ほむら「まどか」
まどか「何、ほむらちゃ……って、わあっ! 美味しそうなチョコレート!」
ほむら「一口千円するものよ。あなたにあげるわ」
まどか「ええっ!? いいの!?」
ほむら「もちろんよ」
まどか「でもどうして急にこんな良い物を私に?」
ほむら「実は宝くじに当たったの。だからその幸運をおすそ分けしたくなって」
まどか「宝くじに? あむあむ……おいしー。……それで、いくらぐらい当たったの?」
ほむら「アメリカの宝くじで……、日本円に変えると、大体、300億円ぐらい」
まどか「300億!?」
元スレ
ほむら「宝くじで300億円当てた」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303270314/
ほむら「誰にも言わないでね? あまり騒がれたくないから」
まどか「うんっ! もっちろんだよ!」
ほむら「それじゃあ私はこれで」
まどか「もう行っちゃうの?」
ほむら「ええ。渡したいものは渡せたから」
まどか「……待って! 行かないで!」
ほむら「まどか?」
まどか「せっかくだから、もうちょっとお話しようよ!
ほむらちゃんの方から私に話しかけてくれるなんて、そう無いことだもん」
ほむら「……。分かったわ」
まどか「ほむらちゃんから貰ったチョコ、美味しかったよ!」
ほむら「喜んでもらえてよかったわ」
まどか「綺麗な黒で、ふんわり甘い香りで……、まるでほむらちゃんのロングヘアーみたい」
ほむら「まど、か……?」
まどか「ねえ、ほむらちゃん」
ほむら(ど、どどどうしてそんなに近づいてくるのまどか!?)
まどか「私ね、前からもっとほむらちゃんと仲良くなりたいと思ってたんだ」
ほむら「!? だ、だ、駄目よ。あなたは私に近づきすぎてはいけない」
まどか「そんな寂しいこと言わないで……」
ほむら(な、涙目で上目遣い!?)
まどか「ね、いいでしょ? もっと仲良くなろうよぉ……」
ほむら「……分かったわ。あなたがそれを望むのなら、もう少しぐらいは」
まどか「わーい! ほむらちゃん大好きっ!」
ほむら「大好きっ!?」ドッキーン
まどか「あ……。てへっ、私ったらつい。恥ずかしいから……今のは忘れて、ね?」
ほむら(わわわわわ忘れられる筈ないじゃない!!!)
まどか「そうだっ! 手相を見てあげるね!」
ほむら「それには及ば」
まどか「いいから、ねっ」
ほむら(ああああああああ! まどかの手が私の手を握ってぇえええええ!)
ほむら(ふうっ、はあ、ふう……、お、落ち着け私、落ち着くのよ)
まどか「うーん。あ、金運よし! 健康運もある時を境に好転してる!
それでねぇ、ドッキドキの恋愛運だけど」
ほむら「……」
まどか「わあっ、すごーい! ほむらちゃん将来、オランダで結婚するんだって!」
ほむら(オランダ!?)
まどか「でもどうしてオランダなんだろうね? 何か日本じゃ駄目な理由があるのかな?」
ほむら「おっ、オランダは……」
まどか「オランダは?」
ほむら「どっ……、同性でも、け、結婚できる国、なの、よ……」
まどか「そうなの!?」
ほむら「……と、テレビでやっていたわ!」
ほむら(本当はネットで調べまくったのだけど)
まどか「そうなんだぁ! それならオランダでなら、私とほむらちゃんも結婚できるんだね!」
ほむら「まどかと結婚!!?」
まどか「え、えへへ……、例えばの話だよぉ……」
ほむら「……、ごめんなさい。つい取り乱してしまったわ」
まどか「ううん。私の方こそ、急に変なこと言ってごめんなさい」
ほむら「……」ドキドキドキ
まどか「……気、悪くしちゃったかな? 釣り合わないもんね、私なんかとほむらちゃん。
冗談でもこんなこと言っちゃ駄目だよね……、ごめんね」
ほむら「あ、謝ることはないわ。別に気を悪くなんてしていないから」
まどか「本当に?」
ほむら「ええ」
まどか「よかったぁ! 私、もしかしてほむらちゃんに嫌われちゃうんじゃないかと思って、気が気じゃなかったよ!」
まどか「本当はね、その……、手相を見て、もっと分かったことがあるんだ」
ほむら「どんなことが分かったの?」
まどか「ほむらちゃんの結婚相手の人のこと」
ほむら「っ!? く、詳しく聞かせてもらえないかしら」
まどか「うん。えっとね、ほむらちゃんの将来の結婚相手は……、二つ結びの髪型で」
ほむら「ええ」
まどか「ピンク色で」
ほむら「ええ、ええ」
まどか「ほむらちゃんのことが大好きな、そんな人だって」
ほむら「そそそそそそうなの。参考にさせてもらうわ」
まどか「……悔しいなぁ」
ほむら「えっ?」
まどか「あ、ううん。なんでも! ただ……、ほむらちゃんの将来の結婚相手に、ちょっと嫉妬しちゃうなって」
ほむら「そ、それには及ばないわ!」
まどか「ふふっ。嫉妬しちゃうことは自分ではどうしようもないよ。止められない。
ねえ……、どうして私がそんな感情を抱くのか、分かる?」
ほむら(まどかルート!? とうとう真まどかルート!?)
まどか「人間ってね。大好きな人がとられそうな時に、嫉妬、するんだよ……?」
ほむら「つ、つつ、つまり」
まどか「うん。私、ほむらちゃんのことがずーっと前から……」
ほむら「まどか……」
まどか「ね、ほむらちゃん。私の将来の夢、聞いてくれる?」
ほむら「えっ、ええ」
まどか「ひろーいお庭とプールのついた、20LDKのお家に住んでて」
ほむら(今の私の財力なら余裕だわ!)
まどか「ペットは……、そうだなぁ、ほむらちゃん犬と猫どっちが好き?」
ほむら「まど……、いえ、猫の方が好きよ」
まどか「……じゃあ、猫ちゃんを飼いたいな」
ほむら(い、今のはどういう意味なのまどか!? どうして私の好みに合わせたの!?)
まどか「それでね、私の隣を見ると、そこにはいつも……」
ほむら「……」
まどか「長い黒髪の、綺麗な女の子がいて」
ほむら(長い黒髪ってそれもしかしなくてもいや話の流れ的にえっとあのその)
まどか「そんな生活が送れたら、きっと、素敵だろうなって」
ほむら「……そ、そうね。凄くいい夢だと思うわ」
まどか「本当に?」
ほむら「ええ! 特に黒髪ロングの少女ってところが!」
まどか「ねえ、ほむらちゃん」
ほむら「なな何かしら」
まどか「私のお願い、一つだけ、聞いてくれる?」
ほむら「……きっ、聞かせて」
まどか「私の……、私の夢になって」
ほむら(きったぁああああああああああああああああああああああああ!!)
ほむら(い、いえ、でも落ち着くのよ私……)
ほむら(このままいっても、ワルプルギスの夜を乗り越えられなければ、
どうせループを繰り返すハメに……)
ほむら(……)
ほむら(何か、見落としていないかしら)
ほむら(他のループとは決定的に違う何かを……)
ほむら(この世界にしかない、ワルプルギスの夜を倒す為のカギを)
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「どうしたの、まどか? そんなに不安そうな顔をして……」
まどか「ほむらちゃんが、凄く悲しそうな顔をしていたから……」
ほむら「まどか……」
ほむら(そうよ! 私の傍にいるこの愛しい温もりを守るためにも、
私は今度こそワルプルギスの夜を乗り越える!)
ほむら「二週間後」
まどか「えっ?」
ほむら「この町に、ワルプルギスの夜という特殊な魔女が現れるわ」
まどか「ど、どんな魔女なの?」
ほむら「そうね……、何もかもがド級の、トップクラスに強大な魔女よ」
まどか「……」
まどか「戦う、つもりなの……?」
ほむら「ええ」
まどか「……勝てるの?」
ほむら「分からないわ」
まどか「それなら……、逃げよう、ほむらちゃん」
ほむら「……」
まどか「私にはほむらちゃんが一番大事! そんな危険な戦いはして欲しくない!」
ほむら「いいえ、駄目なのよまどか。逃げても逃げても、どこへでも現れて破壊をばらまく。
あれはそういう性質の魔女なのよ」
まどか「そん、な……」
ほむら「泣かないで、まどか」
まどか「うっ、ううっ、だってぇ……」
ほむら「……ワルプルギスの夜との戦いが終わったら、私、あなたにプロポーズするわ」
まどか「えっ……?」
ほむら「約束よ」
まどか「……うん、約束」
ほむら「あら大変。これで約束を果たすために、必ずあなたの元に生きて帰ってくる必要が出てきたわ。
約束を破るわけにはいかないから……、そうね、絶対に戦いに勝たなくてはね」
まどか「ほむら、ちゃん……」
ほむら「勝って戻るわ、まどか」
まどか「信じてる! 信じてるよ!」
―――ワルプルギスの夜、来襲当日
いーつーか君がー
ワルプルギスの夜「……」
ほむら「出たわね、ワルプルギスの夜! でも今回の私は一味違うわ」
ほむら「見なさい! 300億円をつぎ込んで裏ルートで買ったミサイル百基よ!」
ほむら「これを魔力で強化したうえで全部撃ち込めば……!」
ばひゅーんどーんがーんどんがんばーん!
ワルプルギスの夜「ぎゃー」
QB「訳が分からないよ……」
ほむら「ふふふっ! やった! やったわ!」
ほむら「やっとワルプルギスの夜を……、倒せ、た……」
ほむら「……」
ほむら「う、ううっ、ぐすっ……」
ほむら「ようやく、私、幸せに、なれるん、だ……」
ほむら「ミサイルの買い過ぎで文無しになっちゃったけど……」
ほむら「私には、帰りを待っていてくれるまどかがいる……」
ほむら「戻ろう、まどかの元へ!」
ほむら「まどか!」
まどか「ほむらちゃん! そっか……、ワルプルギスの夜に、勝てたんだね。私信じてたよ」
ほむら「うん。……うっ、ぐすっ、ひっく……」
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「今まで、辛かったよ……」
まどか「……うん」
ほむら「勝ててよかったよぉ……」
まどか「よしよし」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「いいんだよ。気持ちが落ち着くまで、ずっとこのままで」
ほむら「……うん。ありがとう、まどか」
ほむら「……取り乱してしまってごめんなさい」
まどか「ううん。そんなこと気にしないで!」
ほむら「やっぱりあなたは優しいわね」
まどか「えへへ、そんなことないよ」
ほむら「ね、まどか、約束……覚えてる?」
まどか「忘れるわけないよ」
ほむら「それじゃあ、今から約束を果たすわね」
まどか「うん!」
ほむら「まどかのことが好きです」
まどか「うん……」
ほむら「無愛想で、文無しの私だけど……、まどかを想う気持ちなら誰にも負けない」
まどか「……えっ? 文無し?」
ほむら「私と結婚を前提にお付き合いしてください!」
まどか「ちょっと待って、文無しってどういうこと」
ほむら「え?」
まどか「ほむらちゃん300億円持ってるっていってたよね? もしかして私に嘘ついてたの?」
ほむら「300億円は、その……、ワルプルギスの夜を倒すために使ってしまったから……」
まどか「……」
まどか「……ま、いっか」
ほむら「ま、まどか……?」
まどか「本当はさ、最初はお金目当てだった」
ほむら「えっ!? う、嘘っ!?」
まどか「ごめん、本当」
ほむら(き、気が付かなかった……)
ほむら「で、でも、それならどうして……」
まどか「……、20LDKプール付き一戸建ては無理でも……」
ほむら「……」
まどか「隣にほむらちゃんと猫がいる生活ぐらいなら、きっと文無しからでもなんとかなるでしょ?」
おわり
ハッピーエンドで終わってくれて良かった…