褒美の件忘れないでくださいね!」
白井『甘えるな、ですの』ピッ
佐天「……か」
佐天「かっこいいー!凄いね初春、なんだか映画に出てくる人みたいだったよ!」
初春「えぇっ?い、いきなり何ですか佐天さん」
佐天「だって電話あってからばばばーって調べて『機密』とか『ICチップ』とか、わけわかんない単語並べてさー。
いかにも仕事が出来る女!って感じでかっこよかったよ!」
初春「も、もう、あんまり褒めないでくださいよぅ」テレテレ
佐天「でもそうやって照れてる初春は可愛くて好きー!」ギュー
初春「あっ、もう佐天さんっ、耳に髪があたってこそばいですぅ」イチャイチャ
その頃の白井さん
白井「肩にコルク抜きッ……!?」
佐天「けど凄いねぇ、初春は……誰もできないよ、こんなこと」
コレ
初春「まぁ情報処理一本で風紀委員試験に合格しましたからね。ちょっとくらいは自信ありますけど」
佐天「おっ、言うね言うねーこのこのー」わしわし
初春「ひゃああぅ、あんまりお花がしがししないでくださいよぉー」イチャイチャ
その頃の白井さん
白井「痛っ……!」
結標「私の座標移動は、あなたみたいに手で触れる必要なんてないんだって」
佐天「そうだ、初春何か飲む?頭使っただろうし何かいれてあげるよ?」
初春「じゃあミルクティーがいいです!茶葉はそこにはいってますし、牛乳は冷蔵庫にありますから」
佐天「おっけーおっけー。おっ、これって結構いい茶葉じゃん。白井さんが持ってきてくれたの?」
初春「違いますぅー。私が買ってきたんですぅー」ムー
佐天「あー、おおかたお嬢様っぽさにあこがれたんでしょ?ミーハーだよねぇ初春も」
初春「いいじゃないですかーお嬢様!『でしてよ?』とか言ってみたいです!」
佐天「だったらもう少し大人っぽい格好しなきゃねー。お花のせてないでさー」
初春「なんのことですか?」
その頃の白井さん
白井「馬鹿な……『樹形図の設計者』が破壊されたなんて……」
結標「本当に何も知らないのね」
佐天「はいっ」
初春「ありがとうございますー」コクコク
初春「あー、やっぱり佐天さんがいれると美味しいですねー。何でですか?」
佐天「勘かなー。料理とかしてるとなんとなーくわかるんだよねぇ」
初春「ううっ、そんな簡単そうに……」
佐天「まっ、取り柄のない佐天涙子ちゃんの唯一のとりえみたいなもんだからねー」アハハ
初春「……そんなことないです」
初春「佐天さんのいいところはいっぱいあります。だから、取り柄ないとか言わないでくださいよぅ……」
佐天「初春……っ」ジーン
佐天「あーもう!嬉しいこと言ってくれるなぁー!」わしわし
初春「おぶふっ!いきなり抱きついて撫でまわさ、ひゃんっ」ビクンッ
その頃の白井さん
結標「私はあなたとお友達になってあげてもよかったのだけれどね」
白井「(おね、え、さま……っ!)」
ドスッ
plllllllpllllllllll
初春「あれ?白井さんからだ……もしもーし」
白井『うい、はる……いいですこと?今から、話すこと……他言無用です、わよ……』
初春「うわぁ……なんだかすごいことになってそうですね……」
佐天「なになにー?どうしたのー……って白井さん大丈夫!?すっごい辛そうな声ですけど……」
白井『……そう、でしたわね……そこには、佐天さんも、いたの……げほっ!』
佐天「……っ!」だっ
初春「佐天さんっ!?どこ行くんですか!?」
白井『いまは、ほうっておきなさいな……それより、今からいうことを、調べて……』
佐天「確か、初春が出してた地図ではこっちの方―――」
―――数分後
佐天「たぶん、この辺りのはず……」
佐天「……ふぅー……集中集中……」
ベクトル
佐天「(視覚化の演算式を構築。対象は熱量。イメージは矢印)」
佐天「(視覚化是即本来視認することが出来ない映像を脳へ送る事)」
佐天「(必要な要素は感覚により感知―――ここから式を構築して―――)」
佐天「(これ、で――――)―――っと」
佐天「…・…よし、なんとか成功かも。結構ふらふらするけど」
佐天「それより……」
佐天「(あまり人が入り込まない路地裏だから……たぶん、どこかに熱の揺らぎが……)」
佐天「……・!見つけたっ!」
佐天「白井さんっ!!」
白井「……さてん、さん、ですの……?」
佐天「うわ……ひどい傷……待ってて、今すぐ救急車」
白井「すとっぷ、ですの……そんなことしている場合ではありません、わ」
佐天「何言ってるんですか!早く治療しないと!」
白井「おねえさまに、しんぱい、かけたくありませんの……」
佐天「なっ……」
白井「それ、に……そんな、時間、ありませんので……つっ」フラッ
佐天「だ、駄目ですって立ちあがっちゃ!今にも倒れそうじゃないですか!」
白井「……ほんと、ですわね……さてんさん」
佐天「は、はいっ?」
白井「恥をしのんで……おねがいしますの。私を、寮まで、運んでくれませんこと……?」
佐天「それは構いませんけど……」
白井「……おねがい、しますの……わたくしの、能力は……こんなじょうたいでは、うまく、つかえませんので……」フラァッ
佐天「わわっ、白井さんっ!」
白井「めい、わく……かけます、の……」ぽてっ
佐天「……白井さん」
佐天「――――っと」だんっ
佐天「血まみれな人を背負って人通りは走れないから建物を跳んでみたけど……」
佐天「案外いけるもんだなー。たぶん、後で足の筋肉とか関節とかすごいことになりそうだけど……」
佐天「でも道選んでたら白井さんが……最短はこれしかないもんね―――っと」だんっ
学生「なぁ、さっき女の子をおぶった女の子がそことそこの間をジャンプしててさ……その、見えたんだよ、パンツが」
学生「いい病院紹介するぜ……?」
佐天「―――ふぅ」
佐天「白井さん、つきましたよ」
白井「……ん、ありがとう、ですの」
白井「おねえさ、ま、は……まだ、かえって、きてらっしゃらないようですわね……」ふらぁ
白井「……ふぅ」ヒュンッ
佐天「テレポート……」
佐天「……」ピッピッ
pllllllllllllplllllllllllllllllllll
佐天「ああ、初春?うん、、うん、、、今、白井さんを寮まで送ってきたところ」
佐天「、、、、そう。わかった、じゃあ私は白井さんが心配だから」
佐天「、、、大丈夫だって。大丈夫、、、、わかってるよ、無理しないから」
佐天「じゃあ、よろしくね」ピッ
―――第七学区 ビル 屋上
佐天「――――――」
佐天「……熱を使っての身体強化」
佐天「すっごく使い勝手がいい能力だけど……基礎、自分の身体が変化するわけじゃないから、反動もある」
・ ・ ・
佐天「それが解ってるからこそ、今までこっちは使わないでいたけど……白井さんがあんな状態になったんだから、そんなことも言ってられないよね」
佐天「……身体強化―――視覚強化」
佐天「うわ……すっごい見える……」
佐天「水晶体をひっぱる筋肉を強化したらどうかと思ったけど……やっぱり視力上がるよねー」
佐天「さて……」
佐天「(話しの内容からすると、白井さんを傷つけた人は逃走中……つまり、監視カメラのないような場所、街の外れを移動しているはず)」
佐天「(だから、この一番高い所から郊外を探せば……)」
佐天「……けど、白井さんにあんな傷負わせるなんて、どんな能力者なんだろ……」
―――一分後
佐天「……見つからない」
ゴォン……
佐天「」ビクッ
佐天「な、なんの音……って、あの電撃……御坂さん!?」
佐天「(まさか、白井さん御坂さんにばれて―――御坂さんも、犯人を追い掛けて……?)」
佐天「……、急がないと!」だんっ
御坂「―――出てきなさい。仲間を盾にして、この卑怯者」
佐天「御坂さんっ!」スザァ――――z_______ッ
御坂「って佐天さん!?なんでここに!?」
結標「あらあら、卑怯者はどっちかしらね。そんな一般人を巻き込んで」
佐天「うっさい!アンタね白井さんをあんな風にしたのは!」
結標「そうだったらどうしたの?まさか、仇打ちとか?熱いわね、いまどき流行らないわよ?」
佐天「死んでないから仇打ちじゃないけどね!友達がやられて見過ごせるかっての!」
御坂「(なんか空気になっちゃった)」
結標「友達、ね。そっちの超電磁砲は後輩のため、ってとこかしら?本当、仲がいいわね」
結標「それで?まさか、あなた達ごときが私を止められるとでも?」
レベル0
結標「特にそっちの……えっと、サテン、だっけ?超電磁砲や白井黒子と一緒にいたから調べてあげたけど、ただの無能力者じゃない」
わたし
結標「それで大能力者を止めようなんて、身の程をわきえなさい」
レベル0 レベル1
佐天「はっ!無能力者じゃなくて低能力者よ!」
結標「そこははりあうところじゃないと思うけど?」ひゅんっ
佐天「え」ふっ
テレポート
佐天「なっ……空間移動!?」
御坂「佐天さんっ!?」
結標「安心しなさい―――その高さから落ちても、足の骨折か、最悪下半身麻痺ですむから」
「う……おおおおおおおおっ!?」
つい叫び声をあげてしまったが、すぐに冷静になるよう努める。
どれほどの高さがあるのか解らない、が、この程度なら身体強化でどうとでもなるレベルだ。
ご丁寧に下半身が下にくるように空間移動されている。即死させないためだろうか。つくづく下衆だと思う。
「おおおっと、ととっ」
タイミングを計り損ねたか、衝撃を吸収しきれずすこしふらつく。
そんな私を見て、少々驚いたかのように女が口を開く。
「……無能力者だと聞いていたのにね。私が調べてから肉体強化の能力でも身に付けたのかしら?」
「まあ次は建物にでも―――ッ!」
軽口を叩いていた結標が表情が一瞬こわばる。
それもそのはずで―――彼女の数cm横を数億ボルトの雷撃の槍が通過していた。
「ちょろっとー?私を無視だなんて良い度胸ね」
伸ばした指先を帯電させながら、口をつぐんだ結標の替わりに美琴は余裕の表情を浮かべる。
しかしその言葉には、怒りの念がこもっていることをその場の二人は感じ取っていた。
「全く、アンタの相手は私でしょうが―――関係ない私の親友に、手ェ出してるんじゃないわよ」
「……ふふ、貴女の相手は私、ね。勘違いしてない?貴女の能力じゃ私を倒せない。確かに貴女の雷撃は強力よ。
けれど、構えてから射出、および動作の始まりさえわかってしまえば空間移動で避けることも―――」
まるで美琴の能力を全て知っており、尚その対策を組んでいると思わせるような結標の言葉は、
「無理ね」
と、美琴の言葉で遮られた。
「アンタは自分の身体を移動できない―――書庫にあった実験中の事故によるトラウマのせいでね。
もし出来たとしても、今まで使っているように一瞬で移動できたりしないわ。
演算式に狂いが無いか調べてから使うはずだから」
結標はそう語る美琴を、最初から変わらない余裕の表情で見つめていた。
しかし睨みつけている美琴はやはり見逃さなかった―――その表情が、また一瞬だけこわばったことを。
「……そうね、もしそうだと仮定しても、式の確認なんて2,3秒もあれば十分よ?それだけの時間で一体何が出来るのかしら?」
「2,3秒もあれば十分よ。私の槍は光速でアンタを捉える!」
言うが早いか、美琴が右腕を構える。しかし、
「そう、悪いわね。私の座標移動もまさしく光速なのよ」
軍用ライトをふいっと揺らした瞬間、結標の前に老若男女さまざまな人間が10人ほど集められた。
「は!そんなもの!」
人間が何人いようと関係ない。それも貫いて結標に雷撃を当てる。
そう思い槍を繰り出そうとするが、それは結標の言葉で妨げられた。
「そんなもの?貴女、この中にいる関係ない一般人もそんなものであつかうの?」
「なっ―――!」
惑わされ、すぐにそんなはずはないと結標の言葉を振り払うが、その少しの間があれば結標にとって十分だった。
さようなら、という声を残し、キャリーケースと共に結標が姿を消した。
佐天「あれ?私空気じゃない?」
御坂「くそっ……!」
御坂「(逃がした……けど、アイツのことだからどこか確実に安全な場所に移動したはず!)」
御坂「佐天さん!たぶんアイツはまだ遠くへ行ってない!それに、何度も繰り返し自分の身体を移動させられないはずよ!
なんで佐天さんがここにいるのかは後で聞くとして……今は一緒に探して!}
佐天「わっかりましたー!」
佐天「そうだ、御坂さんの能力でレーダーみたいなことできないんですか?」
御坂「残念だけど、私の周りちょっとしかできないわね……佐天さんは?」
佐天「やってみたんですけど、駄目ですね。表には人通りも多いですし、熱の揺らぎが多すぎて人一人を特定するのはちょっと……」
御坂「そう……それじゃ私はこっち探すから、佐天さんはそっちお願い!」
佐天「りょーかいっ!」
佐天「考えろ考えろ―――御坂さんの攻撃から逃げる、つまり正面からじゃ御坂さんに敵わないってこと」
佐天「そもそも、あの女の目的はキャリーケース、わざわざ私たちと戦う必要なんてないはず」
佐天「私達から逃げられればいい……とすると、ふつうすっごく遠くに移動するはずだけど」
佐天「御坂さんは『まだ遠くに行ってない』って言ってた……あれは確信ある言葉だったし、それを考慮すると……」
佐天「『私達から逃げる』『けれど遠くではない』つまり『私達から見つからない』『私達の死角』へ移動したということか!」
佐天「とすると―――人間の死角は、ふつう上だよね!」
佐天「……と言っても、上みたってビルとかあるだけなんだけど」
佐天「でも、今わかることは上ってことだけだし……あ、」
佐天「白井さんっ!?あんな身体でなんでこんなとこに……っと!」だんっ
白井「……痛っ」
白井「応急キットの中に局所麻酔があったのは幸いでしたわ……足の痛みはこれでなんとかなりましたわね」
白井「さて……それでは、行きましょうか」
佐天「白井さんっ!」
白井「ぶはぁっ!びびびびびっくりしましたわ佐天さんッ!いきなり下から飛び上がってこないでくださいまし―――って、え?」
佐天「白井さん駄目じゃないですか!あんな怪我で動き回ってちゃ!」
白井「いやいやいや待ってくださいまし!佐天さん今この下から来ましたわよね!?一体どういうことなんですの!?」
佐天「そんな細かいことはどうだっていいんですよ!」
白井「よくありませんのよ!?」
佐天「まあそれについては後で説明しますから、今は帰って休んでてください!今白井さんをそんな風にした奴おっかけてますから!」
白井「……いえ、それならもう良いですの」
佐天「へっ?」
白井「あれをごらんなさいな」すっ
佐天「……あ!あの女……!」
白井「佐天さん、ここはわたくしに任せてくださいまし」
佐天「駄目です!」
白井「えー」
佐天「そんな身体で何言ってるんですか!それに白井さんあの人に一回負けて―――」
白井「だからこそ、ですわ」
白井「私をここまでした責任をきっちりとらせる―――そして」
白井「お姉さまのためにも、私があの女をしとめなければなりませんの」
白井「……佐天さん」
佐天「はっはいっ?」
白井「『樹形図の設計者』の『残骸』と聞いて、思い当たる節は?」
佐天「……残念ですが、ありますね」
白井「……そう、ですの」
白井「佐天さん……貴女、何時の間にか私の知らない場所へ行っていたんですわね」
白井「ということは―――8月21日のことも、何か御存じで?」
佐天「……たぶん、知ってますよ」
白井「お姉さまはそれに関わっていたのですね」
佐天「調べたんですか?」
白井「あの女の行ったことと、初春からの情報で考えただけですの」
白井「全く、妬けますわね―――私も知らないお姉さまを知っていただなんて」
佐天「……御坂さんはたぶん、皆に余計な心配かけたくなかったから」
白井「お姉さまらしいですわ。全部全部、自分一人で背負ってしまわれる」
白井「たまには……私達に頼ってくださっても、良いと思いませんの?」
佐天「はは……全くですね」
白井「さて……では、行きますの。佐天さんはここで待っててくださいまし」
佐天「……、わかりましたよ」
白井「申し訳ありませんの、わがままを聞いてもらって」
佐天「いいっすよ、別に……その代わり!絶対帰ってきてくださいね!」
白井「私を誰だと思ってますの?大能力者にして風紀委員、白井黒子ですのよ?」
白井「さて―――それでは、行きましょう。愛すべき御姉さまの世界を守るためにも。絶対に帰ってくることを誓って」
ひゅんっ
佐天「―――」
佐天「お、始まったかな……お客さんが建物から出てった」
佐天「やれやれ……白井さんも結構熱血だなーっと」
佐天「御坂さんも幸せ者だよねぇ、あんな後輩持ってさ」
佐天「……」
佐天「御坂さんには悪いけど……ここは白井さんを信じよう」
スドン
佐天「」ビクッ
佐天「今のって銃声!?……く」
佐天「……ごめん、白井さん。やっぱり、私には友達を見捨てるなんてこと―――!」だんっ
その頃の白井さん
白井「」
結標「あ、あ、」
結標「この建物ごとぐちゃぐちゃになるがいいわ―――そう、そうよ、私の座標移動ならそれが出来る。
不出来な貴女と違って、優秀な私なら―――!」
結標「そうと決まればこんなところには用無しよ。警備員もきたみたいだしね。さっさとコレを回収させてもらうわ」
白井「……あら、あなた、まだ、そんなものに執着してまして……?」
結標「―――!この……!」
佐天「させるか―――ッ!」
結標「がっ……!」
佐天「白井さん!白井さんったら!」
白井「……さてん、さん……こないでくださいまし、と、いったのに……」
結標「げほっ、げほっ……!くそっ……!」
佐天「あ、この……!逃げるな……!」
結標「はァ……あら、お友達を放っておいてもいいのかしら……?」
佐天「くっ……!」
白井「さてん、さn……わたくしのころは、よろしいですから……」
佐天「そん、なこと……!」
結標「ふん……まだ甘いわね……!」だっ
佐天「――――く」
佐天「後悔とかそんなのは後だ……今は白井さんを……!」
―――ビルの外にて
佐天「大丈夫ですか!?」
白井「は……げほっ、げほげほっ!!」
警備員「早く病院へ運ぶじゃん!輸血、輸血を!」
白井「……さてん、さん」
白井「あのおんなを……追ってください、ですの」
佐天「でも、でもでも……!」
白井「わたくしは、もう……大丈夫ですの……治療をうけます、から
だから……御姉さまの世界を、守るためにも……がっ……」
佐天「――――っ!」
佐天「……わかりましたっ!だから、死なないでくださいね!」だっ
白井「はっ……わたくし、を……誰だと……」
ウオービルガクズレルー!?
ソノゲンソウヲブチコロス!
トマッタ?スゲー!
佐天「直前で白井さんが渡してくれたルートだとこっちかな」たったった
「あはぎゃはっ!無様なローアングルのサービスさらしてくれてアリガトウ!!」
佐天「……うわぁ。なんだかすっごい聞き覚えのある言葉づかい聞こえてきた」
「こっから先は一方通行、ってなァ!!!」
「確かにこのザマじゃあ学園都市最強は引退かもしンねェが」
「それでも俺は、あのガキの前じゃ最強を名乗り続けるって決めたンだよ、クソッタレ」
佐天「……一方通行さん」
一方「あ?なンだ、こンな場所で何してやがる」
佐天「いやいやそれはこっちの台詞ですよ?こんなとこで何してるんですか」
一方「なンでもねェよ。下らねェこと考えてるガキをお仕置きにきてやっただけだ」
佐天「……ああ、キャリーケース、壊してくれたんですね」
一方「たまたまだっつゥの」
一方「ほれ、帰るぞ」
佐天「帰るって病院じゃないですか、あとあの人どうするんですか?」
一方「テメェが警備員にでも連絡しときゃァいいだろォが」
佐天「えー事情聴取とかめんどくさそうです。学園都市第一位がやってました、って言っていいですか?」
一方「……はァ。しょうがねェ。俺から連絡してやンよ」
佐天「うわーい優しい」
一方「ぶっ殺すぞ」
佐天「なんで!?あんなかっこいいこと言ってたくせに!素直じゃない!」
一方「あ……?」
佐天「『それでも俺は、あのガキの前じゃ最強を名乗り続けるって決めたンだよ、クソッタレ』」キリッ
一方「なっ……!」
佐天「風に乗って聞こえてきましたよ?」
一方「死ねェ!!!」
こうして白井黒子達の辛く長い夜は終わった。
そしてこの時一方通行はまだ気づいていなかった。
ぶっ飛ばした相手と、一緒に仕事をする羽目になるとは――――
結標淡希編 完