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1 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/27 22:36:12.39 GP/ApBnQo 1/135


前々々々々々スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1281/12819/1281906725.html

前々々々々スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その2号室(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1285/12851/1285176416.html

前々々々スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その3号室(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1290/12902/1290269430.html

前々々スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その4号室(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1294/12949/1294926803.html

前々スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その5号室(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1295/12957/1295769857.html

前スレ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その6号室(過去ログ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298387830/


○あらすじ

 学園都市 第7学区の外れに存在するツタに覆われた怪しげな洋館。
 洋館の住人、絹旗と滝壺は余った空き部屋の入居者を募集したところ、
 集まった住人は偶然にも全員が大能力者(LEVEL4)であった。
 更に住人も増え、合計8人と1匹が一つ屋根の下で繰り広げる、ハートフルボッコメディストーリー。


○もはや説得力のない初代スレ>>1からのコピペ

 ・"とある魔術の禁書目録"の二次創作SSです
 ・たぶん全年齢向け
 ・キャラ崩壊および独自設定、独自解釈を含みます
 ・ラブロマンス、バトル、シリアスの要素は薄め(予定)です
 ・要はダラダラした日常をダラダラと書きます



>>2-3 でメイン登場人物をおさらい


元スレ
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その7号室
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301232972/

2 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/27 22:36:56.01 GP/ApBnQo 2/135


絹旗…きぬはた荘家主。アイテムの元メンバーだが、財政難に伴う組織改変により表の世界に"返品"される。
     管理書類上は常盤台中学在籍であり、本人の意志で新年度から復学することになった。
     落ち着いた性格だったが、平和な生活を手に入れたため元来の性格に戻りつつある。


滝壺…きぬはた荘家主。アイテムの元メンバーだが、絹旗同様に"返品"された。
     一時期死に掛けたが、科学・魔術双方の医療技術を結集して生還。超浜面ラブ。
     管理書類上は霧ヶ丘女学院在籍であり、無事卒業。現在は能力開発教官を目指している。


白井…名門常盤台中学の生徒にして敏腕風紀委員。物語中に2年生への昇格を果たす。
     お姉様ラブなのは相変わらずだが、少々落ち着きも手に入れた模様。
     そのお姉様を類人猿にとられたため、最近は(無意識的に)番外個体にターゲットを移しているとか。


婚后…常盤台中学を無事卒業、長点上機学園への進学が決まっている。生まれも育ちも名家である生粋のお嬢様。
     その立ち振る舞いも実にお嬢様だが、本人はもっと素直になりたいと願っているようだ。
     ペットのエカテリーナちゃんラブ。修学旅行編とか大覇星祭編は彼女なしに成り立たなかった影の功労者。


3 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/27 22:37:39.38 GP/ApBnQo 3/135


番外個体…第三次製造計画で造られた美琴のクローン。肉体年齢はオリジナルより若干上。
        冥土帰しの協力で「三澤真琴17歳無職」の偽造IDゲット、それに伴い一人称は「私」に矯正した。
        結標とはファーストネームで呼び合うほど仲良し。現在は自称帰国子女のフリーター。
        一方通行と交際中。


結標…滝壺、番外個体と並びきぬはた荘住人の中では最年長。
     落ち着き払った性格と面倒見の良さで、きぬはた荘のお母さん的存在となる。
     最近の楽しみは番外個体をいじって遊ぶこと。化学兵器クラスのメシマズ。
     海原と交際中。霧ヶ丘女学院を卒業し、現在は保育士を目指しているとか。


海原…常盤台中学理事長の孫にしてLEVEL4の念動力能力者……というのは世を忍ぶ仮の姿。
     その正体はアステカからやってきた正義の魔術師であり、想い人を護るために今日も陰ながら
     24時間様々な手段で静かに見守っている。その護る対象にも変化が生じているらしいが。


ユリコ…絹旗が拉致ってきたノラ猫。全身真っ白なミックスのメス、推定1歳。
     やたらと人懐こい上に、時として人間の言語を理解しているかのような素振りすら見せる。
     好物は焼き海苔、お気に入りスポットは絹旗の頭頂部。基本絹旗ラブだが人見知りはしない。


浜面…ロシアから凱旋後、どういう訳だか積み重なった軽犯罪を問われてパクられた
    半年の帰還をごくごく真面目に過ごして出所、住人の好意に甘えてきぬはた荘に転がり込む。
    意外と手先が器用で、それを活かすために自動車整備士の資格を目指して勉強中。
    滝壺超ラブ。


84 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:12:06.85 jX3tgd1Po 4/135



~3月中旬 きぬはた荘 リビング~


 [[電話]]ジリリリリン ジリリリリン


絹旗 「? はい、もしもし?」

滝壺 「家の電話が鳴るなんて珍しいね」

浜面 「つうか、これ置物だと思ってたぜ……」


<はい?麦野?今はここには住んでませんが。


浜面 「麦野に用事か。そういやあいつ元々ここに住んでたんだっけな」

滝壺 「うん。ロシアで別れるときに鍵もらったんだよね」


<……えっ!?急に言われても超困りますって!!


浜面 「言われて思い出したけど、麦野って今どこで何してんだ?」

滝壺 「病院に住み着いてるよ。"職場徒歩ゼロ分で超便利"なんだって」


85 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:13:26.93 jX3tgd1Po 5/135


浜面 「ナースむぎのん……ありだな」

滝壺 「もしもし、むすじめ? みさわも混ぜて集合で」

浜面 「すいませんでしたぁぁぁぁ!!」


<いや、超初耳ですよ!?……郵便?なんのことですか?


浜面 「なあ、さっきから何騒いでるんだ?」

滝壺 「どうしたんだろうね」


<……分かりました。確認してみます。


浜面 「おい、なんだ今の電話」

滝壺 「知ってる人?」

絹旗 「……超知らない人です」

滝壺 「何の電話だったの?」

絹旗 「まだなんとも……麦野のところに行きましょう」

浜面 「なんでここで麦野が出てくるんだ?」

絹旗 「この家の本来の持ち主だからです」


86 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:14:57.72 jX3tgd1Po 6/135



~同日 第7学区 とある病院~


麦野 「……ちょっと待って。今の話、本当か?」

絹旗 「まあ、電話で聞いた限りでは」

浜面 「いくらなんでも竹やぶすぎるぞ」

滝壺 (やぶへびって言いたいのかな)

絹旗 「麦野も知らないんですか? 何か知ってるかと思って来たんですが」

麦野 「今初めて聞いたわよ」

絹旗 「郵便がどうとかって言ってたんですけど」

浜面 「そういや、お前宛に来た郵便物をいくつか渡してなかったか? その中にはないのか?」

麦野 「……待ってて、見てくる」


 カツ カツ カツ


滝壺 「今の話が本当だとしたら……」

浜面 「いろいろ大変なことになるぞ」

絹旗 (どうしてですか……どうして……)


87 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:16:28.76 jX3tgd1Po 7/135


 :
 :
 :

麦野 「内容証明があったんだけど、もしかしてコレ?」

浜面 「送り主は……都市整備開発局 第十三課……?」

絹旗 「超間違いなさそうですね」

滝壺 「むぎの、開けてみて」

麦野 「あ、ああ」ビリビリ

絹旗 「どうですか?」

浜面 「なんて書いてあるんだ?」

麦野 「……なんか、ゴメンね。こんな大事なもん見落としてたなんて」

滝壺 「じゃあ……」

麦野 「悪い予感が的中っていうのかしら?」




麦野 「あの家に住めるのも、今月一杯よ」


88 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:18:20.76 jX3tgd1Po 8/135



~同日 第7学区 とあるファミレス~


浜面 「どうすんだ……あと10日ちょいしかないぞ?」

滝壺 「……まず、みんなにもちゃんと伝えないとダメ」

絹旗 「そうですね……色々準備もあるでしょうし」

浜面 「なあ、全員いっぺんに移住とかできないのか?」

滝壺 「この人数だと難しいと思う。学園都市は一人暮らしか少人数向けの部屋ばっかだから」

絹旗 「……」チュー

浜面 「しかし、再開発か……言われてみりゃ、あの辺古臭い建物ばっかだったな」

滝壺 「住んでる人も年齢高い人が多いし、地区自体が昔から手付かずなのかも」

絹旗 「……」ボコボコボコボコ

滝壺 「きぬはた、行儀悪いよ」

絹旗 「あっ、ち、超失礼しました」

浜面 「どうしたんだ? なんかお前、様子がおかしいぞ」

絹旗 「あぁ、そのー……みなさんにどう話したものかと」


89 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:19:54.89 jX3tgd1Po 9/135


浜面 「まあ……ストレートに言う他ないだろ」ガシガシ

絹旗 「にしても、いきなり追い出されるとか超無情です」

浜面 「計画は前々からあって、俺らが気付いてなかっただけだろ? 文句言えねえよ」

滝壺 「むぎの宛の郵便物はまとめてむぎのに渡してたから、誰も気付けなかったんだね」

浜面 「それに単に追い出されるんじゃなく、立退料は出るぞ? 麦野に、だけどな」

絹旗 「一応、引越し代としてみんなに渡すとは言ってましたね」

滝壺 「引越し……そういえば、最近ご近所で引越し多かったよね」

浜面 「このせいだったんだろうな……やれやれだぜ」

絹旗 「……」

滝壺 「きぬはた、大丈夫?」

絹旗 「え、あっ、はい、超大丈夫ですよ」

浜面 「さっきからどうしたんだ?」

絹旗 「むっ、超浜面に心配されるとは……私はもうダメかもしれません」

浜面 「ひでぇ! お前やっぱいつも通りだ!」

滝壺 「」ジー


90 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:21:25.17 jX3tgd1Po 10/135


絹旗 「とりあえず、みなさんにも今日話したほうがいいですよね」

滝壺 「そうだね。もう時間もないし」

絹旗 「では、今夜の予定を空けておいてもらえるように連絡を」カチカチ

店員 (なんかいつもと空気が違ぇなあ)

絹旗 「超送信」ピッ

浜面 「どうすっかなぁ、俺らも……」

滝壺 「……まず、住むところから探さないとね」

絹旗 (その"俺ら"に私は入ってるんでしょうか……)

浜面 「絹旗はどうするんだ」

絹旗 「……そうですね。常盤台に復学したら半強制的に入寮でしょうし、超ちょうどいいかもしれません」

浜面 「あー、そっか。あそこは全寮制だったな」

滝壺 「いいの? 私たち3人なら住むところあるかもよ?」

絹旗 「いやいや、お二人の仲を邪魔するわけにもいかないじゃないですか」

浜面 「そ、そんな気を使ってもらわなくても、なあ?」

絹旗 (……どうせ)


91 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:23:00.87 jX3tgd1Po 11/135



~第7学区 セブンスミスト~


白井 「決まりましたか?」

婚后 「ええ。こちらにいたしますわ」

白井 「なんと色気のないデザインを……淑女たるもの、いつでも殿方に見せられるものを選ばないとダメですの!」

婚后 「あなたのいう淑女の定義が最近よく分からないのですが……」

白井 「大体、なんでこんな地味なデザインを」

婚后 「お言葉ですが、わたくしのサイズだとバリエーションに乏しいんですのよ」

白井 「」

婚后 「今日だって、今持っているものは最近窮屈だから買い足しに来てますのに」

白井 「ふ、不公平ですの……わたくしはいまだAAだというのに……」グスッ

婚后 「大きければ正義など幻想ですわ」ハァ

白井 「うう……うん? 誰ですの、こんな時に電話をならす不届き者は」カチカチ

婚后 「あら、メールが……」

白井婚后 「「絹旗さんから?」」


92 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:24:14.76 jX3tgd1Po 12/135



~第7学区 とある公園~


海原 「ホットドックなんて久しぶりですよ」

結標 「……」ジー

海原 「?」

結標 「一口ちょうだい」

海原 「ええ、どうぞ」

結標 「じゃあ、私のクレープも一口食べていいわよ」ズイ

海原 「いただきますね」ニコニコ

結標 「はい、あーん……あ、ゴメン。ちょっとメール」

結標 (もー、誰よ。邪魔するのは)

海原 「まったく同じタイミングでメールですか。気が合いますね」カチカチ

結標 「そっちも?……もしかして、絹旗さんから?」

海原 「? ということは、結標さんに来たメールも?」

結標 「ええ、絹旗さんから。……どうやら一斉送信したみたいね」


93 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:25:31.46 jX3tgd1Po 13/135



~第7学区 とある病院 更衣室~


19090 「番外個体、お疲れさまでした。今日の検査結果です、とミサカは紙切れを渡します」つ□

番外個体 「はいはい」

19090 「今日も異常なしでよかったです……とミサカは心より安堵します」ハゥ

番外個体 「ありがとねー、いつも心配してくれて」ナデナデ

19090 「」フニャー

番外個体 「次の検査予定日は4月の……もう4月になるのか」

19090 「早いですね……番外個体が学園都市に来てもうすぐ一年です、とミサカはこの一年を振り返ります」

番外個体 「なんかあっという間だったなー。そういえば、最初に話しかけてくれたのはあなただったね」

19090 「そ、それはより見聞を広めたいと思いまして……」

番外個体 「本音は?」

19090 「そのハイスレンダーボデーの秘密を探るため(ガシッ)痛いです痛いです!」

番外個体 「マジショックー、私あなたのこと信頼してたのにぃー」ギリギリ

19090 「こめかみ! こめかみに指が! あ、ほら、電話! 電話なってますよ!」

番外個体 「あ、ホントだ……絹旗さん……?」カチカチ


94 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:26:10.29 jX3tgd1Po 14/135




差出人:絹旗さん
     <notmoai@comodo.ne.jp>
件名:【超重要】
日付:20yy/m/d 15:12
───────────────
今日の夜、お話ししたいことがあ
りますので、家にいてくれると超
嬉しいです。




95 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:27:46.64 jX3tgd1Po 15/135



~同日夜 きぬはた荘 リビング~


海原 「そうそう。絹旗さん、昼間にメール頂きましたよね?」

絹旗 「」ドキリ

結標 「そういえば来てたわね。話ってなんなの?」

白井 「あら? もしや全員が受け取ってますの?」

番外個体 「そうみたいだね、この様子だと」ズズ...

婚后 「全員の耳に入れなければならないようなお話、ということですわね」

絹旗 「……あっ、あのですね」

滝壺 「……」

絹旗 「みなさんに、超重要な報告があるんです。詳細は浜面が説明します」

浜面 「ふぇ? なんで俺?」

絹旗 「お願いです……」

浜面 「……あー、分かったよ! いいか、よく聞け!」

海原 「そんな大きい声で言わなくても聞こえてますよ」


96 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:29:37.56 jX3tgd1Po 16/135


浜面 「単刀直輸入に言うからな」

結標 「直入ね」

浜面 「この家 (・ω・)オアーン」

浜面 「ユリコ! 今大事な話してるんです!」

ユリコ 「(・ω・ )三三三三」ポテテテ

絹旗 「浜面! 私のユリコに大声浴びせるとは何事ですか!」

浜面 「おい、俺はお前の代わりに喋ってやってんだぞ!?」

番外個体 「いいから進めてよ」ヒュッ ヒュッ

浜面 「危ないやめて釘投げないで!」

滝壺 「はまづら、遊んでないで早く」

浜面 「滝壺さんまで!? よし、言うぞ!」



浜面 「お前ら全員この家に住めなくなるからな!」ビシィ

全員 「……」

絹旗 「他に言い方ないんですかバカ面!」ムキー


97 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/03/30 22:31:02.78 jX3tgd1Po 17/135



~15分後~


白井 「再開発指定地域……そんなことが……」

婚后 「では、ここも立ち退きの対象に?」

滝壺 「そういうことになるね」

結標 「随分と急な話ね……」

絹旗 「……わ、私だって……」

浜面 「あー、すまん! 俺がみんなに伝え忘れてたんだ! こいつはうっかりだ!」

番外個体 「そっか。じゃ、浜面さんを殴ればいいんだね」

浜面 「応! 殴れ殴れ!」

番外個体 「……なんてね」ニヤニヤ

海原 「急な話で戸惑っていますが、誰も誰かを責めようなどとは考えていませんよ」

白井 「まず何からするべきか、全員で知恵を出し合いますの」

婚后 「そうですわ。この際ですから、とことん話しましょう」

絹旗 「……そ、そうですよね。今日は朝まで超生討論です!」


167 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:25:52.41 2X7qmUVxo 18/135


海原 「まず、ここに住めなくなるというのはもう覆せないんですよね?」

白井 「厳しいと思いますの。相手方からすれば、わたくしたちは通達を無視し続けた形になりますし」

番外個体 「なんだそりゃ……シビアだねぇ」

結標 「もういっそ全員まとめて移住しちゃえばいいんじゃないの?」

浜面 「それは俺も考えたんだがな」

婚后 「学園都市は、一人暮らしか多くても3~4人向けの物件ばかりですわ。
    今の水準を維持したまま移住するのは厳しいのでは」

絹旗 「水準っていいますと?」

結標 「一人一部屋、リビング、キッチン……8LDKでバストイレ別、ペットOK、庭付きの物件ね」

滝壺 「そんなの見たことない」

絹旗 「超相部屋にしても、最低4部屋……教職員や研究者向けの物件ならありそうですが」

白井 「そういった物件は教職員や研究者に優先的に割り当てられますの」

絹旗 「むう……」

浜面 「もういっそ家建てちまうか?」

海原 「今からでは色々足りませんよ。土地、資金、時間……色々と」


168 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:27:41.45 2X7qmUVxo 19/135


結標 「時間、か……そうね、何をするにも急がないと」

番外個体 「んじゃまず方針を決めないといけない訳だけど」

海原 「全員移住か可能か、否か。それで決まるのではないでしょうか」

婚后 「物件の資料を漁ってみましょう。ヒントがあるかもしれませんわ」

白井 「……あの、申し上げにくいのですが」

滝壺 「どうしたの?」

白井 「わたくしはもしかしたら……常盤台の寮に戻らなければならないかもしれませんの」

婚后 「あっ……」

浜面 「そういえば、絹旗もじゃないか?」

絹旗 「そ、それは……」

滝壺 「……」

絹旗 「……一緒にいれるなら、その方が超いいです……」

滝壺 (そっか、きぬはたの様子がおかしかったのは……)

滝壺 (だとしたら私、無神経なこと言っちゃったかも……)

ユリコ 「( -ω-)」ウトウト


169 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:29:28.10 2X7qmUVxo 20/135



~数時間後~


番外個体 「東の空が白じんできたね……コーヒー飲みたい人」

結標 「」ノ

海原 「」ノ

浜面 「」ノ

婚后 「」ノ

白井 「」ノ

番外個体 「あー、もういいや。全員分持ってくる」

海原 「そちらの首尾はどうですか?」

婚后 「難しいですわ……」

白井 「コンビニのフリーペーパーでは情報量も知れてますの……」ペラペラ...

浜面 「こっちも厳しいな」カチャカチャカチャ ッターン!

滝壺 「不動産情報サイトを見てるけど、なかなかないね」

絹旗 「時期が微妙なんですよね。超引越しシーズンですし」

結標 「希望は8LDKだもの……引越しシーズンじゃなくてもキツイわよ」


170 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:31:07.12 2X7qmUVxo 21/135


絹旗 「…………やっぱり、それぞれ住むところを探した方が超早そうですね」

海原 「……」

結標 「現実的に考えれば、そうなんだろうけどね……」

婚后 「力及ばず、でしたか……ですが、これ以上は時間も惜しいですわ」

絹旗 「ま、まあ、私は常盤台の寮に行きゃいいですから、超心配ないんですが」

白井 「ちょっと、絹旗さん……」

浜面 「そうだよな、お前はまだ最後の砦があるもんな」

滝壺 「ねえ。みんな疲れてるだろうし、一旦休もうよ」

結標 「そうね、そろそろ眠いし……」

海原 「結論としては、各々で動くということになりそうですね。少々寂しいですが」

浜面 「……おし、ちょっとでも寝るか! 疲れた頭じゃナイスアイデアも出ないぜ!」

絹旗 「そうですね。では一旦解散で」





番外個体 「ねー、砂糖」

番外個体 「……なんで誰もいないんだ?」


171 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:33:04.96 2X7qmUVxo 22/135



~同日午後 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「」スピー


<コンコン ガチャ


結標 「あら。まだ寝てたのね」

番外個体 「んぁ……?」

結標 「あ、起きた」

番外個体 「……何やってんの、こんなところで」ガシガシ

結標 「ヒマなんだもの。今家に私たちしかいないしさ」

番外個体 「あー、そうなの? 海原さんも?」

結標 「あいつなら妹さんにの所に言ってるわよ」

番外個体 「一緒に行けばよかったじゃん」モゾモゾ

結標 「何また寝ようとしてるのよ」バサッ

番外個体 「ひゃうっ」


172 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:34:33.02 2X7qmUVxo 23/135


番外個体 「私の寝起きの悪さは分かってるでしょぉ……」ガシガシ

結標 「じゃほら、缶コーヒーあげるから目覚ましなさい」ピト

番外個体 「冷たっ!」

結標 「背中に入れたらもっと目覚めるかしら」

番外個体 「やめてやめて! 起きるからやめて!」ジタバタ

 :
 :
 :

番外個体 「忘れがちだけど、海原さんの妹さんって入院してるんだったね」

結標 「忘れがちは余計よ。それに、もうすぐ退院できるらしいし」

番外個体 「……どうすんの?」

結標 「何が?」

番外個体 「ここに住めなくなった後、海原さんとの甘イチャラブ同棲計画が」

結標 「」ピコッ

番外個体 「いたっ」

結標 「どこから出てきたのよ、その怪しい計画は」


173 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:36:17.52 2X7qmUVxo 24/135


番外個体 「だってさー、この壁の薄い家じゃ海原さんとやれなかったこともあるでしょ?」

結標 「やれなかったことってなによ」

番外個体 「えっ……そりゃ、ほら……その……アレとか?」

結標 「突っ込まれてうろたえるなら最初から言わないの」ピコッピコッ

番外個体 「やめて叩かないで」

結標 「ったく……そういう貴女はどうするのよ。アイツのところにいくの?」

番外個体 「……いいって言われればね。それも聞きにいかないと」

結標 「ダメだったらどうするの?」

番外個体 「公園で寝ようかな」

結標 「なんでそうなるのよ!」

番外個体 「冗談冗談♪ ダメって言われても多分住みつくよ」

結標 「押しかけ女房ってヤツかしら。いいんじゃないの?」

番外個体 「にょ、女房って……」

結標 「あら? 違うの?」

番外個体 「」プシュー


174 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:38:36.79 2X7qmUVxo 25/135



~同日 第7学区 とある病院~


ショチトル 「」サクサク

海原 (チップスターを食べる時、両手で持つクセはなんでついたんでしょうか)

ショチトル 「? 何をジロジロ見ている」

海原 「いえ、なんでもないですよ」ニコニコ

ショチトル 「……相変わらず、胡散臭い男だ」

ショチトル (お兄ちゃんが! お兄ちゃんが素顔で笑顔!)

海原 「ところで、今日は大事な話がいくつかあります」キリッ

ショチトル 「?」

海原 「まず、貴女の退院の見通しが立ちました」

ショチトル 「ほ、本当に!?」

海原 「まあ、リハビリ等必要ですが、一区切りといったところですね」

ショチトル 「そうか……やっとか」

海原 「それでですね」


175 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:40:13.56 2X7qmUVxo 26/135


ショチトル 「うん?」

海原 「どうしますか? 学園都市に留まりますか? それとも故郷に……」

ショチトル 「……お前はどうするんだ?」

海原 「……どうしましょうか。僕も、もうすぐ今住んでいるところから追い出されてしまうんですよ」

ショチトル 「! じ、じゃぁ一緒に……!」

海原 「学園都市に留まると?」

ショチトル 「……今更故郷に戻ったところで、帰る家はない」

海原 「……」

ショチトル 「だったら、お兄ちゃんと一緒がいい……」ゴニョゴニョ

海原 「? 今なにか」

ショチトル 「何も言っていない!!」

海原 「?」

ショチトル 「そ、それより義姉さんはどうするんだ? 同じところに間借りしているんだろう?」

海原 「結標さんですか? まだ結論は出ていないようですね」

ショチトル 「……3人じゃダメなのか?」


176 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:42:29.83 2X7qmUVxo 27/135


海原 「は、はい?」

ショチトル 「も、もちろん向こうの意見を聞いてからだけど、その……」

海原 「そうか、それでもいいですね」

ショチトル 「そ、そうだろう?」

海原 「持ち帰って、聞いてみますよ」

ショチトル 「ああ」

海原 「では、早速」

ショチトル 「え? もういっちゃうの?」

海原 「すみませんね、今回ばかりは時間がないんですよ」

ショチトル 「そうだよな、うん、早いほうがいい」

海原 「では、また来ますね」

ショチトル 「」ノシ


<バタン


ショチトル 「3人、3人か……なんか楽しみだな」


177 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:44:34.84 2X7qmUVxo 28/135



~同日 常盤台中学 事務局~


事務 「はい、では手続きは超完了しましたので、いつでも入寮可能です」

白井 「お手数お掛けいたしますの」ペコリ

絹旗 「……」

事務 「あの、大丈夫ですか?」

白井 「いーえー、慣れ親しんだ家と離れるショックを引きずっているだけですので」

事務 「あー、多いんですよ、そういう子は。でも超大丈夫ですよ、誰でも最初はそうなんです」

絹旗 「はあ……」

事務 「あっ、あのっ、もう認証通るようになってるので、よかったら下見していったらどうですか?」

白井 「そ、そうですわ、絹旗さん! 是非下見していきますの」

絹旗 「はあ……」

白井 (今日起きてからずっとこんな調子ですの……どうすれば……)

絹旗 「んじゃ、いきますかー……」トテトテ

白井 (起きてから超を一回も言っておられませんし……)


178 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:46:31.97 2X7qmUVxo 29/135



~第7学区 常盤台中学 新寮~


白井 「あ、そ、そういえば、わたくしたち相部屋になりましたわね!」

絹旗 「……え? そうだったんですか?」

白井 「ええ、トラブル防止の観点から友人や知り合いは優先的にくっつけられますの」

絹旗 「そりゃ、よろしくお願いします」ペコリ

白井 「いえいえ、こちらこそ」ペコリ

絹旗 「ええと、ここにあてれば開くんでしたね」ゴチン

白井 「……絹旗さん? なにを?」

絹旗 「あれ? 開かないじゃないですか」

白井 「絹旗さん、静脈認証ですの。顔ではなく掌を当ててくださいまし」

絹旗 「」ペタシ


  ピンポーン


絹旗 「おお、開きました」

白井 (一体どうしろと……)


179 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:48:21.54 2X7qmUVxo 30/135


絹旗 「」ポケー

白井 「あの……絹旗さん」

絹旗 「はい?」

白井 「やはり……離れたくないという思いも分かりますが……」

絹旗 「いや、そうじゃないんですよ……それもありますけど……」

白井 「?」

絹旗 「結局……こうなっちゃうのかな、と思うと……」

白井 「と、言いますと?」

絹旗 「……」

白井 「……」

絹旗 「……私、前にも共同生活みたいなことしてたんです」

白井 「前というのは、あの家で?」

絹旗 「いえ、あの家に移ってくる前です」

白井 「そうでしたの」

絹旗 「ただ……ある日、何の前触れもなくバラバラになっちゃいまして」


180 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:50:06.95 2X7qmUVxo 31/135


白井 「……」

絹旗 「気が付いたら、私の周りから誰もいなくなってました」

白井 「……それは」

絹旗 「その時のメンバーとは再会はできました。でも……」

白井 「でも?」

絹旗 「今回もまた……バラバラに、なっちゃいそうですね……」

白井 (元気がなかったのはそのせいでしたか……)

白井 「絹旗さん」

絹旗 「はい?」

白井 「わたくしは、ここにおりますの」

絹旗 「白井さん……」

白井 「わたくしだけではございませんの。他の皆さんだって、ちょっと住むところが変わるだけですの」

絹旗 「……そうですよね」

白井 (……悔しいですが、わたくしの力だけでは超復活とはいきませんの……)

白井 (ここは一つ……)


181 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:52:05.44 2X7qmUVxo 32/135



~同日夜 きぬはた荘 絹旗個室~


絹旗 「」ゴソゴソ

絹旗 「ワンピはもう売っちゃいましょうか。何回も読みましたし」

絹旗 「」ゴソゴソ

絹旗 「これは……みんなで旅行に行ったときの写真ですね」

絹旗 「そうそう、この時はまだ浜面は塀の中でしたっけ」

絹旗 「…………」

絹旗 「また……行けるといいですね……」


<コンコン


絹旗 「はい?」


<ガチャ


滝壺 「起きてる?」ヒョコッ


182 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 00:53:37.96 2X7qmUVxo 33/135


絹旗 「ええ、ご覧の通りです」

滝壺 「ご覧の通り……荷物の整理中だった?」

絹旗 「……ええ、まあ」

滝壺 「今日はね、きぬはたと話したいなと思って」

絹旗 「私と、ですか?」

滝壺 「うん」

絹旗 「うーん、でも改まって話すことも」

滝壺 「……きぬはた、最近元気なかったし」

絹旗 「そ、そうですかね?」

滝壺 「うん。今日も超って言ってない」

絹旗 「それが目安なんですか……」

滝壺 「今日は一緒に、寝ながらお話しようよ」

絹旗 「まあ、私は問題ありませんが……このひっくり返った部屋でよければ」

滝壺 「超問題ない」フンス


209 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:44:32.49 2X7qmUVxo 34/135


滝壺 「きぬはたは、ここでの生活は楽しかった?」

絹旗 「この際だから、白状しちゃいますとね……すごく楽しかったです」

滝壺 「うん、私も楽しかった」

絹旗 「私言ったことありましたっけ?」

滝壺 「? 何を?」

絹旗 「こういう風に共同生活みたいなことするの、アイテム時代を思い出すって」

滝壺 「言ったような、言ってないような」ウーン

絹旗 「ま、まあ、ともかくそうなんですよ」

滝壺 「そうなんだ」

絹旗 「自分でもよく分かりませんが、こういうのに一種の憧れを持ってたのかもしれません」

滝壺 「……」

絹旗 「実際、皆さんのことを単なる知り合いとか同居人以上に思えてますし」

滝壺 「それはみんなそうだと思うよ」

絹旗 「……なのに」

滝壺 「なのに?」


210 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:46:31.38 2X7qmUVxo 35/135


絹旗 「また、自分たち以外の都合で、こんな……」

滝壺 「……」

絹旗 「アイテムのときもそうでした」

滝壺 「それは……」

絹旗 「内部抗争も世界大戦も全部終わったのに、どうしてまたバラバラにされなきゃいけないんですか?」

滝壺 「……きぬはた」

絹旗 「結局、私はぼっちがお似合いってことなんですか? 暗部に関わったから!? 置き去りだから!?」

滝壺 「っ、きぬはた!」

絹旗 「」ビクッ

滝壺 「それは違う」

絹旗 「滝壺さん……でも……」グス

滝壺 「……そっか。きっときぬはたはみんなのことを家族だと思ってたんだね」

絹旗 「……」グスグス

滝壺 「でも、大丈夫だよ。家族であれば、離れてても家族なんだと思う」

絹旗 「離れてても……」


211 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:48:22.84 2X7qmUVxo 36/135


滝壺 「きぬはた、これ覚えてる?」チャリ

絹旗 「ストラップ、ですか……? たしか、沖縄で買ったヤツですよね」

滝壺 「うん。みんなお揃いの。きぬはたは今も使ってる?」

絹旗 「もちろんですよ。ええと、携帯携帯……あ、ホラ!」ジャーン

滝壺 「きぬはたのは水色だったね」

絹旗 「……なんか、これ見ただけであの暑い土地での日々を思い出しちゃいますね」

滝壺 「うん、他にも色々思い出せる」

絹旗 「……そうですね、不思議なものです」

滝壺 「もし寂しくなったら、これ見ればいいよ」

絹旗 「……そうします。そうならなくても大丈夫なようにしないといけないのかもしれませんが」

滝壺 「焦る必要はないよ」

絹旗 「でも、皆さんに心配かけてばかりじゃないですか?」

滝壺 「気にしなくていいのに」

絹旗 「そうは超いかんざきです」

滝壺 「じゃあ、もう寝ようか。明日からも忙しいし」

絹旗 「……滝壺さん、わざわざありがとうございました」

滝壺 「いいんだよ、私はいつだってきぬはたもみんなも応援してるから」


212 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:50:14.63 2X7qmUVxo 37/135



~数日後 きぬはた荘 玄関~


配達員 「おるかー」

絹旗 「はいはい」

配達員 「これで全部やな?」

絹旗 「はい、お願いしますね」

配達員 「まいどー」


<バタン


白井 「荷物を送られたのですか?」

絹旗 「ええ、寮の部屋に。旅行バッグ一つ分の荷物は残してますけど」

白井 「バッグ一つ分?」

絹旗 「超ギリギリまでここに居座るためです」フンス

白井 「……ふふ、考えることはみな同じですの」

絹旗 「てことは白井さんも?」


213 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:52:13.10 2X7qmUVxo 38/135


白井 「わたくしだけではなく、みなさん最低限必要なものは残すらしいですの」

絹旗 「やっぱり、ここに超愛着があるんですよ」

海原 「そういうことです。やはり、離れるとなると寂しいですからね」

白井 「あら、海原さん」

絹旗 「海原さんも荷物超整理中ですか」

海原 「いえ、大体落ち着きました。もともと大して物も持ってませんでしたし」


<海原ー


海原 「はい?」

結標 「ねー、ダンボール余ってない?」

海原 「ダンボールですか? 新聞紙じゃダメですか?」

結標 「は?」

海原 「新聞紙でも、重ねてかぶれば十分に温かいですよ」

結標 「違うわよ。荷造りに使うの」ピコッ

絹旗 「ダンボールなら、スーパーでもらってきたのがあると思いますが」


214 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:54:25.52 2X7qmUVxo 39/135


白井 「たしか……浴室のドアの横に積んでおいた筈ですの」

結標 「あ、そうなの? ちょっともらっていい?」

絹旗 「ええ、どうぞ」

結標 「じゃあ、ちょっと頂くわね」

海原 「……結標さんは、荷物が多いようで。何があんなにかさんでいるのでしょうか」

白井 「あら。今の発言は頂けないですの」

絹旗 「結標さん、私服多そうですし。それじゃないですかね」

白井 「淑女たるもの、身だしなみにはいつも気を使うものですの」

海原 「はあ……そんなものですかね」

婚后 「あ、みなさん。ちょっと出てまいりますわね」

絹旗 「どっか行くんですか」

婚后 「ええ。今日新しい部屋に大きい荷物が届く手筈になっているので、受け取りに」

白井 「大きい荷物、ですの?」

婚后 「新しい寝床、とでも申しましょうか。夕方までには戻りますわ」


<バタン



215 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:56:15.02 2X7qmUVxo 40/135


絹旗 「着々と進んでる感じがしますね……超ちょっと寂しいです」


<いやぁぁぁぁぁ!!


白井 「!?」

絹旗 「今の声は……結標さん?」

海原 「」ダッ

絹旗 「あ、早っ」

浜面 「おい、今のすごい声はなんだ?」

白井 「なんでしょうか……」


<うっ、海原!アレ!アレ!
<こ、これは……!


絹旗 「……?」

浜面 「何が起こってんだ?」

白井 「とにかく、わたくし達も参りましょう」


216 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/03 23:58:32.28 2X7qmUVxo 41/135


<やだ!飛んだ!飛んでる!!
<結標さんに手は出させません!


絹旗 「二人ともどうし……っぎゃぁぁぁぁ!!」

浜面 「おい、絹旗! 大丈夫か!」

白井 「あ、れは……イニシャルG」ガクブル

結標 「し、白井さん! 貴女の能力で外に飛ばしちゃってよ!」

白井 「イヤですの! わたくしですと、触らないと転移できませんの!!」

海原 「これは強敵ですね……!」

絹旗 「結標さんだったら触らなくてもテレポできるじゃないですか! 超さっさとやっちゃってくださいよ!」

結標 「無理無理無理! アレが視界に入ってるせいで座標計算できないもん!!」

浜面 「そぉい!!」スパーン


  コテン


浜面 「お前ら騒ぎすぎ。こんなの丸めた新聞紙で一発だろ」

絹旗 「……浜面、今だけは超カッコイイです」

浜面 「俺はいつだってカッコイイぜ!」フンス


217 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:00:46.70 bPq49dAho 42/135


結標 「はぁぁ……」ヘナヘナ

海原 「大丈夫ですか?」

結標 「ダンボール動かしたら出てきたんだもん……びっくりしたぁ……」

絹旗 「超イヤですね……アレが動き出す季節なんですか」

白井 「人類の敵ですの……」

浜面 「そんな大袈裟なもんかよ」

結標 「いいから早く片付けてよぉ……」

浜面 「ああ、はいよ」

滝壺 「みんなどうしたの? 2階にまで声聞こえてきたよ?」ヒョコッ

浜面 「ああ、コレだよ、コレ」

絹旗 「見ちゃダメですっ!」

滝壺 「」

白井 「た、滝壺さん?」

滝壺 「」

浜面 「おい、滝壺? どうした?」


218 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:02:17.74 bPq49dAho 43/135


海原 「これは……立ったまま気絶しておられるようですね」

絹旗 「浜面! なんでそんなもんを見せてるんですか!」

白井 「最低ですの! 見損ないましたの!」

浜面 「そこまでか!?」

海原 「とりあえず浜面さんはソレの処分と、滝壺さんの介抱を」

浜面 「お、おう、任せとけ」

海原 「いや、とんだ騒ぎになりましたね」

結標 「……海原」クイクイ

海原 「どうしました?」

結標 「……立てない……手貸して」

海原 「相当なショックだったんですね……よっと」

結標 「ちょ、ちょっと! そこまでは求めてないわよ!」ポカポカ

白井 「最強の空間移動能力者が、お姫様抱っこで運ばれてますの」

絹旗 「これはある種、貴重ですね」

結標 「……もう殺して」グス


221 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:04:01.54 bPq49dAho 44/135



~同日 第18学区 とあるマンション~


<ガチャガチャ バタン


婚后 「ふう」

婚后 (時期が時期だけに、長点上機管轄の学生寮への申し込みは締め切ってましたが)

婚后 (こちらのほうが自由度が高い分、楽かもしれませんわね)

婚后 「さて、業者さんが来るまで荷物の整理でもしておきましょう」ゴソゴソ

 :
 :
 :

婚后 「はあ……肩こりが……」


<ピンポーン


婚后 「あら……来ましたわね」

婚后 「はいはーい」


222 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:05:34.52 bPq49dAho 45/135


配達員 「ご注文の品をお届けにあがりました!」

婚后 「はい、ご苦労様。こちらにお願い致しますわね」

配達員 「はい、ただいま!」ゴトゴト

婚后 (ネット通販で買いましたが……ここまで大きいとは)

配達員 (大きい水槽だなぁ。熱帯魚何匹分だろ)

配達員 「こんな感じでよろしいですか?」

婚后 「ええ。ありがとうございます」

配達員 「では、こちらにサインをお願いします」

婚后 「」カキカキ

配達員 「ありがとうございました!」ペコリ

婚后 「いえいえ」


<バタン


婚后 「……ふふ、ふふふっ」スリスリ

婚后 「エカテリーナちゃんを迎える準備は完璧ですわね♪」


223 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:07:11.89 bPq49dAho 46/135



~その頃 第7学区 一方通行邸~


<ガチャ バタン


番外個体 「やっほう、生きてるー?」

一方通行 「お生憎となァ」

打ち止め 「あ、ワーストの荷物届いてるよ! ってミサカはミサカは出迎えつつ報告してみたり!」

一方通行 「使ってねェ部屋があったからそこに入れといた。これからはそこの部屋使え」

番外個体 「え? 個室もらえるの? ありがたくって涙がでちゃう」

一方通行 「つっても物置同然だったからな。家具の類は買ってこないとねェぞ?」

番外個体 「それはその内ね。とりあえず、ちょっとだけでも整理しようかな」

一方通行 「あまり散らかすなよ。俺はちっとコンビニ行ってくる」

打ち止め 「プリン買ってきてねプリン! ってミサカはミサカはしがみついて頼み込んでみたり!」



~一方通行邸 番外個体個室~


番外個体 「あ、これ冬物か」ゴソゴソ

番外個体 「冬物衣類、と」カキカキ


224 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:08:45.40 bPq49dAho 47/135


番外個体 「荷物の整理も大変だね。日本に来たときの何倍あるんだ、これ」

番外個体 「お? これって……」

 :
 :
 :

一方通行 「戻ったぞ」

打ち止め 『おかえりー! ってミサカはミサカは満面の笑顔で出迎えてみたり!』トテテテ

一方通行 「……いや、おい……満面の笑顔って、見えないじゃねェか」

打ち止め 『?』←ワースト仮面装備

一方通行 「どォしたンだよ、それ」

打ち止め 『ワーストのお部屋に遊びにいったら見つけたんだよー、ってミサカはミサカは報告してみる』

番外個体 「あ、帰ってたんだ」←バトルスーツ装備

一方通行 「」

番外個体 「……な、なに? ジロジロ見ないでよ……」

一方通行 「ンでそンな格好してンの?」

番外個体 「荷物整理してたら見つけたんだよね。んで、まだ着れるかなーと思って」


225 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/04 00:10:40.32 bPq49dAho 48/135


一方通行 「ふーン……」

番外個体 「いや……だから、ジロジロ見るなって……なんなの?」

一方通行 「それ、キツいンじゃね?」

番外個体 「」

一方通行 「そもそもフィットする素材なンだろォけどよ、模様がなーンか横に伸びて「どりゃぁぁ!」バキッ

一方通行 「」

番外個体 「~~っ、着替えてくる」

打ち止め 『はーい、ってミサカはミサカは見送ってみる』

番外個体 (美容とかダイエットとか気にしてなかったけど……気にしないとマズイのかなぁ……)グスッ

番外個体 (でも胸がちょっとキツくなったのは喜ぶべきことなのかな……)

番外個体 (あの人が触ってくれればもっと、って……いやいやいや、そんな……)ブンブン

打ち止め (なんか今日のワーストは見てて面白い、ってミサカはミサカはひっそり観察してみたり)

一方通行 「」


276 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:46:27.10 PmQfrRLvo 49/135



~同日夜 きぬはた荘 リビング~


浜面 「もうあと1週間切っちまったんだなぁ」シミジミ

番外個体 「あのさー……ちょっと思ったんだけど」

結標 「どうしたのよ」

番外個体 「絹旗さんってさ、常盤台の寮に行くんだよね」

絹旗 「ええ、その予定ですが」

番外個体 「ユリコどうすんの?」

絹旗 「あ」

ユリコ 「(・ω・三・ω・)」

白井 「言うまでもなく……と言ったらおかしいですが、寮則では原則ペット禁止ですの」

絹旗 「その頭はあったんですが、バタバタしてて超すっかり忘れてました……」

結標 「最悪、私たちの誰かで卒業まで預かることは出来るでしょうけど」

海原 「ユリコさんに決めてもらえばいいじゃないですか」

婚后 「そうですわ、ユリコの身の振り方なのですからユリコ自身に決めて頂けば公平ですわね」


277 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:48:17.85 PmQfrRLvo 50/135


滝壺 「ゆりこ、ちょっときぬはたの頭から降りてくれる?」

ユリコ 「ミ( ・ω・)」

絹旗 「では、ユリコに決めて頂きましょう」

結標 「ユリコは誰と一緒に行きたい?」

ユリコ 「……」


  ポテポテ


ユリコ 「ノ・ω・)ノ」

絹旗 「ユリコー!」ピャー

滝壺 「やっぱりきぬはたがいいんだね」

絹旗 「……決めました。私、ユリコのために超戦います」

番外個体 「お、さすが。お相手は?」

白井 「……! 絹旗さん、まさか!」

絹旗 「寮監です!」

白井 「……絹旗さん」


278 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:50:12.67 PmQfrRLvo 51/135


絹旗 「白井さん、止めないでください! 止めるというならこの液体窒素を頭から」ヒエヒエ

結標 「やめなさい。シャレにならないから」フッ

絹旗 「あっ、返してくださいよ!」

白井 「誤解しないでくださいまし。止めるつもりは毛頭ございませんの」

絹旗 「じゃあ……」

白井 「友人のためとあらば、わたくしも参りますの」ドン

婚后 「お二人とも、わたくしも参ります」

絹旗 「婚后さんまで……」

婚后 「説得するなら人数は多いほうがよろしいでしょう?」

絹旗 「…………」

ユリコ 「(・ω・)?」

絹旗 「よかったですね、ユリコ。みんなあなたの味方ですよ」

海原 「なぜ浜面さんがウルウルしてるんですか」

浜面 「俺、こういうのに弱いんだ」グス

滝壺 「」ヨシヨシ


279 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:51:47.33 PmQfrRLvo 52/135



~同日深夜 きぬはた荘 結標個室~


<コンコン


結標 「はーい?」


<ガチャ


番外個体 「」ヒョコッ

滝壺 「」ヒョコッ

結標 「どうしたの? 二人して」

滝壺 「明日ね、新しい部屋で使う家具とか買いに行こうと思って」

番外個体 「良かったら淡希も一緒にどうかなーと」

結標 「うん、いいんじゃない? 私も最低限必要なものは揃えようと思ってたし」

滝壺 「じゃ3人で行こう」wktk

結標 「あれ? 浜面くんはいいの?」

滝壺 「はまづらには別な頼みごとしてあるから」


280 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:53:33.66 PmQfrRLvo 53/135


番外個体 「淡希こそ、海原さんはいいの?」

結標 「詳しくないから適当に選んでおいて、って言われてるのよ」

番外個体 「お、奇遇だね。私も適当に選んで持ってこいって言われた」

滝壺 「じゃ決まりだね」

淡希 「ちなみに、何を買うの?」

番外個体 「次使う部屋に収納はあったから、ベッドとテーブルかなぁ」

滝壺 「私はベッド」

結標 「やっぱ寝具優先なのね。私もそうだけど」

番外個体 「二人とも、当然ダブルベッド?」

結標 「なっ、なんでそうなるのよ。別にそうって決まったわけじゃ」

滝壺 「当然」フンス

結標 「」

番外個体 「私はなー、転がり込む形だからそういう選択肢ないんだよね」

結標 「ダブル……ダブル……そうよね……買っちゃえばこっちのもの……ふふふ……」ブツブツ

滝壺 「むすじめが壊れた」


281 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:55:08.17 PmQfrRLvo 54/135


番外個体 「じゃ、明日午前中から行くってことで」

滝壺 「うん、早いほうがいいね」

結標 「午前中ね、オッケー」

番外個体 「にしても淡希が来てくれると助かるよー。家具って重いし」

結標 「……へ?」

滝壺 「助かるよね、配送してもらうにも時間とお金かかるし」

結標 「ちょ、ちょっと?」

番外個体 「じゃ、明日寝坊しないでね」ノシ

滝壺 「私もお寝坊しないようにもう寝るから」ノシ

結標 「いや、貴女達」


<バタン


結標 「……」

結標 「ハメられたわ……」ガックシ


282 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:57:02.82 PmQfrRLvo 55/135



~翌日 第7学区 常盤台中学新寮~


 ピカッ ゴロゴロゴロゴロ...


絹旗 「」ザッ

白井 「」コツ...

婚后 「」カツッ

ユリコ 「(・ω・)」ポテ

絹旗 「気分は魔王の城に攻め込む勇者ご一行ですね」

白井 「まあ、相手は魔王と言っても差し支えないかもしれませんが」

婚后 「絹旗さん。無策でカチ込むには無謀すぎる相手ですわよ」

白井 (カチ込むって……)

絹旗 「大丈夫です。超それなりに考えはあります」

婚后 「そうですか……では、参りましょう」

白井 「この時間なら、建物のどこかにおられる筈ですの」


283 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/06 23:58:44.00 PmQfrRLvo 56/135



 ピンポーン ガチャ


絹旗 「さて、どこにいるんでしょうか……」

白井 「! 絹旗さん! 真正面ですの!」

絹旗 「!?」


 コツッ コツッ


寮監 「おかえり、絹旗、白井」

白井 「寮監、ご無沙汰しておりますの」

寮監 「うむ……ところで、絹旗」

婚后 (……気配が変わりましたわね)

寮監 「動物の持ち込みは禁止されている筈だが?」ドドドドド

絹旗 「今日は、そのことで相談があって伺いました」

寮監 「駄目だ」

絹旗 「いや、まだ本題に入ってませんよ!?」


284 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:00:31.78 jiMmI6ubo 57/135


寮監 「その猫を飼いたいとでも言うつもりだろう」

絹旗 「超その通りです」

寮監 「駄目だ」

絹旗 「お願いします、この通りです!」o┐ガバッ

白井 (あの絹旗さんが……)

婚后 (90度のお辞儀を……!?)

絹旗 (なんか超失礼な感想を持たれた気がしましたが……)o┐

寮監 「なんと言おうと認められない。簡単に曲げることは許されないからこその規則だ」

婚后 「……寮監! わたくしからもお願い致します!」

寮監 「……」

婚后 「わたくしも、動物を家族と思って過ごしております。だからこそ、絹旗さんの気持ちも痛いほど……」

白井 「寮監、何卒ご再考を……」

寮監 「ならぬ」

絹旗 「…………どうしても、ですか」

寮監 「どうしても、だ」


285 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:02:55.71 jiMmI6ubo 58/135


絹旗 「……ならば」


 ダンッ


絹旗 「超実力行使です!」

寮監 「……」

絹旗 「もらいました!」

寮監 「遅いな」ヒュッ


 ゴシャッ


絹旗 「がっ……!」ゴロゴロ

白井 「絹旗さん!」

絹旗 「ゲホッ……ま、まだまだぁ!」

絹旗 (窒素装甲の上からでもこれだけダメージを通すなんて……超化物ですね……)

寮監 「絹旗、お前の気持ちも分からなくはない。だがな」


286 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:04:51.54 jiMmI6ubo 59/135



  チョンチョン


寮監 「?」

ユリコ 「(・ω・)」ジー

寮監 「」キュンッ

婚后 (今、なにやら変な音が……)

寮監 「…………じ、条件が二つある」

絹旗 「二つ? なんですか!?」

寮監 「他の生徒、或いは寮関係者に迷惑が掛からぬようちゃんと躾けること」

絹旗 「超了解です!」

白井 「もう一つは?」

寮監 「お前達が学校に行っている間……つまり、不在である日中は私が身柄を預かる」

絹旗 「……」

白井 「……寮監……それはもしや……」

寮監 「異論があるのならば」

絹旗白井婚后 「「「ありません!」」」


287 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:07:07.56 jiMmI6ubo 60/135



~同日 第7学区 とあるカフェ~


絹旗 「いたたた……」

白井 「しかし、驚きましたの」

婚后 「ユリコの魅力の前には、海千山千百戦錬磨の寮監もあっさりと陥落ですわね」

ユリコ 「(*・ω・)」

絹旗 「私は何のために蹴り飛ばされたんですか……」

絹旗 (しかも、まだ超痛いです……こりゃ麦野の制裁キック以上ですね)ズキッ

婚后 「でも、これで心配事はすべて片付きましたわね」

白井 「あとは粛々と準備を進めるだけですの」

絹旗 「そうですね……なんだか、実感が超湧いてきちゃいました」

婚后 「残りの日、せめて悔いなきよう過ごしましょう」

白井 「この一年を最高の思い出で締めくくれるようにしたいものですの」

絹旗 「超大丈夫ですよ、私たちなら。いつも通りにやってりゃいいんですから」

婚后 「ふふ、それもそうですわね」

白井 (絹旗さんもいつもの調子を取り戻したようで一安心ですの)


288 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:09:56.54 jiMmI6ubo 61/135



~その頃 第7学区 インテリアショップ~


番外個体 「あ、このテーブルいいかも」ペチペチ

結標 「なに、そんな小さいのでいいの?」

番外個体 「個室に置くやつだから。雑誌とコーヒーカップが乗れば十分だよ」

滝壺 「最後にまとめて買おう。荷物増やしちゃうとむすじめが大変だから」

番外個体 「そだね。まずは目的のものを見て周ろっか」

結標 (やっぱりそれで呼び出されたのね……この二人じゃなかったら埋めてるところよ)

滝壺 「それじゃ、寝具コーナーに行ってみようよ」

番外個体 「寝具は……4階だね」

結標 「気に入るのがあるといいんだけど」

 :
 :
 :

番外個体 「ひゃー、ふかふかだ。これが学園都市クオリティか」ボフンボフン

結標 「ほら、やめなさいよ。展示品とはいえ、売り物よ」


289 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:11:43.90 jiMmI6ubo 62/135


滝壺 「」グースカピー

結標 「滝壺さんも! 寝ないで!」

番外個体 「淡希、これなんてどうよ」

結標 「……いや、大きすぎじゃない? 何サイズよ、これ」

番外個体 「クイーンサイズって書いてあるね。ダブルと違うの?」

滝壺 「クイーンは、ダブルよりもっと大きい」

番外個体 「あ、起きた」

結標 「ホテルのスイートにあるのってこういうヤツなんでしょうね」

滝壺 「普通の家に置くには大きすぎると思うよ」

番外個体 「それもそっか」

結標 「いいから貴女は自分のを見てきなさい」シッシッ

番外個体 「つれないの。じゃ、後でね」

滝壺 「私これにする」

結標 「これ? シンプルでいいけど……ダブルよね」

滝壺 「大前提」フンス


290 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:13:20.68 jiMmI6ubo 63/135


結標 「はいはい、ごちそうさまね」

滝壺 「むすじめだって、ダブルにするつもりのくせに」

結標 「……いいじゃない、別に」プイ

滝壺 「ごちそうさま」

結標 「うー……」

番外個体 「照れちゃってかわいいなー、こいつー」ツンツン

結標 「ひゃっ!? な、なに!? もう買ってきたの!?」

番外個体 「うん」

滝壺 「どんなのにしたの?」

番外個体 「バチコーンって真ん中から折れ曲がるヤツ」

結標 「え、なんでまたそんなのに」

番外個体 「部屋の掃除がしやすそうだったからさ」

滝壺 「そうだね、どかしやすいから掃除もしやすそう」

結標 「実用性重視なのね……」

番外個体 「で? 淡希はどのダブルベッドにするの?」


291 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:15:58.40 jiMmI6ubo 64/135


結標 「もういいわよ、認めるわよ。ダブルが大前提なんだからね!」

番外個体 「仲のよろしいことで」ニヤニヤ

滝壺 「じゃ、あと決まってないのはむすじめだけだから。一緒に見てあげる」

結標 (なによこの公開処刑……)

 :
 :
 :

滝壺 「配送無料でよかったね」

番外個体 「淡希、ゴメンね。せっかく来てもらったのに」

結標 「謝らないでよ。なんかムカツクから」

番外個体 「そういえば、浜面さんって今なにやってんの?」

滝壺 「新しい部屋にいるよ。荷物を受け取る係」

結標 「あぁ、それで今日来れなかったのね」

滝壺 「うなばらは?」

結標 「妹さんのところ。退院するにも色々準備があるんだって」

番外個体 「慌しいねぇ、色々と」

結標 「でも、ま、そろそろ準備も落ち着くでしょ」


292 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/07 00:17:25.38 jiMmI6ubo 65/135



~その頃 第7学区 とあるマンション~


浜面 「ごはんですよ、っと」ガサガサ

浜面 「お、そうだ。せっかくだから電子レンジの動作テストでもしてみっか」


 【電子レンジ】<バタン


浜面 「……あれ?」カチカチ

浜面 「そうだ、まだ電気開通してないんだったな……」

浜面 「しかたねぇ、冷たいまま食うか」

浜面 「」モフモフ

浜面 「冷たいままのコンビニ弁当もたまには悪くねえな」

浜面 「」モフモフ

浜面 「……麻婆豆腐弁当は失敗だったな」


353 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:41:41.91 8Qhinqtwo 66/135



~3月30日 きぬはた荘 リビング~


絹旗 「……モノが超ないですね」

滝壺 「色々整理しちゃったしね」

白井 「泣いても笑っても、明日で最後ですの」

婚后 「あの、わたくしから提案なのですが」ノ

絹旗 「はい、婚后さん」

婚后 「最後に大掃除などいかがでしょう」

番外個体 「? もう出てくのに?」

海原 「いえ、だからこそでしょう」

結標 「どういうこと?」

婚后 「立つ鳥あとを濁さずと申しましょうか、感謝の気持ちを込めて綺麗にしてから発つのもよろしいのではなくて?」

白井 「一理ございますの」

浜面 「お嬢の言うとおりだな。どうせみんなヒマなんだし、掃除しようぜ」

絹旗 「……ですが」


354 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:43:48.99 8Qhinqtwo 67/135


婚后 「何か心配事が?」

絹旗 「……またアイツが出てきたら、私じゃ対処できないです」

番外個体 「アイツって?」

白井 「人類の敵ですの」

結標 「黒い悪魔よ」

滝壺 「恐怖の具現化だね」

婚后 「?」

番外個体 「??」

浜面 「あれだ、あれ。ごk」

絹旗 「超ちっそニードローーップ!!」グシャァ

浜面 「ホゲッ」

海原 「まあ、口に出すのも憚られるぐらい苦手ということですよ」

番外個体 「ふーん……かといって、何もしないのも」

絹旗 「超分かってます! ただ……ヤツとエンカウントしたときには超助けてください」

海原 (念のため、金星の位置を確認しておきますか)


355 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:45:32.65 8Qhinqtwo 68/135



~同日 きぬはた荘 2階廊下~


白井 「(ツー)まー、こんなにホコリを溜めて!」

婚后 「だからこうやって掃除しているのでしょう。白井さんは窓拭きをお願い致しますわね」

白井 「婚后さんは?」

婚后 「わたくしは床を拭きますので」

白井 「……なんだか、妙にその格好似合いますわね」

婚后 「?」←三角巾+モップ

 :
 :
 :

白井 「思えば、不思議なものですの」ゴシゴシ

婚后 「と申されますと?」

白井 「ある日、寮を壊されたかと思えば、路頭に迷って」

婚后 「そういえば、ここにご厄介になったのも偶然のようなものでしたわね。懐かしいですわ」

白井 「加えて、同居人の方々と離れるのが辛いと感じるまで仲良くなるなんて、想像もできませんでしたの」


356 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:47:16.55 8Qhinqtwo 69/135


婚后 「出会いも別れも繰り返す物、それはいつだって偶然ですわ」

白井 「ならばわたくしはこの偶然に感謝したいものです」

婚后 「こう言ってはなんですが、寮を壊した殿方にも感謝しても良いかもしれませんわね」クスクス

白井 「まぁ、そこまでは……ちょっとだけ思ってますが」

婚后 「犯罪を助長しかねない発言……風紀委員失格ですわ」キリッ

白井 「い、今のは誘導尋問ですのぉぉ!!」

婚后 「しっかりなさってくださいな、支部長候補殿?」

白井 「ぐぬぬ……」

婚后 「ささ、掃除を済ませてしまいましょう。夕飯に間に合わせませんと」

白井 「分かっておりますの」

婚后 「広いのですから、手早くtきゃっ」ツルッ

白井 「あ」


  ドテッ


婚后 「いたたた……わたくしとしたことが……」

白井 「しっかりなさってくださいまし、次期当主殿?」クスクス


357 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:49:27.76 8Qhinqtwo 70/135



~きぬはた荘 バスルーム~


番外個体 「考えてみたら天井近くの壁は掃除したことなかったね」ガッシュガッシュ

結標 「こういうとき、水圧洗浄機とかあれば楽なのにね」ジャバババ

番外個体 「水流操作能力でもいいや。知り合いにいないの?」

結標 「残念ながらね」

番外個体 「結局ホースで水かけながらデッキブラシでこするしかないワケか」ガッシュガッシュ

結標 「思えばこの家、何やるにしてもどこかアナログだったわね」

番外個体 「にしてもなぁ。おフロ掃除となると私たちの能力なんの役にも立たないね」

結標 「相性ってのは何にでも存在するものよ」

番外個体 「相性かぁ……私たちの相性ってよかったのかな」

結標 「なんだかんだで一年生活してきたんだし、悪くはないんじゃない?」

番外個体 「そんなもんなのかねぇ」

結標 「貴女だって、こっちに来る前は誰かと生活してたことあるでしょ? 似たようなものよ」

番外個体 「……いや、こういう風に大人数で生活するのって初めてだったんだよね」


358 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:51:14.09 8Qhinqtwo 71/135


結標 「え? そうだったの?」

番外個体 「言う必要もないし、聞かれなかったら言わなかったけどさ」ガシュガシュ

結標 「……で、どうだったの? この一年」

番外個体 「戸惑うことも多かったけど、すっごい楽しかったよ」

結標 「ならよかったじゃない」

番外個体 「淡希とも知り合えたしね」

結標 「……ねえ」

番外個体 「んー?」ガシュガシュ

結標 「今までと違って離れて生活することになるけど、それでも親友でいてくれる?」

番外個体 「……やだなー、言われなきゃ分かんないの?」ニヤニヤ

結標 「そうね。愚問だったわ」クスクス

番外個体 「よしよし、友情の証にこいつで背中を流してあげよう」スチャ

結標 「やめてよ」

番外個体 「さあ、脱げ脱げ」ツンツン

結標 「やめてって言ってるでしょ」バシャァァァ

番外個体 「うひゃっ、冷たっ!!」


359 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:53:12.26 8Qhinqtwo 72/135



~きぬはた荘 リビング~


海原 「まず、このソファをどかしましょうか」

浜面 「そうだな。ソファの下ってのも全然掃除してねえし」

海原 「ではそちら側をお願いしますね」

浜面 「おし。海原、そっちはいいかー」

海原 「はい、いつでも大丈夫ですよ」

浜面 「じゃ、せーのでいくぞ。せーのっ」

海原 「よっ」

浜面 「そのままそのまま、壁際まで」

海原 「いいですか? 離しますよ」

浜面 「ちょっとだけ待て(ドズン)アッーーー!!」

海原 「? 浜面さん?」

浜面 「ソファの脚が俺の足に乗ってるんだよぉぉ!!」

海原 「あららら」


360 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:54:55.15 8Qhinqtwo 73/135


浜面 「おー、いてて……」

海原 「大丈夫ですか」

浜面 「クソッ、この女所帯でお前だけは味方だと思ってたのに……」

海原 「僕はいつだって浜面さんの味方ですよ」ニコニコ

浜面 「ホントだな? 信じるからな?」

海原 「やだなぁ、これまでも励まし合ってきたじゃないですか」ニコニコ

浜面 「そうだよな! 心の友よ!」

海原 「さてさて、そうと決まれば早く掃除を済ませましょう」

浜面 「そうだな! よーし、張り切って……なんだこりゃ?」

海原 「?」

浜面 「ソファーがあったところに、いろいろと……」

海原 「キーホルダーに、リボンに……これは女性用下着ですか」

浜面 「……たしかよ、このソファーの下ってユリコがよく潜り込んでたよな」

海原 「ユリコさんコレクションという訳ですか。ソファもどかして正解でしたね」

浜面 「持ち主に返さねえとな」


361 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:56:23.88 8Qhinqtwo 74/135



~第7学区 某所~


絹旗 「で、私たちは掃除を超免除されたワケですが」

滝壺 「家主だからいいって言われちゃったね」

絹旗 「間借りしてる人間の仕事だとも。というか、家主だなんて言われるまで意識してませんでした」

滝壺 「私も」

絹旗 「ただ家でボーッとしてても超邪魔ですし。外に出てきたはいいですが、何しましょうか?」

滝壺 「」ウーン

絹旗 「とりあえず映画でも」

滝壺 「きぬはた印の映画はちょっと……」

絹旗 「ちょっ、いくら滝壺さんでも超ヒドイです!」

滝壺 「なにかすることないかな」

絹旗 「夕飯の買い物でもします?」

滝壺 「あっ」

絹旗 「?」

滝壺 「色々整理しちゃったから、家に食べるものがほとんどない」


362 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:57:55.77 8Qhinqtwo 75/135


絹旗 「なんですと」

滝壺 「」ピコーン

絹旗 「滝壺さん?」

滝壺 「考えてみたら、今日の夜ご飯はあの家で食べる最後の夜ご飯だよね」

絹旗 「言われてみれば……」

滝壺 「だからさ」

絹旗 「だから?」

滝壺 「色々揃えて豪華にしようよ」

絹旗 「いいですね。超パーッとやりましょうか」

滝壺 「何がいいかな」

絹旗 「とりあえずスーパーに行って、超手当たり次第に買ってみてはどうでしょう」

滝壺 「そうだね、まずスーパーから行こうか」

絹旗 「そうと決まれば、早速向かいましょう」


363 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 22:59:29.22 8Qhinqtwo 76/135



~第7学区 とあるスーパー~


滝壺 「」ポイポイポイポイ

絹旗 「これは焼肉用の肉ですか」

滝壺 「うん、考えてみたら焼肉って随分食べてないなって思って」

絹旗 「あー、いつでしたっけね。温泉施設に行って以来ですか」

滝壺 「多分それぐらい」

絹旗 「あとは何にしましょうかね」

滝壺 「なるべく完成品にしたほうがいいかな。作ろうとするとキッチン汚しちゃうし」

絹旗 「ではお惣菜コーナーにでも」

 :
 :
 :

絹旗 「お、ポテトです。超ポテトがおいしそうです」

滝壺 「ポテトだったらこっちの皮付きのがいいな」

絹旗 「滝壺さんはそっち派でしたね」


364 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:00:43.49 8Qhinqtwo 77/135


滝壺 「マックのポテトよりケンタッキーのポテトのほうが好き」

絹旗 「私は超マック派です。とりあえず、どっちも買っちゃいましょう」ドサドサ

滝壺 「あと何か甘いのがあるといいかな」

絹旗 「焼肉やらなんやらの後だと、冷たくて甘いモノが欲しくなりますよね」

滝壺 「アイスかな?」

絹旗 「あっ、アイスならアレ超食べたいです。あのー……」

滝壺 「?」

絹旗 「ベヨネッタ?」

滝壺 「ビエネッタ?」

絹旗 「あー、それです!」

滝壺 「あれなら大きいから丁度いいかもね」

絹旗 「前に一人で一箱食べちゃいましたよ」

滝壺 「食べ過ぎ」

絹旗 「甘いモノは超別腹です」フンス


365 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:02:41.20 8Qhinqtwo 78/135



~30分後~


滝壺 「こんなもんかな」

絹旗 「明日に持ち越せませんしね。これぐらいにしておきましょうか」

滝壺 「じゃ、お会計に」

店員 (うっわ、なんだこの量……ベテランレジ戦士、腕の見せ所だぜ……)グッ


 ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ


絹旗 「これだけあると、精算も超終わりませんね」

滝壺 「仕方ないよ」

店員 (なぁめぇるぅなぁぁぁぁぁぁ!!)ピッピッピッピッピッピッ

店員 「はい! 全部で65536円になります!」

滝壺 「」つ【GOLD】

店員 「はい、カードですね」

絹旗 「あ、袋にも入れてくれると超嬉しいんですが」

店員 「」


366 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:04:38.84 8Qhinqtwo 79/135



~同日夕方 きぬはた荘 リビング~


絹旗 「ただいま戻りましたー」

滝壺 「ただいま」

ユリコ 「(・ω・ )三三三三」ポテテテ

結標 「あら、お帰り」

番外個体 「どうしたの、その大荷物は」

絹旗 「全部今日のディナーです」フンス

白井 「え? これ全部がですの?」

婚后 「今日中に食べきらないといけないのですよ?」

滝壺 「これだけ人数がいれば大丈夫」

浜面 「いざとなれば、俺が片付けてやるぜ!」

海原 「さすが育ち盛りは違いますね」

浜面 「いや、育ち盛りって歳は終わってんけどな」

絹旗 「というワケで、超早速夕食の準備に取り掛かりましょう!」


367 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:06:51.37 8Qhinqtwo 80/135


 :
 :
 :

浜面 「我が家のホットプレートもこれが最後の出番か」

海原 「なんだか感慨深いですね」

浜面 「思い出すな。俺と海原しかいないときはこいつで焼きそばやら
    お好み焼き作ってメシ済ませてたよな」

絹旗 「え、なんですかそれ。私も超食べたかったです」

浜面 「残念だったな。ぐうたらな男の料理ってヤツだ」エヘン

婚后 「あの、お肉やらはお皿等に移さなくてよろしいのですか?」

白井 「洗い物が増えてしまいますし……今日に関しては、後片付けは極力減らしたほうがよろしいですの」

番外個体 「そだね。このままでも大丈夫でしょ」

結標 「あれ? 菜箸はないの?」

滝壺 「あ、しまっちゃったかも」

絹旗 「いいですよ、割り箸で」

浜面 「さあ、じゃんじゃん食おうぜ。ハラ減っちまったよ」


368 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:09:17.06 8Qhinqtwo 81/135


結標 「あっ、このバカ!」ペシッ

番外個体 「いたっ」

結標 「なんでタレから先に焼いてるのよ! 順番ってものがあるでしょ!」

番外個体 「いっ、いーじゃん別に! これぐらい好きに食べさせてよ!」


<ワーワー
<ギャース


浜面 「……なんつうか、この二人のじゃれあいもこれで見納めなのか」モフモフ

絹旗 「ケンカではないんですよね」

滝壺 「多分、この二人が本気でケンカしたらお互いに口きかなくなる」

浜面 「そういや前にもそんなことあったな。後にも先にもあの1回だけか」

番外個体 「もー、いっつも細かいんだから!」

結標 「貴女がアバウトすぎなのよ!」

番外個体 「淡希はアレか!」

結標 「どれよ!」

海原 「はいはい、結標さん。それぐらいにしておきましょう」ナデナデ

白井 「大きいお姉様も。ここは大人の対応を見せて淑女アピールですの」


369 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:11:06.19 8Qhinqtwo 82/135


浜面 「お嬢、この辺もう食べれるぞ?」

婚后 「お気持ちだけ……わたくし、臓物は苦手でして」

浜面 「なんだよ、ウマイのに」グニグニ

絹旗 「私も内蔵は超苦手ですね。どこかの浜面と違って繊細ですので」

浜面 「俺だって繊細だぜ!?」

滝壺 「食べたいのを食べてればいいの。たくさんあるから」

絹旗 「滝壺さーん、ハラミ焼いていいですか? これおいしいんですよ」

白井 「そちらだって臓物みたいなものでしょうに」

絹旗 「えっ」

浜面 「えっ」

滝壺 「えっ」

白井 「えっ?」

絹旗 「そ、そうなんですか!?」

白井 「え、ええ、まあ」

婚后 (今のうちに豚カルビを鉄板に)ポイポイ


370 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:13:07.50 8Qhinqtwo 83/135



~1時間半後~


番外個体 「」ケプッ

結標 「こら、はしたない」

番外個体 「こりゃ失礼」

白井 「まだまだ食材は残ってますの……」

婚后 「お肉以外にも色々ございますわね。お惣菜に、アイスに……」ガサガサ

絹旗 「」クピクピクピ

滝壺 「きぬはた、何飲んでるの?」

絹旗 「さあ? ノドが乾いたので、てき、とうに……」プシュー

白井 「これは、ワイン……」

婚后 「調理用にと買っておいたものですわね」

絹旗 「」

浜面 「おい、大丈夫か? お前飲み慣れてないだろ?」

絹旗 「ヒー(゚∀゚)ハー」

滝壺 「」

結標 「どうするのよこれ……」


371 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2011/04/09 23:14:25.85 8Qhinqtwo 84/135


滝壺 「きぬはたが壊れた」

絹旗 「なンだか、身体がちょーアツイです! はまづら! てめーも飲みやがれですゥ!」

浜面 「お、おい、絹旗」

絹旗 「は~まづりゃ~~、私の酒が飲めないっていうンですか~~。
    ちょーはまづらのくせに~~!」

浜面 「絹旗さん! まずは落ち着けください!」

絹旗 「そーれ、いっきいっき!」グイッ

浜面 「モガッ」

海原 「お、ラッパ飲みとは豪快ですね」

浜面 「ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ」

絹旗 「あーれー? ちょーカラッポになっちゃいましたよー?」

浜面 「」

滝壺 「はまづら終了」

結標 「ちょ、ちょっと大丈夫?」

番外個体 「ねー、淡希」ツンツン

結標 「なによ、こんなとき……に……」


373 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:16:34.56 8Qhinqtwo 85/135


番外個体 「」ポケー

結標 (呑んだわね……)

番外個体 「海原さん借りるね?」

結標 「はぁ!?」

番外個体 「海原さーん!」ダキッ

海原 「ミ、ミサワさん!? うれし……あ、いや、ダメですよ!」

番外個体 「ホントはあーくンの腕枕がいいんだけど、ここにいないからさー!」

海原 「お、落ち着きましょう、ね?」チラッ

結標 「」ゴゴゴゴゴ

海原 (ひい!)

番外個体 「あれー? これって浮気? もしかしてダブル浮気? きゃははははは☆」

結標 (……この状況に立ち向かうには、これしか)

結標 「」クピクピクピ

海原 「む、結標さん! 身体に障ります! 僕には構わずに!」

結標 「」ポイッ カランカラン


374 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:18:38.10 8Qhinqtwo 86/135


結標 「ちょっとアンタ……」

番外個体 「んー? 邪魔しないでもらえる?」

結標 「アンタには性悪白エノキがいるでしょぉ! 海原に手ださないでよ!」

番外個体 「あァ!? 性悪白エノキ!? あーくンのことバカにしたなァ!?」

結標 「なによ! 海原の方がずっと逞しいし優しいしかっこいいし紳士じゃない!」

番外個体 「あっ、あーくンだって! あァ見えて優しいし目赤いし頭いいし肌キレイだもン!」

海原 「お二人とも! お願いですから正気に戻ってください!」

白井 「……どうしますの、コレ。もう収拾がつきませんの」

婚后 「正気を保った人間で押しとどめるしかないですわね……」

滝壺 「」スピー

白井 「滝壺さんは一瞬で酔いつぶれてしまいましたの」

婚后 「滝壺さん、一升瓶は抱き枕にするには固すぎますわよ」グイ

絹旗 「は~まづら~、何やってるですか! ちょー起きやがれですゥ~!」ブンブン

浜面 「ぐっおえ……頼む、揺らすな……!」

絹旗 「にゃははは☆ はまづら顔ちょー真っ青ですよー☆ ちょーおもしれー☆」


375 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/09 23:20:22.58 8Qhinqtwo 87/135



~数時間後~


絹旗 「」スピー

浜面 「」

滝壺 「」スピー

結標 「」プスプス

番外個体 「」プスプス

白井 「ボロ雑巾が5枚ですの……」

婚后 「まあ……今日ばかりは大目に見ましょう」

海原 「羽目も外したくなりますよ、最後の夕食なんですから」ジュワジュワ

白井 「焼肉続行ですの?」

海原 「ええ、少し余ってますし。先程の騒動でお腹も空きましたしね」

婚后 「ご一緒してよろしいですか?」

海原 「どうぞどうぞ」

白井 「はあ、どっと疲れました……あ、おいしいですの」モギュモギュ

ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ


416 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:37:53.70 DmSH8IQwo 88/135



~3月31日 きぬはた荘 リビング~


絹旗 「んぅ?」ムク

絹旗 「あれ? なんで私はリビングで寝てるんですか?」

浜面 「」

滝壺 「」スピー

結標 「」プスプス

番外個体 「」プスプス

絹旗 「……な、なんですか。この有様は」


<ゴミはこれで全部ですわね?
<はいですの。
<では、外に出してきますよ。


絹旗 「……こりゃあ、なんかやらかしちゃいましたか」

絹旗 「とりあえず、ノドが超乾きました」トテトテ


417 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:39:43.62 DmSH8IQwo 89/135


白井 「あら? 絹旗さんは?」

婚后 「起きて着替えなりにいったのでは」

白井 「では、他の皆さんも。そろそろ起こしませんと」

婚后 「荷物も纏めないといけませんしね」

白井 「さあさ、皆さん。起きてくださいまし」ユサユサ

滝壺 「?」

婚后 「お二方も。もう朝でございます」ポンポン

番外個体 「あぁ……?」

結標 「あ、あれ……なんで朝……?」

婚后 「昨夜は大盛り上がりでしたし」クスクス

番外個体 「いつの間にか寝ちゃってたんだ」

結標 「ねえ、なんで私あちこちコゲてるの? 貴女、何かした?」

番外個体 「いやぁ……途中から記憶がないんだよねぇ」ガシガシ

白井 「あ、あの……」


418 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:41:32.96 DmSH8IQwo 90/135


婚后 「どうかされましたか?」

白井 「浜面さんが起きない……というか、動かないのですが」

浜面 「」

滝壺 「はまづら、朝だよ」ユサユサ

浜面 「……ふが」

結標 「こりゃ相当深く寝ちゃってるわね」

白井 「どうしましょう。放っておく訳にも」

結標 「真琴、出番よ」

番外個体 「せいや」ビリッ

浜面 「おぉぉぉ!?」ガバッ

滝壺 「はまづら、おはよ」

浜面 「お、おお。おはよう。え? おはよう? もう朝なのか?」

番外個体 「」ファーァ

結標 「欠伸するなら口隠しなさいよ」ペシッ


419 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:43:18.31 DmSH8IQwo 91/135


番外個体 「いてっ……あぁ、とりあえず顔洗いたい」

結標 「あ、私も行く」


<うぇー、口の中ネバネバなんだけど。
<昨日いつから寝てたのかしら……。


滝壺 「いつの間にか寝ちゃってたね」

浜面 「くそ、昨日は最後の夜だから熱く語り尽すつもりだったのによ……」

白井 「それは残念でしたわね」

婚后 「お水をお持ちしましょうか?」

滝壺 「お願いしていい?」

婚后 「少々お待ちくださいな」

絹旗 「持ってきましたよ、ペットボトルのままですけど」

白井 「あら、絹旗さん。大丈夫ですの?」

絹旗 「? 何がですか?」

浜面 「あ! そうだ! お前昨日は大暴れだったじゃねぇか!」

絹旗 「大暴れ!? 私が!?」


420 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:44:56.72 DmSH8IQwo 92/135


白井 「まあ、大層な乱れっぷりでしたの」

絹旗 「マジですか……途中から記憶が超ないんですけど」


<ギィィィ バタン


海原 「ゴミ出し終わりました。おや、皆さん起きておいででしたか」

婚后 「海原さん、わざわざありがとうございます」

白井 「お手数おかけしてしまいまして」

結標 「あっ、海原どこいってたのよ」

海原 「ちょっとそこまでゴミ捨てに」

結標 「ねえ。昨日私、いつ頃から寝てた?」

海原 「……覚えておられないので?」

結標 「う、うん……」

海原 「……結標さんとミサワさんの名誉のためにも、お話する訳には参りません」

結標 「えっ、ちょ、どういう意味!?」

海原 「で、では、僕は残りの荷物をまとめてきます」


421 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:46:36.10 DmSH8IQwo 93/135


結標 「あっ、待ってよ……もう!」

浜面 「ま、知らないほうが幸せなこともあるってこったな。俺も知らねえけど」

滝壺 「何があったの?」

絹旗 「さあ……私も記憶フッ飛んでますので」

番外個体 「あれ? みんなしてなにしてんの?」

結標 「」ジー

番外個体 「?」

結標 「貴女、一方通行のこと好きなのよね?」

番外個体 「なっ、あ、え、それ今言うことなの!?」

結標 「……いいわ。私も荷物まとめてくる」

番外個体 「??」

白井 「さて、落ち着いたところでわたくしたちも準備致しませんと」

婚后 「そうですわね。後で慌ただしくならないように」

絹旗 「はあ……いよいよなんですね」

滝壺 「いよいよだね」


422 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:48:31.45 DmSH8IQwo 94/135



~同日 きぬはた荘 リビング~


絹旗 「よいしょ……あれ? 私が超最後でしたか」ゴトン

結標 「そのスーツケース、沖縄に行く時に買ったヤツよね」

絹旗 「そうです。確か、白井さんが入れるかどうかが基準に」

白井 「入れたとしても入りませんの!」

番外個体 「なんか、こうやって大荷物持って集まってると、これから旅行に行くみたいだね」

婚后 「考えてみれば、あの時も大荷物を抱えてこの部屋に集まりましたわね」

海原 「なんだかつい最近のことのようですね」

浜面 「……ちくしょぉ」

滝壺 「今年ははまづらも行こうよ」ナデナデ

婚后 「そうですわね。どうにか手配はしたいものですわ」

白井 「婚后さんの手腕に期待ですの」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」

絹旗 「おお、ユリコも超楽しみですか」


423 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:50:29.68 DmSH8IQwo 95/135


番外個体 「……ところで。いつ頃出るの?」

絹旗 「それなんですが……」

白井 「何かございますの?」

絹旗 「私はギリギリまで残ります」

浜面 「おい、みんなにも予定ってもんがあるだろ」

滝壺 「はまづら。きぬはたはみんなを見送りたいんだよ」

浜面 「見送る……?」

絹旗 「ええ、みなさんが超後腐れなく出発したのを見届けてから、私も出発したいんです」

滝壺 「私もきぬはたと同じ。だから残るよ」

海原 「なるほど、そういうことでしたか」

婚后 「家主としての責任感でしょうか」

浜面 「……しょうがねぇ、俺も付き合わせてもらうか」

絹旗 「あ、いいですよ、浜面は。超さっさとどっか行ってください」

浜面 「おぃぃぃ!? 今いい場面になりかけてたのに台無し!」

結標 「いつも通りのやりとりね。なんか安心したわ」クスクス


424 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:52:35.64 DmSH8IQwo 96/135


絹旗 「そうだ。私から超提案があります」

海原 「と申されますと?」

絹旗 「今ここで、この家での最後の記念撮影といきましょう」フンス

婚后 「まあ、名案ですわね」

結標 「文字通り、最後になるのよね」

番外個体 「なんかそう言われると……実感が湧いてきちゃうじゃん」

白井 「ちゃんと後で焼き増ししてくださいな」

絹旗 「超勿論ですとも。では、カメラセットです」シャキン

浜面 「おおい、もうちょいそっち寄ってくれ」

滝壺 「じゃ、はまづらはこっちきて」

番外個体 「えい」ダキッ

結標 「ちょ、ちょっと……まあ、最後ぐらいはいいか」

婚后 「ほらほら、絹旗さんは真ん中に入りませんと」

ユリコ 「( ・ω・)ノシ」

絹旗 「ま、待ってくださいよ! 超ギリギリですよ!」トテテ


  ピッ カシャッ



425 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:54:22.22 DmSH8IQwo 97/135


 :
 :
 :

海原 「結標さん、そろそろ……」

結標 「そうね……それじゃ、私たち迎えに行かなきゃいけない人がいるから」

婚后 「あら、そういうことであれば遅れないようにいたしませんと」

浜面 「二人とも気を付けてな!」

絹旗 「超お元気で」

滝壺 「またどっか行けたらいいね」

結標 「貴女ともいろいろあったわね」

白井 「……本当に、不思議な縁ですの」

浜面 「あの二人ってなんかあったのか?」

海原 「まあ、色々とあるんですよ」

結標 「ねえ、真琴」

番外個体 「ん」

結標 「落ち着いたら連絡するわね」


426 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:56:14.75 DmSH8IQwo 98/135


番外個体 「……うん、待ってる」

結標 「じゃ、またね」スッ

番外個体 「またね」パシンッ

浜面 「すれ違いざまにハイタッチか、姐さんたちがやると絵になるな」

海原 「僕らもやっておきましょうか」

浜面 「よし、どんとこい!」スッ

海原 「では失礼して」バチコーン

浜面 「っ……!」

海原 「またその内に。それでは、一旦失礼します」ペコリ


<バタン


浜面 「……いってぇぇぇ! 手加減しろよ、あの野郎!」

番外個体 「フルスイングだったねー」ケラケラ

婚后 「殿方同士の友情というのは素敵ですわね」

白井 「何か違うような……」


427 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:57:56.08 DmSH8IQwo 99/135



~しばらく後~


番外個体 「……よしっ。私もそろそろ行くよ。待たせてるヤツもいるし」

白井 「ああ、大きいお姉様まで行ってしまわれるのですか……」ウルウル

滝壺 「しらい、泣いちゃだめ」

婚后 「念のための確認なのですが、ロシアに帰る訳ではありませんよね?」

番外個体 「うん、第7学区にいるよ。お店もあるしね」

絹旗 「その内遊びにいきますよ」

浜面 「なんとか売上に貢献できるようにしますんで……」

番外個体 「次は皿洗いじゃなくて、現金で払ってよね」ニヤニヤ

絹旗 「浜面……」

白井 「それはどうかと……」

浜面 「返す言葉もございません」orz

滝壺 「大丈夫だよ、なんというか情けない浜面も応援してる」

婚后 (ここまで来ると、少々気の毒ですわね……)


428 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 01:59:32.02 DmSH8IQwo 100/135


番外個体 「ユリコも。ありがとね、私みたいなのに懐いてくれて」ナデナデ

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」

番外個体 「……それじゃ」

番外個体 「今まですっごい楽しかったよ」

滝壺 「それはお互い様」

浜面 「思えば、ミサワの姐さんは俺にも優しくしてくれたよな」グスッ

絹旗 「なんですか。私たちだっていつも超優しいじゃないですか」

白井 「大きいお姉様、何卒お達者で」ウルウル

婚后 「今生の別れでもございませんでしょうに」

番外個体 「ホント、白井さんはいつも大袈裟なんだから」

白井 「性分ですので」

番外個体 「……ま、白井らしいっちゃらしいけどね」

番外個体 「喋りすぎたかな……もう行くよ」

番外個体 「んじゃ、またね」


<バタン



429 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 02:01:46.59 DmSH8IQwo 101/135



~同日夕方~


婚后 「名残惜しいですが、わたくしもそろそろ参りますわね」

白井 「婚后さんは、次の新居はここからでは少々遠いのでは?」

婚后 「ええ。ですからそろそろリミットですわ」

滝壺 「ぎりぎりまで居てくれたんだね」

白井 「……では、途中まで一緒に参りますの」

婚后 「ええ、そういたしましょう」

浜面 「二人とも気をつけてな」

絹旗 「白井さん、私も後から行きますので」

白井 「はい。先に行ってお待ちしておりますの」

婚后 「……嫌ですわ。この期に及んで、色々と思い出してしまいました」

浜面 「そういうのなんて言うんだっけ。走馬灯だっけか」

滝壺 「はまづら、全然違う」


430 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 02:03:41.76 DmSH8IQwo 102/135


婚后 「絹旗さんとも他の皆さんとも知り合えたこと、感謝しておりますので」

白井 「大覇星祭や学校見学、いろいろございましたの」

絹旗 「今だから白状しますが……」

白井 「?」

絹旗 「私が超復学しようと思ったきっかけは、白井さんと婚后さんなんです」

婚后 「まあ、光栄ですわね」

白井 「あと1年ですが、一緒に頑張りますの」

絹旗 「はい、超よろしくお願いします!」

婚后 「……では、色々とお世話になりました」

白井 「また落ち着いたらご連絡します」

浜面 「おう、待ってるぜ!」

滝壺 「二人とも、気をつけてね」

婚后 「またその内に」ペコリ

白井 「お先に失礼致しますの」


<バタン



431 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 02:05:05.89 DmSH8IQwo 103/135


 :
 :
 :

滝壺 「私たちで最後だね」

絹旗 「……なんていうか」

浜面 「?」

絹旗 「この部屋って、こんなに広かったんですね」

滝壺 「……そうだね」

浜面 「ほんの数時間前まで騒がしかったんだけどなぁ……」

絹旗 「超色々ありましたよね」

滝壺 「うん。もう語り尽くせないぐらい」

絹旗 「超楽しかったです。部屋貸しだしてよかったですね」

滝壺 「私のおかげ」フンス

浜面 「みんな言ってるけど、不思議なもんだよな」

絹旗 「いいじゃないですか、不思議でも」

浜面 「ま、結果良ければ全て良しってな」


432 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/11 02:06:56.32 DmSH8IQwo 104/135


滝壺 「日が沈み始めたね」

絹旗 「……ここいらが超限界っぽいですね」

浜面 「それじゃ、名残惜しいが行くとしますか」

絹旗 「そうですね。ユリコ、行きますよ」

ユリコ 「(・ω・)オアーン」

浜面 「さて、家。世話になったな」

滝壺 「お世話になりました」ペコリ

絹旗 「超お世話になりました」


<よいしょ。
<絹旗?スーツケースに乗ってどうすんだ?
<浜面、押してください。
<あぁ、そういうことかい。はいはい、分かりましたよ。
<便利だよね、それ。


<ギィィィ バタン



503 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:25:40.97 /BKndyiBo 105/135





  ――きぬはた荘解散から2ヵ月後...






505 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:27:54.91 /BKndyiBo 106/135



~第7学区 とある病院~


  ポキッ☆


患者A 「んぎゃぁぁぁ! 指が! 俺の指が逆方向に曲がったぁぁぁ!!」

麦野 「もぉ~、いけないんだぁ。ここはそういうお店じゃないんだぞ☆」

19090 「しっ、しずりん! ミサカたちの仕事は患者を癒すことです。患者を製造してどうするのですか!
     とミサカは何度目かも分からない苦言を呈します」オロオロ

麦野 「えー、でもカエル先生だってセクハラ患者には容赦しなくていいって言ってただろ」

19090 「かといってこれはやりすぎではないでしょうか、とミサカは……とりあえず戻しましょう」ポキッ

患者A 「オウフ」

19090 「し、しずりんはいつもいつもそうやっtわっひゃぁぁぁ!?」

患者B 「」ナデナデ

19090 「どこを触っているのですかぁぁぁぁ!!」ビリビリ

患者B 「オウ、あbbbbbb、ミサカさんの電気たまらんでござる!」



冥土帰し 「……やれやれ、今日も騒々しいね?」ハァ

冥土帰し 「しかし、彼女ら目当てに来院する人もいるぐらいだ……世の中、分からないものだね?」


506 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:28:36.32 /BKndyiBo 107/135





  ――日常は終わらない。





509 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:30:12.41 /BKndyiBo 108/135



~第7学区 とある学生寮~


上条 「???」

禁書 「……とうま、そこは昨日みことが教えてくれたのと同じ公式なんだよ」

上条 「そ、そうなのか? 見た目全然違うようだが……」

美琴 「だからなんですぐ見た目に惑わされるのよ! ほら、こことここを入れ替えて……」

上条 「おお! 数字のマジック!」

美琴 「……アンタ、今年受験なんでしょ? 大丈夫なの?」

上条 「大丈夫じゃないから、今からこうやって頑張ってるんでせう」シクシク

禁書 「とうまはバカだから、もっと頑張らないとダメなんだよ! 英単語1200個程度も覚えられないなんて……」ハァ

上条 「あなたとは違うんです!」

美琴 「まあ、なんとかなるわよ。理系は私が」

禁書 「文系は私が」

美琴禁書 「「おはようからおやすみまで付きっきりで見てあげる☆」」

上条 「おはようからおやすみまで勉強づくし……はは、不幸だーーーー!!」


510 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:31:27.48 /BKndyiBo 109/135





  ――愛すべき日常はいつもそこに在り続ける。





512 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:33:02.53 /BKndyiBo 110/135



~第7学区 一方通行邸~


番外個体 「最終信号ー。そろそろ朝ご飯できるから、あの人起こしてきてくれる?」

打ち止め 「はーい! ってミサカはミサカは元気よくお返事してみたり!」トタタタ


<朝だよ起きてー!ってミサカはミサカはラストオーダープレス!
<グシャッ
<げェおうっ!?


番外個体 「さて、今日はどのコーヒーがいいかな」


<どけェ! 起きンからそこどけェ!
<わー怒ったー、ってミサカはミサカはBダッシュ!
<待ちやがれクソガキィ!


番外個体 「マンデリン……やっぱりあなたにはコレだよね」

打ち止め 「起こしたよー! ってミサカはミサカは報告してみたり」

番外個体 「はーい、お疲れさまー」ナデナデ


514 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:34:56.40 /BKndyiBo 111/135


 :
 ;
 :

打ち止め 「ねーねー、今日は何を教えてくれるの? ってミサカはミサカは今日の予定を確認してみたり」wktk

一方通行 「そォだなァ……昨日は物理だったしな。今日はロシア語でもやっておくか」

打ち止め 「りょーかい! じゃ、今の内にお掃除しておくね! ってミサカはミサカは楽しみのあまり駈け出してみたり」ピュー

番外個体 「……あのさ。あまり高度なことやってると、入学してから退屈になるよ?」

一方通行 「準備しておくに越したこたねェだろ」

番外個体 「そもそもさ。その準備が早過ぎるんだよ。入学は来年の春でしょ?」

一方通行 「打ち止めは今まで学校に通ってなかったンだぞ? 遅れを取り戻すためなら、これでも遅ェぐらいだ」

番外個体 「そりゃそうかもしれないけど……なんか、楽しみを奪ってるような気もする」

一方通行 「アイツが望ンでやってることだ。それよりオマエ、そろそろ時間じゃねェのか」

番外個体 「え? あ、やべ。んじゃ店行ってくるから、お皿片付けといてね」

一方通行 「はいよォ」

番外個体 「いってくるよー」


<いってらっしゃーい!ってミサカはミサカは大声で見送ってみたり!


516 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:36:23.83 /BKndyiBo 112/135



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


<ガチャガチャ バタン


番外個体 「おはよーございまーす……って誰もいないんだけどね」

番外個体 「マスターの巨体がなくなったから、店も広く感じるなぁ」

番外個体 「……まさかこんなことになるなんて、人生何があるか分からないもんだ」

番外個体 「とりあえず自分用の一杯」コポコポ

 :
 :
 :

番外個体 「いけね、もう時間だ」


  【Open】カタン


番外個体 「よーし、今日も適度にダラけきっていきましょ」


519 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:38:20.11 /BKndyiBo 113/135



~第18学区 長点上機学園~


婚后 「……ですから、そのお話はお断りした筈です」

婚后 「先方に合わせる顔が? 元より、そのような顔持ち合わせておりませんわ」

婚后 「そもそも、お母様は急ぎ過ぎなのです!」ムキー

婚后 「……どうぞ考え直して下さい。では、失礼致します」ピッ

女子A 「お母さんから?」

婚后 「ええ。お見苦しいところをお見せしてしまいまして……」

女子B 「婚后さんが声張り上げるなんて逆にレアだよね。いいもん拝ませてもらいました」

婚后 「からかわないでくださいな。わたくしだって逃げるのに必死ですのよ」

女子A 「逃げる?」

婚后 「ああ……今の電話はお見合いの話なのです。全く、気の早いこと」ハァ

女子A 「お見合いって……生粋のお嬢様は違うねー」

女子B 「でも、婚后さんのお相手になるぐらいの人でしょ? 断るぐらいなら私にまわしてよ」

婚后 「考えておきますわね」


521 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:40:18.54 /BKndyiBo 114/135


女子A 「でも、私ら高1だよ。早すぎだよね」

婚后 「お母様も若く結婚した方ですから……その感覚なのでしょうね」


 [[携帯電話]]<~~~~♪


女子A 「あ、電話鳴ってるよ」

女子B (着メロにヴィヴァルディなんて、高尚な趣味してるなぁ)

婚后 「ちょっと失礼しますわね……(ピッ)しつこい!」

執事 『はて。しつこいと言われるほどお電話さし上げた覚えは……私も耄碌しましたかな』

婚后 「はっ、あ、いいえ、その」ワタワタ

執事 『お困りのようですな。奥方様には私からも申し伝えておきましょう』

婚后 「も、申し訳ありません。損な役割を押し付けてしまいまして」

執事 『これも務めでございます故』

婚后 「世話になりっぱなしですわね」

執事 『お気になさらず。時にお嬢様。夏のご予定は決まっておりますかな?』

婚后 「夏の? 貴方まで随分と気の早いことを言うのですね」

執事 『歳をとるとせっかちになるものでございます。それで、夏なのですが――』


522 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:42:37.93 /BKndyiBo 115/135



~第18学区 とあるマンション~


女子AB 「「お邪魔しまーす」」

婚后 「どうぞ、楽になさってください」

女子A 「ゴメンね、突然押しかけちゃって」

女子B 「婚后さんが溺愛してるってペット、見てみたかったからさー」

婚后 「今連れてまいりますので、適当に座っていて下さいな」パタパタ

女子A 「なんだろうね、ペットって」

女子B 「きっとアレよ。血統書付きのシャム猫とか、そういうのじゃない?」


<お待たせしました。


婚后 「紹介致しますわね。ニシキヘビのエカテリーナちゃんですわ♪」

エカ 「( ゚-゚)」ヘロゥ

女子B 「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

女子A 「かっ、カワイイーー!」キラキラ

エカ 「(゚-゚)」


523 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:44:26.78 /BKndyiBo 116/135



~第7学区 とあるマンション~


結標 「ええと、焼き色がついたら塩、でいいのよね?」

ショチトル 「ま、待った! それは砂糖だ!」

結標 「え? 砂糖は青いフタのじゃないの?」

ショチトル 「? 青いフタは塩ではないのか?」

結標 「塩は赤いフタのでしょ?」

ショチトル 「?」

結標 「?」

ショチトル 「……な、舐めてみれば分かる」

結標 「そ、そうよね。じゃ、お願いしていい?」

ショチトル 「」ペロペロ

結標 「どう?」

ショチトル 「……甘い」

結標 「ほら、あってたじゃない」

ショチトル 「うー……」


524 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:45:41.43 /BKndyiBo 117/135


結標 「じゃ、改めて塩……あ!」

ショチトル 「?」

結標 「コゲちゃってる……」

ショチトル 「……また、やり直しなのか」

結標 「しょうがないじゃない。あいつにはなるべくちゃんとしたの食べさせたいし」

ショチトル 「だがさっきから……どちらかの過失で失敗してばかりだ」

結標 「だからって、やらないと何もできないままよ」

ショチトル 「それはそうなのだけど……」

結標 「ほら、気を取り直して。次いきましょ」

 :
 :
 :


<ガチャ バタン


ショチトル 「!」ピクッ

海原 「ただいま戻りました」


525 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:47:24.86 /BKndyiBo 118/135


結標 「おかえりなさい」

ショチトル 「遅かったじゃないか」

海原 「いやぁ、探すのに手間取ってしまいまして」

結標 「とりあえず着替えてきたら?」

海原 「そうさせて頂きます。あ、これ頼まれてた本です」つ【mina】

ショチトル 「あ、ありがと……」


<バタン


ショチトル 「」ペラペラ...

結標 「貴女もそういうのに興味持つようになったのね?」

ショチトル 「悪いか……義姉さんを見てると、つい……」

結標 「いいんじゃない? 色々したい年頃でしょ?」クスクス

ショチトル 「むむ……」

エツァリ 「おや、何の話ですか?」

ショチトル 「なんでもない!」


526 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:48:47.35 /BKndyiBo 119/135



~第7学区 とあるマンション~


浜面 「……ここってなんだっけか」カリカリ

滝壺 「」ポケー

浜面 「ん? 間違ったかな?」

滝壺 「」ウトウト

浜面 「繰り上がって……あれ? おっかしいなぁ」

滝壺 「」スピー

浜面 「……」ブツブツ

滝壺 「」スピー

浜面 「……あー疲れた! 今日は終わり!」

滝壺 「あ、はまづら。今日の勉強は終わりなの?」

浜面 「終わりだ終わり、今日は頭が疲れちまった」

滝壺 「うん。あまり一辺に頭使い過ぎないほうがいいよね」

浜面 「どーせばかですよーだ」


527 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:50:33.69 /BKndyiBo 120/135


滝壺 「大丈夫だよ。お馬鹿なはまづらも応援してる」ナデナデ

浜面 「へーへー……しっかし、資格とるのも楽じゃねぇな」

滝壺 「受かるまで何度でもチャレンジすればいいよ」

浜面 「いや、教材代も試験代もタダじゃねぇし……」

滝壺 「その心配はしなくていいよ」フンス

浜面 (俺情けねぇぇぇぇぇぇぇ!!)

 :
 :
 :

滝壺 「あれ?」

浜面 「どうした?」

滝壺 「夕飯の準備しようと思ったんだけど、材料が足りない」

浜面 「なんだ、そんなことか。ひとっ走り、買いに行ってくるぞ」

滝壺 「ゴメンね。じゃあ、ハムとトマトとちくわと水菜と」

浜面 「大変申し訳ございませんが、メモにして頂けると助かります」

滝壺 「うん」カキカキ


528 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:52:09.42 /BKndyiBo 121/135



~30分後~


<ガチャ


滝壺 「あ、はまづら。お帰り」

浜面 「……」

滝壺 「?」

浜面 「すまん、滝壺!」orz

滝壺 「??」

浜面 「拾ってきちまった……」orz

滝壺 「拾ってきたって……猫とか?」

浜面 「猫っちゃ猫みたいなものかもしれないが……」

滝壺 「猫みたいなもの?」

浜面 「見てもらったほうが早いな……おい、入ってこい」

フレメア 「にゃあ」ヒョコッ

滝壺 「」


529 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:53:36.02 /BKndyiBo 122/135



~第7学区 とある路地~


 タッタッタッタッタッタッ


絹旗 「はあっ………はあっ………」

絹旗 「う、はあ……ここまで、長距離を全力、疾走する、のもっ……けほっ……」

絹旗 「超久しぶり、ですね……」

絹旗 「」チラッ

絹旗 「くっ……!」ダッ


 タッタッタッタッタッタッ


絹旗 (面倒なのに目を付けられちゃいましたね……超不幸です……)

絹旗 (にしても超マズイですね、このままじゃ……)

絹旗 (……死にたくなんか、ないですっ……!)カチカチ


 Prrrr Prrrr Prrrr Prrrr


絹旗 (出てください、超お願いですから……!)


530 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:55:13.22 /BKndyiBo 123/135



 Prrピッ


白井 『はい、白井ですの』

絹旗 「白井さーん! お願いです! 超お願いです!」

白井 『絹旗さん!? 今どちらに!?』

絹旗 「もう、ちょいで……はあっ……寮ですっ……あの、手引きを、ですね……」

白井 『……わたくしとしてもどうにかしてあげたいのですが、どうにもなりませんの』

絹旗 「そこをなんとか!」

白井 『常盤台新寮には能力に反応して作動する新型AIMジャマーが設置されてるのはご存知でしょう?』

絹旗 「うー……」

白井 『絹旗さん』

絹旗 「?」

白井 『ご武運を』ピッ

絹旗 「」ツーツーツー

絹旗 「白井さんの超ケチー!!」ダンダン


531 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:57:06.81 /BKndyiBo 124/135



~第7学区 常盤台新寮~


絹旗 「」ソォー

絹旗 (誰もいませんね、帰るなら今のうち……)


<おかえり、絹旗


絹旗 「」ビックゥ

寮監 「ところで、今は21時5分だ」

絹旗 「は、はい……」ダラダラ

寮監 「門限は何時だ?」

絹旗 「に、ににに、にっ、20時20分です」

寮監 「よろしい。では、何分オーバーだ?」

絹旗 「45分デス」ガクブル

寮監 「よく分かっているじゃないか」ガシッ

絹旗 「ひっ……! た、たた、たす、たすけっ」


532 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/13 23:58:29.47 /BKndyiBo 125/135



<ゴキンッ ドサッ


白井 「絹旗さん……常盤台撫子はこうやって鍛えられてゆきますの」ホロリ

ユリコ 「( ・ω・)っ」

白井 「あ、ユリコ。その写真立てにイタズラしたら怒られますの」

白井 「……あの日の写真。絹旗さんも、大人びているようで可愛いところもございますのね」クスクス

ユリコ 「(・ω・)?」


<ガチャ


絹旗 「ただいま戻りました……あいてて」

白井 「おかえりなさいませ。絹旗さんも懲りませんわね」

絹旗 「超不可抗力ですよ……」ゲンナリ

白井 「またあの方ですの?」

絹旗 「何度追い払っても超付きまとってきて……どうしたもんでしょうか」

白井 「今は忍耐強く応対するしかございませんの」

絹旗 「だー、超めんどくせー」


533 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:00:35.86 dFlIe7Ldo 126/135



小さな偶然から集った七人の大能力者(と一人と一匹)。

彼らは喜びを分かち合い、悲しみを共有し、時として妥協なき衝突をし、
何があろうとも最後には認め合える。

縁あるいは絆と呼ばれるそれは、離れたからといって消えるものでもない。

一年という期間が長いのか短いのかは分からない。
だが、この一年が彼らにとってかけがえのないものだったことは確かだ。

一年を共に過ごした彼らだからこそ、進む道が分岐していこうとも
互いを信頼し尊敬し合うことができるだろう。

彼らのお話はここで一先ずの終了を迎える。
だが、彼らの日常は終わらない。
愉快に、穏やかで、騒々しく、どこか清々しい、そんな日常は――



536 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:03:04.33 dFlIe7Ldo 127/135



~6月中旬 第7学区 某所~


絹旗 「……超暑いです」トテトテ

白井 「夏も近づいておりますし」コツコツ

絹旗 「あ、アイス屋さんですよ。食べましょうよ食べましょうよ」

白井 「ダメですの。今寄り道したら待ち合わせの時間ギリギリですの」

絹旗 「何のための白井さんですか」

白井 「人を転送装置か何かみたいに言わないでくださいまし!」ムキー

絹旗 「ちぇー、超つれな……あれ? あそこでアイス買ってる人って」

白井 「あら、大きいお姉様」

絹旗 「ミサワさーん」トテテテ

番外個体 「あれ? 絹旗さんと白井さんじゃん」

白井 「大きいお姉様ー、お久しぶりですの」

番外個体 「二人とも今行くところ?」

絹旗 「はい」


539 : もうちょっとだけ続くよ ◆r46... - 2011/04/14 00:04:19.18 dFlIe7Ldo 128/135


白井 「大きいお姉様、ここでゆるりとしておられては時間が……」

番外個体 「いや、ゆるりとはしないよ。歩きながら食べればいいじゃん」

絹旗 「そうですよ、それでいいじゃないですか」

白井 「まあ……これ以上口出しする権利もございませんわね」

絹旗 「すいませーん、ビターキャラメル一つください」

白井 「わたくしはストロベリーを」

絹旗 「なんだ、食べるんじゃないですか」

白井 「折角ですので」

店員 「はい、お待たせ致しましたー」

白井 「ありがとうございますの」

絹旗 「……ミサワさんのそれって何味ですか?」

番外個体 「んー? コーヒー」

絹旗 「超一口味見させてくださいよ」

番外個体 「一口だからね」

絹旗 「」バクッ


541 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:05:34.73 dFlIe7Ldo 129/135


番外個体 「あっ」

絹旗 「」シャクシャク

番外個体 「おい」

絹旗 「超ありがとうございました! さあ、先を急ぎましょう!」ピュー

番外個体 「……やりやがった」

白井 「一口だけ残したのは絹旗さんの良心でしょうか……」ペロペロ

 :
 :
 :

浜面 「お? あのちっこい人影は」

滝壺 「きぬはただ」

絹旗 「すいません、お待たせしちゃいましたか」

婚后 「いえ、わたくしたちもつい先ほど到着したばかりです」

滝壺 「きぬはた、制服なんだね」

絹旗 「ええまあ、規則らしいので」

浜面 「お前だったら"規則は超破るためにあります"とか言いそうだけどな」ケラケラ


542 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:07:09.09 dFlIe7Ldo 130/135


絹旗 「……怒らせると、あ、いや、怒らせなくても超怖い人がいるんですよ」ガクブル

婚后 (相当な指導を受けたようですわね……)

滝壺 「そういえば、しらいは一緒じゃないの?」

浜面 「だな。一緒に来るもんだと思ってたが」

絹旗 「すぐ追いつきますよ。あ、ほら」

白井 「みなさんお待たせしてしまいまして」

番外個体 「やっほう。2週間ぶりかな?」

浜面 「お、なんだ。姐さんも一緒だったのか」

番外個体 「途中で出くわしたんだよね」

滝壺 「あと二人?」

婚后 「ええ、あとお二方が……」


<ドサッ


絹旗 「?」

海原 「あいたたた……おや、皆さんお揃いで」


543 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:08:41.47 dFlIe7Ldo 131/135


滝壺 「空からうなばらが降ってきた」

白井 「斬新な登場方法ですの」

婚后 「貴女が言いますか」

番外個体 「淡希も……もうちっと優しくしてあげればいいのに」

結標 「あら。私はいつも優しいじゃない」

絹旗 「うひゃぁ!?」ビクッ

結標 「遅れそうだったから、急いじゃったわ」クスクス

海原 「急いじゃいましたよ」ニコニコ

浜面 「ま、まあ。ともかく、これで全員だな」

滝壺 「それじゃ行こっか。まずお昼ごはん?」

白井 「そうですわね。ちょうどお昼も近いですし」

 :
 :
 :

婚后 「あ、そうですわ。先日、執事から連絡がありまして」

白井 「何かございましたの?」


544 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:10:07.21 dFlIe7Ldo 132/135


婚后 「今年も南の島でお待ちしております、だそうですわよ」

滝壺 「え? また沖縄に行けるの?」

絹旗 「また執事さんに会えるんですか!?」wktk

海原 「これは朗報ですね」

番外個体 「沖縄もいいし、また温泉にも行きたいなぁ」

結標 「いいわね。あそこの温泉、肌にいいらしいし」

婚后 「迷うぐらいなら、全部行ってしまえばいいですわ」クスクス

白井 「そうですの。また予定を合わせて全員で行きましょう」

滝壺 「今度はみんなも妹とか連れてくるといいかも。私も連れていきたいし」

番外個体 「そりゃ結構な人数になりそうだねぇ」

絹旗 「♪」

浜面 「お? 絹旗ご機嫌だな。今から楽しみなのか?」

絹旗 「決まってるじゃないですか。温泉でも旅行でも、このメンバーが集まれるなら」



絹旗 「全部、超っ楽しみです!!」


545 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:11:16.96 dFlIe7Ldo 133/135






  ――そんな日常は終わらない。



                          ☆超おしまい☆



580 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/14 00:30:45.16 dFlIe7Ldo 134/135


といったところで、終了です。
以下、後書きもどき。



『LEVEL5 の SS は割と見るのに、LEVEL4 のは見ないな』というのが出発点で、
なんとなく書いてみた14レスの短編からここまで広がるとは予想外です。
まさかこんなに長くなるとは思っていませんでした。
約8ヶ月に渡り続けてこれたのも、ご支援頂いた皆さんのお陰です。

大した動機もなく"書きたいから"で始めたSSですが、
お楽しみ頂けたでしょうか。そこだけが今でも不安です。

全体を通してほのぼの感を出そうと可能な限り台本形式にこだわった為、
色々と分かりづらい・伝わりづらい部分もあったかと思います。
その点に関しては、>>1の力量不足です。いや、ホントすいません。

続編にしろ別なお話にしろ、やり残したことや浮かんだネタもありますので、
ほとぼりが冷めたころにまた何か始めようかと思っています。
その時にまた出会うことがありましたら、気長にお付き合い下さい。

今後このトリで書き込むのも、おそらく数えるほどしかないと思います。
HTML依頼は数日後を目処に出すつもりです。

それでは、長らくお付き合い頂き、ありがとうございました。



あ、番外個体は俺の嫁だからな。


645 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2011/04/16 03:29:48.07 iOZ3iYBxo 135/135


>>1です。
色々後始末も済みましたので、このトリで書き込むのもこれが最後です。
盛大な乙の嵐、改めてありがとうございました。
書いて良かったと心より実感しています。

何人かの方が書いておられる沖縄編ですが、なんか面白そうなので書いてみたくなりました。
ここだと残りレス量が微妙なので、別な機会にということになりそうですが。

その内、沖縄に行く番外編か正当な続編か全くの新作を始めるかと思います。
そこでまた出会えましたら、気長にお付き合い下さい。

では、最後に。
番外個体とお前らが大好きだぜ!

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