さや「おーいまどか」
まど「おはようさやかちゃん」
さや「昨日テレビでやってた肉じゃが美味しそうだったね」
まど「そうだね、パパも今度作ってみるって言ってた」
さや「おっ、まどパパの肉じゃがかー美味しそうだなあ」
まど「ウェヒヒ」
元スレ
まどか「おいしいねえほむらちゃん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1306914619/
先生「はい中沢くん!」
まど「中沢くんおいしいなあ」
さや「毎回毎回指名されてるよね」
先生「その通り!」
まど「先生と中沢くんってお似合いだよね」
さや「指向もあってるみたいだからひょっとすると……」
ほむ「暁美ほむらです、よろしくお願いします」
まど「綺麗な人……」
さや「ミステリアスガールって感じ?」
まど「うん、ん? 待って、暁美さんからいい匂いがする」
さや「なになに? 弄り甲斐があるようには見えないけど?」
まど「うーん」
さや「ひょっほー。マミさーん、元気してたー」
マミ「あ、美樹さん……」
まど「ご飯行きましょうごはん」
マミ「ええ……」
さや「夏になると糞熱いラーメンが食べたくなるのは何ででしょうね」
まど「ちょっとマズい位が丁度いいのもなんでだろう」
マミ「マズいのがいいの?」
まど「そういうものなんですよ海の家っていうのは」
マミ「海……?」
マミ「もう海なんて何年も行ってないわね」
さや「だったら今度私たちで行きますか?」
まど「あ、それとも他の友達といくのかな」
マミ「私他に友達いないから……」
さや「wwwwww」
まど「それじゃあ、休みがあったときに行きましょう」
ほむ「私も一緒に行っていいかしら」
ほむ「是非とも一緒したいわ」
まど「ほむらちゃんも一緒に行こうね」
マミ「あの……誰?」
さや「転校生ですよ、暁美さんです」
ほむ「暁美ほむらです」
マミ「よ、よろしく……」
ほむ「内向的なのね……」
マミ「ご、ごめんなさい」
さや「あたし的には、転校生はおいしくないんだけど」
まど「そうかな? 私はそうでもないと思うけど」
さや「マミさんの方が断然おいしいね」
さや「そもそも転校生とあたしキャラ、というか方向性がかぶりそうでヤダ」
マミ「え……暁美さんも、なの?」
ほむ「どういうこと?」
マミ「……」
さや「知りたい? 知りたいの転校生?」
マミ「ひっ!」
ほむ「いいわ、反応でわかったから」
さや「あっそ、次は体育だから無駄な体力使いたくないしね」
まど「あ、私おトイレ行ってくる」
マミ「行ってらっしゃい……」
ほむ「……ほむ」
さや「んじゃこの辺の片付け頼みますよマミさん」
マミ「え、ええ……」
さや「転校生はどうする?」
ほむ「この弁当箱の中が見えないのかしら」
さや「意外と食べるの遅いんだね」
ほむ「放っておいて頂戴」
さや「それじゃね二人とも、あ……マミさんは覚悟した方がいいかもよ?」
マミ「……」ビクビク
ほむ「安心しなさい、巴マミ。私は美樹さやかとは違う」
マミ「あ……」ビクビク
ほむ「どうしてイジメられているの?」
マミ「イジメられてないわ……」
ほむ「どう見てもイジメられているわ」
マミ「イジメられて……ない」
ほむ「……人に話すと楽になることもあるわよ」
マミ「大丈夫よ、私は、大丈夫」
マミ「辛いことも、苦しいことも、全部、昔終わらせたから」
ほむ「……そう、あなたがそのつもりなら私は何も言わない」
マミ「ええ」
ほむ「でも相談したいことがあるならいつでも言いなさい」
マミ「あり、がとう」
マミ「あ、あの……」
ほむ「ほむ?」
マミ「……なんでもないわ」
ほむ「そろそろ戻りましょうか」
まど「あれ?」
まど「誰もいない……」
まど「私のおべんとも持ってってくれちゃったのかな」
まど「……」
まど「お腹すいたなあ」
>>21今から変えるのはちょっとね
ほむ「まどか、話があるわ」
まど「どうしたのほむらちゃん?」
ほむ「美樹さやかと巴マミの事よ」
まど「二人がどうかしたの?」
ほむ「どうかしたって……美樹さやかが」
まど「さやかちゃんがどうかしたの?」
ほむ「おかしいと思わないの? まどか」
ほむ「あんなのどう見てもイジメだわ」
ほむ「止めさせないと。ヨクナイ事よ」
まど「うーん」
ほむ「巴マミを追い詰めては駄目だわ」
まど「私はあのままでいいと思うよ」
ほむ「まど……か?」
ほむ「まさかとは思うけど、まどかも、その……」
まど「私は何もしてないよ? する気もないし意味もない」
ほむ「それを聞いて安心したわ」
まど「安易に信じるんだねほむらちゃん」
ほむ「まどかがカラスは白い、と言ったらカラスは白いのよ」
まど「カラスは黒いよ、ほむらちゃん」
さや「マクドナルド寄って帰ろうか」
まど「そうだねえ」
さや「転校生も来る?」
ほむ「そうね、まどかが行くなら私も行くわ」
さや「それじゃ、マミさん呼んでくるから先行ってて」
ほむ「っ! 待って、巴マミは私が呼んでくるわ」
さや「何でさ」
さや「まだ学校にも慣れてないのにあんまりウロウロしないほうがいいんじゃない?」
ほむ「大丈夫よ、問題ないわ」
さや「って、言われてもねえ」
ほむ「迎えに行ってくるわ」
まど「ほむらちゃん、お店まで案内するからさやかちゃんに任せて先に行こう?」
ほむ「でも……」
まど「私がほむらちゃんを案内してあげたいの」
ほむ「し、仕方ないわね」
まど「はい、ここだよ」
ほむ「ええ」
まど「あれ、知ってるの? もしかしてこういうの好きだったり?」
ほむ「たまたま知っていただけよ、ジャンクフードはあまり好きではないわ」
まど「そっか、ほむらちゃんは入院してたんだったね」
ほむ「でも、食事を制限されているわけではないわ、まどかの手料理なら何でも食べるわよ」
まど「そうなんだ、じゃあ今度料理の練習するときには味見してくれる?」
ほむ「願ってもない事だわ」
まど「ウェヒヒ」
まど「あ、二人ともこっちこっち」
さや「おまたせー」
マミ「おまたせ……」
ほむ「ポテトが山盛りなのはなぜかしら」
さや「マミさんポテト大好きなんだよ」
マミ「ええ、そうなの」
ほむ「ほむ……」
さや「ほら、マミさん食べて食べて」
マミ「あむあむ、……塩辛いわ」
さや「ズっ、ズズズっ……ほらもっと食べてマミさん」
マミ「モグモグ……うぅ喉渇いてきたわ」
さや「ズズーっ、ぷはっ」
マミ「あ、私のコーラ……」
さや「ごめんごめん、全部飲んじゃった」
ほむ「なんて地味な嫌がらせなの……」
さや「いやー、マミさんのせいでお腹タプタプだわー」
マミ「ご、ごめんなさい」
ほむ「どうしてあなたが謝ってるのよ、ほら私のジンジャエール飲みなさい」
マミ「ヒリヒリ、ありがとう暁美さん」
さや「なんなのよ……」
さや「あんた……何様のつもり」
ほむ「不当な扱いを受けていると思っただけよ」
ほむ「巴マミがあなたに何かしたのかしら?」
さや「そんなのっ!」
さや「あんたには関係ないでしょ……」
ほむ「目の前でイジメられてるのに目を瞑るなんて私にはできない」
さや「関係ないって言ってる!」
ほむ「あなたは寝室のゴキブリを無視して眠れるのかしら」
マミ「やめてっ!」
マミ「友達同士で喧嘩、しないで」
さや「別に友達でもなんでもない」
ほむ「珍しく気が合うわね」
さや「……もういい、あたし帰る」
さや「行こうマミさん」
マミ「え、ええ」
ほむ「待ちなさい巴マミ、美樹さやかに付いて行く必要なんてないんじゃないかしら」
マミ「それでも、私行かなくちゃ」
ほむ「気が弱いのに強情なのね」
まど「あれ? おトイレから帰ってきたらほむらちゃんしかいない」
ほむ「わけがわからないわ」
まど「それ私のセリフだよ」
ほむ「帰りましょう、まどか」
まど「うん」
ほむ「どう対処すればいいのかしら……」
まど「?」
ほむ「!?」
ほむ「まどかここから離れて!」
まど「何? わわっなにこれ」
ほむ「!? 結界が大きい」
ほむ「まどか、私の後ろに隠れていなさい」
まど「う、うん」
まど「わっはだか!」ゴクリ
まど「変身した……どういう事なのほむらちゃん」
ほむ「話はあとよ、まずはこいつを殺してから」
まど「すごい! あっという間に倒しちゃった」
まど「これってどういう事なのほむらちゃん」
ほむ「今のは魔女……人を呪う存在」
ほむ「私はそれを殺す魔法少女」
まど「すごいねほむらちゃんそれにその服もかわいいね」
ほむ「ほむぅ」
まど「ほむらちゃんのおかげで助かったよ」
まど「ありがとう命の恩人だね」
ほむ「ほむんほむん」
まど「ウェヒヒヒ、カッコイイなぁほむらちゃん」
ほむ「私がまどかの憧れの的ですって!? たまらん」
さや「おはようまどか」
まど「さやかちゃんおはよう。もう、昨日はヒドイよ」
まど「急にいなくなっちゃうんだもん」
さや「ごめんごめん、色々あってさ」
まど「そうなの?」
さや「転校生から聞いてないの?」
まど「うん」
さや「……そっか」
ほむ「巴マミ、話があるわ」
マミ「何、暁美さん?」
ほむ「ソウルジェムを見せなさい」
マミ「え、どうして知ってるの?」
マミ「まさか暁美さんも?」
ほむ「ええ、私も魔法少女よ」
マミ「そうだったの……」
ほむ「全然濁ってないわね、意外だわ」
マミ「そうなの?」
ほむ「ひとまずは安心といったところね」
マミ「?」
ほむ「同じ魔法少女でなければ話せないこともあるわ」
マミ「どうしてそこまでしてくれるの?」
ほむ(昔の私に似ているからよ……)
ほむ「授業が始まってしまうわ、そういう事だから、それじゃ」
さや「……」
数日後
さや「最近、転校生と仲いいですよね、どういうこと?」
マミ「そんなことない」
さや「そんなことなくない」
さや「どうしてかな、こんなのおかしいよマミさん」
マミ「うぅ……」
さや「マミさんなんかもういらない、消えちゃえばいいんだ」
マミ「あ……私」
さや「いい、あたし次体育だからあたしが先に出て行く」
ほむ「ほむん! ほむん!」
まど「すごいよほむらちゃん! 日本レコードだよ!」
ほむ「ほむむん!」
さや「はぁ……」
さや「なにやってんだろ、あたし」
グシャ
きゃあああああああああああああ
さや「な、何!?」
おい誰か救急車!
あと警察も速く!
さや「え……え?」
上から落ちてきたんだって
嘘、自殺?
ほむ「!? 巴マミ!」
ほむ「ソウルジェムは……ふぅ、無事みたいね、よかった」
女1「大丈夫なのかな」
男1「いや駄目だろ、やべえってあれ……」
女2「下コンクリートだもんね……」
男2「グロとかマジ勘弁、まだ生きてる? リョナじゃねえかたまんねえな」
……
ほむ「すみません、これ彼女の大切なモノなんです」
ほむ「近くに置いてあげてくれませんか……」
さらに数日後
ほむ「魔法少女でなければ即死だった」
ほむ「一命は取り留めたらしいわ」
まど「よかった……」
ほむ「でも、目を覚まさない……」
さや「……」
さや「……」
まど「さやかちゃん?」
まど「え、さ、さやかちゃん!? 大丈夫!?」
さや「……」ポタポタ
まど「さやかちゃん、おしっこ……気付いてないの?」
さや「……」
まど「と、とりあえず保健室連れていかないと」
ほむ「待ってまどか、私が連れて行く」
ほむ「美樹さやかと話があるから」
男2「おしっこの後始末なら俺に任せろ!」
まど「さやかちゃん、やっぱりまたおかしくなっちゃった……」
ほむ「あなたのせいね」
さや「……」
ほむ「巴マミが飛び降りたのはあなたのせい」
さや「あんたに……」
さや「あんたなんかにあたしとマミさんの何がわかるっていうの!」
ほむ「あなたは巴マミの秘密を知らないわ」
さや「知ってるわよ」
さや「マミさんが魔法少女だってことぐらい」
さや『恭介が死んで』
さや『あたしにはもうなにも残ってない……』
さや『どうして恭介が……』
さや『あたしが代わりに死ねば良かったのに……』
魔女『じゃあ、死んじゃえばいいんだよ』
さや『そうだね……』
心が空っぽだ
マミ『あなた、大丈夫?』
さや『誰?』
マミ『巴マミ、魔法少女よ』
マミ『……私たち、とっても似てるわ、友達になりましょう』
さや『気休めはやめてよ』
さや『どうして助けたの』パンッ
マミ『いたっ……』
さや『どうして死なせてくれないの』パンッ
マミ『いたっ……』
さや『あたしだって痛い……』パンッ
優しくされると心が痛い
マミ『あなた、とっても悲しい顔していたもの』
もう空っぽだと思っていたのに、心が痛い
さや「あたしとマミさんは、互いに傷つけ合わないと生きていけない」
さや「心が壊れているから」
さや「あたしたちは互いに支えあっていたんだ」
さや「それを邪魔したのはあんた」
さや「マミさんがあんな風になったのはあんたのせいだよ」
さや「あんたのせいだ」
ほむ「……」
ほむ「言いたいことはそれだけかしら」
さや「なんだって!」
ほむ「話を聞いたら何よ、あなた達の傷が何?」
ほむ「当時とは関係性がたいぶ変わっているようだけど」
ほむ「本当はあなた達の傷なんてとっくに癒えているんじゃないの?」
ほむ「二人の関係が変わってしまうのが怖かっただけじゃないの?」
さや「っ」
ほむ「巴マミが目を覚まさないのはあなたのせいだわ」
ほむ「魔法少女はソウルジェムさえ無事なら死ぬことはない」
ほむ「目を覚まさないのは他の要因がある」
ほむ「あなたなら巴マミを目覚めさせられるはずよ」
ほむ「ほら、ぼうっとしてないで行きましょう、巴マミの所へ」
さや「で、でも」
ほむ「病院に着くまでに、二人の関係がどうあるべきかよく考える事ね」
まど「あっ」
ほむ「まどか、聞いていたのね」
まど「う、うん心配だったから……」
ほむ「まどかは二人の事知っていたの?」
まど「うん、知ってた……」
まど「さやかちゃんとマミさんはね、昔はもっと傷つけあってたの」
まど「私そんなの耐えられなかった、だからせめて身体に傷を残さないようにって」
まど「一見イジメ程度のものに抑えてもらったの」
まど「二人の関係を歪なものにした私にも責任があるよね」
さや「いいよ、まどか。むしろ感謝したいくらい」
さや「まどかがいなかったら、今のあたし達はなかったよ」
さや「あたしマミさんの所に行ってくる」
ほむ「決まったようね、なら私は邪魔かしら」
まど「頑張ってさやかちゃん!」
さや「ありがと、まどか、ほむら」
まど「これを狙っていたの?」
ほむ「そんなわけないでしょ」
ほむ「そもそも二人がここまで歪んだ関係だったなんて思いもしなかったわ」
ほむ「ただ美樹さやかを糾弾したかっただけ」
まど「たとえそうだったとしてもほむらちゃんはすごいよ」
まど「私では二人を救えなかった」
ほむ「もっと褒めてまどか」
さや「マミさん……」
さや「あたしだよ」
さや「目、覚ましてよ」
さや「ごめんね、マミさん……」トンッ
さや「あたし、忘れてた」
さや「マミさんがいないとあたしは駄目なんだって」トンッ
さや「あたしってほんとばか」
さや「みんなで海に行こうって言ったよ、マミさん」トンッ
さや「マズいラーメンを一緒に食べたいよ」
さや「マズいねって言いながら4人で……」トンッ
さや「まどかはおいしいねえ、なんて言うかもしれないけど……」
さや「マミさん……マミさんっ」
さや「目を覚ましてよ……」
さや「あたしを置いて一人でいかないでよ……っ」トンッ
いたっ
マミ「痛いわ……美樹さん」
さや「マミ……さん?」
マミ「私……生きているのね」
さや「よかった……よかったよぉマミさん!」
マミ「私、夢を……見ていたわ」
マミ「美樹さんと初めてあったときの夢」
契約を交わし魔法少女になった
命は取り留めたけれど私はすべてを失った
家族も、日常も、もう戻ってこない
毎日毎日魔女を狩り続けるだけの日々に意味はあるのだろうか
神経は擦り切れてもう痛みも感じない、私の生に価値はあるのだろうか
ある日、結界に迷い込んだ女の子がいた
悲しげで虚ろな表情、まるで心を無くしたよう
さや『気休めはやめてよ』
この子は私とよく似ている
さや『どうして助けたの』
痛い
さや『どうして死なせてくれないの』
痛い?
この子の痛みが伝わってくる、もう無くしたと思っていた痛みが
確信した、この子のために私は今まで生きながらえていたのだと
マミ『あなた、とっても悲しい顔していたもの』
この子が私を必要としなくなるまで、もう少しだけ生きていよう
マミ「美樹さんが私の生きる意味だったわ」
マミ「もう大丈夫よね、私の役目は終わったわよね」
さや「ダメだよマミさん、あたしまだ無理だよ」
さや「あたし教室でおしっこ漏らした」
マミ「え」
さや「しかもそれに気付かなかった、マミさんの事しか考えてなかったから」
マミ「私はまだ、美樹さんの側にいていいのね」
さや「うん」
マミ「私にはまだ生きる意味があるのね」
さや「うん」
マミ「私、美樹さんの笑ってる顔、初めて見たわ」
さや「あたしも、マミさんの涙を見るの初めて」
マミ「フフッ」
さや「あははっ」
これからは焦らずのんびり生きましょう
ゆっくりと歩くような速さで
さやか編 完
まど「おーい、仁美ちゃーん」
女n「はい?」
まど「あ、すみません人違いでした……」
まど「そうだった……もう仁美ちゃんはいないんだ」
あれから、美樹さやかと巴マミの関係は良好
共依存してはいるが極めて安定的といえる
互いを傷つけることで存在を証明するのではなく
互いのために生きることに意味を見いだしている
二人のことはもう二人で解決できるだろう
これで心置きなくまどかに専念できるというものだわ
まど「ほむらちゃんおはよっ」
ほむ「おはようまどか」
今日もまどかはその愛くるしい姿を私の眼に焼きつかせてくれる
この幸せな日々がいつまでも続いてくれればどれだけ幸福だろうか
まど「ウェヒヒ、海楽しみだね」
ほむ「ええ、まどかは水着どうするの?」
まど「ママに見立ててもらったよ、ほむらちゃんは?」
ほむ「私はまだ……」
本当は去年の水着で行くつもりだったが
ほむ「一緒に選んでもらえないかしら」
まどかには少しでも可愛い私を見てもらいたい
まど「うん、それじゃあ帰りにお買い物行こうね」
計画通り
まど「あ、さやかちゃんとマミさんだ」
ほむ「今日も仲が良さそうね」
まど「……いいなあ、羨ましい」
ほむ「?」
まど「えいっ」
ほむ「!?」
まどかが私の手を取りギュッと握った
まど「えへへっ、手繋いじゃった」
有頂天である
そのまま手のひらにしっとりと汗を滲ませ学校まで
今日はもう手を洗わないかも知れない
クンクン……まどかの匂い……
ほむ「はふ……ほむぅ」
これが幸せの香りなのだろう
まど「ほむらちゃんはどんな水着がいいの?」
ほむ「まどかの見繕う水着ならどんなモノでもかまわないわ」
まど「それじゃあ決められないよお」
まどかの困った顔もまた愛らしい
ほむ「あまり詳しくないのよ、店で品物を直接見てみないことにはね」
入院生活は伊達ではない、海どころかプールですらろくに泳げず
水着姿を人に晒した経験はあまりに少ない
まど「私も気合い入れて選ばないと」
まど「ほむらちゃん、これなんかどうかな?」
ほむ「え」
ほむ「マイクロビキニはちょっと……」
まどかは私をいじめているのかしら
気合いの入れどころを間違えているわ
まど「じゃあこのビキニはどう?」
ほむ「それもちょっと……巴マミも来るんでしょう?」
まど「あー……」
まど「気にすることないよ」
まど「ほむらちゃんはほむらちゃんだよ」
フォローが身を刺すわ
まど「私はほむらちゃんて可愛くて綺麗な身体だと思うよ」
まど「ほら、そういう需要もあるよ」
ほむ「まどかは私を供給されたいと思う?」
まど「もちろんだよ、価格高騰しちゃうくらいだよ」
綺麗な曲線描いてあげようじゃない
まど「だからこの水着にしよう? すっごく似合うと思うから」
ほむ「わかったわ」
よく考えたらまどか以外の評価なんて価値の無いものだった
ほむ「紫の水着」
私のことをよくわかってくれている
まど「可愛いよ」
ほむ「ほむぅ」
ほむ「おはようまどか」
まど「おはよほむらちゃん」
ほむ「まどかの手料理が食べたいわ」
まど「約束してたね」
ほむ「今日まどかの家は大丈夫かしら」
ついでにお義母さまにあいさつ出来ればなおよし
まど「家はちょっと……パパ自分で作りたがっちゃうから」
ほむ「そう」
残念、でも
ほむ「なら、ほむホームでどうかしら?」
まどかの家で出来ないなら私の家に連れ込めばいいじゃない
まど「ほむらちゃんの家? 緊張しちゃうなあ」
ほむ「それには及ばないわ、自宅だと思ってくれてかまわない」
一緒に暮らしたいくらいだわ
ほむ「料理道具はこれで事足りるかしら?」
まど「うん、十分だよ」
ループを積み重ねていく内に料理も随分と出来るようになった
まどかの役に立てるだろうと息巻く
ほむ「さ、早速作りましょう」
まど「肉じゃが作るよ」
女性に作って欲しい料理、毎回一位争いじゃない
まどか……私を落とす気だわ……
まど「灰汁を取って……っとほむらちゃん味見してみて」
ほむ「ん……いいんじゃないかしら」
まど「ほむらちゃんの好きな味かな?」
ダメ……このままじゃまどかに即堕ちさせられちゃううう
ほむほむ陥落
ほむ「好きよ」
まどかの全てが
まど「エヘヘ、じゃあ隠し味にバターを入れて」
まど「はい、出来上がり!」
ほむ「美味しいわ、美味しいわまどか!」
これがまどかの味なのね
ほむ「全部食べてしまうのが勿体無いわね」
ほむ「保存しておきましょう」
まど「ダメだよ、ジャガイモはすぐにカビが生えちゃうから」
ジャガイモっ! 私の二晩寝かせたカレーがカビたのもそれが原因なのね……
ほむ「だ、大丈夫よ、魔法少女に不可能はないわ」
ほむ「まどかは食べないの?」
まど「え? あ、うん。ほむらちゃんに食べてもらいたくて作ったんだ」
まど「ほむらちゃんに全部食べてほしいな」
それはすごく嬉しい、けど
ほむ「まどかと食卓を囲みたい……」
まど「ほむらちゃん……」
まど「じゃあ、ちょっとだけ……」
まど「いただきます」
ほむ「ま、まって。あーん、してもいいかしら」
まど「ふぇっ、う、うん……」
Yes高須クリニック!
箸を持つ手が震える
ほむ「あーん」
まど「あーん」
新婚ってこんな感じよね、幸せ
まど「トイレ借りていいかな」
ほむ「ええ」
覗きに来いってことね、わかります
まど「ほむらちゃんは肉じゃがいっぱい食べてくれたら嬉しいなって」
二者択一……っ!
ならば私はまどかの望む方を選ぶわ
それに覗きがダメなら、残り香を嗅げばいいじゃない
まど「ずっと思ってたんだけど、ほむらちゃん何かコロンとか付けてるの?」
ほむ「どうして?」
まど「クンクン……ほむらちゃんすっごくいい匂いがする」
まどかが私の身体の匂いを嗅ぐ日が来るとは思いもしなかった
ほむ「何もつけてないわ」
まど「そうなの? じゃあ、体臭かなあ」
ほむ「あまり嗅がないで、恥ずかしいわ」
恥ずかしさよりも我慢できなくなる危険性の方が高い
まど「ほむルームも匂いが充満しててポワポワする」
まどかが帰ったあとトイレに篭ろうと思ったら
しっかり消臭スプレーを散布されていた
抜かりないまどかもまた素敵だと惚れ直した
仄かに残るまどか臭をオカズにして一日を終える
まど「うみー!」
ほむ「海ね」
さや「海だよマミさん」
マミ「フフ、美樹さんったらはしゃいじゃって」
さや「だってマミさんと海なんて嬉しすぎますって」
マミ「あら、美樹さん敬語はやめてって言ってるでしょ」
さや「だったらマミさんも早くあたしのことさやかって呼んでください」
ほむ「イラつくわ」
ほむ「正直共依存者が身近にいないから描写なんて出来ないわ」
ほむ「適当に遊んでるだけで勘弁して欲しい」
まど「ビーチバレーしようよ」
さや「先に泳いだほうがいいんじゃない?」
私の前でまどかの意見を蔑ろにするとはいい度胸ね
マミ「折角海に来たんだし泳がないと損だわ」
巴マミ、あなたまで……いったいどこまで愚かなの
まど「それもそっか、疲れちゃうと泳げないしね」
ほむ「ほむ……」
この雰囲気で言うのははばかられるのだけれど
ほむ「私、実は……泳げないの」
さや「泳げないのに何で来たのよ」
マミ「美樹さん、そんなこと言っちゃダメよ」
ほむ「まどかが行くって言ったから」
ほむ「理由はそれだけでは不足かしら?」
さや「なんでそんなに自信満々なのよ」
まど「ほむらちゃんを置いては行けないから二人で泳いできて」
さや「いいのまどか?」
まど「うん、ほむらちゃんと泳ぐ練習しようと思う」
ほむ「ほむっ」
泳ぎの練習なんてハプニング起こしてって言ってるようなものじゃない
マミ「そう? なら私たちで楽しんでくるわね」
パイタッチが最低限のノルマね
ほむ「うまく泳げないわまどか」
溺れるフリをしてまどかの胸に手を伸ばす
まど「大丈夫だよ、ちゃんと手を握ってるから安心して」
なかなかガードが固い、予定では次に水着の中に手を滑り込ませるはずが
ここは一気に間合いを詰めて胸に飛び込もう
ほむ「ほむほむっ」
まど「わあ、急にうまく泳げるようになったねほむらちゃん、すごい!」
ほむ「マドカァー!」
ふにっ
まど「ひゃん」
ミッションコンプリート
ほむ「ふう……」
まど「ちょっと疲れちゃってね」
もうすぐお昼だわ、小腹が空いてくる時間ね
ほむ「海の家に行きましょうか」
ほむ「あの二人も戻ってくるでしょう」
ほむ「海の家のラーメンはマズいに限るってどういうことよ……」
そんなこと誰が言い始めたのよ、美味しいに越したことはないじゃない
さや「わかってないなほむらは、常識ってものを」
ほむ「そんな常識は窓から投げ捨ててしまいなさい」
まど「ぽぽぽぽーい」
マミ「思ったよりは美味しいわね」
まど「先入観が味覚を左右してるのかも」
ほむ「まどか、美味しい?」
まど「おいし……うーん、なんて言ったらいいか」
さや「マズいって言ってもいいんだよ」
まど「それじゃあお店の人に悪いよお」
その言葉自体が答えだと思うわ、うっかりなまどかも可愛い
まど「ちょっと、おトイレ行ってこようかな」
まどかがトイレに行ったわ
今回は天秤に掛けるものなんて何も無い
マズいラーメンなんて比較するに値しない
トイレを覗く、それが正解、世界の真理
ほむ「私もトイレに行くわ」
マミ「行ってらっしゃい」
さや「胡椒かけたらちょっとはマシになるでしょ」
さや「よっと」
マミ「ひうっ」
さや「あ、ごめんマミさん……」
マミ「ううん、いいの、私も早く慣れないと、ね」
さや「ごめんね、マミさん」
マミ「謝らないで、焦る必要なんてないんだから……」
さや「うん……」
マミ「これじゃ、あべこべね」
ほむ「マドカァー!」
おっと、目立つような行動は避けるべきね
覗くなら断然和式に限るわ
洋式のちょこんと座った姿も妖精の様で可愛いけれど
和式は角度が違うのよ角度が
まど「ハァハァ……」
ほむ「!?」
まどかがトイレで喘いでいる
まど「うぅ……」
ほむ「ハァハァ……」
けしからん、これはけしからんですよ
まど「げげごぼぅおぇ……げほっげぼっ……」
ほむ「え」
これはまさかつわり?
安心してまどか、認知するわ
ほむ「あぅん」
興奮しすぎて壁に頭をぶつけてしまった
まど「!?」
ほむ「あ……にゃ、にゃあ?」
まど「ほむら……ちゃん」
まど「見られちゃったね……」
ほむ「つわ……じゃなくてそんなにラーメンが不味かったのね」
まど「えと、その」
ほむ「安心してまどか、残ったラーメンは私が処理するわ」
ほむ「まどかの安全は私が守る」
誓いを立てて好感度アップだわ
弱っている時は落ちやすいっていうものね
まど「ありがとう……ごめんね」
まど「クラスのみんなには内緒だよ」
ほむ「まどか調子が悪いみたいなの」
まど「だから砂浜で休んでるね、二人で遊んできて」
そう言って腰掛けるまどか
パラソルの下でのんびりと景色を眺めるだけの海でも
まどかと一緒なら、なによりも楽しい時間だわ
まど「ん……ぅ」
私の肩にまどかが頭を乗せ、体重をかけてくる
ほむ「そう……疲れちゃったのね」
寝息を立てるまどかを起こしてしまわないように髪をそっと撫でた
雨
まどかがいない
路地裏
私のセンサーが反応している
この先にまどかがいると
しかし同時に本能が警鐘を鳴らしている
この先に進んではいけないと
それでも私は進まなければならない
理性の本能も関係ない、それこそが私の使命だから
そして、後悔することになる、いっそ知らなければと
道の向こうには女性の肢体を貪るまどかがいたから
ほむ「まど……か? 何……してる、の?」
まど「ん、んん…ほむらちゃん……」
肢体、違う脳が理解を拒絶している、そうだ、あれは
肢体したいシタイ死体
まどかは人を食べていた
ほむ「なにっしてるのよっまどかあ!」
まどかから女性の死体を引きはがす
女性の首筋には魔女の口づけがしっかりと存在を主張していた
ほむ「これ……」
まど「うん、魔女の口づけ。この人魔女に殺されちゃったの」
まど「私、この人が殺されるまでずっと見てた」
まど「何もせずに、殺されるのを待ってたの」
まど「だってお腹が空いたから」
ほむ「わけがわからないわ……」
まど「私ね、人以外を食べられないの……」
まど「お腹壊しちゃうから」
まど「初めは我慢してた」
まど「普通の食べ物も頑張って食べてた」
まど「でもね、今では」
まど「咀嚼して食道を通って胃に落ちると」
まど「吐き気がするようになった」
まど「異物が入ってきたんだって、頭が勘違いしちゃうんだ」
まどかの頬に流れるソレが雨なのか涙なのか今の私には判別できなかった
ほむ「とりあえずここから離れるわよ」
冷静に、極めて冷静に対応する
まどかを刺激してはイケナイ
全てが壊れてしまう、まどかがそして私自身も
ほむ「ほむホームに行くわ」
結界を張っておけば普通の人には決して見つからない
まど「ほむらちゃんは優しいね」
しとどになったまでかを隅々まで拭く
ほむ「そんなことないわ、今まで気付けなくてごめんね」
まど「やっぱり優しいよ、そうじゃなきゃこんな普通でいられないよ」
私の感覚が麻痺しきっているだけ、何の自慢にもならない
まど「ん」
まどかの髪一本一本を撫で上げる
濡れた髪を乾かしても、血の臭いは消えなかった
まど「初めは仁美ちゃんだった」
まど「上条君が自殺して、引き篭もった仁美ちゃんのお見舞いに行ったの」
まど「仁美ちゃんは私を見てなかった、目が濁ってて何も見えてないみたいで」
まど「肩を震わせることも、身体を縮こませることもせずに」
まど「ただ空虚を眺めていたの」
まど「そんな仁美ちゃんを見ていたら、なんでだろうね」
まど「美味しそう、って思った……」
まど「衝動を……ううん、食欲を抑えられなかったの」
まど「そしてそのまま」
ほむ「もうやめてっ!」
ほむ「辛いなら思い出さなくていい、話さなくていいから」
まど「あ……私、泣いてる?」
まど「あ、ああ……うあああああぁぁぁっ」
まど「もういやだぁ、こんなのってないよ、あんまりだよ」
まど「もう誰も傷つけたくないよ」
ほむ「まどか……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「……」
ほむ「いるんでしょう、出てきなさいQB」
QB「呼んだかい?」
ほむ「まどかを……まどかを助けて欲しい」
QB「いいのかい? それは君の望むところではないと思うけど」
泣きじゃくるまどかを前に何を躊躇うことがあるだろうか
ほむ「まどかを守る私になるって決めたから」
方法を選んではいられない
ほむ「それが出来るのはQB、あなたしかいない……」
QB「そうか、じゃあまどか、君の願いは何だい?」
まど「私の……願い?」
まど「私の、人を食べたくない、食べなくていい身体に戻りたい」
QB「……」
ほむ「まどか……」
まど「それだけが私の願い」
QB「……」
ほむ「叶えてよ……インキュベーター」
QB「それは出来ない」
まど「え?」
ほむ「どういう事っ!?」
QB「暁美ほむら、君は知っているだろう」
QB「僕は君たちの希望を増幅させているだけに過ぎない」
QB「さらなるエネルギーを得るためにね」
それが……何だって言うのよ
QB「わからないかな、0には何を掛けても0にしかならないのさ」
QB「まどかは人を食べたくないなんてこれっぽっちも思っていないんじゃないかな」
まど「……そっか」
ほむ「まどか?」
まど「ごめんね、わけわかんないよね、気持ち悪いよね……」
嘘、嘘よ、まどかは……まどかはっ……!
まど「人を傷つけたくないのも、食べたいのも、どっちも本当」
まど「両方共なくしちゃうなんて私には出来ない……みたい」
まどかはあまりにも儚い
QB「まどか、願いが決まったらまた呼んでね」
まどかはうつむいたままで表情が見えない
ほむ「まどか」
聞こえていないのか、まどかは反応を見せない
ほむ「まどか」
まど「ほむらちゃん」
まど「私、お腹すいちゃった……」
まど「でも、そんなの嫌だよ」
二律背反
食欲を抑えられない
他人の尊厳を汚したくない
どちらもまどかそのものだ
まどか、あなたを救うにはどうすればいいの
どのような形であなたを受け入れればいいの
ほむ「そう……私は魔法少女、不可能なんて……ないっ」
ソウルジェムを強く握りしめる
ほむ「まどか」
声が震える
寒さ? 恐怖? 違う、これは緊張
例えるなら告白に似ている
ほむ「私を食べなさい」
まど「ダメだよ……私はほむらちゃんを傷つけたくない、誰よりも」
ほむ「巴マミがなぜあの状態から助かったのか」
ほむ「私と同じ魔法少女だったからよ」
ほむ「ソウルジェムとグリーフシードさえあれば肉体がどうなろうと死ぬことはない」
ほむ「そして肉体を何度でも再生させることが出来る」
ほむ「見なさい」
ほむスピナーから銃を取り出し、腕の関節を撃ちぬく、何度も何度も
ほむ「っっっっ!!!1」
ほむ「痛みだって……消せるっ!」
もげた片腕を掴みまどかに差し出す
ほむ「私を食べて、まどか」
人形の腕を持っている様な感覚、まるで現実感がない
まど「う、うぅ……ごめんね、ごめんねほむらちゃん……」
ほむ「謝らないで、私は嬉しいのよ」
ほむ「ようやくまどかと一つになれるんだもの」
自覚ある破滅、崩壊、終焉
服を脱ぎ捨てまどかの前に立つ
一糸纏わぬ生まれたままの姿を初めてまどかに晒す
まど「ほむらちゃん、綺麗」
指を絡めて優しく手を握り合う
まどかの瞳から様々な感情が入り乱れた涙がこぼれる
まどかの頬を伝う涙を舐めとりそのままキスをした
口唇を貪る
まどかが舌を這わせて私の口唇を噛みちぎった
溢れ出す血とまどかの唾液が混ざり合い甘美で官能的な味わいが脳を犯す
ほむ「へくちっ、へっへ……hPa!」
スーパーセルの時、気圧はどうなっているのかしら
まど「寒い?」
まどかが後ろからギュッと抱きしめてくれる
ほむ「あたたかい」
まどかに身体を擦り寄せる
色々な部分が熱を帯びる
ほむ「解体にはこの銃を使いなさい」
ほむ「大丈夫、マジカル弾丸よ、人体に影響はないわ」
魔力を纏わせれば大抵のことは出来る、魔法さまさまだわ
まど「ありがと」
まどかは躊躇わず私のこめかみを撃ちぬいた
片目が見えない、視神経がぷっつりと切れている
まど「ほむらちゃん、我慢してね」
挿入されるまどかの指
ずぶずぶと侵入していく音が耳に残る
まど「はい、取れた」
目玉は呆気無くまどかの手のひらに収まった
まど「あむ」
口に含まれる私の眼球
キャンディーを舐めるようにコロコロと転がされる
口内でたっぷりと眼球を遊ばせ潰れてしまわないように丁寧に飲み込まれる
脈動するまどかの喉には色気すら感じさせられた
まど「あ……はぁ、おいしい」
ほむ「よかったわね、まどか」
片目で立体的に見えないのが悔やまれる
まど「横になってほむらちゃん」
ほむ「こうかしら」
まど「違うよ、逆。これじゃあ脳漿が流れちゃうよ、勿体ない」
気付かなかった、痛みをシャットダウンするのも考えものだ
まど「はい、ひざ枕」
ほむ「ほむぅ……」
いい匂い、それにとっても柔らかい
まど「ぐちゃぐちゃにするよほむらちゃん」
こめかみの銃痕にまどかがマドラーを突き刺しグルグルと掻き混ぜる
まど「クリーミーになるように」
程よく混ざったところで今度はストローを挿し込み
まどかがががががががががががががががががががががががががががが
めをさますとからだがさいせいしていた
まど「ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね
ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね」
ほむ「まろか?」
まど「あっ……気付いたんだね、よかったよおほむらちゃん」
ほむ「おはようまろか」
まど「ほむらちゃん、おはよう」
わたしたちにのこされたかずすくないにちじょうてきしーん
あさのあいさつはたいせつ
わすれてはいけないにちじょうへのかいき
ぐりーふしーどのちょぞうはじゅうぶん
まだしばらくはまどかとふたりきりのじかんをおうかできそう
ほむ「まろかすきよ」
きすをする
したをからめだえきをこうかんする
べとべとにぬれたくちびるがなまめかしい
まど「ん、ふぁ……」
まどかがおくへとしんにゅうしてくる
そのまましたをからめとりひきぬかれる
せっしょくえんげ
まど「私も大好きだよほむらちゃん」
そのことばがあけみほむらにむけてなのか
たべものにむけてなのか
いちどのうみそをくずされたわたしにはわからなかった
頭がすっきりしてきた、シナプスが再形成されているようだ
ほむ「なんか気持ち悪い」
まど「ごめんね、私が脳みそをグズグズにしたせいで……」
ほむ「流石に脳みそは危険みたいね」
まど「もう頭を弄るようなことはしないよ」
まどかがその胸に頭から私を抱いた
ほむ「んー」
香りが鼻腔を満たす、幸せ
お腹をさばく
まど「わあ、ほむらちゃん体内脂肪少ないね」
世間的に言えば貧相な身体だと思う
ほむ「もう少しあったほうがまどかも嬉しかったでしょ?」
まど「ううん、ほむらちゃんは今のままでいてね」
まど「もう何かが変わってしまうのが怖い」
腸が漏れて床を汚した
数日何も食べてない腸は余計な物が何も詰まってない
これならまどかも存分に味わうことが出来る
まど「ずっずずう」
長くて太くいマカロニを食べている感覚だろうか
ほむ「どう?」
まど「新鮮で食感が残ってるの、素材そのものだからだけど」
まど「コリコリって弾力があっておいしい」
まど「喉渇いた」
大動脈を切断する
ほむ「噴水みたいだわ」
客観的な視点でしか見れない
まど「ごく……じゅ、じゅじゅじゅうーーーー」
血液が抜かれていく、虚脱感がまた私の快感を煽る
血が減りすぎて意識が遠くなった
まど「ほむらちゃん、おはよう」
ほむ「おはよう」
気だるい朝、ホテルでの目覚めもこんなのかしら
手の感覚がない、足も
まど「ごめんね、ほむらちゃんが起きる前にちょっと食べちゃった」
四肢を両断せれていた
ほむ「いいわよ、この身体はまどかのものだもの」
まど「んー、大好きほむらちゃん」
突然チャイムが鳴った
問題ない、居留守よ誰にも私たちを認識できない
さや「なに……これ」
さや「うおぇえぇええぇぇえぇ」
美樹さやか……そうだったわね、彼女や巴マミなら入ってこれる
ほむ「何しに来たの?」
さや「ううう……げほっうおええぇぇえぇ」
無理もない、食べかけの内臓、散らかった手足
まるでまどかを中心とした前衛的なオブジェのよう
吐瀉物を撒き散らすには材料が多過ぎる
さや「うう……どうして、こんな……」
ほむ「私たちのことは放っておきなさい」
ここはまどかと私の箱庭、誰も侵すことは許さない
ほむ「巴マミはどうしたの?」
さや「マミさんは……入院した」
ほむ「そう……」
魔法少女に幸福はない、いずれこうなるだろうと思っていた
ほむ「強迫性障害、といったところかしら」
さや「っ」
ほむ「今更後悔したところでどうしようもないわ」
さや「そんなの、ほむらだって同じじゃない」
さや「こんなの絶対おかしいよ、うっ、気持ち悪い……」
ほむ「あなたに私とまどかの何がわかるっていうの」
あなたにはわからないでしょうね
さや「やっぱり、あたしの思ってたこと当たってた」
さや「ほむら、あんたあたしとそっくりだよ」
さや「あの頃のあたしと」
さや「互いに傷つけ合わないと生きていることを証明できない」
さや「不器用だね」
ほむ「……もう帰りなさい」
さや「何もかも一人で抱え込んで、あたしでは二人を救えないの?」
ほむ「私たちは救われているわ、誰よりも幸せなのよ」
それ以上何も言わず美樹さやかは家路についた
まど「おいしいよ、ほむらちゃん」
まどかの血肉となって一つの個となる
これ以上の幸せを私はしらない
ほむ「幸せだわ、まどか」
唾液の交換
空腹を満たしたまどかは口唇をちぎることも舌を抜くこともしなかった
幸福の形は人それぞれ
ほむ「おいしい、まどか?」
当たり前の事を何度でも聞く
まど「ほむらちゃんはおいしいね、おいしいねえほむらちゃん」
この涙の味をまどかが知ることはない
ほむら編 完
258 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/06/02 05:15:30.50 4B77heaW0 131/133さや「ほむら、あんたあたしとそっくりだよ」
さや「互いに傷つけ合わないと生きていることを証明できない」
このセリフのためだけにさやか編を作ったんだごめんねさやか
そしてあんこちゃん本当にすまないあんこちゃん編は2レス分しか思いつかなかった
続かないあんこちゃん編
ゆま「わたしはただキョーコを助けたかっただけなのに」
ゆま「どうしてこうなっちゃったんだろう」
ゆま「絶望がわたしの心を食べていくの」
ゆま「苦しいよキョーコ助けて……楽に、して」
あん「おい、何なんだよこれ! てめえ、ゆまをどうしやがった!」
あん「おい、QB出てきやがれ!」
QB「呼んだかい?」
あん「どういうことか説明しろ! 知っていることを全部話せ」
QB「君にその覚悟があるのかい?」
あん「話せって言ってるだろ!」
…………
あん「はっ! そういう事か……」
QB「どこへ行くんだい杏子」
あん「決まってる、魔法少女狩りだ」
あん「絶望に飲み込まれるより、希望を持ったまま死んでいくほうがマシだろ」
あんこちゃん魔法少女狩り編 続かないむしろ誰か続けてくれ