【前編】の続きです

315 : 1[saga] - 2013/09/08 19:34:11.59 zza+OuTy0 211/382

~議員会館~


片山雛子のオフィス


9月1日、PM13:00


右京とカイト、それに伊丹、三浦、はここ議員会館の片山雛子のオフィスで
彼女が来るのを待っていた。
(ちなみに芹沢は先ほどのカップを鑑識に持っていくため右京たちとは別れて行動中)
何故このような事態になったかというと…

伊丹「おいカイト!片山雛子が警視庁から証拠品を取って行ったのは本当なんだな?」

カイト「いや…政府の役人らしき人物が持って行ったってだけなんで、
それが片山雛子の部下かどうかだなんてわからないですけど…」

伊丹「いいや!俺の勘に狂いはねえ!
やっぱりあの女は前から睨んでいた通り何か隠していると思ってたんだよ!
今日こそ化けの皮をはがいてやるぜ!!」

そう、こうなったのも先ほど亀山のマンションを出た後にカイトが思わず
片山雛子の事を伊丹の前でチラリと話してしまったのが原因であった。


316 : 1[saga] - 2013/09/08 19:35:42.85 zza+OuTy0 212/382

三浦「俺はどうも嫌な予感がしてならないんだが…
大体片山議員には過去の事件で散々煮え湯を飲まされたんだぞ。
また同じ事の繰り返しになるんじゃないか?」

伊丹「いいや今度こそ大丈夫だ!何故なら俺の勘がそう告げているからだ!」

三浦「あぁ…なら今度も駄目そうだな…」

カイト「ねぇ…杉下さん…どうすんですか?
まだ片山雛子が関わっているという可能性があるだけで証拠とか0なんですよ。
言い逃れなんてされたらそれまでじゃないですか!」

右京「しかし今の現状では埒が明かない、なにより僕たちには時間が無い。
それを踏まえれば多少無茶でも揺さぶり位は掛けてみたいと思いましてね。」

カイト「揺さぶりねぇ…」

カイトが不安になるのも無理はなかった、確かに現状では片山雛子を逮捕できる証拠は
何つ出ていやしない。
それなのに何の策も無いまま議員会館まで訪れて、下手をすれば今度は謹慎だけじゃすまない。
クビになるかも…と思ったがよく考えてみれば自分はあと2日の命なわけだから
そんな心配をする必要もないかと考えを改めカイトは腹を括った。


317 : 1[saga] - 2013/09/08 19:36:14.34 zza+OuTy0 213/382

そして片山雛子が部屋にやって来た。

雛子「杉下さん、それと捜査一課の方々、どうもお久しぶりです。随分とご無沙汰ですね。」

右京「ええ、本多篤人の事件以来ですね。その後もご活躍なさっているそうでなによりです。」

雛子「それで今日はどういったご用件でいらっしゃったのですか?
まさか謹慎中のあなた方がこんな世間話をしに来たわけじゃないのでしょう。」

右京「おやおや、僕らが謹慎処分を受けた事をもうご存知でしたか。」

雛子「杉下さんが来られるんですもの、一応警視庁の方へご報告しておきましたので…
そしたらあなた方は現在謹慎処分を受けていると言われましてね。
まぁ私にはどうでもいい事ですけど。」

カイト「俺らの謹慎処分をもう把握してるなんていくらなんでも片山雛子警戒し過ぎでしょ…」

三浦「警部殿と片山雛子は以前にも色々と確執があったからな。
向こうが警戒しても仕方ないさ。」


318 : 1[saga] - 2013/09/08 19:36:44.39 zza+OuTy0 214/382

伊丹「単刀直入にお伺いします、先日都内で亡くなった『吉野賢三』さんですが
どうも亡くなる前にあなたの事を張り込みしていたらしいんですよ。
何か心当たりはご存じありませんかね?」

雛子「そう言われましても、ご存知かと思いますが私の仕事は守秘義務のある
事柄ばかりですからおいそれと話せないんですよ。
特に…令状も無い捜査ではお話しする事も出来ませんが…」

伊丹「かーッ!相変わらず痛いところつきますよね!」

雛子「これでも魑魅魍魎跋扈する国会で仕事してるんですよ。
訳のわからない話に振り回されるのは御免ですので。」

三浦「まぁ…こっちもただの参考程度の話ですので、そんなに警戒なさらないで
ほしいのですが…」

雛子「それは無理な話でしょう、あの杉下右京を前にして警戒するなという方が
どうかと思いますけど…」

右京「僕から言わせてもらうなら、何も疾しい事が無いなら警戒する必要が無いと思いますがね。
警戒するのは何かよからぬ事を企んでいる…そう解釈してしまうかもしれませんよ。」


319 : 1[saga] - 2013/09/08 19:37:21.63 zza+OuTy0 215/382

カイト「あの…杉下さん、そんな喧嘩腰で迫っちゃ話なんか聞かせてもらえませんよ。」

雛子「ところでこちらのお若い方は?もしかしてあなた…神戸さんの後任になったっていう…」

カイト「ハイ、今度特命係に配属された甲斐亨といいます!どうぞよろしく!」

雛子「確かお父様が警察庁の…」


カイト「「親父は関係ありません!!」」


雛子「まぁ確かに警察庁のあなたのお父様とはお近づきになりたいですけど…
個人的にあなたの心情は察する事は出来るわよ、私も政界に入った直後は…
父親の後釜継いだばかりで親の七光りだとか言われたから…」

カイト「…」

珍しく自分の心情を察してくれる片山雛子に思わず好感を抱くカイトだが、
そんな感情はこの後の彼女の豹変した態度にすぐに弾け飛ぶとはこの時のカイトには
まだ想像もつかなかった…


320 : 1[saga] - 2013/09/08 19:37:58.51 zza+OuTy0 216/382

雛子「それで…杉下さん、もうこれで話は終わりですか?
それならお帰り頂けませんかしら、これでも私は忙しいので…」

右京「その前に僕の推理を聞いていただけますかね、まぁ多少超常的現象も含みますが…」

雛子「杉下さんの推理?少し興味がありますね。いいわ、どんな推理を聞かせてもらえるのかしら?」

右京「それでは、事件の発端は45年前…いえ、57年も前に遡ります。
当時『伊熊平八郎』という学者が大島に住む『山村志津子』という女性を被験者とした
超能力の公開実験が行われていました。
そこで彼女はあらゆる実験を成功させましたがひとりの記者がこの実験を「インチキだ!」と罵った。
その直後、記者は急性心不全で亡くなった…『山村志津子』が殺したのではと
疑いを掛けられた『志津子』は発狂し…そして亡くなった。」

雛子「……気の毒な話ですがそれが何か?」

右京「話は続きます、それから12年後…
『山村志津子』の娘である『山村貞子』は成長して『劇団飛翔』に入ります。
彼女は女優になる気だったのでしょうね、しかしそうはならなかった。
劇の本番中に『貞子』は予想しなかった事態が起こり…舞台で死人が出ました。
その直後…劇団員たちは行方不明…になりました。」

雛子「そんな半世紀も前の事件を話されても困るんですけど…
杉下さん、あなた本当に何しに来たんですか?」


321 : 1[saga] - 2013/09/08 19:38:50.26 zza+OuTy0 217/382

右京「57年前に亡くなった記者には当時婚約者がいたそうです。
名前は『宮地彰子』、彼女は『山村志津子』の公開実験を調べていたそうですよ。
それはそうでしょうね、婚約者が殺されたのだから…
そして彼女は『山村志津子』の公開実験から12年後に娘の『貞子』が所属する
『劇団飛翔』に赴きます、目的は恐らく『貞子』を殺すため…
そのために彼女は拳銃を用意したそうですから。」

伊丹「け…拳銃…」

三浦「復讐のために娘の『貞子』を殺そうとするなんて…」

カイト「以前帝都新聞に勤めていた美和子さんから聞いた話です、間違いないはずですよ!」

雛子「ですからそれが何か?」

右京「少しおかしいと思いませんか、『山村志津子』が亡くなったのは公開実験が
行われてからすぐの事だったとか…
それなのに『宮地彰子』はその後も事件を調べ続けた。」

カイト「それは…娘の『山村貞子』を殺すためじゃないんですか?」

右京「ではそれは何のために?」

伊丹「決まってるでしょ!『志津子』を殺せなかったから代わりに娘の『貞子』を殺して
婚約者の恨みを果たしたかったんですよ!」


322 : 1[saga] - 2013/09/08 19:39:21.44 zza+OuTy0 218/382

右京「なるほど…恨みですか。その考えにも一理あります。
しかしそれなら何故さっさと『貞子』を殺さなかったのでしょうかね?
ただ殺すだけならいくらでも機会はあったはずですよ、それに『宮地彰子』は
警察の調書や実験の時の録音テープまで調べていたとか…
何故でしょうかねぇ。」

雛子「前置きが長いのは杉下さんの悪い癖ですね、恐らく杉下さんはこう言いたいのでしょう。
公開実験で記者が死んだのは『山村志津子』の所為ではないと…」

右京「そう!まさにその通りなのですよ!さすがは議員、冴えていらっしゃる。」

雛子「まさか…その記者を殺したのは私だとか言わないですよね。
言わなくてもわかると思いますけど57年前なんて私は生まれてませんからね!
それなのに私を疑うなんて馬鹿げてますわ!」


323 : 1[saga] - 2013/09/08 19:40:07.77 zza+OuTy0 219/382

右京「いえいえ、さすがにそんな事は考えていませんよ。
57年前の公開実験で記者を殺害したのは…『山村貞子』です!」

伊丹「なんだって!?」

三浦「なるほど!それなら辻褄が合うな!」

右京「そう、『宮地彰子』は12年掛けて調べて気付いたのでしょうね。
自分の婚約者を殺したのは『山村志津子』ではなく…娘の『貞子』だと!」

カイト「けど『貞子』って事件当時は確かまだ小学生くらいの年齢だったはずです!
大の大人を殺すなんて不可能ですよ!」

右京「『山村志津子』は公開実験に及ぶほどの超能力を有していた。
そして娘の『貞子』も間違いなく能力を持っていて…もしかしたら母親以上の
能力の素質を持っていたかもしれない、超能力に年齢は関係ないと…
そう考えられませんか!」

カイト「けどそれじゃ45年前に『劇団飛翔』で起きた事件は…
あれは一体どういう事なんですか?」


324 : 1[saga] - 2013/09/08 19:42:47.50 zza+OuTy0 220/382

右京「あの事件も『山村貞子』の仕業でしょう。
しかし彼女はそもそも舞台中に人を殺そうだなんて思っても見なかったはず…
引き起こすきっかけを作ったのは『宮地彰子』が原因でしょう。
彼女は『貞子』の本性を暴くために舞台の本番中にあるテープを流したのですよ!
それこそが…」

伊丹「まさか…内村部長が聞いたという『的中!』…『的中!』…の音声!
それがを流していたのが『宮地彰子』だというのですか!?」

三浦「しかしいくらなんでも勝手に音響いじくったら劇団の誰かにバレるんじゃ…」

右京「もしかしたら劇団の中にもいたのかもしれませんよ。
『山村貞子』を疎んでいた人物が…あの劇団で最初に起きた『葉月愛子』の事件で、
『貞子』は一度疑われていますからね。
そんな『貞子』を疎んでいる人物がいたとしてもおかしくはないでしょう。
その人物と協力して『宮地彰子』は『貞子』の本性を暴いた、つまり45年前の事件は…
『宮地彰子』によって引き起こされたのですよ!
いえ…劇団のほとんどが失踪した事を考えればもしかしたら…
『劇団飛翔』の団員たちと『宮地彰子』は『山村貞子』の本性を暴き出し…
あわよくば『貞子』を殺害しようと企んでいた、しかし計画は失敗し…
彼らは返り討ちにあってしまった、恐らくこれが45年前の事件の真相でしょう。」


パチパチパチパチ


片山雛子は右京の推理を聞き、その推理に対し拍手を送った。
だが彼女の心情は内心穏やかではなかった。


325 : 1[saga] - 2013/09/08 19:43:23.59 zza+OuTy0 221/382

雛子「素晴らしい推理でしたね杉下さん、けどその事件はもう45年前に起きた事件ですよ。
けどいくら法改正で時効が無くなったとはいえさすがにその…
『宮地彰子』という記者や、『劇団飛翔』の団員たちを裁く事は出来ません。
それに『山村貞子』という女性も…この場合正当防衛になるんでしょうかね?
まぁ彼女が団員たちを殺したという事もですが。」

右京「実は…ここまでは正直前置きの話なんですよ。
これから話す本筋の推理を語る前に議員にはどうしても知ってほしくて。」

雛子「今までのが前置き?これから話す事が本筋?何を仰ってるんですか??」

カイト「とりあえず黙って杉下さんの推理を聞いてください。
話はそれからいくらでも聞きますから!」

雛子「ハァ…わかりました、どうぞ続けてください。」


326 : 1[saga] - 2013/09/08 19:44:22.36 zza+OuTy0 222/382

右京「それでは話します、45年前…『宮地彰子』、それに『劇団飛翔』の団員たちを殺した
『山村貞子』ですが彼女もまた無事ではいられなかった。
何者かの手により伊豆の『井戸』に閉じ込められてしまい、それから30年の月日が経ち…
『浅川玲子』、『高山竜司』の手により死体を見つけてもらったのですよ。
何故二人は30年も前に閉じ込められた『山村貞子』を見つける事が出来たのか…
それは…15年前に巷で噂になった『呪いのビデオ』が関係しているからですよ!」

雛子「『呪いのビデオ』?杉下さん…あなた自分が何を言ってるのかわかってますか?
警察官がそんな非科学的な事を…」

カイト「片山さん!とにかく最後まで聞いてください!お願いします!」

雛子「…わかったわ、それで『呪いのビデオ』とやらがどうしたんですか?」

右京「彼女は先ほども言ったように母親である『志津子』以上の超能力の持ち主です。
そんな彼女の思念が『呪いのビデオ』を生みだしたのでしょうね。
事実その『呪いのビデオ』の所為で当時…
『岩田秀一』、『能美武彦』、『大石智子』、『辻遥子』、『高山竜司』、『沢口香苗』、
そして15年後の現在では『吉野賢三』、『小宮』とこれだけの犠牲者を出しています。
ちなみにこの方々は我々が確認できた人数であり…
恐らく『呪いのビデオ』で死んだ人間はまだいるはずですよ!」


327 : 1[saga] - 2013/09/08 19:46:14.97 zza+OuTy0 223/382

雛子「あの…杉下さんの仰る事が全然わからないんですけど!
いきなりやってきて事件の聴取に来たかと思えば急に50年以上も前の事件についての
推理を語り出して、おまけに今度は『呪いのビデオ』!?さすがの私も怒りますよ!!」

カイト「まぁ…そりゃそうですよね。」

伊丹「無理もねえよな…聞いてる俺らですら付いていけねえや…」

三浦「まぁ警部殿には何かお考えがあっての事だろうがさすがにこれは…」

雛子「もう我慢できません!今すぐお引き取りください!
これ以上くだらない話に付き合う気はありません!!」

カイト(この人怒ると恐いな…TVのイメージとは大違いだ…)

普段は温厚なイメージで世間からも注目を集める片山雛子だが、そんな彼女でも
突然やって来られて『呪いのビデオ』の話をされれば怒りたくもなるだろう。
だが右京の推理は終わらない、いや…ここからが重要なのだから。


328 : 1[saga] - 2013/09/08 19:46:53.18 zza+OuTy0 224/382

右京「いいえ、まだ帰るわけにはいきませんよ。大事なのはここからなのですから。
15年前、精神病院の『川尻』医師が『倉橋雅美』という少女を担当しました。
この『倉橋雅美』というのは先ほど述べた『呪いのビデオ』を見て亡くなった
『大石智子』の死亡現場に居合わせた少女です。
この当時彼女は『大石智子』の死にトラウマを感じてしまい、精神病院に入院してましたが
彼女が『呪いのビデオ』の影響を受けた事を知った『川尻』医師は『山村貞子』の
怨念の除去を行う実験をしました。
しかしその実験は失敗…『川尻』医師もその最中に死亡したとの事です。」

雛子「それが何だと言うんですか?どう考えても私にはその『川尻』という医者が
マッドサイエンティストだという印象しかないのですけど!」

右京「僕たちは彼の遺品を探しました、当時の同僚の方の証言によれば
遺品はまだ警察にあるのではと聞かされましてね…」

カイト「しかしありませんでした、持って行ったのは政府の人間だと言われてますがね。」

雛子「政府の人間って…あなた政府の人間が世間にどれだけいると思っているんですか?
あなた方警察官だって一応政府の人間でしょうが!」

カイト「あ…いや…それは…」


329 : 1[saga] - 2013/09/08 19:49:03.26 zza+OuTy0 225/382

右京「持って行ったのは防衛省の人間だそうです。
その日の警視庁の来庁者の記入リストを見ましたからね、恐らく間違いないでしょう。」

雛子「ぼ…防衛省?何で防衛省が精神科医の遺品を持って行ったのですか?」

右京「恐らく『山村貞子』の実験を聞きつけたのでしょう。
『川尻』医師が行った実験は恐らく国がある程度絡んでいた可能性があります。
さて、そこで僕はひとつ考えてみたのですよ、『呪いのビデオ』…
もしこれを手に入れたらどうしようと思いますかねぇ。
たとえばカイトくん、キミはどうしますか?」

カイト「そりゃ…そんな危険なモン処分しますよ、何があるかわからないし…」

右京「それでは伊丹さんと三浦さんは?」

伊丹「見ただけで死んじまうんですよ!誰がそんな危ないモン持っていられますか!
捨てちまいますよ!」

三浦「俺も伊丹と同じ考えですよ、警部殿…それが一体何だと…」


330 : 1[saga] - 2013/09/08 19:49:32.50 zza+OuTy0 226/382

右京はカイト、伊丹、三浦にもしも自分が『呪いのビデオ』を手にしたらという
質問を順番に行った、そして最後に片山雛子にも質問をしてみた。
彼女の答えは…

雛子「私なら………みなさんと同じ意見です。
そんな危ないモノはさっさと処分するのが当然でしょうね。」

右京「……なるほど、それが片山議員の『本音』だと一応受け止めましょう。
さて、みなさんは『呪いのビデオ』を手に入れたらどうするかの質問にどなたも
処分すべきだという回答でしたね、この行動に僕からは文句なんて言いません。
いえ…それどころかあなた方はむしろ正しい行動を取ったと思いますよ。
ですがもしも…もしもですよ、この『呪いのビデオ』を手に入れた者が
何かよからぬ事を企んだとしたらどうしますか?」

カイト「よからぬ事?」

伊丹「どういう事ですか警部殿?」


331 : 1[saga] - 2013/09/08 19:50:12.10 zza+OuTy0 227/382

右京「見たら1週間後に必ず死ぬ『呪いのビデオ』、死んだ人間は急性心不全を起こし
その死は多少不自然だろうが病死扱いされる。
もしも悪意ある人間が『呪いのビデオ』を悪用し特定の人間に見せたらどうなるか…
『呪いのビデオ』を見せられたその特定の人間は1週間後に急性心不全で死亡、
警察は病死と判断し殺人事件ではなく病死として処理されてしまう。
これ…完全犯罪が成立すると思えませんか?」

雛子「……」

この瞬間先ほどまで怒声を口にしていた片山雛子が急に静かになった。
これを見逃す右京ではなかった、そして右京の推理はまだ続いた。


332 : 1[saga] - 2013/09/08 19:51:00.22 zza+OuTy0 228/382

右京「そう、悪意ある人間の手に『呪いのビデオ』が行き渡り、呪いを回避する方法を
知り得ているならその人物は間違いなく『呪いのビデオ』を悪用するはずです。
ましてやそれが国家ともなればどうでしょうか?特に防衛省ともなればねぇ…」

カイト「一体どうなるっていうんですか?」

右京「先ほど述べた事を拡大するだけですよ、敵対する国家に『呪いのビデオ』の
映像を公開させる。この映像を見た対象の国家は…1週間後…恐らく死体の山が出来ている
でしょうね…大量殺戮がいとも簡単に行えておまけに核ミサイルのように周囲への
汚染を気にする必要もない、ましてやただビデオの映像を公開しただけなので
周辺国からは疑われたり報復される恐れすらない…
究極の殺人兵器『呪いのビデオ』…恐ろしいと思いませんか?」

雛子「プッ…フフフ…アハハハハハハ!
『超能力』?『呪いのビデオ』?『防衛省』?杉下さんの荒唐無稽な話を
黙って聞いてましたけど本当に頭大丈夫ですか?」

カイト「なら…証拠を見せてあげますよ!杉下さんいいですか?」

右京「えぇ、僕は構いませんよ。どの道この事を信じてもらうには多少の無茶は
致し方ないと思っていますからね。」


333 : 1[saga] - 2013/09/08 19:52:14.94 zza+OuTy0 229/382

カイト「片山さん、あなたの携帯で今すぐ俺と杉下さんを撮ってもらえますか?
それで杉下さんが言った事が全部本当だってわかりますから!」

雛子「わかりました、撮りますよ。」


パシャッ


片山雛子はカイトに言われた通りに自分の携帯で右京とカイトを撮るが、
二人を撮ったその写真には右京とカイトの顔に白い靄が掛かっていた。
さすがにこれには驚く片山であったが…


334 : 1[saga] - 2013/09/08 19:53:44.92 zza+OuTy0 230/382

雛子「こんなの…トリックか何かでしょう?
まったく忙しい国会議員を相手によくもこんなふざけた真似を…もういいです!
お引き取りください!!」

右京「えぇ、もう結構ですよ。
こちらこそお手間を撮らせて申し訳ありませんでした。」

結局右京たちは片山雛子から肝心な事を聞けずに彼女のオフィスを後にする。
しかし右京たちが帰ってすぐ秘書たちに彼女はある2つの場所へ連絡を取ろうとする。

雛子「ねぇキミ、すぐに防衛省の『山岸邦充』長官と連絡を取ってくれる。急いで!」

秘書A「わかりました。」

雛子「キミは…警察庁に連絡して。」

秘書B「警察庁にですか、どなたに連絡を取ればよろしいのでしょうか?」

雛子「勿論、警察庁長官官房付の神戸尊さんによ!」


337 : 1[saga] - 2013/09/08 20:02:44.99 zza+OuTy0 231/382

議員会館から出た右京とカイト、それに伊丹たち。
しかし伊丹たちは最早話に付いていけないと嘆き「あとはお好きにどうぞ。」と
言って去って行った。
残った右京とカイトは残り1日半のタイムリミットで動くかを考えていた。

カイト「どうするんですか?
まさかこのまま防衛省に乗り込んで『呪いのビデオ』は無いか調べますか?
まぁ…令状無いから無理でしょうけど…」

右京「そのような強硬手段に及ばなくてもそろそろ何かしらの動きがあると思いますがねぇ…」

カイト「動きって…どういう事ですか?」

右京「先ほど片山議員の前であれだけ真相を述べたのです。
恐らく彼女は今頃急いで各方面と連絡を取っているはずでしょうね。
まぁ無理もないでしょう、恐らく彼女も肝心な部分は聞かされてないはずですからね。」

カイト「え?だって…『吉野賢三』は死ぬ前に片山雛子を張り込んでいたはずじゃ!?」


338 : 1[saga] - 2013/09/08 20:04:29.66 zza+OuTy0 232/382

カイト「え?だって…『吉野賢三』は死ぬ前に片山雛子を張り込んでいたんでしょ!
彼女が黒幕じゃないんですか!?」

右京「カイトくん、これは僕の片山雛子に対する個人的な見解ですが…
彼女は一見何かよからぬ事を企んでいる策略家…なのは確かでしょうが、彼女自身が…
直接手を下す事はしない…いえ、そもそもそのような危ない橋を渡る人物ではない。
つまり『限りなくクロに近いシロ』だという事ですよ。」

カイト「なんか…言ってる事がよくわからないですけど…とにかく彼女はこの件には
関わってはいないって事なんですかね?」

右京「まぁ…それでも恐らく触り程度には関わっていると思いますがね…」


339 : 1[saga] - 2013/09/08 20:07:19.66 zza+OuTy0 233/382



ヴィー ヴィー ヴィー


右京とカイトが片山雛子の人物像について話してる最中に右京の携帯に一通の電話が掛かってきた。
その相手は…

右京「おや?…この番号は…」

カイト「誰からですか?」

右京「今日は昔の馴染みと縁があるようですね、もしもし。
これはまた随分とお久ぶりです、はぃ?わかりました、すぐに伺います。」

カイト「電話…誰からでしたか?」

右京「キミのもう一人の先輩である神戸尊くんからでした。
今僕らが調べている件ですぐに話があるので警察庁に来てくれとの事です。」

カイト「警察庁…ですか?」

右京「どうしました?行きますよ。」

カイト「まぁ…親父と会う訳じゃないから大丈夫だよな。」

カイトは嫌煙する父親と会わぬ事を祈りつつ右京とともに警察庁へと向かった。

340 : 1[saga] - 2013/09/08 20:08:09.36 zza+OuTy0 234/382

警察庁


9月1日、PM15:30


右京とカイトは神戸により警察庁に招かれた部屋の一室である話を始めていた。

神戸「杉下さん、こうして面と向かって会うのは本当にお久しぶりですね。」

右京「えぇ、本当に。仕事の方は大丈夫なんですか?」

神戸「まぁ…なんとかやってますよ。正直苦手な上司がいますけど…」

右京「長谷川宗男元副総監…あの人の下ですからね。」

神戸「大丈夫ですよ、苦手な上司は杉下さんで慣れましたから…」


341 : 1[saga] - 2013/09/08 20:08:45.70 zza+OuTy0 235/382

カイト「あの…杉下さん、こちらの方は?」

右京「彼は神戸尊、現在は警察庁勤務ですがかつては特命係にいた事もあるんですよ。
ちなみにキミの前任者になります。」

カイト「あれ?前任者って…じゃあさっき会った亀山さんは!?」

神戸「彼は僕の前に居たんだよ、亀山さんが辞めた直後で僕が配属された訳だよ。
キミが…新しく特命係に配属された新人くんだよね、よろしく神戸尊です。」

カイト「あ…自己紹介遅れてすみません、甲斐亨です。みんなからはカイトって
呼ばれてますけどね。」


342 : 1[saga] - 2013/09/08 20:09:34.69 zza+OuTy0 236/382

神戸「甲斐?ひょっとして…そういえば甲斐次長の息子さんが警視庁にいるって噂を
聞いた事があるけどまさか…」


カイト「えぇ、その出来の悪い息子です!!」


神戸「何か気に障ったようだね、ゴメンよ。」

カイト「いやぁ…気にしてませんから、ハハハ!」

神戸(目が笑ってないんだけど…)


343 : 1[saga] - 2013/09/08 20:10:13.93 zza+OuTy0 237/382

右京「ところで神戸くん、僕らを呼んだという事はひょっとして…」

神戸「杉下さんの察しの通り、先ほど片山議員から連絡があったんですよ。
なにやらとんでもなく荒唐無稽な話を彼女の前で言ったそうですね。」

右京「荒唐無稽…まぁ確かに…そうかもしれませんね。」

カイト「…ったく!片山雛子…もう警察庁にチクッたんですか!
お偉いさんってのはクレームにだけはいち早く対応しやがるな!!」

神戸「まぁ…片山議員からの連絡はそんなクレームじゃなくてですね…
今から話す事は守秘義務が課せられます、こうしてお二人をわざわざ警察庁に呼ばなければ
ならない程の重要な話だというのを予め承知してください!」

カイト「重要な話…それって一体…」

右京「神戸くん、話してもらえますか?」


344 : 1[saga] - 2013/09/08 20:11:17.38 zza+OuTy0 238/382

神戸「杉下さん、覚えていますか?
かつて亀山さんと相棒を組んでいた頃に逮捕した『小菅彬』の事を…」

右京「『小菅彬』?彼はまだ刑期満了してないはずですが?」

神戸「それがですねぇ…」

カイト「ちょっと待ってください!その『小菅彬』って何者なんですか?」

神戸「そうか、キミは知らないよね。」

右京「無理もありませんね、あの事件は関係者以外には伏せていましたから。」

何も知らないカイトのために右京はかつて『小菅彬』が起こした事件について説明した。


345 : 1[saga] - 2013/09/08 20:13:06.58 zza+OuTy0 239/382

『小菅彬』、彼はかつて自分が勤める国立微生物研究所である事件を起こした。

彼は研究所の高度安全室に保管されているウイルスを強奪し、
その際に同僚の職員である後藤一馬を殺害しウイルスを所持したまま逃亡。

後に外部に持ち出されたウイルスがBSL(バイオセーフティーレベル)の、
レベル4で作られたウイルスであった事が発覚する。

すぐに警視庁は警戒態勢を敷き、『小菅彬』を確保する事に成功、最悪の事態は回避された。

しかし彼の真の狙いは防衛省が密かにレベル4の施設を稼働させている事を世間に公表して、

日本人の危機感と防衛意識を植え付けるのが本当の目的だった。

ちなみにこの事件は右京が亀山とともに捜査した最後の事件でもある。

346 : 1[saga] - 2013/09/08 20:14:13.54 zza+OuTy0 240/382

カイト「そういえば…思い出しましたよ!
俺が新米警官だった頃、突然上から警戒態勢だって言われて…
俺なんか非番だったのにいきなり召集されましたよ…けど犯人の名前は明かされませんでしたね?」

神戸「前代未聞の犯罪だったからね、彼の身元は一切明かさずに秘密裏に逮捕された訳さ。」

右京「『我が子』…」

カイト「どうしました?」

右京「いえ、『小菅彬』は自ら作ったウイルスを我が子だと言ったのを思い出しましてね…
しかし何故彼の話題を持ち出すのですか?会話の意図が見えないのですけど…」


347 : 1[saga] - 2013/09/08 20:15:17.52 zza+OuTy0 241/382

神戸「実は…防衛省の『山岸邦充』長官が『小菅彬』を秘密裏に出所させたんですよ!」

カイト「それ本当ですか!?だって相手は犯罪者じゃ…」

神戸「静かに!
この事は世間には公表されてないし警察庁でも極一部の人間にしか知らされてないんだから!」

カイト「あ、すいません…
けどそれじゃ国が犯罪者相手に司法取引したってわけじゃないですか!
こんな事態あり得ませんよ!?」

神戸「まぁ…そうなんだけどさ…」

右京「しかし彼が逮捕されたのは2008年の5年前、何故今頃になって彼が出られたのでしょうか?」


348 : 1[saga] - 2013/09/08 20:16:38.77 zza+OuTy0 242/382

神戸「それは…国が以前にも犯罪者と司法取引した前例を作ったからですよ。」

右京「なるほど、本多篤人の一件…あれが思わぬ引き金になってしまいましたか。」

カイト「本多篤人って確か赤いカナリアの元幹部で現在は死刑囚の…
そういえば3年前に死刑執行された本多が実は生きてておまけに出所していたとかで
大騒ぎになりましたよね!」

神戸「そう、詳しい事情は言えないけど本多の時に一度超法規的措置が執行されてね。
その前例の所為で『小菅彬』も無期懲役だったはずがこうして晴れて出所してしまった
という訳ですよ。」

右京「ちなみに彼が秘密裏に出所したのはいつ頃の事でしょうかね?」

神戸「これがつい最近でして、1ヶ月前なんですよ。
…といっても本多の時のようなすぐにされたわけではなくて、
本多の一件を知った防衛省が3年掛けて『小菅彬』を出所させたわけですけどね…」


349 : 1[saga] - 2013/09/08 20:18:55.80 zza+OuTy0 243/382

カイト「1ヶ月前…確か警視庁から『川尻』の遺品が持ち去られたのも1ヶ月前ですよね。
けどこの件に何故片山雛子が関与しているんですか?」

神戸「それは…」

右京「それは片山雛子も『小菅彬』の出所に一役買ってしまったのでしょうね。
恐らくですが防衛省に『小菅の研究は国益になる』とでも言われたのでしょう。」

神戸「まったくもって杉下さんの仰る通りですよ。
まぁ…僕も『小菅彬』の出所を手伝わされた身ですのであまり強くは言えませんけどね…」

右京「なるほど、『小菅彬』の出所に防衛省…色々と見えてきましたよ。
恐らく『吉野賢三』は防衛省が片山雛子と協力この『小菅彬』の出所についてを、
彼女を張り込んでいる内に知った。
そして彼らが『呪いのビデオ』、それに『山村貞子』について関わっている事を知った
『吉野賢三』はかつての同僚である『岡崎』の机から『呪いのビデオ』を見つけてしまい…」

カイト「『吉野賢三』と『小宮』は死んだ、『早津』さんは偶然助かったに過ぎませんけどね…
でもこれでこの事件の黒幕がわかりましたよ、すぐに防衛省へ行きましょう!」


350 : 1[saga] - 2013/09/08 20:20:06.65 zza+OuTy0 244/382

神戸「そういう訳にもいかないんだよ、その『山岸』長官は現在出向中で
戻ってくるのは明日になるそうです。」

カイト「明日って…嘘だろ…」

右京「なるほど…そうきましたか。」

カイトが不安になるのも無理はなかった、明日は『呪い』のタイムリミット残り1日になる。
つまり…それを過ぎれば…右京とカイトは…

右京「どうやら明日…すべてに決着を付けなければいけないようですね!」


351 : 1[saga] - 2013/09/08 20:22:57.62 zza+OuTy0 245/382

ここまで
小菅彬って誰?と思った方は相棒シーズン7の8話、9話を見てください。
亀山さん最後の事件です。


359 : 1[saga] - 2013/09/09 21:09:13.49 UOKzdiG30 246/382

~防衛省~


9月2日、AM9:00


ついにタイムリミットの日がやって来た、今日を過ぎれば右京とカイトは『呪い』
により死んでしまう。
それを防ぐためにも彼らは防衛省にやって来たわけだが…

カイト「ついに今日ですね…」

右京「えぇ、なんとかして『呪い』を解く方法を見つけなければいけませんからねぇ。」

カイト「それはいいとして…」

大河内「何かな?」

神戸「さぁ行きましょうか、アポは前もってしといたのでご安心を♪」

カイト「神戸さんはともかくとして…何で大河内監察官がここにいるんですか!?」


360 : 1[saga] - 2013/09/09 21:10:39.88 UOKzdiG30 247/382

右京「正攻法で防衛省の長官に会うのですよ、僕らでは無理ですからねぇ。
神戸くんと大河内さんにお願いしたまでですよ。」

カイト「だからって大河内さんまで呼ぶ事ないでしょ…
俺たちこれでも謹慎処分受けている事を自覚しましょうよ…」

右京「そんな心配今更だと思いますがねぇ…」

大河内「ご心配なく、特命係への処分は自宅謹慎から30%の減俸に変更になったので
何の問題もありません。」

カイト「あの…それ…個人的にすんごい大問題なんですけど…」

大河内「ならばこれに懲りて勝手な勤務違反は控えるように、わかりましたか?」

カイト「ハイ、重々承知しました…」


361 : 1[saga] - 2013/09/09 21:11:09.63 UOKzdiG30 248/382

神戸「まぁ…杉下さんの下で働いている内は勤務違反をするなって方が無理なんだけど…」

右京「おやおや、僕が他人に勤務違反を率先する事なんて一度でもしてませんよ。」

神戸「ハハハ…」(自覚ないのかよ!?)

カイト「とにかく早く急ぎましょう!俺たちには時間が無いんだから!」

こうして彼らは長官の部屋に通され待っていたが…


362 : 1[saga] - 2013/09/09 21:11:52.94 UOKzdiG30 249/382

………………


(1時間経過)


………………

(2時間経過)


………………


(3時間経過)


………………


(4時間経過)


………………


(5時間経過)




363 : 1[saga] - 2013/09/09 21:12:18.97 UOKzdiG30 250/382

………………


そしてついに6時間経過した頃今まで沈黙を守っていたカイトが立ち上がりこう叫んだ。


カイト「「だーっ!!いくらなんでも待たせ過ぎだろ!?」」


大河内「場所を弁えなさい!ここをどこだと思っているんだ!?」

右京「しかしカイトくんの言う事ももっともですね、いくらなんでもさすがに6時間は
待たせ過ぎでしょう。
神戸くん、疑う訳ではありませんが…キミ…ちゃんとアポを取りましたか?」


364 : 1[saga] - 2013/09/09 21:13:06.31 UOKzdiG30 251/382

神戸「お言葉ですが…ちゃんと取りましたよ、長官の秘書に連絡を取りAM9:00に
『正式』にお会いする約束を頂きましたからね!」

右京「ですがこの場には現れていない、これはいくつか考えられますね。
①長官が約束を忘れてしまっている。
②我々が来る事を知っているが無視している。
③何かトラブルに見舞われてしまいこの場に来る事が出来ない。」

神戸「①は無いでしょうね、この僕がちゃ~んとアポを取りましたし
昨日の今日ですよ、忘れる訳がないじゃないですか!」

大河内「②も無いでしょう、仮にも警察庁が正規に面会する約束をしたのですから、
それをすっぽかすなんてまずあり得ない。
もしそんな事をしたら両者に確執を生む事くらい長官も存じているはずです。」

カイト「じゃあ残る可能性は…③の何らかのトラブルに見舞われたと…
けど一体何があったというんですか?長官のスケジュールなんかわかりませんよ!」


365 : 1[saga] - 2013/09/09 21:13:42.74 UOKzdiG30 252/382

大河内「とにかく連絡を取ってみましょう、私は少しの間席を外すので失礼する。」


バタンッ


大河内が部屋から出たと同時に右京はいつもの悪い病気が出てしまい周囲の者を
手当たり次第物色し始めた。

カイト「ちょっとちょっと杉下さん!ここ長官の部屋ですから!
何やってんですか!自重してくださいよ!?」

右京「すみませんね、引き出しとかあるとつい中身を見てしまう癖がありまして。
細かい所まで気になるのが僕の悪い癖でしてねぇ…」

カイト「だからってここ…お偉いさんの部屋なんだから自重してくださいよ…」

神戸「まあまあ…この人の下に就いたらこんな事日常茶飯事になるから早く慣れた方が良いよ。」

カイト「いやいや、そこは慣れちゃダメでしょ…」


366 : 1[saga] - 2013/09/09 21:14:22.00 UOKzdiG30 253/382

右京「おやおや…こんな物が出てきましたよ。」

神戸「それ…ファイル…ですね。」

カイト「何か書かれてるけどこれは…『ProjectRING』?」

そのファイルに書かれていた内容は、昨日右京が雛子の前で述べた内容とほぼ同じ事が
載っていた。

57年前に行われた『山村志津子』の公開実験、45年前の『劇団飛翔』での団員たちの集団失踪、

15年前に発生した『呪いのビデオ』、それに『井戸』で見つかった『山村貞子』の死体、

既に防衛省は右京たちが調べていた『呪いのビデオ』の事を予め把握していたのだ。

そして『呪いのビデオ』を使い大量殺人兵器を製造しているというとんでもない内容が
書かれていた。


367 : 1[saga] - 2013/09/09 21:15:49.17 UOKzdiG30 254/382

カイト「な…なんだこりゃ!?」

神戸「まさか…こんなのあり得ないでしょう!絵空事にも限度というものがありますよ!」

右京「いえ、ここに掲載されている内容はどれも事実のはずです。
『呪いのビデオ』さえあれば実行可能なのですからね!」

神戸「杉下さん…一体どういう事なんですか?」

右京「そもそも『小菅彬』を出所させた理由は『呪いのビデオ』にあったのです。
恐らく『呪いのビデオ』の制御と更なる強化。」

カイト「制御はともかく…強化って何でそんな事を!?」


368 : 1[saga] - 2013/09/09 21:16:57.43 UOKzdiG30 255/382

右京「通常の化学兵器と同じでいくら強力な殺人兵器を作ったところでそれを制御
出来なければ意味が自分たちまで死んでしまいますからね。
それに強化、殺すのに1週間も時間を掛けるのではなく一瞬で人を死に至らしめる事が
出来る様になればどうなりますか?
それこそ…万が一相手から報復される心配も無い、時間も掛からない。
まさに理想の殺人兵器になるのは間違いないでしょう。」

神戸「なるほど、いくら強力な兵器を手に入れても使い勝手がわからなければ宝の持ち腐れ…
だから防衛省はウイルスに詳しい『小菅彬』を出所させたかったわけですね。」

右京「恐らく防衛省はこう考えていたのでしょうね、この『呪いのビデオ』には
ウイルスの作用があるのではないかと、だからウイルス開発の専門家である
『小菅彬』を出所させる必要があったのでしょうね。」

神戸「なるほど、核保有国ではない日本にしてみればその『呪いのビデオ』とやらは
喉から手が出るほど欲しいモノですからね。
多少の無茶(超法規的措置)をしてでも『小菅彬』を出所させたのも、これで納得出来ましたよ。」


369 : 1[saga] - 2013/09/09 21:18:13.68 UOKzdiG30 256/382

カイト「けどこのファイル…肝心の研究施設についての記載がありませんよ。
これじゃ場所がわかりませんね。」

神戸「防衛省がこんなやばい研究を行っていますからね。
研究所の場所はおいそれと記入出来なかったという事ですかね?」

右京「さて困りましたね、肝心の場所がわからない事にはその研究施設に乗り込む事すら
出来ませんよ。」

先ほど長官の居場所を聞きに行った大河内が部屋に戻ってきたが、誰に聞いても
長官の居場所はわからないという返事だったという。

大河内「申し訳ない、秘書や他の幹部にも問い質したのですが…誰も長官の行方を
知らないとの事です…」


370 : 1[saga] - 2013/09/09 21:19:24.63 UOKzdiG30 257/382

神戸「防衛省のトップが行方不明ってこれどう考えても不味いでしょ!
警察に届けてもらわないと!」

大河内「落ち着け、お忍びでの行動かもしれん!
どちらにしろ我々は迂闊に手を出す事ができん事には変わりはないが…」

カイト「そんな事言ってる場合じゃないッスよ!大河内さんもこのファイルを
読んでください!」

大河内「ちょっと待て、何で長官のファイルを勝手に見ている?
まさか杉下さん…あなた長官のオフィスを勝手に…!?」

右京「お叱りは後ほど、とりあえずそのファイルに目を通して頂きたいのですが。」

大河内「まったく、減俸どころの処分じゃ済まされませんよ…これは!?」



371 : 1[saga] - 2013/09/09 21:20:02.84 UOKzdiG30 258/382

右京の言われた通りファイルを見た大河内は驚愕する。
『呪いのビデオ』、『山村貞子』、それらを使い防衛省が大量殺人兵器を作ろうとしているのだから。

大河内「これが本当なら大事ですよ!公安を動かさなければ…」

カイト「公安に動いてもらうのにどれだけ時間が掛かりますか?」

大河内「どんなに早くても明日になるだろう。」

カイト「明日…ダメだ…それじゃ間に合わない!?
今日中に長官とその研究施設を見つけ出さなきゃいけないのに…」

神戸「無茶言わないでくれよ、公安がそんな簡単に動かせるわけがないだろ。
それにそのファイルだけで実際動いてくれるかどうかも分からないんだから…」

カイト「クソッ!!」

苛立つカイトだが無理もなかった。
既に『呪い』のタイムリミットが半日も過ぎているのだから…


372 : 1[saga] - 2013/09/09 21:21:20.15 UOKzdiG30 259/382

大河内「しかしこの『ProjectRING』は何故『RING』なのでしょうか?
この『RING』という言葉に何の意味があるんだ?」

神戸「『RING』…日本語訳にすれば輪の事ですよね。」

カイト「終わりも無ければ始まりも無い、『呪いのビデオ』を解くには他の相手に
ビデオを見せなきゃならない…それの繰り返し…
つまり皮肉で付けた名前じゃないんですかね?」

右京「終わり…始まり…カイトくん!それです!!」

カイト「え…な…何がですか!?」

右京「僕とした事が…迂闊でした!こんな事にも気づかなかったとは…」

神戸「何がわかったんですか?」


373 : 1[saga] - 2013/09/09 21:23:25.93 UOKzdiG30 260/382

右京「そもそも『呪いのビデオ』はどうやってこの世に出てきたと思いますか?」

カイト「そりゃ『山村貞子』の『怨念』が『念写』したんでしょ、まあ非科学的な話ですけど…」

右京「そう、『念写』ですよ!僕はオカルトに詳しいのですが『念写』とは能力者の
思念を映像機器に送り込む事ですが、その行為を行うにはある法則があります。
それは距離です、『山村貞子』が作った『呪いのビデオ』はオリジナルのビデオだけでなく
ダビングしたビデオにすら『呪い』が降りかかっていた。
何故その様な事が出来たか、それは『山村貞子』があの『呪いのビデオ』を念写した場所が
『伊豆パシフィックランド』、その下に『貞子』が閉じ込められた『井戸』があったから…
つまりあの場所で『呪いのビデオ』が『念写』されたのは『山村貞子』の『怨念』が
一番強い場所であったからなんですよ!」


374 : 1[saga] - 2013/09/09 21:24:28.15 UOKzdiG30 261/382

カイト「『怨念』が一番強い場所…けどそれが何だというんですか?」


ヴィー ヴィー ヴィー


右京の携帯に電話が掛かってきた。
その電話は米沢からの連絡であった、亀山の家で採取した『山村貞子』が飲んだ
カップの鑑識結果が出たとの報告であった。

右京「もしもし、米沢さんですか。
えぇ…なるほど、そのような結果が出ましたか、どうもありがとう。」

カイト「今の連絡は米沢さんからですよね、一体何がわかったんですか?」

右京「亀山くんの家で採取した『貞子』が飲んだコーヒーのカップから
池やドブ川に生息する微生物が検出されたそうです。」

カイト「微生物?それってつまり…」


375 : 1[saga] - 2013/09/09 21:25:29.49 UOKzdiG30 262/382

右京「『呪いのビデオ』、つまり『山村貞子』の『念写』を研究するのに最適な場所、
つまり今の考えが正しければ…」

カイト「あの『山村貞子』が死んだ場所、『伊豆パシフィックランド』の床下にあった
『井戸』が『怨念』の一番強い場所ってわけですか!」

右京「恐らくそのはずです!以前僕らが静岡県警の職員に尋ねたところ、
あの場所には国の施設があるとか。
しかし近隣の住民はおろか、警察の人間でさえその施設が何なのか知らされていない…
些か奇妙に思えましたがそこが『ProjectRING』の研究施設で間違いないでしょう!」

大河内「しかし…現段階では捜査機関は動かせません…行くのは我々だけになりますよ。」

神戸「おまけに相手は防衛省…令状も無しで踏み込むにはあまりにも無謀過ぎますね…」

右京「普段なら…令状を取らねばいけませんが…」

カイト「そんなモノ取ってたら『呪い』のタイムリミットが迫ってしまいますよ!」

右京「仕方ありません、大河内さんはこちらに残って令状の手配をお願いします。
現地には僕とカイトくん、それに神戸くんが行きましょう!」


376 : 1[saga] - 2013/09/09 21:26:55.03 UOKzdiG30 263/382

神戸「わかりました、車の運転は僕に任せてください。
杉下さんのフィガロよりも僕のGT-Rの方がスピード出ますからね。
けどその代わりスピード違反とかうるさい事は言わないでくださいよ!」

右京「えぇ、キミの運転の荒っぽさはよく知ってますから。」

カイト「神戸さんの運転…大丈夫なのかな?」


ブオン! ブオン! ブオン!


ギャルルルルル


こうして右京とカイトは神戸のGT-Rに乗り込み激しいエンジン音を鳴らしながら
一路伊豆にある『山村貞子』の『井戸』へと向かった。

大河内「頼みましたよ、特命係のみなさん。」

大河内は三人の乗ったGT-Rを見送りつつ、急いで令状の手配を急いだ。

この時の時刻は既にPM16:00、右京とカイトの残り時間は…あと8時間…


378 : 1[saga] - 2013/09/09 23:10:40.18 UOKzdiG30 264/382

~『伊豆パシフィックランド』跡地~


9月2日、PM18:00


2時間後、神戸はGT-Rアクセル全開でようやくかつての『伊豆パシフィックランド』跡地、
現在は防衛省の『ProjectRING』の研究施設がある場所へとやって来ていた。
この場所こそが全てが始まった場所であり、『呪いのビデオ』が念写された場所である。

神戸「ついに来ましたね、ここが…ところで二人とも口数が少ないけど大丈夫ですか?」

カイト「いや…全然大丈夫じゃないですよ。
神戸さん…信号機片手で数える程度しか止まってないから車酔いが…ウゲェ…」

右京「キミ…サイレン鳴らしてなかったら間違いなく覆面パトカーに捕まっていましたよ…」

神戸「大丈夫ですって!これでも腕は確かですから♪」

カイト「いや…そんな心配してないから…」


379 : 1[saga] - 2013/09/09 23:11:10.34 UOKzdiG30 265/382

神戸「コホン、それよりもですが…守衛をどう突破しましょうか?
見たところ警備の人間がいるようですよ。」

右京「しかし…おかしいですね。
あの警備員ですがうつ伏せになっていませんか?」

カイト「本当ですね、まさか居眠りしてるんじゃ…」

右京の言う通り研究施設の門には警備員がいるがうつ伏せで伏せていて何かがおかしい…
試に警備員のところに近付いてみると…なんとそれは…


380 : 1[] - 2013/09/09 23:11:38.60 UOKzdiG30 266/382

神戸「し…死んでる!?」

カイト「しかもこの死に方は!」

右京「間違いありません、『吉野賢三』や『小宮』と同じ死に方です!」

カイト「けど何で警備員が死んでるんだ?
『呪いのビデオ』を見たとしても死ぬのに1週間掛かるはずだし…おまけにビデオは
とっくに処分されたはずじゃ…」

右京「…」

この警備員は何故こんなところで死んでいるのか、右京とカイトが疑問に思う中
神戸は研究所の入り口であるモノを発見する。


381 : 1[] - 2013/09/09 23:12:12.50 UOKzdiG30 267/382

神戸「杉下さん!あの研究所の入り口にある車を見てください!
この車…政府の高官が乗る専用車ですよ!?」

カイト「じゃあこの車って長官の専用車なんですか?」

右京「恐らく間違いないでしょう、しかし…運転手の方も亡くなっていますね。
この分ですと…既に研究所の殆どの人間が死んでしまったかもしれません…」

カイト「それじゃあ長官が約束の時間になっても来なかったのは…」

右京「この状況を察すると長官は約束を忘れたりすっぽかした訳ではなく
この事態に巻き込まれてしまったから…ですね。」

カイト「これが『呪いのビデオ』…いや『山村貞子』を利用した結果かよ…」



382 : 1[saga] - 2013/09/09 23:12:39.13 UOKzdiG30 268/382

右京「神戸くん、キミ…今すぐ近隣の所轄にこの事態を知らせてください!
施設内で死人が出たとなれば最早令状は要りませんからね、急いでください!」

神戸「しかし杉下さんはどうするんですか?」

右京「僕はカイトくんと一緒にこの施設に生き残っている方を見つけます。」

カイト「任せてください!杉下さんは絶対に死なせませんから!」

神戸「…」

神戸は少し考えた後、すぐに思考を切り替え右京たちにこの場を託す選択を選んだ。

神戸「わかりました、近くの所轄に出動要請した後すぐに戻りますからそれまで無事でいてください!
それと…杉下さんの事だけじゃなく…自分の命も守るんだぞ、後輩くん!」

神戸はカイトの方をポンッと軽く叩いた後、GT-Rに乗り近くの所轄へと向かった。


383 : 1[saga] - 2013/09/09 23:13:05.90 UOKzdiG30 269/382

カイト「何か今の神戸さんのキャラに合わないような…」

右京「恐らく嬉しいのではないですかね?
神戸くんにとってキミは特命係で最初の後輩ですから…」

カイト「そんなものですかね?まあいいや、さあ行きましょう杉下さん!」

右京「残り6時間…最早猶予もありませんがね!」

残り6時間、右京とカイトはこの施設のどこかにある『貞子』の『怨念』がこもった
『井戸』を目指す。


384 : 以下、新鯖からお送りいたします[... - 2013/09/09 23:14:02.65 UOKzdiG30 270/382

~研究施設~


9月2日、20:00


研究施設に入った右京とカイトだがそこには職員たちの死体の山だった。
施設に入って2時間経過したが生きている者は見つからなかった…

カイト「ダメですね、生存者は確認できませんでした。
しかも全員急性心不全、死に顔は『吉野賢三』みたくあの恐怖に引きつった顔してましたよ。」

右京「やはりそうでしたか、ところでコレ見てもらえますか。」

カイト「この部屋にある資料…全部『山村貞子』のこれまでの出生から『劇団飛翔』や
『井戸』に閉じ込められるまでの調査資料じゃないですか!
何でこんな物が…」

右京「恐らく防衛省は45年前…いえ、57年前から調べていたのでしょうね。
『伊熊平八郎』の研究、つまり『山村志津子』や『山村貞子』の能力を軍事利用できないかを…
そして15年前に起きた『呪いのビデオ』による事件、全て調査したようですよ。」

カイト「こんなに調べてどうする気なんだ?」


385 : 1[saga] - 2013/09/09 23:14:47.00 UOKzdiG30 271/382

右京「『呪いのビデオ』を制御、そして強化を図ろう『山村貞子』のルーツを
探ったのでしょう、その成果で何が得られたのはわかりませんが…おや?」

カイト「どうしたんですか?」

右京「『貞子』の小学生時代にあった事件について書かれたレポートです。
どうやら『貞子』は大島での小学生時代にクラスメイトの全員と海で遊んでたようですが
彼女一人だけが砂浜にいたが…
それから高波が襲ってきて『貞子』以外のクラスメイトは全員死亡したとの記述がされています。」

カイト「こっちにもありますよ、これは…中学生時代に虐められていた貞子が
ある日突然学校中のガラスが壊れたって…」

右京とカイトはこれまで貞子が起こした事件のレポートを読んではいたがどれも
『呪い』を解く手がかりになりそうなものは無かった。

カイト「ダメですね、俺たちの『呪い』を解く手がかりは全然見つかりませんよ!」

右京「えぇ、ここにあるのはあくまで『貞子』のルーツのみでしょう。
肝心の手掛かりがあるのは…先ほど調べまわって鍵の掛かっていた部屋がありました。
恐らくそこでしょう。」

カイト「けどあの部屋は電子ロックが掛かってますよ、簡単には入れませんって…」


386 : 1[] - 2013/09/09 23:15:19.00 UOKzdiG30 272/382

しかしその時であった。


ガシャッ ガシャッ ガシャッ


二人の耳にある音が聞こえた、それはまるで施錠されたロックが解除された音であった。

カイト「今のってまさか…」

右京「どうやら『山村貞子』が僕らを招いているようですよ、行きましょう!」


387 : 1[] - 2013/09/09 23:15:50.84 UOKzdiG30 273/382

その頃先ほど右京たちと別れた神戸は一路近隣の所轄へ向かっていたがその道中の事であった。

神戸「あれ?なんだかブレーキが弱いな、どうしたんだろ?」

神戸の運転するGT-Rは何故かブレーキの効きが弱くなっていた、そんな時だった。
後ろに何かいる…そう思った神戸がふとバックミラーを見る、しかしそこには誰もいなかった。

神戸「何だ気の所為か…」

そして視線を正面に戻すとなんとそこには白い服を着た髪の長い女が道路の前に立っていた。

神戸「うわぁっ!?」



388 : 1[saga] - 2013/09/09 23:16:46.19 UOKzdiG30 274/382

神戸は咄嗟にブレーキをしようにも効きもしない…こうなればと思いハンドルを切った。
だが…



ドガッシャーン!!


シュゥゥゥゥ



先ほどの女性を避けようとした神戸のGT-Rは周辺の木にぶつかり大破してしまい、
神戸自身もなんとか車内から出たが体中傷だらけで思うように動けなかった。
そこへ先ほどの女が近づいてくるがこの時神戸はこの女性の外見を見て、
右京たちが捜査中である人物『山村貞子』だとわかった。


389 : 1[saga] - 2013/09/09 23:18:37.89 UOKzdiG30 275/382

神戸「あなたが…『山村貞子』さんですね…何故こんな事を…」

貞子「…」

神戸「答えてください!」


ガシッ


神戸は自分の質問に沈黙をする『貞子』に対して思わず手を掴んだ。
するとどうだろうか、その手にある指の爪はボロボロでまるで拷問で引っこ抜かれた
みたいな状態であった。


390 : 1[saga] - 2013/09/09 23:19:04.64 UOKzdiG30 276/382

神戸「なっ…!」

貞子「…」

神戸に迫ろうとする『貞子』、そんな『貞子』の後ろから赤い火の玉らしきものが見えた。

神戸「ハハハ、こんなところが死に場所か…死んだら城戸充に謝りに行くか…」

貞子「…」

神戸「杉下さん、無事でいてくださいよ…」

迫りくる貞子を前にそんな事を思いながら…神戸は死を覚悟しそっと目を閉じた…


406 : 1[saga] - 2013/09/10 20:33:55.22 iiQ3dA350 277/382

右京「……」

カイト「杉下さん、どうかしたんですか?」

右京「いえ、今さっき神戸くんが呼んだ気がするのですが気の所為でしょう…」

カイト「しっかりしてくださいよ、早く行きますよ!」


407 : 1[saga] - 2013/09/10 20:34:35.11 iiQ3dA350 278/382

右京とカイトは先ほどまで施錠されていた研究施設の中心部に入り込んでいた。


グニャッ


カイト「あれ?何か踏んだぞ…何だろ?…って人だ!?」

右京「この人、他の研究員と違いひとりだけ白衣を着ずに背広姿ですね。
この方…身分証を見ましたが間違いありません、防衛省の『山岸邦充』長官に
間違いありませんね。」

カイト「身体が冷たい…死んでから相当時間が経ってますよ!」

右京「僕の見立てでは長官も死んでから24時間以上経過していますね。
恐らく昨日神戸くんがアポを取った直後にここで『呪いのビデオ』の実験が行われ…」

カイト「長官とそして…研究員は死んでしまった…ここで何が起きたんだ?」


408 : 1[] - 2013/09/10 20:35:00.59 iiQ3dA350 279/382

右京「カイトくん!この室内の中心を見てください!アレ…見覚えありませんか?」

カイト「中心って…まさか…アレは!?」

右京とカイトが研究施設の中心で見つけたのは『井戸』であった。
この『井戸』は特徴があり淵の部分が一ヶ所欠けていて、この室内には似つかわしくないモノだった。

カイト「この『井戸』…間違いないですよ!以前『早津』さんの絵を見ましたよ!」

右京「間違いないでしょうね、この『井戸』こそ45年前に『山村貞子』が
閉じ込められた『井戸』ですよ!」



409 : 1[] - 2013/09/10 20:35:42.65 iiQ3dA350 280/382

その時二人の背後に気配を感じた、振り返って見るとそこには一人の男が立っていた。
ようやく生存者を一人探し出す事が出来て喜ぶカイトだが右京だけは苦い顔をして
その男を睨んでいた。

―「…」

カイト「大丈夫でしたか?我々は警察です!あなた方を助けに来ましたよ、もう安全です!」

―「…」

カイトの申し出に対して男は何ひとつ発言しようとしなかった、それどころか男の顔色は
妙に悪く…まるで死人のようであった。

カイト「あの本当に大丈夫ですか?」

右京「カイトくん!その男からすぐに離れなさい!」

カイト「けどこの人生存者ですよ!放っておく訳にはいかないじゃないですか?」


410 : 1[] - 2013/09/10 20:36:16.21 iiQ3dA350 281/382

右京「その男の名前は『小菅彬』!かつて僕が逮捕した男ですよ!」

カイト「この男が『小菅彬』!?じゃあこの事態を引き起こしたのはアンタなのか!」

小菅「…」

カイトは『小菅彬』にこの事態について襟首を掴み問い詰めたが彼は何も答えなかった。
しかし襟首を掴んだ瞬間カイトはある事に気が付いた。

カイト「す…杉下さん…この男…冷たい…いや、もう死んでますよ!?」

右京「やはり…貸してみてください。
なるほど、彼も先ほどの長官と同じく死んでから24時間以上経過していますよ!」


411 : 1[saga] - 2013/09/10 20:36:45.57 iiQ3dA350 282/382

カイト「けどそれじゃ…何でこいつは俺たちのうしろに立っていたんだ?
さっきまではいなかったはずなのに…」

右京「カイトくん!すぐに小菅から離れてください!
『小菅彬』の眼、鼻、口、耳、から血が噴き出しています!?」

小菅「…」


ガシッ


その瞬間だった、小菅の身体は死んでいるにも関わらず突然動き出し右京とカイトを掴み始めた。
そのまま二人を持ち上げると『小菅彬』は『井戸』の方まで近づいていった。

カイト「ゲホッ!ゴホッ!テメェ…離しやがれ…俺たちをどうする気だ!?」


412 : 1[saga] - 2013/09/10 20:37:18.65 iiQ3dA350 283/382

右京「恐らく…グホッ…僕の考えが正しければ…『小菅』は…いえ、『小菅』を操っている
『貞子』は僕らを…『井戸』の中へ入れる気です!」


ブンッ


そう、右京の言う通り『小菅彬』は右京とカイトを放り投げてしまった。

カイト「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

右京「くっ!」


413 : 1[saga] - 2013/09/10 20:38:15.43 iiQ3dA350 284/382

―――

―――――

―――――――

―「おいアンタ!しっかりしろ!」

カイト「う…うぅ…ん、あれ?俺は確か『井戸』の中へ落っこちたはずじゃ?
それに杉下さんは何処に行ったんだ?
…この『街』、おかしいな、なんというか古くさい感じがする…」

カイトが目覚めた場所、そこは『井戸』の中ではなかった。
その場所は人気が無く、まるで昭和の街並みを思わせるような場所であった。
そして介抱してくれた男はカイトには面識のない男だった。

―「意識は戻ったようだな。」

カイト「あの…ありがとうございます、それにしてもこの場所は一体何処なんだ?」


414 : 1[] - 2013/09/10 20:38:43.03 iiQ3dA350 285/382

その時だった、カイトの前に立ったまま顔を伏せている男女を数人見つけた。

カイト「よかった、他にも人がいる!あのすいません、ここって何処なんですか?
あの…聞いてますよね?」

―「やめろ!そいつらに話しかけるな!」

カイトは恐る恐るその人間に声を掛けたがその集団の一人の顔を見て思わずギョッとした。


415 : 以下、新鯖からお送りいたします[... - 2013/09/10 20:39:13.61 iiQ3dA350 286/382

カイト「あ…あぁ…アンタは…!?
『小宮』さんですよね!『吉野賢三』のマンションで俺の目の前で亡くなった『小宮』さん!
何であなたがここにいるんですか!?」

その時、今まで伏せていた人間が一斉に顔を見せた、カイトは彼らの顔に見覚えがあった。

カイト「この人たちって…
間違いない!資料で見たけど『呪いのビデオ』で殺された…
『岩田秀一』、『能美武彦』、『大石智子』、『辻遥子』、他にも大勢いるな…」


416 : 1[saga] - 2013/09/10 20:39:48.94 iiQ3dA350 287/382

岩田「ア…ア…」

能美「タスケテ…」

大石「ココカラダシテ…」

「シニタクナカッタ…」

彼らは一斉にカイトに近付いてきた、まるで生者であるカイトを妬むかのように…

カイト「ちょ…何なんだアンタら!?」

―「おい逃げるぞ!彼らはもう正気じゃない!」

二人は全速力で逃げた、ようやく追っ手を撒いたカイトは男にこの街について聞いてみた。

カイト「ここは一体何処なんですか!あなたは何を知っているんですか?」



417 : 1[saga] - 2013/09/10 20:40:24.12 iiQ3dA350 288/382

―「ここは…『山村貞子』の深層世界だ。」

カイト「し…深層世界!?」

―「その証拠に見てみろ!この『街』の光景を!これはどう見ても昭和の街並み…
つまり『貞子』が『井戸』に落ちる前に見た『街』を映したからなんだよ!
当然だよな、外の世界じゃ…もう45年か、そんな昔に『井戸』に閉じ込められた人間が
平成の世界の光景なんか想像できるわけがない…」

カイト「そんな…それじゃあさっきの人たちは…?」

―「彼らは『山村貞子』に殺された『亡者』たちだ。
『呪いのビデオ』を見てしまった事により、今も成仏できずこの世界に閉じ込められている…」


418 : 1[] - 2013/09/10 20:41:03.96 iiQ3dA350 289/382

カイト「そんな…つまりここは『貞子』が作った地獄…」

―「なるほど地獄か、うまい事を言うな。だが本物の地獄だってここよりはマシだろう…
ここはその地獄以下だ。」

カイト「ところであなたは何者なんですか?」

―「俺は…待て、アレは…」

再びカイトたちの前に再び『亡者』の集団が現れた。
しかし先頭にいる女はカイトたちではなく他の何かを探しているようにも見えた。


419 : 以下、新鯖からお送りいたします[... - 2013/09/10 20:41:40.85 iiQ3dA350 290/382



―「ヨウイチ…ドコ…オカアサン…アナタヲタスケテ…アゲナキャ…」


カイト「また『亡者』の群れだ…しかも一番前にいる女の人何か呟いている…」

―「『浅川』…」

カイト「え?」

―「あの女は…『浅川玲子』だ!」

カイト「『浅川玲子』って『呪いのビデオ』を見つけた女性の事だ!
けど彼女は『呪い』を解いたはず!何でここにいるんですか!?」

―「彼女が死んだのは聞かされたはずだろ!ビデオの『呪い』は終わったが
『貞子』の『呪い』からは逃れられなかったんだ…」


420 : 1[] - 2013/09/10 20:42:11.91 iiQ3dA350 291/382

カイト「そんな…『呪いのビデオ』をダビングするだけじゃダメなんですか!?」

―「それは結局『死の呪い』を引き延ばしているだけにしか過ぎない!
根本的な解決をしなければダメなんだ!」

カイト「それじゃどうすれば!」

―「『貞子』の『怨念』を除去するしかない、だがそれには…」

カイト「けど『浅川玲子』と『高山竜司』も『貞子』の死体を発見して供養したのに
それでもダメだったんですよ!
他にどんな方法があるんですか!?」


421 : 1[saga] - 2013/09/10 20:43:06.84 iiQ3dA350 292/382

―「『貞子』の『呪い』を『貞子』自身に…もうダメだ!これ以上お前はこの世界にいれば
亡者になってしまう!俺の手を掴め!
お前を元の世界に送り帰す!」

カイト「ちょ…待ってください!その前にあなたは誰なんですか?
どうして俺を助けてくれるんですか!」

―「それはキミが俺と『浅川』の息子の『陽一』に祖父を殺したという悲しい真実を
伝えないでくれたからだよ…さぁ行くんだ!」

カイト「あなたはまさか…『高山竜司』!…うわぁぁぁぁぁぁ!?」

その男『高山竜司』の手を掴んだカイトは次の瞬間光に包まれ再び意識を失った。

―――――

―――




422 : 1[saga] - 2013/09/10 20:43:35.48 iiQ3dA350 293/382

イ……ト……く……


カ……イ………ト………ん


右京「カイトくん!しっかりしてください!!」

カイト「ハッ!?杉下さん…ここは何だ?水の中…まさかここは!?」

右京「えぇ…僕たちは『小菅彬』によってこの『井戸』の中に落とされてしまったのですよ。
僕もさっきまで意識を失っていましたがようやく取り戻せました。」

カイト「そうか…俺たち気絶してたんですね、『小菅』もここまでは追ってこないし
とりあえず一安心ですかね?」


423 : 1[saga] - 2013/09/10 20:44:02.93 iiQ3dA350 294/382

右京「いいえ…一安心している暇はありませんよ。
僕らはあと残り10分以内にこの状況を打開できなければ『山村貞子』の『呪い』により
殺されてしまいます…」

カイト「残り10分?まさか!?」

カイトは慌てて自分の時計を見る、すると時刻は23時50分を指していた。
そう、二人が『井戸』の中で気絶してから既に3時間以上経過してしまったのだ。

カイト「なんてこった!とにかくこの『井戸』から出ましょう!」

右京「しかし『井戸』ですが…自力で這い上がるにはかなり困難ですよ…」

右京とカイトは天井を見上げると確かによじ登るのが困難な壁であった。


424 : 1[saga] - 2013/09/10 20:45:32.33 iiQ3dA350 295/382

しかし天井を見上げた時、その光景が何故か見覚えがあるように思えた。

カイト「この丸い天井…俺どっかで見たような…」

右京「『呪いのビデオ』の映像にある空が映るシーンですよ、あの光景が丸く
映されていたのは『山村貞子』がこの天井を30年以上もずっと見上げていたからでしょうね…」

カイト「30年間ずっとこんな暗く…狭い場所に孤独に閉じ込められて…
この壁の傷…『貞子』が壁をよじ登ろうとして出来た傷ですよ。
しかも所々にいっぱい付いてて…なんとか脱出しようとしたんでしょうね…
けど結局うまくいかなくて…今なら俺『貞子』の心情がなんとなく理解出来ますよ…」


426 : 1[saga] - 2013/09/10 20:46:27.47 iiQ3dA350 296/382

右京「確かにこんな場所に居ればこの世の人間すべてを恨みたくなるでしょうが…
カイトくん…『井戸』の奥…見てもらえますか!」

カイト「奥?…何だあれは?」

右京「アレは棺ですよ!」

そう、井戸の奥には死者を弔う棺があった、何故棺がここに?
そんな疑問よりも、先にある不安が頭を過った。

カイト「これ…誰が入ってるんですかね…」

右京「恐らく…いえ、間違いなく『山村貞子』ですよ!」

カイト「山村貞子の?だって『山村貞子』は海へと埋葬されたんじゃ!」


427 : 1[saga] - 2013/09/10 20:46:57.29 iiQ3dA350 297/382

右京「恐らく防衛省によって密かに回収されたのでしょう。
『山村貞子』の思念を更に強化するために遺体があれば尚の事都合がいいですからね!」


ガコンッ


不気味な音がした、二人の目の前に現れた棺が開き始め…



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



カイト「杉下さん…あの棺桶…開きますよ…」


428 : 1[saga] - 2013/09/10 20:47:26.39 iiQ3dA350 298/382

右京「あれは…髪の毛ですかね?」

右京の言う通り棺の中から大量の髪の毛が出てきた、その量は明らかに通常の人間の
髪の量ではなかった。

その髪は右京とカイトの四肢に纏わりつき次第に彼らを拘束していった。

カイト「クソッ!離しやがれ!」

右京「まさか僕らの動きを抑えるとは…」

カイト「やべぇ…杉下さん!時計を見てください!もう残り2分を切りましたよ!?」

右京「『呪い』の時刻までもう時間がありませんか…」


429 : 1[saga] - 2013/09/10 20:47:58.33 iiQ3dA350 299/382

カイト「あれだけ探した『山村貞子』は目の前にいるってのに…
まだ肝心の『呪い』を解く方法がわかってないんだぞ…」


『貞子』の髪で拘束した右京とカイトを自分の棺に近付けさせようとする。
二人を殺す気なのは最早明らかであった。

カイト「チクショウ!『呪い』の時刻までまだ少し時間があるだろ!
フライングなんかすんじゃねえ!?」


シュルシュル  シュルシュル


ガッ


カイト「グェェッ!」

右京「カイトくん!?」

『貞子』の髪の毛はカイトの首に巻き掴みカイトを窒息死させるほどの力で
締め上げようとしていた。


430 : 1[saga] - 2013/09/10 20:48:28.37 iiQ3dA350 300/382

右京「『貞子』さん!僕らを殺すにはまだ少々時間があります。
その前に僕の話を聞いてもらえますか!」


ピタッ


右京の言葉を聞いた瞬間カイトの首に巻きついていた髪の力が弱まりカイトの命は
なんとか助かった。

カイト「ハァハァ…助かった…けど杉下さん、話って一体…?」


431 : 1[] - 2013/09/10 20:49:03.36 iiQ3dA350 301/382

右京「僕たちは『山村貞子』さんについて色々と調べて回ってきました。
どなたも『貞子』さんについては同じ見解でした。
45年前の『貞子』さんはとても美しかったと…『劇団飛翔』に入団し輝かしい将来を
手に入れるはずだった。
しかし…それは出来なかった、いつも彼女の前にはまるで厄病神の如く邪魔をする存在がいた。
それが…あなたですね!もうひとりの『山村貞子』さん!!」

カイト「もう一人の?どういう事ですか!?」

右京「つまりはこういう事ですよ、『山村貞子』なる女性は二人いた!
ひとりは母親である『志津子』さんに似て美しい姿をした女性、しかしもうひとりは…
ドス黒く、邪悪な意志を持った…そうあなたの事ですよ!棺桶にいる
もうひとりの『貞子』さん!!」

カイト「『貞子』が二人…そういえば内村部長や大島で出会った『貞子』の同級生の人も
そんな事を言ってたな…」


432 : 1[] - 2013/09/10 20:49:37.36 iiQ3dA350 302/382

右京「そう、一方は善良な存在でありもう一方は邪悪な存在…その邪悪な存在が
いつも彼女の幸せを邪魔していたのですよ!それは何故だと思いますか?」

カイト「何故って…まさか嫉妬!?」

右京「そうです、善良な方の『貞子』さんは誰もが認める美しさを兼ね備えた女性なのに
一方のあなたはその禍々しいまでの力の所為で誰からも好かれなかった…
恐らくあなたの母である『志津子』さんでさえもあなたを愛してなかった…
だから生まれた頃より身近にいたあなたはそれが許せなかった。
その事が引き金となってしまい関わった人を呪い殺していった…そうではないのですか!」



う゛う゛…ぅぅぅ…あ゛…あ゛…あぁぁぁ…



棺桶からこの世のモノとは思えない奇妙なうめき声が聞こえてきた、右京の推理を聞いた
『貞子』が怒り狂っているのだ、『貞子』は右京を棺桶へと近づけ右京とカイトを呪い殺そうとした。


433 : 1[saga] - 2013/09/10 20:50:18.01 iiQ3dA350 303/382

カイト「杉下さん!時刻は…残り10秒!?どうする…どうすれば助かるんだ…」



「『貞子』の『呪い』を『貞子』自身に…」



その瞬間カイトの脳裏に『貞子』の深層世界で会った『高山竜司』の言葉が思い出された。

カイト「『貞子』の『呪い』を『貞子』自身に…でもどうすればいいんだ?」

右京「なるほど、そういう事ですか!わかりましたよ、呪いを解く方法が!」

そして残り時間5秒前になった、二人は棺桶にある『貞子』の死体と対面する。
その身体は死臭を漂わせており、吐き気を催すほど強烈な臭いだった。


435 : 1[saga] - 2013/09/10 21:06:25.25 iiQ3dA350 304/382

カイト「これが『山村貞子』!」

右京「カイトくん!目を閉じてください!僕がいいと言うまで絶対に開けないでください!」

カイト「わ…わかりました!杉下さん信じてますよ!!」

二人の目の前に『貞子』が顔を近づけ始める、『貞子』の不気味な感触が二人の肌の触感に
敏感なほど感じ取れる程であった。


436 : 1[saga] - 2013/09/10 21:06:54.68 iiQ3dA350 305/382

残り時間5秒前











ついに死亡時刻になった、普段は髪で覆い隠している顔が見えて『貞子』の眼が開く。
『貞子』が能力を使い二人を殺そうとした瞬間であった…


437 : 1[saga] - 2013/09/10 21:08:13.89 iiQ3dA350 306/382

右京「この時を待っていました!これを見なさい!!」


キラッ


貞子「!?」

右京は自分の手鏡を『貞子』に掲げてその眼力からくる力を逆に『貞子』に送り返したのだ。


438 : 1[saga] - 2013/09/10 21:09:02.86 iiQ3dA350 307/382

カイト「ハァハァ…時刻は9月3日の…0時1分!杉下さん…俺たち生きてます!!」

右京「先ほどのキミの言葉で確信が持てました。

僕はずっと気になっていました、精神病院に入院していた『倉橋雅美』や『岡崎』は
『TVから貞子が出てきて殺しに来る。』と言ってましたね。
何故そんな事をするのか、それは『貞子』は念じて人を殺す事が出来る。
しかしそれは念写と同様に相手を直接見なければならない。
だからTVやガラス等の鏡面を使い直接殺しに来なければいけなかった。

しかしそれが逆にこちらにもチャンスとなった。
先ほどこの施設内で『川尻』医師の研究内容を読ませて頂きましたが、
15年前彼は水を使って『貞子』の怨念を水に溶かし出す実験をしていたそうですよ。
何故実験に水を使ったのか、それは水がすべてを映しだしそして反映させる
作用を持っていたから…

『山村貞子』さん、あなたが殺してきた人間たちは決して無駄死にではなかった。
最期はあなた自身が自分の手で苦しむ事になったのですよ!」


439 : 1[saga] - 2013/09/10 21:09:29.84 iiQ3dA350 308/382

貞子「う゛う゛…ギャァァァァァ!?」


跳ね返った自分の『呪い』に苦しむ『貞子』、だが『貞子』は苦しみながらも
今もなお右京を拘束している髪で右京を壁に叩きつけた。


ドガッ


右京「ぐふっ!」

カイト「この…よくも!杉下さん!しっかりしてください!杉下さん!」


440 : 1[saga] - 2013/09/10 21:09:59.94 iiQ3dA350 309/382

右京は先ほどの『貞子』の一撃で気を失いその身体は『貞子』の下へと引きずられる様に
連れて行かれた。

カイト「やめろ!『貞子』!その人を連れて行かないでくれ!
杉下さんにはまだこれからも解決してもらわなきゃいけない事件がたくさんあるんだよ!」

なんとか『貞子』の髪から脱出しようともがくカイトだがこの髪を振りほどくには
人間の力では無理だった。
そして右京の身体が『貞子』の下へと寄り添い、二人は『井戸』の底へと深く潜って行く。

カイト「やめろー!俺の相棒を連れて行かないでくれ!!」


441 : 1[saga] - 2013/09/10 21:10:41.95 iiQ3dA350 310/382

そんな力強く叫ぶカイトに対し救いの手が差し伸べられた。


―「待て!」


特殊班の格好をした男たちがいきなり現れて『貞子』の身体を拘束して右京の身体を取り戻した。

カイト「な…何だ?ひょっとして神戸さんが応援を呼んできてくれたのか!?」

―「危ないところでしたね、杉下は無事ですよ。」

そんなカイトが疑問に思う中またひとり男が現れた、しかしこの男は先ほどの特殊班とは
違い格式ある背広姿でまるで官僚のような雰囲気を醸し出していた。


442 : 1[saga] - 2013/09/10 21:11:18.57 iiQ3dA350 311/382

カイト「あのあなた方は…もしかして大河内さんが呼んだ本庁の特殊班の方ですか!」

―「大河内さん?懐かしい名前ですね。
それよりも甲斐さん、杉下を背負って今すぐこの『井戸』から脱出してください。
脱出するためのロープを用意しました、これによじ登ればすぐに上に辿り着けますよ。」

カイト「あ…ありがとうございます、けどあなたたちはどうするんですか?」

―「我々はここであなた方が登りきるまで『山村貞子』を抑えています。
さぁ、時間がありませんよ、急いでください。」

カイト「ハ…ハイ!そうだ、せめてお名前だけでも教えてください!」

―「我々は…『緊急対策特命係』ですよ。」

カイト「え…特命!?」

―「さぁ、早く行ってください!」

カイト「わかりました!」

―「甲斐さん、杉下の事…頼みましたよ。」


443 : 1[saga] - 2013/09/10 21:11:59.41 iiQ3dA350 312/382

こうして『緊急対策特命係』を名乗る男たちの助けによりカイトは気絶した右京を背負い、
ロープをよじ登って行った。
そしてロープを伝りあと少しというところで辿り着く、そんな時だった…

貞子「うぐぁぁぁぁ!!」

貞子がロープを驚く速さでよじ登りあっという間にカイトの前に立ちはだかり、
カイトの妨害をした。

カイト「『貞子』!やめろ、俺たちを行かしてくれ!」

貞子「ドウジテ…アナタタチダケガ…タスカルノ…?」

カイト「そ…それは…」


445 : 1[saga] - 2013/09/10 21:12:48.06 iiQ3dA350 313/382

右京「それは我々が今を生きてる人間だからですよ!」

カイト「杉下さん!目が覚めたんですね!」

右京「カイトくん!ロープを離してください、それから急いで壁によじ登るんです!」

カイト「わかりました!うおおおお!」

右京の指示通りロープを離すカイト、そんな貞子はロープを伝り『井戸』の天井を出ようとするが


446 : 1[] - 2013/09/10 21:13:15.19 iiQ3dA350 314/382

その瞬間…



ブチッ



ロープが切れてしまい『貞子』は落っこちてしまう、だが…


ガシッ


『貞子』は最後の力を振り絞り右京の足を掴み辛うじて落ちずにすんだ。
そんな『貞子』は右京に対してこう言った。


447 : 1[saga] - 2013/09/10 21:14:34.38 iiQ3dA350 315/382

貞子「イキタイ…イキタイ…ワタシモソッチヘイキタイ…」

右京「既に亡者であるあなたに…この世界で生きる資格はありませんよ…」

貞子「ソ…ソンナ…」



ドバーンッ!



貞子は力尽き、右京の足から手を離してしまいその身体は再び『井戸』へと戻っていった。



448 : 1[saga] - 2013/09/10 21:16:27.34 iiQ3dA350 316/382

右京「まるで蜘蛛の糸ですね、御釈迦様が慈悲で罪人に差し伸べた蜘蛛の糸を、
罪人の無慈悲な心の所為で切れてしまう。
結局『山村貞子』は自分から救いの手を振り払ってしまったのですよ。」

カイト「なんとも救われない話ですね…」

右京「それよりもキミ…大丈夫ですか?手が震えてますよ?」

カイト「だ…大丈夫ですって!俺若いし…杉下さん担いだくらいで根を上げたりしませんから…」

そう強がってはみたものの長時間冷たい水の底に居た事や右京を背負って
ロープをよじ登った事でカイトの体力は最早限界寸前までなっていた。


449 : 1[saga] - 2013/09/10 21:16:54.52 iiQ3dA350 317/382

右京「いざとなったら僕を降ろしてキミだけでも助かりなさい!」

カイト「いいから俺を信じてください!必ず二人一緒に助かりますから!」

あと少し…ほんの少し登れば上に出られる、それなのに力が出ない…
そんなカイトの手が汗で滑り落ち…もうダメだ…カイトはなんとか右京だけでも助かれば
と思ったその時だった。


ガッ  ガッ


ふたつの手がカイトと右京を『井戸』から救い上げた。その手は…


450 : 1[saga] - 2013/09/10 21:17:38.45 iiQ3dA350 318/382

亀山「大丈夫ですか右京さん!」

神戸「カイトくんも平気かい?」

右京「亀山くん!」

カイト「それに神戸さんも!」

亀山「待っててください!今引っ張り上げますからね!」

神戸「行きますよ!せーの!」

亀山と神戸の助けにより『井戸』から脱出できた二人、その場には亀山と神戸だけではなく
捜査一課の伊丹、三浦、芹沢、それに組対5課の角田課長や大木、小松、鑑識の米沢、
更には大河内まで来ていた。


451 : 1[saga] - 2013/09/10 21:18:50.17 iiQ3dA350 319/382

カイト「伊丹さん、芹沢さん、三浦さん、それに角田課長や米沢さんまで!」

右京「皆さん、どうしてこちらへ?」

大河内「それはですね…」

亀山「俺がみんなを説得したんですよ!」


452 : 1[saga] - 2013/09/10 21:19:38.69 iiQ3dA350 320/382

(回想)


大河内が右京たちと別れて2時間後、大河内はなんとか公安を動かそうと尽力したが
掛け合ってもらえずにいた、そんな最中であった。

亀山「大河内さん!右京さん何処行ったか知りませんか?」

大河内「亀山さん!あなた何で…」

亀山は昨日、右京が自分の下へ訪ねてきた事、またやはり心配になり警視庁にやって来たが
特命係に行っても不在だったので角田課長に尋ねたところ右京が朝から大河内と、
一緒に行動してた事を知りこうして訪ねてきた事を説明した。
また大河内も亀山や彼の後を追って入ってきた伊丹たちや角田に現状を説明し、
何か打開策は無いか相談してみた。


454 : 1[saga] - 2013/09/10 21:20:23.99 iiQ3dA350 321/382

角田「防衛省とは…まったくあいつらとんでもねえところを相手にしてんな。」

伊丹「だがデカい事件だ、特命なんぞにこんな手柄横取りされてたまるか!」

三浦「何言ってやがる!防衛省の施設なんていくら警視庁の刑事でも簡単に入れるか!」

芹沢「そうですよ、事件が起きているわけでもないんだから…」

亀山「事件…?それだ!大河内さん、それにみんな!よく聞いてください!
俺がその施設に入ります!入ったらすぐに俺を逮捕してください!
国の施設に無断侵入すれば警察が介入しても大義名分が付くでしょ!」

大河内「多少無茶ではあるが…亀山さん、あなたはそれでいいのですか?」

亀山「何言ってんですか!右京さんたちが危ない目に合ってるのに
保身なんか心配してる場合じゃないですよ!さあ早く行きましょう!」


―――――

―――




456 : 1[saga] - 2013/09/10 21:21:04.97 iiQ3dA350 322/382

亀山「…という訳でしてね。」

神戸「僕も亀山さんに助けてもらったんですよ。」

右京「助けてもらった?そういえばキミ…妙にボロボロですね。」

神戸「えぇ、近隣の所轄に行く途中で『山村貞子』らしき女性に襲われましてね。
そしたら…」


458 : 1[saga] - 2013/09/10 21:21:44.77 iiQ3dA350 323/382

(回想)


神戸「ハァ…短い人生だったなぁ…」

貞子「…」


ファンファン  ファンファン


貞子「?」

神戸「あれ?何でサイレンの音が?それに『貞子』のうしろの火の玉…
これよく見たら警察車輌の赤色回転灯じゃないか!?」


459 : 1[saga] - 2013/09/10 21:22:43.81 iiQ3dA350 324/382

亀山「コラー!『山村貞子』!その人から離れろ!」

貞子「!」

神戸「『貞子』が逃げていった…」

亀山「大丈夫でしたか?」

神戸「えぇ、けどあなたは?」

芹沢「あれ?神戸警部補じゃないですか!」

三浦「こんなとこで何してるんですか?」

大河内「神戸!生きてたか!」

神戸「大河内さん…それに三浦さんと芹沢さんまで…どうしてここに?」

亀山「あれ?みんなこの人の事知ってんの?」


460 : 1[saga] - 2013/09/10 21:24:46.88 iiQ3dA350 325/382

伊丹「あぁ、お前が特命辞めた後に配属された神戸尊警部補だ。」

角田「けど今は移動して警察庁にいるんだけどな。」

神戸「伊丹さんに角田課長まで…それじゃあなたが僕の前任者の亀山さん!?」

亀山「あなたがおれの後任者の…」

角田「新旧特命係の顔合わせって訳か、感動の場面だな!」

米沢「どの辺に感動があるのか聞きたいですな。」

神戸「米沢さんまで…ってそんな悠長な事言ってる場合じゃないんですよ!
あの研究施設で大変な事が起きてるんです!!」

―――――

―――




463 : 1[saga] - 2013/09/10 21:26:51.56 iiQ3dA350 326/382

神戸「それから僕はみなさんを連れて施設に向かったんですよ。」

亀山「まあ死体が出たとなればもう令状は要りませんからね。
俺が無断侵入する必要も亡くなったんですけど…なんなんですかこの死体の山は?」

伊丹「杉下警部とカイト以外死体の山だぞ、生きてるヤツは一人もいやしねえ…」

米沢「さっそく調べようかと思うんですが…」

角田「よし、俺たちも死体の調査を手伝うぞ!
大木、小松、米沢の手伝いしてやれ!」

大木、小松「「了解っす!」」

カイト「待ってください!ここはいるだけで危険なんです!」

右京「カイトくんの言う通りです!急いであの『井戸』を封印して全員退避して…」


464 : 1[saga] - 2013/09/10 21:28:15.90 iiQ3dA350 327/382

角田「何コレ?建物が揺れてるぞ!?」




ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ




伊丹「何だこの地鳴りは?」

カイト「まさかこの音って…」

右京「建物が崩れます!全員外へ出てください!」

こうして『井戸』のあった研究施設は脆くも崩れ去り、また『貞子』に関する調査資料も
建物の崩壊と一緒に消えてしまい、これで『山村貞子』のルーツを辿る事は、
永遠に不可能になってしまった。


466 : 1[saga] - 2013/09/10 21:29:39.45 iiQ3dA350 328/382

神戸「まさかこんなに脆く崩壊するなんて…」

芹沢「欠陥…だったんですかね?」

カイト「これも『貞子』の影響なのか?」

右京「大河内さん!この施設は危険です!今後誰も近づけないようにしてもらえますか?」

大河内「わかりました、手配しましょう。」

右京は大河内に依頼してこの施設を立ち入り禁止にしてもらった。
いつまた『貞子』が甦り、人々に『呪い』が降りかかるかわからないのだから…



467 : 1[saga] - 2013/09/10 21:30:15.02 iiQ3dA350 329/382

カイト「これで終わったんですね…」

右京「そうでしょうかね…」

不安に思いながらも時刻は…


9月3日、AM5:00


…になっていた、眩しい朝日が瓦礫で埋もれた研究施設を明るく映し出していた。



489 : 1[saga] - 2013/09/11 18:37:38.28 gm/7cgQ20 330/382

~特命係~


9月3日、AM9:00


カイト「「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

『山村貞子』の一件もひと段落して警視庁に戻ってきた特命係だがカイトは急に
驚いた声を上げた。

右京「そんな大声を上げてどうしたのですか?」

カイト「この写真…『井戸』の中で俺たちを助けてくれた人たちにそっくりなんですよ!」

そう、カイトは右京のデスクに飾られているある写真を見て驚いていたのだ。


490 : 1[saga] - 2013/09/11 18:38:05.52 gm/7cgQ20 331/382

亀山「写真って…あれ?この写真は小野田官房長のとこにあった写真じゃないですか?
何で杉下さんのところに?」

神戸「あぁ、そうか。亀山さんは知らないんですよね。
実は小野田さん…4年前に亡くなったんですよ。」



亀山、カイト「「亡くなった!?」」



右京「前代未聞の警視庁籠城事件…その直後に警視庁の幹部職員に逆恨みの形で刺されましてね。
あの人らしい最期といえばそうなりますが…」

神戸「僕たちの目の前で刺されましたからね、やり切れませんよ…」

亀山「小野田さん…右京さんになら殺されてもいいって言ってたのに…」


491 : 1[saga] - 2013/09/11 18:38:50.61 gm/7cgQ20 332/382

カイト「け…けどこの写真の他の人たちも俺…見覚えがあるんですよ!
彼らは…」

亀山「それこそあり得ないよ…彼らも15年前に亡くなっているんだ。」

神戸「僕も聞いた話なんだが15年前に大使館で人質籠城事件が発生して、
警視庁は慎重な対応を負われたんだ。
その時結成されたのが『緊急対策特命係』、現在の特命係にあたる部署なんだ。」

亀山「だがその事件で隊員3名が死亡したって話だ。」

右京「いいえ、4名です。亀山くんが辞めてすぐの頃でしたか。
萩原くんがガンで亡くなりました…ですのでかつての生き残りはもう…
僕と…石嶺くんだけですよ。」

亀山「そうでしたか…萩原さん…ガンで…」


492 : 1[saga] - 2013/09/11 18:39:20.14 gm/7cgQ20 333/382

カイト「なんてこった…俺たちを助けてくれたのがかつての特命係の人たちだったなんて…」

亀山「いや…死んだ彼らが右京さんとキミを助けに来てくれた。
たとえ死んでも特命係の絆ってのはそう簡単に断ち切れるものじゃないって事さ!」

カイト「そう…なんですかね…」

神戸「亀山さん、ちょっと言い方が臭いですね。」

亀山「え?そうですかね…」

右京「まったくそれなら僕にも姿を見せてくれてもいいものを…
死んでもなお素直じゃありませんね…小野田さん…」


493 : 1[saga] - 2013/09/11 18:39:56.35 gm/7cgQ20 334/382

角田「よ、暇か!…って新旧相棒勢揃いじゃねーか!どしたの?」

亀山「あぁ…俺まだサルウィンに帰るのに日数があるから…」

神戸「僕も…まだこの事件でスッキリしてない部分がありましてね。」

カイト「スッキリしてない部分って?」

右京「そういえば課長、頼んでおいた件は調べてくれましたか?」

角田「あぁ、調べたぞ!実は『伊豆パシフィックランド』があった場所なんだが…
元は『伊熊平八郎』の家があったそうなんだな。
だが『伊熊』は結核の療養のためにその邸宅を売り払い、その後業者があの辺りを買い取って
『伊豆パシフィックランド』を建設したって話だ。」


494 : 1[saga] - 2013/09/11 18:40:26.76 gm/7cgQ20 335/382

カイト「じゃあ元々『伊熊平八郎』はあの場所に住んでたって訳ですか。
けど…何で娘の『貞子』が『井戸』に閉じ込められたのに家を売却したんだ?」

右京「なるほど、そういう事でしたか。これで繋がりました。
みなさん、すぐに『南箱根療養所』に行きましょう。」

カイト「『南箱根療養所』?けどどうして…って行っちゃうし!」

神戸「まああの人の独断専行はいつもの事だし…」

亀山「課長!コーヒーちゃんと淹れておきましたから飲んでおいてください。
サルウィンで採れた豆使ってますんで!」

角田「本当かい?ズズーッ、うん!今日のコーヒーは一味違う!!」

大木、小松「「嘘つけ…」」


495 : 1[saga] - 2013/09/11 18:41:03.50 gm/7cgQ20 336/382

『南箱根療養所』


9月3日、AM11:00


さっそく『南箱根療養所』に向かった右京たちであったが『伊熊平八郎』は結核の
症状が悪化し今日が峠であると告げられた。

看護師「患者さんはもう喋れる状態ではないのですが…」

右京「それでも緊急の用事ですので、通させて頂きますよ。」

看護師「ちょっと待ってください!」

神戸「申し訳ありません、あの人こうと決めたら梃子でも動かないものでして…」

カイト「大丈夫、すぐに終わらせますんで。」

看護師「まったく!どうなっても知りませんよ!」


496 : 1[saga] - 2013/09/11 18:41:58.61 gm/7cgQ20 337/382

こうして看護師は病室から出て行き特命係の面々は『伊熊平八郎』と再度対面した。

伊熊「アナタタチハ…サダコハドウシマシタカ?」

右京「『山村貞子』は再び『井戸』の底へ戻りました。復活する心配はないでしょう。」

伊熊「ソウデスカ、サダコ…スマナイ…」

右京「『伊熊』さん、あなたが存命の内に聞いておかなければいけない事があります。
45年前、『山村貞子』を『井戸』に閉じ込めたのはあなたですね!」

カイト「そんな…あり得ないですよ!」

亀山「そうですよ!実の娘じゃないですか!?」

右京「実の娘だからですよ、これ以上娘の所為で人が死ぬのは耐えられない。
そう思ったのではありませんか?」

『伊熊平八郎』は少し沈黙した後、涙を流し右京の質問に答えた。


497 : 1[saga] - 2013/09/11 18:43:18.34 gm/7cgQ20 338/382

伊熊「ソウデス、ワタシガサダコヲイドニトジコメタンダ…」

神戸「何故…そんな事を…」

そして『伊熊』は語り始めた。

57年前、『山村貞子』の能力は母の『志津子』以上の力があった。

これをどうにかするには『貞子』をふたつに切り離さなければいけない。

そう考えた『伊熊』はあらゆる方法を駆使し『貞子』をふたつに切り離す事に成功する。

一方は母親に似た美しい少女、だがもう一方はドス黒く禍々しい存在…

『伊熊』はそのもうひとりの『貞子』を伊豆の家にクスリ漬けにして監禁状態にしていた。

そうでもしなければ彼女は間違いなく人を殺そうとするからだ。

しかし、事態は最悪の結果を生む…

結局分離したとはいえ善良の『貞子』の幸せを妬んだ悪意の『貞子』が尽くその幸せを

踏み潰し、それに怒りを感じた『劇団飛翔』の団員たちと『宮地彰子』が

悪意の『貞子』を殺しに乗り込んできたのだ。

『貞子』は元のひとつに戻り『劇団飛翔』の団員たちと『宮地彰子』を返り討ちにした。

もうこれ以上『貞子』を抑えきれないと思った『伊熊』は『貞子』を襲い、

『井戸』に閉じ込めてしまうという悲しい話であった。


498 : 1[saga] - 2013/09/11 18:45:30.55 gm/7cgQ20 339/382

右京「なるほど、やはりそういう事でしたか。
最初にあなたにお会いした時『貞子すまなかった。』と仰ったのでもしやと思いましてね。
それに『井戸』があった場所は元はあなたの邸宅があったと聞いています。
そんなあなたならば『貞子』を『井戸』に閉じ込めるのも容易いでしょうね。」

カイト「じゃあ以前悦子が聞いた女子学生の『井戸』での噂話は…」

右京「恐らくそれは『中年の男』つまり当時の『伊熊平八郎』が娘の『貞子』を
殺害しようとして『井戸に』閉じ込めたんでしょうね。
その女子学生が階段を上がれなかったのはもうひとりの悪意の『貞子』がいたからでしょう。
『貞子』の悪意を直感で感じてしまい階段を上がれなかったんでしょうね。」


499 : 1[saga] - 2013/09/11 18:46:03.25 gm/7cgQ20 340/382

亀山「そんな…アンタ実の娘だろ!何でそんな事をしたんだ!?」

神戸「亀山さん抑えて!重病患者ですよ!」

伊熊「サダコハ…モハヤワタシガテニオエルソンザイデハナカッタ…ワタシモ…サダコヲイドニトジコメタアト…
シノウトシタガ…」

右京「恐くなり死ねなかった、そうではありませんか?」

伊熊「アァ…ハハトムスメヲフコウニシタノニ…ワタシダケイキノコルトハ…」

亀山「なんてこった…これじゃ『山村貞子』も浮かばれねえよ…」


500 : 1[saga] - 2013/09/11 18:47:10.95 gm/7cgQ20 341/382

右京「もうひとつ聞きたい事があります、恐らくあなたは『劇団飛翔』の団員たちと
『宮地彰子』の死体を何処かに隠したはず、そうではありませんか?
それだけの死者が出たにも関わらず彼らの死体は発見できず現在も未だに行方不明。
そして『山村貞子』は30年も『井戸』の底にいた。
自然に考えれば隠せるのはあなたしかいないんですよ。」

伊熊「カレラノシタイハ…ワタシノイエノウミノヨクミエルバショニウメタ…」

カイト「けど何で隠す必要があったんですか?あなたも死ぬ気だったはずなのに…」

伊熊「モシカレラノシタイガハッケンサレレバ…シインニカカワラズサダコガウタガワレルコトニナル…
セメテモノ…オヤゴコロダッタンダ…スマナカッタ…サダコ…」


ガクッ


カイト「『伊熊』さん!『伊熊』さん!?」

神戸「もう息はありません、ご臨終ですね。」

亀山「最後に親らしい事をしてやろうと…殺された連中を隠した訳ですか…
親ならもっと他にやるべき事があったろうが!」

右京「今更彼を責めても仕方ありません、それよりも静岡県警に連絡してください。
旧伊熊邸付近を捜索して『劇団飛翔』と『宮地彰子』の死体を見つけましょう。」


501 : 1[saga] - 2013/09/11 18:47:50.23 gm/7cgQ20 342/382

~旧伊熊邸付近~


9月3日、PM14:00


その後すぐに静岡県警との捜査により旧伊熊邸付近を捜索したところ、
人里離れた海岸付近に男女の死体が大量に埋められていたのを発見。
その死体のすべてがは死亡経過が45年前のモノだと確認された。

右京「これで死体は全部ですね、『劇団飛翔』の団員たちと『宮地彰子』さんたちとみて
間違いないでしょう。」

神戸「一応確認取りますけどそうでしょうね。」

亀山「『伊熊平八郎』は最後に人間として…いや父親としての務めを果たして死んだんですね。」

カイト「そうですね、娘の罪をこうやって告白してくれたわけだし…」


502 : 1[saga] - 2013/09/11 18:49:19.58 gm/7cgQ20 343/382

右京「果たして彼は本当に『山村貞子』の父親だったのでしょうかね?」

カイト「どういう事ですか?」

右京「そもそもあのような異能の力を持った『山村貞子』の父親が何の力も持たない
『伊熊平八郎』だというのが僕には不自然に思えてなりません。
『貞子』の父親は別にいると考えるべきでしょうね。」

神戸「お言葉ですがそんな事…本人たちにしかわからない事では…」

右京「恐らくですが『山村貞子』は薄々気付いていたはずですよ。
その証拠に彼女はずっと『山村』姓を名乗っていました。
彼女は母親の死亡後に『伊熊平八郎』に引き取られているはず、それなのに『伊熊』姓を
名乗らず『山村』姓を名乗っていた事を考えれば本当の父親が、
『伊熊平八郎』ではない事をわかっていたのではありませんかね…」


503 : 1[saga] - 2013/09/11 18:50:03.89 gm/7cgQ20 344/382

カイト「それじゃあ『貞子』の本当の父親は…」

右京「『しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。』」

カイト「それって…『呪いのビデオ』のメッセージですよね、それがどうしたんですか?」

右京「意味は『水遊びばかりしていると、お化けがくるぞ。』ですが…
僕は最初この言葉に何の意味も無いのかと思っていました、けれどもしこれが意味のある
言葉だとしたら…『貞子』の本当の父親は恐らく…海の魔物かもしれませんね…」

右京とカイト、それに亀山と神戸は荒れ狂う海を眺め…不気味な事件は幕を閉じようとした。


510 : 1[saga] - 2013/09/11 20:28:27.75 gm/7cgQ20 345/382

だが…

警官「あの本庁の方々!死体がもう一体発見されたんですが…」

神戸「他にもまだ死体が?場所はどこですか?」

警官「ここから少し離れた場所です、その死体も死亡経過が45年くらい経っているらしいですが…」

カイト「何で一体だけ離れた場所に埋められてるんだ?」

亀山「たまたま離れて埋めた…わけじゃないよな?」


511 : 1[saga] - 2013/09/11 20:28:56.11 gm/7cgQ20 346/382



ヴィー ヴィー ヴィー


全員が疑問に思う中右京の携帯が鳴り始めた、その連絡してきた相手は…

右京「ハイもしもし、杉下ですが。はぃ?」

カイト「電話…誰からでしたか?」

右京「内村部長からです、至急帰ってこいとの連絡でした。」


512 : 1[saga] - 2013/09/11 20:29:27.08 gm/7cgQ20 347/382

~警視庁~


内村刑事部長の部屋


9月3日、PM16:00


内村「馬鹿者ォォォォォォォォ!!」

中園「貴様ら特命係には謹慎処分を命じていたはずだぞ!それなのに勝手に捜査なんぞしおって!」

内村「おまけに防衛省の施設に勝手に潜入し大量の死体を発見するとは…
というかだ、何故亀山と神戸までここにいる!?特に亀山!お前は警察を辞めた部外者だぞ!」


513 : 1[saga] - 2013/09/11 20:30:22.17 gm/7cgQ20 348/382

亀山「まぁ…成り行きというヤツでして、なんか現職時代は騒音みたいな内村部長の
お説教も今となっては懐かしささえ感じますねぇ…」

神戸「なんとなくわかりますよそれ、僕もちょっと懐かしいみたいな感じが…」

カイト「そんなモンですかね?」

中園「誰が喋っていいと言った!?」

内村「それで…あの施設で何が…いや…やはりいい、これ以上面倒な事に関わりたくはない…」


514 : 1[saga] - 2013/09/11 20:30:49.52 gm/7cgQ20 349/382

中園「まったく…今回の命令違反は明らかに重大問題だと言いたいが…
警察庁の甲斐次長がお咎め無しと言ってきてな…」

内村「防衛省の秘密を暴いた成果だと言ってきてな!
フンッ!甲斐次長に感謝するんだな!!」

カイト「あのクソ親父…」

右京「ここは素直に甘えておきましょう、ところで内村部長。
明日休暇ですよね、実は付き合ってほしいところがあるのですが…」

内村「なんだと?」


515 : 1[saga] - 2013/09/11 20:31:17.22 gm/7cgQ20 350/382

~大島~


9月4日、AM10:00


右京たち特命係と内村部長は再び大島へと訪れていた。

内村「何故私が特命係の連中と一緒に大島なんぞにこなければならんのだ?」

亀山「まぁまぁ部長、たまの休日をこういう自然豊かな場所で満喫するのも悪くないですよ♪」

神戸「そうですよ、そのストレスの胃炎も少しは治るんじゃないんですか?」

内村「そのストレスの原因は貴様らなんだが…
というか何故貴様らまだいるんだ!?さっさと仕事に戻れ!」


516 : 1[saga] - 2013/09/11 20:31:58.11 gm/7cgQ20 351/382

亀山「俺は…まだサルウィンに戻る予定日まで日があるんで…」

神戸「僕も長谷川元副総監とはなるべく顔を合わせたくないんで…」

カイト「神戸さんのサボる理由やべえ…」

そんな右京たちの前にやはり大島にいる駐在の陣川がやって来た。

陣川「杉下さ~ん、カイトくん!お待ちしていました、それに亀山さんと神戸くんも
久しぶりです!」

亀山「陣川さん!何で交番勤務の格好してんですか?」

神戸「まさかこっちに移動されちゃったんですか!?」

右京「そういえばまだ言ってませんでしたね、陣川くんは今こちらで勤務なさっているそうです。」


517 : 1[saga] - 2013/09/11 20:32:55.28 gm/7cgQ20 352/382

亀山「あぁ…なんとなくわかる気が…」

神戸「また何かやらかしちゃったんですね。」

内村「フンッ!お前たちもそうならないように注意するんだな。」

右京「さて、カイトくん。僕はちょっと用事があるのでここで一旦別行動を取ります。
みなさんを…そうですね、先日こちらに来た時に夕食をご馳走になった奥さんの
旅館に案内していただけますか?」

カイト「あぁ、あそこですか?わかりました、けど俺その場所知らないんですけど…」

陣川「なら僕にお任せください杉下さん!全員を案内しますので!」

右京「頼みましたよ、それでは失礼します。」

それから右京はみんなと別れて別行動をする事になった。
残ったカイトたちは陣川の案内で先日ご馳走になった女性が経営する旅館にやって来ていた。

亀山「まったく右京さんたら自分だけどっか行っちゃって…」

神戸「あの人の独断専行は今に始まった事じゃありませんから。」

内村「そんな事より何故私まで行かねばならんのだ?」

陣川「まあまあ、あそこの料理スゴい美味しいんですから!」

カイト「そういえばあの奥さんの旅館って名前…まだ聞いてないんですけど何ていうんですか?」

陣川「あぁ、『旅館遠山』っていうんだよ。」


518 : 1[saga] - 2013/09/11 20:33:48.16 gm/7cgQ20 353/382

~旅館遠山~


9月4日、AM10:30


女性「あら、陣川さん。こんなにお客様を連れてきてありがとうございます♪」

主人「陣川さん、それにお客さんもこんなに大勢で!」

陣川「いやぁ、ご主人や奥さんには日頃からお世話になってますからね!」

カイト「奥さん、それにご主人、お世話になります。」

女性「まぁ!この前の若い刑事さんまで!そちらの方々もお連れさんですか?」

亀山「どうも~♪」

神戸「お邪魔しますね♪」

内村「…なんで私までこんなところに…」


519 : 1[saga] - 2013/09/11 20:34:20.60 gm/7cgQ20 354/382

女性「さぁ、みなさん入ってください!」

カイト「それじゃお邪魔しま…あれ?」

亀山「あ…?」

神戸「あ…ぁ…」

陣川「どうしたんですかみなさん?」

女性「あの…私の顔見て何で不思議そうな顔してるんですか?」

カイト「俺…奥さんの事を前にもどこかで見た気が…」

亀山「あぁ…俺もどっかで見たんだよな。」

神戸「実は僕もなんですけど…不思議ですね、みんなしてそんな事言うなんて…」

女性「イヤですよ!若い男たちがこんなおばちゃん相手に口説くだなんて♡」


520 : 1[saga] - 2013/09/11 20:34:46.76 gm/7cgQ20 355/382

内村「お前らいい加減そこを退け、私が入れんだろう!」

内村はカイトたちが玄関口で立ち止まっているところを強引に押しのけて入ってきた。
その時内村はまるで幽霊を見たような顔をした。


内村「あ゛…あぁ…」


カイト「あの部長…どうかしたんですか?」

亀山「まるで幽霊でも見たような顔をしてますよ。」

内村「ゆ…幽霊…いやまさか…そんな…」


521 : 1[saga] - 2013/09/11 20:35:14.28 gm/7cgQ20 356/382

右京「やはりそうでしたか。」

カイト「杉下さん!戻って来たんですね!」

亀山「さっきのはどういう事なんですか?」

右京「実は…『劇団飛翔』のメンバーの生き残りを調べましてね。
当時生き残りは二人居たそうですよ。
音響スタッフの『遠山博』さん、それに…衣装係の『立原悦子』さん、その二名だそうです。」


522 : 1[saga] - 2013/09/11 20:35:43.84 gm/7cgQ20 357/382

亀山「『遠山』?そういえばこの旅館も確か…『遠山』って名前じゃ…?」

陣川「そういえばご主人の名前って『遠山博』って名前じゃ?」

遠山「…えぇ…私は確かに『遠山博』です…」

カイト「それじゃあ…あなたは45年前の事件に関わっていたんですね!」

女性「あなた…!」

右京「そして奥さん、あなたの名前は現在は『遠山悦子』ですが
旧姓は『立原悦子』だそうですね。」

悦子(遠山)「…」

カイト「奥さんまで…なんてこった!じゃああなたたちは当時『山村貞子』と一緒に
劇団にいたわけですか!?」



523 : 1[saga] - 2013/09/11 20:36:13.30 gm/7cgQ20 358/382

内村「『遠山』?彼女が『立原』?どういう事だ!?訳がわからんぞ?」

カイト「え?だって…部長は二人の事を覚えてたから驚いているんじゃ…」

内村「私が驚いているのは…」

右京「すみません部長、暫くその事を言うのは待ってもらえますか。」

内村「…」

右京は何かを言いたげな内村を黙らせ推理を語り続ける。

亀山「右京さん!これは一体どういう事なんですか!?」


524 : 1[saga] - 2013/09/11 20:38:05.31 gm/7cgQ20 359/382

右京「昨日、我々が伊豆で見つけた『劇団飛翔』と『宮地彰子』の死体の数々を発見しましたが…
しかしそんな中…一体だけ離れた場所に埋められ確認の取れていない死体がありました。
何故でしょうか?そこで僕は考えたのです、こんな事を行う理由はただひとつ!
『誰か』がその死体の人物と入れ替わったのではないかと!」

亀山「入れ替わったって何でそんな事をする必要があるんですか!」

神戸「入れ替わる理由があるとするならそれは入れ替わる側が何か犯罪を犯したからと、
考えるのが普通ですが…」

右京「そう、その通りですよ!
ところで奥さん、最初にあった日ですが…あなた僕に自分は『山村貞子』の同級生だと
仰いましたよね。」


525 : 1[saga] - 2013/09/11 20:38:58.54 gm/7cgQ20 360/382

悦子(遠山)「ハ…ハイ、そうですけど…」

右京「ですがそれだと不自然ではありませんかね、あなたと『山村貞子』は同郷の
人間という事になる。何故あなたは『劇団飛翔』での事を我々に言わなかったのですか?」

悦子(遠山)「そ…それは、あんな惨劇が起きた訳だし…話しづらかったから…」

亀山「まぁ…団員の殆どが行方不明になったとなれば話しづらいのは分かりますが…」

右京「ですがおかしいのはあなたが『山村貞子』の同級生という点ですよ。
実は僕とカイトくんは先日ある場所で『山村貞子』の小学生時代を知ったのですが…」

カイト「あぁ、あの研究施設に『貞子』の小学生時代の資料ですよね。」

右京「そこで知った事ですが、当時『山村貞子』の同級生は全員海で溺れて
死亡したとの事です。
さておかしいですね、何故亡くなったはずの『山村貞子』の同級生がここにいるのでしょうか?
それに先ほど確認しましたがあなた方夫婦がこちらに来たのは20年前だと聞いています。
20年前にこの島に来たあなたが『山村貞子』と同級生という事自体が何か矛盾してませんかね?」



526 : 1[saga] - 2013/09/11 20:39:26.23 gm/7cgQ20 361/382

カイト「それじゃあこの人はまさか…」

神戸「そうか…だから僕たちはこの人に見覚えがあるのか!」

亀山「俺なんか二度も会ったしな!」


527 : 1[saga] - 2013/09/11 20:40:16.04 gm/7cgQ20 362/382











右京「そう、あなたは45年前に亡くなった『立原悦子』と入れ替わった『山村貞子』ですね!」


















528 : 1[saga] - 2013/09/11 20:40:55.22 gm/7cgQ20 363/382

悦子(遠山)「あ…あぁ…」

内村「やはり彼女が…」

遠山「ま…待ってください!確かに私たちは45年前に東京の『劇団飛翔』にいました!
だからといってそんな…入れ替わるなんて…証拠はあるんですか!?」

右京「証拠はあります、こちらの内村部長です!」

カイト「内村部長は45年前に学生アルバイトで何度か『劇団飛翔』に出入ってたそうですよ。」

右京「部長、彼女が『山村貞子』に間違いありませんね。」

内村「あぁ、間違いない。彼女の特徴的だったあの長い黒髪は短くなってるがあの顔は
忘れたくても忘れられんよ!」



530 : 1[saga] - 2013/09/11 20:41:27.28 gm/7cgQ20 364/382

亀山「奥さん!本当の事を話してください!」

神戸「もう45年も前の事件です、とっくに時効ですよ。」

暫く沈黙が続いた、それから悦子(遠山)はその重い口を開き語り始めた。


貞子「ハイ、私が『山村貞子』です。」


右京「えぇ、あなたの本当の名前は『山村貞子』ですね。」

カイト「やっぱり奥さんが…」

亀山「けど何で彼女は生きてるんですか?」

神戸「そうですよ、杉下さんのお話によれば彼女は45年前に『井戸』に閉じ込められたはずじゃ!?」


531 : 1[saga] - 2013/09/11 20:42:11.44 gm/7cgQ20 365/382

右京「その答えを知っているのはご主人である『遠山』さん、あなたですね。」

遠山「わかりました、すべてをお話しします。
私と『貞子』は彼女を殺そうとする『劇団飛翔』の連中から逃げていたんです。」

貞子「そんな時、私はもうひとりの自分と再びひとつになり…『劇団飛翔』の人たち
を手に掛けてしまいました…」

遠山「私も最初…『貞子』に殺されたと思ったのですが…気が付いたら無事で…
何が起きたのか確かめにあの『伊熊』邸に戻ったら…父親の『伊熊』さんが
『貞子』を『井戸』に突き落として…」


532 : 1[saga] - 2013/09/11 20:42:53.30 gm/7cgQ20 366/382

貞子「『井戸』に閉じ込められた私は蓋を閉められてもうダメかと思いました…
けどそんな時主人が助けてくれて…
でもそう簡単には行きませんでした、もうひとりの私が現れて『井戸』から抜け出そう
としたんです!
私はこれ以上もうひとりの私に罪を重ねてほしくないために力いっぱい抵抗した…
そしたら…」

遠山「貞子は再び…二人になったんです…それから私たちはもうひとりの『貞子』を
『井戸』に閉じ込めて、すぐにその場を立ち去ろうとしたんですが…」

貞子「父が『劇団飛翔』の人たちの死体を集めて埋めていたんです…」

遠山「私はこの時思いました、もしこのまま『貞子』が生き延びてもまた、
『宮地彰子』のような連中が『貞子』に纏わりつくんじゃないかと…
そこで考えたんです!『貞子』を社会的に死んだ事にして誰かと入れ替えればいいのではと…
その時死んだ連中の中に『立原悦子』という『貞子』と同世代の女性がいたので
『立原悦子』と『貞子』を入れ替わらせたんです!」


533 : 1[saga] - 2013/09/11 20:43:21.70 gm/7cgQ20 367/382

右京「なるほど、しかしわかりませんね。
あなた方は入れ替わったにも関わらず、何故この『山村貞子』に縁があるこの島で
今も住んでいるのですか?」

カイト「そうですよ、『山村貞子』を捨てたのに何で…」

遠山「それは…」

貞子「私たちはその後20年以上各地を転々としました、しかしあの日の事が頭から焼き付いて
離れないんです!私が島を離れなければあんな惨劇は起こらなかったはずなのに…」

遠山「それで私と『貞子』はこの島に戻ってきたんです、正体がバレるのを覚悟で…」

貞子「ですが…不幸中の幸いな事に私の同級生は事故で死んだため誰もいなくて…
この島で唯一の叔父も普段は滅多に家から出なかったので誰も私が『山村貞子』だと
思わなかったでしょうね…」


534 : 1[saga] - 2013/09/11 20:43:56.91 gm/7cgQ20 368/382

右京「なるほど、これが事件の真相ですか。」

内村「もう私にはもう付いていけん…悪いが失礼する!」

亀山「あ、部長帰っちゃいましたよ…」

右京「無理もありませんね、真相を知った僕たちでさえも戸惑っているのですから…」

神戸「つまりこちらにいらっしゃる『山村貞子』さんは善良な方の『貞子』さんな訳ですよね。
法的に解釈すれば45年前の殺害時二人は同一体であったため、罪に問えなくもありませんが…」

右京「しかし45年前ですからね、既に時効が成立しています。
この事件を裁く事はもう我々には出来ません…」


535 : 1[saga] - 2013/09/11 20:44:25.06 gm/7cgQ20 369/382

貞子「あの…刑事さん、もうひとりの私は…どうなったんでしょうか?」

右京「今も『井戸』の中にいて、未だに人々を呪い続けているのでしょうね。
彼女の怨念は未来永劫絶えないのかもしれません…」

貞子「そんな…」

右京「『貞子』さん、我々はあなたの罪を問う気はありません、恐らくあの事件を
引き起こしたのはもうひとりのあなたですからね、ですがひとつお願いしたい事が…」

貞子「え?」


537 : 1[saga] - 2013/09/11 20:45:00.65 gm/7cgQ20 370/382

~山村家~


9月4日、AM11:30


右京たちは『貞子』を連れて山村家へ訪れていた。

和江「あなたたち…また…」

陣川「奥さん落ち着いて!今日はお話を聞きに来たわけじゃないので!」

貞子「ここに来たのはもう50年ぶりですね…」

右京「やはりここには近づいてませんでしたか。」

貞子「ハイ、ここは悲しい思い出しかありませんから…
けど何で私をこの場所に連れて来たんですか?」


538 : 1[saga] - 2013/09/11 20:45:54.61 gm/7cgQ20 371/382

右京「それはあなたに成仏させてほしい方がいるからですよ。」

貞子「成仏って?」

カイト「あなたのお母さんですよ。」

貞子「母が?」

右京「15年前からこの家で頻繁に『志津子』さんの霊が出没するそうですよ。
恐らくこの世になんらかの未練が残っているんでしょうねぇ。
もしかしたら娘のあなたの事を心配しているのではないですか?」

貞子「けど私の力は45年前に『井戸』でもうひとりの私と別れた時に無くなってしまって…」

亀山「力なんて関係ありませんよ!あなたがお母さんを成仏させたいっていう願いが
あればそれで十分なはずです!」

神戸「僕もオカルトには詳しくないですけど…親子に超能力なんて関係ないでしょう。」

カイト「いざとなったら俺たちが付いてますから安心してください!」

右京「さぁ行きましょうか。」

貞子「みなさん…わかりました!行きましょう!」


539 : 1[saga] - 2013/09/11 20:46:39.65 gm/7cgQ20 372/382

そして全員は『志津子』の居る部屋へとやって来た、この中で一番霊感のある亀山は
その部屋に何か例がいる事をすぐに察知出来た。

亀山「右京さん…この部屋…」

右京「どうやらこの部屋にまだいるみたいですね。」

貞子「お母さん、私です!貞子ですよ!」


志津子「あ゛…あぁぁ…」


現れた『志津子』は不気味な声を上げて『貞子』の下へと近づいてきた。


540 : 1[saga] - 2013/09/11 20:47:28.13 gm/7cgQ20 373/382

志津子「あ゛…あぁ…『貞子』…」

亀山「あの女の人の顔が安らいでいく、まるで満足したかのような表情だ…」

そう、亀山の言う通り志津子はまるで今までの憑き物が取れたかのような表情を浮かべて、
大人になった娘の『貞子』を優しく抱いていた。
そして『志津子』は満足した顔でその場から消えていった。

貞子「お母さんさようなら…」


541 : 1[saga] - 2013/09/11 20:47:57.02 gm/7cgQ20 374/382

後日


~成田空港~


再びサルウィンへと旅立った亀山と美和子を見送った右京とカイトはその帰り道で
『呪いのビデオ』の話をしていた。
(ちなみに神戸はこれ以上のサボると仕事をクビにされそうなので来れなかった。)

右京「しかし不幸中の幸いでしたね、『山村貞子』が呪いのビデオを念写したのが
15年前で…」

カイト「それってどういう事ですか?」


542 : 1[saga] - 2013/09/11 20:48:46.54 gm/7cgQ20 375/382

右京「今ならダビングなんかしなくても伝達させる手段があるじゃないですか。」

カイト「そんな手段…あぁそうか!動画サイトですね!」

右京「そうです、もしも『山村貞子』がネットを経由して『呪いのビデオ』ならぬ
『呪いの動画』を見せていたら人類はあっという間に滅亡していたかもしれませんよ。」

カイト「まったく恐ろしいヤツでしたね、『山村貞子』…
ところでもうひとりの『山村貞子』いや『遠山貞子』さんはどうなるんですか?」

右京「そうですね、45年前の罪はともかく、他人に成りすましていましたからね…
情状酌量の余地もありなんとか罰金刑で収まるようですよ。」

カイト「『遠山貞子』の方は現在じゃ子供どころか孫までいて慎ましくも幸せな
人生を歩めるっていうのに…」

右京「一方人を恨む事しか出来なかった『山村貞子』は今も『井戸』の底の中…
これほどまで人生がくっきりと別れてしまうモノなのでしょうかね…」

カイト「そういえばひとつ気になったんですけど…防衛省の研究施設で
『岡崎』らしき男を発見出来なかったんですけどこれってどういう事なんですかね?」

右京「それは恐らく…」

右京は青空を見上げ…何か思うところがあった。


543 : 1[saga] - 2013/09/11 20:49:42.17 gm/7cgQ20 376/382

~???~


ここは政府のある施設、片山雛子はある人物を待っていた。
そこにひとりの中年の女性が目隠しでその場に連れて来られていた。
その女性は…

雛子「ようこそ、『嘉神郁子』さん!手荒な真似をして申し訳ありません。
けどこの計画は秘密裏に進めたいものでして…」

『嘉神郁子』、かつてはバイオテクノロジー研究所の主席研究員であったが

娘の茜の身体を母体として使い、クローン人間を製造しようとした過去がある。

しかし茜は子供を流産してしまい結局この世にクローン人間が生まれる事はなかった。

そんな彼女が何故呼ばれたかというと…

ちなみにこれは神戸が特命係に所属していた時に最後に関わった事件でもある。


544 : 1[saga] - 2013/09/11 20:50:17.16 gm/7cgQ20 377/382

郁子「何故私を呼んだんですか?」

雛子「あなたのクローン研究でこの世に甦らせたい人間がいるんですよ。」

郁子「甦らせたい人間って…クローン人間は必ずしも同一の個体になるとは…」

雛子「その人間は57年前に超能力を使いひとりの記者を殺害、それから45年前に
『劇団飛翔』の団員と『宮地彰子』」を殺害、
更に15年前に死んでいるにも関わらず『呪いのビデオ』というモノを作り出し
多くの不特定多数の人間を殺害、
たとえ同一の個体ではなくても能力は受け継がれるそうだと思いませんか?」

郁子「あなた…何を言って…」

雛子「防衛省は良い研究資料を残してくれました。『ProjectRING』、私が引き継がせてもらいます!」


545 : 1[saga] - 2013/09/11 20:51:30.63 gm/7cgQ20 378/382

雛子「言っておきますが…あなたに拒否権はありません。
逆らえば刑務所にいるあなたの娘さんは永遠に出所出来なくなるかもしれませんからね。」


ガラガラ  ガラガラ


そんな雛子の後ろから黒服の男が車椅子に乗った男を連れてやって来た。
彼の名は『岡崎』、あの事件の時…彼だけは片山雛子の手により前もって脱出してたのだ。
これから行う実験に利用するために…

雛子「それでは、これがクローンとして甦らせたい人物の生体細胞です。」

郁子「こ…これは…死体?」

雛子「えぇ、見つけるのに苦労しましたよ。
あの研究所は瓦礫で埋もれて『井戸』から掘り起こして回収したんですからね。」

その死体には『S・Y』というネームプレートが貼ってあり郁子はこの死体が誰なのかを
尋ねた。


546 : 1[saga] - 2013/09/11 20:52:54.41 gm/7cgQ20 379/382

郁子「この死体は誰なのですか?」


雛子「この死体の名は『山村貞子』、我々は彼女を再び甦らせ彼女の能力を国益に利用するんですよ。
これより私の指揮の下、『ProjectRING』を再始動します!」


こうして悪魔の実験は人々の知らないところで今も続けられている…


547 : 1[saga] - 2013/09/11 20:54:16.15 gm/7cgQ20 380/382

途中止まってしまいましたがこれにて本当に終わりです。

やっぱり片山雛子はクロでしたというオチになりました。

536 : 以下、新鯖からお送りいたします[... - 2013/09/11 20:44:29.91 ngRVaKH70 381/382

なんかこんがらがってきたぞ……
だれかまとめてくれ

552 : 1[saga] - 2013/09/11 21:09:47.71 gm/7cgQ20 382/382

ちょっと補足説明

>>522
こちらで悦子(遠山)と表記しましたがこれはカイトの彼女の名前が同じく悦子なので
それと区別するためにこうした表記にしました。

>>536
つまり良い貞子と悪い貞子がいてそれが離れ離れでいたけど
人を殺すために合体、けど人殺した後にまた分離して良い貞子が遠山と一緒に悪い貞子を井戸に閉じ込める
結果悪い貞子ブチ切れて30年後に呪いのビデオをばら撒く→そして現在に至る

という事になります。



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