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第1話  第2話  第3話

408 : 1[saga] - 2013/10/05 12:08:51.92 XXiRtKiy0 255/360

最終話 少女


~警視庁~


過去の世界より戻ってきた右京たちであったが、何故か世界が救われたという実感がまだなかった。

そんな時…

伊丹「これはこれは警部殿、相変わらず暇ですなぁ。」

右京「そちらは相変わらずお忙しいようですね、何か事件ですか?」


409 : 1[saga] - 2013/10/05 12:09:20.60 XXiRtKiy0 256/360

芹沢「2年前強盗殺人容疑で指名手配されている大場三郎を匿っていたヤツの女から
通報があったんですよ!」

三浦「それでこれからその女のところに向かう途中なんですけど…」

伊丹「付いてこないでくださいよ!」

右京「えぇ、わかりました。どうか犯人確保頑張ってください。」

伊丹「アレ?」

芹沢「何か今日の警部…おかしいですね、いつもなら否応無しに付いてきそうなのに…」

三浦「とにかくさっさと行くぞ!」


410 : 1[saga] - 2013/10/05 12:09:50.51 XXiRtKiy0 257/360

伊丹たち捜査一課がその場から立ち去った後カイトは右京に尋ねた。

カイト「どうやら伊丹さんたちも元通りのようですね。
けど珍しいですね、杉下さん…いつもなら真っ先に事件に関わるのに…」

右京「えぇ、僕も出来る事なら事件に関わりたいのですが…
まぁそれはともかくとして…これから行きたい場所があります、付いてきてもらえますか。」


411 : 1[saga] - 2013/10/05 12:10:19.11 XXiRtKiy0 258/360

~旧佐伯家~


右京、カイト、それに陣川の三人は再びこの家にやって来ていた。

カイト「杉下さん!近所の人に確認しました、佐伯一家はこの家を既に手離しているようですよ!
夫婦は既に離婚していて旦那の剛雄は未だに刑務所で服役してるそうです。」

右京「なるほど、どうもありがとう。」

カイト「それともうひとつ、これはたぶん別件だと思うんですが気になる話を聞いたんですけど…」

右京「?」


412 : 1[saga] - 2013/10/05 12:11:15.57 XXiRtKiy0 259/360

陣川「けど杉下さん、何でまたこの家に来たんですか?事件はもう終わったはずでは…」

右京「いえ…終わってはいませんよ、さあ家の中に入りますよ。」

右京たちが家の中に入ろうとする直前だった、旧佐伯家の玄関に一人の小学生くらいの
少女がぽつんと座っていた。


413 : 1[saga] - 2013/10/05 12:11:43.85 XXiRtKiy0 260/360

少女「ハァ…どうしよう…」

カイト「子供?」

陣川「お嬢ちゃんこんなところで何しているんだい?」

少女「見てわからないですか?考え事しているんですよ!
大体あなた方こそ何者なんですか?まずは自分から名乗ってください!」

カイト「かぁ~っ!生意気なヤツだな…」

右京「確かにあなたの言う事ももっともですね、失礼しました、我々は警察の者です。
なるほど、考え事の最中でしたか。しかし何故わざわざこの空き家で悩み事なのでしょうかね。
ご自宅では駄目な理由でもあるのですか?」

少女「そ…それは…」

陣川「せめて名前くらい教えてくれないかな?」


414 : 1[saga] - 2013/10/05 12:12:35.65 XXiRtKiy0 261/360

少女「…家出少女…」

カイト「他人に名乗らせておいて自分は思いっ切り偽名じゃんかよ!」

少女はどこか訳ありな感じがした、少女はその理由を暈して他の話題に切り替える。

少女「そ…そういえば…この家って前に事件があったんですよね!
確か一家殺人事件があったって…」

右京「…」

カイト「そうだよ、だからこの家に近付いたら危険だからさっさと自分の家に帰りな!」

少女「…」

少女は何故か家に帰りたがろうとはしなかった、明らかに不審だとだと思うカイトであったが
何故か右京は…



415 : 1[saga] - 2013/10/05 12:13:08.17 XXiRtKiy0 262/360

右京「まぁいいじゃないですか、あとで僕たちがこの少女を家まで送って行けばいい事ですから。
それよりも家の中に入りましょう、急いで確認したい事がありますから。」

カイト「まあ杉下さんがそういうならいいですけど…」

陣川「この家鍵は掛かってないようだから中に入れるみたいですよ!」

右京「では中に入りましょう。」

少女「ホッ…助かった…」

右京「家出少女さん、あとであなたの素性も詳しく聞かせてもらいますよ」

少女「…」



416 : 1[saga] - 2013/10/05 12:13:40.00 XXiRtKiy0 263/360

こうして右京、カイト、陣川、そして先ほど家の玄関前で知り合った少女は旧佐伯家の中に入った。


陣川「中に入ったはいいけど…なんだこりゃ…」

少女「ゴホッ、ゴホッ、そこら中埃だらけですね…身体に悪いです…」

少女の指摘する通り家の中は埃だらけで長年人の入った形跡は無かった。
それからカイトは先ほど近所の住人から聞き込みをした情報を右京たちに話す。

カイト「近所の住人の話だと佐伯家は5年前に佐伯剛雄の親族が家を売り払ってしまったそうです。
その後…神戸さんの手筈通り変な噂が立ってこの家の買い手は現れないのでご覧の通り
荒れ放題になった訳です。」

右京「なるほど、確かにカイトくんの言う通りこの5年間誰も家に入った痕跡は見当たりませんね。」


417 : 1[saga] - 2013/10/05 12:14:06.28 XXiRtKiy0 264/360

陣川「ではもう佐伯伽椰子の呪いは無くなったのではないでしょうか?」

少女「伽椰子おばさんの呪い?」

右京「おや、あなたは佐伯伽椰子さんとお知り合いなのですか?」

少女「い…いえ…そうでもないです…」

右京「…」

カイト「どうやら杉下さんの心配は不要だったみたいですね。
佐伯伽椰子はいなくなり…亡者たちも消滅した、まったく杉下さんは心配性なんだから…」

確かに亡者たちはいなくなりこの世界に平和が戻った、しかし右京の顔はまるで
事件は終わってないと訴えているように表情を強張らせた。


418 : 1[saga] - 2013/10/05 12:15:36.02 XXiRtKiy0 265/360

右京「カイトくん、キミはこの世界が本当に元の世界だと思えるのですか?」

カイト「へ?」

家出少女「元の世界?」

カイト「だ…だってそうじゃないですか!あの時俊雄くんが俺たちをこの世界に導いてくれたはずじゃ!?」

右京「僕が思うにこの世界は確かに僕たちがいた世界とほぼ同一であると思います。
しかしそれだけです、あの時僕たちは過去の世界に行きあの未来を修正したと思った…
ですが今の僕たちは恐らくあの時の俊雄くんの影響でしょうか元の世界に戻った訳ではなく
実際は新たに生まれた他の時間軸へ移動した…つまり佐伯伽椰子の呪いが発生しない時間軸へ!
謂わばパラレルワールドが発生したのですよ!!」


カイト、陣川「「パラレルワールド!?」」


右京「その証拠にあの地獄の世界での出来事が何も無かった事にされて痕跡すら
碌に残ってはいない、そうだとは思いませんか?」

少女「話に付いていけません…」


419 : 1[saga] - 2013/10/05 12:16:43.47 XXiRtKiy0 266/360

カイト「じゃあまさか…まだどこかの世界じゃあの亡者だらけの地獄の世界が存在してるって事ですか!?」

右京「恐らく…間違いないでしょうね。」

陣川「しかし何でそんな事がわかるんですか?何か証拠でもあるんですか?」

右京「証拠は亀山くんと神戸くんです、彼らが戻った世界は元の修正される以前の世界のはず!
だからこそ彼らは僕の願い通りにこの家に立ち入るなという警告を発してくれたのですよ!」

カイト「確かにそうですよね、亀山さんと神戸さんが元の世界に戻らなかったら
誰もこの家が危険だって訴える事が出来ないですからね。」

陣川「しかしですよ、それが今更何の関係があるんですか?
もうこの世界は平和だ、何も問題が無いじゃないですか!」

右京「果たしてそうでしょうかねぇ…」

カイト「それってどういう意味ですか?」


420 : 1[saga] - 2013/10/05 12:17:39.15 XXiRtKiy0 267/360

右京「先ほども言った通り僕はこの世界は違う時間軸だと申し上げました。
この世界の佐伯伽椰子は僕たちが過去の世界に行き、あの悲惨な事件を止める事に成功できた。
しかし…元の世界の佐伯伽椰子はどうでしょうかね?彼女はどうなったと思いますか?」

陣川「元の世界の佐伯伽椰子?」

カイト「そりゃ…成仏したんじゃないですか?あの時の俊雄くんみたいに…」

右京「いいえ!そんなはずはありません!」

陣川「え?何でですか?だって俊雄くんは成仏したはずでは!」

右京「確かに俊雄くんは成仏したのでしょう、しかし成仏したのは俊雄くんだけなのです!
佐伯伽椰子は成仏などしておらず今もあの亡者のままである可能性が高いでしょう!」

少女「成仏とか亡者とかあなたたち何を言って…」

少女は右京たちが何を言ってるのかわからなかったがその会話の内容に何か不気味な気配を
ヒシヒシと感じてはいた。


421 : 1[saga] - 2013/10/05 12:29:07.62 XXiRtKiy0 268/360

カイト「でもここは違う世界なんでしょ!
もうこの世界には呪われた亡者たちやあの佐伯伽椰子はいないんじゃ…」

カイトの言う通りだった、確かにこの世界には亡者もいなければあの全ての元凶である
佐伯伽椰子すらいないのだから…

しかし右京の見解は違った。

右京「ではその佐伯伽椰子が僕たちと共にこの世界に来ていたとしたらどうでしょうか?」

カイト「なっ!そんなバカな!?あり得ないですよそんな事!」

陣川「そうですよ!大体彼女がどこにいるというんですか!?」


423 : 1[saga] - 2013/10/05 12:32:04.27 XXiRtKiy0 269/360

右京「僕たちがあの亡者で溢れた警視庁から脱出してこの佐伯家に来た時…
仁科理佳さんとお会いしましたよね。」

カイト「そういえば…そうだ!理佳さんどうなりましたか?」

右京「残念ながら彼女は憑りつかれていました、あの佐伯伽椰子の怨念に憑りつかれ
そのまま亡者と化して僕に襲い掛かってきました。
ですが襲い掛かる前に部屋に閉じ込めておきましたから問題ありません。」

カイト「なんてこった…彼女は手遅れだったのかよ!?
けどさっきの話で杉下さんは伽椰子に憑りつかれた理佳さんを部屋に閉じ込めたから
そもそも追ってこれる訳が…」

右京「ここで注目すべき点があります、徳永家に置いてあった固定電話です。
そこに佐伯伽椰子の指紋が残されていました、何故憑りつかれた仁科理佳さんではなく
佐伯伽椰子の指紋が残されていたのか…それは彼女は呪いの力で彼女自身が増殖したからではないでしょうか!」

カイト「伽椰子が増殖!?そんなバカな事が…」

右京「そんなバカな事があり得たんですよ、あの鈴木信之くんの最後の連絡の内容、
『あの女の人が…襲ってきた…それも一人なんかじゃない!たくさん』と言い残してました。
彼の最期の言葉が正しければ佐伯伽椰子は呪いの力を使い増殖をしたとみて間違いないでしょう。」

カイト「まさかそんな事が…」


424 : 1[saga] - 2013/10/05 12:32:35.96 XXiRtKiy0 270/360

右京「そしてその彼女は今も僕たちと一緒に居ますよ。」

カイト「今も一緒!そんな!?」

陣川「そうなると一番怪しいのは…」

少女「?」

カイトと陣川は少女に視線を送った、この中にいる者で一番怪しいのはこの少女しかいないのだから…

陣川「キミはいつの間にかこの家の前に居て僕たちが来るのを待っていた!
しかもキミは自分の名前すら教えようとしない!キミこそが佐伯伽椰子じゃないのか!」

少女「ち…ちがいます!私…本当に何も知りません!?」

陣川「言うんだ!キミが佐伯伽椰子なんだろ!」

少女「い…イヤー!?」


425 : 1[saga] - 2013/10/05 12:33:02.54 XXiRtKiy0 271/360

右京「待ちなさい陣川くん!彼女は本当に何も知りませんよ。」

カイト「え?」

右京「確かにこの少女は不審な点が多いです、しかしこの少女は間違いなく事件とは無関係ですよ!」

カイト「けどそんなのわからないんじゃ…」

少女「…」

陣川が焦るのも無理は無かった、相手はあの佐伯伽椰子である。
警視庁を亡者の巣に変貌させた彼女に恐怖を感じるなという方が無理な話であった。



426 : 1[saga] - 2013/10/05 12:33:40.30 XXiRtKiy0 272/360

右京「まあとにかく、みなさん落ち着いてください」

そう言うと右京はコートの胸元からある物を取り出した。

陣川「それは…一升瓶?」

少女「中身は何ですか?」

カイト「ていうか何でそんなモンをコートの中に入れてるんですか?」

右京「…お水です、とりあえずこれでも飲みながら落ち着いて僕の推理を聞いてもらえますか。」

カイト「推理って何ですか?」


427 : 1[saga] - 2013/10/05 12:34:32.63 XXiRtKiy0 273/360

右京「おかしいと思いませんか、あれだけの犠牲者を出しながら何故彼女だけ憑りつかれた
状態であったのか…」

カイト「そういえば…何か理由があるんですか?」

少女「あの…そもそもその人が憑りつかれているってどうしてわかったんですか?」

右京「それは…境遇です。」


カイト、少女「「境遇?」」


陣川「ゴクゴクッ♥」



428 : 1[saga] - 2013/10/05 12:35:04.18 XXiRtKiy0 274/360

右京「そう、佐伯伽椰子にはかつて小林俊介という想い人が居ました。
しかし彼は他の女性と恋をしてしまい、彼女の初恋は失恋という形で幕を閉じた。
そして仁科理佳さんも同じく付き合っていた男性と別れ話を持ち出されてしまい破局…
こんな境遇が佐伯伽椰子の共感を誘ってしまい、仁科理佳さんは憑りつかれてしまったと
僕はそう考えています。」

カイト「なんかスゴく無茶苦茶な推理ですけど…それがどうしたというんですか?」

右京「この中で一人だけ…先ほど述べた仁科理佳さんと同じく…いえ…
彼女以上に恋愛面において決して報われない人物がいます。」

少女「わ…私は違いますよ!恋なんかした事ないし…」

カイト「俺だって!悦子とはたまに喧嘩もするけど現在進行形でちゃんと付き合ってますから!!」



429 : 1[saga] - 2013/10/05 12:35:32.77 XXiRtKiy0 275/360

右京「まぁ…あなた方を疑っている訳ではありませんよ、それよりもそのお水飲んでみてください。」

カイト「わ…わかりました…」

少女「いただきます…」


ゴクゴク………ブハッ!?


カイトと少女はその水を口にした、しかし口に含んだ瞬間二人は違和感を感じてしまい
吐き出してしまった。


430 : 1[saga] - 2013/10/05 12:36:33.93 XXiRtKiy0 276/360

カイト「ゲホッ!ゲホッ!何だよこれ!腐ってるのか!?」

少女「それよりも…ゲホッ…これ…ゴホッ…お酒じゃないですか!」

右京「えぇ、あなた方に飲んでもらったのは清酒です。
未成年の方にお酒を飲ませるのはどうかと思いましたがどうしてもこれである事を試しかったのですよ。」

カイト「ある事を?」

少女「試す?」

右京「古来より清酒には霊的な作用がありましてね、その試験を行ったのです。」

カイト「試験ってどういう事ですか?」

右京「以前にもこの家で同様の事が試されました…
鈴木響子さんという霊能力を持つ女性がこの家を購入する際に…
『購入する人間に清酒を飲ませろ、もし吐いたりしたら絶対に売るな!』と警告してたそうです。
つまりあなた方が飲んだ清酒には霊が宿っていた、だからその様に口に含んだ瞬間に
拒絶してしまったのでしょうね。」


431 : 1[saga] - 2013/10/05 12:37:07.72 XXiRtKiy0 277/360

カイト「けど…だからってこれが何だっていうんですか?」

右京「カイトくん、それに家出少女さん、あなた方の反応は正解でした。
もしこんな…ゴクゴク…ゴホッ…霊の影響で満ちたお酒を飲んだりしたら大変ですからね。」

カイト「それじゃあ佐伯伽椰子に憑りつかれた人間は…」

少女「この不味いお酒を何の苦も無く飲める人間という事じゃ…」

その時カイトと少女、そして右京の視線はある人物に一斉に向けられた。


432 : 1[saga] - 2013/10/05 12:37:49.43 XXiRtKiy0 278/360







右京「そうです!このお酒を平然と飲んでいる陣川くん!キミこそが佐伯伽椰子に憑りつかれているのですよ!」








433 : 1[saga] - 2013/10/05 12:38:24.07 XXiRtKiy0 279/360

陣川「ゴクゴク…ってえぇ!?」

カイト「確かに陣川さんの恋愛面での報われなさは警視庁一と言っても過言じゃないな!
この前もあずみさんと一方的な片思いに走ってたし…」

陣川「ちょっと待ってくれ!あれは職務を忠実に行ったまでで…
だ…大体僕が憑りつかれているという証拠はあるんですか!?」

右京「証拠ならあります、こちらを見てください!」

右京がカイトたちの前に一枚の紙を出した、その紙とは…

陣川「これって確か…」


434 : 1[saga] - 2013/10/05 12:39:27.63 XXiRtKiy0 280/360

カイト「理佳さんが持っていた俺と杉下さんの手配書じゃないですか!
けどこれが何の証拠になるっていうんですか?」

右京「この手配書ですが何故このような手配書が作られと思いますか?
それはあの時点で佐伯伽椰子の魔の手から生き残っていた人間が僕とカイトくんだけ
だったからですよ。」

少女「だけどその手配書には…」

カイト「そうだ!その手配書には陣川さんの名前が無いですよ!?」

右京「そう!そこなのです!
何故陣川くんの名前が無いのか?それは既に陣川くんが佐伯伽椰子に憑りつかれているからこそ
この手配書に表記をする必要が無かったからですよ!」

カイト「なるほど、だから警視庁で陣川さんが唯一人だけ生きていた訳ですね!」



435 : 1[saga] - 2013/10/05 12:40:06.54 XXiRtKiy0 281/360

右京「それにもうひとつ証拠があります、この清酒です。
恐らくこの清酒が腐った原因は佐伯伽椰子の怨念に憑りつかれたキミの影響だからでしょうね。
この家自体は僕たちが過去の世界に行ったから怨念は関係ないはず、あるとすれば
僕たちの周りに悪霊に憑りつかれたキミがいたからでしょう!」

陣川「待ってください…そんな…お酒を飲んだり手配書に…名前が載ってなかったくらいで…」

陣川『……』

カイト「あの…陣川さん?」

少女「急に黙り始めた…」

右京「…」


436 : 1[saga] - 2013/10/05 12:40:36.69 XXiRtKiy0 282/360

陣川は急に俯き…そのまま沈黙した。
右京はこの反応を見て少女とカイトを陣川から遠ざけようとする、だがしかし…既に遅かった。
陣川の身体から何か得体の知れないモノが浮かび上がり彼の身体から抜け落ちてしまったのだ。
そして陣川はその場に倒れ伏してしまった。

陣川「うぅ…ん…アレ?僕は今まで何をしてたんだ?
確か…警視庁に入ろうとする佐伯伽椰子という女性を案内して…それから…
おかしいな…それ以降の記憶が無いぞ?」

カイト「陣川さん大丈夫ですか!それに…今のは何だ!?」

右京「恐らくあれこそ…」

右京が言おうとしたその時だった。


437 : 1[saga] - 2013/10/05 12:41:04.21 XXiRtKiy0 283/360



ベチッ


ベチッ


2階の階段から奇妙な音がした、その音はまるで足音ではなく…手で床を這う物音だった。
そしてその正体が姿を現す、その者の正体は…


右京「ようやく姿を現しましたね、佐伯伽椰子!」


佐伯伽椰子、本来の時間軸なら5年前に夫に惨殺され、その身を亡者に堕とし
その後夫を呪い殺したが…
しかしそれでも彼女の心は満たされず…息子である俊雄と共にこの家に侵入する者を
次々と呪い殺した張本人がついに姿を現した。
その姿は亡者となった人々と同様に生気の無い白い肌、そして惨殺された当時の傷、
その所為なのか…彼女は四つん這いとなり階段を移動してくる。


438 : 1[saga] - 2013/10/05 12:41:42.40 XXiRtKiy0 284/360

少女「あ…あぁ…化け物…」

カイト「化け物…確かにそうだな…こんなの人間じゃねえよ!」

だが…姿を現したのは伽椰子だけではなかった。
伽椰子の影から二人の人物が現れる、その正体は…

亀山『あ゛…ああああ…』

神戸『あ゛あああああ…』

右京「亀山くん!?」

カイト「神戸さん!?」

陣川「なっ何だ!どうなってんだ!?」

現れた亡者の正体は亀山と神戸であった、何故この二人が亡者となって現れたのか、
右京にはある心当たりがあった…


439 : 1[saga] - 2013/10/05 12:42:13.18 XXiRtKiy0 285/360

右京「恐らく彼らは修正前の時間軸の亀山くんと神戸くんでしょう。
亡者となった彼らは佐伯伽椰子に使役される謂わば運命共同体ですからね…」

カイト「けど何で二人が!?」

右京「それは…彼らが前の時間軸で佐伯伽椰子の手により亡者とされてしまったからでしょう…
彼らが元の世界に戻ったという事はこの事態を想定すべきだったのに…
僕とした事が…迂闊でした!!」

そう…亀山と神戸は佐伯伽椰子の手に掛かり亡者となってしまった。
最早彼らに右京たちの声など届きはしない、そして彼らの魔の手が右京たちに襲い掛かった。


440 : 1[saga] - 2013/10/05 12:42:44.17 XXiRtKiy0 286/360



ガシッ  ガシッ


亡者と化した亀山と神戸はそれぞれ右京とカイトの身体を掴み身動きを取れないように拘束する。

カイト「ちょっ!亀山さん!神戸さん離してください!?」

亀山『……』

神戸『……』


右京「陣川くん!キミはその少女に危険が及ばないように守っていてください!」

陣川「ハ…ハイ!わかりました!」

少女「あ…あぁ…」


441 : 1[saga] - 2013/10/05 12:43:17.82 XXiRtKiy0 287/360

亀山たちにより身体を拘束された右京とカイトの前に伽椰子が一歩二歩と詰め寄ってくる。
そしてとうとう顔の近くまで近づき始めてきた、目的は間違いなく右京たちの殺害…
しかし右京は何故かこの時口元に不敵な笑みを浮かべていた。

右京「フフ、どうやらここまで僕の思った通りの行動をしてくれたようですね。」

カイト「ちょっと!杉下さん!こんな時につまらない強がりは止めてください!」

右京「いえ、強がりなどではありません。
佐伯伽椰子、あなたは僕たちを過去の時間軸から追って来てしまった時点で
既に勝負はついていたのですよ!」

伽椰子『?』

伽椰子は右京の言葉に意味が見い出せずにいたが、まもなくその言葉の意味を知る事になる。
その言葉の意味に真っ先に一人だけ気付いた者がいた。


442 : 1[saga] - 2013/10/05 12:44:45.44 XXiRtKiy0 288/360

少女「あれ?みんなの身体が薄く…まるで消えかかっているみたいです!」

少女の言う通り、この場で少女以外の全員の身体がまるで靄のように消えかかっていたのだ。

伽椰子『!?』

亀山『??』

神戸『??』

カイト「なんだって!本当だ、俺たちの身体が消えかかっている!どういう事なんだ?」

陣川「ぼ…僕の身体もだよ!?」

右京「どうやら僕の思惑通りですね。」

少女「どういう事なんですか?」


443 : 1[saga] - 2013/10/05 12:45:13.08 XXiRtKiy0 289/360

右京「先ほど申し上げたように、僕たちは別の時間軸からやって来た謂わば異物の存在です。
そんな時系列に悪影響を及ぼす僕たちがいつまでもこの時間軸に存在できると思いますか?」

カイト「それじゃ…これは一体!?」

右京「事象というべきでしょうかね、僕たちは歴史の修正作用によりまもなくこの時間軸から
消え去るのですよ!」

伽椰子『!?』

伽椰子は玄関に飾られている鏡を見ると、間違いなく自分の身体が消滅しかかっている
のがわかった。
右京の口から出た事実に気付いた伽椰子はその言葉に怒りを感じ、右京に襲い掛かった。
しかし既にその行為は手遅れであった。


444 : 1[saga] - 2013/10/05 12:46:05.81 XXiRtKiy0 290/360



ブワッ


伽椰子『!!?』

カイト「なっ!すり抜けた!?」

少女「もう…触れる事も出来ないんですね…」

伽椰子は間違いなく右京を襲おうとしたが既に右京を掴むことが出来ない程にその存在が
薄れていった。

恐らく無理に行動した所為なのだろうか、伽椰子の存在が急激な速さでかき消されていく…


445 : 1[saga] - 2013/10/05 12:46:54.53 XXiRtKiy0 291/360



伽椰子『あ゛あああああああ…』


伽椰子の奇声が発せられる、しかしそれはあの恐怖に満ちた忌まわしいモノではなく…
まるで…助けを乞うような…憐みさえ感じるような声であった。

右京「そうやってあなたは助けを乞うのですね、ですが…僕はあなたを助けません!
あなたの犯した罪はたとえ過去が修正されようとしても…決して消える罪ではないのです!
あなたはその罪を抱え未来永劫苦しみ…罪を償いなさい!!」


伽椰子『あ゛あああ…あ゛ああああ…』


右京の言葉と共に伽椰子の身体は消滅していった。


446 : 1[saga] - 2013/10/05 12:47:30.80 XXiRtKiy0 292/360

消滅する瞬間…伽椰子は見る事になる…それは夢か幻か…

伽椰子は暗く…何も無い空間にただ一人だけいた…

そこには誰もいなかった…自分が使役する亡者も…血を分けた実の息子である俊雄も…

しかし彼女は気付いた…背後から押し寄せる不気味な気配に…

それは…


447 : 1[saga] - 2013/10/05 12:48:13.25 XXiRtKiy0 293/360



『『あ゛あああああああああああああ…』』


無数の亡者たちが伽椰子を闇に連れて来たのだ、その中には…

剛雄『あ゛あああああああああ…』

達也『あ゛ああああああ…』

信之『あ゛ああああ…』

響子『あ゛ああああああ…』

『あ゛ああああああ…』

良美『あ゛あ…ああああああ…』

勝也『あ゛ああああ…あああ…』

和美『あ゛あああああ…』

幸枝『あ゛ああああああああ…』

理佳『あ゛あああああああ…』

吉川『あ゛あああ…ああ…』

剛雄を先頭にかつて佐伯家に転居したり関わった者たちが亡者となり伽椰子に襲い掛かってきた。


448 : 1[saga] - 2013/10/05 12:49:01.49 XXiRtKiy0 294/360

そんな伽椰子の前にさらに亡者が近付いてくる、それは…

俊介『あ゛あああああああ…』

真奈美『あ゛あああ…あああ…ああ…』

小林俊介に真奈美、かつての想い人と恋敵の女が伽椰子に迫ってきた。

だがそれではなかった…


449 : 1[saga] - 2013/10/05 12:49:29.65 XXiRtKiy0 295/360



ベチャッ


伽椰子の背中に濡れてベトベトな異物が張り付いたような感触がした、恐る恐るその背中に
張りつかれた異物の正体を確認すると…その正体は…



450 : 1[saga] - 2013/10/05 12:50:09.18 XXiRtKiy0 296/360



赤ん坊『あ゛ああああああああ…』

伽椰子『!?』

かつて剛雄の手によって生まれる前に惨殺された小林俊介と真奈美の胎児が亡者と化した姿でそこにいた。

亡者と化したこの場にいる者たちの想いは唯一つ…


『『伽椰子を未来永劫呪い続ける!!』』


そして彼らは伽椰子を引きずるように、深い…深い…闇へと落ちていった…


451 : 1[saga] - 2013/10/05 12:51:04.39 XXiRtKiy0 297/360

佐伯伽椰子は完全に消滅した。

それと同じく亡者となった亀山と神戸も消えた、彼らの顔はまるで満足したような
穏やかな表情を見せていた…

右京「亀山くん、神戸くん、どうも…ありがとう…」

カイト「き…消えた…佐伯伽椰子が消滅したんだ!」

右京「どうやらその様ですね、法律で裁けない彼女がこの先どうなるのか…
誰にもわからない事ですが…」

少女「きっとあの人は未来永劫苦しむと思います、たぶんそれでしか罪を償えないから…」

右京「なるほど、確かに…そうかもしれませんね…」


452 : 1[saga] - 2013/10/05 12:51:31.05 XXiRtKiy0 298/360

誰もが佐伯伽椰子の消滅を見守る中一人だけ状況を把握できない男がいい加減叫び始めた。

陣川「杉下さん!これは一体どういう事なんですか!?説明…あれ?僕の身体が…!?」


シュンッ


陣川もその場から消えてしまった。

カイト「じ…陣川さん…でも何で消えたんだ?」

右京「どうやら我々もそろそろこの時間軸から消えなければいけないようですね。」

カイト「つまりタイムリミットって訳ですか、まぁあの佐伯伽椰子は消滅できた訳だし
良しとするか!」


453 : 1[saga] - 2013/10/05 12:52:06.57 XXiRtKiy0 299/360

右京「さて…それでは家出少女さん、そろそろあなたの事を尋ねたいのですが…
あなたは…すでにこの世の人間ではありませんね、幽霊なのでしょう。」

少女「!?」

カイト「ゆ…幽霊!この子がですか!?」

右京「そうです、玄関前で僕たちとお会いした時に彼女は…
『確か一家殺人事件があったって…』と言いました、おかしいと思いませんか?」

カイト「そうか、この世界はあの惨殺事件が起きなかった世界なんだ!
そんな事が覚えているはずがないんだ!」


454 : 1[saga] - 2013/10/05 12:53:03.18 XXiRtKiy0 300/360

右京「その通り、恐らく彼女はこの世の存在ではないから修正された時間軸に影響されなかった
のではないでしょうか。
それに彼女は幽霊だからこそ自分の素性を知られたら他人に動揺されてしまいますからね。
だからこそ名前を明かせなかったのでしょうねぇ。
そして鏡を見てください、透けて見える僕たちはともかく…彼女の姿は映っていません。
これが彼女が幽霊であるという確かな証拠ですよ。」

少女「…」

カイト「けど何で幽霊のこの子がここにいるんですか?
まさか…佐伯伽椰子みたく誰かを呪おうってわけじゃ!?」

少女「ち…ちがいます!そういうわけじゃ…」

右京「恐らく…誰か身内に不幸が起きたのではないでしょうか?」

少女「!?」

右京「昔から亡くなった方が現れるのは現世に残された身内を心配してとの迷信が多いですからね。
ご両親か…もしくは…兄か…姉か…それとも妹か…弟でしょうか。」


455 : 1[saga] - 2013/10/05 12:53:29.40 XXiRtKiy0 301/360

そんな右京の質問に対して少女は自身なさげに答えようとした。

少女「弟…弟が…大変なんです…」

カイト「弟?」

少女「弟が…行方不明なんです…」

カイト「行方不明!?
待てよ…その弟さんの名前ってもしかして『鷲尾隼人』って名前じゃないか?」

少女「そうですけどどうしてその事を?」



456 : 1[saga] - 2013/10/05 12:55:27.25 XXiRtKiy0 302/360

カイト「やっぱり、実はさっき聞き込みしに行った時に鷲尾って家にパトカーが来てて
何があったのか聞いてみたらその家の息子さんが行方不明になったって話ですよ!」

右京「待ってください、この近隣で鷲尾という家となると確か…」

カイト「俺たちが過去の世界に行った時に俊雄くんを預かってくれた家の人たちですよ!」

右京「おやおや、なんという偶然でしょうか!
なるほど、この近隣に住んでたからこそあなたは佐伯伽椰子の事をご存じだった訳ですね。」

少女「今日は弟の12歳の誕生日なんです…
弟は私と同じ先天性の病気で12歳までに発症したら命は無いと言われてて…」

右京「なるほど、12歳の誕生日の今日、弟さんは無事発症せずにすんだという訳ですね。」

少女「お父さんとお母さん…今日まで頑張ったんです…それなのに…弟が死んだら…
私だけじゃなく弟までいなくなったらきっと悲しみます!だから…だから…」

少女は今にも泣きそうな感情を堪えて必死に右京たちに説明した。

しかし右京たちも既にその存在が消えかかっていて彼らではどうする事も出来なかった。

だがそれでも右京は…


457 : 1[saga] - 2013/10/05 12:56:01.91 XXiRtKiy0 303/360

右京「では、その弟さんがどういう状況でいなくなったか説明してもらえますか。」

少女「え?ハ…ハイ!」

カイト「杉下さん…助けたいのは俺も同じですけど…俺たちじゃ…」

右京「とにかく黙って聞いてみましょう。弟さんの状況を説明できますか?」

少女「私も詳しい事は分からないんです…ただ弟は卓球クラブに所属しているようで
そこのコーチを務めている江美子さんというお婆さんと仲が良いって聞いてます。
弟はそのお婆さんの家に遊びに行ったようなんです。」

右京「なるほど、カイトくん。鷲尾家に身代金の要求はありましたか?」

カイト「いえ、ありませんでした。というか犯人からの連絡自体なかったんですけどね。」

右京は暫く考えた後にこう答える、それは少女にとってはあまり快くない返答だった。


458 : 1[saga] - 2013/10/05 12:56:33.69 XXiRtKiy0 304/360

右京「これは間違いなく事態は切迫してますよ、犯人の正体は不明ですが
目的が営利目的でないのなら犯人の狙いは金銭ではなく…相手の命…
つまり最初から殺人が目的なのかもしれません!!」

少女「そ…そんな…」

カイト「それじゃ隼人くんは既に殺されている可能性が…」

右京「まだわかりません、キミはすぐにこの事を両親に伝える事が出来ますか?」

少女「無理です…私と会ったらお父さんとお母さんきっと卒倒しちゃうだろうから…」

少女の言う事はもっともであった、一度死んだ人間が再び姿を現せば混乱を招くのは
間違いないはずだから、しかし既に時間は刻一刻と迫っている。
急がなければ鷲尾隼人という少年の命が危ない、そう思った右京はある事を思いついた。


459 : 1[saga] - 2013/10/05 12:57:22.03 XXiRtKiy0 305/360

右京「それならばあなたはこれから花の里という飲み屋に行ってくれませんか。」

少女「花の里?」

カイト「こんな時に何で…あ、そうか!?」

右京「えぇ、そういう事ですよ!
花の里に着いたらある人間が必ず現れます、それはあなたの知る人間です。
その人間に今の事情は説明しなくてもいいのであなたはそのコーチのお婆さんの家まで案内してください。
急いでください、全てはあなたに掛かっているのですからね。」

そう言うと右京とカイトの身体は徐々に消滅しかかっていた、いよいよ右京たちも
この時間軸から消え去る時が来たのだ。


460 : 1[saga] - 2013/10/05 12:58:25.29 XXiRtKiy0 306/360

右京「どうやら僕たちもそろそろ時間のようですね…」

カイト「まったく…もう少し延長してくれりゃ俺たちで隼人くんを探しに行ったのに…
神様もケチ臭えな!じゃあな家出少女!絶対に隼人くんを助けるんだぞ!」

まもなく消える右京たちに対して少女は…

少女「あの…ありがとうございます…そういえばあなたたちのお名前をまだ聞いていませんでした!
お名前は何と言うんですか?」


461 : 1[saga] - 2013/10/05 12:59:14.87 XXiRtKiy0 307/360

右京「おやおや、僕とした事が自己紹介もまだだったとは…
これは失礼しました、僕は警視庁特命係の杉下右京です。」

カイト「同じく特命係の甲斐亨、それじゃあな家出少女!」

右京「それでは健闘を祈ります。」


シュンッ


少女「警視庁特命係の杉下さんと甲斐さん…」

こうして少女の見守る中、右京とカイトはこの時間軸から消え去った。
唯一人その場に残った少女は急いで先ほど教えられた花の里まで来たが疲れて
店の入り口付近に座り込んでいると一人の男が現れ少女に声を掛けてきた、その男は…


462 : 1[saga] - 2013/10/05 12:59:53.58 XXiRtKiy0 308/360

右京「お一人ですか?」

少女「!?」

そう、少女の前に現れたのはこの時間軸の右京であった。
つまり先ほどの右京の真意はこの時間軸の右京自身に事件を解決させる事だったのだ。
右京の真意を悟った少女は自らの素性を明かさずに右京にこう答える。

右京「お名前は?」

少女「家出少女…」


463 : 1[saga] - 2013/10/05 13:00:23.51 XXiRtKiy0 309/360



ガラガラ


幸子「いらっしゃいませ、あ、杉下さん。あら?同伴なんて珍しいですね。」

右京「店の前でナンパしまして、幸子さんにはすみませんが今夜はこれで。」

幸子「そうなんですか、意外と浮気性なんですね。」

右京「ついてはおにぎりでも持たせてもらえますか?」

幸子「あ、いいですよ。」

少女「あ…結構です!」

幸子「お腹空いてるでしょ。」

少女「空いてません、それよりも私早く家に帰らなければいけないので!
両親も心配するし…」

右京「わかりました、それではすぐに…」

幸子「どうしたんですか?」


464 : 1[saga] - 2013/10/05 13:00:55.85 XXiRtKiy0 310/360

右京「いえ、若い女性と二人きりの状況は現職警察官として些か問題になるかと思いまして…
少しお待ち頂けますか、僕の相棒を呼びますので。」

それから数分後、この時間軸のカイトが現れて少女は右京の言われた通りに

少女は自分の自宅だと偽り、江美子という老婆が住む自宅付近まで案内をする。

少女を送り届けた後、右京はその老婆の家で不審な動きがあった事を察知して事件の捜査を開始し、

少女の弟である鷲尾隼人少年を助け出す事になる…


465 : 1[saga] - 2013/10/05 13:04:19.86 XXiRtKiy0 311/360

ここまでです。

説明するとこの家出少女というのは相棒シーズン11、18話に出てくる少女の事です。

ここまでの一連の話がすべてシーズン11の18話の冒頭に繋がります。

それでは近いうちにエピローグを書きたいのでもう暫くお付き合いください。


477 : 1[saga] - 2013/10/06 00:29:53.30 ZoSo9QQQ0 312/360

これからエピローグをageますが事前にひとつだけ注意事項があります。

http://www.youtube.com/watch?v=Myy8g79EUHI

是非ともこちらの曲を聴きながら読んでください。




478 : 1[saga] - 2013/10/06 00:30:20.55 ZoSo9QQQ0 313/360

エピローグ 特命


2008年


~小学校~


特命係の右京と亀山はいつもの如く雑用を押し付けられてしまい小学生たちへの
犯罪撲滅週間のために赴いていた。

右京「小学生のみなさん、今日はピー○ーくんと一緒に学びましょう。」

ピー○ーくん(亀山)『いいかいキミたち、悪い事なんかしちゃダメだぞ!
伊丹っていう人相の悪~い刑事がキミたちの家まで押しかけて逮捕されちゃうからね!』

右京「何かご質問はありますか?」

小学生「ハイ!中の人そんな着ぐるみ着て恥ずかしくないんですか?」

右京「…」

○ーポーくん(亀山)『……中の人なんていないよ…』


479 : 1[saga] - 2013/10/06 00:30:46.39 ZoSo9QQQ0 314/360



………


子供たちへの説明も終わり職員室で休んでいた右京と亀山のところに担任の教師がやってきた。

俊介「先ほどは失礼しました、申し遅れましたが私は担任の小林という者です。
しかしまさか警視庁の刑事さんがお越しくださるとは思ってもみませんでしたよ。
それだけ警察が児童に対して親身だという事ですかね?」

右京「えぇ、そう思ってもらって結構ですよ。」

亀山(本当は内村部長に雑用押し付けられただけなんだけど…)


480 : 1[saga] - 2013/10/06 00:31:24.54 ZoSo9QQQ0 315/360

『………』


俊介「失礼ですが…以前どこかでお会いしませんでしたか?」

右京「いえ、あなたとは初対面のはずですが…」

亀山「何か…初対面って気がしませんね…」

俊介「けど来てくれて本当に助かりましたよ、あんな事件があった後じゃ
児童も不安がりますからね。」

亀山「事件?」

俊介「佐伯って家で殺人未遂の事件があったじゃないですか!
それから麻薬まで出てきて、犯人はその家の旦那でしょう。この近所じゃその話で
持ちきりですよ!」


481 : 1[saga] - 2013/10/06 00:31:51.33 ZoSo9QQQ0 316/360

亀山「あぁ!思い出した!」

右京「僕たちはその事件を担当していなかったので詳細は存じませんが
夫が妻を殺害しようとしたのですよね、ですが駆けつけた警察官に取り押さえられて
それも未遂に終わったとか…」

亀山「その事件俺たちも知らせを受けて駆け付けたのに伊丹たちや角田課長がすぐに現場で
犯人逮捕してましたからね。
結局俺たちはすぐに帰っちゃいましたけど…
そういえば…それから暫く…みんなが俺たちの事をまるで幽霊を見るような変な目で見てましたよね。」

右京「そういえば角田課長も変な事を言ってましたね。
僕たちを見るたびに『ドッペルゲンガー』だとか『一卵性の双子の兄弟はいるのか』と…」



482 : 1[saga] - 2013/10/06 00:32:20.23 ZoSo9QQQ0 317/360

俊介「まぁそんな訳でして…ただ…厄介な問題がありましてね…
その事件を起こした犯人がウチの生徒の親でして…」

亀山「え!けどあの事件って確か…」

右京「その殺害されそうになった奥さんも麻薬常用者であったため、
同じく逮捕されたと聞いています、失礼ですがその生徒さんは…」

俊介「実は私の家で引き取る事にしたんですよ。
…といっても母親が施設から出てくるまでの間なんですけどね。」

亀山「本当ですか!その子の親戚とかどうしたんですか?」

俊介「それが…誰もあの子を引き取ろうとしなくて…」

右京「無理もないでしょうね、逮捕された夫の佐伯剛雄は城南金融で麻薬を流していた
そうですし関わりになりたくないのでしょう。」


483 : 1[saga] - 2013/10/06 00:32:58.37 ZoSo9QQQ0 318/360

亀山「けどイジメとか大丈夫なんですか?」

俊介「大丈夫ですよ!ウチのクラスじゃそういう事はさせませんから!
それに…あの子の母親とはちょっと縁がありましてね…」

右京「縁…と仰いますと?」

俊介「実はあの子の母親である佐伯伽倻子さんとは大学が同期だったらしくて
これも何かの縁だと思いましてね…」

右京「『だったらしく』…ですか、随分と曖昧な表現を使われるのですね。」

俊介「えぇ、お恥ずかしながら大学時代は彼女の存在をまったく知らなかったので…
それに私ももうすぐ親になるので…子供を見捨てたくなかったんですよ。」

亀山「子供ってまさか…」

俊介「ハイ!今度子供が生まれるんですよ!検査したら女の子だって♪
だから親になる人間として困っている子供を絶対に見捨てたくないんですよ!」


484 : 1[saga] - 2013/10/06 00:33:27.06 ZoSo9QQQ0 319/360

帰り道、二人は歩きながら先ほどの俊介が教え子を引き取った話を聞き何か想うところがあった。

亀山「あの先生…立派ですよね、いくら教え子だからって余所の子を引き取ろうとするなんて…」

右京「恐らく子供が生まれる事が彼に一人の人間としての責任を果たさせようとしたのでしょうね。
それこそ打算や同情などではない別の…そうですね…慈しみ…慈愛というモノかもしれません。」

亀山「慈愛か…」

右京「それにしても亀山くん…よく今回の仕事を引き受けましたね。
てっきりキミの事ですから着ぐるみを着た仕事なんて嫌がるものかと思ってましたが…」


485 : 1[saga] - 2013/10/06 00:34:11.10 ZoSo9QQQ0 320/360

亀山「いやぁ…今までの俺ならそうだったかもしれませんが…
なんというか…その上手く説明できないんですけど…子供たちに正義を教えるっていうのに
使命感を感じたっていう気ががして…こんな俺にも何か出来る事があるんじゃないかと思いましてね!」

右京「おやおや、先日サルウィンへ行った時に何か影響を受けたのですか?」

亀山「ハイ!充分影響を受けましたよ!」

右京「そうですか…」

この後、亀山薫はサルウィンへと旅立つ。

それは亡き友人の志を継ぐため…そしてサルウィンの子供たちに本当の正義を教えるために…


486 : 1[saga] - 2013/10/06 00:34:39.29 ZoSo9QQQ0 321/360

2011年


~とある墓地~

その日、右京と神戸は冤罪を被り無念の死を遂げた城戸充の墓参りにやって来ていた。
城戸の墓には彼の母も同行している。

母親「刑事さん、充のために墓参りまで来てくださってありがとうございます。」

神戸「いえ…今の僕にはせめてこれくらいの事しか出来ませんから…」

右京「…」

城戸の母親と別れた右京と神戸はある一組の親子と出会う、その親子とは…


487 : 1[saga] - 2013/10/06 00:35:09.41 ZoSo9QQQ0 322/360

達也「コラ!信之!ちゃんと母さんの墓参りをしないか!」

信之「…」

響子「兄さん、そんなに怒鳴らないの!」

右京「失礼、そちらもお墓参りでしたか。」

達也「あぁ…すみません…お恥ずかしいところを見せてしまって…
実は先日家内を亡くしてしまって、それで息子と妹を連れて墓参りに来たのですが…」

信之「…」

達也「この通り母親が死んで以来口を聞いてくれなくて…」

響子「兄さんがガサツ過ぎるのが悪いのよ、この年齢の子は繊細なんだから!
この前だって一見のお客さんに事故物件を売りつけようとしたりして…」

達也「いや…それはだな…」


488 : 1[saga] - 2013/10/06 00:35:38.13 ZoSo9QQQ0 323/360

神戸「事故物件?するとあなたは不動産屋さんですか?」

達也「えぇ、そうですけど…うん?」

神戸「ど…どうしましたか?」

神戸の顔を凝視する達也、すると彼は何かを思い出したように大声を上げた。



達也「「あぁーーーーーー!?」」



神戸「な…何ですか!?」


489 : 1[saga] - 2013/10/06 00:36:14.55 ZoSo9QQQ0 324/360

達也「確かアンタ3年くらい前に私にあの家を売るなって言った刑事さんじゃないですか!」

神戸「えぇ!?」

右京「神戸くん、キミこの人と面識があったのですか?」

神戸「お言葉ですが…あなたとは会った事が…アレ…待てよ?そういえばどこかで会ったような気が…」

右京「はて?何故でしょうかね、僕もあなたと会ったことがある気がするのですが…」

面識は無いはずなのにそれぞれ見覚えがあるという不可解な三人、まさか想像もつかないだろう。

それが他の時間軸であった出来事だとは…


490 : 1[saga] - 2013/10/06 00:36:56.97 ZoSo9QQQ0 325/360

響子「ちょっと兄さん、そんな事よりも!」

達也「あぁ、すまんすまん…おい信之!いい加減にしなさい!」

信之「…」

達也「まったく、母さんの墓の前でくらいちゃんと手を合わせなさい!」

信之は何故か頑なに母親の墓を見ようとはしなかった、何故なのだろうか…
右京はその事情を聞いてみた。


491 : 1[saga] - 2013/10/06 00:37:24.90 ZoSo9QQQ0 326/360

右京「信之くん、何故お母さまのお墓を直視しないのですか?」

信之「お母さんが死んだって事…信じたくないから…」

達也「お前まだそんな事を…」

神戸「なるほど、母親の死を受け入れられないって事ですか。」

信之「だって人がこんなにあっけなく死ぬなんて…」

神戸「そうさ、人間なんて案外あっさり死んじゃうもんだよ。
残された人間がいくら後悔したって何もならないんだ…」

達也「ちょっと…アンタ何を言って…」

神戸「だからせめて…供養してやる事が残された人間の役割だと俺は思うよ…」

信之「残された人間の役割…」

その言葉を聞いた信之は母親の墓に手を合わせる、それが残された者の役割だと…


492 : 1[saga] - 2013/10/06 00:38:07.75 ZoSo9QQQ0 327/360

神戸「すみません、変な説教染みた事を言っちゃって…」

響子「いえ、そんな事ありませんよ、亡くなった義姉さんもきっと満足してますから。」

右京「おや、その様な事がわかるのですか?」

神戸「ちょっと杉下さん!?すみませんね、この人こんな性格なモノで…」

達也「実はウチの妹には霊能力がありましてね、昔から何でも見えちゃうんですよ!」

右京「おや!それは素晴らしい!それでは僕たちにも何か見えるのでしょうか?」



493 : 1[saga] - 2013/10/06 00:39:02.69 ZoSo9QQQ0 328/360

響子「そうですね、そちらの神戸さんでしたっけ?
あなたの方には…男の人が見えますね、なんだか満足した表情でいますけど…」

神戸「男の人?もしかしてその人って城戸充って名前じゃないですか?」

響子「さぁ、そこまではわからないけど…あなたに『ありがとう』って伝えてくれと
言ってましたよ。」

神戸「『ありがとう』…ですか…まさかお礼を言われるなんて…」

右京「失礼ですが僕には何か見えますか?」


494 : 1[saga] - 2013/10/06 00:39:35.07 ZoSo9QQQ0 329/360

響子「あなたには…初老の男性が見えますね…高そうなスーツを着て…官僚っぽい感じの男性が…」

右京「高そうなスーツを着た官僚の男性…はて?心当たりが無いですねぇ…」

神戸(それ間違いなく官房長じゃ…)

???(幽霊になっても無視とか酷くないかしら…)

右京「おや?今誰か僕に話しかけた気が?」

神戸「それよりもそろそろ仕事に戻りましょう、また内村部長に怒られちゃいますよ!」

右京「そうでしたね、それでは失礼。」


495 : 1[saga] - 2013/10/06 00:40:11.48 ZoSo9QQQ0 330/360

こうして鈴木一家と別れた右京と神戸は帰り道、今の事を話そうとするがその前に
ある夫婦とぶつかってしまう。

「痛っ!」

神戸「すみません!大丈夫ですか?」

良美「あなた大丈夫?ウチの主人がすみません、あら?どこかでお会いしませんでしたか?」

神戸「い…いえ?会った事はありませんね。」


496 : 1[saga] - 2013/10/06 00:40:48.91 ZoSo9QQQ0 331/360

「うぅ…これというのも今朝のコーヒーの豆がブルーマウンテンじゃなかったからだ。
いや…卵の黄身が半熟じゃなかったからかな?とにかく今度から気を付けてくれよ!」

右京「おやおや、随分と注文の多い旦那様ですね。」

神戸「お言葉ですが…そんな無茶な要望ばかりしていると頭をフライパンで殴られちゃいますよ。」


洋、良美「「?」」


右京「それでは失礼します。」

神戸「…」


497 : 1[saga] - 2013/10/06 00:41:26.16 ZoSo9QQQ0 332/360

右京「キミ、何故先ほどあのご主人にフライパンで頭を殴られるなどと言ったのですか?
普通フライパンは殴る物ではありませんよ。」

神戸「お言葉ですが……僕にもよくわからないんです…
ただ…あの奥さんの顔を見たら何故かそう思ってしまって…」

右京「そうですか、それよりもよかったですね。」

神戸「よかったって何がですか?」

右京「城戸充の事ですよ、彼からお礼を言われたのでしょう。」

神戸「そんな…いくら本人からお礼を言われても…僕が犯した罪は一生消える事はありません。
僕はこれからもこの罪を背負って生きていきますよ!」

右京「そうですか、キミの潔癖なまでの正義感は…不器用ですね。」

神戸「お言葉ですが、杉下さんほどではありませんよ。」

そして彼らは墓地を照らす日の光を見上げた、それはまるで天国へ昇る城戸充を見送るようであった。


498 : 1[saga] - 2013/10/06 00:42:03.72 ZoSo9QQQ0 333/360

2013年


ある女子高生の4人組が旧佐伯家に肝試しに入ろうとしていた。

いずみ「ねぇ、やっぱまずいんじゃないの?」

沙織「大丈夫だって、ここの家はもう何年も前から空き家だから!」

千晶「確か5年くらい前にここんちの旦那がクスリやって捕まったんだって!」

綾乃「しかも奥さんを殺そうとしたんだって!これってやばくね?」

いずみ「で…でも…」

沙織「心配ないって、こんな空家入っても誰も文句言わないし!」

いずみという少女以外は既に入る気でいた、だが何故かいずみはこの家に不気味な気配を
感じてしまい入る事に躊躇していた。

そんな時であった。


499 : 1[saga] - 2013/10/06 00:42:44.27 ZoSo9QQQ0 334/360

右京「おやおや、いけませんねぇ、無人とはいえ無許可で侵入するとは。」

カイト「そうそう、法律でも3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられちゃうよ。」

沙織「ちょっと!アンタたち何よ!?」

右京「我々は警察の者です、ここを通りかかったらあなた方がこの家に入ろうとしたのを
見かけたものでして。」

千晶「やばい!警察だよ!」

綾乃「早く逃げよ!」

いずみ「う…うん!」


ダダダッ


カイト「まったく…近頃のガキは逃げ足だけは速いんだから…」


500 : 1[saga] - 2013/10/06 00:43:27.50 ZoSo9QQQ0 335/360

右京「そういう口調は自分が既に子供ではないという風に聞こえますが?」

カイト「そりゃそうでしょ、俺は刑事ですからね!いつまでもガキじゃありませんって!」

右京「大人の刑事なら事件の犯人を相手に喧嘩同然で殴りかかったりしませんよ。」

カイト「ムッ!まぁそれはともかく早く行きますよ。」

右京「そうですね、お待たせるわけにはいきません。」

彼らがここに来た理由、それはある人の誕生パーティーに呼ばれたからだ。


501 : 1[saga] - 2013/10/06 00:43:53.51 ZoSo9QQQ0 336/360

~鷲尾家~


武弘「刑事さんたち、息子の誕生パーティーによく来てくださいました!」

美鈴「本当にあなた方には感謝しきれません!」

右京「いえいえ、僕たちは職務を行ったまでですよ。」

カイト(まさか変な家出少女を送り届けたついでに助けましたなんて口が裂けても言えないよな…)


502 : 1[saga] - 2013/10/06 00:44:22.29 ZoSo9QQQ0 337/360

内村「フンッ!まさかお前たちまで呼ばれていたとはな!」

中園「まったく…暇な窓際部署め!」

カイト「内村部長に中園参事官!?何でここにいるんですか!?」

内村「こちらの鷲尾氏は財務省の官僚だ、こういう機会に仲良くしようと思ってな。」

中園「決して下心があっての事ではないぞ!」

カイト(下心丸見えじゃねーか!?)

右京「そういえば隼人くんはどちらに?」

美鈴「隼人は学校です、そういえば今日は友達を連れて来ると行ってましたね。」

右京「お友達ですか?」


503 : 1[saga] - 2013/10/06 00:44:50.41 ZoSo9QQQ0 338/360

隼人「ただいまお母さん!」

美鈴「あら、お帰りなさい。」

隼人「うん、友達を連れて来たよ。さあ中に入って!」

隼人が連れて来た友達、その友達は…


504 : 1[saga] - 2013/10/06 00:45:47.67 ZoSo9QQQ0 339/360

俊雄「おばさん、お邪魔します。」

義妹「こんにちは。」

美鈴「あら!俊雄くんに義妹ちゃんも、いらっしゃい!どうぞ上がって♪」

右京「おや、小さなお嬢さんまで一緒ですか。」

俊雄「妹です、といっても義理の…ですけど。」

義妹「はじめまして!」

俊雄「ところで…僕…お二人とどこかでお会いした事がある気がするんですけど…」

右京「さて?僕は初対面だと思いますが…」

カイト「俺も…キミとは会った事ないな、けどなんだろ…初めて会った気はしないな。」

右京「同感です、確かに前にも会った事があるような気がするのですが…
不思議なものですねぇ…」


505 : 1[saga] - 2013/10/06 00:46:17.83 ZoSo9QQQ0 340/360

内村「おいお前たち!何をしている!」

中園「さっさとテーブルに付かないとパーティーが始まらんだろ!」

カイト「おっと、いけねえ!」

そして全員が席について隼人少年の誕生パーティーが行われた。
本来なら既に隼人少年の誕生日は過ぎているが両親はどうしても誕生日を祝いたといい、
それなら事件を解決してくれた右京たちも呼んで改めて執り行われたのだ。

武弘「隼人!12歳の誕生日おめでとう!」

美鈴「本当に喜ばしい日だわ!」


506 : 1[saga] - 2013/10/06 00:46:45.29 ZoSo9QQQ0 341/360

隼人「ありがとう、お父さん!お母さん!それとこれ…お母さんにプレゼントなんだけど…」

美鈴「何かしらコレ?ヨーグルト?」

隼人「いや…手作りのハンドクリームだよ、警察の人に押収されちゃったけど
杉下さんに頼んで返してもらったんだ。」

美鈴「まぁ!ありがとう!けど…随分と量が減ってるわね?」

右京「鑑識で調べるために中身を少し拝借しましたからね、その所為でしょう。」

カイト(俺が食べたからだなんて絶対に言えない…)


507 : 1[saga] - 2013/10/06 00:47:13.00 ZoSo9QQQ0 342/360

右京「ところで俊雄くんと隼人くん、お友達だそうですが俊雄くんの方は中学生ですね。
普通キミたちくらいの年齢なら同世代の人間を友達にすると思うのですが…」

俊雄「それは…」

武弘「俊雄くんは昔この辺りに住んでて、その時にウチの子とよく遊んでくれてそれで
知り合ったんですよ。」

右京「なるほど、そういう事でしたか。」

カイト「でも待てよ、この辺りで引っ越したなんてさっきの空き家くらいじゃ…」

内村「空き家といえばあの家で確か以前にも事件があったな。」

中園「そういえばありましたな、事件が早急に解決したため捜査本部も作らずに終わりましたが…
確かあの事件は夫が妻を殺害しようとしたとか…それにその夫は麻薬も所持してたと…」


508 : 1[saga] - 2013/10/06 00:47:44.04 ZoSo9QQQ0 343/360

俊雄「ハイ…僕はそこの家の子供です。」

内村「まったく子供がいるのに麻薬に手を出すとは!」

中園「親の風上にも置けませんな!」

カイト(子供の誕生パーティー利用して官僚に胡麻擦りしてるアンタらも刑事の風上にも置けねえよ…)

右京「これはせっかくの場で失礼しました、その様な経緯があったとは知らなかったもので…」

俊雄「いえ、いいんです。親がやった事は事実ですし…僕も危うく殺されそうでしたから。
あの時刑事さんたちが乗り込んでこなかったら僕はきっと…死んでいたかもしれませんし…
それにあの後周りの人たちが本当によくしてくれて!」

右京「そうですか、それはなによりです。」

カイト「まあ子供なんていざとなれば親がいなくたって生きていけるもんですよ!」


509 : 1[saga] - 2013/10/06 00:48:11.25 ZoSo9QQQ0 344/360

右京「キミが言うと妙に説得力ありますね、おや?」

カイト「どうしたんですか?」

右京はテーブルにある写真立てが飾られている事に気付く、その写真立てに写っていた
人物に右京とカイトは間違いなく見覚えがあった。

カイト「この写真ってあの子ですよね!」

右京「えぇ、間違いありません!僕たちの前に現れた家出少女ですよ!」


510 : 1[saga] - 2013/10/06 00:48:51.75 ZoSo9QQQ0 345/360

中園「写真立てといえば今度歴代刑事部長の写真立てを制作する予定でしたよね!」

内村「うむ!そうだ、私を中心に歴代刑事部長の写真立てをズラッと…」


フッ


内村「!?何だ…今のは!妙に背筋が凍るようなこの感覚は…」

中園「どうかなさいましたか部長?それで写真立ての方は如何なさいますか?」

内村「やはりやめておこう…国民の血税をそんな無駄な事に使っちゃいかんよキミ!」

中園「ハァ…」


511 : 1[saga] - 2013/10/06 00:49:22.56 ZoSo9QQQ0 346/360

カイト「それで…話が脱線しましたけど何であの家出少女の写真が飾られているんですかね?」

右京「失礼ですが、こちらには隼人くん以外にもう一人お子さんがいらっしゃるのではないですか?」

武弘「えぇ、実は娘がいたんですよ。」

美鈴「けど…その子は先天性の病気で…思えば何もしてやれなかったわ…」

俊雄「近所のお姉さんで…僕もよく遊んでもらいました。」

右京「なるほど、そういう事でしたか。」

隼人「どういう事ですか?」


512 : 1[saga] - 2013/10/06 00:50:20.38 ZoSo9QQQ0 347/360

右京「実は僕たちが隼人くんの危険を察知出来たのはこのお姉さんのおかげなのですよ。
きっとお姉さんはあの世でキミの危機を知って僕たちにその事を伝えに来たのでしょう。
恐らくこれはご両親の祈りが神に通じた、これこそまさに奇跡と言えるでしょうね。」

武弘「そんな事が…」

美鈴「ありがとう…本当に…ありがとう!」

隼人「お姉ちゃん…」

鷲尾親子は天国にいるであろう家出少女に感謝と…そして祝福を祈った。
この奇跡に感謝すると共に今度こそ安らかに眠ってほしいという祈りを込めて…


513 : 1[saga] - 2013/10/06 00:50:48.89 ZoSo9QQQ0 348/360

そして隼人少年の誕生パーティーも終わり、右京とカイトは俊雄とその義妹を家まで
送り届けるその道中の事であった。

右京「一つ気になる事があります。」

カイト「ハァ?一体何が気になるんですか?」



514 : 1[saga] - 2013/10/06 00:51:31.73 ZoSo9QQQ0 349/360

右京「何故あの家出少女は僕たちを選んだのでしょうか?
警察官なら都内だけでも4万人近くいます、それだけの警察官の中で何故あの少女と
面識も無い僕たちであったのか疑問に思いませんか?」

カイト「いや…そういうところはファンタジーだと思ってくださいよ。」

右京「まだ疑問はあります、あの少女は花の里で待っていたのです!
普通なら困り事があれば最寄りの交番なり所轄に駆け込めばいい、なのに少女に場違いな
飲み屋にあの少女は居た!
つまりあの少女は最初から知っていたのですよ、あの店に警察官である僕たちが立ち寄る事を!」

カイト「つまり何が言いたんですか?」


515 : 1[saga] - 2013/10/06 00:53:30.78 ZoSo9QQQ0 350/360

カイト「つまり何が言いたんですか?」

右京「僕が言いたいのはあの少女に僕たちの事を教えた存在…恐らく僕たちの事を
知っている幽霊かもしくはそれと同等の存在がいるという事ですよ!
しかし残念ながら僕にはそのような知り合いは見当も付かなくて…
カイトくんは誰か心当たりがありますか?」

カイト「杉下さんって…なんというかその…夢が無いですよね…
遊園地のマスコットキャラとか見たら絶対に中の人がどうなっているのか気になるタイプでしょ。」

右京「はぃ?」

まさか夢にも思わないだろう、その人物こそが別の時間軸からやってきた自分たち自身だとは…

結局さすがの右京の推理力もそこまでの考えには至らなかった。


516 : 1[saga] - 2013/10/06 00:54:00.59 ZoSo9QQQ0 351/360

そんな時だった、前方から歩いてくる人物がこちらに手を振ってきた。
その人物に俊雄や義妹も同じく手を振った。

俊雄「お義父さん!」

義妹「パパ!」

俊介「二人とも、ちゃんといい子にしてたかい?」

右京「おや!あなたは…確か以前小学校でお会いした…」

俊介「あの時の刑事さんじゃないですか、その節はどうもお世話になりました!」

右京「そうでしたか、それでは俊雄くんを引き取られたのはあなただったのですね。」

俊介「えぇ!」


517 : 1[saga] - 2013/10/06 00:54:34.81 ZoSo9QQQ0 352/360

俊雄「ところでお義父さん、どうしてわざわざこんなところまで迎えに来たの?」

俊介「実は大事な話があってな、お前の母さんである伽椰子さんが近々施設から出てくるそうなんだ。
それで話というのは…」

俊雄「僕…もう母さんとは…会いたくない…」

俊介「俊雄!」

カイト「俊雄くんのお母さんって…確か…」

右京「えぇ、夫と一緒に麻薬を常用してた母親ですね。」

カイト「無理も無いな、子供をそっちのけで麻薬に溺れてた母親じゃ会いたくもないだろうし…」



518 : 1[saga] - 2013/10/06 00:55:14.01 ZoSo9QQQ0 353/360

右京「そうですねぇ、確かに俊雄くんに母親を許せと言うのは酷な話です…しかし…」

俊雄「…」

右京「俊雄くん、お母さんと一度だけ会ってあげてください。」

俊雄「で…でも…」

右京「まず会って、それから話をしてみてください。
キミがお母さんを許せないという気持ちはわかります、しかしそれにはまずお母さんが
どういう人間なのか…施設に入りどう変わったのか…キミは知るべきだと僕は思いますよ。」

俊雄「…」

俊雄は暫く黙った後こう答えた。

俊雄「僕…お母さんに会ってみるよ。」

俊介「そうか…俊雄!わかったよ!」


519 : 1[saga] - 2013/10/06 00:55:46.70 ZoSo9QQQ0 354/360

それから俊雄たちと別れた右京とカイトは警視庁への帰り道、旧佐伯家の近所にある
老人養護センターである親子の光景を目にしていた。

勝也「母さん、ここでの生活はどうだい?」

幸枝「快適だよ、家の中で寝たきりよりもずっとマシさ。」

和美「もう…お義母さんたら自分でここに入る事さっさと決めるんだから!」

幸枝「アンタたちは早く孫の顔でも見せて私を落ち着かせてくれりゃいいんだよ。」

仁美「お母さん!和美さんだって心配して言ってくれてるんだからね!」

理佳「あの…幸枝さん、外はそろそろ寒くなるから部屋の中に帰りましょう。」

理佳はある老人を車椅子に乗せながらやってきた、その老人とは…


520 : 1[saga] - 2013/10/06 00:56:15.56 ZoSo9QQQ0 355/360

吉川「幸枝さん、アンタはまったく…せっかく子供さんが来てくれたのに
そんな蔑にして!それじゃ碌な死に方をしないぞ!」

幸枝「余計なお世話さ、私はもう病室へ戻るよ。」

理佳「フフ、皆さん仲が良いんですから。」


そんな普通の家族たちの光景がそこにあった。


521 : 1[saga] - 2013/10/06 00:57:02.66 ZoSo9QQQ0 356/360

カイト「いいですね、俺も子供に囲まれたあんな老後を迎えたいや。」

右京「まだ若いのに随分と先の事を仰いますね。」

カイト「ハハ…」

右京「ところで今日の事で思ったのですが…いえ…今日の事だけでなく実は…
数年前から僕は何か奇妙な違和感を感じるのですよ。」

カイト「奇妙な違和感?それってどういう意味なんですか?」

右京「その正体がわからないのですよ、思い出そうとするとまるで
その事を思い出してはいけないと思ってしまい思い出せなくなる…奇妙だと思いませんか?」

カイト「よくわかんないけど確かに…」

右京「まるで記憶の中に鍵が掛かっている…そんな感じがするのですよ…」


522 : 1[saga] - 2013/10/06 00:57:51.10 ZoSo9QQQ0 357/360

カイト「その話…なんとなくわかる気がします。
俺も最近何か違和感を感じるんですけど…その正体がわからなくて…
けど心のどこかで何故かその事を思い出しちゃいけないって…感じて…」

右京「まるでパンドラの箱ですね、神に託された箱をパンドラという女が開けてしまい
中からこの世の災厄が解き放たれてしまった伝承かもしれません。」

カイト「けどパンドラの箱って最後は希望が残っているんじゃないですか?」

右京「希望ですか、そうですね…希望が…この世界に溢れてくれるといいのですが…」

カイト「ありますよ!この世には希望なんてそこら中にあるんですからね!」

そんなカイトの言葉通りなのかかつての佐伯家に太陽の光が差そうとしていた。

その光景はまるでかつての不気味な雰囲気とは違い、元の人が生きる場を取り戻しつつある…

そんな生気溢れる場所であるかのように…






523 : 1[saga] - 2013/10/06 00:59:07.99 ZoSo9QQQ0 358/360

以上、これで終わります。

長々とお付き合い頂きありがとうございます。

あと時系列がわからない方々のために年表作りますんで…


525 : 1[saga] - 2013/10/06 01:29:12.62 ZoSo9QQQ0 359/360

とりあえず時系列をまとめてみました、こちらが修正前の時間軸です

相棒シーズン8

2008年

1.小林真奈美とその胎児の死体を発見

2.右京たちが佐伯家に立ち寄り伽椰子の日記を入手

3.捜査を進めていくうちに俊雄の出生やその事情を知る。

4.右京たち佐伯宅に強制捜査、犯人を暴く。

※この時亀山のみ別の時間軸へ移動

5.逮捕された佐伯剛雄は警視庁の独房で死亡

6.亀山サルウィンへ旅立つ

劇場版相棒Ⅱ

2010年

亀山の予言通り小野田官房長死亡

相棒シーズン10

2011年

1.右京、神戸、瀬戸内が小野田官房長の墓参りに赴く

2.内村部長により鈴木信之の更生を命じられる

3.鈴木宅に行くと鈴木響子発狂

4.鈴木達也から事情を聞き、旧佐伯家に住む北田夫妻を訪ねる

※この時神戸は良美にフライパンで殴られた直後、過去の世界に移動
なおそれまでの事前の行動を過去の世界から帰還したもうひとりの神戸が
目撃している

5.鈴木達也の実家に赴くが響子と信之以外は死亡or行方不明で事件は幕を閉じる

6.大河内は神戸に城戸充の死を知らせる

7.その後、長谷川元副総監の陰謀により神戸は特命係を去る事になる

相棒ⅹDAY

〇伊丹はサイバー犯罪対策課の岩月と仲良くなる


相棒シーズン11

2013年

1.カイトは恋人の悦子に友人である理佳の捜索を依頼される

2.カイトは右京と一緒に旧佐伯家に赴くがそこで徳永家全員の死体を発見

3.事件現場に居た理佳、それと徳永家の唯一の生き残りである仁美に事情聴取する

4.呪怨の家に赴いた所為で警視庁に伽椰子の呪いをばら撒かれ警視庁は全滅

5.警視庁どころか都内全体に伽椰子の呪いが散らばり街に生者はいなくなる

6.旧佐伯家に急行した右京たちはそこで伽椰子の核心に迫る

※過去の世界から亀山と神戸が合流、ついに俊雄が姿を現す



526 : 1[saga] - 2013/10/06 01:55:37.22 ZoSo9QQQ0 360/360

こちらが修正された時間軸での出来事です

相棒シーズン8

2008年

1.剛雄は伽椰子が小林俊介を愛している事と自身が精子欠乏症である事に気づき伽椰子を
殺そうとする

2.そこへ過去からやって来た右京たちが剛雄の犯行を止めにやってくる

3.事件を解決するがその際伊丹たちの前で過去の自分たちと鉢合わせしそうになり現場が混乱する

4.亡者である俊雄の霊が成仏してそれぞれが元の世界に還って行く

5.事件が終わり右京と亀山は小学校で子供たちに犯罪撲滅週間に小学校に赴く

6.担任である小林俊介から事件のその後を聞く

7.亀山は友野志を継ぎ、そして現地の子供たちに正義を教えるためにサルウィンへ旅立つ

劇場版相棒Ⅱ

2010年

小野田官房長死亡(こちらの世界では亀山は小野田官房長の死を予言していない)

相棒シーズン10

2011年

1.城戸充の事件を解決した右京と神戸は城戸充の墓参りに赴く

2.その帰り道鈴木親子と北田夫妻と遭遇、彼らから城戸充が感謝を述べていたと告げられる

3.城戸充の霊から感謝をされたとしてもそれでも一生その罪と向き合うと決めた神戸

4.その後、長谷川元副総監の陰謀により神戸は特命係を去る事になる(結局これは変わらない)


相棒ⅹDAY

〇伊丹はサイバー犯罪対策課の岩月と仲良くなる

相棒シーズン11

2013年

1.右京、カイト、陣川、の三人は過去から帰還

2.同時刻、2年前強盗殺人容疑で指名手配されている大場三郎が、
鷲尾隼人と老婆である江美子を山中に埋めようとする

3.そんな隼人の危機を知った家出少女だが幽霊であるため何も出来なかった
そんな時旧佐伯家に右京たち特命係がやってくる

4.家出少女と共に家に入った右京たちはそこで事件の真相を知る

5.伽椰子の正体が暴かれ、危うく伽椰子に殺されそうになるが時間軸の修正作用で
伽椰子の撃退に成功

6.家出少女は右京の助言を聞き、花の里へ急行
ちなみに右京たちも伽椰子同様にその存在が消滅する

7.修正後の時間軸での右京が隼人の救出に成功、無事一命を取り留める

8.改めて隼人の誕生日パーティーが執り行われる
そのパーティーに俊雄と小林俊介の一子も参加し彼らの近況を聞く

7.帰り道徳永夫妻と理佳の近況を知る、世界が無事平和になった事を確認する

相棒シーズン12

2013年10月16日8時より放送開始初回2時間SP!!

以上です


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