1 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 02:36:07.01 hg+YSfu5o 1/52

「いや、こんな場所まで人が来るなんて珍しいと思ってね」

「まぁ……この時期の屋上はまだ寒いしな」

「そうかい?」

「お前は寒くないのか」

「そりゃ、寒いよ」

「なら……む?」

「ほら、こうすれば寒くない」



元スレ
幼馴染「なんだ、キミか」 男「なんだとはなんだ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390152966/

2 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 02:41:46.22 hg+YSfu5o 2/52

「教室に戻ればいいんじゃないか?」

「んー、寒いからやだな」

「訳が分からなくなってきた」

「いいよ別に、訳分かってもらおうと思ってないから」

「そうか」

キーンコーン カーンコーン

「あ、チャイム……あら?」

「じゃあね、ボク先に教室行ってるから」

「……」

「……寒い」

3 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 02:46:17.00 hg+YSfu5o 3/52

「今日も放課後まで読書か?」

「そういうキミも?」

「んや、俺は別に」

「ならなぜ図書館にいるのかな」

「お前がいるから」

「……そ」

「そ」





4 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 02:51:40.93 hg+YSfu5o 4/52

「この本なんて、キミにオススメだけどな」

「うへぇ、見るからに厚い本だ」

「たまにはボクを眺めるのをやめて、読書でもしたらどうだい」

「んー……考えておく、と答えておこう」

「そういうお前が読んでるのは……あ」

「さて、そろそろ帰ろうか」

「……そうだな」





6 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 02:56:31.02 hg+YSfu5o 5/52

「それじゃ、この辺で」

「おう、それじゃ」


「また明日なー」

「……ん」


「また、明日」

7 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 03:03:55.53 hg+YSfu5o 6/52

「おはよう」

「ん、おはよう」

「……髪型、変えたのかい?」

「いや、特には」

「それならこれは寝癖なわけか」

「おっと、動かなくていい」


「すまんね」

「お安いご用さ」

8 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 03:10:25.42 hg+YSfu5o 7/52

「あ、やばい」

「どうしたのさ」

「次の時間の課題、やってねぇ」

「まったくキミは……それで何回目だい?」

「さて何回目だったかなぁ」

「見せないよ、今日は」

「え」

「たまには怒られてみるのも悪くないんじゃないかな」

「殺生なー」

「……ボクにメリットがあれば考えなくもないかな」

「たとえば?」

「そうだなぁ」

9 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 03:12:25.47 hg+YSfu5o 8/52

「これがメリットでいいのか?」

「心外だな、ボクにとっては重要なことなんだぞ」

「一緒に本屋に行くなら、いつでも来てやるのに」

「……次、これ持って」

「ほいほい」


「満足満足」

「これ、お前の家まで運べばいいんだよな?」

「うん、よろしく」



10 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 03:17:25.70 hg+YSfu5o 9/52

「ただいま」

「お邪魔しまーす」

「あ、いえ。お構いなく」

「ほら、早くボクの部屋に」

「よい、しょっと……」


「わざわざここまでありがとう。感謝するよ」

「いや、俺の方こそな」

「……」

「……それじゃ、俺はこの辺で」

「……ん」


(……上手くいった、かな?)

(あの恋愛小説、今流行りのやつだったけな?)

16 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 17:50:34.91 hg+YSfu5o 10/52

「やぁ、おはよう」

「あぁ、おはよう……って」

「ん、どうした?」

「お前……」

「寝癖か?それ」

「……」

「……指摘感謝するよ」

「それほどでもない」

17 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 17:56:28.89 hg+YSfu5o 11/52

「……あ」

「どうした?」

「弁当、忘れた」

「珍しいな、お前が忘れ物なんて」

「……朝に少し時間がかかることをしていたものでね」

「お前、食堂使ったことあるんだっけ?」

「一度もないね。弁当持参なわけだし」

「今ならまだ、そう混んでないと思うが」

「そういうキミは、弁当じゃないのかい?」

「うちは両親早いからな。自分で作るガラに見えるか?」

「……余計な質問だったね。それじゃ、案内頼むよ」

18 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 18:02:33.49 hg+YSfu5o 12/52

「……で、この状況はなんだい?」

「いつもはこの時間は空いてるんだがな」

「もう少し詰めてくれないかな?」

「お、おう」

「まぁ、このカレーは悪くないね」

「おい」

「ん?」

「頬についてるぞ、ルーが」

「おっとと……」

「こら、袖で拭く奴があるかよ。ほら、使え」

「物持ちがいいね。ありがたく使わせてもらうよ」

19 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 18:11:35.20 hg+YSfu5o 13/52

「どうだった?食堂」

「狭かったね」

「そこは抜きにしてくれよ」

「いつもあんなに周りと密着してるのかい?」

「いや、今日のは間が悪かっただけだ」

「ふーん」

「あー、食ったら眠くなってきた」

「屋上、行く?」

「お前は行くのか?」

「うん」

「なら行こうかねぇ」

20 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/20 18:13:43.67 hg+YSfu5o 14/52

「その恰好で寒くないのか?」

「寒いよ」

「でも、この場所じゃなきゃダメなんだ」

「せめて上着ぐらい羽織ればいいのに、ほら」

「そうするとキミが寒いだろ」

「ならこうすりゃいいさ」

「……うん、温かい」



25 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/21 02:53:46.07 EPmVPjqIo 15/52

「帰らないのか?」

「キミこそ」

「俺は別に何時になってもいいしな」

「……そうだね、帰ろうか」

「おう」

26 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/21 02:56:03.98 EPmVPjqIo 16/52

「そういや、食堂での話だけど」

「ん?」

「物持ちの意味ってあれで合ってたか?」

「そうだったっけ」

「確か物持がよいってのは……」

「いや、いい。自分で調べるから」

「ん、そうか」


27 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/21 03:03:34.71 EPmVPjqIo 17/52

「それじゃ、また明日」

「おう、それじゃあな」

「……あ、ちょっと待って」

「ん」

「はい、これ」

「これは……お前が前に読んでた奴か」

「昨日ちょうど読み終わったんだ」

「キミにも是非読んで欲しくてね」

「……まぁ、せっかくだし受け取っておく」

「うむ」

28 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/21 03:11:28.58 EPmVPjqIo 18/52

「……おはよう」

「おはよう、今日は随分と遅い登校だことで」

「……昨日、借りた本な」

「あぁ、あれか」

「……ほい」

「……お気に召さなかったかな?」


「いや、もう読み終わったから忘れないうちに反しておこうと思ってな」

「……あれを一晩で?」

「おかげでこのありさまだ」


「……ボクのお気に入りが気に入って貰えてうれしいよ」」


「ふわーぁ……何か言ったか?」

「なに、大したことじゃないさ。気にしないでくれ」


33 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 00:05:19.03 o4YUjOdko 19/52

「よっ、ほっ」

「男を止めろーっ!」

「よっと」

「クソッ、また抜かれた……」



「……」

「お前も座ってないで、体を動かしてみてはいかがだろうか?」

「わざわざここまで来て言う事?」

「少し休憩も兼ねている」

「……あまり得意じゃないからいいよ」

「やってみると楽しいぞ?」

「上手に出来れば、そりゃ楽しいだろうね」

「俺はお前とやりたいんだよ」

「……バカ正直に、子供かキミは」

「お前も子供だ」

「……少しだけだよ」

34 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 00:21:51.56 o4YUjOdko 20/52

「……ふぅ、疲れた」

「あまり得意じゃないとか言ってた割には、いい動きしてたじゃないか」

「ただキミの動きを追ってただけだよ」

「……」

「何をじっとこっちを見てるんだい?」

「へ?あ、いや……」

「……あぁ」

「少し無頓着だったね、これはボクの方が悪い」

「出来ればそのままもうしばらく……いてっ」

「ボクだって、羞恥心が無いわけじゃないんだ」

「少しぐらい目を逸らすデリカシーぐらい持ちたまえ」

「……申し訳ない」

35 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 00:26:48.81 o4YUjOdko 21/52

「……むぅ」

「珍しいな、お前が放課後に本を読まないなんて」

「ちょっと体が怠くてね……」

「無理に付きあわせてたか?」

「いや、キミが悪いわけじゃない。あくまでも自分の意思で参加したんだから……ね」

「……くぁ」

「おや、これまた珍しい」

「……ていっ」

「いてっ」

「……帰る」

「あ、ちょっと待てよ」

36 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 00:31:29.31 o4YUjOdko 22/52

「……」

「まだ怒ってるのか?」

「別に」

「その反応じゃ説得力ってもんがな」

「なんで自分でもこんな反応してるんだか、よく分かんないんだよ」

「……」

「……じゃあね」

「ん、また明日」

37 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 00:34:54.49 o4YUjOdko 23/52

「キミが何してるか、気になる」


「あいつ、今何考えてるんだろう?」


「……偏屈物で、可愛くない」


「……会話が面白いとは言い難いな」



「どうやったら、キミの心を」


「どうやったら、あいつの気持ちを」



「……寝よう」


「……考えても仕方ない、か」

42 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:19:04.01 o4YUjOdko 24/52

「……あれ」

「あいつ、来ないな……」

「……まぁ、こんな日もあるか」

「……」


(流石にそろそろ行かないと遅刻するな……)

43 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:25:50.93 o4YUjOdko 25/52

「……」

(結局あいつ、来てなかったな)

「……帰りに寄るか」


「……それでわざわざ来てくれたのか」

「おう」

「……けほ、けほ」

「風邪か?」

「そうみたいだね……」

「そうみたいだねって、自覚ないのか?」

「キミが……二人に見える以外は無い……かな?」

「また無理させちまってるかな」

「だから、ボクはキミに無理に付き合ったことはないし……」

「……今は独りにしないでほしい」

「……そうか、ならいる」

「感謝するよ」

44 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:31:09.77 o4YUjOdko 26/52

「飯は食ったのか?」

「そういえば、朝から何も……けほっ」

「両親はどうしたんだ」

「……仕事だよ、仕事」

「……そっか」


「なら、俺が作ってやろう」

「……料理出来たのか、キミ」

「それは出来てからのお楽しみだな」

「……けほっ」

「……それは期待しておこう」

45 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:44:59.58 o4YUjOdko 27/52

「冷蔵庫の物と台所、勝手に使ったけど大丈夫だったか?」

「今はボクとキミしか家にいないんだ、誰も文句なんて言いやしないさ」

「まぁ、そうだが……」

「それより、キミが予想より料理が出来る事に驚いているよボクは」

「心外だな」

「だってキミ、弁当持ってきてないじゃないか」

「料理が出来るのと、料理することが好きなのはまた別の話だ」

「おいしいよ、これ」

「お褒めいただき光栄です」

「はふはふ……」

「……おい」

「ん?」

「お前、物食べる時ほんとアクティブな」

「それはどういう……っと」

「ほれ、ご飯粒」

「……もぐもぐ」

「もぐもぐで誤魔化さない」

46 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:48:55.16 o4YUjOdko 28/52

「……ふぅ」

「キミが来てくれて、本当に助かったよ」

「そりゃどうも」

「本音を言うと……このまま消えてしまうんじゃないかなんて、思ってしまうほどだったんだ」

「風邪だけで大げさな」

「……」

「……」

「……泊まっていかないかい?」

「へ?」

「……」

「えーと……あー、うん」

「ちょっと待っててくれ」

「あ、うん」


47 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:51:46.60 o4YUjOdko 29/52

「あぁ、ちょっと友達の家に……」

「だから晩御飯は……うん、ごめん」


「一応、許可は貰ってきた」

「……ありがとう」

「でも、いいのか?御両親とか……ん」

「……ふぅ……ふぅ……」


「……台所、また借りるか」

48 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/22 23:57:23.84 o4YUjOdko 30/52

「……ん」

「……ぐー……ぐー……」

「……おしぼり……」

「……キミが来てくれて、本当によかった……」

「……ふふ」


「……」

「……これは、熱のせいだきっと」

「……だから、許してくれたまえ」

「……ん」



49 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/23 00:02:57.02 3YA/m/D9o 31/52

「……あれ、俺寝てたのか」

(毛布なんて被ってたっけな?)

「やぁ、おはよう」

「ん、おはよう」

「なんか妙な気分だ」

「奇遇だね、ボクもだよ」


「まぁ、これでも食べて落ち着きたまえよ」

「ん、せんきゅー」


「……お前、意外と濃い味好きなのな」

「んー?はむはむ……」

「いや、なんでもない。朝しっかり食べるのも悪くないなって思っただけだ」

「まぁ、ボクの腕はキミに比べると見劣りするかもしれないがね」

「俺は料理は誰と食うかだと思ってるから、気にならん」

「……」

「あ、もちろんマズイわけじゃないぞ」

「……んむ」

52 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 00:29:42.48 aqV9KXspo 32/52

「そろそろ帰らなくて大丈夫なのかい?」

「ん?……もうこんな時間だったか」

「だいぶ体も楽になったし、もう一人でも平気さ」

「……ほんとか?」

「……」

「……最後に、少し」

「うむ」


「それじゃ、また学校で」

「おう、それじゃあな」

53 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 00:32:42.38 aqV9KXspo 33/52

「……」

(いい匂いするな、あいつ)

(……くん、くん)


「……変態か、俺は」



「……肩幅、広かったな」

「……ぎゅぅ」



「……なにやってるんだボクは」

54 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 00:39:47.23 aqV9KXspo 34/52

「よっす、今日は元気か?」

「おかげさまで、この通りさ」

「自信満々なところ悪いが」

「ん?」

「髪、跳ねてるぞ。ほら、ここ」

「っ」

「……キミってやつは」

「?」

「……何でもないよ」

55 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 00:46:49.81 aqV9KXspo 35/52

「……むぅ」

「ややお疲れムードだな」

「優しい気持ちはありがたいけれど、心配する言葉に返す労力がね」

「そういうもんかね」

「そういうものだね」



56 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 01:08:17.16 aqV9KXspo 36/52

「そういえば、お前が風邪ひいた理由ってさ」

「こんな所にしょっちゅういるからじゃない……って?」

「うむ」

「どうだろうかなー……そこまで寒くはないんじゃないか?」

「まぁ、こうしてくっ付いてればな」

「……ふふ」

「たまには風邪ひくのもいいかなーとは思うけれど」

「なんで?」

「……」

「……」

「授業始まるね、先行くよ」

「お、おう」

58 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 01:36:52.32 aqV9KXspo 37/52

ザアーッ

「……しまったな、朝の天気予報見てなかった」

「傘忘れたのか」

「うむ、キミは?」

「このとおり」


「ほら、一人分ぐらいなら防ぐ余裕があるはずだ」

「……それじゃお言葉に甘えるとするよ」

59 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 01:41:07.91 aqV9KXspo 38/52

「……」

「……」

「……なぁ」

「ん?」

「キミはボクと並んで歩いても、何も感じないかい?」

「……お前は何か感じるか?」

「質問に質問で返すつもりかね」

「小学校では習わなかったかな」

「そうだなぁ……」



「すっごくドキドキするよ。雨の冷たさも感じないくらいにね」

「……俺も同じだ」

「……」

「……」

「卑怯者」

「面目ないっす」

66 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:20:32.31 aqV9KXspo 39/52

「ここまででいいよ」

「へ?でも、お前の家まだ……」

「キミの家は向こうだろう?」

「だがしかし」

「ここまでで、いいんだ」

「……そうか」


「気を付けて帰れよ」

「うむ」

67 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:26:37.30 aqV9KXspo 40/52

「……ここまででいい、か」

「可愛くないな、本当に」


「……っ」

「流石にこれは……少し雨宿りしよう」


「……」

「……止まないな、雨」

「しかし、寒いな」

「……」

「あいつの顔が、浮かぶなぁ」

68 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:29:42.67 aqV9KXspo 41/52

「その顔ってのは」

「……!」

「こんな顔だったかね」


「……あそこまででいいって、言ったじゃないか」

「おう」

「……せっかく傘を持ってるのに、びしょ濡れだなんてバカかい?」

「おう」

「……」

「……」


「……隣に座ってくれないかい」

「……おう」

69 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:36:18.02 aqV9KXspo 42/52

「止まないな、雨」

「そうだなー」

「このまま止まなきゃいいのに、なんて思ってしまうよ」

「それは……」


「どういう?なんて言ったら、流石のボクでも蹴っちゃうぞ」

「……ぐぬぬ」

「まだ、真っ直ぐ見てくれないのかい?ボクを」

「ボクはずっと、キミの方しか向いていないのに」

「いや、その……」

「……嫌なら嫌でも構わないんだ。今の気持ちを正直に、言って欲しい」

「……」

70 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:37:00.29 aqV9KXspo 43/52

「……お前、意外と胸あるな」

「……」

「……」



げしっ

71 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:42:40.54 aqV9KXspo 44/52

「正直に言ったのに蹴られるなんて」

「流石に想定外だったからね」

「俺だって、好きな女の前で照れ隠ししたくなることもある」

「そういう問題じゃ……え?」


「お前は他人の視線に無頓着だからな。俺がお前を見てないと思ってるみたいだが」

「ちょ、ちょっと……」

「ここまで言われて、今さら引けるか」



「……」

「……」

72 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 16:51:29.31 aqV9KXspo 45/52

「……雨、止んだな」

「……みたいだね」


「また降りだしたら心配だからな。家まで送るよ」

「お願いしていいかな」

「おう、任せろ」


「……ふふ」

「……改めてこうしてると、照れてくるな」

「ボクもドキドキしてるよ、お互い様さ」

「そうか」

「そうとも」


73 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:02:58.67 aqV9KXspo 46/52

「それじゃ、また」

「うん、ありがとう」



「……柔らかかったな、あいつ」

「……」

「思い出すと赤くなってくる、思い出すのは止めよう



「……」

「……ふふ」

「……こんな顔、見せられないな」

「思い出すのは止めておいた方がいいな」

「……」

「……ふふ」

74 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:13:49.85 aqV9KXspo 47/52

「おはよーっす」

「うむ、おはよう」


「……」

「……」


「顔を赤くしてどうしたんだい?」

「そっちこそ、妙ににやけてるじゃないか」


「……」

「……」

「とりあえず、教室へ入ろうか。周りの邪魔だ」

「ん、そうだね」

75 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:20:08.48 aqV9KXspo 48/52

「……なんだ、キミか」

「俺以外に誰か来るか?」

「いや、全く」

「隣いいか?」

「ご遠慮なく」


「……案外寒くないな」

「だろう?」

「でも、さっきまで一人だったんだよな」

「あぁ、とても寒かったな」


「……」

「……そんなに強くされると、少し痛いよ」

「寒いのとどっちがいい?」

「……その質問は卑怯じゃないかね」

「おう」


「そうだね、答えは……」

76 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:23:11.32 aqV9KXspo 49/52

「……」

「……」



「答えは痛いのも寒いのもいや、かな」

「……おう」

「今後とも優しく頼むよ」

「……それじゃ、こちらからもお願いがある」

「ん、なんだろうか」




「もっかい頼む」

「え?こ、こらっ……んっ……」



78 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:25:30.55 aqV9KXspo 50/52

「……」

「……」

「次やったら蹴るだけじゃすまないよ」

「俺も痛いのは嫌です」

「……それじゃあ、もっと丁寧に扱う事だね」

「仰せのままに、お姫様」


「……ふふっ、行こうか」

「おっと、もうそんな時間か」


「はい、手」

「ん、手」

79 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:30:41.89 aqV9KXspo 51/52

「キミと出会えてよかったよ」

「同感だな」

「……ふふ」



「……」

「……」

「教室に二人で手を繋ぎながら入ってはいけない、今後の教訓にしておこう」

「……だな」

80 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/27 17:32:10.69 aqV9KXspo 52/52

これにて終了です


それではまたどこかで

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