前スレ
楽「俺、小野寺と付き合うことになったから」千棘「!?」
千棘「私、一条くんと親友になったのーっ!」クロード「!?」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 14:40:34.23 wJ/fiPqb0 1/79

   
――――――――――
――――――――
――――――
――――








『おかえりなさい』
           
          
          

        
         

            
          
               
             

元スレ
楽「俺、小咲と結婚することになったから」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1392788070/

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 14:43:59.57 wJ/fiPqb0 2/79

                        
『――』

『――?』

『――』

『あなた――』

『頑張ったから――』

『――』

『――大丈夫?』

『――』





『久しぶり――』

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 14:49:51.39 wJ/fiPqb0 3/79

               
――――――――
――――――
――――
――



(……)

(……っ!)

ガバッ

「……」ボーッ

(……夢?)

(夢、か……。そうか……。うーん)

(思いだせん……。だけど、なんだか――)

(――なんだかすごく、幸せな夢だった……。そんな気がする……)

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 14:54:57.73 wJ/fiPqb0 4/79

   
(今日は、何日だっけ……? えっと……、あ、そうだそうだ)

(今日は大事な日だったな。とっとと準備しねえと)




「「坊っちゃん、おはようございやすっ!!」」

「おはようお前ら。さぁ、モタモタしてる時間はねえ。早速準備に取り掛かるぞっ!」

「「へいっ!!」」

「今日は小咲の……退院祝いだっ! 思い出に残るような、盛大なパーティに、するぞっ!」

「「うおおおおおっ!!」」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 14:58:04.43 wJ/fiPqb0 5/79

        
――

ワイワイ ガヤガヤ

「では、長かった入院生活を終え、小咲がこうして無事に退院できたことを、祝しまして――乾杯っ!!」

「「かんぱーいっ!!」」

「おらーっ! 飲め飲めーっ!」「酒をもってこーいっ! ありったけの酒だぁ!」

「おうビーハイブのぉ。意外とイケるじゃねえか」「集英組のぉ。まだまだこんなもんじゃねえぜ?」

ガヤガヤ

「ははっ……。あいつら結局、仲良く酒飲んでんじゃん」

千棘「うおぉーっ! 酒をもってこーいっ!」

「未成年だろうが」パシン

千棘「いたいっ」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:02:06.59 wJ/fiPqb0 6/79

                        
クロード「貴様ぁ、一条 楽ぅ! お嬢を叩くとは、なにごとかぁ!」

千棘「ちょ、クロードっ! そんな怒るようなことじゃ……」
          
「ていうかお前、なんでここにいるんだよ……。大人の責任とやらは、どうした」

クロード「うるさぁいっ! お嬢がボスに、頼み込んでくれたのだっ! くぅーっ、お嬢、面目ない……」

千棘「も、もう、それはいいから……」

クロード「ありがとうございますお嬢っ! いつまでもあなたにお仕え致しますっ! ッオイ! 一条 楽ぅ!」

「な、なんだよ」

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:03:51.77 wJ/fiPqb0 7/79

                             
クロード「私はお嬢のそばにできる限りいるつもりだが、しかし例えば学校などでは、それができない。つまりどういうことか、分かるよなぁ?」

「……分かってるよ。お前なんかいなくたって、俺が千棘を守る。それが『親友』である俺の、役目だからな」

千棘「楽くん……」

クロード「分かってんならよぉし! 貴様も飲むかっ!?」

「飲まねえよ……。ていうか、肩を組むんじゃない」


(……こいつとはもう、関わりたくなかったんだが……。まあ、いいか。今のこいつはもう、ただの執事みたいなもんだし)

(ていうかこいつ酔っぱらうと、こんな風になんのか……。知らなかったな――)

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:08:42.48 wJ/fiPqb0 8/79

                     
千棘「もーっ! こっちいくよ、クロード! 楽くん、またあとでね」

クロード「お嬢、お待ちくださいっ! こやつとはこれから、お嬢の魅力を語り合いながら、飲み明かすのですからっ!」

千棘「そ、そんなことしなくていいからっ! もうっ!」グイッ

クロード「お嬢ー……」ズルズル

「はは……」

「あの、一条様……」

「……ん?」

「その……。お久しぶりで、ございます」

「えっと……」

「……鶫、でございます」

「つぐみ……? お、お前、その格好……」

「はい……。その、どうでしょう、か……」

「……しばらく見ないうちに随分、女の子らしくなったじゃないか」

22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:13:02.37 wJ/fiPqb0 9/79

                              
「スカートなんか履いて……。髪も、伸びたか……? それに、そのリボン……」

「はい……。お嬢から、頂きました……」

「……」

「……あの」

「二度と俺たちの前に現れるなって、言ったよな?」

「……っ! は、はい。申し訳ありません。本来私のような者がパーティに出席することすら、おこがましいことだというのに……」

「……ですがどうしてももう一度、あなたにお会いしたくて……。本当に、申し訳ありません。……ごめんなさい」

「……いいよもう、今日は。流石に今から帰れだなんて、言わねえよ」

「ありがとうございます……」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:17:12.92 wJ/fiPqb0 10/79

                 
「だけど、俺に会いたかったってのは、聞き捨てならねえな」

「……」

「お前、俺のこと気持ち悪いって言ってたじゃないか。もう二度と関わりたくないって、言ったじゃないか」

「……はい、あの時は、気が動転してしまってて……。一条様に、失礼なことを……。大変申し訳ありませんでした」

「ですが私はどうしても、この姿をあなたに、見せたかったんです。あなたに見て、もらいたかったんです……」

「……どういうことだ? お前は俺の妄想話を聞いて、侮辱だとか、女を捨てたとか、そんなこと言ってたじゃないか」

「それなのに、なんだその格好は。俺の妄想が具現化したみたいな、姿しやがって……」

「それは……」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:20:21.26 wJ/fiPqb0 11/79

           
「……確かにあの時、あの話を聞いた時は、あなたに怒りを覚えました」

「ありもしない話をまるで事実であるかのように語って……。私を使って、勝手に妄想して」

「だけど、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、その話を聞いて……。『いいなぁ』って、思ったりもしたんです」

「……『いいなぁ』?」

「私があなた方の学校に転入して、みなさんの仲間になって、笑い合って、ヒットマンのくせに、楽しい学校生活を送って……」

「次第に普通の女の子みたいになっていって……。可愛い服を着たり、リボンをつけたりして……。ヒットマンのくせに、ただの女の子になって」

「そして、ヒットマンのくせに……。いつか誰かに、こ、『恋』を、してみたりだとか……。そ、そんな、世界も――」

「そんな世界も、そんな私も、『いいなぁ』って、思ってしまったんですっ!」

「……」

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:24:31.84 wJ/fiPqb0 12/79

                     
「……転入は、なかったことに、なっちゃいましたけど……」

「だけど私、頑張りました。お嬢にも手伝ってもらって、必死に女の子らしくなろうって、努力しました」

「……途中で、私は何をやってるんだろうって、思ったりもしましたけどね……。こんな姿、かつての『黒虎』が聞いて呆れますよ」

「でもお嬢は、言ってくれました……。『あなたはもう、戦う必要はないんだから、これでいい』って……。そう言ってこのリボンを、くださいました」

「……」

「……こうして私は、変わることができたんです。そして、変わった私を、どうしてもあなたに見せたかった。だって――」

「私が変わろうと思えたのは……」

「あんな『漫画』みたいな気持ち悪い妄想を、恥ずかしげもなく私に話してくれた、あなたのおかげなんですから」

「やっぱり気持ち悪いとは、思ってたのかよ」

「……ど、どうですか?」

「……あ?」

「私、どうですかっ!? 今の私は……。変わった私は、どうでしょうかっ!?」

「超可愛い」

「ひゃいっ!? あっ、えっと、うえぇ!?」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:32:12.83 wJ/fiPqb0 13/79

                         
「いや、めちゃくちゃ可愛いと思うよ。今のお前がもし転入してきたら、多分うちのクラスの男子はお祭り騒ぎだな」

「そ、そんなっ。あ、え、あの、うわぁ……」カァァァ

「照れてる姿はより一層、女の子だな。すげーよお前、そんな一面もあったのか」

「み、見ないで、くださっ……」

「俺に見てほしくて、ここに来たんだろ?」

「そっ、ですが……っ」

「……変わったな、鶫。もう立派な、可愛い『女の子』じゃん。ビックリしたよ、俺」

「い、いちじょう、さまぁ……」

「わたし、うれしいですっ……! まさかいちじょうさまに、ほめていただけるなんて……っ!」

「……そうか。頑張ったな。鶫」

「えへへ……っ」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:37:44.77 wJ/fiPqb0 14/79

     
「よーっ、楽ぅ! 盛り上がってるぅー? ……って、うおっ!? なんだこの美少女っ!?」

「っ!?」ビクッ

「ああ、こいつは舞子 集ってんだ。悪いヤツじゃねえよ」

「あっ。一条様の、ご友人ですか……」

「そんで集。こいつが前話した、『鶫 誠士郎』だよ」

「えっ。この子が……? おいおい、なーんか話とちがくなーい?」

「はぁ?」

「もっと怖いヤツかと思ってたら、全然普通の可愛らしい女の子じゃーん!」

「こんな娘がウチに転入してくる予定だったのかぁ……。くーっ! ちくしょう、神様のバカぁ!」

「……ほらな?」

「はいっ……!」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:41:26.04 wJ/fiPqb0 15/79

               
「えっと、鶫ちゃん? よかったらこっちで俺と二人で、お喋りしない?」

「えぇ!? え、えっと、あの……」

「あっちにクロードと千棘がいるから、そっちにいくといいよ」

「は、はい。では、私はそちらの方に……」

「えー。つれないなぁ」

「前の鶫だったらお前、死んでたからな」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:43:12.60 wJ/fiPqb0 16/79

                   
「あ、あの、一条様、今日はこうしてまたお会いできて、嬉しかったです。ありがとうございました」

「……私はもう、満足です。これからは約束通り、二度とあなたの前には――」

「鶫」

「は、はい?」

「……『また』な」

「……は、はいっ!」


(『鶫 誠士朗 矯正計画』、完了っと……)

(――なんて、もちろんそんな計画は、なかったけども。あいつは自分で頑張って、変わったんだ。自分から普通の女の子に、なろうとしたんだ)

(俺は鶫を許さない……。許すわけにはいかない……。だけどその努力ぐらいは、認めてやらなきゃな――)

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:49:17.17 wJ/fiPqb0 17/79

                 
るり「一条くん。こんにちは」

「おう、宮本じゃん」

「あれー。るりちゃん。俺に会いにきてくれたのー? いじらしいなぁ」

るり「私は一条くんに挨拶したのだけれど」

「ちぇっ。るりちゃんもつれないなぁ」

るり「……ねぇ一条くん。小咲とはもう、話した?」

「いや、あいつはこのパーティの主役だし、ヤクザの間でもすっかり人気者だからな。まだそんなに、話せてないんだ」

るり「そう。じゃあその分後でたっぷりと、二人の時間を楽しみなさい」

「おう……。ていうかお前にも、礼を言わないとな」

るり「……? なにがよ」

「俺らの恋を応援してくれて、ありがとうな。俺の知らないところで、お前もいろいろとサポートしてくれてたんだろ?」

るり「……別に。小咲がモタモタしてるのが見てらんなかっただけよ。ようやくくっついてくれて、私も安心だわ」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:56:10.13 wJ/fiPqb0 18/79

                     
「うん。これでようやく自分の恋に専念できるねぇ、るりちゃん」

るり「あの二人に言われるのはいいけど、あんたに言われると本気で、腹立つわ……」

「えっ!? 宮本、お前にも好きな人がっ……!?」

るり「いないっての。ったく、私はこのバカと同じで、裏方に徹するのが性に合ってるの。自分の恋なんて、考えたこともないわ」

「んー? 一緒にしないでよ、るりちゃん。俺にだって好きな人は、いるよー?」

るり「……へぇ。意外ね。誰よ」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 15:59:00.77 wJ/fiPqb0 19/79

                      
「……教えなーい」

るり「はぁ?」

「楽にだって言ってないんだから。るりちゃんなんかに、教えるわけないじゃーん?」

るり「……ムカつく」

「へ?」

るり「ムカつくわ……。ちょっと、こっちに来なさい」グイッ

「おっ。一緒に飲んでくれるの?」

るり「今日中に、吐かせてやるわ。私の尋問に、耐えられるかしらね」

「あっはは。怖いなぁー、るりちゃんは」


(……集、宮本。本当に、ありがとうな。俺が夢を叶えられたのは、お前らのおかげだ)

(だけど、いつまでも裏方にいる必要はないんだぜ。お前らだっていつかは、表舞台に立つ時が来るだろう)

(その時は、俺も小咲も、お前らを応援するから……。これまでお前たちが、そうしてきてくれたように――)

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:06:58.09 wJ/fiPqb0 20/79

               
千棘「楽くん。おっす!」

「おっす。……って、あなたはっ……」

千棘パパ「……やあ、楽くん。久しぶりだね」

「……千棘の、お父さんじゃないですか」

千棘パパ「千棘がいつも、お世話になってるね……」

「いえ、そんな……。千棘には俺も、いろいろと助けられてるんで……」

千棘パパ「……娘はね。家に帰るといつも私に、君の話をしてくれるんだ」

「えっ……」

千棘「ちょ、ちょっと、パパっ!」

千棘パパ「キラキラと目を輝かせてね……。すごく楽しそうに、君のことを、話すんだよ」

「……そう、なのか」チラッ

千棘「うぅ……」カァァァ

千棘パパ「前の千棘はいつも、君のことを話すときは、怖い顔をしてたんだけどね……」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:13:44.76 wJ/fiPqb0 21/79

                
千棘「ぱ、パパ……」

千棘パパ「……でもそんな千棘を変えてくれたのはやっぱり、他でもない、君なんだろうね」

「そんな……。俺は、別に何も」

千棘パパ「千棘をよろしく頼むよ。『親友』として……。これからも娘に笑顔を、与えてやってくれ」

千棘パパ「私も父として……。二度と娘の笑顔を絶やさせないと、誓う」

「……はいっ!」

千棘「も、もう、パパ……。あ、あっち行っててよ……っ!」

千棘パパ「ははっ。そうだ楽くん。君にはこれを、渡しておくよ」

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:18:07.62 wJ/fiPqb0 22/79

                   
「……?」

千棘パパ「私の連絡先が、書いてある。なにかあれば、ここに連絡してくれ」

「は、はぁ……」

千棘パパ「……ふふ、次に電話する時は……。声色を変える必要は、ないぞ」

「っ!!」

千棘パパ「では、娘を頼んだよ……」


(千棘の親父さん、か……。抗争が止まったのも結局、この人の決断があったからだ)

(……もしかして俺の『計画』にも気づいていたなんてことは……。まあ、ないよな)

(千棘は俺に任せてください。あなたの娘を変えた責任は、俺にあるのだから……。必ず、この笑顔を守り抜きます――)

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:24:16.97 wJ/fiPqb0 23/79

                  
千棘「ご、ごめんね。パパが、変なことを……」

「いや、別に。ていうか単純に嬉しいよ。千棘が俺のこと、家で話してくれてたなんて」

千棘「うっ……。な、何でそういう恥ずかしいこと、平気な顔で言うかなぁ……」

「さあ。お前ってなんか、話しやすいし」

千棘「……そう?」

「ああ。なんでだろうな……。初めて出会った日から、そんなに経ってないはずなのに……」

千棘「私たち……。親友なんだから、過ごした時間の長さなんて、関係ないんじゃないかな」

「……お前も結構平気で恥ずかしい台詞、言うよな」

千棘「へ、平気じゃないよぉ……」

66 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:28:14.39 wJ/fiPqb0 24/79

                    
千棘「……私と親友になってくれて、ありがとう。楽くん」

千棘「私今が、とっても楽しいよ。楽くんのおかげで、みんなのおかげで、毎日が、楽しい」

「そうか……。そりゃよかった」

千棘「……うん。でもね、私、ときどき思い出すの」

「……?」

千棘「楽くんに無視されてた日々のこと、ときどきだけど、思い出すの」

「……っ!」

千棘「……毎日が楽し過ぎて……。忘れちゃうときもあるけど……。本当はそうやって、完全に忘れちゃえればいいんだけど――」

「……忘れちゃダメだよ」

千棘「えっ?」

「なかったことにしちゃ、いけない。俺がお前にしてきたことは……。決してなかったことには、できないんだから」

千棘「……そう、だよね」


『俺、小野寺と付き合うことになったから』

67 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:32:46.66 wJ/fiPqb0 25/79

                 
千棘「あの時は、ビックリしたなぁ……。私全然、気づかなかったもん。楽くんが小咲ちゃんのこと、好きだったなんて……」

千棘「……でも私とのニセコイ関係はなんだかんだで、続いてくんだと思ってた……。だってそうしないと、抗争がまた、始まっちゃうから……」

千棘「……だけど」

『ひ、久しぶりね、もやし。あの事件の後しばらく、学校お休みになっちゃったものね』

『……』

『……む、無視してんじゃ、ないわよ』

千棘「あの日から、私への無視が始まって……」

『ちょっと、聞いてる!?』

『……』

千棘「ニセコイ関係はおろか、まともに話すことすら、できなくなって……」

『ね、ねえ……。本当に、さぁ。もう、やめましょうよ、こういうの』

『……』

千棘「……私、本当に、傷ついたんだよ? 楽くんに、無視されて」

「……ごめん」

千棘「……でも――」

68 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:36:50.42 wJ/fiPqb0 26/79

               
『お前が襲われそうになってたら、助けるに決まってるだろ。誰が見てようが、なかろうが』

千棘「……あの時は、嬉しかったなぁ」

千棘「かっこよかったよ。楽くん」

「……」

千棘「……そして――」

『今までずっと無視してきて、ごめん。俺が、悪かった』

千棘「私だって悪いのに……。楽くんが先に、謝ってくれて――」

『なぁ桐崎。俺たちさ……』

『友達に、なれないかな……?』

千棘「……こんな私と、友達に、なってくれて――」

『お前は俺の、一番の、親友だ』

千棘「親友に、なってくれて――」

71 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:40:33.86 wJ/fiPqb0 27/79

                       
「……ごめんな。本当に。お前のことを、無視し続けて……」

千棘「ううん。言ったでしょ? 私だって、悪いんだから……」

千棘「……それに、今の私があるのはやっぱり、あの日々が、あったからで……」

千棘「……私が『変われた』のは、やっぱり楽くんの……、おかげだったからで……」

「……っ!!」

千棘「私、今がすごく幸せなんだよ。 一条くんと親友になれて、みんなとももっと、仲良くなれて……。本当に――」

千棘「変わってよかったなって! そう、思うのっ!」

「そう、か……。ありがとう、千棘。変わってくれて……」

千棘「あはは、楽くんがお礼を言うのは、おかしいよ?」

千棘「……私を変えてくれてありがとうっ! 楽くんっ!」

(……ああ)


(俺の『計画』は……。俺の『戦い』は……。今――)

(――報われた……)

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:47:12.72 wJ/fiPqb0 28/79

                 
「楽くーんっ!」

「……小咲が呼んでる。ちょっと行ってくるわ」

千棘「うん。ばいばい、楽くん」

「……そうだ。千棘、お前はさ」

千棘「?」

(……俺は自分を、『漫画の主人公』なんじゃないかって、そう考えていた)

(じゃあ……『漫画のヒロイン』のようだった、こいつは――)

「お前はこの世界が実は、『現実』なんかじゃなくて――」



「――『漫画』の中の世界なんじゃないかって……。考えたこと、ないか?」

千棘「えっ……?」

78 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:53:13.65 wJ/fiPqb0 29/79

                
「……どうだ? 例えばお前が転入してきた、あの日とかさ――」

千棘「ないよ?」

「……」

「……だよな。アホなこと聞いて、すまなかった」

千棘「ううん……。でもちょっと面白かったかな。やっぱり楽くんは、冗談が上手いなぁ」

「ははっ……。またあとで、話そうな」

千棘「うんっ……」

81 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 16:57:01.75 wJ/fiPqb0 30/79

                
ワイワイ ガヤガヤ

千棘「……そっかぁ」

千棘「楽くん『も』、そんなこと、考えてたんだね……」

千棘「……だって少なくとも、ニセコイ関係を築いていた頃の、私と楽くんは……」

千棘「『漫画』の『主人公』と『ヒロイン』、そのものだったもんね……」

千棘「……だけどきっとこの世界は、『現実』だ」

千棘「だから楽くんはちゃんと、私なんかじゃなくて……。本当に好きな小咲ちゃんと、結ばれることができた」

千棘「でももしこの世界が、本当に、『漫画』だったら……」

千棘「私と楽くんが結ばれる……。『ホンモノの恋人同士』になる……。そんな結末も、あったのかなぁ」

千棘「……なんてね」

84 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:03:01.41 wJ/fiPqb0 31/79

               
千棘「……だけどそうじゃないから。ここはちゃんと『現実』で、『漫画』なんかじゃないから」

千棘「だから……」

チャリン

千棘「日記の間に挟まってた、この『鍵』も……」

千棘「……あはは。今更こんなもの、見つけてもなぁ……」

千棘「でも、この『鍵』もきっと……。なんでもない、ただの倉庫とかの、『鍵』なんだろうね……」

千棘「……楽くん。私最近ね、思い出しことがあるの」

千棘「私も、『約束』をね……。昔、してたの。男の子と……」

千棘「……もちろん、その男の子が楽くんだなんて、私、思ってないよ。そんな偶然、あるわけないもんね」

千棘「……だけど、いいよね?」

千棘「それが本当に楽くんだったらいいなぁ、なんて……。そんな奇跡があったらいいなぁって……。そんな夢を、見るぐらいは……」

87 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:08:20.36 wJ/fiPqb0 32/79

                     
千棘「……あはっ。楽くんがペンダント捨てちゃったから、もう確かめることはできないけどね」

千棘「……」

千棘「……でももしかしたら、この『言葉』を伝えたら、楽くんは何か、反応してくれるのかな?」

千棘「もし、楽くんがこの『言葉』を知っていたら……。私が『約束の女の子』だっていう証明に、なるのかな?」

千棘「……なんてそんなこと、しないけどね。あなたは小咲ちゃんを『恋人』に選んだんだから……。そして――」

千棘「私を『親友』に、選んでくれたんだから……。その選択を否定する気なんて、私にはないんだから」

千棘「だって私は本当に、楽くんがくれた今が……。すごく、幸せだから」

千棘「だからこんな『鍵』はもういらないし……。この『言葉』ももう、捨てちゃうね」

千棘「……ううん。捨てるのは、もったいないか。どうせなら二人に、あげちゃおっかな」



千棘「……『ザクシャ イン ラブ』」

千棘「愛を、永遠に――。楽くん、小咲ちゃん。お幸せにね……」

88 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:13:20.28 wJ/fiPqb0 33/79

                  
――

「よう、小咲」

小咲「楽くん。ごめんね、後回しみたいになっちゃって……。みんなとも、話したくて」

「いいよ別に。今日はお前が主役なんだから。脇役の俺は――って」

「……」ビクッ

「あれ……。もしかして、その子」

小咲「うん。ほら、挨拶して?」

「あ、あの……えと……」

「……春ちゃん、か?」

「っ! は、はい……。妹の、春です……」

「おぉーっ! そうか、君が……」

「お、お姉ちゃんがいつも、お世話になってます……」

90 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:17:40.19 wJ/fiPqb0 34/79

                 
「そうか、話には聞いてたけどさ。いやぁ、小咲そっくりだなぁ!」

「う、え、えっと……」

小咲「……ごめんね。春はあまり、男の人と話したことがなくて……」

「そ、そっか。俺、一条 楽。お姉ちゃんの……。その、彼氏、です」

「は、はい……。聞いてます……」

「……怖く、ないよ?」

「でも……。ヤクザの息子さん、なんですよね……?」

「そ、それを言われると……」

小咲「こら、春。楽くんは優しい人だよ? いつも言ってるでしょ?」

「うん……。それはもう、聞き飽きたよ……」

小咲「はるー……」

92 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:21:58.35 wJ/fiPqb0 35/79

                
小咲「だ、だから、会って確かめたかったんでしょ? どう、楽くん。優しいでしょ」

「いや、まだよく分からない、っていうか……」

「あはは……。そういや春ちゃんって、もう中三なんだよな?」

「そうですけど……。よく、知ってますね」

「小咲から聞いてるからな。ってことは来年は、俺たちの学校に来るのか?」

「は、はい。そのつもりですが」

「そうか、楽しみだなぁ。あっ、分からないことがあったら、聞いてくれていいからな」

「はぁ……。あの」

「いやぁ。ということは俺、とうとう先輩になるのかぁ。もう二年生だもんなぁ。『一条先輩』かぁ。ふふ、なかなか――」

「あのっ!」

「ん?」

「……一条、さん」

「……」

「一条、さん……は、お姉ちゃんのどこを、好きになったんですか?」

94 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:27:24.20 wJ/fiPqb0 36/79

                 
「はいっ!?」

小咲「は、はるっ!?」

「……どうなんですか? 答えて、ください」

「いや、そんなもん、全部だよ……。多すぎて、答えられねえよ」

「そんなの、『逃げ』の常套句じゃないですか。どれか一つを選んで、挙げてください」

「……じゃあ、俺がケガした時に、絆創膏を貼ってくれる、思いやりのあるところ」

小咲「っ! ら、楽くんっ!」カァァァ

「ほう……。では、もう一つ」

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:30:50.91 wJ/fiPqb0 37/79

   
「ほう……。では、もう一つ」

「俺のために料理を練習して、毎朝弁当を作ってきてくれる、頑張り屋なところ」

「いいですね。それ以外で、もう一つ」

「えっとじゃあ、いつもはおしとやかな感じだけど、焦ると結構あたふたして、可愛いところ」

「あー、分かります。お姉ちゃんこれでも結構、抜けてることあるからなぁ……」

小咲「ちょっ、二人とも……っ。その辺に」

「じゃあもう一つ」

97 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:34:25.16 wJ/fiPqb0 38/79

              
――

「清潔感があるところ。なんというか、白のワンピースが似合いそうというか」

「あーっ。あります、あります。お姉ちゃん、着てくれないかなぁ」

「良い匂いがするところ。未だに慣れなくて、その香りが鼻をつく度にドキドキしちまうよ」

「ですねぇ。なんかいっつも良い香り漂わせてますよねぇ」

「えーと、あとは……。そう、笑顔がめっちゃ可愛い。特にクスっと微笑んだ時なんか、やばいよな」

「やばすぎですっ! ていうかお姉ちゃんってそもそも、めちゃくちゃ美人ですよね?」

「そうなんだよ。まさに美少女っていうか……。目は大きくて、顔は小さくて……。それに肌も白いし」

「そうそう。いやぁ。妹として誇らしいというか……。あとお姉ちゃん、意外とスタイルも――」

小咲「も、もういいですっ!」

「……え?」

「お姉ちゃん?」

小咲「も、もういいですから……」シュー

98 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:36:58.96 wJ/fiPqb0 39/79

              
「ご、ごめんお姉ちゃんっ! お姉ちゃんの話してるのに、お姉ちゃんを置いてけぼりにして……」

小咲「ち、ちがっ……。私の話は、もう、いいから……。楽くんの、ことを……」

「えっ? あ、あー……」

小咲「ど、どう? 良い人、でしょ?」

「……まあ、お姉ちゃんのことが好きなのは、本当みたいですね」

「そこを疑ってたのかよ……」

「ええ、まあ……。仕方がないですよ。だって」

「あなたはもともとは桐崎さんと……。恋人関係、だったんでしょ?」

「……ニセモノの、な」

100 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:39:40.37 wJ/fiPqb0 40/79

                                     
「……私、最初は、一条さんのこと、怖い人なんだろうなって、思ってたんです」

「だって、ヤクザの息子さんだなんて……。普通の男の人でさえ、私、苦手なのに……」

「……」

「だけど、お姉ちゃんはそんな人のことを、好きだなんて……」

小咲「……」

「しかもその人には、他に付き合ってる人がいるって……。それも金髪で、外国人みたいで、美人さんの……」

「……怖かったんです。あなたのイメージが、どんどん私の中で、出来上がって……。そして、思ったんです」

「お姉ちゃんはその男に、騙されてるって」

「お姉ちゃんはそんな人を、好きになってはいけないって……。ごめんなさい。私、思いこみが、激しくて……」

「……そりゃ、一度も君と会ったことはなかったからな。仕方ないよ」

「……だから、ビックリしましたよ。お姉ちゃんから、『今日、一条くんから告白された』って話を、聞かされた時は……」

102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:43:23.92 wJ/fiPqb0 41/79

              
「それに、桐崎さんとの関係は全部、ニセモノだったって……。本当に好きだったのは、お姉ちゃんのことだったって……」

「『夢が叶った』って……。お姉ちゃんが喜んでる姿を見て……。そんなイメージ、吹き飛んじゃいましたよ」

「そんなにお姉ちゃんは、その『一条くん』のことが、好きだったんだなって……」

「お姉ちゃんがそんなに好きになった人なら、悪い人な筈がないって……」

「……だけど、本当にお姉ちゃんのことが好きなのかどうかは……。好きなんだとしたら、どれくらい好きなのか……」

「それだけは、直接会って、確かめたかったんです」

「……で、どうだった?」

「さっき言ったでしょ。全く、私のお姉ちゃんトークについてこれるなんて……。どんだけ好きなんですか……」

「……あなたになら、お姉ちゃんを任せても、いいかもしれないです。合格です。あなたを、認めてあげます」

「……妹さんに認めてもらえて、よかったよ」

103 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:47:06.99 wJ/fiPqb0 42/79

                 
「それで、後は私たちの両親だけですね?」

小咲「は、春……」

「そうだな。いつかは、挨拶に行かねえと……」

「いつでもどうぞ……。では、後はお二人で、ごゆっくり」

小咲「えっ? 春、どこに行くの?」

「さっき、その桐崎さんに呼ばれちゃって……。あの人も実際に会ってみると、意外と接しやすい人だね」

「やっぱり人をイメージだけで判断しちゃ……、ダメだね」

小咲「……」

104 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:50:02.36 wJ/fiPqb0 43/79

                               
「では、一条さん……。来年から、よろしくお願いしますね。いろいろと、迷惑をかけちゃうかもしれませんが……」

「ああ。……そうだ、春ちゃん。その前にさ」

「はい?」

「もうすぐウチの学校で、文化祭が、あるんだけど。良かったら、見にこないか?」

「本当ですか? それは是非、行きたいですね」

「ああ……。案内、してやるよ。迷子になったら、大変だしな」

「あはは。子供じゃないんですからそんな、迷子になんて」

小咲「でも春、私の中学の文化祭に来た時、迷子になったところを、着ぐるみの人に助けてもらったって……」

「い、いいからその話はっ!」

「着ぐるみ……? じゃあ俺も、手を引いて案内してやろうか」

「いらないですっ!」

小咲「あ、じゃあ私が逆側の手を……」

「なんで恋人同士の二人に挟まれて、歩かなきゃならないんですか!」

107 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 17:57:23.62 wJ/fiPqb0 44/79

                     
「そ、それでは……。あっ。お姉ちゃん」

小咲「……?」

「素敵な人だね。一条さんって」ボソッ

小咲「は、春っ?」

「お姉ちゃんが好きになったのも、分かる気がするなぁー」

小咲「も、もぉ……」

「ん? 二人して何話してるんだ?」

「秘密ですよ。一条『先輩』っ!」

「えっ」

「私、今から楽しみにしてますっ! 一条先輩やお姉ちゃんがいる学校に、通う日が来るのをっ!」


(……春ちゃんか。小咲と違って結構、活発な感じな子だけど……。まさか彼女の入学がきっかけで、俺の日常が崩れることも、ないだろう)

(それどころか、結構仲良くやっていけそうだな……。気が合いそうというか……。特に小咲の話なんか、すごい盛り上がったし)

(もしかしたら俺と春ちゃんは、意外と趣味や好みが似てたりとか……。だとしたら良い友達に、なれそうだ――)

112 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:01:52.36 wJ/fiPqb0 45/79

               
ガヤガヤ ガヤガヤ

小咲「……二人に、なっちゃったね」

「……ちょっと、外でないか?」

小咲「えっ?」

「いや、えっと、よ、酔っちまってさ。風に当たりたいなぁって」

小咲「ら、楽くん、お酒飲んでたの?」

「の、飲んでないけど……」

小咲「……」

小咲「ふふっ。いいよ、いこっ?」

「お、おうっ」

114 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:04:56.68 wJ/fiPqb0 46/79

              
――

小咲「わぁ……。星が、きれい……」

「だなぁ……。雲一つ、ねえじゃん」

小咲「……」

「……」

小咲「……今日は、ありがとう。私のために、こんな大きなパーティを、開いてくれて……」

「いや、えっと……。ど、どうだった? 楽しめたか?」

小咲「うんっ……。すっごく、楽しかったよ。ヤクザの人たちも、怖い人たちばかりかと思ったら、みんな優しい人たちばかりだったし」

「そうなのか……。なら、よかったよ」

小咲「一生の思い出だよ。私、こんなにたくさんの人とパーティなんて、したことなかったし……」

「……『初めて』、か?」

小咲「うん。『初めて』をありがとう、楽くん」

「喜んでもらえて、嬉しいよ」

117 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:08:08.22 wJ/fiPqb0 47/79

             
小咲「……」

「……て、てを、にぎっても……?」

小咲「……ふふっ。どうぞ?」

ギュッ……

「……あったかい」

小咲「うん……」

「……」

小咲「……」


「……」

(幸せ、だなぁ……)

(俺、本当に、叶えたんだなぁ……夢を)

119 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:11:40.54 wJ/fiPqb0 48/79

                                  
(……つってももう一方の夢は、まだだけどな)

(『一流大学を卒業して、公務員』かぁ……。今まで後回しにしてたけど、こっちも頑張らないとなぁ)

(はぁ……。明日からまた勉強かぁ……。今この時間が、永遠に、続けばいいのに……)

(でもやらなきゃしょうがないよなぁ……。ていうか今の俺の学力って、どうなんだろ? ちゃんと良い大学に、行けるんだろうか)

(千棘に勉強教えてもらうか。あいつあれで結構、頭いいしな――)

小咲「楽くん?」

「うおっ!?」

小咲「どうしたの? ぼーっとして」

「い、いや、なんでも……」

小咲「へんな楽くん」クスッ

「あ、あはは……」



(か、かわいい……)

121 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:15:15.60 wJ/fiPqb0 49/79

                   
(なんだよこれ……。幸せすぎんだろ……)

小咲「楽くん。何考えてたの?」

「い、いやぁ? えっと……」

(こんな可愛い娘が……。俺の、彼女なんだよな? ゆ、夢じゃ、ないんだよな……?)

小咲「うーん。あっ、分かった。挨拶のこと、考えてたんでしょ? 私のお父さん、お母さんへの、挨拶」

「え、あっ。えーと」

(い、今の、顎に指を当てて、考えてる時の仕種……。『分かった』って、閃いた時の表情……)

(ぜ、全部かわいいっ! いちいちかわいいっ! こ、このペースで来られたら、俺の身体がもたねぇ……っ!)

小咲「ふふっ。別に急がなくても、いいんだよ? 私たちまだ、付き合いたてだし……」

(そうっ! その『ふふっ』ってヤツ……っ! それが、かわいいんだよなぁ……っ!)

小咲「……ううん。もう付き合いたてでも、ないかな。私たち、もうそろそろ……」

小咲「立派な恋人同士に、なれたのかな? なんて……」

「……た」

小咲「た?」

(たまんねえ……っ!!)

124 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:19:32.08 wJ/fiPqb0 50/79

                     
「たっ! たぶん、まだ、その、立派ってほどでは、ないかも?」

小咲「そ、そうかな?」

「お、おうっ! だけど、それでいいじゃん! まだまだこれからだよっ! 俺たちはこれから、立派になっていくんだからっ!」

小咲「……そうだよねっ! あの、これからもよろしくね、楽くんっ!」

「おうっ! よろしくな、小咲っ!」

(死んでまうわ……。ドキドキしすぎて、死んでしまう……)

125 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:21:00.74 wJ/fiPqb0 51/79

                    
(毎回毎回……。小咲の言うとおり、もう付き合いたてでもないんだから……。いい加減慣れろよ、俺)

小咲「……それで、当たり?」

「え? あ、ああ……。俺が、何を考えてたか、だっけ……。ううん、外れ」

小咲「あれ。じゃあ、正解は?」

「小咲は可愛いなぁって、ずっと考えてた」

小咲「……」

小咲「もぉ……」カァァァ

(うがぁっ! 可愛い過ぎるっ! 慣れるかこんなもんっ!)

126 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:24:10.24 wJ/fiPqb0 52/79

               
小咲「な、なに言ってるの、楽くん……」

「悪い悪い、でも、ホントだから……」

小咲「……うぅ」

(かわいいなぁ……。小咲は、ほんとに)

(そうだ……。小咲は、どうなんだろう)

「……小咲」

小咲「は、はいっ!?」

「あ、あのさ、えっと……」

小咲「ど、どうしたの?」

「小咲は、さ……。その……」


「……小咲には『夢』とかって、ある?」

129 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:27:56.22 wJ/fiPqb0 53/79

                      
小咲「夢……?」

「そう……。夢……」

小咲「……夢ならもう、叶っちゃった」

「……そっか」

小咲「……だけど私、今日……。新しい夢を、見ちゃったの」

「っ! えっ!?」

小咲「すっごく、幸せな夢だったなぁ……。起きるのが、もったいないくらいに」

「起きる……? ああ、そっちの夢か……。ちなみに、どんな夢?」

小咲「……知りたい?」

「そりゃあ、まあ」

小咲「じゃ、じゃあちょっと、恥ずかしいけど……。教えて、あげるね」

「恥ずかしい……?」


小咲「楽くんと結婚して、夫婦になって、一緒に暮らしてる……。そんな夢を、見たの」

131 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:33:35.95 wJ/fiPqb0 54/79

                   
『おかえりなさい。あなた』

「……」

小咲「あはは……。す、すごく、幸せな夢だったよ……。なんで、起きちゃったのかなぁ」

『お食事の準備、出来てますよ。お風呂もわいてるけど……どっちがいい?』

小咲「なんか、け、結婚記念日だったみたいで……。料理、作って……。あんな豪華な料理、私作れないよ……」

『えへへ……あなたの為に、頑張ったから』

「……」

133 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:35:19.57 wJ/fiPqb0 55/79

                                        
小咲「ワンちゃんも、飼ってたの。楽くんには懐いてなかったみたいだけど……。そういえばあの子、誰かに似てたような」

『あらあら大丈夫? やっぱりあなたにはなつかないわね、この子……』

小咲「そ、それで、えっと、そ、その後は……」

『ねぇ、あなた。良かったら、ご飯の後……』

『久しぶりに……一緒にお風呂に入らない……?』

小咲「ご、ごめんっ! これ以上は……っ!」

「一緒に風呂に、入った……?」

小咲「えっ……?」

135 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:39:04.48 wJ/fiPqb0 56/79

              
ドクン

「……俺も、見た。その夢」

小咲「えっ!? う、うそ……」

「そうだ。思いだした。そうだよ、すっげぇ幸せな夢だった、ってことは、うっすら覚えてたんだが……」

「小咲と俺、夫婦になってたっ! そんで、幸せそうに、一緒に暮らしてたんだっ!」

小咲「う、うん……。あの……」カァァァ

「それでっ! その後小咲が、一緒に風呂に入ろうって、言い出して……」

小咲「わ、わぁーっ!」ボンッ!

138 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:44:26.08 wJ/fiPqb0 57/79

                            
「それで、それで……。えっと……」

「……あれ? 思いだせない……。あ、そうか」

「ここで俺、起きちまったんだ……。そうか。ちくしょう……。俺のバカ……」

小咲「そ、そっか……。楽くんはそこで、目が覚めちゃったんだね」

「……楽くん『は』?」ピクッ

小咲「え」

「こ、小咲は続きを見たのかっ!? 教えてくれっ! 一体どんな――」

小咲「わーっ! ひみつ、ひみつですっ!」

141 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:48:16.30 wJ/fiPqb0 58/79

                       
「……でも、そうか。俺ら二人して、同じ夢を……」

「同じ……夢を……」

(……見ていた……?)

小咲「そうだね。これって、すごいことだよね。こんなの、まるで――」

小咲「――えっと、なんだろ……?」

「……」

(……まさか)

小咲「あ、そうだっ!」

(まさか……そんな――)

 
小咲「まるで……、『漫画』みたい、だよねっ!」

147 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 18:55:22.61 wJ/fiPqb0 59/79

                
ドクンッ

「……」

小咲「すごいなぁ。あはは、もしかして『なにか』、『不思議な力』が、働いたのかな?」

小咲「なんて――楽くん?」

「こ、さき……」

小咲「ど、どうしたの? 楽くん。あっ。汗が……。ちょっと待って、今ハンカチを」

「……どうし、よう」

小咲「えっ?」

「この世界は、やっぱり本当に……『漫画』の中なのかも、しれない……」

148 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:00:13.98 wJ/fiPqb0 60/79

                 
「は……はは……」

「……なんだ、よ、ちくしょう……っ!」

「あんまりだろ、そんなの……。じゃあ俺が今までやってきたことは、なんだったんだよっ!」

「やっと全部、終わったと思ったのに……。なんだよ、まだなにか、あるってのか……?」

小咲「楽くん……? どうしたの? この世界が、『漫画』の中……?」

「小咲、聞いてくれ……。これからまたなにか、おかしなことが、起きるかも……」

小咲「えっ。な、なんで……?」

「この世界が、『漫画』だからだっ! 『なにか』の……いや――」

「『作者』の都合で、異常なことも、不自然なことも、平気で起きる、狂った世界だからだ……っ!」

155 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:08:02.01 wJ/fiPqb0 61/79

                           
小咲「……そ、そんなこと」

「だって、おかしいだろっ!? だって、だって――」

「二人して、全く同じ夢を見るなんて……っ! そんなの現実的に考えて、おかしいじゃないか……っ!」

小咲「……」

「くそっ……! で、でも、安心してくれ。お前は俺が、守るからっ!」

「今度は、絶対に……っ! お前を危険な目に遭わせたり、しないからっ! 何があっても、お前は俺が――」

ダキッ

「……えっ?」

ギュッ……

157 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:14:35.30 wJ/fiPqb0 62/79

                   
小咲「……楽くんは」

「……」

小咲「多分、きっと、私の知らないところで……。ずっと『なにか』と、戦ってきたんだね……」

「こさき……」

小咲「でも、もういいんだよ……。ごめんね。私が変なこと、言ったせいで……」

小咲「この世界は『漫画』なんかじゃないよ。私たちは、『漫画』の登場人物なんかじゃない……」

小咲「だって、聞こえるでしょう……?」


ドクン 


ドクン


小咲「私たちは、生きてる」

「……うっ、うぅ……」

161 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:21:41.37 wJ/fiPqb0 63/79

                    
「じゃ、じゃあ……」

小咲「二人して同じ夢を見るなんて……。そんな『珍しいこと』も、あるんだね」

「えっ……」

小咲「私はただ……。『漫画みたい』、って、言っただけだよ? 『漫画そのもの』だなんて、言ってない」

小咲「今回は……。ただ『漫画みたい』に珍しいことが、起きただけなんだよ」

「……」

小咲「それに……『事実は小説よりも奇なり』って言葉も、あるでしょ?」

小咲「じゃあ、『現実は漫画よりも』……。どうなのかな」

「っ!!」

小咲「ふふっ。『漫画みたい』なことだって、そりゃ平気で起こるよ……。だってここは――」

小咲「『現実』、なんだから」


(……そうか。なんで俺は、気付かなかったんだ)

(こんな簡単なことに……。なんで今まで、気付かなかった……?)

(『現実』ってのは、俺が思ってたほど……。退屈でつまらない世界なんかじゃなかったって……。それだけのこと、だったんだ)

165 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:26:28.15 wJ/fiPqb0 64/79

               
ギュッ

小咲「『現実』だから、『漫画』みたいなことも、『夢』みたいなことも、起きるんだよ……。こんな風に」

「うん……。確かに、夢みたいだ」

小咲「ふふっ……。あったかいね」

「ああ……。それになんだか、良い香りだ……」

小咲「ら、楽くん、恥ずかしいよ……」

「はは……。でももう少しだけこうしてても、いいかな」

小咲「あはは……。でも誰か、来ないかな」

「……来ない」

「――とは、言い切れないか。『現実』はそう、甘くないもんな」

小咲「うん……。来ちゃったら……。その時に、考えよっか」

「そうだな……」

ギュ……

166 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:32:20.30 wJ/fiPqb0 65/79

              
ワイワイ…… ガヤガヤ……

(遠くで声が聞こえる……。あいつら、まだまだ元気だなぁ……。これなら誰もこっちになんか、来ねえだろうな)

小咲「……」

「……」

小咲「えっとね、楽くん。つまりね、そういうことなの」

「ん?」

小咲「私の、新しい夢。今朝見た夢が、そのまま……。私の叶えたい、新しい夢だよ」

「……なるほど。実は最近俺にも、新しく叶えたい夢ができたところなんだよ」


『なら、教えてやるよ。たった今できた、俺の新しい夢を』

『小咲と一緒に幸せになることだっ!』

小咲「そうなの? どんな夢?」

「小咲と、同じだよ」

168 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:37:07.08 wJ/fiPqb0 66/79

                                      
小咲「……そっか。じゃあまた私たち、同じ夢を、見てたんだ」

「はは……」

小咲「あはは……」

「……」

小咲「……」

ドクン

ドクン

ドクン……

……

……


「……結婚しよう、小咲」

172 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:43:24.93 wJ/fiPqb0 67/79

                      
小咲「……っ」

「……」

小咲「……」ポロッ

「……」

小咲「……グスッ」ポロッポロッ……




小咲「はい……っ!」

174 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:46:13.15 wJ/fiPqb0 68/79

                                   
                               
一条 楽と桐崎 千棘の『偽恋物語』は、幕を閉じ――

一条 楽と小野寺 小咲の『恋物語』は、続いていく

そして……

一条 楽と愉快な仲間たちの、『物語』と言うほどでもない、平凡で、平穏な、ただの日常は――



まだ、始まったばかりだ――





――――――――――――

182 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 19:56:01.58 wJ/fiPqb0 69/79

               
そして――


――――――――――
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――――――
――――


「――でもそこが逆にすごいよな。あんなもん、どうやったら思いつくんだよ」

千棘「でもね、あの作者さんって結構、そういう展開が好きみたいなの」

「いやぁ、それにしても。あの展開はマジで予想つかなかったなぁ。ここでそうくるかっ! っていう」

千棘「そうそうっ! でも結構伏線とかは、3巻ぐらいからあったりするんだよ?」

「そうなのかっ!? 帰ったら読み返してみるか……」

小咲「あれ、二人とも。何の話?」

「漫画だよ。千棘から、借りてな」

「へぇー、楽。お前、漫画読んでんのか」

「最近また読むようになったんだ。しっかし面白いもんだな。あー。続きが気になるー」

るり「あんた、勉強は……?」
                   

185 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:00:43.94 wJ/fiPqb0 70/79

                                             
千棘「小咲ちゃんにも今度、貸してあげるねっ!」

小咲「ほんと? 私も漫画あまり読まないんだけど、楽しめるかな?」

千棘「大丈夫大丈夫っ! ちょっとグロいけど、大丈夫だよっ!」

小咲「グロいのっ!?」

「やめろ。小咲はああいうのは読まねえよ。お前とは違うんだ」

千棘「えーっ。私がゲテモノ好きみたいに言うの、やめてよぉー」

「ふーん。楽が、漫画をねぇ……。こりゃ進歩かもね、るりちゃん」

るり「そんな分かったような顔で言われても、なにが進歩なのか私にはさっぱりなんだけど……」


ガラッ

先生「よーしみんな、席につけー」

188 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:07:43.13 wJ/fiPqb0 71/79

                                
先生「はい、注目ー。今日はお前らに、特に男子に、嬉しい知らせがあるぞーっ」

「なにー? せんせー」

「もしかして、転入生とかー?」

(転入生ねぇ……)

先生「お、当たりだ。しかもすっげぇ美人だぞ」

「マジ? やったーっ! また転入生だーっ!」

「俺このクラスでよかったぁー!」

千棘「ね、ねぇ! 転入生だって! 同じ転入生同士だし、仲良くなれるといいな……」

「……」







「……は?」

191 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:13:07.17 wJ/fiPqb0 72/79

                        
ザワザワ 

(てん、にゅう、せい……?)

千棘「……? どうしたの、楽くん」

(なんで……。鶫……? いや、そんなはずは……。あいつは、だって……)

(鶫じゃない……。だとしたらじゃあ、一体、誰――)

先生「それじゃ入って、『橘』さん」

「はい」


シャラン……


「……っ!?」



「……皆さん初めまして」


万里花「橘 万里花と申します。何卒よろしくお願いします」
                                       

195 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:18:12.72 wJ/fiPqb0 73/79

                                  
ザワッ

「うおおおおおおお! かわいいーっ!!」「モデル!? モデルなの!?」

ワーワー パチパチ

「……」

(なんだ、こいつは……? 誰、だ……?)

(分からない……。いやでも、この娘……)

(昔、どこかで、会ったことがあるような……?) 


万里花「……」

万里花「……っ!!」

198 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:22:06.95 wJ/fiPqb0 74/79

                            
万里花「楽様~~~~~~~~!!」

「……はっ?」

万里花「ずっとお会いしたかったですわ~~~~~!!」


ダキッ


ギュウッ




「……」

「はぁ……!?」

204 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:26:32.72 wJ/fiPqb0 75/79

                                   
「うおおおおなんだぁあ!?」「転入生が一条に抱きついた~~!!」

キャー キャー

小咲「へ……?」

千棘「……え、えっと」

るり「……」

「……おいおい」

ギュッ……

万里花「楽様……! 私ずっとこの瞬間を、夢見て来ました……!」

「な……」

ワーワー ギャーギャー


(なんだこれは……?)

208 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:32:00.21 wJ/fiPqb0 76/79

                          
万里花「楽様……っ! 楽様ぁっ!」

「……離せ」

万里花「えっ……?」

「早く、離してくれ……! 小咲が、見てる……っ!」

万里花「こさき……?」

「お前、なんなんだ……? 俺のこと、知ってんのか……?」

万里花「……」

万里花「知ってるもなにも……」


万里花「私は楽様の、許嫁でございますよ」

213 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:36:09.98 wJ/fiPqb0 77/79

                                    
「いっ……!?」

「許嫁ぇ!?」「どぉ~~いうことだ一条!!」

「これ、小野寺さんにライバル登場ってこと!?」「修羅場!? 修羅場なの!?」

小咲「……らく、くん……?」

千棘「い、許嫁、って……」

るり「なにこれ……。うっそでしょ……?」

「……は、ははっ。くくっ……!」

万里花「楽様ぁ……。大好きですわ……っ!」スリスリ

「……」



「……勘弁してくれよ、もう」

217 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:43:55.23 wJ/fiPqb0 78/79

                               
                      
そして一条 楽と愉快な仲間たちの、平凡で、平穏な、ただの日常は――


――今この瞬間に、終わりを迎えた


新たにまた、愉快な仲間が加わり……

今日ここから始まるのは、果たして――







「俺、小野寺と付き合うことになったから」千棘「!?」

千棘「私、一条くんと親友になったのーっ!」クロード「!?」

「俺、小咲と結婚することになったから」


~fin~

231 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 20:52:37.08 wJ/fiPqb0 79/79

全く削ることなく、書きたいこと全部書けました。
マミーはどうしてもオチで使いたかったので、ここまで出せませんでした。ファンの方すいません。
感想くださった方も、ありがとうございます。これを見て原作の印象が変わった、っていうのが特に嬉しかったです。
長くなってしまいましたが、最後までお付き合いただいて、ありがとうございました。
またいつか他のスレでお会いできれば、幸いです。あと千棘ファンの方々には土下座して謝罪します。

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