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少女「お菓子をくれたら悪戯してもいいよっ」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 22:44:20 aRqKLZKo 1/41

「お、いいね、パイ好きだよ」

少女「美味しいパイがあるよ~」ニヤニヤ

「パイの実?」

少女「もっといいパイだよ~」ムニッ

「源氏パイとかうなぎパイも好きだなあ」

少女「ほれほれ」ムニムニ

「あ、アップルパイとかも好き」

少女「……」ムニムニ

元スレ
少女「バレンタインにはパイをあげるねっ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1392212660/

2 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 22:50:27 aRqKLZKo 2/41

「楽しみにしてるから」ニコッ

少女「……う、うん」

「……」

少女「……」ムニムニ

「寄せても、胸ないな」

少女「うるさいっ!」

4 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 22:59:29 aRqKLZKo 3/41

少女「むぅ、あの朴念仁はどうやったら私になびくんだろう……」

少女「いっそもう見せるか!?」

少女「回りくどいの、やめちゃうか!?」

少女「右のパイと左のパイ、どっちがい~い? とかゆって!」

少女「右手でつまんで左手で揉んで! みたいな! みたいな!」

少女「きゃ~」

「おい、聞こえてるぞ」

少女「ぎゃ~!!」

5 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 23:07:47 aRqKLZKo 4/41

「お前な、家の中でそういうこと大声で言うのやめろ」

少女「お母さんがいるから?」

「そうだよ」

少女「お母さん、応援してくれてるよ?」

「なんてこったい」

少女「お父さんはちょっと反対気味だけど……」

「……なんてこったい」

6 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 23:13:36 aRqKLZKo 5/41

「男手ひとつで育ててきた息子が、できたばかりの妹に求婚されてるってショックだろな」

少女「まあ、いずれわかってくれるよ」ポンポン

「なんでおれ慰められてんの!?」

少女「私たちの愛に、壁など意味ないのだよ」ポンポン

「主にお前の愛だろ」

少女「愛してくれてないの?」

「ん……いや、まあ、それなりに?」

少女「歯切れ悪っ!」

7 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/12 23:17:02 aRqKLZKo 6/41

一応これの続き物ですが、読んでなくても全く問題ありません
ぬるっと続きます
では、また明日です

少女「お菓子をくれたら悪戯してもいいよっ」
http://hamham278.blog76.fc2.com/blog-entry-63.html

8 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 01:48:00 PiFCVOtE 7/41

読み始めた瞬間にアレの続きと判ったわ
でもクリスマスは無かったんか?

10 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 22:37:46 c5qDJ9jA 8/41

……

少女「なにつくろっかなあ」

「あら、なにを悩んでるの?」

少女「んーお兄ちゃんにバレンタイン、なにあげよっかなあって」

「私のパイをあげる♪ っていうのはどう?」

少女「それはもう無視されちゃった」

「あそう……」

少女「私やっぱお母さん似だなあ……」

11 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 22:43:30 c5qDJ9jA 9/41

「手作りにこだわらなくてもいいんじゃない?」

少女「でもやっぱ、作ってあげたいし」

「簡単なのは、チョコと溶かして固めて」

少女「ナッツとか入れて?」

「そうそう」

少女「髪の毛とかもちょっと隠し味で?」

「そうそう」

「おいやめろ」

12 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 22:52:07 c5qDJ9jA 10/41

少女「ちょ、ちょっと、台所は女の聖域よ!」

「あらあら、だめじゃない、入ってきちゃ」

「恐ろしい相談が聞こえてきたからだよ!」

少女「もう、お兄ちゃんのエッチ♪」

「勘弁してくれ」

「あらあら、私のいないところでお願いね、二人とも」

「いなくてもダメでしょう!」

13 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 22:57:55 c5qDJ9jA 11/41

少女「当日まで秘密っ! 見たらだめだよ!」グイグイ

「食えるもんにしてくれよ……」

少女「ふう、危ない危ない」

「全身チョココーティングというのもアリよね?」

少女「やっぱり普通に考える」

「あそう……」

14 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:11:30 c5qDJ9jA 12/41

「そんなに気合い入れなくていいんだけどなあ」

「別に市販でも」

「って言ったら、怒りそうだな、あいつ」

……

少女「むむう、決まらない……」

「別に市販のでも、お兄ちゃん喜んでくれると思うけれど」

少女「だめ! 手作りがいいの!」

「どうして?」

少女「だって、他の女に差をつけられちゃう!」

15 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:18:55 c5qDJ9jA 13/41

「他の女って……」

少女「お兄ちゃんに手作りチョコ渡す女がいたら、私負けちゃう!」

「大丈夫よ、お兄ちゃんモテないから」

少女「万が一、ということがあるでしょ!」

「用心深いのねえ」

16 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:37:06 c5qDJ9jA 14/41

……

少女「ふむふむ……プリン……ふむふむ……」カチカチ

少女「ほほう、カラメルソース……なるほど……」カチカチ

「あいつ、なにしてんの?」

「パソコンで調べものだって」

「……あんまり根つめないように、言ったげてくれる?」

「あなたが言った方が、効果があるんじゃない?」

「まあ、それもそうなんだけど……」

17 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:41:59 c5qDJ9jA 15/41

「自分からは、言いたくない、と」

「あ、や、そういうわけじゃあ」

「優しいのね、お兄ちゃんは」

「……」

「どんなものができても、受け取ってあげてね」

「……去年は確か……」

「色はちゃんと茶色だったでしょ?」

「それだけは覚えてる」

18 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:46:19 c5qDJ9jA 16/41

……

「……まだやってるっぽいな」

少女「あぎゃー!」

「……明日起きられなくなっても知らねーぞ」

少女「っ! 痛っ!」

「あーあ、あの馬鹿……」

……

少女「わ、お兄ちゃんっ! 入ってきたらだめだよっ!」

「いいから、ほれ、指見せてみろ」

少女「だ、大丈夫だよ?」

「化膿したらどうすんだ、ほれ、指出せ」

19 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:51:17 c5qDJ9jA 17/41

少女「……ありがと」

「あとまあ、チョコに血が入ったら大変だからな」

少女「あ、そっか」

「昔はそういうおまじないがあったらしいけど」

少女「ほんとに?」

「好きな相手に血を飲ませても、うまくいくとは思えないが……」

少女「ふむふむ……血をチョコに……なるほど」

「おい、なにがなるほどだ」

20 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/13 23:55:12 c5qDJ9jA 18/41

「よし、治療終わり」

少女「ありがとう」

「ほどほどにして、早く寝ろよ」

少女「……うん」

「……じゃあ、おやすみ」

少女「……」

「ん?」

少女「……一緒に寝る」ギュ

「……じゃ、片づけるか」

少女「うん」

24 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 21:30:07 DckeDQXs 19/41

……

少女「明日、誰かにチョコ、もらう?」

「さあ、どうかな」

少女「くれそうな人、いる?」

「いないことも、ないな」

少女「……」

「でもお前のチョコ、最初に食べるから」

少女「……私のチョコ、最後にして」

「ん? いいけど」

25 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 21:34:17 DckeDQXs 20/41

少女「んん」モゾモゾ

「寒いか?」

少女「んーん、ぬくい」モゾモゾ

少女「ぎゅーってして」

「はいはい」ギュ

少女「もうすぐバレンタインになるし、フライングでパイを揉んでもいいよ」ギュ

「馬鹿、早く寝ろ」

26 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 21:42:31 DckeDQXs 21/41

……

「んん……」モゾモゾ

「……あいつ、先に起きたのか」

「……さみい」モゾモゾ

……

少女「おはよーお兄ちゃん、冷蔵庫は開けちゃだめだからね!」

「おはよう」

少女「帰ってからのお楽しみだからね!」

「はいはい」

27 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 21:47:52 DckeDQXs 22/41

少女「行ってきまーす」

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい♪」

……

少女「寒いねー」

「寒いな」

「チョコ、誰かにあげるのか?」

少女「んーん、お兄ちゃんとお父さんだけだよ」

「そっか」

少女「気になる?」

「……」

28 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 22:02:16 DckeDQXs 23/41

少女「気になるんだー、うふふ、うふふ」

「気にならん」

少女「まあ、あげられないよね、いろんな意味で」

「……なるほど」

少女「私がチョコ持って行ったら、騒ぎになると思う」

「……それはまずいな」

少女「でしょ」

29 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 22:08:54 DckeDQXs 24/41

「じゃあ、気を付けて」

少女「はあい、お兄ちゃんも」

「おれは誰かにもらうかもよ?」

少女「そしたら、私に見つかる前に捨てること!」

「怖いよ」

30 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 22:20:41 DckeDQXs 25/41

……

「ただいま」

少女「お帰りっ」フリフリ

「……なんだ、その恰好は」

少女「聖・ヴァレンチヌスのコスプレだよっ」フリフリ

「どこにそんな需要が……」

少女「どう? どう?」フリフリ

「……」

「……ありだな」

少女「でしょでしょ!」

31 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 22:25:27 DckeDQXs 26/41

少女「チョコもらった? もらった?」

「あ、えっと、ゼミの友だちに一つ……」

少女「ゼミ? セミ?」

「んー少人数の授業、かな」

少女「仲良いの?」

「ふつう」

少女「むむ、なら許す」

32 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/14 22:33:47 DckeDQXs 27/41

少女「一口ちょうだいっ!」

「ご飯前だぞ」

少女「いいの、ちょっとだけ!」

「しゃあねえなあ」ガサガサ

少女「お、可愛いぞ、これは」

「ほれ」ヒョイ

少女「あむ、むぅ、うまいぞ、これは」モグモグ

「市販だからな」

35 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 19:08:45 WuP0ItmM 28/41

……

少女「よっし、お待ちかね! 私からのバレンタインチョコだよっ!」

「まだご飯食べてすぐだけど……」

少女「お腹空いてない?」

「まだちょっと……」

少女「じゃあ、コタツでテレビ見よう」

「なんか見たいものあったか?」

少女「んー」

36 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 19:34:31 WuP0ItmM 29/41

「なんもねえなあ」ピッピッ

少女「ニュースはバレンタイン一色だねえ」

「んー」ピッピッ

少女「ね、そっち行く」

「ん?」

少女「足の間入る」

「はいはい」

少女「やたー」モゾモゾ

「甘えん坊め」

37 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 19:39:07 WuP0ItmM 30/41

「髪伸びたなあ」

少女「うん」スリスリ

「……」

少女「似合う?」スリスリ

「うん」

少女「コスプレは?」

「案外、似合ってる」

少女「えへへー」スリスリ

38 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 19:50:33 WuP0ItmM 31/41

少女「はっ! このポジションは冬のパイ祭り開催の絶好のチャンス!」ピキーン

「なに言ってんだ」

少女「ちゃんとチョコ作ったよ? 作ったけどね?」

少女「お兄ちゃんになら……いいよ? パイ祭り開催するよ?」

「馬鹿」コショコショ

少女「ひゃっ! あははは! くすぐりはダメ!」

「お馬鹿な妹におしおき」コショコショ

少女「ひゃははは! や! ちょっと! ごめんって!」

39 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 19:57:36 WuP0ItmM 32/41

「……ふぅ」

少女「あはは……あは……ひー」

「あらあら、仲良しさんねー」

「ははは」

「そのポジションだと、冬のパイ祭りが開催できるわねー」

「……」

少女「……」

「親子だなあ」

少女「親子だねえ」

「ん?」

40 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:03:02 WuP0ItmM 33/41

……

少女「はい……バレンタインの……例の……」

「お、おう」

「どうした、なんか変だぞ」

少女「……今年はちょっと、頑張ったから」

「知ってる」

少女「?」

「頑張ってたの、知ってるし」

少女「……うん」

41 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:12:07 WuP0ItmM 34/41

「開けるぞ」ゴソゴソ

少女「うん」

「……おぉ、これは」

少女「……うん」

「プリン型?」

少女「……うん」

「へえ、うまいじゃん」

少女「変なもの、入れなかった」

「よしよし、えらいぞ」

42 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:19:14 WuP0ItmM 35/41

「可愛い」

少女「えっ!? 私!? 私のこと言った!?」

「いやいやいや、チョコのことだよ」

少女「はよ食え!」ベシベシ

「はいはい、いただきまーす」

少女「……」ドキドキ

「……おぉ、普通にうまい」

少女「やった!」

43 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:26:55 WuP0ItmM 36/41

「あれ? どうしたことだ、これは」

少女「ふふん、私も成長してるし!」

「市販?」

少女「手作りだっつーの!」

「ごめんごめん、冗談」

「でも、うまいわ、ありがとな」

少女「えへへー」テレテレ

44 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:31:49 WuP0ItmM 37/41

「でもなんでプリン?」

少女「え、お兄ちゃん巨乳好きだから……」

「……」

少女「……」

「いや、別に巨乳好きでは……」

少女「!」

「……」

少女「じゃ、じゃあ」ムニッ

「壁にも興味はない」

少女「うわあああああああああん」

45 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:43:59 WuP0ItmM 38/41

「うそうそ、冗談、ほらこっちおいで」

少女「……」ベシベシ

「ほらお前も一個食え」

少女「あむ」

「来年はもっとうまくなるかなー」

少女「……頑張る」モグモグ

46 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:50:12 WuP0ItmM 39/41

少女「ねえ、さっきのうそって、壁のこと? 壁に興味ないこと?」ベシベシ

「えーと」

少女「私に興味ないの? 私が巨乳だったら好きなの!?」ベシベシ

「お前のことは好きだよ」

少女「!」

「ただし、今は、妹として」

少女「……」ベシベシベシベシ

47 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2014/02/15 20:55:27 WuP0ItmM 40/41

「お返し、なにが欲しいか考えといてな」

少女「え、うーん、うーん、お返しか、そうか」

「常識の範囲内で」

少女「常識か……でも、常識を覆すってのも」

「なしで」

少女「今すぐ結婚とか」

「無理で」

少女「あ、あれにしよ!」

「?」

少女「ホワイトデーには白いのが欲しいなっ」


★おしまい★

48 : HAM ◆HAM/FeZ/c2[... - 2014/02/15 21:00:03 WuP0ItmM 41/41

    ∧__∧
    ( ・ω・)   ありがとうございました
    ハ∨/^ヽ   またどこかで
   ノ::[三ノ :.、   http://hamham278.blog76.fc2.com/
   i)、_;|*く;  ノ
     |!: ::.".T~
     ハ、___|
"""~""""""~"""~"""~"

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