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一方通行「なンでも屋さンでェす」
【前編】
【後編】
(窒素通行)
一方通行「コーヒー屋さンでェす」
(ですの通行)
一方通行「占い屋さンでェす」
(原子通行)
一方通行「ほぐし屋さンでェす」
(番外通行)
一方通行「お食事屋さンでェす」
【前編】
【後編】
(オルソラ通行)
なンでも屋さン(窒素通行)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1293/12930/1293027427.html
コーヒー屋さン(ですの通行)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1294/12942/1294233313.html
占い屋さン(原子通行)
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1294/12946/1294626288.html
ほぐし屋さン(番外通行)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1295/12957/1295789505.html
お食事屋さン(オルソラ通行)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1296/12968/1296827286.html
こんにちは
「またお前か」と言われそうですが、また来ました
今回は座標通行で寺子屋さンです
相変わらずシリアス要素はありませんのであしからず
元スレ
一方通行「寺子屋さンでェす」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298611920/
注意
・原作との矛盾点はSSの設定として許容して下さい
・キャラ崩壊注意
・グダグダ、ゆるゆるが苦手な方は戻る事をおススメします
・あわきんがいる為、黒子成分が不足している事を予めご了承下さい
以下投下
一方通行「ちっ、くっだらねェ」ガシガシ
土御門「よし結標、後は頼んだぞ」
結標「はいはい」
男「み、見逃してくれ……頼む!」
結標「悪いわね、そうもいかないのよ」
男「許してくれ!この通りだ!!」
結標「ま、運が悪かったと思って諦めるのね」
海原「お疲れ様です」
土御門「さすがだな」
結標「別に、嬉しくないわよ」トスッ
一方通行「……さっさと帰るぞ」
グループの隠れ家――
土御門「よし、今日の仕事はこれで終わりだ」
一方通行「最近くだらねェ仕事ばっかりじゃねェか」
結標「暗部なんだから仕方ないじゃない」
土御門「ああ、俺達はやるしかないんだ」
一方通行「……けっ」ゴロン
海原「次の仕事はいつですか?」
土御門「まだ決まってないにゃー」
結標「また電話で連絡でしょ?」
土御門「ああ、だから電源は入れておけ」
海原「了解しました」
一方通行「ふァ……」ネムイ
一方通行「……」zzz
結標「ちょっと、起きなさいよ」ユサユサ
一方通行「……あァ?結標か」
結標「もうみんな帰ったわよ」
一方通行「はァ?いつの間に」
結標「あなたが寝てる間に」
一方通行「ンだよ、随分忙しねェ奴らだな」
結標「2人とも用事があるんだって」
一方通行「用事ィ?」
結標「土御門は義妹、海原は超電磁砲のおっかけよ」
一方通行「精が出ますねェ」ゴロン
結標「あなたは帰らないの?」
一方通行「めンどくせェからもうちょっとダラけてく」ゴロゴロ
結標「……あっそ」
一方通行「オマエは帰らねェのか?」
結標「んー、ちょっと雑誌読んでからね」
一方通行「……寂しい奴ゥ」
結標「え、何いきなり?なんでバカにしたの?」
一方通行「仕事終わったってのに……雑誌て」
結標「ダラけてるアナタに言われたくないんだけど?」
一方通行「俺の生きがいはダラダラする事だしィ」
結標「……なにこの第一位」
一方通行「あのバカ2人とまではいかなくてもよォ、なンかねェの?」
結標「だって、学校っていってもなんだか今更だし……」
結標「海原みたいにお熱心になれる人もいないし……」
一方通行「完全に暇人じゃねェか」
結標「そう言われれば……」ハッ
一方通行「年頃の女が日中引き篭もって雑誌て」ゴロンゴロン
結標「いやそれでもアナタに言われたくない!」ブンブンッ
一方通行「まァよ、趣味ねェの?」
結標「趣味、ねぇ」
一方通行「なンかやりがいある事見つけた方がいいンじゃねェ?」
結標「やりがいって言われても……」
一方通行「じゃねェと暗部の仕事やる気起きねェだろ」
結標「……やる気の問題じゃないわよ」
一方通行「あン?」
結標「やらなきゃならないの、何があっても」
一方通行「ふゥン」ゴロゴロ
結標「あなただって8兆円も借金あるじゃない」
一方通行「自己破産すればよくねェ?」
結標「ダメよ、なんか生々しいもの」
一方通行「……グループが解散する時は」
結標「……全てが解決する時ね、私たちの抱える問題が」
一方通行「暗ェ」
結標「え?」
一方通行「顔が暗ェっつってンだよ」
結標「明るくなんてできないわよ」
一方通行「全部解決したとしても、そンな顔で兄妹達を迎えに行くのか?」
結標「……」
一方通行「あのなァ、そういうのは自然と染み付くもンなンだよ」グデー
結標「……しょうがないじゃない」
一方通行「だから尚更趣味でも見つけて、気ィ晴らせばいいだろォが」
結標「だって……特にやりたい事もないもの」
一方通行「そォだな……なンか店開くとか」ダラーン
結標「お店?」
一方通行「おォ、表は店主、裏は暗部……中々ロックじゃねェか」
結標「まぁ確かに……でもなんのお店?」
一方通行「オマエどンなのやりてェンだ?」
結標「お店を開くとしたらって事?」
一方通行「おォ」
結標「そうね……」ウーン
結標「…………おもちゃ屋さんとか?」
一方通行「ダメだ」ウン
結標「えっ」
一方通行「いやダメっつーか……絶対にダメだ」ウン
結標「え、なんで!?なんでそんなすごいダメなの!?」
一方通行「オマエの事だからきっと子供狙いだろォが」
結標「ぎくっ」
一方通行「そンで来店した子供に大人のおもちゃの使い方を教えンだろ?」
結標「するか!!!」
一方通行「子供の身の安全を考慮し却下ァ」
一方通行「他ァ」
結標「そうね……紙芝居屋さんとか、駄菓子屋さんとかも面白そうだけど」
一方通行「ダメ、ゼッタイ」
結標「どうして?私紙芝居とか駄菓子好きなのよ」
一方通行「それも子供が来ンだろォが」
結標「それはしょうがないじゃない」
一方通行「例えば紙芝居屋さンの場合、だ」
結標「なによ」
一方通行「どォせ紙芝居はオマエの手書きだろォ?」
結標「まぁそりゃそうよね」
一方通行「はいアウトォー」
結標「え、なんで?」
一方通行「オマエの事だから、『隣のお姉さんは×××』とか」ウン
一方通行「なンつーかそォいう……18禁な内容書きそうだからダメだァ」
結標「そんなわけないでしょうが!!」
一方通行「そして駄菓子屋さン、これもダメだ」
結標「どうしてよ」
一方通行「オマエの事だから、子供の目の前でふ菓子をエロティカルに食べるだろォが」
結標「ふ菓子のエロティカルな食べ方って何!?すぐふやけるじゃない!」
一方通行「あと10円ヨーグルトを1万円分買って身体に塗りたくって迫ったり」
結標「」
一方通行「チューチューゼリーをいかがわしい使い方したり」
結標「」
一方通行「ミニ四駆クジを餌に自宅に連れ込もうとしたりするからダメですゥ」
結標「するかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
一方通行「うるせェな、大声出すンじゃねェよ」
結標「……アナタの中で私はどんな人物設定されてるの?」
一方通行「歪みねェショタコン」ハイ
結標「」
結標「私はショタコンじゃないもん」ズーン
一方通行「あァ?」
結標「ただ小さい子は素直で可愛いなって思うだけだもん」イジイジ
一方通行「同じじゃねェか」
結標「別に私は性的な目で見てないもん!」
一方通行「なンつー事を熱弁してやがりますかァ」ゴロゴロ
結標「誰のせいよ、誰の!」
結標「だいたいあなただってロリコンじゃない」
一方通行「じゃない」
結標「打ち止めだっけ?あんなにベタベタしてるじゃないの」
一方通行「アレはアレだ……アレ」
結標「……どれ」
一方通行「あーと……うン」
結標「?」
一方通行「アレ」ウン
結標「だからどれよ!」
一方通行「打ち止めは家族みてェなもンだしなァ」
結標「そうなの?」
一方通行「っつゥわけで、他だな」
結標「……思いつかないわよ」
一方通行「まァいいや、とりあえず今日は帰るかなァ」
結標「え、本当に何かお店開くの?」
一方通行「ちゃンとやりてェ事考えとけよ?」
結標「……もうなんでもいいわよ」
一方通行「……」ウーン
一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ
結標「わわっ……な、なにするのよ」
一方通行「他に面白ェ事見つけて、暗部以外の生活もエンジョイすンぞ」
結標「……うん、わかったわ」
一方通行「お疲れっしたァ」ペコリ
結標「……さよなら」
結標「暗部以外での生活のエンジョイ、かぁ」
結標「考えた事もなかったなー」
結標「……」スタスタ
結標「別に不満があるってわけじゃないんだけどさ」
一方通行『年頃の女が日中引き篭もって雑誌て』
結標「……」
結標「……」イラッ
結標「ムカつくわね、あの顔……」ブツブツ
結標「まぁでも……」
結標「皆を迎えに行く時、私が暗い顔してちゃダメ、だよね……」
結標「それにアイツが協力してくれるのは珍しい事だしね、うん」ウン
数日後――――――。
結標(お店かぁ……)
結標(何ができるんだろ、私に)
土御門「結標!ボーっとしてる場合じゃないぞ!!」
結標「え?あ、ああ、ゴメン!」
土御門「……何があったか聞くつもりはないが、作戦に私情を持ち込むな」
土御門「いいか、暗部としての行動に支障をきたすようなら……迷わず切るぞ」
結標「……」
土御門「お前もわかっているはずだ、俺達は馴れ合いの為に集まっているじゃない」
結標「……わかってるわよ」
土御門「やれやれ……ならいいがな」
海原「結標さん、どうしたんですかね」ヒソヒソ
一方通行「……さァな」ゴローン
結標(……一方通行がお店なんて言うから)
結標(アイツのせいで、変に気が逸れちゃうじゃないの)
土御門「よし、じゃまた仕事が入ったら連絡する」
結標「お疲れさま……」スタスタ
海原「結標さん、終始様子がおかしかったですね」
土御門「ああ、集中力がないというか……何か知らないか?」
海原「いえ、自分は何も聞いてませんね」
土御門「一方通行は?」
一方通行「……」
一方通行「知らねェな」ゴローン
土御門「……そうか」
一方通行「俺は知らねェ!」
土御門「いやわかったぜよ」
一方通行「……」
土御門「……」
一方通行「知r」
土御門「いやわかったって言ってるぜよ!!」
数日後――――――。
上条「んー、よく寝た」
インデックス「とうまー……お腹すいたんだよ」
上条「おう、おはようインデックス」
インデックス「ん、おはよう……」コシコシ
上条「すぐ作るから待っててな」
インデックス「うん、ありがとうなんだよ……」ネムイ
上条「さーて、今日の天気はいかがでしょ」
シャッ
一方通行「……」zzz
上条「」
上条「……えっ」
インデックス「とうま?どうかしたの?」
シャッ
上条「はっはは……まだ寝ぼけてるみたいだな、俺」
上条「……」
シャッ
一方通行「……」zzz
インデックス「あくせられーた?え、どうして?」
上条「な、なんでコイツがベランダに引っかかってんだ?」
インデックス「と、とりあえず起こすんだよ!」
上条「そ、そうだな……おい一方通行!」
一方通行「……あン?」
上条「あのー、あなたはここで何をしてるんでしょうか?」
一方通行「……」
一方通行「……ン、ここどこだァ?」
上条「」
インデックス「あくせられーた、ここはとうまの家なんだよ」
一方通行「あァ?いつかのシスターじゃねェか……あの時は世話になったなァ」ペコ
インデックス「え?ああ、うん、こちらこそ?」ペコ
上条「で、どうしてお前があんな事になってたんだ?」
一方通行「昨日コーヒー買いに行ったンだよ」ゴロンゴロン
上条「うん」
一方通行「で、帰りにめンどくせェからビルの上を跳んでたンだよ」ウン
上条「ほう」
一方通行「だけど途中でバッテリーの残量やべェ事に気づいてなァ」
一方通行「跳んでる最中にスイッチ切っちまったら、落ちた」
インデックス「……どうして着地してから切らなかったの?」
一方通行「な、俺もびっくりだぜェ」グデー
上条「なるほどな……それがベランダに干されてた理由ですか」
一方通行「おォ」
上条「というかお前が能力不可状態でよく無事だったな」
一方通行「それはアレだ、お約束だ」ウン
上条「……そうなのか」
インデックス「とうま!早くしないと遅刻するんだよ!」
上条「うぉ!もうこんな時間か!」
上条「悪いインデックス!朝飯は食パンで我慢してくれ!」
インデックス「むー、わかったんだよ」
一方通行「学校ねェ……学生は大変だよなァ」ゴロン
上条「そういやお前は学校行ってないのか?」
一方通行「一応長点上機に籍だけある」
上条「さすが……第一位はレベルが違うな」
一方通行「俺くれェになると教える立場だからな」フフン
上条「まぁそうなるな、なんせ学園都市最高の頭脳を持つ男だし」
一方通行「!」ピコーン
インデックス「?」
一方通行「それだ、教える側だ」
上条「はい?」
一方通行「そうと決まれば用はねェ、じゃあなァ」ペコリ
インデックス「とうまも遅刻しちゃうよ?」
上条「あぁぁぁぁぁぁよくわかんねぇけど遅刻しそうだからいいや!!」ダダッ
バターンッ!
結標「早いわね、まだ二人来てないわよ」
結標「まぁミーティングだけだから来なくてもよかったんだけど」
一方通行「おォ、こないだの話覚えてるかァ?」
結標「お店の話?私なりに考えてたわ」フフン
一方通行「それが集中力なかった理由でいいンだなァ?」
結標「う……だって……」
一方通行「まァいいや、考えてたの言ってみろ」
結標「暗部の特性を活かした「探偵事務所」とか」
一方通行「うン」
結標「私の能力を使った「引越し屋さん」とか」
一方通行「ダメだ、却下」
結標「なんで?割りといいと思うんだけど」
一方通行「俺が閃いたからですゥ」
結標「理不尽!理不尽よ!」
結標「もっと他にも考えてたのに……」
一方通行「例えばァ?」
結標「お花屋さんとかぬいぐるみ屋さんとか」
一方通行「黙れメルヘン野郎」
結標「……手厳しいってレベルじゃないわよ」
一方通行「俺のアイディアの方がすげェ」
結標「すごい?」
一方通行「おォ、俺のアイディアの通った後には草木も生えねェ」フフン
結標「いやそれダメじゃない」
一方通行「つーわけで、オマエの意見は不採用」
結標「えー……なら私に聞いた意味ないじゃない」
一方通行「まァいいじゃねェか」
結標「で、なんのお店?」
一方通行「寺子屋さン」
結標「は?」
結標「寺子屋?」
一方通行「おォ、俺学校行ってねェし」
結標「え、どういう理屈?」
一方通行「だからよォ、俺は学園都市のレベル5、第一位です」ハイ
結標「うん」
一方通行「学校も最高峰、長点上機に在籍してます」ハイ
結標「そうね」
一方通行「そンな俺は既に教える側の立場だろォが」
結標「いやその理屈はおかしいわよ」
一方通行「なンで」
結標「だいたいアナタ教員免許持ってないじゃない」
一方通行「おォ」
結標「なにシレっとしてんのよ!無理じゃないの!!」
一方通行「あのなァ、寺子屋さンっつっても学校じゃねェンだよ」
結標「え?どういう事?」
一方通行「中身は塾みてェなもンだ」
結標「塾?」
一方通行「普通の勉強から料理教室、能力開発教室などなど」
結標「……つまり?」
一方通行「なンでもアカデミー、寺子屋さン」
結標「な、なんでもアカデミー?」
一方通行「まァ俺クラスになるとなンでも教えられるからなァ」
結標「それはそうかもしれないけど……」
一方通行「中々やりがいがありそォだろ?」
結標「……うーん?」
一方通行「ユーキャンなンて目じゃねェぜ」フフン
結標「え、ライバルがそれなの?」
一方通行「思い立ったら即行動」ガシッ
結標「へっ?」
一方通行「行くぞ結標ェ」
ダンッ!
結標「わわ、ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ガチャ、バタン……
土御門「2人ともまだ来てないみたいだにゃー」
海原「おや、書き置きがありますよ?」
土御門「どっか出掛けたのか?どれどれ」
【ちょっと寺子屋さン開いてくるから結標借りてく。あと海原はコーヒー買っとけ】
土御門「」
海原「」
結標「ぁぅ……酔った」ゲロゲロー
一方通行「よし、まずは建物から」
トーンテーンカーンカーン
一方通行「一方通行と!」
結標「あわきんの!」
座標通行「寺子屋さン、完成!!!」ババーン
結標「う、叫んだら吐き気が……」
一方通行「大丈夫かよ、あわきン」
結標「あ、あわきん言うな!」
一方通行「オマエが自分で言ったンだろォが」
結標「言わなきゃダメな気がしたの!」
結標「ところで、具体的にはどういう感じにするの?」
一方通行「こンな感じ」ピロッ
【寺子屋さン】
・なンでも教えます
・勉強、料理、射撃、能力開発、ショタコンの治し方などなど
・学園都市最高の頭脳の第一位が教えます
・カリキュラムによって料金が変わります
結標「ちょっと待て!」
一方通行「あン?」
結標「ここ!『ショタコンの治し方』ってなによ!」
一方通行「うるせェなァ……ちょっとした茶目っ気だろォが」ゴロン
結標「第一位が茶目っ気とか出すな!」
一方通行「うるせェピンク色のあわきン」
結標「な、なんかやめてよその言い方!!」
一方通行「っつゥわけで、オマエは俺のアシスタントなァ」
結標「どうして私が……」
一方通行「いいじゃねェか、これで暇を持て余す事もなくなるぜ」
結標「それは……まぁ」
一方通行「とりあえずはやってみよォじゃねェか」ウン
結標「……うん、わかったわ」
一方通行「よし、さっそく開店するぞ」
【教え中】パタン
一方通行「寺子屋さン、開店でェす」
結標「おー」オー
一方通行「まァいきなり受講生が来るわけはねェ」
結標「まぁ当然ね」
一方通行「という訳で、最初はビラ配りから」
結標「至って普通の方法ね」
一方通行「じゃこの『寺子BOX』から一枚引け」
結標「え、なに寺子BOXって?」
一方通行「早くしろ」
結標「はいはい」
ヌチャッ
結標「ひょわぁぁぁぁぁぁ!?」ガバッ
一方通行「どうしたァ?」
結標「な、なんかヌチョッとしたわよ!何入ってるの!?」
一方通行「あ、悪ィ、これ『寺子BOX』じゃなくて『タラコBOX』だった」
結標「絶対わざとじゃない!っていうか『タラコBOXって何!?」
一方通行「こっちが本物の寺子BOXでェす」
結標「……怖いからヤ」フィ
一方通行「……」ヒョイ
結標「うわっ!?お、降ろしなさい!」ジタジタ
一方通行「ほォ、あわきンの体重は[ピーーーー]kgか」ウン
結標「」
一方通行「土御門に報告しなきゃ」
結標「引く!引くから!!」ザバババ
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /
/ /
/ 常盤台中学 /
/ /
/ ____ /
/ /
/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
結標「え、どういう事?」
結標「ねぇ、これどういう意味なの?」
一方通行「なンて書いてある?」
結標「……『常盤台中学』って書いてるけど」
一方通行「よし、じゃ早速行くぞ」
結標「何?なんで?」
一方通行「え?」
結標「え?」
一方通行「その寺子ボックスから引いたカードに書いてある学校に宣伝に行くンだろォが」
結標「最初からそう言いなさいよ!」
一方通行「うるせェあわきン」
結標「あわきん言うな!!」バタバタ
一方通行「行くぞオラ」
結標「ああもう、わかったわよ」テテッ
常盤台中学――――――。
結標「それで、なにをすればいいの?」
一方通行「とりあえずこの寺子屋さンのパンフを貼り付けろ」
結標「勝手に貼っていいの?」
一方通行「いいンじゃねェ?予備校の案内と一緒だァ」
結標「……違うと思うけど」ペタペタ
1時間後――――――。
結標「これでいい?」
一方通行「おォ」
結標「じゃここはもう終わりね」
一方通行「……まだだ」
結標「え?」
結標「なんか嫌な予感しかしないんだけど……」
一方通行「適当なクラスに飛び込ンで、直接ビラを配る」
結標「」
結標「それはマズイわよ!」
一方通行「なンで」
結標「ここには御坂美琴とかもいるのよ!?」
一方通行「で?」
結標「それに、もしかしたら心理掌握とも会うかもしれないわよ」
一方通行「知らねェ、俺の方が強ェ」フフン
結標「ダメだこの人、ダメだ」
一方通行「とにかく行くぞ」
結標「ちょ、ちょっと!!」
ガラララッ!
一方通行「寺子屋さンですけどォ!!」ババーン
結標「ちょ、ちょっと……」
先生「」
<ざわざわ……
<え、誰?
先生「え、なんですかアナタ達は?」
結標「え、あ……あははー」
一方通行「なンでも教える寺子屋さンでェす」
先生「寺子屋、さん?」
結標「ああすいません、塾みたいなものです」
一方通行「それの宣伝に来た」
先生「え、あ……とりあえず今は授業中なので……」
<あーーーーーー!!
一方通行「あァ?」
黒子「アナタ!結標淡希ですわね!?」
結標「あっ!あの時の……!」
一方通行「ンだよ、知り合いかァ?」
結標「残骸回収の時にちょっとね……」
一方通行「おォ、俺の黄金の右が炸裂した時か」
結標「ええそうよ!あのせいでトラウマ増えたんだから!」
黒子「なんでアナタがここへ?まさかまた何か企んでますの?」
一方通行「なンだよこのうるさそォなガキはァ」
黒子「ガキ!?私をガキと!?」
先生「あ、あの……」
一方通行「キーキーうるせェな……子ザルかオマエ」ヤレヤレ
黒子「さ、サルとはなんですの!私は白井黒子ですの!」
結標「ちょっと、この子ジャッジメントなんだから面倒事になる前に帰りましょ」
一方通行「ジャッジメントだァ?この白黒ピンクがァ?」
黒子「色で人を呼ぶなですの!!」
一方通行「ですの!って……バカじゃねェ?」プススー
黒子「アナタは!初対面で!!なんなんですの!?」
一方通行「申し込み書でェす、寺子屋さンをよろしくゥ!!」
ビターーーーンッ!
黒子「へぶっ!?」
一方通行「よし、じゃ帰るかァ」ウン
結標「す、すいませんでしたー、あはは」
ガララ、ピシャンッ
先生「」
黒子「~~~っ!」ジンジンジン
一方通行「よっしゃ、次ィ」
結標「まだ行くの?」
一方通行「当たり前だろォが、たった一校だけで終わりと思うな」
結標「そりゃそうだけどさ」
一方通行「はい寺子BOXゥ」サッ
結標「もう……」
ムニュンッ
結標「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
一方通行「どォした?」
結標「な、なんかムニュッとしたんだけど!?」
一方通行「あ、悪ィ、これ『寺子BOX』じゃなくて『白子BOX』だったァ」
結標「また!?絶対わざとでしょ!」
結標「……もう引きたくない」
一方通行「土御門かァ?結標の体zy」
結標「引けばいいんでしょ引けばーーーー!!!」ザバババババ
一方通行「なにが出るかな、なにが出るかな」ワクワク
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /
/ /
/ とある高校 /
/ /
/ ____ /
/ /
/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一方通行「とある高校だなァ」スタスタ
結標「え、なに?とあるってどこ?」
一方通行「禁則時候でェす」
とある高校――――――。
青ピ「やっぱりこっちの子の方が好みやなー」
土御門「カミやんはどっちが好みかにゃー?」
上条「え?どれどれ……」
吹寄「貴様ら……また教室でそんなものを!」
青ピ「いいんちょ!?」
吹寄「今日という今日は覚悟しなs」
ガラララッ!
一方通行「寺子屋さンですの!」ハイ
結標「お、お邪魔しまーす」
吹寄「えっ」
上条「」
土御門「」
上条「一方通行!?」
土御門「お前ら何してるぜよ!!」
青ピ「え、2人とも知り合いなん?」
土御門「え、ああ、まぁ」
青ピ「あのお姉さん紹介してー」
一方通行「あァ、説明めンどくせェから黒板借りンぞ」
カッカッカッ
【寺子屋さン、なンでも教えます、能力開発もあるヨ☆】
一方通行「こンなもンだろ、帰るぞ結標ェ」スタスタ
結標「え?ちょ、ちょっと!?」テテッ
ガラララッ、ピシャンッ!
吹寄「」
上条「……一体なんだったんだ?」
土御門「……点と点が線になったにゃー」
それからしばらくしてーーーーーー。
結標「ねぇ、料理教室の希望者が来てるわよ」
一方通行「じゃ最初は料理教室だなァ」ゴロゴロ
結標「っていうかアナタ料理できるの?」
一方通行「なめンな、俺の料理の腕は海原を唸らせる程だぜェ?」フフン
結標(いやどっちの海原かによるけど……)
一方通行「まァ魚料理だしたら喜ンでたけどな」
結標「そっちか!大した事ない方の海原じゃない!」
一方通行「で、希望者は何人なンだ?」
結標「二人ね」
一方通行「あそォ」
結標「ここに通していいの?」
一方通行「おォ、連れて来い」グデー
一方通行「はい、講師の第一位、一方通行でェす」ハイ
婚后「だ、第一位様というのは本当でしたのね……」ゴクリ
麦野「……なんでアンタが」
一方通行「うるせェ、お互い様だろォが」
麦野「うぐっ……」
結標(あの人って確か……)
一方通行「はいとりあえず自己紹介からァ」グデーン
麦野「……麦野沈利、第四位よ」
婚后(第四位!?)
一方通行「オラ、次そこの扇子」
婚后(……多分私の事ですわね)
婚后「常盤台中学に通う婚后光子と申しますわ」ペコ
一方通行「ねみィ」ゴローン
麦野「……」
結標「なにこのラインナップ」
麦野「ふーん、あの第一位様が暇つぶしにね」
婚后「驚きで言葉が出ませんわ」
一方通行「出てるじゃねェか、この扇子が」
婚后「せ、扇子をあだ名にしないでくださいな!」
一方通行「そして原子崩し、オマエが料理を教えて欲しいとはねェ」ゴロゴロ
麦野「な、なによ!いいじゃない別に!」
一方通行「結標、オマエも参加な」
結標「え、どうして?」
一方通行「だってオマエ料理下手だろォが」
結標「ぐっ……」
一方通行「いや下手っつゥか……ド下手だろ」ウン
結標「わざわざ言い直さなくてもいいわよ!」
一方通行「つーわけで、今日は料理教室でェす」
麦野「……大丈夫かしら」
結標「なんで私が……」
婚后「……」ワクワク
一方通行「まずはオマエらの実力を確認してェ」
婚后「実力、ですか?」
一方通行「好きに作ってみろ、俺が評価してやるから」
麦野「え、料理教わりに来たんだけど」
一方通行「うるせェ、生徒の実力がどンなもンか把握しねェで指導できるか!」プンスカ
結標「……意外と真面目なのね」
一方通行「はい始めェー」ゴロン
麦野「はい、できたわ」
一方通行「よし、試食してやる」
麦野「マズイとか言ったらブチ殺すわよ」
一方通行「オマエは何しに来てンだ、教わる姿勢ってもンがあるだろォが」
麦野「う……そ、そうね」
一方通行「悪ィが俺はマングローブやデラックスよりも辛口だからなァ」
麦野「……心折れないかしら」
一方通行「……」モグモグ
麦野「ど、どう?」
一方通行「ほォ……なるほどなァ」モグモグ
結標(結構食べてるって事はそこまでマズくないのかしら?)
一方通行「おォ、わかった」
麦野「で、どうなのかにゃーん?」ドキドキ
一方通行「クッソまじィ」
麦野「」
一方通行「なンだこりゃ、家畜の餌じゃねェか」
麦野「」
一方通行「よくこンなので『マズイとか言ったらブチ殺すわよ』なンて言えたなァ」
一方通行「こンなもン食わせたオマエをブチ殺してェよ」
麦野「……」プルプル
一方通行「おととい来やがれ!!」プンスカ
麦野「」
一方通行「……」モグモグ
結標(ボロクソ言われたらどうしよう……)チラッ
一方通行「おォ、これは……!」モグモグ
結標「えっ?」
一方通行「意外と、うン……」モグモグ
結標「も、もしかして高評価?」
一方通行「……」カチャン
結標(完食したわ!これはいける!)
一方通行「結標ェ」
結標「ど、どう?」
一方通行「使った食材に土下座しろ、今すぐ」
結標「」
一方通行「ンだよこれ、これなら土食ってた方が100倍マシだなァ」
結標「」
一方通行「おととい来やがれ!」プンスカ
結標「」
一方通行「……」モグモグ
婚后「どうでしょう?」
一方通行「オマエッ……こりゃあッ……」モグモグ!!
婚后「おほほほ、そんなに美味しいですか?」
一方通行「味付け、食感、彩り……全部最高じゃねェか」
婚后「当然ですわ!この私が作っt」
一方通行「最っ高に普通ですねェ」モグモグ
婚后「」
一方通行「つまンねェ、マズくもなく美味くもない、つまンねェ料理だ」モグモグ
婚后「」
一方通行「この程度家庭科で習った小学生でもできるわ」
一方通行「おととい来やがれ!」プンスカ
婚后「」
一方通行「さて、これで料理の腕を把握した訳だが」
麦野「……」ズーン
結標「……」ブツブツ
婚后「……」ショボン
一方通行「ま、オマエらの実力が悲惨だって事がわかったァ」
麦野「悲惨ってなによ!」
結標「そ、そうよ!好き勝手言っちゃって!!」
一方通行「うるっせェ!塩の塊や卵の殻入れる奴は黙ってろ!!」プンスカ
麦野「ぐっ……」
結標「あぅ……」
婚后「でも私はそこまで酷かったとは思いませんわ!」
一方通行「つまンねェ料理作ってンじゃねェ変な髪型ァ!」プンスカ
婚后「へ、変な髪型とは何事ですか!」
一方通行「バイオのレオンが襟足だけ伸ばしたよォな髪型しやがって……」
婚后「誰ですかそれ!私知りません!!」
一方通行「とりあえずオマエらには基本からみっちり教えるからなァ」
麦野「何よ、偉そうに……」
一方通行「どォせ好きな男を料理得意アピールで落とそうとしてンだろォが」
麦野「……」ギクッ
結標「え、そうなの?」
麦野「ま、まぁ料理できるに越した事はないし?」
結標(……図星だったんだ)
一方通行「料理は愛情とはよく言ったもンだなァ」
麦野「そうよ!愛情が篭ってれば美味しいはずよ!」
結標「そうだそうだー!」
一方通行「オマエらの料理からは激情しか感じられねェ」
麦野「」
結標「」
一方通行「心に余裕のない料理……これが、ストレス大国日本の現状、かァ……」シンミリ
結標「なに遠い目でムカつく事語ってんのよ!!」
一方通行「俺の言う通りにやればちゃンと美味しい料理ができる」
婚后「……第一位様のお手並み拝見ですわ」
麦野「でもアンタに教えを請うのはなんだかなー……」
一方通行「先生だコラ!」プンスカ
麦野「うぐっ……せ、先生……」
一方通行「いいかァ、じゃ始めるぞォ」ダラーン
結標「ねぇ、せめて立ち上がってから言わないと」
一方通行「あン?」
一方通行「料理上手になりたいかァー!」
麦標子「おー!」
一方通行「よし、じゃあ始めるぞォ」
麦標子「お願いします!」
麦野「……痛っ!」
一方通行「バカ野郎ォ!押さえる手は猫さンっつっただろォが!!」
結標「んーと、これくらい?」
一方通行「初心者が目算してンじゃねェ!ちゃんと量りやがれ!」
婚后「これを少し煮込んで、と」
一方通行「普通すぎる」ウン
麦野「あ、あちちっ!」
一方通行「直で触るなボケ!火傷すンだろォが!!」
結標「う、うわ!焦げたぁぁぁぁ!!」
一方通行「火が強すぎンだろォが!弱くしやがれ!」
婚后「あとは盛り付け……こんなものかしら?」
一方通行「オマエは普通ゥ!!」
婚后「さっきから私だけ酷いですわ!!」
数時間後――――――。
一方通行「おォ、3人ともマシになったじゃねェか」モグモグ
結標「ほ、本当!?」
一方通行「いいかァ?基本的にレシピ通りに作れば失敗する事はねェンだ」
麦野「う、うん」
一方通行「とりあえずはレシピに忠実に、そして慌てない事を目標にやってけ」
婚后「はい!」
一方通行「あ、オマエは普通ゥ」
婚后「」
一方通行「よし、じゃまた来週な」
麦野「わかったわ、ありがとね」
婚后「……」ズーン
一方通行「疲れたァ」グデーン
結標「……オンオフの切り替えが凄まじいわね」
一方通行「とまァ、こンな感じでやって行くからなァ」
結標「そうね……なんだかやっていけそうな気がする」
一方通行「オマエも料理できるようになって一石二鳥じゃねェか」ウン
結標「まぁ、確かにね」
一方通行「というわけで、後片付けよろしくゥ」ゴロゴロ
結標「え、手伝ってよ!」
一方通行「レンジ爆発させたの誰」
結標「う」
一方通行「コンロ汚したの誰」
結標「ぐ」
一方通行「日本のGDPを世界第三位に転落させたの誰」
結標「それは私じゃないわよ!!」
一方通行「料理は後始末までが料理なンですゥ」
結標「……うぅ、わかったわよ」
一方通行「終わったら起こせ」ゴロン
結標「はぁ……まったく」
一方通行「……」zzz
浜面「……」テクテク
上条「あれ、浜面じゃないか?」
浜面「あ?偶然だな」
上条「どこか行くのか?」
浜面「いや、ブラブラしてるだけだ」
上条「ちょっと面白そうな所行かないか?」
浜面「なんだよ、面白そうな所って?」
上条「一方通行が寺子屋さん開いてんだよ」
浜面「一方通行って……あん時のアイツか」
上条「勉強とかも教えてくれるらしいからさ、ちょっと覗いてみようかなって」
浜面「勉強だ?俺には無縁だな」
上条「まぁそんな事言わずにさ、第一位が教えるんだから間違いないだろ」
浜面(スキルアウト出とはいえ……一般教養くらいあった方がいいのか?)
浜面「……わかった、見るだけな」
上条「よっし、早速行こうぜ!」
浜面「……ここか?」
上条「【寺子屋さン】……間違いないな」
浜面「ったく、ちょっと覗くだけだからな」
浜面「……」ソー
一方通行「……」ジー
浜面「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」ズザザー
上条「えっ!?」
一方通行「覗いてねェで入れ三下ども!!」グイッ
浜面「え、ちょっ!」
上条「うぉっ!?」
一方通行「ほォ、勉強を教えてもらいたいと」
上条「お、おう……」
一方通行「しょうがねェ、第一位が教えてやろォじゃねェか」フフン
浜面「どうしてこうなった……」
一方通行「あわきン、チョーク」
結標「あわきん言うな!」ハイ
浜面(エロっ!あの子の格好エロっ!)
一方通行「いいかァ?オマエらは言わばダメな子だァ」
浜面「ぐっ……」
上条「仰る通りでございます……」
一方通行「そンなオマエらでも学年トップを狙えるくらいまで育ててやる」ウン
浜面「あ、俺学校行ってねぇけど」
一方通行「うるっせェ!黙ってろ!」
浜面「……」シーン
一方通行「よし、じゃ授業始めるぞォ」
上条「え、いきなり始まるんですか!?」
一方通行「なに」
上条「普通こういうのってオリエンテーション的なアレから入るのでは?」
結標「ゴメンなさい、この人に常識は通用しないの」
上条「……そうだった」
一方通行「じゃ授業始めますよォ」グデー
浜面「勉強なんて何年ぶりだよ……」
一方通行「はいスイヘーリーベーボクノフネー、いい国作ろォ鎌倉幕府」
上条「えっ」
一方通行「春は曙、ポエニ戦争でハンニバルがヤバイ」
浜面「えっ」
一方通行「電子と陽子で三平方の定理」
上条「あ、え?」
浜面「先生」ハイ
一方通行「イノケンティウスはラテン王国、マリーアントワネットは悪い人」
浜面「せ、先生!」シュバッ
一方通行「質問は受けつけンぞォ」
浜面「そんな!」
上条「え、これなに!?なんの授業!?」
ーー
一方通行「じゃここの角度はァ?」
上条「えっと、30度?」
浜面「え、40度じゃないのか?」
一方通行「違ェ!辺がグァーっと来てンだから25度だろォがよ!」
上条「そのグァーってのがよくわからないんだけど……」
一方通行「だからァ、隣の角度のまろみからしてこk」
浜面「まろみって何だよ!角度のまろみって何だよ!!」
上条「すいません、もうちょっと優しく教えていただけないでせうか?」
一方通行「……あン?」
上条「えっ」
一方通行「優しく、だと?」
上条「お、おう」
一方通行「優しく手取り足取り教わった事が身につくと思うなよ」
一方通行「失敗して、間違えて、自分で考えて、そォやって覚えていくンだ」
上条「……そうだな、お前の言う通りだよ」
一方通行「はい浜面ァ、徳川19代将軍!」ハイ
浜面「え!?えーと……徳川……秀吉!」
一方通行「19代将軍なンざいねェ!」プンスカ
浜面「」
上条「……いややっぱり厳しすぎると思います!!」
一方通行「注文の多い奴らだな、おい結標……オマエやってみろ」
結標「え、私?」
浜面「おぉ、こんな可愛い子が先生か……期待できるな」
結標「角度の問題よね?」
上条「ああ、まろみとか無しでお願いします」
結標「えーと、じゃあまず2次元の角度を11次元の角度に直してから……」カッカッカッ
上条「」
浜面「」
一方通行「はい今日はここまでェ」
上条「つ、疲れた……」
結標「……複合授業ってレベルじゃないわね」
浜面「全教科同時にやるとは……」
一方通行「来週は特殊相対性理論やるからなァ」
上条「いや無理だろ!」
一方通行「教材を渡すから、家で勉強するように……結標」
結標「はい、これが教材だって」ハイ
浜面「……俺の目が腐ってなかったら、これはドラえもんじゃねぇか?」
一方通行「ドラえもンなめンな、これを読むだけで結構知識が溜まる」ウン
上条「いや、漫画ならいくらでも読めるけどさ」
一方通行「で、授業は『あ、ここドラえもンで読ンだ』って感じに進めていく」
浜面「まぁその方が興味は沸くけどな」
一方通行「勉強に大事なのは興味を持って取り組むことなンだ」
上条「いや仰るとおりでございます」
浜面「確かに、興味ねぇと理解する気も起きねぇもん」
結標「ちゃんと考えてるのね、アナタも」
一方通行「東大合格者多数!が売り文句だからなァ」フフン
上条「え、マジ!?」
結標「捏造するな!!」
浜面「じゃとりあえず」
上条「また来週」
一方通行「おォ」グデー
結標「あ」
一方通行「ン?」
結標「土御門から着信入ってるわ」
一方通行「あァ?……俺のにも鬼のように着てるな」
結標「仕事かしら」
一方通行「だろォな」ゴロゴロ
結標「はぁ、行かなきゃ」
一方通行「……」エー
結標「えー、じゃないの!ほら、行くわよ?」
一方通行「めンどくせェけど行くかァ、めンどくせェ」グデー
結標「二回も言わなくても……」
一方通行「あわきン、おンぶ」
結標「あわきん言うなっての!っていうかなんで私がアナタをおんぶしなきゃならないのよ!!」
一方通行「間違えた、座標移動ォ」
結標「どんな間違え方よ……」
土御門「遅いぜい、2人共」
一方通行「できの悪ィ生徒に手間取ったァ」
海原「どうやら本当に寺子屋を開いてるようですね」
結標「なんだか疲れたわ……」
土御門「じゃ今回の任務の作戦から説明するぞ」
一方通行「結標ェ、コーヒー」
結標「自分で淹れなさいよ」
土御門「いや、まず作戦を聞k」
一方通行「コーヒーも淹れられねェよォじゃ一生料理上手にはなれねェな」ヤレヤレ
結標「はぁ!?」
土御門「いやだから作s」
結標「いいわよ!それなら淹れてやろうじゃない!」
一方通行「ちょれェ」フフン
土御門「……アイツらあんなに仲よかったか?」
海原「……さぁ」
それからしばらくしてーーーーーー。
御坂妹「こんにちは、とミサカは一方通行に挨拶します」ペコリ
一方通行「あァ?10032号か?」
御坂妹「ええ、こんな所で何をしているのですか?」
一方通行「日向ぼっこォ」ゴロゴロ
御坂妹「服が汚れてしまいますよ?とミサカは服の汚れを気遣います」
一方通行「オマエは何してンですかァ?」
御坂妹「ミサカは散策です」
一方通行「へェ」ゴロゴロ
御坂妹「聞いた話だと最近寺子屋なるものを開いたと聞きましたが?」
一方通行「おォ、よく知ってンじゃねェか」
御坂妹「具体的にどういう事を教えているのでしょう?」
一方通行「色々だな、趣味から勉強まで色々」
御坂妹「趣味、ですか」
一方通行「興味あンならオマエも来るか?」
御坂妹「いえ、ミサカはこれといって趣味がないので……」ショボン
一方通行「好きなもンとかねェの?」
御坂妹「猫が好きです、とミサカは猫好きをアピールします」
一方通行「猫ねェ……愛玩動物飼養管理士の資格とかァ?」
御坂妹「愛玩動物飼養管理士?」
一方通行「なンでもねェよ」
御坂妹「?」
一方通行「趣味なンか自分で見つけるもンなンだぜ?」
御坂妹「自分で、ですか」
一方通行「おォ」
<あ!アンタ!何してるのよ!?
一方通行「あン?」
御坂妹「この声は……」
美琴「ちょっとアンタ!」
御坂妹「やっぱりお姉様でしたか」
一方通行「あァ?」
美琴「どうしてこの子と一緒にいるの?また何か企んで……」
一方通行「クカカッ……」
美琴「……」
一方通行「……」
美琴「……」
一方通行「いや別になンでもないですけどね」ハイ
美琴「えっ」
御坂妹「こんにちは、とミサカはお姉様に挨拶をします」ペコ
一方通行「こンちくわァ」ペコ
美琴「え?あ、こ、こんにちは?」
御坂妹「一方通行とは偶然会ったので世間話をしていただけです、とミサカは説明します」
美琴「世間話?……なんだ」
一方通行「ねみィ」ゴロンゴロン
美琴「聞いたわよ一方通行、寺子屋の話」
一方通行「あン?」
美琴「私の後輩のクラスに突撃したらしいじゃない」
一方通行「あの白黒ピンクのいるクラスか」
御坂妹「白黒ピンク?」
美琴「……もしかして黒子の事?」
一方通行「おォ、1人で3色の奴」
美琴「……酷い言われようね、黒子」
一方通行「オマエも寺子屋さンに興味あンのかァ?」
美琴「え?いや、私は別に……」
一方通行「よし、妹も一緒に来い」
御坂妹「ミサカもですか?」
一方通行「おォ、姉妹で寺子屋さンの授業を受けさせてやる」
美琴「いやだから私は別にk」
一方通行「オマエは妹の趣味探しに付き合え」スタスタ
美琴「ちょちょ、ちょっとぉぉぉぉぉぉぉ!?」ズルズル
結標「げっ……御坂美琴!?」
美琴「え、アンタは……あの時の!!」
一方通行「はい席に着いてェ」
御坂妹「はい、とミサカは素直に着席します」スッ
美琴「……なんでアンタがこんな所にいるの?」
結標「……それはこっちのセリフよ」
美琴「答えによっちゃ容赦しないわよ?」バリバリッ
結標「ちっ、本当に縁があるわねアナタとは」スッ
一方通行「うるっせェぞ三下共!」
美琴「は?いやだってこの女はあのt」
一方通行「寺子屋さンの敷居を跨いだら一切の揉め事を起こすンじゃねェよ!」
一方通行「自分の部屋にプラズマぶち込まれたくなかったら黙って座れ!」プンスカ
美琴「えー……超理不尽じゃない」
結標「……一時休戦ね、寝床を失いたくないし」
美琴「……そうね」
一方通行「ったく、しょうがねェ奴らだな」
結標「ところで今日は何教室?」
一方通行「超電磁砲、オマエの趣味はァ?」
美琴「へ?趣味?……そうね、ゲコ太のグッズ集めかしら」
一方通行「ゲロ太?」
美琴「ゲコ太よゲ・コ・太!!」
結標「カエルのキャラクターの事よ」
一方通行「ふゥン……なら妹も好きなのか?」
御坂妹「ええ、ゲコ太はミサカ達の間でも好まれていますよ」
美琴「さすが妹ね……」
一方通行「なら今日はアレだ、ぬいぐるみ教室」
結標「ぬいぐるみ教室?」
一方通行「自分で好きなキャラクターのぬいぐるみを作れる……いいアイディアだろ」フフン
美琴「自分で好きなゲコ太を?その発想はなかったわ……」ハッ
結標「どうでもいいけどアナタは裁縫なんてできるの?」
一方通行「利便能力第一位なめンな」
美琴「あれ、能力ってこういう風に使うの?」
御坂妹「しかし一方通行」ハイ
一方通行「はい、10032号」ハイ
御坂妹「ミサカはぬいぐるみを作れません」
一方通行「いやだから教えるンじゃねェか」
一方通行「ただ研究所にいても暇だろ?好きな時間でできる趣味じゃねェか」
御坂妹「な、なるほど」
美琴「いやでもぬいぐるみ作りって結構面倒くさいと言うか……」
御坂妹「ミサカはやります」キュピーン
一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ
御坂妹「おぉ……」
一方通行「その受け入れ精神、偉いじゃねェか」ヨシヨシ
御坂妹「そ、それほどでも……」ニヘラ
美琴「ちょっと!私との接し方に差がありすぎじゃない!?」
一方通行「男なら素直な女に優しくすンのが当然だろォが!!」プンスカ
結標「……そこまで堂々と言う男も珍しいわね」
結標(なるほど、素直な女はいい女、と)メモメモ
一方通行「よし、道具は持ったなァ?」
御坂妹「バッチリです、とミサカは意気込みつつ答えます」フンフン
美琴「まぁ、一応準備オッケーだけど」
結標「……ねぇ、なんでまた私も参加なの?」
一方通行「はァ?元はと言えば寺子屋さンはオマエの趣味探しも兼ねてンだぞ」
結標「それはそうだけど……」
一方通行「はい始めますよォ」
美琴「せ、静電気で糸がファッサーなるわ……」
一方通行「ちゃンと制御しろ!」
御坂妹「ミサカもお姉様に同じく……」アタフタ
一方通行「オマエはしょうがねェ」ウン
美琴「なんでよ!同じでしょうが!!」
一方通行「オマエの遺伝子じゃなきゃこうはならねェだろォが」
美琴「ぐっ……それを言われたら何も言えないわ……」
一方通行「途中まででいいから見せてみろォ」
御坂妹「ど、どうでしょうか?」
一方通行「ほォ、初めてにしては中々じゃねェか」
御坂妹「本当ですか?とミサカは褒められて頬が緩む事を隠せません」ニヘッ
美琴「私のは?」
一方通行「ン、ちょっと雑だが……まァ及第点だな」
美琴「う……これからよ、これから」
一方通行「あわきン、オマエは?」
結標「あわきん言うな!」
一方通行「……」
結標「……」
一方通行「結標さン」
結標「な、なんでしょう?」
一方通行「オマエ、ぶきっちょなのは料理だけじゃねェンだな」
結標「……」ズーン
一方通行「はい今日はこれまでェ」ゴロン
美琴「しっかし、アイツが寺子屋とはねー」
美琴「って、アンタどうしたの?珍しくニヤけてるじゃない」
御坂妹「え?」
美琴「そんなにぬいぐるみ作り楽しい?」
御坂妹「ええ、趣味というものができて嬉しいです、とミサカは本音を吐露します」ニヘラ
美琴「……そっか」
御坂妹「これも一方通行のおかげです」
美琴「そう、かもね……」
御坂妹「これからぬいぐるみ教室に通うのが楽しみです」ホクホク
美琴「そうね、うん」
美琴「……ねぇ、今度ぬいぐるみ見に行かない?」
御坂妹「ミサカでいいのですか?とミサカは確認を取ります」
美琴「今後の参考にさ、2人で見に行こうよ」
御坂妹「……はい」ニヘッ
結標「……」チクチク
土御門「……」
海原「……」
一方通行「ねみィ」ゴローン
結標「……」モクモク
土御門「なんで結標はモクモクと裁縫してるんだ?」ヒソヒソ
海原「さぁ、寺子屋さんの影響なのでしょうか?」ヒソヒソ
土御門「……オホン、じゃミーティングを開始するぜい」
土御門「次の仕事に関してだが、車での移動t」
結標「ちょっとうるさい!」
土御門「」
結標「まったく、こっちは集中してるんだからね……」ブツブツ
海原「……」
結標「できたっ」ニヘッ
一方通行「どれどれェ」
結標「どう?中々上手くできたと思うけど」フフン
一方通行「おォ、この縫い目のまろみが中々どォして……」
結標「でしょ?今回は割と自信あったk」
一方通行「布の無駄遣いするンじゃねェよ、ぶきっちょあわきン」
結標「」
一方通行「もっとしっかり型を取る所から始めろ下手くそ」ポイ
結標「ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」チクチクチクチク
土御門「違う、卵を投げる時はカーソルで狙いを定めるんだぜい」
海原「こうですか、なるほど」ピコピコ
土御門「あと、あえてベビーマリオを狙う事で回収しやすくなったりもする」ウン
海原「ほう、テクニックの一種ですね」ピコピコ
19090「おや、それはなんですか?とミサカは10032号の持つぬいぐるみを指差します」
御坂妹「一方通行に教えてもらってぬいぐるみを作成しているところです」
19090「それは意外ですね……とミサカは動揺を隠し切れません」
御坂妹「彼が寺子屋なるものを開いたということは知っていますね?」
19090「そういえば、最近上位個体が『あの人が構ってくれない』と愚痴を零していましたね」
御坂妹「その寺子屋でぬいぐるみの作成方法を教えてもらったのです、とミサカは懇切丁寧に説明します」
19090「なるほど、面白いですか?」
御坂妹「はい、ミサカにもいわゆる趣味というものができました」
19090「趣味、ですか……」
御坂妹「せっかくなので次回はアナタも行きませんか?とミサカは19090号を誘ってみます」
19090「え、いいのでしょうか?」
御坂妹「恐らくですが、構わないでしょう」
19090「……それならば、是非」
御坂妹「ミサカと一緒に趣味を探しましょう」ニヘッ
19090「……はい」ニヘラ
結標「新しい受講者来たわよ」
一方通行「希望はァ?」
結標「能力開発だって」
一方通行「……って事は無能力者か」
結標「みたいね、プロフィール見る?」
一方通行「あァ」
一方通行「……」ジー
一方通行「……なァ」
結標「どうしたの?」
一方通行「コイツの名前なンだけどよ……」
結標「ああ……私もちょっと驚いたわ」
一方通行「……大変だよなァ」
結標「……そうね」
ガララッ
一方通行「はいはァい、講師のレベル5第一位、一方通行でェす」
佐天「」
吹寄「」
結標「あれ、2人とも固まっちゃったわね」
一方通行「あン?どォしたンだよ」
佐天「え!?第一位って!?」
一方通行「え、そのままの意味ですけどォ」
吹寄「……黒板のビラで見たけど、本当だったのね」
一方通行「ところでこのプロフィールを見る限り、オマエの名前って……」
吹寄「……今更ながらツッコまないでもらえたら嬉しいです」
結標「……苦労したでしょう」
一方通行「大丈夫だ、俺は人の名前をバカにしたりしねェ」
吹寄「先生……」
結標(いや思いっきり白黒ピンク言ってたけどね)
一方通行「とりあえず動機を聞かせてもらう」
結標「え、そんな制度あったっけ?」
佐天「あ、はい!えーと、私は能力に憧れてまして」
一方通行「まァな」
佐天「知り合いにも高位の能力者とかいるんですけど……」
佐天「会う度に自分が『無能力者』だって思い知らされるというか……」
結標「……」
佐天「あ、いや、別にお友達なんで、会いたくないとかそんなんじゃ」
一方通行「まァ嫉妬か」
佐天「……はい」
吹寄「私の周りにはあまり高位能力者の知り合いはいないけど」
吹寄「でも、その気持ちはわかるわ」
佐天「友達に嫉妬してるなんてスゴイ嫌な子なんですけどね、あはは……」
一方通行「ふゥン」
結標「……」
一方通行「今日は能力開発という事でェ、えー、進めていきたいと思いまァす」ハイ
結標「どうするの?」
一方通行「オマエらもある程度は学校で習ってンだろォ?」
吹寄「え、あ、はい」
一方通行「基本は同じだ、自分だけの現実を固めるってのが重要」
結標「……やっとまともな授業っぽい事ができそうね」ウン
吹寄「でも、具体的にどうしたら?」
佐天「……私は完全にレベル0判定なんですが」
一方通行「能力開発において最も大事な事……はい結標ェ!」ビシッ
結標「え!?ここで私に振る!?……えーっと自分d」
一方通行「はいブブー、おととい来やがれェ」ゴロン
結標「早い!早いわよ!!」
佐天「それで、最も大事な事ってなんですか?」
一方通行「『自分には能力がある』って信じる事だ」
吹寄「信じる事……?」
一方通行「おォ、自分に能力がある事を前提でトレーニングをする事が大事なンだよ」
吹寄「でも……ねぇ?」
佐天「はい……私達は無能力者ですよ?」
一方通行「オマエらにとって能力ってのはなンだ?手が届かねェもンだと思ってねェか?」
吹寄「……」
佐天「……」
一方通行「いいか、この世の中には手の届かねェもンなンてねェ」
一方通行「手を伸ばして届くまでの長さが人によって違うだけだ」
結標(能力、か……そうよね、この子達からしたら憧れだもの)
結標(やっぱり、私がおかしかったのかしらね)
一方通行「『自分には能力がない』って思いながら能力開発した所で意味はねェよ」
一方通行「無いものを生み出すンじゃなくて、有るものを呼び覚ますイメージをしろ」
吹寄「有るものを呼び覚ます……考えた事もなかった」
佐天「わ、私もです」
一方通行「よし、オマエら頭こっちに向けろ」
吹寄「?」
佐天「?」
一方通行「脳の電気信号を操作して、リラックスモードにする」
一方通行「結標、教材を持って来い」
結標「え、アナタ自作のこれ?」
【三下でもわかる!正しい能力開発ですの!】
一方通行「これの通りに毎日トレーニングしろ」
佐天「あ、怪しい……」
吹寄「でも他ならぬ第一位の監修なのね……」
一方通行「まずは気合を入れろ」
吹寄「気合……ですか」
一方通行「リピートアフタミー、『私には能力がある』」
佐天「わ、私には能力がある」
一方通行「声が小せェ!」
吹寄「私には能力がある!」
一方通行「まだだァ!!」
佐天「私には能力がある!!」
一方通行「もっとォ!!!」
佐天吹寄「私には能力がある!!!」
一方通行「うるっせェ!近所迷惑だろォが!!」プンスカ
佐天「」
吹寄「」
結標「……アナタにはジャイアンもびっくりだと思うわ」
ーー
一方通行「じゃ今日はここまで」
吹寄「ありがとうございました」ペコ
一方通行「しっかり復習しておくよォにな」
佐天「はい」
一方通行「……」
一方通行「……あとよォ」
吹寄「?まだなにか?」
一方通行「世の中には、レベル5を倒す無能力者もいるンだぜェ?」
佐天「!?」
吹寄「無能力者が!?」
一方通行「おォ、だからさっき言った『手が届かねェ事はない』ってのはあながち間違いじゃねェ」
一方通行「勝手に自分で限界決めンじゃねェぞ?」
吹寄「……はい!」
佐天「私、頑張ります!」
一方通行「じゃまたなァ」ゴローン
結標「ねぇ」
一方通行「あン?」ゴロゴロ
結標「彼女達、本当に能力現出できるかしらね」
一方通行「さァな」
結標「あそこまで炊きつけておいて、無責任じゃない?」
一方通行「最終的には自分の頑張り次第だァ、他人がどうにかできるもンじゃねェンだよ」
結標「それは……そうかもしれないけれど」
一方通行「諦めねェでやればなンでもできンだよ」
結標「それはアナタの持論かしら?」
一方通行「違ェな、クソッタレな学園都市に反抗してェだけだ」
一方通行「無能力者のレッテルを自分で引っぺがす、中々愉快じゃねェか」
結標「……そうね」
一方通行「それの手助けが学園都市に抗う事になンなら喜ンで手伝ってやるよ」
結標「私も……そうだわ」
一方通行「それより明日は料理教室ですけどォ?」
結標「ば、バカにしないでよね!毎日練習してる成果を見せてあげるから!!」ブンッ
次の日――――――。
一方通行「ちゃンと課題はやって来ましたかァ?」グデー
結標「お弁当よね?バッチリよ」
婚后「ええ」
麦野「私も」
一方通行「よし、じゃあまず課題の評価から」
一方通行「一人一人の弁当を食べてしっかり評価しまァす」ハイ
結標「……」ドキドキ
麦野「またボロクソ言われるのかしら」
婚后「私はしっかり対策してきたので、大丈夫なはずですわ」
一方通行「オラ、最初は原子崩しから」
麦野「えー……わかったわよ……」
一方通行「……なンでシャケばっかなンだよ」
麦野「好きなんだからしょうがないでしょ」
一方通行「シャケ色片思いか、死ね」
麦野「」
一方通行「ほォ、フォアグラにキャビア、カニの内子まで入ってンな」
婚后「豪華でしょう?これで普通とは言わせませんわ」
一方通行「こンなうっぜェ弁当誰が喜ぶンだよ、死ね」
婚后「」
一方通行「……オマエのが1番まともだなァ」モグモグ
結標「ほ、本当!?」
一方通行「だが俺はのりたまより大人のふりかけ派だ、死ね」
結標「」
一方通行「オマエらやっぱりまだまだだなァ」ゴロンゴロン
麦標子「辛口すぎる!!!」プンスカ
麦野「っと、よっ、ほっ」ザクザク
一方通行「原子崩し、オマエはもっと丁寧にやれ」
麦野「え、丁寧じゃない?」
一方通行「大雑把なンだよ」
麦野「私のどこが大雑把だっていうのよ!」
一方通行「火加減、野菜の大きさ、塩加減、演算、射撃精度、服装、メイク、全体的に大雑把なンだよ!!」
麦野「」
結標「うーん、どうだろ……」
一方通行「結標はちゃンと量れっつってンだろォが」
結標「う、わ、わかったわよ」
一方通行「初心者なンだからキッチリ量りやがれ!」
結標「えーと……10g?」
一方通行「ちゃンとピコグラムまで量れよォ」
結標「初めて聞いたわよそんな単位!」
一方通行「だいたい塩はそンなに入れなくていいンだよ」
結標「え、でも味薄くない?」
一方通行「オマエは食べる人を成人病にさせてェのか」
結標「」
婚后「……」グツグツ
一方通行「……」
婚后「……あの」
一方通行「オマエは普通ゥ」
婚后「なぜですか!なぜ私だけ!!」
一方通行「まァ強いて言えば……」
婚后「はい!どこですか?」ソワソワ
一方通行「全部普通ゥ!!」
婚后「」
一方通行「今日は暇だなァ」ダラーン
結標「そうね」
一方通行「ちょっとコンビニ行ってくるゥ」スタスタ
結標「あ、若い女性向けファッション誌の『cantama』買ってきてくれない?」
結標「あと『プレミアムロールケーキ』も」
一方通行「スイーツ(笑)かよ」
結標「なによ、いいじゃない」
一方通行「本当に『cantama』でいいのかァ?」
結標「え、どういう意味?」
一方通行「いつもみてェに『たまごクラブ』見てニヤニヤしなくていいのかって言っt」
結標「そんな趣味ないわよ!!」
一方通行「……」
結標「……」
一方通行「……ひよこクラb」
結標「ないっつってんでしょ!!」ダンダンッ
一方通行「じゃ『こっこクラブ』かァ?」
結標「種類の問題じゃないの!私はそんなのに興味はない!」
一方通行「だってショタコンzy」
結標「いいから早く行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ダンダンッ
一方通行「うるせェな……」スタスタ
ガチャ、バタン……
結標「まったく……」
結標「でもついでの買い物を頼まれてくれるなんて、丸くなったわね本当」
結標「あ、で、でも別に優しくなったからってどうとかじゃ……」
結標「……」
結標「……誰に否定してんだ、私」ハァ
一方通行「……」スタスタ
ドンッ
黒子「……あいたっ!」
一方通行「あ、悪ィ」
黒子「いえ……あっ!」
一方通行「あァ?」
黒子「アナタはこないだの……!」
一方通行「オマエはこないだの…………誰だァ!」
黒子「え、覚えてないんですの?」
一方通行「全く」ウン
黒子「初対面の私にあんなに失礼な事を言っておきながら?」
一方通行「……覚えてねェな、オマエ特徴ねェし」
黒子「……」カチン
一方通行「もっとこう、インパクトがあれば記憶に残るンだけどなァ」
黒子「インパクト、ですか?」
一方通行「おォ」
黒子「例えば?」
一方通行「例えば『白黒ピンクですの!』みてェにインパクトがあれば覚えt」
黒子「嘘だ!絶対私の事覚えてますの!」
一方通行「はァ?」
黒子「ですからその『白黒ピンクですの!』が私ですの!わざと言ってるんですの!?」
一方通行「うるせェ一人三色パン」
黒子「」
黒子「……一応お聞きしますが一人三色パンとは?」
一方通行「白(クリーム)、黒(チョコ)、ピンク(紅ショウガ)が一度に味わえてお得ですの!」ハイ
黒子「嬉しくないですの!全然嬉しくないですの!!」ジタジタ
一方通行「でェ、なンの用なンですかァ?」
黒子「あの時一緒にいた結標淡希と私は少々因縁がございますの」
一方通行「あァ、残骸の件とか結標が言ってたよォな……」
黒子「……アナタも残骸の件をご存知なのですか?」
一方通行「あれ解決したの俺だし」
黒子「」
一方通行「逃げようとしたあわきンをブチのめしたの俺だもン」
黒子「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
一方通行「お疲れっしたァ」ペコリ
黒子「ま、待ってくださいな!もうちょっとお聞かせ下さい!!」
一方通行「ンだよ」
黒子「え、あ、へ?では何故今一緒にいるのですか?」
一方通行「色々あンだよ色々ォ」
黒子「色々、ですか」
一方通行「いいじゃねェか、どっかの無能なジャッジメントが取り逃がs」
黒子「待てぇぇぇぇぇぇぇぇ!無能なジャッジメントとは誰の事ですの!?」
一方通行「だってそォなンだろォ?」
黒子「うぐぐ……」
一方通行「ニゲラレータ(笑)」
黒子「……」ピキピキッ
一方通行「もォいいだろォが」
黒子「……確かに私は取り逃がした無能ですわ」
一方通行「あァ?」
黒子「それでも!ジャッジメントとして治安を守りたいという気持ちは誰にも負けませんの!」
一方通行「……」
黒子「彼女は仮にも不穏な事をしでかそうとしていましたわ」
黒子「危険な芽を、見過ごすわけには行きませんの」
一方通行「……結標がまだ危険人物だと思ってンだな?」
黒子「……ええ」
黒子「お姉様は、今の彼女は恐らく無害だと言っておりましたが」
黒子「それでも……この目で確かめたいんですの」
一方通行「…………白黒子」
黒子「いやそこまでいったらフルネームがいいですの!」
一方通行「オマエの心意気には負けたぜェ、来いよ」
黒子「え?」
一方通行「寺子屋さンに来いっつってンだ、結標をその目で見極めろ」
黒子「……」
一方通行「それでまだアイツが危険な思想を持ってると思うンなら……」
一方通行「拘束して連れてっても構わねェ、俺は手を出さねェからよ」
黒子「……ありがとうございますの」
一方通行「いや、オマエの真っ直ぐな想いに心打たれただけだ」
一方通行「行こうぜェ」スタスタ
黒子「……はいですの!」テテッ
一方通行「オラよォ」ドサッ
結標「あ、ありがと……」
一方通行「あわきン、客だァ」
結標「あわきん言うな!って私に?」
黒子「……お久しぶりですわね」
結標「白井……黒子……!」
黒子「この間はゆっくり話もできませんでしたので、お伺いいたしましたの」
結標「……一方通行!」
一方通行「……」
黒子「既に許可は取っておりますの、アナタが今も危険人物であるならば」
黒子「拘束して、連行しても構わない……と」
結標「ふん、生憎アナタに話す事は一つもないわ」
黒子「……」
結標「……」
黒子「……力づくがご希望ですの?」スッ
結標「……あの時と同じだと思わないでよ」スッ
黒子「……いざ!」
一方通行「うるっせェぞ三色パンダァ!!!」
黒子「えっ」
一方通行「寺子屋さンの敷居を跨いだら一切の揉め事を起こすンじゃねェよ!」
黒子「え、だってアナタがそれでいいとおっしゃったのではないd」
一方通行「ここは寺子屋さン!物を教わりに来るとこだろォが!!」プンスカ
黒子「」
結標「…………アナタ騙されたみたいね」
黒子「」
一方通行「はい、じゃこちらから好きな講座を選ンで下さいねェ」
黒子「新たな詐欺ですの!?」
一方通行「人聞きの悪ィ事言ってンじゃねェよ、オマエが自分の意志でここに来たンだろォが」
黒子「アナタが来ていいと仰ったのではないですか!」
一方通行「だから別に来るの拒んだ記憶ありませンしおすし」
黒子「そういう事ではなく!結標淡希の本質をその目で見極めろと……」
一方通行「勝手に見極めればいいじゃねェか」ウン
黒子「連れて行っても構わないと……」
一方通行「ただし寺子屋さンの敷居の外での話すけどねェ!」
黒子「」
黒子「寺子屋の勧誘の為に私の正義感を弄んだのですか!!」
一方通行「寺子屋『さン』だボケ!!」
黒子「」
結標「うん、まぁ……元気出して?」ポン
黒子「なんですのそれ!私はジャッジメントとしてのs」
一方通行「あー、久々に全力で誰か殴りてェなー、第一位の全力をもって」
黒子「このボクササイズ講座を希望しますの」キリッ
結標「……なんだか同情するわ」
一方通行「よし、俺のボクササイズは結構ハードだから覚悟しろよォ?」
黒子「ふん、ジャッジメントとして鍛えている私にとってボクササイズなど」キラン
結標「だからなんで私まで……」
一方通行「いいのかァ?そンな事言っちゃって」
結標「な、なにが?」
一方通行「あわきン最近体重が2kg程増えt」
結標「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんで知ってんのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
一方通行「やるよなァ?」
結標「……やります」エグエグ
黒子「はっ、はっ……」
結標「ぜぇ、ぜぇ……」
一方通行「オラ、もっとリズムに乗ってェ!」ヘイ
黒子「こ、これは意外と……」
結標「予想以上にハードね……」
一方通行「次はデンプシーロールだ、ひあうィーごー!」ヘイ
黒子「……」グルングルン
結標「……」グルングルン
一方通行「真っ白に燃え尽きろォ!立つンだジョー!」ヘイ
黒子「……もうなんだか色々混ざり過ぎててよくわかりませんの」
結標「ぜぇ、はぁ……おぇ」
一方通行「休むンじゃねェデブ共が!」
黒子「なっ!デブじゃありませんの!」
結標「そ、そうよ!それは撤回して!」
一方通行「軍曹に逆らうンじゃねェよ!」プンスカ
結標「えー……いつから軍曹にジョブチェンジしたのよ」
一方通行「よし、今日はこンなとこだろォ」フヒュゥ
黒子「はぁっ、はぁっ……」
結標「うぇ、は、吐きそう……」
一方通行「じゃまた来週!しーゆーねくすとバイバイ!」ポィ
黒子「」ビタンッ
バターーーンッ!!
黒子「……なんなんですの?」
黒子「私はただ……ジャッジメントとして……う、うぅ」
黒子「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」ダダダダダッ
一方通行「いい汗かいたぜェ」フヒュゥ
結標「はぁ……おぇ」グッタリ
別の日――
土御門「意外と早く終わったぜよ」
海原「これなら食事摂ってからでも間に合いましたね」
一方通行「腹減ったァ」グデー
結標「あ、あの……私お弁当作ってきたんだけど……」
土御門「結標が……」
海原「お弁当、ですって……?」
結標「なによその反応は!!」
一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ
結標「うわわ、な、なにするのよ!」
一方通行「おォ、その姿勢は偉いじゃねェか」
結標「え?そ、そんな事ないわよ!ね、食べるでしょ?」
土御門「……」エー
海原「……」エー
土御門(終わった……短い人生だったぜい)
海原(ショチトル、お兄ちゃんは勇敢に戦いましたよ……)
結標「じゃ開けるわよ?」
パカッ
土御門「……あれ?」
海原「……おや?」
結標「むっふふーん」
土御門「意外と普通だにゃー」
海原「予想してたのと違いますね」
土御門「ああ、てっきりバクダン岩みたいのが出てくるかと思ったぜい」
海原「自分はマドハンドのようなものだとばっかり……」
結標「……死にたいの?」ピキピキ
結標「じゃどうぞ?」
土御門(背中刺す刃、逝くぜい!!!)パクッ
海原(戦わなくちゃいけないんだ、現実と!!!)パクッ
結標「どう?」
土御門「……あ?思ったより食えるぜよ」
海原「……ええ、正直驚きです」
結標「バカにしてる?」
土御門「いやいや、これはたいした進歩だぜい?」
海原「どうしてここまで上手になったのですか?」
一方通行「俺のおかげだよ」ゴロゴロ
土御門「……ほう」ニタリ
結標「な、なによ?」
土御門「最近仲がいいと思ったら、そういう事だったのかにゃー」
土御門「……愛する人の為に料理を頑張る」
海原「……健気なんですね、結標さん」
結標「なな、なにを勘違いしてんのよ!」
土御門「いやだってそういう事だろ?」ネー
海原「乙女でいいじゃないですか」ネー
結標「だから違うって言ってんでしょうが!」
一方通行「……」モグモグ
結標「一方通行、どう?」
一方通行「結標ェ」
結標「え、な、なに?」
一方通行「塩は一つまみっつっただろォが!」
一方通行「しょっぺェンだよ全体的にィ」
結標「あぅ……ゴメンなさい」ショボン
土御門「オコラレータ(笑)」プリプリ
海原「ダメダサレータ(笑)」プリプリ
結標「う、うっさい!バカ!!」
一方通行「ン?明日なンだっけか」
結標「明日は……ぬいぐるみ教室よ」
一方通行「あァそうだった」
結標「ちゃんと把握しときなさいよ……」カチャカチャ
土御門「あれをどう見る?」
海原「あれは相当ですね」
土御門「だにゃー」
海原「どうするのですか?」
土御門「何がだぜよ」
海原「……暗部として、馴れ合いは最も好ましくないのでは?」
土御門「ああ、まぁな」
土御門「……だが」
海原「?」
土御門「からかいがいがあるってもんだぜい」プススー
海原「ですよねー」プススー
ぬいぐるみ教室――
一方通行「ン?超電磁砲はどうしたァ?」ゴロン
御坂妹「お姉さまは都合が悪く参加できないとの事です」
結標「えーと、そっちのは妹達の1人かしら?」
19090「はい、ミサカは19090号です、とミサカは自分の検体番号を述べます」
一方通行「オマエもぬいぐるみを作ってみてェのかァ?」ダラーン
19090「え、あ、はい……是非ご教授願いたいのですが」
一方通行「構わねェよ、じゃあ席に着けェ」
御坂妹「はい」
19090「お、お願いします」ペコ
結標(どうしてこう御坂遺伝子に縁があるのかしらね)
一方通行「じゃまず道具から配るぞ、結標」
結標「はいはい」
一方通行「道具配ったらまず今日の作業行程について説明する」
御坂妹「……19090号、また少し痩せましたか?とミサカは指を滑らせウエストを測ります」
19090「そ、そんな事はないと思いますが、とミサカはシラを切ります」
御坂妹「また隠れてダイエットですか?指2本の余裕ができた秘訣を是非教えてください」
19090「ちょ、くすぐったいのですが……」
一方通行「うるっせェぞオマエら!人の話はちゃンと聞けェ!!」
御坂妹「はい」サッ
19090「すいませんでした」ササッ
一方通行「じゃ結標と10032号は前回の続きからやってろ」
結標「わかったわ」
一方通行「19090号は最初から教えてやるからなァ」
19090「お、お願いします、とミサカは深く頭を下げます」ペコリ
一方通行「いいか、待ち針に気をつけろよ?」
19090「はい」チクチク
19090「……」チクチク
ブスッ!
19090「うぇ!?い、痛っ!?」
一方通行「あァもォ、だから気をつけろっつっただろォが!」
19090「い、痛いです……とミサカは涙ぐみながら訴えます」ジワッ
一方通行「マキロンと絆創膏ォ!」サッ
結標「……パパセラレータね」チクチク
御坂妹「……ですね」チクチク
19090「あ、あのぅ……一方通行」
一方通行「あァ?」
19090「ここが上手くできないのですが……」
一方通行「ン?あー、ちょっと貸してみろ」
19090「はい」ハイ
一方通行「いいか?あンまりまろい縫い目だと後々綿が出てきちまうンだ」
一方通行「だから適度なまろさで……と、こンな具合にな」
19090「なるほど、参考になります」
結標(……どう参考になるの?)
一方通行「よし、ンじゃ残りは研究所でやって来い」ゴロゴロ
19090「わかりました」
一方通行「わかンねェ事あったら10032号に聞けよ」
御坂妹「任せてください、とミサカは胸を張ります」
結標「……そして御坂遺伝子は全員カエルのぬいぐるみなのね」
結標「ねぇ、妹達ってあんな顔するのね」
一方通行「あン?」ゴロゴロ
結標「縫ってる時は真剣だし、アナタに褒められた時はニヤけてたわよ?」
結標「叱られた時はションボリしてるし……」
一方通行「徐々に個性が出てきてンだろォな」
結標「クローンに個性ね……」
一方通行「まァ悪ィ事じゃねェしな」
結標「……彼女達に色々と教えてるのは罪滅ぼしのつもり?」
一方通行「けっ、そンなンじゃねェよ」
一方通行「生徒に教えるのが先生、それだけだァ」グデーン
結標「……素直じゃないのね」
一方通行「……」
結標「……」
一方通行「いやオマエも大概だろォがよ」ウン
結標「うぐっ……」
ーー
一方通行「はい、数式全部解くまで帰れま10開始」ゴロゴロ
上条「えーと、ここはこれを代入して……」
浜面「ここが3だから、えっと……」
一方通行「ニーチェと言えば!はい浜面ァ」ビシッ
浜面「えっ?え、あ……プルプルで美味しい!」
一方通行「それフルーチェだろォがクソッタレェ!」
バキィッ!
浜面「へぶっ!!」
上条「ここの公式は……」
一方通行「『我思う、ゆえに我あり』……はい三下ァ!」ビシッ
上条「え!?えっと、あー……デカルト!」
一方通行「正解ィ、わっしわっしィ」ワシワシ
結標(……これが噂の三下通行)ゴクリ
上条「はい先生!解き終わりました!」ハイ
一方通行「ン、どれどれェ……」
上条「……」
一方通行「間違いたくさンやり直しィ!」ポイ
上条「そんな!」
浜面「先生!できました!」ハイ
一方通行「あン?」
浜面「……」
一方通行「よし、全部正解じゃねェか」
浜面「え、やった!」
一方通行「はい、[ピーーーー]kg……この数字が表すものはァ?」ハイ
浜面「えっ!?え、あ……えーっと」
一方通行「あわきンの体重だろォが!数式追加ァ!!」
浜面「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
結標「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
2時間後ーー
一方通行「今日はもう暇だな」ゴロゴロ
結標「ねぇ、受講希望者来てるわよ」
一方通行「あァ?」
滝壺「こんにちは」
一方通行「オマエ……どっかで見た事あンなァ」
滝壺「滝壺理后です」
一方通行「一方通行」
滝壺「よろしくね、あくせられーた」ペコリ
一方通行「おォ、よろしくゥ」ペコリ
一方通行「で、何を習いに来たンだ?」
滝壺「……射撃を教えて欲しいの」
一方通行「射撃?銃って事か?」
滝壺「うん、私もみんなの役に立ちたくて……」
結標「……みんな?」
一方通行「……なるほどなァ」
滝壺「私の能力は戦闘向けじゃないし、負担も大きいの」
一方通行「……それで、せめて銃の使い方を覚えて役に立ちてェ、と」
滝壺「うん」
結標「ちょっと、この子暗部?」ヒソヒソ
一方通行「思い出した、アイテムの奴だァ」ヒソヒソ
滝壺「?」
結標「……敵に塩を送る真似はよした方がいいんじゃないかしら」ヒソヒソ
一方通行「……バカ野郎ォ、生徒は生徒だ」ヒソヒソ
結標「……土御門に怒られても知らないわよ」
一方通行「滝壺っつったか、オマエ」
滝壺「うん」
一方通行「率直に言うと、オマエに射撃は教えらンねェ」
滝壺「どうして?」
一方通行「銃は凶器、銃撃は殺人術」
一方通行「どンな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実でござる」
滝壺(……ござる?)
結標(どっかで聞いた事あるような……)
一方通行「俺が見たところ、オマエは人殺しに向いてねェ」
滝壺「でも……」
一方通行「任務中、オマエは知らない奴を殺す為に照準を合わせられンのか?」
一方通行「殺す為に急所を狙って、躊躇なく撃ち込めンのかよ」
滝壺「そ、それは……でも、やる」
一方通行「俺には、オマエが人を殺していいよォな人間には見えねェ」
滝壺「でも、みんなの足を引っ張りたくないよ……」
一方通行「要は自分の身は自分で守りてェンだろ?」
滝壺「……うん」
一方通行「そンなら護身術で十分だ」
滝壺「護身術?」
一方通行「おォ、一方通行流護身術なら教えてやる」
滝壺「一方通行流護身術……」ゴクリ
結標「え、アナタそんなのできるの?」
一方通行「だから俺流だって言ってンだろォが」
滝壺「?」
結標(この人体術使ってたっけ?)
一方通行「どォする?俺はそれで十分だと思うが」
滝壺「それで……みんなの足引っ張らずに済むかな?」
一方通行「おォ」
滝壺「守られるだけじゃなくなるかな?」
一方通行「あァ」
滝壺「それなら、お願いします」ペコ
一方通行「よし、任せとけェ」
結標(なにこの子素直!いい子!!)
一方通行「はいそこで結標の腕を掴んでグリンッ!」
滝壺「えいっ」ヤー
ズダンッ!
結標「いったたた……もう、なんで私が……」
滝壺「大丈夫?ゴメンね、むすじめ」
結標「ノープロブレム」キリッ
一方通行「中々筋がいいじゃねェか」ヨシヨシ
滝壺「……えへへ」ニヘッ
結標「む……」ムッ
一方通行「おォ、あくまで相手の力を利用する事を忘れるなよ?」
滝壺「はい」
一方通行「あとは……とりあえず守りの奥義を教えとくか」
滝壺「もう奥義教えてくれるの?」
一方通行「どォしても敵わない奴に対しての対処法だ、先に覚えとけェ」
滝壺「うん、わかった」
結標「……」
結標「……守りの奥義?」
一方通行「いいねいいねェ、最っ高だねェ!」
滝壺「本当?」ムクッ
一方通行「おォ、勝てそうにねェ奴にはそれをやっとけ」
結標「……どんな効果があるの?」
一方通行「『あ、コイツ死ンだ』って思って立ち去るはずだァ」
結標「いやそれ要は死んだフリじゃない!」
一方通行「いいかァ?使いどころ間違うンじゃねェそ?」
滝壺「うん、わかった」
結標「……いいのかな、本当に」
滝壺「今日はありがとうございました」ペコリ
一方通行「おォ、また来週なァ」
結標「……いい子だったわね」
一方通行「暗部にしちゃ珍しい人間だ」
結標「でも、なんとなくわかるかも」
一方通行「あン?」
結標「多分あの子は、他人を傷つけられない」
一方通行「……だろォよ」
結標「うん、そんな気がするわ」
その日の夜――――――。
麦野「あーーーー!私のシャケ弁食べたの誰!?」
フレンダ「わ、私じゃないわよ?」
絹旗「そ、そういえばさっき滝壺さんがなにか頬張ってたような……」
麦野「……滝壺なの?正直に言ってm」クルッ
フレンダ「」
麦野「」
絹旗「」
浜面「」
麦野「……はーまづらぁー」
浜面「え、なに!?」
麦野「……アンタ滝壺に変なこと吹き込んだんでしょ?」
浜面「し、知らねぇよ!滝壺!どうしたんだよ!?」ユサユサ
浜面「滝壺!起きろ!!起きて!!起きて下さい!!!」ユサユサ
麦野「はまづらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
浜面「え、ちょっ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
一方通行「ねみィ」グデーン
神裂「あ、あのー……」
一方通行「……あン?」
神裂「なんでも教えていただけるとの事ですが……」
一方通行「おォ、なンでも教えますよォ」ゴロゴロ
神裂「それなら、あの……せ、せ……」
結標「せ?」
神裂「せ、洗濯機の使い方を!教えてください!!」ペコッ
結標「」
一方通行「洗濯機ィ?」
神裂「ええ、最近最新の洗濯機を導入したのですが……イマイチ使い方がよくわからなくて」
結標「」
結標「え!?説明書読めばいいじゃない!」
神裂「それが……恥ずかしい話、説明書を読んでもわからないのです」テレテレ
結標(店員に聞けば済むでしょぉぉぉぉぉぉ!!って言いたぃぃぃぃぃぃぃぃ!!)
一方通行「ふゥン……それって学園都市製品かァ?」
神裂「え?はい、そうですが」
一方通行「あ、それならわかりづれェかもな」
結標「まぁ確かに色々機能がついてるけど……」
神裂「どうか!私に!洗濯機の使い方を指南していただけないでしょうか!」フカブカ
結標(えー……何この人の洗濯機にかける熱意)
一方通行「まァいいけどよ、同じ型の奴じゃねェと意味ねェよな」
一方通行「型番とかわかるかァ?」
神裂「ええ、説明書を持って来てます」サッ
結標(読めよ!それ穴空くまで読めよ!!)
一方通行「あー、こりゃ新品だな……っつゥか一般家庭に必要かコレ?」
神裂「あ、いや……寮で使っているものでして」
一方通行「成る程な……現物でレクチャーした方が早いか」
結標「え、現物ないじゃない」
一方通行「買って来い」
結標「」
電気店――――――。
店長「最新の洗濯機は目立つところにディスプレイしておけよ」
店員「はい」
洗濯機<ヘイ
店員「よいしょっと、ここなら目立つだろう」
お客「すいません」
店員「はーい」スタスタ
店長「どうだ、ちゃんと目立つところに置いたのか?」
店員「ええ、この一番目立つところにちゃんと置k」
札束<ヘイ
店長「」
店員「あれぇぇぇぇぇぇぇぇ!?洗濯機が札束に変わってる!?」
店長「……え、どういう事?」
店員「……さぁ」
一方通行「ご苦労さン」
結標「……疲れた」
神裂「あ、これですこれです」
一方通行「いいかァ、まず洗濯機についてだが……」
一方通行「かつては二槽式が主流だったンだ」
神裂「ふむふむ」カキカキ
結標「歴史じゃなくてこの洗濯機について説明しなさいよ……」
一方通行「っつゥわけだなァ」ウン
神裂「成る程、これでこの洗濯機は完全にマスターしました!」
一方通行「説明書よりもこの纏めたノートの方が見やすいだろォ」
一方通行「他の奴らでもわかりやすいよォに、コピーしておけ」
神裂「ありがとうございます、先生」
一方通行「じゃ、次はいよいよ実技試験だ」
神裂「……」ゴクリ
結標「いやゴクリじゃなくて」
神裂「実技というのは?」
一方通行「そのまンま、この洗濯機を使って洗濯してもらう」
神裂「い、いいでしょう……」ブンッ
神裂「ところで何を洗うのですか?」
一方通行「あン?」
一方通行「……」ウーン
一方通行「結標ェ」
結標「なに?」
一方通行「脱げ」
結標「は、はぁ!?何いきなり欲情してんのよ!」
一方通行「オマエに欲情するかボケ!実際洗うンだから脱げっつってンだよ!」
結標「なんで私が!そこらへんのタオルとかでいいじゃない!」
一方通行「無料で綺麗になンだからいいだろォが!」プンスカ
結標「その理屈がおかしいっつってんのよ!」プンスカ
一方通行「はい始めェ!」
神裂「はいっ!」
結標「どうしてこうなった……」
一方通行「違ェ!色物は別っつっただろォが!」
神裂「あ、あわわわ」
一方通行「無闇に電源ボタンで強制終了しようとすンじゃねェ!落ち着いて一時停止だ!」
神裂「は、はい!」ピッ
一方通行「次は洗剤だ、固形だと冬は溶けきらねェ危険性があるから液体を使え」
神裂「了解しました」ドバドバ
一方通行「てめェは座学で何聞いてやがった!柔軟剤は専用の入れる所があンだろォ!」
神裂「あっわわわわ……そ、そうでした!」
結標「……寒い」ガタガタ
2時間後――――――。
一方通行「これでレクチャーは終了だ」
神裂「ありがとうございました」
一方通行「試験をクリアしたオマエには『洗人』の称号を授与する」
結標「なにそれ」
一方通行「世界で20人しかいない、洗濯機マスターのみ名乗れる称号だァ」
神裂「こ、光栄です!」
一方通行「これからオマエは『洗人・神裂火織』だ」
結標「え、格好悪くない?」
一方通行「オマエが洗い物で道に迷った時、また来い」
神裂「……はいっ!」
一方通行「……励めよ」
神裂「せ、先生……!!」
結標「……なにこの茶番」
次の日ーー
美琴「月謝払いに来たわよ」
一方通行「おォ」ゴロンゴロン
美琴「今日は彼女いないの?」
一方通行「仕事が入ってンだよ」
美琴「仕事……ね」
一方通行「あァ、10032号と19090号の分はいらねェよ」
美琴「そういうわけにもいかないわよ」
一方通行「いいンだよ、アイツらのは俺が好きでやってる事だしィ」ダラーン
美琴「……ねぇ、ちょっと聞きたかったんだけどさ」
一方通行「あン?」
美琴「アンタ、変わったわよね」
一方通行「なに言ってンだ?」
美琴「そんなに丸くなったのはいつから?」
一方通行「俺が丸くなった、だと?」
美琴「……うん」
美琴「全てを拒否してたアンタが、今はこうして誰かと向き合ってるじゃない」
一方通行「まァ、な」
美琴「戦った私としては信じられないくらい、丸くなったわよね」
美琴「なにかきっかけがあったんじゃないの?」
一方通行「……強いて言えば、あの時か」
美琴「あの時?」
一方通行「俺と結標は今仕事仲間なンだ、寺子屋さンとは別に」
美琴「……仕事?」
一方通行「まァ汚ェ裏の仕事もやってるから詳しくは話さねェけどよ」
美琴「どうしてよ」
一方通行「オマエは表の世界の住人なンだ、無闇に暗部の話なンか聞くもンじゃねェ」
美琴「……とりあえずわかったって言っといてあげる」
一方通行「それでよ、ある日暗部の仕事が終わって家に帰ったンだ」
一方通行「時間は23時過ぎだったかァ……」
美琴「……」
一方通行「その時、テレビでやってたのがよ……」
美琴「……」ドキドキ
一方通行「世界の車窓から」
美琴「……」
一方通行「……」
美琴「えっ」
一方通行「えっ」
美琴「いや、それで?」
一方通行「え、終わりだけど」
美琴「はぁ!?どういう事!?」
一方通行「なにが」
美琴「え、冷酷非道なアンタを変えたのは『世界の車窓から』だっていうの!?」
一方通行「うン、多分」ウン
美琴「なんで!?どうして!?」
一方通行「だってよォ、あれめっちゃ平和だろォが」
美琴「……平和ね」
一方通行「あの音楽とか聞いてるうちに『あ、なンかどォでもいい』ってなったンだよ」
美琴「」
一方通行「いやありゃやべェ、荒んだ心が一気に浄化された気分だったぜェ」フフン
美琴「……世界の車窓からを観て、全部がどうでもよくなって、ダラッダラになったの?」
一方通行「だろォな、あンなまろい番組は初めて見たぜ」
美琴「えー……」
一方通行「あァ?オマエが聞いてきたンだろォが」
美琴「いやそうだけども……なんか納得いかないというか……」
一方通行「はい終わりィ、月謝置いてとっとと帰れェ」ポイ
美琴「」ビタン
バターーーーンッ!
美琴「」
美琴「……」
美琴「……実験の前に戻ってアイツに見せたらどうなってたのかな」トボトボ
一方通行「結標遅ェな……」
一方通行「……」ゴロゴロ
一方通行「コーヒー飲みてェ」
一方通行「淹れるのはめンどくせェし、買いに行くかァ」
一方通行「いや……たまには豆でも買ってみるかな」
一方通行「よし、デパートメントへゴー」スタスタ
19090「あ、一方通行、こんにちは」ペコ
一方通行「あァ?おォ」
19090「こんな所で偶然ですね、とミサカは至極普通の挨拶をします」
一方通行「……オマエ、19090号かァ?」
19090「え、ど、どうしてわかったのですか?とミサカは驚きを隠せません」
一方通行「ン、ちょっと声が小せェかもって思ったンだよ」
一方通行「それにィ……」ジー
19090「?」
スボッ!
19090「あ、あえっ!?」
一方通行「ウエストに指2本の余裕があるンだっけ?」
19090「あ、あの……いきなり指を滑り込ませるのはどうかと思いますが……と、ミサカ……は」ドキドキ
一方通行「あン?10032号が言ってたじゃねェか」
19090(び、びっくりしました……!)ドキドキ
一方通行「ンで、オマエは1人で何をしてンですかァ?」
19090「ぬ、ぬいぐるみを見に来たのです、とミサカは少し照れながら答えます」テレッ
一方通行「ぬいぐるみィ?」
19090「ええ、ぬいぐるみの作り方を教わってから、色々なぬいぐるみを見ることが好きになりました」
一方通行「ほォ」
19090「例えばこのクマさん、どう思われますか?」サッ
一方通行「……鼻のまろみがいい具合だなァ」
19090「ではこちらのウサギさんは?」サッ
一方通行「縫い目がまろンでるな」ウン
19090「このように色々と見て回るのが楽しいのです」ニヘラ
一方通行「へェ、よかったじゃねェか」
19090「はい」
一方通行「せっかくだから好きなの選べ」
19090「え?」
一方通行「好きなの買ってやるっつってンだよ」
19090「い、いいのですか?」
一方通行「せっかく興味ある事ができたンだ、遠慮すンな」
19090「え、あ……じゃ、じゃあ……っ!」トテテッ
一方通行「落ち着けェ、ゆっくり選んでいいからよォ」
19090「こ、このクマさんがいいですっ!とミサカは指差します」
一方通行「……いや別にいいけどよ、等身大グリズリーのぬいぐるみなンてどこに置くンだよ」
19090「あう……そうでした」ショボン
19090「あ……」
一方通行「あァ?いいの見つけたのか?」
19090「このウサギさんとカエルさん……どっちも捨てがたいですね」ムムム
一方通行「……」
19090「……」ドーシヨッカナー
一方通行「もォ両方買うぞォ」ヒョイ
19090「え、あ……いいのですか?とミサカは確認を取ります」
一方通行「選べねェンなら両方買えばいいだろォがよ」
19090「あ、ありがとうございますっ!とミサカはぬいぐるみを抱き締めながらお礼を述べます」ギュゥ
一方通行「大事にしろよォ?」
19090「それはもう!」
一方通行「枕にしてヨダレまみれにするンじゃねェぞ?」
19090「うっ……し、しませんよぅ」
一方通行「ン、じゃまた次の授業でなァ」スタスタ
19090「あ……」
一方通行「……」スタスタ
19090「あ、あのっ!一方通行!!」
一方通行「あン?」
19090「あ、ああ、ありがひょ……ありがとうございまんたっ!」ペコリ
一方通行「……クカカッ、盛大に噛ンでるじゃねェか」
19090「ぁぅ……」
一方通行「どういたしましてェ、じゃまた明日の授業でなァ」フリフリ
19090「……はいっ!」
19090「……」ニヘッ
一方通行「はい、今日は皆さンの作ったぬいぐるみの発表会ですよォ」
一方通行「まず10032号ォ」
御坂妹「ミサカはケロヨンを作ってみました、とミサカは自信満々に出します」スッ
美琴「うわ!可愛いじゃない!」
結標「……すっごいわね」
19090「ミサカのも中々ですよ?とミサカも負けじとぬいぐるみを出します」スッ
御坂妹「あの短時間でよくぞこのクオリティを……」
美琴「ね、私のゲコ太も見てよ!ホラホラ!」サッ
19090「ちょっとほつれていませんか?とミサカは正直に感想を述べます」
美琴「うっ……これは、その……」グサッ
一方通行「オラ、結標ェ……お前も出せ」
結標「……」スッ
美琴「……こ、これは」
御坂妹「ほつれているというか、綿が全面的に飛び出していますね」
19090「もはやホラーの類です」
結標「うわぁぁぁぁんっ!だから出したくなかったのよぉぉぉぉぉぉ!!」
一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ
結標「ん……むぅ」
一方通行「いいじゃねェか、最初から上手く出来る奴なンか中々いねェ」
結標「……うん」
一方通行「できた作品はしばらく後ろの棚に飾りまァす」ハイ
19090「お、おぉー」パチパチ
美琴「なんだか照れくさいわね……」
結標「え、私のも!?」
一方通行「当たり前だろォが!甘ったれンじゃねェ!!」プンスカ
結標「公開処刑じゃないのよ!!」プンスカ
御坂妹「その後はどうするのですか?」
一方通行「ン、しばらく展示したら後は持ち帰っていいぞォ」
美琴「部屋にまたぬいぐるみが増えるわね……」
一方通行「なら携帯ストラップとか」ハイ
美琴「でかすぎるわよ!」
ーー
結標「ね、あなた宛になんか届いてるわよ?」
一方通行「あァ?」
結標「無記名の封筒ね、怪しいわ」
一方通行「ン」ビリビリ
一方通行「……」ジー
結標「……なにか危ない感じ?」
一方通行「……」
結標「ちょ、ちょっと?」
一方通行「……ちょっと出てくるわ」
結標「え、あと1時間で次の講座入ってるわよ?」
一方通行「すぐ戻るゥ」スタスタ
結標「うん、わかった」
結標(なんだろ……)
垣根「来たか」
一方通行「おォ、呼び出すのにわざわざ手紙たァ洒落てンじゃねェか」ザッ
垣根「……久しぶりだな、クソ野郎」
一方通行「オマエの事だから人質取って呼び出しすると思ったのによ」
垣根「はっ、今更そんなめんどくせぇ事するかよ」
一方通行「で、なンの用だァ?」
垣根「心理定規から聞いたぜ、寺子屋開いてるらしいじゃねぇか」
一方通行「寺子屋さン」
垣根「あ、寺子屋さン」ゴメン
一方通行「で?」
垣根「……平和ボケしてんな、オイ」
一方通行「……ンだとォ?」
垣根「随分楽しそうにやってんじゃねぇか、あ?」
一方通行「悪ィかよ」
垣根「いや?腑抜けきってるなら殺すのに手間かかんなくて助かるぜ」
一方通行「……やンのか?」
垣根「おぉ、リベンジマッチだ」
バサッ!
垣根「俺は!てめぇを殺してメインプランへと成り上がるんだ!」
垣根「構えろ第一位!一方通行よぉ!!」
一方通行「ヤダ」ハイ
垣根「」
垣根「…………え、何で?」
一方通行「だって1時間後に次の講座入ってるし」ウン
垣根「は?」
一方通行「色々教材の準備とかで忙しいンだよ、俺はァ」
垣根「てめぇ、ふざけてんのか?」
一方通行「あン?」
垣根「俺は地獄の底から復活したんだぜ?」
垣根「それなのにてめぇは、暗部に属しながら表の世界で店を開いてるときた」
一方通行「おォ」
垣根「ざっけてんじゃねぇ!てめぇは俺と同じ、裏の世界の住人だろうが!!」
一方通行「なら、表に生きればいいじゃねェか」
垣根「えっ」
一方通行「オマエも表の世界で生きればいいじゃねェかっつってンだよ」
垣根「はぁ?」
一方通行「つまりオマエは俺が羨ましいンだろォ?」
垣根「いやまぁ羨ましいか羨ましくないかで言ったら……いいなぁって思うけど」
一方通行「だろォ?」
垣根「いやでも表の世界って言われても……」
一方通行「あァ?」
垣根「正直ずっと裏の世界で過ごしてきたもんだからな」
垣根「表の世界で何していいかわからねぇ」
一方通行「オマエもなンか店開けばいいじゃねェか」ダラーン
垣根「……」
垣根「……それだ」ハッ
一方通行「俺だって今はグループでの仕事よりも寺子屋さンの方が楽しいもン」ウン
垣根「お、おぉぉ……開業か、そうだな」ウン
一方通行「オマエの特性を活かした仕事をすればいいだけだろォが」
垣根「俺の、特性?」
一方通行「そォだな……『垣根冷蔵』なンてどォだ?」
垣根「垣根……冷蔵だと?」
一方通行「冷蔵、冷凍倉庫だ、オマエならお手のもンだろォが」
垣根「……いい」ハッ
一方通行「冷蔵庫に関してオマエの右に出るものはいねェはずだ」
一方通行「この俺を含めて……な」キュピーン
垣根「一方通行ン……」
垣根「そうか!堅気の仕事をすりゃいいじゃねぇか俺!」
一方通行「おォ」
垣根「会社名は『ミスターチルドレン』とかどうだ!?」
一方通行「いやそれは別に面白くないです」ハイ
垣根「あ、そうか」ウン
一方通行「じゃ俺は行くぜェ」ダルーン
垣根「おう、ありがとな第一位」
一方通行「……頑張って冷やせよ」
垣根「ああ、俺の保冷剤に常識は通用しねぇとこを見せてやるよ!」ブンッ
一方通行「そのうち様子見に行ってやるからなァ」
垣根「ちっ、借りができちまったな」
一方通行「そォ思うなら冷蔵界で頂点目指せ、それで許してやるよ」スタスタ
垣根「ああ、やってやるよ」キュピーン
一方通行「じゃあなァ」スタスタ
結標「おかえりなさい、遅かったじゃない」
一方通行「おォ、垣根と話つけてきたァ」ゴロン
結標「えっ」
一方通行「ン?」
結標「垣根って……垣根帝督?」
一方通行「第二位の未元物質」ウン
結標「え!?じゃあ手紙は第二位からだったの!?」
一方通行「おォ」
結標「だ、大丈夫だった!?」
一方通行「なにが」
結標「いやなにがって……因縁の相手じゃない」
一方通行「アイツも開業するらしいから、そこまで警戒しなくて大丈夫だ」
結標「えっ?開業?」
一方通行「おォ、垣根冷蔵だ」
結標「」
結標「か、きね冷蔵?」
一方通行「あァ」
結標「そ、それってどういう流れでそうなったのよ……」
<こんにちは
一方通行「お、簿記教室の生徒共が来やがったなァ」
結標「まだ色々聞きたい事あるんだけど……」
一方通行「ン?」
結標「第二位の話をもっと詳しく聞かせてくれる?」
一方通行「あとでなァ」ゴロゴロ
結標(……土御門とか驚くわよね)
芳川「やっぱり就職するにしてもまずは資格からよね」ウン
一方通行「オマエの場合、社会復帰を先延ばしにしてる様にしか見えねェよ」
芳川「あら、甘くないのね」
一方通行「俺は甘いものが苦手なンだよ」
心理定規「おかえりなさい」
垣根「おう」
心理定規「どうだったの再戦は?」
垣根「え?」
心理定規「無傷の所を見ると圧勝だったのかしら?」
垣根「いや再戦してねぇけど」
心理定規「……は?」
垣根「え?」
心理定規「再戦してないって……何しに行ったの?」
垣根「いや、アイツに教えてもらう日が来るとはな」
心理定規「何が?」
垣根「楽しく生きる方法」
心理定規「」
垣根「俺も開業するぜ!」ハイ
心理定規「」
心理定規「……は?」
垣根「だから俺も開業するんだよ」
心理定規「え、どうして?」
垣根「第一位が俺に道を示してくれた」キュピーン
心理定規(この人こんなダメな人だったかしら)
心理定規「それで、なんのお店を?」
垣根「店っつーか……垣根冷蔵」
心理定規「垣根冷蔵?」
垣根「世界中を冷やしてやるぜ!」ブンッ
心理定規(ダメな人っていうか……バカ?)
垣根「ん?世界中を冷やす……?」
心理定規「どうかしたの?」
垣根「ちょっとすごい事思いついた」
垣根「パソコンあったよな?」
心理定規「え?ええ」
【すごい事考えたwwwwww】
1.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:TEITOKU
冷蔵庫開けっ放しにしたら冷却されて地球温暖化ストップするんじゃね?
2.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:HAMADURA
ちょwwww天才wwwww
6.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:SOGEBU
あれ?でもそれだと冷蔵庫の熱で地球の温度上がるくね?
16.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:ACCELERATE
それならその冷蔵庫を別の冷蔵庫で冷やせばよくね?
38.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:TEITOKU
>>16
鬼 才 あ ら わ る
42..以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:SOGEBU
じゃあその冷蔵庫の熱はどうするんだ?
56..以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:HAMADURA
>>42
さらに後ろから別の冷蔵庫で冷やす
62.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:ACCELERATE
もう輪になるように冷蔵庫配置すれば完璧じゃね?
63.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:SOGEBU
>>62
天才
64.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:TEITOKU
>>62
お前頭よすぎじゃね?
700.以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:AMATAN
なにこの天才のすくつ
ちょっと学会で発表してくる
【後編】に続きます。