関連記事
第1話  第2話

176 : 1[saga] - 2013/09/23 19:46:59.03 nIe1z0+F0 99/360

第3話 伽椰子と俊雄


2013年3月


その日、右京の指名により新しく特命係に配属された甲斐亨は恋人の悦子から
ある相談事を受けていた。

カイト「介護士の友達と連絡が付かない?」

悦子「そうなのよ!その子仁科理佳っていうんだけど仕事先に連絡したらもう三日も
無断欠勤しててこっちが行方を知りたいくらいだって言われて…」

カイト「わかったよ、それじゃ俺もちょっと探してみるから!」

悦子「お願いね、私仕事あるから行けなくてゴメン!」


177 : 1[saga] - 2013/09/23 19:47:52.18 nIe1z0+F0 100/360

~特命係~


カイト「…という訳でこれから悦子の友達を探しに行きますんで。」

右京「悦子さんの友達ですか、どういう状況で行方不明になったのか詳細は聞きましたか?」

カイト「なんでもその介護士の友達はホームヘルパーやっているそうで、
仕事先の同僚が言うにはその家に行った直後に連絡が付かなくなったとか…」

右京「なるほど、恐らくその訪問先の家で何かあった可能性が高いですね。
そのお宅とは連絡をしたのですか?」

カイト「それが…彼女の職場の人が訪問先に連絡してみたんですけどその家の人が
言うには『何も知らない』の一点張りで…」

右京「気になりますね、僕も一緒に行きます。
とりあえずその御友人の訪問先に行ってみましょう、その訪問先はわかりますか?」

カイト「確か仁科さんの訪問先が徳永さんという家で住所が東京都練馬区寿町4-8-5です。」

右京「東京都練馬区寿町4-8-5…カイトくん、急ぎますよ!」

カイト「ちょ…杉下さん!いきなりどうしたんですか?」

右京はもしやと思いカイトを連れその住所にやって来た、そこは…


178 : 1[saga] - 2013/09/23 19:48:34.48 nIe1z0+F0 101/360

~旧佐伯家~


右京「やはりこの家でしたか…」

カイト「杉下さんから聞いたけどまさか仁科さんの訪問先が…あの旧佐伯家だなんて…」

右京「それで仁科さんは本当にこちらでホームヘルパーをしていたのですか?」

カイト「え~と表札にも徳永って書いてあるからたぶんそうですね。
ごめんくださ~い、警察です、誰かいませんか?」


『………』


返答は無かった、留守かと思いカイトは諦めて帰ろうと促すが右京は構わずドアノブを回してみた。


ギィー


するとどうだろうか、鍵が掛かっているかと思ったドアは開き右京とカイトは家の中に入った。


180 : 1[saga] - 2013/09/23 19:49:27.10 nIe1z0+F0 102/360

カイト「ちょっと杉下さん!いくらなんでもダメですよ!
他人の家に無断で入ろうとするなんて!!」

右京「嫌なら結構、キミは帰ってもいいですよ。」

カイト「…ったく、それにしても気味の悪い家だな、しかもこの荒れ様は一体…」

カイトが指摘するように家の中は何故かゴミが散乱していた。
右京とカイトは一1階の部屋に人気を感じ行ってみるとそこには布団が敷いてあり誰かが寝ているようだった。

カイト「なんだ、人がいたんだ。お婆ちゃん起きてください!お婆ちゃん?」

右京「カイトくん…無駄です、既に死んでいます。」

カイト「死んでるって…何だこの顔!?」

そう、部屋にいた老婆の死に顔は恐怖に引きつった顔をしていた。
しかし誰かと争った形跡は無く

カイト「これってつまり病死なんですかね?」

右京「…さぁ、検死しないとなんともわかりませんが目立った外傷はありませんね。」


カイト「とにかく俺本部に連絡を…うん?…ギャァァァァァ!?」


右京「どうしましたか!」


181 : 1[saga] - 2013/09/23 19:49:53.80 nIe1z0+F0 103/360

カイト「へ…部屋の隅で何か動いたような…あれ?よく見ると…この人は…」

この部屋にいたもう一人の人物、それはカイトが悦子に頼まれて探しに来た仁科理佳であった。

右京「あなたが仁科理佳さんですね!この部屋で…いえ…この家で何があったのですか!?」

理佳「…」

理佳からこの状況を聞き出そうと彼女は放心状態でまともに喋れなかった。
仕方なく彼女を近隣の病院に運び右京とカイトは警視庁本部にこの事を連絡した。


182 : 1[saga] - 2013/09/23 19:51:07.53 nIe1z0+F0 104/360

それから1時間後、通報を受け駆けつけた伊丹たち捜査一課が現場検証を行っていた。

伊丹「ここが現場か…待てよ?確かここって…」

芹沢「以前旦那が奥さん殺した家ですよ、それで子供も未だに見つかってないとか…」

三浦「その後もこの家の入居者は立て続けに行方不明になってるっていう曰く付きの家だ。」

伊丹「まったく…よくもまあこんな家に住みたがるモンだ、それで仏の身元は?」

芹沢「徳永幸枝、この家の住人です。ただ数年前から高齢の所為で痴呆症が酷いようで
週に何度かホームヘルパーが訪問しに来る事になってるそうですよ。」

三浦「それで仏の状態は?」

米沢「心臓麻痺ですな、まあ仏さんも高齢でしたし死因は大して問題ではないのですが…」

芹沢「どうかしたんですか?」

米沢「…仏さんの死に顔ですな、何を見たらあんな顔になるのやら…おっと失敬。
これはただの私の私見ですので…」

伊丹「それで同じくこの部屋に居たっていうホームヘルパーは?」

三浦「現在病院で見てもらっている、医者の話だと軽いショック状態に陥っていて暫く
話は聞けそうにないぞ。」


183 : 1[saga] - 2013/09/23 19:51:40.66 nIe1z0+F0 105/360

伊丹「…つまりこういう事か、被害者の婆さんがショック死しちまって
それにショックを受けたホームヘルパーがそのまま放心状態になってたという訳か?」

米沢「ショック死でショック状態…お後がよろしいようで…すみません、不謹慎でしたな。」

芹沢「けどひとつ問題があるんですよ、どうも被害者はこの家で息子夫婦と同居しているんですが
その息子夫婦の徳永勝也さんと妻の和美さんに現在連絡が取れないんですよ。」

伊丹「なんだと?」


184 : 1[saga] - 2013/09/23 19:52:11.73 nIe1z0+F0 106/360

右京「…となると息子さん夫婦の身にも何か起きているかもしれませんね。」

カイト「いや…いくらなんでもそれは飛躍し過ぎじゃ…」

伊丹「また出たよ…相変わらず神出鬼没ですなぁ警部殿!」

芹沢「あ、今回二人が第一発見者なんで…」

三浦「まったくお宅らの行くところ死体の山じゃないんですか?」

右京「皮肉は結構、ところで芹沢さん。
息子の勝也さんの携帯番号がわかるなら家の中に掛けてもらえますか。」


185 : 1[saga] - 2013/09/23 19:52:44.58 nIe1z0+F0 107/360

芹沢「家の中で…ですか?わかりました、掛けますよ。」



トゥルルルルル  トゥルルルルル



右京の指示通り芹沢は家の中で電話を掛けてみた、するとどうだろうか。
何処からかコール音が鳴り響いた、その音の鳴る方へ向かうとそこは2階の屋根裏であった。
しかしこの屋根裏に続く押し入れは何故かガムテープで周りを巻かれていて、
誰も近づけさせないようにしている感じであった。



186 : 1[saga] - 2013/09/23 19:53:16.81 nIe1z0+F0 108/360

右京「屋根裏を覗いてみましょう、僕の予想が正しければ恐らく…」

伊丹「ちょっと警部!我々を差し置いて何をやって…うわぁぁぁっ!?」

カイト「伊丹さんどうしたんですか?…なっ!?」

芹沢「ちょっとちょっとみんなどうしたんですか?俺にも見せて…あ…あぁ…
し…死体だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

彼らが2階の屋根裏で発見したのはコール音の鳴る携帯を持った男とその隣に寄り添う
女の死体であった。

後に身元確認を行ったところこの家に住む徳永勝也と妻の和美である事が判明した。
捜査一課は事件性があると判断、さっそく捜査を行うが…


187 : 1[saga] - 2013/09/23 19:53:44.83 nIe1z0+F0 109/360

伊丹「とりあえず怨恨の線から調べる、旦那の職場に行くぞ!」

芹沢「ちょっとちょっと…待ってください先輩!」

三浦「それじゃ我々はこれで失礼しますので。」

伊丹たち捜査一課はまず怨恨から調べる事になり事件現場を後にする。
残った右京とカイトは現場を捜索するが…

右京「つまり彼らが亡くなったのは三日前という訳ですか?」

米沢「えぇ、間違いありませんな。
屋根裏で見つかった息子夫婦の死体は検死の結果からして死後四日以上は経過していると思います。」


188 : 1[saga] - 2013/09/23 19:55:29.08 nIe1z0+F0 110/360

カイト「ちょっと待ってください、それっておかしくないですか?」

右京「そうですね、息子さん夫婦が既に四日以上前に死亡しているとなると、
仁科さんの職場の方がこの家に連絡した時一体誰が電話に出たのかという事になるわけですが…」

カイト「つまりその時代わりで出た誰かが犯人である可能性が高いって事ですね。
けど問題はそれが誰かって事なんですけど…」

米沢「ちなみにこの家の固定電話に留守番メッセージが入っていました。
これがその内容です。」


カチッ


―『もしもーし!仁美です、誰かいませんか?もしもーし、和美さんいませんか?
母さんの具合どうなんでしょうか?心配しているのでとりあえず一度連絡をください。』


米沢「メッセージは以上です、ちなみにこのメッセージは三日前に入れられてます。」

カイト「この仁美さんっていうのは誰なんですかね?」

右京「先ほど発見された徳永勝也さんの妹さんの事でしょうね、彼女はどうやら
他の家で暮らしているようですよ。」

カイト「なるほど、妹さんからか。けど何でそんな事わかるんですか?」


189 : 1[saga] - 2013/09/23 19:57:13.28 nIe1z0+F0 111/360

右京「実は亡くなった勝也さんの携帯を調べたのですが…おやおやこれは…
日時を見ると仁美さんは家の固定電話に掛けた直後に勝也さんの携帯にも掛けて
いるようですね。」

カイト「それがどうかしたんですか?」

右京「三日前といえば平日です、休日でもない日に二度も掛け直すというのは
ひょっとしたらこの妹さんは恐らく以前からこの家で何らかの事態が起きる事を予感して
いたのではないでしょうかね。」

カイト「けどそれなら三日以降も頻繁に掛かるはずじゃないんですかね?
三日前を最後に妹さんの電話は携帯も固定電話の方にも全然ありませんよ。
これっておかしいですよね…あれ?何だこれ?」

右京「どうしましたか?」

カイト「いや…写真を見つけたんですけど…何だこれボロボロだな…けどこれって…
親子の写真…」


190 : 1[saga] - 2013/09/23 19:58:17.60 nIe1z0+F0 112/360

カイトが見つけた写真は所々ボロボロで、特に母親の顔は穴が開いていて
判別する事すら出来なかった。
カイトはその写真を右京に見せてみるが右京はその写真に写っている男に見覚えがあった。

右京「これは…佐伯剛雄!?」

カイト「まさかそれって…」

右京「えぇ、5年前この家で事件を起こした男とその家族の写真ですよ!」

カイト「何でこんな物が…」


191 : 1[saga] - 2013/09/23 19:59:51.94 nIe1z0+F0 113/360

警官「あ、本庁の方々よろしいですか。実は先ほど病院から連絡があって
仁科理佳さんの意識が戻ったそうなんですけど…」

カイト「本当ですか!けど伊丹さんたちいなくなっちゃったしな…」

右京「彼らも忙しい身ですからね、仕方ないので我々がお手伝いしておきましょうか。」

カイト「うわぁ…また伊丹さんや内村部長に怒られそう…」

こうして右京とカイトは伊丹たち捜査一課に代わり仁科理佳の事情聴取を行うために病院に向かった。


194 : 1[saga] - 2013/09/23 20:36:19.43 nIe1z0+F0 114/360

~病院~


病室では既に意識を取り戻した理佳と駆けつけた悦子がいた。

右京「仁科理佳さんですね、もうお身体は大丈夫ですか?」

理佳「ハイ、おかげさまで…」

悦子「亨から連絡もらってすぐに病院に来たけど理佳…あれからすぐに意識が
回復して良かったわ。」

カイト「悦子…仕事大丈夫なの?」

悦子「親友が大変な時に呑気に仕事してられないでしょ!」


195 : 1[saga] - 2013/09/23 20:36:46.92 nIe1z0+F0 115/360

右京「さっそくですがお話聞かせてもらえますか?」

理佳「ハイ…わかりました。
三日前、私はホームヘルパーとして徳永さんの家に派遣されました。
そこは何故かゴミが散らかって荒れ放題で…鍵が掛かってなかったので家の中に入ったんですけど
そしたら…幸枝さんが倒れていて…その時はまだ生きていたんです。
それから私は幸枝さんの介護をしたり散らかった部屋を片付けたりして、2階の部屋も掃除
しようとしたら…
変な鳴き声が聞こえてきたんです!」

右京「その鳴き声とは?」

理佳「猫の鳴き声でした、『ミャー』って声が聞こえて…それで2階の部屋の押し入れを開けたら
黒い猫を見つけて…私…その猫を抱こうとしたんです…そしたら…そしたら…」

カイト「何があったんですか?」


196 : 1[saga] - 2013/09/23 20:37:26.42 nIe1z0+F0 116/360



理佳「その猫の居た場所に急に男の子が現れたんです!
私ビックリして…センターからもそんな連絡を受けてなかったものだから…
それでその子の名前が確か…」


右京「俊雄…その少年はそう名乗ってませんでしたか?」

理佳「そうです!そんな名前の年齢が小学生くらいの男の子です!
けどその後…幸枝さんが急にブツブツ独り言を始めて…アレ?なんでだろ…
その後の事が全然思い出せない…確か大事な事があったはずなのに…」

右京「どうかご無理をなさらないでください、とても参考になるお話でした。」

カイト「けど杉下さん、よく子供の名前がわかりましたね。
ていうか…あれ?あの家に子供なんかいないはずじゃ…」

理佳「そんな…確かに私はあの家で子供を見ました!」

カイト「けど徳永さんの家は全部で三人家族ですよ、幸枝さんに勝也さんに和美さん…
子供なんかいませんけど?」

理佳「それじゃ私が見た子供は…」


197 : 1[saga] - 2013/09/23 20:39:08.97 nIe1z0+F0 117/360

右京「あなたが見た子供というのはこの少年の事ではありませんか?」

右京は先ほど事件現場でカイトが発見したボロボロの写真を理佳に見せた。
理佳は自分が見た少年は確かにこの少年だと答えた、だが…

右京「それはあり得ません。」

理佳「な…何故ですか?」

右京「この写真に写っている少年の名前は佐伯俊雄、5年前父親である佐伯剛雄が起こした
殺人事件以来行方不明になっています。
それにこの写真が撮られたのも5年前、既に5年も月日が流れているのに俊雄くんが
成長せずにこの姿のままというのは少々辻褄が合わないと思いませんか。」


198 : 1[saga] - 2013/09/23 20:39:47.42 nIe1z0+F0 118/360

理佳「じゃあ私が見たのって…イヤァァァァァァ!?」

悦子「理佳!落ち着いて!?」

カイト「ちょっと杉下さん!何驚かしているんですか!!?」

右京「すみませんねぇ、どうも僕はこう言った配慮に欠けてしまいがちで…」

カイト「本当デリカシー無いんだから…
けど今の話が本当なら佐伯俊雄くんは生きていたって事になるんじゃ?」

右京「それはどうでしょうかね、ところでここは悦子さんにお任せして僕らは他を当りましょう。」

カイト「他って誰を当たる気ですか?」

右京「勿論、徳永家のもう一人の家族である徳永仁美さんですよ。
少々気になる事もありましてね、それと仁科さん。何か思い出した事があったらすぐに
我々に連絡ください。」

理佳「ハ…ハイ…」

こうして心身衰弱気味な理佳を悦子に託し右京とカイトは徳永仁美の住むマンションへと向かった。


199 : 1[saga] - 2013/09/23 21:43:04.76 nIe1z0+F0 119/360

~仁美のマンション~


さっそく仁美の部屋を訪ねてみたが何故か彼女は来客者が来たというのにシーツに顔を包み
窓には新聞紙を敷いてまるで何かに見つからないようにしているようであった。

カイト「あの…徳永仁美さんですよね?」

仁美「そうですけど…どちらさまですか?」

右京「警察の者です、少しお話があるのですがよろしいですか?」

仁美「ハ…ハイ。」


200 : 1[saga] - 2013/09/23 21:43:32.16 nIe1z0+F0 120/360

カイト「ところで部屋の中真っ暗ですけど窓開けなくて大丈夫ですか?」

カイトは昼間だというのに薄暗い部屋を明るくしようと窓を開けようとしたその時だった。



仁美「「やめてぇぇぇぇぇ!絶対に窓を開けないで!あいつが…あいつが来る!?」」



突然仁美が血相を変えてカイトの行動を妨げた、これにはさすがに驚く右京とカイトであったが
平静を取り戻した仁美に再度尋ねてみた。

カイト「あ…あいつ?」

仁美「あいつが…あいつが…」

カイト「あの…会社の方に問い合わせたらもう三日近く無断欠勤してると聞いたんですけど…」

仁美「そ…そんな事より…お話って何ですか?」


201 : 1[saga] - 2013/09/23 21:44:16.28 nIe1z0+F0 121/360

右京「実はあなたのお母さんと兄夫婦が亡くなられました。
電話の最後の着信があなたの番号でしたので何かご存じなことがあればお伺いしたいのですが…」

仁美「…」

仁美は暫く沈黙をした後何かに怯えながら話を始める、それは今から5日前の話であった。

仁美「四日前の事でした、私はいつものように兄の家に行ったら…
和美さんはいなくてお母さんだけしか見当たらなくて…それで私はお夕飯を作ってたら…
お兄ちゃんが現れて…和美さんはどうしたのか聞いたら買い物に行っただとか…
都合が悪いとか言って…それから突然変な事をブツブツ言い始めたんです…」

右京「一体何を言っていたのかわかりますか?」


202 : 1[saga] - 2013/09/23 21:45:12.91 nIe1z0+F0 122/360

仁美「確か…『俺はあの女に騙されていた』とか『俺の子じゃない』とか…
それで私はすぐに追い出されてしまったんです…
その事が気になった私は翌日家に電話してみたんです、けど誰も出なくて…
次に兄の携帯にも掛けみたんですけどそしたら…変な声が聞こえたんです…」

右京「変な声?」

仁美「そうです…確か…」



『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』



仁美「こんな声が…え?嘘…何で聞こえてくるのよ…イヤァァァァァァ!?」

カイト「ちょっと仁美さん!落ち着いて!」


203 : 1[saga] - 2013/09/23 21:45:50.40 nIe1z0+F0 123/360

右京「とりあえずこの部屋を出ましょう、どうにもこの部屋はあなたに悪影響を
与えているようですよ。」

仁美「あ…あぁ…」

それからカイトは仁美を連れてマンションから出て行った。
残った右京は見えざる相手に敢えて挑発とも…宣戦布告とも取れる言葉を送った。


右京「聞こえますか!あなた方の正体は見当がついています。
5年前から続くこの事件の因縁を今度こそ断ち切らせてもらいます!!!!」

そう言い残し右京は仁美のマンションを立ち去った、その時窓に貼られてあった新聞紙の
一部が剥がれ落ちそこから不気味な目が部屋から出て行った右京をジッと見つめていた。


212 : 1[saga] - 2013/09/26 23:40:07.95 xu+aQxk+0 124/360

~鑑識係~


右京とカイトは仁美を警視庁で保護してもらい、そのついでに鑑識の米沢のところへ来ていた。

米沢「固定電話の指紋の検出ですか?」

右京「えぇ、仁科さんの勤めていたセンターの方が徳永家に連絡した際必ず出た人間がいるはずです。
その指紋の採取は出来たのでしょうか?」

米沢「一応出来たのですが…前科者のいない正体不明の指紋が検出されただけですね。
この指紋の主が誰なのかが問題ですが…」

カイト「そっか、指紋が検出できてもそれが誰なのか特定しないとダメだもんな…」


213 : 1[saga] - 2013/09/26 23:41:01.64 xu+aQxk+0 125/360

右京「でしたらこのノートを使ってください。」

米沢「そのノートは?」

右京が取り出したノートはかつて佐伯剛雄が起こした事件の際に、右京が佐伯家から持ち出した
佐伯伽椰子の日記であった。

米沢「こりゃまた随分とまあ…エキセントリックな文章が並べられていますなぁ…
わかりました、このノートの指紋と徳永家の固定電話機の指紋を照合しましょう。
それまでノートはこちらでお借りしますのでよろしいですか?」

右京「えぇ、どうぞお願いします。」



214 : 1[saga] - 2013/09/26 23:41:30.32 xu+aQxk+0 126/360

~内村部長の部屋~


その頃伊丹、三浦、芹沢の三人は内村部長に呼び出されていた、その理由は…

内村「どうだ、この新しく作った歴代刑事部長の写真立ては!見事なモノだろう!」

中園「全くその通りですなぁ!ほら!お前たちも早く感想を言え!」

伊丹「ハ…ハァ…えぇ…見事ですよ…」(棒読み)

伊丹(大至急来いと呼び出されて来てみりゃ自慢話かよ…)(本音)

三浦「本当に圧巻ですなぁ…」(棒読み)

三浦(まさに税金の無駄遣いだ…)(本音)

芹沢「いやー、凄いなぁ…」(棒読み)

芹沢(落書きしてやりたい…)(本音)


215 : 1[saga] - 2013/09/26 23:42:20.79 xu+aQxk+0 127/360

内村「うむ、いずれこの中に私の写真もデカデカと立てる予定だからな!
フフフ、将来は警視総監となる私だ!歴代の先輩方よりももっと派手に…
おっと、まだ自慢をしてやりたいところだがお前らを呼んだのはそれだけではない。」

中園「例の徳永家の事件だがその後何か進展はあったのか?」

伊丹「現在我々は被害者たちへの怨恨の線で調べています、ですが…」

三浦「被害者全員がショック死のような症状ですので犯人を特定出来る物証が中々発見出来なくて…」

芹沢「あの家…以前にも事件があったり転居してきた人間が失踪したりと曰くつきですからね…
もしかしたら犯人は幽霊じゃないかと…」


216 : 1[saga] - 2013/09/26 23:43:12.47 xu+aQxk+0 128/360

内村「馬鹿者!犯人を見つけるのがお前たちの仕事だろ!
いいか、マスコミの馬鹿どもがこの事件を幽霊だオカルトの仕業だなんぞと騒ぎ始めている!
我々警察がそのような戯言を真に受けてみろ!警察の威信丸潰れだぞ!!」

中園「内村部長の仰る通りだ、いいか絶対に犯人を挙げるんだぞ!
人間の犯人をだぞ、間違っても幽霊の犯人なんぞを挙げるな!」


伊丹、三浦、芹沢「「ハッ!」」


三人は理不尽だとも思う命令を聞き部屋から去って行った、しかし内村部長はこの時一瞬
奇妙モノを目撃してしまった。


217 : 1[saga] - 2013/09/26 23:44:02.26 xu+aQxk+0 129/360

内村「おい…」

中園「ハッ!何でしょうか?」

内村「さっきあいつらがこの部屋を出て行く時白い肌をした小学生くらいの子供がいなかったか?」

中園「ハハハ、何を仰いますか。ここは警視庁ですよ!何故子供がいるのですか?」

内村「あぁ…そうだな…」

この時誰も想像していなかった、佐伯家に出向いた者たちがあの忌まわしき呪いを
警視庁内にも降り撒いていた事に、そしてこれが後に大惨事を招くとも知らず…


223 : 1[saga] - 2013/09/29 16:00:48.59 ANjExmKa0 130/360

~特命係~


鑑識から戻ってきた右京は旧佐伯家の見取り図を何度も見直していた、そしてもうひとつ
以前神戸があの家で見つけた佐伯俊雄の描いた絵も手元に持っていた。

カイト「へぇー、これが行方不明になった俊雄くんが描いたっていう絵ですか。
それで杉下さんは…まだあの家の見取り図と睨めっこですか?」

右京「えぇ、何故徳永夫妻は2階の屋根裏にいたのか。僕には何かヒントがあるように
思えてならないのですが…」

カイト「俺が見た感じだとあの夫婦の遺体は…何かに逃げてたって感じがするんですよね。
ほらあの2階の屋根裏に続く襖にガムテープが貼られてたじゃないですか。
あれって自分たちで閉じ籠ってたんじゃないですかね?」

右京「それとも…或いは…何かを閉じ込めようとしたのかも…」


224 : 1[saga] - 2013/09/29 16:01:26.43 ANjExmKa0 131/360

カイト「何かって?」

右京「思い出してください、仁科さんの言葉を。
彼女はあの襖で黒猫と少年を目撃したと言っていました、もしもそれが本当なら
勝也さんが閉じ込めようとしてたのは…」

カイト「その少年と黒猫…けど俺たちが行った時そんなのがいた痕跡すらなかったですよ。」

右京「それを仁科さんが解いてしまったとしたら…どうでしょうか。」

カイト「まさか杉下さんはその黒猫と少年が徳永一家を皆殺しにしたとでも言う気ですか?
そんな事あり得ないでしょ!」

右京「あの家ではそんなあり得ない事が頻繁に起こっているのですがねぇ…」


225 : 1[saga] - 2013/09/29 16:01:55.67 ANjExmKa0 132/360

カイト「ハァ…そうなんですか、ところでこの絵なんですけど…
子供って正直な部分があるじゃないですか、それで思ったんですけどこの親の絵はなんだか
親の残虐性を表しているように思えるんですよね、まぁ俺の気の所為かもしれませんけど。」

右京「なるほど、その解釈もあながち間違いでもないかもしれませんよ。」

カイト「まったく…事件が全然進展しないですね…」

捜査に四苦八苦しているそんな中いつもの如くあの男が…



226 : 1[saga] - 2013/09/29 16:02:22.17 ANjExmKa0 133/360

角田「よ、暇か?」

カイト「暇じゃないですよ、見りゃわかるでしょ!」

角田「いや暇だろ…そんな子供の絵とにらめっこしてんだからよ。」

右京「課長いいところへ来てくれましたね、実はお聞きしたい事があるのですが…」

角田「え?何よ?」

右京「5年前に逮捕した佐伯剛雄の事です、実は僕は彼の事を良く知りませんでしたので。
課長は彼について何かご存じな事はありませんか?」

角田「佐伯剛雄か、ヤツは結婚する前までは結構無茶な事ばかりする男だったよ。
それが…たぶん結婚して子供が生まれてからかな、ヤツは麻薬関連からは手を引いたんだ。
それなのに…佐伯剛雄は死ぬ直前になり再び麻薬に手を出した。
現にヤツを逮捕した際薬物検査したらしっかり反応が出たんだぜ。」


227 : 1[saga] - 2013/09/29 16:02:53.93 ANjExmKa0 134/360

右京「なるほど、つまり俊雄くんの出生の秘密が彼の…いえ佐伯家の人生全てを狂わせてしまったのですね。」

角田「まぁ…当時アンタの推理を聞いて俺も思ったがさ…自分が汗水流して働いてたのに
実は他人の子供を育ててましたなんて知ったら…そりゃ麻薬に手を出したくもなるわな…
そういう面じゃ男として個人的に奴さんへ同情出来なくもないんだけどさ。」

カイト「なるほど、だからあんな殺人をしでかしたって訳ですか。」

右京「つまり事件当時佐伯剛雄は、麻薬を常用して事件を起こしていた可能性があった訳ですか。」

カイト「まぁまともな神経じゃあんな事件は起こせませんよ。」

右京「…」

角田「それであの家でも麻薬の品を押収してな、そういえばあの家で捜査した所轄の刑事たちが
退職したり失踪したりしたな。」

カイト「そりゃますます曰くつきですね。」

右京「…」

カイト「どうしました?」

右京「刑事の失踪に退職者続出…少し気になりますね。行ってみましょうか。
課長、その退職者の方の現在の所在をお聞きしたいのですが。」

課長「あぁ、わかった。ちょっと待ってろ。」


228 : 1[saga] - 2013/09/29 16:03:22.69 ANjExmKa0 135/360

~老人養護センター~


翌日、右京とカイトは角田課長から教えてもらい、ある退職した刑事の下へやって来ていた。

カイト「ここですか。」

右京「えぇ、課長が言うにはこちらに元練馬署勤務の吉川さんという人物が入居している
そうなのですが…」

理佳「あれ?杉下さんと甲斐さんじゃないですか!」

カイト「あぁ!理佳さん!もう仕事に復帰してるんですか?」

理佳「ハイ、家で寝込んでるより外で働いてる方が気が休まるので。
ところで今日は何の御用ですか?事件の事ならまだ思い出せないのですが…」

右京「いえ、今日我々が伺いに来たのはあなたではなく…」

カイト「ここに入居している吉川さんって人とお会いしたいんですけど。」


229 : 1[saga] - 2013/09/29 16:03:51.39 ANjExmKa0 136/360

理佳「吉川さん?それならこの人がそうですけど。」

カイト「え!この人が!?」

右京「おやおや…」

右京とカイトが驚くのも無理はなかった、何故なら吉川は痴呆の気があるようで先ほどから
なにやら奇妙な行動を取っていた。
しかしこのまま何も聞かないという訳にはいかないのでとりあえず尋ねてみるが…


230 : 1[saga] - 2013/09/29 16:04:21.92 ANjExmKa0 137/360

右京「吉川さんですね?我々は警察の者ですが…」

吉川「いないいない…バァ~!」

カイト「あの!警察です!わかりますか?」

吉川「いないいない…バァ~!」

カイト「ダメだこりゃ、全然話にならない。」

右京「失礼ですが吉川さんはずっとこの状態なのですか?」

理佳「ハイ、けどこれでも落ち着いている方なんですよ。
ここに入居した当時はいつも何かに怯えていたらしくて表に出ようともせずに部屋に籠りっきりで…
奥さんもいらっしゃるんですけど匙を投げたというか…それでウチに入居してるんです。」


231 : 1[saga] - 2013/09/29 16:04:54.91 ANjExmKa0 138/360

カイト「まぁ…この状態じゃ無理もないか。」

吉川「いないいない…バァ~!」

右京「ひとつお聞きしたいのですが…吉川さんの身内に幼いお子様はいますか?」

理佳「いえ…私が知る限りじゃいないと思いますけどそれが何か?」

右京「先ほどから吉川さんを見ているとまるで子供をあやしているように思えましてね。
もしかして身内にお子様でもいるのかと思ったのですがねぇ…」

理佳「子供…そういえば…」

カイト「どうしましたか?」


232 : 1[saga] - 2013/09/29 16:05:34.42 ANjExmKa0 139/360

理佳「そうだ…思い出した…私は…あの時…」

右京「思い出したというのはまさか…事件の事ですか!」

理佳「私は…あの目…忘れられない…影が動いたんです…」

右京「影?」

理佳「私の影です…それが不気味な形に変化して髪の長い女になって…それが幸枝さんを
襲ったんです!」

カイト「そんなバカな…」

理佳「その後私はショックで気絶して…その気絶する前に私の事を見ていたんです!
そう…あの俊雄っていう男の子が…」

右京「髪の長い女…それに俊雄と名乗る少年…」

理佳「うぅ…イヤだ…気持ち悪い…ウゲェ…」

カイト「ちょ…ちょっと大丈夫ですか理佳さん!?」

理佳は事件の事を思い出したが、それと同時に嘔吐してしまいその場で倒れてしまった。



233 : 1[saga] - 2013/09/29 16:06:14.10 ANjExmKa0 140/360

その頃警視庁では…


~鑑識係~


角田課長は城南金融の事件で鑑識係に頼んだ結果を受け取りに来ていた。


角田「よ、暇…な訳ないよな。」

米沢「これはこれは角田課長が直々にこちらにいらっしゃるとは、どういったご用件で?」

角田「ちょっと城南金融の事件についてな、ところでお前さんは何してんだい?」

米沢「実は…杉下警部から頼まれた作業がようやく終わったところでして。
しかし何なんでしょうかねこの日記は…」

角田「日記?うわっ!何じゃこの内容は?」


234 : 1[saga] - 2013/09/29 16:06:47.00 ANjExmKa0 141/360

米沢「どうもこの日記の主である佐伯伽椰子なる女性は、ストーカーの気があったらしく
小林俊介なる人物を必要以上にストーキングしていたらしいですな。
そしてその事柄を全てその日記に記入していたようです。」

角田「女のストーカーねぇ、男なら理解出来るが女のストーカーってのは俺にはどうにも
理解出来んわな…」

米沢「私もですよ、しかしこの日記で一番不気味なページがあるのですが…ここです。」


日記をペラペラと捲り米沢はあるページに指を指す、そのページはまるで黒魔術のような
目を催して描いたページ、恐らく伽椰子は自分の目を描いたのであろう。
米沢は好奇心で角田課長にそのページを見せた。

米沢「これなんてオカルトマニアに見せたらたまらないでしょうな、不謹慎ながら
私が警察官でなければネットに公開したいところですよ!」

角田「コラコラ、警察官が何を言ってんだか…しかし俺にもよく見せてくれねーか。」

米沢「ハハハ、好奇心には忠実ですな。ではご一緒に!」

二人は改めて目が描かれたページを見た、すると…


235 : 1[saga] - 2013/09/29 16:07:26.99 ANjExmKa0 142/360






ギロリッ!!






236 : 1[saga] - 2013/09/29 16:08:24.86 ANjExmKa0 143/360

米沢「なっ!?」

角田「ひぃっ!?」


描かれた目から本物の人間の目が出てきてそして…二人の姿は消えた…

237 : 1[saga] - 2013/09/29 16:08:54.80 ANjExmKa0 144/360

~内村部長の部屋~


内村「フフフ、やはりこの位置に私の写真を貼ってだな…」

中園「えぇ、そうですな!あれ?写真が何かおかしくないですか?」


内村「何を言って…う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


そう、歴任の刑事部長たちの写真が全て髪の長い不気味な女の写真に変わっていた。
そしてその写真から髪の毛が溢れ出てきた。


238 : 1[saga] - 2013/09/29 16:09:20.86 ANjExmKa0 145/360

内村「な…何なんだこれは!?」

中園「誰か来てくれー!!」




『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』




それから数分後…

芹沢「あれ?今さっき刑事部長の部屋から声がしたんだけど?」

気になった芹沢が部屋を確かめに来たがそこには誰の姿も無かった…


239 : 1[saga] - 2013/09/29 16:09:47.73 ANjExmKa0 146/360

~捜査一課~


伊丹「おいさっきはどうしたんだ?」

芹沢「いえね、さっき部長の部屋に行ったんですけど誰もいなかったんですよ。
おっかしいよな、絶対声がしたはずなのに…」

三浦「それよりも事件だがどうする、怨恨の線は薄いんじゃないか?」

伊丹「あぁ…被害者家族に殺すほど恨みのあった人間はいないしおまけにアリバイまである…
だからと言って金銭を盗まれた訳でもないから物取りの犯行って訳でもねえ。
まったく捜査線上に犯人が浮かび上がらないってのも珍しいな。」


240 : 1[saga] - 2013/09/29 16:10:15.81 ANjExmKa0 147/360

芹沢「ここはひとつ、杉下警部に聞いてみるってのはどうですかね?
何かのヒントになるかもしれませんよ!」

伊丹「いつもいつも言うが捜査一課としてプライドを…!」

三浦「だが芹沢の言う通りだ、このまま何の進展も無いままという方が不味いだろ。」

伊丹「しょうがねえな…ここは恥を忍んで…」

伊丹たちがそう思い立った時である、彼らの下へトラブルメーカーのあの男がやって来た。


241 : 1[saga] - 2013/09/29 16:10:57.11 ANjExmKa0 148/360

陣川「お~い!みなさん!大発見!大発見ですよ~!」

芹沢「あれ…陣川さん、どうしたんですか?」

伊丹「またどっかの一般人を指名手配犯と間違えて誤認逮捕しましたか?」

陣川「ムッ!そういう意地悪な事を言う人たちには教えてあげられないな!」

伊丹「じゃあ結構です、それじゃ行くか。」

三浦「あぁ、油売ってる暇は無いしな。」

陣川「ちょ…ちょっと待ってください!しょうがないなぁ…教えちゃおうかな!」

伊丹「おい…芹沢、お前聞いてやれ!」

芹沢「えっ!俺が!?しょうがないな…え~と陣川さんは何を発見したんですか?」


242 : 1[saga] - 2013/09/29 16:11:37.33 ANjExmKa0 149/360

陣川「フフフ!実は!例の徳永家の事件について気になる情報を持っている参考人の
女性を連れて来ました!!」

伊丹「なんだと!?」

三浦「そんな人間がいたのか!」

芹沢「その人何処に?何て名前なんですか?」

陣川「何処って…すぐそこの部屋の前にお連れしてますよ。」

伊丹「よっしゃ!さっそく聞き込みだ!」

三浦「これで事件が進展するぞ!」

芹沢「もしかしたら今回は俺たちだけで解決出来ちゃいますねぇ♪」


そう言って伊丹たちは急ぎその女性が待つ捜査一課の部屋の前まで行った。

しかし彼らは最後まで陣川の話を聞くべきであった、何故ならその女性の名前は…


243 : 1[saga] - 2013/09/29 16:12:06.04 ANjExmKa0 150/360

陣川「まったく…みんな話も聞かずに行くんだから、そちらの参考人の女性の名前は
佐伯伽椰子さんという名前ですから!」




『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』




陣川「いやぁこんな事言うのもアレなんですけど初対面でちょっと美人かなと思ったり
もしかしたら伽椰子さんが僕の運命の人なんじゃないかと思ったり…あれ?誰もいない?」

そう、陣川が駆けつけた時には誰もいなかった。
伽椰子も…それに先ほど急いで伽椰子の下へと駆けつけた伊丹、三浦、芹沢、三人の姿も…


244 : 1[saga] - 2013/09/29 16:12:57.22 ANjExmKa0 151/360

それから暫くして右京とカイトは警視庁に戻ってきたが…


カイト「あぁ、悪かったって!あとで悦子の方からもフォロー入れといてくれよ、それじゃ!」

ガチャッ


右京「今の連絡は悦子さんからですか?」

カイト「ハイ、悦子に理佳さんが倒れた事伝えたら怒られちゃって。
なんでも悦子さんは少し前に恋人に別れ話を告げられて傷ついているから少しは労われって…
まぁ女ってそういう面がありますからね、恋愛事には男は敏感ですから。」

右京「ところでカイトくん…気になりませんか?」

カイト「気になるって…さっきからこの不気味なまでに静かな警視庁がですか?」



245 : 1[saga] - 2013/09/29 16:13:26.82 ANjExmKa0 152/360

右京「えぇ、ここは東京都の治安の要とも言える場所ですよ。
それなのに僕たちは先ほどから誰とも遭遇していない、門番にいるはずの制服警官すら
いないのはどう考えてもおかしい事じゃありませんか!」

カイト「まさか俺たちに内緒でみんなで避難訓練をしているわけじゃ…ないですよね。
さすがにそこまで特命係ハブられてませんし…」

右京「とにかくキミは特命係の部屋に戻っていてください、僕は鑑識の方へ行きます。
米沢さんからの結果を聞かなければいけませんからね。」

カイト「わかりました、杉下さん気を付けて!」


246 : 1[saga] - 2013/09/29 16:13:57.06 ANjExmKa0 153/360

~特命係~


カイトは特命係の部屋まで戻って来れたがここにも誰もいなかった。

カイト「まぁ…ここは俺と杉下さんしかいないから当然だけどさ…隣の組対5課の人たちまで
いないとかおかしいだろ…」


ガタッ  ガタガタ


その時部屋の隅っこから物音がした、気になったカイトが覗いて見るとそこにいたのは…


247 : 1[saga] - 2013/09/29 16:14:23.88 ANjExmKa0 154/360

カイト「あの…陣川さん?こんなとこで何してんですか?」

陣川「おぉ!甲斐くん!よかったぁ~、ようやく人に会えた!」

カイト「それよりも何でこんなに人がいないんですか?」

陣川「知らないよぉ!気付いたらみんないなくなってたんだよ!?」

カイト「えぇ!?」


248 : 1[saga] - 2013/09/29 16:15:46.26 ANjExmKa0 155/360



ガサッ


陣川「あれ?誰か部屋に入って来たぞ!」

カイト「あれは…角田課長!それに大木さん、小松さんも!」

角田『…』

大木『…』

小松『…』

部屋に入ってきた人物、それは確かに角田たち組対5課の刑事たちだった。
しかし明らかに様子がおかしい、まるで生気を取られた抜け殻のようであった。


249 : 1[saga] - 2013/09/29 16:16:17.61 ANjExmKa0 156/360

~鑑識係~


一方右京は米山に鑑識の結果を聞きにきていたがこちらも無人であった。
米沢の机にあるのは右京が依頼した調査結果の報告書、それにその際に右京が貸した
伽椰子の日記のみであった。

右京「米沢さんの報告書…やはり採取された指紋は佐伯伽椰子のモノでしたか。
しかし既に死亡した彼女が何故徳永家の固定電話に指紋を残したのか…」

その時であった。


250 : 1[saga] - 2013/09/29 16:16:49.16 ANjExmKa0 157/360



ヴィー、ヴィー、ヴィー、


右京の携帯が鳴った、右京に連絡してきた相手は…

右京「もしもし、神戸くんですか、お久しぶりですね。約一年ぶりでしょうか?」

神戸『お言葉ですが…挨拶は省きます、杉下さん…今すぐ警視庁から逃げてください!』

右京「それは…どういう事なのですか?」

神戸の不気味な連絡を受けたと同時に右京の周りには…


251 : 1[saga] - 2013/09/29 16:17:18.72 ANjExmKa0 158/360

伊丹『…』

三浦『…』

芹沢『…』

米沢『…』

内村『…』

中園『…』

大河内『…』

普段右京と接する警察官全てが伽椰子に呪われてしまい亡者と化していた姿で溢れていた。

神戸『警視庁は佐伯伽椰子によって呪われてしまいました!すぐに逃げてください!!』



253 : 1[saga] - 2013/09/29 16:23:15.05 ANjExmKa0 159/360

え~みなさんに誤解の無いように言っておきますが伊丹さんたち全員死にました。

270 : 1[saga] - 2013/09/30 19:02:31.33 EI8GyOvI0 160/360

~特命係~


亡者と化した角田、大木、小松は部屋に居るカイトと陣川に襲い掛かろうとしていた。

カイト「あの…角田課長?その…大丈夫ですか?」

陣川「か…甲斐くん…その人たち…おかしくないか…」

角田『あ゛…ああああ…あ゛…あああ…』

角田はカイトの首を絞め殺そうとしてきた、その時…


ドガッ


右京「どうやら間に合いましたね!」

カイト、陣川「「杉下さん!?」」


角田たちを押しのけ右京がカイトと陣川のピンチを救いに来た。


271 : 1[saga] - 2013/09/30 19:06:06.36 EI8GyOvI0 161/360

右京「カイトくん!大丈夫でしたか?おや…陣川くん…キミまでいるとは…ここはもう危険です!
脱出しますよ!」

カイト「けど杉下さん!これはどういう事なんですか!?」

右京「わかりやすく説明すると特命係が本当に警視庁の陸の孤島になってしまったのですよ!」


カイト、陣川「「えぇ!?」」


特命係の部屋を抜け出し地下の駐車場まで向かうがその道中…

岩月『あ゛…あああ…』

小田切『あ゛ああああ…』

カイト「嘘だろ…サイバー犯罪対策課の岩月さんと小田切さんまで…」

右京「どうやら彼らだけではありませんよ、あちらを見てください。」

陣川「別方向にも人が…けどあれって!?」

カイト「そんな…いや…まさか…冗談じゃないぞ…」


272 : 1[saga] - 2013/09/30 19:07:49.35 EI8GyOvI0 162/360

カイトが目にしたのは警視庁警視総監である田丸寿三郎、それに警察庁長官である金子文郎。
そして…


甲斐『あ゛あ゛ああああ…』


カイト「アレは…親父…俺の親父が…」

カイトの父であり警察庁次長でもある甲斐峯秋、警察を代表する官僚が亡者と化した姿がそこにあった。

陣川「バカな!警察の幹部が何でこんな…」

右京「そういえば今日は警視庁で幹部職員の定例会議がありましたね、それに警察庁の
金子長官や甲斐次長までが参加してたとは予想外でしたが…」

カイト「なんなんだよクソ親父が!アンタこんなとこで何をしてんだよ!?」

右京「彼らに何を言っても無駄です、既に彼らはこの世のモノではないのですからね。」



273 : 1[saga] - 2013/09/30 19:08:20.10 EI8GyOvI0 163/360

カイト「チックショー!!」


カイトの叫びも虚しく亡者と化した幹部職員たちが襲ってきようとした。

甲斐『あ゛…あああ…』

田丸『あ゛あああ…』

金子『あ゛ああああ…』

そんな時だった…


274 : 1[saga] - 2013/09/30 19:08:55.64 EI8GyOvI0 164/360




ブロロロロロロンッ!



駐車場に黒のGT-Rが現れ右京たちを襲ってきた甲斐次長たちを跳ね除けた。

神戸「杉下さん!乗って!」

右京「神戸くん!?」

陣川「ソンくん!グッドタイミングだよ!」

カイト「え?誰?」

右京たちは神戸のGT-Rに乗り込み亡者の巣と化した警視庁を後にした。



275 : 1[saga] - 2013/09/30 19:10:33.61 EI8GyOvI0 165/360

カイト「親父…チクショウ…何でこんな事に…」

陣川「甲斐くん!今は堪えるんだ!」

右京「神戸くん、先ほどは助かりました。どうもありがとう。」

神戸「本当はもっと早く駆けつけたかったんですけど…警察庁に移動になってしまったので
旧佐伯家で起きた事件を知ったのが今日の報道で知ったばかりだから…」

右京「既に伊丹さんたちもヤラれてしまいました、そちらの警察庁はどうですか?」

神戸「駄目ですね、既に警視庁と同じで無人の状態ですよ…」

陣川「そんな…警視庁と警察庁が壊滅の被害を受けたらこの東京はお終いですよ…
犯罪者たちによる無法地帯になってしまうじゃないですか!?」

神戸「その心配はないと思いますよ。」

カイト「それってどういう事ですか?」

神戸「こういう事だよ!」


276 : 1[saga] - 2013/09/30 19:11:35.30 EI8GyOvI0 166/360

神戸は車に搭載されているカーTV、それにラジオを付けた。

だがどのチャンネルを回しても放送中止になっているという異例の事態であった。

それどころかまともに車を走らせているのは神戸の運転している車のみで、

他の車はガードレールにぶつけていたりあるいは無人のまま放置されていたりと、

まるで右京たち以外の東京都民はみんないなくなってしまったかのようであった。

神戸「実は杉下さんたちと合流する前に…鈴木響子さんと信之くんの消息を探ったんですけど…」

右京「どうでしたか?」


277 : 1[saga] - 2013/09/30 19:12:15.05 EI8GyOvI0 167/360

神戸「響子さんは精神病院を抜け出し行方不明で、信之くんは…とりあえず保護者の親戚の方に
携帯番号を聞き出したんですけど通じなくて…」

右京「わかりました、僕が掛けてみましょう。」


トゥルルルル  トゥルルルル


右京「おや、繋がりましたね。もしもし、鈴木信之くんですか?お久しぶりです。
警視庁の杉下ですが…」


278 : 1[saga] - 2013/09/30 19:12:47.83 EI8GyOvI0 168/360




信之『『助けて!!!!』』



右京「信之くん!?」

信之『あの女の人が…襲ってきた…それも一人なんかじゃない!たくさん…あぁ…そんな…
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』

右京「信之くん!信之くん!?」

それっきり信之からの連絡は途絶えた、だがすぐに返事が返ってきた、しかしそれは信之からの返答ではなかった。


279 : 1[saga] - 2013/09/30 19:13:29.48 EI8GyOvI0 169/360





『あ゛…あ゛…ああああああ…』




ガチャッ


右京「ダメです!信之くんも手遅れでしょうね…」

神戸「クッ!それともうひとつ杉下さんに知らせたい事が…ですがこれは後でお伝えします。」

右京「?」


280 : 1[saga] - 2013/09/30 19:14:21.15 EI8GyOvI0 170/360

カイト「杉下さん!この事態は一体何なんですか!?」

陣川「そうですよ!説明してください!」

右京「そうですね、この事件の犯人は…佐伯伽椰子!」

神戸「佐伯伽椰子は5年前から人々を呪い殺し…それを糧に力を付けてきた、そういう事でしょうね。」

カイト「ちょ…ちょっと待ってください!佐伯伽椰子って5年前に殺された女性の事でしょ!
一体どういう事なんですか!?」

右京「全ては…旧佐伯家に行けば判明する事ですよ!」

神戸「…」


281 : 1[saga] - 2013/09/30 19:14:50.51 EI8GyOvI0 171/360

こうして右京たちは一路旧佐伯家へと向かったがその道中で…


陣川「なるほど、伽椰子さんは失恋してしまいおまけに旦那さんにも暴力を振るわれていた訳か…」

カイト「いや…暴力というか殺されてますから…」

陣川「キミにはわからないのか!彼女はずっと苦しんでいたんだよ…だから僕は…
彼女の事を理解できるんだよ!」

陣川に事件の詳細を説明していた矢先の事であった、後ろから猛スピードでやってくる車が現れた。
その車に右京は見覚えがあった。


282 : 1[saga] - 2013/09/30 19:15:42.87 EI8GyOvI0 172/360

カイト「何だあの車?」

陣川「きっと僕たち以外にも生存者がいたんですよ!」

右京「待ってください!あの車は…捜査一課の…伊丹さんたちの車ですよ!?」

伊丹『あ゛ああああ…』

芹沢『あ゛あ゛ああああ…』



ドンッ!!



神戸「うわっ!追突させてきたなんて!?」

カイト「ちょっ!伊丹さんやめてください!」


283 : 1[saga] - 2013/09/30 19:16:43.13 EI8GyOvI0 173/360

カイトは伊丹にやめるよう訴えるが既に亡者と化した伊丹にその言葉は届かない。
それどころか…


ドンッ!  ドンッ!!


神戸「まずい…あっちは加減無しですよ…」

カイト「なんとか振り払えないんですか!」

神戸「わかった…うん?」

神戸はアクセルを踏もうとしたが足に何か違和感を感じてしまい踏めなかった。
それどころか伊丹の車がまたもや追突してきて神戸のGT-Rは横転してしまった。



ドン!ガラ ガッシャーン!!



カイト「痛てて…」


284 : 1[saga] - 2013/09/30 19:17:26.18 EI8GyOvI0 174/360

右京「全員大丈夫ですか?」

陣川「ぼ…僕は大丈夫です!」

カイト「は…早く車から降りましょう…ここまで来ればあの家は目と鼻の先ですよ!」

陣川「それじゃあ早く降りましょう!」


右京、カイト、陣川の三人はすぐに横転したGT-Rから降りたが神戸だけが降りれなかった。

右京「神戸くん!キミも早く降りてください!」

神戸「いえ…僕は後から行きます…杉下さんたちは一足先に旧佐伯家に向かってください!」

カイト「けど…こんなとこに置いていけないですよ!」

神戸「いや…僕は足を捻ってしまったらしくてね、いいから急いで!早く!」


285 : 1[saga] - 2013/09/30 19:18:14.18 EI8GyOvI0 175/360

神戸の言う通りここでグズグズしている暇は無かった、既に先ほど車をぶつけてきた伊丹たちが
車から降りてきて右京たちのところへ向かってきたのだから。

右京「わかりました、絶対に来てくださいよ。」

カイト「ちょ…杉下さん!?」

右京「伊丹さん!僕たちはこっちです!こっちに来なさい!!」

陣川「そうか!僕たちに注意を向けさせるために…!」

カイト「ほら!伊丹さん!こっち来てくださいよ!ほらほら!」

こうして右京、カイト、陣川の三人は伊丹たちの注意を引くために敢えて目立つように
行動した。

しかし…


286 : 1[saga] - 2013/09/30 19:19:47.29 EI8GyOvI0 176/360

神戸「杉下さん、行ってくれたか…実は言いそびれてしまいましたがさっき話そうと
したのは亀山さんの事なんですよ。
以前杉下さんから亀山さんもあの家に入った事を聞いたので調べたら昨日亀山さんは…
サルウィンで…変死体で発見されたって…すみません…言えなくて…」

それから神戸は先ほど踏めなかったアクセルペダルに視線を送る、そこにいたのは…



『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』



亡者と化した男がずっと神戸の足を掴んでいた、その男の正体は…


287 : 1[saga] - 2013/09/30 19:20:38.25 EI8GyOvI0 177/360

神戸「あなたは城戸充…まさかこんな形で再会するなんて…
これも因果応報ってヤツかな…杉下さん…この未来を絶対に変えてください…」



城戸『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』



亡者の城戸が神戸に奇声を発する、悍ましい声が上げられた次の瞬間、GT-Rの運転席に神戸の姿は無かった…


288 : 1[saga] - 2013/09/30 19:22:12.34 EI8GyOvI0 178/360

とりあえずここまで

説明します、現在右京さん、カイトくん、陣川さん以外の相棒レギュラーは全員死にました。

そしてネタバレ
※このSSはハッピーエンドで終わらせます。

306 : 1[saga] - 2013/10/02 18:23:03.94 2COECal70 179/360

~旧佐伯家~


伊丹たちの追っ手を撒き無事に旧佐伯家に辿り着いた右京、カイト、陣川の三人。
家の中に入るがやはりそこに人の気配はなかった。

カイト「やっぱり誰もいませんね…」

陣川「ソンくんは大丈夫でしょうかね?一応我々が囮になって引き付けといたはずなんですけど…」

右京「さぁ…無事だといいのですが…おや?今に誰かが倒れていますね。」

カイト「アレは…理佳さん!?理佳さん大丈夫ですか!」

理佳「う…うぅ…ん…」

右京が発見した人物は理佳だった、倒れていた理佳を介抱し事情を聞いた。


307 : 1[saga] - 2013/10/02 18:23:34.14 2COECal70 180/360

理佳「あれ?私どうしてこんなところに…」

カイト「聞きたいのはこっちの方ですよ、何で理佳さんがここに?
俺たちと別れた後どうしたんですか?」

理佳「あなたたちと別れた後にこの家の事が気になって来てみたんですけど…
それから…何で倒れたんだろ?」

戸惑う理佳であったが右京はそんな彼女の手の中にあるモノを発見する。

右京「あなた…何か掴んでいますけど何を持っているのですか?」

理佳「え?掴んでいるって…本当だ!けどこれって…」


彼女が掴んでいたモノ…それは…



308 : 1[saga] - 2013/10/02 18:24:13.83 2COECal70 181/360



―尋ね人―


警視庁特命係:杉下右京警部


 同所属:甲斐亨巡査部長


特命係の右京とカイトの尋ね人の手配書であった。


309 : 1[saga] - 2013/10/02 18:24:39.97 2COECal70 182/360

カイト「なんだこりゃ!?」

右京「おやおや、これは手の込んだ事をしますね…」

陣川「なんだか気味悪いですね、とりあえず居間の灯りを付けますね。」



パチッ



陣川「うわっ!?」

右京「これは…」

驚くのも無理はなかった、居間には理佳が持っていた右京とカイトの手配書がそこら中に
貼り付けられていたのだから…


310 : 1[saga] - 2013/10/02 18:25:38.60 2COECal70 183/360

カイト「これってどういう事なんですか…」

右京「恐らく警告でしょう、我々に逃げ場は無いとそう伝えたいのでしょうね。」

カイト「クソッ!隠れてないで出て来いよ!」

右京「そうですね、隠れてないで出てきてもらいましょうか。ではみなさん、2階に移動しましょう。」


こうして右京の指示する通り全員2階の…あのガムテープが貼られていた押し入れのところまで上がった。


311 : 1[saga] - 2013/10/02 18:26:16.71 2COECal70 184/360

右京「さて、それではこの事件の真相を僕なりに推理してみました。
いくつか超常現象的な面も含まれますがそこは予め了承してください。」

カイト「さっき車の中でこの事件の犯人は佐伯伽椰子だって言いましたけどアレって本当なんですか?」

陣川「バカな…大体伽椰子さんは5年前に亡くなっているはずじゃ!」

右京「恨み…怨念…彼女は非業の死を遂げた人物です、恐らくこの世の全ての人間を
恨まずにはいられない、だからこそ彼女は死んでもなお人を…いえ…この世を恨み続け…
このような恐慌に及んだのでしょう。」

カイト「そ…そんな悪霊みたいなのが犯人じゃ居場所なんて特定出来ないじゃないですか!?」


312 : 1[saga] - 2013/10/02 18:26:50.85 2COECal70 185/360

右京「いえ、居場所なら特定は出来ます。ところで話は変わりますが…
仁科さん、あなた先日恋人に別れ話を持ちかけられたそうですね。」

理佳「え…えぇ…けどそれが何か?今のこの事態と関係があるんですか!」

理佳はそう力強く訴えるが右京の視線は押し入れの方に視線を送った。

右京「この押し入れの奥で…つまり屋根裏で徳永夫妻の遺体は発見されました。
彼らはどうしてあんな場所で死んでいたのでしょうかねぇ、僕はその事についてずっと
引っ掛かっていました。」

理佳「な…何が仰りたいんですか?」


313 : 1[saga] - 2013/10/02 18:27:17.09 2COECal70 186/360

その時…


ドテッ!


―「うわっ!?」

―「痛っ!?」

二人の男の声が1階から聞こえてきた、


右京「おや?誰かこの家に入ったのでしょうか?」

カイト「俺…確認してきますよ!」

陣川「あ、僕も一緒に行くから。」

2階に右京と理佳を残し、カイトと陣川は1階の声がした方へと向かった。
そんな二人を見送った後に理佳の前で右京の推理は続けた。


314 : 1[saga] - 2013/10/02 18:28:19.41 2COECal70 187/360

右京「さて、思わぬ邪魔が入りましたが僕の推理を続けましょうか。
理佳さん、僕はこう思っています。屋根裏で死亡した徳永勝也さんは誰かに操られていたのではないかと。」

理佳「操られていたってどういう事ですか?」

右京「いえ、操られていたというよりも正確には憑りつかれていたと言うべきでしょうね。
何故ならいくら悪霊でも成人男性や女性を2階に持ち上げるのは困難でしょう。
ですが…勝也さんが自分から入ったとなれば話は別です、それならば何の困難にもなりませんからね。」

理佳「そんな…馬鹿げている…証拠はあるんですか?」

右京「勝也さんは亡くなる前日に妹の仁美さんと会っていたそうです。
彼女の証言によると彼は亡くなる前に、
『俺はあの女に騙されていた』『俺の子じゃない』と言っていたそうです。
しかしこの言葉は勝也さんに当てはまりません。
何故ならば徳永夫妻にお子さんはいませんからねぇ。」

理佳「ハイ…私も徳永夫妻に子供はいないって甲斐さんから聞きましたから…
きっと錯乱状態だったんじゃないんですか?死ぬ前だった訳だし…」

右京「なるほど、錯乱状態ですか、確かに考えられなくもない…
しかし僕はこの言葉に当てはまるある人物を存じています。」

理佳「だ…誰なんですか?」


315 : 1[saga] - 2013/10/02 18:29:01.51 2COECal70 188/360

右京「その人物は…佐伯剛雄…5年前この家で妻を惨殺した男です。
彼は精子欠乏症で息子の俊雄くんが自分の子ではないと疑っていました。
つまり彼にならこの『俺はあの女に騙されていた』『俺の子じゃない』という言葉が
見事に当てはまるんですよ!」

理佳「つまり杉下さんは何が言いたいんですか…」

右京「徳永勝也は死ぬ直前…佐伯剛雄に憑りつかれていた、僕はそう思っているんですよ!」

理佳「ハァ!?」

理佳が驚くのも無理はなかった、幽霊に憑りつかれたなんて到底警察官の言葉とは思えなかったからだ。

理佳「あの…杉下さん…この状況でふざけるのはやめてもらえますか?」

右京「僕はふざけてなんていませんよ、現にこの事態を引き起こしているのが悪霊なら
色々と辻褄が合うじゃないですか!
亡者となった人を従わせてこの都内を地獄絵図の如く支配しているのですからね。」

理佳「仮に勝也さんが憑りつかれていたとしてそれがどうしたというんですか?
勝也さんが亡くなった今じゃそんな事言っても無意味でしょう!」


316 : 1[saga] - 2013/10/02 18:29:50.05 2COECal70 189/360

右京「いいえ、無意味などではありませんよ、大事なのはここからなのですから…
仁科さん、あなたは三日もこの呪われた家に居てよく助かりましたね。
警視庁なんて既に亡者の巣と化していますよ、佐伯伽椰子にはあなたを殺す機会がいくらでも
あったはず、それなのにあなたは未だに生かされている…何故でしょうかね。」

理佳「そんなのわかりませんよ!偶然じゃないんですか!?」

右京「いいえ、偶然ではありません。あなたと佐伯伽椰子にはある共通点があったのですよ!」

理佳「共通点?」


317 : 1[saga] - 2013/10/02 18:36:17.96 2COECal70 190/360

右京「それは…あなたは恋人に別れ話を切り出されたように佐伯伽椰子自身も…
かつて想い人であった小林俊介という男性を愛していました。
しかし自身の家庭の都合で彼と離れ離れになる事になり…本来なら好きでもない男性と
結婚する羽目になった…だからこそあなたは…」




右京「佐伯伽椰子に憑りつかれてしまったのですよ!」




理佳「わ…私が佐伯伽椰子に?何を言ってるんですか!?」

右京「あなたが佐伯伽椰子に憑りつかれているなら話は簡単なのですよ。
徳永夫妻が屋根裏で死んだ後に佐伯伽椰子に憑りつかれたあなたがこの押し入れの
ガムテープを貼ればいい、至って単純な事だったのですよ!」



318 : 1[saga] - 2013/10/02 18:37:44.94 2COECal70 191/360

理佳「ちょっと待ってください!私が憑りつかれているという証拠があるんですか!?
まさかそんな…失恋した程度で決めつけたわけじゃないでしょうね!!」

右京「あなたが介護センターで担当している吉川さん、彼の行動がヒントになりました。
僕たちが会いに行った時、彼はずっと『いないいない…バァ~!』とまるで子供を
あやしている真似事をしていましたね。」

理佳「それは…あの人は認知症気味だから…」

右京「確かにそうでしょうね、しかし彼には見えていたとしたらどうでしょうか。
実はあの場にもう一人人間がいて…その人間が子供で…さらにその子供が…
佐伯俊雄くんだとしたら!」

理佳「そんなのあり得る訳が…」

右京「いいえ、あり得ます!あなたが俊雄くんの母親である佐伯伽椰子に憑りつかれていたとしたら
俊雄くんがあなたの周りに居た事が充分納得がいくのですよ!
俊雄くんは父親である佐伯剛雄に虐待されていました!そんな彼の唯一の味方が恐らく…
母親である佐伯伽椰子だったはず!
そんな頼れる母親の霊に憑りつかれたあなたの周りに俊雄くんが居た、なんら不思議ではないはずですよ!」



319 : 1[saga] - 2013/10/02 18:38:24.86 2COECal70 192/360

理佳「アハハハハハハ!杉下さんって本当面白い方ですね!私が…憑りつかれたとか…
そんな…馬鹿げた事…真顔で言うんだもの…」

右京「では…もうひとつ言っておきましょうか、この僕たちの尋ね人の手配書…
幽霊がそんな物作りますかね。
あなたが作ったのではありませんか?いえ…正確に言えば佐伯伽椰子によって作らされた
のでしょうが…」

理佳「アハッ!アハハ…アハハ…ハハ………」

理佳は右京の推理を聞き馬鹿笑いするがその笑いがピタリと止む、代わりにある声が
聴こえてきた。


320 : 1[saga] - 2013/10/02 18:38:55.71 2COECal70 193/360

あの悍ましい声が…


理佳『あ゛…あ゛あああああ…』


右京「姿を現したようですね、仁科さん…いえ佐伯伽椰子!」

右京の言った通り仁科理佳は佐伯伽椰子に憑りつかれていた、右京の推理を聞いた後
彼女は伽椰子の使役する亡者に豹変した…


理佳『あ゛…あ゛あああああ…』


亡者と化した理佳は右京に襲い掛かろうとするが…


321 : 1[saga] - 2013/10/02 18:39:24.29 2COECal70 194/360

右京「悪いですが…ここでやられる訳にはいかないんですよ!」


ガチャッ!!


右京は2階の部屋を閉めて憑りつかれた理佳を閉じ込める、その間に先ほど
1階に確認に行ったカイトと陣川と合流しようとする。


322 : 1[saga] - 2013/10/02 18:39:55.47 2COECal70 195/360

その頃カイトと陣川は…

カイト「さっきの声は誰だったんだ?」

陣川「まったくあっちもこっちもおかしな事態が続いてこの家は一体どうなっているんだ?」

陣川「そういえばさっき居間の灯り消しちゃったな、薄暗くて誰だかわからないぞ」

カイト「あ、さっきの居間から声が聞こえますよ!大丈夫ですか?」

―「あぁ、大丈夫…大丈夫…」

―「痛たた…急にこの人と頭ぶつけちゃって…あなた大丈夫でしたか?」

―「えぇ…大丈夫ですよ、すいませんねぇ頭ぶつけて…」


323 : 1[saga] - 2013/10/02 18:40:38.25 2COECal70 196/360

カイト「無事な人たちがいてよかった、もう大丈夫ですよ、俺たち警察ですから!」

―「え?警察?俺も警察だよ!」

―「お言葉ですが…僕も警察官です。」

カイトが見つけた男たちは二人組のようでお互い初対面らしい、おまけに身分は
双方同じく警察官だと告げた。

カイト「けどあなたたち徳永さんの家に上り込んで何をしてたんですか?」

―「徳永さん?何言ってんだ?ここは佐伯さんの家だろ?」

―「ちょっと待ってください!ここは北田さんのお宅でしょう?」

    
   「「え?」」


カイト「佐伯と北田って確か…昔この家で事件に合った家族の名字じゃ…」

―「お言葉ですが…佐伯って確か…夫が妻を惨殺した家庭の事じゃ…」

―「ちょっと待て…あんたら何でそんな事知ってんだ?俺たちはその捜査に来たってのに…」

陣川「なんだか会話が噛み合わないですね…」


324 : 1[saga] - 2013/10/02 18:42:06.25 2COECal70 197/360

陣川の言う通り、突然この家に現れた二人の話はまったく噛み合っていなかった。
一人はここは北田の家だと言い、もう一人はここは佐伯の家だと言い…
まるで古い情報を持ってやってきたような感じがした。

カイト「と…とりあえず…あなた方はこの家に何の用があって来たか教えてもらえますか。」

―「俺は…ここの主人の佐伯剛雄が殺人を犯した可能性があるから令状取って捜査しに来たんだよ!
俺は1階を探してたんだがそしたら居間で『ミャー』っていう猫の鳴き声がして…
行ってみたらこの人とぶつかったんだ。」

―「あなた…一体何年前の話をしてるんですか?それ3年も前の話でしょう!
ちなみに僕はこの家に住む北田夫妻にお話を聞きに来たんですけど…
そうだ…台所で旦那さんの死体を見つけたんですよ!
けどその後…奥さんにフライパンで殴られて…それでもなんとか立ち上がって
奥さんが向かった居間に行こうとしたらこの人とぶつかったんですけど…」


325 : 1[saga] - 2013/10/02 18:43:21.52 2COECal70 198/360

カイト「な…なんだかアンタたちの話どっかおかしいんだけど…
特にアンタ…佐伯さんの事件が3年前じゃないだろ!あの事件はもう5年も前に起きたんだぞ!?」

―「そんな馬鹿な事を言わないでくれよ、佐伯家の事件は杉下さんから聞いた話なんだからね!」

―「おいアンタ!右京さんと面識があるのか!?」

―「えぇ、当然ですよ。なんせ僕は杉下さんの相棒ですからね!」

―「なにぃ!?」

カイト「あ…アンタが杉下さんの相棒!?」

―「バカ言ってんじゃねえ!右京さんの相棒は俺だろ!」

カイト「いや…杉下さんの相棒は俺だから!」

この二人の男はそれぞれ別の事情でこの家にやって来ているようだがどういう訳だか
二人とも自分が右京の相棒だと言い張っていた。
陣川はその光景を傍から見ていたがその二人に見覚えがある気がした。
そこで陣川はある提案をした。


326 : 1[saga] - 2013/10/02 18:43:47.13 2COECal70 199/360

陣川「このままじゃ埒が明かないな…そうだ!所属と名前を教え合うってのはどうだろうか。
それなら何かわかるかも!」

カイト「なるほど、それはいい考えですね。」

―「まぁそれなら!」

―「いいでしょう、これでスッキリするはずですからね。」

陣川は部屋の明かりを点け、彼らは各々の所属を明かした。


327 : 1[saga] - 2013/10/02 18:44:49.85 2COECal70 200/360

カイト「警視庁特命係の甲斐亨!」


神戸「警視庁特命係の神戸尊です!」


亀山「警視庁特命係の亀山薫だ!」


………


「「なにぃ!?」」



328 : 1[saga] - 2013/10/02 18:45:18.06 2COECal70 201/360

陣川「亀山さんにソンくん!?ていうかソンくん生きてたんだね…よかった!」


ギュムッ


神戸「ちょっと陣川さん!急に抱きつかないでくださいよ…ていうか生きてたってどういう意味ですか?」

カイト「亀山さんって確かサルウィンに旅立ったていう人でしょね、どうしてあなたがここに?」

亀山「ちょ…ちょっと待ってくれ!特命係って俺と右京さんしかいないんだぞ!
何でアンタらが特命係なんだよ!?」

突然現れた亀山と神戸、だが彼らの言動は明らかに現状とは不一致な点が見られた。
これはどういう訳なのか、彼らが戸惑う中その答えを知る人間が現れた。


329 : 1[saga] - 2013/10/02 18:45:44.58 2COECal70 202/360

右京「なるほど、そういう事でしたか。これで長年の謎がようやく解けました。」


亀山「右京さん!」


カイト、神戸、陣川「「杉下さん!」」


カイト「長年の謎って何の事ですか?」

右京「それをこれから確認します、亀山くん、キミはパスポートを出してください。
そして神戸くんはパンチ穴の付いた免許証を出してください。」


330 : 1[saga] - 2013/10/02 18:46:12.25 2COECal70 203/360

右京は亀山と神戸が出したパスポートと免許証を見てある確信に至った。

右京「やはり僕の思った通りです、それでは説明しましょう。
亀山くん、神戸くん、キミたちはこの時代に…過去の世界からこの未来に
タイムスリップしてしまったのですよ!」


亀山、神戸「「えぇー!?」」


カイト「それってどういう事なんですか?」

陣川「説明してください!」


331 : 1[saga] - 2013/10/02 18:47:06.26 2COECal70 204/360

右京「ではまずこの亀山くんのパスポートを見てください、入国スタンプが押されるところ
何も無い…真っ新な状態じゃないですか。」

亀山「そ…それがどうかしたんですか?」

カイト「なるほど、もしここにいる亀山さんがこの時代の亀山さんならサルウィンの
入国スタンプが押されているはずですからね!」

右京「そう、その通りです!それなのにこのパスポートには入国スタンプが無い…
つまりここにいる亀山くんはサルウィンには旅立つ前だという何よりの証なんですよ!
次に神戸くん…キミです、キミのこの免許証…パンチ穴が空けられたのは2011年ですね。」

神戸「えぇ、杉下さんもご存じのはずですよ。」

亀山「2011年?今は2008年でしょ!何で3年も月日が流れているんですか!?」

神戸「2008年って…今は2011年でしょ、あなたこそ何を言って…」


332 : 1[saga] - 2013/10/02 18:47:44.44 2COECal70 205/360

カイト「いや…今は2013年ですよ…」


亀山、神戸「「…」」


右京「2011年に僕が神戸くんと一緒にこの家に来た際にキミはこのパンチ穴の付いた免許証を
必要以上に見せつけてましたからね。
こんなパンチ穴のついた免許証をいつまでも持ち歩く必要がありませんからね。
以上が亀山くんと神戸くんが過去の世界からタイムスリップした証拠ですよ。」

亀山「…という事は…右京さん…あなたは…」

神戸「僕たちの知っている杉下さんではなくて…」

右京「僕はキミたちの知る杉下右京ではなく未来の杉下右京なんですよ。」


333 : 1[saga] - 2013/10/02 18:49:54.89 2COECal70 206/360

亀山「いや…それにしても右京さんや陣川さんは全然変わんないから実感ないですね…
しかし…この二人が俺の後任なら…俺は2013年にはもう特命を辞めちゃっている訳なんですね…」

神戸「僕も…2013年には特命を辞めているか移動になっていると…
そういう解釈になるんでしょうか?」

右京「えぇ、二人とも特命係を去って今はこちらのカイトくんとやっています。」

カイト「あの…その…こんな形で先輩方にお会いするとは思いませんでした…」

亀山「いや…俺も…まさか未来にタイムスリップして後輩に会う事になるとは思わなかったよ…」

神戸「なんというか貴重な体験ですね…」

亀山、神戸、カイトの三人の歴代相棒が挨拶を交わす中陣川がこの事態について右京に問い質した。


334 : 1[saga] - 2013/10/02 18:50:37.08 2COECal70 207/360

右京「恐らくこの現象は…この家が原因でしょう、この家に溜めこまれた呪いの力が
増大してしまい時空が歪められた、結果過去の世界から亀山くんと神戸くんがやって来てしまった。
恐らくこういう事だと思われます。」

亀山「ここが未来の世界…教えてください右京さん!一体未来で何が起こったというんですか!?」

右京「それは…こういう事が起きたのですよ!」

右京が居間の窓を指差すとそこには…


335 : 1[saga] - 2013/10/02 18:51:33.82 2COECal70 208/360

伊丹『あ゛…ああああ…』

三浦『あ゛あ゛…ああああ…』

芹沢『あ゛あ゛あ…あああ…』

亀山「伊丹!三浦さん!芹沢!?」

角田『あ゛ああああ…』

米沢『あ゛…ああ…』

大河内「あ゛…あああああ…」

神戸「角田課長に米沢さんも…それに大河内さんまで…これはどういう事なんですか!」

亡者と化した伊丹たちが居間の窓に這い蹲り、すぐにでも中に入ってきそうな勢いで
迫ってきていた。


336 : 1[saga] - 2013/10/02 18:52:21.83 2COECal70 209/360

陣川「僕たちが気付いた時には…この世界はこんな地獄に…」

カイト「俺たち以外の人間はもう…無事じゃないでしょうね…」

亀山「何なんだよこれは…」

神戸「一体何でこんな事に…」

右京「佐伯伽椰子…そしてその息子である俊雄くんの仕業に間違いないでしょうね。
思えば事の発端は彼らに合ったのですから。
佐伯伽椰子は夫の剛雄の手により無残な死に方をした。
そしてその恨みを晴らすために剛雄を殺害するもののそれだけでは恨みは収まらず、
この家に関わる者を次々と殺害していった。
この家で事件が起こるたびに警察関係者、報道、更には興味本位でこの家に
肝試し気分で訪れる者たちが現れる。
佐伯伽椰子はそうした人々を次々と呪い、その呪われた人々がさらに呪いを増やし…
それが広まって…このような事態にまで発展してしまったのでしょう。」


337 : 1[saga] - 2013/10/02 18:52:48.03 2COECal70 210/360

亀山「なんてこった…じゃあ美和子やたまきさん…それに官房長までこんな風に
なっているって事ですか!?」

右京「…」

神戸「お言葉ですが…官房長は既に亡くなっています。
2010年に刺されてしまい…だから今回の件とは関係ないと思いますよ。」

亀山「か…官房長が亡くなってる!?マジかよ…」

右京「神戸くん、それ以上は…亀山くん…今僕らに出来るのは彼女たちの
安否を気遣う事ではありません、一刻もこの事態を収拾する事ですよ!」


338 : 1[saga] - 2013/10/02 18:53:16.57 2COECal70 211/360

カイト「けどこの事態を収拾するってどうすればいいんですか!俺ら霊能力者でもないし…」

陣川「そうですよ!いくら僕たちが警察官だからってこんな超常現象を解決させる方法は…」

右京「ひとつ方法があります、しかしこの方法を行うにはある人物の協力が不可欠です!」

神戸「ある人物?」

亀山「右京さん…その人物って誰なんですか?」

右京「神戸くん、やはりキミ…持っていましたね、その絵…」

神戸「絵?あぁ…この子供が描いた絵の事ですか、そういえばずっと握り締めたままだったな。」

右京は神戸が持っていた俊雄の描いた絵とそれに自分が所持している伽椰子の日記を持ち出した。


339 : 1[saga] - 2013/10/02 18:53:50.61 2COECal70 212/360

カイト「そんなモンを一体どうする気ですか?」

右京「この二つの品はこの家の呪いの集合体、謂わばこの家の呪いの象徴とも言えます。
そして…佐伯伽椰子と同じくもう一人この呪いを生み出す元凶である…そう…」


ギシギシッ  ギシギシッ


右京が推理を語っている時であった、居間のソファーを揺らしている音がした。
全員が気になりその音の方を見るとそこにはいたのは…


340 : 1[saga] - 2013/10/02 18:54:25.45 2COECal70 213/360

陣川「うわっ!?」

亀山「なっ!子供!?」

神戸「まさかこの子供は…」

カイト「杉下さん…この子供ってもしかして!」

右京「やはり…この家で二つの品が揃えばキミが現れると思っていましたよ。
母親である佐伯伽椰子と共に幾多の人間を呪い続け…そしてこの大惨事を引き起こした
もう一人の張本人…佐伯俊雄くん!!」


俊雄『ミャー!!』


そう、現れた少年の名は佐伯俊雄。
5年前行方不明となり現在も捜索が続けられている佐伯伽椰子の一人息子であった。


341 : 1[saga] - 2013/10/02 18:56:22.47 2COECal70 214/360

とりあえずここまで

続きは深夜にでもできたらいいなと…

たぶんですが読んでる方は状況がこんがらがっていると思いますが
後でわかりやすく解説しますので…今はご勘弁ください

351 : 1[saga] - 2013/10/03 18:20:44.09 G5M1PBVQ0 215/360


―――

――――

――――――


そこは薄暗い場所…


―『ハァ…ハァ…』


ガリッ  ガリッ


中年の男がいた、その男はとても苛立っていて自分の爪を噛みストレスを和らげている。

―『あぁ…やめて…お願い…』

もう一人…女もいた、命乞いをしている、何故彼女は命乞いをしているのだろうか…


352 : 1[saga] - 2013/10/03 18:21:23.81 G5M1PBVQ0 216/360

―『お前は俺を裏切った!あの子は俺の子じゃなかったんだ!』

―『ちがう…ちがうの!?』

―『黙れぇぇぇぇ!!』

男は持っていたナイフを振り降ろし、女を殺そうとした!

だが…


353 : 1[saga] - 2013/10/03 18:21:50.14 G5M1PBVQ0 217/360



「「待ちなさい!!」」


ガシッ


―『な…なんだ!?』

男の強行は突然現れた5人の男たちにより防がれた、その男たちの正体は…


354 : 1[saga] - 2013/10/03 18:22:22.19 G5M1PBVQ0 218/360

右京「どうやら間に合ったようですね。」

カイト「杉下さん、女性の方も大丈夫ですよ。怪我はしてるけど軽症です!」

―『に…2階に子供がいるんです…』

右京「わかりました、陣川くん!至急2階に行って子供の保護をお願いします!」

陣川「ハイ!」

陣川は右京の指示により2階にいるであろう子供の安全を確認しに行った。
その間に右京たちは先ほど女性を襲おうとした男に対して尋問を行っていた。


355 : 1[saga] - 2013/10/03 18:22:57.70 G5M1PBVQ0 219/360

―『アンタら一体何者なんだ!?』

右京「申し遅れました、警視庁特命係の杉下と言います。」

カイト「同じく特命係の甲斐です。」

神戸「同じく神戸です。」

亀山「同じく亀山!また…会ったな、佐伯剛雄!」

剛雄「ハァ!?俺はアンタらと会った覚えなんて…」

亀山「あ゛ぁ!何言ってんだ?昨日会ったばかりだろ!」

剛雄「?」


356 : 1[saga] - 2013/10/03 18:24:46.79 G5M1PBVQ0 220/360

右京「亀山くん、無茶を言ってはいけません。こちらの佐伯剛雄は僕やキミと
面識は無いのですからね。」

亀山「あ、そうか…」

カイト「え~と…あなたが佐伯伽椰子さんですよね、もう大丈夫ですから。」

伽椰子「ハ…ハイ…」

陣川「杉下さん、2階にいた俊雄くんは無事です!」

俊雄「…」

右京「どうもありがとう。」

剛雄「チクショウ…警察だと!令状も無しで勝手に他人の家に上がっていいのか!?」

亀山「うっせえ!自分の女房殺そうとしたくせに令状だとか一丁前な事言ってんじゃねえ!」

神戸「それに令状なんか無くてもこの状況下ならあなたを緊急逮捕できますのでどうぞご安心ください。」

剛雄「クッ!アンタら一体何で…」

剛雄は右京たちに何故この事態に駆けつける事が出来たのか問い質そうとしたが…


357 : 1[saga] - 2013/10/03 18:25:19.47 G5M1PBVQ0 221/360

右京「あなたが疑問を持つのはもっともでしょうが…それはあなたが気にするべき問題ではありません。
それよりも…佐伯剛雄さん、あなたが妻である伽椰子さんを殺そうとした理由は…
この伽椰子さんの日記を読んだから…そうですね!」

剛雄「そうだ、その日記に書かれていた小林って男が俊雄の本当の父親なんだろ!」

亀山「だからってなぁ…奥さん殺すだなんて許されやしないんだよ!」

神戸「そうですよ!離婚でもして別れればいいんじゃ…」

剛雄「そ…それは…」

この時何故か剛雄は狼狽え始めたが右京は剛雄の顔をジッと見てある事を指摘する。


358 : 1[saga] - 2013/10/03 18:26:02.56 G5M1PBVQ0 222/360

右京「眼球の充血具合、それに目の周りの隈や顔色、剛雄さん…あなた間違いなく麻薬常用者ですね。」

亀山「麻薬!?そういえば角田課長が佐伯剛雄を麻薬の容疑で令状取ってましたけど
まさか本当に麻薬をやってたなんて…」

右京「そして伽椰子さん…あなたもその麻薬のお零れを授かっていましたね!」

神戸「伽椰子さんまで!?」

右京「そうです、麻薬を所持しているヤクザ、暴力団の家庭ならその家族や身内まで
麻薬常用者になるケースが多いですからね。
妻である伽椰子さんも麻薬常用者であってもおかしくと思いませんか。」

亀山「なるほど…確かに…こんな日記を読んだら麻薬をやってて当然って感じがするな…」


359 : 1[saga] - 2013/10/03 18:26:44.02 G5M1PBVQ0 223/360

カイト「両親が揃って…麻薬常用者って…アンタら何考えてんだよ!」

剛雄「俺だって子供が生まれてからは麻薬とは縁を切ろうとしたさ…
けど俊雄が俺の子じゃないとわかったら…目の前が真っ暗になって…
もう何を信じたらいいかわからなく…だから麻薬に手を出したんだ!」

伽椰子「…」

俊雄「…」

陣川「お前!?子供の前でなんて事を!」

落ち込む剛雄を見かねた右京は、かつて言えなかったもうひとつの真実を剛雄に告げようとした。


360 : 1[saga] - 2013/10/03 18:27:49.71 G5M1PBVQ0 224/360

右京「剛雄さん、実はあの時…いえ…失礼しました、この時間軸のあなたに言うのは
初めてでしたか。とにかくお伝えしたい事があるのです。
あなたは恐らくこの日記に書かれている名前…つまり伽椰子さんの想い人である
小林俊介の名前、俊介の『俊』が俊雄の『俊』に使われていた事を知り伽椰子さんや
俊雄くんに虐待した、そうですね。」

剛雄「ああそうだ!それに俺は医者を問い質したら精子欠乏症だと言われて…
俺の身体じゃ子供が生まれるはずなんてないんだよ!」

亀山「そんなのは子供を殺していい理由にはなんねえんだよ!」

右京「亀山くんの言う通りですよ、それにあなたは危うく実の息子を殺すところだったのですからね!」

剛雄「俊雄が…俺の実の息子!?」

神戸「お言葉ですが…彼は精子欠乏症じゃないのですか?」


361 : 1[saga] - 2013/10/03 18:28:51.95 G5M1PBVQ0 225/360

右京「確かに佐伯剛雄は精子欠乏症なのは間違いありません。
しかし、俊雄くんがあなたの息子なのは確かなのですよ!
この伽椰子さんの日記にはこう記されていました。
『自分はいつも臆病で小林君の目すらまともに合わせられない…』と!
つまり伽椰子さんと小林俊介さんはあなたが思うような関係ではなかったのです!
それと伽椰子さん、僕が思うに恐らく小林俊介さんはあなたが大学の同期だとすら
気づいてはいなかったと思いますよ。」

伽椰子「そ…そんな…」

右京の言葉にショックを受ける伽椰子、しかし右京の推理はさらに続く。

右京「僕は俊雄くんが生まれた産婦人科の病院に行ってきました。
そこで伽椰子さんの担当をした医師から話を聞いたのですが俊雄くんはとても低い確率で
生まれた…あなたの実の息子さんなのですよ!
もし僕が言っている事が間違っているというのならお望みならDNA検査でも
なされてはどうですか、間違いなくあなたの子であると判明しますからね!」

剛雄「じゃあ…俊雄は本当に俺の…」


362 : 1[saga] - 2013/10/03 18:29:17.29 G5M1PBVQ0 226/360

右京「それにもうひとつ証拠があります、それは…名前です。
俊雄くんの『雄』の字、恐らくこの字はあなたの『剛雄』という名の『雄』から
取られたものではないのでしょうかね。
伽椰子さんもその事を承知で名前を付けたのではないのでしょうかね。」

剛雄「おい伽椰子!この刑事が言っている事は本当なのか?」

伽椰子「…」

伽椰子は暫く押し黙った後、剛雄に本当の事を告げた、それは先ほど右京が言った通り
俊雄が剛雄の子である事を…


363 : 1[saga] - 2013/10/03 18:29:47.35 G5M1PBVQ0 227/360

伽椰子「そうよ…俊雄は紛れもなく…あなたの子よ…」

剛雄「よかった…俊雄が俺の子で…本当によかった…」

剛雄は安堵した表情になった、俊雄が本当に自分の子であった事に…
だがそんな剛雄とは違い伽椰子の表情は見る見る曇っていった、その訳は…

伽椰子「私は…本当は…小林くんとの子供が欲しかった…
アンタなんかこれっぽっちも愛しちゃいない…俊雄もただ生んだだけ…
せめて子供の名前に好きな人の名前を入れておきたかった…けど私にはそれすら許さなかった…」

俊雄「お母さん?」

神戸「ちょっと…どうしたんですか?」

彼女はそうブツブツと恨み言ばかりを呟き始め、そしてその矛先は息子の俊雄へと向かった。


364 : 1[saga] - 2013/10/03 18:30:55.26 G5M1PBVQ0 228/360

伽椰子「俊雄…何故あなたはこんな男の子供として生まれてきたの?
私はこんなにも小林くんの事を愛しているのに何であなたはこんな男の子供として生まれてきたの?
あの女は…真奈美は…小林くんの子をちゃんと産めるのに…何で私は…
私は…私だって…小林くんの子供が欲しかったのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!?」

俊雄「お…お母さん…」

カイト「お…おい!子供の前で何言ってるんだ!」

亀山「真奈美ってまさか…あの惨殺された小林真奈美さんの事か…」

右京「そのようですね、彼女は小林俊介さんの事をストーキングしてましたから、
その程度の事は把握してたのでしょう。」

伽椰子はその場で力強く叫んだ、その場にいた誰もが彼女の無念を直に感じたのだから…


365 : 1[saga] - 2013/10/03 18:31:46.67 G5M1PBVQ0 229/360

しかしそんな中唯一人…伽椰子を一喝する人物がいた。


右京「「いい加減にしなさい!!」」


伽椰子(ビクッ!?)

亀山「右京さん!」

右京「あなたは俊雄くんの母親でしょう、そんなあなたが子供の存在を否定して
どうするというのですか!
そして剛雄さん、あなたは血の繋がりを疑い妻である伽椰子さんと実の子の俊雄くんを
殺そうとした!
これが……こんな事が……実の親のやる事ですか!!?」



366 : 1[saga] - 2013/10/03 18:32:16.70 G5M1PBVQ0 230/360

伽椰子「あなたなんかに何が…」

伽椰子は右京の説教に対し反論しようとするが…



右京「「一人の大人として…いえ…親として恥を知りなさい!!」」



…と右京に激昂されてしまい、最早伽椰子に反論の余地は無かった。

右京「既にあなた方は良い大人なのです、恋や快楽に夢を見る時間は…終わったのですよ!」


367 : 1[saga] - 2013/10/03 18:32:54.38 G5M1PBVQ0 231/360




ファン  ファン  ファン  ファン



ファン  ファン  ファン  ファン


それから暫くして通報を受けて駆け付けた警察がやって来た。

その通報を受けて駆け付けた刑事たちとは…


369 : 1[saga] - 2013/10/03 18:33:37.28 G5M1PBVQ0 232/360

伊丹「通報があって駆け付けてみれば…」

角田「まさかお前らだったとは…しかももう俺たちの出番殆ど無いじゃねーか…」

亀山「お二人ともご苦労様、事件は終わってるから。
犯人はこの佐伯剛雄!殺人未遂、麻薬所持でしょっ引いてくれよ!」

剛雄「…」

伊丹「匿名係の亀山ぁ!捜査一課を顎でこき使いやがって…窓際部署は大人しくしてろって
いつも言ってるだろ!」

亀山「誰が匿名係だ!?漢字間違えてんぞバカヤロウ!!」


370 : 1[saga] - 2013/10/03 18:34:20.13 G5M1PBVQ0 233/360

三浦「それで犯人はこの佐伯剛雄という男に間違いないんですね。」

右京「えぇ、妻である伽椰子さんへの殺人未遂、息子である俊雄くんへの児童虐待、
さらには麻薬所持、とりあえずこれで立件出来るはずですよ。
ちなみに麻薬の方は2階の屋根裏にあると思われますので急いで確認お願いします。」

剛雄「な…何でその事を!?」

角田「よしわかった!大木、小松、行って来い!」


大木、小松「「了解!」」


角田「それにしても相変わらず行動が早いというか…俺らがやる事もう犯人連行する事しか
残ってないじゃんかよ、俺らにも少しは活躍させろよ亀ちゃん!」

亀山「いやぁ、それ程でもないんですけどね!でもいいじゃないですか。
手柄はそっちに渡してるんですから!」


371 : 1[saga] - 2013/10/03 18:34:46.99 G5M1PBVQ0 234/360

伊丹「殺人未遂じゃなぁ!大した手柄にもならねえんだよ!」

芹沢「先輩…そんな不謹慎な事言っちゃ駄目ですよ!」

三浦「そうだぞ、こうして子供の命が助かったんだ。幸いだと思えよ!」

伊丹「まぁ…たまには亀でも役に立ったって訳か…」

亀山「うっせー!バーカ!」



372 : 1[saga] - 2013/10/03 18:35:39.15 G5M1PBVQ0 235/360

右京「それと妻の伽椰子さん、彼女も麻薬常用している疑いがあります。
彼女も一緒に連行させてください。」

伽椰子「…」

角田「なんてこった、女房まで麻薬漬けかよ…子供がいるのに恥ずかしくないのか?」

伽椰子「あの…刑事さん…俊雄はどうしましたか?」

右京「先ほど近所の方があの子を預かってくれましたよ。」

亀山「こんな親が逮捕された光景なんて子供に見せるわけにはいきませんからね!
近所に住む鷲尾さんって家庭が俊雄くんを預かってくれてますよ。
落ち着いたら迎えに行ってあげてください。」

三浦「ああ、わかった!」

伽椰子「あぁ…ご主人が財務省の役人の…確かあそこの子と俊雄が昔から仲良かったっけ…
娘さんは何年か前に死んじゃったみたいだけどどうでもいいわ…」


373 : 1[saga] - 2013/10/03 18:36:55.57 G5M1PBVQ0 236/360

右京「旦那さんはこれから長い刑期を…そして伽椰子さん、あなたも麻薬常用で暫くは
俊雄くんとは会えないでしょうね、今のあなたたちに俊雄くんを任せられませんからね。」

伽椰子「もうあの子の事なんてどうでも…」

既に伽椰子には希望なんて残ってはいなかった。

例え命が助かったとしても愛する小林俊介は自分とは違う他の女と家庭を持ち、

さらにはその女との間に子供まで出来た。

自分はというと…意中でもない男と結婚し子供を生み…さらには危うく殺されそうになり…

そしてこの苦しい現実を避けるために夫が所持する麻薬のお零れにありつく始末…

もう伽椰子に生きる望みは残っていなかった…


374 : 1[saga] - 2013/10/03 18:38:42.62 G5M1PBVQ0 237/360

右京「果たしてそうでしょうかね、それではこの絵を見てもらえますか。」

伽椰子「この絵は…」

右京「えぇ、先ほど2階にいた俊雄君はあなたたち夫婦の似顔絵を描いていたのですよ。
そこにいるあなた方…恐ろしいような感じで描かれていると思いませんか。」

伽椰子「私たちが憎たらしいのでしょう…だからこんな絵を…」

右京「ですがこの絵には…他に誰もいないのですよ…
俊雄くんにはあなたたち両親しか…頼れる人がいないのです!」

亀山「そうですよ!アンタにはまだ息子がいるんだ!血の通った実の息子が!
アンタ母親なんだぞ!ちゃんと立ち直って…俊雄くんと人生やり直すんだよ!」

伽椰子「う…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

大勢の警察関係者の見守る中、伽椰子は号泣した。

今の彼女には後悔と…そして子供への申し訳なさでいっぱいだったのだから…


375 : 1[saga] - 2013/10/03 18:39:15.53 G5M1PBVQ0 238/360

右京「それではあとはお任せします、我々はこの家でまだやる事があるので。」

亀山「じゃあな、ヘマすんじゃねえぞ。」

伊丹「うるせえ!後は調書取って送検するだけだ、ヘマしたくても出来ねえっての!」

そう減らず口を叩きながら右京と亀山は佐伯家へと入って行った。

三浦「それじゃ俺たちはさっさとこの二人を本庁に連れて行くか。」

伊丹「だな、角田課長まずはウチで殺人未遂の調書取るんで麻薬絡みはその後で…」

角田「おいおい…ちょっと待てよ!まずはこっちで調書を…」

伊丹と角田たちが口論しているその時だった。


376 : 1[saga] - 2013/10/03 18:40:42.78 G5M1PBVQ0 239/360



ブロンッ


一台の車が現場に到着した。
その車から降りてきた二人の男たちにその場にいた誰もが驚きを隠せなかった。

右京「失礼、事件だと聞いてやって来たのですが…」

角田「へ?け…警部殿!?」

亀山「あれ?何かもう犯人逮捕されちゃってるみたいなんですけど…」

伊丹「か…亀山!?」

右京「どうやらそのようでしたね、僕たちの出る幕は無いようですよ。」

亀山「伊丹くん、たまには自分たちで犯人逮捕できるなんてスゴいねぇ♪
キミもやれば出来る子だったんだねぇ…ていうかお前なんで口開けてポカーンとしてんだ?
バカみてえだぞ!それより右京さん、これからどうしますか?」

右京「そうですねぇ、もう夜になりますのでこの後は花の里にでも行きましょうか。」

亀山「了解っす!じゃあな伊丹~♪」


377 : 1[saga] - 2013/10/03 18:41:15.15 G5M1PBVQ0 240/360



ブロロロン


事件が早期解決したと聞くと右京と亀山はさっさとその場から立ち去ってしまった。
残った伊丹たちはというと…

伊丹「な…なぁ…今あいつら…家の中に入って行ったよな…」

芹沢「間違いないッスよ…俺ちゃんと見ましたから…」

三浦「じゃあ何で…車に乗って別方向から現れたんだ…」

角田「これってもしかして…ドッペルゲンガー?」

伊丹たちはさすがに混乱しさっさとその場を後にした。


378 : 1[saga] - 2013/10/03 18:41:44.34 G5M1PBVQ0 241/360

そしてその光景を佐伯家の2階から見下ろすもう一人の右京と亀山がいた。

右京「どうやら…鉢合わせせずにすんだようですね。」

亀山「いやぁ、危なかったですね。
あと一歩遅かったら過去の俺たちと鉢合わせしてたかもしれませんでしたから。」

右京と亀山が話をしているとそこにカイトたちが現れる。

カイト「すみません、遅くなりました。」

陣川「警察車輌が引き上げてますけどもうみんな引き上げちゃうんですか?」


379 : 1[saga] - 2013/10/03 18:43:51.81 G5M1PBVQ0 242/360

右京「まあそうでしょうね、犯人は逮捕しましたし証拠も押さえた。
これ以上この家に居る必要はありませんからね。
それよりも頼んでおいた事はやってもらえましたか?」

神戸「バッチリです、先ほど不動産屋の鈴木達也さんを訪ねてこの物件には関わらないようにと
念を指しておきましたから。
まあ警察の捜査が入っておまけに麻薬まで所持していたと因縁めいた事言っておきましたから
これで佐伯一家がこの家を手放す事になっても誰もこの家を購入しようとは思わないでしょう。」

亀山「じゃあ俺たちがこの時代でやるべき事は終わったわけですね。」



380 : 1[saga] - 2013/10/03 18:44:30.00 G5M1PBVQ0 243/360

右京「そうですね、これでキミの未来は変わりますよ、佐伯俊雄くん。」

俊雄『…』

右京が名指しした少年、それは佐伯俊雄であった。
しかしその姿は先ほどとは違い生気を感じさせない白い肌で半裸の状態であった。

神戸「まさか…亡者の俊雄くんに頼んで僕たちを過去の…まだ犯行が行われていない世界に送ってもらうなんて…
通常じゃあり得ませんよ。」

カイト「こんな方法…裏技でしょ…」


381 : 1[saga] - 2013/10/03 18:45:23.81 G5M1PBVQ0 244/360

右京「あの家で…時空が歪むほど呪いが満ち溢れていた状態だったからこそ出来た方法ですよ。
正直僕も成功するとは思ってもみませんでしたがね…
さて、俊雄くん。キミの人生はこれで再び生を受けられます。
ですからどうか…あの地獄の世界を…救ってくれませんか。」

カイト「頼む!」

神戸「キミも…この世界で僕たちを一緒に生きて行こう!」

亀山「そうだ!あんな真っ暗闇な世界…何も無いんだぞ!」

俊雄『…』

俊雄は暫く俯いたがすぐに顔を上げて、叫んだ。

俊雄『ミャー!』

するとどうだろうか、この家が真っ白な光に包まれ始めた…


382 : 1[saga] - 2013/10/03 18:45:50.41 G5M1PBVQ0 245/360

カイト「何だコレ?」

陣川「ど…どうなってんですか!?」

右京「どうやら…それぞれの元の時代に戻る時が来たようですね。」

神戸「お別れ…ですね。」

亀山「そうみたいッスね…といってもまたすぐに右京さんとは会えるけど…」

右京「そうですね、ところで亀山くんに神戸くん…僕はキミたちにお願いがあります。」


亀山、神戸「「お願い?」」


右京の言うお願い、それは…


383 : 1[saga] - 2013/10/03 18:46:25.34 G5M1PBVQ0 246/360

右京「元の時代に戻ったらここでの出来事を出来れば誰にも明かさずに…そして誰もこの家に入るなと
警告してもらえますか。」

亀山「誰にも…ですか?それって俺たちの時代の右京さんにもですか?」

右京「そうです。」

神戸「お言葉ですが何故その様な回りくどい事を?過去の自分に知らせればスムーズに
事が運ぶんじゃないのでしょうか?」

右京「僕の性格からして…理由を話せば否応なくこの家に関わってしまうでしょうね。
そうなれば悪戯に被害が増えるだけですよ…
ならば必要最低限の情報だけを教えた方が良いと思ったまでです。」

亀山「なるほど、右京さんなら確実にこの家に入っちゃいますからね。」

神戸「確かに…ただの警察官である僕らに悪霊退治や過去を行き来する能力なんてありませんからね…」


384 : 1[saga] - 2013/10/03 18:47:44.91 G5M1PBVQ0 247/360

右京「二人とも、頼みましたよ!必ず成功させてください…」

亀山「ウッス!わかりました!」

神戸「えぇ、任せてください!」

彼らがそう言った直後、光が消えて…全員その場から姿を消した…

最後に彼らは目撃する、俊雄の肌に生気が戻り黒い猫と共に光の先へ旅立つ姿を…

385 : 1[saga] - 2013/10/03 18:48:26.32 G5M1PBVQ0 248/360

2008年


亀山「う…うぅ…ここはどこだ?やけに狭い場所だけど…もしかしてここは…屋根裏か?」

元の時代に帰ってきた亀山は何故か屋根裏で気絶をしていた。

亀山「な…何で俺こんなとこにいるんだろ?」

亀山が疑問に思った時、誰かがこの屋根裏の様子を覗いていた、その人物は…


386 : 1[saga] - 2013/10/03 18:48:54.97 G5M1PBVQ0 249/360

右京「亀山くん!何故1階の屋根裏を調べていたキミが2階の屋根裏にいるのですか?」

亀山「右京さん!?」

そう、この屋根裏を確認したのは右京であった、亀山はさっそく先ほどの出来事を話そうとするが…

亀山(あ、ダメだ…理由を話しちゃいけないんだった!)

亀山「右京さん!よかった…まだ無事だったんですね!急いでここから逃げましょう!」



387 : 1[saga] - 2013/10/03 18:51:08.37 G5M1PBVQ0 250/360

2011年


神戸は気付くと旧佐伯家の庭に倒れていた。

神戸「う…ん…ここは…確かさっきの佐伯家の庭か…居間が見えるな…
あそこで呑気でお茶を飲んでいるのは…」

神戸「ゴクゴク…ふぅ…」

神戸「俺だ!?
すると…間違いない!杉下さんが玄関にいる!この家に入ろうとしてるんだ止めなきゃ!」

戻ってきた神戸が指摘する通り右京はこの家に入ろうとしていた、神戸は急ぎ駆けつけ
そんな右京を必死に止めた。

神戸「ハァ…ハァ…なんとか間に合ったようですね!」

右京「神戸くん…先ほど家の中に入ったキミがどうしてここに?」


―――――

―――

――


388 : 1[saga] - 2013/10/03 18:51:43.92 G5M1PBVQ0 251/360

そして2013年


特命係の部屋に右京、カイト、陣川の姿がそこにあった。

右京「どうやら…ここは…特命係の部屋ですが…」

カイト「俺たち戻ってこれたんですかね?」

陣川「でも…隣の組対5課は誰もいないみたいですけど…」

カイト「まさか…ダメだったのか?」

自分たち以外誰もいない状況、さすがに誰もがも疑念を抱いた。

そんな時足音が近づいてきた、誰かと思ったら…



389 : 1[saga] - 2013/10/03 18:52:11.77 G5M1PBVQ0 252/360

右京「角田課長!」

角田「…」

カイト「あの…角田課長?」

カイトは恐る恐る角田課長を尋ねてみる、先ほどみたく亡者ではないかとい疑っているからだ。

しかし…


390 : 1[saga] - 2013/10/03 18:53:05.86 G5M1PBVQ0 253/360

角田「よ、暇か?」

右京「はぃ?」

カイト「あの…角田課長ですよね?」

角田「何言ってんだお前?俺が他に誰に見えるってんだよ。
ていうか何で陣川までいるんだ?そういえば警部殿…さっき警察庁に行くって言ってなかったっけ?」

課長がそう言うと次第にぞろぞろと組対5課の人間が部屋に戻ってきた。

角田「さっきまでウチ会議しててさ、明日の明朝…城南金融の摘発だよ。おかげで今夜は泊まり込みだ…」

大木「じゃあ課長、俺たち今日ここで寝ますから。」

小松「それじゃお休みなさい…zzz」

角田「おいお前ら!まだ夕方だぞ!寝るには早過ぎだろ!?」


391 : 1[saga] - 2013/10/03 18:54:01.87 G5M1PBVQ0 254/360

カイト「これってつまり…事件は無事解決したって事ですかね?やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

陣川「あぁ!世界は救われたんだ!!」

右京「…」


全ては元通りになった、あの禍々しい亡者は消え去り悪夢は終わった。

誰もがそう思った。


最終話に続きます

記事をツイートする 記事をはてブする