……………………………
マミの部屋……
菜月「ごめんね、マミちゃん、私が遊びに誘ったりしたから……」
マミ「……」
マミ「いえ……菜月さんのせいじゃないです」
マミ「それよりも、今は美樹さんを探すか、魔女を見つけ出さないと……。」
菜月「うん……」
街……
菜月(マミちゃんの顔……すごく落ち込んでる顔だ……。)
菜月(あの顔は……なんていうか、大事なものを失った時みたいな顔……。)
菜月(……マミちゃんはさやかちゃんの事が心配で今にも張り裂けそうなくらい悩んでる……。)
菜月「……」
菜月「……マミちゃん……どうして、マミちゃんはそんなに誰かを救う事に一生懸命なの……?」
マミ「え……?」
マミ「……でもそれが私のやらなきゃいけない事、だから……。誰かを救う事が、私の生きる意味だから」
マミ(誰も救えない私にきっと意味なんて……私は、強くなくちゃ……)
菜月「ううん、誰かの為にひとりでも戦ったりする事はすごく格好良いし、菜月も憧れる。」
菜月「だけど、……頑張りすぎるのも良くないよ……。誰かを頼ったって良いんだよ……?」
マミ「……」
マミ「でも、私のせいで菜月さんがあんな危険な目にあって……それなのに、誰かに頼ったりしたら……」
菜月「菜月も、菜月のせいで真墨たちにいっぱい、いっぱい迷惑かけたし、危険な目にも遭わせた。」
菜月「だけど、誰も菜月のことを恨んでなんていない。みんな菜月の事を信じてくれる。」
菜月「ちょっとくらい弱い所を見せても、きっと誰もマミちゃんのことを恨んだりしないよ」
菜月「そうやって弱い所も知ってもらって、一緒に進むのが……友達、なんじゃないかな……」
菜月「菜月は、危険な目にあった事よりも、こうやってマミちゃんと友達になれた事の方がずっと、ずっと、ずっと嬉しいから!」
菜月「魔法少女だとか関係無い!マミちゃんはずっとマミちゃんだよ!」
菜月「……どんなことになったって、菜月はマミちゃんの友達だよ!だから……」
菜月「自分を大事にして……ね?」
マミ「……」
街……
まどか「……さくら先生、お待たせしました。……行きましょう、……。」
さくら「……はい。」
……………………………………………
まどか「……いやぁ、昨日ママにちょっとびっくりしたこと言われちゃって……」
まどか「もしかして、バレたのかな……って思ったけど、それは無いみたいで安心しました」
さくら(すいません……私のせいです……)
まどか「……私がどうでありたいか、か……」
暫く歩いていると、まどかのソウルジェムが僅かに反応した。
まどか(……。ソウルジェムが……)
さくらのアクセルラーに通信が入る。
さくら「……!はい、こちらピンク…… 菜月!?」
イエロー『き、聞こえる!?さくらさん!良かった、通じて……』
イエロー『大変なの!今、マミちゃんと一緒に魔女と戦ってて!その魔女がすごい強くて……』
さくら「わかりました。今すぐ結界を探索します。みんなには私から連絡しておきます」
ピッ
まどか「やっぱり、魔女が……!」
さくら(今集まれるメンバーは……私と……)
街……
杏子「……結局、自分でも何したいんだか……なんかスッキリしねぇよな……いっつもいっつも……」
杏子「出来ないって解ってるクセによ……みっともねぇな……」
………………………
杏子「……!魔女の反応だ……!」
杏子(結界の中で誰かいんのか……)
杏子(マミ……!?こいつもいつも以上に魔力使ってんじゃねぇか……!)
杏子(らしくねぇの……!)
明石「……魔女の結界が現れたらしいな。」
杏子の元に明石が現れた。
明石もさくらからの連絡を頼りに魔女の結界へ向かう途中であった。
杏子「……お前……」
明石「さくらから通信があった。……杏子も行くのか……?」
杏子「……。まぁな……。でも……。」
暫く悩んだ杏子の姿を見て、明石は何かを察した。
少しだけ笑い、話し始めた。
明石「やっぱりな。俺が見込んだ通りだ。」
明石「……杏子の思いは死んでなかった。誰かを救いたいという思いはな」
杏子「いっそ諦めちまった方が楽でいいのに……やめちまった方が楽なのに何故だろうな……こんなことしちまうの……」
明石「……迷ってるのは進んだ証拠だ。」
杏子「……」
明石「誰かを守りたい。……その真実からお前は逃げなかった。己の過去に臆せず前に進んだ。……だから迷ってるんだ。」
杏子「……でもよ……ねぇんだよ……あたしには力が……」
杏子「下手に動いちまえばまた誰かを余計傷つけるかもしれねぇ……!」
明石「奇跡なんかじゃない。お前自身が自分で出した真実は決してお前を裏切ったりしないさ」
明石「それに……俺は今まで一度たりとも仲間に裏切られたことは無い。」
明石「真墨も、蒼太も、菜月、さくら、映士、牧野先生、ズバーン、ジャン……誰一人として、俺は裏切られる事はなかった。」
明石「言っておくが俺が杏子を仲間にしたのはかわいそうだとかいう理由じゃない。」
明石「……一目見て解った。お前の心の中には、俺たちと同じ何かが輝いてる。」
明石「俺は杏子を信頼している。……あとは杏子が自分を信じるかどうかだ。」
杏子「……あんたを信じて、黙ってついていけって……?」
明石「それで構わん。……思う通りやってみろ。」
杏子「……別に助けに行く訳じゃねぇから……」
杏子「ただ、あいつに死なれるとなんか……見捨てちまったみてぇで気分悪いだけだからな……」
……………………………………………………………………………
銀の魔女、結界……
魔女の結界。見渡す限りの暗闇。
鋼鉄の大地に、錆の空が広がる中、無機質な音を挙げ
熱い血流れぬ鋼の魔女と、巴マミ、ボウケンイエローが戦っていた。
マミ「ハァ、ハァ、ハァ……」
イエロー「マミちゃん!大丈夫!?」
マミ(この魔女……強い……今まで戦った事が無い程に……)
ギーゼラ「ンゴゴゴゴゴォォォォォ!」
イエロー「……サバイバスター!」
バシュゥゥゥンッ!
ギーゼラ「ギ……?」
イエロー「やい!こっちに来い!」
ギーゼラ「……」
ギーゼラ「ゴォ……」
ギーゼラは気を逸らそうと放ったサバイバスターを気にもとめず、マミへ動き出した。
マミ「……!?」
ギーゼラ「ゴォォォォォ!!」
マミの頭上へその巨腕を振り上げた。
そして……
ゴォォオオオオオオオオッ!!!
イエロー(……マミちゃんが……潰されちゃう……!でも……ここからじゃ間に合わない!)
イエロー「……マミちゃあああああああん!!!」
マミ(……ダメ……!逃げられない……!)
マミ(……ここで終わり……なのかな……。)
まどか「スターライトアローッ!!」
バシュゥゥッ!
ズドオオオオオオオオンッ!
しかし、魔女の鉄槌は途中で軌道を反らされ、地を抉る。
まどか「間に合った……!マミさん!菜月さん!大丈夫!」
ピンク「……!紙一重といった所でしょうか……間に合って良かった……。」
イエロー「さくらさん!まどかちゃん!」
ザシュゥッ!
ギーゼラ「……ゴォァッ!?」
杏子「おらよっ!」
まどか「杏子ちゃん!?」
イエロー「やった!杏子ちゃんも来てくれたんだ!」
レッド「今集まれる最大人数が揃ったな。」
杏子「……別にお前らの助っ人になったつもりは無いからな!」
イエロー「ありがとう!助かったよ!」
杏子「だから違うって……」
レッド「援軍だ。頼もしいぞ。」
杏子「違うって……!」
まどか「……ありがとう、杏子ちゃん!絶対分かり合えるって信じてた!」
杏子「抱きつくな!あたしの話聞いてたのかよ!……全くどいつもこいつも……」
マミ「佐倉さん……?」
杏子「ったくよ、一人で寂しいくせに一人で戦いやがって……。」
杏子「一人で無茶ばっかすっから死にそうになんだよ……。」
マミ「……」
マミ「確かにそうかもね……。」
マミ「いつも、一人で強がって……」
杏子「ま……あたしも人の事言えねぇけどさ……。」
杏子「……立てよ。立てるだろ……?」スッ
マミ「……ありがとう。」
杏子「その、さ……。」
杏子「自分を信じろ、って言われたんだけど、どっか自分を信じきれない所があって……」
杏子「……信じられない分誰かを信じようって思って……それで一番最初に信じられる奴は誰か、って思いついたのがさ……あんただったんだ」
杏子「多分……あんたはあたしの帰る場所……きっとそうなんだよな……。」
杏子「前は仲違いしちまったけど、それでもあんたはあたしを心配してくれた……。」
杏子「今更よりを戻そうなんて虫の良すぎる話かもしんねぇけど……頼むよ、マミ……。」
マミ「佐倉さん……。」
マミ(……そうだった……。私は……ただ……ただ……)
マミ(こうやって、私の事を支えてくれる友達が欲しかっただけなんだ……。)
マミ「ありがとう、でも……。私も前みたいに貴方を助ける訳にはいかないかもしれない。」
マミ「……自分勝手なのはわかるけど、私の弱い所も知ってほしい。だから……」
杏子「良いんだよ、それで……。」
まどか「二人とも、私もいること、忘れてませんか!」
まどか「マミさんも杏子ちゃんも、みんなみんな私の友達ですっ!」
イエロー「……そうそう!みんな仲良し!」
ピンク「……力を合わせましょう。一人じゃ出来ないことも、私達なら。」
レッド「そうだ。……信頼出来る誰かを信じる自分を信じる……。……それが自分自身で出した答えだな。」
レッド「……良いじゃないか。俺の見込みは絶対だった。お前を仲間にして良かった。」
杏子「明石……!?ブフッ!?」
マミ「……えっ!?」
まどか「な……何がどうなってんの……!?」
暫しの間、目を離した内に、ボウケンレッドは新たな姿へと変わっていた。
かつて、自分が敵の術中に落ちた時、それでも自分を信じてくれた仲間の想いの結晶である。
イエロー「あ!あれ!菜月達があげたやつだ!」
ピンク「しかし何故今それを……」
レッド(開運)「あぁ。これには……お前たちの思いが詰まってるからな。」
レッド(開運)「例え俺がどんな無様な姿になっても、金魚になっても……お前たちは俺を信じてくれた。」
レッド(開運)「この姿はみんなの思いの結晶だ。……みんなの思いを一つに出来た今なら、相応しいと思ってな。」
杏子「本気かよコイツ……」
杏子(金魚……?)
レッド(開運)「イエロー・ピンクは俺と共に魔女を攻撃。3人は魔女を倒す為の一撃を確実に当てられる隙を待ってくれ。」
レッド(開運)「俺たちで隙を作る。行くぞ。アタック!」
イエロー・ピンク「了解!」
レッド(開運)(……この魔女の武器は見た所……豪腕……そして、そのとてつもなく硬質なボディだろう。)
レッド(開運)(結界の破壊痕から見てそれは明らかだ……)
レッド(開運)(この魔女の体を覆っている鎧……!これは錆で作られた鎧……!これをいくら攻撃しても意味は無い!)
レッド(開運)「俺たちのすべき事は……攻撃を立て続けに炸裂させ、鎧に穴を作る……!その隙を彼女たちに繋げるッ!」
『サバイバスター!スナイパーモード!』
『クライマックスシュート!』
バシュゥゥン!バシュウウウ!バシュウウ!
ギーゼラ「ゴォアアアッ!?」
3人の猛攻にギーゼラが怯む!
その瞬間、ボウケンレッドが地面を蹴りギーゼラへ走り出す!
レッド(開運)「……ボウケンジャベリンッ!サバイブレードッ!」
レッド(開運)「……レッドゾーンクラッシュッ!!」
ザァァアアアアシュゥゥウウウッッ!!
ギーゼラ「ゴッ……!?」
ドォオオオンッ!
イエロー「さくらさん、私達も暁さんに負けてらんないよ!よぉし……バケットスクーパー!」
ピンク「いえ……待ってください……おかしくありませんか……?」
イエロー「……え?」
ビーッ!ビーッ!ビーッ
イエロー「あ……そうだ近づけないんだった……ってあれ!?じゃあ何で暁さんは近づけるの……!?」
ピンク「私も近づけません……。何故……!?」
この時、天候・結界の位置状況・ゴーゴーダンプのコンディション……全てがボウケンレッドに味方していた。
ギーゼラ「ンゴゴゴゴォオオオ!!」ゴォオオオッ!
再びギーゼラが豪腕を振り上げる。
レッド(開運)「……来るッ……!?がっ!」
レッド(開運)(しまった……!段差に足をとられ……!)
ゴウウウウウウウンッ!
ボウケンレッドはその場に転倒した。
ギーゼラの豪腕は虚しく宙を切る。
レッド(開運)「……運は俺に味方しているようだな」
杏子(あれ……?案外あれも捨てたもんじゃなくね……)
レッド(開運)「頼むぞ。ズバーン!」
レッド(開運)「……ゴールデンクラッシュ!!」
ガキィイイイイイイインッッッ!!
ギーゼラ「ンゴァッッッ!?」
レッド「ハッ!」ダッ
ボウケンレッドはその場から飛び退く
ピンク「ハイドロシューター!シューターハリケーン!」
イエロー「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!……GOッ!!」
ドォオオオオオオオオオオオオオオ━━━━ンッッ!!
ギーゼラ「ゴォオオオオオ!?」
ゴールデンクラッシュの傷跡に、二つの銃撃が命中する。
胸部が炸裂し、本体があらわになる。
レッド(開運)「よし……!」
まどか「魔女の鎧が破けた!」
杏子「あのむき出しになったテラテラした銀色がアイツの本体か……!」
マミ「……ハァァァッ!」
ギーゼラ「ンゴッ!」
剥き出しになった銀色の身体を豪腕で覆い隠す。
杏子「おい、まどか、あの腕をぶっ壊すぞッ!」
まどか「オッケー!」
杏子「……ハッ!ぶちこんでやるぜ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ
地面から巨大な槍が出現する。
まどか「開放全開ッ!イッちゃえ!ハートのゼンブでえええええッッ!!!」
弓を引き、矢にエネルギーを集中する。
引いた弓を解き、矢を打ち出す。
ザァァアアアアアンッ!!!バシュウウウウウウウウウウウウウッッ!!
……ドオオオオオオオオオオオオンッ!
ギーゼラ「ンゴオオオオオァッ!!!」
杏子「よっしゃあ!両腕をぶっ壊した……!ぶちかませ!」
マミ「この一撃で決めるわ……!ハァァァァ………」
マミ「……ティロ・フィナーレッ!!!!」」
ドオオオオオッ!
ギーゼラ「ンゴオオオオオオオオ!!!」
ゴゥンッ……
黄金の弾丸がギーゼラの胴体をブチ破る
胴体に風穴の空いたギーゼラは糸の切れた人形のように倒れ込んだ!
レッド(開運)「……グッジョブ!」
杏子「やったか……?」
まどか「でも、結界が消えないよ……?」
ギーゼラ「……!」
シュゥウウウウウウウウ………
解き放たれたハズのギーゼラの錆が再びギーゼラへ収束してゆく。
イエロー「待って……魔女の体の傷が塞がって……」
ピンク「エネルギー質量が高まっていきます……! !?この波形は……!」
レッド(開運)「あぁ……。間違いない。魔女の放つ波形に紛れて気づかなかったが……」
レッド(開運)「……ゴードムエンジン……!」
ギーゼラ「……ゴォオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ゴォオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウンッッッ!!!
マミ「魔女が巨大化した……!?」
ピンク「ゴードムエンジンの過剰なエネルギーが魔女の身体を……!」
イエロー「でもでも!結界の中で巨大化なんて初めてだよ!ここじゃビークルを呼べない!」
まどか「ま、マジすかぁ~~~!?」
レッド(開運)「総員、結界外に退避だ。」
杏子「魔女に逃げられたらどうすんだよ!」
レッド(開運)「奴は俺たちを敵と定めた。追って来こそすれ、逃げはしないさ。行くぞ。」
6人は脱出するために走り出した。
ギーゼラ「……ンゴォォオオオオオオオ!!!」
ピンク「魔女がおってきます!」
イエロー「頑張って逃げ切らなきゃ……!!」
レッド(開運)「頼むぞ、ズバーン!」
キュイーン……
『ズ・バ━━━━ン!』
ゴゥン……ズゥウウウウウウウウンッ!
ズバーン「ズンッ!」
ガシィィイイイッ!
レッド(開運)「ズバーン、少しの間魔女を引きつけてくれ」
杏子「ッ!?あいつでっかくなれんのかよ!あのズバズバ野郎!」
まどか「ズバババン!?」
イエロー「ズバーンが魔女を抑えている内に早く!」
マミ「結界を開けるわ……!」
シュウウウウウン……
結界外……
杏子「何とか全員脱出できたか……」
レッド(開運)「あぁ。……ブラック、ブルー、シルバーは呼べないが3人だけで出来るな。」
イエロー「もちろん!」
『発進シフト・ON!ダンプ・フォーミュラ・ジャイロ・ドーザー・マリン!GOッ!GOッッ!!』
まどか「でもどうやって結界の中の魔女を……?」
レッド(開運)「君達も一緒に搭乗してくれ。俺に考えがある。」
マミ「私達がロボに……ですか……!?」
『合体シフト・ON!ダンプ・フォーミュラ・ジャイロ・ドーザー・マリン!』
『轟轟合体!』
『ボウケンフォーメーション!!』
ゴォォォォッ……
『ダイボウケン・合体完了!ファーストギア・IN!!』
……………………………
まどか「す、すごい……ロボットに乗るなんて初めてだよ……!」
マミ「格好良いわ……」
杏子「お、おい、二人とも座ってんじゃねぇよ、あたしの席ねぇから」
ピンク「すいません、杏子さん……」
杏子「どうやって結界を開くんだよ……」
ピンク「そうですね……。ネオパラレルエンジンはプレシャスの力を増幅させる力を持っています。」
ピンク「……結界を開く魔法を使えば、それを増幅させ、魔女の結界に侵入出来るかもしれません。」
マミ「なら……いくわよ」
まどか「はい!」
パァアアアアアア……
魔力を滾らせ、それをネオパラレルエンジンは増幅させる。
ダイボウケンの腕から放たれた魔力は結界をこじ開け……そして
ギーゼラ「ンゴォオオオオオッ!?」
ゴォッ……
結界からギーゼラが現れる。
イエロー「やったよ!結界に入るどころか結界を消しちゃった……!!」
レッド(開運)「効果は絶大だな……ん?」
ズバーン「ズ……ン……」ドォンッ……
ダイボウケンの目の前にズバーンが倒れこむ。
ピンク「ズバーン!?……何故体が錆だらけに……!?」
レッド(開運)「戻れ、ズバーン!」
キュイイイイン……
イエロー「ホントだ……体じゅう錆まみれだよ、ズバーン……」
レッド(開運)「まずは魔女を倒すぞ。」
『轟轟剣!』
『ハァッ!!』
ギーゼラ「ンゴゴゴゴゴゴ……」
ガキィィイイインッ!
轟轟剣で斬りつける。
しかし、錆の鎧に阻まれた。
まどか「錆の鎧があるんじゃ攻撃が……!」
ギーゼラ「ンゴォオオオオオ!」
シュバァアアアアアアア!
レッド(開運)「何だ……やつの体から……!これは……!」
ピンク「ダイボウケンの機体が錆びています!」
イエロー「うわあああ……!出力も落ちてるよぉおおお!」
ギーゼラ「ゴォァッ!」
ガァンンッ!
ダイボウケンへ体当たりをぶつける。
ダイボウケンは数歩後退。
まどか「わっ!?」
杏子「大丈夫かコレ……!?」
イエロー「ネオパラレルエンジンの出力を上げて何とかできないの!?」
ピンク「ダイボウケンのままでは出力が足りません!」
マミ「!魔女を見て!」
杏子「あいつ!銀色の本体を……!」
ギーゼラ「ンゴォォォォォ!!」
バシュウウウウ!ガキンッ!ガキン!ガキン!ガキン!
『ぐああああぁっ……!』
ギーゼラは錆を解き放ち、銀色の姿となった。
猛スピードでダイボウケンへ突撃する!
イエロー「こっちは遅くなってんのに向こうは早くなってんの~!?」
ピンク「まずは、ダイボウケンの機体を回復させなくては……」
レッド(開運)「そうだな……!」
『発進シフト・ON!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!』
レッド(開運)「ゴーゴードリル、突撃だ!」
ギュイイイインッ!ガァンッ!
ギーゼラ「ンゴォッ!?」
レッド(開運)「魔女の攻撃に隙が出来た!今だ!」
『合体シフト・ON!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!』
『超・轟轟合体!』
『スーパーフォーメーション!』
『スーパーダイボウケン!合体完了!』
まどか「うわわわ、なんか合体したよ……!」
レッド(開運)「ネオパラレルエンジン・出力全開!」
スーパーダイボウケンの体にまとわりついていた錆が解き放たれる。
本来の機動力を取り戻した。
バァアアアアアンッ!
ピンク「機能回復!」
イエロー「よしっ!」
レッド(開運)「魔女は背後か……!まずは奴の動きを止める!」
『ウォールシュート!』
バシュウウウウ!……ビキビキビキッ……
ギーゼラ「ンゴッ……」
ハイパーコンクリートに固められ、機動力を封じ込まれる。
動けないギーゼラへ、拳が叩き込まれた。
『ショベルアームパンチッ!』
ドゴォッ!
『キャノンボールヘッド!』
ドゴォォオオオッ!
頭部にエネルギーを滾らせ、突進。
ギーゼラは吹き飛ばされる。
ギーゼラ「ゴォォアアアアアアッ!?」
ゴォオオオオ………
スーパーダイボウケンの猛攻を耐えしのいだギーゼラだが、その体は既に傷つき、満身創痍。
再び、錆の鎧を纏い、次なる攻撃に備える
杏子「あいつまた錆着やがった……!」
レッド(開運)「いや、かえって好都合だ。……」
『トップギア・IN!』
『 ダブルアームクラッシュ! 』
ズガァアアアアアアアアッ!ゴアアアアアアアアアアアッ!
ギーゼラ「ン……ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!
ギーゼラの錆の鎧を突き抜け、スーパーダイボウケンの必殺技が炸裂する!
ギーゼラは爆発を伴い消滅した。
レッド(開運)「……ミッション完了!」
………………………………………
街……
明石「……自分だけの宝、見つかったようだな。」
杏子「うるせ、そんなカッコで言っても格好良くねぇよ……!」
菜月「でもでも、何でそんなかっこで来たの?」
さくら「……まさか、杏子さんに思いの強さを知って欲しいが為に……?」
明石「買いかぶるな、俺を。……その答えは杏子が自分自身で見つけたんだ。こんな事をしなくてもな」
さくら(本当でしょうか……実は少なからず心配していたのでは……)
さくら(……暁さんは子供に過保護な面ありますし……)
杏子「……その、よ……。さっき言った通り」
マミ「……解ってるわよ。……友達、でしょ……?」
杏子「おう……そ、その、……」
まどか「うふふ。……マミさんの笑顔見るの何だか久しぶりだな……。」
マミ「え……?」
まどか「やっぱり笑顔が一番ですよ……。みんなで笑って……。」
まどか「私も、みんなで笑いたい……。……!」
まどか「……そう……!私も、みんなで笑う為に……!」
さくら「まどかさん……?」
まどか「私、ママに言われた事に意味……解った気がします!」
さくら「……!本当ですか!」
まどか「うん……いや、ほんの少し、だけなんですけどね……」
…………………………………………………………
明石「どうだ……蒼太。状況は少しか変わったか」
蒼太『いえ……。さやかちゃんがどこに歩いているのかすら見つけられません……。』
明石「そうか……。」
蒼太『……街中で見つけた魔女やワルプルギスに関するデータは本部の方に送っています。……あまり目新しい物はないけど……』
蒼太『……さやかちゃん、大丈夫かな……』
明石「そう弱気になるな。魔女になれば誰かが見つける。誰も見つけないという事は大事には至ってない。」
明石「……何かあったら連絡してくれ。」
ピッ
………………………………………
蒼太(……今の僕がさやかちゃんの為に出来る事って……)
蒼太(過去の涙を背負って行く……か。)
蒼太(今は……目の前にあるさやかちゃんの悲しみを止めなきゃ……。)
蒼太(その為には何をすれば良い……?)
蒼太(僕は、どういう思いで居れば良いんだろう……)
……………………………………………………………………………
ほむらの家……
ほむら「……。」
真墨(アレのせいか……?尋常じゃなく沈んでるっつうか……)
真墨「ま、まぁまずはそのワルプルギスって奴のデータくれよ、サージェスに持ち帰って何が有効か照らし合わせ……ん?」
トゥルルルルルル……
真墨「……あ、電話鳴ってるぞ」
ほむら「……ちょっと待っててください」
ほむら「……鹿目さん。」
真墨(……あの子からか……)
真墨(そういえばほむらが契約したって理由もその子だつってたっけな……)
まどか『ああ、いや、なんとなく電話したくなっちゃったっていうか……ね?』
まどか『ちょっとの間会ってないから元気かな~って思ったっていうか』
まどか『……今から会えないかな……。さやかちゃんを探すのに協力してほしくて……』
ほむら「……ごめん、鹿目さん……。私は今、無理です……。」
ほむら「……ごめんなさい。」
ピッ
真墨「何の電話だったんだ……?何で断って……」
ほむら「……いえ……」
真墨(あの事が引っかかってんのか……)
真墨「……あんな奴の言う事気にすんなって……あんなんただのあいつの馬鹿げた誇張だっつの」
ほむら「でも、私がやってきた事は全て事実です……。自分の為に、みんなを見捨てて来たことも」
ほむら「……もしかしたら、私のせいでみんなが死んできたかもしれない事も……」
ほむら「でも……時間遡行なんて話、信じるんですか……?」
真墨「今更時の冒険者程度で驚けるかよ……」
真墨「……とにかく、ムカツク野郎の言う事よりも」
ほむら「私は自分の為だけに戦ってきた……。でも、私のたった一つの道しるべも、絶ってきたのは……。」
ほむら「私のやってきた事は全部無駄だったのかもしれない……。たった一つの光も、消して来たのは私自身なんじゃないかって……。」
ほむら「なんでだろう……あの時……自分の弱さを呪って……みんなに認められたかった……鹿目さんと一緒に戦いたかった……だからって……」
真墨(光……か……)
真墨(なんか、あの時の俺と似てんな……闇に魅入られて、大事なモンも全部ぶっ壊しかけた時の俺に……。)
真墨(自分を見失って、何もわかんなくなった時の……思い出したくねぇけど……)
真墨「まぁよ……そんな事考えるのは後でいいじゃねぇか……。」
真墨「目の前のワルプルギスは……どうあってもぶっ倒さなきゃいけねぇ魔女なんだし……」
ほむら「……。」
ほむら(もし、ワルプルギスを倒した所で、まどかは……もう……)
……………………………………………………………………
まどか「さやかちゃん、見つかりませんか……?」
さくら「蒼太くんと高丘さんが捜索中ですが……見つかったという報告は……。」
まどか「……さやかちゃん……」
さくら「……とはいえ、全く無駄足ではありません。真墨からの目撃場所や、発見できなかった場所……」
さくら「それらのデータを基に中学生の足で行ける距離を計算すると……かなり広い見滝原と言えど、残りは……数箇所です」
さくら「あとは……まどかさんのソウルジェムを使って探知すれば、すぐ見つかるハズです!」
まどか「……ホントですか!場所は何処ですか!?」
さくら「……行きましょう!」
………………………………………………………………………
まどか「……あぁっ!!こっち、こっちです!!」
さくら「はい……!魔力の捜索範囲に到達できたのですね……!」
まどか「まぁ一応……でも、ほんの少しだけで……今にも見失っちゃいそうなくらいなんですけど……」
まどか「あぁ、でもさくら先生、探し物のスペシャリストですよね!……ならきっとすぐ!」
………………………………
さくら「一つ……よろしいでしょうか……。」
さくら「まどかさん……。まどかさんが、お母さんから言われた事って……」
まどか「……」
まどか「……私、今まで誰かの為に戦える、ってだけで、誰かの為になれる、ってだけで自分が幸せ……だって思ってた。」
まどか「タツヤを事故から救えて、こんな風に誰かを助けられたら、……って」
まどか「だけど、あの時さやかちゃんに拒絶されて……何で助けられないんだろう、って思ってたらママが」
まどか「『誰かを助けたいなら自分をはっきりさせて、相手にその思いを伝えなきゃ』……みたいな事を言われたんです」
さくら「自分をはっきりさせて、思いを伝える……ですか……?」
まどか「……マミさんや杏子ちゃんみたいに、私も自分の本当の気持ちと向き合わなきゃダメだったんだ」
まどか「戦ってるのは私一人じゃない、魔法少女で誰かの助けになれると思ってたけどそれは思い上がりだ」
まどか「助ける私だけが一生懸命じゃない、助けられる誰かも一生懸命」
まどか「本当の人助けは自分一人の力じゃ無理なんだ」
まどか「私が誰かを助けたいと思う気持ちは、タツヤを助けられなかった負い目なんかじゃない……」
まどか「私は、手を伸ばすだけじゃなくて、想いも伝えなきゃいけない。最短で、真っ直ぐに、一直線……。」
まどか「助けられる誰かにも、手を伸ばしてもらわなくちゃいけないんだ。」
まどか「それで…… !?こっちから反応が……さやかちゃん!」
さくら「……!」
………………………………………………………………………………
さやか「……なんかもう、訳わかんなくなってきた……。」
さやか「本当の気持ち……?どうして戦いたいか……?」
さやか「……全部あたしの中にある答えのはずなのに、全然見つからない……。」
さやか「一番大切なはずの友達から伸ばして貰った手も拒絶して……誰かを呪って……。」
さやか「どうしたいの……?誰かに側にいてほしいくせに、自分が惨めだからって……」
さやか「結局今やってる事は誰かを守る為じゃなくて、自分を忘れる為に戦ってる……。」
さやか「これじゃあ、あたしの一番嫌ってる自分の為だけに力を使う魔法少女そのものじゃん……。」
さやか「……どうして、まどかやマミさんは誰かの為に戦えるの……?何であたしだけこんな、無様なのかな……?」
まどか「……さやかちゃん!」
さくら「無事でしたか……!良かった……。」
さやか「……まどか……どうしてまたここに……」
さやか「何であたしなんかの為にそんなに一生懸命になってくれるの……?」
さやか「どうしてあたしなんかと違って、誰かの為に戦っていられるの……ねぇ……」
まどか「誰かの為なんかじゃ……無いよ……!」
まどか「私が、さやかちゃんの所に来たのは、……また、二人で……」
まどか「また前みたいに一緒に笑いたいから……!」
まどか「私も一緒に、さやかちゃんと笑っていたいから……!」
さくら(……一緒に……笑いたいから……?)
まどか「さやかちゃんがどんな体だろうと関係無い……また一緒に遊びたい、また一緒に喧嘩したい……!」
まどか「もっと仲良くなりたい……!だから、お願い……。」
まどか「……さやかちゃんは、ずっと、これからも、私の一番の友達だから、ずっと側に居て欲しいから……!」
まどか「私の為に……!私の思いを受け取って欲しい!」
さやか「……」
暫く、沈黙が訪れる。
こわばった顔だったさやかの口元が、ほんの僅かだけ緩んだ。
さやか「……まどか……。ありがとう。あたしの為に来てくれた事は嬉しいよ……」
さやか「だけど、まだ気持ちの整理がつかない……。自分がどうしたいのか、全然解らない……。」
さやか「……もう少しだけ待って……。自分が解るまで待って欲しい……。」
まどか「さやかちゃん……!?何処行くの……!?」
さくら(……!もう残された猶予は……)
さくら(ですが……少しずつですが、さやかさんは迷いから抜け出せている……。)
さくら(あと少し、ほんの少し、……)
…………………………………………………
真墨「……でもいいのかよ、ほかの子達も呼んで作戦立てるべきじゃあないのか……?」
ほむら「……。」
真墨「訓練する暇は無いかもしれないけど、頭の中だけでもシミュレーション出来れば少しかマシだろ……。」
真墨(……って、当たり前だよなぁ……。自分のやってきた事がそっくり否定されちまったんだから……。)
真墨(けどよ……だからって立ち止まってたら何もならねぇぜ……。ほむら……。)
ほむら「……私は今まで、誰かを救う事を最初から諦めて……。」
ほむら「そんな私が今更みんなを救おう……なんて思うなんて、……都合良すぎるよね……」
ほむら「全部自分の都合で……今までの世界全部を……捨てて」
ほむら「今更どんな顔して会えばいいのかわからないよ……みんなに……」
ほむら「私が去った後の世界じゃ、見捨てたみんなが私の事を恨んでいるかもしれない……それなのに、私だけ……」
真墨「だけど……過ぎた事悔やんでもしょうがないだろ。これからの事だけ考えようぜ」
真墨「……きっとお前が今まで何度くじけても立ち上がれたのはその……光、ってヤツのおかげだろ……」
真墨「……俺も偉そうに言ってるけど……実はお前と同じような事しちまってな……」
真墨「……ガキん頃、自分が生き残りたいって理由だけで周りの奴を犠牲にして逃げちまったんだ……」
真墨「その心の闇はどうしても消えなかった……。多分今も消せないんだろうよ……」
ほむら「……じゃあ、どうして貴方は……」
真墨「開き直った。……俺には俺を照らしてくれる光があるんだ、じゃあそれだけ見てればいいってな」
真墨「誰だって、心の中に闇は絶対ある。……絶望しちまったりで闇に囚われちまう事もな……」
真墨「でも……少なくとも、俺の信じたあいつらにはあった。……俺を照らしてくれる光が、よ……。」
ほむら「光……?」
真墨「あぁ……。絶対に消したくない、光……」
真墨「……ほむらが俺たちに協力してくれた。……それも間違いなく本当のほむらがやった事……。」
真墨「なんだ、その……迷ったら望みに進むのが気持ちのいい人生ってもんだろ……?」
真墨(……何て、闇に飲まれちまった、誰かを救いたいなんて思いじゃなくて明石を超えたいなんて思いで危うく地球ぶっ壊しかけた俺がいうのも……)
真墨(随分滑稽だけどよ……。)
ほむら(光……。私の、光は……まどか……。)
ほむら(それだけ……?私の事を思ってくれてるのは、まどかだけ……?)
ほむら(私の光は……「今」は……)
その時、アクセルラーに通信が入った。
真墨「ん……?もしもし、さくら姉さん……?」
真墨「何……!?さやかが見つかった……!」
ほむら「……!?」
真墨「いや……追ってる途中?でもなんとなく居場所は解るんだろ……!」
………………………………………………………………………
公園……。
ベンチ、二人で話し合う仁美と恭介。
恭介「……志筑さん、帰る方角こっちだっけ……。」
仁美「いいえ……。本当は全然逆方向ですわ……。」
恭介「……じゃあどうして……」
仁美「……お話したい事がありますの……。」
物陰……。
さやか(……物影から人の会話、わざわざ魔法使って盗み聞きして……。)
さやか(あたし、いくらなんでもセコすぎだよね……。)
さやか(……でも、ここに来ちゃう……。どうしても二人を追っちゃう……。)
さやか(憎い……?それも少しあるけど、なんか、もっと……。)
さやか(もっと、違う、心が何か寂しいような……)
恭介「……ごめん、悪いけど、今はそんな話しする気分にはなれないよ……。」
仁美「え……?」
恭介「僕、今、自分のやった事で心がいっぱいなんだよ……。」
恭介「さやかに、関係無い事で八つ当たりして……。」
恭介「腕が治った途端、自分の事ばっかり考えて、ろくにお礼も言えないで……」
恭介「さやかが学校に来なくなった途端、今度はさやかがいない寂しさに気づいたっていうかさ……」
恭介「……バカみたいだよね。失わないと気づかないなんてさ……。」
恭介「今はさやかに謝りたい……。許してもらおうなんて思ってないけど、そうでもして一度さやかとけじめをつけたいって」
恭介「だから……ごめん……。」
仁美「いえ……。私も同じ気持ちです……。」
仁美「さやかさんの思いも考えないで、私が無神経な事言って……」
仁美「自分じゃ正々堂々やったつもりでも、今思えば、凄く卑怯なマネして……。」
恭介「……さやかの優しさに甘えてたのかな、僕ら……。」
恭介「さやかなら何言っても許してくれるなんて、内心どっかで考えてた……。」
仁美「自分の都合だけさやかさんに押し付けて……。」
仁美「でも、だからこそ今度はちゃんと正々堂々したい。」
仁美「ずっと一緒だった、友達として、全部ぶつけあいたい……。」
仁美「私も、さやかさんの都合を背負わないとダメだったんですわ……。」
恭介「……そうだね……。」
…………………………
さやか「……違う、そんな寂しい、とか憎いとかそんな感情じゃない……。」
さやか「あたしは、あたしは……ただ……」
さやか「ずっと、恭介の事が……」
さやか「恭介の事が好きなだけだったんだ……」
さやか「仁美ともずっと友達でいたかった……たったそれだけの事だったんだ……」
さやか「それなのに……自分の気持ちに嘘ついて、仁美を恨んで……」
その時、さやかのソウルジェムが鈍く光った。
恭介と仁美の近くで一体の魔女の反応を捕らえた。
さやか「……!魔女……!?こっちに向かってくる……。」
さやか「この方向じゃ、恭介と仁美を……!」
さやか「ダメ……今、目の前にあるあたしの……」
さやか「あたしに向けてくれる優しさを消したくない……」
さやか「みんなあたしに手を伸ばしてくれてたんだ……。それを……その手を……」
さやか「消したくない……一人になりたくない……」
魔女の結界を目掛け、さやかは走り出した。
QB「……やれやれ。君のソウルジェムはほんの少しで魔女になるというのに」
QB「そんな状態で魔女と戦ったりしたら、もう……。」
………………………………………………………
駅周辺……
蒼太「さやかちゃんがここにいるって本当!?」
まどか「間違いないです……!すぐ近く、あと少しで……」
マミ「えぇ……私も反応を感じるわ……。」
さくら「残された時間は少ないです。話は向かいながら!」
真墨「おい!……みんな来てたのか……」
菜月「真墨!ほむらちゃん!」
ほむら「ギリギリ間に合いましたか……。」
まどか「うん!……みんなでさやかちゃんの手を握って……」
まどか「一緒にワルプルギスを倒して、……みんなで友達になって……」
まどか「一緒に笑ったり、泣いたり、喧嘩したりしよう!……約束だよ!」
マミ「勿論よ……。私の大切な人を失う訳にはいかないもの……」
マミ「……暁美さんも、ほら!」
ほむら(みんなで笑って、泣いて喧嘩して……。)
ほむら(そうだ、まどかも、巴さんも、佐倉さんも……きっと美樹さんも、全部……)
ほむら(全部、私の「光」だったんだ……。)
ほむら(誰にも、私の心にも闇はある……きっとそれは、普通の人よりも深くて、醜いのかもしれない……。)
ほむら(だけど、こんなにも溢れてる光……きっと今は私を照らしてくれている、光……。)
ほむら(もう二度と、消させてなんかなるもんか……!)
ほむら「うん!急ごう、鹿目さん!巴さん!間宮さん、西堀さん、最上さん、……真墨!」
真墨「おう……ん?俺だけ呼び捨てかよ……まぁ良いけど」
駅………
さやか「うぅっ……はぁっ……はぁっ……」
さやか「良かった……最後に残った……あたしの失いたくない物だけは……」
さやか「失わずに済んだ……。」
QB「……もう限界なのかい?」
さやか「もうソウルジェムも真っ黒……。」
さやか「どうなるんだろう……。これ以上魔法が使えなくなる……?」
さやか「それとも、もしかして、……死ぬのかな……。」
QB「死ぬ……まぁ、当たらずとも遠からずかな」
さやか「いいや、それで良いんだよ……きっと……」
さやか「みんなに迷惑かけて、傷つけて……孤独で寂しく死んで行く、それがきっとあたしにピッタリの死に様……」
さやか「……それでも、最後に残った物を守れた……今のあたしにしてみれば、とんだ奇跡……。」
さやか「無駄じゃなかった……あたしの願った奇跡は、全部、絶望じゃなかったから……。」
QB「……そうかい。」
QB「……で、君は何を企んで此処にいるんだい?」
さやかから少し離れ、暫く歩いたところで
キュゥべえの元にもう一体のインキュベーターが現れる。
その個体は、母性とのつながりを絶ち、あらゆるネガティブの一部を取り込んだ個体だ。
QB「企んじゃ悪いのかい?ワルプルギスを倒す為の戦力は少しでも欠いた方が良いんじゃないかい?その方がエネルギー回収の契約もはかどるんじゃ?」
QB「それももっともだけれど、僕らの契約上、自らの手で彼女たちを傷つける事は許されないとのはずだけれど」
QB「それが間違っているんだよ。契約の目的は宇宙延命だろう?願いを叶えた以上、何をやっても許されるはずだ」
QB「ソウルジェムや魔女の事は契約前でも聞かれれば答えたから代償としては当然だよ。でも僕らが彼女たちを傷つけるのは説明していないからそれは許されないんじゃないかな」
QB「この星は家畜にするにはうってつけの星だ。どうして利用しないのかな?」
QB「今は文明の未発達な星でも今後僕らと並ぶ可能性があるから丁重に扱えと結論づけたじゃないか」
QB「並んで何の意味があるんだい?それよりも、契約・エネルギーを回収を優先すべきだ」
QB「やれやれ……何を企んでいるのか知らないが、僕らが干渉出来るのは契約に関してだけだよ」
QB「律儀に約束を守るから時間がかかるんだよ。譲歩する必要など無い」
QB「……通信が途切れたときから予想はしていたけれど、君には感情が芽生えているね……。アシュの細胞を取り込もうとしたのが間違いだったのかな」
QB「思いの力は凄いよ。今まで契約だの譲歩していたのがバカらしく思える」
QB「確実に僕だったものが、僕ではない何かになっている。……妙だね。……思いの力か、感情という物はとても全てを理解出来ない。」
QB「あぁ。これは『恨み』や『怒り』。僕の中に蠢いている。」
QB「その感情は果たして目的の為の手段と成りうるのかな……」
QB「まぁ、そんな事はどうでもいい。暁美ほむらの記憶によると、魔女の真実を知った時、マミは……」
QB「そういえばアシュの細胞を取り込んだ目的はそれだったね。結果はご覧の通りだけれども」
QB「そうさ。……ごぉっ、んべえっ、おろろぇええええッッ!!」
インキュベーターの口から、無数の小石が吐き出された。
その小石は人型を形作り、動き出す。
「「「「ケケケケケエエエエエッッ!!」」」」
QB「……確かこれはゴードム文明の戦闘兵……カース」
QB「そうだよ。」
QB「まぁ……この星が壊滅するのは惜しいけれど、どうしようもない。他の惑星を探すとするか。」
QB「壊滅なんかさせないよ。この星は僕の管理下、僕が守るんだから。……宇宙の果てから迫る驚異からね」
QB「アシュの残虐さと僕らの使命が交わった結果がこれか……。」
QB「僕を頂点としてこの星は一つになるのさ。人類は多少の犠牲を払う変わりに安全に暮らせる。理想的関係だ。」
QB「はぁ……それはもう、ただの侵略行為だよ」
……………………………………………………………
まどか「……この駅!ここに絶対いるよ!」
マミ「……タイミングが良かったわ。夜だから、簡単に見つかりそう……。」
真墨「そうだな…… ……? おい……何か来るぞ!」
『『『カアアアアアアァァァァァァァァッッッ!!!』』』
駅へ乗り出した七人の前へ、カースの大群が押し寄せた。
さくら「……!見てください!」
菜月「あぁっ!?あれ、ゴードムの……!」
蒼太「……カース……!!」
まどか「な、なんでこんな時にぃ!」
ほむら「誰かが美樹さんの元に行くのを邪魔してる……!」
真墨「アイツか……!」
さくら「とにかく、今は奴らを倒さないと先へ進めません!」
菜月「……そうだね!」
マミ「時間はかけてられないわ!」
『ボウケンジャー!スタートアップ!』
キュイイイインッ!
ブラック「ラジアルハンマー!」
イエロー「バケットスクーパー!」
ピンク「ハイドロシューター!」
ブルー「ブロウナックル!」
ドドドドドドドドドドドドッ!!!
ドォオオオッ……
マミ「ティロ・ボレー!」
まどか「響けッ!胸の鼓動ッ!未来の先へぇぇぇッ!!」
ほむら「……たああああッッ!!」
……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!
まどか「……やったかな!?」
ブラック「いや……!まだ残ってる!」
『カァアアアアアアッッッ!!』
ブルー「これだけの攻撃を受けても全滅しないなんて……!」
マミ「こんなのに構ってる時間は無いのに……!」
ほむら(時間を止めてもこれだけの数を一瞬で倒せるかどうか……!)
イエロー「もう!片っ端からやっつけるしかないの……!?」
ピンク「いえ……。アクセルテクター!デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」
ピンク「これで道をこじ開けます!その隙にブルーはさやかさんの元へ行って下さい!」
ブルー「了解!」
ピンク「……GOッ!!!!!」
ドォオオオオオオオオオオッ!ドォガァァアアアアアアア━━━━ンッッ!!!!!!
ブラック「道が開いた!今だッ、行け蒼太!!」
ブルー「行ってくる!みんな!あとは任せたよ!」ダッ!
まどか「よしっ!!頑張って下さい、蒼太先生!」
まどか「しっかしさくら先生は凄いなぁ……。やっぱり、適わないや。」
ピンク「そんな事ないです。……私だって、まどかさんから教えてもらった事だってあるんですから。」
ピンク「私の宝は、私達の、みんなの笑顔……。それを忘れかけてた時に、気づかせてくれたのは貴方だった。」
ピンク「貴方の想いが、私に、私だけの宝の本当の意味に気づかせてくれた。」
ピンク「……みんなで、笑顔になりたいから!」
ピンク「全部終わったら、またみんなで笑いましょう……本当の気持ちで、心からの笑顔で!」
まどか「え……?そうですか……?はい!」
まどか「なんだか分からないけど、褒められるのは嬉しいです!」
ピンク「……まだ敵は残ってます。倒しましょう!」
まどか「了解ッ!」
駅、構内
ブルー(こっちだ……!この駅のホームに生命反応!さやかちゃんで間違いない!)
ジャリュウ「ミギャアアアアッ!!」
ブルー「何ッ!?……ハッ!」
突然現れたジャリュウがブルーの行く手を阻む
すんでの一瞬、ボウケンブルーは横方向に回避、ジャリュウの攻撃は床面を砕く
ジャリュウ「「ミギャアアアッッッ!!」」
ブルー「カースだけじゃないのか!?……確かブラックが奴はリュウオーンの細胞も取り込んだと言っていた……!」
ブルー「こっちも数が多いけれど、モタモタしていられないんだ!……サバイブレード!ハァッ!!」
…………………………………………………………………………
さやか(ダメだ、体に力が入らない……)
さやか(心臓もドキドキしてきた……。死んだような体なのに、不思議だ……)
さやか(死んだら皆悲しむかな……?)
さやか(……いや、きっとこんなあたしがいなくなっても誰も悲しまないよね……)
さやか(こんな、みんなに酷い事して、迷惑かけたあたしなんか……)
杏子『……さやか!おい!そこに居るんだろ!返事しろッ!!』
さやか(……テレパシー……?)
杏子『馬鹿野郎!今まで何処ほっつき歩いてやがったんだ』
杏子『今そこ行くからな……!!動くんじゃねぇぞ!解ったか!!』
さやか(杏……子……?どうして……?)
さやか(でも……もう……)
さやか「……ありがとう、杏子……。」
さやか「でももう、いいよ……あたしの事なんか放っておいて……。」
さやか「それよりも、あたしの達せなかった思い、あんたが受け継いでよ……まどか達と一緒なら、あんたなら出来ると思うから……。」
さやか「あたし、もう……」
杏子『バカ言ってんじゃねぇっ!!あたしはてめぇの思いを受け継ぐとかそんなつもりなんてねぇんだよ!!』
杏子『さやか、お前はきっと昔のあたしなんだ……。きっとあんたを救う事があたしを救う事なんだよ……』
杏子『だからさやか!あたしの為に……あたしの為にあたしにあんたを救わせてくれ!頼む!』
さやか(っ!)
まどか『さやかちゃん聞こえる!?無事!?』
さやか(まどか……?)
さやか(あたしが拒絶しても、何度も何度もあたしに……)
マミ『私達がいる!何でも一人で抱え込もうとしないで……!私達、友達でしょう……!』
ほむら『あなたが死んだら、みんなが悲しみます……!あなたは闇なんかじゃない、光なんです!』
さやか(マミさん……ほむら……)
さやか(みんな……あたしの事、ずっと……)
さやか(あたしの周りにはこんなに優しさに溢れてて……)
さやか(それなのに、あたしは、傷つくのを恐れて、心を鎧って……)
さやか(あたしって、ほんと……)
QB「どうやら、みんなはここにたどり着けそうだね。」
QB「だけれど、穢れがもういっぱいだ。もうそれはソウルジェムとは呼べない。」
QB「見てくれこそソウルジェムだ。だけれど、その中身はグリーフシードと大差ない。今更、どうしようもない。穢れは吸い取れないよ。」
…………………………………………………
ブルー「サバイバスター!」
バシュゥンッ!バシュゥンッ!バシュゥンッ!
ジャリュウ「グハァッ!!!」
ブルー「……ハァッ!!」
ドォンッ!
ジャリュウ「ガァゥッ!?」
背後から迫り来るジャリュウへ回し蹴りを見舞う。
ブルー「こいつらも次から次へキリがない……!倒しても倒しても……!」
ブルー「くっ……!」
レッド「ボウケンジャベリンッ!!」
シルバー「サガスピアッ!」
杏子「おらあああああッッッ!!」
ズシャァアアアッ!
ジャリュウ「「ミギャアアアアアッッ!!!」」
ブルー「レッド!シルバー!……杏子ちゃん!」
レッド「ブルー!ここは俺たちに任せろ。先に行け!」
シルバー「あぁ!」
杏子「そうだよ!今更くよくよすんじゃあねぇぞッ!」
杏子「救いたいんだろ、あんたが!さやかの事を!」
ブルー「……!」
シルバー「それに俺もまだアイツに自分の為に戦うってのがどういう事か伝えきれてねぇッ!」
シルバー「蒼太!お前なら解るだろ、それがどういう事か!」
杏子「……これ持っていけ!あたしのソウルジェムだ!」
ブルー「良いの?これ、凄く大事なんじゃ……」
杏子「百メートル以内だったら大丈夫だ!こっからそんなに離れてないだろ!」
杏子「あたしが魔力を仲介すればこの距離なら直接さやかとテレパシーで話せる!」
杏子「……失くしたりすんなよ!そんな事したらぶっとばすからな!!」
シルバー「あぁ……これも持っていけ!蒼太!グリーフシードだ!」
ブルー「そうか……!ありがとう、みんな!僕が、僕がやらなくちゃいけない事なんだ……!」
ブルー「『さやかちゃんの笑顔を忘れさせない!』……絶対に守り抜いてみせる、その笑顔を……!!」
………………………………………
駅
蒼太『さやかちゃん!聞こえる!?』
さやか(蒼太さん……!?何でテレパシーを……)
蒼太『ごめんね、さやかちゃん……。』
蒼太『僕が今までして来た事は僕がいくら理由をつけても絶対に消えない、』
蒼太『過去の涙を背負って生きて行くなんて僕が決めても、そんなのただの自己満足かもしれない』
蒼太『今更こんな事を言っても、言える資格が無いとしても』
蒼太『自己満足でも構わない……この思いに嘘をつきたくない』
蒼太『……今は、『僕が君を守りたい』!それが僕の本当の気持ちなんだ!』
蒼太『君の優しい微笑みを守る、それが……僕の冒険だから!!』
さやか(本当の気持ち……)
さやか(そうなんだ……自分の為に戦うって事は誰かの思いを踏みにじる事なんかじゃない……)
さやか(映士さんが言いたかったのは、自分の気持ちから絶対に逃げないで自分と向き合って行くって事なんだ……)
さやか(それなのにあたしは、自分からも、みんなからも逃げて、そして……)
さやか(ううん、ここで逃げたらまた今までと同じだ……こんどはあたしが手を伸ばさなきゃいけないんだ……!)
さやか(ここで自分と向き合って一歩踏み出す事……それがあたしの……)
さやか「冒険だから……!」
蒼太「さやかちゃん!」ダッ
その時、蒼太が階段を上りきり、さやかを見つける。
グリーフシードを握り締め、さやかのソウルジェムを浄化する為、一目散に駆け出した
蒼太「間に合ってくれ……ッ!!!」
……………………………………………………
まどか「……!?大変!こんな時に魔女が……!?」
マミ「何ですって……!?……本当だわ……場所は……美樹さんのすぐ近く……」
マミ「美樹さんの反応が消えた……結界に飲み込まれたのかもしれない!」
ほむら「っ……!?」
イエロー「え……嘘……そんな……」
ピンク「さやかさんの反応が消えた……?」
ブラック「おい……って事は……蒼太の奴……間に合わなくて……」
ブラック「あいつは……さやかは……」
…………………………………………
ジャリュウ「グ……アァッ……」
レッド「ジャリュウは残り三体か……。」
シルバー「あぁ……。」
レッド「俺はブルーの所に行ってくる。後は任せた。」
杏子「任せておけ!」
………………………………………………………………
駅……
レッド「これは……魔女の結界……!!」
レッド(結界の扉が……!)
結界内……
蒼太「……」
蒼太の目前には、魂の抜けた人形と化したさやかが横たわっていた。
その目に輝きは無く、表情も当然ながら、生を感じさせない。
魔女「グォアアアアアアアアアアアッッッ!!!」
結界の中に、魔女の咆哮が響き渡る。
レッド「この魔女は……!これは……ブルー!」
レッド「ソウルジェムは……」
ボウケンレッドが結界内に駆けつけた時、蒼太は力なく倒れていたさやかを抱え、
魔女の攻撃の届かない物陰に身を潜めていた。
蒼太「さやか……ちゃん……」
さやかの体からは、全く生命反応が感じられない。
ソウルジェムは限界を迎えていたのだ。
蒼太「クソッ……あと少し、ほんの少しだけ、僕が……早ければ……」
蒼太は目尻に涙を浮かべ、さやかの既に血の通っていない手を握り締める。
ボウケンレッドは暴れる魔女の姿、蒼太の掌を見て多方の状況を把握する。
レッド「いや……」
レッド「まだ望みが完全に絶たれた状況ではない……。」
レッド「……それより問題なのはこれからだ……この状況を奴に知られてしまえば……」
レッド「結界の扉が閉じたら最後、脱出出来なくなる!まずはここから脱出するぞ!」
…………………………………………………………
まどか「……杏子ちゃん!さやかちゃんは!?」
杏子「わかんねぇ……魔女の結界に飲まれたかもしれねぇんだ……」
マミ「美樹さんのソウルジェムはもう限界のはずよ……!」
ほむら「……最悪だ……」
ほむら(よりにもよってこんな状況で……)
映士「魔女の反応って……まさか……」
さくら「……。」
明石「……集まってたか。」
真墨「明石……!」
蒼太「……」
明石と共に、腕にさやかを抱えた蒼太が戻ってきた。
まどか「さやかちゃ……!?」
マミ「ソウルジェムの反応が……無い……」
杏子「死んでんのか……これ……!?」
蒼太「みんな……さやかちゃんは……」
明石「言うな……蒼太。」
蒼太「……でも!」
明石は目を閉じ、首を横に振る。
蒼太「っ……」
まどか「さやかちゃん…!?どうしたの!ねぇ!さやかちゃんっ!起きてよ!ねえっ!ねえっ!」
QB「間に合わなかったようだね。やれやれ、彼の作戦通りといった感じか。」
マミ「キュゥべえっ!美樹さんはどうなったの!どうして倒れて、息もしていなくて、こんな……」
真墨(またアイツか……!?)
真墨(こんな最悪な状況でのこのこ出てきやがって……!)
真墨「おい、そいつの言う事に耳を貸すんじゃねぇっ!」
QB「さやかのソウルジェムは魔女を産んで消滅したよ。ソウルジェムの反応が無いだろう?」
QB「それが動かぬ証拠さ。ううん、あともう少し、数時間くらい早ければね」
菜月「……!」
マミ「え……?美樹さんが、魔女……に……?」
マミ「どういう事……ねぇ……キュゥべえ!どういう事……!!」
QB「言葉の通りさ。……君達のソウルジェムは魂そのもの。それに穢れを溜め込みすぎると、自らが呪いとなる。」
QB「美樹さやかは、ろくにソウルジェムを浄化出来なかった。だから、こんな早く魔女になってしまったのさ」
まどか「何で……!?何で!?ねぇ何で!何でそんな事……!!」
QB「う~ん……聞かれなかったからかなぁ。説明を省略したのがそんなに悪かったかい?」
まどか「どうしてっ……どうして……こんな事する必要があるの……!」
ほむら「……。」
マミ「キュゥべえ……貴方の事、もう信じないわ……。」
ほむら「巴……さん……?」
菜月「ねぇっ!魔女からさやかちゃんを戻す方法は無いの……っ!?」
QB「さぁね。わからないよ。魔法少女は条理を覆す存在だ。」
QB「前例はないけれど、可能性は無い訳じゃあないんだ。」
さくら「少なくとも、可能性が潰えているわけではないという事ですね。」
QB「まぁそんな所だね。」
さくら「もう結構です……もう貴方なんかに聞く事は何もありません……二度と我々の前に姿を現さないで……」
映士「てめぇ……こんなに悲しんでるこいつらの事見て、なんとも思わねぇのかよ……!!」
映士「何も知らねぇ奴ら騙して……!最後は魔女で絶望で終わっちまうなんて、おかしいと思わないのかよ……!」
QB「前にも言ったろう、高丘映士。仕方のない、副作用なんだ、これは。」
映士「っ……いくら使命でもこんな事許されて良いハズがねぇぜ!」
映士「それが命を握りつぶした奴の言う事かよッ!」
映士「こんな事して作った世界なんて……間違ってるに決まってる……!」
マミ「ソウルジェムが魔女を産むなんて……それじゃあ私達、何の為に……」
杏子「まだだ……まだ諦めねぇぞ……」
杏子「さやかは魔女になっちまったけど……でも……!」
杏子「前例が何だ……!諦めちまったら……さやかを見殺しにするのと同じだ……!」
杏子「まだ出来る事はあるハズだろ……みんな……!」
まどか「杏子ちゃん……!」
杏子「なぁ……いいのかよ……こんな……」
杏子「さやかが救えるかどうかまでキュゥべえの野郎に決められて……!」
マミ「……そうね……。最後まで頑張らないと、結果は解らない……。」
ほむら(……魔女になるって事は、魂そのものは消えて、呪いが全てになるという事……。)
ほむら(でも……出来る事をやりきるまで、立ち止まっちゃ何も変わらない……。)
明石「……。」
明石「……このさやかの体はサージェスで保管する。生命維持装置を使えば数日間なら問題ないはずだ。」
真墨「俺たちでもおっさんと協力して戻す方法が無いか考えてみるぜ。……誰か一人こっちに寄越してくんねぇか、ソウルジェムのデータも」
蒼太(……。)
蒼太「いや……。魔女に呼びかける以上、一人も欠けちゃダメだ……。」
蒼太「僕らは今あるデータだけで何とかしよう……。」
真墨「あ……あぁ……。」
翌日、サージェス本部……
菜月「さやかちゃん、無事かな……」
明石「何も死んでしまった訳ではない。希望を捨てるには早すぎる。」
明石「牧野先生が今過去の文献と照らし合わせて方法を探っている。」
蒼太「でも……みんな……もしこれで杏子ちゃん達が絶望したりしたら……!」
真墨「賭けるしかねぇ……今はこの方法に……!信じようぜ、あいつらを!」
さくら「……あのネガティブの力を宿したインキュベーター……奴がワルプルギスの夜を使い我々を倒しに来るのは恐らく確定的でしょう。」
さくら「戦力の面から見ても今回、さやかさんが助かるかどうかが奴に勝てるか否かの分かれ目になるかもしれません。」
さくら「真墨の言うとおり、まどかさん達、そしてさやかさん自身を信頼するしかありません。今の我々には、それしか」
映士「確かにな……。」
明石「あの結界内にボウケンチップをばらまいておいた。魔女が活動を再開すれば、サガスナイパーで追えるハズさ。」
蒼太「……もし、魔女が人間に戻れる方法を見つけられれば、これからも魔女を倒さずに」
ボイス『それは無理だよ、ブルー君。』
映士「ボイス……!?どういう事だ……?」
ボイス『冷静に考えてもみなよ。グリーフシードを解析して、少しでもソウルジェムと同じような「心の力」が検出されたかい?』
ボイス『厳重に解析したけれども、ハッキリ言って完全な魔女から人間に戻すのは不可能だ。全く別物になっちゃっているんだよ。』
ボイス『心なんかこれっぽっちも残っちゃいない。そこにあるのはただの呪いと人を食べるという行動理由だけさ』
蒼太「っ……!」
ボイス『魔女になる前にどうにかするしかないんだよ』
ボイス『癪だけれども、これに関しては完全にインキュベーター君が上手だ。お手上げ。』
明石(魔女が人間に戻る事は不可能……か……)
サージェス、医務室……
明石「さやかの容体は……」
牧野「生命維持装置を総動員して……最低限、脳死と心肺停止だけは防ぐようにしていますが……」
牧野「この人工的な生命維持だと……もって一週間……。それ以降は腐敗を止められません……。」
牧野「……彼女達がいずれ魔女へと変わる……。それを戻す事は不可能だと……。」
牧野「現実を目の当たりにしてとても辛いのは解ります。……しばらく休暇をとって、心を落ち着けても」
明石「もし、魔女が人間に戻るのは不可能というのであるならば……」
明石「例え彼女たちが絶望の中、助けを求めながら魔女になったとしても、俺たちは彼女たちを倒さなければなりません。」
明石「彼女たちが別の誰かの命を奪うのであれば……今生きている命を優先すべき……。俺はそう思います、牧野先生」
牧野「明石君……」
街中………
杏子「何だお前ら……揃いも揃ってずる休みかよ……」
まどか「うん……。まださやかちゃんの笑顔を見れてないから、私は……」
マミ「魔法少女が魔女になる……って聞いたときは、一瞬頭がおかしくなって、悲しくなって……」
マミ「でも、もしここで美樹さんを助けられる事が出来たなら……私達は絶望で終わらなくても済むのかもしれない……」
マミ「まだ、大切な友達がいるのに、私だけ落ち込んでなんていられない……。」
ほむら「……私も、自分自身の光を、もう二度と消したくない……。もう少しで手が届きそうなのに、諦めて取り逃がしたくない……」
杏子「何だよ、お前ら。……そういえば、あたしとお前ら、最初はいがみ合ってたっけね……」
杏子「マミ……。あたしはあの時あんたが羨ましくて、妬ましくて、眩しすぎて仕方なかった……。」
マミ「佐倉さん……」
杏子「家族が死んで以来、この世に奇跡なんて無い、愛と勇気なんて意味が無いって思っていたけどさ……」
杏子「だけど、自分を信じて前に進める力があたしにはあった。」
杏子「ちょっとでも勇気を持って踏み出しゃ、何か少しくらい変わる……って」
まどか「……私も、私の思いは私だけじゃ意味がない。言葉にして誰かに伝えなきゃいけないんだって。」
まどか「誰もが、繋ぎ繋がる手を持ってる。」
まどか「私の戦いは手を継なぐ事……。」
ほむら「過去を振り向き続けてちゃ、前に進めない。だから今目の前にある大切な物を大事にしなくちゃいけない。」
マミ「こんなに素晴らしい友達と出会えた……私を心から受け入れてくれる友達……。」
マミ「みんなで助け合える事は凄く心強い事なんだって……。怖くたって、みんなと一緒なら……」
杏子「はは……あたしら、みんな互いに互いを必要してんのかね……。」
まどか「……そうだね。」
マミ「だけど、4人だけじゃ私達は未完成だわ……。」
ほむら「5人そろってこそ、ですよね……」
杏子「あぁ……さやか。あたしらだけのの宝は……お前がいなくなれば何の価値も意味もない。」
杏子「だから……今すぐぶん殴って目ェ覚まさせてやるよ……」
杏子「自分だけの宝だなんてバカみたいなもんであたしら、今こうやっていられんだ……。だから……」
杏子「良いだろ……あと少しくらい……バカみたいな事が起きたって……幸せになれたって……」
杏子「頼むよ……神様……」
……………………………………………………………………
廃工場、橋の上………
杏子「……こっちだ。」
まどか「本当にさやかちゃんの所なの……?」
マミ「私達は誰も美樹さんの結界に入ってない。でも……」
ほむら「この反応は昨日感知したものと同じですね……。」
杏子「違ったらまた探すだけさ……。」
まどか「あれ……さくらさん達じゃ……」
杏子「……!」
…………………………………………………
映士「……ここだ。ここに結界の入口があるぜ。」
明石「行くぞ。油断はするな。俺たちの装備が魔女にどの程度通用するのか、忘れた訳じゃ無いだろう。」
真墨「……!おい、みんな!……あいつら来たぞ……。」
杏子「お前らも来てたのか……!」
明石「あぁ。」
明石「魔女を倒す為にな。」
杏子「えっ……」
杏子「お前今何つって……」
明石「……魔女を倒す。俺たちの任務だ。」
杏子「な……何言ってんだよ……冗談だろ……」
杏子「そこにいるのが誰かわかってない訳ないだろお前が……」
杏子「お前……仲間が大事とか言ってたじゃねぇかよ……」
明石「……ここにいるのはただの魔女だ。」
明石「無駄話している暇は無い。……頼むぞ、映士。」
映士「……あぁ。」
映士の術が結界の扉を開く。
映士を除く5人は結界に足を踏み入れた。
杏子「ふ……ふざけんじゃねえっ!!」
杏子「てめえらさやかを見殺しにすんのかよ!!馬鹿野郎……そんな事させてたまるか……!!」
杏子「あたしらは……あたしらが……さやかを……さやかを……!!」
映士「ゴーゴーチェンジャー……スタートアップ……。」
バシュゥゥゥンッ!
シルバー「俺様達の邪魔をするってんなら、容赦はしねえぜ……。」
シルバー「すまねぇが任務を妨害するならお前たちはネガティブシンジケートと同じだ」
明石「シルバーは彼女たちの足止めを。俺たちは結界に侵入する。……行くぞ。」
まどか「嘘ですよね……さくらさん……」
さくら「……。」
マミ「どうして美樹さんを助けようってしないの……ねぇ……菜月さん……」
菜月「ごめんね……マミちゃん……」
ほむら「……何で……」
真墨「悪いな……。仕方ねぇ事なんだよ、これは……。」
蒼太「許してくれ何て言わないけど……でも……。」
蒼太「こうする他無いって事だけは……理解して欲しい……。」
杏子「理解……!?嫌だね!やってもねぇのに諦める奴の理解なんて……オイ!待てよ!オイッ!」
シュゥゥン……
まどか「結界の扉が……閉じた……」
シルバー「……どうするんだ。おとなしく帰るか、それとも」
シルバー「……俺様をぶっ倒してでも進むか」
杏子「……決まってんだろ……」
杏子「……ぶっ倒してでも進む……!」
マミ「今回ばかりは引き下がれないわ。……美樹さんの命がかかっているんだもの……!」
まどか「ごめんなさい、映士さん……。でも、譲れない気持ちがあるから。」
ほむら「私達の思いを、舐めないで下さい……」
シルバー「……上等ッ!」
………………………………………………………
魔女の結界内……
「グゥオオオオオオオオオッッ!!!!」
レッド「……行くぞ。油断するな。通常以上に穢れを溜め込んでいる。」
レッド「手の内がある程度わかっているとはいえ、攻撃の破壊力は増しているだろう。」
ブラック「……言われなくても、承知の上だ!」
ピンク「パラレルエンジンを使用した攻撃しか通用しない以上、攻撃の間の隙は互にカバーしあわなければなりません。」
ブルー「離れすぎないようにしろ……ってことだね」
イエロー「うん……了解。」
レッド「……アタック!」
…………………………………………
杏子「……ハァアアアアッッ!!!」
シルバー「……サガスピアッ!らぁッ!」
ガキィンッ!
杏子の槍とボウケンシルバーのサガスピアが拮抗する。
ひときわ大きな火花と同時に、二人は飛び退く。
ほむら「……っ!」
ガキュゥッ!
シルバー「……ッ!」
ガキィンッ!
ほむらの放った弾丸を弾く。
だが、次の瞬間、地面からいくつもの黄色のリボンが飛び出し、ボウケンシルバーの体に絡みつく!
マミ「……おとなしくしていて下さい!」
シルバー「君か……マミちゃん……!悪いが、言う事は聞けないぜ!」
ザシュゥッ!
サガスナイパーを振り回し、リボンから脱出する。
……カチッ
シルバー「……ッ!」
そして、走り出さんと一歩を踏み出す。
だが、つかぬ間にほむらが設置した地雷を気づかず踏みつけた。
……ドオンッ!
シルバー「……ッ!ぐぁッ!」
まどか「映士さん……ごめんなさい!」
バシュゥゥッ!
シルバー「ッ!?……がッ……」
さらに追い討ち、まどかが矢を放つ。
その矢はボウケンシルバーの肩を撃った。
そのまま、ボウケンシルバーはもんどり打って倒れる
マミ「暁美さんッ!今よ!」
ほむら「はいっ!」
カチッ……
ほむらは時間を止め、結界の入口へ向かう。
そして、結界の扉を開こうと、手を翳した。
シュゥゥゥ……
ほむら「……!?あれっ……結界の扉が……開かない……!?」
カチッ……シュゥゥゥ……
まどか「ほむらちゃん!結界の入口を開けて!」
杏子「何やってんだよ!あくしろよ……!」
マミ「暁美さん……!?結界の扉が開けないの……!?」
シルバー「こんな事もあろうかと思って……術をかけておいたぜ……!」
シルバー「『百鬼無限封鎖の陣』……!俺様は完全なアシュじゃないから、精々半分ってとこの強度しかねぇが……足止めにゃ十分だ!」
マミ「結界に結界を……!」
シルバー「術式を刻んだ札は真墨に持たせてる……アイツが札を破くでもするか、もしくは……」
シルバー「この俺様をやっつけるか、それしか方法はねぇ!」
肩で息をしながら、膝をついていたシルバーが立ち上がる。
シルバー(とはいえ……いくら女の子でも4人を相手に立ち回るのはキツイぜ……!)
シルバー(だが……向こうも動揺してる。攻撃に魔女を倒す時みてぇな力が感じられねぇ……。)
杏子「そうかよ……だったら……」
杏子「もう覚悟は決めた。ぶっ潰してやる……!」
シルバー「……だが俺様もな……赤ン坊の時からずっとアシュと戦い続けて来たんだ……」
シルバー「こんな所で、おめおめ負けちまう程ヤワじゃねぇ!」
まどか「……。私も、決めました。」
まどか「はぁぁぁぁーッ……」
まどか「……スターライトアロォーッ!!!」
ドォオオオオオシュゥッ!
矢にエネルギーを集中させ、一層強く輝く矢を生成。
弓を引き、そして、一気に解き放つ!
シルバー(このエネルギー量……!間違いねぇ、さくら姉さんが言っていたあの技だ!なら……)
シルバー「……スナイパーモード!サガストライクッ!」
ドシュゥウウウウウウッ!!
……ドォォオオオオンッ!
二人の必殺技がぶつかり合い、そして相殺し爆発する。
双方のエネルギーは拡散し、消滅した。
杏子「…これでも喰らえ……!」
ゴゴゴゴゴゴ……
地を割き、巨大な槍が姿を現す。
杏子「はぁッ!!」
杏子(……こいつを喰らえばアイツもひとたまりもねぇハズだ……だから……)
杏子(でも……こいつは明石の……)
杏子(いや何言ってんだ……あんな奴の……!)
シルバー「……サガスピア!サガスラッシュ!」
ガシュゥウウウウウウンッ!
……ザァシュゥッ!
一瞬、躊躇いが頭をよぎる。
その隙を突き、シルバーのサガスラッシュが槍を繋ぐ鎖部分を切り飛ばす
杏子「しまっ……あぁっ!」
槍の上に自らも乗っていた杏子は、そのまま橋から転落。
ほむら「ッ……!」
シルバー「させっかよ!スコープショット!」
バシュゥッ! シュルルル……
シルバーの打ち出したスコープショットがほむらの左手首に絡みつく。
ほむら「!?」
シルバー「……真墨から聞いたぜ!こうやって触れてる相手の時間は止められねぇって!」
シルバー「そのワイヤーはそう簡単に切れはしねぇっ!……ハァッ!」
そのまま、ほむらの腕を近くに立っていた柱に括りつけた。
ほむら(っ……!盾を動かせない……!)
まどか「……スプレットアローッ!!」
バシュゥウウウウッ……ドドドドドドドドッ!!!
シルバー「アクセルテクター!……らぁあああああッ!!」
ガキィイイイイッ!!
桃色の矢が空から降り注ぐ。
ボウケンシルバーはアクセルテクターを身にまとい、サガスピアを高速回転させ、可能な限り矢を弾く。
バシュッ!
シルバー「ぐぁッ……」
全てのダメージを打ち消す事は出来ず、膝をつく。
辺り一帯が煙に巻かれ、互を見失った中、マミが上空へ跳ぶ
魔力で大砲を作り出し、ボウケンシルバーの位置を探知した。
マミ「悪いけど、少しの怪我じゃ済まないかもしれないわよ!」
シルバー「今度はそっちか……!デュアルクラッシャー!」
シルバー(確かこの攻撃は……菜月の言ってた通りだとすると……!)
シルバー(少なくとも一人で放つデュアルクラッシャーじゃあ打ち消しきれねえ!……向こうの方が威力が上だ!)
シルバー「いや……なら……!」
シルバー「……ドリルヘッド!……GOッ!!」
マミ(っ……?何処へ向かって打って……!)
マミ「そんな事、今はどうでも……ティロ・フィナーレッッッ!!!」
ドォオオオオオッ!!
マミが砲撃を放つ瞬間、ボウケンシルバーは明後日の方向へドリルビームを放った。
ドォオオオオンッ!
……グラァッ……
マミ「煙突……!?」
ドリルビームは廃工場に立つ、巨大な煙突を折り砕く。
煙突は、ボウケンシルバーとマミの間へ倒れ込む!
シルバー「……ミキサーヘッド!……GOッ!!」
バシュゥウウウッ!……ビキビキビキッ……
……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……
マミ「うわあっ!?」
ドォオオオオオオオオオオオッ……ズォオオオオオオオンッ……
マミ「うっ……まさか、こんな方法で……」
シルバー「攻撃同士じゃ打ち消しきれねえが……物体に当てちまえばその弾丸は貫通せず爆発するって事だよ……!」
シルバー「ダメ押しに煙突をコンクリートで固めてやった……!俺様の作戦勝ちって所だな……!」
破片の砂埃が舞う中、杏子が再び橋へ登る。
ワイヤーを切り裂き、ほむらも脱出し再びボウケンシルバーの前に立つ。
杏子「ハァ……ハァ……まだだ……まだ終わっちゃいねぇ……」
ほむら「私も……です……。」
まどか「待っててね……さやかちゃん…… ……さやかちゃ……」
まどか「さやかちゃん……!?」
ほむら「えっ……まさか……そんな……」
シルバー「あぁ……もう終わったみてえだな……」
マミ「消えた……結界の反応が……」
杏子「嘘だろ……結界の反応が消えたって事は、さやかは……」
シルバー「……あそこにいんのはさやかじゃねぇ。……ただの魔女なんだって言ったろ。」
シュゥゥゥゥン……
明石「ミッション完了。……足止め、ご苦労だった。」
映士「……遅かったじゃねぇか。」
まどか「そんなっ……」
マミ「本当に美樹さんを……殺したっていうの……?」
杏子「な……なぁ……そのさ……嘘……だよな……?さやかの魔女を倒したとか……さ……」
杏子「そ、そうだよな!お前がさやかを殺すハズねぇもんな……あるんだろ……その手の中に、さやかのソウルジェムがさ……」
杏子「な……そうだよな……なぁ……」
明石「俺たちが持っていても仕方がない。……これはお前たちが持っておくべきだ」
明石は、手のひらに握っていた物を杏子へ投げ渡した。
杏子「……っ」
杏子「……グリーフシード……」
マミ「これ……美樹さんの……?」
杏子「……!」
明石「……。」
杏子「あぁっ……あああああああああああああぁあああああああああっ!!!!」
杏子「ふざけんじゃねええッ!!!てめえええええええええッ!!!!!」
ドガァッ!!
明石「っ……」
菜月「杏子ちゃん……!落ち着いて……」
真墨「いいや……待て……菜月……」
杏子「ふざけんな……ざけんなざけんなざけんな!!」
杏子「さやかはさやかは……あいつはあたしの……あたしの……」
杏子「残された最後の希望だったんだよ……!それを……それをてめえは……ッ!許さねえ……絶対に……」
杏子は槍を作り出し、明石の目前に突きつけた。
蒼太「杏子ちゃん……!?」
杏子「……てめえがさやかにした事をてめえにもやってやる……」
杏子「殺す……殺す……ッ!殺してやる……!」
まどか「……やめて杏子ちゃんっ!!こんな事しても、さやかちゃんは喜ばないよ……!」
杏子「……」
明石「無駄に激昂するな。……命を削りたくないならな。」
明石「……戻るぞ。長居は無用だ。」
杏子「チッ……」
さくら「……すみません……。……ワルプルギス討伐の際には、必ず助力します。」
杏子「うるせえ……二度と顔合わせに来るんじゃねぇっ!!次来たら本当にブッ殺すからな……!」
杏子「クソッ……さやか……さやかぁ……」
ほむら「やっぱり、魔女が人間に戻るなんてそんな奇跡……起こるハズが無かったんだ……」
ほむら「どんな力も……滅びの運命には抗えない……」
まどか「さやかちゃんのグリーフシード……」
まどか(……これって……)
マミ「……ソウルジェムが魔女を産むなら……みんな死ぬしかないじゃない……」
マミ「どんな希望を抱いたって最後は呪いで終わる……それなら、ここであなたも、私も、……」
まどか「マミさんっ……!?」
杏子「よせよ……!……こんな所であたしらが死んじまったら、何の為にさやかはあたしらに希望を託して死んで行ったんだよ……」
杏子「あたしはさやかの気持ちを踏みにじりたくない……お前にも踏みにじってほしくねぇ……だからよ……」
杏子「死ぬとか、絶望するとか、そういうの……せめてワルプルギスを倒してからにしようよ……なぁ……」
マミ「っ……」
杏子「あんたが死んだら、あたしはどうすればいい……?……帰る場所、無くなっちまうなんてもう御免だよ……」
杏子「いつか死ぬにしても、それは今じゃねえ……そうだろ……」
杏子「未来は変えられなくても……自分の明日くらい自分で決められる……そうだろ……」
まどか「マミさん……私達がこんな理由で殺し合うなんて嫌です……」
マミ「……そうね……」
マミ(美樹さん……。)
ほむら「巴さん……。」
…………………………………………………………………
ワルプルギス襲来、二日前……
サージェス本部、牧野の部屋……。
明石『牧野先生。……ゴーゴービークルの整備と……それと』
牧野「あぁ……順調です。ベストコンディションで挑めるよう、念には念を入れてメンテナンスしています。」
牧野「だから、それまではたっぷり休んでいて下さい。」
明石『はい……。』
牧野「ふぅ……さて、ナンバー10まで整備が終わりました。次は、……ゴーゴーボイジャーの……」
ボイス『牧野博士。ちょっといい?』
牧野「なんでしょうか」
ボイス『うぅん、明石くん達が急に見滝原に行かなくなっちゃったんだ。』
ボイス『ブルー君とピンクちゃんも潜入捜査お休みしてるし』
ボイス『まぁ別にプレシャス回収じゃないから行かなくても文句無いんだけれど、まぁ気になったっていうかさ』
牧野「……彼らには彼らなりの都合があるのですよ」
ボイス『やっぱり、彼女の事かい?』
廃工場にて、杏子が明石を殴りつけてから数日
その日以来、ボウケンジャーの6人は一度足りとも見滝原を訪れる事はなくなっていた。
教会……
杏子「ワルプルギスとかいうのがもうすぐ来る……か」
杏子(……ほむらのデータが正しけりゃ、ワルプルギスの進路はこの教会も壊すって……)
杏子(何であいつがそんな事知ってるかは知らねえが少なくとも嘘はついてるようには見えなかった……。)
杏子(さぁね……こんな教会、恨みこそあれど、思い出なんて無かった……いや)
杏子(思い出はあってもあんな事があった今じゃ、思い出に馳せるなんて出来やしねぇさ)
杏子(ちょっと前までだったら、こんな所捨ててさっさとスタコラサッサ逃げてたのかもしれねえな……)
杏子(死ぬつもりはねぇ。だけど、死ぬ一歩手前くらいまでは頑張ってやろうじゃん。)
杏子(この街にはあたしの帰る場所があるんだ。それを壊させるのは癪だ。)
杏子(さやか……「今」はあんたの分まで戦う。だから……)
…………………………………………………
マミの家……
QB「……調子はどうだい?マミ」
マミ「……。」
QB「やれやれ、無視を決め込むかい。」
マミ(魔女になるなんて、辛いのはきっとみんな同じ……でも……)
マミ(そういう事を考えるのは、明後日からにしよう……いや……)
マミ(……限界まで、生きてみせよう……今は、目の前にある壁を乗り越える事……。)
マミ(あの時、美樹さんは私達を信じて託してくれた……。)
マミ(信じてくれた事を、裏切れない。プライドなんかじゃなくて、信念として)
QB「ふぅん……イレギュラー個体の僕。君の目論見で達成されたのは精々さやかが魔女になる事だけみたいだよ」
サージェス本部……
真墨「……なんか良い作戦思いついたか。」
明石「いや……これだけ資料があっても、動きに規則性が無い。」
明石「規則性が無いというよりは……自然現象のように動いているというべきか」
真墨「確かにな……ほむらのデータによると、世界によってソイツの強さも随分違うらしい。」
明石「無駄な作戦はむしろ命とりになるかもしれんな」
真墨「それにしても、一つ気にならねぇか……?」
明石「……その事か。」
明石「一つの街を通っただけで廃墟にしてしまう程の力を持った魔女が何故こんな風に漂うような動きしかしないのだろうか……だろ」
明石「内包しているエネルギーに比べ、動きが釣り合ってなさすぎる。」
真墨「あぁ……。それほどのエネルギーを標的への攻撃に使うような事になれば」
真墨「いいや、通っただけで街が廃墟になる。『漂うような動き』で『通っただけ』でだぞ」
真墨「もしワルプルギスが全力を出したら……ただじゃ済まないと思うぜ、俺は」
真墨「それにあのクエスターインキュベーターがネガティブの記憶を読み取ったというなら」
真墨「俺たちの戦力も分析した上で勝負にぶつかってくるだろうな……」
明石「……そうだな……。」
真墨「どうしたんだよ。何かいい作戦でも」
明石「いや、ないな。……煮詰まった、少し外を散歩してくる。」
真墨「おいおい……」
……………………………………
外……
明石(奴がどんな手を打ってくるか……それさえ掴めれば、対策の立てようもあるが)
明石(……奴らの科学力が未知だ……。予測を立てるのも難しい……)
明石(クエスターの記憶とゴードムエンジン……か。)
明石(以前、あの魔女に内蔵されていたゴードムエンジンも魔女を操る為の実験だろう)
明石(だが……とてもあの魔女は操られているようには見えなかった。)
明石(ワルプルギスはあんな魔女とは比較にならない程強力だ。たかだか一個体が奴に融合した所で操るのはおそらく不可能だろう……)
明石(だとすれば以前クエスターの使ったあの方法ならワルプルギスを操る事が……)
明石(……しかし、この予測が外れれば致命的だ。……確証が何もない。)
明石が決戦に思考を巡らせている中、
突如として明石の脳内に何者かの声が伝達される。
『聞こえるか……ボウケンレッド……』
明石「っ……!誰だ……?」
明石「いや……この声は聞き覚えがある……!」
『ボウケンレッド……お前たち……いや……すべてのスーパー戦隊に伝えておかなければならない事がある……』
…………………………………………
夜中、リビング……
まどか「……。」
詢子「どうした、こんな夜中に……。眠れないのかい?……嵐が怖くて眠れない……とか?」
まどか「……ねぇ、ママ」
詢子「はいはい」
まどか「……私、何があっても、絶対さよならなんてしないから。」
まどか「絶対、帰って来る……。」
詢子「そうかい……。」
詢子「……安心したよ。タツヤが事故った時みたいなお前はもういねぇんだな」
詢子「何でそんな事言うのかわからないけど、娘の事だ……全部信じてやる」
まどか「……ありがとう、ママ」
ワルプルギスの夜、決戦当日……
……………………………………………………
「うわあ……これは今までに類を見ないスーパーセルですね。」
「暴風、洪水……なんだこれは……。たまげたなあ」
「この辺にぃ、やばいスーパーセル、来てるらしいっすよ」
「やべぇよ……やべぇよ……」
「あーもうめちゃくちゃだよ」
「溺れる!溺れる!ああああもうやだあああああ!」
避難所……
タツヤ「まろかは?ねーちゃんどこいってもーたん?」
知久「ねぇ、本当に僕らだけ来て大丈夫だったのかな……」
詢子「大丈夫だよ……あいつは……絶対生きて帰って来る……!」
詢子「そう約束したんだ……。あいつが今まで約束破った事あったか……?」
知久「……そうだね。……僕らの子供だもん……。」
…………………………
決戦、vsワルプルギスの夜
ほむら(……また、この日……いや……最後の日にしてみせる……)
まどか「遂に来るんだ……ワルプルギスが……。」
マミ「……そうね。」
杏子「……なぁ、あたしから一つだけ言っていいか」
マミ「何かしら、佐倉さん」
杏子「なんか……なんつうか……その……」
杏子「お前らと会えなくなるなんてあたしは嫌だ。……だからよ」
杏子「死ぬなよ。絶対。」
まどか「うん。……私も自分を犠牲にしようなんて、これっぽっちも考えてないよ。」
マミ「死別なんて、私も嫌だわ。そんな悲しい思い、私もしたくないしさせたくない。」
ほむら「みんなで乗り越えるからこそ、意味があるんです……この戦いは。」
杏子「どいつもこいつも甘ちゃんばっかだなぁ、もう……調子狂うよな」
ほむら「……来ます!」
杏子「遂にお出ましか……ワルプルギスの夜……!」
5
4
3
2
1
『ウフフフフ……ハハハハハハハハハハ………』
厚い雲を割き、歯車を軋ませ、子供のような笑い声を挙げ、ワルプルギスが姿を現す。
ほむら「っ……!?」
しかし、その姿は……
今まで、幾度も同じ時を繰り返していたほむらの記憶とは大きく違っていた。
まどか「……!? こ、こんなに大きいの……!?」
マミ「暁美さんのデータでもここまで大きくは無かったわよね……!?」
杏子「ま……マジかよ……」
ほむら(今まで時間軸によってワルプルギスの強さは変動してきた……だけど……)
ほむら(ここまで強大なのは初めて……!おかしいよ……ここまで変わるなんて、ありえない……)
QB「……暁美ほむら。相当面食らってるようだね。」
QB「イレギュラー個体から聞いたよ。……君は時間遡行者だって?」
QB「……この世界にはいくつもの『希望』があった。だけどね」
QB「希望が多い分だけ、当然呪いも多い。」
QB「今まで幾多の戦隊に倒された悪しき魂達……。その怨念は、呪いの化身とも言うべきワルプルギスの夜を中心に集まった。」
QB「通常ならば、一体の魔女が抱え込める呪いの量というのはそれほど多くない。」
QB「だが、ワルプルギスは魔女の集合体だ……。抱え込める呪いの上限は無いと行っても過言ではないかもしれない。」
杏子「じゃあ何だよ……あたしらだけでその、30年分の敵と戦えってことかよ……!?」
QB「まぁね。間違ってはいないね。」
QB「怨念が現世に与えられる影響なんて微々たるものだが、……ここまで集まれば話は別だ。」
まどか「……やるんだ、私達が……逃げない……!」
マミ「……そう……ね……何もせず諦めるのは……」
杏子「……クソッ……そうだ……そうだよ……!」
杏子「一度死んだような連中が生きているあたしらに勝てるかよ……!」
ほむら「……私が最初に爆撃します。……それを合図に攻撃して下さい!」
杏子「……わかったよ。」
カチッ……
ほむら「……行きますっ!」
ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!……
ドドドドドドドドドドッッ……!ドォオオオオオオオオンッッッ!!!
ほむらが時間を停止させ、盾の中に収納していた武器のほぼ全てを打ち放った。
ビル一つ程度なら簡単に爆散させられる程の弾丸がワルプルギスの触れては停止する。
ほむら(……解除!)
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!
「ギャハハハハハ!!」
だが、ワルプルギスは依然として体制を変える事すら無く、笑い続けた。
時間停止を解除した途端、ワルプルギスから巨大な火柱が立ち、それを合図に杏子とまどかが近くのビルに飛び登った。
まどか「……ハァァァッッッ!!!」
バシュゥッ!バァアアアアアアアアッッッ!!
まどかが幾つもの弓を放つ。
それと同時に杏子がワルプルギスへ跳ぶ。
ドォンッ!
杏子「……ドラァッ!!」
ザクゥッ!
杏子「槍をブッ刺してやったぜ……」
杏子「聞こえるか、マミ!コイツにブチ当てろッ!!」
マミ『OK!』
地上……
マミ「……ッ!」
マミ(落ち着いて……佐倉さんが示してくれた場所に当てなきゃいけない……)
マミ(多少の弾丸の軌道の制御は可能……だけど、大幅な制御は出来ない……)
その時、ビルの合間からゆっくりとワルプルギスの巨体が姿を現す。
マミ「……今よ、この位置からなら……!」
マミ「ティロ・フィナーレッ!!!!」
黄金の弾丸は杏子の槍を伝い、ワルプルギスの体内へ直接破壊エネルギーを送り込む!
……ドォオオオオオンッ!
ビルの屋上
まどか「……狙い通り!」
杏子「やったか……!?」
「アハハハハハハハ!ウフフフフフフ!ギャハハハハハ!!」
杏子「何……だと……!?」
まどか「全然効いてないっ……!」
「ウフフフ……ハッハッハ……」
杏子「いや……アイツ、こっちを睨んでる……!?目が無いからわかんねーけど確実にこっちを見てる!」
まどか「って事はちょっとは効いたって事だよね!?」
「フフフフ……ハハハハハハ……」ゴォッ……
杏子「ッ!!逃げるぞッ!!」
まどか「うん!」
ゴオオオオオオオオオオオオッッッ!!
ボオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!
……ゴォオオオオンッッ!!
ワルプルギスの放った火炎が杏子とまどかの居たビルを焼き払った。
たちまちビルは跡形も無く消滅した。
地上……
杏子「わああっ……あぶねーよ……」
まどか「もしあそこに居て逃げ遅れてたら……」ゾッ
マミ「……少しもダメージを与えられていないの……?」
ほむら「これだけ打ってもダメなんて……この時間軸のワルプルギスは強すぎる……!」
杏子「バカ言ってんじゃねえ!まだ始まったばっかだろ!あたしらも余裕あるじゃねえかッ!」
まどか「そうだよ!それに、少なくともあの時、私達を狙って攻撃してきた。って事は……」
マミ「……!」
ほむら「私の時間停止が使えるのは……持ってあと数分です!それまでに……」
杏子「あぁ!こんどはもっと激烈なヤツをだな……」
ズゥンッ……ズゥンッ……
まどか「わっ……!?地響き……!?」
杏子「いや、ちげぇ……この地響きは多分……」
ゴオオオオオオオオオオオッッッ!!
マミ「わぁああっ!!」
ほむら「うぅっ!」
静かに響いた地響き、そして4人を吹き飛ばしかねないような突風。
それと同時に、静かに、そして轟音をあげ、巨大な鋼鉄の巨人がビルの合間を、4人の上空を過ぎ去った。
『アルティメットダイボウケン!合体完了!』
『サイレンビルダー!合体完了ォッ!』
…………………………………………………………
アルティメットダイボウケン、コクピット内……
ブラック「嫌な予感してたけど、やっぱりかよ……」
ブルー「ほむらちゃんのデータをどれも凌駕してる……!」
イエロー「ア、アルティメットダイボウケンよりも大きいよぉ~!?」
ピンク「体長およそ300メートル……アルティメットダイボウケンの約6倍!」
ピンク「ハザードレベル……測定不能!」
ブルー「何だって……!?」
レッド「怯むな!隙を見つけ出し確実に一撃を当てろ!……奴が消耗すれば弱点が見つかるハズだ!」
ブラック「あぁ!」
シルバー『行くぜ!』
ワルプルギスに詰め寄ろうとアルティメットダイボウケン、サイレンビルダーのアクセルを踏み込む。
……ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!
『ぐぁあァァァッ!?』
突如、爆発が2体を襲った。
シルバー『どうしたんだ、一体!』
ブルー「今の攻撃、ワルプルギスじゃないよね!?」
ピンク「……!ワルプルギスの遥か上空から巨大なエネルギー反応ッ!……あれは!」
レッド「何……!?」
イエロー「あ、あれってもしかして……!」
ブラック「……クエスタージェット……!」
『……聞こえるかい、ボウケンジャー……』
レッド「やはり貴様か……。インキュベーター……。」
ゴゴゴゴォオオオオオオオオ………
二体の上空に、ワルプルギスを覆うような巨大な戦艦が出現する。
戦艦から、声が発せられる。その声はインキュベーターのそれだった。
『ゴードムエンジンにアシュ……いや、クエスターの記憶……そして、邪機竜の技術』
『……これだけ揃っていれば予想するなんて簡単だろうね。』
『もっとも、君達の戦力は一つを除いてもう出揃っている。……その一つも大した戦力には成りえない。』
『君達には今ワルプルギスを倒す事は不可能さ。』
シルバー『うるせぇッ!お前の言う通りになると思うんじゃねぇぜッ!』
イエロー「そうだよ!絶っっっ対に負けないんだから!」
『……ワルプルギスの弱点は、攻撃対象を絞らないという事かな。』
『その強大な力も拡散してしまえば薄まる。当然だよね。』
『もしここで君達を再起不能にしたところでワルプルギスは止めを刺そうとはしないだろう。』
『そして、世界をまた漂い始める。……文明を終わらせる程の力を持っていてもそんなんじゃあ、君達のお仲間が総力を上げればなんとかなるだろうね』
『だからこそ、攻撃目標を確実に殲滅するため、ワルプルギスを操る必要がある。……こんな風にね。』
『ハ……ハハ……!?』
クエスタージェットから、赤い稲妻が伸びる。
その稲妻はワルプルギスを強制的に反転させ、そしてクエスタージェットはワルプルギスに取り付いた。
ガシャアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!
『ハハハハハハハッ!!!』
クエスタージェットに取り憑かれ、ワルプルギスは一層強く笑う。
シルバー『あんなでっかいワルプルギスを乗っ取りやがった!?』
ブルー「あんな巨大な魔女を操れるなんて……!あのクエスタージェットは僕らが戦った時よりも何倍も強力になってる!」
ピンク「っ……!」
……………………………
地上……
杏子「何だよあれ……!」
QB「……まさかね。最悪のケースだよ。」
QB「今の彼は使命感よりも感情を優先して動いている。」
QB「アシュ達の細胞を僕らの体で培養するには、相当のエネルギーが必要だ。故に、地球じゃあ簡単に彼のようなのは作り出せない」
QB「きっと彼は、あのマシンや強靭な肉体を創りだすのに、僕らが集めたエネルギーを逆流させただろう。そんなの本末転倒じゃないか。」
QB「あれはもうインキュベーターとは違う何かだよね。」
QB「だけれど、思考のベースは僕らと同じだ。考える事は予測出来る。」
QB「……恐らく、ワルプルギスを支配し彼らを倒した後、彼は……あの母艦を使って一度僕らの母星に戻って、それから……」
QB「帰還後、母星の個体にアシュ・ジャリュウ一族の細胞、そしてゴードムエンジンを植え付けるだろう。……僕らの集めたエネルギーを使うのだろう。」
QB「僕らの個体全てがあのようになったら、今度は圧倒的軍事力で地球侵略を開始するだろうね。」
QB「あの力があれば契約直後に魔女へと変貌させる事も出来るんじゃないかな」
QB「僕らは、軍事力が無いから彼に太刀打ち出来ないだろう。なすすべが無い。……僕の個体はほぼ無限だ。」
QB「無限とも言える彼らに地球人は勝てるだろうかね?」
まどか「な……何だって……」
QB「当然、僕らとしてもそれは避けなくちゃならない。だけどどうしようも無い。」
QB「……活動の拠点を別の星に移さなくちゃならないかもね。」
マミ「地球が……!?」
ほむら「ワルプルギスを倒すのだって精一杯なのに……」
『宇宙を守る為だ……。排除させて貰うよ!!』
ゴォオッ……
レッド「!来るぞッ!」
『ハハハハハ!!』
ワルプルギスは、その豪腕を振り上げ、そして勢いよく振り下ろした。
ドガァアアアアアアッ!!
『ハァッ!』
シルバー「ジャッキダウンッ!……サイレンビルダージャンプッ!」
ゴォオオオオオオッ!!
その場から飛び退き、二体はそれを回避する。
シルバー「女の子の命を犠牲にして……何が守る為だ!頭冷やせッ!」
シルバー「……ダブルウォーターシュート!」
ボシュウウウウッ!!
ズガァッ!!
『……効かないよ。』
シルバー『なっ……ならこれでも喰らいやがれ!……トリプルリキッドボンバー!!』
ボシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッ!!!
『無駄だよ』
トリプルリキッドボンバーすらも意に介さず、ワルプルギスは拳を固め、サイレンビルダーを殴り飛ばす。
サイレンビルダーは吹き飛ばされる。
……ゴオオオオオオオオオオオンッッ!
シルバー「がぁアアアアアッッッ!!」
ブルー「シルバー!サイレンビルダーが……!」
『彼の事を気にしているヒマがあるかい?』
イエロー「くるよ!」
ボオオオオオオオオッッ!!
ワルプルギスが豪炎を吐き出す。
アルティメットダイボウケンはそれを空中で旋回し、回避する。
ブラック「……今だッ!」
『オーバートップギア・IN!!』
『アルティメットブラスターッッッ!!』
ゴォオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!
……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!
『ハハハハハハ……ハハハハハ……』
必殺の爆炎が炸裂する。
だが、笑い声を歪めず、ワルプルギスは笑い続けた。
ブラック「アルティメットブラスターも通用しねえのか!?」
『ハハハハハハ……』
周囲のビルが持ち上がり、上空で数秒静止後、
アルティメットダイボウケン目掛け、勢いよく落下する。
ゴォッ……
ピンク「ッ!上部からビルが我々目掛け迫ってます!」
レッド「……迎撃するぞッ!!」
ゴォオオオオオオゥウウウンッ……
ドォオオオッ!!
『ドリルアタック!……ショベルアームパンチッ!!』
ガギィッ!……ボガァッ!!
ガァァッ!
……ドォオオオオンッ!
『……ぐぁああああああッッ!?』
しかし、とても裁き切れる程の量ではない。
背後から迫り来るビルが直撃し、コクピットから火花が散る。
そして、アルティメットダイボウケンは墜落した。
ズゥウウウウウンッ……
ブラック「クソッ……何て力だッ……」
レッド「まだ飛べるか……!?」
ピンク「はい……!しかし、バランサーが僅かに破損しました……機能回復まで数秒の隙が!」
『しぶといね……。だけど……。』
『ゴードムエンジン作動……。次の攻撃は特別に強化する。』
『……耐えられるかな?』
ゴゴゴゴゴゴゴ……
ドォオオオオッ……
ワルプルギスが口部に巨大なエネルギーを形作る。
その炎は、アルティメットダイボウケンの体高と同程度。これをまともに喰らえば再起不能になる事を
5人は直感で察した。
ブルー「まずいッ……!!あれを喰らえばひとたまりも無い!」
イエロー「早くここから飛ばなきゃぁ!」
『……遅いよ。』
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!
シルバー『おらあああああああああッッ!!!』
レッド「……シルバー!」
放たれた豪炎と、アルティメットダイボウケンの間にサイレンビルダーが割って入る。
ボガァアアアアアッッッ!!
シルバー『がァッ……!!』
ズガァアアアアアアッッッ!!!
シルバー『クソッ……耐え切れねえ……限界……ッ……後は任せた……ぜ……!!』
ドガァアアアアアアンッッ!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!
サイレンビルダーは大破した。
外装は剥がれ、溶け、無残な姿となって倒れこむ。
ズシャァアアアッ……
『あれ……まぁいいか。ロボットを一体、再起不能にした。』
『残るは君達だけだよ。』
ブラック「……映士……!」
ピンク「機能回復しました!」
レッド「……飛ぶぞ!」
ゴオオオッッ!!
アクセルを踏み込み、上空へ飛び立つ。
レッド「……頼むぞ、ズバーン!」
『……ズ・バ━━━━ン!!!』
レッド「……ズバーンに力を集中させろッ!!」
空中に振り上げられた黄金の剣が、いっそう強く輝き、巨大化する。
『大聖剣斬りッッッ!!!』
ズッシャアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!
『フゥーハハハハハハ!!!ハッハッハ……!?』
大聖剣が振り下ろされる。
ワルプルギスは腕を交差し、受け止める。
QB『何っ……!?』
レッド「……行くぞ皆ッ!フルパワーだァァァッッッ!!!」
バシュッ……ズッ……ズッ……
輝いた黄金の剣は、僅かずつだが、確実にワルプルギスの腕に食い込んで行く。
QB『ダメだ。このままではワルプルギスが真っ二つになってしまうかもしれない。』
QB『ゴードムエンジン作動!』
『ウフフフフフフ……ハハハハハハ……』
ボォオオオオ……
シュゥウウウウウウウウウッ……
再びワルプルギスの口部にエネルギーが集結してゆく。
QB『エネルギー充填完了!……これで終わりだよ……!!』
ボォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!
ゴオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!
ワルプルギスの豪炎がアルティメットダイボウケンを包み込む。
火炎がアルティメットダイボウケンのボディを焦がし、溶かし、破壊して行く!
『ぐぁあぁあああああッッッ!!!!』
ズバーン「ズンッ!?」
ワルプルギスに食い込んだズバーンも吹き飛ばされ、完全に優位性を崩す。
イエロー「こ、このままじゃあ!」
ブラック「クソッ……ドライバーが効かねえっ!!」
ブルー「耐熱限界だ!きっと回線が焼ききれてしまったんだ!」
バチィイイイッ!!
レッド「諦めるなッ!……出来るだけパラレルエンジンを作動させろ!」
レッド「アルティメットブラスターを機体の防御に回せ!」
ピンク「アクチュエーター破損!……ナンバー1から5まで完全に機能停止っ……!?」
ブラック「機能停止……だと!?」
バチィッ!バチィッ!
コクピットの照明が消え、火花が散る。
ドォンッ!
ブルー「このままでは……機体が空中分解するっ……!」
ドガァアアンッ!
イエロー「うわあああっ!!」
コクピットからさらに大きな爆発が起こる。
それを合図に、完全にアルティメットダイボウケンは機能を停止した。
『ぐぁぁッ……!』
バゴォンッ!ドォンッ!
レッド「まだだ……まだ……!」
………ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!
限界に達し、遂にアルティメットダイボウケンの機体が大爆発を起こし、個々のビークルとなって吹き飛ばされる!
サイレンビルダーと同様に外装は溶け、破損した無残な姿となり、街に墜落する!
『……終わりだ。完全に……。』
『パラレルエンジンの反応、消滅……』
地上……
まどか「……ウソ……ロボでも勝てないって……」
QB「ここまで追い詰められるかい……」
杏子「あんなのと、どうやって戦えば良いんだよ……!」
決戦、vsワルプルギスの夜……
『パラレルエンジンの反応……消滅……』
『いや……』
『まだ残っていたか……』
『あの状況で機体の爆発を利用して豪炎から脱出するとは、卓越した判断力だ。侮れないね』
『……ボウケンレッド。』
レッド「あぁ……。まだ終わる時じゃあ無いからな」
アルティメットダイボウケンが爆発する寸前、ボウケンレッドがアルティメットジェットに移動し、
合体を解いた。
豪炎から脱出し、「ダイタンケン」が、ワルプルギスと相対する!
『……だけど、出力は随分落ちているようだよ』
『そんなんで勝てるのかい?』
ボォオオオオオッッ!
レッド「……ハァッ!」
挨拶換わりと、火炎を放つ。
ダイタンケンはそれを回避し、ワルプルギスへ進む!
ゴォッ……
レッド「今度はビルか!」
レッド「ハァッ!」
ゴォゥッ……
ダイタンケン目掛け、ビルが3棟急接近
ダイタンケンは急降下し、回避する。
3棟のビルは空中でぶつかり合い、砕け散った!
レッド「機動力なら、ダイタンケンの方が上だ!」
ゴォオオオオオッ!!
レッド「……ボウケンフラッシュ!」
バシュウウウウウッ!ドォオオオンッ!
急上昇、ワルプルギスの目前まで迫り、ボウケンフラッシュを放つ!
レッド「……!」
ゴオオオオオオンッ!ガシィイイイッ!!
レッド「ぐぁっ……!?」
『……その程度で倒せると思ったかい?』
『……捕らえたよ。こうすれば得意の機動力も意味無いね』
ワルプルギスの両腕がダイタンケンを捕らえる
ダイタンケンを握りつぶそうと力を強めて行く!
『……パラレルエンジンの反応が弱い。やはりさっきの攻撃から完全に脱出出来た訳じゃあないんだね』
『このままでは握りつぶされてしまうよ。耐圧機能は落ちているようだからね』
レッド「いいや、ここからなら狙えるさ。」
レッド「ビッグレッドボンバーッ!!」
ドォッ!……ドォオオンッ!
『!?』
ズァアアアアアッ……
ダイタンケンの頭部が射出され、クエスタージェットに突撃する。
『……まだ隠し球があったか。でも効かないよ』
『そうか……これが君の作戦か……』
『直接このクエスタージェットを狙い打つ……けど残念だったね』
『こういう事も考慮に入れてある。』
『きっと君達の装備じゃワルプルギスに勝てないと判断したから、こういう手に出るしかなかった。』
『違うかい?ボウケンレッド』
『返答が無い。答えないというのは図星のようだね。』
ダイタンケンを握り、力を強めながら問う。
ボウケンレッドから言葉を返される事は無かった。
数秒の末、インキュベーターは明らかに様子がおかしい事に気づいた。
『いや……!?』
『違う……!これは……!?』
……………………………………………
クエスタージェット、内部……
QB「そうか……それが本当の狙いか……ボウケンレッド……!」
レッド「あぁ。」
インキュベーターの背後にボウケンレッドが立つ。
ダイタンケンに気を取られていた隙にクエスタージェット内に侵入したのだ。
QB「しかし、何故……?ここに侵入するのも予期して、いくつも防御網を張っていたハズなんだけれど」
レッド「この程度、世界一のトレジャーハンター……不滅の牙の手には朝飯前と言った所だ」
QB「そうか……でも、僕の体には君達がネガティブと呼ぶ者たちの力が宿っている。」
QB「……こういう事も出来るんだよ。」
インキュベーターがボウケンレッドを振り返り見た。
すると、突然インキュベーターの体が巨大化。2m程度の大きさとなる。
白かった肌は黒色に変化し、その体表は神話の怪物のように悍ましい。
レッド「その体は……!」
「リュウオーン……クエスター……ゴードムエンジン……それらを元に、さらに強化改造を施した」
「そうだね……。あらゆる災厄の力を宿し、そして人間たちを絶望の淵へ叩き込む……」
「絶望……『デスペラード』と名付けようか」
レッド「……ボウケンジャベリン!……アクセルテクター!」
レッド「ハァッ!」
ジャキィッ!
デスペラード「……無駄だよ!」
アクセルテクターを装備し、デスペラードに突撃する。
その体でジャベリンの突きを受け止めると、腕を振り払い、ボウケンレッドを吹き飛ばす
レッド「ぐぁっ……!」
ダァンッ……
レッド「……サバイバスター!ハァッ!」
バシュッ!バシュッ!
デスペラード「無駄無駄無駄!」
ガキィンッ!ガキィンッ!
デスペラード「ハァアアアッ!!」
バチイィィィッ!
サバイバスターの銃撃を弾き、稲妻を放つ
レッド「があぁあああっ!!!」
ドォオオオンッッ!!!
ガシィッ!
デスペラードはボウケンレッドに迫り、首を捕らえる。
レッド「ぐっ……あぁっ……!」
デスペラード「無駄なんだ……無駄無駄」
ボウケンレッドを投げ飛ばし、壁面に叩きつける。
デスペラード「それなのに何故……?どうしてそんな風に何度も向かってくるんだい?」
デスペラード「……少数の犠牲で宇宙全体が助かる。光栄な事じゃあないか。」
デスペラード「どうして邪魔をするんだ。」
腕を振り落とす。
咄嗟にボウケンジャベリンで受け止める。
レッド「悪いな……俺は人間だ……!」
レッド「いつ来るか解らない滅びよりも……目の前の彼女たちが犠牲になるのを見過ごす訳にはいかないんだ……ッ!」
デスペラード「なら、この地球は僕が管理した方が良いね」
デスペラード「その方が無駄な争いも無い。」
デスペラード「犠牲だって必要な分だけで済むんだよ?」
レッド「……!」
レッド「お前の作る世界に……夢はあるのか……!」
デスペラード「夢……?」
レッド「人が夢見る様々な可能性……!」
レッド「例え矛盾だらけでも、不完全であっても……俺は……」
レッド「人の数だけ夢がある……!生きた証がある……!」
レッド「貴様の作り上げる世界よりも……」
レッド「……そんな世界の方が……俺は好きだ……!」
デスペラード「夢……?そんな物の為に……」
レッド「ハァッ!」
ドォッ!
デスペラード「ガァッ!?」
動揺した隙に腹部へ蹴りを入れる。
デスペラード「それに今、宇宙の果てから強大な驚異がこの星に迫っている……!」
デスペラード「それを退く為にも……」
レッド「……ジャベリンクラッシュ!!」
ジャキィイイインッッ!
デスペラード「……無駄だよ。何度も言わせないでほしい。」
デスペラードは片腕でボウケンジャベリンを受け止める。
レッド「……ボウケンボー!」
ガシィッ!
ボウケンボーのアームがデスペラードの腕を掴み返す!
レッド「……デュアルクラッシャー!……ミキサーヘッド!」
レッド「……GOッ!」
バシュゥッ!ビキビキビキ……
デスペラード「何……!?」
ボウケンジャベリンを、捕らえた腕事ハイパーコンクリートで包み込む!
ボウケンレッド「……ハァアアアアアアアッッッ!!!」
ガシャアアアアンッッッ!!!
デスペラード「グァッ……!?」
窓を突き破り外へ自分の体事放り出す。
飛び出した二人はそのまま重力に引かれ地面へ落下!
ゴォオオオオオオオ……
ヒュゥウウウウウ……
デスペラード「これが狙いか……!全く君達には驚かされるよ……!」
デスペラード「落下中では思うように身動きが取れないだろう。ここで始末させてもらう。」
レッド「……ドリルヘッド!……GOッ!!」
デスペラード「無駄!」
ガキィッ!!ガシュゥッ!
空中でドリルビームを放つ。
しかし、デスペラードの片腕がそれを防ぎ、拡散させる。
ゴォオオオッッ!
レッド「ッ……!」
ドリルビームを放った反動でボウケンレッドは後退する。
デスペラード「ハァアアアッッ!!」
バシュウウウウ!
ドォオオオンッ!
レッド「……ぐああああああっっ!!!」
離れたボウケンレッド目掛け、稲妻を放つ。
ボウケンレッドは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる!
……ドタアアアアンッッ!!
シュゥゥゥゥ……
明石「ぐっ……がっ……!」
デスペラード「しぶといね。あの高さから叩きつけられて無事だとは」
同時に、デスペラードも地へ降り立つ。
デスペラード「……ここまでだ。」
明石「……ッ!」
ブラック「サバイバスター!!」
バシュゥゥン!ズガァアアンッ!!
デスペラード「!?」
明石ににじり寄るデスペラードに、突然銃撃が炸裂した。
ブラック「明石!しっかりしろ!」
ピンク「暁さん……!」
ブルー「……!あれは……インキュベーター……なのか……!?」
イエロー「あの姿って……前に私達が戦った……!」
デスペラード「そうだよ。ガジャの記憶を頼りに再現した。」
デスペラード「しかし、あんなスクラップ同然の機体からよく生還したね。」
シルバー「俺様達は不死身なんだよ……!行くぞ!」
ズバーン「ズ……ン……!」
デスペラード「ハァアアアアッッ!!!」
バシュウウウウウ!!
デスペラードが5人目掛け稲妻を放つ。
それぞれに命中し、アクセルスーツは火花を散らす。
『うわぁあああああッッッ!!!』
シュゥウウウン……
ドァアアアアッ……
真墨「クソッ……」
さくら「まだです……限界は……まだ……!」
映士「もう一度だ……!次で決着を付ける!」
明石「あぁ……そうだ……!」
アクセルスーツの変身が解かれ、吹き飛ばされた。
だが、決して倒れず、再びアクセルラーを握り、立ち上がった
デスペラード「ふぅん……そうか……。」
デスペラード「……君達に止めを刺すのはたやすい。けど」
デスペラード「君達は侮れない。ここでどんな悪あがきをして逃げ出すかもわからないね。」
デスペラード「だから、……確実に仕留められる方法で止めを刺そう。」
杏子「……明石!」
まどか「な、何あれ……!?キュゥべえ!?」
QB「……らしいね。」
ボウケンジャーの基に、4人の魔法少女が駆けつける。
デスペラード「ワルプルギス、起動だ。」
「ハハッ……」
蒼太「……!?ワルプルギスが……!」
菜月「何で……!?操縦はもう出来ないハズじゃ……」
操縦室内から操縦者が消えた事によって、一時的に動きを停止していたワルプルギスが再び嗤う。
デスペラード「残念だね。離れていても操れるんだよ。ゴードムエンジンでつながっているからね、僕ら」
デスペラード「この火炎ならかすりさえすれば生身じゃあとても耐えられない。」
デスペラード「……逃げられるかな、君達に。無理だよね」
明石「っ……」
デスペラード「終わりだよ。」
「ハハハハハハハハ!!!」
………………………………………
デスペラード「……?」
デスペラード「発射だ……!発射しろ……!」
デスペラード「……!?どうしたんだ、ワルプルギス……!?早く命令を…… いや……!」
デスペラード「操縦が効かない……!?」
デスペラード「莫迦な!あのクエスタージェットの支配から逃れる事は例えワルプルギスでも不可能だッ!」
デスペラード「違う……!クエスタージェットとの通信は確かに繋がっている!だけど……!」
デスペラード「機能しない!クエスタージェットの回路が……破壊されているッ!?」
明石「……やってくれたか。」
デスペラード「何……!?「やってくれた」とはどういう事だ……!?」
デスペラード「君があの時侵入した時に破壊する暇など無かったじゃないか!」
明石「切り札さ。最後のな。」
デスペラード「切り札?」
…………………………………………………………
「え、えーとぉ……これで壊れたのかな……」
「知らないわよ!私に聞くんじゃないわよ!それよりも、早く脱出しましょうよ、ゲッコウ様ぁ~~~!!」
ボゴォンッ!
「わぁっ!?バクハツした……き、きっと壊れたよね……」
「早く降りましょう!ゲッコウ様!」
「ま、待ってよ!置いていかないで!」
「置いていかれたくないなら早く掴まるのじゃ!間に合わなくなっても知らんぞ!」
………………………………………
………………………………………
デスペラード「何だって……?君達にはもう……」
デスペラード「『ダイボイジャー』とかいう機体を除いて戦力は無いハズだろう……!」
デスペラード「何処にそんな隠し球が……」
明石「隠し球……?お前自身がよく知っているハズだが……」
明石が空を指差す。
デスペラードも振り返り、そして……
デスペラード「……!」
デスペラード「バカな……何故君がここにいる……!?」
デスペラード「君は確かにあの時……!何故……!?おかしい、ありえないよ……!」
バサッ……バサッ……
「ぬぅぅっ!!重いぞ、二人は流石に……」
「うるさいっ!じゃああんた降りなさいよ!」
「じょ、冗談じゃないですよ!どう考えても重いのはシズカさんでしょ!」
「黙れ!ガキんちょがエラソーに言うんじゃないわよ!」
「むぅっ……もうムリ……」
「「わあああああああっっ!!落ちるぅううううう!!!」」
ヒュ━━━━……
ドシィイイイイイインッッ!
「い、痛いっ……」
「あんたのせいじゃないのよ、全部!」
デスペラード「あの時、確かに魔女になったハズなのに……!」
「うぅっ……痛い……」
デスペラード「美樹さやか……!?」
さやか「見たか!この絶妙なタイミング!」
まどか「さやかちゃん!」
マミ「美樹さん……!」
ほむら「……!」
さやか「えへへ……まぁ、そんなで一番格好良いタイミングで登場でありますよン!」
杏子「バッカ野郎……おせーんだよおおお!!」ガシッ!
さやか「くっ、苦しい!遅いとか言われてもこういう作戦だからしょうがないんだよ!」
杏子「うるせっ!うるせっ!」
まどか「杏子ちゃん、すっごく嬉しそうだね」
マミ「……おかえりなさい。待ってたわ。」
デスペラード「あの時、美樹さやかの魔女は確かに君達が倒した……!」
デスペラード「それに、グリーフシードからソウルジェムに戻るなんて有り得ない!」
デスペラード「い、いや、それ以前に……杏子の記憶だと、さやかのグリーフシードは確かに杏子の手にある!」
デスペラード「何故だ……!さやかは魔女になった……!一度ソウルジェムの反応が無になったのは間違い無いのに!」
映士「……あぁ、あの時、確かに魔女は倒したぜ。……でも別に誰も『さやかの魔女』なんて言って無いだろ」
ズバーン「ズン!」
デスペラード「どういう事だい……?もうさやかのソウルジェムはグリーフシードになるのを防げない程穢れが……!」
明石「まぁ、普通のグリーフシードだったならばそうだろうな。」
蒼太「そうそうそうた!でも、あの時僕が持っていったのはパラレルエンジンで特別に強化したグリーフシード!」
蒼太「普通のグリーフシードよりも穢れを吸い取る力は何倍も強力!」
デスペラード「なっ……」
菜月「それで、えーと……確か、穢れを吸い取れたのは良いんだけど、……」
菜月「さやかちゃんのソウルジェムが……孵化する寸前?で……」
真墨「あぁ。あいつのソウルジェムは半分グリーフシードになっていた……。」
真墨「ソウルジェム、グリーフシード……どっちに転んでもおかしくない。魔力も穢れもほぼ空っぽだ。魔力が探知出来なかったのはそのせいだ」
真墨「いいや、サージェスの総力を挙げても可能性はようやく半分って所か……?」
さくら「それに、時間もデータも少なかったせいでグリーフシードのチューニングも完全には済ませられなかった。」
さくら「……あの時孵化したのは最初に高丘さんが回収したグリーフシードの魔女……」
さくら「手がわかっているとはいえ通常以上の穢れを溜め込んだ魔女と戦うのは骨が折れましたが……」
映士「……もし返し忘れてなかったらどうなるかって、考えただけでヒヤヒヤするぜ!」
明石「蒼太があと一秒でも遅れていたら取り返しがつかない事態になっていただろうな……。」
明石「これも、杏子達、そして何よりさやかが俺たちに手を伸ばしてくれたからだ。」
デスペラード「しかし4人は……!彼女達はさやかが魔女になったと思い込めばどうなるか……!」
明石「こんな危険な状況をお前に知られてしまえば、お前は無理にでもさやかを魔女にしようとするだろう。」
明石「だから早急にサージェス本部で匿う必要があった。……その間、あの作戦が思いついたという訳さ」
デスペラード「君達は何故絶望しないんだ……!何故……!」
デスペラード「君達にとってみれば目の前で美樹さやかが殺されたも同然なんじゃないか……」
杏子「……あの時明石が投げたグリーフシードは……なんつうか、『本物そっくりに作ったニセモノ』……手にとってそう解った」
杏子「で、何でこんな小難しい、手の込んだ事やるのかわかんなかったけど……」
杏子「何となく解ったんだよ。……明石が仲間を犠牲にするハズがねぇって!だから猿芝居にノッてやったのさ!」
マミ「どうだったかしら、私の迫真の演技は」
杏子「演技だったのか……あれ!?……正直ガチで殺されるかと思った……」
デスペラード「ニセモノ……!?」
ほむら「……そう。……『記憶』しか読み取れない貴方には、あの時私達がどう思ったかなんて解らないでしょうけど」
ズバーン「ズンッ!バーン!」
まどか「それに、さやかちゃんは絶対に私との約束を破ったりしない!絶対戻って来るって!」
マミ「今まで私を信じてくれた!だから、私が信じてあげる番!」
さやか「あたしも、なんかみんなの事忘れられなくて……生きなきゃ、戦わなきゃ、逃げたくないって思った……気がする!」
ズバーン「ズンッ!!」
デスペラード「わけがわからないよ……確証も無い物にすがれる……?」
杏子「お前にゃ一生わかんねーよ!」
杏子「……一生もクソも、あたしらがここでぶっ倒してやるけどな!」
ズバーン「ズンズン!」
ゲッコウ「うぅむ……久々にキツイ運動だったわい……こんな重労働何時以来じゃろうか……」
シズカ「あんた達のせいで、DSカンパニーの株大暴落よッ!どうしてくれるの!」
QB「僕に言われても」
ゲッコウ「シズカ……早く戻って休みたいんじゃ……」
シズカ「ヘンッ!ま、ここまで協力してあげた事に感謝しなさい!アホアホボウケンジャー!ちんちくりんなアホガキ共!」
シズカ「じゃぁねぇ~バイバーイ!」
ドロンッ!
蒼太「……素直じゃないんだから。」
デスペラード「……そうかい……」
デスペラード「どの道、ここで君達は倒さないと行けない。」
デスペラード「終わらせてあげる……うぅっぷ、おろろろげえぇぇぇええええッッッ!!!」
デスペラードは口部から大量のカースを吐き出す。
そして、身体を掻きむしり、細胞を散らばらせる。
その細胞は竜人兵ジャリュウへと姿を変える。
「「クワァァアアアアッッッ!!!」」
杏子「また使い魔作戦かよ、どいつもこいつもやることは同じだな!」
デスペラード「いいや、さらに……」
デスペラードの体から赤い光球、そして紫の光球が二つ出現する。
その光は、三つの人型を形作る。
真墨「あれは……!リュウオーン……!それにアシュじゃねえか!」
デスペラード「元はリュウオーンとアシュの細胞を取り込んだんだ。これくらい作れて当然だろう」
デスペラード「……アシュにはゴードムエンジンの力を注ぎ込む。」
ガシッ……シュゥゥゥゥゥ
ガイ「……。」
レイ「……。」
デスペラード「アシュ、改めクエスターの再誕だ。」
デスペラード「そして、3人に読み取った、細胞から抽出した記憶をインプットする。」
シュゥゥゥ……
ガイ「……あ?何だここ……あん?テメェら!ボウケンジャーじゃねえか!」
レイ「理由は解らんが、……甦ったらしいな、俺たちは」
リュウオーン「この体……!私はまだヒトの体に堕ちてはいなかったのか!」
デスペラード「限りなく本物に近い。……どうかな」
杏子「……そこまでして喧嘩売ろうってのか、あたしたちに!」
明石「……準備はいいか。」
『勿論!』
『当然です!』
『ズバンッ!』
明石「さぁ……本当の冒険の始まりだ。行くぞッ!」
『レディ!ボウケンジャー・スタートアップ!』
『ゴーゴーチェンジャー!スタートアップ!』
『魔法変身!』
『熱き冒険者! ボウケンレッド!』
『迅き冒険者! ボウケンブラック!』
『高き冒険者! ボウケンブルー!』
『強き冒険者! ボウケンイエロー!』
『深き冒険者! ボウケンピンク!』
『眩き冒険者! ボウケンシルバー!』
『ズ・バーン!』
『鹿目まどか!』
『美樹さやか!』
『暁美ほむら!』
『巴マミ!』
『佐倉杏子!』
『果て無き冒険スピリッツ!』
『勇気の絆が未来を開く!』
『 轟轟戦隊! ボウケンジャー!!! 』
『 魔法戦隊! マギレンジャー!!! 』
レッド「アタック!」
『ハァアアアアッッッ!!』
12人の戦士が、デスペラード目掛けて跳ぶ。
レッド「……お前の野望もそこまでだ!」
デスペラード「やれやれだよ。邪魔しない……って訳にはいかないかな」
さやか「そんな訳無いだろ!」
ガイ「おぉっと、ボウケンジャー!てめぇらはこっから先には行けねぇぜ?」
ガイ「……ここで俺たちにブッッッッ倒されるからなァアアア!!」
デスペラード「僕はワルプルギスの元へ向かうから、ここは君達に任せるよ。」
デスペラードがワルプルギスを目指し、ゆっくりと背を向け歩き始めた。
12人が追おうとするが、カース、ジャリュウ、そしてガイ、レイ、リュウオーンが阻む。
レイ「……利用されるのは癪だがボウケンジャー共を叩き潰せるのなら、俺はそれでいい。乗ってやろうではないか」
リュウオーン「……フンッ!」
杏子「……待ちやがれっ!!」
さやか「ワルプルギスを復活させられたらあたしの努力何だったの!」
カース『クワァアアアアアアッッッ!!!』
ジャリュウ『ミギャアアアアアアッッ!』
シルバー「ガイ、レイ、リュウオーンに、カースにジャリュウ……」
シルバー「ここは俺様たちに任せてお前たちは先に行け!」
ズバーン「ズバンッ!」
マミ「……えっ……」
まどか「で、でも私達であのインキュベーターを倒せるのかな……」
シルバー「弱気になってんじゃねえよ!大丈夫だ!昔ならいざ知らず、今のお前らならな!」
ピンク「まどかさん。……貴方の笑顔を、信じてます!」
まどか「……はい!さくらさん!」
イエロー「今のマミちゃん、きっと、絶対すっごい強いから!みんなと力を合わせて!」
マミ「……分かりました、菜月さん!」
ブルー「さやかちゃん。君の勇気は、絶対に君を裏切ったりしない。……頑張って!」
さやか「了解、蒼太さん!」
ブラック「ヘマすんじゃねーぞ!ほむら!」
ほむら「うん……真墨!」
レッド「杏子……お前がチーフだ。頼んだぞ」
杏子「ったりめえだ、明石!……行くぞ、皆!」
まどか「うん!」
五人の少女たちは、デスペラードの跡を追う。
戦闘員の軍団、そして3人の幹部とボウケンジャーが相対する!
ガイ「おーい、おい、おい!いいのかよ、あんなガキんちょでも居た方が死ぬまでの時間伸びていいんじゃねーのォン?」
レイ「この俺が同じ相手に二度負けると思わない方が良いぞ」
リュウオーン「ボウケンレッド……貴様はよくも我が夢の力の結晶のこの体を……!『人間』等と罵ってくれたな……!」
リュウオーン「覚悟しろ……!貴様らにはもっとも残酷な死を与えてやる!かかれ!ジャリュウども!」
「「ミギャアアアアアアアアアアッッッ!!」」
ジャリュウとカースの軍団が七人目掛け押し寄せる。
レッド「頼むぞ!ズバーンッ!」
ズバーン「ズバンッ!……ズゥゥゥゥバズバズバズバズバ━━━━ンッ!!」
ズシャズシャズシャズシャァァ━━━━ッ!!
「「ギャアアアアアアアッッ!?」」
必殺ズバズバンキックの黄金の斬撃が戦闘員の群れを蹴散らす!
ガイ「にゃ……にゃにぃ~~~~!?」
ダッ!
レッド・ブラック『サバイブレード!ハァッ!』
ジャキィィッ!
リュウオーン「グァッ!?」
ズバーンの起こした爆炎の中からボウケンレッド・ブラックの二人がリュウオーン目掛け飛び出し、
リュウオーンの身体を切り裂く!
リュウオーン「おのれぇ……!」
ゴォンッ!ゴォンッ!
リュウオーンも背に装備した2丁の剣を振り回す。
ブラック「くっ…………ハァッ!」
猛攻を掻い潜り、一瞬の隙を突き前方へ踏み込む!
そして、リュウオーンの脇腹に一撃を加えた!
ジャキィィンッ!
リュウオーン「ごぉぁっ……!?」
レッド「ハァッ!」ダッ
ブラックの肩を踏み台に、ボウケンレッドはさらに高く舞う。
そして、急降下と同時にリュウオーンの身体を縦に斬り裂いた!
ズシャァァアアアッッ!
リュウオーン「ぬあぁぁぁぁあああッッ!!!」
ブルー・イエロー『サバイバスター!』
ズギュゥゥゥンッ!
レイ「ガァッ……!クソッ!……」
ボウケンブルー・ボウケンイエローがレイを狙い、サバイバスターを放つ。
光弾はレイの胸部に直撃し、レイは数歩後ずさる
レイ「うっとおしい奴ら……ッ!ダラァッ!」
ダダダダダダッ!
レイはグレイボンバーの銃弾を二人に放つ
ブルー「ハァッ…… シュートッ!」
バシュゥッ!
ボウケンブルーは後方へ宙返りし、弾丸の隙間を狙いトリガーを引く。
バァンッ!
レイ「グァバッ!?」
イエロー「今だ、行くよッ!ハァァッ!!」
バシュゥッ!
さらに、追撃、ボウケンイエローがレイの顔面目掛けトリガーを引く。
バァンッ!
レイ「グァッ……キ……」
ガイ「高丘のォ~~~~!ここで『遭ったが百年目』って奴かぁ~~~~~?」
ガイ「大人しく地獄の閻魔のオヒザでオネンネしなちゃいよォーッ!!」
シルバー「うるせぇっ!コピーの癖に口調までそっくりそのままかよ!……行くぜさくら姉さん!」
ピンク「ミッション中はコードネームです!……サバイブレード!」
シルバー「サガスピア!」
ガイ「ヌァアアアッ!」
ダダダダダッ!
ガイは二人目掛けグレイブラスターを浴びせる。
ピンク・シルバー「ハァッ!」ガキィッ!
ボウケンピンク・ボウケンシルバーは銃弾を弾く。
ガイ「チィッ!」
ピンク「!サバイバスター!」
バシュゥッ!バァンッ!
ガイ「ゲェァッ!?」
銃弾の押収が止んだ瞬間、サバイバスターを放つ。
そして、怯んだ隙にボウケンシルバーが飛び込み、ガイの腹部へサガスピアを突き刺す!
ガイ「て……めぇ……!」
シルバー「……おりゃあぁあああああッ!!!」
ガイの身体を持ち上げ、そしてサガスピアごと振り回し、投げ飛ばす!
ゴォオオオオッ!!
ガイ「おぶぇっ!?」
ガイ「チクショォ……!てめぇら調子こきやがって……」
レイ「……だが、俺たちからすれば勝てない相手ではない。」
リュウオーン「私もおめおめ敗北を認める訳には行かぬ!」
リュウオーン「行くぞ!……我が夢の力!」
ガイ・レイ『ゴードムエンジン始動……!』
リュウオーン「合体!」
『 アナザースペイシス! 』
バゴォオオオオオオオオオッッッ!!!
……ドォオオオオオオオオオオオオッッッ!!!
『ぐぁあああああああああッ!!!』
3人が手にした銃を一つに合わせる。
放たれた一つの光弾がボウケンジャーを吹き飛ばす!
ガイ「ギャッハハハハハハハ!!ザマァ見ろ!そーゆーの『ブザマ』っていうんだぜェ~ッ!」
イエロー「やっぱ、クエスターとリュウオーンなんだね……!」
ブルー「そうだね……3人まとめて相手はやっぱりキツイ……だけど!」
シルバー「あぁ……!初戦は紛いモン!本物の方が百万倍手応えあるぜ!」
レッド「そうだな。……だがワルプルギスを倒さなければならない以上、ここでこれ以上時間を割くのはまずい」
レッド「……みんな、これを使え!」パァァッ……
ボウケンレッドの手から放たれた5つの赤い光が、5人の手元に宿る。
次第に赤い光が止む。その中から、それぞれ、武器が現れた。
ピンク「!?……この武器は……!」
レッド「説明は後でする。奴らを倒すぞ!」
ブラック「あぁ……わかったよ、今は気にするこっちゃねーな!」
ブラック「……ハヤテ丸!超忍法・影の舞!」
シュゥンッ!
ガイ「な、何だ!消えやがったぞ!」
レイ「バカな……いや!来るぞ!」
ガイ「何……ぐぁああああッ!!!」
ザァッ!
ズバッ!
ザシュゥッ!
ズバァッ!
ザクゥッ!
ザシュゥッ!
シュバァッ!
ガキィッ!
四方八方から迫る斬撃がクエスターの身体を切り刻む!
ガイ・レイ「グァガアアアッ!」
ドォンッ!
ガイ「やりやがって……ただじゃおかねえからな!」
シルバー「らぁっ!……」
シルバー「赤龍双龍剣!……気力遠隔斬りッ!!」
ザシュゥウウウウウウウウッ!!
ドォオオオオオオンッ!!
ガイ「ギャアアアッ!?」
レイ「ガイ!?」
ピンク「ハイブリッドマグナム!マグナムエクスキュージョン!」
ズギュウウウウウウンッ!
レイ「な……ぐぁああああああああああ!!!」
ドォオオオオオンッ!!
リュウオーン「ぬぁあああッ!」ダッ
ブルー「来たね……!ハァッ!」
ブルー「ティラノロッド!……ティラノロッド・サークルムーン!」
ティラノロッドがエネルギーサークルを生み出す。
作り上げたエネルギーをリュウオーン目掛け打ち放った!
シュバァアアアアアッ!
リュウオーン「ぐッ……!」
イエロー「龍撃剣!……ティラノスラッシュ!ハァッ!!」
ズガァァァアアアッッ!
リュウオーン「ぬぐぁあああッ!おの……れ!小癪な!」
レッド「ハァッ!」ダッ!
イエローを飛び越え、ボウケンレッドがリュウオーンへ跳び掛かる。
レッド「リュウオーン!……来い!ズバーン!」
リュウオーン「ボウケンレッド……!」
レッド「……ゴールデンクラァッシュ!!!」
ズバァアアアアアアアアアンッッ!!!
リュウオーン「ぐぅぅぅあああああああッ!!!」
レッド「トドメだ!」
ブラック「おう!」
『サバイバスター!スコープショット!……スナイパーモード!』
シルバー「サガスナイパー!スナイパーモード!」
『『コラボレーションクラッシュッッ!!!』』
バシュゥウウウウウウウウウウウ!!!
ズゴォォンッ!
ガイ「グガァッ……テメェら……覚え……て……ろ……」
リュウオーン「こんな……バカ……な……!」
レイ「ヌ……アァァ……ッ!」
シュゥゥゥ……
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッッ!!!
クエスター・リュウオーンの三体は6人の光弾を受け、大爆発を起こし消滅した。
レッド「……!グッジョブ!」
シルバー「あばよ、偽物……。地獄で本物達遭えるかもな。」
……………………………………………………
杏子「……待ちやがれってんだ!あたしらに背中向けてんじゃぁねえぜ!」
デスペラード「君たちか。相手にはならないけれども、追ってこられるのは時間の無駄なんだよ。やめてくれる?」
マミ「残念、そういう訳にはいかないのよ。」
デスペラード「そうかい。じゃあ……」ガリガリガリッ!!
デスペラードが自らの身体を掻き毟る。
再び、ジャリュウの軍団を生み出す。
ジャリュウ「「ミギャアアアアアアアアアッッ!!!」」
さやか「卑怯な……!もっと正々堂々……」
デスペラード「卑怯?5人でかかってくる君達に言われたくは無いね」
まどか「私達は一つの力を五等分してるだけなんだよ!」
ほむら「それに、私達の目的は戦う事じゃなくて、……守る事!」
デスペラード「目的のためなら方法はどうでもいいという事かい?じゃあ同じだね。……急がせてもらう。」
さやか「同じにすんな!あんたのやってる事は仲間を捨石にしてるだけ……あ!待て!」
杏子「クソッ……逃げられちまう……!こうなったらこいつらを突っ切ってぶちのめすしか……」
ヒュゥウウウウウウウウウウ…………
ほむら「ッ!? あ、あれ!空から何か!」
マミ「あっ……! 空から何か降ってくるわ!赤い球体……!?こっちにまっすぐ……!逃げて!」
まどか「……うわぁっ!?」
……ズガァアアアアアアアアンッ!!
ジャリュウ『ゲハァッ!!!』
さやか「ゲホッ……なんだよ……もぉ……」
『ここか……。ワルプルギスの夜というのは……。』
まどか「どーなってんの……これ……」
『奴は……悪しき魂の集合体か……!私の体に眠る魂が奴に呼応している……!』
杏子「誰だよ……あんた……!」
杏子「それよりあんたも、戦隊の奴……?じゃあここ任せていいか……?」
『構わない。』
ほむら「じゃあ、お願いします!急ごう!」
さやか「おえぇ!?名前くらい聞こうよ!」
まどか「後でゆっくり話せばいいよ!行こ!」
タタタタタッ……
『……行ったか』
ジャリュウ「何ダ!キサマハ!邪魔スルンジャネェ!」
赤い球体の中から、深紅の体が姿を現す。
それは、ジャリュウの軍団を睨みつけ、そして、声高らかに名乗り出る。
『悪しき魂よ!聞け!私の名は……』
『赤の魂を受け継ぐ者!スーパー戦隊・アカレッド!』
ジャリュウ「アカ……レッドォ……?フザケタ名前ダ!ブッ潰ス!」
ジャリュウ『ミギャアアアアアアアアォオオオオオオ!!!』
アカレッド「……行くぞ!」
ジャリュウの軍団、そしてアカレッドが互に走り寄る!
ジャリュウの攻撃を裁き、肘鉄、確実な隙を狙い蹴り。確実にジャリュウの軍勢を減退させて行く。
ジャリュウ「ヌグアアアアア!!!」
ザクゥッ!
バシィッ!
ジャリュウの剣を受け止める。
そして、投げ飛ばす。
アカレッド「ヌゥンッ!……」
パァアアアアッ……
ジャリュウ「グヌッ!?何ダ!」
「ソウル降臨!嵐のスカイックパワー!ゴセイレッド!」
ジャリュウ「へ、変身シタァ~~~~!?」
ゴセイレッド「トォォォォッ!……スカイックソード!」バッ!
ゴセイレッド「レッドブレイクッッッ!!!」
ズシャアアアアアアアアアアアッ!!!
ジャリュウ『ギャアアアアアッ!!!』
ドォオオオンッ!!!
ジャリュウの数十体を襲う斬撃。
それと共に、ジャリュウの軍団の一部が抉られる。
ジャリュウ「カカレ!」
ダッ!
ゴセイレッドの後方からジャリュウが迫る。
ゴセイレッド「……ハァッ!」
「ソウル降臨!体に漲る無限の力!アンブレイカブルボディ!ゲキレッド!!」
ゲキレッド「ゲキヌンチャク!」
バシィッ!
ジャリュウ「ギハァッ!!」
ゲキレッド「ゲキワザ!咆咆弾!」
ガォォォォォォォォォンッ!!!
……ズガァアアアアアアアアッ!!
ゲキレッド「……残るは貴様らだけだ!」
ジャリュウ「ナ……!」
続けざまの攻撃に、ジャリュウの軍団はほぼ全滅。
十数体が残るのみとなった。
ゲキレッド「……トォッ!」
「ソウル降臨!マッハ全開!ゴーオンレッド!」
ゴーオンレッド「……ロードサーベル!……GOッ!」
ジャリュウ「……ッ!」
ゴォオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!
ゴーオンレッド「サーベルストレート!!!」
ズガァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!
ジャリュウ「ギャ……アァ……!」
ドガァアアアアアアアアアンッ!!
シュゥゥゥゥン……
アカレッド「……片付いたか。残るは……ヤツだけだな」
アカレッド「任せたぞ。歴代のスーパー戦隊と同じ魂を持つ、5人の少女達よ」
…………………………………………
まどか「ハァァッ!!」バシュゥツ!
デスペラード「ッ!」ガキィンッ!
デスペラード「……もう追いつかれたか……。」
デスペラードの背目掛け、まどかが弓を打ち放つ。
振り返り、片腕で弾き返す。そして、臨戦態勢に構える。
デスペラード「いよいよ、君達との戦いは逃れられないようだね。」
デスペラード「ところで。僕は君達の実力、特性を十分に理解している。」
デスペラード「何が出来て、何が出来ないのか。どのような戦いをすれば、君達は不利になるか。」
デスペラード「唯一の不安要素、暁美ほむら。……だが君の時間停止はもう使えない。君自身がよく解ってるはずだ」
ほむら「っ……」
デスペラード「それでも、鞘走るかい?」
さやか「当たり前だ!」
デスペラード「勝目の無い戦いに身を投じるかい?敗北必須だと僕自身が忠告している。」
デスペラード「それでも?忠告を無下にするのかい?」
杏子「うぜぇ!」
デスペラード「……君達の思いつきがどの程度通用するかなんて、たかが知れているんだよ。果たして勝算は……」
まどか「……思いつきを数字で語れるかよッ!」
マミ「キュゥべえ。もうあなたの言う事には耳を貸さない事にしたの。……あなたと私の友達、どっちの言う事を信用すると思って?」
マミ「だから……行くわよ!ティロ・フィナーレ!!」
ズドォオオオオオオオオオオオンッ!!
デスペラード「無駄ッ!」
弾丸を片腕で爆散させる。デスペラードの腕は依然として無傷だ。
デスペラード「じゃあ、死のうか」ダッ!
まどか(来たッ!)
まどか「……マジカルスコールッッ!!!」
パァアアアアアッッ……ドドドドドドドドド!!!
デスペラード「ッ!」
空中に放った矢が分裂、雨のように降り注ぐ。
デスペラードは両腕で防ぐ。だが、気圧され、一歩だけ後ずさる。
カチッ……
デスペラード「何……!地雷……!」
ドガァアアアアンッ!!!
まどか「よしっ……!」
デスペラード「惜しかったねぇー……」
デスペラードの足元で爆発が起こる。
しかし、次の瞬間、空中にデスペラードが浮遊していた。
デスペラード「まどかの矢を囮に地雷を踏ませる……作戦としては良いけれど……」
デスペラード「だけど、暁美ほむら。君、同じような事を既にボウケンシルバー相手に実行済みだね。」
デスペラード「知識さえあれば、瞬時に何か理解し回避する事なんて簡単なんだよ」
デスペラード「……同じような手は二度通用しな……」
………ドゴォオオオオオオッッ!!!
デスペラードの後頭部から爆発が起こる。そのまま、地面へ叩きつけられた。
デスペラード「何だって……!」
ズダァンンッ!!
ほむら「そう……通用しない事は解っていた……だから」
ほむら「お前の跳ぶ軌道を予想して、あらかじめ爆弾を投げていた……!」
ほむら「ありったけの魔力を込めた爆弾を!」
まどか「イェイッ!やったね、ほむらちゃん!」
デスペラード「成程……君達も同じ手は使ってこないという事か……」
デスペラード「だけれど、地力じゃあ僕の方が断然上だ……小細工が効かなくなるのも時間の問題だよ!」ダッ!
ガキィンッ!
爪を構え、突進する。しかし、突如として現れた鋼鉄の壁に爪は阻まれる。
デスペラード「盾……!?」
さやか「剣だッ!」
目の前には、自身の身体の数倍はあろうかという剣が聳え立つ。
デスペラード「美樹さやか……!」
デスペラード「莫迦な……!君程度の魔力じゃあ、こんな巨大な剣を精製するなんて不可能なハズ……!」
さやか「たぁッ!!……今度の剣さばきはどうだァアアアアアァ―――ッ!!!」
ジャキィッ!
剣から飛び降り、勢いに任せデスペラードに肉薄する。
剣を携え、デスペラードの目前振り回し、剣戟を浴びせる!
デスペラード「ギャバァッ!?……何故だ……この力は……!」
デスペラード「以前の美樹さやかとは比べ物にならない程上進しているッ!」
さやか「残念!あたしも、ずっと隠れていた訳じゃなくてこっそり訓練していたんだよ!」
デスペラード「人間が僕の与えた力を使わずに強くなるだって……!?」
杏子「お前のやった事はただ適当に願い叶えて武器を手に握らせただけだ、うぬぼれんじゃあねえ!」
杏子「お前がいくら願いを叶えようと、結局そのあとに進むのは自分の足なんだよ」
杏子「あたしらの冒険を、お前ごときに見限られてたまるかよ……!」
杏子「ドラぁあああ!!!」ダッ!
デスペラード(跳んだ、来る……。この射線、……顔面狙いか。防げる。)
デスペラード(言った事の割には、君は僕の予想を覆す事なんて出来やしないじゃないか)
杏子「ハァアアアアッ!」
……ジャキイィィィッ!!
杏子「……どうだ!」
デスペラード「な……何……!?」
頭部を覆い、防御体勢に構える。
しかし、頭部への直線上に向かって来る予測は大幅に外れた。
杏子の槍がデスペラードの腹部に食い込む
杏子(バカが……見当違いのところ防ぎやがって……マヌケもいいところだぜ……)
杏子(だけど変だな……なんか……一瞬ソウルジェムが熱くなったような気が……)
デスペラード「グッ……!」
ガシッ!
杏子「えっ……」
デスペラード「ガガム・ゲードム……」
ビシビシビィッ!
腹部に突き刺さった槍を掴み、呪文を唱える
槍は石化し、崩れ落ちた
デスペラード「いくら君達が牙を剥いても所詮はエネルギー回収の為の道具だ」
デスペラード「僕に対抗出来るなんて思わないでくれ。」
まどか「杏子ちゃんの言った事全然解ってないんだね……」
マミ「だけれど……こっちの手の内が知られている以上、不利な事に変わりは無いわ……。なら、あれを使うのが一番」
ほむら「でも、私達で使えるんですか……?」
さやか「うん!あたしは訓練したからね!」
杏子「まぁ……四の五の言うよりやろうぜ!」
杏子「ちょっとした冒険だな」
ほむら「……そうですね!」
デスペラード「何をする気だい……?」
掌に火の玉を作り出し、5人目掛け投げつける。
5人の手前で大爆発を起こし、5人は爆風に包まれる
ズァアアアッ!!
ゴォオオオオオオオオオオンッ!!
まどか「……ハイドロシューター!シューターハリケーン!」
バシュゥウウウウウッ!ボォォォンッ!
デスペラード「!……おぶぇっ!」
大爆発の中、まどかが一人飛び出した。
高圧水流が燃え盛る炎事デスペラードを吹き飛ばす
ほむら「ラジアルハンマー!ハンマー……ダイナマイトッ!」
ズゴォオオオオオッ!
デスペラード「グハァッ!?」
続けて炸裂したハンマーの衝撃
さらに、数メートルその体は跳ね飛ばされる!
デスペラード「なら……!」
パシュゥッ!
爪を硬質化させ、手裏剣のように打ち放つ
射線上にさやかが立ちはだかる
さやか「ブロウナックル!ナックルキャノン!」
ブォオオオオオオオッ!!!ゴォォオオオオッ!
デスペラード「ギャアアアッ!!」
竜巻が爪手裏剣を巻き込み、進路を翻しデスペラードの身体を削り取る。
マミ「行くわよ!……バケットスクーパー!スクーパーファントムッ!」
ジャギィイイイイッ!!!ジャギィイイイイイイッ!!!
大爪が、デスペラードの肉体を抉りとる。
ダメージに耐え切れず、吹き飛び、倒れる。
デスペラード「グウゥッ……」
杏子「ボウケンジャベリン!……ついてこい、みんな!」
さやか「うん!」
杏子を先頭に、5人が連なりデスペラードに突撃する。
シュゥウウウウッ!
杏子「……ハァアアアッ!……レッドゾーンクラッシュ!」
ジャキィィイイイイッ!
デスペラード「ガフッ!?」
すれ違いざまに、ボウケンジャベリンの刃がデスペラードを切裂く。
さらに、4人が追撃を加える
さやか「たぁッ!!」
バキッィ!
ブロウナックルを装備し、殴りつける。
まどか「だぁッ!!」
ボギャァッ!
続け、ハイドロシューターの打撃
マミ「ハァッ!!」
ほむら「えいッ!!」
バゴォッ!ドゴォオオオッ!!
バケットスクーパー、ラジアルハンマーを叩き込む。
デスペラード「ギ……ハァッ……」
杏子「ハァァァッ……ジャベリンクラッシュ!!」
ザッシャァアアアアッ!!ドォオオオオッ!!
止めの一撃、振り返りざまの斬撃!
デスペラードは地を転がり、数メートル後退する
……ダァンッ!
デスペラード「グバァッ……」
デスペラード「くっ……いい加減にしてよ……君達の弱点は知り尽くしてると言ったじゃないか……!」
シュゥゥ……
シュバァッ!
再び、爪を硬質化し、手裏剣のように飛ばす。
さやか「……叩き落としてやるッ!」
5人が爪弾を叩き落とそうと攻撃を放つ。
しかし爪弾は進路を歪め、攻撃を避け5人へ突き進む。
マミ「なっ……!」
デスペラード「この方法は使いたくなかったが……仕方ない。」
デスペラード「この爪弾は僕の操作で自由に動く。……ソウルジェムを砕くくらい簡単な程にねッ!」
ほむら「しまっ……!」
……パキィンッ……
連戦の消耗が予想以上に激しかったのか、5人の動きは鈍っていた。
5人の、宝石が砕かれる音が響き、糸の切れた人形のようにその場に倒れふす。
ズシャァッ……
デスペラード「……終わりだ。哀れな幕引きだ。」
デスペラード「僕の作ったプレシャスである以上、僕には決して逆らえない。……当然の理だ。」
デスペラード「君達の命の火を無駄に摘むのは、僅かながら、確かな損害だが……だけど、これからの宇宙の延命で君達の死に報いるとするよ」
5人の死体を尻目に、振り返り、ワルプルギスの夜へ歩き出す。
その瞬間、腹部に痛覚が走る。
ジャキッ!
マミ「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」
マミを先頭に、4人が支え、デスペラードの腹部にデュアルクラッシャーを突きつけていた
デスペラード「なっ……どういう事だ……!?」
デスペラード「確かに君達のソウルジェムは……命の火は……確かに折り砕いたハズ……!」
デスペラード「なのに……何故……!?ハッ……!」
もう一度振り返り、後方を見る。
ほんの数秒前まで転がっていた5人の死体が、忽然と姿を消していた。
デスペラード(おかしい……!これは……!「幻惑の魔法」……!?)
デスペラード(莫迦な……杏子の魔法は使えなくなっていた……!)
『GOッ!!!』
ドギャァアアアアアアアッッ!!!
引き金を引く。
ドリルビームは腹部をブチ破り、デスペラードは宙へ吹き飛ばされる。
デスペラード「ギャバアアアアアアアアッッッ!!!」
マミ「もう一度!みんな、私に魔力を集中して!」
『ハァァァッ……!!……GOッ!!!』
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!
一際巨大な破壊エネルギーが螺旋を描きデスペラード目掛け一直線!
激突し、巨大な爆発が広がる!
ズギュゥゥウウウウウウウウウウウウウッ!
デスペラード「ヤッダーバァァアアアア!!!!」
……ドガァアアアアアアアアアッッ!!
破壊エネルギーが体を削り取り、貫き、そして
空の彼方まで吹き飛び、遥か上空で爆発四散した。
…………………………
さやか「やった……か」
マミ「当然よ!」
さやか「だけど杏子……今の何だったの……?」
さやか「なんかいきなりあいつ、あたしらにそっぽ向いて攻撃撃ってたけど……」
杏子「さぁな……。トチ狂ったんじゃねぇか……?」
杏子(何だったんだ……さっきの……てっきり使えなくなった物とばっかり……)
まどか「よし!……あとはあのワルプルギスをやっつけて……」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
杏子「地震!?」
ほむら「いえ……このパターンは……」
デスペラード『残念だったね……まだ終わっていない。むしろここからが本番だよ……!』
ズゴグワァアアアアンッ!!!
さやか「あ、あいつもでっかくなれんの!?」
ズォンッ……ズォンッ……
巨大化したデスペラードが静かに歩みを進める。
デスペラード『チーキュ……いや、地球の食物というのは不思議だね。』
デスペラード『どういう原理か知らないが、宇宙人が摂取すれば身体を巨大化させられる食物があるとは。』
デスペラード『実在するとは思わなかったね。』
杏子「踏み潰される……!逃げるぞ!」
…………………………………
…………………………………
レッド「成程……。奴も巨大化能力を備えていたか。……ま、想定範囲内だ」
杏子「でもどうすんだよ……もうあんたらのマシンはズタボロ……!」
レッド「いや、まだ奥の手はある。」
まどか「奥の手……?」
ボウケンジャーと、魔法少女が合流する。
ボウケンレッドのアクセルラーにコールが鳴る。
ピッ
レッド「牧野先生、『アレ』が完成しましたか!」
牧野『はい明石君!頼まれていた物の準備が完了しました!今すぐそっちに転送します!』
ピッ
まどか「まだ戦う方法があるんですか……?」
レッド「あぁ。……だが、使うのは君達だ」
ほむら「え?」
ヒューッ……ドサッ
ほむら「わっ!?」
杏子「な……何……これ……」
さやか「あぁ!これか!これが用意してた……!」
マミ「何……かしら……これ ゲーム……?」
5人の手元にボウケンドライバーが転送される。
レッド「説明は牧野先生がしてくれる。君たちは至急ゴーゴービークルに搭乗してくれ」
杏子「何だかわからねぇけど……解ったよ」
……………………………………………
ゴーゴービークル、コクピット
マミ『す、凄い……私、ロボのコクピットに居るんだわ……』
ほむら『それで……これをどうするんでしょうか……』
牧野『あぁ、皆さん無事搭乗しましたか。では……ご説明を。』
牧野『えー、本来、パラレルエンジンというのはですね、プレシャスに秘められた夢の力を……』
杏子「原理はどうでもいい、どうすればいいかだけ教えてくれ」
牧野『……失敬。皆さん、そのボウケンドライバーをセットして下さい。』
まどか『はい!……こう……かな……?』ガチャッ
牧野『そうです。……それで、ドライバーの端っこに、皆さんのソウルジェムをセットする部分がありますね』
マミ「でも、私達操縦法なんて……」
さやか『それに、このマシンボロボロだよ。動くの……?』
牧野『大丈夫です!先ほど言ったとおり、パラレルエンジンは人の思いの力……ソウルジェムを使えばそれをより強い状態で取り出す事が出来ます』
牧野『それに……。解析する際にさやかさんのソウルジェムを使わせていただけたのは何よりの幸運でした!』
牧野『みなさんの使う自己回復の魔法……それを増幅する事で、マシンの自己修復が可能となってます!』
牧野『ソウルジェムの穢れも心配しないで下さい!ゴーゴーダンプに完璧にチューニングの完了したグリーフシードを積んでいます!』
牧野『さぁ、君達の思いを一つにして下さい!君達の思いが、全て……ダイボウケンの力となるのです!』
杏子「……やる……か!」
杏子「ゴーゴダンプ!」
ほむら「ゴーゴーフォーミュラ!」
さやか「ゴーゴージャイロ!」
マミ「ゴーゴードーザー!」
まどか「ゴーゴーマリン!」
ガシャッ……ゴォォォ!
5人がマシンのアクセルを踏み込む
それと同時にマシンがそれぞれの色に輝き、亀裂は塞がり、再び駆動し始める。
『合体シフト・オン!ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!』
『ボウケンフォーメーション!』
『轟轟合体!』
5つのマシンと5つのネオパラレルエンジン、そして5つの心が一つになり……
鋼鉄の巨人が君臨する!
『ダイボウケン!合体完了!』
ズゥンッ……
デスペラード「まだ邪魔する気か……!露ばらいもそろそろやめにしないか」
さやか「す、すごい……ロボにまで……こんな体験、絶対できないよ!」
まどか「いやぁもう……カンドー……」
再び立ち上がったダイボウケンと、デスペラードが相対する。
デスペラード「ゴォオオオアアアアッ!!」ゴアッ!
口を開き、悍ましい牙が姿を現す。
喉の奥から火炎が湧き上がり、ダイボウケン目掛け進む
ゴォオオオッ!
……ドォオオオオオッ!!!
デスペラード「……燃え尽きたか」
ズゥンッ!
大爆発の中、ダイボウケンの豪脚が踏み出され、デスペラードの目前に肉薄する。
デスペラード「何ッ!?」
『 轟轟剣! アドベンチャードライブッ!!!』
ズバッシャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!
デスペラード「ギャパァーッ!?」
シュゥウウウウ……
……ドォオオオオンッ!!
杏子「……やったぜ。」
斬撃がデスペラードを砕き飛ばす
倒れ、無様と言えるような姿でダイボウケンを仰ぎ見、言葉を紡いだ。
デスペラード「何故だ……その力何処から生まれ出てる……!?」
デスペラード「何を握って力と変える!?君達の宿している物は何だ!?」
デスペラード「それは僕の作ったモノか!?君達の心に宿したそれは一体何だッ!何なんだッ!?」
レッド「……思いの力だッ!!」
デスペラードを見上げ、ボウケンレッドが叫ぶ。
デスペラード「思いの力……だと……!」
レッド「人間は古来から、夢を見続けて来た……希望を持ち続けたッ!」
レッド「未来へ進み続ける為に……!思いを叶える為にッ!」
デスペラード「莫迦な……この世界の希望は……この世界の文明はッ!」
デスペラード「全て僕たちがもたらした!僕たちの契約による福寿品にすぎないハズだ!」
デスペラード「人間が自ら進む事等……有り得るハズが無いッ!」
レッド「お前が作り出したのは所詮、仮初の希望だ……本当の希望はッ!」
レッド「人間の生きる力……夢を見る可能性!」
レッド「今……彼女達の胸に宿っているのは……偽りの無い、未来へ受け継がれる輝く希望ッ!」
レッド「自ら歩み、そして掴み取った宝!……絶望を覆す為の、……真の夢の力……」
レッド「 ……冒険者の魂だッ!!! 」
デスペラード「夢……だって……?」
レッド「……!」
ブラック「っと、明石、熱くなってるところ悪ぃけどまさかこのまま見てるだけ……とか言わないよな」
ブルー「僕らも、助太刀しなきゃね」
イエロー「牧野さん、ダイボイジャーの準備OK?」
牧野『勿論!最終リミッターも解除しておきましたよ!』
ピンク「了解……!これで支度は十全です、……まどかさん達と一緒に戦えます」
レッド「……あぁ。」
………………………
デスペラード「クッ……このままじゃあ、持たない……」
デスペラード「クエスタージェットを修繕している暇は有り得るだろうか……いや……」
デスペラード「今や木偶の棒、呪いの偶像と化したワルプルギス……倒されるのは時間の問題だ」
デスペラード「やむを得ない。……こんな方法、使いたくなかったが……」
ダッ!
デスペラードが飛び立ち、ワルプルギスの胸部に張り付く。
その体はワルプルギスに吸収され、飲み込まれる。
シュゥウウウウウウウウウッッ……
ゴボッ!ガボッ!ギュオオオオオオオオオオッッ!!
さやか「な、何やって……!」
ほむら「ワルプルギスに飲み込まれた……!?」
デスペラード『……ワルプルギスと一体化した。クエスタージェットのゴードムエンジンを直接僕の体につなげた。』
デスペラード『こうすることで、ワルプルギスは僕の意のままに動く。蹂躙する力を思いのままに使い尽くせる』
デスペラード『……こんな事をすれば、母星に帰る事は愚か、契約する事すらもままならない。』
デスペラード『だけれど……そんな事は……後で考える事にしよう……。』
デスペラード『いいや、猶予何て本来なら存在しない。……本当の最後の手だ』
ドシュゥウウウウウウウウッ!
ワルプルギスの身体が赤黒く輝く。
同時に、再び突風が巻き起こる
ゴォオオオオオオッ!
『ハ━━━━ッハハハハハハハハ!!!ギャ━━━━ハハハハハハハッ!!!』
『ゴードムエンジン再始動!ワルプルギスの全エネルギーを稼働させるんだ!』
………………………………………………………
ダイボウケン、コクピット内
杏子「……って……調子に乗ってもられないみたいだな……」
さやか「ねぇ……そういえばさ、これってあたし達の魔法も増幅させられるんだったよね……」
さやか「じゃあ、そこに転がってる他のマシンも治せる……んじゃない?」
マミ「そう言われれば……そんな感じもするわね……。」
まどか「やっちゃいます?やっちゃいましょう!」
ほむら「はい!」
さやかを中心に5人が魔力を送り込む
ダイボウケンの胸部から青い光が円状に広がり、大破したビークルの傷を塞げてゆく。
パァアアアアアアアッ……
ブゥンッ……
………………………………
牧野『映士くん!サイレンビルダー、ナンバー6からナンバー10までのパラレルエンジンが復活しました!』
シルバー「よぉし!サンキューな!お前ら!」
ボウケンシルバーはサイレンビルダーへ走ってゆく。
レッド「俺たちも行くぞ。……ブラック。頼む。」
ブラック「アタックだ、みんな!……」
ブラック「ボイジャー!アンドック!」
『発進シフトオン!ボイジャー・アンドック!!GO!!GO!!』
……………………………………
マミ「私達も、合体よ。」
まどか「了解っす!」
『合体シフト・ON!ドリル・ショベル・ミキサー・クレーン・ジェット!』
『 究極轟轟合体! 』
『アルティメットフォーメーション!』
…………………………
ゴォオオオオッ……
ゴーゴーボイジャーが5つに分離し、フォーメーションを組む。
『合体シフト・ON!』
「コマンダー!」
「キャリアー!」
「ファイター!」
「アタッカー!」
「ローダー!」
『 超絶轟轟合体! 』
『 ボイジャーフォーメーション! 』
……………………………………………
……………………………………………
ガシィイイイイイイイイッ!
『アルティメットダイボウケン!合体完了!』
『サイレンビルダー!合体完了ォ!』
『ズ・バ━━━━ン!』
『ダイボイジャー!合体完了!』
『『『 ファーストギア・IN! 』』』
ゴォオオオオッ……
大地を震わせ、空を切り裂き、その身体を輝かせ、炎を打ち砕き4体の鋼鉄の巨人が君臨する。
ワルプルギスを目前に、臨戦態勢を構える。
ワルプルギス『お揃いかい……?』
ゴォオオオオオオッ!
ギュルルルルルルルッ!ズシャァッ!
4体が揃うや否や、間髪入れずに火炎を浴びせる。
だが、火炎はダイボイジャーの両拳によって打ち消された。
ワルプルギス『な……』
レッド「このダイボイジャーも俺たちの思いの力で動いている。貴様の得たデータ等宛にはならん」
レッド「畳み掛けるぞ。アタック!」
ボウケンレッドの呼びかけに全員が応える。
ボウケンシルバーがアクセルを踏み込み、ハンドルを押し倒した。
ゴォッ!
シルバー「らぁあああああッ!トリプルリキッドボンバーッッ!!!」
ボシュゥッ!ボシュゥッ!ボシュゥウウウウウウッ!!!
ドガァアアアッ!
ワルプルギス『ファッ!?』
放水弾が腹部に命中する。僅かに体制を崩す。
ズバーン「ズ……ン!ズバババババババババ━━━━━━━━ン!!!!」
ズッシャアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!
追い討ち、必殺ズバズバンキック。
『ハイパーチャージ!』
ゴォオオオオオオッ……
ダイボイジャーの両拳が高速回転。
圧倒的破壊力を拳に宿しワルプルギス目掛け跳ぶ
『アドベンチャー・ダブルスクリュー!!!』
ゴガァアアアアアアアアアアッ!ズゴァアアアアアアアアアアアッ!!
ドゴォオオオオオオオオオオッ!!!
ワルプルギス「ギャヒャァアアアアアアッ!!!」
腹部にエネルギーを纏った拳を打ち込まれ、体勢が傾く
がら空きになったワルプルギスにアルティメットダイボウケンが迫る!
ゴォォオオオオオオオ………
『オーバートップギア・IN!』
『 アルティメットブラスター!!!! 』
ボォオオオオオオオオオオッ!!ギュゥウウウウウウウウウウッ……!
……ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
ワルプルギス「ギャァアアアアアアアアアアッハハハハハハハハ!」
ズガァアアアッ……
胸部から炎のエネルギー弾をワルプルギスの腹部に打ち込む
ワルプルギスの腹部には風穴が空き、地面へ墜落。
巨体が地面に激突。半身が陥没する。
杏子『……どうだッ!』
ほむら『あの笑い声も、消えてなくなった……!』
ワルプルギス「……」
ワルプルギス「………フフフッ……」
ワルプルギス「ハァーハハハハハハ!!!!」
シュゥゥゥゥ……
ブラック『な……!』
ピンク『傷が塞がって行く……!?』
再び笑い始めると同時に、腹部に開いた風穴が埋まってゆく
ワルプルギス「君達のマシンは、治癒魔法によって修復された……。」
ワルプルギス「魔女の集合体であるワルプルギスの夜が同じ事を出来ないとは……思わないよね」
ワルプルギス「君達がいくら攻撃したって無駄なんだよ。」
ゴォォォッ……
傷を完治させ、もう一度ワルプルギスの巨体が宙に浮遊する。
ブルー『成程……。そういう事なら、安心したよ』
イエロー『私たちの攻撃が全く通用しない訳じゃあないもんね!』
レッド『あぁ……。総員、全力を尽くしワルプルギスの夜を殲滅する!……アタック!』
『『『了解!』』』
ボウケンレッドの呼びかけに魔法少女5人が応える。
『ボイジャーキャノン!!!』
ドドドドドドドドドドドドド!!!
ドゴォォオオオッ!
ワルプルギス「ギャハハッ!?」
ダイボイジャーの体じゅうに装備されてある砲身が展開、ワルプルギス目掛け一斉射撃。
背後で、アルティメットダイボウケンが飛び立ち、ワルプルギスの顔面目掛け急接近!
杏子「やっさいもっさいィィイイイイ!!!」
『アルティメットビーム!』
ガシャッ……バシュゥッ!
ワルプルギス「ぐッ……落としてやるッ!!」
ゴォオオオオオオオッ……!
ズォオオオオオオッ……
さやか「……!上!ビルが降ってくるよ!」
マミ「回避しきれない……!なら……!」
『バリアブルタイフーンッッ!!』
シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
ゴオオオオオオオオオッ!!
アルティメットダイボウケンの腹部に合体したゴーゴージャイロの翼から竜巻が放たれる
竜巻はビル群を粉々に吹き飛ばす
ワルプルギス「なっ……」
ほむら『今です!』
まどか『突っ込むよッ!!』
ガシィッ!
アクセルを踏み込む
ビルの破片の霧の中、アルテイメットダイボウケンを僅かに見失ったワルプルギス
ほんの一瞬、目を離した隙にワルプルギスの首元にアルティメットダイボウケンが迫っていた。
ワルプルギス「ギャハッ……!?」
『 ダブルアームクラッシュ!! 』
ズシャアアアアアッ!ズガァアアアアアアアッ!ギャリリリリリリッ!
ドゴォオオオオッ!
ワルプルギス「ハハハハ……無駄だよ!」
ドゴッ!
ワルプルギスの首元にショベル、ドリルの斬撃を炸裂させる
しかしワルプルギスは笑い声を歪めず、祓うようにアルティメットダイボウケンを叩き落とす
ドギャアアアアアッ!!
ほむら「あああぁっ!!」
マミ「まずいわ!今の衝撃で両腕が……!」
さやか「えぇっ!?」
叩きつけられた衝撃で、アルティメットダイボウケンの両腕が分離し、吹き飛んだ。
制御が崩れ、空中でバランスを崩し落下してゆく。
シルバー『……!エイダー!ポリス!分離だッ!』
ガシィッ……ガシャァッ!!
まどか「わぁっ……!何か、違うのくっついた!」
ボウケンシルバーのコールに応え、分離したゴーゴーポリス・ゴーゴーエイダーがアルティメットダイボウケンの両腕に合体する。
吹き飛ばされたドリル・ショベルはサイレンビルダーの両腕に合体する。
シルバー『こういう合体も出来るんだぜッ!』
『アルティメットダイボウケンエイダー&ポリス!合体完了!』
『サイレンビルダードリル&ショベル!合体完了ォ!』
後方に退避し、アルティメットダイボウケンが腕を突き出し照準を合わせる
サイレンビルダーが再び屈伸、ワルプルギス目掛け飛び出す
『ナックルバルカンッ!』
『ダブルアーム・リキッドボンバーッッ!!』
ドドドドドドドッ!!
ザシュゥウウウッ!ギュルルルルルルルッ!ボシュゥウウウッ!
ワルプルギス「ギャハァッ!?」
歯車部分に必殺技を炸裂させる。
歯車の一部に大きな亀裂が走り、一瞬、ワルプルギスの動きが鈍る。
シルバー『グッジョブだぜ!お前ら!』
サイレンビルダーの両腕、ドリル・ショベルが分離し、再びアルティメットダイボウケンに合体する
そのままアルティメットダイボウケンはワルプルギスの顔面目掛け飛んでゆく。
ワルプルギス「ハハハハッ……ギャハハハハハッ!!!」
ゴォッ!
ワルプルギスがアルティメットダイボウケンへ豪腕を伸ばす。
その瞬間、ダイボウケン・ダイタンケンの二体へ分離した
ズシャァアアアッ!!
さやか「このまま走り抜けてやるッ!」
ダイタンケンに杏子、さやかの二人が、ダイボウケンにまどか、ほむら、マミの3人が搭乗。
ダイタンケンは空から、ダイボウケンはワルプルギスの腕を伝い顔面へ接近する!
ズシンッ……ズシンッ……
杏子『行くぜ!』
マミ『解ったわ!』
ゴォオオオオ……
『ダブル・ボウケン・ミッション!』
『 アドベンチャードライブ!! 』
『 ボウケンフラッシュ!! 』
ズガァアアアアアアッ!!!
二つの攻撃が顔面の一部を切り欠く
ワルプルギスが口を開き、二体を焼き落とそうとエネルギーを蓄える。
マミ「!退避よ!来るわ!」
ワルプルギス「ギャハハハハハハ!!……ガハッ!?」
吐き出される寸前、ワルプルギスが怯む。
ワルプルギスの歯車部分に黄金の剣が突き刺さっていたのだ。
レッド「今の内だッ!早くそこから降りろ!」
ダイボイジャーの拳がズバーンを撃ちだしていた。
ダイボウケン、ダイタンケンは地上に飛び降りる。
ズバーン「ズンッ!!」
ガキィッ!
歯車を蹴り上げ、ズバーンも着地する。
着実に体に破壊を与えられ、再生しきれない程、ワルプルギスは消耗していた。
ワルプルギス『グァバッ……こうなったら……最期の手段ッ……!!』
ワルプルギス『全ゴードムエンジン始動!エネルギーを全開ッ!』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ブラック『オイ!……何だアレ!?』
ブルー『あんなエネルギー、もしかわせば……この街が吹き飛ぶかもしれない!』
まどか『街が吹き飛ぶ……!?』
マミ『学校には街中の人が避難しているのよ!なんとしても守らなきゃ!』
ワルプルギス「ゴォッ……バッ……」
ワルプルギスの口から、自身の体程の大きさのある巨大な獄炎の球体を創りだす。
火炎は、太陽のごとく白色に輝いていた。
ワルプルギス『最期だ……!』
ゴォオオオオオオオオオオオオオッ!!!
火炎弾は5体目掛け、打ち出された。
空気を焦がし、道に散らばるビルの破片を蒸発させ向かってくる
レッド『みんな……!こっちもパラレルエンジンを全開にするんだッ!フルパワーでコイツを打ち消すッ!』
『『『ハァアアアアアアアアッ!!!!』』』
……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!
5体の体が輝き、火炎弾にぶつかる
火炎弾は爆発し、5体を丸ごと飲み込む程の大爆発を生み出す。
5体が盾となり被害は最小限に抑えられたが爆風が廃墟となった街をさらに吹き飛ばした。
爆風が収まり、静寂が訪れる。
立ち上る煙幕の中からはマシンの稼動音等、一切響かない。
ワルプルギス『……希望、……希望なんかよりも、やはり絶望の方が勝ったか……。』
ワルプルギス『遂にッ……!遂にやったぞッ!ボウケンジャーをッ!』
ワルプルギス『ボウケンジャーどもを絶望の淵に叩き込んでッ!そして』
インキュベーターに埋め込まれたクエスターの細胞
細胞に刻まれた微かに記憶……ボウケンジャーへの復讐心。
その怒りの記憶が、ワルプルギスを支配していた。
そして、たった今、その復讐は果たされた。
その叫びはインキュベーターでもワルプルギスでもない。紛う事なきクエスターの叫びだ
ワルプルギス『僕がこの星の守護者となる……!この星のッ!』
『ゴーゴービークル!全車突撃!』
ワルプルギス『ハハ……!?』
ワルプルギス『な……何だって……!?』
レッド『ゴードムエンジンを破壊する!』
杏子『おうよッ!!』
ゴォオオオオオオオオオオッ……!ドゴォッ……!
爆煙を吹き飛ばし、分離した18体のビークルがワルプルギス目掛け、発進した。
ビークルはワルプルギスの体を旋回、体当たりし、確実にダメージを刻んでゆく
ワルプルギス『な……くッ……!』
ガキィィィィッ!ゴォオオオオッ!!
『ハァアアアアアアアッ!!!』
……ドゴォオオオオッ!!
ワルプルギス「ハハ……ガハ……ァアアアア!?」
ワルプルギス『な……!ゴードムエンジンが……ッ!』
ワルプルギス「ハハハハハ……ハハハハハハ!!!」
ワルプルギス『ガァッ……制御が……体の制御が効かないッ……!!』
遂に、ワルプルギスの体内、及びデスペラードに埋め込まれていたゴードムエンジンが破壊される。
満身創痍のワルプルギスが制御を外れ、暴れようとする。だが、デスペラードが動きを制御せんと作り出した
クエスタージェットがそれを阻害する。
ワルプルギス「ギャハァッ……ガッ……ギャッ……ハッ……!」
レッド『ッ!』
ワルプルギスが動きを鈍らせる。
18機のビークルはそれと同時にワルプルギスから退避した。
ゴォオオオオオオ……
……ガシャァッ!
分離していたビークルは再び合体する
ゴーゴーボイジャーにはボウケンジャーの6人が、
ダイボウケンには魔法少女の5人が搭乗する。
アクセルを踏み込み、ダイボウケンが跳ぶ。
ゴーゴーボイジャーの機上に立ち、パラレルエンジンを連結させる。
ゴゴゴゴゴゴゴォォォ………
『『『『『 ボイジャーダイボウケン!!! 搭乗完了ッッ!!!』』』』』
ドドドドドドドドド……
ワルプルギス『ッ……!!』
ワルプルギス『ギャハッ……ギャハッ……』
ゴォオオオオオッ!!
『『『ハァアアッ!!』』』
ザシュゥッ!ザシュゥッ!!
ギアを踏み込み、ホイールが回転し、大地をうならせ、ゴーゴーボイジャーが動き出す
危険を察したか、ワルプルギスが火炎を放つが、轟轟剣によって捌かれる。
レッド『……来いッ!ズバーンッ!!』
ズバーン「ズバーンッ!ズバズバ!」
ボウケンレッドの呼びかけにズバーンが聖剣へと変形し、ダイボウケンがズバーンを握り締める。
『『『『『 ハァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!! 』』』』』
バシュゥウウウウウウウッ!!!
11人の心が一つになり、パラレルエンジンを伝いズバーンに注ぎ込まれる。
11人の想いを受け取ったズバーンは刀身を虹色に輝かせる!
ワルプルギス『グァッ……く……来るなァアアアアアアアアアッッッ!!!!』
ダイボウケンが剣を振り下ろした。
虹色に輝く刀身がワルプルギスを断ち砕く!
『『『『『 スーパーライディングアドベンチャードライブッッッッッ!!! 』』』』』
ズッッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!
ワルプルギス「ギャ……ハ……ハ……」
ワルプルギスの体に、歯車に、十字の虹色の斬撃が刻み込まれる
そこから走る亀裂が徐々にワルプルギスの身体を蝕み、全身に広まった。
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ━━━━━━━━ンッッッ!!!!
亀裂から光が漏れ、ワルプルギスの体が僅かずつ崩壊を起こす。
そして……、ワルプルギスの体は大爆発を伴い、砕け散った。
ほむら「……!!」
マミ「ワルプルギスが……消え……!」
さやか「えっ……もしかして……」
まどか「倒して……倒し……!」
杏子「あぁ……あぁ……!!」
マミ「見て……空が晴れて行く……!」
ほむら「あぁっ……あぁっ!!」
ほむら「やった……やったああああああああ!!!」
まどか「!?」
レッド『……グッジョブッ!』
ブルー『ワルプルギスの反応、完全消滅!……間違いないよ!』
ブラック『よっしゃっ……!!……ほむらの冒険も、とりあえず達成ってとこかな……。』
イエロー『やったぁ!みんなと一緒に勝てたよ!マミちゃんっ!!』
シルバー「……。」
ピンク『……?高丘さん?』
シルバー『いや……。まだ、全部は解決しきってねぇ……。』
……………………………………………………………
地上……
ワルプルギスは消滅し、雲が裂け、青空が広がる。
しかし、ビルは破壊し尽くされ、暴雨が止んだ後も、浸水していた。
まどか「……こんなに、街がめちゃくちゃに……。」
さくら「いえ……。まどかさん、避難所の無事は確認済みです。」
真墨「まぁ……。こんなに壊れちまったけど、大丈夫だろ。……みんな生きてんだからな」
蒼太「そうそう、そうた! 時間はかかるだろうけどね。」
ほむら「はい……!」
ビシッ!ビシビィッ……
ほむら「……!?」
バキィッ……
ほむら「えっ……!?盾が……砕けた……」
真墨「おっ……何でだ?」
ほむら「……あの時の約束を守れたから……かな……今の、この世界で……。」
QB「いや、よくやったね……。あのワルプルギスを倒すなんて……」
菜月「キュゥちゃん……!?」
QB「あのイレギュラー個体も消滅した。……心配事の種は一先ず消えたという所かな」
さくら「貴方たちを放っておけばまた世界中で魔法少女が増え続ける事になる……。」
さくら「目的が何であろうと、少女たちの命を脅かす行為を、我々は許しはしません。」
杏子「そうだよ。これ以上あたしらみたいになる奴らが出るのは御免だ。」
さやか「杏子の言う通りだッ!よくも、あたしらを騙してくれたな!」
さやかが剣を構える。
しかし、映士がさやかの前に手を伸ばし、さやかを停める。
さやか「映士さん……?」
映士「おい……キュゥべえ。」
QB「なんだい、高丘映士」
映士「俺もさくら姉さんと同意見だ。」
QB「……前にも言ったとおりだけれど、宇宙の為なんだ。……それに、僕らがいなければこの世界は」
映士「あん時はお前に流されちまって納得しちまったけどよ。……やっぱりお前の言う通りだとは俺様は思わないぜ」
映士「確かにお前は一歩二歩後押しはしたのかもしれねぇ。でも今までのこの道のり……歩んだのは全部人間の力だ」
QB「へぇ」
映士「今日見て解っただろ……人間には絶望を覆す程の想いがあるってよ」
映士「それに宇宙がどうとか別にお前らだけの問題じゃねぇ」
映士「なのにお前たちが、使命と思い込んで今まで女の子の命を奪い続けてきた事……それは許せねぇ」
映士「それはお前たちだけの使命じゃなくて俺たちだって何とかしなくちゃいけない事なんだよ……。」
映士「だから言わせて貰うけどよ。……お前たちのやり方は間違ってる。」
映士「……こんな事もうやめようぜ。……今は見つからなくても、いつかは誰も犠牲にしない方法が見つかるハズだろ」
QB「ふぅん……。 僕たちも、そのつもりだったんだ。」
まどか「え……?」
QB「まぁ、これは……僕らの存在がバレてしまった以上、君達スーパー戦隊は総力をあげて僕らを潰そうとするだろう、という意味の」
QB「いわば逃げの策だったのだけれど、でもまさか君達が手を差し伸べるとはね。予想外だ。」
QB「……今まで、僕らは希望と絶望の相転移が一番効率の良いエネルギー産出方法だと思っていた。」
QB「だけれど、さっきの……君達のロボットのエネルギーを計測してね。」
QB「そしたら、……どうやら『夢の力』とやらは……一度に生み出すエネルギーこそ少ないが」
QB「継続的に観測すれば、絶望のエネルギーよりも、高いエネルギーを産出するらしい。」
マミ「どういう事……?」
QB「……君達の命は魔女にして終わり、というのは非効率極まりなかったという訳さ」
QB「君達を家畜のように扱うのは元々無理が合ったようだ。」
QB「だから……。この宇宙の今後は君達に任せようか。君達なら問題なく解決できそうだという判断に基づいてね。」
QB「もう、この星には関わらないとしよう。……あと一度だけ、彼女達のソウルジェムを濁らないように改修するためには立ち寄るだろうけれど」
映士「本当か……!」
QB「君達の命を奪うような真似は……もう出来ないさ。契約も行わない。何一つ、この星には関わらない。」
QB「それじゃあ、さようならだ。……」
真墨「……解決した……っぽいな」
蒼太「うん……。相変わらず僕らには見えないけど」
明石「あ、あぁ……。まぁ、解決したならば、越したことはない。」
まどか「……待って、キュゥべえ!」
QB「何だい?」
まどか「希望が力になる……。だったら、キュゥべえが伝えてよ」
まどか「世界中の、悲しんでる人たちに。」
まどか「私には届かない手でも、キュゥべえなら伝えられる。」
まどか「『私達は悲しんでも、前に向かって行ける。きっと手を繋げられる』……ってさ」
まどか「私には少ししか伝えられないから。キュゥべえにしか出来ないから。」
QB「……。契約もしない。人間とは言葉による繋がりしか持てない僕らが……かい?」
QB「繋いだ手だけが紡ぐもの……か。」
QB「感情を持たない僕らが、果たして、伝えられるのだろうか……。君達のように、手を繋げられる事を、希望を伝えられるのだろうか……。」
杏子「……ちょっとした冒険……だろ?」
QB「……。」
…………………………………………………
数日後……
…………………………………………………
牧野『えー、……インキュベーター君の言う通り、彼女達のソウルジェムが改修されたのを確認出来た訳ですが……。』
牧野『しかし、依然として魂は切り離されたまま……。』
明石「彼女達の魂を元に戻す方法。……そのアテはあります。」
牧野『はい……。しかし、何故、レーシング場に……?』
牧野と通信をしながら、明石はあるレーシング場へ向けて歩いていた。
翌日にレースを控えたレーシング場には観客は誰一人いない。
レーシング場内……
走輔「よっしゃ!コンディションもバッチリ!これで優勝間違いなし!だっぜ!」
早輝「復帰して初めての試合だもんね。……走輔ならスマイル忘れないから大丈夫だよね!」
美羽「応援してるからね。……アニもこう見えて結構走輔の事心配してたんだから」
範人「お~い、みんな~!僕らに話したい事があるってお客さんだよ~!」
範人に連れられ、明石が七人と合流する。
走輔「ん……?うおおおッ!!!あ、あんた、確か……!」
連「ズバリ、俺たちの先輩……轟轟戦隊ボウケンジャー、ッス!」
軍平「かっこよすぎる……」
連「で……話したい事って?」
明石「あぁ……説明するよりも、これを読んでくれ」
明石は、ソウルジェムの研究を綴った書類を渡した。
走輔「なんだ、コレ……ソウルジャム?」
大翔「お前が読んでも解らないだろ、走輔……。」
大翔「魂と体を切り離す……? これを元に戻すのを手伝ってほしいと」
早輝「魂と体が別々って……それって!」
連「ズバリ!炎神ソウルと炎神キャストの関係と一緒ッス!」
明石「あぁ。……君達なら、元に戻す手立てを探し出せると思ってな」
走輔「そーゆー事ならお安い御用だぜ!俺の相棒たちなら、何とかなるだろ!……魔法の事はマジカルワールドもあるしな」
明石(マジカルワールド……!?)
走輔「……そういえば、先輩。あれ知ってますか、あれ……」
走輔「確かアカレッドとか言う奴が言ってたけど宇宙からなんか凄い奴らが地球に来てるって……」
明石「あぁ……。」
走輔「名前は……なんてったっけな……」
大翔「ザンギャ……ザンギリ……いや……ザンギャ……」
走輔「まぁいいや。いざって時はいつでもマッハ全開!炎神戦隊ゴーオンジャーが助けに行くぜ!」
走輔「なんせ俺たち……『正義ノミカタ』だからなッ!」
明石「あぁ。よろしく頼むぞ。」
………………………………
サージェス本部……
牧野『えー……今回の件でですね。解決したとはいえ、まだ世界中から魔女が居なくなった訳ではありません……。』
牧野『既に魔女になってしまった少女……。使い魔から成長した魔女……。』
牧野『我々サージェスが中心となって全世界の魔法少女を援助する事を決定しました。』
牧野『武器の支給や、魔女の探索など彼女達の負担を僅かでも消すことが出来れば……と。』
牧野『三浦参謀長からも協力の要請を頂けました。』
牧野『……もう彼女達が孤独な戦いに身を投じる事の無いように、と。』
牧野『あとは……宇宙の寿命を伸ばす手立ても考えなくてはいけませんね……。』
牧野『中々、忙しくなりそうです』
真墨「ま……。とにかくいい方向に向かってるって事だな……。」
さくら「世界中の魔法少女達が過酷な宿命を辿る事はもう無い……そういう事ですね。」
菜月「みんな~!マミちゃん達から手紙!手紙だよ~!」
蒼太「へー!どれどれ!」
映士「お……5人で撮った写真も入ってんのか!……良い顔してるじゃねぇか、みんな」
真墨「俺にも見せろよ。 ん……?誰だ、コイツ……。……!?」
真墨「えぇええええええええ!?コイツ……ほむらかよ……変わりすぎだろ……」
蒼太「髪を下ろしただけでしょ?……まぁ随分変わったと思うけど……」
蒼太「さやかちゃんは上条君と上手く行ってるみたいだね。……良かった。」
蒼太「将来のお嫁さん候補に入れようと思ったけど……さやかちゃんが幸せならそれで……痛っ!」
蒼太「ごめん、みう!……冗談だよ」
みう「ヽ(`Д´)ノ」ガジガジ
菜月「マミちゃん、友達に囲まれて、幸せそう……。」
菜月「あの寂しそうだった顔が笑顔に変わって本当に良かった!」
さくら「えぇ。本当の、心からの笑顔ですね。」
さくら「まどかさんの継なぐ手は誰かに伝わって……。きっとみんなの思いを束ねる事が出来るはずです。」
明石「杏子達は一人じゃない。仲間と力を合わせればどんな困難にも立ち向かえるさ。」
明石「もう……何があっても挫けない。」
映士「で……気がかりな事は無くなった……訳じゃ無いんだよな」
蒼太「そうだね……。」
真墨「アカレッドが言ってた……だっけ」
さくら「はい。……おかげでインキュベーターがクエスタージェットを用いた戦術を使う事が予測出来たのですが」
映士「あいつにとってもこの地球を侵略されるのは困るだろうからな。だから母星に帰る為にクエスタージェットが必要だって事だ。」
菜月「そうそう。ワルプルギスじゃ宇宙で上手く動けないから、そういうの使うって。」
明石「アカレッドが甦ったという事はただならぬ状況じゃない。全てのスーパー戦隊に関わる程の巨悪だ。」
明石「きっと俺たちの体験した事の無い程のな……。」
6人が微かな不安にかられる中、モニターに通信が映し出される。
焦りの形相をした牧野からであった。
牧野『みみみみ、皆さんっ!!た、大変ですっ!!!』
映士「おっさん!?」
牧野『ち、地球へ向かって、数え切れない程の大艦隊が……それに!』
牧野『通信が!今切り替えます!』
牧野が通信を切り替える。
赤と白の二人の戦士が画面に映し出された。
アカレンジャー『全スーパー戦隊!……危惧していた時が遂にやってきた!』
真墨「アカレンジャー!?」
アカレンジャー『今、この地球に恐るべき侵略の魔の手が迫っている!』
ビッグワン『そうだ!……奴らの名は……『宇宙帝国ザンギャック』!!』
明石「ザンギャック……!」
ビッグワン『我々は総力を挙げてこれを迎え撃たなければならない!34のスーパー戦隊全ての力を合わせる時だ!』
アカレンジャー『我々の力を結集して地球を守るんだ!』
アカレンジャーの言葉を最後に、通信が途絶えた。
蒼太「本当に予想以上の敵みたいだね……」
菜月「……!」
さくら「宇宙帝国……。我々が戦ってきた敵とは、規模が違います!」
映士「そんな連中が地球に攻めて来たって事か……。ただ事じゃあねぇのは確かだな」
6人が、立ち向かう為の決意を固める。
皆、地球を守る為に、戦う覚悟を心に決めた。
それを見た明石が背を向け、指示を仰ぐ
真墨「行くぞ、明石。」
明石「みんな。俺たちの全力で立ち向かう。……」
明石「ボウケンジャー!総員出動!」
ボウケンジャー、及びすべてのスーパー戦隊が身を投じた戦い――
後に「レジェンド大戦」と呼ばれる戦いで彼らは一時的に戦う力を失う事となる。
しかし、力を失ったとして、彼らの冒険魂は消える事はない。
命がけの冒険に、今日も旅立つ者がいる
密かに眠る危険な秘宝を守り抜くために、あらゆる困難を乗り越え進む冒険者達――!!
627 : ◆QMA.Fdvs1M[sa... - 2013/11/04 00:44:47.09 QO2BP6OH0 517/520おわり
こんな長くて陳腐なのを読んでくれてありがとう
若干不謹慎なタイミングで終わる事になったのは予想外
631 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/11/04 21:49:14.88 tTYNuLm10 518/520乙です。
戦隊濃度の濃さが凄かった。
けど、まどマギ勢もそれに負けない活躍の場が用意されていて良いクロスだった。
ところでなんでほむらじゃなくてめがほむにしたのかな。
闇堕ちは結果論だけどクーほむの方が真墨との相性は良かった様にも思うんだけど。
632 : ◆QMA.Fdvs1M[sa... - 2013/11/04 23:27:34.92 QO2BP6OH0 519/520>>631
まどかを契約済にしたかったからです
クーほむで契約済ルートは無かったハズ
634 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/11/05 08:23:31.19 a1jYd2h6o 520/520完結乙
クロスってバランスが難しいけど、
どちらのサイドが欠けてもこのエンディングには繋がらなかった
素晴らしかった、お疲れ様です