1 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 11:23:37.54 KAgbIiN80 1/284

「何だここ・・・。見渡す限りのすすき野原?」ボー

犬娘「は、はわっ、ににに人間がどうしてここに!?」

「俺、確かに家の布団で寝てた筈なのに・・・。いつの間に外に出たんだ?」

犬娘「ど、どうしよう。こういうときはどうしたら!?」



元スレ
男「んぁ?ここは・・・」 犬娘「に、人間!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375583017/

3 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 16:10:55.10 0btfxEMD0 2/284

「えーと、確かに家の布団で寝てた筈なのに・・・」ボー

犬娘「(うぅ、怖くはなさそうだけど、人間なんてお話ししたことないよぅ・・・)」

「しかも見渡す限りのすすき野原。空に星が散らばってるってことは、夜ってことだろうけど・・・」

犬娘「(はわわ、キョロキョロし始めた!な、何か探してるの!?)」

「んーと、取り敢えずここを動かないと、何も分からないか」ヨッコイセ

犬娘「(た、立ち上がった!?)」

4 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 16:17:38.82 0btfxEMD0 3/284

「えーと、どこかに民家の明かりとかないかなあ?」

犬娘「(さ、さらに遠くを見渡すようにキョロキョロし始めた!?)」

「ん?星明かりに照らされてぼんやりとだけど、獣道が見える・・・」

犬娘「(はわっ!?し、しまった、私の通った跡だ!)」アセアセ

「この道は・・・。あの遠くに見える山の麓に伸びてるのか?」

犬娘「(きゃー!きゃー!そ、そっちは私達の村が!!)」ジタバタゴロゴロ

5 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 16:28:23.66 0btfxEMD0 4/284

「んー、他にアテもないし、この道を進むか。何とかなるでしょ。うん」

犬娘「(あっ、あっ!行っちゃう!このままだと私の村に人間が!)」オロオロ

「うし、そうと決まれば。行きますかー」スタスタ

犬娘「(どどどどうしよう!?と、止める!?いや、怖くてとてもじゃないけど声なんて掛けられない!でも止めないと、あーでも!でもー!)」ジタバタゴロゴロ

「~~♪」

犬娘「(あっ、行っちゃった!こ、こうなったら、先回りして皆に人間のこと伝えないと!!)」ガサガサ スタタタタ!

6 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 16:35:09.32 0btfxEMD0 5/284

~男side~
「それにしても、本当にここどこだろう?見渡す限りずっとすすき野原。空はよく見れば薄紫色。月は同じみたいだけど、何倍も大きいし・・・」

「・・・でも。何でかなあ。不思議と違和感ないんだよなあ。夢みたいな景色なのに・・・」

「あ、夢か。そうか。そうだよな。何でこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。夢に決まってるよコレ」

「いきなり目が覚めたら自分の知らない世界。普通じゃないもんなー。明日大学受験だから緊張してるのかな・・・」

「よし。夢だと分かれば悩むこともない。この幻想的で美しい景色を心行くまで楽しもう!知らない土地を進むのって、童心に帰るなー。ドンドン進もう!」

7 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 16:45:34.01 0btfxEMD0 6/284

~犬娘side~
犬娘「ハッ、ハッ!・・・」ダダダダダダダ!

犬娘「な、何で!人間、の、ハッ、男の人、が!ハァッ・・・!」ダダダダダダダ!

犬娘「こんな時に!ハァッ!ここにーー!ブハァッ!」ダダダダダダダ!

カラス「おや、犬娘!どうしたんだい、そんな必死な顔で!」スィー

犬娘「あ、か、カラスさん!ハァッ、ハァッ!」ダダダダダダダ!

カラス「おやおや、ただ事じゃなさそうだね」バサバサ

犬娘「そ、そうなの!ハァッ、さっき、すすき野原で、ハァッ、お祭り用のすすきを、ハッ、採っていたんだけど、ハッ」ダダダダダダダ!

カラス「ふむふむ」

犬娘「い、いき、なり!ハァッ、そ、空から、人間、が!」ダダダダダダダ!

カラス「ほほう!?人間!それは面白い!」カカカ 
犬娘「お、面白く、ないよ!?ハァッ、だから、早く、はっ、皆に、伝えに行くん、だよっ!」ダダダダダダダ!

9 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 17:00:22.04 dZs2qaKA0 7/284

~犬娘の住む村『秋之村』~
ワイワイガヤガヤ

大狸「おう!犬のとこの!」

犬父「これは大狸の旦那!お元気そうで!」

大狸「ワッハッハ!そっちも元気そうで何よりじゃ!」バンバン

犬父「あはは」

大狸「それより、今年もまたこの時期が来たのう!」

犬父「ええ、この村で一年に一度行われる大祭事、『紫苑祭』」

大狸「ワッハッハ!儂はこの祭りが生き甲斐といっても良いくらいこの祭りが好きでなあ!」

犬父「ええ、私もですよ。一年に一度、5日間だけの祭りですからね。この時期しか、周囲の村々との交流も行えない」

大狸「ワッハッハ!儂は来れないこともないがのお!」

犬父「ははっ、確かに全盛期のあなたでしたらそうでしょうが、今はもう歳でしょう?隠居した身で、無理はしない方が良いですよ?娘さんに叱られたくないなら、ね?」

10 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 17:32:14.06 LPp9sB1A0 8/284

大狸「いやはや。それは勘弁願いたいのう・・・」ポリポリ

犬父「あはは」

大狸「ワハハ!」

猫少年「おぉーい!犬父さーん!」タッタッタッ

犬父「ん?どうしたんだい?」

猫少年「い、今、犬娘が村に駆け込んできて、急いで犬父さんと村長を連れてきてくれ、って!」ハァ ハァ

犬父「どうしたんだろうか・・・」

大狸「まあ、行けば自ずと知れるであろうよ。ほれ、行かんか」

犬父「そうですね。あ、良ければ一緒に・・・」

大狸「お?そうか?では、儂も行くとしようか」ウズウズ

犬父「ははっ、そう言うと思ってましたよ」

猫少年「あの、・・・」

犬父「ああ、すまない。どうもありがとう。君は祭りの手伝いに行ってくれないか?」

猫少年「は、はいっ」タッタッタッ

犬父「さて、と・・・」

12 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 18:15:53.90 LPp9sB1A0 9/284

ガヤガヤ
ダイジョウブー?
ホラ オミズー

犬娘「(ゼーーハーー、ゼーーハーー・・・)」グッタリ

犬父「犬娘!」

大狸「おうおう。これはこれは・・・」

村長「ふがふが」プルプル

犬少年「あ、ほら、犬娘!犬父さんが来たよ!」ユサユサ

犬父「ああ、そのままで。犬娘、いったいどうしたんだ?すすきを採りに行っていたのだろう?何があったというんだ?」

犬娘「」プルプル スッ(指差し)

犬父「?」

カラス「あ、あっしが説明します」

犬父「カラス。君も一緒に?」

大狸「おお、ヤタの」

カラス「大狸の旦那、やめてくだせえ。もう昔の話でさあ」

犬父「カラス、それで何があった?」

カラス「ああ、すいやせん。実はですね。すすき野原に人間が出たらしいんですわ」

犬父「!」

大狸「ほう!」

村長「ふがふが」プルプル

カラス「しかも、真っ直ぐここを目指しているとか」

ニンゲンダッテー!
ホントカナ?
ニンゲンッテコワイノ?

ガヤガヤ

犬父「うーん・・・」

大狸「ワッハッハ!これは!久方振りに面白いぞ!」

村長「ふがふが」プルプル

犬父「あ、村長は自宅に戻ってください」

村長「ふが・・・」ヨロヨロ

大狸「それでカラスよ。その人間は今はどのあたりにおるか分かるか!?」

カラス「さあ、あっしはずっと犬娘に付いて来たもんで、実際に見た訳じゃあありゃあせんから・・・」

14 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 18:28:09.50 LPp9sB1A0 10/284

犬父「大狸さん・・・」

大狸「何を深刻そうな顔をしておる犬父!」

犬父「しかし、流石に前例がありません。人間という存在は、我々はまだしも、子供達の間ではもはや物語の中の存在になりつつあるものです。さらには、相手の人格すら分からない。この状況で下手を打てば、また・・・」

大狸「ワッハッハ!構わん!また過去の再来となるならば、この儂が一命を賭してでもその人間を捻り潰すまでよ!」

犬父「しかし、それでは済まないかもしれない!あなただけでなく、村に集まっている皆に危険があるのですよ!?」

ニンゲンッテコワインダ!
ド、ドウスルンダロウ!?
セッカクノオマツリナノニ

ザワザワ

大狸「犬父よ、落ち着け。子供らに聞こえておる・・・」

犬父「・・・!す、すみません」

大狸「あー、皆よく聞け!これから人間が来るかもしれん!が、安心せい!この儂、大狸の爺が皆を守っておる!古来より生き抜いてきた大妖怪の力、信じて任せよ!」

ヨカッター
ソレナラアンシンダネ
サ、ジュンビヲツヅケルヨ

ガヤガヤ

犬父「ありがとうございます」

大狸「ワッハッハ!気にするな!犬父よ、確かに辛い過去はある。儂とて、人間を恨んでいた時期もあったわ」

犬父「・・・」

大狸「しかし、しかしの?儂らの恨み辛みを、何も知らぬ孫子の代まで受け継がせるのは、呪いであると、儂はそう思うのよ」

犬父「仰るとおりです」

大狸「ワッハッハ!まあ、その人間が救いようのない者であれば叩き伏せるがの!」バンバン

犬父「ははっ、期待してますよ」




16 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 18:34:16.70 LPp9sB1A0 11/284

カラス「大狸の旦那、犬父さん。その人間、1人で、若い男らしいですぜ」

大狸「ほう。何か得物は持っておったか?」

カラス「いえ。そこまでは・・・」

犬娘「わ、私が説明します」

犬父「犬娘。大丈夫か?」

大狸「おお!ようやっと目覚めたか」

犬娘「大狸のおじいさん、お久しぶりです」ニコッ

大狸「うむ、久方振りじゃ」ナデナデ

犬娘「えへへ。カラスさん、ありがとうね」

カラス「いやいや。あっしは大したことぁしてねえよ」

犬父「犬娘、それで、その男の特徴や、分かっていることを教えてくれるかい?」

17 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 18:47:59.85 LPp9sB1A0 12/284

犬娘「はい、父さん。えーと、18、9の男の人で、武器や鎧は身に付けていませんでした」

犬父「うん。それで?」

犬娘「何か、面白い着物を着ていました。見たこと無いような、袷が無い物を着て、袴も履かず、足の形がそのままの布を履いていました」

大狸「ふむ。恐らくは西洋の召し物であろうよ」

犬父「ご存知で?」

大狸「おう。最後に人の里に降りたとき・・・ざっと200年前かの?その頃にはこの国に伝わっておったわ。確か洋服と言ったか」

犬娘「ほぇー・・・。あ、あと、何かを探しているような感じでした!」

犬父「何かを?」

犬娘「はい、辺りをキョロキョロ見渡して」

大狸「・・・恐らく、そこがどこであるかを把握しようとしていたのだろうて」

犬娘「なる程。あ、それで、暫くキョロキョロしてから、私たちがいつも使う獣道を見つけて、そこを辿ってここへ向かっています!あと暫くすれば着くかも!」

犬父「ふむ。相手は丸腰。そしてこの場所を何も知らない・・・。ならば何故ここへ現れた?」ブツブツ

大狸「犬父よ、ここで悩んでも仕方あるまいて。おいカラスよ、警備の者に外から人が現れたら知らせよと伝えてくれるか?」

カラス「へい!あっしに任せておくんなせえ!」バサバサ

犬父「犬娘、よく伝えてくれたね。一度家に戻って、休むといい」ポンポン

大狸「おお、そうじゃのう。よく休めよ?」

犬娘「はい。そうしますー」ペコリ トコトコトコ

18 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 19:03:25.60 LPp9sB1A0 13/284

大狸「それにしても、愉快なことになったのう?犬父」

犬父「あはは。この件を『愉快なこと』と言えるあなたは本当に頼もしいですよ」

大狸「ワッハッハ!存分に頼れ!このジジイも、まだ捨てたもんではないぞ?」

犬父「ええ。ところで、大狸さん」

大狸「ん?」

犬父「今回の件、どう見ますか?」

大狸「どう、とは?」

犬父「私たち妖の者がこの国の各地に散り、それぞれが強固な結界を張り、一年に一度の交流のみで過ごしてきたこの約百年。かつて一度たりとも人間の侵入を許したことはありません」

大狸「うむ。確かに」

犬父「しかし、今回は人間の侵入を許した。それも突如として宙から現れた、と」

大狸「うむ」

犬父「一体何故だと思いますか?」

大狸「犬父よ、儂とて万能ではない。この手の考え事は、むしろお主の方が得意であろうよ」

犬父「それは、そうですが・・・」

大狸「ほれ、お主の悪い癖じゃ。物事の結論を急ぎすぎる」

犬父「あ・・・」

大狸「もう少し肩の力を抜かんか。焦っていてもどうにもなるまいよ」ポンポン

犬父「・・・ははっ。そうですね」

大狸「うむ。そうして笑っておれ。そうしていれば、自ずと答えは見えてこようよ」

犬父「はいっ!さ、私たちも祭りの設営の手伝いに行きましょうか」

大狸「おお、そうしようかの!」

19 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 19:14:47.33 LPp9sB1A0 14/284

「フンフンフフーン♪フフンフーン♪」

「お?あそこに見えるのは町明かりか?ようやく人の気配の有るところに着いたなー」

「腹も減ってきたし、何か食べるものくれるかなあ?夢の中なのに、財布の中身は現実的だ・・・」

~秋之村 すすき野原方面入り口~

唐傘お化け「やや!?前方に人影を確認しましたぞ!?」ピョーンピョーン

カラス「何!?本当ですかい!?」

塗り壁「・・・いる」ボソッ

カラス「じゃあ、あっしが大狸の旦那達に伝えてきやす!それまでここで留めておいておくんなせえ!」バサバサ

唐傘お化け「あい!お任せを!」ピョーンピョーン

塗り壁「・・・通せんぼは、得意」ボソッ

20 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 20:43:49.36 LPp9sB1A0 15/284

「おお、着いた着いた。それにしても綺麗だなー。江戸時代みたいな街並みが広がっていて、薄暗い世界を、軒先に吊されているランタンのようなものの暖かい光が照らしている」

唐傘お化け「お、おい!そこの人間!」ピョーンピョーン

「お!ようやく人がぅおう!?」ビクッ

唐傘お化け「やいやい人間!ここへ一体何しに来た?」ピョーンピョーン

「え、え?いや、あの・・・。てか傘が喋った!?」オロオロ

塗り壁「・・・唐傘、落ち着け」ボソッ

「うわあ今度は壁まで!」

塗り壁「・・・お前も落ち着け、人間」ボソッ

唐傘お化け「いいか!間もなく大狸の旦那達が来る!それまでお前はここにいるんだ!」ピョーンピョーン

塗り壁「・・・待っていろ」ボソッ

「この二人?だけでもビックリなのに、狸ときたか・・・。しかも『たち』って・・・」

21 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 20:51:54.71 LPp9sB1A0 16/284

~秋之村中央広場・祭り会場~
カラス「お、大狸の旦那あぁぁ!」バサバサ

トンテンカン トンテンカン
大狸「お?なんじゃいヤタの」ヨッコラセ

カラス「いやだから今はただのカラス・・・じゃなくて!」

犬父「おやカラス。まさか・・・」

カラス「へ、へいっ!例の人間が・・・」ボソボソ

犬父「大狸さん」コクッ

大狸「ワッハッハ!待ちくたびれたわい!」

カラス「ささ、お二方、急いで!」バサバサ

・・・・・・・・・・・・・・・・

犬娘「・・・わ、私も!」

22 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 20:55:29.05 LPp9sB1A0 17/284

犬父「やはりすすき野原方面入り口ですか!」タッタッタ

カラス「へい!今は唐傘の兄さんと塗り壁の大将が足留めしてまさあ!」バサバサ

大狸「ワッハッハ!疼くのう!楽しいのう!」ドスンドスンドスン

カラス「見えましたぜ!お二方!」バサバサ

大狸「おお!」ドスンドスンドスン





24 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 21:12:01.93 LPp9sB1A0 18/284

唐傘お化け「あははは!本当かい!?」ゲラゲラ

「おお、本当なんだそれが。こう、強い風が吹くとな?傘が逆さまにひっくり返るんだよ。雨を溜める器になっちまうんだ」

唐傘お化け「何だいそれ!?傘の風上にも置けないな!」アッハッハッハ

塗り壁「・・・ふっ」

カラス「・・・あれ?」

犬父「これは、一体?」ポカン

大狸「あやつら・・・」ハァー

唐傘お化け「あ、大狸の旦那に犬父さん!お疲れ様です!」ビシッ ピョーン

塗り壁「・・・」ペコリ

「お、アンタらが狸に犬の」

カラス「こ、こら!人間!何て口のききかたを!」

「おお、カラスもいるのか」

カラス「こ、こら!あっしに触るな!」
ギャーギャー

犬父「(唐傘くんに、塗り壁くん。これは一体?)」ボソボソ

唐傘お化け「(いやそれが、話してみるとなかなかどうして面白い奴でして・・・)」

塗り壁「(・・・人間、面白い)」ボソッ

犬父「(・・・)」チラッ

「おお、狸の旦那。アンタ随分でかいなあ」

大狸「・・・人間」ギロッ

犬父「(大狸さん!?)」

25 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 21:32:59.35 LPp9sB1A0 19/284

大狸「人間。お主は、何をしにここへ?」

「いや、まあいいじゃねえか。それよりアンタ・・・」

大狸「人間。儂の質問に答えろ・・・!」ゴッ!

「・・・!すまない」スッ

大狸「(ほう。纏う空気が変わりよった)では、質問に答えろ。何をしにここへ?」

「俺は、ふと気が付いたらすすき野原にいた。周りを見ても何も分からず、とにかく人を探そうと獣道を辿ってここへ来た。とにかく誰かしら人と会う。それが目的だ」

大狸「・・・嘘偽りはないな?」

「誓って」

26 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 22:08:59.45 LPp9sB1A0 20/284

大狸「・・・」

「・・・」

大狸「くっ、くはっ・・・」プルプル

犬父「え?」

大狸「ワッハッハッハッハ!良かろう人間!お主なかなか見所があるぞ!そやつらの言うとおり、面白い!」バンバン

「ふぅー。お眼鏡に適って何より」ホッ

犬父「大狸さん・・・」

大狸「犬父よ、案ずるな。この人間は、儂らに何一つ害をもたらさんよ」

犬父「そう、ですか・・・」

「じゃあ、改めて。男だ。大狸の旦那、それから犬父さんとやら。カラス。宜しく頼むよ」ペコリ

カラス「むう。大狸の旦那が言うのなら・・・」

犬父「ええ。宜しくお願いします」ペコリ

大狸「ワッハッハ!男よ!それにしてもいい時期に迷い込んできたのう!」

「いい時期、とは?」

犬父「明日から5日間、年に一度の大きなお祭りがあるんですよ」

「へえ!祭りか!」

大狸「儂ら妖の者が一番楽しみにしておる祭りじゃ。心行くまで楽しんでいけい!」

唐傘お化け「楽しいぞー!『紫苑祭』は!」ピョーンピョーン



27 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 22:15:07.35 LPp9sB1A0 21/284

カラス「折角ここに留まるんだ。楽しんで行けよ」

「ああ!」

大狸「しかし、お主も初めての土地で祭りを楽しむのも一苦労だろう」

「む、確かにな」

大狸「そこで、だ。案内を付けよう」

「本当か!?助かる」

犬父「しかし、誰を?あなたや私は立場上、自由な時間など無いに等しい。カラスも、塗り壁くんや唐傘くんも、当日は警備の仕事が殆どです。他の妖(ひと)達に頼もうにも、皆警戒してしまいますよ」

大狸「ワッハッハ!何を言う。もう1人おるではないか。この人間を知っていて、祭りの期間中は手の空いている者が」

犬父「それは?」

大狸「おうい、聞いておるのだろう!?犬娘!」

犬娘「はうあ!」ドキーン!

犬父「犬娘!?」

28 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 22:27:26.26 LPp9sB1A0 22/284

大狸「ワッハッハ!やはりな!お主なら付いてきておるだろうと思ったわ!」

犬父「犬娘・・・。帰って休んでいなさいと言ったのに・・・」

犬娘「うぅ・・・。父さん、ごめんなさい。でも、どうしても気になって・・・」シューン

「ええっと?」

大狸「お主を、すすき野原で見かけた者じゃ。この娘の報せで、警備の者に足止めするように頼んでおったのよ」

「ああ、なる程。でも、それならあの野原で声を掛けてくれれば良かったのに」

犬娘「あう、で、でも人間なんて見たの初めてだったから、そのぅ・・・」モジモジ

カラス「犬娘は、緊張しちまってそれどころじゃなかったんだぜ?」

犬娘「はうぅぅー///」プシュー

「そっか。なら、これからよろしくな。犬娘」ナデナデ

犬娘「ふあっ!?」ビクン!

犬父「!?」

「あ、悪い。なんか、つい撫でたくなって・・・」

犬父「あー、君。私の娘なんだが」ゴホン

「分かってるって。もうしないから」ヒラヒラ 

犬娘「は、はうあうはうあうあー・・・///」プシュー バタン!

犬父「い、犬娘!?」

「えー、と?」

大狸「ワッハッハ!気にするな!お主のせいではないわい。くっくっく、楽しみじゃのう!」

犬娘「あうあう・・・///」プシュー

犬父「犬娘!全くもう・・・」ハァー

29 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 22:44:44.82 LPp9sB1A0 23/284

~数時間後~
「いやー、それにしても面白いなあここは」

犬娘「・・・」ドキドキ

「お、あっちにいるのは猫の妖怪か?」

ワッ、ニンゲンダー
イヌムスメトアルイテル
ミタメハアンマリコワクナイネー
ザワザワ

「ははっ、さっきからあちこちで噂になってら。犬娘、平気か?俺と一緒に騒がれてるけど」

犬娘「・・・」ドキドキ

「犬娘?」ヒョイ

犬娘「ぅわひゃあ!な、ななな何ですか!?///」ドキーン!

「いや、何かさっきから上の空だし、具合でも悪いのかなー、って」

犬娘「い、いえいえ!そんなことありませんですよ!?」ブンブン!

「そうか?ならいいけど・・・」スタスタ

犬娘「(うう、父さんに大狸のおじいさんのばか!あんな事言われたら意識しちゃうよ!)」

~ちょっと前~
犬母「あら!殿方と祭りへ!?」

犬娘「か、母さん!勘違いしないでね!?別に変な意味じゃなくて、ただ迷い込んできて右も左も分からない人間の案内をするだけなんだから!」

犬母「まったく・・・。そんなこと言っているから、あなたは素敵な恋人の1人や2人もモノに出来ないのよ?」

犬父「確かに、思春期(盛り)を過ぎたというのに、特に親しい男の子が居ないというのは、どうだろうか・・・」ハァー

犬娘「父さんは普通安心する立場じゃないの!?」

犬父「いや、確かに一時期は男の影が無いことに安心していた時期もあったけど、流石に二周期を過ぎても恋人の1人もいないっていうのはねえ・・・」フゥー

犬母「そうよ?私たちも早く孫の顔が見たいですもの。焦りもするわ」ハァー

大狸「ワッハッハ!ならば今回あの男が迷い込んできて良かったではないか!」

犬娘「大狸のおじいさん!?」

犬父「大狸さん、それは流石に・・・」


30 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 23:02:30.34 LPp9sB1A0 24/284

大狸「何を言うか!今は滅多にないが、昔は人間と交わる事などざらにあったぞ!」

犬父「それは、そうですけど・・・」

犬母「あら、いいですわね!」

犬娘「母さん!おじいさんも!やめてくださいよもう!」プンプン

大狸「何を言うておる。あの人間、『男』は、儂が見込んだ男じゃぞ?お主も嫌っておるわけではないのだろう?」

犬娘「そ、それは!そうですけど!でも、まだ相手の事もよく知らないし、第一あの方が私のことをどう思っているのかだって・・・」

犬母「あら。なら、あなたがその男君の事をよく知って、男君があなたのことをどう思っているのか分かれば文句は無いと?」

犬娘「え!?いや、ちが・・・!///」カァァー

大狸「ワッハッハ!初々しいのう!この話、別室で待たせている男に聞かせてやりたいわ!」

犬娘「いや、ちょ、ダメですよ!」

犬父「むう。やはり娘に恋人が出来るというのは、それなりに複雑な心境だな・・・。しかも相手は人間、か」

犬娘「父さんまでー!」

大狸「まあ、ともかく」

犬父「そういった?可能性?もある、ということは覚えておいて」

犬母「頑張ってきなさい!祭りの期間は5日。それだけあれば、若い男女ですもの。嫌が応にでも、関係は進んでいきますわ!」

31 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/04 23:17:03.14 LPp9sB1A0 25/284

~現在~
犬娘「(まったく、皆勝手なんだから!そりゃ、私だって素敵な恋人くらい欲しいけどさ)」

「・・・ーい」

犬娘「(大体父さんだってあまり人間の事好きじゃないみたいなこと言ってたのに、大狸のおじいさんが認めたらすぐこの人のこと認めちゃうし!)」

「・・・すめー?」

犬娘「(ま、まあ?確かにこの人、背も高いし、結構筋肉もあるし、あ、頭撫でてくれたし・・・///)」ウフフ

「ぃ・・ぬ・・・め・・・ってばー?」

犬娘「(さっき撫でられた時、気持ち良かったなぁ・・・。父さんとも、母さんとも違う、温かくて、大きな手・・・)」

「・・・!・・・!!」 

犬娘「(こ、ここ恋人がどうとかは別として!)」ブンブン!

「!?」ビクッ

犬娘「(も、もう一度撫でてほし・・・)」チラッ

「い・ぬ・む・す・め!!」ガッ!

犬娘「きゃあぁーー!!」

「うおっ!」

犬娘「ななな何ですかいきなり!ひ、妖(ひと)の肩を掴んで!!」ドキドキ

36 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 08:52:59.55 i/9Jk9SR0 26/284

「いや、さっきから何度も声掛けてるのに全然返事しないし、上の空だったからどうしたのかな、と思ったんだよ」

犬娘「だ、大丈夫です!もう、全然大丈夫です!」アセアセ

「そうか?顔、真っ赤だぞ?熱でもあるんじゃないか?」ピト

犬娘「!!!?」ドッキーン!!

「んー、熱は無いか・・・?」

犬娘「(は、はわわわわわ!!お、おで、おでこ!さ、触られてるー!)」ドッキン!ドッキン!

「うーん・・・ってあれ?何かさらに顔が赤く・・・って熱う!?」バッ!

犬娘「きゃん!」

「あ、悪い!じゃなくて!犬娘、お前熱すごいじゃないか!」

犬娘「い、いや、これは・・・///」

「具合悪いなら無理して案内してくれなくても良かったのに!」

犬娘「いや、あの、だから・・・///」

「ほら、一度帰ろう。ゆっくり休んでいないとダメだ」グイッ

犬娘「ほぇ?ひゃあっ!

37 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 09:07:55.57 i/9Jk9SR0 27/284

「ほら、一度帰ろう!ゆっくり休んでいないとダメだ」グイッ

犬娘「ほぇ?ひゃあっ!」ズテン!

「うおっと!?」ヨロ

犬娘「あわわ、す、すいません!(どどどどうしよう!?あまりに緊張しちゃって、こ、腰が抜けちゃった・・・///)」

「おいおい・・・。立てないほど体調悪いのか・・・。こうなったら!」グイッ ダキッ

犬娘「はわっ!?///」

「よし、行くぞ、しっかり掴まってろよ!」ダッ!

犬娘「(こ、こここの体勢は!?///)」カァァー

オカアサン、イヌムスメノネエチャンガオヒメサマダッコサレテルー
アラアラ、ホホエマシイワネー
ジョウチャンオアツイネエ!

ワハハ ワハハ

犬娘「(ーーーーーーーー!!!!!)///」ギュウゥゥ

「はっ、はっ・・・。犬娘、もうすぐだからな!!」ダッダッダッダッ

犬娘「(・・・あ、すごく、必死な顔・・・)」

「はっ、はっ・・・!」ダッダッダッダッ

犬娘「(この人は、会ったばかりの私のこと、本当に心配してくれているんだ・・・)」

「はっ、はっ・・・。あと、少しだ・・・!犬娘、頑張れよ!」ダッダッダッダッ

犬娘「(!!)」ドキーン!

犬娘「(どうしよう・・・。この人は人間なのに・・・)」

「よし!はっ、はっ・・・。家が見えてきた!」ダッダッダッダッ

犬娘「(絶対に有り得ない、って思ってたのに・・・)」トクン トクン



犬娘「(本当に好きに・・・、なっちゃった)///」ボッ

「うわあ!犬娘の熱がさらに高く!?」


38 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 10:22:46.59 i/9Jk9SR0 28/284

ー犬娘の家ー
犬母「まったくあの子ったら・・・」ハァ 

「あ、犬母さん!犬娘は大丈夫なのか?」

犬母「あら男君。待っていてくれたのね。ええ、あの子は平気よ。何の問題もないわ」

「そうか・・・」ホッ

犬父「それにしてもすまなかったね、男君。あの子も重かっただろうに、ここまで運んでくれて」

大狸「ワッハッハ!やはり、儂の見込んだ通りじゃのう!」ヒック

「いや、そんな大層なことはしてないよ」

犬父「いやいや、出会って間もない妖(ひと)の為にあそこまで頑張れるというのは美徳だよ。君はとてもいい青年だ」クイッ コクコク

犬母「あなた、あまり飲み過ぎませんように」

犬父「あはは、分かっているよ。まだお猪口に2杯だ。まあ、そろそろ止めるがね」

大狸「何じゃ。もう終いかの?ならば男、お主はどうじゃ?」ドン!

「いや、俺は未成年・・・だが、どうせ夢だ。頂こう」

大狸「ワッハッハ!話が分かるのう!」トクトク

犬父「ところで、『夢』とは?」

「ん?いや、今のこの状況だよ。大学受験を明日に控えた俺の脳がせめてもの慰めに見せる夢だろうな、って」クイッ 

犬母「それは・・・」

「まー、こんな不思議な体験、現実には有り得ないだろうしな!夢の中で、夢であることを把握するのって何て言うんだっけか?白昼夢?は、違うよなー」

犬父「あー、男君?」

大狸「・・・!」プルプル

「ん?どうしたんだ?皆揃って妙な顔して」キョトン

犬父「ここは、紛れもなく現実だよ?」

「はい?」

犬母「確かに、あなたの世界では起こり得ないことでしょうし、夢だと思い込みたくなる気持ちも分からなくもないけど・・・」

犬父「ここはちゃんと『現実』の世界だよ?」

「・・・え?」

大狸「ワァーッハッハッハ!!こ、これは面白いぞ男!!」バンバン!

39 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 10:30:24.81 i/9Jk9SR0 29/284

「え!?ちょ。本当か!?」

犬父「ああ。本当だよ。何なら君の頬でも抓ってみようか?」

「そ、そんな・・・」ガックリ

犬母「あらあら。ここが夢なら良かった?」

「いや、そんなことはない。そんなことはないけど・・・」

大狸「因みに、こことお主の住んでおったせかいの時間の流れは同じじゃ。ここの夜が明けるとき、お主の世界の夜も明ける」ゴクゴク

「そ、そんな・・・!受験が!」

犬父「その、まあ、何というか・・・」

犬母「げ、元気を出して?」ポンポン

「うう、必死に勉強してきたのに・・・」

大狸「ワッハッハ!諦めよ!これからはここで暮らすのじゃ!どの道諦めるしかないわい!」

「おおっとお?予測はしてましたけど本当に帰れない設定まで?」

犬父「実を言えば、君はかなり特殊な例でね。ここ百年近くの年月において、ただの一度も前例が無いんだ」

40 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 10:52:49.44 cgGF+R6C0 30/284

「そ、そんな・・・。対処のしようもないと?」

犬父「ああ、勿論、調査はするよ。今後また同じ事が起こらないとも限らないからね」

「そうか・・・。じゃあ、任せてもいいか?」

犬父「ああ、任せてくれ」

大狸「男よ、安心せい。この犬父は、この村でも指折りの頭の良さを誇っておる」

「ああ、信じる」

犬母「男君。あなたは、ここで暮らしなさいな」

「えっ?」

犬父「ああ、そうするといい。というより、そうするほか無いだろう?」

「いや、だけど・・・」

大狸「ワッハッハ!そうさせてもらえ!何も気にすることはあるまいよ!」

犬母「もちろん、相応に働いて貰いますけどね?」ウフフ

犬父「それに勿論、君さえ良ければ、だけどね」

「・・・いや。願ってもない。帰れない以上、俺にはここで暮らす以外の選択肢は無いんだ。よろしく頼みます」ペコリ

大狸「ワッハッハ!年に一度の祭りの日に現れた人間!帰れずに妖怪の村で暮らす!実に面白いのお!」

「まあ、滅多に出来ない体験ではあろうな」

犬父「そうと決まれば、男君。早速、明日の祭りの開催式で、君のことを村の皆や、ここに集まった他の村の者達に伝えたいんだが、いいかい?」

「ああ。是非もない。これから暮らす以上、皆に知っておいてもらった方が、後々無用な騒ぎが起きなくて済むしな」

犬母「あらあら。結構豪気なのね」クスクス

大狸「頼もしいのう!ワッハッハ!」

41 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 11:01:53.29 cgGF+R6C0 31/284

大狸「さて、話も纏まったところで、儂は一度戻るとするかのう」ヨッコラセ

犬父「今回はすみませんでした。助かりましたよ」

大狸「なんのなんの。儂は楽しませて貰っただけよ!」

犬母「大狸さん、帰路、お気を付けて」  

大狸「おお。ではな!また明日来るわ!」


犬父「さて、男君。君も今日は疲れたろう。風呂が沸いている。湯に浸かってゆっくりしてくるといい」

「そうか。有り難い」

犬母「もう。男君?ここはもうあなたの家も同然なんですからね?変な遠慮はしないように」

「ははっ。分かったよ。じゃあ、行ってくる」

犬父「ああ、行ってらっしゃい」

犬母「着替えは脱衣場に置いてある浴衣を着てくださいねー」ヒラヒラ

42 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 11:20:01.40 rRI+PKDn0 32/284

ー犬娘の家・浴場ー
カポーン
「おお、露天か!」

「それにしても、妙なことになったなあ・・・」ゴシゴシ

「未だに夢を見ているような感覚が残ってる」ザバー

「まあ、悩んでいても仕方がないしなあ。明日からの生活、どうなっていくことやら・・・」ザブン

「ふぅーー。いい湯だぁ・・・」




犬娘「(・・・・・・)」

犬娘「(お、男さんがどうしてここに!?)」


44 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 11:46:48.29 rRI+PKDn0 33/284

ー数分前・犬娘の部屋ー
犬娘「うぅ、ん・・・」パチッ

犬娘「あれ?私・・・」ムクリ キョロキョロ

犬娘「確か、男さんとお祭りの会場を回っていて・・・」

犬娘「急におでこ触られて、驚いて、お姫様抱っこで・・・。!!」ボッ

犬娘「ッーーーーーーー!!!」ジタバタ ゴロゴロ

犬娘「ぶはあっ!はあ、はあ・・・。うぅ、変な汗かいちゃった・・・」



大狸『ワァーッハッハッハ!こ、これは面白いぞ男!!』バンバン!



犬娘「まだ皆お話ししてる・・・。それに、お酒飲んでるのかな?」クンクン

犬娘「なら、汗もかいたし、お風呂行ってこよう・・・」コソコソ

犬娘「うう、抱っこされてたとき、汗臭くなかったかなあ・・・?」クンクン

45 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 16:32:03.63 rRI+PKDn0 34/284

カポーン
犬娘「ふう・・・」

犬娘「それにしても男さん、これからどうするんだろう?人間の村から来たってことは、この村に知り合いなんていないだろうし・・・」ウーン

犬娘「お、男さん、ウチに住んでくれないかなあ///」エヘヘ

犬娘「そしたら、きっとまた撫でてくれるよね?///」ポー


ほわわーーん
『犬娘、可愛いね・・・』

犬娘『か、可愛いだなんてそんな!男さんたらお上手なんですから!///』アセアセ

『本当に可愛いよ・・・。おいで、撫でてあげよう・・・』ギュウッ ナデリナデリ

犬娘『ふわっ!お、男さん・・・///』デレー



犬娘「きゃー!きゃー!お、男さんたらダイタンですぅー!///」バッシャバッシャ

犬娘「はあ、はあ、はあ・・・。私ったらな、何てはしたない妄想を・・・」チャプン

犬娘「うぅーー。でも、実際問題、男さんどうするのかな?」ウーン ブクブク


『おお、露天か!』


犬娘「!!」ドキーン!



46 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 16:39:38.56 rRI+PKDn0 35/284

犬娘「(お、男さんがどうしてここに!?)」

『ふうー。それにしても・・・』

犬娘「(?)」

『犬娘は大丈夫かな?』

犬娘「(へっ?)」

『急に熱出して倒れるなんて・・・。悪い病気とかじゃないといいなあ』

犬娘「(お、男さん・・・!そこまで私の事を!?)」キューン!

犬娘「(うう、今すぐ男さんの側に行きたい!それで、また撫でてもらいたい!)」

『さて、そろそろ上がるかな。あまり長湯してもなんだし』ザパッ

犬娘「(でもでも、お風呂で殿方の側に寄るなんてはしたないし!)」ウーンウーン ブクブク

カラカラカラ パタン

犬娘「(え、えーい、こうなったら、一か八かで男さんの胸の中に!)お、男さん!!」ザバッ!

しーーん

犬娘「・・・」

犬娘「ぐすっ」

47 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 17:58:27.03 i/9Jk9SR0 36/284

ー犬娘の家・茶の間ー
犬母「さあ、今日は腕によりをかけて作りましたからね!たんと食べなさいな!」

ズラァーー!!

「おお!これはすごいな!」

犬父「妻の料理は村一番と言われるほどでね。是非味わってくれたまえ」

「そういや、すすき野原で目が覚めてから、何も食べてないんだった。それじゃあ、頂きます!」

「ふまい!ほれ、めひゃくひゃふまいぞ!?(訳:うまい!これ、めちゃくちゃうまいぞ!?)」ガツガツ モグモグ

犬母「あらあら。そんなに急いで食べなくても、まだまだあるわよ?」ウフフ

犬娘「あ、あの、男さん!」

「ん?何だ?犬娘」ゴクン

犬娘「あ、あの、その・・・」モジモジ

「?」

犬娘「こ、ここここれ!食べてくらしゃい!」バッ!

犬娘「(か、噛んじゃったーー!)///」プシュー

「おお、肉じゃがか!好物だよ、頂きます」ヒョイパク モグモグ

犬娘「!!」

「ふむふむ」モグモグ

犬娘「(ど、どうかな・・・!?)」ドキドキ

48 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 20:12:45.23 lrr1Vayk0 37/284

「ん!美味い!すごく美味いぞ!!」

犬娘「ほ、ホントですか!?」パアァァ

犬母「ふふ、良かったわねー。一生懸命作った甲斐があって」

犬娘「も、もう!母さんってば!///」

「これ、犬娘が作ったのか?料理、得意なんだな」モグモグ

犬娘「い、いえ、そんな・・・///」テレテレ

「うん、これならいつでも嫁に行けるな!」

犬娘「お、お嫁さ・・・!?///」ボッ

犬父「おお、良かったな、犬娘。お墨付きだ」

犬母「うふふ、孫の顔が見られる日も近いかしら?」

犬娘「わー!わー!と、父さんも母さんも早く食べなよ!!///」

「???」パクパク

51 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/05 23:12:32.54 i/9Jk9SR0 38/284

「ごちそうさまぁっ!」パン!

犬母「あらあら。お粗末様でした。いい食べっぷりだったわー」ウフフ

犬父「ああ、見ていて気持ちが良かったよ」ズズー

「犬母さん、めちゃくちゃ美味しかったよ!」

犬母「あらそう?うふふ、ならこれから毎日張り切っちゃおうかしら?」

「いやー、ほんとに。毎日でも食べたいくらいだ」ポン、ポン

犬娘「ぅーー・・・」プルプル

犬母「(あらあら。)男君、参考までに聞くと、今日の献立の中で、どれが一番好みだったかしら?」

犬娘「!」ピーーン!

「え?んーー・・・」

犬娘「(お、男さん・・・!?)」ドキドキ

「・・・犬娘の肉じゃがかなあ。犬娘、お前の肉じゃが、一番好みだったぞ!」

犬娘「!!ほ、ホントですか!?」パタパタ

「ああ。何て言うのかな・・・。こう、俺の求める、一番家庭的な味だった。将来は、こんな肉じゃがを作れる女の子と家庭を持てたらなあ、って思ったほどだ」

犬娘「っーーー!!///」パタパタパタパタ!!

犬母「うふふ、犬娘ったら。こんなに尻尾を振っちゃって」クスクス

犬娘「か、母さん!うるさいよ!///」

犬母「はいはい。それじゃあ、私は食器を片してきますね」スッ

「あ、そのくらいは俺が・・・」

犬母「いいのよ。男子厨房に入るべからず。洗い物まで、女の仕事ですよ?」フフッ スタスタ

「行っちゃった・・・」

犬父「はは。気配りも出来て、男君は本当にいい青年だなあ」ズズー

犬娘「ほら、父さん!いつまでもお茶飲んでないで、お風呂にでも行ってきたら?」

犬父「おお、そうだね。では、行ってくるとしよう。男君、君の部屋は後で案内しよう。それまで、ここで犬娘と待っていてくれるかい?」

「ああ、構わないよ」

犬父「では、暫し失礼・・・」スタスタ スー パタン

「ふうー」

犬娘「あ、お、男さん。よ、良かったらお茶、飲みますか?」

「ああ。頂くよ」ニコッ
犬娘「(はうぅーーー!)わ、分かりました!すぐに淹れてきますね!///」パタパタ

「・・・犬娘、また熱がぶり返したのかなあ・・・」

54 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 00:57:19.77 Ty7DB1nB0 39/284

ー犬娘の家・台所ー
犬娘「母さん、お茶っ葉どこ?」ガサゴソ

犬母「あら、男君にお茶?」カチャカチャ ゴシゴシ

犬娘「うん、淹れてあげようと思って」エヘヘ

犬母「あらそう。結構順調に進んでいるのかしら?お二人は?」ウフフ

犬娘「か、母さん!そういう話はいいってば!////」

犬母「はいはい。ま、どうせこれからは一緒ですものね。焦らなくても良いでしょうし」カチャカチャ ゴシゴシ

犬娘「そうそう。これから一緒・・・え?」キョトン

犬母「あら、言ってなかったかしら?男君、これからここで暮らすのよ?」

犬娘「・・・え?」

犬母「あらあら。あなた、男君がこれからどうするか考えてなかったの?」

犬娘「いや、せいぜい一晩泊まっていくくらいかなーって思ってたのに!え!?暮らすの!?」

犬母「そうよ?父さんと私と出話して、決めたわ」



56 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 10:03:14.22 Ty7DB1nB0 40/284

ー犬娘の家・茶の間ー
「犬娘、遅いなあ・・・」

スッ パタン

犬娘「お、おおお男さん。お、おま、お待たせいたしました・・・」カタカタカタカタ

「い、犬娘?」

犬娘「は、はい?なな何でしょう?あ、お茶です///」カタカタ スッ

「あ、ああ。ありがとう」ズズ

犬娘「・・・///」プルプル

「??」



ー犬娘sideー
犬娘「(う、うわあー。お、男さん、これから毎日一緒なんだー・・・!)///」プルプル

「??」ズズー

犬娘「(ど、どうしよう!?か、顔が勝手に緩んじゃう!)///」プルプル ピクン!ピクン!

犬娘「(うう、気を抜くと尻尾もぶんぶん振っちゃいそうだし・・・///)」ギュゥゥゥ

「ぷはあー。お茶も美味いなー」ホッコリ

犬娘「(か、かかか可愛いーー!)///」ドキーン!

「ふう・・・」コト

犬娘「(あ、お湯のみを持つ手・・・)」

犬娘「(やっぱり大きいなぁ・・・)」ホウ

犬娘「(・・・うう、撫でて欲しいーーー!!///)」プルプル

57 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 11:31:20.90 Ty7DB1nB0 41/284

「(さっきから、犬娘が挙動不審だ・・・)」

犬娘「・・・///」イヤンイヤン

犬娘「・・・!」プルプル

犬娘「・・・///」ホウ

犬娘「・・・!///」ガクガクガク

「・・・」

「(正直少し怖いな)」ズズー

「あ、そうだ。犬娘」

犬娘「ひ、ひゃい!?///」アセッ

「もう聞いたかな?俺、今日からこの家で世話になるんだ」

犬娘「は、はい。さっき母さんから聞きました」

「そっか。なら、そういうことだから。男の俺がいるなんて落ち着かないかもだけど、これからよろしくな」ポン ナデナデ

犬娘「!!ふぁ・・・!!///」プルプル

「ん?あ、悪い。またやっちゃったな」パッ

犬娘「あ!!」

「うおっ。な、何だ?」

犬娘「(お、思わず叫んじゃった!ど、どうしよう!?ま、まだ撫でて欲しいなんて、わがままかな?で、でも、折角の機会だし・・・!)」

「犬娘?」

犬娘「(うう、も、もうわがままと思われてでも!!)あ、あの!も、もっと撫でてくれませんか!?」グイ

「え?ああ、全然いいぞ」

犬娘「ほ、ホントですか!?」グイグイ

「ああ、撫でる、撫でるよ。でもその前に・・・」

犬娘「な、何でしょう!?」キラキラ ワクワク

「あー、ちょっと離れてくれるか?流石に近すぎる」

犬娘「へ?あ・・・///」カアァ

犬娘「す、すいません、私ったら///」チンマリ

「あはは、いいよ。ほら、よしよーし」ナデリナデリ

犬娘「ふわあぁぁーーー・・・///」ウットリ パタパタパタパタ!!

62 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 16:03:03.37 yGhCjA9x0 42/284

「あはは、そんなに気持ちいいかー?顔、緩みっぱなしだぞー?」ナデナデ

犬娘「ふ、ふぁいーー・・・///お、男しゃん、とても上手でしゅーー・・・///」デレー ブンブン!!

「尻尾もぶんぶん振ってる。可愛いなー犬娘は」ヨシヨシ

犬娘「か、かわっ・・・!?///」キュゥン!!

「うん、まるで妹が出来たみたいだ」ナデナデ

犬娘「あう・・・。妹、ですか・・・」シューン フリ…フリ…

「?犬娘?俺、何か不味いこと言ったかな?それとも、あまり気持ち良くなかったか?」

犬娘「あ、いえ、そんなことは!!」ブンブン

「そうか?なんか、ちょっと元気無くなったから」

犬娘「いえ、これから私が成長して母さんみたいになればいいだけです!任せてください!」フンス

「??ああ、頑張れよ」ナデナデ

犬娘「ふぇへへー///」デレー

「(うん、やっぱり妹が出来た気分だ)」

63 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 16:36:49.97 yGhCjA9x0 43/284

ー数分後ー
犬父「いやー、すまない。すっかり遅くなってしまった」ホッコリ

「いやいや。そんなことはないさ」

犬娘「父さん、お帰り」テカテカツヤツヤ

犬父「ああ、ただいま(犬娘の血色が異常にいい?)」

犬母「あら、戻ったのね」スッ パタン

犬娘「母さん?随分かかったね?確かにお皿は多かったけど、母さんならもう少し早く・・・はっ!?」

犬母「(うふふ、早く私みたいになれるといいわねー?)」

犬娘「(の、覗いてたの!?)///」

犬母「(あらあら、あなたの気持ちよさそーーうな声が勝手に聞こえてきただけよ?)」ウフフ

犬娘「ーーー!!///」ポカポカ

犬母「あらあら、この子ったら」

男・犬父「???」

64 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 16:45:16.79 yGhCjA9x0 44/284

犬父「さて、男君。夜も更けてきたし、そろそろ君の部屋へ案内しよう」

「お、そうか。っていっても、空はここへ来たときから変わらないんだな。ずっと紫色で、大きな満月が浮かんでいる」

犬父「ああ、言っていなかったか。ここの空は、祭りが終わるまでずっとこうだよ。昼も、夜もね」

「へえ!」

犬母「一年に一度訪れる、空が紫色の夜に変わる一週間。その間の5日間に行われるのが、『紫苑祭』よ」

「そうなのか・・・。なぜ、こんな事が?」

犬娘「それが、詳しい理由は分からないんです」

「分からない?」

犬父「ああ、この村を覆う結界に何らかの力が働いてこうなるのか、自然的な力でこうなるのか、誰かが意図的に行っていることなのか、仮説こそあれ、事実は判明していないんだ」

「へえ。不思議なこともあるもんだな」

犬父「君も十分『不思議なこと』、なんだけどね」

「おおっと、そうだったな」

65 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 16:55:52.83 yGhCjA9x0 45/284

犬父「あはは。では、行こうか男君」

「ああ。犬母さん、犬娘、おやすみなさい」

犬母「はい、おやすみなさい」

犬娘「あ、私の部屋もそっちなんで、途中までご一緒しますね!」フリフリ

「ああ、行こうか」

ー犬娘の家・客間ー
犬父「男君、君はこれからはこの部屋を使ってくれ」スッ

「おお、1人部屋にしては広いな。いいのか?」

犬父「構わないよ。それに、犬娘がここにしろとうるさ・・・」

犬娘「わー!わー!ほ、ほら父さん!もういいでしょ!?お休み!」グイグイ

犬父「おおっと、はいはい・・・。では男君、また明日ね」スタスタ

「ああ。お休み」

犬娘「で、では、男さん!明日の朝、私が起こしに来るので!」ビシッ

「おお、助かるよ」

犬娘「はい!おやすみなさい!」スッ パタン

「・・・犬娘は隣か」

80 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 23:45:33.74 Ty7DB1nB0 46/284

ー犬娘の家・犬娘の部屋ー
犬娘「(きゃー!きゃー!お、男さんの隣の部屋だー!)」ゴロゴロゴロゴロ!!

犬娘「あ、明日は男さんと一緒に、始まるお祭りを楽しむんだ!」フトン ギュゥゥゥ!!


ー数分後ー
犬娘「ふう・・・。それにしても、今日の夕方出会った人を、一日も経たないうちに好きになっちゃうなんて・・・」ホウ

犬娘「しかも、相手は人間・・・」

犬娘「そういえば、昔は、人間と交わることもあったらしいけど、どうして今は無いんだろう?・・・ふわあーー・・・あふ」シパシパ

犬娘「そもそも、どうして私たち妖は、人と違う世界で生きているんだろう・・・?」ウトウト

犬娘「男さん、私たち妖のこと、どう思ってるのかな・・・」コクッ コクッ

犬娘「・・・好きに、なってくれると・・・いい、な・・・」ポスン

犬娘「Zzz」スー スー

81 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/06 23:51:29.85 Ty7DB1nB0 47/284

ー犬娘の家・男の部屋ー
「それにしても、本当に何でこんな所に来たんだろう、俺・・・」

「家で大人しく昼寝してただけなのに。いきなり異世界召喚なんて・・・」

「大狸さんも、犬父さんや犬母さん、犬娘も、皆良くしてくれるから助かったけど・・・」

「くぁ・・・ーーふぅ。妖怪だらけのこの村で、俺、やっていけるかな・・・。いや、やっていくしか、ないのか・・・」

「ま、何とかなるか・・・。また明日になったら考えよう・・・」

「Zzz」グー グー

・・・・・・
・・・・
・・

82 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 00:04:59.38 M6mAP53A0 48/284

ー翌朝 犬娘の家・男の部屋の前ー
犬娘「・・・ふ、普段より半刻も早く目が覚めちゃいました・・・!」

犬娘「ちょっと早いですけど、男さんを起こさなければ!」グッ!

犬娘「そ、そしたら、おはようの撫でなでをしてもらえるかも・・・」エヘヘ

犬娘「そ、それに、朝起こしてあげるのって、まるでふ、夫婦、みたいだし・・・///」ポッ

犬娘「よーし、そうと決まれば・・・!お、男さーん?朝ですよー?」コンコン

しーーん

犬娘「男さーん?起きてますかー?」コンコン

しーーん

犬娘「お、男さん、全然起きる気配がありません・・・。こ、こうなったら、お部屋に入って、直接起こしましょう!」

犬娘「こ、これは不可抗力です!け、決して男さんの寝顔がみたいとか、あわよくば隣で横になりたいなんて思っていませんし!そ、そう、男さんを起こすために仕方なくですから・・・!」

しーーん

犬娘「わ、私ったら、誰に言い訳してるんでしょうか・・・///」

83 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 00:20:22.03 M6mAP53A0 49/284

犬娘「と、とにかく!いざ、お部屋へ・・・!」スー

犬娘「(お、男さーーん・・・?)」ソロソロ

「・・・」Zzz Zzz

犬娘「(お、男さんの!ね、寝顔ーー!)///」キュン!

「んん・・・。・・・」Zzz Zzz

犬娘「(いえいえ、いつまでも眺めてはいらません!起こさなければ!)」ブルブル

犬娘「お、男さーーん」ユサユサ

「んんあ・・・。んんー・・・」ゴロン

犬娘「(お、男さん、大の字になって・・・。はっ!こ、これは、うう腕枕というやつでは!?)」

「・・・」Zzz Zzz

犬娘「(お、男さんったら大胆です!い、いきなり腕枕だなんて・・・!)///」イヤンイヤン

「・・・」Zzz Zz

犬娘「(で、でも、折角ですしね!お、起きない男さんが悪いんです!も、もしかしたら腕の重みで起きるかもしれませんし!)」フンス

「・・・」

犬娘「(で、では、いざ・・・!)」ジリジリ

「あー、おはよう、犬娘」パチッ

犬娘「きゃあ!」ビックウ!!

「ああ、ごめん、驚かせたかな?」

犬娘「お、おおお男さん!?起きてらしたんですか!?///」カアァ

「うん。何か、すごい圧力で」

犬娘「はうぅーー///」シューン

犬娘「(わ、私、勢いあまってなんてことを・・・!)///」

87 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 11:02:56.44 M6mAP53A0 50/284

「くぁーーー・・・。ふうー。おはよ、犬娘。起こしに来てくれて、有り難うな」ポン ナデナデ

犬娘「あっ。い、いえいえ、これくらいー///」テレテレ

「ん。じゃあ、布団をたたむから、ちょっとどいていてな」ポンポン

犬娘「はっ、はい。あ、それとこれ、お着物です。父さんのですけど。男さん、お着物は今着ている寝巻きの浴衣と、昨日着ていた、ようふく?しかないでしょう?」スッ

「ああ、そういえばそうだね。いつもこの浴衣っていうわけにもいかないだろうし。洋服は目立つだろうし。うん。有り難くお借りするね」タタミタタミ

犬娘「はい。男さん、きっと似合いますよ」ニコッ

「うん、じゃあ早速着替えようかな」

犬娘「はい!」

「・・・」

犬娘「・・・」

「犬娘?」

犬娘「はい?」キョトン

「あー、俺、着替えたいんだけど?」

犬娘「へ?あ、そ、そうですよね!わ、私ったら!///」エヘヘ

犬娘「じ、じゃあ襖の外で待っているので、お着替えが終わったら、声を掛けてください!///」スッ パタン

「・・・犬娘って、天然?」

ー犬娘の家・男の部屋の外ー
犬娘「あうぅーー。私ったら、またはしたないことを・・・」ショボーン

犬娘「お、男さん、私のことをはしたない女の子だ、って思ってたらどうしよう?」ウー

犬娘「・・・ううん。まだこれからだもん!まだまだ巻き返せるはず!頑張れ私!」フンス

犬娘「・・・で、でも、ち、ちょっとだけ男さんのお着替えを覗いても・・・。ほ、ほら、お着物の着方、分からないかもだし・・・!」コクコク

犬娘「こ、これは決してはしたないことではなく、男さんが困っていないか確認するという、親切なことで、やましいところは何も・・・!」ソー

「犬娘、終わったよ」スッ

犬娘「わひゃあっ!?」ビックウ!!

「・・・犬娘?」キョトン

犬娘「いえいえ!な、何でもないですよ!?あ、お、お着物の着方、分かりました?」アセアセ

「う、うん。着物っていっても、甚平みたいなもので、簡単だったよ」

犬娘「そ、そうですか!あ、母さんが朝ご飯を用意しているんです!さ、さあ、早く食べに行きましょう!」ピュー!

「あっ、犬娘?」

ドタドタドタドタ!!

「どうしたんだ?ホントに」

88 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 11:36:38.54 M6mAP53A0 51/284

ー犬娘の家・茶の間ー
「犬母さん、おはようございます」

犬母「あら、男君。おはよう。今ご飯よそうから、座って待っててね」スタスタ

「はい、ありがとうございます」

犬娘「男さん、男さん!今朝のお味噌汁は、私が作ったんですよ!」フンス

「へえ!それは楽しみだ。朝から家の手伝いなんて、えらいなー犬娘」ナデナデ

犬娘「ふぁ・・・。えへへー///」デレデレ フリフリ

「(犬娘は撫でられるのが好きみたいだ。本当に犬みたいで愛らしいなー)」ナデナデ

犬母「あらあら。朝から仲睦まじいわねー」ウフフ

犬娘「か、母さんったら!か、からかわないでよもう・・・///」

「いやあ、犬娘があまりに可愛らしいんで、つい撫でたくなっちゃうんですよ」ナデナデ

犬娘「か、かわっ!?///」プシュー

犬母「あらあら。良かったわねー、犬娘?」ウフフ

犬娘「あうあう・・・///」プシュー

「あ、ところで、犬父さんは?」

犬母「ああ、あの人なら、今頃会場で最後の設営に行っているわ」ペタペタ

「え?声をかけてくれれば、俺も手伝ったのに・・・」

犬母「うふふ。あなたは今日の主人公ですもの。登場は祭りが始まってから、よ?はい、ご飯」コト

「あ、すみません、頂きます。んー、主人公と言われても、俺、ただの人間ですよ?」

犬母「あら。ただの人間だからこそ、とても珍しいのよ?はい、犬娘」ペタペタ コト

犬娘「ありがとう。・・・そうですよ、男さん。もう人間を見たことがある妖(ひと)なんて、大狸のおじいさんくらいなんですから」

「へぇー」

犬母「まあまあ。込み入った話は後にして。まずは朝ご飯よ。頂きます」

「頂きます!」

犬娘「頂きまーーす」

89 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 13:11:59.46 M6mAP53A0 52/284

カチャカチャ 
「お、犬娘、この味噌汁、美味いぞー」モグモグ ズー

犬娘「本当ですか!?良かったです!」ニコニコ ブンブン

「犬母さんの焼いてくれた鮭も、塩加減が丁度良くて、美味しいです」ムシャムシャ

犬母「あら。嬉しいわー。まだお代わりありますからね?」ウフフ

「はい!頂きます!」ガツガツ



ー数十分後ー
「ぷはあー!ごちそうさまでした!」

犬母「はい、お粗末様でした。本当にいい食べっぷりねー」

犬娘「男さん、そんなに美味しかったですか?」

「ああ。本当に美味しかったよ」ポン

犬母「さて、食事も終わったことだし。犬娘、男君。顔を洗っていらっしゃい。そしたら、男君は先にお祭りの会場に行っていなさいな。場所は分かるわね?」

「ええ、分かります」

犬娘「母さん、私は?」

犬娘「あなたは、少し待っていなさい」

犬娘「えー・・・」ブー

犬母「少し用があるのよ。ほら、いいから顔を洗ってきなさい」パンパン

「はい。行こうか、犬娘」スタスタ

犬娘「はーい」トテトテ





犬母「・・・うふふ」キュピーン

90 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 13:21:43.60 M6mAP53A0 53/284

ー犬娘の家・洗面所ー
「・・・」シャカシャカシャカシャカ

犬娘「・・・」シャコシャコシャコシャコ

「・・・」ガラガラー ペッ

犬娘「・・・」ブクブクブク ペッ

「・・・」バシャバシャ!

犬娘「・・・」パチャパチャ

ぴかーーん!

「よし、終わり!」キラーン

犬娘「はい!」キラーン

「それじゃあ、俺はこのまま祭りの会場へ行って、犬父さんを手伝ってくるよ」

犬娘「はい。私もご一緒したかったのですが・・・」ショボーン

「あはは。用事が済んだら、後で合流しようよ。今度は、祭りの中を案内してくれる?」ナデナデ

犬娘「あふう・・・/// はい!必ず!」グッ!

「うん。ありがとう。それじゃあ、また後でね」スタスタ

犬娘「行ってらっしゃいませ!」ブンブン

犬娘「・・・」アタマサスリ

犬娘「・・・えへへ///」

犬娘「よし、母さんのところへ行こう!」トテトテ

91 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 16:14:10.56 7ooqMQvC0 54/284

犬娘「母さーん?どこー?」

犬母「ああ、犬娘。こっちよ」クイクイ

犬母「物置部屋?」

ー秋之村・中央広場 紫苑祭開会式会場ー

犬父「・・・では、そういうことで。よろしくお願いします」

「おーい!犬父さーん!」タッタッタ

犬父「ん?ああ、男君。おはよう、よく眠れたかな?」

「おはようございます。ええ、おかげさまでぐっすりと」

犬父「そうか。それは良かった」

「それで、俺も何か手伝おうと思って・・・」

犬父「そうなのかい?気持ちはありがたいが、今丁度最後の打ち合わせが終わったところでね。特にすることはないんだよ」

「そうですか・・・」

犬父「そんなに気落ちしないでくれ。あと半刻もすれば、祭りが始まる。君には、その時に目一杯働いてもらうよ」

「はい!」

犬父「まあ、働くと言っても、中央の舞台上で祭りに来ている皆に、顔見せするだけだけどね」

「そういえば、人間がここに来るのは、初めてだ、みたいなこと聞きましたけど」

犬父「ああ、君たち人間の世界から離れ、結界を作り、その中で暮らし始めてから約百年。今までに事例のない出来事だよ」

「そう、なんですか・・・」

犬父「まあ、安心してくれ。君の帰る方法は、皆で探している。気長に待っていてくれないか?」

「ええ。ありがとうございます」

犬父「じゃあ、あと半刻ほど、皆の前で話すことでも考えてくれ」

「あ、はい!」

94 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 21:45:21.39 7ooqMQvC0 55/284

ー半刻後 秋之村・中央広場ー
ワイワイ ガヤガヤ

大狸「皆の者!静まれー!」

ザワ…ザワ…  シーーン

大狸「よしよし。皆の者、待ちに待った紫苑祭じゃ。今年もこうして無事に祭りを迎えることが出来たこと、嬉しく思うぞ!」

大狸「そして、今年の紫苑祭は、1人の客を迎えておる」

キャク?
ダレダロウ?
アッ!モシカシテ!

大狸「あー、既に感づいておる者もおるじゃろう。そう!昨日突然現れた、人間の!男じゃ!(ほれ、男、上がって来んかい)」ボソボソ

「は、はい!」タンタン

「(う、うわ、凄い視線!)」

アレガニンゲン?
オモッタヨリフツウダネー

「(く!何かめちゃくちゃ恥ずかしい!)」

シャベラナイネー
グアイワルイノカナ?

大狸「(ほれ、男、喋らんか!)」

「!あ、えーと、人間の男です!昨日訪れたばかりで、分からないことだらけですけど、早く皆と仲良くなれるように頑張りたいと思います!よ、よろしくお願いします!」ガバッ!

「(こ、これでいいのか?)」ドキドキ

パチ、、パチ、、

「(え?)」

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!
ウワアーーー!!!

「え?え?」

大狸「安心せい。皆がお前を受け入れてくれたんじゃ」ポン

「そう、なんですか・・・」ホッ

大狸「よし!男の紹介も済んだ!これより、紫苑祭を開催する!!」

ドッ!ヒュルルーーー……ドパァ…ン!!!

ワーー!!

「ふう・・・」

大狸「男、ご苦労じゃったの。ほれ、お主も遊んでこい」シッシッ

「はい、行ってきます!」

95 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 22:02:36.31 7ooqMQvC0 56/284

ー秋之村・常夜ノ森に続く道ー
サー!ウマイニクガトレタゾー!!
オジサン、ワタガシクダサイ!

ガヤガヤ ザワザワ

「ふう。それにしても、ここどこだ?」キョロキョロ

「はあ。何となくで知らない道に入るもんじゃないな・・・。戻ろうにも、この人混みの流れを逆らう気もしないし・・・」

「犬娘、きっと待ってるよなあ・・・」ハア

砂かけ婆「おや!アンタさっきの人間じゃないかい!?」

「え?あっ、はい。男といいます」ペコリ

砂かけ婆「へぇー!人間なのに礼儀がいいのかい!珍しいねえ!」

「そうなんですか?」

砂かけ婆「そうだよ!人間なんて、アタシら妖を見たらすぅぐにやっつけにくるんだよ!問答無用でね!」

「そんな・・・」

砂かけ婆「まあ、この話はアタシの婆さんから聞いた話なんだけどね!?」

「すい、ません・・・」

砂かけ婆「やだねえ!アンタが謝る事じゃないよ!アタシだって、実際に人間に意地悪されたわけじゃないしねえ!」ポンポン

「でも・・・」

砂かけ婆「いいのいいの!こんな話をしたアタシも悪かったね!ほら、これやるから、元気を出しな!」

「あ、林檎飴・・・」

砂かけ婆「お、知ってるのかい?なら説明しなくてもいいね!ほれ、持っておいき!」

「・・・ありがとうございます」

砂かけ婆「いいんだよ!あ!最後に一つ!」

「ペロ 何でしょう?」

砂かけ婆「いいかい?アタシら妖は確かに人間に意地悪された。そりゃ、中には恨んでる奴らだっているだろうさ!」

「はい」

砂かけ婆「でもね!結局は過去の話なんだ!今を生きる、若いアンタが過去に飲まれちゃいけないよ!しっかり前向いて歩いていきな!」

「・・・はい!」

砂かけ婆「いい返事だ!それじゃあ、またおいで!」

「必ず」ペコリ

96 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 22:15:58.60 7ooqMQvC0 57/284

「砂かけ婆さん、いい人だったなあ・・・」ペロペロ

「やっぱり、昔は人と妖は敵対していたのか・・・」

「・・・」

「今は、俺が悩んでも仕方ないか!よし、犬娘を探そう」



ー秋之村・中央広場ー
犬娘「うう・・・。男さんがいない・・・」ドヨーン

犬娘「こうも人が多いと、ニオイも追えないし・・・」クンクン

犬娘「はあ・・・」

???「あら。犬娘?」

犬娘「え?あ!狐娘ちゃん!」タタッ

狐娘「ええそうよ。久しぶりね。丁度一年振りだわ」ニコ

犬娘「狐娘ちゃん、相変わらず綺麗だねー!」

狐娘「そ、そうかしら?///」

犬娘「うん、背も高いし、胸も大きいし、お腹はキュッと締まってるし・・・」

狐娘「な、何かくすぐったいわね///」ソワソワ

犬娘「脚も長いし、尻尾もふわふわで・・・あれ?」

狐娘「?何?どうかしたの?」

犬娘「狐娘ちゃん、尻尾・・・」

狐娘「え?ああ、そうよ。私、今年の始まりに、六尾になったのよ」ニコリ

犬娘「う、うわあー!凄いね!狐娘ちゃん!おめでとう!」ブンブン

狐娘「え、ええ。ありがとう///」テレ

犬娘「でも本当にすごいね!五尾以上は、とても難しい試練を突破しなくちゃいけないから、大人でも難しいって聞いていたのに!」

狐娘「そうね。確かにとても大変な試練だったわ。でもね、私は、どうしても九尾になりたい。そのためだと思えば、どんな努力も苦しくないわ」

犬娘「そっかぁ・・・。本当にすごいよ、狐娘ちゃんは」

狐娘「うふふ、ありがとうね、犬娘」ニコリ

犬娘「えへへ」

97 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/07 23:11:17.95 M6mAP53A0 58/284

狐娘「そういえば、犬娘。あなたは随分とおめかししているけど、どうしたの?」

犬娘「あ!私、男さんを探しているの!狐娘ちゃん、見なかった?」

狐娘「男って、あの人間?」

犬娘「そうだよ。あの人」

狐娘「犬娘、どうして人間を?」

犬娘「うん。実は・・・」

ー説明中ー

犬娘「っていうことなの」

狐娘「成る程ね。それで、迷子になった男を探していると」

犬娘「うん・・・。ニオイも追えないし、困ってて・・・」ショボーン

狐娘「その男、人間なんでしょう?人間なんかのどこが・・・」

犬娘「な、なんかじゃないよ!」

狐娘「!?」ビクッ

犬娘「男さんは、確かに人間だけど、それだけだよ!」

狐娘「犬娘?」

犬娘「私は犬だし、狐娘ちゃんは狐。それと同じように、男さんは人間だけど、それだけだよ!」ガルル!!

狐娘「・・・そうね。ごめんなさい。私が悪かったわ。(あの犬娘にここまで言わせるなんて。その男とかいう人間、何者?)」

犬娘「あ、わ、私こそごめんね!熱くなって・・・///」

狐娘「犬娘。あなた、その人間のことが好きなのね?」

犬娘「ふぇっ!?い、いや!その!」アセアセ

狐娘「ふふ。隠さなくてもいいわよ。丸分かりだわ」

犬娘「うぅー・・・///」

狐娘「ふふ。いいわ、犬娘。私も一緒に探してあげるわ」

犬娘「え?本当!?」フリフリ

狐娘「ええ、私も、会ってみたいしね」

犬娘「え!?」

狐娘「え?あ、ち、違うわよ!?純粋に、人間がどういうものか気になるだけ!」

犬娘「そ、そっか、そうだよね!ごめんね、早とちりしちゃって」アセアセ

狐娘「ふふ。いいから。男を探しに行きましょう?」

犬娘「うん!」

98 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 00:23:36.49 yFStbVYA0 59/284

ー男sideー
「あの、すいません、中央広場はどっちでしょうか?」

小豆洗い「あン?中央広場なら、この道を真っ直ぐ進めばいいさね!」シャキシャキ 

「そうですか。ありがとうございます」ペコリ

小豆洗い「なんのなんの。またな、兄ちゃん」シャキシャキ スタスタ

「ふう。あと少しかな」

唐傘お化け「男ーー!」ピョーンピョーン

「え?おお!唐傘!」

唐傘お化け「ぃよう!どうだい!?楽しんでいるかい!?」ピョーンピョーン

「ああ。まあ、それなりには」

唐傘お化け「何だい、歯切れが悪いね!」ピョーンピョーン

「まあ、道に迷ってなあ・・・」

唐傘お化け「あらら!そいつは大変だ!オイラが道案内してやろうか!?」ピョーンピョーン

「おお、それは助かる!」

唐傘お化け「よっしゃ、任せておきな!中央広場でいいのかい!?」ピョーンピョーン

「ああ。犬娘と合流したいんだ」

唐傘お化け「あいよ!ささ、こっちだぜ!」ピョーンピョーン

カラス「お、男じゃねえか!」バサバサ

「ああ、カラス!いいところに!」

カラス「何だい。あっしに何か用かい?」バサバサ

「ああ、犬娘を見かけたら、中央広場の舞台前に来てくれと伝えてくれないか?」

カラス「何だ。そのくらいならお安いご用だ。任せておきな!」バサバサ

「頼んだぞー」

99 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 00:32:52.99 yFStbVYA0 60/284

ー犬娘sideー
犬娘「男さんを見かけませんでしたか?」

一つ目男「ああ?そういやさっき、常夜ノ森方面の露店の、砂かけ婆が見かけたと言っていたぜ」

犬娘「そうですか!ありがとうございます」ペコリ

一つ目男「いいってことよ。そんじゃな、嬢ちゃん」ノッシノッシ

狐娘「その男っていう人、どうしてそんな所に行ったのかしら?」

犬娘「地理感覚が無いから、普通に迷ったのかも・・・」

狐娘「あら。結構おっちょこちょいさんなのかしら?」

犬娘「なのかなあ・・・」

犬娘「あ、すいません、男さんを見かけませんでしたか?」

猫少年「え、その人なら・・・」

狐娘「あら?あれは・・・」

カラス「お!お嬢!やっと見つけた!」バサバサ

犬娘「・・・。そうですか。ありがとうございました」

狐娘「犬娘、お客様よ」

犬娘「へ?あ!カラスさん!」

104 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 10:46:23.49 yFStbVYA0 61/284

カラス「いやあ、意外とすんなり見つかったぜ!おや、狐の嬢ちゃんも!久しぶりだねえ」

狐娘「ええカラス。お久しぶりね」

犬娘「それで、カラスさん。何かあったの?」

カラス「おおっと、そうだそうだ。嬢ちゃんら、常夜ノ森方面の道に行こうとしているだろう?だけど、このまま中央広場の舞台前で待っていてくれないか?」

犬娘「え?どうして?」

カラス「男の奴がよ、唐傘に案内されて、もうすぐここへ来るんだよ」

狐娘「成る程。そういうことね」

カラス「ああ。だからよ、中央広場の舞台前。そこにいてくれよ?」

狐娘「ええ。分かったわ」

犬娘「ありがとうね、カラスさん!」

カラス「いいってことよ。じゃ、あっしも祭りを楽しんでくるとしますか!」バサバサ

狐娘「常夜ノ森方面の道に行く前で良かったわね」

犬娘「そうだねー。じゃあ、しばらく待ってようか」

狐娘「ええ、そうね」

105 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 11:23:37.45 yFStbVYA0 62/284

ー数分後ー
犬娘「・・・っていうことがあったんだよ!」

狐娘「ふふ。そんなことがあったのね」クスクス

ワイワイ ガヤガヤ
…ヌ……メー!
ザワザワ

犬娘「!!」ピコーーン!

狐娘「犬娘?」

犬娘「今、男さんの声が聞こえた!」キョロキョロ

狐娘「この雑踏の中で!?」

ワイワイ ガヤガヤ
ィヌ…メー!
ザワザワ

犬娘「ほらまた!」キョロキョロ

狐娘「犬娘・・・。そんなに会いたいのね」ホロリ

犬娘「幻聴じゃないよ!?」

「おーい!犬娘ー!」タッタッタッ

犬娘「ほら!男さーん!」ブンブン パタパタ

狐娘「本当にいた!?」

「いやー、犬娘、ごめんな?待っただろうに」ハァハァ

犬娘「い、いえ!そんなこと!こうして合流できましたし!」

「はは、そう言ってくれると嬉しいよ」ナデナデ

犬娘「ふあぁぁぁー・・・!///」ポー

狐娘「(犬娘がここまで気を許すなんて・・・)」

「・・・あれ?犬娘、この娘は?」

犬娘「あ、はい。私のお友達の狐娘ちゃんです!狐娘ちゃん、この方が男さんだよ!」

狐娘「ええ、分かっているわ。初めまして、男さん。冬華村より参りました、狐娘と申します。以後、お見知り置きを」ペコリ

「ああ、これはご丁寧にどうも。男です。人間だけど、君たち妖とも仲良くなれたらいいな、って思っているんだ。よろしくね」スッ

狐娘「・・・ええ。よろしく」キュッ

106 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 12:09:45.27 yFStbVYA0 63/284

ー秋之村・中央広場 露店街ー
「こうして見ると、人間の世界の出店と変わらないんだなー」

犬娘「そうなんですか?」

「ああ。焼きそばに綿菓子、お好み焼きに人形焼き、射的に輪投げに金魚すくい。まんま同じだ」

狐娘「へえ。興味深いわね」

「んー。こういう所に来ると、無性に腹が減るんだよなー」

犬娘「そうですね!全部食べたいくらいです!」

狐娘「そうね。私も何か食べたいわ」

「んじゃあ、まずは・・・ってしまった!」

犬娘「男さん?」

狐娘「どうしたのよ?」

「俺、この世界にお金はほとんど持ってきてないんだった・・・。2人とも、悪いんだけど安いものでいいかな?」 

犬娘「そ、そんな!男さん!自分の分は自分で出しますよ!」アセアセ

狐娘「そうよ。そのくらいのお金は持ってきているわ」

「いや、でもなあ・・・。あ、ていうか、そもそも人間のお金は使えるのか?」

犬娘「そういえば、どうなんでしょう?」

狐娘「男さん、あなたのお財布の中、見せてくれるかしら?」

「ああ、はい」
ー男の所持金 2,856円ー

狐娘「ええ、ここでも使える通貨だわ。ていうか、あなた・・・」

犬娘「お金いっぱいあるじゃないですか!」

「・・・え?」

犬娘「男さん、これで少ないだなんて、贅沢ですよ?」

狐娘「まったく、少ないだなんて言うから、10円位かと思っていたのに・・・」

「いや、え?」

犬娘「男さん?」

狐娘「!もしかして、人間の世界とここでは、物価が違うのかしら?」

「そうなのかな?」

犬娘「?」

狐娘「じゃあ、手っ取り早く露店に行って、確認してみましょう」

焼きそば屋「いらっしゃい!おお、アンタ人間のお兄ちゃんだね!?いいなあ!綺麗どころを両脇に侍らせて!」 

犬娘「き、綺麗どころだなんてそんな///」テレテレ

「おじさん、焼きそば一つ、いくらですか?」

焼きそば屋「あん?一つ40円だよ!」

「40円!?」

焼きそば屋「おおっと、高いって言ってもダメだぜ!?これ以上はまけらんねえな!」

「じ、じゃあ、3つください」

焼きそば屋「お!彼女の分も出すってかい!?かぁー!いいねえ!お兄ちゃん男だよ!気に入った!特別だぜ!?3つで100円だ!持ってけドロボー!」

「あ、ありがとうございます」

焼きそば屋「いいってことよ!また来てくんな!」


107 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 12:16:25.90 yFStbVYA0 64/284

狐娘「ね?私たちが十分だ、って言った通りだったでしょう?」

「ああ、驚いたよ。まさかここまで安いなんて」

犬娘「ちなみに、人間の世界だと、焼きそばは一ついくらなんですか?」

「んー、祭りっていう場合だと、祭りによって変わってくるんだけど、だいたい400円前後かな」

犬娘「わっ!そんなにするんですか!?」

狐娘「それはぼったくりって言うんじゃないの?」

「いやいや。人間はこれくらいが普通なんだよ」

犬娘「へー。人間の世界って、お金がかかるんですねー」

「うん。そうだね」

狐娘「そ、それより、早く焼きそばを食べましょう?私、お腹ペコペコだわ///」

犬娘「はっ!そうでした!焼きそばを食べましょう!」

「あはは。そうだね。あそこの休憩所で食べようか」

犬娘「はいっ!」

108 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 13:11:01.85 yFStbVYA0 65/284

ー休憩所ー
「うん、美味い!」ズルズル

犬娘「美味しいですねー」ズルズル

狐娘「美味しいわ」モグモグ

アッ!ニンゲンジャナイ!?
ホントダ!
アンガイカッコイイカモ
ヒソヒソ ヒソヒソ

「うーん」モグモグ

犬娘「お、男さん。気になりますか?」モグモグ

狐娘「無視していればいいわよ。物珍しさで目立っているだけで、しばらくすれば収まるわ」フキフキ

「いや、なんかなあ・・・。俺と一緒にいるせいで、2人も悪目立ちしてるんじゃないかと思うとな」ウーン

狐娘「あら。自分のことより私達の心配?」

「そりゃそうだろう。俺1人ならどうにでもなるが、2人はそうもいかないだろうし・・・。まあ、仮に俺が原因でいじめられたりしても、2人は守るよ」ズルズル

犬娘「お、男さん・・・///」キューン

狐娘「あ、ありがとう///」

「いやいや。仲良くしてもらっている礼だと思ってくれ」

犬娘「・・・男さん?」

「ん?」

犬娘「仲良くしてもらっている、だなんて言い方、しないでください」プンプン

「え?」キョトン

狐娘「そうね。私も、犬娘も、あなたから礼を貰いたくて仲良く『してあげて』いるわけではないわ」

犬娘「そうです。私たちは、私たち自身で、男さんと一緒にいたいと思ったから、こうしているんです」

「・・・」

狐娘「だから、そんな言い方で、私達の気持ちまで貶めるようなことはしないで」

「・・・ああ。ごめん。ありがとうな、2人とも」

犬娘「いえいえ」

狐娘「分かればいいわ」

「ははっ」

犬娘「えへへ」

狐娘「ふふっ」

111 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 18:07:04.45 yFStbVYA0 66/284

「さて、食べ終わったし、どこか行こうか?」

犬娘「そうですね!」

狐娘「でも、どこに行くの?」

「うーん。俺はこの祭りのことも、どこに何があるのかも分からないから、2人に任せるよ」

犬娘「でしたら、村を案内しましょうか!」

「え?いいのか?」

狐娘「そうね。私達はもうこの祭りは珍しくないから、あなたの案内をした方が有意義だわ」

犬娘「そうです!また迷子になったりしないためにも、村を案内します!」

「じやあ、お言葉に甘えて」

狐娘「ふふ。行きましょう」

112 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 18:13:56.17 yFStbVYA0 67/284

犬娘「まずはここ。基本中の基本、中央広場!」

「うん。ここはもう分かるよ」

狐娘「ここは、まさに秋之村の中心よ。辿り着けないなんてことはまず有り得ないわ」

犬娘「そして、この中央広場は円形になっていて、東西南北に一本ずつ、それから、北東に一本の計五本の道が伸びていて、それぞれ・・・」


113 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 18:28:29.47 yFStbVYA0 68/284

北>『常夜ノ森』 野生の動植物の生息地。木々が高密度で茂っているため、昼間でも暗い。肉や薬草は、ここで採る。

南>『秋之村・住宅街』 民家が密集している。犬娘の家も、勿論こっち。また、祭りの時は一部の民家を開放、宿屋に。また、一部は工業区になっていて、家具や道具、食糧の加工なども行われている。

東>『すすき野原』 何故か一年中すすきの生えている広原。余りに広大なため、一定の距離以上進むことは禁じられている。未開地域。

西>『農業区』 牛や豚、米や野菜はここで作る。当然、一年に一度しか他村と交流を持てない秋之村は、食糧自給率100パーセント!

北東>『荒海』 魚介類を採る狩り場。夏場は海水浴場に。また、広い浜を生かし、小さいが造船所もある。沖に出るとその名の通り大荒れの海となる。他村と隔てられている最たる原因。しかし、『紫苑祭』の時期は海が収まり、他村の者達は船で海を越えやってくる。

116 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 20:35:38.00 yFStbVYA0 69/284

「へー。でも、これを見ると、他の村は、島って感じか?」

犬娘「そうですね。少し小さな島が、村になっています」

狐娘「ちなみに、ここ『秋之村(あきのむら)』、私の住む『冬華村(とうかむら)』の他に、『春陽村(はるひむら)』と『夏雨村(なつめむら)』の、計4つの村・・・まあ、島ね。があるわ」

「へえ。全部北東の海の向こうにあるんだよな?」

犬娘「いえ、それが少し違うんです。この地図を見てください」

118 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 21:38:25.96 yFStbVYA0 70/284

 ー海図ー     
1375583017-118
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

犬娘「大まかな海図ですけど、大体はこうなっているわけです」

「へー。この『荒海』を通って、他の村、島?村でいいか。村から人が来る、と」

犬娘「はい」

「なあ、この『魔海』っていうのは?」

狐娘「決して入ることの出来ない海域よ」

「決して入ることの出来ない海域?」

犬娘「はい。常に分厚い霧で覆われていて、その海域に入った船は、帰ってきた試しがありません」

狐娘「今じゃ誰も近寄ろうとしないわ」

「でも、その中にこの『夏雨村』はあるんだろ?」

狐娘「確かに、『夏雨村』は、『魔海』に囲まれているけど、完全に囲まれているわけじゃないのよ」

犬娘「この海図は子供でも分かるように、って作られているので解りづらいと思いますけど、『夏雨村』の北東にも、港があって、そこから真っ直ぐに進む海路は、普通の海なんです」

「へー。でも、そんな所からここまで来るのは大変そうだな。他の島じゃ『紫苑祭』はやらないのか?」

狐娘「そうね。確かに、『春陽村』や、『冬華村』の方が、『夏雨村』にしてみれば近いし、安全でしょうけど。でも、『冬華村』でやるには、『春陽村』が危険だし、『夏雨村』も、確実に安全とは言えないわ」

犬娘「それに、『春陽村』でやる場合も、『夏雨村』と『冬華村』、両方確実に安全とは言えません」

狐娘「でも、この『秋之村』でやる場合は、被害に遭う確率が高いのは『夏雨村』1つ。だから、ここ『秋之村』で行われるのよ」

119 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 22:41:08.88 yFStbVYA0 71/284

「それは・・・」

狐娘「勘違いしないで。私たちだって、全部の村が安全に交流を行える方がいいと思っているわ」

犬娘「でも、『夏雨村』の長が、この村で『紫苑祭』を行うことを決めたんです」

狐娘「『夏雨村』の長・・・大狸のお爺さまがね」

「え!?」

犬娘「はい。なんでも、この村で『紫苑祭』を行うと決めた時・・・」



ー数十年前 夏雨村・大狸の屋敷ー
犬神(現・秋之村村長)『むう・・・。一体どうすれば・・・』

白狐姫(現・冬華村村長)『やはり、一年毎の交代制で・・・』

鬼神(現・春陽村村長)『オレらントコロは、
主な種族柄、軍備も揃ってるし、荒者揃いだから構わねェけどよ、平和ボケしたテメエらントコじゃあ、ちと辛くねェか?』ポリポリ

武者狸(現・大狸)「・・・」

鬼神「オイ、化け狸。テメエはどうしたらいいと思うよ?」

犬神「・・・」

白狐姫「・・・」

武者狸「・・・『紫苑祭』は、犬神の治める『秋之村』で行え」

犬神「それは・・・」

白狐姫「・・・しかし、それではあなた方のみに負担をかけることになってしまいます」

武者狸「構わぬ。既に、民には知らせておるし、了承も済んでおる」

鬼神「へェ。あれほど自分の領民が傷つくのを嫌っていたってェのに、どういう風の吹き回しだ?そりゃあ?」

武者狸「ふん。『夏雨村』の民は、儂自らが護ればよい。それならば民が傷つくこともなかろう。さらに、貴様等の民も、無駄な被害を出さずに済む」

鬼神「ハッ!傷つくのはテメエ1人でいいってか!泣かせるねェ」カッカッカ

白狐姫「鬼神!口を慎め!」カッ

鬼神「おぉおぉ。おっかねェな」

武者狸「鬼神よ。貴様の村の、軍船にも用いることの出来る造船技術と、技師、儂が借り受けるぞ。期限は、次の『静海』。一年後だ」

鬼神「あ?オレらの船は門外不出だぜ?それを貸せってンなら・・・」

白狐姫「き・し・ん・・・?」ゴゴゴ!!

鬼神「チッ!わぁったよ!技師50!これで文句ねェな!?」

武者狸「上々。犬神、貴様からは・・・」

犬神「ああ。技師50人分、加えて、予備として30人分の食料を・・・そうだな。半年分。確かに届けさせよう」

武者狸「助かる。白狐姫よ、貴様は・・・」

白狐姫「はい。次の航海が無事に行えるよう、総力を挙げて、海図の制作、量産を行います」

武者狸「うむ。では皆、よろしく頼むぞ」

犬神「応・・・!」

白狐姫「かしこまりまして御座います・・・」

鬼神「チッ!・・・御意に」




武者狸「未来を生きる者達に、せめてもの光となればよいが・・・」

120 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 23:38:11.31 yFStbVYA0 72/284

「そんなことが・・・」

犬娘「はい。それ以来、『紫苑祭』は、この村で行われてきました」

狐娘「私達の村も、『春陽村』も、おかげで今まで事故になんて遭ったことがないわ」

犬娘「『夏雨村』も、大狸のおじいさんのおかげで、大事に至ったことはありません」

「ただ者じゃないとは思っていたけど、そんなにすごい妖(ひと)だったのか・・・」

狐娘「ふふ。今度本人にでも武勇伝を聞いてみなさいな」

犬娘「男さん、きっと驚きますよ!」

「そうだね。今度機会があったら聞いてみるよ」

犬娘「はいっ!」 

狐娘「さて、他に質問はあるかしら?」

「いや、正直頭がいっぱいだよ」

犬娘「ちょっと、お話が長かったですかね」

「うん。そうかも」

狐娘「まあ、それなら、また分からないことが出てきたときにでも聞けばいいわ」

「うん。そうするよ」

121 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/08 23:49:12.20 yFStbVYA0 73/284

狐娘「あら。もうこんな時間なのね」

「え?あ、もう夕方か」

犬娘「次はどうしましょうか?」

狐娘「悪いんだけど、私はここで帰るわね」

犬娘「え?」

狐娘「えっと、その・・・。ちょっと用事があるのよ」

「そっか。なら、ここでお別れかな」

犬娘「またね、狐娘ちゃん。また明日!」

狐娘「ええ。またね、犬娘、男さん」フリフリ カランコロン カランコロン




犬娘「狐娘ちゃん、どうしたのかな?」

「狐娘、様子がおかしかったな」

犬娘「あ、男さんも気づきましたか?」

「まあ、あんな顔してたらなあ・・・」

犬娘「狐娘ちゃん、他の妖(ひと)に心配掛けないように無理するから、そこに心配です・・・」

「犬娘は優しいんだね」ポンポン

犬娘「あ・・・。えへへ///」

「まあ、明日も様子がおかしいようなら、聞いてみようよ」ナデナデ

犬娘「はい、そうします」コクッ

「よし!じゃあ、俺達は出店を覗きながら、戻ろうか」

犬娘「はいっ!」

「あー、あと、犬娘」

犬娘「はい?」

「えっと、その・・・」

犬娘「?」キョトン

「ゆ、浴衣、すごく似合ってる。と、とても可愛いよ///」テレ

犬娘「・・・」

122 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/09 00:02:25.68 oWS6Oojj0 74/284

「本当は、合流した時に言おうと思ったんだけど、狐娘の手前、言えなくて」

犬娘「・・・」

「もっと早く言えたらよかったんだけどね」

犬娘「・・・」プルプル

「俺、昔からその辺の気が利かない、ってよく言われてて・・・」

犬娘「・・・」ブルブル!

「だから、今度からは気を付け・・・犬娘?」

犬娘「・・・」ガタガタガタガタ!!!

「い、犬娘!?」ガッ!

犬娘「っっーーーーーーー!!!!!???」ボンッ!!!

「うわあ!?い、犬娘が噴火した!?」

犬娘「お!おと!男さ!男さんが、わ、かわ!?」ガクガクガクガク!!!

「い、犬娘!ここ道のド真ん中だから!」

オカアサン、アノヒトタチナニヤッテルノー?
シッ!ミチャイケマセン!
ナンダ?チワゲンカカ!?
ヤレヤレー!
ヤンヤ ヤンヤ

「ひ、妖(ひと)が集まってきた!」

犬娘「わ、わた!?わわわわ!かわ!?○△ぃ※×カ☆!ム△す※○メ>!?」クルクルクルクル!!!

「こ、こうなったら!」

オ?オニイチャンイクカ!?
イケイケ!
オカアサ…
ミチャイケマセン!
ヤイノ ヤイノ

犬娘「わた!わたひが!かわかわわわ!」バタバタバタバタ!!

「犬娘!ごめん!」ダキッ!

犬娘「!!!」ボンッ!!! パタンキュー

「お、お騒がせしましたーー!!」ビュンッ!

123 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/09 12:57:24.53 oWS6Oojj0 75/284

ー犬娘の家・犬娘の部屋ー
犬母「ごめんなさいね、男君。この子ったら、二日続けて失神するなんて」ハァ

「い、いえ」

犬娘「Zzz Zzz」

犬母「それにしても、今日はどうして失神したのかしら?」

「さ、さあ!?何ででしょうね!?」

犬母「(うふふ。まあ大体の予想はつきますけど。)さて、男君。私はこれからお夕飯の支度をしてきますので、暫くこの子の様子を見ていてもらえるかしら?」

「あ、はい。任せてください」

犬母「うふふ。お願いね。それじゃあ、お夕飯ができたら声を掛けるわ」スタスタ スッ パタン

「ふう。犬娘には、あまりストレートな物言いは避けた方がいいかな?」

犬娘「Zzz Zzz」

「まさか、ここまで恥ずかしがり屋だとは・・・」

犬娘「Zzz ・・・えへへ・・・。男さぁん・・・」ムニャムニャ

「・・・!」

「よしよし」ナデ…ナデ…

犬娘「Zzz ・・・///」スースー







犬母「うふふ・・・」キラーン!

125 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/09 19:03:50.10 PskwbA+10 76/284

ー紫苑祭二日目 犬娘の家・犬娘の部屋ー
チュンチュン チュンチュン

犬娘「ん・・・。あれ・・・?」ムクリ

犬娘「ここ、私の部屋・・・?」キョロキョロ

犬娘「どうし・・・わひゃあ!?」ビクッ

「Zzz Zzz」グーグー

犬娘「(お、おおお男さんが私の横で寝てーーー!?)///」ドキーン!

「んん・・・。ふむう・・・Zzz」モゾモゾ グーグー

犬娘「(お、男さんが!ま、丸まって!か、可愛いーー!)///」キュウン!

犬娘「(ていうか!どうして男さんが私の横で!?)」

「んん。ふあーーー・・・ぁふ。あ、犬娘、おはよう」ムクリ

犬娘「あ、はい男さん。おはようございます・・・じゃなくて!」

「んあ?」ファーー

犬娘「ど、どどどうして男さんがここで寝ていたんですか!?///」

「あ。い、いやそれは・・・」

犬娘「ま、まさか。わ、私にやらしいことを・・・!!(も、もしそうなら!私のことも女の子として見てくれているって事に!?)///」ドキドキ

「ち、違う違う!そんな気はこれっぽっちもないって!」

犬娘「え・・・?」

「いや!昨日、祭りの途中で犬娘が失神したから、抱き抱えて連れ帰って、それからずっと看てたらつい寝ちゃっただけで!そんな、いやらしいことなんかしてないから!」アセアセ

犬娘「そ、そうなんですか。また私ったら・・・///ごめんなさい、男さん・・・」ショボン

「い、いや、気にしないでよ!俺も、ちゃんと部屋に戻ればよかったね。ごめん」

犬娘「(・・・そんな気がこれっぽっちも無いって言われました・・・。私、魅力無いのかなあ・・・)」グス

127 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/09 21:45:16.01 oWS6Oojj0 77/284

「い、犬娘?泣くほど嫌だったかな?本当にごめんね?」オロオロ

犬娘「え?あ、いや、違います!男さんが一緒に寝てくれたのは、すごく嬉しかったです!」

「そ、そうなの?」

犬娘「はい!毎日でもお願いしたいくらいに!」フンス! グイグイ

「え・・・!///」

犬娘「あ・・・///」カアァー

「え、えと、犬娘。その・・・///」

犬娘「・・・さい」プルプル

「・・・え?」

犬娘「ごめんなさーい!!」ワーン! スパァン! ダダダダダ!

「・・・」ポカーン

130 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/10 15:20:22.50 w66Yd7/X0 78/284

ー犬娘の家・裏庭ー
犬娘「うぅ・・・。またおかしなこと言っちゃった・・・」トボトボ

犬娘「男さん、絶対私のこと、変な娘だって思ったよね・・・」トボトボ ピタ

犬娘「はあーーーーー・・・。これから、どんな顔して男さんに会えばいいのかなあ・・・」

犬娘「男さん、私のこと、嫌いになっちゃったかな・・・」ウルウル

犬母「あら。呼びに行ってもいないから、どこに行ったのかと思ったら」ヒョコ

犬娘「あ・・・母さん・・・」グスッ ゴシゴシ

犬母「・・・男君からある程度の話は聞いたけど・・・」

犬娘「うん・・・」

犬母「私から言えることは一つだけよ」

犬娘「・・・?」

犬母「大丈夫」ギュウ

犬娘「あ・・・」

犬母「初めての感情に、あなた自身も戸惑っているのね。でも、誰もが通る道だし、あなたは何も気にすることはないわ」ポンポン

犬娘「母、さ・・・」

犬母「ふふ。初恋で浮かれて、好きな人の前にいると、冷静ではいられなくなる。そんなの、当たり前じゃない。女の子ですもの」

犬娘「・・・うん」

犬母「男君のこと、好きなんでしょ?」

犬娘「うん。好き・・・。男さんが、大好き・・・///」キュッ

犬母「なら、それでいいじゃない。嫌われたかもしれなくても、今度は、前以上に好きになってもらえばいいじゃない」

犬娘「うん・・・!」

犬母「まあ、そもそも男君は、あなたのこと嫌ってなんかいないけど?」

犬娘「え?」

131 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/08/10 15:31:52.34 w66Yd7/X0 79/284

犬母「うふふ。あとは当人同士で、何とかしなさいな」スタスタ

犬娘「?」


タッタッタッ!
「犬娘!」バッ

犬娘「お、男さん!?どうして・・・!」

「はあ、はあ・・・。いや、犬娘が飛び出した後、慌てて追いかけてきたんだよ」ハァ…ハァ…

犬娘「男さん・・・」

「ごめんな、犬娘。俺、本当に配慮が足りなくて・・・」

犬娘「・・・違うんです、男さん」

「え?」

犬娘「私が、臆病だっただけなんです」

「犬娘・・・?」

犬娘「(大丈夫。この気持ちは、誇っていい気持ちなんだ。)男さん」

「何?犬娘」

犬娘「こ、今夜から、一緒に眠ってくださいますか・・・?///」

「へっ!?」 

犬娘「だめ・・・でしょうか?」ウルウル

「!!お、俺で、良ければ・・・///」

犬娘「えへへ。約束ですからね?///」

「あ、ああ」

犬娘「さあ、母さんが朝ご飯を作って待っていますよ。行きましょう?」スッ

「・・・うん」ギュッ ニコッ

犬娘「えへへ///」トコトコ








「(い、犬娘、何か、色っぽかったな・・・///)」

【中編】に続きます

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