まどか「正直に言うと……ちょっと重いかなって」
ほむら「え……」
まどか「気持ちは嬉しいんだよ? でも私、女の子だし……」
ほむら「……ごめんなさい。まどかのこと、もっと考えてあげれば良かった……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「やっぱり、ダンボールいっぱいのチョコは重いわよね」
まどか「女の子が持てる重さじゃないよほむらちゃん」
元スレ
まどか「チョコを貰ったけど……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1392726608/
さやか「朝から教室で何やってんの?」
ほむら「まどかにチョコを渡してたわ」
まどか「ほむらちゃんからチョコを貰ってたよ」
仁美「宅配の受け取りみたいになってましたけど……」
ほむら「ちょっと張り切りすぎたみたいね」
さやか「ダンボール一箱分って、ちょっと、って量じゃないんだけど」
さやか「学校にダンボール抱えて来たから、何かと思ったら……」
仁美「これ、中身全部チョコですか?」
ほむら「ええ。ホワイトとか、ビターとか、ミルクとか、ガラナとか色々作ったわ」
まどか「……なんか最後おかしいのあったよね」
ほむら「? ちゃんと全部手作りよ?」
まどか「そこじゃなくて」
さやか「それにしても、よく教室で堂々とチョコ渡せるね」
ほむら「だって友チョコだもの」
仁美「……友チョコ、ですか?」
まどか「女の子同士で渡すチョコだから友チョコだよ」
ほむら「ええ、友チョコだもの問題ないわ」
さやか「……」
仁美「……」
さやか「それにしても、よく教室で堂々とチョコ渡せるよね」
ほむら「……あら? いつの間にまた時間が巻き戻せるようになったのかしら」
さやか「いや、なんか幻聴がした気がしたから、テイク2を」
まどか「友チョコだってば。ねー?」
ほむら「ええ」
さやか「友チョコをダンボールいっぱいに作るわけないじゃん!」
仁美(普通は本命チョコもダンボールいっぱいには作りませんけど……)
さやか「口裏合わせて友チョコとか言ったって、いまさらじゃ……」
まどか「友チョコだもん(建前上は)」
ほむら「……何か文句でも?」
さやか「ふーん。じゃ、友チョコって言うなら、あたしの分もあるよね」
ほむら「……友?」
さやか「……友達扱いしてくれないと、また転校生って呼ぶぞ。いいのか?」
仁美「なんてささやかな抵抗……」
さやか「アナタ、アタシ、トモダチ。オッケー?」
ほむら「なんで片言なのよ……しょうがないわね、はい」
さやか「え? あったの? あ、ありがと……」
ほむら「一応ね。仁美にも、はい」
仁美「あら、ありがとうございます」
まどか「……それ、本当に友チョコだよね?」
ほむら「あ、当たり前じゃない。他意はないわ」
さやか「まどかはダンボールいっぱいで、あたしには一個。これが愛の差かー」
ほむら「それは違うわ」
さやか「お? まさかの愛されさやかちゃん?」
ほむら「愛情を量で比較するなら、貴女に渡すのは麦チョコ一粒になるわ」
さやか「なにこの格差」
まどか「も、もう、ほむらちゃんってば……」
仁美「あらあら」
さやか「うぅ、仁美ー。まどかがニヤニヤしながらあたしを見下してくるよー」
まどか「し、してないよ! ……してないよ?」
和子「はーい、皆さん席について。HRを始めますよ」
まどか「あ、先生来ちゃったね」
さやか「じゃあ、続きは昼休みにしよっか」
仁美「そうですわね」
まどか「あ、このチョコどうしよう」
ほむら「私の机に置いておくといいわ」
まどか「でもそれだとほむらちゃんが……」
ほむら「私は昼休みまで保健室で待機してるから大丈夫よ」ニッコリ
まどか「サボりは許さないよほむらちゃん」
――――
―――
-昼休み-
まどか「まずは私から、さやかちゃんと仁美ちゃんに」
さやか「さんきゅー」
仁美「ありがとうございます」
ほむら「……」ジー
まどか「……ほむらちゃん、欲しそうな目で見るのやめてあげてね」
さやか「ふっふっふ、まどかの本命チョコ、ゲットだぜ!」
ほむら「冗談だとしても笑えないわね」
さやか「うん、冗談言った人間に向ける目をしてないね」
まどか「それから……はい、ほむらちゃんにもチョコ」
ほむら「ありがとう、まどか」
さやか「……」ニヤニヤ
仁美「……」ニヤニヤ
まどか「な、なんで笑ってるの///」
さやか「さあねー」ニヤニヤ
仁美「気のせいじゃないでしょうか」ニヤニヤ
ほむら「……」ニヤニヤ
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「はい」
仁美「まどかさんも大胆ですわね」
さやか「昔はあんなにおどおどしてたのに、いつの間にか成長して……」
まどか「そういうの恥ずかしいからやめてよー」
ほむら「……これくらいのことで大胆と言うのはどうかしら」
さやか「そう? 今までのまどかから考えたら十分大胆だと思うよ?」
仁美「そうですね。まどかさんが人前でいちゃいちゃするなんて想像してませんでしたし」
まどか「いちゃいちゃしてないよね。チョコ渡しただけだよね」
ほむら「大胆っていうのは、もっとこう……」
まどか『ほむらちゃん、バレンタインのチョコだよ』
ほむら『ありがとう、まどか。……これはチョコクリーム?』
まどか『そうだよ』ヌギヌギ
ほむら『え? ど、どうして脱いでるのかしら』
まどか『それを私の胸に塗って……はい、まどかのチョコパイ、召し上がれ///』
ほむら『……い、いただいていいのかしら?』
まどか『うん。でも、チョコだけじゃなくて、私もちゃんと味わってくれなきゃダメだからね?』
ほむら「大胆なまどかだったら、これくらいのことはしてくれるはずよ」ムフー
まどか「私で変な妄想しないでよ///」
さやか「うわー……まどかってこんなことするんだ……」
まどか「やってないよ!? やったこともないよ!?」
仁美「もちろん胸以外も召し上がるんですよね?」
さやか「あ、仁美が食いついた」
ほむら「その後はもちろん……」
まどか「こ、この話はもうおしまい! おしまいだよ!」
まどか『ほむらちゃん、胸ばっかりじゃなくて……』
ほむら『それじゃあ……次はこっちね』
まどか『んっ/// あっ、くすぐった、やんっ……』
ほむら『ぬるぬるしててなかなかチョコが塗れないわ』
まどか『やだぁ……言わないでよぉ///』
まどか「もうおしまいって言ってるよね?」グリグリ
ほむら「ここからがいいところなのに……」
さやか「じゃ、今度はあたしから。はい、まどか」
仁美「私のもどうぞ」
まどか「ありがとう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
仁美「でも……まどかさんには逆に嫌がらせになってしまうでしょうか」チラッ
さやか「あー、まあいっぱいあるからね」チラッ
まどか「あ、あはは……そ、そんなことないから大丈夫だよ」
ほむら(ダンボールに注がれる視線が痛いわ……)
ほむら「一応確認しておくけど、二人とも友チョコなんでしょうね?」
仁美「眺めて楽しむのはともかく、私にその趣味はありませんわ」
まどか(……ん?)
さやか「恋愛感情あったらあんたの目の前で渡さないって。はい、ほむらにもチョコ」
ほむら「え……あ、ありがとう」
さやか「お、デレた?」
ほむら「……お礼くらいでデレたとか言わないで欲しいわ。人をなんだと思ってるの」
さやか「麦チョコ一つ分の愛情しか貰えない立場なもんで」
仁美「ほむらさん、私からの友チョコです、どうぞ」
まどか「……それ、私が仁美ちゃんにあげたチョコに見えるのは気のせいかな?」
仁美「これが一番喜んでもらえそうなので」
ほむら「ええ、嬉しいわ。ありがとう仁美」
まどか「そ、それはそれで複雑だなって」
仁美「もちろん冗談ですわ。ほむらさんへのチョコはこちらです」
ほむら「……ええ、冗談よね。冗談だってわかってたわ。当然よね」
仁美「……ええと、まどかさんのチョコを返していただけると……」
ほむら「……」
さやか「じゃ、あたしがほむらを羽交い絞めにするから、その隙に奪い取って」
まどか「これでみんな渡し終わったかな?」
ほむら「……さやかと仁美はお互いにチョコを渡さないの?」
さやか「諸事情によりお知らせできません」
仁美「ご想像にお任せします」
まどか「そ、そうなんだ……上条君には二人とも渡したんだよね?」
さやか「諸事情によりお知らせできません」
仁美「ご想像にお任せします」
まどか「それは隠す意味がないんじゃ……」
さやか「まどかはこれからが大変だよねー」
まどか「大変って、なにが?」
さやか「だっていっぱいチョコあるじゃん。あれ全部食べるんでしょ?」
まどか「あ、うん。そのつもりだけど……」
仁美「こんなにあると、その……太りません?」
まどか「……返品はできるのかな?」
ほむら「まどかぁー!?」
まどか「冗談だよ。ちゃんと全部食べるってば」
ほむら「……食べてくれるのは嬉しいけど、でも確かに多すぎよね」
まどか「少しずつ食べるから、大丈夫……だと思う」
ほむら「無理はしないでね?」
仁美「女性としては体型が気になりますよね」
さやか「そうだね、まどかはぺったんこだし」
まどか「それ今の会話と関係ないよね」
まどか「パパに言って、ご飯のメニューも調整してもらおうかなって」
仁美「そうですね、何かしらの対策はした方がよろしいかと」
まどか「あとは……毎日運動すればいいのかな」
ほむら「責任を持って付き合うわ」
まどか「うん、一緒に運動しよ」
仁美「……二人で一緒に運動、ですか」
まどか「べ、別に変な意味じゃないよ///」
さやか「あれー? 仁美はそんなこと一言も言ってないよー?」ニヤニヤ
まどか「……」グヌヌ
ほむら「……いまさらだけど、確かに作りすぎよね」
さやか「ダンボールいっぱいに作るバカはそうそういないと思うよ?」
まどか「……」
仁美「どうかされました?」
まどか「あ、ううん。なんでもないよ」
ほむら「……私ってホント、バカ……」
さやか「それあたしのセリ……あ、それは別にいいや。あげる」
ほむら「いえ、私なんかより、このセリフは貴女にこそふさわしいわ」
さやか「……褒められた!?」
まどか「褒められてないよさやかちゃん……」
さやか「ところで、なんであんなにチョコ作ったの?」
ほむら「……最初は一つだけのつもりだったのよ」
まどか「そうなんだ」
ほむら「でも、まどかからチョコを貰うのに、私が一つしか渡さなくていいのかと考えて……」
仁美「貰えるのは決定事項だったんですね」
ほむら「それなら二つにしようと。でも、もしかしたらまどかも二つ作るかもしれないって」
さやか「あー、オチは大体わかった」
ほむら「……気づいたらチョコがダンボールいっぱいになってたわ」
まどか「……そうだったんだ」
さやか「でも残念ながら、まどかから貰えたチョコは一つだったわけか」
ほむら「ふっ……数だけが愛情を表すわけじゃないわ」
まどか「そ、そうだよ。別に数を競ってるわけじゃないし……」
さやか「どうでもいいけど友チョコって設定忘れてるよね。本当にどうでもいいけど」
仁美「本当にどうでもいいですわね」
ほむら「……そうよね。数だけが愛情を表すわけじゃないもの」
さやか「ん?」
ほむら「これ全部渡すんじゃなくて、厳選して渡せばいいだけよね」
仁美(今まで気づかなかったのもどうかと思いますけど……)
まどか「えっと……私はどっちでもいいよ? 全部ラッピングまでしてあるし……」
ほむら「賞味期限の問題もあるし、なによりまどかに負担をかけたくないわ」
仁美「そうですわね……これを全部冷凍庫に入れるのは厳しそうですし」
ほむら(いざとなれば私の盾の中で保管すればいいのだけど)
まどか「どこで分けるの?」
ほむら「そうね、できれば人には見られたくないんだけど……」
まどか「それなら、私のお家でっていうのはどうかな?」
ほむら「ええ、いいわ」
まどか「運ぶの大変かもしれないけど、大丈夫?」
ほむら「これを家から持ってきたんだもの、問題ないわ(魔力でどうとでもなるし)」
まどか「じゃあ決まりだね」
さやか「……上手いなー。こうやって自然に家に連れ込むわけだ」
仁美「参考になりますわ」
まどか「なんでそうやって二人は深読みするの///」
さやか「残ったチョコはどうすんの? 自分で食べるの?」
ほむら「少しは食べるけど……他に有効利用する方法を考えるわ」
仁美「例えば、チョコ風呂にして、まどかさんと一緒に入るのはどうでしょう」
まどか「なに言い出すの仁美ちゃん!?」
ほむら「なるほど……お互いの身体についたチョコを無くなるまで舐めあうのね」ハァハァ
まどか「ほむらちゃん、ちょっと落ち着こうねー」
さやか「実際やったら大惨事だろうね」
仁美「温度は大丈夫だと思いますけど、衛生的にアウトですね」
ほむら「それなら溶かしてまどかに塗って舐めれば……」
まどか「それさっきほむらちゃんの妄想でやったよね」
さやか「今日の放課後はどうしよっか。仁美はお稽古事何もない日だよね?」
仁美「はい、お稽古はお休みなのですが……今日は別に用事があって」
まどか「そうなんだ、残念。ところで用事って?」
仁美「……さやかさんには関係ない用事ですわ。ええ、一切」
さやか「……抜け駆けはしないって言ったよね?」
仁美「ええ、もちろん。だからさやかさんは何も疑うことも無く、私を信じてくださいませ」
さやか「……ひ、仁美? 信じていいんだよね?」
まどか「じゃあ今日はマミさんの家かなー」
ほむら「そうね」
さやか「ねえ、この仁美信じていいと思う? 目を逸らしてないでさ」
――――
―――
-放課後-
まどか「あ、今日はチョコレートケーキなんですね」
マミ「ええ、バレンタインデーだしね。私からみんなへの友チョコよ」
ほむら「……友?」
さやか「それはもういいから」
杏子「……友?」
さやか「佐倉杏子、お前もかー」
まどか「これ、私からマミさんに友チョコです」
さやか「ついでにあたしのも、どうぞー」
ほむら「私からも友?チョコよ」
マミ「みんな、ありがとう。暁美さんは疑問符を外してから渡してくれるかしら」
さやか「あれ? 杏子は?」
杏子「アタシの? マミの胃の中にあるよ」
マミ「……あってるけど、その言い方はちょっと悪意がないかしら」
さやか「よーし、じゃあ杏子にもバレンタインのチョコあげちゃおっかな」
杏子「お、おう」
さやか「はい、ロッキー」
杏子「……」
さやか「あれ、どうしたの? 杏子、ロッキー好きだよね」
杏子「好きだけどさあ……」
さやか「ふっふっふ、実はちゃんとここにさやかちゃん手作りチョコが」パンパカパーン
杏子「いや、アタシロッキー貰ったし。これでいいよ」
さやか「なんだよ、すねるなよー」ギュー
杏子「い、いきなり後ろから抱き付くなよ!」
さやか「ほれ、これが欲しいんだろー?」グリグリ
杏子「顔に押し付けんな!」
さやか「当ててんのよ(チョコを)」
まどか「もう二人の世界に入っちゃってるね」
ほむら「私達も二人の世界に……」
マミ「……」
さやか「さて、じゃあこのあたしの手作りチョコとさっきのロッキー。どっちがいい?」
杏子「両方くれるんじゃないのかよ」
さやか「古来より欲張り者は損をすると決まっているのだよ、杏子くん」
杏子「じゃあロッキーで」
さやか「うぉいっ!?」
杏子「冗談だよ。すねんなよ」モグモグ
さやか「冗談って言いながらもうロッキー開けてるじゃん!」
さやか「もー、しょうがないから両方あげるよ。で、あたしには?」
杏子「ほれ」つロッキー
さやか「……ロッキーなら杏子がくわえてるの貰う」
杏子「は? おい、やめろって」
さやか「ほら、動かないで。上手くくわえられないじゃん」
杏子「な、なにしてんだよ///」
さやか「そりゃもちろん、恒例のアレですよ」
さやか「もう、冗談だったのにー」
杏子「冗談でこんなことすんなよ」
さやか「本気だったらいいの?」
杏子「……さやかにはあの坊やがいるだろ」
さやか「お? 嫉妬かー? いやー、愛されるさやかちゃんはつらいねー」
杏子「あー、うぜーうぜー」
まどか「……邪魔しちゃ悪いから、杏子ちゃんへのチョコは後で渡そうか」
ほむら「それが良さそうね」
マミ「いえ、むしろ目の前でいちゃいちゃしてるのを即刻やめさせるべきだと思うわ」
まどか「マミさん……」
マミ「ところで暁美さんが持ってきたそのダンボール、中味はチョコ?」
ほむら「ええ、そうだけど」
マミ「すごいわね、暁美さん。そんなに貰ったの?」
ほむら「違うわ。これは全部まどかのよ」
マミ「え!? 鹿目さんもこんなに人気があるの!?」
まどか「……えっと、確かにそれは私のなんですけど……」
ほむら「全部私からまどかへの愛の結晶よ」
マミ(バレンタインのチョコを愛の結晶……なるほど、そういう表現方法もあるのね!)
杏子「どう見たって作りすぎだろ。少しは加減ってものを考えなよ」
ほむら「それはさんざん言われたわ。反省はしてるから、あまり触れないで」
まどか「……」
マミ「鹿目さんにはダンボールいっぱいのチョコで、私には一つ……これが愛情の差ね」
さやか「あ、それは違うみたいですよ」
ほむら「ええ。愛情を量で比較するなら、巴マミ、あなたにはチョコチップ一枚しか渡せなくなるわ」
マミ「チョコチップって、それはちょっとひどくないかしら!?」
さやか「マミさん、安心してください! あたしは麦チョコ一粒でした」
杏子「それで安心していいのか……?」
さやか「じゃあ杏子はどんなもん?」
杏子「別にいちいち聞かなくてもいいだろ……」
ほむら「そうね……杏子にはチョコボール一粒ってところかしら」
杏子「そいつはどーも」
さやか「何ぃ!? 杏子だけ特別扱いなのか!?」
マミ「そう……佐倉さんは暁美さんの中でそんなに……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら(え? なんで? 意味がわからない)
ほむら「え? え? 私なにか変なこと言った……?」
マミ「だって、麦チョコやチョコチップより大きい上に、中はサクッと……」
杏子「いや、食感は関係ないだろ」
まどか「それに金のエンゼルや銀のエンゼルもついてるし……」
ほむら「エンゼルは箱についてるのであって、チョコボールそのものには関係ないわ。一粒だし」
さやか「それに、あれは特別な存在にだけあげるって言う……」
ほむら「それ違うお菓子よ。チョコですらないわ」
さやか「確かにほむらは杏子を特別扱いしてる気がする」
マミ「意外と開けてみたら愛のメッセージが書いてあったりして」
さやか「まどかはカムフラージュで、本命は杏子。ありえますね」
ほむら「ありえないわね」
まどか「……杏子ちゃん、今開けてみたらいいんじゃない?」
ほむら「まどか!? 信じて!?」
まどか「どうしてかな、ほむらちゃんのこと信じてあげたいのに以下略」
ほむら「本当だから! 私はまどか一筋よ!」
さや あん まみ(知ってる)
杏子「いやまあ、別に今開けたっていいけどさあ……いいのか?」
ほむら「いいわよ。このまま変な疑いをもたれるよりよっぽどいいわ」
杏子「ん、これでいいか? 中は普通の板チョコで、メッセージとか一切無し」
マミ「ついでに私も……中身は佐倉さんと同じね」
さやか「あたしのはほむらのおっぱいチョコだった。ずいぶん思い切ったね」
ほむら「……それもただの板チョコよ」
さやか「あ、そうなの?」
ほむら「貴女には特別に鉄錆の味がする赤いソースを追加してあげるわ……」
さやか「アメリカンジョークデスヨ? 本気ニシチャダメデスヨ?」
杏子「やめろよ、ほむら」
さやか「おお、心の友よ!」
杏子「食いモンを粗末にするんじゃねえ」
さやか「心の友ぉ!?」
ほむら「大丈夫よ。真っ赤になったチョコを無理やりさやかの口に詰め込むから」
杏子「それなら良し」
さやか「良くねえ」
さやか「マミさん! ヘルプ!」
マミ「……フローリングに跡は残さないでね」
ほむら「善処するわ」
さやか「フローリングよりあたしの心配を! こうなったらまどかだけが頼りだよ!」
まどか「えーと……血の染みは落ちにくいから、返り血が制服につかないようにね」
ほむら「ありがとう、まどか。私の心配をしてくれるのは貴女だけよ」
まどか「えへへ」
さやか「あれれー、おかしいなー? 誰もあたしの心配をしてないぞー?」
さやか「まあ、チョコボール一粒じゃダンボールいっぱいのチョコには勝てないよね」
マミ「考えるまでもないわよね」
杏子「ほむらをおちょくるのにアタシを巻き込むなよ」
まどか「本気で疑ってたわけじゃないんだよ? ただ、その場の流れというか……」
ほむら「いいのよ、信じてもらえないのは慣れてるし。私、よく嘘つくし」
マミ「……ちょっとやりすぎたかしら」
さやか「どうせすぐ元通りですって」
まどか「ほむらちゃん、機嫌直してー」ナデナデ
ほむら「信じてもらえればそれでいいのよ」キリッ
マミ(早っ)
さやか「さーて、そろそろ帰りますかー。杏子はどうすんの?」
杏子「そうだなあ……コタツかエアコンか迷うな……」
まどか「え? その二択はなんなの?」
杏子「んー、よし、今日はエアコンにするわ」
マミ「わかったわ。というわけでコタツさん、佐倉さんはうちに泊まるみたいよ」
さやか「人の家にある暖房器具で呼ばないでもらえませんかエアコンさん」
ほむら「ああ、そういう」
杏子「なんで火花散らしてるんだよ」
さやか「そりゃ、電気製品だけに火花も散るってもんよ」
杏子「やかましい」
まどか「私達も帰ろうか」
ほむら「そうね」
マミ「……それだけ聞くと同棲してるみたいよね」
さやか「まあ、大体そんな感じですし。週にどれくらいまどかの家に泊まってんだっけ?」
ほむら「最近は週4くらいかしら」
杏子「ほぼ同棲じゃねえか」
まどか「ふ、二人っきりじゃないし……」
マミ(その理屈でいくと、私と佐倉さんも同棲してることに……///)
まどか「あ、マミさん。ちょっといいですか?」
マミ「何?」
まどか「あのですね、その……ほむらちゃんはちょっと外で待ってて」
ほむら「……内緒話?」
まどか「あ、後で教えてあげるから」
さやか「ふーん、まどかなりのサプライズでも企画してるのかな」
杏子「……なあ。なんで気づいたらアタシ縛られて担がれてんの?」
さやか「……お持ち帰り~☆」
杏子「降ろせ」
まどか「ダンボール、重くない?」
ほむら「ええ。昼間は仁美がいるから言えなかったけど、魔力で身体強化してるから」
まどか「あ、そうなんだ。魔法って便利だね」
ほむら「! で、でもソウルジェムとか不便だし、その……悪いこともいっぱいあるし、だから魔法少女には……」
まどか「あ、大丈夫だよ。魔法少女になろうとは思ってないから」
ほむら「本当?」
まどか「ほむらちゃんは心配性だよね」
ほむら「……そうかしら」
まどか「でも、それだけ私のこと気にかけてくれてるってことだよね?」
ほむら「ええ、もちろん。むしろ一日中まどかのことしか考えてないわ」
まどか「そ、それはそれで心配だよ……」
まどか「ただいまー」
知久「お帰り、まどか」
ほむら「ただいま」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「コホン。おじゃまします」
知久「いらっしゃい、ほむらちゃん」
ほむら(まどかのパパは動じないわね……ラブコメ主人公並の難聴なのかしら)
まどか(なんかほむらちゃんが失礼なこと考えてる気がする……)
知久「あ、そうそう。気づいてると思うけど、今日忘れ物して行ったね」
まどか「あ、あれは別にいいの」
ほむら「?」
知久「? 今日配るんじゃなかったのかい?」
まどか「そ、それは……やっぱりやめたの」
知久「そうなのかい? せっかく作ったのに、もったいない」
まどか「それは気にしなくていいから、えっと……パパはちょっとキッチンに立ち入り禁止ね」
知久「でも、晩御飯の用意が……」
まどか「ちょっとだけだから。ほむらちゃん、こっち来て」
ほむら「え、ええ……」
まどか「えっと……あ、こっちにあった」
ほむら「ダンボールの箱? 中身は?」
まどか「えっと……それは後で。先に私の部屋に運んじゃおう」
ほむら「重そうだけど大丈夫?」
まどか「う。重いけど……でもほむらちゃんが二つ持つわけにも……」
ほむら「これくらい私は余裕よ。携行ミサイルとか軽々持てるし」
まどか「でもパパがその姿見たら、変に思っちゃうかも……」
ほむら「大丈夫よ。まどかのパパは、きっと決定的なシーンは見逃すタイプだと思うから」
まどか「……やっぱりさっきなにか失礼なこと考えてた?」
まどか「じゃあ、今のうちに……」
ほむら「重さはいいけど、ダンボール二つ抱えると視界が悪いわね」
まどか「そう? 普通に歩いてるように見えるけど」
ほむら「まどかの家の間取りは体が覚えてるのかしら」
まどか「……素直に褒めていいかどうか迷うなあ。パパ、もうキッチン入っていいよー」
知久「もういいのかい? あ、ほむらちゃんの分の夕食も用意していいんだよね」
まどか「うん、お願い」
ほむら(あれ? いつの間にか泊まることになってる?)
まどか「じゃあダンボールはその辺に置いてくれる?」
ほむら「ええ。……ところで中身は?」
まどか「えへへ、えっとね……開けてみていいよ」
ほむら「いいの?」
まどか「うん。だって、それはほむらちゃんへのプレゼントだから……」
ほむら「私へ? ……これは、チョコ、よね?」
まどか「そうだよ、ハッピーバレンタイン、ほむらちゃん」
まどか「あ、でも全部は多すぎると思うから、その中から選んでプレゼントするね」
ほむら「ありがとう、まどか。でも、なんでこんなにたくさん……?」
まどか「それは……ほむらちゃんと同じ理由だったりして……」
ほむら「そう……同じ気持ちでチョコを作ってたのね」
まどか「うん、同じだったんだよ」
ほむら「まどか……///」
まどか「ほむらちゃん……///」
ほむら「嬉しいわ……せっかくまどかが作ってくれたのだもの、全部いただくわ」
まどか「でも……食べるには多すぎるでしょ?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんも言ってたよね、数だけが愛情を表すわけじゃないって」
ほむら「でも……」
まどか「チョコの量は減っても、ほむらちゃんへの想いは減らないよ」ニコッ
ほむら「まどか……」
まどか「だから、この中から選んで……」
ほむら「……待って。私の盾の中に入れておけば、賞味期限の問題は解決するわ」
まどか「そうなの?」
ほむら「盾の収納の中なら(多分)時間が止まってるはずだし」
まどか「それなら、私の分のチョコも一緒に入れておいてくれる?」
ほむら「ええ、いいけど……でも、それだとまどかの好きなときに食べられないわよ?」
まどか「でも、ほむらちゃんと一緒にいるときなら食べられるよね」
ほむら「じゃあ私も、まどかと一緒の時だけ食べることにするわ」
まどか「うん、一緒のときだけ、だね」
ほむら「ええ。一緒のときだけ、よ」
まどか「これなら、急がずゆっくり食べられるね」
ほむら「ええ。一緒にいるときならいつでも食べられるし」
まどか「一年でも、二年でも、何年かけても、ゆーっくり食べられるね」
ほむら「そうね。賞味期限を気にせずに食べられるわ」
まどか「それもあるけど……もう、ほむらちゃんの鈍感」
ほむら「え? え?」
まどか「ゆーっくり食べちゃうんだ。最後の一個は何年も、何十年も先に食べるんだから」
ほむら「……そっか」
まどか「何?」
ほむら「さっきまどかのパパは、配るとかなんとか言ってたのは……」
まどか「うん、パパには配るための義理チョコってことにしてたの」
ほむら「本当は?」
まどか「……言わなくてもわかってるよね」
ほむら「聞きたいわ」
まどか「どうしても?」
ほむら「まどかが嫌ならいいけど」
まどか「ほむらちゃんはずるいなー」
まどか「本当はね……ほむらちゃんにあげる本命のチョコなの」
ほむら「たくさんあるけど?」
まどか「全部、本命チョコ。あげるのを選ぶって言ったけど、選べないくらい、全部ほむらちゃんへの私の気持ち」
ほむら「……ふふ」
まどか「わ、笑わないでよ/// 私だって、言ってて恥ずかしいんだから」
ほむら「違うの。本当に、私と同じ気持ちだったんだなって」
まどか「ほむらちゃんも?」
ほむら「ええ。だから、全部のチョコにまどかへのメッセージが書いてあるわ」
まどか「私も、全部に書いてあるよ」
まどか「全部、受け取ってくれてよかった……」
ほむら「私のも全部受け取ってくれて嬉しい」
まどか「重くて学校に持って行けなかったときは、どうしようかと思ってたんだ」
ほむら「だから、私を家に呼んだのね」
まどか「それだけじゃないけど……でも、うん。今日渡したかったんだ」
ほむら「ありがとう。最高のバレンタインだわ」ギュ
まどか「私の方こそ、ありがとう。最高のバレンタインになったよ」ギュ
まどか「あとね、もう一個バレンタインのチョコがあるんだ」
ほむら「もう一つ?」
まどか「うん。これは私が作ったのじゃないんだけど……」
ほむら「それは?」
まどか「帰り際に、マミさんから貰ったんだ」
ほむら「チョコレートケーキに乗ってたクリームね」
まどか「うん、余ってたらくださいって。だから少ししかないけど」
ほむら「……もしかして」
まどか「ほむらちゃんの妄想のは……ちょっと恥ずかしすぎるから///」
まどか「私の唇にちょっと塗って……」
ほむら「……ま、まどか……///」
まどか「……はい。ほむらちゃん、召し上がれ///」
ほむら「い、いただきます……って言うのも変かしら///」
まどか「え、えっと、こんな時はどう言えばいいんだろうね///」
ほむら「ふ、普通でいいのかしらね」
まどか「ふ、普通でいいんじゃないかな」
ほむ まど(普通ってどうすればいいんだろう……///)
ほむら「……///」
まどか「……///」
ほむら「……まどか///」
まどか「……うん///」
チュッ
ほむら「……んっ……ちゅっ///」
まどか「……んっ……ふ///」
ほむら「……っ///」
まどか「……ぷぁ///」
まどか「えへへ、さやかちゃんたちが言ってたみたいに、私も少し大胆になっちゃった」
ほむら「大胆なまどかも素敵よ」
まどか「どうかな? 私からのバレンタインチョコ」
ほむら「とっても美味しかったわ。とっても濃い、まどかの味」
まどか「私も、ほむらちゃんから貰っちゃった」
ほむら「チョコはなかったけどね」
まどか「気持ちがあれば、十分だよ」
ほむら「それなら、いくらでもまどかにあげられるわ」
まどか「私も、いくらでもほむらちゃんにあげられるよ」
まどか「あとは、一緒にチョコを食べていこうね」
ほむら「ええ。何年も、年十年も一緒にね」
まどか「あ、やっと気づいたんだ」
ほむら「私はずっとそのつもりだったから、逆に気づかなかったのよ」
まどか「それじゃあ、ずっと一緒にいてくれるのかな?」
ほむら「チョコがなくなっても、想いが消えない限りはずっと一緒にいるわ」
まどか「それなら、いつまでも一緒にいられるね。ほむらちゃん」
おしまい
おまけ
まどか「今日は何にする?」
ほむら「そうね……ホワイトチョコとかどうかしら」
まどか「あ、いいね。ほむらちゃんは何にするの?」
ほむら「もちろんまどかと同じホワイトチョコよ」
まどか「同じのにしなくてもいいんだよ?」
ほむら「まどかと同じものがいいのよ」
まどか「もう、ほむらちゃんってば」
ほむら「えーと、どれがホワイトチョコだったかしら」
まどか「私のはこれかな。はい、ほむらちゃん」
ほむら「ありがとう。あ、あったわ。はい、まどか」
まどか「ありがとう。……なんか向こうの方が騒がしいけど大丈夫かな」
ほむら「大丈夫よ。もし何かあったら、私がまどかを守るから」
まどか「うん、ちゃんと私を守ってね」ギュ
まどか「美味しいよ、ほむらちゃん」モグモグ
ほむら「そう? 作った甲斐があったわ」
まどか「……ほむらちゃんは食べないの?」
ほむら「何かあったときのために両手を空けておきたいから、今はちょっと」
まどか「……それって、食べさせて欲しいってことかな?」
ほむら「まどかにはお見通しね」
まどか「わかりやすすぎだよ、ほむらちゃん」
まどか「じゃあ……はい、あーん」
ほむら「あーん」モグモグ
まどか「どう、かな?」
ほむら「とっても美味しい。特にまどかが食べさせてくれたのが最高ね」
まどか「もう、お世辞ばっかり」
ほむら「お世辞じゃないわ。本当に美味しいかったの」
まどか「えへへ///」
さやか「……」
マミ「……」
杏子「……」
さやか「なんか言いたそうだね、杏子」
杏子「それを言うならマミの方が」
マミ「美樹さんこそ」
さやか「……いや、戦えとは言わないよ? まどかを守るのも立派な役目だし」
マミ「……ええ、暁美さんはちゃんと役目を果たしてるわ」
杏子「まあ、それはいいんだけどな。それだけなら」
さやか「……なんで魔女の結界内でいちゃいちゃしてるんだろうね、あの二人は」
マミ「先に露払いをして安全を確保してるから文句も言えないけどね……」
杏子「いやでも実際な、魔女と戦ってる後ろでいちゃいちゃされるのは気が散るって言うか……」
さやか「杏子、ちょっと言ってきなよ」
杏子「やだよ。こういうのは最年長のマミが……」
マミ「こういうときばっかり最年長を強調するのはずるいと思うの」
杏子「じゃあさやかでいいんじゃないか? 一番付き合い長いだろ」
さやか「バカップルの片割れはあたしに麦チョコ一粒の愛情しか持ってないんだけど」
マミ「みんな同じようなものじゃない」
ほむら「紅茶はまだかしらね」
まどか「苦戦してるのかな?」
ほむら「今日のはそんなに強い魔女じゃないはずよ。あーん」
まどか「あむ。じゃあ、どうして?」モグモグ
ほむら「見てると、集中力が散漫なのよね」
まどか「寝不足なのかな? あーん」
ほむら「はむ。さあ、どうなのかしら」モグモグ
マミ「……一発だけなら誤射で済むかしら」
さやか「殺意の波動に目覚めたほむらに追い掛け回されるだけですよ」
杏子「ほむらを狙う=まどかに当たるかもしれない、だからなあ」
マミ「さっさと片付けるのが一番ストレスたまらないのかしらね……」
さやか「その意見に賛成です」
杏子「ま、ああいうのは関わったら損だよな」
マミ「なんでわざわざこんなところでいちゃいちゃするのかしらね」
さやか「違いますよ、マミさん」
マミ「何が違うの?」
さやか「あの二人はいつでもどこでもいちゃいちゃしてるだけです」
マミ「……そう」
杏子「あーあ、マミの気力が尽きた。さっさと魔女にとどめさそうぜ」
ほむら(……あの三人は気づいていない)
ほむら(私が憎まれ役になることで、あの三人の団結力が上がってることに)
ほむら(団結力という強固な鎖は、きっと彼女たちの力になる)
ほむら(この先もずっと魔女と戦うために……)
ほむら(まあ即興で考えた嘘だけど)
まどか「はい、ほむらちゃん。あーん」
ほむら「あーん」
おまけおしまい
225 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2014/02/19(水) 03:06:26.12 FmE80/Ev0 78/78寝る
次は何を書こうかな。
でも魔女退治にまどか連れていくなよww