里志「奉太郎、それ本当なのかい?」
奉太郎「……ああ父さんの転勤でな。オレも昨日きかされた…」
摩耶花「うそ…」
奉太郎「オレは嘘はつかない」
える「…」
元スレ
千反田える「折木さんが…転校…?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350297191/
里志「…それで奉太郎、ここをいつ発つ予定なんだい?」
奉太郎「一週間後だ…」
える「!」
摩耶花「そんな一週間なんて!」
里志「…奉太郎、嘘じゃないなら冗談かい?」
奉太郎「オレはそんなつまらん冗談は言わん。オレだってようやくこの高校に慣れてきたのにな…」
摩耶花「…ちーちゃん?」
える「…」
奉太郎「どうした千反田、オレの転校先が気になります…か?」
える「……私…私は折木さんにたくさんのことを教えていただきました」
奉太郎「…」
える「……それなのに…転校なんて…あんまりです」ウルウル
奉太郎「そんなもんはオレには関係ない」
摩耶花「ちょっと折木!そんないい方!」
奉太郎「本当はずっとうっとおしかった!」
摩耶花 ビクッ
奉太郎「やりたくもない探偵役に仕立てあげられて、毎日毎日、気になります気になりますって…」
奉太郎「もううんざりだったんだよ!」
える「…」ホロリ
摩耶花「ちょっと!ちーちゃん泣いてるじゃない!」
奉太郎「泣きたい奴は勝手に泣け。とにかくオレはこれでせいせいした」
える「…」ボロボロ
奉太郎「ようやくお嬢様の茶番劇に付き合わなくてすむからな!」
える「!」
ダダッ
摩耶花「ちっ…ちーちゃん!おっ…折木の馬鹿!」
ダダッ
奉太郎「…」
里志「奉太郎、迫真の演技だったよ」
奉太郎「演技?なんのことだ?おれは本当に…」
里志「もういいよ奉太郎…無理しなくて…」
奉太郎「…」
里志「千反田さんが奉太郎に好意を抱いているのか明らかだ。もちろん奉太郎もそれには気付いてる」
奉太郎「…」
里志「千反田さんが自分に好意を持ったまま転校してしまったら、千反田さんを苦しめてしまう」
里志「だから急に奉太郎はあんなことを言って千反田さんに嫌われようとした。」
里志「違うかい?奉太郎?」
奉太郎「……データベースは結論を出せないんじゃなかったのか?」
里志「……今のはデータベースとしての発言じゃない。古典部の一員、そして折木奉太郎の親友、福部里志の言葉だよ」
奉太郎「…」
里志「奉太郎は本当にこんな形で転校して行っていいの?」
奉太郎「だからといってオレに他になにができる?」
里志「千反田さんはこんな別れ方は望んでないはずだよ」
摩耶花「ちーちゃん待って!」
える「ハアハア」
摩耶花「ちーちゃん!」ガシッ
摩耶花「あんな馬鹿のいうことなんてまにうけちゃだめ!」
える「……でも…私、……私…折木さんにあんなにご迷惑をかけているなんて…気付かなくて…」ボロボロ
摩耶花「ちーちゃん!」
える「…」
摩耶花「折木が本気であんなこというわけないでしょ」
摩耶花「私、折木のことは長い間みてきたけど、人を傷付けるようなことを言う折木なんて見たことないよ」
える「…」
摩耶花「それはこの1年間一緒にいたちーちゃんが一番分かってることじゃないの?」
える「……はい。確かに折木さんは…とても優しい方です」
摩耶花「きっとなにか事情があったのよ」ニコッ
摩耶花「大体、ちーちゃんみたいなかわいい子に迫られて悪い気起こす男なんているわけないじゃん」
える「そっ…そんな////」
摩耶花「とにかくもう戻ろう?ちーちゃん」
える「……はい」
奉太郎「確かにそうだろうがもう取り返しがつかん…」
里志「そんなことないよ!奉太郎にはアレがあるじゃないか!」
奉太郎「?」
パタパタ
里志「ほら摩耶花達、帰ってきたみたいだよ」
ガラッ
摩耶花「お~れ~き~ちーちゃんに言うことがあるでしょ」
里志「ちょうど僕らもそのことを話してたんだよ。ほら奉太郎!」
奉太郎 チラッ
える チラッ
奉太郎(ええい、ままよ!)
奉太郎「ちっ…千反田、さっきのは軽い冗談てかジョークだ。ごめんな」(テヘペロ
奉太郎「…」
里志「…」
摩耶花「…」
える「ふふふ、やっぱり折木さんは面白い人ですね」
里志(ふぅ~良かった~)
摩耶花「そんなんでごまかすな!ちゃんと謝れ!」(バキッ
奉太郎「いてっ」
える「もういいんです。摩耶花さん」
摩耶花「でっでも…ところで折木はなんであんなこと言ったのよ」
里志「転校して千反田さんと離れるのが寂しかったんだよ。奉太郎は感情を表現するのが下手だからね」
摩耶花「好きな子にいじわるするって、それじゃ、まるで小学生ね」(ケイベツノメセン
奉太郎「おいっ好きだなんて言ってないぞ!」
摩耶花「あら?じゃあ違うの?」
える「わっ私、それより折木さんがいつ行ってしまうのか気になります!」
奉太郎「さっき一週間後だって言っただろ」
える「そっそうでした!」
える「そうです!私の家で折木さんのお別れ会をするのはどうでしょう」
里志「いいね~千反田さん」
摩耶花「こんな奴だけど…次いつ会えるか分からないもんね!」
奉太郎「おいおいわざわざそんな…」
える「駄目です!一週間後、折木さんがここを発つ前夜ということでどうでしょうか?」
里志&摩耶花「賛成!」
~奉太郎の転校前夜~
里志「相変わらず千反田さんの家は広いね~」
える「たっ大したことはないです」
える「それより今日はたくさん料理を用意しました。遠慮なさらずにどんどん食べて下さいね!」
える「その私が作ったものもありますので…折木さんも…是非…///」
奉太郎「ああ」
摩耶花「折木!ちーちゃんの手料理が食べれるのもこれが最後かもしれないのよ!」
摩耶花「もっとこうテンションあげなさいよ!」
える「あっ…あの」
摩耶花「ん?何ちーちゃん?」
える「できれば『最後』という言葉は使わないで下さい。折木さんは転校しても古典部のメンバーなんですから…」
奉太郎「…」
摩耶花「ごめんねちーちゃん。私そこまで考えてなくて…」
える「いっいえ、私こそすみません。せっかくの折木さんのお別れ会なのに…」
里志「まあまあ前起きはそれぐらいにしといてさ。せっかくだから今日は楽しまなくちゃ!」
える「そうですね。ではお料理を運んできます」
奉太郎「手伝おうか?」
える「いっいえ、折木さんは今日の主役です!座ってて下さい」
摩耶花「じゃあちーちゃん私が…」
える「いえ、私一人で大丈夫ですから…」
摩耶花「そう?」
える「はい、じゃあお料理を持ってきますね」スタスタ
える(一人じゃないと泣くところを見られちゃうじゃないですか…)
える「折木さん…」グスッ
える「ふふふ、駄目ですね。折木さんは笑顔で送ってあげるって決めたんでした」
える「どんどん持ってきますからどんどん食べて下さいね!」
里志「うわ~おいしそう~」
里志「あっそういえば千反田さんが作ったのはどれ?」
える「はい、私が作ったのはこれと、これと、これと、これとこれですね」
摩耶花「ってほとんど全部じゃん!ちーちゃんすごい!」
える「ちょっと頑張っちゃいました」
える「折木さんもたくさん食べて下さいね!」
奉太郎「ああ…なんかすまんな…オレのために…」
里志「奉太郎、千反田さんへの恩返しはたくさん食べてあげることだと思うよ」
奉太郎「そうだな」
里志「それじゃあみなさん!」
奉太郎&える&里志&摩耶花「いただきまーす!」
里志「ん!おいしいよ千反田さん!」
える「ありがとうございます!」
摩耶花「ちょっと福ちゃん、食べ過ぎ。今日の主役は折木なんだから!」
里志「ハハハ、ごめんごめん」
える「大丈夫です!まだまだありますから!」
える「折木さんはどうですか?」
奉太郎「うん…うまい!」
える「ありがとうございます!」ニコッ
~~~~~~~~
里志 スースー
摩耶花「福ちゃん食べるだけ食べて寝ちゃった…」
える「…」ファサッ
摩耶花「あれ?そういえば肝心の折木は?」
える「少し外の風に当たってくると言っていました」
摩耶花「そう」
える「私、少し様子を見てきます」
える「折木さん…」
奉太郎「おう、どうした千反田?」
える「いえ、少し遅いので様子を見に来ただけです」
奉太郎「そうか」
える「…」
奉太郎「…」
奉太郎「もうこの町ともお別れなんだよな…」
える「えっ?」
奉太郎「古典部のメンバーとこうして過ごすのも最後だと思うと…」
える「『最後』だなんて言わないで下さい!」
奉太郎「…」
える「私、気になります!折木さんの好きなこと、嫌いなこと」
える「折木さんがどんな子供だったのか、折木さんはいつもなにを考えているのか!」
える「折木さんが私のことをどう思っているのか!」ボロボロ
える(駄目です…!泣かないって約束したじゃないですか…)
える「折木さんがこれからどういう未来を歩いていくのか!」ボロボロ
える(でも…もう涙が止まりません…)
える「折木さんが…」
奉太郎「千反田……」
える「うっ……うぅ…」
奉太郎「本当にすまん…」
える「……折木さんが悪いことなんて一つもないです」
奉太郎「…」
える「だから謝らないで下さい…」
える「折木さんはいつも嫌々ながらも私の疑問に答えてくれました…」
奉太郎「…」
える「この日々がいつまでも続いていくと、私、勝手に思ってたんです…。自分勝手ですよね……」
奉太郎「…」ギュッ
える「折木…さん…?」
奉太郎「千反田、もう何も言うな……オレまで泣きたくなる…」
える「折木さん…」ギュッ
奉太郎「なんだ?」
える「私が泣いたことは秘密にしておいて下さい。福部さんと摩耶花さんと私で約束したんです」
える「奉太郎さんを笑顔で送ろうって!」
奉太郎「ああ…分かってる」ギュッ
える「折木さん?」
奉太郎「?」
える「私、折木さんが好きです!」
奉太郎「…」
える「私、ずっと待ってます」
奉太郎「…」
える「キス……してもいいですか?」
奉太郎「……ああ」
える「…」ソー
奉太郎「…」
里志「千反田さ~ん、トイレってどこ?」
奉太郎&える ビクッ
える「とっ…トイレですか?」
里志「千反田さんの家広すぎてさ~」
里志「あれっ?奉太郎もいるの?」
奉太郎「少し千反田と話してた」
える「ふっ…福部さん、トイレでしたらあちらです…」
~~~~~~~~
える「今日は本当にありがとうございました」ペコッ
里志「お礼を言うのはこっちの方だよ」
摩耶花「ちーちゃんの料理おいしかったー」
奉太郎「…」
里志「奉太郎は、明日は学校には来るの?」
奉太郎「いや、明日の朝はもう飛行機だ」
摩耶花「じゃあ折木とはこれでお別れ…か…」
里志「奉太郎、元気でね!」ニコッ
奉太郎「ああ」
摩耶花「あんたも最後ぐらいはシャキッとしなさいよ……まあ元気でやりなさいよ」ニコッ
奉太郎「ああ…」
える「折木さん…」
奉太郎「…」
える「元気で…いて下さいね…」ホロリ
~~~~翌朝~~~~
里志「おはよう摩耶花」
摩耶花「おはよう福ちゃん」
里志「千反田さん…大丈夫かな……」
摩耶花「ちーちゃんは強い子だから大丈夫!」
摩耶花「……折木は今頃飛行機の上かな~?」
里志「いや、まだだね。昨日時間をきいたけどまだ離陸まで2時間はある」
奉太郎「…」
折木母「そろそろ搭乗の時間よ、奉太郎」
奉太郎「ああ…分かってる」
奉太郎「でもこの町をギリギリまで見てみたいから…」
折木母「……遅れないようにね」
奉太郎「分かってる」
える「折木さん!」
奉太郎「ちっ…千反田!?」
える「はあはあ」
奉太郎「お前、学校は?」
える「ふふふ、サボっちゃいました」
奉太郎「どうしてそこまで…」
える「私、気付いたんです!」
奉太郎「?」
える「まだ私の告白に対する答えを聞いてません!」
奉太郎「そんな…」
える「私、折木さんが好きです!」
奉太郎「…」
える「折木さん!」
奉太郎「これがオレの答えだ」
チュッ
そうして何も言わずに折木さんはそのまま行ってしまいました。
私、いつまでも待ってます。
折木さんが大好きですから。
Fin