1 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:18:08 dCn7IiAN0

「・・・わしは無視か小僧」

勇者「いやほら、どうせ行くなら『幼馴染の姫のため旅立つ勇者』の方が聞こえがいいじゃん」

「あのね・・・。一応勇者でしょあんた」

勇者「まあそうなんだけど」

「このクソガキめ、ちゃんと魔王倒せるんだろうな」

執事「ご主人様、一応公式の場ですので、そのような口調は・・・」

勇者「そこはまかせろ。こう見えて、一応勇者だから」

「ふん・・・。では行くがよい、勇者よ」

執事「勇者殿、装備は揃っておりますが、何分戦争の時の古い品でございます。ご使用には注意を・・・」

元スレ
王「行くがよい勇者」姫「気をつけて」勇者「姫のためなら」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328516288/

3 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:21:57 dCn7IiAN0

勇者「古いって言っても、使えるんでしょ?」

執事「そこは問題ありませぬが、最新式の防具には叶わないかと」

勇者「ふうん・・・。まあいいや。で、最初は何すればいいのさ」

「まあ仲間だろうよ。酒場だとか宿屋に行けば、腕利の一人や二人いるだろう」

勇者「なるほどね・・・。んじゃボチボチ行くわ」

「死んだら怒るからね」

勇者「それは死ぬより怖い」

執事「ではご主人様、次の謁見を・・・」

勇者「あれ、今日まだ謁見あるのか。王って暇そうに見えたけど」

「表に出ろくそガキ」

勇者「上等だローテク」

執事「ごほん!」

7 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:25:18 dCn7IiAN0

「ふん・・・。王の仕事も大変なのだぞ。特に今日の相手はな」

「隣国の大使よ」

勇者「ああ・・・。あの戦争の相手か」

「隣国ではこの国とは違う技術が発展しておるでな、それの技術提供を受けようとしておる」

「確か・・・科学、だったかしら」

勇者「大変だなお二人さん・・・。ま、勇者には関係のない仕事だわ。頑張るがよいぞ」

「お前しょっぴくぞ」

勇者「へいへい・・・。じゃ、ぼちぼち行くわ」

「・・・くそガキが、死ぬなよ」

勇者「おう。行って来る」

8 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:27:38 dCn7IiAN0

城下町 酒場

勇者「酒場に来るのも久しぶりだな・・・」

店主「おう、勇者じゃねえか!今日出発か?」

勇者「まあそんなとこだ。仲間探してる」

店主「それなら問題ないぞ。王様のお触れが出て、腕利はここに集まるようことになってる」

勇者「あの爺・・・。で、そいつらは?」

店主「奥にいるよ。みんないい面構えだ」

勇者「へえ・・・。楽しみだね」

9 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:32:00 dCn7IiAN0

戦士「お前が勇者か」

勇者「見たところ・・・っていうか、見たまんま戦士だな、お前」

戦士「おうよ。某街の格闘選手権で優勝した事もあるぞ。魔王成敗にはもってこいだ」

勇者「暑苦しいから保留にしよう」

戦士「なんだとてめえ」

勇者「他には・・・」

僧侶「あなたが勇者さま、なのですか?」

勇者「そうそう。でキミは」

僧侶「僧侶です。回復魔法や薬草に精通しています。あ、他にも、精霊を召還したりもできます」

勇者「ほう。それは心強いね。ぜひ同行してほしい」

僧侶「え!?わ、わたしでよいのですか?」

勇者「うん。かわいいし」

僧侶「!?」

11 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:35:45 dCn7IiAN0

勇者「あとは・・・」

戦士「俺俺」

勇者「・・・キミは?」

魔法使い「・・・魔法使い」

勇者「黒魔法と白魔法、どっちが得意だ」

魔法使い「・・・両方。ご要望とあれば、この酒場を粉みじんにする」

勇者「気に入った。仲間になってくれ」

魔法使い「・・・構わない」

勇者「これで三人。あとは・・・」

戦士「そぉい!!」

勇者「・・・お前アレだな、バカだろ」

戦士「何!貴様、俺を侮辱するか?」

12 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:38:44 dCn7IiAN0

勇者「・・・まあいいか。で、お前は何が得意なんだ」

戦士「格闘戦だ。それ以外はできん!」

勇者「ああ、脳筋だな、始めてみた」

戦士「納金・・・?金は持っていないぞ?」

勇者「気にするな。しかし戦闘が俺だけのなのも辛いか・・・。よし、お前でいいや。ついてこい」

戦士「でいいや?何か引っかかるな・・・」

勇者「では、この四人で行くとしようか」

せんしが なかまに なった
そうりょが なかまに なった
まほうつかいが なかまに なった

13 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:42:00 dCn7IiAN0



勇者「で、さっそく街の外に出たわけだが」

戦士「まずはどこに向かうんだ?」

僧侶「道なりに進むと、村に着きますね。稲作が盛んな場所です」

魔法使い「・・・」

勇者「じゃあとりあえずそこ目指そうか。魔王の城は北にずっと行ったところだし」

戦士「なあ、そろそろじゃねえか?」

勇者「何がだ?」

戦士「そろそろ魔物が出てきて、俺たちの実力を見せる場面が来るだろ?」

勇者「魔物?おい、アホ抜かせよ」

14 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:45:48 dCn7IiAN0

戦士「え?」

勇者「普通に考えて、人間側の総本山である城の周辺に魔物がいるわけないだろ」

僧侶「そうですね、いたとしたら、それは相当な手だれです。私たちじゃ勝てないかもしれません」

戦士「え?そ、そうなのか?俺はてっきり、外に出たら雑魚魔物が襲い掛かってくるものかと・・・」

魔法使い「・・・それはない。いるとしたら、野犬や山賊がせいぜい」

勇者「頼むぞ戦士・・・。いくら脳筋とはいえ、そんな非常識的なこといわないでくれ」

戦士(俺がおかしいのか・・・?何か釈然としないぞ・・・?)

勇者「でもほら、腕試しのいい機会が来たみたいだぞ」

やけん があらわれた
やけんB があらわれた

16 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:48:38 dCn7IiAN0

勇者「じゃ、三人とも腕見せてもらおうかな」

魔法使い「・・・話にならない」

まほうつかいは ひのまほう をとなえた

ボッ!!
やけん はじょうはつした

勇者「いや、お前オーバーキルだぞこれ・・・」

僧侶「なら・・・えい!」

そうりょは せいなるじゅもん をとなえた

やけんBは そうりょに なついた

勇者「おお・・・。戦わないで味方につけるとは」

戦士「俺の知ってる戦闘と違う・・・」

17 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:52:07 dCn7IiAN0

勇者「魔法使いの破壊力と僧侶の人柄はなんとなく分かった」

戦士「・・・」

勇者「うん、これなら魔物とも戦えそうだな」

僧侶「そんな、私はただこの犬を殺すのは可愛そうだなあと思っただけで・・・」///

魔法使い「・・・灰が残ってしまった。まだまだ修行不足」

戦士(俺、この面子に付いて来たの失敗じゃね・・・?)

勇者「戦士は・・・まあなんとなく戦い方分かるからいいや。さ、どんどん進むぞ」

僧侶「魔法使いちゃんはその呪文、どこで覚えたんですか?」

魔法使い「・・・いろいろ」

19 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:54:45 dCn7IiAN0

稲作の村

勇者「存外、あっさり着いたな」

戦士「まあ隣の村だしな。街道歩きゃ誰でもつくさ」

村長「もしやあなた様は、勇者様ではございませぬか?」

勇者「おう・・・?ずいぶん有名なんだな、俺」

僧侶「え?知らないのですか?勇者様のお名前はこの国全体に広まっているのですよ」

魔法使い「・・・有名人」

勇者「知らなかった・・・」

村長「助けてください勇者様!困っているのです!」

21 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 17:58:46 dCn7IiAN0

勇者「困ってる?どうしたんだ」

村長「実は西にある洞窟に、魔物が潜んでいるのです・・・」

魔法使い「・・・?」

勇者「魔物?こんなところに魔物だ?」

村長「はい・・・。数日前、突如洞窟周辺に魔物が溢れたのです。幸いこの村にまだ被害はありませんが、時間の問題かと」

戦士「やっとらしくなったじゃあねえか。おい勇者。ちゃちゃっと行って片付けようぜ」

僧侶「でも、こんなお城の近くに魔物だなんて・・・」

勇者「城に通報は?」

村長「いたしました。すると、『近日中に勇者が立ち寄るから頼め』と王様から・・・」

勇者「あのじじい・・・」

22 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:01:49 dCn7IiAN0

勇者「仕方ない、あのじじいに貸し作っておくか。みんな行くぞ」

戦士「へへ、ようやく腕が鳴るぜ」

僧侶「は、はい!」

魔法使い「・・・」

道中

僧侶「あ、あの、勇者様。勇者様はなぜ王様のことをじじい、などと・・・?」

勇者「ああ、育ての親みたいなもんなんだ。俺戦争で両親死んでるから」

僧侶「あ・・・」

勇者「いいよ。顔も覚えてないし。それに、じじいはいい人だしな」

戦士「信頼してるんだな、王様のこと」

勇者「ま、一応王だからな」

魔法使い「・・・」

23 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:05:23 dCn7IiAN0

洞窟前

勇者「見えるか?」コソコソ

僧侶「見えます」コソコソ

魔法使い「・・・低級魔族が五体。洞窟の警備・・・?」コソコソ

戦士「な、なあ。なんで俺たち、こんな物陰に隠れてコソコソしてるんだ?」コソコソ

勇者「そりゃお前。魔族相手に正面から行くのは自殺行為だろ。まずは戦況把握だ」

戦士(な、なんかこれも違う気がするぞ・・・?)

僧侶「どうしますか、勇者さま」

勇者「んー・・・。ああ、じゃあ名づけて、『粉砕!玉砕!大喝采!』作戦はどうだ」

戦士「嫌な予感がする・・・」

25 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:09:20 dCn7IiAN0

魔族A「!?」

勇者「どーも魔族の諸君。しかし、なんだってこんなところにいるのかねえ?」

魔族B「ぐるる・・・」

勇者「あれ、もしかして低級すぎて口も利けないのか?世間話もできないとは・・・」

魔族C「キシャァァァ・・・!!」

勇者「うーむ、これじゃ大喝采は無理かな・・・?お?」

低級魔族隊長「・・・何をしにきタ、人間メ・・・」

勇者「おお、少しまともそうなの見つけたぜ。でもそれはこっちのセリフだ」

低級魔族隊長「ここは我らノものダ、立ち去るがいイ」

勇者「いやそうもいかないんだよなあ」

26 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:12:25 dCn7IiAN0

低級魔族隊長「なら死ぬがいイ、おろかな人間メ」

「キシャァァァァ!!」「グルルルル!!」「バチバチバチ!!」

勇者「あ、もしかして俺のこと知らない?あー、悪い悪い、僧侶のやつが『国中に』なんていうから、てっきりみんな知ってるのかと思ってた。じゃあ自己紹介しないと」


勇者「俺が勇者だ。覚えとけ腐れ外道どもが」


低級魔族隊長「なニ・・・?」

勇者「魔法使いちゃん、もういいぞ」

カッ!!

28 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:15:32 dCn7IiAN0

ズドォォォォォォォ・・・

勇者「おーう。宣戦布告の花火にしては、ちょっと派手すぎたか?」

僧侶「勇者さま」タタッ

戦士「おいおい、これはどうだよ・・・」

魔法使い「・・・爆砕呪文。洞窟を塞がないために力抑えたから、この程度の火力しか出せなかった」

僧侶「上出来ですよ・・・。魔物が一匹も残っていませんし・・・」

魔法使い「・・・綺麗じゃない」しょぼん

勇者「まあまあ。とりあえず一発目はこのくらいにして、さっさと中入って終わらせようぜ」

29 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:18:28 dCn7IiAN0

洞窟内

僧侶「暗くて、ジメジメしてますね・・・」

戦士「・・・?なんだ?」

勇者「どうした?」

戦士「いや、何か嫌な空気がしたような・・・。この奥からだ」

勇者「嫌な空気・・・?感じたか?」

魔法使い「・・・」フルフル

僧侶「わたしも何も・・・」

勇者「・・・とにかく、先に進もう。奥に行けば、何か分かるかもしれない」

僧侶「あ、じゃあ・・・照明呪文を・・・」

まばゆい ひかりが あたりを てらす・・・

32 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:21:10 dCn7IiAN0

洞窟 最奥

勇者「あっさり着いたな」

僧侶「一本道でしたし」

戦士「嫌な空気・・・あの大穴の中から漏れてきてる・・・」

勇者「俺には分からんが・・・。確かにあの大穴は気になるな。調べてみようか」

魔法使い「・・・!!くる!」

ドン!!

僧侶「きゃ・・・!?あ、穴の中から何か・・・!?」

「グォォォォォォ!!」

戦士「こ、こいつは・・・!?」

勇者「ゴーレム!?」

34 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:25:11 dCn7IiAN0

ゴーレム「グォォォォォォ!!」

戦士「ゴーレムぅ!?なんでこんなところに!?」

魔法使い「・・・理由はあとっ!!」

僧侶「来ます!!」

勇者「上等!!」ブンッ!!

ガキン!!

勇者「固・・・斬れねえか!」

魔法使い「・・・ゴーレムの弱点は額の文字・・・!」

僧侶「文字・・・『Emeth』のことですか?」

勇者「くそ、まどろっこい!魔法使いちゃん、あいつ吹き飛ばせないか!?」ガキン!!

魔法使い「・・・洞窟ごと吹き飛ばしてしまう。石属性には炎も水もきかない」

勇者「あーもう!やるしかねえのかよ!」

37 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:30:29 dCn7IiAN0

ゴーレム「グォォォォォォ!!」ブン!!

戦士「ゴフッ!?」

勇者「戦士!!」

戦士「今のパンチは効いたが・・・!魂が篭もってねえぜ!!」

僧侶「よ、よくわからないけど、ダメージなし・・・?」

魔法使い「・・・気迫」

勇者「あの文字をどうすればいい!?」

魔法使い「・・・『E』を削る。そうすれば、ゴーレムは『meth』、死ぬ」

勇者「とはいえ、暴れ馬め、こう暴れられちゃ額なんて・・・」

僧侶「目には目、です!岩よ、万物の母なる大地よ、顕現せよ!!」

そうりょは 岩の精霊を 召還した!!

僧侶「押さえつけて!!」

岩の精霊「・・・!!」
ガシッ!!
ゴーレム「グォォォォォォォ!!」

48 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:34:25 dCn7IiAN0

勇者「動きが止まった!戦士!俺を投げろ!!」

戦士「投げ・・・!?そうか!投げ飛ばしてやるから、削ってこい!!」ガシッ!!

戦士「うぉおおおおおりゃああああああああ!!」

勇者「力いっぱい投げすぎだぁあああああああああああああ!!」

ゴーレム「!?」

勇者「ああああああああああああああ!!!!」

ガリッ!!!!

ゴーレム「」

バラバラバラ・・・

戦士「うわ、崩れだした!!」

魔法使い「・・・脱出!!」

僧侶「勇者さま、無事ですか!?」

勇者「戦士てめえコラァ!!死ぬかと思っただろうが!!」

僧侶「あああ、その話は後ですっ!!」

ガラガラガラ・・・!!

53 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:37:41 dCn7IiAN0

洞窟 外
勇者「ぜえ、ぜえ・・・」

戦士「ヒー、死ぬかと思ったぜ」

僧侶「洞窟、崩れちゃいましたね・・・」

魔法使い「・・・ゴーレムが暴れすぎ。これなら、洞窟ごと吹き飛ばした方が綺麗だった」

勇者「戦士てめえ!!誰が力いっぱい投げろって言った!!」

戦士「知るかボケェ!!投げろというから投げたんだ!!」

勇者「常識の範疇で投げろタコ!!」

戦士「人投げつけるのに常識もクソもあるかゴラァ!!」

僧侶「・・・と、とりあえず一件落着、かな」

魔法使い「・・・ハァ」

60 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:41:37 dCn7IiAN0

稲作の村

勇者「・・・というわけですまん。魔物は何とかしたが、洞窟は崩れてしまった」

村長「いえいえ、あの洞窟はむしろ洞穴のような小さなものです。無くなったところで、誰も困りませぬ」

戦士「なあ、ところであの洞窟の奥にあった大穴についてだけど」

村長「大穴?」

戦士「あれはなんだよ。嫌な空気が漏れてたけど」

村長「はて・・・?あの洞窟は行き止まりのはずです。穴など聞いたことがありません」

僧侶「洞窟の開けた場所に大穴が開いていましたけれど・・・」

村長「魔物どもがいずる前、そのような大穴は無かったと思いますが・・・」

勇者「・・・じゃあ魔物はあの大穴から出てきてた、ってことか?」

魔法使い「・・・可能性大」

64 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:45:14 dCn7IiAN0

道中

僧侶「あのまま放っておいていいのですか?」

勇者「あのじじいの事だ、明日には城の兵が調査しに来るさ。それより気になるのは、あの大穴だ」

戦士「ゴーレムはあの穴から出てきたよな」

魔法使い「・・・そもそも、こんなところにゴーレムがいるのは妙」

勇者「だな。ゴーレムって言えば、北の魔物の大地を警護してる魔王の戦闘用魔物だ。それがこんな城の近くにまで・・・」

僧侶「あの大穴と、何か関係があるのでしょうか・・・」

戦士「あの嫌な空気は忘れられそうにねえよ」

勇者「・・・今は何を考えても予測か。仕方ない、先を急ごうか」

僧侶「この先に行くと・・・鍛冶の街ですね」

68 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:48:37 dCn7IiAN0

夜 街道脇
勇者「野宿です」

戦士「あの稲作の村で一泊すればよかったじゃねえか」

勇者「いや、あんな城の隣村で一拍とか。勇者なめてるだろお前」

僧侶「まあまあ。この先野宿多くなるんでしょうし、今のうちに慣れておくのも悪くないですよ」

魔法使い「・・・経験は大事」

戦士「まあ、腹膨れて寝れればなんでもいいか」

勇者「それにしても、僧侶ちゃん昼間の岩の精霊にはびっくりしたよ。あんな上級魔法使えるのか」

僧侶「え?ええまあ。あそこは岩に囲まれていたので出しやすかったのもありますよ」ニコニコ

勇者「・・・なあ、僧侶ちゃんて年いくつ?」

僧侶「?十三ですが・・・?」

76 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:52:09 dCn7IiAN0

勇者「十三歳であんな魔法使えちゃうものなのか?」

魔法使い「・・・不可能ではないが、相当に厳しい」

僧侶「そ、そんなことないですよ。みんな勉強すればできるようになりますから」

勇者「なるほど・・・。あのじじいの言う『腕利』ってのは確かにそうだな・・・」

僧侶「わたしは西の大聖堂で育ちましたから、修行期間は長いんです」

魔法使い「・・・大聖堂。納得」

勇者「そんなすごいところなのか?」

魔法使い「・・・教団の総本山。精霊召還や簡易魔法の権威が集う」

勇者「・・・機会があれば行ってみたいもんだ」

80 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:55:44 dCn7IiAN0

戦士「ZZZ・・・」

勇者「魔法使いちゃんはどこで魔法を?」

魔法使い「・・・色々。多くの魔法使いに術を習った」

勇者「年は?」

魔法使い「・・・十八」

勇者「じゃあやっぱり魔法使いちゃんも若いんだな。それであんな破壊呪文使えるならすごいことだよ」

魔法使い「・・・修行中の身」

僧侶「わたしは破壊呪文の才能はないから、うらやましく思うんです」

魔法使い「・・・精霊術と破壊呪文は真逆の技術。両方の会得は不可能」

勇者「へえ・・・。魔法関連の知識はないから、興味あるな」

魔法使い「・・・簡単な回復魔法くらいは覚えておいた方がいい。何かと便利」

勇者「だよな。教えてくれよ」

82 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 18:59:16 dCn7IiAN0

ゆうしゃは かいふくじゅもん(小) をおぼえた
翌日

勇者「次の街は確か・・・鍛冶の町、だったよな」

僧侶「うん。戦争中には城に武器や鎧を提供していた街です」

戦士「興味あるな。この皮の服じゃ、魔物の攻撃を受けきれないかもしれないし」

勇者「俺もだ。この装備一式は旧式だからな、新調したい」

魔法使い「・・・買出しがしたい」

勇者「買出し?なんの」

魔法使い「・・・錬金術ようの素材」

僧侶「あ、わたしも薬草を少し仕入れたいです」

勇者「よし、じゃあ宿を見つけたら一日自由行動にしようか。どうせ着くのは夕方だしな」

89 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:03:44 dCn7IiAN0

同じ頃
「・・・では科学技術の提供は受けられない、と?」

大使「いえいえ、そうではございませぬ。ただ我らとしても技術の全てを公表するのはリスクが大きいのです」

「だから、既存の商品を売りはするが、肝心の部分はその、『ブラックボックス』とやらに隠すと?」

大使「は・・・。これはわが国の基本方針でございますれば、ご理解をいただきたく・・・」

「・・・。確かに貴軍の戦略兵器は優秀だが、我らがほしいのは兵器ではなく技術だ。もうあのような戦争は起こしたくない」

大使「存じております。我らとて同じことです」

執事(・・・)

「わかった。この件はまた後ほど詳しく話そうか」

大使「ははっ・・・」

(・・・父上はあの戦争をもう一度おこしたいのではないといっているのに・・・)

執事(・・・これが政治的な駆け引き、というものでございます)

100 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:07:32 dCn7IiAN0

鍛冶の町
勇者「ふいー・・・。着いた着いた・・・」

戦士「なかなか長い道のりだったな。敵こそ出なかったが」

僧侶「あとは宿を探して、今日は休みましょう」

魔法使い「・・・お風呂に入りたい」

勇者「おーけー。じゃ、宿探そうか」

同 宿
勇者「二部屋借りた。男女別だ」

戦士「借りれてほっとしたぜ・・・。野宿は寝つきが悪くてなあ」

勇者「嘘付けっ」

僧侶「わぁ、魔法使いちゃん、お風呂入ろっ!」

魔法使い「わ、わたしは一人で・・・」
タタタッ・・・

119 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:11:17 dCn7IiAN0

勇者「あの二人は見てて目の保養になるな」

戦士「お前年下好きかよ」

勇者「そうじゃないさ。けど、戦ってばっかだと気分が滅入るだろ」

戦士「そんなもんかねえ」

勇者「さて、今日はベッドでゆっくり・・・」

コンコン

勇者「?はい?」

「あ・・・。すいません、もしかして勇者様ではないですか?」

勇者「まあそうだけど」

「手紙を預かりました。あなたに届けるように、と」

勇者「手紙?誰から」

「初老の男性でしたが・・・名前は明かしませんでした。これを・・・」
ゆうしゃは なぞのてがみ をうけとった

183 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:25:04 dCn7IiAN0

戦士「なんだよ、それ」

勇者「手紙だってさ。俺のファンか誰かからだろうか」

戦士「ファンねぇ・・・」

手紙 本文
『魔物連中がお前の存在に気がついた。用心しろ、敵は魔物だけじゃない』

勇者「・・・間違いなくファンからだな」

戦士「警告みたいだぞ・・・?この前の宣戦布告がやりすぎだったんじゃないのか?」

勇者「かもな。けど、いつか知れちまうことだろ。気にしても仕方ないさ」

戦士「・・・だといいけど」


僧侶「・・・世界は不平等です」

魔法使い「・・・なに?」

僧侶「いいんです。今にわたしも、ないすばでえになるんですっ!!」

魔法使い「・・・?」

197 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:28:38 dCn7IiAN0

深夜
「・・・ここか?」

「間違いない。物音を立てずにヤれ」
キィィィ・・・

「・・・」ギラッ・・・

「・・・」こくり

「!」ドスッ!!

勇者「はずれだ間抜けども」

「!!」

「ぬ!?」

戦士「せぇいっ!!」
バキドカッ!!

207 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:34:14 dCn7IiAN0

連投になったすまん・・・

戦士「寝込みを襲うとはふてえ野郎だ」

勇者「戦士、明かりを」

黒装束A「く・・・」

黒装束B「・・・」

勇者「見たところ魔物じゃないな・・・。何者だ、って訊いても答えないんだろ?」

黒装束A,B「・・・」

戦士「埒が明かないぜ、勇者」

勇者「ふーむ。戦士、魔法使いちゃんを起こしてくれ」

戦士「・・・いやぁ、それはやりすぎじゃね?絶対子供には見せられない絵になるて」

勇者「起こせ」にっこり

戦士「・・・はーい・・・」

209 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:37:33 dCn7IiAN0

勇者「あのさ、お前らの身を案じていうけど。答えた方が身のためだぞ」


黒装束B「ふん・・・殺すなら殺せ。覚悟はできている」


勇者「あー、いや、多分死ねないと思う」


「おーい、魔法使い起きろ」

「!?キャアアアアア!!何してるんですか戦士さんっ!!」

「僧侶ちゃん落ちついて!俺は勇者に頼まれて魔法使いちゃんを起こし―――」

「・・・不潔」

「いやこれは違うそうじゃないって―――!!」
ドンッ!!


勇者「・・・」


黒装束「・・・」

210 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:41:08 dCn7IiAN0

戦士「」プスプス・・・

魔法使い「・・・で、何」

勇者「じつはかくかくしかじかでな、こいつら俺を殺しに来たようなのさ」

僧侶「殺しって、暗殺者ってことですか・・・?」

魔法使い「・・・で。私に何をしろと」

勇者「いやね、こいつら人間じゃん?人間が何で俺を殺そうとしたのか、気になるわけよ。でも話してくれないわけ」

魔法使い「・・・なるほど。つまり、それを聞き出したい、と」

勇者「そうそう。頼んでもいいか?」

魔法使い「・・・問題ない。すでにこの部屋には防音呪文が施してある。どれだけ騒いでも外には聞こえない」

僧侶「あの、何の話ですか・・・?」

211 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:45:20 dCn7IiAN0

勇者「あー、僧侶ちゃんは気にしないでいいから。さ、隣の部屋で寝てていいよ。外は俺が見てるから」

僧侶「え?で、でも・・・わたしだけ寝るというのは・・・」

勇者「なら、そこで黒焦げになってる戦士を介抱してやってくれ。手加減されてたとはいえ、彼女の魔法食らってるからダメージすごいと思うし」

僧侶「はあ・・・。分かりました、やってみます」

勇者「じゃあ頼むよ僧侶ちゃん。隣の部屋でね」

僧侶「はあい」

勇者「・・・さて、と。どうするんだ?魔法使いちゃん」

魔法使い「魔術には拷問用のものも多々ある。あまり綺麗じゃないけど」

勇者「じゃあそれ頼むわ」

魔法使い「・・・分かった。けど、それを見ないで」

勇者「へいへい。んじゃ、外にいるわ。終わったら教えて」

魔法使い「・・・分かった」

勇者「じゃあ、いい夢を、お二人さん」

212 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:48:52 dCn7IiAN0

戦士「・・・ぶほお!?」

僧侶「あ、目が覚めましたか?」

戦士「ここは・・・宿か?何が起きたんだっけ・・・?」

僧侶「ええっと・・・。丸焼き寸前、でわかりますか・・・?」

戦士「・・・。ああ・・・そうだった・・・。死ぬかと思ったぞあの女・・・」

勇者「目が覚めたか。もうすぐ朝だぞ寝ぼすけめ」

戦士「俺殺されかけたんたぞ!?起きただけマシだろ!!」

勇者「まあそうかもな。あの連中と違って、運がいいよお前は」

戦士「あの連中・・・?」

勇者「さて、そろそろかな?」

213 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:52:50 dCn7IiAN0

てくてく・・・
魔法使い「・・・終わった」

勇者「ご苦労さん。で、どうだった」

魔法使い「・・・端的に言えば、雇われたプロの殺し屋。妙な男に頼まれた、と」

僧侶「妙な男・・・?」

魔法使い「・・・詳細は不明。けど、間違いなく人間で、あなたを勇者だと知っている」

勇者「ふうん・・・。俺人間にも命狙われてるんだな」

戦士「けど、それじゃこの先オチオチ寝てもいられないのかよ」

魔法使い「・・・多分問題ない。襲撃の失敗は知れているはずだし、こちらにも手はある」

勇者「だそうだ。大方、宿屋とか野宿のキャンプ回りに防護呪文でも打ち付けるんだろ」

魔法使い「・・・そんなところ」

215 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 19:56:09 dCn7IiAN0

僧侶「それで、その、あの二人は・・・?」

魔法使い「・・・帰した。恐らくもう二度と殺人はできないと思う。物理的にも、精神的にも」

勇者「わるいな、そんな汚れ仕事」

魔法使い「・・・構わない」

戦士「で、これからどうするんだよ」

勇者「予定を少し早めたほうがいいかもな。今日の午前中に買出しを済ませて、夕方には出発しよう」

戦士「まあそうなるわな・・・。くそ、欲しいものが揃うといいけど」

勇者「とりあえず、今日は夕方まで自由行動だ。夕方になったら酒場で落ち合おう」

216 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:00:38 dCn7IiAN0

・・・
勇者「全員揃ったか?」

戦士「おう。買いたいものは買ったぜ」

僧侶「薬草も買えました。これで新しい薬を作れます」

魔法使い「・・・魔道書を買った。いくつか呪文を覚えた」

勇者「さて、それじゃ行こうか。僧侶ちゃん、次の町は?」

僧侶「ええと・・・。凄惨の湖の向こうまで街はありません。その先に貿易の街が」

戦士「凄惨の湖・・・?聞いたことあるな」

勇者「戦争で虐殺された村があったところだろ」

戦士「ああ・・・。そうだな、思い出したよ」

218 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:04:54 dCn7IiAN0

道中
僧侶「・・・魔法使いちゃん」ヒソ

魔法使い「・・・なに」ヒソ

僧侶「凄惨の湖って、何があったんですか?戦争のこと、あんまり知らなくて・・・」

魔法使い「・・・一時、攻め込んできた隣国軍の前線があった場所。村があったけど、略奪され、虐殺された」

僧侶「そんな・・・」

魔法使い「・・・後に王国軍が押し返して、その凄惨さから湖がそう呼ばれるようになった」

僧侶「戦争、ですか・・・」

魔法使い「・・・一説には、戦争で生まれた負が、魔物や魔王を産んだ、とも」

僧侶「・・・」

219 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:07:10 dCn7IiAN0

数日後 凄惨の湖

勇者「霧がかってるな・・・」

戦士「これが凄惨の湖か・・・」

魔法使い「・・・」

僧侶「・・・」

勇者「進もう。魔王を倒さないと、こんな場所がいくつも生まれるからな」

僧侶「・・・そうですね」

戦士「でもよ、こう前が見えないと、はぐれた時大変だぞ」

魔法使い「・・・ここは一本道。街道に沿って歩けば、抜けられる」

勇者「行くぞ」

220 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:09:35 dCn7IiAN0

・・・
戦士「・・・勇者」

勇者「ん?」

戦士「なんかさ、また嫌な空気を感じるんだが・・・」

僧侶「嫌な空気?あの時みたいな・・・?」

魔法使い「・・・警戒」

勇者「そうだな・・・。もし気のせいじゃないなら、気をつけるに越した事はない・・・」

・・・ガサッ

戦士「!?」

僧侶「い、今何か物音がしたような・・・」

221 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:12:23 dCn7IiAN0

勇者「俺にも聞こえたけど・・・。何も見えないな」

魔法使い「・・・全員警戒」

戦士「こんなところで何が出るっていうんだよ・・・」

僧侶「ま、まさか・・・幽霊とかじゃないですよね・・・?」

勇者「僧侶ちゃんがそれいうのかい・・・。でも幽霊だったらどうしようも、」
ゆらぁ・・・

魔法使い「!!勇者後ろっ!!」

「」ブン!!

勇者「うわっ!?」サッ!!

戦士「敵か!?」

222 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:15:07 dCn7IiAN0

「ぁ・・・」ずる・・・ずる・・・

戦士「え!?」

僧侶「こ、これって!」

勇者「性質悪いな・・・。こういう場所でゾンビってのは・・・」

ゾンビ「ぁ・・・ぅ・・・」ずる・・・ずる・・・

魔法使い「・・・死霊術・・・」

戦士「お、おい!こいつどうするんだよ!!」

魔法使い「・・・死霊術を扱えるのは、吸血鬼だけ。本体を探さないと」

勇者「とはいえ、前に進むにはこいつ倒さないと・・・!!」

223 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:17:59 dCn7IiAN0

勇者「・・・すまんけど、斬るぞ」

ゾンビ「ぁぁ・・・」

ザンッ!!

ゾンビ「」

勇者「・・・。吸血鬼、がいるって?」

魔法使い「・・・恐らく。これができるのは吸血鬼だけ」

勇者「胸糞悪いぞ・・・。腐れ外道が・・・」

魔法使い「・・・!勇者、もしかすると、」

勇者「?どうした」

魔法使い「この霧自体、吸血鬼の仕業かも」

僧侶「そういえば、吸血鬼は霧を操ると、何かで読んだような・・・」

224 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:21:58 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・もしそうなら、この霧・・・晴らせるかも」

戦士「どうやって?」

魔法使い「・・・全員下がって。霧を吹き飛ばす」
カッ!!

魔法使い「・・・爆砕呪文と水術呪文を組み合わせる」
ドゴォォォォ・・・

勇者「おお・・・霧が晴れた・・・」

僧侶「そうかあ、吸血鬼は日光と聖水と流水を嫌うから・・・」

魔法使い「・・・急いで進む。効果は短いし、夜になったら吸血鬼の天下」

戦士「行こう勇者」

勇者「僧侶ちゃん、このゾンビ、祈ってやれないか?」

僧侶「え?」

226 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:24:57 dCn7IiAN0

勇者「ゾンビとはいえ、元はここで虐殺された人だろ。あんまりじゃねえか」

僧侶「勇者さま・・・」

戦士「お、おい、時間ないって魔法使いが、」

魔法使い「・・・いい」

戦士「ええ?」

魔法使い「・・・考えれば、あんな化け物に屈するのは屈辱。受けて立つ方が性にもあっている」

戦士「ハァ・・・、わかった。けど急がないと、また霧が出てくるぞ」

勇者「頼む、僧侶ちゃん」

僧侶「は、はい。では、お祈りをささげます・・・」

228 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:29:11 dCn7IiAN0

村址 夜
勇者「廃墟だな」

戦士「ここがその村か・・・」

「・・・ここにくるべきじゃなかったな」

僧侶「!?」

吸血鬼「来なければ、私の晩餐になることもなかったろうに」

魔法使い「・・・吸血鬼・・・!!」

勇者「はぁん。お前が吸血鬼か」

吸血鬼「いかにも・・・。永劫の時を生きる夜の王・・・。どうだ、我が一族にならぬか・・・?」

魔法使い「・・・死んでも嫌。お前たちはただの化け物」

戦士「魔法使い・・・」

魔法使い「・・・消し炭にしてあげるから、かかってきな」

吸血鬼「おお怖いお嬢さんだ・・・。しかし、身の程を知らないようだ」

229 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:32:53 dCn7IiAN0

僧侶「!!勇者さま、囲まれています!!」

勇者「・・・この数・・・」

ゾンビA「ぁぁ・・・」
ゾンビB「ぅ・・・」
ゾンビC「ぉぉぉ・・・」
ゾンビD「あぅう・・・」

戦士「何人いるんだこれ・・・!?」

魔法使い「・・・貴様・・・」

吸血鬼「ここに眠っていた死者はすべて私の、いや、魔王様の忠実なるしもべだ」

吸血鬼「ふはは、無念のまま死んでいるより、よほどいい第二の人生だと思わんかね!?」

勇者「・・・なるほどな、よくわかった。要するにだ。お前はただ倒すだけじゃ足りねえな」

230 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:35:48 dCn7IiAN0

戦士「こいつは許せねえぜ・・・」

僧侶「あなたは・・・!!」

魔法使い「・・・私はあなたを許さない」

吸血鬼「吼えるがいいさ。さあ、饗宴の時間だぞ」

ゾンビ「うおおおおおおおおおおお!!」

勇者「この・・・っ!!」ザンッ!!

戦士「だぁああああああああ!!」バキッ!!

僧侶「風の精霊よ!!」ゴオオオ!!

魔法使い「・・・」

魔法使い「・・・っ!!」

231 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:40:04 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・焼いて殺して、その後で消し炭にしてやる・・・」

魔法使い「違う・・・消し炭も残さないで、ぶち殺してやるよ!!」

吸血鬼「ほお・・・。いい殺意ですね。自己抑制していましたか・・・」

魔法使い「―――爆ぜろ」

ッドガアアアアアアアア!!

勇者「うおお!?」

戦士「な、なんだ今の爆発!?」

僧侶「魔法使いちゃんが・・・!」

勇者「あー・・・あれは完全にキレてるな。ま、気持ちは分かるが」

戦士「くそ、このゾンビたち、意外としぶといぞ・・・!!」

勇者「魔法使いちゃんの邪魔をさせるな!このゾンビはここで食い止めろ!」

234 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:46:13 dCn7IiAN0

吸血鬼「ふ、ふははは!!素晴らしい!!まるで化け物だなんだこの魔力は!!」

魔法使い「―――」

吸血鬼「とんだ茶番だ!勇者ご一行に、とんでもない化け物が潜んでいたものだ!」

魔法使い「それ以上喋るなケダモノ。その汚らわしい声を耳に入れるな」

吸血鬼「素晴らしい・・・。ぜひともキミを我がしもべとしてみせよう!その細い首筋に、このキバをつき立ててやる!」

魔法使い「失せろ」
ドンッッ!!!!

吸血鬼「ごほ・・・!?ふ、はは・・・。い、今のは、効きましたよ・・・!!」

魔法使い「儀礼済みの呪文だ。身に染みるでしょう?まるで太陽の光のように」

吸血鬼「ふ、はは・・・。生意気な小娘だ。油断しましたよ・・・。ですがお忘れなく・・・。私は必ずあなたを闇に叩き落します・・・」

魔法使い「仕留め損なった・・・。身体だけはさすが頑丈ね吸血鬼」

235 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:50:22 dCn7IiAN0

吸血鬼「その日になってから・・・後悔するといい・・・」
バサバサバサ!!

魔法使い「・・・蝙蝠に変化して逃げた、か・・・」

勇者「魔法使いちゃん!」ダダッ

僧侶「無事ですか!?」

戦士「変化した・・・。あれが吸血鬼か・・・」

魔法使い「・・・少し疲れた。けど、これでここも静かになるはず」

勇者「ゴーレムの次は吸血鬼か・・・。どうなってるんだ?」

戦士「そういえば、あの変な空気はどこから・・・?」

ゴゴゴゴゴ・・・

僧侶「!地震、ですか!?」

勇者「いや、何かが崩れる音のようだが・・・」

236 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:53:49 dCn7IiAN0

戦士「!空気が消えた・・・?」

勇者「またか?何なんだ、そのいやな空気って」

戦士「いや分からないが・・・。なんかこう、くすんだ匂いというか、淀んだ感じというか・・・」

僧侶「淀んだ空気、ですか・・・。わたしにはわからないですけれど・・・」

魔法使い「・・・感知不能」

戦士「なんでだろうな、昔東の森に住んでたからかもしれないな。空気が澄んでたし」

勇者「意外な過去だが、まあいいか。とりあえず今日はここで一泊だ。僧侶ちゃん、すまないが祈りを頼む」

僧侶「あ、そうですね・・・。分かりました」

魔法使い「・・・」

239 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 20:56:51 dCn7IiAN0

・・・
勇者「よう」

魔法使い「・・・なに」

勇者「お前こそ何してんだ、こんな夜中に一人抜け出して」

魔法使い「・・・気まぐれ」

勇者「そうかい。・・・聞いてもいいか」

魔法使い「・・・何」

勇者「吸血鬼に、何か恨みでもあるのか」

魔法使い「・・・」

勇者「いや、言いたくないならそれでいいんだけどな。ちょっと気になっただけだし」

魔法使い「・・・個人的な怨恨。それだけ」

勇者「・・・そうか」

244 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:05:14 dCn7IiAN0

数日後 貿易の街 宿
勇者「着いたついた・・・」

戦士「さすがに疲れちまったぜ・・・。部屋借りれて良かった」

僧侶「魔法使いちゃんお風呂入ろお風呂」

魔法使い「や、だから私は一人で・・・」ダダッ

店主「みんなはこの街は始めてかい?」

戦士「ああ、そうだが」

店主「なら、占い術師様の占いを一度受けるといいよ。よくあたるから」

戦士「占いぃ?おいおい、そんな眉唾物信じてんのか?」

店主「最初はみんなそういうんだ」

勇者「面白そうじゃんか。あとで行ってみようぜ」

戦士「マジかよ・・・」

246 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:08:37 dCn7IiAN0

・・・
僧侶「占い、ですかあ!?」

勇者「お、おう。いやに食いつきがいいな」

僧侶「当然ですよ!占いなんて久しぶりだなあ・・・」

戦士「んなあほな。所詮占いだろ?」

魔法使い「・・・高度な時間術なら、未来を覗き見ることは不可能ではない」

勇者「へえ、そんなこともできるのか魔法って」

戦士「じゃあ占い術師ってかは魔術師じゃんか」

魔法使い「・・・そこは知らない」

勇者「じゃ、明日の一発目は占いだな。買い物はそのあとだ」

僧侶「わーい!」

247 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:12:16 dCn7IiAN0

同じ頃
「・・・どう思う」

執事「大使の話、でございますか」

「隣国は技術提供はしないが、商品は売るといっている。どころか、それを軍に配備するべきだ、と聞こえる」

執事「左様で。しかし意図が読めませぬな。果たして連中が何を考えておりますのか」

「・・・。連中の考えていることは一つなら分かるのだ」

執事「は・・・?」

「侵略、だろう」

執事「・・・あの戦争をもう一度、と?」

「いや、この国がほしいのだろう。鉱山資源や水が豊かなこの土地を」

執事「しかし、また戦争になれば・・・」

「うむ・・・。あの時は『勇者』がいたからこそ負けはしなかったが・・・」

248 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:15:26 dCn7IiAN0

執事「しかしその『勇者』ももうおりませぬ」

「・・・恐らくもう生きてはおるまい。問題は、隣国だけに留まらぬ」

執事「魔王、ですな」

「戦争終結後によもやあのような連中が現れるとは・・・」

執事「そちらの方は今代の勇者に期待するしかないでしょうな」

「魔王、それに隣国・・・。問題は山積みだな」

執事「・・・紅茶をお入れしましょう」

「うむ・・・」

249 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:18:17 dCn7IiAN0

翌日
勇者「で、ここが占い師の館か・・・」

戦士「なんかこう、いかにもって感じの、おどろおどろしい感じ・・・」

僧侶「いいですか?僧侶が最初に占ってもらうんですからね!」

魔法使い「・・・異論はない」

勇者「どれ入るか・・・」

貿易の街 占い師の館

勇者「すいませーん」

戦士「・・・留守か?」

占い師「いるよ」

戦士「うわあああああああああ!!!?」

占い師「人の顔を見て悲鳴とは、随分失礼なお供だね勇者」

250 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:21:42 dCn7IiAN0

勇者「俺のことを・・・?」

占い師「知ってるさ。あたしは占い師だ、今日この時間にあんたらが来るのは知っていたさ」

魔法使い「・・・時間術」

占い師「ま、種を明かしちゃうとそうなんだがね。こう見えて、昔はちゃんと魔術の修行をしたものさ」

僧侶「あ、あの!占って欲しいんですけど!!」

占い師「分かってる。じゃんけんで勝ったのだろう?最初はあなたからだ」

僧侶「わーい」

占い師「だがね、これからいうことは全員が聞かなくてはならないよ。全員が知っておくべきだ」

勇者「・・・?」

占い師「僧侶、戦士、魔法使い。お前たちは生きたいか?今のままで生きていきたいか?」

251 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:23:43 dCn7IiAN0

戦士「なんだそれ、どういうことだ」

占い師「そのままさ。これまでどおりに生きていたいかを聞いている」

戦士「当たり前だろ。死にたいやつなんてここにいない」

僧侶「です」

魔法使い「・・・同意」

占い師「そうかい。なら、お前たちは勇者を生かしたいかい?」

勇者「は?」

戦士「そりゃ、大事な仲間だし」

僧侶「いい人です」

魔法使い「・・・愚問」

252 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:27:21 dCn7IiAN0

占い師「覚えておくといい。お前たちはいつか、どちらかを失うことになる。そのままの生活か、勇者かを」

勇者「なに・・・?」

占い師「そして勇者。お前はこの三人を失えば死ぬことになる。決戦の時、お前を護るのはこの三人だ」

魔法使い「・・・話が読めない」

占い師「それでいいのさ。時が来たら、この意味も分かるようになる。今はそれでいい」

戦士「全然わかんねえぞ婆さん」

占い師「だから、それでいいのさ。・・・さて、じゃあ個人的な占いに入ろうかね。ここからは個別だよ」

僧侶「じゃ、じゃあお願いしますっ」ドキドキ

戦士「さっきの、どういう意味だ?」

勇者「わからん」

魔法使い「・・・不明」

254 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:30:04 dCn7IiAN0

占い師「あんたが一番知りたいことへのヒントをやろう。それ以上は自分で探すんだ」

僧侶「は、はい」

占い師「・・・この先に迷いの森がある。そこで、お前は見つけるだろう」

僧侶「!!・・・そうですか」

占い師「・・・その話は、勇者にはしておくといいよ」

僧侶「・・・分かりました。そうします・・・」

占い師「お前たちはみんなワケアリだ。今さら臆することはない」

僧侶「・・・」

257 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:33:29 dCn7IiAN0

戦士「で?何を占ってくれるんだ?」

占い師「あんたが一番知りたいことのヒントさ。後は自分で見つけな」

戦士「へえ?で、ヒントって?」

占い師「近い、とだけいっておこうか。お前が考えていることはもう近い。だが、回避もできる」

戦士「・・・どうやって?」

占い師「勇者の元を離れる」

戦士「それはできない」

占い師「なら、あとは流れのままだ。そうなるしかない」

戦士「・・・俺の運命は俺が決める。そんなものに縛られたりしない」

占い師「そう、あんたはそれでいいんだ。あとは、自分の道を行くといい」

261 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:37:10 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・」

占い師「・・・あんたはわかっているんだろう?私から言われることを、大体」

魔法使い「・・・かもしれない」

占い師「仇の吸血鬼のこと、だ。そう、あんたが出くわしたあの吸血鬼が、魔術の村の事件の犯人さ」

魔法使い「・・・やはり」

占い師「そしてあんたにかけられた呪いは魔王のものだ。それも知っているのだろう?」

魔法使い「・・・薄々」

占い師「でもあんたはその呪いを一度跳ね除けて見せたじゃないか。あの湖で」

魔法使い「・・・」

占い師「・・・あの吸血鬼とあんたが闘う日は近い。それが私の言える唯一のことだ」

魔法使い「・・・」

265 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:41:52 dCn7IiAN0

勇者「で、最後が俺だ」

占い師「お楽しみは取っておくものさ。さて、あんたが今一番知りたいことは、ずばり魔王のことだね」

勇者「まあそうなるね」

占い師「この先に迷いの森がある。そこを抜けられればもうそこは魔王の土地だ。もっとも、そこからも長いのだがね」

勇者「・・・なるほど」

占い師「魔王と対峙した時、あんたは勇敢に戦うだろう。だが忘れないことだ。魔王の力は強大だよ。お前が思っている以上に」

勇者「それでも、俺は魔王を倒さないとだ。やっと戦争が終わったのに、またこんなのってのはおかしいだろ」

占い師「そうさね。あんたの言うことは正しいよ」

勇者「で?俺は魔王に勝てるのか」

占い師「さあてね。それが覗けていたら、苦労はないよ」

266 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:44:49 dCn7IiAN0

勇者「それもそうか・・・」

占い師「一つ覚えておきな。絶望は一つとは限らない。例えば、もしお前が負けても、その屈辱は後で何倍も緒を引くよ」

勇者「それは預言か?」

占い師「格言だ。覚えておきな。お前の敗北はお前だけのものじゃないんだ」

勇者「わかってるさ。俺が負けたら、この国は魔物に負けちまうんだろ」

占い師「大きな目を持つのはいいことだが、足元を見逃さないことだよ」

269 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:48:03 dCn7IiAN0

・・・
勇者「さて、と。各々占いは済んだな」

戦士「へ、所詮は占いだろ。俺は信じないぜ」

占い師「ま、それならそれでいいさ。道中気をつけることだね」

僧侶「ありがとうございました」深々

魔法使い「・・・」ぺこ

勇者「じゃ、またな婆さん」

占い師「ふん、生意気なガキどもだ」
・・・

占い師「・・・ふふ、じゃが、いい目をしておった。かつてのお前のようだよ、『勇者』・・・」

271 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:51:16 dCn7IiAN0

数日後 迷いの森 入り口
勇者「ここが迷いの森か・・・?」

僧侶「ずいぶん深い森ですね・・・」

戦士「オカリナの音が聞こえてきそうな感じだ」

魔法使い「・・・支離滅裂」

勇者「何の話だよ、オカリナって」

戦士「え?あ、ああ。気にするな」

僧侶「一応食料や水は多めに確保してあるので、少しくらい迷っても平気だとは思いますが・・・」

勇者「迷うのはごめんこうむりたいね・・・」

魔法使い「・・・前進」

戦士「だな。行くしかねえ」

273 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:55:43 dCn7IiAN0

勇者「迷いの森っていうからには、道に迷うんだろうな・・・」

戦士「だな。たしかにすげえ深い森だけど・・・」

魔法使い「・・・すでに入り口は見えない」

勇者「ホントだ。もう戻れもしないのか」

戦士「できればさっさと抜けちまいたいもんだぜ、こんな森」

僧侶「・・・」

勇者「僧侶ちゃん?どうかした?」

僧侶「あ、い、いえ。少し考え事を・・・」

勇者「・・・?気をつけなよ、ここはもう魔王の土地の近くなんだし」

僧侶「はい、すいません・・・」

勇者「いや、別に怒ってるわけじゃないぞ」

274 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 21:58:43 dCn7IiAN0

・・・
勇者「なあ、何か全然進んでる気がしないんだけど」

戦士「奇遇だな俺もだ」

魔法使い「・・・どこまで進んでも似たような景色」

戦士「ここらですこし休憩しようぜ・・・。疲れちまったよ、この景色」

僧侶「・・・」

勇者「この森で二、三日野宿することになるかもしれないな」

戦士「うえー。うんざりだぜ」

魔法使い「・・・薪を探す」

勇者「はぐれるなよ魔法使いちゃん」

僧侶「あ・・・。わ、私も行きます」タタッ

275 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:01:06 dCn7IiAN0

戦士「・・・なあ、何か僧侶ちゃん、様子が変じゃないか?」

勇者「確かに。何かこの森入ってから心ここにあらずだな」

戦士「何かあったっけ?」

勇者「さあ・・・。占いくらいじゃないか?」

戦士「あのばばあに何か言われたのか?」

勇者「かもな。けど、何かあったら魔法使いちゃんに話してるだろ」

戦士「ならいいんだけどよ・・・」

勇者「なあ、お前はあの婆さんに何言われたんだ?」

戦士「占いか?あんなの俺は信じねえよ。だから忘れた」

勇者「おいおい・・・」

276 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:04:26 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・僧侶」

僧侶「は、はい?」

魔法使い「・・・様子が変。疲れてる?」

僧侶「い、いえ。少し考え事してるだけです。気にしないでください」

魔法使い「・・・そう。・・・前から聞きたかった」

僧侶「何ですか?」

魔法使い「・・・なぜ大聖堂で育ったのか。あそこは岩山に立つ一件の聖堂。街などない」

僧侶「あー・・・。そうですか、魔法使いちゃんは知っているのですね」

魔法使い「・・・その口調」

僧侶「え?」

魔法使い「・・・仲間同士なら、敬語はいらないと思う」

僧侶「あはは・・・。口調については魔法使いちゃんも同じですよー」

277 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:06:53 dCn7IiAN0

僧侶「そうだね、もう話してもいいかー。でも、それは後で、みんなの前で話すよ」

魔法使い「・・・」

僧侶「占いのおばあさんに言われたことと、それが関係しててね・・・。だから少し考え事してた」

魔法使い「・・・それは私も同じ。あの人、恐らく魔術のやり手。だから、占いは真実」

僧侶「あー、やっぱそうかぁ・・・」

魔法使い「・・・そろそろ戻る。勇者たちが心配する」

僧侶「はあい」

279 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:10:31 dCn7IiAN0

・・・
僧侶「えーと、どこから話せばいいかな・・・。わたし、孤児です。両親は誰かに殺されたと司教様が」

戦士「殺された・・・?」

僧侶「まあそこは後ほど。助かったのは赤ん坊の私と、怪我をしてはいましたが生きていた兄でした」

勇者「お兄さんがいたのか・・・」

僧侶「うん。で、教団に引き取られて、大聖堂で暮らすことになりました。兄と一緒にね。それから数年経って、私は見習い僧侶になった」

僧侶「兄は寝たきりが多かったです。子供の頃の怪我が原因でと聞かされてたけど。でもあの日、それは起きた」

280 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:12:33 dCn7IiAN0

数年前 大聖堂
幼女「薬草いっぱい取れたねー」

僧侶(幼)「うん、これで司教様に褒めてもらおう」

ギィイイイイ・・・

僧侶「司教様ー!薬草を取ってきま・・・」

幼女「キャァァァァァァァアアア!?」

282 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:17:48 dCn7IiAN0

僧侶「悲惨だったなあ。みんな血を流して倒れていた。まるで何かに食いちぎられたように」

僧侶「わたしはね、何とか息があった同じ孤児に何があったのか聞いた。そしたら・・・」

孤児『に、二階から、毛むくじゃらの何かが出てきて、みんなを食べちゃった・・・』

僧侶「二階には兄がいたはずだ、と思って、わたしは駆け出していた。でも、その部屋には・・・」

僧侶「男の人の右足が、血まみれで落ちているだけだった・・・」

僧侶「兄も食べられたんだと思う。その毛むくじゃらに。そして数年かけて、それが狼男の仕業だって、突き止めた・・・」

僧侶「・・・これが、僧侶が勇者様に着いてきた理由。あちこち行けば、ウェアウルフを見つけられるって思ったから」

僧侶「そして、兄の仇を討ちたかった」

僧侶「・・・世界なんて・・・どうでもいいんだろうね・・・」

僧侶「・・・ただ・・・お兄ちゃんの仇を・・・とりたいから・・・っ」

283 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:21:57 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・もういい。僧侶」

僧侶「グスッ・・・」

魔法使い「・・・あなたに、それはまだ重過ぎる。まだ、早かった」

僧侶「・・・ううん。あのおばあさんに言われた。私が探してるウェアウルフは、この森にいるって」

僧侶「だから、自分が・・・そいつを倒すんだ・・・」

戦士「・・・だとさ。どうすんだ勇者」

勇者「・・・家族の仇、か・・・」

魔法使い「・・・」

勇者「・・・その人狼、見つけたらそれは僧侶ちゃんの仇。俺に言えるのはそれだけだ」

勇者「道に変更はないけど、それでも、周りを良く見て進むことにする」

285 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:24:27 dCn7IiAN0

―――ガサッ

勇者「!」バッ

戦士「早速か!?」

魔法使い「・・・何かいる」

僧侶「・・・」

ガサガサ・・・

「剣をしまえ。でないと、話もできない」

勇者「人・・・?」

「ああ、人だ。だが敵ではない。少なくとも俺からすればな」

勇者「あんたは・・・?」

老兵「老兵、しがない爺だ。この森に居候している」

286 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:28:05 dCn7IiAN0

勇者「この森に・・・?」

老兵「帰る場所がないんでな。それより、火を消した方がいい。この森で火をたくということは、よそ者がここにいる、という合図にほかならん」

戦士「そ、そうなのか?アブねえ・・・」

老兵「見たところ旅人だな。タバコはないか」

勇者「・・・誰も吸わない」

老兵「ふん・・・。まあいい。で?旅人が一体何の用事でここに」

勇者「俺は勇者だ。魔王を倒しに向かう途中なんだ」

老兵「・・・お前が勇者だと?ではこいつらがお供か」

勇者「仲間だ」

老兵「『勇者』もずいぶんと安い言葉になったようだな。お前みたいなのが勇者だとは」

戦士「なに?」

288 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:31:45 dCn7IiAN0

勇者「どういう意味だ」

老兵「お前先代の勇者について聞いたことは」

勇者「先代?」

魔法使い「・・・戦争の英雄につけられた称号。最初の『勇者』」

老兵「そう、先代『勇者』と呼ばれたものは、隣の帝国相手に大量殺人を犯した、英雄だ」

僧侶「大量殺人・・・?」

老兵「戦争とはいえ、何十人も何百人も殺した。それは変わりない。いつしかその称号はお前のものになったようだが」

勇者「なにがいいたいんだ爺さん」

老兵「いきがるな小僧。お前のような男が勇者だと?魔王を倒すだと?夢物語もいい加減死しろ」

290 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:36:51 dCn7IiAN0

戦士「なんだと・・・?」

老兵「お前の腕では無理だ。とてもじゃないが魔王を倒すことなどできない。若い命が散るだけだ」

勇者「・・・あんたは、その先代の勇者を知っているのか」

老兵「知っている。愚かな男だ。殺すだけ殺し、行方不明になった。あの男の仲間も、生きてるのか知れていない」

勇者「俺はそんな男よりも劣ると?」

老兵「劣るな。一目瞭然だ」

勇者「・・・行くぞみんな」

僧侶「勇者さま!?」

勇者「これ以上ここにいる意味もない。先を急ぐんだ」

老兵「ふん。好きにするがいい。だが忠告したぞ、お前は魔王に勝てないと」

戦士「は、ほざいてろボケ老人が」

魔法使い「・・・」

僧侶「あ、ちょっとまって・・・」

老兵「・・・バカが」

291 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:40:38 dCn7IiAN0

???
「魔王様。例の勇者どもが、迷いの森にて発見されました」

魔王「来たか・・・。準備はできているのだろうな」

「は・・・。すでに迎えの者を出しました。一両日中には、ここにたどり着くものかと」

魔王「よい。よいぞ。敵が来る。待ちに待った、我が命を狙う人間が。これは一つの祭だ。盛大に行えよ」

「すべては手はずどおりに整っております。勇者どもを倒した後のことも」

魔王「楽しい。こんなに楽しいのは始めてかも知れぬ。さあ、急がないとパーティに遅刻するぞ。間抜けなウサギのようにな」

292 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:44:05 dCn7IiAN0

僧侶「いい?あのお爺ちゃん無視して」

勇者「時間の無駄だ。俺はさっさと魔王を倒さないとなんねーからな」

魔法使い「・・・さっきの老兵、何者だろう」

戦士「見たところ戦争で生き残った兵士ってとこじゃないか?それっぽかったし」

勇者「何にせよ、早くこの森を抜けないと・・・」

ガサッ

僧侶「え・・・?」

戦士「おい、あの木の上、何かいないか・・・?」

魔法使い「・・・あれは・・・」

「・・・」

「グルル・・・」

僧侶「!!!!!」

勇者「狼!?いや違う、あれは・・・!」

戦士「人狼!?」

僧侶「お兄ちゃんの・・・みんなの仇っ・・・!!!!!」

293 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:46:16 dCn7IiAN0

人狼「グルルルル・・・」バッ

勇者「!逃げた!!」

僧侶「追う!!もう絶対に逃がさない!!」ダッ

戦士「あ、こら僧侶!!一人で行くな!!」

魔法使い「・・・追う」

勇者「ああ、行くぞ!」ダダッ

・・・

僧侶「ハァ・・・ハァ・・・。どこに・・・?」

勇者「僧侶ちゃん!!追いついた、やつは?」

僧侶「見失ったけど、この近くにいるはず・・・」

294 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:48:05 dCn7IiAN0

魔法使い「・・・?魔法の気配・・・」

戦士「魔法の気配?人狼って魔法使えるのか?」

勇者「聞いたことないな・・・」

僧侶「あそこから気配が・・・!!」ダッ

戦士「あ!だから一人で行くなっての!!」

勇者「追うぞ」

魔法使い(・・・僧侶の向かった方向から魔法の気配がする・・・)

295 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:50:24 dCn7IiAN0

勇者「いた?」

僧侶「いない・・・。どこにいったの・・・」

勇者「そんな泣きそうな顔すんな、この辺にいるはずだ・・・」

戦士「ハァ、ハァ・・・。くそ、逃げ足の速いやつだ」

魔法使い「・・・!勇者それ以上進んじゃ、」

勇者「え?」
ポッ・・・
カァァァァァ!!

戦士「な、なんだこれ足元が光って・・・!?」

魔法使い「魔法陣・・・!!転移魔法!!」

僧侶「キャァァアアアア!!」

勇者「うわああああああ!?」

296 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:52:48 dCn7IiAN0

・・・

勇者「・・・ぅ・・・?」

勇者「ここは・・・?戦士、僧侶ちゃん、魔法使いちゃん・・・!」

戦士「う・・・?」

僧侶「何が起きたんですか・・・?」

魔法使い「・・・転移魔法に飛ばされた・・・?ここは・・・」

勇者「どう見ても迷いの森じゃねえな。どこに飛ばされたんだ・・・?」

戦士「おい・・・これ見てみろよ・・・」

僧侶「え・・・?」

魔法使い「・・・!!」

勇者「これは・・・!?ま、魔王の城・・・!?」

297 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:55:25 dCn7IiAN0

魔王の城 前
勇者「なんで魔王の城の前に・・・?」

魔法使い「・・・罠?あの転移魔法で飛ばされたのなら怪しい」

戦士「で、でもよ、これが目指してた魔王の城なんだろ?」

僧侶「多分そう、だと思う。見るからにそんな感じだもん」

勇者「・・・なら、行くしかないか。目の前にあるなら、行かないわけにも」

魔法使い「・・・同意」

勇者「準備はいいか?魔王の城に、乗り込むぞ」

戦士「・・ああ」

僧侶「行こう」

魔法使い「・・・」コクリ

300 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 22:59:10 dCn7IiAN0

魔王の城
勇者「人影がない・・・」

戦士「どういうことだ?まさかもう俺たちの城に攻め込んでるとか・・・?」

魔法使い「・・・あり得る話。けど、なぜ私たちをここに」

「お待ちかねだったから、ですよ」

僧侶「!!」

勇者「魔物か」

側近「ええ。魔王様の一番の配下、側近でございます」

戦士「魔物なら敵だな・・・!!」

側近「お待ちください。争う意思はないのです。ただ魔王様の下に案内を命じられまして」

勇者「案内だと」

側近「魔王様は首を長くしてお待ちですよ。あなた方の到着を」

魔法使い「・・・あの転移呪文は魔王が・・・?」

側近「そうでございます。見たところ森でお困りの様子でしたので」

301 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:02:48 dCn7IiAN0

僧侶「なんのためにそんなことを・・・?あの人狼はどこに!?」

側近「ああ、あの狼でしたらこちらの配下でございますれば、皆様を案内させました」

魔法使い「・・・あれすら罠、だと」

側近「いえいえ、そのようなつもりは。ただ、アレは口が利けませんもので」

勇者「で?俺たちを魔王のところに案内すると?」

側近「そうでございます。すでにお待ちかねでございますよ」

戦士「ど、どうする?」

勇者「・・・行くしかないだろ。ここまで来て逃げるわけにもいかない」

僧侶「あの狼を倒せるなら・・・」

魔法使い(・・・転移呪文の式・・・確か・・・)

側近「こちらです、さあ、ごゆるりとおくつろぎください皆様」

302 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:04:44 dCn7IiAN0

魔王の間 前
側近「魔王様はこの先に。お後は自らの手でお進みください」

戦士「・・・い、いよいよだな」

勇者「ああ。さっさと終わらせて、帰ろう」

魔法使い「・・・最大の警戒を」

僧侶「―――うん」

ゴウン・・・ギギギギギギギギ・・・

魔王の間

304 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:09:01 dCn7IiAN0

勇者「・・・お前が魔王か」

魔王「正解だ人間。私が魔王。魔物の王。そしてすべての王」

戦士「女・・・!?」

魔王「極論、私に性別はない。だがこの格好が好きだからこの形でいる。それだけのことだ」

勇者「なんで俺たちをここに転送などした」

魔王「待つのも飽きるのだ。気まぐれに暗殺者を送り込んではみたが、私の退屈しのぎにはならなかった」

僧侶「あの二人は、魔王が・・・」

魔王「人間の男に化けたのは久々だったが、意外とうまくいくものだ」

魔法使い「・・・他の魔物は」

魔王「ほぅ・・・。そなた、懐かしい印を刻んでおるな。邪魔だろう、外してくれる」

魔法使い「!!?」

僧侶「魔法使いちゃん!?」

魔法使い「・・・どういうつもりかしら。自分でかけた呪いを、あっさり解くなんて」

魔王「気まぐれじゃよ。他に何の理由がある」

306 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:13:00 dCn7IiAN0

魔法使い「自分で私を封じておいて、今度は自分でそれを解くの?随分気まぐれね」

魔王「さて?ああ、ほかの魔物か?今頃、お前たちの城を襲っている頃だろうな」

勇者「!!貴様・・・」

魔王「お前たちとて同じだろう?この城を四人で襲っている。同じことだ。違うのは規模だけだ」

勇者「ここでお前を倒せば・・・」

魔王「無論連中も土に還るだろうな。そういう存在だアレらは」

戦士「なら、話は早いじゃねえか。お前を倒すぞ、魔王!!」

魔王「かかってくるのは自由だが、こちらからも提案がある」

魔法使い「提案?」

魔王「私とて屈強な兵がほしい。お前たち、私につかないか?」

勇者「寝言を・・・」

307 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:17:44 dCn7IiAN0

魔王「ふははは、ほらこうなる。やはりそうだ。それを飲んでくれるなら話は早かったのだが」

僧侶「なぜ?なぜ私たちに挑んでくるんですか?人間と戦うのですか!?」

魔王「それは愚問だよお嬢ちゃん。ただそこにあった純粋な殺意、純粋な敵意、純粋な欲、そして明確な歓喜。それが全て」

魔法使い「意味が分からないわ。ま、魔王らしいといえばらしいけれど」

魔王「ふふ・・・。かくして演者は揃い、遅刻したウサギもない」

魔王「あるのは一人の指揮者と、悲鳴のカルテッド・・・。さあ、始めようじゃないか。至福の時を!私を殺して見せるがいい!!」

勇者「行くぞ、みんな」

戦士「ああ、いつでも」

僧侶「はい!!」

魔法使い「消し炭にしてあげるわ」

魔王「ふはは!楽しい!楽しいぞ!!」

308 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:20:30 dCn7IiAN0

同じ頃
兵士「ダメです!!最終防衛ライン、突破されました!!」

「ひるむな!!時間を稼げ、あのバカが!あのバカが必ず魔王を倒す!!」

執事「ご主人様、ここは危険です!!お下がりを!!」

「執事!!ここはよい!姫を!!ワシの娘を護れ!!」

執事「しかし!!」

「命令だ!!何があってもアレを護りぬけ!!失敗は許さん!!」

執事「―――はっ!」

「行けい!!あのバカが、必ず成し遂げる!!それまで耐えるのだ!!」

311 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:23:27 dCn7IiAN0

勇者「うおおおおおお!!」

魔王「愚直な前進は嫌いではないが―――」ドンッ!!

勇者「ぐおお!?爆裂呪文・・・!!」

戦士「ならこっちはどうだ!!必殺の鉄拳!!」

魔王「遅い」バチッ!!

戦士「ぐあああっ!」

僧侶「光の精霊よ!顕現せよ!!」

カッ!!

魔王「闇あっての光だ、そして私はその両方を超えている」パチン

ゴッ!!

僧侶「精霊が・・・!!」

312 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:26:31 dCn7IiAN0

魔法使い「みんな下がって!!あの玉座ごと吹き飛ばす!!」

魔王「ほう・・・?やはり印による制限なしなら、恐ろしい魔力よ」

魔法使い「―――爆ぜろっ!!!」

――――――!!!!!

勇者「す、すごい魔法だ・・・!!」

僧侶「・・・ああ!!?」

魔王「・・・ふははははは!!」

戦士「バカな・・・!!玉座からまだ立ってもいないのに・・・!!」

魔王「こんなに楽しいのは初めてだ。いい、いいぞ、もっと見せてみろ!!」

314 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:29:59 dCn7IiAN0

魔王「いい、いいぞ・・・。体の芯が熱い・・・。体中の力が、解放されていくようだ・・・」

勇者「く・・・化け物が・・・!!」

魔王「ハァァァ・・・。いい、いいぞ・・・」

勇者「全員で、もう一度波状攻撃だ!!」

戦士「ああ!!諦められるか!!」

僧侶「行こう、みんな!!」

魔法使い「何度でも、何度でも燃やす・・・!!!」

魔王「ああ・・・。このような感覚は初めてだ・・・。あはははは!!たまらない!!癖になりそうだ!!」

勇者「うおおおおおおおおおお!!!!!」

315 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:33:03 dCn7IiAN0

魔物「キシャアアアアアア!!」
ドスッ!!

「ゴボッ・・・!!?く、ええい!!」
ズバッ!!

魔物「」ごとり

「おい、生きておるか!?」

「・・・申し訳・・・」

「おのれ・・・魔物どもめが!!」

中級魔物「王!!覚悟しロ!!」

「ぬうん!!」ドガアア!!

中級魔物「」

「ハァ、ハァ・・・何をしておるばか者が・・・」

「なにをしておるのだ・・・っ!!」

316 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:36:02 dCn7IiAN0

勇者「ぐはぁぁぁっ!!!」ドシャッ!!

戦士「ぐ・・・」

僧侶「ハァ・・・ハァ・・・」

魔法使い「・・・う・・・」がくり

魔王「・・・そうか・・・そうなのか・・・。この感覚が、いや、もう終わりなのだな」

勇者「ぐ・・・」

魔王「確かに楽しめたが・・・私を殺してくれる存在ではないのか・・・」

勇者「う、おおおおおお!!」

魔王「・・・ふん」
バリッ!!

勇者「ぐ、あああ・・・」

魔王「・・・もう頃合か?お前たちも、そろそろ限界なのだろう?」

勇者「な、に・・・?」

「・・・ええ、そろそろよろしいですかな、魔王様」

「グルルル・・・」

戦士「て、めえらは・・・」

317 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:39:54 dCn7IiAN0

僧侶「あ・・・!!」

魔法使い「ぐ・・・!!」

吸血鬼「我らには我らの目的があるのです。私には私に、この狼にもしかり」

人狼「グルル・・・」

勇者「伏・・・兵」

魔王「違う。こいつらはあくまでお前たちが負けた後に登場する手はずだ。だが、もう良かろう」

吸血鬼「では・・・!」

魔王「好きにするがいい。お前はあの魔術師、狼はあの精霊師だったか?」

側近「勇者ともう一人の男は・・・?」

魔王「お前の好きに改造するがいい。いい素体ではあろう」

側近「はは・・・!!」

勇者「・・・まだ、だ。まだ負けて、ない・・・」ググッ・・・

魔王「まだ立てるのか。少々おどろいた」

319 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:42:54 dCn7IiAN0

魔王「とはいえ、もういいだろう。もう飽きたのだ」ポゥ・・・

勇者「何を・・・!!」

魔王「いい加減死ぬがいい」

カッ!!

戦士「勇者!!」

勇者「く・・・!!」

ドゴオオオオオ・・・

勇者「・・・!防護、魔法!!」

魔法使い「まだ・・・死なせるわけには・・・いかないのよ・・・」ググッ・・・

魔王「ふん・・・」

吸血鬼「・・・素晴らしい。それでこそだ」

魔王「目障りだな。こういうのはどうだ?

ぐぐぐぐぐぐ!!!

魔法使い「う、あ、あああああああ!?」

320 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:45:37 dCn7IiAN0

勇者「何を!?」

魔王「重力呪文だ。今あの女の身体には数十倍の重力がのしかかっている」

戦士「てめえ!!」ダッ!!

魔王「お前はこうだ」ポッ・・・

勇者「!!!!避けろ戦士!!」

魔王「遅い」

ドスドスドスドス!!

戦士「・・・ゴボッ・・・」

魔王「刀剣呪文だ。しばらくそうして悶えているがイイ」

僧侶「戦士さん!!」

魔王「お前には、そうだな、絶望をやろうか」

321 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:48:10 dCn7IiAN0

魔王「側近!狼の呪縛を一度解け」

側近「は・・・」

人狼「・・・」シュウウウウウ・・・

僧侶「―――――!!!!!」

僧侶「・・・お、兄・・・ちゃん・・・?」

「」

魔王「あの日、人狼と化していたのは、この男よ。そして今も」

「」シュウウウウウウ

僧侶「そんな・・・だっておにいちゃんは・・・おにいちゃんは・・・っ!!」

人狼「」

僧侶「いやアアアアアアあああああああああああああああああ!!!!!!」

322 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:50:04 dCn7IiAN0

勇者「みん、な・・・!!」

魔王「さて、残ったのはお前だけだが・・・?まだやるか?」

勇者「く・・・」

魔王「これ以上はつまらぬ。付き合う気もわかん。だから、早々に死ぬがいい」

勇者「う、お、おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ダッ!!!!

魔王「飛んで火に入る、か」

勇者「ああああああああああああああああああ!!!!!」

324 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:54:11 dCn7IiAN0

「ヒュー・・・ヒュー・・・」

中級魔物「て、てこずらせやがって。これで終わりだ人間!!」

上級魔物「念には念だ。遠方からの肉体破壊魔法で止めを刺す」

(・・・くそガキが・・・。まったく、あの・・・くそガキが・・・)

「ぬ・・・」

上級魔物「な!?まだ動くのか!?」

「あのくそガキ・・・。最後の最後まで・・・心配かけさせやがる・・・」

中級魔物「こ、攻撃だ!!攻撃しろ!!」

「・・・ふん・・・。だが・・・それでも・・・」ゆらり・・・

中級魔物「!?」

「・・・生きて帰れよ、バカ息子・・・」

上級魔物「や、やれえええええ!!」

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」バキャッ!!

魔物「うわああああああ!!」

「おああああああああああああ!!!!!!」

327 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/06 23:58:03 dCn7IiAN0

勇者「・・・」

魔王「・・・」

勇者「・・・ガフッ・・・」ドサッ・・・

魔王「・・・これで終いか」

側近「・・・のようで」

魔王「約束だ。好きにするがいい」

側近「ではそういたしまブッ!!!??」ドゴォォォォォォ!!!

魔王「・・・ほう。身体に何本も剣が刺さっているというのに、元気じゃあないか」

戦士「ハァ・・・ハァ・・・」ボタボタ・・・

戦士「・・・勇者にも、こいつらにも・・・。指、一本・・・触れさせねえぞ・・・」ボタボタ・・・

魔法使い「戦士・・・っ!!」

側近「貴様・・・人間風情が!!私に何をしたぁあああぁああああ!!!!」

戦士「うるせえぞ、金魚の、糞が・・・。黙って流され、やがれ・・・」

329 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:01:49 N1ePwil60

勇者「・・・」

僧侶「」

戦士「ハァ・・・ハァ・・・。俺は、よ・・・。死に場所を・・・探してた・・・」

魔王「・・・?」

戦士「俺が、死ぬのに・・・ハァ、ハァ・・・。ふさわしい、場所を・・・」

魔法使い「戦、士・・・ぐぅぅあああああ!!」

戦士「ああ・・・見つけた・・・見つけたともよう・・・。最高の、仲間を、護って・・・俺は・・・」

ドドドドドドド!!!!!!

魔法使い「!!!!」

側近「黙れクソ人間が・・・。私の顔に、貴様は・・・!!」

戦士「ゴボ・・・。ああ、dめだな・・・。魂が、kもってねえ・・・ぞ化け物・・・」

戦士「・・・なあ、魔法使い・・・」

魔法使い「!?」

戦士「・・・あと、頼んだぞ・・・」

331 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:05:19 dCn7IiAN0

魔法使い「!!よ、せ・・・!!」

戦士「・・・っ、うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ズブズブ・・・ブシャアアアア!!

側近「!!?こ、こいつまだそんな力が!?腹に刺さった剣をぬくだとぉ!?」

戦士「うあああああああああ!!!!」

側近「お、のれ、人間がああああああああ!!」

ズン!!
バシャアアア!!

側近「う、ぎゃあああああああああ!!わわ、私の顔!!私の顔がああああああ」

側近「貴様!コロス!!殺して殺して殺して殺して!!!!?」

魔王「・・・いや。すでに・・・」

戦士「」

332 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:08:27 N1ePwil60

魔王「・・・しぶといものだな、人間とは・・・」

吸血鬼「魔王様」

魔王「・・・今度こそ済んだ。好きにするがいい」

吸血鬼「では・・・」

魔法使い「・・・」ギリィ・・・

人狼「グルルルル・・・」

僧侶「」ボー・・・

側近「フー、フー・・・。冗談じゃない、この男、殺しただけじゃ足らぬ!!もっと、もっと・・・!!」

勇者「・・・ま、てよ・・・」

魔王「!?」

勇者「こいつらに、さわんじゃ・・・ねえよ・・・」

333 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:11:11 N1ePwil60

魔王「まだ生きていたとは・・・」

勇者「俺はまだ・・・、お前を・・・倒してねえ・・・んだよ」

勇者「だから、まだ、死ねないんだよ・・・」

吸血鬼「・・・魔王様」

魔王「ふうう・・・。去るがいい、世の果てへと」キュィィィィィィイイイイイイ・・・

勇者「こい、よ、魔王・・・」

ポッ・・・

魔王「!?」

側近「!!あ、あれは・・・!!」

吸血鬼「転移魔法・・・?勇者の足元に?・・・!!貴様か!?」

魔法使い「・・・」ニイッ

334 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:14:57 N1ePwil60

魔王「まさか、一度見ただけで転移呪文を覚えたと・・・?」

勇者「な、にを・・・?魔法、使いちゃん・・・」

魔法使い「こ、こでお前を死なせるわけには、いっ・・・いかないんだよ・・・」

勇者「や、めろ・・・魔、法使いちゃ・・・」ドシャアッ!!

魔法使い「だ、から・・・ちゃんと、助けに・・・来い、よ・・・。待つ、から・・・」

側近「待て、そうはいかな、!!」

魔法使い「もう、遅、いよ!」

カッ!!

勇者「ま、ほ―――」・・・

魔王「ふむ、やってくれた。勇者を取り逃がすとは。だが、その様ではまともに転移できてはおるまい?」

魔法使い「・・・っ」

魔王「まあいい。さあ約束だ。好きにするといいぞ」

336 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:20:34 N1ePwil60

吸血鬼「前にも言ったが、私は必ずお前を同族にするといったな?」

魔法使い「誰、が・・・吸血鬼・・・なんかに・・・っ」

吸血鬼「口は達者だが、いかんせん体がそれじゃあな・・・」ス・・・

魔法使い「はな、れろ化け物・・・!!」

吸血鬼「ハァァァ・・・。綺麗な首筋だ。細く白く、それでいて血管は太い。まさしく理想・・・」

魔法使い「ぐ・・・ううう・・・」

吸血鬼「よもや処女でない、等といわないだろうな?散々焦らされてそれはないぞ?」

人狼「ゴルルルルル・・・」

魔物「キシャアアア」ガッ

魔物「キキキキキ・・・」ガッ

僧侶「」ブラリ・・・

魔法使い「!!か、彼女に何をするつもりだ!?」

吸血鬼「さあねえ・・・。獣の基本的な欲求は三つです。睡眠、性、そして、食欲」

魔法使い「!!!!」

吸血鬼「なんにせよ、可哀想な子だ」

337 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:22:15 N1ePwil60

人狼「ハァァァァァ・・・」

ガツ!!グチャパキメキメキ!!

魔法使い「や、やめろ・・・やめろ・・・!!!!!」

吸血鬼「―――人のことを、心配している場合か?」グアッ

魔法使い「―――!!!」

ガツッ!!!!

339 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:24:26 N1ePwil60

迷いの森 川
老兵「・・・!あれは・・・」
ザバザバ・・・

老兵「やはりこうなったか・・・。しかし、まだ助かるかも知れん」

勇者「」

老兵「あの炎・・・。城も陥落したか・・・。魔王の手勢が、この土地を支配する時がきたのか・・・?」

老兵「・・・いや、まだ分からないか。このガキが生きている限りは」

勇者「・・・ぅ・・・」

342 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:27:35 N1ePwil60

執事「お嬢様、お急ぎを!!この先を抜ければ、隠された離宮に着きます!!そこに隠れるのです!!」

「お父様・・・っ」

執事「そこで再起をはかるしかありません!すでに城は陥落したやも知れませぬ!!」

「うわああ!!!」

執事「く!追いつかれましたか!!」

中級魔物「見つけた、人間の姫だ!!捕らえろ!!他は食っていいぞ!!」

「執事!!」

執事「行ってください姫様!!必ず追いつきます!!」

魔物「じじい一人か?随分となめられたもんだな・・・」

執事「・・・!!」

343 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:31:02 N1ePwil60

魔物「キシャアアアア!!」
ヒュン・・・

魔物「キシャ・・・?」
ボンッ!!

中級魔物「な、にい!?」

執事「・・・」

中級魔物「なんだ、何が起きた!?」

執事「鋼鉄線、の知識はないとみえるな。いかなるものも断裂する最強の糸」

中級魔物「てめえ、じじい・・・!!」

執事「王家執事。元先代勇者パーティ戦士・・・。参るぞ」

一部完、かなあ

344 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/02/07 00:31:49 wPjly2PS0

何部まであるんだ

345 : ◆.zeSrWjK2c [] - 2012/02/07 00:33:17 N1ePwil60

構想は相当長いけど・・・
不評だし二部で終わりかな、区切りいいし
勇者がこうも難しいとは思わなかった

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