2 : ◆Q9mKomrfWbxO[s... - 2013/09/21 16:44:03.88 9ed4bL5V0 1/759このスレはPCトラブルによりグダグダになった
さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371814313/
および
さやか「終曲!!バイオリン仮面」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376002781/
の1から8話までの内容をリメイクした物です。
9-13話のリメイクは別スレで行います。
そっ閉じするかどうかのラインはリンク先の文章を触って判断してください。
「旧作リメイクはいいからおまけシナリオを再開してくれ」という方は
さやか「休息!!バイオリン仮面」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379724248/
こちらまでお願いします。
叛逆のネタバレ無し。まどか☆マギカのアニメおよび劇場版+スピンオフ+作者の趣味で構成されてます
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美樹さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【中編】
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さやか「終曲!!バイオリン仮面!」【前編】
さやか「終曲!!バイオリン仮面!」【後編】
さやか「休息!!バイオリン仮面」【前編】
さやか「休息!!バイオリン仮面」【後編】
元スレ
さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【前編】タキシードの物語
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379748631/
気づいたらあたしは荒れ狂う海のど真ん中の船の中にいた
兵士「王子ーッ!」
兵士「大変だ!王子が海に投げ出された!」
王子「ぐっ・・・あっぷ・・!!」
ザバァンザッパァアアン
さやか「王子様・・・って、恭介!?」
キュゥべえ「事態は一刻・・・いや一国をあらそうよ。剣士サヤキャ」
さやか「キュゥべえ!?」
キュゥべえ「僕は知ってるよ。君が王子に秘めてる内なる想いを」
キュゥべえ「彼を助けて恩人になるチャンスじゃないか」
キュゥべえ「だから僕と契約して魔法少女になってよ!」
さやか「!!」
さやか「馬鹿にしないでよ!あたしは王子の恩人になりたいから助けるわけじゃない!」
さやか「でも・・・でも・・・」
王子「もう・・・駄目だ・・・沈む・・・」
ゴポゴポ・・・
さやか「恭介!!」
さやか「キュゥべえ!!恭介を助ける力を!あたしを・・・あたしにどんな荒波でも泳げる力をちょうだい!」
キュゥべえ「契約は成立だ」
ピカーッ
さやか「こ・・・この姿は!?人魚!?」
キュゥべえ「君の願いがその姿を望んだのさ」
キュゥべえ「変身した君はありとあらゆる海を泳ぐ能力を手に入れたのさ」
さやか「恭介待ってて!今助ける!!」
ザップン!
がしっ
さやか「領地であるあの島まで泳ぎきれば・・・!!」
王子(薄れる意識の中)「に・・・人魚・・・!?」
~~~
さやか「恭介・・・」
さやか「よかった・・・水は飲み込んでないみたいだね・・・」
王子「ん・・」
さやか「やばい!目が覚めちゃう!」
さやか「今あたしの姿を見られるわけにはいかない、とりあえず海へ!」
ザバァン!
???「あ・・・あのお方は・・・」
~城内~
♪~♪~♪
王子「どうだい?僕のバイオリンは」
隣国をお姫様「すばらしいですわ・・・この曲を・・・わたくしのために弾いてくださるのね」
さやか「・・・」
家臣「陸に打ち上げられた王子様を助けたのがきっかけで仲良くなったんだって」
家臣「元々親同士が決めた仲だったけど、これならうまくいきそうだな」
さやか「それ違うよ・・・」
助けたのはあたし・・・
なのに・・・
さやか「あたし・・・嫌な子だ・・・」
監視塔「!!あ・・・あの大群は!」
家臣「大変だ!敵国が!敵国が全勢力を持って攻めてきたぞ!」
さやか「なんだって!?」
姫「そ・・・そんな!」
王子「婚礼の儀が決まってこれからっていう時に・・・」
さやか「・・・」
さやか「出るよ!サヤキャ部隊、最前線で指揮をとる!」
王子「サヤキャ!?」
さやか「安心して王子様!あたしがアンタの幸せを守るから!」
さやか(そう・・・これでいいんだ)
さやか(あたしと王子様は幼馴染・・・それ以上にはなれない・・・だって王子様と家臣じゃ・・・)
~~~
????「こっぴどくやられたね。剣士さん・・・あなたもうすぐ死ぬよ」
さやか「あなたは・・・?」
????「私の一部になってよ。そうすれば許せない事・・・なんだって壊せるんだ」
????「私はあらゆる呪いの集合体。自分のことを好きになってくれない王子のことなんか呪っちゃえばいいんだよ」
さやか「あたしは・・・あいつを・・・」
~~~
ガタァン!!
次に気がついたのはベッドの下で古い漫画の様にさかさまで転げ落ちた時
さやか「うぇ!?」
さやか「夢落ち~!?」
オチも古かった
OPバイオリン版「ルミナス」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19650889
タイトル:九曲!!バイオリン仮面【前編】タキシードの物語
さやか「あたしまどかの事言えないわ~」
まどか「どうしたの?何かあったの?」
さやか「妙な夢を見たんだよね」
仁美「どんな夢を・・・ですか?」
さやか「聞いても笑わないでね・・・」
~~~
仁美「まぁ!それではまるでさやかさんが上条君を想う人魚姫みたいですわね!」
さやか「ちょっと!恭介とはそんなんじゃないって!」
さやか「それに・・・あたし人魚姫って柄じゃないし」
まどか「そうだよね、やっぱりさやかちゃんはいつも笑顔でいるのが似合ってるよ!」
さやか「ところがいつまでも笑ってるわけにもいかなくなったんだよね・・・」
さやか「恭介の怪我・・・かなり重いみたいなんだ・・・今日にでも深刻な宣告を受けるかもしれないんだ」
仁美「・・・」
まどか「さやかちゃん・・・」
さやか「でもあたしが行ってあげないと!ほぼ毎日お見舞いに来れるのはあたしだけだし!」
まどか「やっぱりさやかちゃん、上条君のこと大好きなんだね」
さやか「だーかーらー!違うって言ってるでしょ!」
仁美「・・・」
さやか「あ、そうだ、二人もたまには来てよ!あいつもいつもとは違う刺激があったほうが暇がつぶせると思うんだ」
仁美「私は・・・習い事があるますので・・・ご遠慮させていただきますわ」
まどか「私は別に構わないよ!」
さやか「ありがとまどか!それじゃあ行こっ」
さやか「じゃあね仁美、またねー」
仁美「ええ・・・ごきげんよう・・・」
さやか「・・・」
さやか「仁美・・・なんだか様子が変だったな・・・」
さやか「恭介の名前が出るたびに意識してた気がする・・・」
さやか「・・・」
さやか「あの夢の中で・・・王子の恭介とくっついたお姫様・・・仁美に似てたけど・・・」
さやか「まさか・・・ね」
まどか「さやかちゃーん!病院、行くんでしょ?置いて行っちゃうよ!」
さやか「ああ、ごめんまどか!今行くよ!」
まどか「あれ?上条君に会えなかったの?」
さやか「なんか都合が悪いんだってさ。せっかく来てやったのに失礼しちゃう」
キュゥべえ「二人とも、病院の壁を見て!」
まどかさやか「!!」
さやか「これは・・・」
キュゥべえ「グリーフシードだ!孵化しかかってる!」
さやか「まどか!マミさんを連れてきて!あたしはコイツを見張ってる!」
~~~
そしてあたしはグリーフシードを見張るため結界の奥へ、
マミさんも遅れてやってきた
マミさんがこちらに向かう途中あの感じ悪い転校生がかち合ったらしい。
なんでも転校生は一方的に手を引けと諭したらしい
ほむら「今回の魔女はあなたでは勝てない。美樹さやかとキュゥべえの安全は保障するわ、手を引いて」
マミ「信用すると思って?」
シュルシュル!!
ぎゅっ
ほむら「リボンで拘束された!!バ・・・バカ!こんな事やってる場合じゃ・・・」
マミ「拘束する刹那、変身したわね。でも無駄よ。さあ、行きましょう鹿目さん」
まどか「は・・・はい・・・」
スタスタ
ほむら「盾の中に・・・手を入れれば・・・日本刀かなにかで・・・拘束を・・・」
ゴソゴソ・・・・
ガシッ(硬い感触)
ほむら「日本刀だわ!これでリボンを切断できる!」
ズボッ
ほむら「え・・・?」
???「日本刀では無い!」
???「それは、私のバイオリンだ」
ほむら「え・・・?え・・・?え・・・?(誰!?)」
???「そして先ほど君が手を突っ込んだのは盾の中では無く、私のタキシードの社会の窓だ」
ほむら「いやあああああああああああ!!!!チャックが全開になってる!?
そして私の手を入れてる!?へ・・・変態いいいいいい!!!!!!!!!!!!!?」
バイオリン仮面「私の名前はバイオリン仮面!ほむらさん、
君と同じく一人の少女を助けるためにやってきた「魔法使い」!」
ほむら「・・・!!?・・・
(こ、こいつ・・・私がまどかを助けるためにループを繰り返してる事を 知ってるの!?)
ほむら(そもそも一体何者!?)
ほむら(イレギュラーな登場人物自体は珍しくない・・・問題は魔法少女でもないこいつから魔力を感じることなのよ)
ほむら(魔法使い・・・バイオリン仮面・・・)
ほむら(銀髪のストレートヘアー、タキシード、怪しげなハットとマント
・・・そして・・・頭部にバイオリンが印刷された黒いマスク・・・年齢は・・・わかり辛い・・・)
ほむら(10~30代・・・マスクに覆われてない目の部分だけじゃ判断できないわ)
バイオリン仮面「動かないでくれ、ほむらさん。今助ける!」
バイオリン仮面「シルバー・ストリングス!!」
シュパッ
ほむら(銀色の弦が・・・巴マミの拘束魔法を切り裂いた・・・これが・・・彼の固有魔法!?)
ほむら「あ・・・あなたは一体何者なの?私と同じってどういう意味・・・?」
バイオリン仮面「君と私は良く似てるって事さ」
バイオリン仮面「ホラ、きみがその盾に物量を無視してなんでも収納できるように私の社会の窓も
四次元空間となってるのさ!」
ジィィィー↓
ほむら「・・・・!!」
ほむら「い、いちいちチャックを下げないで!!
同じ原理だってそこからバイオリンが出てきた事から分かったから!」
バイオリン仮面「おっとこんな事をしてる場合じゃない。さあ行こう。 巴さんが危ないんだろ?」
ほむら「え!?」
ほむら(なぜその事を・・・)
ほむら(こいつ・・・巴マミをも知ってる? そして、危機に陥ってることも・・・)
ほむら(ますますわからない。時間軸ごとにイレギュラー・・・それは敵対したり
ギャグでごり押そうとしたり、下心があったりで・・・お茶を濁すキャラばかりだった)
ほむら(この世界で出会った彼は・・・私の運命を変えてくれるの・・・?)
バイオリン仮面「とうっ!」
ビュンッ!
ほむら「待って!」
ほむら「・・・は・・・速い!筋力を魔力強化した私が
追いつけないほどに・・・そうか・・・彼も身体強化を」
ほむら「男性の筋力に魔法の力・・・いいとこ取りね。何者かはわからないけど・・・巴マミを
助けたがってたし、とりあえずは味方と見ていいわね 」
ほむら「・・・」
ほむら「バイオリン・・・置いていったわね。もって行ってあげましょう」
~お菓子の魔女結界最深部 ~
マミ「ティロ・フィナーレ!!」ドンッ!
シュルシュルシュル・・・ギュッ
さやか「やったぁ!」
お菓子の魔女「・・・・・」モゴモゴモゴモゴ
ベロン!!
マミ「えっ?」
ガブリ
まどか「はっ・・・!?」
さやか「魔女の体から・・・新しい魔女が出てマミさんに噛み付いて・・・」
まどか「マミさあああああん!!!」
ガツガツガツ・・・・
お菓子の魔女「?」
お菓子の魔女「ナンダコレ・・・オイシクナイゾ・・・カタイ・・・」
バキンバキンバキン
バイオリン仮面「巴マミの頭部ではない!」
バイオリン仮面「それは私のバイオリンケースだ」
まどさや「!?」
マミ「あれ・・・?私・・・無傷なの・・?たしか魔女に食べられそうになって・・・ 」
マミ「ひゃっ!?あ・・あなた一体誰ですか!? 」
マミ(タキシードの男性に・・・お・・・お姫様抱っこされてる・・・!?)ドキドキ
まどか「マ・・・マミさん!」
さやか「よ・・・よかった・・・無事だったんだ!ってか、アイツ誰!?」
バイオリン仮面「私の名はバイオリン仮面!!」チラッ
さやか(・・・?あたしの方を見た?)
バイオリン仮面「一人の少女を救うため、魔法少女たちをサポートするためにやってきた「魔法使い」!!」
バァーン!!
さやか「バイオリン仮面・・・!? 」
マミ「魔法使い・・・?魔法少女とは違うのかしら・・・?」
マミ(彼が本当の魔法使いなら・・・この状況はいつかノートに書いたあのシチュエーションに似てるわ)ドキドキ
マミ「ちょ、ちょっとキュゥべえ!?どこにいるの?彼のこと説明して!」
さやか「アレ?そういえばアイツどこいった?」
お菓子の魔女「グヌヌヌヌ・・・アタシノショクジノジャマヲシテ・・・・
お菓子の魔女「GAAAAAAAAA!!!」
ズオオオオオオォォォォォ!!
さやか「危ない!マミさんを抱えた仮面の男ごと噛み砕く気だ!」
バイオリン仮面「・・・」
ひょいっ
バクン!
バクンバクンバクンバクンバクン!
ひょいひょいひょいひょいひょいっ
さやか「マミさんを抱えたままかろうじてよけてる!
でも辛そう!マミさんが重いって意味じゃないけど!」
まどか「だんだんとよける速さが遅くなってるよあれじゃいつかやられちゃう!
マミさんが重いって意味じゃないけど!」
バイオリン仮面(・・・・巴さんを抱えながら勝てる相手じゃないな。
巴さんが重いって意味じゃないけど)
バイオリン仮面「巴さん、鹿目さんとさやかをつれて安全な場所へ避難してくれ」
バイオリン仮面「この魔女は私と遅れてくるほむらさんとで倒す」
さやか「ほむら・・・!?転校生が・・・こっちに向かってきてるって!?」
バイオリン仮面「さぁ、早く!」
マミ「そ・・それが・・・一度拘束した魔女から、別の本体が出てくるなんて
初めての経験で・・・その・・・ショックで腰が抜けて・・・動けないの・・・」
バイオリン仮面「!?」
お菓子「GAU!」
バクンッ
チッ
まどか「あ、危ない!」
さやか「攻撃がかすった!マミさん!バイオリン仮面から下りて反撃してよ!!」
バイオリン仮面「・・・仕方ないな」
ジィーッ↓
まどか「きゃあああぁ!?下のチャックを下ろした!?」
さやか「あ、あの野郎!ナニをするつもりだ!?」
バイオリン仮面「さぁ、巴さん。僕の社会の窓に入るんだ!大丈夫!
中は四次元空間だから無理やり突っ込めば体は全部入る!」
グイグイ
マミ「きゃあああああああああああああ!?
な・・・ナニしてるんですか!!やめて!!変態!変態!変態!!」
ジタバタ
さやか「マ・・・マミさんの顔を股間に押し付けようとしている!?
こんな非常時にナニをしてるんだ!」
バイオリン仮面「さあ!さあ!怖がってないで、大丈夫。
中は意外と快適だよ!冷暖房も完備してある!すぐに気持ちよくなれるさ!さあ!」
グイグイグイ
マミ「だめええええええええええええ!!!!!!!
そ・・・そんなモノ押し付けないでええええええええ」
ジタバタジタバタ
ズポッ
まどか「マミさあああああああん!!」
さやか「頭が・・・頭だけ社会の窓にすっぽり入った!!」
さやか「そしてそれ以上入らないように必死に抵抗している!」
マミ「いやああああ!!やめて!離して!
ど・・・どうしてなの!?頭が抜けない!?」
グイグイ
バイオリン仮面「頭だけ入ったか・・・やはり、このまま戦おう。
巴さん!そのまま中にある長いモノを咥えて!」
マミ「え!?」
まどか「え!?」
さやか「な・・・長いモノ?」
ドキドキ
マミ「な・・・ナニをくわえさせるつもりですか!?そんなの無理に決まってるじゃない!
は・・・早く離してええええええええええ!!」
ジタバタ
バイオリン仮面「その社会の窓は私が許可しなければ出し入れ不可の仕組みなんだ。
腕を出したかったら私の言うとおりにしてくれ」
マミ「い、言うとおりにすれば頭を離してくれるんですね?」
バイオリン仮面「このバイオリン仮面、嘘はつかない!」
さやか「・・・・」じぃーっ
まどか「こんなの絶対おかしいよ!」じぃーっ
お菓子の魔女「・・・・」じぃーっ
マミ「・・・・・///」カァアアアアアアア
ゴソゴソ・・・ぱくっ
マミ「んっ・・・咥え・・・ました・・・」
バイオリン仮面「あぁ・・・次はそれを引っ張り出してくれ・・・」
マミ「・・・・・・///」
マミ「も・・・もう、どうにでもナーレ!!」
マミ「えいっ!!」
ベロンッ!!
まどか「きゃっ」
さやか「な・・・なんて長さなの・・・!?」
お菓子の魔女「・・・ゴクリ」
バイオリン仮面「残念さやか、これはバイオリンの弓だ!!」
まどさやマミシャル「え?」
ほむら「・・・・!!お・・追いついた!」
ほむら「仮面の男!これを!」
ポイッ
ガシッ
バイオリン仮面「私のバイオイリン!聞くが良い!」
バイオリン仮面「一曲!!「人魚姫の祈り」!」
~♪~♪♪~
マミ「この状況で・・バ・・・バイオリンを弾き始めた・・・!?」
♪~♪~♪
まどか「あれ?変態的行動からは想像もつかないようなうまさだよ!」
♪~♪~♪
さやか「でも・・・悲しい曲・・・」
さやか(このこみ上げてくる感じは・・・何?・・・懐かしさが・・・
まるで・・・アイツの演奏を初めて聞いたときの・・・)
さやか(あたしは・・・この曲を聞いたことがある・・・!?)
♪~♪~♪
ほむら「・・・アイツとバイオリンが何かあると思って本能的にバイオリンを渡したら・・・
まさか、ここまで素晴らしい演奏をするなんて・・・」
ポロッポロッ
ほむら「この演奏に魔力は使用してないのに・・・こんなにも人の心を動かすなんて・・・」
ほむら「何故か・・・涙が止まらない・・・」
ほむら「ハッ!いけない!魔女がそばにいるのに!」
♪~♪~♪
お菓子の魔女「・・・・グスン」
ほむら「え?」
お菓子の魔女「アォン!オォン!」ポロッポロッポロッ
ほむら「そ・・・そんな!?魔女が涙を流すなんて・・・」
ほむら「げ・・幻惑の魔法の類じゃない・・・これは紛れも無く「演奏してるだけ」なのに・・・
どうして!?」
バイオリン仮面「ほむらさん!今だ!」
ほむら「!!」ハッ
ほむら「・・・・そりゃっ」ポイッ
お菓子の魔女「オォン・・・オォン!」
ポロポロポロ・・・
パクン
お菓子の魔女「・・・・?」
ゴクリ
ほむら「それは、私の爆弾よ」
ちゅどぉぉぉぉぉん!!
お菓子の魔女「NOOOOOOOOOOOOOO!!」
しゅわしゅわ~
カランカラン・・・・・
まどか「あ・・・グリーフシード」
さやか「結界が・・・解けていく・・・」
マミ「私たち・・・助かったの・・・?」
↓ぺたん
バイオリン仮面「すまない・・・私の演奏では・・・君達を元にもどすことはできないんだ
・・・せめて安らかに・・・」ボソッ
ほむら「・・・・!?」
ほむら(いま、なんと言った!?「元に戻せない」!?・・・ナニを知っている?)
ほむら(この男・・・魔法少女がいずれ魔女になることを知っている!?)
バイオリン仮面「さやか、鹿目さん。ケガは無いかい?」
さやか「あ・・・うん」
さやか(あたしとほむらは名前で呼ぶ・・・一体なんなんだ・・)
バイオリン仮面「立てるかい?巴さん。」
マミ「こ・・・来ないで!!」ジタバタ
バイオリン仮面「どうしたんだ!?まさかどこかケガしてるのかい?」
ほむら「社会の窓が・・・開いてるわよ・・・」カァッ///
バイオリン仮面「おっと。私としたことが」ジーッ↑
さやか「おい転校生!」
ほむら「なにかしら?」
さやか「えっとその・・・マミさんを・・・助けに来てくれたの?」
ほむら「結果的にはそうなっただけよ。でも私は一度巴マミに「退け」と言ったわ。
助けることを提案したのはそこの変態よ。」
さやか「あっ!そうだ。おい変態!お前は一体何者だ!?」
バイオリン仮面「うぐっ・・(ズキッ)あ・・・相変わらずさやかはキツいね」
まどか(さやかちゃんが変態といったら・・・傷ついた!?)
さやか「相変わらず?あたしのこと昔から知ってるような口聞くな!」
さやか「マミさんを助けてくれたことは感謝するけど、お前は転校生より怪しいぞ。
何者か話してもらうわよ!!」
バイオリン仮面「私の名はバイオリン仮面と言ったはずだ。それ以上のことは「今」は話せない。」
バイオリン仮面「魔法使い」・・・その役割は魔法少女のサポート。
私にはこの町の魔法少女を団結させるという使命がある」
さやか「「今」は・・?まぁそれはいいや。魔法少女を団結させるのはなんのために?」
バイオリン仮面「もうじき・・・この町に「ワルプルギスの夜」という強力な魔女が現れる」
マミほむら「!?」
さやか「ピルプルゲルの黄昏・・・?ごめんもう一回言って」
まどか「ほ・・・ほむらちゃん?すごい驚いた顔してるけど・・・どうしたの?」
ほむら「・・・!?」
ほむら(ワルプルギスのことまで知ってる・・・!?)
ほむら(ま・・ますます何者なの!?
ここ数日の私達の動きをストーキングしただけじゃ今日の巴マミの危機は知ることはできても
ワルプルギス襲来・・・未来の情報までは入手できない!)
マミ「・・・・ワルプルギスの夜・・・あの「黒い向かい風」がこの町に・・・?」キリッ
さやか「マ・・・マミさん?おーい。
何の話ですか?・・・診察受けていきます?」
まどか「わかりやすく説明してくれたらそれはとっても嬉しいなって」
ほむら「近いうちにこの町に魔法少女一人では勝てない伝説で語られてる大型魔女がやってくる。」
さやか「転校生?」
ほむら「そいつを倒すために、巴マミと私が手を取り合うべきだとバイオリン仮面は言いたいらしいわ」
マミ「あ・・・暁美さん?・・・あなたはこの仮面の人の言うことを信じるの?
ワルプルギスの夜の出現を予測できた話なんて聞いたことは無いわ」
ほむら「信じる信じないの話じゃなくて、知ってるの」
ほむら「知らないのは私しか知りえないその情報をこの男が何故知っているのかよ。
ワルプルギスの夜は来る。確かな情報はこれだけよ」
マミ「私を・・・2人がかりで陥れようとしてるって事は・・・」
ほむら「信じないのなら勝手になさい。私も出来ればあなたとも
すれ違いたくない。だけど協力が得られないのなら一人でも戦う。それだけよ」
マミ「・・・」
バイオリン仮面「さ、それより今は巴さんを家まで運ばなきゃ。見たところ
腰が抜けてるのは治ってないみたいだね。」
マミ「ええ・・・おかしいわね・・一応基礎的な回復魔法は習得してるのに・・・
さっきからぜんぜん腰が動かないの」
さやか「・・・歳?」
まどか「さ、さやかちゃ」
バイオリン仮面「さやか!」ビシッ
さやか「いてっ!なにすんだコンニャロー!!」
まどか(わ・・・私より早くさやかちゃんにツッコミを入れた・・・!?)
ほむら「おそらく・・・精神的な問題ね。生死をかけた戦いに文字通り首の皮一枚で繋がった。
そのトラウマが治った腰を治らなかった事にしている」
マミ「私が、魔女を怖がってるとでも?」
さやか(生死をかけた戦い・・・動かなくなった腰・・・)
まどか「さやかちゃん?なんかすっごいエロオヤジみたいな表情になってるよ!」
さやか「はっ!しまった!あんな戦いの後だから何もかもイヤらしく見える、聞こえる、憧れる!」
まどか「憧れてるだけじゃ手に入らないよ。(上条君の事)」
バイオリン仮面「さやかは放っておいて大丈夫として、巴さん。やはり私が家まで運ぼう」
ダキッ
マミ「きゃっ・・・ま、またお姫様抱っこ・・・///」
さやか「むっ!」イラッ
マミ「・・・・チャ・・・チャックさえ下ろさなければ紳士な方ですのね」ドキドキ
マミ(やっぱり・・・あのシチュエーションに似てるわ・・・)
さやか「エ、エロい手でマミさんに触れるなああああああ!!」
バシッ
マミ「きゃっ!」
バイオリン仮面「ちょ・・・ちょっとさやか!?」
さやか「はぁー、はぁー、なんかムカつく!
あ・・・あんたはどうせマミさんの体に触るのが目的なんでしょ!」
バイオリン仮面「違うよさやか。だけど・・・わかったから・・・私からは巴さんに極力触れない。
というわけで巴さん。悪いけどさやかがヤキモチ妬いちゃうから誰か他の人に頼んでくれないか?」
マミ「えっ・・・ええ」
マミ(ちょ・・・ちょっと残念。とか思ってるのかしら私は・・・)
マミ(それよりも・・・出会って間もない美樹さんがこんなにも私を慕ってくれるなんて・・・
嫉妬してくれるなんて、そっちの方が嬉しいわ!)
まどか(今のは・・・マミさんに触れるな!ってヤキモチには見えなかったけど・・・むしろ・・・)
ほむら「なら、私が運ぶわ」
さやか「ほむっ・・・転校生!?」
ほむら「途中で言い直すのならいっそ呼び捨てにして頂戴」
ほむら「あなた達一般人じゃ二人でも抱えきれないでしょう。魔法少女の事は魔法少女に任せて。」
ヒョイ
マミ「あ・・・暁美さん?」
ほむら「言ったでしょ?できればあなたとは戦いたくない。すれ違いたくないってね」
ほむら「あなたが戦線復帰するまで、私が面倒を見てあげる。そして敵意が無いことを
わかってくれるのなら、ワルプルギス討伐に付き合ってもらうわ」
マミ「あ・・・あの・・その・・ありがとう・・・」
ほむら「お礼ならバイオリン仮面に言いなさい
私一人じゃあなたに警戒されたまま進展も無かったかもしれないから」
まどか「あ・・・そうだ、グリーフシード!マミさん、ほむらちゃん、グリーフシード取り忘れてるよ!」
ほむら「私はいらないわ。今日の戦果はバイオリン仮面のおかげよ。
バイオリン仮面、あなたが拾いなさい。」
バイオリン仮面「私も要らない。というか必要としない。
私達「魔法使い」は魔力の回復にまた別の物を使うのだから」
ほむら「・・・?別の物?」
バイオリン仮面「そう。他の物。意外と君達の身近にある物をつかって私は溜まったものを取り除く」
ほむら「なら・・・それが何か言いなさい。私が用意できるものなら今回のお礼も兼ねて
持ってきてあげるわ。」
バイオリン仮面「正面からおねだりすると断られる物なんだ」
マミ「?」
ほむら「?」
さやか「まさか」
まどか「さやかちゃん、わかるの?」
さやか「あくまで予測、確証が無いからここでは言わない。」
バイオリン仮面「だから、今回の件で君達が少なくとも感謝をしているのであれば、
君達から「それ」が突然無くなる事を許してほしい」
バイオリン仮面「そしてどうか、その行為に目をつぶってほしい」
バイオリン仮面「では、さらばだ!また会おう。魔法少女たち!」バッ
マミ「行ってしまったわ。バイオリン仮面さん。援姦の断りに導かれて・・・」
さやか「マママ・・・マミさん!?ナニいってるんすか!?マジで診察受けていきましょうよ!」
マミ「ハッ!い、いけない。私もバイオリン仮面のせいでえっちな事に興味を持ち始めてる!?」
さやか「母性あふれるマミさんをも思春期女子中学生に変えてしまうとは・・・
バイオリン仮面・・・一体何者なの?」
まどか「マミさんはまだ女子中学生だよ!」
まどか「それとさやかちゃん・・・バイオリン仮面の正体がわからないってそれ本気で言ってるの?」
さやか「え?」
まどか「なんとなく、予想がついたの。でも確証が無いからまだいえないの」
まどか「ここでいう正体っていうのは、ヒーローの変身前・・・つまり普段ナニしてる人かって事なんだけど」
まどか「その憶測の正体の人が・・・さやかちゃんにとっての重要な人物だから・・・」
さやか「あたしにとっても身近な人!?あれだけ変態そうなのって・・・中沢?」
ほむら「なら、私も彼についてわかった事があるわ」
ほむら「ここでいう「わかった」とは彼が何故ワルプルギスについて知っていたかの
可能性を考えた上での憶測よ」
さやか「あ、そういう事でいいのならあたしもわかった事あるよ」
さやか「アイツの魔力浄化にナニが必要かっていう事をアイツの会話からある程度予想できた!」
マミ「えっと・・・わ・・私はその・・・彼の素性・・・ナニも掴めなかったわ・・・
危うく、ナニを咥えさせられそうにはなったけど・・・」
さやか「はーい。マミさーん。病院は目の前ですよー」
マミ「ねぇ、それならお互い予測できたことを情報交換しない?
私は情報の代わりに自宅を提供するわ。彼が本当に信用できる人物か話し合いましょう」
さやか「あぁ~、いいっすね~ソレ」
ほむら「ごめんなさい。私は巴マミ以外にはまだ話せないわ」
まどか「私も、もう暗いから今からお邪魔したらお泊りになっちゃうから・・・
私、お泊りは事前に言っておかなきゃいけないの」
ほむら「私の推理を話すのはバイオリン仮面の正体を探る以前に私の正体を話すことになるの」
ほむら「それほど私と彼には共通点があるのよ。
今はまだその事を同じ魔法少女である巴マミ以外には言えないわ。」
マミ「あ、暁美さん・・・私には話してくれるの?」
ほむら「一人ぼっちがさみしいってだけでしょ?あなた」
ほむら「心配しなくても今日は一緒にいてあげるわ。
それに、あなたの信用を得るために私もある程度自分の事を話さなきゃいけないし」
ほむら「・・・美樹さん、ごめんなさい。あなたが私を警戒してる事はわかってるけど、
今はあなたや鹿目さんにまで私の正体を知られるわけにはいかないの」
ほむら「今日は、鹿目さんのそばにいてあげてくれないかしら?」
さやか「呼び捨てでいいよ、ほむら。うんうん。今はそれで良いんじゃない?」
さやか「ほむらは今日、マミさんを助けてくれた。
そして近いうちにやってくる魔女からあたしたちを守ろうとしてくれてる」
さやか「それだけ解ってるのなら無理にあたしがほむらを詮索する必要は無いよ」
ほむら「さやか・・・」
さやか「それに、隠し事を隠してるって事を隠さずに言ってくれたこと。それが嬉しかった」
さやか「いつかは話してくれる話なんでしょ?だったら今は聞かないであげるよ」
さやか「だから、結果的にアンタがその気が無かったとしても関係ないよ。改めて言わせて!」
さやか「助けてくれて、ありがと」
ほむら「さやか・・・こちらこそ、ありがとう・・・ふふっ」
一同「?」
ほむら「あっ・・・ごめんなさい。なんだか懐かしくて」
ほむら「私も、以前はこうして魔法少女の仲間達と談笑してたものよ」
ほむら「その中にさやかのように思い込みが激しいけど、味方のときはとっても心強い子がいて・・・」
さやか「思い込みが激しいって言うなー!!」
まどか「ほむらちゃん、その仲間の人たちは今どうしてる・・・あっ・・(察し」
さやか「そっか・・・ほむらもつらい目にあってきたんだね・・・」
マミ「大切な仲間や友達が死んでいくところを・・・何度も見てきたのね」
ほむら「ええそうよ。数えるのも諦めるほどね」
ほむら(他の誰でもないあなた達のことよとは言えないわね)
まどか「じゃあ、さやかちゃんは私の家でお泊りだね。」
さやか「いきなり行って大丈夫かな?」
まどか「さやかちゃんなら大丈夫!きっとママもパパもタツヤも大歓迎だよ!」
ほむら「・・・」じー
さやか「おや?」
ほむら「じゃあ、私達はここで、今日は2人ずつ情報交換をしましょう。
まどかはさやかと。私はマミとそれぞれ話し合う。いいわね。」
まどさや「はーい。」
さやか「ほむらもマミさんもいつかお泊り会しよう!きっと、もっと楽しいはずだから!」
ほむら「・・・さやか?」
さやか「ナニ驚いた顔してんのさ!あたし達はもう友達だよ!」
さやか「あんたの感じ悪い態度も今まで悲しい目にあってきたのなら納得だし」
さやか「ほむらへの考え方を改めたよ。あたしはほむらの味方だから!」
さやか「ほむらがまどかの家に泊まりたそうな顔してるから、提案したんだけど、そうじゃなかった?」
ほむら「いいえ、あなたって鋭いわ」
ほむら「そうね。まどかさえ良ければいつかお邪魔したいわね。もちろん、さやかの家にも」
まどか「うん!私もほむらちゃんの事もっと知りたいな」
まどか「それと、マミさん・・・ごめんなさい。私やっぱり、魔法少女になるのは・・・」
マミ「うん。解ってる。こんなみっともない姿見せちゃったものね」
マミ「死にかけた姿を目の当たりにしたのだからしょうがないわ・・・
私も今は暁美さんの意見に賛成よ・・・あなた達は魔法少女になるべきじゃ無い」
さやか「あたしは・・・まだ迷ってるかな・・・叶えたい願いがあるから。」
さやか「キュゥべえ!あんたはどうするの?「魔法使い」って何のことかを知ってるのなら
教えて欲しいんだけど・・・」
マミ「いないわね。呼んだらすぐ来るはずなのに・・・さっきから一体どこに?」
~~~
キュゥべえ「「魔法使い」・・・この星がその概念を持つのはまだまだ先だと思ってたけど・・・」
キュゥべえ「バイオリン仮面・・・余計なことをしてくれたね。加えて、母星からの指示・・・
ボクはうかつに動けない」
キュゥべえ「でも一応抵抗はさせてもらうよ。
君達が向かってるその未来は僕にとって望ましいモノでは無いからね」
赤い髪の少女「よおキュゥべえ。見滝原に呼び出して何の用だよ?」
次の朝
さやか「おはよ仁美」
仁美「おはようございますさやかさん」
仁美「あれ?昨日まどかさんの家でお泊りしたのでは?
まどかさんの姿が見当たりませんが・・・ご一緒に家を出られたのでは無いのですか?」
さやか「まどかなら、恭介のお見舞いだよ」
仁美「えっ!?」
~昨晩~
まどか「バ、バイオリン仮面の魔力回復アイテムが
女性の下着ってさやかちゃん!そんなわけないでしょ!」
さやか「まどかこそ!バイオリン仮面の正体が恭介ですって!?絶対ありえないわよ!
共通点バイオリンしかないじゃない!」
まどか「じゃあ、明日の朝、私が上条君のお見舞いに行って探ってみる。
ついでにトラップも仕掛けてみるよ!」
さやか「トラップ?」
まどか「さやかちゃんの推理が正しければバイオリン仮面は女性の下着を求めてるんでしょ?」
まどか「上条君の病室にわざとらしく下着を置いていくの。もし下着を上条君が盗めば
さやかちゃんは自分が勃てた推理にしたがってバイオリン仮面が上条君だって認めなきゃいけない。どう?」
さやか「ほぉ・・・面白いじゃんまどか。その勝負受けて勃つよ。
恭介をあんな変態と同一視したこと、絶対謝ってもらうからね!」
さやか「でもなんで朝なの?」
まどか「放課後はさやかちゃんがお見舞いに行くの。それで結果がわかるでしょ?
さやかちゃんが行った時に下着を隠し持ってた場合完全な黒って事。たとえそれが白パンティだとしても。」
さやか「なるほど」
~回想終了~
さやか「簡単に言えばあたしとまどかはある勝負をしてる。
まずはまどかから恭介に接触して気持ちを探ってみるって事」
さやか「だからまどか、今日はちょっと遅れてくるって。
親御さんや早乙女先生も了承済みだよ」
仁美「さささささ、さやかさん!?そ、それって!まさか・・・」
さやか「仁美?ナニ焦ってるの?」
仁美「さ、さやかさんってほんとバカ!!なんでライバルに塩を送るようなマネを!?
そ、そんなの先に行った人が有利なだけじゃないですか!」
仁美「そんな・・・さやかさんや私だけでは無くまどかさんまで・・・
上条君のことをお慕いしていたなんて・・・」
さやか「え!?」
仁美「こ、こうしちゃいられないですわ!私もいざ戦場へ!」ダッ!!
さやか「仁美!?か、カバン置いていってるよー!」
さやか「・・・」
さやか「今の発言・・・まさか仁美、恭介のこと・・・」
さやか「・・・・出遅れたかな・・・あたしも行くべきだったのかな?
さやか「でも、まどかもいるのに仁美とあたしで修羅場るってのはどうかねぇ。
恭介も、気が滅入ってそれどころじゃない所をわざわざ騒ぐっていうのは・・・」
さやか「・・・」
さやか「そんなの、言い訳じゃん・・・なにかに理由をつけて逃げてきただけじゃん」
さやか「いままでも・・・そしてこれからも・・・?」
さやか「・・・」
さやか「もしも、仁美と恭介が付き合うことになったら・・・あたしは、願わなくて済むのかな・・・
昨日のマミさんみたいに、死にかけてまで戦うことは無い・・・のかな?」
さやか「だってそうだよね・・・あたしが恭介を助けた結果・・・
仁美に取られちゃうんだから・・・」
さやか「・・・・それって、恭介のためじゃないじゃん・・・」
さやか「あたし、腕を治したアイツに自分の事好きになってもらいたいだけじゃん・・・」
さやか「今はっきりわかった。あたし、恭介に夢を叶えて欲しいだけじゃないんだ・・・
恩人になりたかったんだ・・・マミさんの言ってた事、今なら理解できるよ・・・」
さやか「あたし、嫌な子だ・・・」
さやか「今日は学校に行こう。仁美とどうなったかは、お見舞いのときに聞けばいいよね・・・」
~朝のホームルーム~
モブA「鹿目さんと美樹さんと志筑さんと暁美さんが来てませーん」
早乙女和子「暁美さんは欠席です。鹿目さんは連絡を受けてます」
和子「鹿目さんは上条君のお見舞いに寄ってから登校するそうです。
後の二人は、遅刻ですね・・・」
中沢「・・・!?え?鹿目さん?美樹がじゃなくて、鹿目さんが上条のお見舞いに?」
さやか「すみません考え事してたら遅くなりました。」
早乙女「おはようございます美樹さん(怒)志筑さんは一緒じゃないんですか?」
さやか「あの・・・サボリです。無断で恭・・・上条君のお見舞いに行きました」
スッ(仁美のカバン)
一同「!?」ザワッ
中沢「あ、あの優等生、お嬢様キャラの志筑さんが・・・サボってまで上条のお見舞いに!?」
中沢「しかも・・・一番そういう事やらかしそうな美樹がちゃんと登校してる!?
い、一体上条の周りでナニが起きているんだ・・・?」
さやか(アレ?そういえばほむらも居ない・・・)
~病院~
恭介「・・・・」
恭介「朝は良い。お見舞いに誰も来ないから・・・」
恭介「もうこの世にいる価値が無くなった僕を・・・
誰にも見せなくて済む・・・この世界から、逃げていられる」
ガチャ
恭介「さやか?わざわざ朝に来るんだね、君は。」
パサッ
恭介「その紙袋は・・・そうか、またCDを買ってきたのか・・・?
手が二度と動かなくなった僕へ・・・嫌がらせをしに来たのかい?」
恭介「自分が弾けもしない曲を聞かせて!ありもしない未来に、将来に期待させるだけさせといて!
結局僕をいじめてるだけじゃないか!」
恭介「出て行け!出て行ってくれ!さやか!」
バシッ
まどか「きゃあっ!!」
恭介「・・・!?」
恭介「かかかかか・・・鹿目さん!?」
まどか「ご・・・ごめんなさい・・・怒らせるつもりは無かったんだけど、
さやかちゃんの代わりにお見舞いに来ちゃった。」
まどか「迷惑・・・だったかな・・・?」
まどか「上条君も朝は誰も来なくてヒマでしょ?だからさやかちゃんと相談して決めたの!
これからは交代交代で朝と放課後にお見舞いしてあげようって。」
恭介「・・・ごめん鹿目さん・・・つくづく自分が嫌になるよ・・・」
恭介「もし今日来てたのがさやかだったら八つ当たりも辞さなかった・・・
そして、その事に謝りもしなかったっただろうって・・・」
恭介「ところで、その紙袋は?」
まどか「お見舞いの品じゃなくてごめんなさい。実は家の洗濯機が壊れちゃって・・・
この後クリーニング屋さんに寄るつもりなの」
まどか「昨日さやかちゃんがうちに泊まったからさやかちゃんの下着も一緒だよ(強調)」
恭介「そっか・・・かっこ悪い勘違いだね・・・僕はまたさやかがCDを買ってきたのかと・・・」
まどか「・・・・あの・・・聞くつもりはなかったんだけど・・・さっき言った事・・・
左手・・・治らないの?」
恭介「・・・」
まどか「ご、ごめんなさい・・・」
恭介「僕の腕はもう、二度と動かない・・・」
恭介「諦めろって・・・「今の」医学じゃ無理だって・・・
ハッキリ言われたのさ・・・」
恭介「昨日の夕方・・・それを宣告された・・・」
恭介「その後さやかが面会に来てくれたみたいだけど・・・拒絶するしかなかった・・・」
まどか「・・・」
まどか(昨日の夕方・・・バイオリン仮面が現れた時、
上条君はずっとここに居た・・・やっぱり違う・・・)
恭介「さやかも・・・幻滅するよね。」
まどか「えっ?」
恭介「あの子はいつも僕のバイオリンを聞きに来てくれたからね。
聞けなくなったらガッカリするだろうって」
まどか「それは・・・確かに残念とは思うだろうけど・・・」
恭介「それに・・・鹿目さんを、さやかと間違えて八つ当たりするような男だし・・・」
まどか「上条君?」
恭介「情けない話だけどね・・・宣告を受けたあと・・・僕は死ぬことばかり考えてたんだ・・・」
まどか「か・・・上条君!!」
恭介「あれ・・・なんでこんな事・・・鹿目さんに言うんだろ・・・鹿目さんはまた、さやかとは
違った話しやすさがあるのかな・・・こんな事さやかにだって言えやしないのに・・・」
ポロポロ・・・
まどか(男の子の・・・本気の涙・・・)
恭介「ねぇ、鹿目さん・・・バイオリンの弾けなくなった僕に、この世界を生きていく資格はあるのかな?」
恭介「他人には、可笑しい話に聞こえるかもしれないけど、僕にはそれが全てだったんだ・・・
この先、バイオリンの弾けなくなった僕に・・・価値を見出してくれる人なんて・・いるのかな・・・」
まどか(・・・)
まどか(さやかちゃん、ゴメン!)
ギュッ
恭介「!?・・・かかかかかか、鹿目さん!?」
恭介(そっと包み込むどころじゃなくて・・・真剣に抱きついてきた!?)
まどか「上条君、そのままでいいから聞いて。」
恭介「はははは・・・はい!!」
まどか「私・・・バイオリンの事なんてわからないから、
上条君がどれだけ苦しいかわかってあげられないよ・・・」
まどか「でも解らないからこそ、バイオリンが弾けないことに悲観する上条君を
可笑しいとも思わない」
まどか「それに・・・さやかちゃんは、さやかちゃんだけは絶対に上条君に
幻滅したりしないよ」
まどか「上条君が死ねば、両親だけじゃなく、クラスメイトのみんな、
特にさやかちゃんが・・・悲しむよ」
まどか「上条君が死んでも私はさやかちゃんほど悲しんであげられないから・・・」
まどか「でも、さやかちゃんを悲しませる事だけはしないで・・・」
まどか「自分の事がわからなくなったのなら、さやかちゃんに聞いてみて・・・
きっと、さやかちゃんはバイオリンが弾けない上条君も暖かく迎えてくれるから・・・
まどか「ずっと長い間、上条君の傍にいたのだから」
まどか「さやかちゃんにも言えないことがあれば、私に相談してくれてもいいから・・・」
まどか「小学5年生の頃・・・さやかちゃんと初めて同じクラスになれて・・・」
まどか「いじめられてたわたしを・・・精一杯守ってくれたんだよ」
まどか「きっと大丈夫だよ・・・さやかちゃんならきっと・・・あの時のわたしにしてくれたように
上条君を勇気付けてくれる」
まどか「そんなさやかちゃんの事が・・・わたしは大好きだから・・・」
まどか「だから・・・さやかちゃんを悲しませるようなことだけは・・・
絶対・・・やめて・・・お願いだから・・・」
まどか「ううっ・・・」
ポロポロ・・・
恭介「か、鹿目さん!?」アタフタ
~学校→(通話中)←巴部屋~
さやか「ほむら、あんたナニしてんのよ。」
ほむら「まだマミの部屋に居るわ。思ったより深刻で、一日勃った今でも歩けないらしいの。」
ほむら「それに、動けないとこを他の魔法少女に狙われたら巴さんでもヤられるわ。
元よりマミが復帰できるまで私も学校を休むつもりだったのよ」
さやか「他の魔法少女・・・縄張りとグリーフシードだけが目当てのヤツ?
マミさんの家を知れるわけ無いから、考えすぎじゃね?」
ほむら「・・・・厄介なヤツがいるのよ。この家を知っててこの町を狙ってる者がね・・・
そいつを確認するまで、私はここから離れられないわ」
さやか「なにそいつ?感じ悪っ」
さやか「じゃあ、あたしが物資とか持っていこうか?
マミさんにつきっきりって言っても、買い物にも行かないわけにはいかないでしょ?」
ほむら「そうね・・・お願いできるかしら」
さやか「オッケー。まかせて!必要なものメールで送りなよ」
ほむら「・・・ありがとう・・・マミが呼んでるから一旦切るわよ」
ピッ
マミ「ま・・・まさか佐倉さんの事まで知ってるなんて、昨日の話は本当のようね・・・」
ほむら「時間遡行・・・これで実証できたかしら?」
マミ「そして、あなたの推理ではバイオリン仮面・・・彼もまたその能力を有してると・・・」
ほむら「でなければ説明がつかないわ。何故彼が、ワルプルギスの夜の襲来を知っているのかを」
ほむら「当面の苦労は、この状態だと魔女を狩りにいけない事・・・、
何故かキュゥべえが呼び出しに応じない事かしら」
ほむら(使用済みグリーフシードの処理ができない・・・)
マミ「もうあんなヤツ知らないわ!私が殺されそうになったときも、姿を隠していたんだもの!」
ほむら「私がアイツを信用してない訳、少しは解ってくれた様ね」
~学校~
ピッ
さやか「ふぅ・・・あ、まどかからメールが来てる。」
まどか(メール)「件名:クラスのみんなには、ナイショだよ!
本文:さやかちゃん、ゴメン!上条君があまりにもいたたまれなかったから・・つい・・・
上条君の事、抱いちゃった!」
さやか「・・・」
さやか「まどかあああああああああああああああああああああああああああああ!?」
プルルルルル・・・
さやか「・・・」ゴゴゴゴゴ
ピッ
まどか「あっさやかちゃん!」
さやか「まどか・・・アンタなんてことしてくれたのよ!」
さやか「きょきょきょきょきょ・・・・恭介を
だだだだだだだ・・・抱いた!?やったのか!?やっちまったのか!?」
さやか「攻めたのか!?攻められたのか!?
上なのか!?下なのか!?前なのか!?後ろなのか!?」
さやか「ひ・・・仁美じゃなかった・・・意外な伏兵は・・・ここにいたのかあああ!」
まどか(ひとみちゃん?)
まどか「だからごめんって言ってるじゃん。
上条君泣き出しちゃったから、仕方なくハグしたの」
さやか「ハハハハ・・・ハグゥ~!?」
さやか「ちゅ・・・中立位なのか!?な・・・なんなんだそのプレイは!?
うううううらやまけしから~ん!!・・・・ってハグ?」
まどか「そう。ハグ」
さやか「・・・」
さやか「ああ・・・抱くって・・・そっちの・・・」
まどか「そっちじゃないほうの抱くってナニかな?さやかちゃん?言ってごらん?」
ニヤニヤ
さやか「ううううう、うるさい!紛らわしいメール送ってきやがって!
あんたもバイオリン仮面に毒されてきてるわよ!」
まどか「そうかもしれないね。
いつもの私だったらハグの方の抱くでも無理だったもん」
まどか「上条君をなだめるためとはいえちょっとアグレッシブになりすぎちゃった」
さやか「ハグの方!?まどか~それはハグじゃない方があるってことだよね~
言ってごらん?」ニヤニヤ
まどか「あ、ごめんこの会話上条君にも聞こえてるよ。まだ病室なの!
花瓶のお水を入れ替えてるからハンズフリーだよ!」
恭介「ははは・・・さやかと結婚する人は毎晩大変そうだね・・・///」
さやか「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
まどか「私のほうが上手だね、さやかちゃん!」
まどか「でも、勝負は負けちゃった。」
さやか「え?」
まどか「上条君の腕・・・もう治らないみたいなの。だから・・・」
さやか「!?・・・ごめん。その話は、恭介の聞こえないところで」
~~~
まどか「・・・ってな訳なの。だから・・・バイオリン仮面が上条君って事は絶対無いよ。
だって昨日、上条君は病院にずっといたし、バイオリン仮面は・・・左手を動かしてたし」
さやか「だから言ったでしょ・・・
じゃなくて、今はそれよりも・・・恭介の腕が治らないって・・・」
まどか「昨日さやかちゃん、面会できなかったでしょ?あの時すでに宣告されてたみたい。
今の医学じゃ絶対無理だって。バイオリンは諦めてくれって・・・」
さやか「恭介が泣いたのって、それが原因だったんだね・・・」
まどか「ごめんね・・・さやかちゃんだったらハグの方の抱くでも・・・
嫌がるのはわかってたけど、まず上条君を落ち着かせる必要があったから・・・」
さやか「アンタは今にも飛び降りそうなアイツを止めてくれたんでしょ?
そこに下心が無いことはわかってるっての」
さやか「ってか・・・なんであたしが嫌がるのよ。恭介の彼女でも無いのに・・・」
まどか「こういう大変なときだからこそ素直になりなよさやかちゃん・・・
上条君のこと好きなのはバレバレだよ・・・」
さやか「うーん・・・まぁ、あれだけ取り乱したところ話しちゃったからね・・・
よし!まどかには認めてやろう!」
さやか「んでもって恭介は鈍感だからアレでも気づいてない!」
まどか「それでね・・・放課後来るさやかちゃんは、絶対CDとか持ってこないで。
私が落ち着かせたけど、すっごい敏感になってるから。
まどか「バイオリンが弾けなくなった自分なんて・・・って思ってるみたいだから、
それを否定できるのは・・・さやかちゃんしかいないから」
まどか「さやかちゃんだけが・・・上条君の新しい道しるべだから・・・」
さやか「・・・それは多分・・・あたしじゃなくても大丈夫」
さやか「もうすぐそっちに仁美が来るはずなんだ。恭介に告白しに」
まどか「えっ?」
まどか「ひ・・・仁美ちゃんが!?なななな・・・なんで?まだ学校終わってないよ!?」
さやか「あの仁美が家の人や先生に怒られてでも押し通す事なんだよ」
さやか(というか、まだ着いてないの遅くね?)
さやか「仁美はまどかが恭介に告白するものと勘違いしたんだ。だから、覚悟を決めて伝えるはず。」
まどか「さ、さやかちゃんはそれでいいの!?わ、私ならさやかちゃんが来るまで、
仁美ちゃんに告白するのはやめてって言えるよ!上条君が・・・仁美ちゃんと付き合うようになってもいいの!?」
さやか「よくないよ。嫌だよ。でもそれ以上に自分が透けて見えたんだ。
私が契約したがってた理由、覚えてるよね?」
まどか「上条君の手を治す事?」
さやか「昨日マミさんがヤられそうになって戦うのが怖くなった。そして、
もし仁美と恭介が付き合うことになったら、それを願わずに済む。って考えちゃった」
さやか「そしたら結局、あいつのためとか言っておきながら自分が感謝されたいだけだったんだって気づけた。」
まどか「さやかちゃん・・・」
さやか「誰よりもアイツの夢のことを考えてたつもりで、アイツの指が動かないこの状況を喜んでる自分に気づいた。
毎日お見舞いに行ってるのがあたしだけって状況に甘えてた。そしてそれがずっと続くことさえ望んでた」
さやか「そんな自分が卑しいから、恭介のそばにいる資格なんか・・・無い気がしてきて・・・」
まどか「そんなこと・・・無い・・・」
さやか「だから、なんの疚しさも無い仁美がちゃんと告白したいって言ってるのなら、
それを応援こそすれ、邪魔することなんて出来ないよ。」
まどか「そんなの・・・駄目だよ・・・さやかちゃん・・・
なんで・・・私・・・仁美ちゃんもさやかちゃんも納得行く形で・・・真剣に考えて欲しいだけなのに・・・」
まどか「なんでさやかちゃんだけが辛い役割を被ろうとしてるの・・・?うっ・・・」
さやか「・・・まどかはやっぱり優しいね・・・他人のために泣けるんだもん」
さやか「あたしが泣くとしたら仁美も恭介を好きだと知らないで勝手に契約した後、
自分のバカさ加減に気づいたときとかだろうね。だから・・・」
さやか「ありえない事だとは思うけど、仁美がフラれたらその時こそ恭介の事真剣に考えてくれないかな?」
まどか「さやかちゃん・・・!?」
さやか「あたしは完全に降りるよ。今はまどかや仁美との、そしてほむらやマミさんとの友情の方が
大事なんだ。一般人のあたしでもほむら達のサポートくらいはできるから。」
まどか「さやかちゃん!さやかちゃん!」
さやか「早く学校来なよ、まどか。3時間目には絶対来るって親と先生に約束したんでしょ?」
ピッ
まどか「さやかちゃあん!!!!!」
まどか「うっ・・うっ・・・どうして・・・?どうしてこうなるの・・・?」
まどか「さやかちゃんが考えてるいやらしさなんて・・・
まだまだ純粋な物なのに・・・どうして・・・・」
さやか「ふぅ・・・世話の焼ける親友だな・・・3人とも。」
さやか「親友・・・か。」
さやか「うん、親友だよ。アイツはあたしの親友で・・・アイツを好きになったのもあたしの親友。」
さやか(昨日見た・・・夢のとおりになっちゃったね・・・)
さやか「おめでとう恭介。これからはきっと・・・事故の事なんかチャラになるほど素敵な日々が・・・」
さやか「って・・・アレ?」
さやか「トラップの下着・・・置いたままじゃね?」
さやか「もしも告白にきた仁美が恭介の病室の下着に気づいたらどうなる?
まどかやあたしの物が混じった下着を・・・」
さやか「仁美は・・・幻滅する・・・?そして、それをあたしも望んでいる・・・?」
さやか「いやいやいやいや、それ以前の問題だよ!仁美にフラれることが問題なんじゃなくて、
恭介があたしとまどかの下着を所持していることが問題なんだ!」
さやか「恐らく・・・そう誤解された日には・・・死ぬ。恭介が・・・社会的に・・・」
さやか「仁美も思い込みが激しいから・・・ナースコールなり警察なり呼ばれて・・・
結果的に学校にも知れ渡る・・・」
さやか「・・・でも、恭介が「それは鹿目さんの忘れ物で中身は見てなかった」と言えば
どうにでもなる話だよね。実際袋から出したり、手に取ったりしなければいいだけの話だし・・・」
さやか「でも、恭介が絶対に下着に手を出さない保証なんてあるのかな?
さやか「恭介みたいな鈍感バイオリン一筋馬鹿でも、
一応男の子だし・・・目の前にえっちな物があったら・・・興味を持っちゃうかも・・・」
さやか「ああ!もう!男子との猥談にもっと積極的に絡むべきだった!
基準が解らないよ。中学生男子の標準的なエロスが!」
中沢「おーい、美樹ーいつまで屋上に居るんだ?授業始まるぞー」
さやか「中沢!いいとことに来た!ちょっと意見を聞かせて!」
中沢「へ?」
さやか「もしも・・・もしもだよ・・・
誰も見てないところ、手の届く場所に、女子の下着があったら、どうする?」
中沢「!?」
中沢「かかかかかか、金ならないぞ!」
さやか「アンタに売るわけじゃないわ!
ってか、金があればあたしの下着買うのかよ・・・」
中沢「値段にもよる・・・ただでくれるのならもちろんもらう。」
さやか「変態!・・・っていうかあたしの下着欲しがるヤツなんかいたんだ。」
中沢「ナニを言ってるんだ美樹?」
中沢「お前、意外に男子人気高いぞ。エロい意味でも、良い意味でも含めてな。」
さやか「え?」
中沢「今まで志筑さんに人気が集まってるように見えたのは
単に彼氏がいないからだけであって」
さやか「・・・」
中沢「それと同じくらいお前のファンもいた。
まぁ、実際は上条と付き合うようになるんだろうと思って諦めるヤツが多かったけど」
中沢「お前は自分のこと男っぽいとか思ってるかもしれないけど・・・それは話やすいって事の裏返しだし」
中沢「下手に気を使ってしゃべらなきゃならない女子よりよっぽどポイント高いし」
中沢「ナニよりスタイルいいし・・・オカz・・・じゃなくて・・・色んな意味で人気が高い」
さやか「そうだったんだ・・・あたしも隅におけないねぇ!・・・」
さやか(もっと自信を持って恭介に接してればよかったかな・・・)
中沢「鹿目さんも鹿目さんで、隠れファンがいたし」
中沢「だから今、俺たち彼女欲しい系男子は戦国時代に突入している。
鹿目さん志筑さんが上条の元に行き、お前は何故かあきらめモード」
中沢「鹿目志筑派はただひたすら落ち込み、美樹派は二つの派閥に分かれた。
すなわち「鹿目さんか志筑さんを上条とくっつけて俺が美樹さんの彼氏になる!」派と
「本当に美樹さんの幸せを願うのなら上条と結ばれるべきだ!」派にな。」
さやか「その派閥争いうんぬんはまぁ後で聞くとして・・・仁美は当然で、
あたしやまどかも十分人気が高いってこと?」
中沢「簡単に言えばそう」
さやか「じゃあ・・・一般的な男子は、あたしやまどかの下着欲しがったりするのかな?」
中沢「なぜ下着の話題に転覆するか解らないけど、欲しいんじゃないかな。」
さやか「実は、恭介の病室に・・・下着を置き忘れてて・・・」
中沢「!!」
さやか「恭介が間違いを犯せば・・・仁美に見られてしまう可能性も・・・」
中沢「い、いかん!それはいかんぞ!俺が恭介の勃ち場なら間違いなく下着を握る!
美樹!は・・・はやく病院に行くんだ!そうなった時弁解できるのはもはやお前だけしか居ない!」
さやか「や、やっぱり行かなきゃだよね・・・」
さやか「でも・・・今から行ったら、もし間違いを犯さなかった場合、仁美とくっついた恭介を目の当たりに
しなきゃいけないのよね・・・」
中沢「大丈夫だ!間違いを犯す可能性のほうが高い!ヒントは俺!
っていうか、そんなこと気にしてる場合じゃねーだろ!警察沙汰になりかねねーから早く行ってやれよ!」
さやか「じ・・・時間が足りないよおおお」
中沢「・・・使え!チャリの鍵だ!」
さやか「な・・・中沢!?」
中沢「気休め程度にしかならないだろうけど、それが俺の気持ちだ」
中沢「俺は美樹ファン穏健派。
つまり、美樹を彼女にしたいとは思ってるができれば上条とくっついてほしい側の人間だったんだ!」
バァーン
さやか「な、なんだってー!!」
中沢「だから、気にするな。そして、上条と志筑さんがくっついてたとしても、
俺が・・・俺たちが居る!俺たち美樹ファンはな・・・いつでもお前のすべりどめ彼氏になる覚悟は
出来ている!だから思いっきり伝えて来い!」
中沢「たとえ上条がお前を見捨てたとしても、俺たちはお前を見捨てやしない!」
さやか「中沢・・・あんた、なんかカッコイイよ。
自分に正直に生きてる・・・その生き様がね」
さやか「だから、あたしのすべりどめなんて考えんな!
あたしは恭介以外を好きにならないし、あんた達も早くいい人を見つけたほうがいい」
さやか「それじゃ、行ってくる。自転車、ありがたく使わせてもらうね!」
和子「お待ちなさい」
さやか「さ、早乙女先生!?」
和子「どこへ行くつもりですか美樹さん?授業が始まりますよ?」
さやか「間に合わなくなる前に・・・きょ、恭介に伝えるべき言葉があるんです!」
さやか「だ・・・だから授業には参加できません!ごめんなさい!」
さやか(男子にイヤらしい目で見られてたってのは嫌だけど・・・
そのおかげで自分に自信が持てた・・・だから迷わない!)
さやか(たとえ間に合わなくても・・・あたしは気持ちを伝えるんだ!)
和子「・・・すがすがしいくらい正直に言うのね。少しは嘘や言い訳をしなさい。」
さやか「さ、早乙女先生?」
和子「私も女の子ですからね・・・わからなくは無いのよ。そういうの」
さやか「だから、試したの。もしさやかちゃんが適当に学校を抜け出す言い訳を言ったのなら、
縛ってでも授業を受けさせただろうって。」
さやか「えっと・・・(女の子?)」
和子「でも、さやかちゃんは正直に話してくれました・・・」
和子「二度と来ることの無い中学二年生の今日という時間を・・・
ただがむしゃらに前をみて生きようとしているわ」
和子「さやかちゃんの今日という時間に比べれば、34歳の私が生きる今日は・・・
35歳の時に訪れる今日とあまり変わらないかもしれません・・・」
和子「だから・・・後悔したくないなら行きなさい。後で
志筑さんと一緒に、たっっっっくさん叱ってあげますからね!!」
さやか「和子先生!ありがと・・・ありがと・・・あたし、絶対伝えるから・・・
たとえフラれたとしても、絶対後悔しないから!」
中沢「美樹・・・がんばれよ!」
和子「ところで中沢くん・・・男子の方も何人か病院付近に向かったようですが・・・」
中沢「ギクッ!」
和子「これは・・・中沢君の言うところの美樹さんファン過激派・・・
つまりはさやかちゃんをモノにしたいと考える男子の仕業と見ていいですよね?」
中沢「えっとそれは・・・その・・」
和子「だったら・・・さやかちゃんファン代表の中沢君にはいない人の分まで
みっちり指導しないといけませんねぇ・・・」
中沢「・・・!!」汗ダラダラ
和子「緊張しなくていいのよ・・・中沢君・・・君と上条君はお気に入りなのよ
いない生徒と上条君の分まで・・・いっぱい指名してあげますから・・・」
中沢「た・・・たすけ・・・」
~駐輪場~
さやか「中沢のチャリは・・・あったアレだ!」
さやか「よぉし・・・飛ばすわよ!ってあれっ?サドル?ハンドル?どこいった?」
????「中沢の自転車ではない・・・」
バイオリン仮面「それは、私という名の駄馬だ!!」ダバァーン!!!!
さやか「バ・・・バイオリン仮面!?・・・の上に乗ってるあたし!?い、いつの間にィーッ!?」
バイオリン仮面「さぁ、さやか。これがアクセルだ」ドラムスティック(右)
さやか「え?」
バイオリン仮面「これがブレーキだ。(ドラムスティック左)後はわかるな?」
さやか「・・・ま、まさか・・・」
バイオリン仮面「それで思いっきり私の尻をひっぱたくのだ!それだけでこの駄馬は
ものすごいスピードで走らせていただきます!」ハァハァ
さやか「ほんとにほんとにほんとにほんとにほんとにほんとに
変態だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
パシン!パシン!
バイオリン仮面「あふん!おふん!」
ゴオオオオオオオオオオ!!
さやか「す・・・すごい、あまりにも馬鹿馬鹿しい走り方だけど・・・なんてスピードなの!?
こ、これなら仁美にも追いつける!」
バイオリン仮面「ば・・・馬鹿ではございません!駄馬とお呼びください!あぉん♪」
通行人「やだちょっと・・・なに?あれ?」
通行人「四つんばいのまま女の子を乗せて・・・走ってる!?そして叩かれてよがってる!?」
祖母「懐かしいわね・・・昔をおもいだすわね?お爺ちゃん?」
祖父「こらこら、ゆまの前でそんな事・・・あの時は私たちも若かったからな・・・」
ゆま「おじいちゃん達もおうまさんごっこ好きなんだ。じゃあ帰ったら一緒にやろ?
そういう遊びしたこと無かったから、憧れてるんだ!」
さやか「めっちゃ見られてる・・・まぁ、そうなるわな・・・・」
バイオリン仮面「人目を気にして、今一番大切な行動を無為にする気かい!?」
さやか「まさか!あたし今、とっても充実してる。後で恥ずかしい行動だったと
思う時がきても後悔の無いように今を生きる!ただそれだけよ!」
パシンパシン!
バイオリン仮面「いいスナップだ!君には魔法少女としての因果とは違う意味で
女王の素質がある!」ハァハァ
男子生徒A「まってくれ!美樹さん!」
男子生徒B「俺たち、ずっと美樹のことが好きだったんだ!」
男子生徒C「ここは行かせない!上条なんかに君を渡してたまるか!」
さやか「!?前方に男子生徒多数!?あ、あぶない!このままじゃブレーキをかけたところで・・・
ぶつかってしまう!」
バイオリン仮面「ならば痛みを快感に変えてやるまでだ!」
バイオリン仮面「二足歩行モード!」
ジャキィン
バイオリン仮面「さやか、今度は普通に抱っこで私の背中にしがみついてくれ!」
さやか「わっ・・・ちょ・・い、意外に広い背中してるね・・・」
さやか(そして何故か、とても懐かしい感じが・・・)ドキドキ
ギュッ
バイオリン仮面「四次元に通じる股間のソレ!(ようこそ!)」ジーッ↓
バイオリン仮面「いでよ!バイオリン!そして、二曲!!「イニシャル:SM」!!」
♪~♪~♪
男子生徒「!?あれ・・・なんだか気分が・・・」
♪~♪~♪
男子生徒「と、とっても不思議な気分・・・」
男子生徒「僕たちは今無性に・・・・」
男子生徒「「「い・・・痛い目にあいたいッ!!」」」ダバァーン!!
バイオリン仮面「お望みとあらば!」
ドドドドドドド(ラグビーの走り)
男子生徒「!!」
ズドオオオオオオオオン
男子生徒達「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
ドゴッ ドゴッ ドゴッ (床に刺さる男子生徒たち)
ゆま「ひっ!だ・・・大丈夫ですか!!」
祖父「ゆま、そいつらに近寄っちゃ駄目だ!」
男子生徒「///す・・・すんごぉい良いのぉ・・・
最後は放置プレイれすかぁ~まままま、ますます好きになっちゃうなぁ女王さやか様・・・」
ピクンピクン
ゆま「ひいいいいいいいいいい!?」
~病院前~
さやか「つ、着いた!」
バイオリン仮面「うっ・・・ぐふっ・・・」ガクガク
さやか「バ・・・バイオリン仮面!?」
バイオリン仮面「こ・・・こっちを見ないで、そのまま前を進んでくれさやか・・・
い、今の僕の姿を・・・君に見られたくない・・・」しゅう~
バイオリン仮面「変身が解けかけてるんだ・・・正体を・・・素顔を見られたくない・・・」
さやか「く・・・口調も変わった・・・それが、あなた本人のしゃべりかたなの?」
バイオリン仮面「僕がバイオリン仮面に変身できるのは一日一回だけなんだ・・・
しかも、魔法少女以上に大量の魔力を消費する・・・僕がしてやれるのはここまでなんだ・・・」
バイオリン仮面「 さぁ・・・君は君の未来を掴むんだ・・・」
さやか「わかった。行ってくる。バイオリン仮面・・・ありがとね」
~病室~
恭介「・・・」
紙袋「・・・」
紙袋「あ・け・てっ☆」(幻聴)
恭介「・・・・・・」ゴクリ
恭介「・・・・!?な、なにを考えてるんだ僕は・・・
さやかや・・・鹿目さんの下着でナニをどうするつもりだ? 」
恭介「昨日までの僕なら人生に悲観してこんな事考えてる余裕は無かったはずなのに・・・
冷静な考えを取り戻したら・・・コレか・・・」
恭介「中学生男子としての本能が、僕の絶望を塗り替えて・・・し、支配してしまう・・・」
~~~
下着さやか「恭介ぇ・・たまにはCDじゃなくて、こういうサービスはどうかな?」
恭介「ささささ、さやか!?な・・なにをしてるんだ?」
まどか「上条君・・・」
恭介「鹿目さん!さ、さやかを止めてくれ!」
まどか「言ったよね。さやかちゃんを悲しませないでって。
今、上条君はさやかちゃんと間違いを犯しそうになってるんだよね?」シュルッ
恭介「かかかっか・・・鹿目さん!?」
下着まどか「そうなる前に、私が受け止めてあげる・・・もういい・・もういいんだよ上条君・・
もう我慢する必要なんて無い!(断言)」
~~~
恭介「・・・!?し、下着が僕に幻覚と幻聴を訴えかけてきてる!?」
さやか(本物)「駄目よ恭介!あたしが・・・あたしが行くまで・・・
そいつの言葉に・・・耳を貸しちゃ・・だめええええええええええええええええ!!」
さやか「恭介!」
ガチャッ
恭介「さ佐々ささささっしゃあかあさkしゃかsっしゃあ・・・さやか!!」
恭介「なななんあななんあなななん・・・なんでここに!?」
そしてその手には、紙袋が握られていた。
さやか「お・・遅かった・・・」
さやか「いや、下着を取り出していないから・・・セーフ!?」
恭介「なんで!?なんで!?なんでだよ!!
きょきょきょきょ・・今日は放課後に来るって行ったじゃないか!」
恭介「ががががが・・・学校をサボってまできききき・・・来てもらっても嬉しくないよ!
そそそそそそそ・・そんなのは優しさじゃなくて・・・サボりたい理由じゃないか!」
さやか「落ち着け。恭介」
さやか「・・・・・・」
さやか「見た?」
恭介「ナ、ナニをだい?」
さやか「紙袋の中」
恭介「い、いいや・・・」
さやか「・・・」
恭介「・・・」
さやか「何色だった?」
恭介「縞々では無かった。」
恭介「あっ・・・」
さやか「・・・」
恭介「・・・」
恭介「ごめん、今のなし。」
さやか「うん」
恭介「「縞々では無かった」じゃなくて「縞々が良かった」・・・?」
さやか「うん」
恭介「さやかは縞々が似合いそう・・・?」
さやか「うん」
恭介「縞々を履いてみる気は、ないか?」
さやか「うん」
さやか「見てるよね」
恭介「見てない」
恭介「だって僕が見たかったのは縞々だもん」
さやか「見てるよね」
恭介「見たいものが見れなかったらそれは見てないも同然なんじゃないかな」
さやか「うん」
さやか「見てるよね」
恭介「さやかの胸が意外に大きかったという正の事実と
縞パンがなかったという負の事実で差し引き0だから・・・」
さやか「うん」
恭介「ノーカンでいいんじゃないかな」
さやか「だめ」
恭介「さやかのブラを見てテンションあがった後に縞パンが無いことに気づいたんだ」
さやか「うん」
恭介「だから、後味的にはむしろマイナスで・・・」
さやか「うん」
恭介「美味しいものの後に、味気が無い物を食べたような感覚なんだ。」
さやか「焼肉の後のガムって考えればその順番別におかしくないよね。」
恭介「縞パンがない事に気づいた後にさやかのブラを見ていたのなら、
僕も見たという事実を認めよう」
さやか「見つけた順番はどうでもいいのよ」
さやか「見たよね」
恭介「はい・・・」
さやか「・・・」
恭介「・・・」
恭さや「「ごめんなさい!」」
恭介「え?」
さやか「か、簡単に言うとね、恭介にさぐりを入れるためにワザと置いた部分もあるんだ」
恭介「え・・・」
さやか「きょ、恭介くらいマジメなヤツだったら、引っかからないと思って安心してた部分もあった」
さやか「で、でも中沢に確認をとったんだ。
そしたら「いくら恭介でもその状況は誘惑されちゃうかもしれない」って」
恭介「あ、あの野郎」
さやか「だから、恭介はナニも悪くないよ!ちょっと興味を持って袋を開けちゃったとしても、
それが普通なんだから!」
バッ
恭介「僕の言い分を認めつつもしっかり没収するんだね。」
さやか「恭介、この事は黙っててあげるから。
あたしが悪かったの。恭介を試すような真似して・・・ゴメンね?」
恭介「なんだかよくわからないけど・・・僕がやった事はちょっとした間違いだった
ってさやかは考えてくれるのかな?」
さやか「考えるもナニも、恭介が下着を握りやすい状況に誘導したのはあたしだもん」
さやか「本当にゴメンなさい!」
恭介「いいよ。謝らなきゃいけないのは僕のほうだ。
見苦しいところを見せてしまって、本当にゴメン!」↓
さやか「だからさ、恭介」
恭介「うん?」
さやか「シーツの下に隠してる、あたしのブラ、返してもらえるかな?」
恭介「・・・うん」
さやか「・・・でもまぁ、まどかの下着に手を出さなかったところは褒めてあげるよ。
よくぞ耐え抜いた!まどかの下着でナニしようってのならあたしがぶっ飛ばしてたよ! 」
さやか「まどかを悲しませるヤツ
(およびあたし以外に欲情する恭介)はあたしがゆるさ~ん!!」
恭介「・・・ やっぱり、さやかと鹿目さん仲良いね。」
さやか「え?」
恭介「鹿目さんにも言われたんだ。さやかを悲しませないでくれって」
恭介「泣かれて頼まれた。だから・・・今の僕は、左手のこと・・・
冷静に考えられるようになったんだ」
さやか「恭介・・・」
恭介「鹿目さんから聞いたんだろ?僕の腕はもう二度と動かない。バイオリンは諦めろって言われたのさ」
さやか「うん・・・聞いた」
恭介「そんな僕の左手でも、形さえ残っていれば紙袋から物を取り出すくらいには出来たんだ。」
さやか「今さらっと自白しましたね」
恭介「日常生活には支障をきたさないらしいし・・・さやかや鹿目さんみたいに
こんな僕でも心配してくれる人がいるって思ったら・・・ 」
恭介「もしかしたら僕が悲観していることは大した事じゃないんじゃないかって・・・
バイオリンが・・・弾けなくなることくらい・・・」ポロポロ・・・
さやか「・・・」
さやか「無理しなくていいよ恭介・・・本当はまだ悲しいんでしょ? 焦らずに傷を癒していこ?
あたしも一緒に祈ってあげるから。恭介の心へ・・・癒しの祈りを」
恭介「ありがとう・・・さやか・・・君は・・・
君のブラにしっかり触れたこんな左手のために・・・祈ってくれるんだね」
恭介「アレ?・・・ちょっとまて・・・会話を戻してみよう・・・」
さやか「うん」
恭介「さやかが仕掛けたって事は・・・
わざわざ縞パンやさやブラの話を持ち出してまで無駄に見苦しく弁解することもなかったんだ」
さやか「そだよ」
さやか「ま・・・まぁ///恭介の趣向は・・・ちゃんと覚えておいてあげるとして 」
さやか(恭介は縞パン好き・・ね・・・///)
恭介「忘れてよ・・///」
さやか「まどかが縞パン履くのは駄目なの?」
恭介「有りだとは思うけど・・・やっぱりさやかの方が似合うんじゃないかな?」
さやか「へ・・・へぇ・・・」
さやか(や、やっぱり・・・あたし、見込みアリ!?動機がかなりアレだけど・・・)
恭介「実は声が聞こえたんだ・・・下着から、さやかと鹿目さんの「声」が」
さやか「は?」
恭介「バイオリンを弾いてるときにもあったんだ・・・」
恭介「人生や演奏で行き詰った時、バイオリンから聞こえてくる「声」に傾ける。
すると自然と道は開いていった」
さやか「それの対比が下着っていうのもすごいね」
恭介「下着だけのさやかと鹿目さんが語りかけてきたんだ」
さやか「それは啓示ではなく妄想」
恭介「はじめはさやかと鹿目さん両方の声に耳を傾けるつもりだった。」
さやか「はぁ・・・」
恭介(わかりやすく言えば・・・どうせ幻想の世界なのだから
さやかと鹿目さん両方を相手してしまおうと言う意味だ)
恭介「でも次第に僕の妄想の世界をさやかが支配していった。」
さやか「妄想だと認め・・・え!?」
恭介「気づいたらさやかの事ばかり考えてた」
さやか「きょきょきょきょ・・・恭介!?」
恭介「そして自然にさやブラを独り占めしたいと行動に出していた」
さやか「最後の最後で台無しだよ!」
恭介「鹿目さんの言われて気づいたことなんだ。
バイオリンを弾けなくなって悲観したとしても、さやかだけは見放さないだろうって」
さやか「もちろんだよ」
恭介「もし間違いを犯していたのなら今、シーツの下は」
さやか「もろちんだよ!!」
恭介「僕に何があっても絶対に助けてくれた親友。それはさやかだけだったんだ」
さやか「・・・」
恭介「それを思い出したら、さやかの事でいっぱいになった。
こんなに素晴らしい友達が心配してくれてるんだ」
恭介「だから・・・僕もいつまでも落ち込んでられないって」
さやか「・・・違うよ・・・」
恭介「入院中は変な気を使わせてゴメンね。これからはもっと前向きに」
さやか「それは違うよ恭介ぇ・・・えっ・・・」ポロ・・・
恭介「さ、さやか!?なぜ泣き出すんだ・・・!?」
さやか「あたしにとっての恭介は・・・友達じゃない・・・」
ポロポロ・・・
さやか「あたしだって恭介に助けられたときもあった・・・
小学校の時、足の挫いたあたしをおんぶしてくれたよね・・・」
さやか「あの時は頼りなかったはずの恭介の背中がとても温かくてとても広く感じて・・・」
さやか「でも・・・きっかけはもっと前・・・」
さやか「幼稚園の頃まだ「きょうすけくん」と「さやかちゃん」と呼び合ってた頃」
さやか「初めて招待してくれたコンクールで恭介の演奏を聞いたとき」
さやか「幼稚園生~小学生バイオリニストにオリジナル曲を弾かせるって言う無茶振りコンクールだったけど」
さやか「「きょうすけくん」が作った「祈り」をテーマにした曲・・・それを聞いた時から今まで」
さやか「それは・・・押し隠そうとすればするほど大きくなるもの・・・はちきれそうになるもの」
恭介(おっぱいかな)
さやか「この世界で・・・他の誰よりも」
さやか「恭介が」
さやか「好き」
恭介「・・・」
さやか「大好き」
恭介「!?」
恭介「・・・」
恭介(今、僕はナニを聞いたんだろう)
恭介(この感動に似た情景を僕は知っている)
恭介(自分が納得のいく演奏が出来たとき、そしてそれが他者にも伝わったとき)
恭介(第一に自分だけでも納得できる演奏を目指していても、他人から認められる事はやっぱり嬉しかった)
恭介(自分以外の誰かからの好意がただ、心地よくて)
恭介(そして、今・・・誰よりも僕のそばに長く居てくれ、心配してくれていた幼馴染が・・・
友達としてではなく、一人の異性として好きだと言ってくれている)
恭介(「大好き」)
恭介(そのシンプルな言葉がただ、嬉しくて心地よくて)
恭介「さ・・・やか・・・」
ウルッ
さやか「きょ・・・恭介!?」
さやか「ちょ、ちょっと恭介!?なんで泣いてんのよ!?
そんなに迷惑だったのかよ!?失礼すぎるでしょ!!」
恭介「違うんださやか・・・感動の波が一気に押し寄せてきたんだ。
今までさやかと積み重ねてきた日々の数だけ、それも累乗効果で・・・
こんなに嬉しいことは他に無いよ・・・」
さやか「嬉・・しい?」
恭介「うん。CDのお土産よりも綺麗な花よりも何よりも嬉しい。
さやか以外の人に言われてもここまで感動する事は出来なかっただろうって。」
さやか(そっか・・・あたし・・・)
恭介「今この瞬間だけを切り取っていつまでも・・・繰り返していたい」
さやか「そ、そこまで感動してくれたんだ・・・」
恭介「でも・・・なんで?君は僕のバイオリンを聞いて好きになったんだろ?
なんで今の僕のことも好きだといってくれるんだい?」
さやか「たしかに・・・きっかけはバイオリンだよ・・・」
さやか「でも、関係ないよ。人を好きになるってそういう事。きっかけはあっても理由なんか無い。
後はその気持ちが大きくなり続けるだけだよ」
恭介(やっぱりおっぱいと似てる)
さやか「だから、何度でも言うよ。あたしは恭介が好き。」
さやか「バイオリンがすべてだったっていう恭介の気持ちも大事にしたい。
だから・・・支えたい。いつまでも一緒にいたい。
それを失って、傷ついて、壊れそうな心を・・・左手を・・・癒したい。」
さやか「大好きだよ。」
恭介「・・・・・・」
恭介「さやか・・・僕は・・・」
恭介「僕も・・・君より前からもっていた感情・・・」
恭介「それを・・・恋愛感情だと言えるかもしれない」
さやか「え?」
恭介「覚えているかい?君は幼稚園の先生が読んでくれた人魚姫の物語で泣き出してしまったんだ。」
さやか「え?え?そ、そんなことあったかな?」
恭介「何故王子様を助けた人魚が報われなかったのか」
恭介「声を失ってまで人間になる覚悟をした人魚姫の最期がなぜ、
「王子様にはすでに婚約者がいたのです」なのか、
なぜ王子様に知られることなく泡にならなければならなかったのか。」
恭介「君はそれを訴えて泣き散らしてた」
さやか「あ、あははははは・・・そんなことしてたんだ・・・あたし・・・は、恥ずかしいね」
恭介「だから僕は考えたんだ。最期は人魚姫が王子様を結ばれるストーリーを。
人魚姫の祈りを知った後・・・王子様が心身ともにたくましいヒーローになって
もう一度だけ同じ時間を繰り返して人魚姫の祈りに応えるストーリーを」
恭介「そうしたイメージからできた曲が初めて君をコンクールに招待した時に聞かせたあの曲だったんだ。」
さやか「え・・・?」
恭介「最初はただ、さやかに・・・「さやかちゃん」に元気になってほしかったんだと思う。」
さやか「きょ・・・恭介・・・それって・・・」
恭介「そうだよ、さやかの言う、きっかけって奴だよ。」
恭介「あの時は・・・恋心よりももっと純粋な気持ちだったと思う。」
恭介「まだ他の男子達と体格の差がでる時期じゃないからね。僕も将来
たくましいヒーローになれると信じていた」
恭介「表ではプロバイオリニスト、裏では仮面をつけて戦う
変身形態ヒーロー。あの頃の男の子なら誰でも憧れる願望を、僕も持っていた」
恭介「さやかを守れると信じていた」
さやか「恭介・・・」ウルッ
恭介「でも、時がたつにつれて自分はバイオリン以外は全然駄目だと思い知らされた。
僕が小さい頃憧れてたヒーローとはまったく違うイメージの自分になっていった」
恭介「それでも、バイオリンだけは全てだったから弾き続けた」
恭介「一方で僕が守りたかったお姫様はどちらかというと王子様のイメージへと成長していったけど」
さやか「恭介?」イラッ
恭介「華奢な僕はさやかに守られてばかりで、いつしかヒーローになるのを諦めて」
恭介「僕の中での意識はさやかをお姫様から同性の親友へと変えてしまったけれども」
さやか「恭介エエエエエエエエエエエ!!」(怒り泣き)
恭介「さやかに異性として好きだと言われて・・・自覚したんだ」
恭介「僕があの時さやかを助けたいって思った気持ちも・・・もしかしたら
あの時から異性としてさやかを好きだったんじゃないかって」
恭介「再びさやかは思い出させてくれた。下着のトラップが卑怯かつ絶妙すぎた。
ブラジャーを独り占めしたいと思ったのは・・・多分そういう事だろう」
恭介「さやかを女性として意識している。それも、独り占めしたいほどに」
恭介「僕はさやかが好きだ」
さやか「きょ・・・恭介ええ・・・」ポロポロ(うれし泣き)
恭介「そうやっていろいろな表情を見せてくれてる所が好きだ。
お姫様だったり。王子様だったりする所が。」
恭介「違う。思い出したと言った方が良い。」
恭介「さやかの事がずっと好きだった。」
恭介「さやかが僕のことを好きになってくれた時よりも前から」
恭介「僕も大好きだよ」
さやか「恭介・・・・きょうすけぇ・・・」
ギュッ
恭介「10年近く気づけなくて・・・ごめんね、「さやかちゃん」。」
さやか「ううん。いいの。あだし・・・こんなに幸せでいいのかな?「きょうすけくん」・・・」
恭介「僕も今最高に嬉しい。バイオリンよりも確かなこと。今はっきりわかった」
恭介「自分を粗末にしない。無力だと思わない。バイオリンが弾けなくなったこの体でも・・・
さやかだけは絶対守ってみせる。幸せにしてみせる。その方法がまだ漠然としてるけど」
さやか(あたし・・・ただ伝えるだけでよかったんだ)
さやか(恭介が一番喜ぶこと・・・CDを持ってきたり、魔法少女として契約して、
腕を治してあげることだと思っていた。恭介本人に確認をとったわけでもないのに、
そう思い込んでいた)
さやか(でも違った。恭介はあたしの気持ちが嬉しいといってくれた。何より勝ると言ってくれた)
さやか(だから・・・はっきり解ったんだ。仮に仁美に先を越されて恭介が仁美を受け入れたとしても、
それはあたしが嫌われた訳じゃないって)
さやか(真剣に自分を愛してくれる人のその気持ちが嬉しいと)
さやか(ちょっとえっちな事にも興味もった恭介だけど、
素直な性格の恭介は自分を真剣に愛してくれる人の気持ちに感動してくれる人なんだと)
さやか(そりゃ、恭介だって誰でもいいって訳じゃない。
「ただ、なんとなく格好よさそうな人だから」という理由で恭介に告白した女の子も何人かいた。
恭介はそのなんとなくを読み取ってそういう人たちを断ってきたのも知っている)
さやか(仁美は違ってた。お嬢様教育を受けてきた仁美にとって、
授業をサボった事が家の人にバレたら家族会議にもなるだろう)
さやか(その仁美が後で叱られることなどお構い無しに告白すると行動したんだ。
しかも、まどかが先に告白したという思い込みの前提で)
さやか(まどかが先に恭介とくっついてたとしてもフラれる覚悟で伝えに来たんだ。
仁美は仁美で真剣に恭介の事を考えている)
さやか(ここまで恭介と通じ合った今でも、先に告白されてたら仁美に取られちゃってたと思う)
さやか(ありがとね仁美・・・
あたし、仁美のおかげで素直になれた。自分の本当の願いに気づけた)
さやか(契約する前に仁美の気持ちに気付けて良かった)
さやか(・・・・・・さっきから仁美仁美って繰り返してるけど・・・)
さやか「仁美はどこだあああああああああああああああああああああああああああ!?」ハッ
恭介「さ・・・さやか!?いきなりどうしたんだ?」
さやか「仁美!!仁美が病院に来てるはずなんだ!いくらあたしの駄馬が速くても
まだ仁美が来てないのは遅すぎる!」
さやか「恭介、仁美に会わなかった!?」
恭介「(駄馬?)ううん。見てないよ。志筑さん学校休んでまで検査を受けに来たのかい?」
さやか「恭介に会いに来る予定だったんだよ。な・・・なにか事件に巻き込まれたんじゃ・・・」
恭介(志筑さんが僕に?何の用だろう?)
恭介「大げさだなさやか。
志筑さんも予定がつかなくなったんだろう。というか授業中だよね?まだ」
さやか「違うの!絶対仁美はここにくる理由があったの。
今恭介にそれを話すわけにはいけないけど・・・あたしにはわかるの!」
さやか「も・・・もしかして・・・恭介、ちょとごめん電話かけさせてもらうよ」
~巴部屋~
マミ「あら・・・美樹さんから電話だわ」
マミ「もしもし?」
さやか「唐突だけどマミさん!今すぐ聞きたいことがあるんですけど・・・」
さやか「恋愛で悩みを抱える女の子って、(魔女に)狙われやすくなりますか!?」
マミ「え・・・?」
ほむら「・・・!?」
さやか「い、今病室で・・・きょ、恭介と一緒に居るんですけど・・・仁美が居ないの・・・
もしかして巻き込まれたんじゃないかって・・・」
マミ「お、落ち着いて美樹さん。まるで状況がわからないけわ・・・
だけど答えると恋愛だけじゃなくて悩みを抱える人々は皆、魔女の口付けを受けやすくなる」
さやか「やっぱり!!だとしたら絶対仁美が巻き込まれてるよ!お願いマミさん!ひ、仁美を助けてよ!」
マミ「だ、だから落ち着きなさい。こちらからは状況がつかめないのよ!
だってまだ授業中でしょ?その・・・彼の病室になぜあなたとその仁美さんって子が
一緒に居なくちゃいけないのか状況がまったく掴めないのよ!」
ほむら「さやか、聞こえるかしら。ほむらよ」
さやか「ほむら!聞いてたんだね!ええっと・・・状況ってのがちょっと説明困難で・・・」
ほむら「いいわ。だいたい予測できるもの。
あなたと志筑仁美になにかあって、授業をサボってでもあなた達二人は上条恭介に
愛の告白をする予定になった。そういう事でしょ?」
マミ「あああああああ、愛の告白~!?///」ポッ
さやか「え・・・?な、なんでほむらがそこまで知ってるのよ・・・
あたしの事はともかく・・・仁美の気持ちまで・・・」
ほむら「あなたも告白する決心をつけて病室に来たのはいいけど、
いつまで経っても志筑仁美が来ないから魔女に魅入られたのではないかという事ね」
さやか「うん・・・大体あってるよ。経緯を説明したら駄馬が出てきたりでちょっとややこしいんだけどね・・・」
ほむら(駄馬?それよりも・・・美樹さやかがこれ程早く覚悟を決めたループは初めてじゃないかしら。
バイオリン仮面の影響で皆、性の方向にアグレッシブになってるの?)
ほむら「だったら、あなたの考えすぎよ。あなたが告白した瞬間を実は聞いてて敵わないと思って
身を引いたんじゃないかしら?」
さやか「す、少なくとも仁美にはあたしと同時に病室に到着するくらいの余裕はあったんだ!
あたしの方が後から追いかけたから。」
ほむら「なら何故あなたが先に病室に着けるの?」
さやか「だから、それは駄馬を・・・」
ほむら「いいわ、聞かないであげる。その代わり私が何故ここまで事情通なのかも
今はまだ聞かないでくれると助かるわ。」
さやか「わかった。約束するよ!だから・・・お願いほむら・・・仁美を探して!」
ほむら「・・・・・」
ほむら「いいかしらさやか。怒らずに聞いて欲しいの。」
ほむら「志筑仁美を見捨てることも出来るのよ。」
さやか「!?」
ほむら「さっきも言ったように、何故私が事情通なのかは省いて聞きなさい」
さやか「・・・・う、うん」
ほむら「志筑仁美にはあなたとはまた違った「空気の読めなさ」があるわ。
「したたかさ」と言い換えても過言ではない程の」
さやか「・・・具体的には?」
ほむら「あなたがバレンタインの日に上条恭介に告白するつもりで
チョコを持って呼び出したりする。すると志筑仁美は偶然を装って近づいてきてこんなことを言うでしょう」
ほむら「「まぁ!上条君、さやかさん、奇遇ですわね。こんなところでお会いできるなんて、感激ですわ。
あ、そうだわたくし、上条君にお渡しする物があったの~」と」
さやか「・・・」
さやか「具体的すぎィ!」
さやか「なんでアンタがあたし以上に仁美の事を知ってるのか・・・は聞かない約束だったね。
続けて」
ほむら「今回あなたと上条恭介が早めにくっついたのはいい傾向よ。でもね・・・」
ほむら「それで志筑仁美が諦めると思う?」
さやか「え・・・」
ほむら「もちろん、あなたと上条恭介の絆を疑うわけじゃないわ」
ほむら「でも、あなただってこの先何かに悩んで落ち込んで、彼に話しかけるのも億劫になる
事があるかもしれない」
さやか「ありえないって!!」
ほむら「そんな所を志筑仁美に狙われたら?
あなたが彼と喧嘩したら「さやかさん以外の誰かに取られるくらいなら私が!」
っていういざという時の行動力が彼女にはあるのよ」
さやか「行動力は今回の件で身に染みてわかったけど・・・」
ほむら「それに魔女に襲われてるというのもあなたの憶測に過ぎないわ」
ほむら「私は他の魔法少女に巴さんが狙われる危険性もあるから
ここを出来れば離れたくないともあなたに説明している」
ほむら「だから、仮にここを動かないで志筑仁美が魔女に
襲われたとしたとしてもあなたに非なんか無いわ」
さやか「え・・・?」
ほむら「なんならこの電話自体聞かなかったことにしてあげてもいい」
さやか「ちょ・・・ちょっとほむら!? ナニ言ってるのさ!?」
ほむら「自分にとっての幸せが何か、もう一度考えて・・・」
さやか「だからって!!仁美を犠牲にするのは間違ってる!!
ほむら!!あんた・・あんたやっぱり・・・」
マミ「あ・・・暁美さん・・・?あ・・・あなたの事、
少しは信用できる相手だと思ったけど・・・その考え方は・・・」
ほむら「・・・ハッ!?」
ほむら「ごめんなさい。ちょっと神経を張りすぎていたみたい」
マミさやか「・・・」
ほむら「忘れて」
さやか「ほむら・・・?」
ほむら「忘れて。私が間違ったことを言ったわ。
でも志筑仁美では無く、魔女か使い魔の反応を探しに行く。これでいいかしら」
さやか「そ、それでいいよ。魔女も使い魔もいないんなら仁美が巻き込まれたって事は無いだろうし・・・」
ほむら「じゃあ家を空けるわ。マミ・・・少しの間だけ一人になるけど、いいかしら?」
マミ「・・・・え・・ええ。佐倉さんだって、私が戦線離脱したって情報をすぐ知るとは
限らないから・・・大丈夫だとは思うけど・・・」
マミ「何より・・・あんな別れ方しちゃったけど・・・彼女が私に危害を加えるような子では無いと・・
今でも信じていたいの」
ほむら「さやか、あなたは彼のそばに居てあげて。私一人で魔力反応がないか探ってみるわ」
さやか「い、いや。あたしも探すよ!仁美に何かあったら絶対後悔するから!」
ほむら「そう・・・なら無茶は絶対しないで。結界や使い魔を見つけたらまず私に連絡して。
そして何より・・・アイツに言い寄られても契約しては駄目よ」
ほむら「あなた自身のためにも・・・彼のためにもならないから」
さやか「う・・・うん。解ってるよ。じゃ、切るよ」
ピッ
ほむら「・・・」
マミ「暁美さん・・・」
ほむら「ごめんなさい・・・私の事、また少し疑い始めてるかしら?」
マミ「今はいいわ・・・早く、魔女が居ないか探しに行ってあげて」
ほむら「ええ・・・」
ほむら(・・・今回は久しぶりに協力を得られそうだったからつい緩んでしまったわ・・・)
ほむら(まどかを救うために・・・別の時間軸で何回もまどか以外の誰かを犠牲にしてきたこと・・・
それを繰り返すうちに何も感じなくなって・・・他人にもその考え方を押し付けてしまった)
ほむら(私と違って・・・この時間軸の彼女達には次など無いのに・・・
愛する知人を失ってしまえば、それまでなのに・・・)
ほむら(バイオリン仮面・・・彼がもし私と同じ「繰り返している者」ならば
私の気の緩みや苦しみを理解してくれるのだろうか・・・?)
ほむら(あなたは一体・・・何度繰り返したの?)
(着信音)
ピッ
ほむら「まどか!?」
まどか「びょ、病院の帰り道で仁美ちゃんと出会ったの!
わたし仁美ちゃんに話があったからついていったの。病院へ向かうものだと思ってたから・・・」
まどか「そしたら全然違う方向に行っちゃって・・・「どこ行くつもりなの!?」って聞いたら
「ここよりももっともっと素晴らしい場所ですわ」って・・・うつろな目で言うの・・・」
まどか「閉め切った工場に、同じ様な目の人たちがたくさん居て・・・
やっぱりおかしいと思って仁美ちゃんに問いつめたら・・・
仁美ちゃんの首筋に・・・魔女の口付けを見つけたの・・・」
ほむら「!!」
まどか「おねがいほむらちゃん・・・仁美ちゃんを・・・助けて!!」
ほむら「ええ!わかったわ。まどか、深追いしないで、
あなたはいざというとき自分だけでも助かることを考えて!」ピッ
マミ「・・・・魔女がいたの?」
ほむら「ええ、それも志筑仁美が魅入られてるみたい」
マミ「!!」
ほむら「今回は確実に私のミスだわ。私がもっと早くさやかの言い分を聞いてれば、
こんな事には・・・!」
マミ「は、早くいってあげて!せっかく美樹さんが幸せを掴もうとしてるのに、
間違いが起これば美樹さん、絶対に自分の責任だと背負い込んでしまうわ!」
ほむら「まどかも志筑仁美も絶対助ける。それでさっきの失言を忘れてくれるかしら?」
マミ「・・・解ったわ。
くれぐれも焦りも油断もしないで・・・そしてあなたも絶対無事でいて。」
ほむら「ええ」
ガチャッ
ダダダダダダ・・・・
ほむら「まどかッ!!」
マミ「・・・」
~巴部屋を覗ける場所~
赤い髪の少女「イレギュラーとやらがマミん家から出て行ったね。
マミとサシになるなら今がチャンスだ」
赤い髪の少女「正義感の塊だったアンタが何故そんな怪しいやつと一緒にいるか、聞かせてもらうよ」
赤い髪の少女「腑抜けた理由を言いやがったら・・・今度こそ・・・!」
赤い髪の少女「巴マミとサシになるなら今だね。」
キュゥべえ「佐倉杏子(さくらきょうこ)・・・
本当にマミと事を構える気かい?かつて君達は師弟関係だったろう?」
杏子「場合によってはそうなるね。っつか、お前がけしかけたんじゃねぇか。
あたしはまだマミを潰しちまうとは一言も言ってないぜ?」
キュゥべえ「確かに、マミはあの二人のイレギュラーを信用しきっている。
加えてマミは魔女との戦いで精神的傷害を受けて一時離脱」
キュゥべえ「見滝原は現状暁美ほむらとバイオリン仮面という
二人の得体の知れない変わり者が統治する事態となった」
キュゥべえ「だから気に入らなければ好きにしていい。そう示唆したのは僕だけどね。」
杏子「バイオリン仮面ね、魔法少女でもないのに魔法が使える厄介なヤツなんだろ?
何者なんだい?そいつ」
キュゥべえ「魔法使いさ」
杏子「まんまじゃねーか!だからその魔法使いって一体なんの事だっての!?」
キュゥべえ「魔法使いは魔法使いさ。それ以上の事実は無いし詳細は口止めされている」
杏子「誰にだよ?」
キュゥべえ「言えない。2つとも知らないんじゃない。言う事を禁じられている」
キュゥべえ「今僕たちはバイオリン仮面の正体を調査中だ。
なにか解れば君達にも魔法使いが何か教えるつもりだ」
杏子「ふーん・・・ま、アタシはマミほどアンタの事好きじゃないからね。
アンタが隠し事してようがしてまいがどうでもいいよ」
杏子「それよりマミだ。新しい仲間とやらはマミの家にお泊りしちまうほど信用できるヤツなのかい?」
杏子「魔女だけ叩けばいいっていうアタシのやり方を否定したくせに、自分は
寂しいからって得体の知れないやつに心を許しちまうなんてねぇ・・・」
杏子「もし腑抜けた理由で暁美ほむらってヤツとつるんでるならあたしはもう容赦しない。
正義の魔法少女なんて甘い理想だったって認めさせてアンタを潰してやるさ。」
杏子「それが・・・かつて憧れたアンタに対する、せめてものけじめだからさ・・・!!」
~病院~
さやか「恭介、ゴメン!仁美がもしかしたら大変な事件に巻き込まれてるかもしれないんだ!
あたし、探してくる!」
恭介「うん。友情を大事にするさやかも好きだよ。だから待てるよ、さやかが戻ってくるまで。」
さやか「///・・・バ・・・バカッ!!こんな時にノロけてる場合じゃないのよ!
本当に仁美の命が危ないかもしれないんだよ!」
ガチャッ
さやか「仁美・・・!!」
ドンッ
さやか「きゃあっ!す・・・すいません大丈夫ですか?あ、あたし急いでるんで・・・」
サングラスのイケメン「さやか!どうしてそんなに慌ててるんだ?
恭介とはどうなったんだ?」
さやか「・・・?え?なんであたしの名前を?どこかでお会いしました?」
サングラスのイケメン「あ、そっか。変身前の姿で会うのは初めてだよね。
バイオリン仮面だよ。素顔はまだ秘密だけど、これが変身前なのさ。」
さやか「・・・」
チラッチラッ
(サングラスのスーツ着た長身イケメン)
(爽やかな銀髪ストレートヘアー)
(爽やかな笑顔・・・20代くらい?)
さやか「ええええええええええええええええええええ!?」
さやか「あああああああ、あなたが・・・バイオリン仮面なの?」
サングラスのイケメン「そうだよ。イメージ違ったかな?」
さやか「違いすぎるわよ!なんであんな変態からこんな爽やかな大人のお兄さんが出てくるのよ!!」ドキドキ
サングラスのイケメン「バイオリン仮面は変態的潜在能力を引き出すヒーローでもあるからね。
その力の源はあのマスクに隠されてるのさ。」
さやか「そ、それよりも・・・バ、バイオリン仮面!仁美が・・仁美が大変かもしれないのよ!」
モブ患者「バイオリン仮面?」ヒソヒソ
看護士「あの娘・・・患者じゃないみたいだけど・・・これから入院するのかしら・・・」ヒソヒソ
さやか「あっ・・・(恥」
サングラスのイケメン「変身前の僕をバイオリン仮面と呼ぶのはいただけないね。」
サングラスのイケメン「本名も知られたくない。なにか偽名を考えなくては・・・
「竜崎」みたいにさりげないかっこよさがある偽名・・・」
サングラスのイケメン「そうだ!氷室!変身前の僕のことはとりあえず、「氷室」って呼んでよ!」
さやか「氷室・・・さん?」ドキドキ
氷室「なんだいさやか。バイオリン仮面の時みたいに呼び捨てでもいいのに。もしかして
大人の男性って意識しちゃったかな?相変わらず可愛いな~さやかは」ニヤニヤ
さやか「なっ・・・!!してないわよ!相変わらずってまた昔から知ってるような口聞いて!
あ・・あたしを口説こうと思っても無駄だからね!ついさっき恭介が「大好き」だって言ってくれたもん!
あたしも大好きだからぜったいぜったいぜったい離れ離れにならないもん!!」
氷室「そ、それは本当かいさやか?そうか。恭介からOKの返事をもらえたんだね。
おめでとうさやか。そして・・・ありがとう。」
さやか「なんでアンタがお礼を言うのよ・・・」
氷室「さて、偽名も決まったし・・・属性チェンジしますか。」
さやか「属性チェンジ?なにそれ」
氷室「ただのイメチェンさ。そこまで気にする必要は無い。」ブゥーン・・・
さやか「わっ・・・髪の色が・・水色に変わった?」
さやか「こ・・・これも魔法の力なの?」
氷室「どちらかというと技術だね。氷のイメージから水色にしてみたけど、似合うかい?」
さやか「あたしと髪の色・・お・・お揃いになったね・・・///」ドキドキ
氷室「そ・・・そうだね///」ドキドキ
さやか「ってほんとバカーッ!!なんであたし恭介と結ばれた直後に
他の男の人にときめいてんのよおおおおおおおお!?」ガクガク
さやか「っつーかそれどころじゃないのよ氷室さん!
仁美が・・・仁美が大変なのよ!氷室さんも仁美を探してよ!
あ・・あんた魔法少女と同じ力があるんでしょ!!」
氷室「残念だけど、それはできない」
さやか「え・・・?どういう事・・?」
氷室「言ったはずだよ。僕がバイオリン仮面に変身できるのは
一日一回だけだとね。今日は魔女退治じゃなくて青春パートで変身してしまった」
氷室「しかも魔法少女より不便なのは、変身を解くと魔女も使い魔もキュゥべえも認識できなくなる」
氷室「素質を持った少女以下の存在になるのさ」
さやか「そ・・・そうだったんだ・・・」
氷室「だから今の状態の僕が魔女探索にいけば足を引っ張るだけさ。
むしろ結界に取り込まれる可能性のほうが高い」
さやか「じゃ、じゃあやっぱり、あたしだけでも行くよ!
仁美が心配なんだ!!」
氷室「無理しないで!仁美さんが口付けに捕らわれてたら、
絶対自分では追わずにほむらさんに連絡するんだ!」
さやか「わかってるよ!それじゃあね。氷室さん!今日は色々ありがとう!」ダッ
氷室「・・・」
氷室「友人を大切にするところも・・・相変わらずだな・・・」
氷室「さてと・・・」
~病室~
恭介「さやかにお礼をしてあげたいけど、今の僕に何が出来るかな?」
恭介「バイオリンが弾けない僕だけど、作曲くらいはできるから・・・」
恭介「でも、パソコンに打ち込んだ音声を聞かせるだけじゃ、やっぱり味気ないよね」
恭介「・・・・あれだけさやかが心配してくれたのに・・・僕はまだ
腕が治ることを望んでしまっているのかな・・・」
ガチャッ
氷室「上条・・・恭介君だね。ちょっと入らせてもらうよ」
恭介「!?ど、どちら様ですか?」
恭介「そ、その髪の色・・・さやかの親戚の方ですか?」
氷室「いや、さやかの知り合いであることは間違いないけど、どちらかといえば君に近い」
恭介「え?」
氷室「僕の名前は氷室。君と同じバイオリニストさ」
恭介「そ、そうなんですか・・・どちらかと言えばロックミュージシャンみたいな
雰囲気ですけど・・・ボーカリストだったり、ギタリストだったり。」
恭介「その氷室さんが・・・どうして僕のお見舞いに?」
氷室「・・・君の事を昔から知ってるだけさ。君がバイオリンを弾き始めた頃から、ずっと傍に居た。」
恭介「え・・・!?」
氷室「事故の件・・・残念だったね・・・」
恭介「・・・」
恭介「でも・・・もう良いんです。今の僕には、ずっと僕のことを想ってくれる
大切な人が出来ましたから。」
恭介「さやかが傍に居てくれる。今はその喜びのほうが大きいです。それは・・・
残念だ、無念だって気持ちはまだ有りますけど・・・
さやかがいれば・・・いつかは癒える傷ですから・・・」
氷室「・・・そう悲観することも無いさ。バイオリンや音楽に関してもね。」
恭介「・・・?」
氷室「・・・・」
スッ(バイオリン)
恭介「(ズキッ)・・・・それが・・・あなたのバイオリン・・・ですか?」
氷室「やっぱりまだ、バイオリンを見るのは心が痛むかい?」
恭介「い・・・いえ・・・大丈夫です。」
氷室「君にとって大変な時期だろうけど、まずは僕の演奏を聞いて欲しい。」
氷室「曲目は・・・「人魚姫の祈り」」
恭介「!!そ、その曲名は・・・!!」
氷室「・・・」
♪~♪~♪
♪~♪~♪
恭介「ま・・・間違いない・・・この曲は・・・」
♪~♪~♪
恭介「僕がコンクールでさやかに聞かせてあげた・・・あの曲だ・・・」
♪~♪~♪
恭介「で、でもなんでこんな悲しいアレンジにしたんだろう・・・本来この曲は・・・」
♪~♪~♪
恭介「す・・・すごいよ氷室さん!な、なんて素晴らしい演奏なんだ!
まるで僕が目指してた未来の自分・・・理想像そのものだよ!」
氷室「・・・気に入ってくれたようだね。」
恭介「でも、なんであなたがこの曲を知ってるんです?
ずっと僕のそばに居た・・・ってことはまさかあなたの正体は・・・」
氷室「・・・」
恭介「あのコンクール会場に居た審査員の方かなにかですか!?」
氷室「・・・」
氷室「まぁ、コンクールの関係者ではあったけどね。」
恭介「すごいや!氷室さんがあのころ僕がさやかに聞かせるためだけに作った
拙い曲を完成品にしてくれたんだ!」
恭介「でも・・・なんで悲しい曲にしちゃったんですか?
この曲は人魚姫と王子様が結ばれるストーリーをイメージしてたのに・・・
これじゃまるで・・・」
氷室「そう。失恋の曲だ」
氷室「だからこの曲のままさやかに聞かせてもあの時の曲だとは気付かなかったよ」
恭介「それは・・・そうでしょうね」
氷室「だけど、君なら・・・この曲を本当の「祈り」に変えることが出来る」
恭介「・・・どういう事です?」
氷室「僕は・・・大切な人を失ったんだ。
君にとってのさやかを・・・正確には・・・その想いに気付きもせず
お互いすれ違って・・・最後はその人は何も言わずにこの世を去った」
恭介「・・・・そんなことが・・・」
氷室「大切な人を大切だと気付けず・・・傷つけて、追い詰めて・・・
だから・・・僕はこの曲を悲しいものにしか出来なかった。」
恭介「・・・」
氷室「でも、君なら・・・この曲を完成させられる!!
避けようの無い嘆きも悲しみも・・・君なら覆せる」
恭介「え・・・?」
氷室「だから僕と結託して、作曲家になってよ!」
恭介「えっ・・・?いや・・その・・いきなりそんなこと言われても・・・」
氷室「もちろん、これは選択肢の一つに過ぎない」
氷室「君は望めば何者にだってなれる。なぜなら僕よりも「若さ」があるからね」
氷室「さっき君は僕の事を「ロックミュージシャン」っぽいといったけど、なんなら君が目指してみるのもいい。」
氷室「知っているかい?ボーカリストとしての発声練習はバイオリンに通じるところがあるんだ。」
氷室「だから中沢あたりとボーイズバンドを組んでみるのもいいさ」
氷室「子供のころ憧れたたくましいヒーローを目指して体を鍛えるのもいいだろう
14歳・・・いや、20歳から鍛えなおしても遅くは無いほどだし」
氷室「というより、君は今まで14歳にしては生き急ぎすぎていた。そうは思わないか?」
恭介「そうですね・・・さやかが好きだといってくれて・・・少し落ち着いて
視野を見渡せば・・・確かにそうだったかもしれません。」
恭介「僕にはまだまだ無数の未来が残っている・・・そう思うのも悪くないかもしれませんね」
氷室「そうだ。君の未来は何通りも存在するんだ」
氷室「男だからといって働かなくちゃいけないというのも固定観念だ。
鹿目さんのお父さんみたいに専業主夫を目指すのも悪くない」
氷室「さやかが働く場合きっと、声優とか似合うと思うんだ」
恭介「それはちょっと同感ですね」
氷室「それでももし、バイオリンを弾きたくなったのなら、僕を頼って欲しい。」
恭介「え・・・?」
氷室「君がこの先作るさやかとの素晴らしい未来、素晴らしい楽曲を僕は弾いてみたい」
氷室「僕が君の・・・腕になるよ」
恭介「・・・!?」
恭介「なぜ・・・なぜあなたは見ず知らずの僕に・・・そんな事を言ってくれるんです?」
氷室「見ず知らずじゃないさ。言っただろ?君を昔から知っていると」
氷室「君の未来に賭けている、きまぐれな投資家だと思ってくれていいさ」
氷室「君は何者にだってなれる。音楽だって・・・諦める必要なんて無い」
恭介「ひ・・・氷室さん・・ううっ・・」ポロッ
恭介「あ・・・すいません。でも・・・涙が止まらないや・・・
今日は・・・泣いてばっかりだな・・・失った物だってあったはずなのに・・・」
恭介「新しく得たものが・・・多すぎて・・・感動がとまらない・・・
でも泣き止まなきゃ・・・男なのに」
氷室「いや、君はそれでいい。泣きたいときは泣けばいい。」
氷室「自分を大切に想ってくれる人の気持ちにやっと気付いたときに・・・
何も出来なかった自分が情けなさ過ぎて・・・涙さえ出なかった僕のような人間にはなっちゃいけない」
恭介「ひ・・・氷室さん?」
氷室「いいか恭介。君だけは絶対・・・「僕」になってはいけない」
恭介「氷室さん・・・ちょっと意味が解らないですけど・・・
僕なりに今の発言がどういう意味か考えてみます」
恭介「さっそくだけど氷室さん、少し頼まれてくれませんか?」
氷室「うむ。なんだい?」
~廃工場~
仁美「さぁ、悟りを開くための、神聖な儀式が始まりますわ~」
モブ「・・・」
モブ「おぉぉおおお・・・」
ゾロゾロ・・・
危険薬品「小五」+危険薬品「ロリ」 ドボドボ・・・
まどか「やめて!悟りなんて開けないよ!仁美ちゃん!危ないからやめて!
仁美ちゃんのために・・・さやかちゃん達が心配してくれてるのに!!」
仁美「私のため・・・?」ピクッ
仁美「私のためってどういう事ですか!この泥棒猫がッ!!」
ボグッ(腹パン)
まどか「ひ・・・仁美ちゃぁん・・・!?」ピクピク
仁美「まどかさん・・・私、まどかさんやさやかさんに秘密にしていたことがございますのよ・・・」
仁美「おそらく、叶わないであろう恋・・・私、上条恭介君の事をお慕いしてしまいましたの・・・」
まどか「ゴホッ・・・ゲホッ・・・ひ・・・仁美ちゃん?」
仁美「私、諦めるつもりでいましたのに・・・さやかさんがいつまで経っても自分の気持ちと向き合わないから、
恭介君がいつか・・・別の誰かに取られるんじゃないかと心配になりましたの」
仁美「だから私決めましたの。さやかさん以外の誰かに取られるくらいなら、
私が上条君を捕まえておこうかと・・・それがさやかさんや上条君本人のためにならなくても・・・
他の誰かにさらわれてしまうより・・・マシでしたから・・・」
仁美「ですけど、まどかさん!あなたはそんな私の悩みも知らずに上条君を取ってしまった!
・・・本当に・・・困った子猫ちゃんですこと!」
まどか「ひ・・・仁美ちゃん・・・それ・・・違うよ・・・
わたしはただ、お見舞いに行っただけだよ・・・」
仁美「もう、よろしいですわ。悟りへの回廊は今開かれました。
あの聖なる液体が混じりあい、充満するとき・・・私たちは悩みなど存在しない世界へと導かれるのですから」
まどか「やめて・・・仁美ちゃん・・・逃げて・・・
ほむらちゃん・・・マミさん・・・さやかちゃん・・・」
まどか「助けて・・・」
パキィィィィン!!
仁美「!?」
ほむら「・・・・まどかッ!!」
まどか「ほ・・・ほむらちゃ・・」
モブ「・・・儀式が・・・」
モブ「・・・窓ガラスを・・・割りやがった・・・」
モブ「許さない」
仁美「許さない」
モブ「許さない許さない許さない許さない許さない」
ザッザッザッ・・・・
ほむら「まどかッ!!」
ギュッ
まどか「ほ・・・ほむらちゃん・・来てくれたんだね・・・」ガクッ
ほむら「!?まどか・・・?まさか・・・気体を吸ってしまったの!?まどかッ!?」
ほむら「やむを得ないわね・・・」ちゅっ
ちゅうううううううううううううううううう
ズキューン
ほむら「ぷはっ」
まどか「!?ウェッ!ウェッ!」ゲホゲホ
まどか「ほ・・・ほむらちゃん?今・・・ナニしたの?」
ほむら「良かった・・意識を取り戻してくれたのね・・・」
ほむら「早く逃げなさい!また気絶されると庇いきれないわ。
口付けを受けた人たちは私が引き付けるから!」
まどか「ほ・・・ほむらちゃん、仁美ちゃんを、仁美ちゃんを助けて!」
ほむら「ええ、解ってるわ。約束したもの。必ず助ける!だから早く逃げて!」
まどか「うん!」ダッ
ほむら「さてと・・・」
ほむら「そこよっ!!」ドンッ(ハンドガン)
???「アハハハ・・・アハハハ・・・」
ハコの魔女「アハハハ!アハ、アハッ・・!!」
しゅううううううう
仁美「・・・」
モブ「・・・」
ドサッドサッドサッ
ほむら「口付けは解けたわね・・・後は・・・」
ハコの魔女「キャハハハ・・・!アハハハハ!」
ほむら「逃がさないわよ!・・・ハッ?」
ほむら「・・・・・」
まどか(仁美ちゃんを助けて!)
さやか(だからって、仁美を犠牲にするのは間違ってる!)
マミ(暁美さん・・・その考え方は・・・)
ほむら「・・・・・」
(仁美をお姫様抱っこ)
ほむら「・・・逃げられたわね・・・」
~屋外~
まどか「ほむらちゃん!ひ、仁美ちゃんも一緒だ!」
ほむら「まどか・・・」
まどか「仁美ちゃん・・・仁美ちゃんは、無事なの?」
ほむら「ええ。気絶してるだけ、先程のあなたのように、呼吸してないわけでもないわ」
まどか「えっ!?わ、わたし呼吸してなかったの!?」
ほむら「してなかったわ。有害な気体を少し奥のほうまで吸い込んだみたいで・・・」
まどか「じゃあわたし・・・どうやって意識を・・・や、やっぱりほむらちゃん・・・
あの唇の感触は・・・」
ほむら「///!!ややや・・・やむを得なかったよ!あ、あなたが戸惑うと解っていたけれど・・・
その・・・あの・・・人工呼吸を少々・・・ほ、本当に危ない状態だったんだから!」
まどか「じ・・・じんこうこきゅ・・あ・・・あぅ・・」ぷしゅ~
ほむら「ごごごご・・ごめんなさい!結果的に・・・初めてを奪ってしまって・・・
ま、まどかだって困惑するよね?初めてが・・・お、女の子同士なんて・・・」
まどか「う、ううん・・・だだだだ・・・大丈夫。お、女の子同士だから・・ノーカンだよ!
ほほほ・・ほむらちゃんはわたしを助けようとしてくれただけだよ!
ほむらちゃんがわたしに気を使う必要なんて無いの!だから、お互い気にしないでいようよ!」
ほむら「ま・・・まどか・・・」
ほむら「///・・・それより、さやかに連絡しなさい。志筑さんを探してあてもなく
走り回ってるはずだから。」
まどか「う・・・うん。」
さやか「まどか!ほむら!仁美!」
ほむら「さやか・・・」
まどか「さやかちゃん!」
ほむら「ごめんなさい、さやか・・・志筑さんは助けられたけど、魔女は逃がしてしまったわ。」
さやか「・・・・・」
ほむら「あなたの予想通り、志筑さんが狙われていた・・にも関わらず私の対処が遅れたのは・・・」
ギュッ
ほむら「さ・・やか・・・?」
さやか「それでいいんだよ・・・魔女が倒せたかどうかよりも・・・
ありがとう・・・ありがとうほむら・・・仁美を、助けてくれたんだね・・・」
まどか「ありがとう・・・ほむらちゃん。」
ガバッ
ほむら「・・・まどか・・・さやか・・・」ギュッ
~病室~
氷室「うん。素晴らしいサプライズプレゼントだと思うよ!
きっとさやかも喜ぶよ!」
恭介「本当は自分で演奏してあげたかったんだけどね・・・」
氷室「いつかは聞かせられるさ。君の腕は将来きっと治るから。」
恭介「僕の腕が・・・治る?」
氷室「今の医学では無理でも絶対に治るときが来る。10年後の未来かもしれない。
でもいいじゃないか。さやか達に聞かせたいだけなら、それでも」
恭介「さやか・・・達?」
氷室「僕は10年後君とさやかとの間に設ける子供の事も含めて言ったんだよ。
いいじゃないか、24歳、楽聖です。きっと君ならいいお父さんに・・・」
恭介「ひっ・・・氷室さん!ナニ言ってるんですか!!そそそ、そんな
子供だなんて、結婚なんて!ま、まだ考えるのは早すぎますよ!!」
氷室「予想通りの反応いや、知っている反応というべきかな。
若いね~。本当はさやかをしっかり女性として意識してるくせに。」
氷室「さて、僕はここで失礼させてもらうよ。サプライズの打ち合わせはまた後日連絡しよう。」
ガサッ
恭介「おい、ちょっと待て」
恭介「なんで下着が入った紙袋を持って帰ろうとしてるんだ?」
氷室「・・・欲しいからね。」
恭介「欲しいかどうかで言われたら僕だって欲しいよ。」
氷室「溜まった穢れを取り除くのに必要なんだ。」
恭介「溜まってるかどうかで言われたら僕だって溜まってるよ。」
氷室「死活問題なんだ」
恭介「死ぬか生きるかで言われたら・・・僕だってイきたいよ?」
氷室「もらっていくよ。多分さやかも盗られることは想定内だと思ってるし。」
恭介「ふざけるな」
氷室「僕から下着を奪い返すとして、君の足は今動くかい?」
恭介「それは・・・まだ動かないけど・・・」
氷室「なら持ってイっても抵抗できないよね?」
恭介「せめて・・・せめてさやかのブラジャーは置いてってよ!」
氷室「いや、そこは一番重要だろ。」
氷室恭介「「だって縞パンが無いんだから!」」
恭介「え・・・!?」
氷室「僕も縞パンが大好きだ。でも叶わないならせめてさやブラだけは奪取する。」
氷室「君も言ったじゃないか。新たに得るものと失うものがあるって。
君は今さやブラを失ったとして、得たものすべてをドブに捨てるのかい?」
恭介「それとこれとは話が違う!返せよ!それは・・・それはさやかの物だ・・・!
僕のブラジャーにならないなら・・・せめて本人に返すんだ!」
恭介「お前なんかに奪われてたまるか!返せって言ってるだろ!」
氷室「また会おう恭介。電話番号を置いていく」
ガチャッ
恭介「くそっ・・・なんだったんだよアイツは・・・
僕に希望を与えるつもりか、絶望を与えるつもりか・・・」
恭介「病室から・・・さやかの匂いがするものが・・・消えた・・・」
恭介「さやかぁ・・・早く帰ってきてよ・・・顔が見たいよ・・・」ポロポロ・・・
ほむら「警察に通報しておいたから工場に残された人達は大丈夫でしょう。
でも志筑さんだけはこちらで預かっておいたほうが良いわ。」
さやか「なんで?」
ほむら「授業中抜け出してまで集団自殺に参加してたなんて、大騒ぎよ。
志筑さんは上条恭介の病室にいたことにする。さやかは目覚め次第口裏を合わせておいて」
さやか「目覚め次第って・・・仁美をどこに置いていくのさ」
ほむら「そうね。マミの部屋が妥当かしらね。あなた達も来て頂戴」
さやか「えっ!?これからまた恭介の病室に戻るつもりだったのに・・・」
まどか「わたしも・・・3時間目には戻る約束だったから早く学校に戻らなくちゃ・・・
もう4時間目からしか間に合わないけど、また叱られる材料が増えちゃうよぉ・・・」
ほむら「だったら、冴えた手があるわ。志筑さんは上条恭介に告白したけど、
先にさやかが告白していてフラれた事にする。私たちは振られた彼女を慰めていた。
そういう事にしておけば、ある程度言い訳が効くわ」
ほむら「もちろん、志筑さんには後日ちゃんと告白した上で
上条恭介に断ってもらう。これで嘘はついてないと堂々と言えるわ」
まどか「・・・なんだか仁美ちゃん、踏んだり蹴ったりだね・・・
魔女に巻き込まれた後に、成功しない告白をしなきゃいけないだなんて・・・」
さやか「好きな人と先に結ばれた相手が慰めに来てるって
それどんな嫌がらせだよ・・・逆の立場だったらあたし耐えられないんですけど・・・」
ほむら「仕方ないわよ。上条恭介に二股できる器量が無い限り、
必ずどちらかが不幸になるしかないのよ。それに、さやかが説明しなければ誰がするの?」
さやか「恭介が二人いたら済む話なんだよな。いっそそういう願いで・・・のあっ!?」
ボグッ(腹パン)
ほむら「冗談でもそういう事は言わないで頂戴。志筑さんには相手が取られても諦めないかもしれない
したたかさがあるけど、あなたはどうかしら?きっと魔女のように絶望を撒き散らすに違いないわ。」
ほむら「だから、今つかめる幸せは掴んでおきなさい。そして、絶対離しては駄目よ。」
ほむら「・・・」
さやか「うう・・・ほむらもバイオリン仮面もなんなんだよー!!
あたしの事見透かしてるような言い方しちゃってさ!!」
さやか「まどか!付き合いの長いアンタがフォロー入れないでナニ黙ってるのさ!」
まどか「ごめんさやかちゃん。わたしも・・・さやかちゃんの場合振られたら
すっごい落ち込んだままになると思う。逆に仁美ちゃんは、案外立ち直り早そうで・・・」
さやか「ムキーッ!いいもん!今はあたしの味方は恭介だけでも!
きっとアイツあたしが来れないって知ったら泣き喚くにきまってるもん!
涙でシーツを湿らしてるの!」
まどか「上条君に限ってそんなこと無いと思うけど・・・」
ほむら「・・・」
ほむら「・・・」
まどか「ほむらちゃん?どうしたの?」
ほむら「あっ・・・いえ。なんでもないわ。」
ほむら(今ある幸せを絶対離すな・・・か。自分に言い聞かせてるような物ね・・・)
ほむら(まどかやさやかが私の事を信じてくれるその気持ちが心地よくて・・・)
ほむら(できれば、もうやり直したくない・・・この時間軸こそ、本懐を遂げたい・・・)
~巴部屋~
マミ「佐倉さん・・・?」
杏子「久しぶりだね先輩。ちょっと面貸しな・・・話がある」
さやか「マミさーん?勝手に入りますよー?」
ほむら「寝てるのかしら?合鍵を持ってるから開けるわ。」
ガチャ
まどか「・・・?誰も居ない・・・」
ほむら「!!・・・ッしまった!松葉杖が無い!」
さやか「勝手に出かけたの?でもどこに?」
ほむら「用事事はすべて私に任せろといってあるのに・・・
まさか・・・佐倉杏子がもう動いているというの!?いつもより早いわ!」
まどか「ほむらちゃん?」
さやか「佐倉杏子?だれそれ?」
~見滝原市都合よく誰も来ない場所~
杏子「松葉杖がなければ歩けない、か。
文字通り腰抜かしたってのはキュゥべえの報告で聞いてるよ」
杏子「ベテランのアンタが一体、どんな怖い目にあったっていうんだか」
マミ「一日で聞きつけてそのまま行動に移すなんてね・・・」
杏子「髪も巻いてないし、服も寝巻きもままだし。
はたからみたらただのオバさんだ。正義の魔法少女とやらはどこにいったのやら」
マミ「(オバ・・・)このままじゃ学校に行けないからこれでいいのよ。
挑発するだけが目的なら、帰りなさい。用件は何かしら?」
杏子「あんたが今組んでる暁美ほむらってヤツが気になってね」
マミ「なら、本人を訪ねると良いわ。それとも、あなたは
私が仲介しなければ知らない人とお話もできないような困ったお子様なのかしら?」
杏子「な・・・!相変わらずいけすかねぇ奴だな・・・」
杏子「あたしがわかんねぇのはアンタがなんであんな得体の知れない奴と組んでるかって事だ」
マミ「得体の知れない・・・?」
杏子「キュゥべえもアイツと契約した覚えは無いっていうぜ?」
マミ「それについては答えが出てるわ。昨日動けない私の世話をするため、
暁美さんが泊まってくれたの。キュゥべえがなぜ覚えてないか、納得できる理由を聞かせてもらったわ」
杏子「(やっぱり泊めたのか)・・・なんだよ、その理由って?」
マミ「今の貴方に教える義理は無いわ。」
杏子「むっ」
杏子「じゃあ質問を変えてやる。なぜ組んでるか話しな。またあんたの勝手な
正義感を押し付けるつもりかい?それともただ寂しいだけか?」
マミ「そのどちらでもないわ。協力体制をとっているだけ。
確かに暁美さんの事は少しは信用できる相手と思えてきたけど、
まだ隠していることがありそうだし・・・」
杏子「協力?一人じゃ狩りきれない魔女でも出たのかよ。」
マミ「これから来るのよ。この町にワルプルギスの夜が」
杏子「なん・・・だと・・・!?」
マミ「だから暁美さんが正体を隠しているかどうかなんて関係ないのよ。
ワルプルギスの夜を倒すことが先決なんだから」
杏子「それも嘘の可能性があんだろ。アイツがアンタをハメようとしてたら?」
マミ「彼女は・・・訳有って未来の情報を知ることが出来るのよ。
あなたの存在も知っていたわ。だからワルプルギスの襲来も事実よ」
杏子「・・・だとしたらその未来予知とやらは嘘だな。そして奴には裏がある」
マミ「え?」
杏子「今ここであたしがアンタに危害を加えることをアイツは予知できてない!
予知できてたとしても助けに来ていない!」
キュイン!(変身の光)
マミ「・・・やっぱりやり合う気で呼び出したのね・・・
あなたの事はまだ信じていたかったけど!」キュイン!
杏子「そんな体でナニが出来るんだい?お友達が来るまでの時間稼ぎならさせないよ」
マミ「いいえ、する必要は無いわ。聞き分けの無い後輩をしつけるくらい、これで十分よ」
杏子「認めちまえば命までは取らないでやるぜ?素直に暁美ほむらに騙されてましたってな」
マミ「未来予知ではないわ。彼女の力は・・・だからこの状況を予測できなくてもおかしくは無いの」
杏子「だったらなんなんだよ!なんで会ったことのないあたしの事を知ってるんだよ!
それともあたしの事ちょっと調べたくらいでわかる情報にアンタが踊らされてるだけなんじゃねーのかよ!!」
マミ「踊らされててワルプルギスの夜が嘘ならそれに越したことは無いわ。
だって襲来が無ければそれは平穏だって事だから。」
杏子「どこまでもお人よしだな・・・だが、アンタは変わっちまったよ。」
杏子「よく知りもしない相手に心を許しちまうなんてね!」
ブンブン!
(杏子、槍を振り回す。マミ、足が動かないのでリボンをバネ状にしてその反動で避ける)
(以下それの応酬)
杏子「アンタはやっぱり正義の魔法少女なんかじゃない!寂しがって
話し相手が欲しいだけのただの構ってちゃんだよ!!」
杏子「相手が同じ魔法少女なら誰だって構いやしないのさ!そうやって
あたしにした時みたいに偽りの優しさで傷つけるのがオチさ!!」
杏子「この縄張りはアタシのもんだ!アンタもアイツも仮面の男も追い出して、
グリーフシードを独占してやる!」
杏子「ふぅ・・・その体でよく避けるね。それだけはさすがといったところかな」
マミ「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
杏子「来なよ。昔世話になったよしみで一発撃たせてやる」
マミ「!!」
杏子「でも撃てなかったり外したりしたら、終わりだと思ったほうがいいぜ?
寂しいだけで暁美ほむらとつるんでましたって言わせるまで攻撃し続ける」
杏子「最後は直々にとどめを刺す。それがあたしがかつて憧れたアンタに対するせめてもの礼儀さ」
杏子「一人の寂しがり屋じゃなく、正義の魔法少女として死なせてやる。だから撃ってみなよ。
撃てるものならね・・・!!」
マミ「・・・あまりナメないでもらいたいわね・・・」チャッ
(照準をあわせるマミ)
足腰が動かなくなったマミさんの直立はリボンを松葉杖代わりにしてると思えば。
マミ「・・・」
杏子(マミさんはどこをとってもあたしの理想なんだ)
杏子(みんなの幸せを守る、それがあたしの願いなんだ)
杏子(あたしとマミさんの戦う理由は同じだよね?)
杏子(これからもよろしく!)
杏子「・・・」
杏子(これからは魔女一本に絞ろうよ?)
杏子(この力は自分だけのものにする)
杏子(こんな相棒幻滅だろ?)
杏子(これからはあたしのやりかたで戦うよ)
杏子「遅いッ!」ビュン
マミ「はっ!?」
(松葉杖リボンを切断)ザギュッ
ドサッ(支えが無くなり倒れるマミ)
杏子「ブッ潰れちまいな!先輩!!」
~~~
マミの部屋で眠る仁美「・・・」
さやか「仁美・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
タッタッタッ・・・
ほむら「お願い、早まったことをしないで、佐倉杏子!無事でいて、巴マミ!」
#2へ続きます