1 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:50:52 iiripwpg 1/96

「あのね、幼友」

幼友「ねぇ、あの映画のタイトル、ミッション・インポッシブルだよね?」

「映画は全然関係無いの」

「実現不可能作戦じゃなくて、可能作戦だから」

幼友「作戦?」

「まずはこのテープを聞いて」

幼友「テープ?って、あ!iPod touchじゃん。おぉー!新しいの買ったんだ?」

「そんな事はどうでもいいから」
ピッ

元スレ
幼馴染「ミッション・ポッシブル!」 幼友「ちょっと違くない?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1376949052/

2 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:52:03 iiripwpg 2/96

『おはよう、幼友君』

『今回の任務だが…』

『ある少女が、長年想いを寄せていた少年に』

『告白する手伝いをしてもらいたい』

『例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても』

『当局は一切関知しないからそのつもりで』

『成功を祈る』

『尚、この音声データは5秒後に自動的に消滅する』

デーンデーンデッデッ!デーンデーンデッデ!チャラーーーーー!

3 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:53:11 iiripwpg 3/96

ピッ
「…」ドヤッ

幼友「…これ、おじさんの声だよね?何なのこれ?」

「あれっ?伝わらなかった?頑張って作ったんだけどなー」

幼友「ごめん、全然」

「だから作戦だよ作戦!」

幼友「作戦?」

「私がリーダーでー、作戦を遂行するのです!」

4 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:54:15 iiripwpg 4/96

「題して『男に告白大作戦』なのですっ!」

幼友「なのですって言われてもね」

「つまり、解りやすく噛み砕いて言うとね」

幼友「うん」

「私、男に告白しようと思うのです」

幼友「うん、まぁそれは作戦のタイトルで解るけど…やっとですか」

「やっと?」

5 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:54:52 iiripwpg 5/96

幼友「何でも無い。で?告白するのが作戦?」

「そう。だからチームの一員として色々協力して欲しい」

幼友「チーム?私が?何を?」

「だって作戦は一人じゃ遂行出来ないでしょ?あの映画でも!」

幼友「映画関係無いって言ってたじゃん…」

「お願いっ!親友を助けると思って!」

幼友「本当に助けが必要?」

7 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:55:40 iiripwpg 6/96

「うん!もう、正直どうしたら良いのか、解んないんだよ!」

幼友「そんな事断言されてもねぇ」

「……ダメ?」

幼友「…あぁ、もう!解ったわよ。手伝えば良いんでしょ!」

「さっすが親友!私のダチ公!」

幼友「…で?」

「ん?」

幼友「チームって言ったけど、他に誰が居るの?」

「私がリーダーで、幼友がメンバー」

8 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:56:43 iiripwpg 7/96

幼友「…」

「…」

幼友「え?終わり?」

「え?何が?」

幼友「チームって2人なの?」

「うん」

幼友「少なっ!」

「だ、だって、こんな事、幼友以外に頼めないよー」

幼友「そりゃそうか…」

9 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:57:41 iiripwpg 8/96

幼友「はぁ…そんじゃ、作戦考えてみますか…」

「頑張ろう!」

幼友「はいはい…それで、幼はどう考えてるの?」

「えー、ズバリ!保育園の頃から一緒に過ごしてる、男の事が好きですねっ!」

「どの辺りが好きなのかと言うと…」

幼友「あー、言わなくて良いよ、それは解ってるから」

「でも、私と男の出会いから話した方が…」

幼友「そう言うのはいいから!」

幼友「男君とお付き合いしたいんでしょ?」

「は、はっきり言うと、そう言う事です」

10 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:58:48 iiripwpg 9/96

幼友「そんで?どうやって告白するのかを考えるんだよね?」

「そ、そうであります!」

幼友「んー。普通にさー」

幼友「『男、好きー。付き合ってー』って言えば?」

「もうっ!乙女の一大イベントをそんな簡単に片付けないでよー」

幼友「それで充分だって」

「そう言うんじゃなくて…もっとこう…ムードある感じで…」

幼友「ムードねぇ…」

11 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 06:59:35 iiripwpg 10/96

幼友「そんじゃ手紙でどこかに呼び出すか!」

「どこか?」

幼友「んー、例えば放課後の校舎裏とかさー」

「校舎裏には不良の人が居たりするよ?薄暗くて怖いし」

幼友「じゃあ放課後の屋上とか?」

「屋上は鍵かかってるじゃん」

幼友「じゃあ放課後の教室とか?」

「割とダラダラ残ってる人居るじゃん」

幼友「むー…中々難しい問題だなぁ」

「うん…」

12 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:00:27 iiripwpg 11/96

幼友「ね、やっぱ直接男君の部屋に突撃すれば?」

「意識しちゃったら、そんな事出来ないよー」

「て言うか、最近は全然男の部屋に遊びに行ってないし…」

幼友(実際に突撃してたんだ…凄いなこの子)

幼友「そう言えば最近、あんた達あんまり話ししてないよね?」

「う、うん…一度意識しちゃったらね…」

「何か、男の顔まともに見れなくて…えへへ」

13 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:01:07 iiripwpg 12/96

幼友「そんなんで、ちゃんと手紙を渡せるの?」

「う…直接は恥ずかしいかもです…」

幼友「じゃあ、古風に、下駄箱に投函だね!」

「下駄箱かぁ…なーんか良いね!青春ぽくて!」

幼友「じゃあ、下駄箱にラブレターね」

「ラ、ラブレ…タァ…えへへへ」

幼友「そこ、照れる所?」

14 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:02:04 iiripwpg 13/96

「でもやっぱり呼び出す場所が肝心だよね」

幼友「んー、それについては…難しいね…」

「むー」

幼友「…私ちょっと喉渇いちゃったから…」

「じゃ、じゃあ私が飲み物買ってくるよ!おごるから!」

幼友「え?いやいや、それは悪いって…」

「報酬の前払いって事で!」
タタタッ

幼友「はぁ…」

幼友「ちょっと面倒な事になっちゃたかなぁ」

15 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:03:14 iiripwpg 14/96

ヒョコッ
「なぁなぁ、幼友っ!今の話、俺も混ぜてくんね?」

幼友「げ!あんた聞いてたの?いつから?」

「音声再生してる辺りからちょいちょい聞こえてた」

「てかお前ら声デカすぎるだろ」

「残ってる奴ら皆に聞こえてたんじゃねーの?」

幼友「しくじった…」

「でもまぁ、皆黙っててくれると思うぜ」

「なにせあの2人の事だしな」

幼友「…それもそうか」

16 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:03:59 iiripwpg 15/96

「お待たせーって!」

「と、友君!?何故ここに?」

幼友「ごめん、話し聞かれてた…」

「話しは大体解ってるから!」

「男子の意見も重要だと思うぜ?」

「…それもそうだね」

「友君、一緒に考えてくれる?」

「おう!俺の親友の為でもあるしな!」

17 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:04:46 iiripwpg 16/96

「で、今どんな感じなん?」

「えっと…下駄箱に手紙を入れて、呼び出そうと思って」

「どこに呼び出すつもりなん?」

幼友「それが重要よね」

「屋上か、校舎裏か、放課後の教室か…」

幼友「どれもイマイチなんだよねー」

「それならさ」

「ん?」

18 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:05:23 iiripwpg 17/96

「デートに誘えば?」

幼・幼友「デート?」

「男に聞いたんだけどさ」

「幼ちゃんと男ってデートした事無いんでしょ?」

幼友「え?そうなの?」

「う、うん…ウチの妹と一緒に3人で買い物に行ったりはするけど」

「ちゃんとした、2人きりのデートは…した事無いよ」

「な?だから…」

19 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:06:11 iiripwpg 18/96

幼友「デートした後、告白するって訳ね!」

「…うん、そう。それ、俺が言いたかったんだけど」

幼友「どう?幼!ちょっとハードル上がるけど、やってみる?」

幼友「男君との距離も一気に縮まるし、やってみるのも良いんじゃない?」

「うん、解ったよ!やってみる!」

「作戦名『男に告白大作戦』から『デート後、男に告白大作戦』に変更!」

友・幼友「おー!」

20 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:06:52 iiripwpg 19/96

「それじゃ、呼び出すのはデートの待ち合わせ場所になるね」

幼友「行く場所にもよるけど…駅前が良いんじゃない?」

幼友「程々に人が居るし、あまり緊張せずに待てるんじゃない?」

「うん、駅前の時計下とか…かな?」

「男は几帳面だから、待ち合わせの時間丁度に来るんだろうなー」

「あぁ、うん。キッチリ5分前に来るよ」

幼友「5分前って…何で解るの?」

21 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:07:28 iiripwpg 20/96

「昔からね、男の家族は皆、5分前行動なんだー」

「だから多分11時に待ち合わせたら、10時55分に来るよ」

「だからちょっと早め…10分くらい先に行って待っていようかなと」

「じゃ、いっそ1時間くらい待ってみれば?」

「え?なんで?」

幼友「そうだよ、時間を決めて、待ち合わせするのに1時間も待つなんて…」

「ふっふっふ…男子はそういうのに弱いんだよ」

幼友「はぁ…そう言う物ですか…」

22 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:08:33 iiripwpg 21/96

「そうだね、ちょっと待ってみようかな」

「で、後から来た男が『お待たせ、待ったか?』って聞いて来たら」

「『ううん、全然』と、あくまで自然に、さりげなく、にこやかに返す…と」

「うん、解った」

幼友「それって全然自然じゃないと思うんだけど…」

「だが、男子はそういうのに弱いのだっ!」

幼友「…アンタが頼りになるって、生まれて初めて思ったわ」

「俺に惚れるなよ?」

幼友「…」

23 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:09:50 iiripwpg 22/96

「で、待ち合わせた後、どこ行こうかな」

「買い物に行こうって言ったら、男子は嫌かな?」

「んー、場所によるかなー」

「例えば?」

「ショッピングモールならOKだけど、例えば下着専門店とかだとNGだな」

幼友「誰がアンタなんかと下着買いに行くのよ、バカじゃないの?」

「例え話だ、バカ」

24 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:11:05 iiripwpg 23/96

「…私、男と一緒に下着買いに行った事、ある…」

友・幼友「…」

「あの時も妹と3人で、男も特に何にも言ってなかったけど」

「ほ、本当は嫌だったのかな?」

幼友「そ、そんな事は無いんじゃない?」

「そうそう、男って嫌な事は嫌って言うタイプだし?」

「取り敢えず、買い物はやめとこうかな…」

25 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:11:46 iiripwpg 24/96

幼友「それなら、博物館・美術館はどう?」

「ちょっと固くねーか?」

幼友「あ、今のは私が観たいだけなんだけど」

「今って何を展示してるんだ?」

幼友「ツタンカーメン展」

「んー?固くは無いけど、男、興味無いんじゃないかなぁ?」

幼友「そうかなぁ。男君結構好きじゃないかと思うんだけど」

「確かに好きなんだけど…先週行ったんだよね、家族で」

幼友「家族?」

「男んちと私んちの家族全員で、ツタンカーメン展見てきたんだー」

幼友・友(既に家族ぐるみのお付き合い…)

26 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:12:39 iiripwpg 25/96

幼友「あー…どうしたもんかなー」

「よし!そんじゃさ、俺が今夜電話して聞いてみるぜ」

「今、やりたい事とか行きたい所が無いかどうか」

「お願い出来る?」

「任せときな!このトークのまっじゅちゅし…」

幼友「噛んだ」

「噛んだ」

「…トークの魔術師である俺に任せときな!」

幼・幼友(不安だ)

27 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:13:27 iiripwpg 26/96



翌日の放課後

「無事に聞き出せたぜ!」

幼友「ボロ出してないでしょうね?トークのまじゅちゅしさん?」

「出してない!ちゃんと自然な流れで聞き出した!」

幼友「で?どうだったのよ」

「どうやらアイツ、映画が観たいらしい」

「映画?」

28 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:14:24 iiripwpg 27/96

「ほら、今丁度あのスパイ映画の最新作やってるじゃんか」

「あぁ!インポッシブルの方!」

「アレを観たいらしい」

「私も観たいし!」

幼友「そうか…それじゃベタだけど、映画で決まりだね」

幼友「それじゃ、映画を見た後は…食事とかして」

幼友「ウィンドウショッピング…とか」

幼友「私はした事無いけど、小説とかだと、定番のデートコースだよね?」

幼・友「おぉー!」
パチパチパチ

29 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:15:04 iiripwpg 28/96

「ゲーセンも外せないなー」

幼友「プリクラとか、クレーンゲームとか?」

「男は案外ああいうの好きなんだよ」

「うん、知ってるけど」

幼友「ドラマや小説だと、その後、思い出の場所に立ち寄って、告白…とか?」

「あ、思い出と言えば…」

幼友「あの丘の上の公園とか?」

「うん。小さい頃、良く遊びに行ってた公園…」

「いいじゃんいいじゃん!夕暮れ時だと尚良いぜ!」

幼友「王道だけど、良いね!」

30 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:15:54 iiripwpg 29/96

「男はなんだかんだ言って、王道に弱いからなぁ」

「それじゃ、まとめると…」

「待ち合わせて、映画見て」

「食事して、軽くショッピング」

「ゲームセンターで遊んだりして」

「夕日が沈む頃、子供の頃よく遊んでた公園で」

「こ、告白…」

幼友・友「おぉー」
パチパチパチ

幼友「良いんじゃない?」

「これ、完璧なデートじゃね?」

31 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:17:12 iiripwpg 30/96

幼友「それじゃ、私たちは街の人ごみに紛れて、2人を見守る…と」

幼友「アクシデントがあった時、迅速に対応する事」

「イェッサー!」

幼友「あ…でも、携帯じゃ連絡が取りづらいな…」

「あ、それなら大丈夫!」

「ウチのお父さんのお店がそういうの扱っててね」

「超高性能ヘッドセットを用意出来るよ!」

「マジで?」

32 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:18:12 iiripwpg 31/96

「私は髪の毛で耳の部分隠れるし」

「100メートルくらいなら電波届くらしいから」

幼友「何か、そこだけ本格的ね。本物のスパイみたい」

「作戦は雑なのにな?」

「えへへ、本当はイベントとかで使う機材なんだけど」

「『デート後、男に告白大作戦』に必要だ!って言ったら」

「お父さんがノリノリでね」

「一番高性能なやつを無料で貸してくれる事になったんだー」

「んじゃ、ますますしくじれねーな!」

幼友「まぁ、あの映画じゃ最初の任務は大抵大失敗だけどね」

「今回は成功します!させてみせますっ!ポッシブルですからっ!」

33 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:19:00 iiripwpg 32/96

「2人とも、ありがとうね」

「この作戦、必ず成功させてみせるから!」

「…でも何かもう1つアクセント的なのが欲しくないか?」

幼友「アクセント?」

「例えば、ベタなんだけどさ…」


幼友「なるほど…超ベタだけど、良いね」

「でも誰に頼むの?学校の友達だとすぐバレちゃうよ?」

「大丈夫、アテがある」

「俺の従兄に事情話せば協力してくれると思うぜ」

幼友「じゃあそっちの仕込みは任せたわよ?」

「おう、任された」

34 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:19:50 iiripwpg 33/96



数日後

「んじゃ、明日の朝、下駄箱に手紙入れるって事で」

幼友「フォロー頼むわよ」

「おう!んじゃ俺先に帰るわ」

「うん、また明日ね!」

幼友「で、幼。肝心の手紙は書けたの?」

「う、うん、一応…持ってきたんだけど…」

幼友「見せてみ?」

「はい!」

幼友「どれどれ…」
パラッ

『明日の11時、駅前の時計下にて待つ』

「ど、どうかな?」

「書きたい事をシンプルに突き詰めて行ったら、こうなったんだけど」

35 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:20:47 iiripwpg 34/96

幼友「ムードの欠片も無いんですけど」

「そ、そっか…どうしたら良いかな?」

幼友「まずこの和紙に筆で力強い字を書くのは止めた方が良いね」

「えー?書道二段は私の数少ない特技だよ?」

「そこを作戦に活かして行きたいと思って!」

幼友「…もうこれだけで果たし状に見えちゃうから」

幼友「普通の便箋に、鉛筆で書きなさい」

「う…鉛筆だと筆圧調整が苦手で…」

幼友「あんたの字、鉛筆でも筆で書いた感じだもんね」

36 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:21:38 iiripwpg 35/96

幼友「でも鉛筆で書きなさい」

「はい…それじゃ、今日帰りに文具屋に寄って…」

幼友「ぐ、偶然にもここにレターセットを持ってるから、これ使って」

「わー、可愛い…幼友、何でこんなの持ってるの?」

幼友「そ、そこはどうでも良いから」

「ありがと!使わせて頂きます!」

幼友「内容ももうちょっと何とかしないと」

「う、うん」



37 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:22:22 iiripwpg 36/96

Mission:possible

START




デート前日 AM08:15

「ふぅ…まずはこの手紙を男の下駄箱に入れる所からだね」

幼友「ほら、誰かに見られない内に、さっと入れちゃいなよ」

「うんっ」
パカッ
サッ
パタン

「作戦第一段階、完了だね」

幼友「ここからが本番だから!気を引き締めて行こう!」

「やー!」

幼友「それじゃ隠れて見守ろう」

38 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:23:03 iiripwpg 37/96



デート前日 AM08:40

幼友「あ、男君と友、来たね」

「来たね!ドキドキするねっ!」

幼友「幼、声大きいよ」

「えへへ、ごめん、つい興奮しちゃって」

幼友「お?男君が手紙に気付いたみたいだね」

39 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:23:47 iiripwpg 38/96

幼友「友、上手くやんなさいよ…」

「あれ、何か言い合いになってる様に見えるけど…」

「声、聞きたいねっ」

幼友「そうね…明日はちゃんとヘッドセットがあるもんね」

「…ちゃんとカバンにしまったね」

幼友「確認完了!よし、それじゃ教室に行こっか」

「やー!」

40 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:24:28 iiripwpg 39/96



デート前日 AM08:45

「なぁなぁ、さっきの見てたか?」

幼友「見てたよ、何か口論してたみたいだけど大丈夫でしょうね?」

「あぁ、バッチリだぜ」

「男は何て言ってたの?」

「アイツ、その場で読もうとしやがったからさ」

「そう言うのは家で読めって言ったら」

「『今日の放課後待ってます』って内容だったらどうすんだ?って言われてさ」

41 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:25:22 iiripwpg 40/96

幼友「確かに、そりゃそうだわね」

「ま、俺の説得力ある説得により説得してきた」

幼友「ちょっと不安なんだけど…アンタ、後で探り入れときなさいよ?」

「おう!任せとけ!」

「まぁ、内容的にはお昼休みに読んでくれても良いんだけどね」

幼友「え?そんな内容なの?」

「ま、まあね」

幼友「アンタ結局何て書いたの?」

「ふ、普通だよ、普通」

「普通に明日の待ち合わせについて書いたよ」

42 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:26:06 iiripwpg 41/96



デート前日 PM12:55

「大丈夫、アイツちゃんと家で読むって」

幼友「第一段階、なんとかクリアかな」

「ちょっと一安心だね」

幼友「何か私もワクワクしてきた!」

幼友「明日は絶対成功させるわよ!」

幼・友「やー!」

43 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:27:14 iiripwpg 42/96

幼友「後、言っておくけど、幼」

幼友「洋服選んでて、寝坊とか遅刻なんてベタな真似しないでよ?」

「大丈夫!こんな事もあろうかと、ちゃんと用意してあるから!」

「勝負服をね!」

幼友・友(ちょっと不安…)

「それじゃ2人とも、ウチのお父さんのお店に行こう!」

「あぁ、ヘッドセット借りに行かなきゃな」

幼友「それじゃ、ついでに幼のコーディネートも見てあげる」

「えぇー?信用無いなぁ」

44 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:28:05 iiripwpg 43/96



デート前日 PM04:00

幼父「やあやあ!いらっしゃい!」

幼父「幼友ちゃん!ウチの娘の事、宜しく頼むよ!」

幼友「は、はい、出来る限り頑張ります」

幼友「ところでおじさん、あの音声データ?ノリノリでしたね」

幼父「ふっふっふ…ナイスボイスだっただろう?5回も撮り直したんだ」

幼父「BGMも本物のサントラを使って編集してね」

幼友「はぁ…気合入ってたのは充分伝わりましたよ」

幼父「伝わったなら満足!頑張った甲斐があった!」

幼父「本当は私が作戦指揮官やりたかったんだが」

幼父「明日は私が手掛けたイベントがあってね。朝から千葉まで出張なんだ」

45 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:28:52 iiripwpg 44/96

「大丈夫です!俺達が必ずやり遂げますから!」

幼父「む?君は誰だ?敵のスパイか?」

「ち、違いますよ。俺は男の親友です!」

「親友のためにも、娘さんの幸せのためにも!」

「粉骨砕身頑張ります!」

幼父「うむ!本気の目だな!任せた!」

幼友「こいつにあんまり期待しない方が良いですよ、おじさん」

幼父「2人とも、本当に宜しく頼むよ!」

46 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:29:51 iiripwpg 45/96

幼父「ウチの店の後継が出来るか出来ないかの瀬戸際なんだから!」

「お、お父さん、気が早いよ!」

幼父「そうか?はっはっは!」

幼友・友「……」

「それより、例の物を…」

幼父「おう、準備出来てるぞ」
ゴトッ

47 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:30:29 iiripwpg 46/96

「おぉ…マジで本物っぽい」

幼父「本物だぞ?これは」

「あ、そうっすね」

幼友「すっごい小さいですね」

幼父「ふふん、凄いだろう?ウチの商品の中でも一番良いやつだからな!」

幼父「電源入れっぱなしでもバッテリー半日は保つから、朝から電源入れっぱなしでOK!」

幼父「チャンネルはセットしてあるから、3人で同時に会話出来る!」

幼父「集音感度も最高だから、囁くぐらい小さな声もちゃんと聞こえるぞ!」ドヤァ

48 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:31:12 iiripwpg 47/96

「ありがとね、お父さん!私、頑張るよ!」

幼父「頑張れ!我が娘!」

幼友「……あのー、ちょっと聞きにくいんですけど」

幼父「ん?何かな?」

幼友「これ、ぶっちゃけお高い物ですよね?」

幼父「うむ!レンタル料、1日1台1万円だ」

幼友「レンタルで1万…これ、もし壊したら…」

幼父「……」

49 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:31:49 iiripwpg 48/96

幼友「あ、やっぱ何も言わなくていいです」

幼友「友!あんた絶対壊さないようにしなさいよ?」

「そっちこそ!」

幼父「大丈夫大丈夫。ずっと耳に付けておけば、大丈夫だから」

幼父「よっぽど強い衝撃を与えない限り壊れないから」

幼友・友(変なフラグっぽい事言わないで欲しい…)

幼父「大丈夫!この作戦は完璧だ!失敗する要素が無い!」

幼父「では諸君、健闘を祈る!」

幼友・友「り、了解!」

幼友・友(おじさん、ノリノリだなー)

50 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:32:54 iiripwpg 49/96

幼友「それじゃ次は幼の服を見てみましょうかね」

「俺はどうすれば?」

幼友「……」

「お、俺は、先に帰らなきゃなー」

幼友「そうね、そうしなさい」

「あ、明日、ヘッドセットは集合前に各自装着しておくように」

「なんで?」

51 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:33:46 iiripwpg 50/96

「何があるか解らないからさ」

「待ち合わせ場所に着く前に電源を入れておくように!」

「了解っ!」

「あ!あと、コードネームだけど」

幼・幼友「は?」

「幼ちゃんがアルファ、幼友がブラボー、俺がチャーリー」

「作戦中はコードネームで呼び合う事!」

「おぉ!作戦っぽい!良いね良いね!」

幼友「まぁ、今回はそのノリに付き合ってあげるわよ…」

「それじゃ、幼ちゃん、明日は頑張ろう!」

「うんっ!明日よろしくねー!」

52 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:34:19 iiripwpg 51/96



デート前日 PM04:45

幼友「で?どんな服を着ていくつもりなの?」

「じゃじゃーん!これです!」

幼友「おぉー…大人っぽい…けど…」

「何?サイズならぴったりだよ?」

幼友「いや、サイズって言うか…大人っぽ過ぎて、幼には似合わないかも」

「…ちょっと着てみるから!大人っぽい私を見て驚いたらいいさ!」

53 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:35:04 iiripwpg 52/96



「どうよ!」
ビシィ!

幼友「…幼、やっぱり幼には似合わないよ」

幼友「いつもの可愛い系が絶対良いよ」

「えーっ?」

幼友「こっちのシャツとこれを組み合わせて…」

「それじゃいつもの私と変わらないじゃん!」

「いつもと違うって事を解って欲しいんだよ、まず見た目から!」

幼友「気持ちは解るけどさー」

54 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:35:51 iiripwpg 53/96



デート前日 PM10:15

幼友「うん!落としどころとしては悪くない!」

「うんっ。いつもの私にプラス2って感じ?」

「折角買ったワンピースも無駄にならないし!」

幼友「いやぁ、思ったより時間かかっちゃって…」

幼友「って、もうこんな時間か、そろそろ帰らなきゃ」

「遅い時間までごめんね」

幼友「親友の幸せの為だしね!」

「本当にありがとう!」

幼友「それじゃ、明日は頑張ろうっ!」

「やー!」

55 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:36:30 iiripwpg 54/96



デート前日 PM11:30

「ふぅ…いよいよ明日かぁ…」

「ちょっと緊張するなぁ」

「絶対成功させたい!」

「頑張ろうっ!」

「…男の部屋、もう電気消えてる」

「私もそろそろ寝なきゃ」

56 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:37:26 iiripwpg 55/96



デート当日 AM01:23

「告白したら…男はどんな顔するかなー」

「はぁ…」



デート当日 AM03:24

「映画の方も楽しみだなぁ」

「またしてもトム・クルーズが格好良いんだろうなぁ」



デート当日 AM04:00

「…ちょっと眠くなって…きた…かな…」

「男…」
スースー

57 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:39:34 iiripwpg 56/96



デート当日 AM09:05

幼母「幼、そろそろ起きなさい!今日デートじゃなかったの?」
ユサユサ

「!!!」

「お、お母さん、今何時?」

幼母「9時だけど」

「ヤバっ!寝坊したっ!」

「結局明け方まで眠れなかった!」

58 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:40:48 iiripwpg 57/96

幼母「待ち合わせの時間は何時なの?」

「11時に駅前で!」

幼母「なぁんだ、余裕あるじゃないの」

「1時間前から待つ作戦だから!」

幼母「あら、それじゃ急がなきゃね」

「あわわわ!」

幼母「落ち着きなさい。焦っても何もならないわよ?」

「う、うん」

59 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:41:30 iiripwpg 58/96



デート当日 AM09:45

「気合の入った勝負服良し!」

「映画のチケット2枚、オッケー」

「超小型ヘッドセット、準備オッケー!」

「全ての準備オッケー!」

「それじゃ行ってきます!」

幼母「あらあら、転ばない様に気をつけなさいよ~」

「絶対転ばないし!」
タッタッタッ

60 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:43:40 iiripwpg 59/96



デート当日 AM10:00

タタッ
「10時!ギリギリ間にあっ!」

「お早う、幼」

「お、お早う、男!早いね、えへへ」

「待ち合わせの時間まで、まだ1時間もあるのに…」

「ちょっとな」

61 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:44:50 iiripwpg 60/96

チャーリー「こちらチャーリー、ターゲットを確認」

ブラボー「ブラボー、アルファとターゲットの接触を視認」

アルファ「こ、こちらアルファ、ターゲットが先に来てました」ボソボソ

アルファ「どうしよう!緊張で鼻から心臓出ちゃいそうです」ボソボソ

ブラボー「アルファ、落ち着いて!一旦深呼吸!」

アルファ「すーーーーー、はーーーーー」

チャーリー「それじゃ、ミッションスタート!」

62 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:45:55 iiripwpg 61/96

「幼」

「な、何?」

「幼に言っておきたい事があるんだけど、聞いてくれるか?」

「え?う、うん、なに?」

「俺、幼の事が昔から大好きだ!ちゃんと付き合いたい!」

「俺の…彼女になって下さいっ!」
ペコッ

「えっ?えっ!?」

「返事、今聞いても良いか?」

「わ、私も…私も男の事、昔から大好きだよ!」

「私で良ければ…お付き合いして下さい!」

63 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:47:07 iiripwpg 62/96

看板の裏に隠れていた友「…」スタスタ

植え込みの影に隠れていた幼友「…」ガサガサ


「ん?お前ら…どうした、その顔は…なに?怒ってんの?」

友・幼友「作戦意味ねぇーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

「はっ!?えっ!?」

友・幼友「リア充、爆発しろっ!」



デート当日 AM10:10

公園でヤンキーとして男に絡む予定だった友の従兄「は?もう良いってどう言う事だ、友!おい!もしもし?…切られた…」

友の従兄「…何か、もう帰って良いってさ」

公園でヤンキーとして男に絡む予定だった友の従兄の友達「はぁ?じゃあ俺ら、何の為に休日の朝っぱらから、昔のガクラン着て公園でブランコに乗ってんだよ!」

64 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:49:07 iiripwpg 63/96

一旦おわり
別目線のおまけあり

65 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:50:07 iiripwpg 64/96

ある日の放課後

「はぁ…」

イケメン「どうしたんだい、男君。溜息なんかついちゃって」

「おぉ、イケメンか…今日もイケメンだな、お前は」

イケメン「本当に元気が無いね」

「そうかぁ?俺はいつもこんなモンだろ…」

イケメン「似合わないよ、溜息ついて悩み事なんて」

イケメン「いつも無駄にポジティブな君にはさ」

66 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:50:57 iiripwpg 65/96

「…俺だって、時には悩んだりするさ」

「健全な男子高校生としてなー」

イケメン「……LOVEかい?」

「ははっ…エスパーかよ」

イケメン「僕で良ければ相談に乗るけど?」

「…」

イケメン「恋愛事なら、友君には相談出来ないだろうしね?」

「む…」

67 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:51:50 iiripwpg 66/96

イケメン「あのうっかり君は、どこで口を滑らせるか解らないもんね?」

イケメン「ま、そこが彼の魅力でもあるんだけど」

「お前は本当に凄い奴だなー」

「男女分け隔て無く優しいし」

「顔は格好良いし」

「家は金持ちだし」

「人生勝ち組的な、アレだよな…はぁ…」

イケメン「重症みたいだね」

68 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:52:38 iiripwpg 67/96

「んぁー!ごめん!今の忘れてくれ!変な事言ってすまんかった!」

イケメン「いいさ、気にしてないよ」

イケメン「で、恋の悩みを聞こうか?」

「んー、恋って言うか…なんて言うか…」

イケメン「最近君と幼さんがあまり話しをしてない事に関係ある?」

「…何なん?イケメン君はマジでエスパーなん?」

イケメン(クラスの全員が気付いてると思うけど)

69 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:53:13 iiripwpg 68/96

「まぁ、お前程の恋愛上級者になれば気付いたりもするのかー」

「実は最近、幼の様子がおかしいんだ」

イケメン「おかしい?具体的にはどんな所が?」

「まず、俺と話す時、顔を見なくなった」

「て言うか、そもそも会話自体が減った」

「昼飯を一緒に食べようと言わなくなった」

イケメン「…」

70 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:53:52 iiripwpg 69/96

「あと、俺の部屋に押しかけて来なくなった」

イケメン「…」

「あとは…そうだなぁ…急に弁当のおかずが美味しくなったかな」

イケメン「それは良い事じゃないかな?」

「いや…何か急に変わっちまって…」

「寂しい?いや、違うか…」

「んー…、何て言って良いのかわからねーんだよ」

71 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:54:30 iiripwpg 70/96

「それで何かモヤモヤしててさ」

イケメン「いやだからそれが恋だろう?」

「恋かなぁ?」

イケメン「と言うか、君達は正式にお付き合いをしていないのかい?」

「俺は…幼の事、好きだけど…幼がどう思っているか…」

「最近会話が激減したのは、俺の事鬱陶しいと思ってるからじゃないか?と思うと…」

「はぁ…溜息も出るってももんさ…」

イケメン「これは良い機会じゃないかな」

イケメン「幼さんとの交際について、真剣に考えてみると良いと思うよ?」

「交際かぁ…」

72 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:55:18 iiripwpg 71/96



その日の夜

ピリリリリリ ピリリリリリ
「ん?友からか…」
ピッ

「なんだー?」

『お、おう、起きてたか?』

「寝てたら電話取らねーよ」

73 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:56:17 iiripwpg 72/96

『起こしちまったかもしれねーだろ?』

「で?何の用だよ、こんな時間に」

『お、お前さぁ、最近なんかやりたい事とかねーの?』

「何だ、急に?」

『ほら、良い季節なんだし、海見に行きてー!とかさ』

『逆に山登りてー!とか?』

「どっちもパスだぜ」

『とにかく何か無いのかよ!健全な男子高校生として!』

74 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:56:52 iiripwpg 73/96

「そうだなー…あ、そうだ」

「強いて言うなら、映画観たいかな」

『映画?』

「あのスパイ映画のさ、今やってるじゃん」

「俺、あのシリーズ好きでさ」

『そ、そうか。映画か。良いかもな、映画』

「土曜日暇だし…一緒に行くか?」

『お、俺は用事があるから行けないな』

『と、取り敢えず、もう夜も遅いし、寝る!お休みベイベー!』
プツッ…ツーッ…ツーッ

「何なんだよ、あいつ…でも映画…マジで見に行こうかな」

75 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:57:30 iiripwpg 74/96



数日後の朝

「んぁ…、眠いなぁ」

「明日から連休なんだから元気出せよ!」

「何か良い事あるかもよ?」

「良い事なぁ…あると良いなぁ」
パカッ

「…」

76 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:58:05 iiripwpg 75/96

「お?おおぉっ?おおお前それって、アレじゃねーの?」

「ラブレターっぽく見えるな…」

「不幸の手紙か…誰かの罰ゲームなのか…」

「…なぁ、なんでお前最近ネガティブなの?」

「悩みがある時は気分も後ろ向きなんだよ…」
ガサガサ
ペリペリ

「ちょ、ちょっと待て!今ここで読むつもりかよ!」

77 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:58:55 iiripwpg 76/96

「うん。だって気になるだろ?」

「お前デリカシーゼロか!」

「お前にデリカシーの話しとかされると傷つくなぁ」

「家に持って帰って一人で読めよ!」

「でも、『今日の放課後、体育館裏にて待つ!』とか書いてあったらどうすんだよ」

「そんな事は無いから家で読め!」

「さっさとカバンにしまえ!」

「はぁ?…まぁ良いけど」

「さ、教室行こうぜ!」

78 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 07:59:35 iiripwpg 77/96



昼休み

「男、はいこれ、お弁当」

「お、いつもありがとうな」

「べ、別に気にしないで。それじゃ」
スタスタ

(…ホント、最近一緒に食べようって言わなくなったなぁ)

(俺、何かしたかなぁ…)

「おう、昼飯一緒に食おうぜ」

「おう」

79 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:01:00 iiripwpg 78/96

「幼ちゃんのお弁当、相変わらず美味しそうだな?」

「あぁ、最近何だかやたらと気合入ってるんだよな」

(そりゃそうだろうよ)

「…」モグモグ

「…」モグモグ

「友、何か面白い話しして」モグモグ

「おい、無茶ぶりすんな」モグモグ

80 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:01:35 iiripwpg 79/96

「まぁいつも面白い事がある訳じゃないもんな」モグモグ

「そうだな。むしろ退屈な日常の方が多い」モグモグ

「あ!そうか、今日はちょっと非日常的な事があったじゃんか」

「!」

「あの手紙読んでみるかな…」
ガサゴソ

「おい!朝も言ったけどよ」

「ん?」

81 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:02:06 iiripwpg 80/96

「家に帰ってから読めよ!アホか?」

「アホって言うな」

「良いから!学校で読むなよ!」

「ひょっとしてこれ、お前がやったのか?」

「その答え合わせは家でやれよ、家で!」

「…まぁ、そこまで言うなら家で読むよ」

「忘れずに読めよ?」

「家に帰ったらすぐに読め!」

(こんなに必死って事は…どうやらこいつの悪戯みたいだな)

(ま、家で読めば良いか)

82 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:02:41 iiripwpg 81/96



夕方 男の家

「さて…と…あの手紙読んでみるかね」
ガサガサ

「どうせ友の悪戯だろうけど…」


『男君へ』

『突然こんな手紙を受け取ったら驚いてしまうでしょう』

『最近の私は、貴方の事を想うと、胸が苦しくなってしまいます』

『もし良かったら、明日の11時に駅前の時計下に来て下さい』

『来るのを待ってます』

『よろしくお願いします』

83 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:03:27 iiripwpg 82/96

「…友の悪戯じゃ無いな」

「この字、幼の字だもんな…」

「…用事があるなら、直接言えば良いのに」

「あえて手紙での呼び出し…これは…」

「果たし状?」

「違うか…」

「…イケメンに相談してみるか」

84 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:04:42 iiripwpg 83/96



イケメン『それは君…デートのお誘いじゃないのかい?』

「はぁ?デート?」

イケメン『その文面から察するにね』

「デートなぁ…」

イケメン『先日も言っただろう?幼さんとの交際、考えてみたらどうかな?』

「交際…なぁ」

85 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:05:16 iiripwpg 84/96

イケメン『君は幼さんの事が好きなんだろう?』

「そうなんだけどさ…」

「まぁ、ずっと一緒に居て疲れないし」

「昔から知ってるから、気兼ねし無いし」

イケメン『ならお付き合いしても何の問題も無いのでは?』

「んー」

イケメン『取り敢えず、明日11時に駅前に行ってみては?』

「そうだな…そうするよ」

86 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:06:00 iiripwpg 85/96

イケメン『最後に一つアドバイス』

「ん?」

イケメン『恋は先手必勝だよ』

「お、おぅ…」

イケメン『それじゃ、健闘を祈ってるよ』
プツッ…ツーッ…ツーッ

「デート…」

「先手必勝…」

87 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:06:43 iiripwpg 86/96



デート前日 PM09:00

「着ていく服は…いつものじゃちょっとアレだから」

「この前、幼に選んでもらった奴、着ちゃうかな」

「…何か緊張するな」

「絶体に寝過ごせないから、今日はもう寝るか!」
ゴソゴソ
ピッ

「明日は…頑張るぞ!先手必勝!先手必勝だ!」

88 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:07:36 iiripwpg 87/96



デート当日 AM06:00

「…」

「結局一睡も出来んかった…」

「今から寝たら間違いなく寝過ごすな」

「もう起きちまおう!」

「まずは朝風呂だ!」

89 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:08:20 iiripwpg 88/96



デート当日 AM07:35

「ちょっと早いけど…もう待ち合わせ場所に行こう!」

「幼の事だから、きっと俺より早く来て、待とうとするはず…」

「先手必勝!俺が先制する!」

「やるぞやるぞー!」

男母「あんたこんな朝っぱらから、どこ行くの?」

「戦ってくる!自分自身と!」

男母「は?」

「戦果に期待しててくれよ!」
タタタッ

男母「勉強のしすぎで疲れてるのかしら…」

90 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:08:56 iiripwpg 89/96



デート当日 AM07:43

「はぁ…はぁ…。は、走る必要は…無かったかな…」

「まぁ良いか…どうやらさすがに幼の姿は見られないしな」

「幼が来たら何て言おうか…」

「……」

「…先手必勝」

「そうだよな!幼が何か言う前に、告白しちまえば…」

「当たって弾けろだ!」

「やってやる!やってやるぞ!」

91 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:09:40 iiripwpg 90/96



デート当日 AM09:58

(あっ!来た!あれ、幼だ!)

(いつもの服じゃない…ちょっと大人っぽいな…)

(て言うか、めっちゃ可愛いな!)

(この呼び出しの目的がまだ不明だけど…)

(先手必勝!!)

「お早う、幼」

「お、お早う、男!早いね、えへへ」

「待ち合わせの時間まで、まだ1時間もあるのに…」

「ちょっとな…」

92 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:11:56 iiripwpg 91/96




デート当日 PM12:30
ファミレスにて

「お前らも関わってたとはな」

「でか、作戦って…面白がりやがって…」

幼友「えへへー、ごめんね」

「でもまあ、作戦は成功だろ?2人付き合う事になったんだからさ」

男・幼「う…まぁ…」

93 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:12:33 iiripwpg 92/96

「それじゃ、腹も膨れた事だし、お邪魔虫は退散しますかね」

幼友「そうね、あんたにしては名案ね」

「初デートを満喫してこい!」

「お、おう」

幼友「頑張ってね、幼!」

「う、うん」

幼友・友「じゃーね!」
スタスタ

94 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:14:15 iiripwpg 93/96

「……行っちゃったな」

「そうだね」

「……お、俺達、相思相愛だったんだな」

「そ、そうなるね」

「さっきも言ったけどさ」

「ん?」

95 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:15:25 iiripwpg 94/96

「俺、幼の事、好きだから!」

「わ、私も大好きだよ!」

「これからも、よろしくな!」

「うんっ!こっちこそ!」

「付き合った記念に手でも繋いでみるか!」

「う、うん、そうだねっ!」
ギュッ

「それじゃ、行くかっ!」

「うんっ!」

96 : ◆L0dG93FE2w[] - 2013/08/20 08:16:00 iiripwpg 95/96

幼友「…青春してますなぁ」

「おい、マジで後つけるのかよ?」

幼友「幼はテンパって、ヘッドセットの電源切ってないし、外してない」

幼友「声はばっちり聞こえるし、2人がどうなるか気にならないの?」

「そりゃ気になるけどよ」

幼友「作戦は継続!2人で2人の後つけるよ!」

(結局一番ノリノリなのは幼友じゃんか…)

幼友「何か言った?早く来ないと置いてくよ!」

「へいへい…」

(俺の『幼友に愛の告白大作戦』はいつになる事やら…)

(でもま、今が楽しければ良いか!)

「ちょっと待てよ、幼友!マジで置いて行こうとするな!」


おわり

97 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/08/20 08:17:59 iiripwpg 96/96

これで終わりです
途中レスくれてありがとうございます
朝っぱらから久々に投下してみました
読んでくれた人が居たら嬉しいです

いつか
幼馴染「ミッションポッシブル2!」 幼友「また?」
ってタイトルで続き書きたいなと思ってます

次スレは「はたおりおさななじみ」ってタイトルで立てると思います

では。

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