フュウウウウウウウウウ
ヒーラー「どういう意味だ?」
エルフ「どうしたも、こうしたもありません!」
ヒーラー「?」
エルフ「なんでヒーラーさんは水筒の水を全部、飲み干したんですか!」
ヒーラー「ん?ワイルドで男らしいだろ?」
エルフ「……そうですね、この状況じゃなかったらそう思います」
盗賊「普通は女の子に水筒を譲るよね……」
元スレ
ヒーラー男「男らしくない?」エルフ「はい!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329506404/
エルフ「なんで!貴方はこんな砂漠の真ん中で!貴重な水を!」
盗賊「エルフちゃん、喉渇くからあまり大声は」
エルフ「盗賊さんも盗賊さんです!」
エルフ「なんで、ワームに食べられかけた時に手持ちのバッグを失くしちゃったんですか!」
盗賊「……ごめんなさい」ションボリ
エルフ「あっ……別にそういう意味では、言いすぎました……」
ヒーラー「ほら、グダグダ言ってないで歩くぞ」
盗賊「……ヒーラーのお兄さんのせいでしょうに」
エルフ「(私達は今砂漠を横断しています)」
エルフ「(一応、砂漠の進むには所々に目印の旗が建っているので困りませんが)」
エルフ「(一番の問題は食料と水です)」
エルフ「(その中で重要な水を事もあろうが、ヒーラーさんが全部飲み干しました)」
エルフ「(……最悪な状況です)」ガクッ
ヒーラー「ほら、早く歩け」
盗賊「なんでお兄さん偉そうなの?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
盗賊「!?皆、ストップ!」
エルフ「!?」
ヒーラー「?」
盗賊「地面から、何か迫ってる……」
ズボッ
エルフ「わっ!?」
ヒーラー「地面が沈んでるのか?」
盗賊「……これは」
ズザザザザザザザザザザザザ
ズザーン!
アリジゴク「ピギャアアアアアアア!!」
盗賊「アリジゴク!?皆、早く坂を登って!」
エルフ「流石に!無理です!」ズザザーー
盗賊「っせい!」ダダダダダダダダ
エルフ「流石ですね!、で私は?」ズザー
盗賊「エルフちゃん!少しアリジゴクを怯ませて!隙を突いて私が上から」
エルフ「了解しました!伊達に剣士の職じゃないって所を見せましょう!」シャキン
エルフ「そういえばヒーラーさんは?」
ヒーラー「がんばれー」
盗賊「……なんで、お兄さんアリジゴクに巻き込まれてないの?」
ヒーラー「ん?沈む瞬間にエルフを足場にして逃げたんだ」
エルフ「女の子を犠牲してまで生き延びたいんですか……」
ヒーラー「エルフ、前見ろ前」
エルフ「ふぇ?」
アリジゴク「……」
エルフ「もう目の前にまで引き寄せられてるー!?」
アリジゴク「ピギーッ!!」クワッ
エルフ「っええい!!」ブンッ
カキンッ
エルフ「っ!?硬い!」
盗賊「エルフちゃん!」
ヒーラー「がんばれー」
盗賊「お兄さん、いつの間にそんな距離まで離れたの?」
アリジゴク「キシャー!!」クワッ
エルフ「っうえっ!?」バッ
ガッ
エルフ「あっぶないですね……」
盗賊「エルフちゃん!伏せて!」ピンッ
エルフ「爆弾ですか!?」バッ
アリジゴク「?」
エルフ「潜らないと死んじゃいますー!!ガサゴゾ
盗賊「えいっ!」ブンッ
ヒュー コトン ジー
ドゴンッ!
モクモクモクモク
エルフ「……がはっ!」ガバッ
エルフ「っケホ!ゲホ!」ペッ
エルフ「……アリジゴクは?」
アリジゴク「」グター
エルフ「皮膚が硬くても、衝撃には弱いみたいですね……」
盗賊「エルフちゃーん!無事ー?」
エルフ「ええ、早く助けてください」
エルフ「死ぬかと思いました……」
盗賊「無事で何よりだね!」
エルフ「援護感謝しますよ、盗賊さん」
盗賊「えへへ、どういたしまして」ニコッ
エルフ「で、ヒーラーさん何か言うことは?」
ヒーラー「やったな」
エルフ「死ねっ!」ドゴッ
ヒーラー「がはっ!?」ドサッ
エルフ「まったく……」ポタッポタッ
盗賊「って!エルフちゃん肩!?」
エルフ「ん?ああ、肩に掠ったみたいですね」ポタッポタ
ヒーラー「まかせな」ムクッ
ヒーラー「【ヒール】」パアアッ
エルフ「一応、ありがとうございます」ペコリ
盗賊「正直、お兄さんこれしか出番ないよね……」
ヒーラー「あたり前だ、お前らは前衛で俺は回復役だからな、戦闘はできん」
エルフ「……そのメイスは飾りですか?」
ヒーラー「ああ、俺は野蛮じゃない」
エルフ「……アリジゴクは衝撃に弱いですから、それを投げるだけでも効果ありましたよね?」
盗賊「というか、お兄さんは女の子を前に出したり盾にしたり、心は痛まないの?」
ヒーラー「だってお前らの職業を言ってみろ」
盗賊「盗賊」
エルフ「剣士」
ヒーラー「俺はヒーラー、ポジション的には問題はないだろ?」
エルフ「そうですけど、ぐぬぬぬぬ」
_________
______
___
_____________
エルフ「(なんとか、洞窟を見つけてそこに非難はできました)」
エルフ「(洞窟の中に泉があって水の問題は解決しましたが……)」
エルフ「寒い……」ガクブル
盗賊「あたしも装備が軽装だから寒いよう……」ガクブル
ヒーラー「お前ら……夜の砂漠は冷えるんだぞ?」
エルフ「……そのローブ、暖かそうですね」ガクブル
ヒーラー「まあな」
盗賊「予備のは持って無いの?」ガクガク
ヒーラー「荷物がかさばるからな、無いよ」
ヒーラー「じゃあ、俺寝るから、おやすみ」ゴロン
盗賊「……」コソコソ
エルフ「?」ガクブル
ヒーラー「zzz」ガサゴソ
盗賊「うん、若干狭いけど暖かいね」モゴモゴ
エルフ「ちょ、なにしてるんですか!?」ガクブル
盗賊「ん?お兄さんのローブの中にお邪魔してるだけだよ?」
エルフ「……フェラしてる様にしか見えません」」
盗賊「いやー背が低くてよかった」
エルフ「まな板」ボソッ
盗賊「っ!うるさい!!」
ヒーラー「zzz」スヤスヤ
ヒーラー「(朝になったが、なんだこれは)」
盗賊「zzz」クークー
エルフ「zzz」ガーゴーガーゴー
ヒーラー「なんで俺のローブのなかに体を突っ込んで寝てんだ……」
エルフ「zzz」ガーゴーガーゴー
ヒーラー「……エルフのイビキうるさい」
______________
___________
_______
____
盗賊「エルフちゃん!お兄さん!門が見えた!!」ピョンピョン
ヒーラー「やっとか……」
エルフ「長かった……」
盗賊「レッツゴー!!」トコトコ
ヒーラー「……あの人はいるのかな?」
エルフ「……」
エルフ「(ヒーラーさんが旅をしている理由は、かつての恩人への礼らしい)」
エルフ「(そもそも、ヒーラーさんがヒーラーになったのは)」
エルフ「(幼い自分を助けてくれた、恩人への憧れらしい)」
盗賊「おーい!二人とも早くー!」
エルフ「(私がこのろくでもないヒーラーさんに同行している理由は)」
エルフ「(私が山賊に傷を負わされた時に助けられたからです)」
エルフ「(私は助けてくれた礼を払うつもりでしたが)」
エルフ「(ヒーラーさんはいらないといいました)」
エルフ「(でも私も誇り高きエルフ族、無礼は許せません)」
エルフ「(ですので、半年間の間勝手に付いてきました)」
エルフ「(最初の間は帰れ帰れ言われましたが、しばらくしたら認めてくれました)」
ヒーラー「よせやい、恥ずかしい」
盗賊「?」
ヒーラー「まさか、砂漠の真ん中にこんな国があるとは」
エルフ「もう少し、寂れたものかと思っていたんですけど」
盗賊「まあまあ、あるだけいいじゃん!」
門番「止まれ」
ヒーラー「なにか?」
門番「そこのお前はエルフか?」
エルフ「……だからなんです?」
盗賊「まさか、入場制限?」
門番「いや、エルフがこんな砂漠の真ん中に来るとは思わなくてな」
エルフ「……まあ、普通は来ませんね」
門番「いやいや、すまない、気を悪くする気はなかったんだ」
ヒーラー「まあエルフは森の中で暮らしてるのが一般的だしな」
エルフ「今じゃ、多文化に触れるためにあちこちを旅している仲間もいますけどね」
ヒーラー「まぁ、お前の場合は抜け出してきただろ?姫様?」ニヤニヤ
盗賊「ん?姫?なにそれ」
エルフ「ちょ!?ヒーラーさん!今は無しです!」
盗賊「なになにー?教えてよー」
ヒーラー「後で教えてやるよ」
ヒーラー「じゃあ、お勤めごくろうさん」スタスタ
ネエネエヒメッテ? アアソレハダナ ダマッテクダサイ!
門番「変わったパーティだな……」
サラサラ
門番「おっと……」
ヒーラー「しかし、町は栄えているが……」
盗賊「まあ、路地裏は予想どうりだね」
エルフ「……ちらほら乞食が見えますね」
「そこの人、なにか恵んでくれないか?」
「俺も頼むよ」
盗賊「ほら、あれ」
「」プーン
ヒーラー「餓死だな……」
エルフ「……こんな子供まで」
盗賊「しょうがないよ、誰かが生きるためには犠牲がつきものだよ」
盗賊「あたしだって、昔は生き抜くので大変だったよ……」
ヒーラー「職業が盗賊なのは、その名残か」
盗賊「うん……」
エルフ「盗賊さん……」
盗賊「はい!やめやめ!それよりもエルフちゃん!姫ってなにさ!」
エルフ「このタイミングでですか!?」
ヒーラー「……」
エルフ「しゅごいいいいいいいいいいいい!!」
武器屋「おう、お嬢ちゃん見る目があるね!これはアロンダイトと言ってね」
エルフ「SUGEEEEEEEEEEEEE!!」
盗賊「エルフちゃん、剣大好きだね……」
ヒーラー「宿を探すか」
盗賊「えっいいの?」
ヒーラー「ああ、あの状態になったら2時間は動かないし」
エルフ「YABEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
盗賊「……なにあれ」
ヒーラー「ほっとけ」スタスタ
盗賊「お兄さん、気づいた?」
ヒーラー「……」
盗賊「この国、外を見渡すと砂の山に囲まれてるっぽいね」
ヒーラー「ああ、そうだな」
盗賊「おかしくない?こんな地形、砂嵐がきたら、多分一発でこの国は砂に埋もれちゃいそうだよ?」
ヒーラー「しかも、町の雑誌屋をちらりと覗いたが、年号が全て古かった」
盗賊「第一、地図にはこんな国もう無かったよ?」
ヒーラー「気味が悪いな……早めに国を出るか?」
盗賊「うん……なにかありそうだし」
ヒーラー「宿屋も作りが古いな……」
盗賊「藁のベットってなあ」ワシャワシャ
コンコン
ヒーラー「ん?エルフか?思ったより早いな」ガチャ
「アンタら、来訪者か?」
ヒーラー「……誰?」
「おっと、自己紹介がまだだな」
戦士「俺は戦士だ、一応よろしくな」
ヒーラー「で?その戦士が何の用だ?」
戦士「アンタら、この国は妙だと思わないか?」
ヒーラー「……妙じゃないと言ったら嘘になるな」
戦士「ああ、現に俺達は1週間滞在しているが、おかしいと感じている」
ヒーラー「どういうことだ?」
戦士「……言ったら信じるか?」
ヒーラー「話は聞いてやる」
戦士「そうか、じゃあ言うわ」
戦士「俺達はどうやらこの国に閉じ込められたらしい」
ヒーラー「……は?」
戦士「まあ、疑うのはしょうがない」
ヒーラー「まてまて、話が飛躍しすぎてわからん」
戦士「言葉のままだ、閉じ込められてる」
ヒーラー「町から出ろよ」
戦士「ああ、出たよ何回も」
ヒーラー「まさか、砂漠を彷徨ってここに戻ってきたとか間抜けな話か?」
戦士「そうだ、俺達は砂の山を登る形で国から出た」
戦士「問題はそこだ、山を登ると当然下るよな?」
ヒーラー「まあな」
戦士「山を下ると国の反対側に出るんだよ……ワープしたみたい」
ヒーラー「そんな馬鹿な」
戦士「実際、やってみたほうが早いよ、もう閉じ込められただろうから」
ヒーラー「……」
盗賊「そういえば、俺達って言ってたね?仲間は?」
戦士「……俺以外は精神的に疲労しちまってな」
ヒーラー「会わせてくれ」
戦士「構わんよ、こっちの部屋だ」トコトコ
盗賊「……お兄さん、これは罠かもしれませんよ?」
ヒーラー「まあ、顔を見てくるだけだ」
エルフ「kAkkEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
武器屋「(あの子3時間もあのままだよ)」
サラサラ
武器屋「……」
戦士「紹介するよ、こいつが商人」
商人「……」グダー
盗賊「精気を感じられませんね」
ヒーラー「……うん」
戦士「こっちが召喚士」
召喚士「……」グデー
戦士「因みに、召喚士のグリフォンで脱出も試みたが、この通りだ」
ヒーラー「……そうか」
盗賊「原因を調べたりはしたの?」
戦士「最初は、どこかの魔法使いか何かが妨害魔法を仕掛けているかと思った」
戦士「だけど、召喚士が言うには妨害魔法は感じなかったらしい」
盗賊「ふうん」
戦士「せいぜい、国から少しはずれた所にオアシスが在ったくらいだな」
盗賊「一番怪しくないですか?それ」
戦士「ああ、調べたけど、水しかなかったね」
ヒーラー「……後で色々試してみるか」
エルフ「FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
武器屋「流石に営業妨害だからやめろ」
ヒーラー「試しにオアシスに来てみたが」
盗賊「たしかに、湖しかないね」
ヒーラー「湖のそこはどうだろう?
盗賊「調べてみる?」
ヒーラー「じゃあ頼んだ、濡れたくないし」
盗賊「……相変わらずだね」
ヒーラー「俺は労働作業向きではないからな」
盗賊「だからって力仕事を女の子に押し付けるのは、男としてどうよ?」
ヒーラー「500G出そう」チャリン
盗賊「やらせてもらいます!」ビシッ
ヒーラー「ちょろいな」
盗賊「見ないでよ?」ヌギヌギ
ヒーラー「それはつまり見ろと?」
盗賊「駄目」
ヒーラー「100G」
盗賊「……流石にそこは乗らないよ?」
ヒーラー「1000G」
盗賊「おふざけ禁止だよ」
ヒーラー「5000G」
盗賊「……お触り禁止だよ?」
ヒーラー「おい」
盗賊「じゃあ行ってくるね」チャプン
ヒーラー「女の子の裸を見ながら湖……バカンス気分?」
ヒーラー「しかし、国から出られないって、どういう事だ?」
ヒーラー「何か知られてはいけない事でもあるのか?」
ヒーラー「ん?湖から何か出てきた?盗賊か?」
チャプン
妖精「……」ジー
ヒーラー「おっと、隠れておくか」コソコソ
妖精「……」フヨフヨ
ヒーラー「盗賊の服に近づいていく」
妖精「……」ガバッ
ヒーラー「あっ盗んだ」
妖精「……」チャプン
ヒーラー「盗賊の服を持ったまま湖に戻っていった……」
ヒーラー「あ」
ブクブク ザパッ
盗賊「ぷはっ!お兄さん何もないよ!ここ」
ヒーラー「……そうか」
盗賊「どうしたの、微妙な顔して?」
ヒーラー「服」
盗賊「へ?……あれ!?服が無い!ここに置いたのに!」
ヒーラー「妖精が持って行ったぞ、湖の中に」
盗賊「!?」ザブンッ
ヒーラー「おお、早い」
ヒーラー「で?」
盗賊「無かった……」シクシク
ヒーラー「……災難な」
盗賊「というか、お兄さん見てるなら止めてよ!」
ヒーラー「ほら、妖精でも一応危ないかもしれないだろ?だから様子をだな」
盗賊「……あたし、裸で宿屋まで戻るの?」
ヒーラー「しょうがない、ローブでも着てろ」ガバッ
盗賊「へ?」キョトン
ヒーラー「どうした?」
盗賊「いや、まさかローブを貸してくれるなんて」
ヒーラー「……そこまで鬼じゃねえよ」
エルフ「っはあ……はあ……はあ……」ジュルリ
エルフ「また来ますね」トコトコ
武器屋「(もう来なくていいよ……)」
エルフ「さて、ヒーラーさん達が待っているだろうから宿へ」
エルフ「あれ?ヒーラーさん?」
ヒーラー「で、どうしようか」
盗賊「湖には何もなかったし……」
エルフ「ヒーラーさん?何してるんですか?」
ヒーラー「ああ、エルフか実はな」
エルフ「?なんでヒーラーさんのローブを盗賊さんが?」
盗賊「え?あああああ、これはちょっとね」
エルフ「なんで裸足なんですか?」
盗賊「えっとね!暑いから!」
エルフ「嘘ですね、素足で歩くと逆につらいはずです」
エルフ「まさか!?」ガバッ
盗賊「えっ?」
ヒーラー「(エルフの奴、やりやがった)」
エルフ「……ヒーラーさん、なんで盗賊さん裸なんですか?」
ヒーラー「服が消えた」
盗賊「あの///……エルフちゃんローブ返して///」モジモジ
エルフ「ちょっと待ってください、この野郎にちょっと制裁を」グッ
ヒーラー「おいっ止めろ!」ダッ
エルフ「待ちなさい!!」ダッ
盗賊「あたし……裸なんですけど」
「えっ、あの子裸?」
「うわっ痴女だ」
「憲兵さーん痴女があそこに」
盗賊「うっ……うわあああああああああああああ!!」ダダダダダダダダダダ
盗賊「……もうお嫁にいけない」シクシク
エルフ「ふん!」プンプン
ヒーラー「」ボロボロ
戦士「どうしたのお前ら……」
ヒーラー「なんでもないよ……それより湖見てきたが」
戦士「見たか、でどうだった?」
ヒーラー「イタズラ好きの妖精が盗賊の服を持っていった」
戦士「……妖精?」
ヒーラー「ああ、いたぞ?」
戦士「俺はそんなもの見なかったぞ?」
ヒーラー「なに?」
戦士「もしかしたら、その妖精が鍵かもしれないな」
ヒーラー「そうかもな」
戦士「後でもう一回調べに行かないか?」
エルフ「妖精ですか……」
ヒーラー「故郷でも思い出したか?」
エルフ「それもありますけど、話を聞くかぎり妖精が国ごと妨害魔法をかけていると?」
ヒーラー「そうなるな」
エルフ「でも、それが妙なんですよ」
盗賊「どうして?」
エルフ「妖精は自分の縄張り一帯しか妨害や幻覚魔法を使えないんですよ」
ヒーラー「となると、裏になにかがいるのか?」
エルフ「そうなりますね」
戦士「まあ、調べないことに変わりはないな」
盗賊「召喚士と商人はどうするの?」
戦士「留守番だな、これだし」
召喚士「」グダー
商人「」グダー
____________
________
_____
___
_
エルフ「うふふふふふ、妖精さーん出ておいでー」
ヒーラー「なんだあれ」
盗賊「本人曰く妖精を呼びだす方法らしいよ」
戦士「流石エルフ、同じ自然の仲間について心得ているんだな」
エルフ「はやくしないと、煮て焼いて食べますよー」
ヒーラー「……なんか違うぞ?」
盗賊「大分個人的なものまで入ってきたよ」
エルフ「出ろよ!」
ヒーラー「うわ、本音だしたよ、つか本当に仲間?」
妖精「……」チャプン
エルフ「はっはじめまして!エルフと言います!」ペコリ
ヒーラー「おい、あいつ妖精相手に頭下げてんぞ」
盗賊「多分、 妖精>エルフ なんじゃない?」
戦士「そこは少し威厳持たせろよ」
妖精「なんですか?」
エルフ「はっはいいいい!少し伺いたい事がっ!」ビクビク
ヒーラー「なんか、見てて情けなくなってきた」
妖精「なに?」
エルフ「貴方があの国に妨害魔法もしくは幻覚魔法を?」
妖精「?国って何も無いじゃない」
エルフ「え?」
ヒーラー「どういうことだ?」
妖精「だって、このオアシスの周りには砂しかないんだよ?」
盗賊「……じゃあ、あたし達は」
戦士「いままで砂の上でうろつき廻ってたって事か?」
妖精「でも最近、あの周辺から嫌な気配がするんだよね」
エルフ「嫌な気配?」
妖精「うん、なんか地面から怨念というか、嫌な感じ」
ヒーラー「怨念?」
妖精「なんか、たくさんの人間が塊になった感じ」
盗賊「……塊」
戦士「あの国の地下になにかあるってことか」
エルフ「そうなりますね」
妖精「もう、帰っていい?」
盗賊「あっ!あたしの服と装備返してよ!」
盗賊「お帰り、あたしの装備」スリスリ
ヒーラー「で、どうする?」
戦士「どうするも、こうするも行くしかないじゃん?地下に」
エルフ「でも、地下ってどこに?」
盗賊「うーん……でもさ、信じられないよね」
ヒーラー「?」
盗賊「今、あたし達の目の前には町並みが広がっているけど、全部本当は幻覚なんでしょ?」
エルフ「……そうですよね」
ヒーラー「ちょっと失礼」ペタ
「ん?なんだアンタ?」
ヒーラー「悪い、なんでもないんだ」
「変な奴だな……」トコトコ
ヒーラー「こうやって、会話も触れることが出来るんだ」
エルフ「幻覚とは思えませんよね」
戦士「でも、現に俺達は閉じ込められているぞ?」
盗賊「まぁ、地下とやらを探そうよ!」
ヒーラー「ちょっと失礼」ペタ
「ん?なんだアンタ?」
ヒーラー「悪い、なんでもないんだ」
「変な奴だな……」トコトコ
ヒーラー「こうやって、会話も触れることが出来るんだ」
エルフ「幻覚とは思えませんよね」
戦士「でも、現に俺達は閉じ込められているぞ?」
盗賊「まぁ、地下とやらを探そうよ!」
ヒーラー「ここは、宮殿か?」
盗賊「みたいだね、いかにもアラビアンって感じ」
エルフ「立派な建物ですねー」
戦士「まあ、これが出来たせいで、餓死するやつも増えたみたいだがな」
ヒーラー「詳しいな」
戦士「まあ、1週間なにもしてなかったわけじゃないからな」
ヒーラー「ふうん」
盗賊「でも妙だね、警備隊みたいのも門も開けっ放しでいかにも無人って感じ」
エルフ「不気味ですね」
ギィ
盗賊「鍵もしてないね」
エルフ「誰かいませんかー!」
シーン
ヒーラー「町の活気とこのギャップ、絶対なにかあるな」
戦士「油断するなよ」シャキン
盗賊「おお!」
エルフ「おお!」
戦士「!?なんだおまえら?」
盗賊「やっぱり、男はこうでなくっちゃ!」
エルフ「ですよね!先陣を切るのが男性ですよね!」
戦士「????」
盗賊「それにくらべ、こっちは……」
エルフ「情けないというか、ヘタレというか」
ヒーラー「褒めんなよ恥ずかしい」
戦士「しかし、中はひどいなこりゃ」
エルフ「所々ボロボロですね」
盗賊「まさしく、なにかあるって感じだね」
ヒーラー「おーい、エルフ」
エルフ「なんですか?」
ヒーラー「これ」
骸骨「」
エルフ「ぎゃああああああああああああ!!」
ヒーラー「……」ヒリヒリ
エルフ「……」プンプン
盗賊「お兄さんが悪いよ今のは」
戦士「おい、階段見つけたぞ」
盗賊「……結構深いね」
戦士「どうする?何人かはこっちに残るか」
ヒーラー「ああ!」
盗賊「お兄さん……」
ヒーラー「俺と」
エルフ「私ですか」
コッコッコッコッコッ
ヒーラー「結構深いな……」
エルフ「ですね」
コッコッコッコッコッ
ヒーラー「……」
エルフ「(なんか会話が続かない……)」
エルフ「あの、ヒーラーさん?」
コッコッコッコッ
ヒーラー「なんだ?」
コッコッコッコッ
エルフ「ヒーラーさんは、恩人とやらを見つけたら、その後はどうするんですか?」
コッコッコッコッ
ヒーラー「そうだな……考えてもいなかった」
エルフ「あの」
エルフ「もし、なんですけど」
ヒーラー「?」
エルフ「ヒーラーさんの旅の目的が終わっても」
エルフ「私は、貴方についていってもいいですか?」
コッコッコッコッ
ヒーラー「……故郷には帰らないのか?」
コッコッコッコッ
エルフ「……」
ヒーラー「お前、前に話したよな?故郷を飛び出してきた理由」
エルフ「今の私には、仲間を導いていく力がないと言いましたが」
ヒーラー「一応、エルフ族の中でも王族の地位なんだろ?」
エルフ「はい、今は父上が王位に就いていますね」
ヒーラー「で、母親は?」
エルフ「……病気で亡くなりました」
ヒーラー「……そうだったな、でもさ」
エルフ「?」
ヒーラー「お前の父親は一人娘がいなくなって不安じゃないのか?」
エルフ「それはありえません、父上は男の子がほしかったらしいですから」
ヒーラー「まあ、姫より王子の方が格好はつくしな」
エルフ「ええ、だから親の愛情というものを知らずに生きてきましたよ」
ヒーラー「でもさ」
ヒーラー「多種族の家族の事はわからないけどさ、一応家族なんだろ?」
ヒーラー「会ってやれよ、きっとあっちも寂しがってるぜ?」
エルフ「……」
コッコッコッコッコッ
エルフ「着きましたね」
ヒーラー「しかし、扉一枚とは絶対何かあるな、これ」
エルフ「……開けますよ」ガチャ
キィ
ヒーラー「……教会か?これは」
エルフ「なんで地下にこんなものが……」
ゴロッ
ヒーラー「ん?」
骸骨「」
骸骨「」
骸骨「」
エルフ「ひっ!?」
ヒーラー「……多いな」
エルフ「……不気味ですね」
ヒーラー「でも、この骸骨達には生前に受けた傷みたいな物がないな」
エルフ「……餓死ですか?」
ヒーラー「そうなるな」
ヒーラー「でも、どうしてだ?」
カタッ カタッ
エルフ「っ誰!?」シャキン
カタッ カタッ
「ようこそ、外来者」
ヒーラー「!?」
エルフ「……貴方が私達を閉じ込めたのですね?」ジリッ
「そうだね、そうなるね」
ヒーラー「(暗くて、姿がよく見えないな)」
エルフ「なぜ、そんな事を!」
「ここに来たという事は、感づいているんじゃないのかい?」
「ここが幻で出来た国だと」
ヒーラー「【フラッシュ】」ピカッ
エルフ「ヒーラーさん!?」
ヒーラー「これがお前の姿か……!」
「せっかくだから自己紹介をしよう」
「僕はヨルムガンド」
「この国の王子となるはずの人間だった存在だよ」
ヒーラー「……だった?」
「そう、僕は生まれて間も無くすぐに、砂漠の海に捨てられた」
「父親の手によってね」
「当然、赤ん坊だった僕には足掻くことも敵わなかった」
「あっという間に、砂の揺りかごの中さ」
「でもね、生まれて間もないのに、恨みという感情だけは持っていたんだ」
「しかも、砂の中に埋もれてから、声が聞こえたんだ」
「そう、かつてこの国で貧富の差や戦争で命を落としたものたちのね」
「そっからはあっという間だった、人々の怨念に包まれた僕は」
「ただ復讐するだけの存在に生まれ変わっていた」
「目覚めた僕は、国を真っ先に砂の中に埋めてやった」
エルフ「なぜ、そんな事を」
「なぜ?意味なんてないよ」
「僕は人々の恨みや怨念で生まれた存在、ただ復讐を果たすだけ」
「だから埋めてやった、それだけだよ」
ヒーラー「の割りには、幻でも国を再現しているな」
「ああ、それはね」
「僕の存在は確かに、人の怨念で出来ている」
「でも、それだけじゃ足りなくなってきた」
「変な空腹感を覚えたんだ」
「ある時、この国の真上に旅人が歩いたのに気づいた」
「その時、体が自然と生身の人間の魂を求めていたんだ」
「そこで僕は旅人にかつてのこの国を見せてあげた」
「そしたら、旅人は案の上ここに滞在を始めた、幻の国にね」
「この国滞在した人々の魂を少しづつ奪う事に成功した」
「とても魂は美味だからね、いっきに吸わないように少しづつね」
エルフ「(だから、商人さんや召喚士さんはあんなに脱力してたんですか)」
「で、説明はもういいかな?」
「来訪者」
ズオオッ
ヒーラー「エルフ!階段まで走るぞ!」ダッ
エルフ「っ!?ハイッ!」ダッ
「逃がさないよ」
ボオオオオオッ
ヒーラー「黒い炎!?」ダダダダダダ
エルフ「急いで!!」ダダダダダダダ
「待ちなよ!」ブオッ
エルフ「正面からとは、愚の骨頂!」ブンッ
ヒーラー「おい!相手にすんな!!」
スカッ
エルフ「剣がすり抜けた!?」
「僕はただの存在だよ、本体なんてないんだよ」
「捕まえた」ゾゾゾゾゾゾゾ
エルフ「っぐああああああああ!?」ゾゾゾゾゾ
ヒーラー「エルフっ!!」グイッ
ヒーラー「おい!大丈夫か!!」
エルフ「」グッタリ
「少しばかり、魂をご馳走になったよ」
ヒーラー「っ糞!」ダッ
エルフ「」
「仲間を担いだまま、僕から逃げれるとでも?」
ヒーラー「っはあ!ぜぇはぁ!」タッタッタッタッ
ヒーラー「畜生が!なにがヨルムガンドだ!」タッタッタッ
ヒーラー「存在だけとか!どうやって対処するんだよ!」
エルフ「」
ヒーラー「ん?まてよ本体?」
ヒーラー「あいつは無いと言ったが、本当か?」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
ヒーラー「考える間も無しかよ!?」タッタッタッ
盗賊「遅いね」
戦士「そうだな」
盗賊「しりとりしようか」
戦士「ルール」
盗賊「ルノアール」
戦士「ルーブル」
盗賊「るだけだね」
戦士「そうだな」
ウォー ドドドドドドドドドド
盗賊「ん?階段からものすごい勢いで何かくるよ?」
戦士「帰って来たのか?」
盗賊「うーん」
ヒーラー「お前ら!逃げろ!!」バッ
盗賊「え?」
戦士「は?」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「何かキター」
戦士「なにこれ?」
盗賊「お兄さん、エルフちゃん担いでどうしたの!?」
戦士「わけを話せ!」
ヒーラー「
黒幕はこの国が生んだ憎悪の塊ヨルムガンド!
奴に攻撃は通用しない!
しかし、一つ希望がある!奴の本体を見つけ出そう!」
盗賊「すごいまとめたね」
ヒーラー「おい!戦士!」
戦士「なんだ!?」
ヒーラー「この国について調べたんだよな!?」
戦士「ああ!」
ヒーラー「なら聞きたい事がある!」
ヒーラー「この国で生まれてすぐ捨てられた王族の子の話は知っているか?」
戦士「ああ!」
ヒーラー「埋められた場所は?」
戦士「確か、あのオアシスの辺りだと聞いた!!」
ヒーラー「そうか」
盗賊「お兄さん、いったい何を」
ヒーラー「掘り起こすんだよ!あれの本体を!」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
______
____
__
_
__________
盗賊「まったく……お兄さんは女の子の扱いがひどいね!」ザッ
ゾゾゾゾゾゾゾゾ
「逃げても無駄だよ」
ゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「こんなやつを、オアシス方に近づけないようにとは!」タタタタタタタタ
盗賊「しかも、囮はあたし?ふざけんなよと」バッ
ゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「これは10000G位貰ってもいいよね!」タタタタタタタタタ
ヒーラー「これからー第一回死体堀り大会を始めマース」
戦士「ヒューヒュー!」
ヒーラー「えーこれより、我々は全力を出して、死体を掘りたいと思います」
戦士「賞金は?」
ヒーラー「このエルフの脱ぎたてパンツを差し上げます!」
エルフ「」グッタリ
妖精「なにこの状況」
ヒーラー「じゃあ俺はここからやるからな!」
戦士「じゃあ俺はここ!」
妖精「……」
ヒーラー「おい!」
妖精「な!?何?」
ヒーラー「お前はそこな!」
妖精「え?」
ヒーラー「スタート!!」
戦士「よっころらせ」ザッザッザッ
妖精「え?」
ヒーラー「おい、妖精さぼんじゃねえ!」
戦士「そうだそうだ」
妖精「え」
ヒーラー「早く掘らないとこの湖に小便かけんぞ!」
戦士「ウンコすっぞ!」
妖精「止めて!」
ヒーラー「じゃあ掘れ」
妖精「……はい」
____________
盗賊「っと!」タッ
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
「すばしっこい小娘め」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「あいにく様!それが売りでね!」バッ
盗賊「お兄さん!早くしてよ!」タタタタタタタタタタタタ
ヒーラー「いやー砂漠の中のオアシスってのもいいねー」
戦士「まるで海にいるみたいだな」
ヒーラー「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
戦士「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
妖精「っハア……ハア……」ザクッザクッザクッ
ヒーラー「ほらー早く掘れよー」
妖精「……ふえぇ」グスッ
_____________
タタタタタタタタタタタタ
盗賊「……っ!」タタタタタタタタタタタタ
「どうしたんだい?疲れたのかい!」
盗賊「っなわけ!ない!」ダダダダダッダダダ
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
「もうあきらめなよ」
盗賊「誰が諦めるもんか!!」タタタタタタタタタタタ
盗賊「(お兄さん!早くしてよ!)」
ヒーラー「いやさ、もうなんていうかね?無理みたいな?」
戦士「なにこれ?レアドロップアイテムじゃあるまいし」
妖精「うええーん」ザクッザクッザクッ
ヒーラー「泣くな!早く掘れ!」
戦士「そうだ!そうだ!」
妖精「……もうやだ」ザクッザクッザクッ
ガッ!
戦士「棺?」
ヒーラー「おめでとう!妖精ちゃんには、エルフの脱ぎたてパンツプレゼント!」ガバッ
妖精「!?ムグググググ」ジタバタジタバタ
ヒーラー「で、開けるぞ」グッ
戦士「意外と硬いな」グググググ
パカッ
ヒーラー「これが……ヨルムガンドの本体か」
戦士「赤子の骨だな……」
ヒーラー「で、どうする?骨全部折ってみるか?」
戦士「粉々にしたほうがいいんじゃね?」
ヒーラー「どうしようか……」
戦士「……ヨルムガンドは怨念の塊だよな?」
ヒーラー「そう言っていたな」
戦士「成仏させてやるってのは?」
ヒーラー「……俺の仕事か」ハァ
盗賊「っツ!?」ドサッ
「もう疲れてしまのかい?」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「(やばい!やばい!やばい!)」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
ヒーラー「えーヨルム君聞こえるかー?」
盗賊「(お兄さん!)」ダッ
「なんだ、まだ逃げていなかったのか」
ヒーラー「当たり前だー馬鹿野郎ーこの野郎」
盗賊「お兄さん、その手に持っているのが本体なの?」
戦士「そうだとも、よくがんばったなちびっ子」
盗賊「……で、どうするの?」
「なんだい?全員そろってノコノコと、サービスかい?」
ヒーラー「この死体が、目に入らんか!」グイッ
「それは!?……見つかってしまったのか」
ヒーラー「ああ、苦労したけどな」
「そんなもの!今更見つけても遅い!」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
盗賊「お兄さん!来ますよ!」
ヒーラー「盗賊……爆弾まだ持ってる?」
盗賊「へ?」
ヒーラー「はい!ストップ!」
「……なんのマネだい?」
ヒーラー「それ以上動くと、この中身がすっからかんの頭蓋骨の中に爆弾をいれるぞー」
「脅迫するつもりかい?」
ヒーラー「いや、成仏だ」
「成仏?この僕をかい?」
ヒーラー「ああ」
「笑わせるね、怨念の塊なんだ!復讐以外に成仏はできないね!!」
ヒーラー「別に成仏はなにも、無念を果たすだけじゃない」
ヒーラー「……強制的にもできる」
「貴様!まさか!」
ヒーラー「悪いな、俺は聖職者じゃないんだ、慈悲はないよ」シュボ
「やっ!?やめろぉ!」
ヒーラー「皆、伏せろ!」ポイッ
戦士「っ!」バッ
盗賊「!」バッ
ドゴンッ!
パラパラパラ
盗賊「……やった?」
戦士「いや、まだか!?」
「少し、驚いたよ、たしかに本体のケースは壊れたよ」
「だけど、中身の怨念までは消せなかったみたいだね」
ヒーラー「じゃあ、この怨念はこれに耐えられるか?」
「ん?なんだ?その魔法陣は?」
ヒーラー「くたばれ!【ヒーリング】」パアッ
「!?まさか!」キラキラ
ヒーラー「怨念はいわば、癌みたいな物だ、なら治療をしてしまえばいいだけ」
「うっ!?うあああああああああああああああ!!」キラキラ
ヒーラー「消えろ、ヨルムガンド」
______________
_________
_____
__
_
盗賊「終わった?」
戦士「みたいだな」
ヒーラー「……あいつは、この国の人だけじゃない、色んな人を巻き込みすぎた」
ヒーラー「怨念が怨念を呼ぶ、皮肉だな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
戦士「なんだ?地震か?」
盗賊「なんか、建物がどんどん沈んでない?」
ヒーラー「多分、幻覚魔法が切れたからじゃね?」
盗賊「つか戦士、仲間はいいの?」
戦士「あ!?宿屋の中だ!」
戦士「国が砂になっていく」
ヒーラー「このあたり一面は、オアシス以外消えちまったな」
盗賊「なんか、虚しいね」
ヒーラー「結局、親に捨てられたヨルムガンドは何がしたかったんだろうな」
戦士「あいつ、復讐っていつまで続けるつもりだったんだ?」
ヒーラー「さあね、俺にはわからんよ」
盗賊「……久々にお兄さんがかっこよく見えたよ」
ヒーラー「よせやい、照れるじゃないか」
盗賊「そういえばさ」
ヒーラー「ん?」
盗賊「さっき怨念が怨念を呼ぶっていったけど」
盗賊「それはエルフちゃんがやられたことへの恨み?」ニヤニヤ
ヒーラー「な!?それはだな!」アセアセ
盗賊「意外とお兄さんも仲間思いだね!」
戦士「なんだ、冷酷なやつだと思ったけど以外だな」
召喚士「っううん……ここは?」
商人「……なんで宿じゃないの?」
戦士「おお!お前ら!」
盗賊「あちらは、もう大丈夫みたいだね」
ヒーラー「後はこいつだな」
エルフ「」
妖精「ウグググウググッ」ジタバタ
盗賊「……なんで妖精がパンツの中に包まっているの?」
戦士「あれじゃないのか?眠りのお姫様」
盗賊「ああ、キスしたら目が覚めるあれ?」
ヒーラー「……何がいいたい?」
商人「しろってことよ」
ヒーラー「初対面の人に言うことか?それ」
ヒーラー「……」
戦士「ほれ、キースッ!キースッ!」
盗賊「キースッ!キースッ!」
召喚士「キースッ!キースッ!」
商人「キースッ!キースッ!」
妖精「キースッ!キースッ!」
ヒーラー「なんだこれ」
戦士「ほらほら、何恥ずかしがってんだよ!」
盗賊「ここでしなきゃ男らしくないよね!」
ヒーラー「ったく、わかったよ」グイッ
エルフ「」
盗賊「(あれ?意外と男らしくないって言葉使えるんじゃない?)」
ヒーラー「……」ジー
エルフ「」
チュ
盗賊「ウフォオオオオオオオオ!!したああああああ!!」
戦士「でも意外と呆気ないな」
ヒーラー「そうか?なら」
ヂュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル
盗賊「あっあのー」
戦士「なにもそこまでしなくても……」
商人「ディープね、あれ」
召喚士「……」
ヂュルルルルルルルルルルルルルルルル
盗賊「あのー流石にもういいよ?」
戦士「おーい?聞いてるか?」
エルフ「」フヤフヤ
盗賊「(うわ、唇ふやけてるよ)」
ヒーラー「どうだ?満足か?」
戦士「うん、ごめん」
盗賊「でもここまで、しても起きないなんて」
商人「死んだんじゃないの」
ヒーラー「ぱっと出の癖に……」
商人「ああ?」
ヒーラー「商売人の癖に口悪いなコイツ」
ヒーラー「さて、どうしようか」
エルフ「」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
盗賊「何!?」
戦士「おい!あれ!」
「……」
ヒーラー「まだやるつもりか!ヨルムガンド!」
「プルプル、僕悪いヨルムガンドじゃないよ」
ヒーラー「は?」
「君の魔法で怨念が浄化されたんだ、そりゃいい子になるよ」
戦士「そんな馬鹿な」
「そうだ、お詫びの印にこれをあげよう」スッ
ヒーラー「剣?」パシッ
「この地に伝わる伝説の剣だ、大事にするといい」
盗賊「はあ」
「じゃあ僕は、おとなしくこの地で眠りにつくよ!またね!」スゥー
ヒーラー「……なんか、拍子抜けだな」
盗賊「……うん」
ヒーラー「さて」
盗賊「何してるのお兄さん」
エルフ「」ピトッ
ヒーラー「コイツ、剣の匂いで起きるんじゃね?」
盗賊「……ありえる」
エルフ「う……ううん」ムクッ
ヒーラー「ほら、起きた」
盗賊「期待を裏切らないね」
エルフ「おはようございます……ん?これは!?」クワッ
ヒーラー「うわ!?」
エルフ「この剣は……シヴァ神がトリヴィクラマセーナ王に授けたと
言われる伝説の剣、通称「無敵」アパラージタ!?」
ヒーラー「……すげえな」
盗賊「流石に引くわ」
_______________
戦士「じゃあ、そっちのツレも大丈夫みたいだからな」
召喚士「知らない間に世話になったね」
商人「こんど会ったら、売り物一割引きで売ってやるよ!」
ヒーラー「ああ、またな」
エルフ「武運を」
盗賊「またねー」
戦士「ありがとよ!恩人達!」トコトコ
ヒーラー「(恩人か)」
ヒーラー「(……俺は誰かの役に立てる人間になっているのかな?)」
ヒーラー「(あの人のように)」ピラッ
エルフ「次はどこに行きましょうか?」
ヒーラー「うーん……手がかり無しだからな」
盗賊「あっ!?あれ!」
ヒーラー「ん?」
ヒュウウウウウウウウウウウウ
ヒーラー「あれは、スカイフィッシュの群れか……」
エルフ「……初めてみました」
盗賊「あの方向……そうだ!」
エルフ「?」
盗賊「さっき、商人ちゃんから聞いたんだけどさ」
盗賊「あの方向、水の都に着くみたいだよ!」
ヒーラー「水ねぇ……」
エルフ「もう砂漠は懲り懲りです……」
盗賊「じゃあ決定!行こう!」トコトコ
エルフ「待ってくださいよ!」トコトコ
ヒーラー「たまには、気ままに進むのもいいか」トコトコ
盗賊「あっ!そうだエルフちゃん!いいお話があるんだけど!」
エルフ「ん?なんですか?」
盗賊「さっきね!お兄さんが、エルフちゃんにキスしたんだよ!」
エルフ「……は?///」
盗賊「それもめちゃ激しいの!」
ヒーラー「……空は青いなー」
エルフ「……ヒーラーさん」
ヒーラー「……空気はおいしいなー」
エルフ「ヒーラーさん!」
ヒーラー「あっ!剣が落ちてる!」ビシッ
エルフ「えっ!?どこ!?」
ヒーラー「馬鹿め!」ダッ
エルフ「あっ、待て!」ダッ
盗賊「……やっぱり面白いな、あの二人」ニヤニヤ
盗賊「しばらく、付いて行こうかな?」
盗賊「おーい!待ってよー!!」
ヒュウウウウウウウウウ
「……」
憶えていないほど昔に
僕は親に捨てられた
それから
僕は何を求めていたのだろうか
怨念?復讐?野望?
違う
幼い僕はもしかしたら
あの男の人が与えてくれた
暖かい光、多分、親の温もりを
求めていたのだろう
「……ありがとう、恩人さん」スゥ
終わり
おまけ
盗賊「(ヒーラーさんは男らしいと言う言葉をかけられると後に引けないらしい)」
盗賊「(試してみた)」
盗賊「ねえ、お兄さん」
ヒーラー「なんだ?」
盗賊「……あたしと、いいことしない?」
ヒーラー「……まな板」
盗賊「うるさい!成長期だ!」
盗賊「こんな可愛い子が誘っているんだよ?」プリプリ
ヒーラー「……いいから寝ろよ」
盗賊「……ふーん、男らしくないね」
ヒーラー「!?」ピクッ
ヒーラー「何?」
盗賊「(来た!)」
盗賊「うん、男らしくない!」
ヒーラー「……」ユラリ
盗賊「え?」ガシッ
ヒーラー「……いいだろう」
盗賊「ちょ、ちょっと!?冗談だよ?」アセアセ
ヒーラー「……ヤってやるよ」ドンッ
盗賊「きゃ!?」ドサッ
エルフ「フフフ……このアパラージタがあれば!!」シャキン
エルフ「恐れるものはない!」
エルフ「よし!素振り1000回!行ってきます!」ダッ
ヒーラー「……邪魔者はいない」
盗賊「え?待って?ねえ?ねえったら!?」
ヒーラー「俺のメイスの棒が輝いているんでな」ボッキーン
盗賊「ねえ?ねえ!?」ゾゾゾゾ
ヒーラー「はあああああああああああ!」ガバッ
ソンナトコロ ダメェ
ウルセェ ダマッテクワエテロ!
ウグググ フトイ!?
サア カンネンシロ
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
____________
_______
___
__
_
ヒーラー「はっ!?」ガバッ
ヒーラー「……夢?」
ヒーラー「貯まってるのかな?俺?」
モゾモゾ
ヒーラー「ん?」
盗賊「zzz」スヤスヤ
ヒーラー「え?なんで?夢じゃないの?」
ガチャ
エルフ「ヒーラーさん!朝で……」
ヒーラー「あ」
盗賊「zzz」
エルフ「……っ死ね!」バキッ
ヒーラー「ウボォア!?」
盗賊「zzz」ニヤニヤ
おしまい