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男「釣りロマンを求めて」幼馴染「仕方ないから付き合います」
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「淡水の釣り編です」
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元スレ
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「淡水の釣り編です」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1378509317/
男「おはようございます」
幼馴染「今は四時どころか、まだ二時半です。感覚だけでなく完全に深夜と呼ばれる時間帯です」
男「釣り場に着く頃には朝マズメになります」
幼馴染「理屈は解りますが、若干キレそうです」
男「ご安心下さい、今回の車はリクライニングがききます」
幼馴染「それなら少しはマシですが、なぜ前の日から予告しないのでしょう」
男「昨夜ベッドの中でムラッときました」
幼馴染「それ、たぶん性的な意味じゃないですよね」
男「仰る通りです」
幼馴染「独りで行ってはどうでしょうか」
男「じゃあ、もういいです…」
幼馴染「ちょ、待てよ」
男「来るんですか」
幼馴染「だってぇー、男が寂しくて死んだらいけないしぃー?」
男「何キャラですか、俺はうさぎではありません」
幼馴染「とにかく部屋に女性を起こしにくるなら、もう少しやりようがあると思います」
男「この辺りではまだ夜這いの風習が残っているのですか」
幼馴染「ここはどこの辺境でしょうか」
男「何をすれば良いのでしょう」
幼馴染「寝起きの口づけでもされたら少しは目が覚めそうです」
男「どうせ車内で寝るだろうから、覚まさなくていいです」
幼馴染「怒りで目が覚めてきました」
男「では車に乗りましょう」
幼馴染「今回は軽トラではないのですね」
男「ハイラックスサーフを父親から無断で借りました」
幼馴染「これなら快適そうです」
ガチャ…バタン
男「では、出発します」
幼馴染「では、寝ます」
幼友「ひあうぃごー」
幼馴染「………」
幼友「おはよう、幼馴染ちゃん」
幼馴染「なぜ貴女がいるのですか」
幼友「釣りに誘われたから」
幼馴染「男が釣りに行きたくなったのは昨夜では」
幼友「だから深夜に電話があったんだよ」
幼馴染「どんな電話が?」
幼友「『ムラッときたから、これから家に行きます』って」
幼馴染「てーい!てーい!」
男「痛いです、やましい意味ではありません」
幼馴染「私には何の連絡もなく、深夜だというのに先に幼友を迎えに行く時点で万死に値します」
幼友「勘違いしないで、私も念のためシャワー浴びて無駄毛処理したけど、やましい気持ちなんてないよ」
幼馴染「貴様も死ぬか」
幼馴染「しかしこの時間から朝マズメを目指して出発という事は、相当遠いのでしょうか」
幼友「男さん、どこの海まで行くんですか?」
男「海ではありません、むしろ山です」
幼馴染「拉致られてるー!」
幼友「埋められるー!」
男「拉致りません、埋めません。まずは渓流の釣りをするつもりです」
幼馴染「もみじ狩りには少し早い気がします」
男「紅葉と釣りが両方楽しめるなら最高なのですが、渓流釣りには禁漁期があるので、ほとんどの河川では十月頃から釣る事はできなくなります」
幼馴染「今はもう十月ですが」
男「これから行く川では禁漁期は十月の半ばから。この週末がラストチャンスなのです」
幼馴染「それでムラムラきたのですか」
幼友「ヤリ納めですね」
男「釣り納めと言って下さい」
幼馴染「とりあえずまだまだ着きそうにないので、私は寝ます」
幼友「おやすみー」
男「幼友ちゃん、隣の足元にある小さいクーラーから眠気覚ましのコーヒー取って下さい」
幼友「はいはーい、開けて渡しますねー」
男「ありがとう、さすが気がききます」
幼友「私、ガム持ってます。コーヒー飲んだらあげますね」
男「助かります」
幼友「いいなー、幼馴染ちゃんはアクティブな彼氏がいて」
男「鬱陶しがられてばかりです」
幼友「私だったら、そんな事ないんだけどなぁ…?」
男「…ガム貰っていいですか?」
幼友「待ってて…粒ガムだから落とさないように、銀紙剥いて…はい、あーん」
男「あーん」
幼馴染「貴様らぁっ!何をイチャついとるかぁっ!」
幼友「幼馴染ちゃん、からかい甲斐あるわー」
男「渓流に着きました」
幼馴染「結局ぜんぜん寝られませんでした」
幼友「まだ薄暗いですねー」
男「色々と釣れると思いますが、狙うのはアマゴです」
幼馴染「アナゴ?」
幼友「タマゴ?」
男「アマゴです。ヤマメの近縁種で、パーマークと呼ばれる共通の模様の他に赤い斑点があるのが特徴の美しい魚です」
幼馴染「どうやって釣るのでしょう」
男「その前に、二人ともこれを身につけておいて下さい」
幼友「遊漁券?どこに着けたらいいですか」
男「胸か袖あたりの見やすい位置に。幼友ちゃんは誰もがすぐに胸に目をやると思うので、胸がいいでしょう」
幼馴染「その先は言うな」
男「仕掛けを作っている間にいい感じの薄明るさになってきました」
幼友「雰囲気ありますねー」
幼馴染「眠いです」
男「では竿をどうぞ、先端はすぐ折れるので大事に扱って下さい」
幼馴染「長っ」
男「二人には扱いやすい15尺を使ってもらいます」
幼馴染「エサは?」
男「その辺にいます」
幼友「はい?」
男「その辺、草むらの中です」
幼馴染「ご冗談を」
男「じゃあ最初は採ってきます」ガサガサ
幼友「え?ちょ、まじで?」
男「はい、バッタです。堅い脚はちぎってあります」
幼馴染&幼友「ぎゃあああああぁぁ!」
男「仕方ないからたくさん捕まえてきました。二匹目からは針づけする時に脚をもいで下さい」
幼馴染「無理」
幼友「のーせんきゅー」
男「秋は野の虫が最高のエサなのですが」
幼馴染「違うの希望」
幼友「みーとぅー」
男「…仕方ありません、こちらをお使い下さい」
幼馴染「段ボールの切れ端…?」
男「一列ずつ破ってみて下さい」
幼友「破く…こう?」ビリッ
ブドウ虫「ハロー」
幼馴染&幼友「ぎゃあああああぁぁ!」
男「がんばりましょう、海釣りのイソメのようにヌルヌルしたりはしません」
幼馴染「ひいいぃぃぃ」
幼友「がんばった!私、がんばったよ!」
男「いい子いい子」
幼馴染「むぅ…わわ私もがんばりましたっ!」
男「はい、いい子いい子」ナデナデ
幼馴染「えへへ…じゃあ釣ります」
幼友「あれ、幼馴染ちゃん髪に何かついてるよ」
男「あ、すみません」ヒョイ
幼馴染「何がついていましたか?」
男「さっきのバッタのあ」
幼友「聞かない方がいいから、ね?」
男「では二人は安全に岸から深場の淵を狙って下さい」
幼馴染「男は?」
男「ウェーディングで瀬を狙います」
幼馴染「ぱぱぱぱーん」
幼友「ぱぱぱぱーん」
幼馴染&幼友「あいらーびゅーふぉえーばー」
男「ウェディングではありません、このウェーダーという防水ウェアを履いて水に立ち込む事です」
幼馴染「…言ってもいいですか」
幼友「言わないであげようよ」
男「何をでしょう」
幼馴染&幼友「それ、けっこう格好悪い」
男「しゃらっぷ」
幼馴染「釣り方はどんな感じなのでしょう」
男「上流側に仕掛けを投げ、糸を軽く張った状態で流します。目印のトンボ糸を見て、アタリが出たら素早くアワセて下さい」
幼馴染「てーい」
幼友「とーう」
男「…少し、オモリが軽いようですね。底が取れていません、調整します」
幼馴染「お願いします。…ずいぶん小さなオモリです」
男「針のチモト近くにこの極小のガン玉を打ちます。底を取れるギリギリ、あくまで自然な水流に乗れるように極力小さい物を使います」
幼馴染「○ン玉を歯で…」
幼友「ギュッと潰す!」
男「変な所を伏字にしないで下さい」キュン
幼馴染「今、キュッときてましたね」
男「貴女達には解りますまい」
男「…今!…ああ、遅い。今のがアタリです」
幼馴染「全く解りませんでした」
男「目印が引き込まれるほど大きなアタリが出る事は稀です。一瞬流れに逆らう動きをしたり、あるいは静止したりといった微妙なアタリを取りましょう」
幼友「うわ!?大きなアタリ!…釣れましたー!」
男「カワムツですね。食べられなくは無いですが、小骨が多くリリース対象です」
幼友「ちぇーっ」
幼馴染「てーい!………なんか小っこいの釣れました」
男「アブラハヤです。見た目は綺麗な姿ではありませんが、唐揚げなどに向く美味しい魚です」
幼友「…今度こそ!とーう!」
幼馴染「おお、良く引いています」
男「これは期待できそうです」
幼友「釣れたー!うわ、めっちゃ綺麗!」
男「お見事、それがアマゴです。15cmを超えているようであればお持ち帰りサイズです」
幼馴染「それ以下のサイズの場合はどうするのでしょう」
男「15cm未満のアマゴは資源保護のためリリースする決まりです」
幼友「微妙なサイズ…」
男「幼友ちゃん、手をグーにして親指を立ててみて下さい」
幼友「イイネ!」グッ
男「女性ならだいたいそれが15cmの長さです」
幼馴染「おお、15cm以上ありそうです」
幼友「やったー!」
男「…と言ってる間に、微妙なアタリ!貰った!」ピシィッ
幼友「うわぁ、なんか格好つけたアワセだったよ」
男「釣りキチ三平風にアワセてみました、よし…キャッチ」
幼馴染「アマゴですか」
幼友「カワムツに見えるよ」ヒソヒソ
男「見ないでー」
幼馴染「てーい!…やりました、アマゴです」
幼友「こっちもー」
男「いい調子ですが、日が上がってきました。そろそろ釣れ難くなると思います」
幼友「昼間は駄目なんですか」
男「アマゴは一説には雨子と書くといいます。雨の曇りの日のように直射日光が差さない日、そしてマズメ時に好釣果が得やすいのです」
幼馴染「やたら早く出発した理由が解りました」
男「それでは釣り方を変えてみたいと思います。こちらをお使い下さい」
幼馴染「今度は短い竿にリールが付いています」
男「ルアー釣りです、このスプーンを投げます」
幼馴染「フォーク?」
幼友「ナイフ?」
男「言うと思ってましたが、ちっとも面白くありません」
幼馴染「言うだけで満足してるので気にしてはいけません」
幼馴染「てーい!…軽くて投げ難いです」
男「大振りなキャストはせず、柔らかい竿なので先のしなりで飛ばす感じです。手首のスナップを意識して下さい」
幼友「とーう!」
男「いい感じです。日が高くなって岩の下に隠れたアマゴを狙うつもりで、際を通して下さい」
幼友「難しい事言いますね…」
男「流れ落ちの白泡の中から出てくる事もありますので、気を抜かずに」
幼馴染「何か釣れました」
男「おお、面白いものを釣りましたね」
幼馴染「足があります」
幼友「手もあります」
男「天然記念物の大山椒魚の子供です。決して傷つけずに放してあげて下さい」
幼馴染「美味しいでしょうか」
男「食べてはいけません…が、噂によると美味しいらしいです」
幼友「どこ情報でしょう」
男「…祖父は昔、何かも解らずに食べていたそうです」
男「さてアマゴもまずまず釣れましたので、今度は違う釣りをします」
幼馴染「大きな池です」
幼友「ダムって書いてるから、湖じゃない?」
幼馴染「じゃあ小さな湖です」
幼友「バス釣りかな?」
男「いいえ、バス釣りも楽しいのですが…最近はしていません」
幼馴染「珍しく男が真面目な顔をしています」
男「失敬な、いつも真面目です。…やはりブラックバスというのは管理釣り場以外では、日本に居て良い魚では無いと思います」
幼友「他の生態系を崩すから?」
男「それも大きな要因ですが、あまりに手近な野池でも釣れるため年少者が手を出しやすく、やはり意識の低い釣り人が多いジャンルです」
幼馴染「野池に釣りのゴミが捨てられているのを見た事があります」
男「決してバス釣りに限った話では無いのですが、そういう例が非常に多い釣りなのは確かなのです」
男「落ちているゴミを拾ったりもしたのですが、それでも無くなる事はなく…その光景を見るのが辛くて、バス釣りをしなくなりました」
幼馴染「男…意外と繊細なのですね」
幼友「でも同じダム湖に釣りには来るんだ?」
男「しゃらっぷ」
幼馴染「都合がいいね…」
幼友「ただの自己満足だよね…」
男「…釣り人全てが自己満足でもいいから心掛ければ、自己満足では無くなるのですが」
幼馴染「それで何を釣るのでしょう」
男「ここは尺以上のヘラが数釣れるポイントなので、ヘラ釣りをします」
幼馴染「…尺…」ポッ
幼友「…○ェラ…」ポッ
男「さっきまでの真面目な雰囲気ブチ壊しです」
幼馴染「元の雰囲気に戻しただけです」
幼友「何ですか、このテーブル?」
男「テーブルではありません、へら台と呼ばれる釣り用の台です」
幼馴染「一台だけですか」
男「けっこう高いしかさ張るので、さすがに複数は持っていません。五投ずつ位で交代していきましょう」
幼友「これがエサ?何やらポテサラみたいですね」
男「その通り。下針の食わせエサは、ほぼポテサラマヨ抜きです」
幼馴染「ご冗談を」
男「本当です、マッシュポテトと少しの麩で出来ています」
幼友「食べられそうですね」
男「食べても何ら問題ありません…」
幼馴染「では」ヒョイ…パクッ
男「…が、この湖の水で練っています」
幼馴染「早く言って下さい…」
幼友「味は?おイモ?」
幼馴染「はい、まさにジャガイモでした」
男「毎日のようにヘラ釣りを楽しむ年配の方は、学校給食用のマッシュポテトを大量買いして使用したりする位です」
幼馴染「ただ、ほんの少し香ばしかったような」
男「集魚剤として、わずかにサナギ粉が入っていますので」
幼友「サナギ粉?」
男「絹糸の生産に使われた蚕の蛹を乾燥粉砕したものです」
幼友「蚕って、あのカイコ?」
男「はい、クワの葉を食べさせて育てる、うにょうにょのアレです」
幼馴染「………」エレエレエレ
幼友「とーう」
男「ウキが沈んで…この位置がウキ馴染みです」
幼馴染「呼ばれましたか」
男「ウ、キ、ナ、ジ、ミ、あんだすたーん?」
幼馴染「オ、サ、ナ、ナ、ジ、ミ、いえすべりーきゅーと」
男「ウキが少しずつ浮いて…この位置がバラケ落ちです。勝負はここから…」
幼友「緊張の一瞬ですね」
男「…はい、エサ落ち目盛りです。上げて下さい」
幼友「え?何も無かったですよ?」
男「湖みたいな野釣りの場合、アタリが出始めるまで小一時間はかかるものです」
幼馴染「では一時間してから呼んで下さい」
幼友「私も幼馴染ちゃんと車で寝てますねー」
男「………」チッ
幼馴染「アタリは出始めましたか」
幼友「交代でーす、交代でーす」
男「貴様ら…」
幼馴染「しかし細くて長いウキです」
男「ヘラブナの繊細なアタリや微妙なエサ状態を感知できる、感度の高いウキです」
幼馴染「感じやすいんですね…」ポッ
男「今使っているのは浮力の高いパイプトップですが、冬場には更に敏感なムクトップを使ったりします」
幼友「パイプカット?」
男「子孫は遺させて下さい」
幼馴染「けけけ結婚してから!」アタフタ
幼友「男さん、いきなり発情ですか」
男「言葉のアヤです、そもそも下ネタ振ったのはそっちです」
幼馴染「てーい」
幼友「ウキ馴染み…バラケ落ち…ここからなんだね」
男「ふわふわと触りが出ています…神経を集中しておいて下さい」
幼友「…あっ!」
幼馴染「てーい!」
男「ノッた、バッチリな合わせです!後は竿を立てた状態をキープして、もし腕ごと延ばされたら負けです!」
幼馴染「けっこう…強い…です!」
幼友「うわー、走る走る」
男「あと少し…両手で竿を支えて、引き寄せて下さい。幼友ちゃん、玉網を」
幼馴染「て…えぇ…い…疲れたぁ…」
男「ナイスランディング、体高のある立派なヘラブナです。尺二寸はありますね」
幼馴染「尺二寸…36cmほどという事ですね」
男「ちなみに先ほどのような、ヘラ特有の鋭くウキを消し込むアタリの事を『ツン』といいます」
幼馴染「べ…別にアンタにアワセてるんじゃないんだからねっ!」
幼友「な、なんかいつアワセていいのか解らない位、ウキが動くんですけど!?」
男「あー、ヘラが薄れてジャミが出ましたね」
幼友「ってか、これどーすればいいんですか?」
男「それ、もうノッてます。適当に上げて下さい」
幼馴染「ちっちゃ!」
幼友「なんか可愛いですね」
男「オイカワです。初夏の頃はオスであれば身体に綺麗な虹模様の婚姻色が出て、より美しいのですが」
幼馴染「もうヘラは釣れないのでしょうか」
男「ヘラは集団になって回遊する場合がありますので、また回ってくると思います。でも本当はエサ打ちを休まず、その場に寄せ続けるのが理想です」
幼友「海釣りみたいに撒き餌するんじゃだめなんですか?」
男「『ヘラブナはタナを釣れ』と言われます。水面にエサを散らす事は、ヘラブナの居所であるタナ深さを乱す事になり、決して良い釣果は得られません」
男「オイカワは小さくても淡水魚としては非常に美味な魚です。このダムは水も綺麗なので、せっかくですから釣っていきましょう」
幼馴染「この竿は?」
男「オイカワ相手なら、無理にへら台など要りません。竿は複数あるので、数釣りでいきます」
幼友「とーう」
幼馴染「てーい」
男「どんどん釣っていきましょう。ヘラブナが帰ってくれば、ジャミが蹴散らされて雑なアタリは消えるはずです」
幼馴染「これはこれで面白いです」
幼友「うわ、上針と下針のダブルで釣れた!」
男「ジャミならよくある事です。稀にヘラでそれが起きると、竿が折れないよう祈らなければなりません」
幼友「なんか違うの釣れました」
男「モツゴです。佃煮の材料になったり、型が良ければ揚げ物にも向きます」
幼馴染「淡水でも意外と食べられる魚は多いのですね」
男「由々しき事態です」
幼馴染「どうしたのでしょう」
男「ここ2レス連続でオチをつけ損なっています」
幼友「たまには真面目に釣りをすればいいんじゃないですか」
幼馴染「またエサでも食べさせられるのでしょうか…っと、強いアタリです!」
男「このしなり具合は…!幼馴染が使っている竿は安物のグラスロッドなので、折れても良い覚悟でいきましょう!」
幼馴染「無理!無理!何ですかこれ!?」
男「手を貸します!…この魚を釣ったら、二人で名にちなんだ行為をしなければなりませんが…!」
幼友「またきたこのパターン。玉網すたんばーい」
男&幼馴染「てーーーい!!!」
幼友「でかい!もしかしてコレは…!」
男「…コイです」
幼馴染「もう、男ったら馬鹿なんだからぁっ」ポッ
幼友「無理矢理オチつけやがった」
男「さて、夕方が近づいてきました」
幼馴染「帰るのでしょうか」
幼友「一応、着替えとかは持ってますけど」
男「実は昼間の内に、キャンプ場併設のバンガローを予約してあります」
幼馴染「ガンバロー」
幼友「ニッポン!」
男「そのフレーズは日本人として大切にしたいので、しょーもないネタに使わないで下さい」
幼馴染「ここがその施設ですね。…おお!温泉もあると書いています!」
幼友「ひゃっほーう」
男「俺はここの管理員のおっちゃんと釣り仲間なので、少し話してきます。すぐに戻るのでそれから食事の準備をしましょう」
幼馴染「お腹が減ったので早目に願います」
男「はいはい…」
幼友「お腹が減って胸がしぼみそうです」
男「すぐ戻ります!」
幼馴染「………」チッ
幼馴染「ああ言ってた癖に遅いです」
幼友「まあまあ、まだ10分しか経ってないよ。………ん?」
金髪男「おねーさん達、二人なのー?」ニヤニヤ
茶髪男「俺たちも二人なんだけどさー」ニヤニヤ
幼馴染「…キャンプ場で男性二人なんですか」
幼友「まさかの恋仲とか?」
金髪男「んなわけねーし」ニヤニヤ
茶髪男「ご心配なく、おねーさん達とあわせれば人数ぴったりじゃん?」ニヤニヤ
幼馴染「生憎、男性の連れがいるので」
幼友「そーそー、だいたい乗って来た車見たら解らないかなー?」
金髪男「じゃ、彼氏さんが帰ってくる前に」ニヤニヤ
茶髪男「さっさと始めちゃいますかー?」ニヤニヤ
金髪男「へへっ、おら…クチ開けろよっ」
幼馴染「…くっ、じ…自分でやりますっ」
金髪男「そうそう、大きく開けて…ほーら」
幼馴染「んぐっ…(生臭い…!)」
幼友「幼馴染ちゃん…!」
茶髪男「ははっ、こっちはいい感じに解れてきたぜ」
男「…おや?」
金髪男「おーっと、彼氏さん登場ー」ニヤニヤ
茶髪男「人数合わなくなるけど、参加しちゃいますかー?」ニヤニヤ
男「バーベキューとは結構ですね、お言葉に甘えて良いでしょうか」
幼馴染「まだ肉が生焼けで臭みがあります」
幼友「キャベツほぐしましたよー」
男「じゃあ、今日の魚も捌いて焼きましょう」
全員「かんぱーい!」
男「本当、すみません。急にお呼ばれしてしまって」
金髪男「何言ってんすかー、旅は一期一会の思い出作りっすよー」
茶髪男「今夜はマイナーな流星群の日なんで、見えない物を見ようとして望遠鏡を担いでみたんすよねー」
幼馴染「今度はお肉、いい感じです」
幼友「アマゴも美味しいー!」
金髪男「いやー、釣りたての川魚なんて滅多に食べらんないっすー」
男「どんどん焼いていきましょう。…ビールおかわり」
茶髪男「プレモル入りまース」
男「二度目のかんぱーい!」
幼馴染「あ!流星です!」
茶髪男「ピークは日付が変わってからっすよー」
幼友「今日がずっと続きますように!」
男「その願いだとループしてしまうらしいですよ?」
幼友「バーベキュー楽しかったねー」
幼馴染「おお、バンガロー意外と広いです」
男「よく知った管理員なので、広めの棟を融通してくれました」
幼友「よーし、温泉行こう!」
幼馴染「露天風呂もあるようです、楽しみです」
幼友「着替えとー、タオルとー、準備おっけー」
男「身体拭き用の大きなバスタオルは備え付けられているはずです」
幼友「了解ー、じゃあ行こう」
幼馴染「…ちなみに男女は別なのでしょうか」
男「残念ながら」
幼友「………」チッ
幼馴染「………」ホッ
幼馴染「露天風呂からの満天の星、素晴らしいです」
幼友「あ、また流れ星」
幼馴染「流星群だと言っていましたね」
幼友「ふう、少し熱めだね。肩まで浸かってたらすぐ逆上せちゃう」ザバー
幼馴染「………」チッ
幼友「何、今の舌打ち。…いいじゃん、幼馴染ちゃんスレンダーで」
幼馴染「…男はボンキュボンが好きみたいなので」
幼友「そんな事ないんじゃない?幼馴染ちゃんだって、小さくとも形はいいじゃん」モミモミ
幼馴染「ちょっ…!何をしますか!…えーい!」モミモミ
幼友「くすぐったーい!」
幼馴染「…揉むと余計に差を思い知りました」チッ
幼友「大丈夫…幼馴染ちゃんの身体も、ちゃんとエッチだよ…食べちゃいたいくらい」
幼馴染「幼友…だめっ…」
男《あー、全て聞こえています。上がれなくなるのでやめて下さい》
幼馴染「では、そろそろ上がりましょう」
幼友「んー、私はもうちょっと入っとくよ」
幼馴染「…随分、長風呂ですね」
幼友「うん、上がってから売店のアイスでも食べて帰るから。…そうね、30分は絶対戻らないからね?」
幼馴染「30分…」
…30分後
幼友「ただいまー」
幼馴染「おかえりなさい」ツヤツヤ
男「おかえりなさい」ツヤツヤ
幼友「…気を利かせたのは自分だけど、なんか腹たつわー」
幼馴染「ふわぁ…眠くなりました」
幼友「さーて、飲み直しますかぁ」
男「お付き合いします」
幼馴染「私は寝ます」
幼友「どのベッドに行く?」
幼馴染「せっかくなので、二段ベッドの上の段を希望します」
幼友「ずるいぞー」
男「二段ベッドはふたつあります。俺はどこでもいいので、二人とも上にどうぞ」
幼友「じゃあ、安心して乾杯ー」
男「乾杯ー」
幼馴染「おやすみなさいー」
男「…さて、しっかり飲みました」プハー
幼友「ういー、酔ったぞー」プハー
男「それでは、おやすみなさい」
幼友「…ん」ジー
男「………?」
幼友「おやすみのキッスぷりーず」
男「…悪酔いしすぎです」
幼友「なんとでも言えー、そしてチューしろー」
男「それはできません。…おやすみなさい」
幼友「…胸には目を遣るくせに、意外と堅物なんだから」チッ
男「俺には甲斐性が無いので、女性は一人幸せにするので精一杯です」
幼友「はいはい、ごちそーさま。おやすみなさーい」
幼馴染「……………」ジーン
男「ぐーぐー」
幼友「すぴーすぴー」
幼馴染「………」…ムクッ
トントントン…ゴソゴソ…
…テーイ、チュッ…チュッ、チュッ…
男「…ふが?…ぐーぐー」
トントントン…ゴソゴソ…
…テーイ、ゴキッ
幼友「ふぐっ!?」ピクピク…
…翌朝
男「おはようございます」
幼馴染「おはようございます」
幼友「おはよ…痛てて、何か…首が…」
幼馴染「寝違えましたか」ニヤリ
男「さて、こないだよろしく二日目は船を出します」
幼馴染「淡水でですか」
幼友「…という事は」
男「こちらの豪華客船になります」
幼友「わー、豪華ー」ヤレヤレ
幼馴染「すごーい、オールがついてて屋根が無ーい。まるで俗に言う手漕ぎボートみたーい」ハイハイ
男「お付き合いありがとうございます」
幼友「いえいえ」
幼馴染「毎度の流れですので、ご遠慮なく」
幼友「このボートで何を釣るんですか?」
男「ワカサギを釣って晩酌のアテにしたいと思います」
幼馴染「嘘です、ワカサギは氷の上で釣るものです」
幼友「そーよ、丸い穴あけて釣るんだよねー」
男「もちろんそれも風流な釣り方ですが、それを味わいたければ真冬に氷点下の湖上に立つ覚悟で再訪しましょう」
幼馴染「遠慮しておきます」
幼友「同じく」
男「ではライフジャケットを装備して下さい」
幼友「またアンミラか…」
幼馴染「またぶかぶかか…」
男「遊漁券はすでにキャンプ場で購入しているので、出発したいと思います」
幼馴染「出港でーす」
幼友「よーそろー」
男「手漕ぎボートもたまにはのんびりしていて良いものです」
幼友「でもなんか、どこの貸しボートも恋人同士で乗ると別れるって話がありますよね」
男「全くです、むしろ別れたい二人が貸しボートに乗ってるだけなんじゃないかと思わされます」
幼友「言えてますねー、彼氏が貸しボートに誘ったら別れ話の合図と考えた方がいいのかも」
男「別れの台詞は『もう俺達、ボート乗ろうか』ですね」
幼友「あはは、可笑しー」
幼馴染「あの…二人じゃなくとも、私と男…ボートに乗ってるんですが」ウルウル
男「この辺で竿を出しましょう。まずはボートをアンカーで固定します」
幼馴染「ここでいきなり趣旨を変えますか」
幼友「じゃあ今日の幼馴染ちゃんのパンツの色を>>257」
男「それは安価です。アンカーとは船を固定するために沈める重り…これです」
幼馴染「鈍器になりそうです」
幼友「キノコ?」
男「マッシュルームアンカーという形式です。では投げ込んで下さい」
幼馴染「てーい」ダッパーン
男「ではロープを弛ませて持っておいて下さい、少し移動します」
幼友「アンカー落としたまま移動するんですか?」
男「…このくらいでいいでしょう。ここでもうひとつ、アンカーを投入します」
幼友「とーう」ダッパーン
男「ロープに少し弛みをもたせて船尾のアイボルトに結んでおいて下さい。幼馴染はロープを張っていって下さい」
幼友「なるほどー、二点から少し斜めにロープを張るんですね」
男「それによって風でボートが回らないようにするのです」
幼馴染「竿、短いです」
男「相手はワカサギですので。それに狭いボートの上では短い方が楽です」
幼友「おー、針いっぱい。サビキみたい」
男「ではエサをどうぞ、こちらです」
幼馴染「ご冗談を」
幼友「これは大根の輪切りですよ?」
幼馴染「ご丁寧に真ん中に田楽味噌まで乗せてあります。でも生では頂けません」
男「真ん中のは味噌ではありません、よく見て下さい」
幼馴染&幼友「はい…?」
アカムシ「ハロー」
幼馴染&幼友「ぎゃあああああぁぁ!」
男「アカムシはとても小さいので、大根の上で直接針刺しします。二、三匹プチッといって下さい」
幼友「まあ直接触らないだけマシなのかな…」プチッ
幼馴染「がんばります」プチッ
男「それではいよいよ仕掛け投入です。オモリが底に着くまで沈めて、すぐ巻いて糸フケを無くします」
幼馴染「てーい」
幼友「とーう」
男「更に少しだけ巻いて、10cmくらい底を切り、一定のリズムで揺らして誘います。誘い幅は5cmくらいが普通です」
幼友「とう、とう、とう…」チョコチョコ
幼馴染「………おかしい」
男「何がでしょう」
幼馴染「こんな小さな動作では、おっぱいが揺れないはずです。男がこんなやり方を勧めるわけがありません」
男「あくまで今までのポヨポヨは副産物です。俺を何だと思っていますか」
幼馴染&幼友「確信犯だと誰かが言っていました」
男「ところで、何故かボートが回っている気がするのですが」
幼馴染「私もそんな気がします」
幼友「あれ?…ロープが解けてる」
男「幼馴染が結んだ方ですね…ちゃんと結んでおいて下さい。仕掛けが絡まってしまいます」
幼馴染「失礼な!私はちゃんと結びました!」
男「何結びで?」
幼馴染「蝶々結び」
男「貴女はアホの子ですか、引き解けない結び方にして下さい」
幼馴染「男にアホ呼ばわり…くっ、殺せ」
幼友「何故に囚われの女騎士?」
幼馴染「てい、てい、てい…」チョコチョコ
幼友「とう、とう、とう…」チョコチョコ
男「根気よく続けて下さい。ワカサギも群れで移動します、群れが入れば次々と入れ食うはずです」
幼友「簡単に釣れるんですか?」
男「ちゃんとそこに魚がいて、誘いさえできていれば結構簡単です。ひとり100匹を目指しましょう。食ったら解りやすくツンツンします」
幼馴染「てい、てい… 解りやすくなんてしないんだからっ!勝手にそっちで気付いてよね!」
男「誰も俺に解るようにツンデレろとは言ってません」
幼友「…という事は食ってるんだから、ボケる前に上げようよ」
幼馴染「おお、2匹もついています」
幼友「いいなー、とう、とう…う、うらやましくなんかないんだからっ!私にだって釣れるもん!」
男「いいから上げていきましょう」
幼友「どんどん釣れるねー、楽しい!」
幼馴染「群れが入ったという状態なのでしょうか」
男「まさにそうです。ずっと続けば良いのですが、なかなかそうもいきません」
幼友「でももう結構釣れてますよ」
男「まだまだ、いったん群れが離れても次を待ちます」
幼馴染「てい、てい、てい、て…」
…ジュボッ
幼馴染「…何か今、変な音がしました」
幼友「まさか、こんなところで…」
…ズボッ
幼馴染&幼友「なっ!そこまで…!?」
男「あの音はブラックバスが水面で獲物を食う時の音です」
幼馴染「なんだ…」ホッ
幼友「なんだ…」チッ
男「何の音だと思ったのか、俺にはさっぱりです」
幼友「この湖にもブラックバスがいるんだね」
男「もはやいない淡水域を探す方が難しいほどです。実際、由々しき問題だと思います」
…ズバッ
男「…………」ピクッ
幼馴染「ん…?」
…バシャッ
男「………」
幼馴染(…気のせいでしたか)
…ズボォッ!
男「……!!!」ピクッ
幼馴染「…男、手が止まっています」
幼友「どうかしたんですか?」
男「な、なんでもありません」
幼馴染(…もしかして)
幼馴染「…男、我慢していますか?」
男「……!」
幼馴染「…その気持ちは解らなくも無いのですが、我慢のし過ぎも良くありません」
男「………」フルフル
幼馴染「たまには…欲望を解放しても良いのでは」
男「………」
幼馴染「…ここでしますか?」
男「…ここではだめです」フルフル
幼馴染「私は構いませんよ…?」
男「幼馴染が良くても…我慢です」
幼馴染「だって男、つらそうです…見ていられません」
男「でも…ここじゃ…」
幼馴染「…今日は持っているのですか…?」
男「………」コクン
幼馴染「じゃあ、我慢しなくていいです。…出して、スッキリしましょう?」ニコッ
男「でも、恥ずかしいです」
幼馴染「したくなったものは仕方がありません」
男「…いいのでしょうか」
幼馴染「男、しよう…?」
幼友「ストップ!何をしようってんですか!私の目の前で!」
男&幼馴染「え?」
幼友「どうりで朝風呂の時、幼馴染ちゃんが大人ブラックなパンツ履いてると思ったよ!」
幼馴染「何をバラしますか」
幼友「しかも私がいる目の前で!このSSで3Pは無いと宣言してたじゃないですか!」
男「大人なブラックも魅力的ですが、何か勘違いをしています」
幼友「え?」
幼馴染「男、やっぱりブラックバス釣りをしたいのですね。昨日あんな事を言ったから、言い出すのが恥ずかしかったのでしょう」
男「でも、ここではダメです。ブラックバスを釣るなら、それを観光資源として遊漁を認めている場所でなければ、俺自身のプライドが許しません」
幼友「…腹立つわ、こいつら」
…帰り道
幼馴染「結局、今日はブラックバス釣りはしませんでした」
男「来週、また誘います。遊漁指定の湖はかなり遠いので、今度は二泊三日になると思います」
幼友「来週か…行けるかな」
幼馴染「来なくていい…」ボソッ
幼友「聞こえてるから」
男「今日はあと釣具屋に寄って帰りますが、構いませんか」
幼馴染「まだ時間も早いので構いません。来週の準備でしょうか」
男「ルアーは腐るものではないので、足りない物はもう備えておきます」
男「釣具屋に着きました」
幼友「おー、私そういえば釣具屋さんって初めてです」
幼馴染「幼友、エサ見に行きましょう。赤面モノな奴がいます」
男「ユムシの事ですか。では、俺はルアー用品の方へ行きます」
幼友「いってらー」
幼馴染「では、また後で」
…ルアー用品売場
男「ラバジの素材…白と、ライムグリーンと…」
「ホントニヤバイコレー!」
「ネー!?ダカライッタデショ!」
「ワー!ウゴイテルー!」
「コッチノスイソウハ、オオキイサイズダッテー!」
「キャー!タクマシイー!」
「オトコー!チョットコッチニキテクダサイ!」
客A「なんか女の子がエサ見て騒いでんぞ」
客B「可愛いけど、ユムシ見て大興奮は引くわ…」
男(関係ない、俺じゃない…)
…幼友のアパート
幼友「またまたありがとうございました、来週も行けそうなら行きたいです」
男「声を掛けます、無理で無ければ是非」
幼馴染「無理はしなくていいです」バイバーイ
幼友「ちぇっ、無理してでも行ってやるー」バイバーイ
…幼馴染宅
幼馴染「また来週も行きます」
男「もちろん、必ず誘います」
…チュッ
幼馴染「てーい!てーい!」
男「痛いです、まだ照れ隠しをしますか」
幼馴染「…習慣です」
270 : ◆M7hSLIKnTI[] - 2013/11/13 19:48:57 3Oa4WBhw 53/55
淡水の釣り編、おわり
次はブラックバス釣り編いくぜ
271 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/13 19:54:29 V8oB5sCw 54/55乙
楽しみにしてるぜ
282 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/15 02:59:24 L68g8kiI 55/55てーい!てーい!
しかしカテゴリ幼馴染って言われるとなんか違和感が。
まぁ他にどうしろと言われると困るけど。