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13.真冬の帰路
December Third Friday 19:10
-第七学区・街頭-
上条「大量の食料ありがとなー!!」ノシ
土御門「弁当奢ってくれてありがとな―!!」ノシ
青ピ「同じくー!!」ノシ
一方通行「うっとォしいから街中で大声上げてンじゃねェ馬鹿どもッ!!」
結標「貴方も大概じゃない?」
一方通行「は?」
結標「……でもよかったの? 私が払おうと思った打ち止めちゃんのお菓子代まで払わせちゃって?」
一方通行「チッ、別に構わねェよ。一々バラバラに払ってたら時間が無駄なだけだ」
結標「そう、それならいいけど……」
結標「……しっかし、もうすっかりクリスマスシーズンねー」
一方通行「結構それ今更じゃねェか? 十二月中旬くれェから馬鹿どもがハシャいでただろ」
結標「んー、まあそうだけどさー。こういうイルミネーションとか飾り付けを見てると改めて思うわけよ」
一方通行「あー、さいですか……」
結標「何よ? クリスマスが近いっていうのにエラく無気力ね?」
一方通行「どォでもいいわそンなモン」
結標「……最近の若者とは思えない発言ね」
一方通行「大体こンなモンだろ男なンて。クリスマスなンかで騒ぐのは馬鹿と女子供だけだろ」
結標「ええー、貴方がおかしいだけじゃないの?」
一方通行「何でだよ?」
結標「クラスのみんなは騒いでたじゃない!」
一方通行「……馬鹿しかいねェンじゃねェか?」
結標「……はぁ、どうして貴方はこうイベントとかには無関心なの?」
一方通行「今まで楽しかった記憶がねェからな」
結標「……そう……なんかゴメン」
一方通行「別に気にしちゃいねェよ」
結標「うーん、それならこれから作っていけばいいじゃない」
一方通行「何をだ?」
結標「楽しい思い出」
一方通行「……ケッ、その言葉ァ記憶喪失中のオマエにそっくりそのまま返してやるよ」
結標「ふふん、そんなこと言われなくてもコッチは端っからそのつもりよ!」
一方通行「ハイハイそォですかァ……」
結標「…………」
一方通行「…………」
結標「あっ、そうだ!」
一方通行「あァ?」
結標「クリスマスパーティーやりましょうよ!」
一方通行「クリスマスパーティーだァ?」
結標「そうそうクリスマスパーティー!」
一方通行「却下」
結標「な、何でよ!?」
一方通行「面倒臭ェ」
結標「はぁ……貴方ねえ……」
一方通行「つゥかそンなモン開催したら、ただでさえうっとォしいクソガキがさらに面倒臭くなンじゃねェか」
結標「ええー、最近打ち止めちゃん寂しそうにしてたわよ。『あの人が最近構ってくれない!』って」
一方通行「クソがァ、もうすでに面倒臭ェ状況になってンじゃねェかァ」
結標「だからクリスマスぐらい構ってあげなさいよ」
一方通行「これから冬休みだってンだからイヤでも構わざる得ねェじゃねェか」
結標「貴方は冬休み中も補習があるんじゃないの?」
一方通行「…………」
結標「はいじゃあ決定!」
一方通行「つゥか、黄泉川から許しが出なけりゃあ決定もクソもねェだろォが」
結標「大丈夫よ! 黄泉川さんならきっと許してくれるわ!」
一方通行「……確かにそォだな」
結標「ふふん」
一方通行「面倒臭ェ」
結標「その面倒臭いのベクトルを得意のベクトル操作で、楽しいのベクトルに変換できないの?」
一方通行「面倒臭ェ」
結標「まったく……あっ」タッ
一方通行「大体よォ、俺のベクトル操作はそンなことのために使うチカラじゃねェ」
結標「…………」
一方通行「そもそもそンな訳のわからねェベクトルを操作できるわけ――結標?」
結標「…………」
一方通行「何そンなところで突っ立ってンだよ?」
結標「あっ、いや」
一方通行「あァ? 何だこりゃ? ペンダント?」
結標「う、うん。かわいいなあと思って……」
一方通行「へー、俺にはよくわかンねェなァ。全部一緒に見える」
結標「ええっ? 全然違うわよ! ほら、ここの部分とか」
一方通行「知るか」
結標「はぁ……まあ、いいわ。行きましょ?」
一方通行「あァ? 買わねェのか」
結標「えっ?」
一方通行「買うために立ち止まったンじゃねェのか?」
結標「な、何言ってんの馬鹿ねえ。買えるわけないじゃないそんな高いの」
一方通行「……まァ、たしかに学園都市は学生生活に必要ねェモンにはとことン税とかをかけるからなァ」
結標「そーいうこと。じゃ、行きましょ?」
一方通行「……ああ」
───
──
─
─
──
───
同日 20:00
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
結標「ただいま戻りましたー!」
一方通行「あー、さっさと深い眠りにつきてェ……」
黄泉川「おかえりじゃんよ! 夕飯出来てるから手洗いうがいしてから食べるじゃんよ!」
結標「はーい」
一方通行「俺ァそンなモン食わずにとっとと寝床に入りてェンだけどよォ」
黄泉川「ちゃんとごはんは食べて、お風呂に入らないとダメじゃん!」
一方通行「チッ、面倒臭ェ……」
───
──
─
─
──
───
打ち止め「あー、二人とも帰ってたんだー! おかえりー! ってミサカはミサカは夕飯を食べてる二人のもとに駆け寄ってみたり」トテチテ
結標「あ、打ち止めちゃん。パジャマってことはもうお風呂には入ったの?」
打ち止め「うんそうだよー、ってミサカはミサカはシャンプーの香りを振りまきながら答えてみたり」フワーン
一方通行「くっだらねェことでハシャいでンじゃねェよクソガキ」ズズズ
結標「あっ、そうだ打ち止めちゃん。はい、頼まれてたお菓子!」スッ
打ち止め「わー、ありがとーアワキお姉ちゃん!」ガサ
打ち止め「……おおっ! 袋の中にお菓子がいっぱいだぁ、ってミサカはミサカはおいしそうなお菓子達を見て舌なめずりしてみたり」ジュルリ
黄泉川「打ち止め! もう歯磨きしたんだから、食べるのは明日じゃん!」
打ち止め「そ、それくらいわかってるよー、ってミサカはミサカはごまかし笑いを浮かべながら手に持ってる袋をテーブルの上に置いてみたり」アハハ
結標「ところで黄泉川さん。ちょっと話があるんですけど……」
黄泉川「ん? 何じゃん?」
結標「今月の二十四日にクリスマスパーティーをやりたいなと思いまして……」
黄泉川「クリスマスパーティーじゃん?」
打ち止め「おおー! いいねいいねやろうやろう!! ってミサカはミサカはテンションを急上昇させてみたり!!」
一方通行「……予想通りクソガキがいつもより面倒になりやがった」
黄泉川「うーん、まあ別に構わないじゃん!」
結標「やったー!」
打ち止め「イエーイ!!」
一方通行「……くっだらねェ」ハァ
黄泉川「ところでそのパーティーは友達とかは呼ぶじゃん?」
結標「うーん、その発想はなかったわ……」
一方通行「オイオイ、上条や女子連中はともかくあの変態二人はこの部屋に入れたくねェぞ」
結標「酷い言われようね。あの二人」
打ち止め「変態二人ってあの金髪サングラスの人と青髪ピアスの人だよね? ってミサカはミサカは歓迎会の時のことを思い出しながら尋ねてみたり」
一方通行「そォだ。アイツ等には死んでも近づくな。アイツ等の存在そのものが教育に悪りィ」
結標「貴方自体も別のベクトルで教育に悪いわよねー?」
一方通行「あァ? なんか言ったか結標ェ?」
結標「別にー」
黄泉川「わはははーっ! いやー、すっかりクラスに馴染んでるようで嬉しいじゃん!」
一方通行「馴染ンでねェよボケ!」
結標「何言ってんのよ? わざわざ休みの日に学校に行くくらいクラスに馴染んでるじゃない?」
一方通行「コッチは行きたくて行ってンじゃねェよ!」
黄泉川「あははー、まあ友達呼ぶんだったらあらかじめ人数を教えて欲しいじゃん? こっちも準備をしないとだし」
結標「わかりましたー!」
打ち止め「おおおおっ! 高ぶってきたー! ってミサカはミサカは興奮を押さえ切れなかったりにゃん!」
一方通行「…………にゃン?」
打ち止め「……あっ」
一方通行「……オイクソガキ。いつからオマエの語尾は『にゃン』になったンだァ?」
打ち止め「……な、何でもないよ気のせいだよ、ってミサカはミサ──」ワタワタ
黄泉川「そういえば打ち止め、さっきから変な歌ばっか歌ってたな」
打ち止め「ちょ、ちょっとヨミカワ──」
一方通行「黄泉川ァ。このガキは何て歌ってたんだァ?」
黄泉川「ええとたしか……はぁぁぴぃにゅうにゃあ♪ みたいな」
一方通行「」
結標「ぶっ!?」
打ち止め「あわわわ~~」オロオロ
一方通行「……オイクソガキ」
打ち止め「な、何かな? ってミサカはミサカは戸惑いを必死に隠しながら聞いてみる」
一方通行「オマエあの事知ってンのか?」
打ち止め「あ、あの事って?」
一方通行「カラオケで俺がひでェ曲を歌ったことだよォ」
打ち止め「……う、うん。実はとある下位個体からネットワークを介して聞いたの、ってミサカはミサカは経緯を説明してみたり」
一方通行(あ、あン時のヤツかッ!?)
結標「……ぷぷぷ」←思い出し笑いをしてる
一方通行「オイ、まさかこの情報はミサカネットワーク上に……」
打ち止め「……ネットワークは大盛り上がりです……はい」
一方通行「…………」
打ち止め「…………」
結標「ぷぷぷ……ぷぷぷ」
黄泉川「?」
一方通行「あァああああああああッ!! 消去しろッ!! 今すぐその記憶を消去しろォ!!」
打ち止め「え、ええええっ!? そ、そんないきなり言われても――」
一方通行「出来ンだろッ!? 上位個体の権限使えばよォ!?」
打ち止め「う、うう、そりゃあできるけどぉ……」
一方通行「今すぐやれ」
打ち止め「うう……わかったよ。ええと……」
打ち止め「全下位個体の記憶及びネットワーク上から『アクセラレータのカラオケ』を削除、ってミサカはミサカは上位個体の権限で記憶改竄を行ってみたり」ビビッ
一方通行「よォし、よくやったイイ子だ」ナデナデ
打ち止め「え、えへへ……」
一方通行「絶対その記憶をネットワークに流すなよォ?」ニコォ
打ち止め「は、はい……」ビク
結標(あ、一方通行が今までにないくらい怖い顔してる……!?)ガクブル
14.二日前 ~一方通行編~
December forth Saturday 07:45
-黄泉川家・リビング-
一方通行「……そろそろ時間だから行ってくる」カツンカツン
打ち止め「いってらっしゃーい! ってミサカはミサカは手を大きく振って見送ってみたり」ノシ
黄泉川「がんばって勉強してくるじゃんよ!」
芳川「夕飯までには帰ってくるのよー」
一方通行「うっせェ! 大体オマエは料理作らねェじゃねェか!」
芳川「あら、まさか反応してくれるとは思わなかったわ」
一方通行「チッ、うっとォしい」ガチャ
ガチャ
結標「あれ、もう出るの?」
一方通行「もうっつゥか普通に出る時間だろ」
結標「言われてみればそうね。じゃ、がんばってね。いろいろと」
一方通行「……おォ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:30
-とある高校・一年七組教室-
ガラララ
一方通行「…………」カツンカツン
上条「よお一方通行。遅いじゃねえか」
一方通行「そォか? いつもこれくれェだろ」
上条「いや、いっつもお前俺より早く来てる気がしてさ」
一方通行「果てしなくどォでもイイな」ガタッ
上条「……はぁ、今日から補習とか鬱になるなー、もう慣れたけど」
一方通行「それについては同感してやるよ。正直面倒臭ェ」
上条「お前って『面倒臭ェ』が口癖か何かか?」
一方通行「……そンなに俺それ言ってるか?」
上条「一つの会話に二、三回は言ってんじゃねえか?」
一方通行「さすがにそれはねェだろ」
上条「まあ、それはなくても結構な回数言ってるぜ?」
一方通行「……まァ、どォでもイイけどな」
ガラララ
小萌「はーい皆さんおはようございますー」
上条・一方「「おはようございまーす」」
小萌「じゃあ今日から補習頑張っていきましょう!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:30 ~補習・お昼休憩~
-とある高校・一年七組教室-
上条「――クリスマスパーティー?」
一方通行「ああ」
上条「すげえなー、よくそんなもの開催しようと思ったなー」
一方通行「俺じゃねェ。結標のヤツだ」
上条「ああ、結標か」
一方通行「ハァ……面倒臭ェ」
上条「でもいいんじゃないか? 楽しそうだし」
一方通行「俺からしちゃあクソガキの面倒見ンのが果てしなく面倒臭ェンだよ」
上条「過保護だなー。別にクリスマスパーティーの時くらいそういうの忘れて、パーティーを楽しめばいいのに」
一方通行「俺がそンなパーティーを楽しむよォな人間に見えるか?」
上条「大丈夫だって、努力すれば人はきっと変われるぜ!」
一方通行「何で俺がそンな面倒な努力をしなきゃなンねェンだ?」
上条「何でもかんでも面倒臭いって言ってたら人生つまんなくないか?」
一方通行「……ケッ、くっだらねェ」ズズズ
上条「まあ、人の価値観なんて人それぞれだけどな」パクパク
一方通行「…………」
上条「…………」ムシャムシャ
一方通行「なァ上条」
上条「何だ?」
一方通行「オマエ二十四日暇か?」
上条「二十四日か? えーと、ああ暇だぜ」
一方通行「オマエパーティーに来いよ」
上条「……えっ、上条さんが行ってもよろしいのでせうか?」
一方通行「別に構わねェよ。その方が好都合だ」
上条「しかし何でまた俺なんだ?」
一方通行「何かこのパーティーは、『トモダチ』を呼ばなきゃいけねェよォな流れになってンだ」
上条「へー、それで俺を誘ったわけか」
一方通行「まァな」
上条「……よし! じゃあ上条さんも行かせてもらいますよ! そのパーティー!」
一方通行「……わかった。じゃあ、ウチのヤツに連絡しとくか」カチャ
上条「あ、それならインデックスの晩飯作っとかなきゃいけねえな……」
一方通行「ならインデックスも連れてくればいいじゃねェか」
上条「あれ? いいんでせうか? アイツの食う量半端じゃねえぞ?」
一方通行「とりあえず三十人前くれェ用意しときゃいいだろ」
上条「……本当にすみません」
一方通行「もう慣れた」
上条「……そういえばこのパーティーは、友達を呼ばなければいけないとか何とか言ってたよな?」
一方通行「ああ、それがどォした?」
上条「ってことは土御門と青髪ピアスも呼ぶのか?」
一方通行「呼ばねェ」
上条「何で?」
一方通行「アイツ等の存在そのものがガキの教育に悪すぎる」
上条「……ああ、そうだな。あいつらは子供の前でR18指定用語を息を吐くように喋り出すヤツらだからな」
一方通行「よくわかってンじゃねェか」
上条「それなりに付き合い長いですから……(まあ記憶にはないけど……)」
一方通行「だからアイツ等は誘わねェ」
上条「まあ、青髪ピアスはともかく土御門は誘っても来ねえと思うけどな」
一方通行「あァ? 何でだ?」
上条「アイツはイブは義妹と過ごすって言ってた」
一方通行「仲がよろしいこった」
上条「そういえば吹寄や姫神はどうするんだ?」
一方通行「そっちは結標が誘うだろ。俺は関与しねェしする暇もねェ」
上条「まあ、そうだよな。だって俺達には……」
ガララララ
小萌「はーい! お昼ごはんは食べ終えましたかー? 授業の続きを始めますよー!」
上条「地獄の冬休み補習があるからな」
一方通行「どォしてこォなっちまったンだろォな……」
小萌「二人ともー、ごちゃごちゃ言ってないで早く自分の席に付きやがってくださいねー?」ニコニコ
上条「はーい」ガタン
一方通行「面倒臭ェ」ガタン
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:30
-第七学区・街頭-
上条「あーあ、疲れたー!」
一方通行「たかだか補習なのに平日の下校時刻まで授業をするとかどォいう学校だよここ?」
上条「えっ? 補習ってそんなモンじゃねえの?」
一方通行「えっ?」
上条「えっ?」
一方通行「……ったく、俺の冬休みはどこへ消えたンだろォな」
上条「こんな生活に慣れてしまっている自分が悲しい」
一方通行「毎日予習復習すればイインじゃねェのか? 俺はやらねェけど」
上条「上条さんにはそんな時間の余裕はありませんのことよ!」
一方通行「あン? 年中暇そォなツラして何言ってンだ?」
上条「暇じゃねえよ! インデックスの食費を稼ぐために日々バイトに勤しんでんだよ!」
一方通行「そォいやそォだったな。何のバイトしてンだ?」
上条「別に。ただのコンビニだけど?」
一方通行「どこのコンビニだ? 今度冷やかしに行ってやるよ」
上条「冷やかしなら来んじゃねえ。ええと、たしかファミリーサイドっていうマンションの近くのコンビニ」
一方通行「…………は?」
上条「いや、だから第七学区のファミリーサイドっていうマンションの近くのコンビニだって」
一方通行「……オマエそれマジで言ってンのか?」
上条「おう。マジで言ってる」
一方通行「そこ俺の行き付けのコンビニなンだけど……」
上条「……マジでか?」
一方通行「つゥか、そこでいつから働いてンだ?」
上条「ええと、九月の中旬くらいだったっけなー」
一方通行「結構長ェンだな」
上条「まあな」
一方通行「俺は十月に入ったくれェからそこに通ってンだけどよォ」
上条「お前もそれなりに長いんだなー」
一方通行「じゃあ何で俺はオマエと一度も接触しなかったンだ?」
上条「さ、さあ? 多分時間帯とかの問題じゃねえのか?」
一方通行「ある意味奇跡だな」
上条「そうだな……」
上条「つーか、今気付いたんだけどお前の通学路ってこっちだっけ?」
一方通行「いや、違う」
上条「じゃあ何でこっちに来てんだよ?」
一方通行「あれだよあれ。コンビニ寄って缶コーヒーでも買おうかなァ、と」
上条「お前の通学路にコンビニはねえのかよ?」
一方通行「今すぐ飲みてェンだよ」
上条「自販機で買やあいいのに……」
一方通行「あンなモンで二、三十本買うのは時間がかかンだろォが」
上条「……まあ、そうだな」
一方通行「つゥわけで、コッチの方にあるコンビニで大量に買ってから、それをチビチビ飲みながら下校する」
上条「へー、そうか。じゃあコンビニくらいなら俺も付き合うぜ」
一方通行「何だァ? 昨日みてェに俺に奢って欲しいのか?」
上条「い、いや! 別にそんなわけじゃねえけど……」
一方通行「ハァ……まァ好きにしろ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:40
-第七学区・とある高校付近のコンビニ-
ウィーン
<いらっしゃいませー!
一方通行「さァて、俺のお気に入りは売っているのかなァっと」ガチャ
上条「俺、缶コーヒー買うだけなのにカゴを持った人初めて見たわ」
一方通行「あァ? カゴぐらい普通に使うだろ」
上条「普通はいろいろ買う時にしか使わねえよ」
一方通行「大量に買うンだからイイだろ」
上条「まあ、そうだけどよ」
一方通行「……おっ、大量に残ってンじゃねェか、ツイてるな」ガチャンガチャン
上条「あー、たしかにその種類はウチのコンビニだったらすぐなくなるからな」
一方通行「何であンなにすぐ消え去るンだよ?」ガチャンガチャン
上条「たしかファミリーサイドは教員とかが住んでるマンションだから、必然的にそういう缶コーヒーみたいなのがよく売れるんじゃね?」
一方通行「そォいや、あのマンションって元々そォいうコンセプトだったっけなァ」ガチャンガチャン
上条「……つーか買い過ぎじゃね?」
一方通行「あァ? 何がだ?」ガチャンガチャン
上条「いや、その今もカゴの中にドンドン入れられている缶コーヒー!」
一方通行「これくらい普通だろ。カフェイン中毒者を舐めてンじゃねェぞ」ガチャンガチャン
上条「……ホントコーヒー好きなんだな」
一方通行「まァな」ガチャンガチャン
一方通行「…………」スカッスカッ
一方通行「……おァ? もう無くなっちまったか。じゃあこんなモンでいっか」ガチャリ
上条「おうふ……カゴの中に大量の缶コーヒーが……」
一方通行「チッ、レジ混ンでやがンなァ……」
上条「まあ、この時間帯は夕食とかを買いにくる学生とかが多いしな」
一方通行「あァ面倒臭ェ。ちょっと並ンでくるから適当に立ち読みでもしててくれ」カツンガチャカツンガチャリ
上条「お、おう……」
上条「……すっげえ重そうだな」
―――
――
―
―
――
―――
上条「お、おおう! まさかこいつが黒幕だったなんて……」
上条「あのメガネをクイってあげる動作が伏線だったなんてわかんなかったなー」
上条「いやー、ホントよくこんなの考えるよなー、この漫画の作者も」
上条「しかし早く続きが読みてえ! ってこれ合併号じゃねえか!?」
上条「読めるのはまた二週間後かよチクショウ!」
上条「ああー不幸だなー」
トントン
上条「あ? 終わったかアクセラ――ん?」
美琴「こんなところで何やってんのよ?」
上条「お、おう御坂か。見ての通り立ち読みだけど」
美琴「冬休みだって言うのにアンタも暇よねー」
上条「な、何だと!? ひ、暇じゃねえよ!」
美琴「ふーん」
上条「そういうお前こそどうしてこんなところにいるんだよ?」
美琴「えっ?」
上条「常盤台の女子寮はこっちの方じゃねえだろ? 何でこんな遠くのコンビニにいるんだよ?」
美琴「そ、それは……」
上条「それは?」
美琴「……その、アンタにちょっと話が……」
上条「話? 何だよ?」
美琴「その……アンタ明後日のクリス――」
一方通行「上条。待たせたな」カツンカツン
上条「おお一方通行! やっと終わったか!」
美琴「えっ?」
一方通行「いや、俺の前にいた馬鹿が小銭ばら撒きやがってよォ」
一方通行「さらにソイツ弁当一気に三つ温めンのを要求しやがった」
上条「それは不幸だなー、俺の幻想殺しがうつったか?」
一方通行「チッ、くっだらねェ……ところで」
上条「ん?」
一方通行「何でこンなところに居やがンだ超電磁砲?」
美琴「そ、それはコッチのセリフよッ!!」ビリッ
一方通行「うォ、危ねェ!」スッ
上条「み、御坂サン! 電撃はやめてください! ここ店内!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:00
-第七学区・とあるファミレス-
ウェイトレス「おまたせいたしました。特製コーヒーです」コト
一方通行「おォ……」
ウェイトレス「ごゆっくり」ペコ
一方通行「…………」ズズス゛
上条「…………」
美琴「…………」
一方通行「……あァー、コーヒーうめェー」
美琴「……で、一方通行。何でアンタがコイツと同じ制服を着てるわけ?」
一方通行「そンなモン決まってンじゃねェか。同じ学校に通ってるからに決まってンだろ」
美琴「えっ、それってホントなの?」
上条「ああ。俺と同じクラス……」
美琴「……ってことは、アンタはあの時は同じクラスメイトをぶん殴ってたってわけ?」
一方通行「ああ違う違う。俺がこのクラスに編入されたのは十一月末だ」
美琴「十一月? 何でそんな中途半端な時期に……」
一方通行「こっちにもいろいろと事情があンだよ」
美琴「ふーん」
上条「み、御坂さん。あのですね――」
美琴「ところで私の妹は元気にしてる?」
上条「えっ?」
一方通行「あァ、うっとォしいくらいに元気にしてンよ」
美琴「そう。それはよかった」
一方通行「あのうるせェのを八〇パーセントくれェカットして欲しいわ」
美琴「あはは、何それ?」
上条「……あれ?」ポカーン
美琴「? どうしたのよ? そんなマヌケな顔して」
上条「あ、いや、その……あの時のことをまだ根に持ってて、いきなり超電磁砲をぶちかますのかと思いましてね。はい」
美琴「なっ!? 私がそんな馬鹿な女に見えるわけ!?」ビリビリ
上条「ひぃ、ごめんなさい!」バッ
一方通行「そォやってすぐ体に電気を帯電させるからいけねェンじゃね?」
美琴「あっ、ごめん……」
上条「い、いや別にいいけど」
一方通行「……くっだらねェ」
上条「じゃあ御坂はあの時のことをもう恨んでないってわけか?」
美琴「恨んでないって言ったら嘘になるけど……まあいつまでもいがみ合っててもしょうがないでしょ?」
一方通行「人の話を聞かずに問答無用で電撃ぶちかまそうとしやがったヤツの言葉とは思えねェよな」
美琴「あ、あの時のことは謝るわよ! ホントあの時はちょっと気が動転してだけだって!」
一方通行「どォせ気が動転してなくても襲ってくンだろ?」
美琴「なっ、わ、私だって気が動転さえしてなかったらアンタともっと友好的に――」
一方通行「ハイハイわかりましたよー、と」
美琴「ぐっ、何か流された気がする……」
上条「ところで御坂?」
美琴「何よ?」
上条「さっきコンビニで話があるって言ってたけど……」
美琴「えっ!? あ、ああ、あれね! あれ!」
上条「何そんな慌ててんだ? はっ、もしかしてまた何か厄介事に巻き込まれてんのか!?」
美琴「い、いや、そんなわけじゃないけど」
上条「そうか。それならいいけど……」
一方通行「…………」ズズズ
上条「で、結局話って何だったんだ?」
美琴「ああああの! あああ明後日のく、クリスマしゅクリスマスイブってさぁ!」
上条(噛んだな)
一方通行(噛ンだな)ズズズ
美琴(あわわー噛んじゃったー)カァ
美琴「あ、明後日のく、クリスマスイブって、あ、あ、アンタって暇!?」
上条「イブッつーことは二十四日か?」
美琴「そ、そう! あああの暇だったら一緒にえ、映画でも見に行かないっ!?」
一方通行「へェー、最近のガキはませてやがンなァ……」ズズズ
美琴「う、うるさいっ! ていうかアンタとはそンな年変わんないでしょ!」
一方通行「中学生と高校生には超えられねェ壁があンだよ」
上条「あ、あのー御坂さん?」
美琴「は、はい!?」
上条「残念ながら二十四日は上条さんには予定が入っているのですよ」
美琴「ほ、ホント……?」
上条「はい。誘ってくれたのは非常にうれしいんですが……」
美琴「そ、そう……ごめん」シュン
上条「な、何をそんな落ち込んでんでせうか!?」
一方通行「うわァ、三下が中学生泣かせてるゥ」
上条「えっ、俺が悪いのでせうか!?」
美琴「な、泣いてなんかないわよ!」
一方通行「つゥか、行きゃあいいじゃねェか映画」
上条「ええっ!? で、でもお前との約束が――」
一方通行「別にイイだろ俺なンかの約束くれェ」
上条「で、でも……」
一方通行「ああ、インデックスのヤツの食料のことは心配すンな。俺がキッチリと面倒を見てやる」
上条「…………」
一方通行「つゥことで、オマエはクリスマスイブは一人寂しく過ごす残念な三下になるっつゥわけだ。よかったな」ガタッ
美琴「あ、一方通行……」
一方通行「ま、精々頑張れよ超電磁砲……じゃあな」カツンカツン
美琴「…………」
上条「……御坂!」ガタッ
美琴「!? な、何よ!? いきなりそんな大声なんか出して!」
上条「俺と……俺と一緒にクリスマスイブに映画に行ってもらえるか!?」
美琴「えっ?」
上条「俺と一緒に……イブを過ごしてもらえるか?」
美琴「え、えーっと……は、はい、よろこんで……」
―――
――
―
―
――
―――
<ありがとうございましたー!
一方通行「……ハァ、ったく柄にもねェことしちまったなァ」
一方通行「恋愛なンざ俺には一生縁がねェンだろォな……ま、どォでもイイけど」
一方通行「さァて、これで俺の呼べる『トモダチ』とやらはゼロっつゥことになるな」
一方通行「…………」
一方通行「よく考えたらインデックスのヤツの面倒見るっつったからゼロじゃあねェな」
一方通行「……まあ、アイツを『トモダチ』かどうかっつったらアレだけどな」
一方通行「…………ハァ」
一方通行「面倒臭ェ……」カツンカツン
15.二日前 ~結標淡希編~
December forth Saturday 07:45
-黄泉川家・リビング-
一方通行「……そろそろ時間だから行ってくる」カツンカツン
打ち止め「いってらっしゃーい! ってミサカはミサカは手を大きく振って見送ってみたり」ノシ
黄泉川「がんばって勉強してくるじゃんよ!」
芳川「夕飯までには帰ってくるのよー」
一方通行「うっせェ! 大体オマエは料理作らねェじゃねェか!」
芳川「あら、まさか反応してくれるとは思わなかったわ」
一方通行「チッ、うっとォしい」ガチャ
ガチャ
結標「あれ、もう出るの?」
一方通行「もうっつゥか普通に出る時間だろ」
結標「言われてみればそうね。じゃ、がんばってね。いろいろと」
一方通行「……おォ」
―――
――
―
同日 08:00
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「はい! では第一回黄泉川家家族会議を始めたいと思います!」
打ち止め「おおおおおー!」パチパチ
芳川「ま、一人は補習で学校に行ってるのだけどね」
結標「まあ、それはしょうがないですね」
芳川「ところで愛穂」
黄泉川「何じゃん?」
芳川「教師であり警備員でもある貴女は学校には行かなくてもいいの?」
黄泉川「ああ、それなら今日は昼からの出勤だから大丈夫じゃん!」
芳川「そう。なら大丈夫ね」
黄泉川「では本日の議題。『明後日のクリスマスイブに開催予定のクリスマスパーティー』についてじゃん!」
芳川「はい」ノ
黄泉川「何じゃん桔梗?」
芳川「クリスマスパーティーって何?」
黄泉川「…………」
打ち止め「…………」
結標「…………」
芳川「……あれ?」
打ち止め「ヨシカワ……知らなかったの? ってミサカはミサカは少し戸惑いながらも聞いてみる」
芳川「全然知らないんだけど。そんなパーティーを開催するなんて」
結標「……あー、そういえばこれ決めた時芳川さんはいなかったっけ?」
芳川「いつこんなの決まったの? その時私はバイトにでも行ってたのかしら?」
黄泉川「いーや。昨日の晩じゃんよ」
芳川「……私がレンタルしてきた映画のDVDを見てる時ね」
打ち止め「何借りてきたの? アニメ? アニメ? 後で見せて欲しいかも、ってミサカはミサカは映画鑑賞会の提案を――」
芳川「ホラー」
打ち止め「やっぱいいや、ってミサカはミサカは潔く引き下がってみたり」スー
芳川「それより何で教えてくれなかったの? 普通に教えに来てくれればよかったのに」
結標「うーん、まあそれどころじゃなかったってところですかね?」
芳川「……何かあったの?」
結標「一方通行がちょっと……」
芳川「……ああ、何となくわかったわ」
黄泉川「そんなことより会議の本筋に戻ろうじゃん!」
芳川「戻るって言っても何について会議すればいいのかしら?」
黄泉川「何って、食べたい物とか……あれ?」
芳川「愛穂の中では『パーティー=おいしい食べ物』という式が成り立ってるようね」
打ち止め「はいはーい! ミサカあの大きい鶏肉みたいなの食べてみたーい! ってミサカはミサカは食べたい物の要求をしてみる」
芳川「それって七面鳥かしら?」
打ち止め「多分それ!」
結標「七面鳥ってあのクリスマスのイラストとかに出てくるあれですよね?」
黄泉川「七面鳥かー、あれ作るのちょっと大変じゃんよねー」
芳川「貴女はあれを最初から作る気なの?」
黄泉川「いやいやそういうわけじゃないじゃん! あれって冷凍のやつを解凍するだけでもかなり時間がかかるじゃん」
芳川「つまり面倒臭いというわけね」
黄泉川「そゆことー」
芳川「まあ高くつくけど出来たてやつを送ってもらえばいいんじゃない?」
結標「そういうのって予約とかが必要なんじゃないですか?」
芳川「たしかに必要ね。結構前から……」
結標「……あと二日でクリスマスイブなんですけど大丈夫ですか?」
芳川「多分無理ね」
結標「…………」
黄泉川「というわけで打ち止めごめんじゃん! 七面鳥はまた来年――」
打ち止め「待てい! ってミサカはミサカは某兄さんっぽく会話に強引に割って入ってみたり」
結標「どうしたの打ち止めちゃん?」
打ち止め「ふふふ。ミサカネットワークを甘く見てもらったら困るよ、ってミサカはミサカは不敵な笑みを浮かべてみる」
芳川「ミサカネットワークがどうかしたの?」
打ち止め「ネットワークを介してほかの下位個体から七面鳥の売っている場所を教えてもらったのだ! ってミサカはミサカは胸を張って答えてみたり」
黄泉川「打ち止め。さっき言ったじゃん? そういうのは大抵冷凍保存されたやつ――」
打ち止め「そこのところも抜かりはないよ! ってミサカはミサカは指を指しながら指摘してみたり」
芳川「どういうことかしら?」
打ち止め「第七学区のデパートにすでにロースト済みの七面鳥が売っているのだ! ってミサカはミサカはミサカネットワークからの情報を惜しみなく発表してみたり」
結標「へー、そんなところに売ってたんだ」
芳川「でもそういうのも多分予約制だと思うけど」
打ち止め「…………えっ?」
芳川「だから、そういうのも多分予約制よ。だって焼きあがった七面鳥をそのまま店頭に並べられると思う?」
黄泉川「たしかに冷めたりして普通は不味くなるじゃん」
打ち止め「で、でも学園都市の技術なら……」
芳川「何でもかんでも学園都市製とか言っても駄目なものは駄目よ?」
打ち止め「(´・ω・`)」
芳川「もう面倒臭いからケン○ッキーとかでいいんじゃないかしら?」
黄泉川「そうじゃんね。ケンタ○キーでも十分美味しいじゃん」
結標「でもケ○タッキー一つだけだったら寂しくないですか?」
黄泉川「うーん、じゃああと何かあったっけ? クリスマスに食べるもの」
打ち止め「はいはーい! クリスマスと言えばケーキだと思いまーす! ってミサカはミサカは高らかに主張してみたり!」
黄泉川「ケーキかぁ……そーいやそんなもんあったじゃんね」
芳川「ケーキなら普通に買えるから大丈夫じゃない? 七面鳥ほど希少でもないし」
黄泉川「そういえば淡希。このパーティーにはどれだけ人が来るじゃんよ? それによってケーキの大きさ、数が変わるじゃん」
結標「まだわかりませんね。連絡もしてないし」
芳川「ふむ、ならこの話は人数が決まってからにしましょう」
打ち止め「じゃあ料理の種類だけでも決めとこうよ! ってミサカはミサカは提案してみる」
結標「今決まってるのがケンタッキーにケーキか……」
芳川「普通に足りないわね」
黄泉川「それならスーパーで適当なオードブルでも買ってくるじゃん?」
芳川「そんなものでいいんじゃないかしら?」
結標「まあ無難ですね……」
打ち止め「うんそうだね、ってミサカはミサカは相槌を打ってみる」
芳川「…………」
黄泉川「…………」
結標「…………」
打ち止め「…………」
芳川「何か地味ね」
結標「そうですね。同じこと考えてました」
黄泉川「えー、そうじゃん? 別に普通で良いと思うじゃんけど……」
打ち止め「じゃあじゃあ変わったクリスマスパーティーにすればいいんじゃない? ってミサカはミサカは今閃いた妙案を挙げてみたり」
結標「変わったパーティー?」
打ち止め「例えばクリスマスなのに鍋パーティーをしてみたり……とか」
芳川「鍋かぁ……いいわねえ。そういえば今年は一回も食べていないわね」
黄泉川「あれ? そうだったっけ? 私は前食べた記憶があるじゃんけど」
結標「それって黄泉川さんが警備員の同僚たちと飲みに行ったときじゃないですか?」
黄泉川「えっ? あれ? ちょっと覚えてないじゃん、あはははー」
芳川「ということで主食は鍋にしましょう」
打ち止め「賛成ー!」
結標「同じく!」
黄泉川「鍋にケンタッキ○にケーキ……変な組み合わせじゃんね」
結標「それは鍋の中身にもよるんじゃないですか?」
打ち止め「鍋ってどんな種類があるんだっけ? ってミサカはミサカは小首を傾げてみる」
芳川「鍋の種類? ええと、普通に寄せ鍋とかちゃんこ鍋とかモツ鍋とか……」
黄泉川「おでんとかしゃぶしゃぶとかすき焼きとかも一応鍋じゃん」
結標「あっ、キムチ鍋とかカレー鍋もありますよ!」
芳川「前者は食べたことあるけど、後者は美味しいの?」
結標「さあ? テレビのグルメレポーターの人は美味しいって言ってましたけど」
芳川「テレビほど信用がないものはないわよ」
打ち止め「でも聞いただけなら美味しそうだよね! ってミサカはミサカは美味しそうな料理名に舌なめずりしてみたり」ジュルリ
黄泉川「さっき朝ご飯食べたばかりじゃん?」
打ち止め「そういえばそうでした、てへ」
結標「……結局どうするんですか? 鍋の中身?」
芳川「うーん、そうねえ……あえての闇鍋とかどうかしら?」
打ち止め「闇鍋? ってミサカはミサカは聞き慣れない言葉を復唱してみる」
結標「闇鍋ってあれですか? マンガとかでよく見るあれ」
芳川「そうそれ」
黄泉川「桔梗……闇鍋だけはやめとくじゃん。闇鍋は後悔とダークマターしか生み出さないじゃん……」
芳川「……そうよね……」
結標「一体闇鍋で何があったんですか!?」
───
──
─
─
──
───
同日 11:40
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「──はい! ということで長い審議の結果、今回のクリスマスパーティーの主食の鍋はおでんに決定したじゃん!」
打ち止め「わー!」パチパチ
芳川「……今更だけど、おでんって結構鍋っぽくないわよね? あくまで個人的ながら意見だけど」
結標「そうですね。鍋は鍋、おでんはおでんみたいな感じはしますね」
黄泉川「まあとにかく、大体用意する料理は決まったじゃん!」
結標「おでんに○ンタッキーにケーキ……カオスですね」
打ち止め「何かクリスマスっぽくないかも、ってミサカはミサカは率直な感想を述べてみる」
黄泉川「たしかにクリスマスにおでんって……」
結標「って打ち止めちゃんが言いだしたんじゃなかったかしら? クリスマスらしくないパーティーやら何やらって……」
打ち止め「あれ? そうだっけ? 知らないなー、ってミサカはミサカはシラを切ってみる」スヒュー
芳川「じゃあ、クリスマス度を底上げするためにやっぱり適当なオードブルでもスーパーから買ってくる?」
結標「何ですか? そのクリスマス度って?」
芳川「さあ?」
結標「自分で言った言葉にはちゃんと自信を持ってください」
黄泉川「おでん、ケ○タッキー、ケーキ、加えてオードブル」
芳川「あと何かクリスマスっぽい料理って何かあったっけ?」
打ち止め「おでんを外せばいいんじゃないかな? ってミサカはミサカはなんとなく思いついたことを言ってみたり」
結標「打ち止めちゃん……」
芳川「嫌よ。おでん食べたいもの」
結標「……そういえばコンビニとかにおでん売ってませんでしたっけ?」
芳川「売ってるけど、それが何か?」
結標「食べたいなら買えばいいんじゃあ……」
芳川「ふむ。確かにコンビニのおでんは美味しい、けど……」
結標「けど?」
芳川「やっぱりおでんは鍋からすくって食べる方が美味しいじゃない?」
結標「そう……なのかな?」
黄泉川「そもそもこれ以上料理増やしても食べきれないじゃん」
結標「まあそうですね。保存できるおでんはともかく、ほかの品は早めに片づけた方がいいですからね」
芳川「ケーキも冷蔵庫でそれなりに保存できるわ」
黄泉川「とにかく、クリスマスパーティーで出す料理はこれでいいじゃん?」
打ち止め「大丈夫だよ! ってミサカはミサカは異議のないことを伝えてみたり」
結標「大丈夫です」
芳川「それより食べ物の話をしてたからおなかが空いたわ」
黄泉川「そういえばもうこんな時間か。そろそろ仕事にいく準備をしないといけないじゃん」
芳川「その前に昼食の準備をして欲しいのだけど」
黄泉川「はいはい何が食べたいじゃん?」
結標「何でも良いですよ」
打ち止め「同じく早くできれば何でもいいよ! ってミサカはミサカは密かにおなかペコペコなのを訴えてみたり」
黄泉川「何でもいいって言うのが一番困るじゃんよ」
芳川「ふむ。食べたいものを強いて挙げるならおでんね」
黄泉川「明後日食べるうえに時間がないのだから却下」
芳川「それくらいわかってるわよ」
黄泉川「うーん、冷蔵庫の中の残り物でも見て考えるかなー」ガチャ
黄泉川「…………」ガサゴソ
黄泉川「うどんが余ってるからうどんでいいじゃん?」
芳川・結標・打止「「「はーい!」」」
───
──
─
─
──
───
同日 12:40
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「ごちそうさまでした! ってミサカはミサカは食後の挨拶をしてみる」
黄泉川「お粗末様でした。器は流しに浸けといてくれじゃん」
打ち止め「はーい! ってミサカはミサカは言われた通りに行動してみたり」トテチテ
結標「あー、お腹いっぱい」
芳川「久しぶりにまともな昼食を食べた気がするわ」
黄泉川「? 何でじゃん? 別にただのうどんじゃん」
芳川「いやー、最近の昼食はコンビニに売ってる弁当かパンとかしか食べてないのよね」
結標「それだけだったら体に悪くないですか?」
芳川「大丈夫大丈夫。食後にカロリーメ○ト一本食べてるから」
結標「それもどうかと……」
黄泉川「ええとまあ、とりあえず淡希は今日までに呼ぶ友達が何人か確認しとくじゃんよ」
結標「わかりましたー」
芳川「さあて、久しぶりの休みだからネットでもブラブラするかなーと」テクテク
黄泉川「じゃあ仕事に行ってく――」
タララララーン♪
結標「あ、一方通行からのメールだ」カチャ
芳川「メール?」
結標「たぶんパーティーに誰かしらを呼んだっていう報告だと思いますけど」
黄泉川「……で、何て書いてあるじゃん?」
結標「えーと……えっ!?」
打ち止め「どうしたのー? ってミサカはミサカは携帯の画面を見て驚いてるアワキお姉ちゃんの元へ駆けつけてみたり!」
結標「い、いや、その……」
芳川「何て書いてたの?」
結標「そ、その……三十一人って書いてあるんですけど……」
打ち止め「…………」
芳川「…………」
黄泉川「…………」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:00
-黄泉川家・リビング-
結標「……あぁー、もう! メールの返信全然来ないじゃない!」
打ち止め「まだメール返ってこないの? ってその様子じゃあ聞くまでもないかな、ってミサカはミサカは自己解決してみたり」
結標「三十一人っていうのがどういうことか、早めに知らないといけないっていうのに……」
打ち止め「何で知らないといけないの? ヨミカワは今日までに人数を確認、って言ってのに……」
結標「その三十一人の中に私の友達が混じってたら困るでしょ?」
打ち止め「えっ? 何が困るの? ってミサカはミサカは首を傾げながら尋ねてみる」
結標「その……『もうそんな情報くらい知ってるわ!』的なことにならないかと……」
打ち止め「ええー? アワキお姉ちゃんのお友達ってそんな怖いの? ってミサカはミサカは意外な交遊関係に驚きを覚えてみたり」
結標「そ、そういうわけじゃないけど……」
打ち止め「なら大丈夫だよ! もし知ってても『ああ知ってる知ってる。楽しみだねー』的な返答をしてくれるよ! ってミサカはミサカは推測してみたり」
結標「……うん! それもそうね!」
打ち止め「それに、あの人にそんな三十一人も誘えるほどの交友関係も度胸もないと思うけど、ってミサカはミサカは冷静に判断してみる」
結標「……まあ、言われてみればそうよねー」
打ち止め「多分三人か何かの間違いだと思うよ、ってミサカはミサカはボタンの押し間違い説を提唱してみる」
結標「そうね。三人だったら上条君、土御門君、青髪ピアス君の三人でピッタシだしね」
打ち止め「そういうこと。じゃあアワキお姉ちゃんのお友達を呼べばいいんじゃないかな? ってミサカはミサカは結論付けてみる」
結標「よし! じゃあまず吹寄さんから誘ってみましょう!」
打ち止め「おー! ってミサカはミサカはその人が誰だか知らないけどとりあえず掛け声を上げてみる!」
結標「えーと、吹寄さんの電話番号は、っとあったあった」
結標「よーしかけるぞー!」ピッ
プルルルルルルル
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:10
-とある高校女子寮・吹寄制理の部屋-
テレビ『何と! この『能力上昇タブレット』を一日一個食べるだけで、能力が上昇するのです!!」
吹寄「……あからさまにこれは胡散臭いわね。さすがにこれは騙されないわよ!」
テレビ『これを食べる事によって、脳にナンチャラでカンチャラが働きかけて能力が上昇するのです!!』
吹寄「いやいやいやいや騙されないわよ! こんなものに騙されるからいつも上条ごときに馬鹿にされるのよ!」ピク
テレビ『このタブレットを食べて、レベルが上がった人がたくさんいます!!』
テレビ『これを食べたおかげでレベルが上がって人生最高ですよ!(十四歳中学生男子)』
テレビ『能タブマジパねェっすよ!!(十七歳高校生女子)』
テレビ『これのおかげで彼女ができました!(十八歳高校生男子)』
吹寄「こ、こんなのはヤラセだってくらいわかってるわよ……」ソワソワ
テレビ『この『能力上昇タブレット』。三ヶ月分をいつもなら六万円の所を……』
吹寄「…………」ドキドキ
テレビ『タブレット携帯用のケースをお付けしまして、何と五九八〇〇円!! 五九八〇〇円ですよ!!」
吹寄「買った!! これはお得だ!!」ガタ
テレビ『この商品が欲しい方は電話番号×××の――』
吹寄「×××の――」ピッピッピッ
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
吹寄「? 電話? 誰かしら?」ピッ
吹寄「もしもし吹寄です」
結標『あ、もしもし吹寄さん? 結標だけど』
吹寄「ああ結標さん。どうかしたの?」
結標『あのね。明後日の二十四日って暇?』
吹寄「明後日? ちょっと待って。ええと……」
結標『…………』
吹寄「……うん、とくに用はないけど。どうしたの?」
結標『おおっ! それはよかった。二十四日にウチでクリスマスパーティーを開こうと思うんだけど』
吹寄「クリスマスパーティー? すごいわねー、そんなものを開くなんて」
結標『それで、吹寄さんもよかったらそのパーティーに来ない?』
吹寄「えっ? いいの? あたしなんかが行っても。パーティーでしょ?」
結標『大丈夫大丈夫。パーティーって言ってもホームパーティーみたいなものだから』
吹寄「そう。わかった、じゃああたしも行くわ!」
結標『ホント!? じゃあ詳しいことは後でメールするから!』
吹寄「了解! パーティー楽しみにしてるわね」
結標『うん! じゃあまたね』
吹寄「はいはーい」ピッ
吹寄「…………」
テレビ『はいではまた来週お会いしましょーっう!!』タラララーン
吹寄「あ、あたしの『能力上昇タブレット』が……』
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:20
-黄泉川家・リビング-
結標「……ふー、緊張したー」
打ち止め「何でお友達と電話するだけでそんなに緊張してるの? ってミサカはミサカは素朴な疑問を投げかけてみたり」
結標「いやー、何というか断られたらどうしようとか思っちゃうわけよ」
打ち止め「意外と小心者なんだね、ってミサカはミサカは少し驚いてみる」
結標「じゃあ次は姫神さんね」
打ち止め「おー!! ってミサカはミサカはまたもや知らない名前だけどとりあえず掛け声を上げてみる!」
結標「えーと、姫神さんの番号は……あったあった」
結標「よいしょっと」ピッ
プルルルルルルル
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:30
-とある高校女子寮・姫神秋沙の部屋-
姫神「…………」
姫神「……さて。今年のクリスマスイブは。どうしようか」
姫神「思い切って。上条君にで。デートでも誘ってみようか」
姫神「……でも。上条君の隣には。いつも個性的な女の子が居る気がする」
姫神「だから。私の影の薄さじゃあ。見向きもしてくれないかも」
姫神「…………」
姫神「いや。ここであきらめたら駄目だ。少しでも可能性があるなら!」
姫神「…………」
姫神「やっぱりやめておこう。正直今の関係を壊したくない」
姫神「……私って。ホント弱気ね」
姫神「…………」
プルルルルル! プルルルルル!
姫神「……電話? 誰から?」ピッ
姫神「もしもし」
結標『あっ、姫神さん? 結標だけど』
姫神「……結標さん。どうかしたの?」
結標『ちょっと聞きたい事があるんだけど……いい?』
姫神「うん。構わない。何?」
結標『あのね。明後日のクリスマスイブって暇?』
姫神「…………」
結標『……姫神さん?』
姫神「……どうせ私は。さみしい女……はぁ」
結標『姫神さん? どうかした?』
姫神「……ごめん。大丈夫。予定はない」
結標『ホント!? 明後日ウチでクリスマスパーティーやるんだけど、よかったら来ない?』
姫神「パーティー? そんなものに。私なんかが行ってもいいの?」
結標『別にいいわよ! そんなお堅いパーティーじゃなくて、ホームパーティーみたいなものだから』
姫神「……そう。わかった。行く」
結標『わかった! じゃあ詳しいことは後でメールするね!』
姫神「結標さん」
結標『何?』
姫神「そのパーティーには。上条君たちも来るの?」
結標『うーんどうだろ。一方通行が誘ってるとは思うけど……』
姫神「わかった。とりあえず。私は行く」
結標『うんわかった! じゃあね姫神さん!』
姫神「うん」ピッ
姫神「…………」
姫神「パーティーか……」
姫神「それも悪くはないかも……ふふ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:40
-黄泉川家・リビング-
結標「よっしゃー! 姫神さんもオッケーだって!」
打ち止め「よかったねアワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカは一緒に喜んでみたり!」ワーワー
結標「よし! あとは一方通行が実際に何人誘ったかの報告を待つだけね」
打ち止め「ホントにあの人誘えてるのかなー? あの人がお友達にパーティーを誘う図なんて想像できないんだけど、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」
結標「そう? アイツもアイツなりに変わってきてるとは思うけどなー」
打ち止め「そうなの? あの人そんなお友達と仲良くするほど成長してるのかな? ってミサカはミサカは子の成長を見守る親の気持ちになってみたり」
結標「少なくとも、私が初めてあった時よりはマシにはなってると思うけど」
打ち止め「そうだね。それには同感かも、ってミサカはミサカは頷いてみる」
結標「まあ、そんなに心配する必要はないんじゃない?」
打ち止め「うーん、でもやっぱり想像できないな。あの人がフレンドリーにお友達を誘うところなんて、ってミサカはミサカは心配を拭いきれなかったり」
結標「こんな小さい子に心配されるアイツって……」
16.サンタさン
December forth Saturday
18:20
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
一方通行「…………」カツンカツン
打ち止め「あっ、おかえりー! ってミサカはミサカはお疲れムードのあなたに飛び付いてみたり!」バッ
一方通行「疲れてるってわかってンなら飛びつくのやめろよ」
打ち止め「しかしすごい量の缶コーヒーだねー、ってミサカはミサカはあなたの左腕を見て言ってみる」
一方通行「これくれェいつものことだろォが」ガチャン
結標「おかえり一方通行。ちょっと聞きたい事があるのだけど」
一方通行「あァ、何だ?」
結標「このメールに書いてある三十一人ってどういうことかしら?」
一方通行「三十一人……? ああ、そういやそれは間違いだな」
結標「間違い?」
打ち止め「ほらアワキお姉ちゃん! ミサカの言った通りボタンの押し間違え説が正しかったね! ってミサカはミサカは――」
一方通行「ボタンの押し間違い? 何言ってンだオマエ?」
打ち止め「えっ? 違うの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
一方通行「何で俺がボタンの押し間違いなンて三下がやるみてェなミスをしなきゃなンねェンだ?」
結標「じゃあ何を間違えたのよ?」
一方通行「ああ、それ三十一人じゃなくて三十一人前の食料だ」
結標「…………は?」
打ち止め「どういうこと? ってミサカはミサカはあなたの意味不明な言葉に困惑してみたり」
一方通行「……あ、そォいや上条は来ねェンだったな。三十人前の料理に変更だ」
結標「……何を言ってるのかさっぱりなのだけど」
一方通行「だからオマエらに言われた通りトモダチとやらを呼ンだから、三十人前の料理が必要だっつってンだよ」
打ち止め「あなた三十人もお友達いたの? ってミサカはミサカは恐る恐る聞いてみる」
一方通行「あ? そンなのいるわけねェだろォが」
結標「で、でも貴方さっき三十人前の料理が必要って言ったじゃない」
一方通行「言ったな」
結標「何人呼んだの?」
一方通行「一人だ」
結標「一人? じゃあ何で三十人前の料理が必要なのよ?」
打ち止め「あ! そういうことか! ってミサカはミサカはあなたの呼んだお友達が誰かを理解してみたり」
一方通行「まァ、別にトモダチっつゥわけじゃねェけどな」
結標「……誰なの?」
打ち止め「インデックスでしょ?」
結標「インデックス……たしか上条君のウチに住んでる居候の子だっけ?」
一方通行「そォだ。ソイツを呼ンだから三十人前の料理が必要なンだよ」
打ち止め「おおー、インデックスがウチに来るのかー、楽しみだなー! ってミサカはミサカは楽しみな気持ちを抑えきれなかったり」ウズウズ
結標「……あの子ってそんな三十人前の料理を食べるの?」
一方通行「オマエだって知ってンだろ? 歓迎会の日焼き肉ニ十皿を余裕でたいらげた事ぐれェ」
結標「そ、そういえばそうだったわね」
一方通行「さらにアイツはクレープを約五十個全て食いつくした過去を持つ」
結標「うわぁ……聞くだけで胃がもたれそう……」
一方通行「だからアイツが来るンだから三十人前の料理が必要……もしかしたら足ンねェかもしれねェな」
結標「……ってことは、貴方が呼んだ人数は結局インデックスちゃん一人ってわけ?」
一方通行「そォだ」
結標「あれ? 上条君たちはどうしたの?」
一方通行「あァ、上条や土御門は用事がある。青髪は知らねェ」
結標「そうなの……それは残念ね」
打ち止め「まあ一人呼んだだけでもすごいよ! きちんとあなたも成長してるんだね! ってミサカはミサカは落ち込むあなたを励ましてみる」
一方通行「はァ? いつ俺が落ち込ンだってンだァ?」
打ち止め「あれ? 違うの? てっきりみんなに断られてショックで落ち込んでるのかと、ってミサカはミサカは少し安心してみたり」
一方通行「俺がその程度の事で落ち込むよォな柄かよ」
結標「うーん、逆に貴方が落ち込む事って何よ?」
一方通行「あァ? 知らねェよそンなどォでもイイこと」
結標「知らない、って貴方の事じゃないの?」
一方通行「興味ねェ」カツンカツン
打ち止め「あれ? どうしたの? ってミサカはミサカはおもむろに歩きだしたあなたに聞いてみる」
一方通行「仮眠する」
打ち止め「えっ? もうすぐ晩ごはんの時間だよ!」
一方通行「寝る」
打ち止め「でもあなたが寝だしたら仮眠が本眠に……」
結標「まあいいじゃない。疲れてるんでしょ、コイツも」
一方通行「じゃ、何かあったら起こしてくれ。起きる保証はできねェけどな」ゴロン
打ち止め「ちょ、ちょっとこの大量の缶コーヒーどうすればいいの? 冷蔵庫に入れとけばいいの? ねえ! ってミサカはミサカは――」
一方通行「…………」Zzz
打ち止め「……もう遅かったか、ってミサカはミサカはこの圧倒的な睡眠速度に落胆してみたり」
結標「転んだ時点で寝てたわね」
打ち止め「とりあえずこの缶コーヒーは冷蔵庫に入れておこう、ってミサカはミサカはせっせとビニール袋をって重っ!?」ガシャ
結標「ああ、打ち止めちゃん手伝うわよ」ガシャ
打ち止め「あ、ありがとアワキお姉ちゃん、ってミサカはミサカはにっこり笑顔を作ってみたり」ニコ
結標「しかし、よくこの細腕でこんな重い物を持ってられるわね」
一方通行「…………」Zzz
―――
――
―
―
――
―――
同日 19:30
-黄泉川家・リビング-
一方通行「…………」Zzz
打ち止め「ねーねー! 起きてー! ってミサカはミサカはソファーで寝転がってるあなたの体を揺すってみたり!」ユサユサ
一方通行「…………」Zzz
打ち止め「おーきーてー! おーい! ってミサカはミサカは再度呼びかけてみたり!」
一方通行「…………あァ……何だ? もう朝か?」ムク
打ち止め「あれれ? もしかして朝まで仮眠するつもりだった? でもそれだと仮眠とは絶対に言えないかも、ってミサカはミサカは寝ぼけ気味のあなたに言ってみる」
一方通行「……何か用か? つゥか今何時だ?」
打ち止め「ただいま午後七時三十分過ぎをお知らせします! ってミサカはミサカは時報の音声みたいに時間を言ってみたり」
一方通行「……で、何の用だ?」
打ち止め「晩ごはんができましたぜ、ってミサカはミサカは報告してみたり」
一方通行「……寝る」ゴロン
打ち止め「わー! ダメダメー! ここでまた寝てしまったら今度こそ朝まで起きない気がするー、ってミサカはミサカは睡眠の妨害に必死になってみる」
一方通行「……ったく。そンなくだらねェことで起こすンじゃねェ」
打ち止め「くだらなくないよー、第二回黄泉川家家族会議が行われるんだよー、ってミサカはミサカはこれから予定があることを説明してみる」
一方通行「家族会議? 結標の部屋にでも危ねェ本が見つか――」
結標「んなもんないわよッ!!」ガツン
打ち止め「あ。アワキお姉ちゃん!」
一方通行「痛ゥ……居たのかよ結標」
結標「夕食の時間なんだから居るに決まってるじゃない」
一方通行「つゥか、何だよ家族会議って? 俺は別に何もしてねェぞ」
結標「何言ってるのよ? 明後日のパーティーのことを話し合うのよ」
一方通行「パーティー? そォいやそンなモンあったな」
結標「おい」
打ち止め「と、とにかく早く行こうよ! お腹も空いてるし、ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんの服を引っ張ってみる」
結標「う、うん。わかったわかった。ほら行くわよ一方通行」グイグイ
一方通行「ぐえッ!? わ、わかったからチョーカー引っ張ンじゃねェ!」
―――
――
―
―
――
―――
黄泉川「おおー一方通行。やっと起きたじゃんかよ」
芳川「珍しく仮眠らしい仮眠だったわね」
一方通行「ンだよそれ?」ガタッ
打ち止め「それより早く食べようよー! せっかくのビーフシチューが冷めちゃうよ? ってミサカはミサカは急かしてみたり」ガタッ
黄泉川「そうじゃんね。じゃあいただきまーす!」
芳川・結標・打止「「「いただきまーす!」」」
一方通行「……いただきまァす」ボソ
打ち止め「……ふむふむ。やっぱりヨミカワの炊飯ジャー料理はおいしいねー! ってミサカはミサカは称賛を贈ってみたり」
黄泉川「ふふふ、そうじゃん」
芳川「むしろ優秀なのは炊飯ジャーの方じゃないのかしら?」
黄泉川「何をー? だったら桔梗も炊飯ジャーで料理作ってみるじゃんよ!」
芳川「残念ながら、お米を炊くくらいにしか炊飯ジャーは使わないわね」
結標「まあ、それが本来の使い方ですしね」
打ち止め「ミサカはおいしかったら何でもいいよー! ってミサカはミサカは調理過程なんて気にしないいい子になってみる」
一方通行「そこは気にしろよ」
結標「おおっ、珍しく一方通行が会話に入ってきたわ」
一方通行「あァ? 俺が会話しちゃいけねェのかよ?」
結標「別にそういうわけじゃないけど……」
黄泉川「ハイハイじゃあ一方通行も珍しく会話に入ってきたところで」
一方通行「何なンですかァ? この扱いはァ?」
黄泉川「第二回黄泉川家家族会議を開催したいと思います!」
結標「おー!」
打ち止め「ドンドンパフパフー!」
芳川「やっと全員揃ったわね」
一方通行「オイオイ何でたかが家族会議で、こンなに盛り上がってンだよ?」
結標「別にいいじゃない。盛り上がるに越したことはないじゃないかしら?」
一方通行「くっだらねェ。つゥか、今さらだけど何だよ第二回って? いつ第一回やったンだよ?」
打ち止め「今日の午前中、あなたが家を出ていったぐらいから始まったんだよ! ってミサカはミサカは懇切丁寧に説明してみる」
一方通行「……で、第一回目は何が決まったンだ?」
芳川「パーティーに出す料理よ。おでんにケンタ○キーにケーキ、スーパーで適当に買ってくるオードブル。以上よ」
一方通行「おでンとかケンタッキーとか適当すぎンだろ」
結標「これでも決まるのに結構時間がかかったのよ?」
打ち止め「あれは長い戦いだったね、ってミサカはミサカはしみじみと思い出してみたり」
黄泉川「で、今回来るお客さんは三人ってことでいいじゃん?」
結標「はい。吹寄さんと姫神さんに、一方通行が呼んだインデックスちゃん」
一方通行「ちなみにインデックスの野郎を一人とカウントしねェ方がいいぜ」
黄泉川「聞いたじゃん。たしか三十人分だっけか?」
芳川「そんなに食べる人が存在するなんて驚きだわ」
一方通行「ホントだよなァ。あンなモンウチに抱えてる上条が可哀そうになってくる」
黄泉川「ところでおでんの三十人前ってどれくらい用意すればいいじゃん?」
芳川「さあ? ほどほどでいいんじゃない?」
結標「おでんの三十人前とか全然予想できないんですけど……」
打ち止め「想像するだけでお腹いっぱいになっちゃいそう、ってミサカはミサカはスプーンですくってたビーフシチューを器に戻してみたり」カチャ
黄泉川「お残しはゆるさないじゃんよ」
結標「そもそもおでんのほかにも料理はあるのだから、別におでんを三十人前用意する必要はないんじゃないですか?」
芳川「そうね。仮に他の料理も三十人前ずつ用意したとしたら、全部で一二〇人前の料理がこのテーブルに並ぶわけね」
一方通行「その計算式はおかしいンじゃねェか? まァ、それでもアイツは食えンだろォけどな」
打ち止め「インデックスって食べる事に関したら不可能はなさそうだよね。このビーフシチューも食べてくれないかな、ってミサカはミサカは密かに思ってみる」
一方通行「口に出してる時点で密かでも何でもねェよ」
黄泉川「まあおでんが主食だからおでんの具を大量に用意して、ケ○タッキーとかのセットとかをそれなりに用意しとけばいいじゃん」
結標「それならケーキは一つで十分ですよね。そんな大量に食べるものでもないし」
芳川「オードブルも正直スーパーのだったらそんなにおいしくないから一つで十分ね」
一方通行「つゥかインデックス抜いても七人いンだから、二つずつくれェ用意した方がイインじゃね?」
芳川「それに、足りなくなったら一方通行に買いに行かせればいいしね」
一方通行「叩き潰すぞクソババァ」
結標「まあ、おでんの具を大量に用意するのだから足りないなんてことはないとは思うけど……」
黄泉川「じゃあ料理についてはそんなもんでいいじゃん?」
打ち止め「異議なしー! ってミサカはミサカは話に正直付いていけなかったけどとりあえず了承してみたり!」
結標「大丈夫です」
一方通行「つゥか食い物の事以外で話し合う事なンざあンのか?」
芳川「うーん、まあそうね。強いて言うなら企画とか」
一方通行「そンな面倒臭ェこと考えなきゃいけねェのかよ」
打ち止め「企画って具体的に何をするの? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
芳川「例えばビンゴ大会とか一発芸とか……」
黄泉川「それってクリスマスにやることじゃん?」
芳川「さあ? やるところはやるんじゃないの?」
結標「そういえばテレビでプレゼント交換とかしてるの見ました!」
一方通行「面倒臭ェからやンなくていンじゃねェか?」
打ち止め「えええー? 楽しそうだからやろうよー!」
一方通行「別に飲み食いするだけでイイじゃねェか」
芳川「たしかにビンゴ大会は商品とかを準備するのが面倒臭いし、一発芸はやりたくない人が大勢だと思うし」
一方通行「珍しくオマエに同意してやるよ」
芳川「プレゼント交換は同世代の子たちだけでやるのはいいかもだけど、私たち大人が介入したら残念な事になりそうだし」
黄泉川「まあたしか世代の違いとかはありそうじゃん」
芳川「それに、そういうのにも向かない子もいるようだしね」チラ
一方通行「あァ? ンだよ?」
結標「じゃあゲーム大会みたいなの開けば良いんじゃないですか?」
打ち止め「ゲーム大会?」
一方通行「何だそりゃあ? みンなでテレビを囲ンで楽しくゲームでもしようってかァ?」
結標「それだけに限らず、ボードゲームとかトランプとか……」
一方通行「楽しいか……それ?」
結標「何よ? 何もしないよりはマシじゃないかしら?」
黄泉川「たしかにただ食べてるだけだったら絵的にもつまんないじゃん」
一方通行「別にそンなモンじゃねェのかパーティーなンて」
打ち止め「えええー!! パーティーはもっと楽しいはずだよー!! ってミサカはミサカはあなたの適当さに怒りを覚えてみる」
一方通行「あァ? 俺のどこが適当だっつゥンだァ?」
芳川「今までのキミの言動を振り返ってみたらどう?」
打ち止め「ミサカはもっと楽しいパーティーがしたいよー! ってミサカはミサカは子供特有のわがままゴリ押し戦法を行使してみたり!」
一方通行「クソガキ。あンまわがまま言ってるとサンタさンがプレゼント配りに来てくれねェぞ」
結標「ぷっ!」
芳川「まさかキミの口からそんなメルヘンチックな言葉が出るなんてね……ぷぷっ」
一方通行「チッ、ほっとけ」
打ち止め「ふふふ、ミサカ知ってるんだよ!」
一方通行「あァ? 何がだ?」
打ち止め「サンタクロースは実在しない仮想のキャラクターだってことをね、ってミサカはミサカは犯人を追いつめる名探偵の気持ちになってみたり」
一方通行「あ? そりゃあどォいう事だ!?」
黄泉川「あー、まさか打ち止めサンタクロースの正体に気付いてるじゃん?」
打ち止め「当たり前だよ! ミサカは一万人の妹達を従える最終信号だよ? 上位個体だよ?」
打ち止め「サンタが実は迷信で、枕元にプレゼントを置いているのはその子の親だってことも全部知っているのだよ! ってミサカはミサカはネットワーク経由の情報をひけらかせてみたり!」
一方通行「…………は?」
芳川「意外ね。てっきりそういうのは信じているのだと思ってたけど」
黄泉川「そうじゃんね。もうちょっとあとぐらいに気付くのかと思ったじゃん」
打ち止め「というわけだからミサカはゲコ太抱き枕が欲しい! ってミサカはミサカはクリスマスプレゼントを所望してみる」
一方通行「…………なァ」
結標「どうしたの一方通行?」
一方通行「サンタさンって実在しねェのか?」
結標「えっ?」
黄泉川「えっ?」
芳川「えっ?」
打ち止め「えっ?」
一方通行「えっ?」
結標「……まさか一方通行。サンタクロースの存在を本気で信じてたの?」
一方通行「いや、居ンだろサンタクロース? 世界中の善い子の欲しいのモノを読心能力で読み取って、
光学操作系の能力と空間移動系の能力を巧みに操って枕元にプレゼント置いていく最強の多重能力者」
黄泉川「…………」
一方通行「……あ?」
芳川「一方通行。よく聞いてちょうだい」
一方通行「何だ?」
芳川「たしかにサンタクロースは実在するわ。グリーンランド辺りに住んでる」
一方通行「そりゃそォだ。住んでるとこは知ンねェけどよォ」
芳川「でも実在するサンタクロースはそんな無茶苦茶な超能力者じゃないわ」
一方通行「……マジで?」
芳川「マジで」
一方通行「じゃあ木原クンが言ってた
『サンタさんはなぁ、テメェみてーなクソガキのところには来ねーんだよバーカ。サンタさんは善い子にしかプレゼントを配らねえヒーローなんだよ』
ってドヤ顔で豪語してたあれは嘘か?」
芳川「そうね。単純にプレゼントをあげるのが面倒だっただけね」
一方通行「…………」
芳川「…………」
結標「…………」
黄泉川「…………」
打ち止め「…………」
一方通行「ちょっと木原クン殺してくるわ」ガタッ
結標「待ちなさい一方通行」ガシ
一方通行「離せ結標! 俺は今から自転エネルギー使ってアイツのいる部屋をブッ飛ばしてやンだよォ!!」
芳川「やめなさい一方通行! そうしたら隣の部屋である私たちの部屋が吹っ飛ぶわ!」
黄泉川「そんなことより話し合いの続きをしようじゃんよ」
打ち止め「そうだね、ってミサカはミサカはヨミカワに賛同してみる」
一方通行「木ィィィ原ァァァあああああああああああああああッ!!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 20:00
-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-
木原「ぶぇぇぇっくしょんッ!!」
ヴェーラ「どうしたんですか社長? 風邪ですか?」
木原「あ? そんなわけねえだろーが。この俺が風邪なんかひくわけねえだろ」
ヴェーラ「じゃあ誰かが噂でもしてるのでしょうか?」
木原「さあな? もしかしたらどっかに『数多おじさんなら~』とか言ってるガキがいんのかもな」
ヴェーラ「はあ……一応暖房強めときますよ?」ピッ
木原「おう」
ガチャ
オーソン「社長。護送の任務終了いたしました!」ビシ
木原「おおご苦労! 何も問題はねえよな?」
オーソン「ありません!」
木原「そうか。じゃ、もう帰っていいぞお前ら」
ヴェーラ「えっ? まだ書類の仕事などが残ってますが……」
木原「俺がいいっつったらいいんだよボケ。カス共とっととウチに帰っとけ」
ヴェーラ「……わかりました。では失礼させていただきます」
木原「おーおーとっと帰れ」
オーソン「ではお疲れさまでした!」ビシ
ヴェーラ「お疲れ様でした!」ビシ
ガチャ
木原「…………」
木原「そーいやもうクリスマスって時期か……」
木原「クソガキまだサンタ信じてんのかな? ぎゃははははっ!」
―
――
―――
17.パーティー準備
December forth Sunday 09:00
-黄泉川家・リビング-
結標「──パーティーの準備ですか?」
黄泉川「そうじゃん。明日のパーティーに使うものを買ってきて欲しいじゃん」
結標「使うもの……トランプとかでしたっけ?」
黄泉川「そうそう。あとは適当な飾りとか買ってくればいいじゃん!」
結標「飾りですか?」
黄泉川「一応パーティーなんだから少しぐらい飾り付けした方がいいじゃん!」
結標「わかりました。じゃあ今からいってきます」
打ち止め「待ってー! ミサカも行きたーい! ってミサカはミサカはソファーから飛び起きてみる!」ガバッ
結標「あれ? 今日は一日中ゴロゴロするとか言ってなかったかしら?」
打ち止め「気が変わったのだ! ってミサカはミサカは気紛れ宣言!」
結標「あ、そう。じゃあ行きましょ?」
打ち止め「わーいありがとー! あの人なら『家に居ろクソガキ』って一蹴されるのに、ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんの優しさに感謝してみる」
結標「あはは、何よ大げさねー」
打ち止め「いってきまーす! ってミサカはミサカは勢いよく玄関に向かって走り出してみたり」
黄泉川「いってらっしゃいー」
───
──
─
─
──
───
同日 10:30
-第七学区・とある大型雑貨店-
打ち止め「というわけで、この大型雑貨店に参りました! ってミサカはミサカは実況してみたり」
結標「いきなりどうしたの打ち止めちゃん?」
打ち止め「いやー、何か一応言っとかないといけないのかなーと思って、ってミサカはミサカはちょっと謎発言をしてみる」
結標「?」
打ち止め「しかしミサカ初めてバスに乗っちゃった! ってミサカはミサカは初体験アピールをしてみたり」
結標「そうなの? まあ私もだけど……しかしこんな遠い所にこの店があるとは思わなかったわ」
打ち止め「この建物本当に大きいねー、下手したらデパートクラスはあるんじゃないかな? ってミサカはミサカは目の前の建物を目測してみたり」
結標「ホントよね。ここなら大体のものが揃いそうなくらい大きいわね」
打ち止め「よし! じゃあ早く中に入ろうよー! ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんの手を引っ張って急かしてみたり!」グイグイ
結標「ちょ、ちょっと待って打ち止めちゃん! 引っ張らないでー!」
───
──
─
─
──
───
打ち止め「おおおー!! 何かいろいろなものがあるー! ってミサカはミサカはあまりの品数の多さにワクワクが止まらなかったり!」
結標「たしかにそうね。すごい品数だわ……」
打ち止め「で、何を買うんだっけ? ってミサカはミサカは目的の物を聞いてみる」
結標「パーティー中のゲームのためのトランプに、あとは適当な飾りとか言ってたわね」
打ち止め「飾りってどんなのがいいかな? ってミサカはミサカはたくさんの商品から探してみたり」
結標「うーんどうだろか……クリスマスと言えば……」
打ち止め「これなんかどうかな? ってミサカはミサカは商品棚から手に取ってみる」
結標「ん? どれどれ……」
つカボチャのオバケの置物
結標「……これってクリスマスだっけ?」
打ち止め「でも何かパーティーで飾ってありそうだよね、ってミサカはミサカは想像してみる」
結標「それってハロウィンのパーティーじゃない?」
打ち止め「ハロウィン?」
結標「十月末くらいにやるイベントだったはず」
打ち止め「へー、そんなのがあったんだー」
結標「たしか『トリックオアトリート』とか言ってコスプレした子供がお菓子を要求したりするみたいな感じのイベントだったような」
打ち止め「トリックオアトリート!」
結標「えっ?」
打ち止め「トリックオアトリート! ってミサカはミサカはお菓子を要求してみたり」
結標「…………」
打ち止め「トリックオアトリート! ってミサカはミサカは再度要求してみたり」
結標「……はいはい後でね」
打ち止め「わーい!」
結標「……ってこんなことしてる場合じゃないわね。これはハロウィンの飾りだから却下」
打ち止め「えー、かわいいのに……」
結標「まあかわいいのは同意するけど、これはクリスマスには全然関係ないわ」
打ち止め「さよならカボチャさん、ってミサカはミサカはカボチャの置物に別れのあいさつをしてみたり」カタ
結標「……とにかくクリスマス関係のものを探しましょ」
打ち止め「クリスマス関係ってどんなのだっけ? ってミサカはミサカは素朴な疑問を浮かべてみたり」
結標「クリスマスと言えばサンタクロースにクリスマスツリー、プレゼント……あれ?」
打ち止め「思ったよりヒントが少ないね、ってミサカはミサカは無理難題を押し付けられて気分になってみる」
結標「まあとにかく、クリスマスっぽい飾りとか置物を買えばいいわ」
打ち止め「わかった! そんな感じのものを探せばいいんだね? ちょっと探してくる! ってミサカはミサカは飾り付けの捜索を結構してみたり!」
結標「あんまり遠くに行っちゃダメよー」
───
──
─
─
──
───
結標「──おおっ、クリスマスツリー発見ー!」
結標「って高っ!? さすがにこの大きいやつを買おうとは思わないわね……」
結標「あっ、小さいやつがある。手頃な値段だからこれでいっか」ヒョイ
打ち止め「アワキお姉ちゃーん!!」トテチテ
結標「あっ、打ち止めちゃん何か見つかった?」
打ち止め「うん! これが見つかったよ! ってミサカはミサカは持ってきたものを見せびらかせてみる」スッ
つゲコ太人形(サンタver)
結標「……これって打ち止めちゃんが大好きなゲコ太ってやつかな?」
打ち止め「そうだよ! かわいいでしょ!」
結標「…………」
打ち止め「ふふん」
結標「……これって飾り付けというか、打ち止めちゃんが欲しいものじゃないの?」
打ち止め「ギクッ! そ、そんなことないよー、あはははー」
結標「今ギクって言わなかった?」
打ち止め「い、言ってないよー」
結標「ふーん、ま、いっか。じゃあそれも買いましょ」
打ち止め「イエーイ!! やったー!! ってミサカはミサカは念願のサンタゲコ太が手に入って大喜びしてみたり」
結標「やっぱり打ち止めちゃんの欲しいものだったのね」
打ち止め「あっ……」
―――
――
―
―
――
―――
打ち止め「……これとかどうかなー? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
結標「何それ? ……クラッカー?」
打ち止め「何か描いてる絵がパーティーっぽいよ! ってミサカはミサカはパッケージを指さしてみる」
結標「ホントね。しかも値段もそれなりに安いし」
打ち止め「これは結構いいんじゃないかな? ってミサカはミサカはお勧めしてみる」
結標「クラッカーってあれよね? ヒモ引いたら爆発するやつだったかしら?」
打ち止め「爆発というか火薬に火が点いて……あれ? 爆発かな? ってミサカはミサカはちょうどいい言葉が思いつかなかったり」
結標「で、中から紙吹雪とかが飛び出すんでしょ?」
打ち止め「そうそうそんな感じだよ」
結標「たしかにこれがあったら盛り上がるかもね」
打ち止め「じゃあこれもカゴに入れとくよ? ってミサカはミサカは確認を取ってみる」
結標「うんいいよー」
打ち止め「はーい! ってミサカはミサカはカゴの中にクラッカーを投下してみたり」
―――
――
―
―
――
―――
打ち止め「アワキお姉ちゃーん! 向こうに安くていいものがあったよー、ってミサカはミサカは報告してみる」
結標「えっ? 何々ー?」
打ち止め「ほら。あそこのワゴンの上に乗ってる」
結標「ワゴン?」
『現品限り!! 豪華絢爛花火セット70%OFF!!』
結標「……これは」
打ち止め「どうしたの? 買わないの? ってミサカはミサカは呆然と花火を眺めてるアワキお姉ちゃんに聞いてみたり」
結標「い、いや、これは買わない方がいいわ」
打ち止め「えっ? 何で? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
結標「多分……これはあくまで予想だけど、この花火は今年の夏ぐらいからの売れ残り品よ」
打ち止め「そうなの? ってミサカはミサカは少し驚いてみたり」
結標「だって花火って普通夏に売るものじゃない?」
打ち止め「言われてみればそうだね、ってミサカはミサカは花火が夏の風物詩だということを思い出してみる」
結標「そんなものがこんな真冬に売られてる時点であれよね」
打ち止め「湿気てないのかなー? ってミサカはミサカは少し心配になってみる」
結標「学園都市で作られたやつだから、それはないと思うけど……でも」
打ち止め「でも?」
結標「これは家の中でできないし、かと言ってこの寒空の中でやるのは嫌でしょ?」
打ち止め「たしかにそうだね。冬にやるものじゃないね、ってミサカはミサカは常識的に考えてみる」
結標「だから買わない方が吉よね」
打ち止め「そうだねー、ってミサカはミサカは売れ残った花火さんたちに哀れみの視線を送ってみる」ジー
―――
――
―
―
――
―――
結標「おっ、これは良いものを見つけた」
打ち止め「何々ー? 何を見つけたのー? ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんのもとへ駆けつけてみる」トテチテ
結標「これを見てちょうだい」スッ
打ち止め「何これ? チラシ?」
結標「クリスマスセールって書いてあるでしょ?」
打ち止め「ホントだー! で、これがどうしたの? ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんの思惑がまだ理解できなかったり」
結標「ここに書かれてる飾りを買えば良いんじゃない?」
打ち止め「……ん? どういうこと?」
結標「このチラシに載ってる商品はほとんどクリスマスに関係してるでしょ?」
打ち止め「おおおー! アワキお姉ちゃん頭良いー! ってミサカはミサカは羨望のまなざしで眺めてみたり」
結標「まあそんな大したことではないけど……」
打ち止め「じゃあこのチラシに書かれてるものを探せばいいんだね? これからするべきことの確認を取ってみる」
結標「そうね。じゃあ打ち止めちゃんはこれを探してきてちょうだい」
打ち止め「任務了解ー! ってミサカはミサカは再度店内を探索してみたり!」
結標「あんまり走り回ってコケないようにねー!」
───
──
─
─
──
───
打ち止め「――あったよー! リースー!」
結標「おおっ! やっと見つかった!」
打ち止め「あんな場所にあるとは思わなかったぜ、ってミサカはミサカは持ってきたリースをカゴの中に入れてみたり」ガサ
結標「……リースって思ったより大きいのね」
打ち止め「ふぅ……粗方集まったかなー、ってミサカのミサカは一息ついてみる」
結標「カゴの中に色々なものが入っててムチャクチャだわ」
打ち止め「もうこれくらいでいいんじゃないかな? もう歩き疲れちゃった、ってミサカはミサカはそろそろ切り上げようと提案してみたり」
結標「……そうね。時間も結構いいくらいだしね」
打ち止め「これだけあればパーティーっぽくなるよね!」
結標「じゃあレジに行ってくるわねー」
打ち止め「行ってらっしゃーい、じゃあミサカは出口で待ってるねー、ってミサカはミサカは待ち合わせ場所を指定してみたり」
―――
――
―
―
――
―――
結標「…………はぁ」
打ち止め「ど、どうしたの溜め息なんてついて? ってミサカはミサカはワタワタしながら聞いてみる」
結標「財布の中がほぼ空になったわ」
打ち止め「……それってどういうこと? ってミサカはミサカは詳しい事を聞いてみたり」
結標「……何か代金がすっごい金額になったわ」
打ち止め「えっ? そ、それってどれくらい? ってミサカはミサカはためらいつつも聞いてみる」
結標「……――万円よ」
打ち止め「おおう!? 何という金額! ってミサカはミサカは驚きを隠せなかったり!」
結標「黄泉川さんにあらかじめお金をもらってなかったら危なかったわ」
打ち止め「……ん? まてよ。ってことは帰りは……?」
結標「そうね。歩きよ!」
打ち止め「……ミサカはミサカは絶体絶命な状況に言葉一つだせなかったり」
結標「残念ながら言葉はでてるわね」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:00
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
打ち止め「……ただいまー、ってミサカはミサカは語尾を言う元気もなかったり」フラフラ
結標「打ち止めちゃん。語尾を言ってるっていうツッコミをしちゃダメかしら?」
黄泉川「おかえりじゃん。エラく遅かったな? 何かあったじゃん?」
結標「いえ。ちょっとお金を使い過ぎて帰り道を歩いて帰ったもので……」
黄泉川「ほー、あの距離を歩いて帰ったのかー。それはお疲れじゃんね」
打ち止め「あー! 疲れたー! ってミサカはミサカはソファーにダイブしながら言ってみる」ボフン
結標「たしかにあの距離はバスじゃないとキツイ……」ガタ
黄泉川「お昼どうするじゃん? 一応作ってはあるけど……」
結標「正直疲れてて食べる気がしないですねー」
打ち止め「同じくー、ってミサカはミサカは食欲がない……」グデーン
黄泉川「そうじゃん。じゃあこれは夕飯行きかな……」ガチャ
タラララララー♪ タラララララーン♪
結標「……電話? 誰からかしら」ピッ
結標「もしもし」
土御門『もしもしー。結標かにゃー?』
結標「ああ土御門くん。どうかしたの?」
土御門『……あれ? 結標もしかして疲れてるかにゃー?』
結標「あー、わかる? ちょっと長距離ウォーキングした後なのよ」
土御門『食後の運動にしてはハード過ぎじゃないか?』
結標「いやいや。食後どころかまだお昼も食べてないわ」
土御門『……それはお気の毒だにゃー』
結標「ところでわざわざ電話までしてきて何か用?」
土御門『ちょっと結標に頼みごとがあってにゃー』
結標「頼みごと?」
土御門『そう。明日、ケーキ屋のバイトに行って欲しいにゃー』
結標「……ごめん何て?」
土御門『明日ケーキ屋のバイトに行って欲しいにゃー?』
結標「……とりあえず理由を聞きましょうか」
土御門『いやー、知り合いのケーキ屋のバイトが急に来れなくなってにゃー。代わりの人間を捜しているんだぜい』
結標「悪いけど。私明日用事があるわよ?」
土御門『そうなのかにゃー、それって何時くらいにある用事かにゃー?』
結標「……夕方からくらいだと思うけど」
土御門『じゃあ大丈夫だぜい! 五時くらいまででいいから』
結標「ちょっと待って。まだ私やるとは言ってないわよ!?」
土御門『そこを何とか頼むにゃー! もう結標の姉さんしか頼める人がいないにゃー』
結標「……それってホントなの?」
土御門『にゃー、頼めるような知り合いが全員イギリスにいるからにゃー』
結標「イギリスって、それはまたグローバルな知り合いね」
土御門『だから頼むにゃー、バイト代はそれなりにはずむからにゃー』
結標「……わかったわ。で、何時ぐらいにどこの店に行けばいいのかしら?」
土御門『おおっ! やってくれるかにゃー! じゃあ詳しいデータはあとでメールで送るにゃー!』
結標「はいはい了解了解。じゃあ電話切るわね?」
土御門『よろしく頼むにゃー!』ピッ
結標「…………」
結標「……そういえば吹寄さんとか姫神さんに頼めばよかったんじゃなかったのかしら?」
結標「いや、断られたから私の方に回ってきたという事かしら?」
結標「…………」
結標「……ま、いっか」
18.クリスマスイブ
December forth Monday 07:40
-黄泉川家・リビング-
一方通行「……バイトだァ?」
結標「うん。土御門君に頼まれて」
一方通行「冬休みだってンのにご苦労なこった」
打ち止め「ケーキ屋のバイトをするんだよね? ってミサカはミサカは目をキラキラさせながら確認を取ってみたり」
結標「まあそうだけど、たぶん打ち止めちゃんが想像してるような事は起こらないと思うわ」
打ち止め「べ、別に何も想像してないよー、ってミサカはミサカは口から垂れたよだれを拭きとってみる」フキフキ
一方通行「大方、ケーキ屋のバイトだからケーキが大量にもらえるとか想像とかしてたンじゃねェのか?」
打ち止め「そ、そんな想像なんかしてないよー! ってミサカはミサカは内心焦りながら反論してみたり」
一方通行「つゥか料理のスキルが壊滅的なオマエが、食料関係の店のバイトなンかやって大丈夫なのかよ?」
結標「なっ、失礼ね。壊滅的って何よ?」
一方通行「肉をやわらかくせるために、柔軟剤ブチ込もうとするヤツの料理のスキルが壊滅的ではないと?」
結標「……あれー? そんな馬鹿なことする人がいるんだー、一体どこのどいつかしらねー?」タラ
一方通行「さァな。一体どこのどいつだろォな」ギロ
打ち止め「?」
結標「……まあ、この話は置いといて。私が担当するのはあくまで接客だから安心してちょうだい」
一方通行「そォか。オマエがそれ以外の担当だったら安心できねェのか」
結標「い、いや。べ、別にそういうわけじゃないけど……」
黄泉川「そういえば淡希。ケーキ屋でバイトするんだったら、ついでにケーキを買っといて欲しいじゃん」
結標「あー、わかりました了解です」
芳川「しかしパーティー当日にバイトなんて大変ね」
結標「準備に参加できなくて本当にすみません」
打ち止め「いいよいいよー! ミサカに任せてもらえれば大丈夫だから! ってミサカはミサカは無い胸張ってみたり!」エッヘン
一方通行「オマエがハシャイだら飾り付けが全滅すンじゃねェか?」
打ち止め「むー! あなたはミサカを毎度過小評価し過ぎてる気がするー、ってミサカはミサカはほっぺを膨らませながら睨みつけてみる」ジー
一方通行「真っ当な評価だと思うがな」
結標「……まあとにかく準備頑張ってね」
打ち止め「了解! ってミサカはミサカは気をつけをして敬礼してみたり」
一方通行「チッ、くっだらねェ……」ガタ
黄泉川「もう学校に行くじゃんか?」
一方通行「もうって言うほど早くもねェだろ」
芳川「その補習っていつまであるの?」
一方通行「あァ? あー、いつまでだったっけなァ……」
結標「ホント貴方って人の話とか聞かないわよね」
黄泉川「多分二十九日ぐらいまでだった気がするじゃん」
結標「黄泉川さん知ってるんですか? 補習の期間」
黄泉川「ハッキリとは言えないけどたしかそれくらいだったじゃん」
一方通行「まァどォでもイイけどよォ」
芳川「休日の日数に関わるのだから、キミにとっては結構関係あるのじゃない?」
一方通行「そォかよ。じゃあそろそろ俺は出るぞ」カツンカツン
打ち止め「いってらっしゃーい! ってミサカはミサカは毎日恒例のお見送りをしてみたり」
ガチャ
黄泉川「……で、淡希はいつ出るじゃん?」
結標「九時開店なので、八時半ぐらいに来てくれと言われてます」
芳川「じゃあ距離的な問題から考えると八時ぐらいかしら」
結標「そうですね。そのくらいに出ようと思います」
打ち止め「何時に帰って来れるのー? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
結標「そうね。五時まで仕事があるらしいから六時前ぐらいには帰れるかしらね」
芳川「お友達はその時に呼ぶの?」
結標「はい。一度待ち合わせて合流してからここに戻るつもりです」
打ち止め「インデックスはどうするの? ってミサカはミサカはふと疑問に思ってみたり」
結標「インデックスちゃんは……一方通行が誘ったのだから、アイツが連れて来てくれるのじゃない?」
黄泉川「じゃあパーティー開始時刻は六時過ぎぐらいでいいじゃん?」
芳川「まあ、人の揃い具合にもよるけどそれくらいでいいんじゃない?」
結標「パーティー開始は全員揃ってからですねー」
黄泉川「よし! じゃあだいたいそれくらいを目安にして三人で準備を進めていくじゃん!」
打ち止め「おー!! ってミサカはミサカは腕を突き上げて掛け声を上げてみる!」
芳川「えっ!? 私もやるの?」
黄泉川「当たり前じゃん。どうせ今日もシフト入ってなかったろ?」
芳川「た、たしかに今日はバイトはないけども……」
打ち止め「部屋に引きこもってパソコンばかりしてたら体に悪いよ! ってミサカはミサカはもっともな事を言ってみる」
芳川「……うう。わかったわ手伝えばいいんでしょ?」
黄泉川「わかればいいじゃん!」
打ち止め「うん!」
結標「ははは、じゃあ私は行く準備とか始めてきますねー」テクテク
―――
――
―
―
――
―――
結標「……じゃあそろそろ時間なので行きますねー」
打ち止め「頑張ってね! アワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカは激励のメッセージを送ってみたり」
黄泉川「社会勉強だと思って頑張ってくるじゃんよ!」
芳川「いってらっしゃいね」
結標「いってきまーす!」
ガチャ
黄泉川「……よし! じゃあ準備を始めるじゃん!」
打ち止め「よーし! ミサカも頑張るぞー! ってミサカはミサカは意気込んでみたり」
芳川「……はぁ。今日はいつもより疲れそうね……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:25
-とある高校・一年七組教室-
ガララララ
上条「……おーす一方通行! 今日も早いなー」
一方通行「気のせいだろ」
上条「しかし、イブだって言うのに補習なんてホントついてねーよなー」
一方通行「家に居たところで準備を手伝わされるだけだからどっちでもいい」
上条「……準備? 何のだ?」
一方通行「オマエが行くはずだったパーティーだよ」
上条「ああそうか。ところで本当にインデックスを任せて大丈夫なのか?」
一方通行「ああ。つゥか、今の状態で来てくれなかったらコッチが困る」
上条「え? インデックスに何か用でもあんのか?」
一方通行「何言ってやがる。現在ウチにため込まれてる大量の食料は誰が処理するンだ?」
上条「食べきれないほど買ったのかよ?」
一方通行「アイツのスペックが未だに理解し切れてねェからな」
上条「……たしかにあいつがどれだけ食うのか知らねえな。前は牛一頭とか言ってた気がするけど……」
一方通行「その牛一頭っつゥのは冗談じゃねェンだろォな……」
上条「そうだろな……」
ガララララ
小萌「はーい! みなさんおはようございます!」
上条「おはよーございまーす」
一方通行「マース」
小萌「はい! 今日はクリスマスイブですね! だから特別に……」
上条「補習がお休み……!?」
小萌「プレゼントとして抜き打ちテストを作ってきたのですよ!」
上条「ズコー!」
一方通行「何やってンだこの馬鹿みてェな三下はァ?」
───
──
─
―
――
―――
同日 08:30
-第七学区・とあるケーキ屋-
ウィーン
結標「おはようございまーす」
店長「おおっ、キミが土御門君のクラスメイトの……」
結標「はい。結標です。本日はよろしくおねがいします」
店長「ははは、こちらこそよろしくね結標さん」
店長「じゃあ早速だけど、仕事の内容の説明をしても良いかな?」
結標「えーと、たしか接客でしたよね?」
店長「そうそう。店の表でクリスマスケーキの販売をして欲しいんだ」
結標「はい。大体聞いてます」
店長「ははっ、しかしキミみたいな娘が来てくれてホント助かるよ」
結標「前のバイトの人はどうしたんですか?」
店長「何か風邪を引いてしまったらしくてねー、ホント困ってたんだよ」
結標「販売の人って今のところ私だけですか?」
店長「うん、そうだよ」
結標「大丈夫なんですか? 一人で仕事できる気がしないんですが……」
店長「大丈夫大丈夫。ウチの店は地味でね。そんなに客は来ないから」
結標「逆にそれはそれで心配なんですけど……」
店長「まあ固定客がそれなりにいるから大丈夫だと思うよ」
結標「はあ……」
結標(ホントに大丈夫なのだろうか……)
店長「……じゃあそろそろ開店の時間だから、衣装に着替えて欲しいんだけど?」
結標「(……衣装?)この店の制服ですか?」
店長「まあある意味この時期の制服かな?」
結標「?」
店長「更衣室はこっちだよ。この部屋の中に衣装が置いてあるから」
結標「……わかりました」
結標(何かイヤな予感がするのは気のせいだろうか……?)
───
──
─
─
──
───
結標「……い、いらっしゃいませー……」
ざわ……ざわ……ざわ……
結標(…………こんなの)
<すげぇ…… <寒そう…… <これは……
結標(こんなの聞いてないわよォおおおおおおおおおおッ!!)←ミニスカサンタコス装備
───
──
─
―
――
―――
同日 09:15
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「よいしょっと、ええとビニールテープは……あっ」
打ち止め「……はーぴいにゅーにゃあ♪」
黄泉川「……打ち止め。そこのビニールテープ取って欲しいじゃんよ」
打ち止め「はーい……ってどこにあるの? ってミサカはミサカは辺りを見渡してみたり」
黄泉川「そこそこ! 足元に落ちてるじゃん」
打ち止め「あ。あった! ……はいヨミカワ」スッ
黄泉川「ありがとじゃんよ」ビリー
芳川「疲れた。愛穂ー、そろそろ休憩しない?」
黄泉川「ダメじゃん。まだ全然飾り付けできてないじゃん」
芳川「もう一時間近く時間が経ってるじゃない。ゲームなら十五分間の休憩を強いられる時間よ」
打ち止め「逆にミサカからしたら経ったの一時間しか経ってないって感じるんだけど、ってミサカはミサカはヨシカワの体力のなさを憐れんでみたり」
黄泉川「子供に憐れまれるとは……」
芳川「体力はあるわよ。これでも週六でコンビニのバイトしてるのだから」
打ち止め「じゃあ何でもう疲れてるの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
芳川「精神的な問題よ」
黄泉川「単にやる気がないだけじゃん」
芳川「そもそもパーティーを開くのに飾り付けは必要かしら?」
打ち止め「必要だよ! だってパーティーだよ! ってミサカはミサカは熱弁してみたり」
芳川「それは理由になってないのじゃないかしら?」
黄泉川「てか、こんなに飾りを買ってしまったのだから使わないともったいないじゃん」
芳川「誰よこんなに買ってきたの?」
打ち止め「ミサカとアワキお姉ちゃんだよー! ってミサカはミサカは即答してみる」
芳川「やり過ぎという言葉を知らないのかしら?」
黄泉川「つべこべ言わずに働くじゃん!」ゴツン
芳川「……痛い愛穂」
―――
――
―
─
──
───
同日 09:30
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「…ありがとうございましたー」
結標「…………はぁ」
結標(しかし寒いわ……)
結標(この衣装のスカート短すぎじゃない?)
結標(今も押し入れの中に封印されてる記憶喪失以前の制服のボロボロスカートと良い勝負よ)
結標(まあ、女子高生がこんなこと言ってちゃダメなんでしょうけど……)
結標「…………はぁ」
初春「……す、すみません」
結標「あ、はい! 何でしょうか?」アセ
佐天「このクリスマスケーキ一つくーださーい!」
結標「はい! かしこまりましたー」ガサゴソ
佐天「……ここのケーキ楽しみだよねー」
初春「そうですねー。ネットで隠れ名店何て言われるくらいの店ですからねー」
佐天「そうなんだー」
結標(それは知らなかった)ガサゴソ
佐天「…………」
結標(……しかしこのロングヘアーの娘寒そうな格好ね。スカートとかすっごい短いわ)
結標(最近の中学生ってそんなに進んでるのかしら?)
結標「えーと、四五〇〇円になりまーす」
初春「は、はい!」スッ
結標「五〇〇〇円をお預かりいたします」
佐天「わーい! 初春の奢りだー! ごちそうさまでーす!」
初春「何言ってんですか佐天さん! あとでちゃんとお金はいただきますよ!」
佐天「ちぇー」
結標「あのー」
初春「ちぇー、じゃないでしょもー!」
結標「……五〇〇円をお返しします」スッ
初春「あ、すみません」チャリン
佐天「あのー、お姉さん? さっきから気になってるんですけど……」
結標「は、はい?」
佐天「そんな格好して寒くないんですか?」
結標「そ、そんなことないわよー(貴女だけには言われたくないわ……)」
初春「も、もー佐天さん! 初対面の方に向かっていきなり何言いだすんですか!?」
佐天「いやー、ちょっと気になっちゃってさー」
結標「……あのー、ケーキです」スッ
初春「あ、はい、ありがとうございます!」ガサ
佐天「よーし、じゃあ行こうか初春ー!」タッタッ
初春「ちょ、ちょっと待ってください佐天さーん!」トタトタ
結標「ありがとうございましたー」
結標「…………」
結標「中学生って元気ねー」
───
──
─
─
──
───
同日 09:40
-とある高校・一年七組教室-
小萌「……はい。小テスト終了なのですよー!」
上条「……あー、まだ補習自体は始まったばかりなのにこの脱力感は何なんだろうなー」
一方通行「たかが小テスト如きでもう疲れてやがるのか?」
上条「いやー、難しい問題を前にするだけで、上条さんの体力はどんどん削ぎ落されていくのですよ」
一方通行「……そンな難しかったか?」
上条「……えっ?」
一方通行「昨日やったところそのまンまだったじゃねェか」
上条「……マジでか?」
小萌「アクセラちゃんの言うとおりですよー。昨日の復習はちゃんとやったのですかー?」
上条「ええと……あの、その……」アセ
一方通行「まァ、あの程度の問題予習も復習もする必要ねェけどな」
小萌「そんな事言ってるけど、アクセラちゃんはいい加減『ん』を『ン』って書く癖はやめて欲しいのですよー!」
一方通行「あァ? 別に構わねェだろ。意味は同じだ」
小萌「そーいうわけにはいかないのですよー」
上条「つーか一々カタカナに変えてんのか? そういやメールでもそうだったよな?」
一方通行「チッ、しょうがねェじゃねェか、クセになっちまったモンはよォ」
小萌「こういう癖は早いうちに直した方がいいのですよー! 社会人になってからじゃ遅いのですー!」
一方通行「ああハイハイそォですねェ」
小萌「アクセラちゃん!!」
ブーンブーンブーンブーン
上条「あ、電話だ」スッ
小萌「上条ちゃーん! ちゃんと電源は切っといてください!」
上条「す、すみません!」ピッ
上条「もしもし」
一方通行「謝っておきながら電話に出ンのかよ」
青ピ『もしもしカミやん?』
上条「青髪か。どうしたんだ?」
青ピ『いやークリスマスって素晴らしいですなー』
上条「はっ? 何だって?」
青ピ『街を歩くだけでそこらじゅうにサンタコスをした女の子がたくさんおるんよー』
上条「……まあクリスマスだしな」
青ピ『まあ素晴らしい反面リア充どもがうろつき回ってうっとおしくも思うんやけどなー』
上条「…………」
青ピ『でもそれを差し引いてもエロ可愛いサンタ娘たちを見れるだけで幸せやわー』
上条「……で、結局俺に何の用なんだ?」
青ピ『別に用はないよ。ほなさいなら』ピッ
上条「ちょ、おま、待っ!」
プープープープー
上条「…………」
小萌「どうしたんですか上条ちゃん?」
一方通行「何の電話だったンだ?」
上条「嫌がらせかよコンチクショォォおおおおおおおおおおおおおおッ!!」ガンガン
小萌「!?」ビク
一方通行「何をそンな発狂してンだこの馬鹿は?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 10:00
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「いらっしゃいませー、クリスマスケーキはいかがですかー?」
結標(……だいぶ寒さに慣れてきた気がする)
結標(だけど、その代わりに鼻水がやけに多い様な気がする)ズルル
結標(これはあれだろうか? 寒さに慣れたというより風邪をひいて感覚がおかしくなったのだろうか?)
結標(パーティーにする前に高熱で参加できなくなりました、とかなったらシャレにならないわね)
結標「……温かいコーヒーが飲みたい」
妹達「…………」ジー
結標「あっ!? すみません! 何にします? ……ってあれ? ミサカさん?」
妹達「たしかに私はミサカですが、とミサカは少し戸惑いながらも返答します」
結標「……あれ? 今日の午前中はコンビニのバイトとか言ってなかったっけ?」
妹達「……そうですね。たしかにあなたの会ったミサカは今もコンビニで働いていますね、とミサカはミサカネットワークから情報を取り寄せます」
結標「どういうこと?」
妹達「あなたの会ったミサカは今ここにいるミサカとは別の個体ですよ、とミサカは理解が追いつかないだろうと思いながらも説明します」
結標「……つまり貴女とコンビニで働いてるミサカさんは双子の姉妹か何かなの?」
妹達「……まあ大まかに言えばそうですね。まあ現実はもっと……とミサカは口を濁らせてみます」
結標「じゃあ貴女の名前は何なの? それとコンビニにいるミサカさんは?」
13577「ミサカ達の名前はミサカです。強いて言うならミサカは検体番号13577号で、コンビニにいるミサカは検体番号10032号です、とミサカは懇切丁寧に説明しました」
結標「えっ? 何て?」
13577「……とりあえずあのミサカとは別人と考えておいてください、とミサカは面倒臭いのでこの話を切り上げます」
結標「……ま、いいか。ところで何にします?」
13577「この大型のクリスマスケーキをお願いします、とミサカは迷うことなく注文します」
結標「かしこまりましたー。では五五〇〇円になります」
13577「了解いたしました、とミサカは財布から五千円札と五百円玉を取り出します」スッ
結標「五五〇〇円ちょうどをお預かりいたします。はいケーキです」スッ
13577「はい。たしかに受け取りました、とミサカは中身が崩れないように丁寧に箱を持ちます」
結標「気をつけてね。そういうのすぐ崩れるから……」
13577「大丈夫です、とミサカは心配ご無用な事を伝えます」
結標「ああ、そう」
13577「ではがんばってくださいね、とミサカはあなたにエールを送ってみます」テクテク
結標「ありがとうございましたー」
<やっと買えましたか、とミサカ10039号は…… <少し会話をしてました、とミサカ13577号は……
結標「……三つ子?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 10:30
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「ねえねえヨミカワ!」
黄泉川「何じゃん?」
打ち止め「このリースってやつはどこに飾ればいいの? ってミサカはミサカはリースを掲げて尋ねてみたり」
黄泉川「うーんリースかー。壁とかドアに飾るもんじゃんねー」
打ち止め「どっちがいいの?」
黄泉川「好きな方にすればいいじゃん」
打ち止め「じゃあドアに付けてくるねー、ってミサカはミサカは玄関に向かって走り出してみる」トテチテ
黄泉川「いってらっしゃーい」
芳川「……ふふふ。子供は元気ねー」ズズズ
黄泉川「で、桔梗は何一人で優雅にコーヒー飲んで一服してるじゃん」
芳川「いいじゃない。別にコーヒー飲むくらい」
黄泉川「うーんまあそうじゃんねー……」
芳川「そもそも二時間くらい経ったのだからそろそろ休憩してもいいと思うのだけど」
黄泉川「うーん、じゃあとりあえず打ち止めが戻ってきたら休憩にするじゃん」
芳川「よし、ちょっとネットしてくるわ」テクテク
黄泉川「リビングの中で休憩するじゃん」ガシ
芳川「それくらいいいじゃない」
黄泉川「そのまま鍵閉めて終わるまで出てこないつもりだったのだろうけど、そうはいかないじゃん」
芳川「チッ、バレてたか」
黄泉川「まあウチにはマスターキーがあるから閉めたところで無駄じゃんけどね」
芳川「な、なんだってー!?」
打ち止め「ヨミカワー!」トテチテ
黄泉川「どうかしたじゃん打ち止め?」
打ち止め「ミサカの背じゃドアの金具に届かないの、ってミサカはミサカは自分の身長の低さに歯噛みしてみる」
黄泉川「はいはいじゃあ私が付けてくるじゃんよ」テクテク
芳川「…………」
芳川「……よし、今のうちに部屋に行ってくるか」テクテク
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:50
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「――あっ、クリスマスケーキ以外は店内となります」
結標「…………」
結標(しかし今思えばこの格好ってかなり恥ずかしいわよねー)
結標(コスプレなんて一般人がやるものではないわ)
結標(こんな格好をしてるのを知り合いに見られたら死ねるわね)
結標(アイツに見られたら大爆笑されるに違いないわ)
結標(……いや。ゴミを見るような目で見ながら鼻で笑ってくるかも)
結標(待てよ。もしかしたら――)
浜面「あれ? もしかして結標の姉さんじゃねえか?」
結標「ふわぁい!? だ、誰!?」
浜面「えっ、いや、あれ!? 何でそんなに驚かれんの!?」
フレンダ「あまりの浜面のキモさに驚いたんじゃないの?」
浜面「何だとテメェ!?」
結標「……ああ浜面君か。ごめんね。ちょっと気が動転してて」
浜面「いや、別にいいけどよ」
結標「ところでお隣の方はどなた? 彼女さん?」
フレンダ「なっ!? 何で私がこんなアホ面の彼女にならなきゃいけないの!?」
浜面「フレンダこの野郎ォ……」プルプル
フレンダ「何? 下っ端のクセに上司に歯向かうって訳?」
結標「上司? ああ、同じ職場の方でしたか」
フレンダ「ところで浜面は浜面で誰なのこの女の人? 浜面は滝壺一択じゃなかったっけ?」
浜面「この人はそんなんじゃ……って何でお前がそんな事知ってんだよ!?」
フレンダ「結局、そのヤラシイ目を見てれば誰でもわかるって訳よ」
浜面「えっ? 俺いつもそんな目してんの?」
フレンダ「滝壺もドン引きしてんじゃないかな?」
浜面「うわァあああああッ!! マジかァあああああああッ!!」
結標「……ところで浜面君たちは何しにここに?」
浜面「あ、ああ。ちょっと罰ゲームでクリスマスケーキを買いに来たんだよ」
フレンダ「何言ってんの? 罰ゲームは私だけで、浜面はどっちにしろ確定だったじゃない?」
浜面「……そういえばそうだったな……はぁ」
結標「何というか……がんばってね?」
浜面「あ、大丈夫ですよ。慣れてますから……じゃあ姉さん一番大きいのくださいな」
結標「あ、はい五五〇〇円となります」
浜面「ぐっ!? さすがはクリスマスケーキ。俺の氷河期の財布に対して大ダメージを与えるぜ」
フレンダ「さっさと払いなさいよ浜面」
浜面「……つーかアイテムから予算下りねえの?」
フレンダ「そんなお金ありません」ニコ
浜面「……そうですか」スッ
結標「五五〇〇円ちょうどお預かりいたしましたー」
フレンダ「浜面にもクリスマスケーキを買えるだけのお金があったんだねー」
浜面「当たり前だろ! だけどこれで俺の生活費は絶望的になったけどな!」
結標「はいケーキです」スッ
浜面「あ、はい」
フレンダ「じゃあさっさと行こうよ浜面。あんまり遅いと麦野に怒られるって訳よ」
浜面「そうだな。……あ、そういえばさっきから気になってたんだけどよ」
結標「何?」
浜面「そんな格好して寒くねえのか?」
結標「それさっきも聞かれたわ……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:30
-とある高校・一年七組教室-
一方通行「……オイ上条」
上条「何だ一方通行?」
一方通行「そォいえばインデックスとはいつ合流すればイインだ?」
上条「待ち合わせ場所とか決めてないのか?」
一方通行「決めてねェな。つゥか、そもそもアイツと打ち合わせの一つもしてねェ」
上条「なんてこったい」
一方通行「じゃあ俺が迎えに行った方がイイのか?」
上条「それなら助かるけど、そうしたらかなり遠回りになるぞ」
一方通行「そォなのか?」
上条「ファミリーサイド辺りに住んでんだろ? だったらかなり遠いぞ」
一方通行「それは面倒臭ェな」
上条「だったら今から打ち合わせすればいいんじゃね?」
一方通行「どうやって?」
上条「文明の利器、電話を使って」
一方通行「……アイツ電話使えンのか? 充電っつゥ言葉も知ンねェンだろ?」
上条「大丈夫だ。家の電話なら普通に使えるはずだ」
一方通行「そォか。じゃあ番号教えろ」
上条「ええと、○○○の――」
一方通行「○○○の――」ピッピッ
プルルルルルプルルルルルプルルルルルプルルルルル
一方通行「……オイ、全然出ねェンだけど」
上条「おかしいなー、家に居ろって言ったはずなんだけど……」
ピッ
禁書『も、もしもし! か、かみじょうです! は、はい!』
一方通行「……ナニ電話ごときでそンな焦ってンだよ?」
禁書『その声は……あくせられーた?』
一方通行「ああ正解だ」
禁書『どうしたの電話なんかしてきて? とうまに何か用? とうまは今家にいないよ』
一方通行「別に上条に用があって電話したわけじゃねェ。用があンのはオマエだ」
禁書『私に? 何かな?』
一方通行「オマエ今日のパーティーの事はもちろん知ってるよなァ?」
禁書『うん! ちゃんととうまから聞いたんだよ!』
一方通行「そォか。だったらどこで合流するか決めとかねェか?」
禁書『待ち合わせ場所だね? いいよ。どこにする?』
一方通行「コッチからしたら学校から近い場所がイインだけどよォ、やっぱオマエすぐ迷子とかなりそォだから迎えに行った方がイイか?」
禁書『むー、何かそれ私を子供扱いしてる?』
一方通行「普通にガキだろ」
禁書『私だって最近はそれなりに道を理解してきてるんだよ! あまり舐めないで欲しいかも!』
一方通行「そォかよ。じゃあそのそれなりの知識でどこまでわかンだよ?」
禁書『うーん学校までの道ならわかると思う……たぶん』
一方通行「多分って何だよ? 確実にわかる場所はねェのかよ?」
禁書『こもえの家なら確実なんだよ!』
一方通行「俺が知らねェンだよ」
禁書『何で知らないの?』
一方通行「知る必要がねェからだ」
禁書『うーんじゃあ……あっ、そうだ! 前あなたと別れた時の公園は分かるよ!』
一方通行「……あああそこか。わかった。じゃあそこに五時くらいに集合な」
禁書『五時って午後五時でいいのかな?』
一方通行「普通に考えてそォだろ。朝五時集合とかどこのジジィの集いだよ」
禁書『うんわかった。じゃあまたねあくせられーた!』ピッ
一方通行「勝手に切りやがったぞあの野郎……」
上条「どうだった?」
一方通行「第七学区のデッカい公園に五時集合っつゥことになった」
上条「そうか。てかインデックスのやつ大丈夫なのか? あいつ未だに道が覚えられねえんだよなー」
一方通行「本人が確実っつってンだから大丈夫じゃねェのか?」
上条「前もそんな事言って結局道に迷ったみたいなことがあったんだけど」
一方通行「……ま、いいだろ」
上条「いいのかよ」
一方通行「最悪俺が空から捜す」
上条「人一人捜すのにそこまでするのか……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:20
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「……うーん何だかお昼を食べた後だから眠くなってきちゃった、ってミサカはミサカは睡魔からの攻撃を必死に耐えてみる」ウト
黄泉川「あー、そうかー。普段ならこの時間は打ち止めはお昼寝してる時間じゃんか」
打ち止め「うん。キハラが用意してくれたフカフカのお布団で眠ってる時間だね、ってミサカはミサカはあのお布団にダイブしたい衝動に駆られてみたり」
芳川「愛穂ー」
黄泉川「何じゃん?」
芳川「私もお昼食べた後だからパソコンを起動したくなってきちゃった」
黄泉川「それはお昼関係ないじゃん」
打ち止め「ヨミカワごめん。もう限界かも、ってミサカはミサカは……むにゃ」Zzz
芳川「あら、この子寝ちゃったみたいね」
黄泉川「うーんしょうがないじゃん。ちょっとこの子を部屋に連れて行ってくるじゃん」
芳川「いってらっしゃい」
黄泉川「ちゃんと作業しとくじゃんよ」
芳川「はいはい」
黄泉川「はーい寝るなら布団の上じゃんよ……ふわぁー」スッ
打ち止め「……すぅ……すぅ……」Zzz
ガララララ
芳川「…………」
芳川「……何だから私も眠くなってきちゃったわ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:00
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「あ、はい。駅はあっちですよおばあちゃん」
結標「…………はぁ」
結標(休憩は挟んだとはいえ、やっぱり立ちっぱなしってのはキツイわね)
結標(しかしケーキ屋のお昼がまさか予想通りケーキだとは思わなかったわ)
結標(あれはあれでカロリー高いからいいんだろうけど、何か物足りない気がする)
結標(まあ、おいしかったからいいけど……)
心理定規「すみません」
結標「あ、はい! いらっしゃいませっ!」
心理定規「クリスマスケーキを一つ頂けるかしら?」
結標「はい。どのサイズにしましょうか?」
心理定規「どれがいい?」
垣根「チッ、何でもいいだろ。大体何で俺がこんな買い物に付き合わなくちゃならねえんだ?」
結標(おおう!? 何という美男美女カップル! 何というリア充!)
心理定規「いいでしょ別に。どうせ仕事がないと暇なんでしょ?」
垣根「あん? 俺だってそれなりに用事っつうモノが……」
心理定規「じゃあ今日は貴方にはどういった予定があったの?」
垣根「ああ? ああ、あれだよあれ。明石家サンタを見るっていう……」
心理定規「どう見ても暇人じゃない。それにその番組深夜放送だし」
垣根「つーか、そういうお前も暇人じゃねえか。イブだっつうのに俺なんか誘って買い物とかして」
心理定規「な、何ですって!?」
垣根「せっかくのイブなんだから男でも作って楽しくやってりゃいいモノをよお」
心理定規「ひ、人の気も知らないで……」ボソ
垣根「あ? 何だって?」
心理定規「だ、大体貴方も同じじゃない! こんな時期に一人寂しくテレビ鑑賞って!」
垣根「はあ!? あれだよあれ! まだ俺は本気を出してねえんだよ」
心理定規「……ほお?」
垣根「俺が本気を出したら彼女の一人や二人……」
心理定規「へえ、貴方が童貞なのもまだ本気を出してないからか……」
垣根「どどどど童貞ちゃうわ! そもそも何を根拠に」
心理定規「ホテルに男の人と入ったって言っただけで、エロい事してないのかとか興味心身に聞いてくる男が童貞ではないと?」
垣根「ふ、ふん。それだけで童貞扱いとは、お、俺を舐めてんのか!?」
心理定規「何をそんなに取り乱してるのかしら?」
垣根「べ、別に取り乱してなんかねえし!」
心理定規「ますます怪しいわね」
垣根「んだと!? だったら俺が童貞じゃねえってことを体で教えてやろうか!?」
心理定規「えっ!? そ、それって……」
垣根「あ、やっぱいいや。ガキは趣味じゃねえ」
心理定規「」ピシ
結標「あ、あのー!」
心理定規「あ、はい」
結標「後ろがつっかえてるので、ケーキを買わないならそこをどいてもらえると助かるのですが……」ニコニコ
心理定規「あ、ご、ごめんなさい。これをください」
結標「四五〇〇円になりまーす」
心理定規「はい」
結標「四五〇〇円ちょうどいただきますー、ありがとうございましたー」スッ
心理定規「じゃ、じゃあ行きましょ」スッ
垣根「おい待てよテメェ!」
結標「…………」
結標(そういえばアイツはどうなのだろう?)
結標「次の方どうぞー!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:50
-とある高校・一年七組教室-
上条「……ふわーぁ」
一方通行「…………」
上条「……ああ、昼飯食った後だから眠い」ウト
一方通行「寝りゃあイイじゃねェか。今休み時間何だしよォ」
上条「それにしたってあと五分しかねえじゃねえか」
一方通行「じゃあつべこべ言わずに起きとくンだな」
上条「…………」
一方通行「…………」
上条「……なあ一方通行」
一方通行「あァ?」
上条「お前は眠くないのか?」
一方通行「……何でだ?」
上条「結標に聞いたんだけど、お前って家ではいっつも寝てるらしいな」
一方通行「あの野郎ォ、余計な事吹きこみやがって……」
上条「そんなに寝るのが好きなら、この時間帯は眠いんじゃねえのか?」
一方通行「いーや、眠くねェ」
上条「何で?」
一方通行「何でって言われてもなァ。まあ睡眠時間が多いからじゃねェ?」
上条「あー、寝過ぎてもう眠くないと?」
一方通行「まあ寝よォとすればすぐ寝られるけどな」
上条「どういう体してんだ? カフェインばっか体に取ってんだから普通はそうそう寝ることなんてできねえ筈なんだけどな」
一方通行「もう体に耐性が付いてンだろ。多分」
上条「へー」
ブーブーブーブーブー
上条「あ、また電話だ」
一方通行「さっき電源切ろって言われたのにまだ切ってねかったのかよ」
上条「昼休みに電源入れてたんだよ」ピッ
上条「もしもし」
土御門『あ、カミやん? 補習頑張ってるかにゃー?』
上条「土御門か? どうしたんだ?」
土御門『いやー、ちょっと報告したい事があってなー』
上条「報告したい事?」
土御門『今舞夏とデートしてるんだけどな』
上条「……おい。まさか報告って、義妹がかわいすぎて困る! みてえな感じの惚気話じゃねえよな?」
土御門『おっ、よくわかったな。いやー、さっきの舞――』ピッ
上条「…………」
一方通行「……どォしたンだ?」
ガララララ
小萌「はーい! 休み時間は終了で――」
上条「どいつもこいつも嫌がらせしてきてんじゃねェええよォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」ガンガン
小萌「!?」ビク
一方通行「……うっせェ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 15:30
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「…………」
結標(だいぶ客足も減ってきた気がする……)
結標(まあ、それはそれで楽でいいんでしょうけど)
結標(えーと時間は……三時半くらいか)
結標(あと一時間半か……がんばろっ)
食蜂(……ん? あの人はたしか……)
結標(しかしそろそろ足が疲れてきたわ)
結標(足が棒のなるってこのことよね)
結標(マラソン大会のときみたいな走ってて足が痛くなるのとは別の痛みね)
結標(走ってる時はふとももが痛くて、立ちっぱなしは膝に来るというか……)
結標(……何でこんなどうでもいいこと考えてんだろ?)
食蜂「あのー、ちょっといいですかぁ?」
結標「あ、はい、いらっしゃいませー」
結標「何になさいますか?」
食蜂「アナタって結標さんよねぇ? 霧ヶ丘女学院にいた」
結標「(もしかして記憶喪失前の知り合い!?)た、たしかに私は結標ですけど……」
食蜂「あれぇ? 私の事忘れちゃったんですかぁ? あんなに仲が良かったのにぃ」
結標「い、いや、その……」アセ
食蜂「…………ふふふ」
結標「えっ?」
食蜂「冗談よ冗談♪ 私とアナタは何にも接点はないわ」
結標「あ、そうですか……あははは」
食蜂「ふふふ」
結標(あれ? じゃあ何であんな事を……?)
食蜂「やっぱり記憶喪失してる、っていう噂は本当だったのねぇ」
結標「噂?」
食蜂「いえいえ、こちらの話よ」
結標「そうですか……」
食蜂「…………」
結標(……よく見ればこの娘。ミサカさんと同じ制服を着てるってことは中学生? には見えないわね……)
食蜂「何を失礼な事思ってるんですかぁ? 私は中学生だゾ☆」
結標「ッ!? あれ? 私口に出してた?」
食蜂「いえ、ずっと黙っていらしたわよぉ」
結標(な、何なのこの娘? 気味が悪い)
食蜂「…………」ニコニコ
食蜂「……ところで結標さん?」
結標「は、はい。何でしょう?」
食蜂「アナタ記憶を取り戻してみたいとか思ったことなぁい?」
結標「記憶……をですか?」
食蜂「そうそう」
結標「そんなことができるんですか?」
食蜂「私の能力を使えば、鍵の掛けられた記憶の扉を開くことなんて簡単なんですよぉ?」
結標(そ、そんな能力あるの?)
食蜂「あるんですよぉ」ニコニコ
結標(やっぱり気味が悪い……)
結標「……まあたしかに記憶を取り戻したいなんて思った時期が、私にもありましたよ」
食蜂「そう。なら記憶を――」
結標「でもいいです」
食蜂「……あれ?」
結標「記憶なんてなくても別に不自由はないですし」
食蜂「そーかしら? さっき記憶がなくて困ってたんじゃないのぉ?」
結標「ま、まあたしかにそうですけど……だけど」
食蜂「だけど?」
結標「今のままで十分楽しいんです。だから以前の記憶なんて必要ないですよ」
食蜂「ふーん、まあ私は別にイイんだけどねぇ」
結標「せっかくの機会なのにすみません」
食蜂「ふふふ。まあ記憶を取り戻したくなったら私に言ってちょうだい」
結標「はい。ところで貴女のお名前は?」
食蜂「ではごきげんよう」スタスタ
結標「あっ……」
結標「……彼女、一体何者だったのかしら?」
食蜂『私の名前は』
結標「……えっ?」
食蜂『私の名前は食蜂操祈。学園都市の超能力者の第五位の、『精神掌握』っていう能力を持つ至って普通の女の子よ♪』
結標「……レベル5?」
食蜂『アナタの考えてることなんて、全部お見通しなんだゾ☆』
結標「…………」
結標「…………最近の中学生って怖いわね」ゾク
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:30
-第七学区・街頭-
一方通行「さて、これから結構距離がある公園に行かなきゃいけねェ訳だが……」
上条「大変だなーお前も」
一方通行「オマエはどォなンだよ?」
上条「上条さんは五時に映画館前集合なので余裕で間に合うのですよ」
一方通行「……間に合えばイイな」
上条「いや。だから余裕で間に合うって……」
一方通行「間に合うと……イイな」
上条「?」
上条「じゃ、じゃあ俺は行くから」
一方通行「おー、精々楽しんでこいや」
上条「……インデックスの事頼んだぜ!」
一方通行「ハイハイわかったからさっさと行け」
上条「じゃあなー!」ノシ
一方通行「…………」
一方通行「……ハァ。さァて、とっとと公園に行くとするか」カツンカツン
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:50
-第七学区・とあるケーキ屋-
結標「またのお越しをー!」
結標「…………」
結標(そろそろバイトの終わりの時間ね)
結標(ケーキもほとんど売り切れてるし、問題はないわよね)
結標(これで何の問題もなくパーティーに行けるってわけね)
結標「……その前にここでケーキ買っとかないとね」
吹寄「結標さーん!」
姫神「…………」
結標「ふ、吹寄さん!? それに姫神さんまで……」
吹寄「バイト頑張ってるようねー」
姫神「すごい格好」
結標「どうしてこんなところに?」
吹寄「いえ。待ち合わせ場所でいるよりは迎えに行った方が早いかなと思って」
姫神「だから。ここまで来た」
結標「ご、ごめんねーホント。突然バイトなんか入れちゃって」
吹寄「いいよ別に。どうせ土御門のやつでしょ?」
結標「えっ? 何で知って……まさか二人とも電話来たの?」
姫神「うん。まあ丁重にお断りしたけど」
吹寄「あいつのお願い自体、ロクなものじゃないってことぐらいわかってるしね」
結標「そ、そうなんだ……」
吹寄「結標さんも次からは気をつけた方がいいわよ」
結標「あははー……そうします」
店長「結標さーん」
結標「あ、店長」
店長「もうそろそろ時間だから上がってイイよ!」
結標「あ、はい!」
結標「ちょっと待っててね。すぐに着替えてくるから」タッタッ
吹寄「しかし、ホントすごい格好よね」
姫神「そうだね」
吹寄「この時期ってどの店でも同じようなコスプレしてるわよね」
姫神「どの人も。考える事は同じ」
吹寄「しかし土御門の知り合いの店って聞いてたけど、案外普通の格好よね」
姫神「……どんなの想像してたの?」
吹寄「あいつの事だから、メイドとサンタを合体させたような格好をさせるような店かと思ったわ」
姫神「それはひどい」
結標「お待たせー!」タッタッ
姫神「おかえり」
吹寄「あれ? その手に持ってる荷物は何?」
結標「ああこれ? 今日のパーティーに出すケーキ」
吹寄「大型ケーキが二個……そんなに人が来るの?」
結標「うーんまあ人数的にはそうでもないかもしれないけどー」
姫神(何か嫌な予感がする……)
結標「ま、まあとりあえず私の家に行きましょうか!」
姫神「どんな家なの? 学生寮ではないんだろうけど」
結標「ファミリーサイドっていうマンションだけど……」
吹寄「……たしかそこって教員とかが住んでる高級マンションじゃなかったかしら?」
結標「あれそうだったの? 知らなかったわ。それに私はそこの居候だし」
姫神「一体何があったの?」
結標「記憶喪失関係でちょっとね」
吹寄「何かすごいのね、結標さんって」
結標「そう?」
姫神「うん。何かいろいろとすごい」
結標「うーん、まあとにかくさっさと行きましょ? 長い間寒い格好してたから早く温まりたいし!」
姫神「たしかにあの格好は寒い」
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:00
-第七学区・とある公園-
一方通行「……さて。待ち合わせ場所である公園に辿り着いたわけだが」
一方通行「このクソ広い公園のアイツがどこに居ンのかわかンねェな」
一方通行「……最悪アイツはここに辿り着けてないわけだよなァ?」
一方通行「…………」
一方通行「……ハァ、こンなことならもっと場所を限定しとくべきだったな」
一方通行「さて、ちょっとここら辺をうろつき回ってみるかなァ、と」カツンカツン
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「……ホントにアイツどこに居ンだよォ?」
一方通行「これだけ捜しても見つかンねェとか、結局アイツは迷子になったってことかよクソがァ」
一方通行「…………」
一方通行「仕方がねェか。面倒臭ェけどチカラァ使って空から捜すかァ」スッ
ギャーギャーワーワー
一方通行「……あン? アレは……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:10
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「……ふー。やっと飾り付け終わったね! ってミサカはミサカは余韻に浸ってみたり」
黄泉川「今思えば全員で昼寝なんかしたのが危なかったじゃんね」
芳川「そうね。私も不覚だったわ。私くらい寝てもいっかとか思ってしまったのも不覚ね」
黄泉川「まあ、何はどうあれパーティー開始時間に間に合ったのはよかったじゃんよ」
打ち止め「間に合うって言ってもまだ一時間ほど余裕あるよ? ってミサカはミサカは時計を見ながら言ってみる」
黄泉川「パーティーは飾り付けだけじゃないじゃん。料理も作らなきゃいけないじゃん」
打ち止め「おおっ! そういえばそうだった! ってミサカはミサカは度忘れした事を思い出してみたり」
芳川「ケーキは淡希が買って来てくれるから、あとはおでんとケン○ッキーとオードブルかしら」
黄泉川「おでんは私が今から特急で作るから、桔梗は車を貸すからケンタッ○ーとオードブルを買って来て欲しいじゃん」
芳川「い、嫌よ面倒くさ――」
黄泉川「いいからとっとと行ってくるじゃん!」
芳川「……はーい」テクテク
打ち止め「ミサカは何をすればいいのー? ってミサカはミサカは挙手して質問してみる」ノ
黄泉川「うーんそうだなー。打ち止めはこの部屋の軽い掃除でもしてて欲しいじゃん」
打ち止め「うんわかったー! 部屋の隅から隅までピッカピカにしてやんぜー、ってミサカはミサカは意気込みながら掃除機を取りに行ったり」テクテク
黄泉川「あんまり下手して埃とかバラまくなよー」
打ち止め「はーい!」ガチャガチャ
黄泉川「…………さーて」
黄泉川「どの炊飯器を使うじゃんかなー?」カパッ
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:20
-第七学区・とある公園の端-
禁書「――だから私は待ち合わせてる人がいるから、あなたたちとは一緒に行けないんだよ!」
DQN1「イイじゃねーか少しくらいよー」
DQN2「純白シスターさん萌えー」
DQN3「俺達と一緒に気持ちいことしようぜー」
禁書「大体私はシスターだから、そんな卑猥なことはできないんだよ!」
DQN3「あれ? 別にそんな卑猥な事とか言ってねえのに何勘違いしちゃってるのかな?」
DQN2「エロエロシスター萌えー」
DQN1「本当は期待してんだろ?」
禁書「わ、私はそんなの――」
DQN1「シスターさんなら俺達のお願い聞いてくれよー」
DQN3「お願いしますよシスターさーん」
禁書「そ、そんな事言われても私――」
ガシッ
DQN2「ロリっ娘シスター捕獲したお」
禁書「ろ、ロリ? い、いや、そんな事より離してっ!」グイグイ
DQN1「よーし、よくやった。このまま路地裏にでも連れて行こうぜー」
DQN3「今夜は輪姦パーティーだキャッホーイ!」
禁書「だ、誰か助けて……」
DQN1「バーカこんなところじゃ誰も助けになんて――」
ドカンッ!!
DQN1「――ごはっ!?」ドンガラガッシャーン
DQN3「!? 何だ!?」
DQN2「DQN1が吹っ飛んだお」
「――ったくよォ」
DQN2,3「「!?」」ビクッ
一方通行「俺ァヒーローなンて柄じゃあねェンだけどなァ、クソッたれが」カツンカツン
禁書「あ、あくせあれーた!」
DQN1「痛ってェなァあああッ!! 何なんだテメェはよぉ!?」
DQN3「おっ、DQN1無事だったか」
一方通行「ハァ……イイからオマエらそこのガキを離して、とっととこっから失せろよ」
DQN3「ぎゃはっ、そんな杖付きのガリガリボディで何言ってんだテメェ?」
DQN1「どうせあれだろ! 俺を吹っ飛ばしたのは後ろからその杖とかでもぶつけて、ちょっと俺がよろけてこけただけだろ?」
DQN2「ぶはっ、DQN1ノリよすぎワロ――」
ズガンッ!!
DQN2「ぶびぃ!!?」ドンガラガッシャーン
DQN1「DQN2!?」
DQN3「あの巨漢のDQN2が吹き飛んだ!?」
DQN2「」ピクピク
DQN1「あ、あれは石ころ!?」
DQN3「な、何であんなもんでDQN2が……!?」
一方通行「オイオマエらァ」
DQN1,3「「!?」」ビクッ
一方通行「さっきとっととインデックスからその汚ェ手ェ離して失せろっつったよなァ、あァン!?」ギロ
DQN1,3「「ひ、ひいぃぃ!?」」ガクガクブルブル
一方通行「さっさとそこで寝てる汚ェ豚連れてェ、どっか消えろよスクラップにすンぞクソ野郎どもがァ!?」
DQN1,3「「す、すびばぜんでじだぁああああああああっ!!」」スタコラサッサー
一方通行「……ハァ、くっだらねェ」カチ
禁書「……正直あれはやり過ぎだと思うんだよ」
一方通行「あァ? 別に構わねェだろ。オマエみてェなガキにちょっかい掛けてくるゴミクズなンだからよォ」
禁書「私はシスターだからそういうのはゆるせないんだよ!」
一方通行「ハイハイそォですかシスターさン。スミマセンね私が悪ゥございましたァ」カツンカツン
禁書「あ、待ってあくせられーた! あの……」
一方通行「あン?」
禁書「さ、さっきは助けてくれてありがとうなんだよ!」ニコ
一方通行「……チッ、さっさと行くぞ暴食シスター」
禁書「あ、ちょっと私にはインデックスって言う名前があるんだよ!」ガシッ
一方通行「それくれェわかってンだよ」
禁書「ならちゃんと名前で呼んで欲しいかも!」
一方通行「わかったから俺の杖から手を離してくれませンかねェインデックスさン。俺が歩けねェ」
禁書「あ、ごめんなさいなんだよ」パッ
一方通行「ハァ……そォだ。ちょっと寄り道してイイか?」
禁書「寄り道? 別に私はいいんだよ! 何しに行くの?」
一方通行「くだらねェ買いモンだ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:40
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
結標「ただいま帰りましたー!」
打ち止め「おかえりアワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカは掃除機片手に出迎えてみる」
結標「掃除機なんて持って何やってんの?」
打ち止め「軽いお掃除だよー、ってミサカはミサカはもう終わったけど一応言ってみたり」
結標「ふーん。あっ、二人とも入っていいわよ?」
吹寄「えーと、お邪魔しまーす」
姫神「お邪魔します」
打ち止め「いらっしゃーい! ってミサカはミサカは来客一号二号を出迎えてみたり」
吹寄「……あなたって歓迎会のときに来てた子よね?」
姫神「たしか打ち止めちゃん」
打ち止め「覚えててくれたんだね嬉しい! ってミサカはミサカは自分の事を棚に上げて喜んでみたり」
結標「打ち止めちゃん。吹寄さんと姫神さんよ」
打ち止め「よろしくねフキヨセお姉ちゃんとヒメガミお姉ちゃん! ってミサカはミサカは挨拶してみる!」ニコ
姫神「か。かわいい……」キュン
吹寄「たしかにこの無邪気な笑顔にはグッとくるわね……」キュン
黄泉川「おい打ち止め。だから何で私と桔梗は呼び捨てで、この子たちはお姉ちゃんを付けて呼ぶじゃんよ?」
吹寄「よ、黄泉川先生!?」
姫神「これはびっくり」
黄泉川「おお二人ともいらっしゃい。ゆっくりしてってくれじゃんよ」
吹寄「は、はあ……」
姫神「…………」
打ち止め「どうしたの? そんな縮こまって、ってミサカはミサカは二人に尋ねてみたり」
姫神「いや。ちょっとね」
吹寄「まさか、こんなところに黄泉川先生がいるとは思わなかったから」
黄泉川「何じゃん? 私がここにいて嫌か?」
吹寄「い、いえ! そういうわけじゃ……」
黄泉川「いいじゃんいいじゃん。初めはそんなもんだろ。徐々に慣れていけばいいじゃん」
吹寄「そ、そうですか」
姫神「ところで黄泉川先生。一つ尋ねてたいことがあるのですが」
黄泉川「何じゃん?」
姫神「その手に持ってる。巨大な炊飯器は何ですか?」
黄泉川「ああこれ? おでんじゃん!」
吹寄「お、おでん!?」
姫神「何でおでん? そして何で炊飯器?」
結標「あははー、これにはいろいろと深い事情があるのよー」
打ち止め「そうだねー、ってミサカはミサカは笑いながら相槌を打ってみる」アハハ
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:50
-第七学区・街頭-
<ありがとうございましたー
一方通行「あァ重ェ。オマエちょっとコレ持ってろ」スッ
禁書「わっ! これは何かな?」ガシ
一方通行「あのクソガキへのクリスマスプレゼントだ」
禁書「へー、あくせられーたがそんなことをするなんて意外なんだよ」
一方通行「しょうがねェじゃねェか。買ってこいってメールが来てたンだからよォ」
禁書「しかしこれ何? こんなに大きいと何かと興味がそそられるんだよ」
一方通行「食うなよ? それは食べモンじゃねぇからな」
禁書「なっ、失礼な。私はそこまで見境がなくなるほど飢えてないんだよ!」グゥ
一方通行「…………」
禁書「…………」
一方通行「やっぱ飢えてンじゃねェか」
禁書「だ、だってそろそろ晩ごはんの時間なんだよ!」
一方通行「まあ安心しろ。パーティーに行けば馬鹿みてェな数の食いモンがあるからな」
禁書「わーい! お腹いっぱい食べられそーなんだよー!」
一方通行「……なァ、一つ思ったンだけどよォ」
禁書「何かな?」
一方通行「オマエって十字教徒だろ?」
禁書「そうなんだよ!」
一方通行「じゃあこの時期はミサとか行かなくてもイイのか?」
禁書「うーんそうだね。でも行きたくても行けないんだよ!」
一方通行「あァ? 何でだ?」
禁書「この学園都市の中にはそんな大がかりな事ができるような教会がないんだよ!」
一方通行「ああ……そうだったっけなァ?」
禁書「だからとりあえずお祈りだけは先に済ましといたんだよ!」
一方通行「随分と適当なシスターさンだなァオイ」
禁書「だってこの科学の街ってのがいけないんだよ!」
一方通行「じゃあ何でこンなところに住ンでンオマエはァ?」
禁書「それは……その……とうまと一緒にいたい……から」ボソ
一方通行「……とンだヒーロー様だなァ三下は」ハァ
禁書「どうしたの?」
一方通行「何でもねェ」
禁書「何か怒ってる?」
一方通行「別にィ……おァ?」
禁書「どうしたの? ……わぁ綺麗なペンダントだね」
一方通行「そォいや結標が欲しいとか言ってたなァ……」
禁書「むすじめ? 誰なのそれ?」
一方通行「あァ? そォいやオマエは見てねかったっけ? 焼き肉食いに行った時に俺とガキと一緒に歩いてた女だ」
禁書「ああ、あの人だね。髪を二つに束ねた赤髪の、腰に変なもの付けてる女の人」
一方通行「よく覚えてンじゃねェか。そンな一ヶ月前の事をよォ」
禁書「ふふふ。私を舐めないで欲しいんだよ」ドヤァ
一方通行「その程度の事でドヤ顔してンじゃねェよ」
禁書「……で、このペンダントは買ってあげないのかな?」
一方通行「ハァ? 何で俺がこンなモン買わなきゃいけねェンだ?」
禁書「だってそのむすじめって人が欲しがってたんだよね?」
一方通行「だからって何で俺が買う事になるンだよ?」
禁書「じゃあ何でこのペンダントに反応したの?」
一方通行「ハァ? 別にイイだろ反応するぐらいよォ」
禁書「反応するって事は少しは気にしてるって事じゃないのかな?」
一方通行「……チッ、何言ってやがンだ。俺がこンなモン気にしてるわけねェだろ」
禁書「もしそうだとしたら、たとえ目に入ったとしても何も言わずに無視するかも」
一方通行「あンまり馬鹿な事言うンだったら叩き潰すぞコラ」
禁書「あなたは本当はこのペンダントを気にかけてたんだよね? だってあなたは優しいから」
一方通行「こンのクソシスターがァ……」ピシ
禁書「…………」ジー
一方通行「…………」
禁書「…………」ジー
一方通行「…………ハァ、くっだらねェ。やめだやめだァ馬鹿馬鹿しい」カツンカツン
禁書「なっ、馬鹿馬鹿しいって何かな? 私はいつだって真剣に話してるんだよ!」
一方通行「そォかよ」カツンカツン
禁書「…………」
一方通行「…………」カツンカツン
禁書「……ねえ」
一方通行「あァ?」カッ
禁書「結局このペンダントはどうするつもりなのかな?」
一方通行「……ハァ、そンなの決まってンだろォが――」
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:20
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
芳川「ただいまー」
黄泉川「おかえりじゃんよ桔梗!」
吹寄「お邪魔してます!」
姫神「同じく。お邪魔してます」
芳川「あらいらっしゃい。ゆっくりしていってね」
打ち止め「あとはあの人とインデックスだけだねー、ってミサカはミサカは人数確認をしてみる」
結標「そういえばアイツ遅いわね。どこで道草食ってんだか……」
姫神「……あれ? 上条君たちは。来ないの?」
結標「えっ、ああ、うん。何かそろぞれ用事があるって言ってたらしいから」
姫神「……あれ? ……あ、そう」
吹寄「姫神さん?」
姫神「何でもない」
吹寄「そう、それならいいけど」
芳川「しかし愛穂ー。まさか貴女がおでんにまで炊飯ジャーを使うとは思わなかったわ」
黄泉川「えー、鍋でするより簡単でいいじゃんよー」
芳川「こういうのには風情というものがあって、炊飯ジャーで作ったおでんなんて風情の欠片もないわ」
黄泉川「風情って言うけどさー、コンビニのおでんとか自販機のおでん缶とかも風情の欠片もないと私は思うじゃんよー」
芳川「あれはあれ。これはこれ」
黄泉川「その言葉を使うのはずるいと思うじゃん」
芳川「とにかく家庭で作るおでんは鍋って決まってるのよそうでしょ? そこの黒髪おでこの娘!」ビシッ
吹寄「えっ!? あ、はい、そうですね」
打ち止め「正直ミサカはおいしければ何でもいいよー、ってミサカはミサカは味重視派としてこの論戦に参戦してみたり」
結標「それは鍋か炊飯ジャー以前の話じゃないの?」
芳川「と、いうわけで愛穂。今すぐ鍋に移し替えなさい」
黄泉川「えー! 一々鍋出すの面倒臭いじゃんよー!」
芳川「いいから出しなさい! てか炊飯ジャーの中におでんが入ってたら取り難くて敵わないわ!」
黄泉川「そこはそれぞれのお玉ですくえば良いじゃんよー。それに混雑しないように炊飯ジャー五つ分は用意してるから問題ないじゃん!」
結標「うわっ!? よく見たら台所にたくさんの炊飯ジャーが!?」
姫神「全部で七つある」
打ち止め「残りの二つには何が入ってるのー? ってミサカはミサカは素朴な疑問を浮かべてみる」
黄泉川「片方は白米に、もう片方は炊き込みご飯じゃん」
芳川「愛穂……そんな物を作る暇があったのなら、わざわざ私がケンタッ○ーとかを買いに行く必要なかったのじゃない?」
黄泉川「桔梗が言ってくれたから、炊き込みご飯を作れたじゃんよ」
吹寄「……ねえ結標さん」
結標「何吹寄さん?」
吹寄「あの二人って一体どういう関係なの?」
結標「昔からの友達らしいわよ」
吹寄「へー、あなたと一緒の居候の人?」
結標「そうだけど」
吹寄「……この家って結構人がいるのね」
姫神「窮屈じゃないの?」
結標「大丈夫大丈夫。この家結構広いし部屋も多いし」
吹寄「学生寮住まいの私たちにはわからない感覚ね」
姫神「そうだね」
芳川「よし、なら愛穂。ならばここいる人で多数決で決めましょ?」
黄泉川「そのまま炊飯ジャーか鍋に移し替えるかじゃん?」
芳川「そう。じゃあ炊飯ジャーのままでいいと思う人手を上げて!」
黄泉川「…………」ノ
芳川「……一人ね」ニヤ
黄泉川「くそう。みんなそんなに風情が大事なのか……」
芳川「残念ながら貴女は異常なのよ愛穂。じゃあ鍋に移し替えた方がいいと思う人!」
芳川「…………」ノ
芳川「ってあれ?」
黄泉川「みんな。ちゃんと手を上げるじゃんよ」
芳川「くっ、最近の若者はここまで積極性というものがないとは……」
黄泉川「じゃあもう一回多数決をやるじゃん?」
結標「あのー、二人ともいいですか?」
芳川「何?」
結標「私たちは正直どっちでもいいんですけど?」
黄泉川「……えっ? そうなの?」
吹寄「……はい」
姫神「同じく」
打ち止め「どっちにしても味は変わんないもんねえ、ってミサカはミサカは科学的根拠に基づいて結論を言ってみる」
黄泉川「……だったら移し替える必要はないじゃんね。科学的に考えて」
芳川「いや変わるわ! 鍋に移し替える事によって視覚的に食事を楽しめて――」
結標「ならこうしませんか?」
黄泉川「何じゃん?」
結標「この部屋に最後に入ってきた人が決めるってのはどうでしょう?」
芳川「……つまり一方通行か例の大食家の娘が決めるっていうことね」
黄泉川「別にいいじゃんよ。正直どっちでもよくなってきたし」
芳川「どっちでもいいなら移し替えなさいよ」
黄泉川「面倒臭いじゃん」
ガチャ
一方通行「帰ったぞ」カツンカツン
打ち止め「おかえりー! ってミサカはミサカは……ってわぁ!? この大きいものは何!? ってミサカはミサカは驚きながらも聞いてみたり」
一方通行「ほら。オマエが欲しがってたモンだろォが」
打ち止め「も、もしかしてゲコ太抱き枕っ!? ありがとー!! ってミサカはミサカは素直にお礼ができる良い子!」
一方通行「チッ、くっだらねェ」
結標「あれ? インデックスちゃんは?」
一方通行「インデックス? あァ、ちょっと待て。……オイ、インデックス! さっさとしろ」
<わー、ちょっと待って欲しいかも!
禁書「お待たせなんだよ! んーいい匂いかも!」
芳川「えーと、貴女がインデックスさんということでいいのかしら?」
禁書「そうなんだよ。あなたは誰?」
芳川「私は芳川桔梗。向こうにいるのが黄泉川愛穂よ」
黄泉川「よろしくじゃんよー!」
禁書「そうなんだ! よろしくねききょうにあいほ!」
芳川「さっそくだけど一つ質問してもいいかしら?」
禁書「何かな?」
芳川「ここに炊飯ジャーに入ったおでんがあります」
禁書「おいしそうなんだよ!」
芳川「正直このおでんは見た目が悪いと私は思うのだけど」
禁書「そうかな? 普通においしそうに見えるけど……」
芳川「……で、これをもっとおいしそ――美味しくするために鍋に移し替えた方がいいと私は思うんだけど」
黄泉川「汚っ! あいつ美味しそうから美味しいに言葉を変えやがったじゃん!」
一方通行「何やってンだあの馬鹿どもは?」
姫神「あ。アクセラ君。お邪魔してます」
吹寄「お邪魔してます」
一方通行「おー、何にもねェけどゆっくりしてけよ」
結標「何か炊飯ジャーの中に入ったおでんを鍋に移し替えるかどうかで揉めてるのよね」
一方通行「ハァ? そんなのどっちでもイイだろ? 胃の中に入っちまえば全部一緒だ」
結標「やっぱり貴方も私たちと同じ意見よね」
一方通行「で、何で芳川はインデックスの野郎に語りかけてンだ?」
吹寄「最後にこの部屋に入って来た人が決めるっていうことになったの」
一方通行「……マジでくっだらねェなァ」
芳川「――さあ! インデックスさん。貴女は炊飯ジャーと鍋どっちが好み? もちろん鍋よね?」
黄泉川「あ、汚いじゃん! それなら炊飯ジャーも美味しいじゃん!」
芳川「こんな無機質な機械からおでんをすくっても何もおいしくないわ!」
黄泉川「鍋だって無機質じゃん!」
禁書「うーん、どうだろー」
芳川・黄泉川「「さあどっち!?」」
禁書「……じゃあ早く食べたいからすいはんじゃーのままでいいんだよ!」
芳川「……なん……だと……?」
一方通行「まァそォだろォな。一々鍋に入れ替える時間がもったいねェ」
姫神「食欲優先のシスターからしたら。当然の選択」
黄泉川「……じゃあこれで人数も揃ったし、そろそろ料理をいただくとするじゃんよ!」
打ち止め「わーい! やっと食べられるー! ってミサカはミサカは歓喜の声を上げてみる!」
黄泉川「はいじゃあ……」
「いただきまーす!!」
―――
――
―
19.クリスマスパーティー
December fourth Sunday 19:00
-黄泉川家・リビング-
禁書「……はぐはぐごくん……すごくおいしいんだよ! おかわり!」
黄泉川「お、おう。まだまだあるからたくさん食べるじゃん」
禁書「うん!」
吹寄「……す、すごい食欲ね」
姫神「暴食シスターは。相変わらず」
一方通行「オイオイ、コイツ一人でオードブル一セットとおでン一炊飯ジャー消え失せてンじゃねェか」
打ち止め「さすがはインデックスだね! ってミサカはミサカは健在の食欲を賞賛してみる」
一方通行「賞賛っつっても誉めるよォなことじゃねェけどな」
結標「上条君、よくここまで生きてこられたわね…」
吹寄「いつもいつも特売特売って言ってたのはこれのせいってわけね」
芳川「…………ふふふ。これは素晴らしいわね」
結標「どうしたんですか芳川さん?」
芳川「あんな小さな体のどこにあれだけの食べ物が入るんでしょうね?」
一方通行「さァな。胃酸が強力で瞬間的に食い物を溶かしてンじゃねェのか?」
芳川「一度彼女の体を調べてみたいわね。研究者魂に火が点いてきたわ」
一方通行「今のオマエにはそンな研究機材を用意する金も施設もねェじゃねェか」
芳川「……一方通行。お金貸して☆」キャピ
一方通行「お断りだクソババァ、キメェンだよ死ね」ゾク
芳川「あら? ここまで嫌悪されるとは思わなかったわ」
打ち止め「正直その歳でミサカもそれはないと思うよ? ってミサカはミサカは若干引き気味になってみる」
芳川「……あれ? おかしいわ。目から汗が……」
結標「芳川さん泣かないでください! こんなところで!」
一方通行「……まァ今更だけどよォ、クリスマスにおでンって絶対ェおかしいよな?」
姫神「そう? 私は好きだから構わない」
結標「でも言いたいことはわかるわよ。わざわざクリスマスに食べるものではないわよね」
黄泉川「おでんは作るのが楽でいいじゃん!」
一方通行「たしかにこの食卓に並ンでる料理のほとンどが手抜きだしな。つゥか手抜きしかねェ」
禁書「おいしければ何でもいいんだよ!」
打ち止め「同じく!」
一方通行「何でこうガキどもは珍しい食いモンが好きなのかねェ」
吹寄「珍しい食べ物?」
一方通行「おでンとか滅多に食わねェだろ?」
結標「でもそれなら普通じゃないの? 日本人は限定って言葉に弱いらしいから」
一方通行「それとこれとは関係ねェだろ」
禁書「おかわり!」スッ
一方通行「それにコイツは確実に日本人ではねェ」
姫神「そもそも。おでん自体。そこまで珍しくないと思う。とくにこの時期は」
吹寄「そうね。コンビニとか寄っちゃうと、ついつい買っちゃうのよね」
一方通行「ホントかよ? おでンなンて俺ァいつ以来だ」
結標「貴方が全然食べないだけでしょ?」
打ち止め「この鶏肉美味しいね! ってミサカはミサカは骨無しチキンの食べやすさを体感してみたり」ハム
一方通行「そォいやケ○タッキーも久しぶりに食うな」
芳川「あら意外ね。コンビニで結構フライドチキン買っていくのに」
結標「あ、芳川さんもういいんですか?」
芳川「うん? 何のことかしら?」
一方通行「トボケてンじゃねェよ。さっきまで『目から汗が』とかほざいて茶番やってたじゃねェか」
芳川「記憶にないわね」
一方通行「……ハァ、まあそォいう事にしてやるよ」
吹寄「そういえばさっき言ってたけど、ケンタッ○ーそんなに食べてないの?」
一方通行「ああ、わざわざ遠くまで足を運ンで食うモンじゃねェしな」
打ち止め「別に能力使えばすぐじゃないのかな? ってミサカはミサカは解決策を提示してみる」
一方通行「だから言ってンだろ。そこまでも食いモンじゃねェって」
結標「まあたしかにそうね。所詮はジャンクフードだし」
一方通行「コンビニの肉もケンタ○キーの肉も大差はねェだろ。多少は違うンだろォけどな……」
芳川「貴方らしい考えね」
黄泉川「……そういえばさー」
打ち止め「どうしたの?」
黄泉川「そこに置いてるクラッカーはいつ使うじゃんかよ?」
結標「ああ、そういえばすっかり忘れてたわね」
姫神「クラッカー?」
打ち止め「パーティーを盛り上げるために買ったんだよ! ってミサカはミサカは説明してみる」
吹寄「こういうのって大体最初に使うんじゃなかったかしら?」
結標「そうなの?」
芳川「たしかにパーティーの終わりとかに使うものではないわよね」
一方通行「とっとと使っちまえばイイじゃねェか面倒臭ェ」
打ち止め「そうだね! じゃあみんなクラッカー持ってー! ってミサカはミサカは袋を開けてクラッカーを配ってみたり」バサ
禁書「ん? 何かなこれ?」グイ
結標「あっ! それを引っ張っちゃ――!!」
パァーン!
禁書「うわっ!? 何か爆発したんだよ!?」アセ
一方通行「何炊飯ジャーの中に盛大にぶちまけてンだよオマエはァ」ハァ
黄泉川「早くゴミを取り出すじゃん!」アセ
禁書「みんな気をつけて! 魔術師の仕業かもしれないんだよ!」
結標「……魔術師?」
吹寄「何それ? ゲームの話?」
姫神「インデックス。別に魔術は関係ない」
禁書「あれ? そうなのあいさ?」
一方通行「そもそも、そンなオカルトチックな事が現実であるわけねェだろ」
結標「でも知らない人から見たら、こういう物も魔法に見えたりするんじゃない?」
禁書「むー、魔術はあるもん!」
一方通行「こりゃあダメだな。厨二病真っ盛りだ」
芳川「まあいいじゃない。これくらいの歳ならかわいいものよ」
結標「そうよ。それに未だに厨二病抜けてない残念なヤツもいるし」ジー
一方通行「ハァ? 何俺の方見ながら馬鹿な事ほざいてンですかァ?」
結標「いやー、厨二病の定義に『ブラックコーヒーを好む』みたいなのがあったから……」
一方通行「オマエ……その定義だったらそこら中のブラックコーヒー飲んでる人間、全員厨二病判定なンじゃねェか」
芳川「他にも『孤独を好む』みたいなのもあるわよ」
一方通行「……俺がいつ孤独大好き宣言したってンだよ?」
芳川「あら。何かと貴方って一人でいる事多くない? 出掛ける時とか」
一方通行「そォか? つゥか、出掛ける時ぐれェ一人で行かせろよ」
打ち止め「あとすぐに寝ちゃうからミサカとのコミュニケーションが少ない気がする! ってミサカはミサカはあなたへの不満をぶちまけてみたり」
一方通行「知るか」
結標「そういえば、休み時間とか貴方が能動的に会話に入ってきた事はほとんどないわよね」
姫神「……言われてみれば」
吹寄「大抵バカ三人がちょっかいかけるところから始まるしね」
一方通行「オマエらそンなに叩き潰されてェのか?」ピシピシ
黄泉川「まあとにかく、さっさとクラッカー鳴らしてしまおうじゃん」
結標「そうですね。早く食事に戻りたいですし」
禁書「だいこんうまうまー」モグモグ
一方通行「構わずに食っちまってるヤツもいるけどな」
打ち止め「はい予備のクラッカーだよ、ってミサカはミサカは余り物をインデックスに渡してみる」スッ
禁書「これでどうするの? おいしいの?」
一方通行「さっきの光景を見てそれを言うか。腹の中で爆発しても知らねェぞ」
禁書「じょ、冗談に決まってるんだよ!」
一方通行「オマエが言うと冗談に聞こえねェンだよ」
姫神「誰かの掛け声と同時に。その紐を引っ張る」
芳川「掛け声は何にするの?」
黄泉川「無難にメリークリスマスでいいんじゃない?」
一方通行「別に普通で構わねェだろ。普通がつまらないって言った結果がこのおでンらしいしな」
打ち止め「そうだねー、普通が一番だよねー、ってミサカはミサカはあなたの意見に同意してみたり」
結標「打ち止めちゃん……」
芳川「完璧に忘れ去ろうとしてるわね」
黄泉川「はいじゃあクラッカーを掲げるじゃんよ」スッ
黄泉川「では……メリークリ――」
ピンポーン
黄泉川「ん? 誰か来たじゃん」
パァーン!
禁書「うわっ、勢い余って紐を引っ張ってしまったんだよ!」
吹寄「あなたのクラッカーよく誤爆するのね」
姫神「クラッカーというより。持ち手に問題がある」
黄泉川「一方通行。ちょっと出て欲しいじゃん」
一方通行「ハァ? 何で俺なンだよ」
芳川「単純に席が近いからでしょ?」
一方通行「チッ、わかったよ……」カツンカツン
打ち止め「はいまだ予備があるから大丈夫だよ! ってミサカはミサカは再びクラッカーを渡してみる」スッ
禁書「ホントごめんなさいなんだよ」
吹寄「……って何でこんなにクラッカーが余ってるの?」
結標「安いからって買いすぎちゃいました」
芳川「安いからっていらないものを買いすぎじゃあダメよ?」
結標「以後気を付けまーす……」
一方通行「……ったく。こンな時間に誰だ一体」
一方通行「……もしもォし。誰ですかァ?」ピッ
青ピ『やあ! メリークリスマス!』
一方通行「……いや、ウチテレビ無いンでェ。じゃ」
青ピ『ちょ、ちょっと待ってN○Kじゃないって! 入れて! 寒い! ボクだけ仲間外れにせーへんといて!!』
一方通行「オマエ、どォやってここの情報を手に入れた?」
一方通行「つゥか何でオマエ普通に扉の前で立ってンの? たしかここのマンションの入り口にセキュリティがあるから不審者は入れねェはず何だけどなァ」
青ピ『ふふふ、ボクを甘く見たらあかんよ?』
一方通行「アンチスキルさァン。家の前に不法侵入者が居るンですけどォ! 早く怖いから拘束してくださァい!」
青ピ『ボクからしたら友達相手にこんなことできるキミが怖いわ!』
黄泉川「……一方通行! 誰が来たじゃん? 宅配便か?」
一方通行「いや、ただの不審者だ。無視するに限る」
黄泉川「何ィ!? それは大変じゃん。待ってろ、すぐに拘束するじゃん!」
青ピ『黄泉川センセー!! それはあかんやろー!!』
黄泉川「……お前、青髪ピアスか?」
一方通行「いいえ、ただの不審者です」
青ピ『アクセラちゃーん! 冗談キツイでー、とにかく早く入れて欲しいんやけど! 寒くてあかんわー!』
黄泉川「おう待ってろ。すぐに入れてやるじゃん」
一方通行「オイ、アンチスキルゥ! 仕事しろよこの野郎!」
―――
――
―
―
――
―――
青ピ「どもー! 青髪ピアスただ今参上!」ビシ
打ち止め「わー! 青髪にピアスのお兄さんだー!」
結標「あれ? 青髪君来たんだ」
青ピ「ひどいなー姉さん! ボクもこんな行事があるなら誘って欲しかったでー」
結標「貴方の担当は一方通行だったからね」
一方通行「……つゥかどこからここの情報を仕入れてきた? 上条か?」
青ピ「いーや違うよー。……ってカミやんおらへんやん? その代わりにチビッ子シスターちゃんは居るけど」
禁書「むっ。チビって何かなチビって?」イラ
吹寄「青髪。おまえ背が高いからって小さな子を虐めるのは許せないわね」ゴキゴキ
青ピ「あはははー、ちょっとした冗談やん」
一方通行「で、情報源はどこなンだよ? さっさと言え」
青ピ「うーんとなー、それはなー――」
姫神「たぶん。それ私」
結標「姫神さん?」
一方通行「どォしてコイツに情報教えやがった?」
姫神「教えるつもりはなかった」
青ピ「姫神ちゃん! それひどくない!?」
姫神「昨日の昼前。たまたま街で会って。てっきり彼も行くのかと思って。『明日のパーティーどうするか』という質問をしてしまった」
結標「あー、そっかー。その時はまだ連絡してなかったのよねー」
青ピ「そのおかげでこうしてここにボクが参上できたってわけや!」
一方通行「よし。今すぐ回れ右して帰るか、そこの窓から放り投げられるか。好きな方を選ばせてやる」
青ピ「アクセラちゃーん、ホンマ冗談キツイでー。ここ十三階やろ? 落ちたら死んでしまうわ」
一方通行「回れ右して帰るっつゥ選択肢があるから問題ねェだろ」
青ピ「それってボクに帰れって言っとるん?」
一方通行「帰れ」
黄泉川「一方通行。別に一人増えたからって問題ないじゃん」
一方通行「オマエそれマジで言ってンのか?」
黄泉川「食べ物は腐るほどあるわけだし、クラッカーも大量に余ってるわけだし……」
青ピ「クラッカー?」
打ち止め「ほらここにあるやつだよ! ってミサカはミサカは大量に余ってクラッカーを見せびらかせてみる」
青ピ「……何でこんなに余っとるん?」
結標「ちょっといろいろあって……」
黄泉川「まあとにかく、ゆっくりしていくじゃん青髪」
青ピ「おおーっ! さすが黄泉川先生! ノリが良い!」
一方通行「……チッ、少しでもガキに変な事吹きこンだら、素粒子レベルに分解すンぞ」
青ピ「あははー、ボクは紳士やからそんなことせーへんよ!」
吹寄「おまえのどの辺りが紳士か、ぜひ教えてもらいたいわね」
姫神「しょせんは。戯言」
結標「二人とも結構ひどいわね。まあわかるけど」
黄泉川「――じゃあ再び。全員クラッカー持ったじゃん?」
青ピ「パーティー始まって結構時間経っとるように見えるけど、まだクラッカー鳴らしてなかったん?」
結標「今まで気付かなかったのよねー、存在感薄いわ」
打ち止め「まだこんなのに残ってるのに可哀そうだよねー、ってミサカはミサカは床に散乱してる余り物を見て言ってみる」
吹寄「使い切ってしまえばいいんじゃないの?」
禁書「……うう、科学で出来たものは何だか怖いんだよ」
芳川「って言っても、クラッカーはそんな複雑なものではないわよ」
一方通行「つゥか、もう誤爆すンじゃねェぞ。ちゃンと被害の出ねェ方に向けて鳴らせ」
禁書「わかったんだよ!」
姫神「これは。また誤爆するフラグ?」
一方通行「不吉な事言ってンじゃねェ」
黄泉川「ほいじゃあ。メリークリスマース!!」
「メリークリスマース!!」
パァーン!!!!!!!
禁書「……あれ? 私のが爆発しないんだよ? 何で?」
芳川「暴発の次は不発ときたか」
一方通行「クラッカーに嫌われてンじゃねェの?」
禁書「むー!」
打ち止め「ほ、ほら! まだ余りがあるから。全部鳴らしていいよ! ってミサカはミサカは余り物の処分方法を思いついてみたり」
禁書「いいよ。それよりおでんを食べたいんだよ!」
一方通行「だろォな。つゥか邪魔だからそれとっとと使っちまえよ」
打ち止め「了解! ってミサカはミサカはクラッカーフルバーストを決行してみる!」スッ
結標「ま、まさか一気にするつもり?」
打ち止め「当たり前だよ! どりゃー!!」キュッ
パァーン!!!!!!!!!!!!!!!!!
―――
――
―
―
――
―――
同日 22:30
-黄泉川家・リビング-
ワーワーキャーキャーガツガツ
黄泉川「――おおっと、もうこんな時間か。子供たちはそろそろ帰った方がいいじゃんよ」
吹寄「そうですね。あまり長居をしても悪いし……」
打ち止め「ええーっ!? もうちょっとー! ってミサカはミサカは……ふわぁー」
芳川「打ち止めはそろそろ眠くて辛い時間の時間じゃない?」
黄泉川「そうじゃんね。打ち止めはさっさと風呂に入って寝た方が良いじゃん」
青ピ「おっほぉー、眠たげなロリッ娘はすば――」
一方通行「…………」ガシ
青ピ「なははー、冗談やがなー、まだ言いきってへんやん」
一方通行「チッ、とっとと帰れ変態野郎が」
青ピ「知っとったー? 変態って変態って呼ばれると喜ぶんやでー!」
吹寄「喜んでんじゃないわよ変態が!」ガン
青ピ「あたっ!? ちょ、吹寄さん! 別にボクぁ喜んでへんでー!」
姫神「じゃあ。こんな時間なのに。何でこんなに。テンションが高いの?」
青ピ「いやいやまだまだー、夜はここからや――」
一方通行「帰れっつってンのが聞こえねェのか? 意味ねェならその耳、ピアスごと引きちぎンぞオマエ」
青ピ「おうふっ、アクセラちゃんが怖いからボクはそろそろ退散やなー! ほなねー」スタコラサッサー
打ち止め「バイバーイ! ってミサカはミサカは眠い目こすりながら……ふわぁー」
黄泉川「打ち止め、そろそろ風呂に入る準備してくるじゃん」
打ち止め「はーい……」テクテク
結標「じゃあここら辺でお開きかな?」
禁書「ふぅー、久々にお腹いっぱい食べたんだよ……」
一方通行「結局、買いそろえた食いモンは全滅っつゥことか」
黄泉川「この子一人でどれくらい食べたじゃん?」
結標「ええーと、炊飯ジャー全滅してから具を追加したりしたから……炊飯ジャー七、八個分ですかね?」
一方通行「それだけじゃねェだろ。鶏肉とかオードブルとか米とか、かなりの量を平らげたぞコイツ」
吹寄「何でそんなに食べられるのか理解に苦しむわ」
姫神「ここまでくると。清々しい」
芳川「是非とも研究したいわね。彼女の体内がどんな仕組みになっているのかを……」
一方通行「そォいうのは金がたまってから言え」
吹寄「じゃあ姫神さん。帰る準備は出来た?」
姫神「大丈夫。問題ない」
禁書「あー、これからとうまの家に帰らなきゃいけないんだねー面倒臭ー」
一方通行「オマエはアレか? まさか『朝までここに滞在して朝飯までごちそうになります』とか考えてンじゃねェよなァ?」
禁書「あははー、そんなことひとっつも考えてないんだよ」チラ
一方通行「ならコッチに目を向けろ暴食シスター」
結標「そういえば上条君は迎えにきたりするの?」
禁書「んーん。そんな話はしてないんだよ!」
一方通行「まァそォだろォな。今ごろ三下は超電磁砲とよろしくやってンじゃねェの?」
禁書「えっ!? それは初耳なんだよ!?」ガバッ
一方通行「オマエ、ホント何も聞いてねェンだな」
結標「超電磁砲?」
一方通行「第三位のレベル5だ。オマエからしたら、コンビニでバイトしてるミサカってヤツの姉って言えばわかりやすいか」
結標「ああそうなの! ミサカさんの姉なんだ。一度会ってみたいわね、どんな人か気になるわ」
一方通行「……それはやめた方がイインじゃねェのか?」
結標「……何でよ?」
一方通行「出会い頭に電撃放ってくる可能性があるからな」
結標「ミサカさんの姉ってそんなに凶暴なの!?」
一方通行「今はそォ考えてくれた方が都合がイイ」
禁書「ねえねえ! れーるがんってまさか短髪の事?」
一方通行「短髪……あァ、オマエはそォ読ンでンだったな。そォだその短髪さンの事だ」
禁書「むー、またとうまは短髪を遊びに行ったんだね! この前だって遊園地にも行ってたし」
姫神「!? それは事実?」
禁書「そうなんだよ! 私たちがこもえと行った日はとうまは短髪と遊園地に行ってたんだよ!」
姫神「……で。今日もその短髪さんと。どこかに遊びに行っていると?」
禁書「そうなんだねあくせられーた!?」
一方通行「……お、おォ」
禁書「なんてこったいなんだよ!」
姫神「これは由々しき事態」
一方通行(つゥか、コイツはわかるけど何で姫神まで……あァ、そォいう事か)
結標「どうしたの?」
一方通行「上条がトンデモナイ存在だという事がわかった」
結標「とんでもない? どの辺が」
一方通行「さァな? 自分で考えろ」
結標「えー、何よそれ? ちょっとぐらい教えてくれてもいいじゃないの」
一方通行(このパターンなら吹寄も……)チラ
吹寄「? 何よ?」
一方通行「何でもねェ」
吹寄「?」
禁書「とうまにはそろそろ、キツイお仕置きをしてあげる必要があると思うんだよ!」キラーン
一方通行「オマエ家主にそれはねェだろ。恋愛なンざ人それぞれ自由だろ」
禁書「で、でもー」
一方通行「俺にはよくわかンねェけどよォ、とりあえず暴力はやめとけ。嫌われたくなかったらな」
禁書「……うん。わかったんだよ」
一方通行「あとついでに暴食もな」
禁書「…………うん」チラ
一方通行「そっぽ向くんじゃねェよ」
吹寄「じゃあ姫神さん。そろそろ出ましょうか?」
姫神「……そうだね」
吹寄「何かいつもより暗くない?」
姫神「気のせい」
吹寄「……そう」
芳川「今日は楽しかったわ。また遊びに来てちょうだいね」
一方通行「オマエってそンな常識めいた事言えンだな」
芳川「失礼ね。それくらいの常識はあるわよ」
吹寄「本当に今日はお世話になりました!」ペコ
姫神「お世話になりました!」ペコ
黄泉川「あははー、まっすぐ家に帰るじゃんよ」
吹寄「ではお邪魔しましたー!」
姫神「お邪魔しました」
打ち止め「また来てねー、ふわぁー」
吹寄・姫神((か、かわいい……))
一方通行「……さて、インデックス。オマエも行くぞ」
禁書「? 何であくせられーたが付いてくるの?」
一方通行「オマエここから家に帰れンのかよ?」
禁書「な、何を言ってるのかな? 完全記憶能力を持つ私にはよ、余裕なんだよ……」
一方通行「どォせ、今日の夜中辺りで上条からオマエが帰ってないって電話が来て、結局は捜す羽目になるっつゥオチは見えてンだよ」
禁書「わ、私はそんな馬鹿じゃないんだよ!」
一方通行「二度手間すンのは嫌いなンだよ。オラ行くぞ」カツンカツン
禁書「ま、待ってよ! じゃ、じゃあごちそうさまでした!」
黄泉川「気を付けるじゃんよ」
打ち止め「~~~~むにゃ」Zzz
結標「ちょっと打ち止めちゃん! 立ったまま寝ちゃだめよ!?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 23:30
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
一方通行「…………」カツンカツン
結標「おかえりなさい」
一方通行「……他のヤツらはどォした?」
結標「芳川さんは部屋にこもって、黄泉川さんと打ち止めちゃんは寝てるわ」
一方通行「オマエは寝なくてもイイのかよ」
結標「いいのよ。貴方を待ってたから」
一方通行「待ってた? 何で?」
結標「えーと、その。貴方に渡したいものがあって……」
一方通行「渡したいモノだァ?」
結標「う、うん……」
一方通行「……ンだよ?」
結標「そ、その」
一方通行「…………」
結標「…………あの」モジモジ
一方通行「…………」
結標「…………あのね」モジモジ
一方通行「…………」イラ
結標「…………えーと」モジモジ
一方通行「オイ!」
結標「はいっ!?」
一方通行「モジモジモジモジうっとォしい、早くしろよ!」
結標「う、うん、じゃあ――」スッ
結標「――め、メリークリスマス!」バッ
一方通行「…………ハァ?」
ガバッ
一方通行「ッ!? 何だこりゃあ?」
結標「……み、見てわからないの? マフラーよ」
一方通行「何でマフラーなンざ……」
結標「い、いやあ、いつ見ても寒そうな格好で学校に行くなーと思って……」
一方通行「……で、何だこの模様? 白いギザギザみてェなの」
結標「貴方っていつもそんな感じの模様のシャツ着てるでしょ? だからそんなのが好きかなぁと思って」
一方通行「いや、これ全然違うだろ。まさしくこれが似て非なものってヤツだろ」
結標「ご、ごめん! やっぱり嫌だった?」
一方通行「…………」
結標「…………」
一方通行「……いや。別に構わねェよ」
結標「……よかった」ホッ
一方通行「しかし意外だったな。まさかオマエがこンなモン寄越してくるなンざ思わなかったわ」
結標「い、意外って何よ? 私だってこれくらいのことするわよ!」
一方通行「ハイハイそォですかァ」
結標「その態度はいつ見てもムカつくわね……」
一方通行「つゥか、何でこンなモンいきなり渡そうとか思ったンだ?」
結標「えっ、そ、そ、その、それは……」
一方通行「何をそンな戸惑ってンだよ?」
結標「べ、別に戸惑ってなんか無いわよ!」
一方通行「わかったから早く理由を言え」
結標「……あの時言ったじゃない」
一方通行「あの時?」
結標「打ち上げの帰り道よ!」
一方通行「……ああ、あの時か。で、何て言ったんだ?」
結標「……それくらい覚えときなさいよ」
一方通行「一々そンな事覚えてられっかよ」
結標「ホント、貴方ってそういうのには無関心よね」
一方通行「ほっとけ。つゥか、結局何て言ったンだよオマエは?」
結標「……『これから楽しい思い出を作っていく』って」
一方通行「……そォいややったなァ、そンな会話」
結標「何でそう貴方は……」
一方通行「で、作れたのか?」
結標「えっ?」
一方通行「楽しい思い出」
結標「……う、うん。まあね」
一方通行「何だよその微妙な反応は? まるでさっきの馬鹿騒ぎが楽しくなかったと言わンばかりの」
結標「いや、楽しかったわよ十分! できるならまたやりたいくらいに」
一方通行「……じゃあ何がそンなに不満なンだよ?」
結標「べ、別に不満なんか……」
一方通行「ホントかよ?」
結標「嘘はつかないわ」
一方通行「…………」
結標「…………」
一方通行「……チッ、結標」
結標「な、何よ?」
一方通行「目ェ潰れ」
結標「えっ!? な、何で――」
一方通行「イイから潰れ」カチ
結標「……わ、わかったわよ」スッ
一方通行「…………」ガサゴソ
結標(な、何よコイツ!? いきなり目をつぶれなんて……)
結標(待てよ? こんな感じのシチュエーション、漫画か何かでみたことあるような……はっ!?)
結標(ま、ま、ま、まさか、キキキキキスぅ!?///)
結標(そ、そ、そんな馬鹿な事ありえないわ! だって一方通行よ!?)
結標(……でも。もしかしたら……)
一方通行「――結標。動くなよ」
結標「う、うん」
結標(あわわわわ、手が肩に~~///)
カチッ
一方通行「……ほら。開けてイイぞ」カチ
結標「……ん?」スッ
一方通行「……どォした?」
結標「……あれ?」
一方通行「何だよそのリアクション」
結標「……貴方、さっき私が目をつぶってる間何やってたの?」
一方通行「……自分の首元見てみろよ」
結標「首元……?」サワ
結標(……? 何か固いものが……!? これって……)
結標「……私が欲しいって言ってたペンダント?」
一方通行「そォだな」
結標「な、何で貴方がこんな物を……?」
一方通行「め、メリークリスマス……」
結標「……えっ?」
一方通行「チッ、やっぱ俺はこンなモン柄じゃねェンだよ。だから言ったろォクソシスターが」ブツブツ
結標「……あ、あのぉ……」
一方通行「ま、精々その楽しい思い出とやらの足しにするンだな」
結標「あ、ありがとね」
一方通行「……くっだらねェ。俺は風呂に入って寝る。オマエもとっとと寝ろよ」カツンカツン
結標「う、うん……」
一方通行「…………結標」クル
結標「何?」
一方通行「それ……似合ってンぞ」
~おわり~
982 : ◆ZS3MUpa49nlt[s... - 2012/04/05 22:42:03.93 SIg52Yzmo 742/742
区切りがいいのとリアルが上条さんのスケジュール並に忙しくなってきたので
一旦このSSはこれで終わりたいと思います
これまで見てくださったみなさんありがとうございました
そもそも気付いたら900レスとかなってたのが悪いのよな
おかげでせっかくのパーティー回なのにパーティーっぽいことしてないし
トランプとか入れる隙間無かったし
パーティー回はもっといろいろやりたかったけど出来なかった感じですね
上条さんと美琴さんが合流したりとか、
一方さんとインデックスの仲の良さを見て嫉妬するあわきんとか
木原くんにプレゼントをもらいに来る円周ちゃんとか
まだ消化してないイベントがたくさんあるので
これからの学校生活で暇さえできれば次スレを立てたいと思います
その間、短編とかは書くかもしれませんが……
また>>1を見かけたらその時はよろしくお願いします
ではではノシ
※続編⇒【 一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」 】