1 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:11:25 krGA/uqr0

「でも今日は男の家にお泊りなんだよ?」

「夜限定で言うなってことだ」

「あ、じゃあ朝までよろしくね、男」

「さらに誤解をうむ言い方になってるぞ!」

「?」

「もういいや……いつまでも玄関にいないで上がろうぜ」

「うん、おじゃましまーす」


風にやっていこうかと

元スレ
幼馴染「今夜はお世話になります」男「誤解の招く言い方をするな」
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1327497085/

3 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:13:38 krGA/uqr0

「荷物重くなかったか?」

「家が隣なんだから、重いも何もないでしょ」

「ま、そうだな」

「しっかしあれだね。お互いの親が急な出張だなんてね」

「俺の家はしょっちゅうだけど、幼の家が出張ってのは珍しいな」

「最近仕事が忙しいんだって。明日には帰ってくるから、今日一日は泊めてあげてほしいって」

「幼一人で家に残すのは危ないからな」

「よろしくねー、男」

4 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:15:45 krGA/uqr0

「あ、荷物てきとうに置いといていいよ」

「ん、了解」

「しかし、意外と来るの早かったな。まだ朝だぜ?」

「だって久しぶりに男の家に泊まれると思ったらうれしくて!」ニコッ

(なにこの子、超かわいいんですけど)

「けどこれからどうする? 何か用事とかあるのか?」

「いや、特になかったり」

「どうする今日一日」

「どうしよっかー」

8 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:18:54 krGA/uqr0

「折角の休日だし、どこか出かけるか?」

「私ランド行きたい!」

「今から行けるわけないだろ」

「じゃあシー!」

「同じだ! 行けるか!」

「じゃあ富士Q」

「頼むから今から行けるところにしてくれ」


11 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:21:59 krGA/uqr0

「そもそもお前、遠出出来るような金ないだろ」

「そこは男に払って貰おうと」

「ふざけるな。払えるわけないだろ」

「ええー、そこは甲斐性見せてよー。ね♪」コクッ

「非常にその小首を傾げたかわいくて何としてでも甲斐性見せてやりたいと思うが、俺のお財布事情も知ってくれ」

「じゃあお昼奢って」

「なんかうまいように誘導された気がする」

13 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:25:26 krGA/uqr0

「で、話を戻すが」

「あ、荷物ここで良かった?」

「いやそこまで戻さなくていいから!」

「明日まで一泊、お供よろしくお願いします」

「もっと戻しすぎ! あとそれどんどん悪化していってるから!」

「そうじゃなくて、今日一日の予定。どうする」

「ショッピングとかどうかな?」

「お、いいんじゃないか。駅前ショッピング」

「それか一日ホッピング♪」

「楽しいのか、それ」

16 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:29:52 krGA/uqr0

「それじゃあショッピングに行くことにして、もう今から行くか?」

「お昼も向こうで食べちゃおうよ」

「そうするか。服装はそのままか?」

「うん、これお出かけ用」

「今日もかわいく似合ってるぜ、幼」

「お世辞言ったって何も出ないよ」

(本心からなんだけどなあ)

「んじゃ、俺ちょっと外出用に着替えてくるわ」

「似合わない格好で来ないでよねー」

「うっさい」

18 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:34:40 krGA/uqr0

バタン

(はあー、緊張したあああ!)

(やっぱりかわいいよな、幼)

(昔っからかわいかったけど、高校生になってから色っぽくもなったし)

(スタイル良いし、胸も大きいし)

(相変わらず背は伸び悩んでるけど)

(幼馴染だからか、異常に俺に懐いているし)

(あんなかわいいやつが幼馴染だなんて、ほんと俺には勿体ないよ)

(ぶっちゃけ言えば、俺は幼のことは好きなのだが)

(まあ俺のことなんて眼中にないだろうし、このままが一番なのかな)

20 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:38:34 krGA/uqr0

「着替え終わった?」

「今終わったぞ」ガチャ

「あ、意外に似合ってるよ。男」

「そう? ありがとな」

(つい最近買ったばかりの服、似合ってるって言われて良かった)

「うん、この前のパーカー姿よりは全然良い」

「あれは俺の部屋着なんだ。だからノーカンにしてくれ」

「でもあのパーカー姿は人には見せられないよなあ」

「正直俺も似合っていないとは思ってたりする」

「お腹にでかでかとハートマークはちょっと……」

「そんなパーカーを着た覚えはない」

22 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:41:48 krGA/uqr0

「まあ冗談はこれくらいにして」

「お前の冗談はたまに意味が分からん」

「アメリカンジョークだよ!」

「本当に意味が分からないぞ、それ」

「そんなことより早くいこ、男」

「つっこみも拾いきれなくなってきてるし、そろそろ行くか」

「よーし、出発進行!」

「おー!」

23 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:44:23 krGA/uqr0

移動中

「ところで幼、何か買いたいものでもあるのか?」

「んー、特にないかなー」

「じゃあ今日はウィンドウショッピングがメインになりそうだな」

「あ、しいて言うなら下着が欲しいかも」

「それは俺がいない時に買ってくれ」

「男はどんな下着が私に似合うと思う?」

「なんだ、それは俺とするべき話題なのか!?」

「ちなみに今はピンクだよー、ほら」

「そんなこと聞いてないし今ここでスカートの中身を見せようとするな!」

25 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:48:36 krGA/uqr0

(俺の幼馴染はめっちゃかわいい)


(しかも俺にすごく懐いてくれている)

(しかし同時に、幼は俺に慣れすぎたせいなのか、俺に対して異常なまでに無防備でもある)

(現に今あったように、幼の中では下着を見せるくらいは当たり前)

(過去最大でいえば、中二の時に一緒にお風呂に入ったのだな)

(まああれは仕方なかったというか……)

(怪我をして体を洗うことさえ難しかった俺を、手伝おうとして入ってきたんだし)

(でもそういう事態になれば裸になることだって躊躇わない)

(あいつはそんなやつなのだ)

(信頼してくれているのはうれしいのだが、
その都度、湧き上がる性欲を抑えるのに必死な俺の気持ちにもなって欲しいものだ)

(まあ、夜のおかずにしてるかと言われたらしているのだが……)

27 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:50:46 krGA/uqr0

「男は何か買いたいものある?」

「ああ……そういえば、漫画の新刊が出たんだった」

「何の漫画?」

「リトバス」

「何それ?」

「幼は知らなくていい世界だ」

「ふーん」

(どうでもいい話だが、俺がやったのは無印だ。エクスタシーは年齢上出来ない)

(そして漫画はマジキューの方だ。それ以外は読んでない)

29 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:53:30 krGA/uqr0

駅前

「とうちゃーく!」

「とうちゃーく」

「まずはその本から買いに行く?」

「買うのはいつでも構わないんだが、まあ最初は本屋に行くか」

「じゃあ本屋から順に回ってこっか」

「おう、そうするか」

30 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:55:47 krGA/uqr0

「へえー、たくさん本があるねー」

「おっ、リトバス最新刊あった」

「表紙の女の子二人、かわいいねー。姉妹なの?」

「そう、二人は双子の姉妹なんだ」

「双子なんだ。かわいいねー」

「俺は幼もかわいいと思うけどな」

「えへへー、お世辞でもうれしいものだよ」

(だから本気なんだけどなー)


31 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 22:58:14 krGA/uqr0

「さて、本は買い終えたわけだが」

「私も買っちゃったー」

「後悔するなよ、幼」

「大丈夫大丈夫。後悔なんてしないって」

「それに、男の好きなものを少しでも共有できたら、会話も楽しくなるかなーって思ったり」

(何このかわいい生き物。今すぐ抱きしめたいんですけど)

33 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:03:16 krGA/uqr0

「次はどこに行こっか?」

「あー。少し早めではあるが、そろそろ昼飯にするか」

「じゃあそうしよっか」

「幼は何が食べたい?」

「ステーキ」

「昼間からそんなもん食えるか」

「じゃあ寿司!」

「何でそんな高いもんばっかチョイスする!」

「男の奢りだから」

「げ、まだ覚えてたのかよ」

34 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:09:12 krGA/uqr0

「あれはほら、その場のノリっていうか」

「男は私との約束を破るのー?」

「そう言われると弱いん……
いやまて、そもそも俺はそんな約束をした覚えがないぞ?」

「げ、気付いちゃった」

「あれはお前が一方的に言ってただけであって、俺はいいといった覚えは一言もない!」

「いーじゃんいーじゃん奢ってよー!」

「今月は金欠なんだ! 勘弁してくれ!」

「私も金欠なのー! お願い、奢って……」チラッ

36 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:15:07 krGA/uqr0

(な、涙ぐんだ顔での上目遣いは反則だろ……)

「わ、わかったから。そんな泣きそうな目するなよ、な?」

「ほんと!? ありがとー! 男大好きー!!」ギュッ

「な、ちょっ……!?」

(幼が俺に抱きついてきて……やば、超いい匂いする!)

「こんな所で抱きつくな! 目立つだろ周りから!!」

「あ、ちょっと目立つかもねー」ギュー

「そう思うなら離れてくださいほんと理性が持たないですまじで」

38 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:19:32 krGA/uqr0

(危なかった……主に俺の理性が)

「男はなにを頼むの?」

「そうだな……じゃあペペロンチーノ」

「じゃあ私はミートパスタで」

店員「かしこまりました」スタスタ

「なんかペペロンチーノって響きがエッチだよね」

「お前は神原か」

「得意技はBダッシュだ!」

「え、知ってるの?」

「この前男から借りたじゃん」

「そうでした」

39 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:25:54 krGA/uqr0

「おいしいねー」

「たまにはパスタもいいね」

「ねえねえ、ぺペロンチーノ一口ちょうだい」

「ん、いいぞ」

「じゃあ、あーん」

「え、俺が食べさせるの?」

「ふん」

「いや……恥ずかしくないか?」

「ふぁふぃふぁ?」

「うん、一回口を閉じようか」

40 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:32:52 krGA/uqr0

「別に幼のフォークで取ってもいいぞ」

「そしたらミートの味がちょっとついちゃうじゃん。あーん」

「や、やっぱりやるのか……あーん……」

「んー、おいしいねー」

(俺は異常に恥ずかしいぞ……周り一般人もいるのに)

「はい、お返し。あーん」

「あ、あーん……」

「えいっ、おいしい?」

「恥ずかしいです」

43 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:37:50 krGA/uqr0

「おいしかったね、パスタ」

「俺は恥ずかしかったぞ」

「何をそんな恥ずかしがってるのさ。昔っからよくやってたじゃん」

「こんな公共の場でやったのが恥ずかしかったの!」

「それよりも次はどこ行く?」

「完全に無視かよ」

「とりあえず適当にぶらぶらしようぜ」

「いいよー」

47 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:44:23 krGA/uqr0

「あ、あのウサギのぬいぐるみかわいい!」

「実物より大きいってどうなのさ」

「ええー、かわいくない?」

「まあかわいいとは思うけど」

「でしょー。そういえばウサギって、性欲が凄いことで有名だよね」

「普通最初に寂しがり屋の方が出ない?」

「私、たまにウサギみたいだねーって言われるんだよ」

「それはかわいいって意味だよな? 性欲が凄いって訳じゃないよな!?」

49 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:47:26 krGA/uqr0

「お、ゲームセンターだ」

「懐かしいな、昔よく来たのを思い出すぜ」

「男、クレーンゲームが上手だったよね」

「最近はやってないからどうだかわからんが……ちょっとやってみていいか?」

「いいよー、がんばれー!」

「久しぶりに腕が鳴るぜ!」

「バッキバキ鳴ってるよ、男!」

「それ完全に折れてるよな、俺の腕」

51 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:52:06 krGA/uqr0

「どれか欲しいものあるか?」

「…………ふぁー」

「幼? ……ああ、お前これ好きだったよな」

「くまたんさんだー♪」

「毎回思うが、そのさんっているのか?」

「ええー、だってくまたんさんはくまたんさんだもん!」

「いや、答えになってないからな」

「ほわほわー」

「聞いちゃいねーよ」

54 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/25 23:58:37 krGA/uqr0

「んじゃ、がんばってこれを狙ってみるか」

「男、がんばれー!」

「よっし、行くぜ!」

ウイーン、ガッチャン、ウイーン…スカッ

「ああー惜しい!」

「やっぱ難しいなー、これ」

「久しぶりだもんね」

「よし、もう一回だ!」

「がんばれー!」

56 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:03:14 krGA/uqr0

時は流れて九回目

「次こそは……ついに取れたー!!」

「やったああああ!」

男・幼「「いえーい」」(ハイタッチ)

「くまたんさんだー♪」

「よかったな、幼」

「うん、ありがとう男」ニコッ

(うん、幼馴染マジ天使)

57 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:08:17 7RP5g8qG0

「くまたんさーん、くまたんさーん♪」

「テンション高いな」

「一生大事にするよ」

「いや、一生は無理でしょ?」

「じゃあ一分」

「短い!? 酷いくらいに短い!」

「うそだって、ずっと大事にするよ」

「そういってもらえると、俺としても取った甲斐があったよ」


59 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:13:56 7RP5g8qG0

「何かお礼をしたいんだけど……」

「いや、お礼なんて全然いいって」

「でもお昼まで奢ってもらっちゃって」

「それはお前がねだったんだろうが」

「そうでした」

「でもほんと、お礼とかいいからさ」

「うーん……じゃあお礼にはならないかもだけど、今日の夕飯は私が作るよ!」

「おっ、久しぶりの幼の手作り」

「腕にふるいをかけて作るよ!」

「そりゃ、楽しみだ」

60 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:21:30 7RP5g8qG0

「ねえねえ男」

「ん、なんだ?」

「やっぱり下着を買いに行ってもいいかな?」

「その話をなぜこのタイミングで蒸し返した!」

「いや、ちょうど目の前が下着売り場だから」

「え、いつの間にそんなエリアに来てたの!?」

「男はどんな下着が好きなの?」

「俺にそれを聞くな! もし答えたらどうするつもりなんだ」

「いや、男の好きな下着を買おうかなーって」

「やめろ、俺が変態になっちまう」

61 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:25:23 7RP5g8qG0

「じゃあどんな色の下着が好き?」

「え、番号変わって尚この話を続けるのか?」

「きっと男が答えるまではこの空間は脱出できないよ」

「まじかよ! どんな不条理なんだこの世界は!?」

「さあ答えるのだ! 男の好きな下着は!」

「いやだ、俺は何としてでもこの空間を脱出してやる!」

「この下着売り場から逃げられると思うなよー!」

「その幻想をぶち壊す!!」

64 : 名も無き被検体774号+[] - 2012/01/26 00:39:30 7RP5g8qG0

「じゃあどんな色の下着が好き?」

「おい、ほんとに会話がループし始めたぞ」

「うん、正直私もびっくりした」

「そろそろここを抜けないと、話がだれてくるぞ」

「もうすでにだれかけてるけどね」

「言うな。作者もそれはわかっている」

「じゃあそろそろこの空間を抜けよっか」

「え、お前そんな力があるのか?」

「ふっふっふー。何を隠そう実は私には……」

「まじか! 俺の幼馴染にはそんな隠された秘密が!?」

「いや、無いよ」

「無いのかよ!?」

67 : 作者[] - 2012/01/26 00:44:30 7RP5g8qG0

強制転移

「スキル・章替えリセット」

「それは男の使える技じゃない」

「でも実際強制転移できたぞ」

「それはあれだよ。世界意思的な何かが働いたんだよ」

「幼、お前はいつからメタキャラに目覚めたんだ」

「結構初めから」

「初期設定!?」

「いや、私が勝手に決めた」

「勝手に決めるな!!」

68 : 作者[] - 2012/01/26 00:46:58 7RP5g8qG0

「まあなんやかんやあったが、そろそろ帰るか」

「そうだね……って男! 雨降ってるよ雨!!」

「げ、まじかよ……傘持ってきてないぞ」

「これも世界意思の定めなのだろうか……」

「その話、引きずるのやめようぜ」

69 : 作者[] - 2012/01/26 00:51:38 7RP5g8qG0

「冗談はともかく、結構降ってるね……どうしよう……」

「傘買って帰るしかないな……」

「そうだね……男、提案があります」

「はい、幼さんどうぞ」

「お金がもったいないし、傘二人で一本にしない?」

「え、相合傘になるけど幼はいいの?」

「全然構わないよ」

「あ、そうなのね……」

70 : 作者[] - 2012/01/26 00:56:18 7RP5g8qG0

帰り道

「もうちょっと寄らないと濡れちゃうよ?」

「あ、ああー、大丈夫大丈夫」

(こういうのも久しぶりだよなあ……うん、緊張します)

「大丈夫じゃないでしょ、もっと寄って寄って!」グイッ

「わ、わかった。寄るから腕に抱きつくのはやめてくれ!!」

(胸が当たってる! 当たってるから!!)

「でもこの体制が一番濡れないと思うんだよね」

「まあ、そりゃあそうだが……」

71 : 作者[] - 2012/01/26 01:01:14 7RP5g8qG0

「幼さ、こんなの人に見られたら、絶対誤解されると思うんだが」

「誤解って何が?」

「……あのさ、幼は好きな人とかいないの?」

「どうして急にそんな話?」

「いや、もしお前に好きな人がいて、その人が俺たちを見たらどう考えると思うか?」

「え、どう考える……
突然雨に見舞われて傘を買おうと思ったはいいが、お金が無くて一本しか手に入らなかったかわいそうな二人組なんだなーって考える」

「そんな的確に言い当てられるか!!」


72 : 作者[] - 2012/01/26 01:06:40 7RP5g8qG0

「あのな、普通は腕を組んで相合傘をする男女を見たら、間違えなくカップルだって思うものなんだよ」

「そういうもの?」

「じゃあお前は、同じクラスの友と女が腕組んで相合傘してたらどう思う?」

「あの二人付き合ったんだ!!」

「あくまで例えばの話だ! ……って、幼もそう思うでしょ?」

「でも私たちは幼馴染だよ?」

「世間一般の幼馴染は、腕組んで相合傘をしたりはしない」

74 : 作者[] - 2012/01/26 01:11:29 7RP5g8qG0

「とにかく、もしお前に好きな人がいるのだとしたら、俺とこうやってするのも控えた方がいいって話だ」

「お前だって、そんな誤解はされたくないだろ」

「……男は私と一緒にいるのは迷惑なの?」

「いや、断じてそんなことはない。お前みたいなかわいい幼馴染を持てて、俺は幸せだと思っているぞ」

「じゃあいいんじゃないの?」

「いや、だから……」

「……男のバカッ、鈍感」ギュッ

「?」

75 : 作者[] - 2012/01/26 01:15:43 7RP5g8qG0

「じゃあ逆に聞かせて」

「男は誰か好きな子っているの?」

「え、そりゃあまあ……」

(というかお前のことだし)

「…………そっか。いるんだ……」

「まあ、俺も高校生だし……」

「…………」

「…………」

(……なんか気まずい空気になっちまった)

76 : 作者[] - 2012/01/26 01:20:06 7RP5g8qG0

(この空気のまま家に着くのはまずい)

(何とかしないと)

「あ、あのさ、幼」

「な、なに?」

「今日の夕飯って……幼、車来てる!」グイッ

「あ、ちょっ……!」バタッ

「…………」

「…………」

(顔が、近い……!!)

77 : 作者[] - 2012/01/26 01:23:37 7RP5g8qG0

(なんつーベタな展開だとか言ってらんねえ! ちょ、近すぎ!)

(ちょっと顔を前に出せば、キスとか出来ちゃう距離だよ!)

(あああああ! 幼の吐息が顔にかかって!!)

「あ、ごめん! 私がボーっとしてたから……」

「俺は平気だから、いったん退いてもらっていいか」

「あ、ごごごめん! のしかかったままだった!」

「ああ、退いてくれてサンキュ」

78 : 作者[] - 2012/01/26 01:26:45 7RP5g8qG0

自宅

「ただいま」

「男、本当にごめんね……」

「大丈夫だって、そんなにへこむなよな」

「うん……」

「ほら、そろそろ夕飯の準備にしようぜ。久しぶりの幼の飯は楽しみだなー!」

「……わかった。この失敗は、私の手料理で取り返してみせるよ!」

「お、期待してるぞ」

「任せなさい!」

80 : 作者[] - 2012/01/26 01:29:54 7RP5g8qG0

自室

「というわけで、現在幼は料理中なわけなのだが」

「久しぶりの幼の手料理、今から楽しみだぜ!」

「……しかし、この待ち時間は暇だな」

「幼が出てこない以上、俺の一人語りなんて需要がないだろうし」

「ここは静かに時が経つのを待つべきだな」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………ちょっと抜こっかな」


82 : 作者[] - 2012/01/26 01:33:14 7RP5g8qG0

「ぶっちゃけ今日一日いろいろありすぎて、結構たまってたりすんだよな」

「ここは一旦抜いて……」

「いやいや! いくら暇だからって、幼が泊まる時にするのはまずいだろ!」

「ここは我慢だ、我慢」

「…………」

「…………」

「……部屋の掃除でもすっか」

「イカ臭いかもしれねーし」

84 : 作者[] - 2012/01/26 01:36:03 7RP5g8qG0

「男、夕飯の支度出来たよー!」

「お、ついにできたか」

「今日は私が腕に揮いをかけて作りました!」

「うおっ、スゲー豪華」

「どうだ、参ったか!!」

「俺は幼のエプロン姿に既に参ってるよ」

85 : 作者[] - 2012/01/26 01:39:06 7RP5g8qG0

「それじゃあ、いただきます」

「どうぞー、食べて食べて!」

「ん……、うおっ! 今日の幼の飯は、いつも以上に美味しいな!」

「ほんと!? やったー、男に褒められたー!」

(何というか、幼って一挙一動がすべてかわいいと思うんだ)

「幼も一緒に食べようぜ」

「うん、いっただきまーす♪」


86 : 作者[] - 2012/01/26 01:42:36 7RP5g8qG0

「ごちそうさまでした」

「どれもおいしかったぜ、幼の手料理」

「えへへー、ありがと」

「さて、夕食も食べ終わった所で、そろそろ風呂に入る時間か?」

「ちょっと早いけど、先に入っちゃおっか。
私食器洗い済ませるから、男先に入っていいよ」

「皿洗いくらいなら手伝えるぞ?」

「二人分しかないし、すぐに終わるから大丈夫だよ。
先に入ってて」

「んじゃ、お言葉に甘えて。先に入らせてもらうな」

「うん」

87 : 作者[] - 2012/01/26 01:45:51 7RP5g8qG0

風呂

「今日は冷えたからな。シャワーが気持ちいいぜ」

「今日は風呂に浸かろうと思うし、先に髪から洗うか」

「……こんな野郎の入浴シーンを、一体誰が望むんだよ」ゴシゴシ

「私、男も結構メタなキャラだと思うんだけど」ガチャ

「俺もそんな気がしてきた……って幼!?」

「ん? どうかしたの?」

「え、な、ちょ……あ゛!?」

「落ち着いて落ち着いて! なんか言葉が壊れちゃってるよ!?」

「これが落ち着いていられるか!!」

88 : 作者[] - 2012/01/26 01:52:04 7RP5g8qG0

「幼! 何でお前風呂に入ってきてるんだよ!?」

「え、折角のお泊りだし、久しぶりに一緒にお風呂入りたいなーって思って」

「何でお前は裸なんだ!?」

「いや、お風呂は裸で入るものでしょ」

「そんな素な表情で回答しないでくれ!」

(え、なに? 何がこの風呂場で起こっているの!?」

(目の前には生まれたままの姿の幼馴染)

(普段から隠しきれていないその豊満な胸、きれいな肌に引き締まったウエスト、
そしてまだ毛の生えそろっていない……ってその描写アウトだろ!!)

89 : 作者[] - 2012/01/26 01:56:01 7RP5g8qG0

「あ、シャワー借りるねー」

「お、おう」

「うーん、今日は冷えたからシャワーが気持ちいいねー」シャー

「そ、そうだな」

「男? なんかさっきから声が緊張してるよ? 寒いの?」

「幼が隣でシャワーを浴びてるからだよ!」

「なんでさ、変なの」

「まるで俺がおかしいみたいにいうな!」

「それよりもさ、またあの時みたいに体の洗いっことかしようよ」

「はああああ!!?」

90 : 作者[] - 2012/01/26 02:02:04 7RP5g8qG0

「だって男、まだ体洗ってないでしょ?」

「いや、そういう問題じゃなくて。さすがにそれはまずいだろ!?」

「なんで?」

「体の洗いっこってことは、その……相手の体に触れなきゃいけないだろ?」

「じゃなきゃ洗えないよね」

「その、足とか、背中とか……胸とかも」

「全身だからねー」

「まずいだろ!! もう完全にアウトだろうが!!」

「ふえ? 何がアウトなのさ?」

91 : 作者[] - 2012/01/26 02:05:56 7RP5g8qG0

「頼むからそれだけは勘弁してくれ。俺の理性が完全に決壊する」

(今の状態でさえ、理性決壊寸前なんだ。
そんな状態で洗いっこなどしたら、どうなったことかわかったもんじゃねえ)

「ううー、男のケチ」

「頼むからそんなすがるような目で見ないでくれ……罪悪感が生まれてくる……」

「じゃあせめて背中だけでも! お願い!」

「う、あ……わかった。背中の洗いっこだけな」

「やったー! 洗いっこ、洗いっこ♪」

(俺の理性、最後まで持つかな)

92 : 作者[] - 2012/01/26 02:08:20 7RP5g8qG0

「…………」

「男の背中、おっきいねー」

「まあ、俺だって男子だからな」

「どんだけ強くこすっても、びくともしないよ」

「幼の力に負けるほど、ひ弱じゃあないさ」

「えへへ、頼もしいお背中ですねー……はい、洗い終わった!」

「あ、ありがとな」

「……えいっ!」ギュッ

「え、ちょっ幼!?」

「おっきくてあったかーい」ギュウウウ

(やばいやばいやばいやばい背中に生のおっぱいでムニュってなっててもう理性の限界きそう!!)

94 : 作者[] - 2012/01/26 02:11:41 7RP5g8qG0

「じゃあ次、男が私の背中を洗う番だよー」

「あ、ああ……」

(何とか耐え切ったぜ……まじで襲いかかる二秒前だった……)

「なんというか、幼の背中はきれいだな……」

「そう? 背中を男からほめられたのは、初めてな気がする」

(そりゃあお前の背中を生で見る機会なんざ、普通じゃありえねーからな)

「それじゃあ洗うぞ」ゴシッ

「んっ! ちょっと強いかも……」

「あ、ごめんごめん」コシッ

「ひゃっ! そこ敏感な所かも」

「あ、ご、ごめん」

(何でそんなに叫び声がエロいのさ!? 誘ってるの、誘われてるの!?)

95 : 作者[] - 2012/01/26 02:14:16 7RP5g8qG0

「ああー、それくらいが気持ちいいかもー」

「そ、そうか……」

(だいぶ幼の方は落ち着いたみたいだな)

(俺の方は全く落ち着かないのだが)

(しっかし、きれいな肌してるよな……)

「…………」ピトッ

「ん! 男どうしたの?」

「あ、いや、なんでもない!!」サッ

(やばい! 今一瞬意識が消え失せてた!)

96 : 作者[] - 2012/01/26 02:14:53 7RP5g8qG0

「ああー、終わったぞ……」

「んー、久しぶりに気持ちよかったー」

「それは良かった」

「……やっぱりさ、私だけでも前進を洗ってもいいかな?」クルッ

「だ、今振り向くな! 距離がちかっ……」

「ふえ、え、わああああ!?」

「ちょ、こっちに転んでくるなあああ!!」

98 : 作者[] - 2012/01/26 02:17:06 7RP5g8qG0

男脳内

男1「エマージェンシー、エマージェンシー!」

男2「大変であるぞ! 我らが女神幼がこちらに転んできたであるぞ!!」

男3「しかも全裸であると報告します!」

男4「幼馴染ハアハア」

男1「この状況はまずい! 我らが主の理性が、おそらく一発で崩壊するレベルのまずさだ!」

男2「この状況で襲ってしまうのはまずいであるぞ! これではただの強姦であるぞ!」

男3「しかし、この状況は不可抗力なのではと報告します!」

男4「幼馴染ペロペロ」

男1「ちょっと黙っとけ、男4」

男2「男3よ。不可抗力とは、言い訳にしかならないのであるぞ」

男4「幼馴染クンカクンカ」

男1・2・3「「「ちょっと黙っとけ男4」」」

99 : 作者[] - 2012/01/26 02:20:30 7RP5g8qG0

男1「さて、こんな無駄な会話をしているうちに、残り時間はコンマ1秒にも満たなくなったぞ」

男2「どうする! このままでは最悪、警察行きも免れんであるぞ!」

男3「我が女神の心に、深い傷を与えてしまう可能性があることを報告します!」

男4「おさななじガハッ!?」グサッ

男1「よし、男4抹殺完了」

男2「おい、どうするのであるぞ!?」

男3「こうなれば……最終手段しかないことを報告するであります」

男1「最終手段……とは……?」

男2「……まさかであるぞか」

男1「……意識を……性欲ごと殺すのか!」

100 : 作者[] - 2012/01/26 02:23:11 7RP5g8qG0

再び風呂

(わかったぜ3番目の俺よ。俺にはもう、それしかないってことが)

「うわあああ!?」ズサアアア

(幼がのしかかってきた衝撃を利用して……)

(地面に後頭部を叩きつける!)ゴン!

「あ、男!? 大丈夫男!?」

(……やばっ、確かに性欲は消し飛んだが……俺の命まで消し飛び……そう)

「え、男? うそ、意識なくしちゃった!?」

101 : 作者[] - 2012/01/26 02:25:26 7RP5g8qG0

数十分後の部屋

「う、ええーと……」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「怖い! 怖いからやめてくれ!!」

「二回も……二回も男を……ごめんなさいごめんなさい」

「ストップ! なんか病んでる、病んでるから……痛っ」

「あぅ……痛いよね……」

「だ、大丈夫……それに二回目は自爆だし」

(自ら頭を叩きつけたんだしな)


102 : 作者[] - 2012/01/26 02:25:56 7RP5g8qG0

「私が転んじゃったせいで……私が……私が……」

「お、おーい……?」

「私が…………」

(やばい、稀にみるガチ凹みだ)

(こうなると、立ち直るのが以上に遅いんだよな)

「あー、そうだ! この前新しいゲーム買ったんだが――」

「男! ちょっといい!?」

「は、はい!」

(さっきから完全無視だな……)

103 : 作者[] - 2012/01/26 02:26:26 7RP5g8qG0

「先ほどは、本当にすいまちぇ……」

「…………ううっ(泣)」イジイジ

「ほ、ほら! ちょっと噛んだだけだから、ね。誰にでもあるって」

「う、うん……」

(なんで俺はフォローに回ってるんだろう)

104 : 作者[] - 2012/01/26 02:27:04 7RP5g8qG0

「で、では改めまして……先ほどは、すいっましぇ……すいませんでした!」

(あ、また噛んだ)

「不肖わたくしめが出しゃばってしまったせいで、男様にご迷惑をおかけして……その、誠に申し訳ございませんでした!」

「そこまでへりくだらなくていいから、とりあえず土下座はやめようぜ、な」

「しかし私のようなゴミ虫が、男様の目の前で顔を上げるなどといった無礼なまねは……」

「本当に何があったんだ幼よ」

105 : 作者[] - 2012/01/26 02:27:33 7RP5g8qG0

「てかほんとに土下座はやめようぜ。幼馴染を土下座させている絵は、どう考えてもまずいし」

「う、うん……」

「で、お前は何をどうしたらこの事態に思考がたどり着いたんだ」

「うん、えっとね……私は男を二度も傷つけてしまった」

「だからあれは仕方ないって、気にするなよな」

「私はこの罪を償わなくてはならない」

「なんでそんな無駄にスケールを大きくするんだ」

「ではどうやって償おう。お金はないから慰謝料は払えない」

「こうなったら体で払うしかないって思った」

「もはや思考がぶっ飛んでるな」

106 : 作者[] - 2012/01/26 02:28:00 7RP5g8qG0

「体で払う……つまり、私は男の奴隷同然の存在になるってこと」

「まて、その展開はぶっ飛んでるを通り越す壊れっぷりだぞ」

「そして今に至るの」

「お前の思考は壊れていることだけは良くわかった」

「だから男、今日と明日の二日間、私は男の奴隷になります!」

「よし、いったん落ち着いて俺の話を聞け」

「はい、ご主人様!」

(不覚にも、一瞬悪くないかなと思ってしまった)

107 : 作者[] - 2012/01/26 02:28:26 7RP5g8qG0

「まず一つ、お前が奴隷になるのはおかしい」

「あ、メイドだった? でもメイドだとちょっと地位が高いような……」

「違う! 勝手に話を進めるな!」

「てかお前の脳内では、メイド>奴隷の図式が出来上がってるのか!?」

「奴隷=ただただ命令される存在、メイド=萌えキャラ」

「メイドの部分の知識は、明らかに俺の刷り込みの成果だな」

108 : 作者[] - 2012/01/26 02:28:52 7RP5g8qG0

「そうじゃなくて、なぜお前が俺の奴隷にならなくちゃいけない」

「だって私がご主人様に無礼を働いたから……」

「だから、あれは仕方ないって」

「でもー」

「……よしわかった、じゃあ命令だ」

「は、はい! なんでもお申し付けください」

「お前、奴隷、やめろ」

「…………ふぇ?」

109 : 作者[] - 2012/01/26 02:29:16 7RP5g8qG0

「どういう……こと?」

「そんな馬鹿な真似してるなってことだ。お前は俺の奴隷でもメイドでもなくて、俺の幼馴染だろ」

「……おとこ~」ウルウル

「あ、でもメイドではあって欲しいかも」

「感動のワンシーンが台無しだよ」

「ということで、今日一日幼は俺のメイドだ」

「え、ほんとに?」


110 : 作者[] - 2012/01/26 02:29:46 7RP5g8qG0

十分くらい後

「こ、これでいいの……?」

「幼、語尾はにゃーだろ」

「これで、いいですかにゃー……?」

「猫耳メイド蕩れー!」

「ちょっと恥ずかしいかも……」モジモジ

「に、似合ってるか……にゃ?」

「ばっちり、幼馴染サイコー!」

「そんなに褒められると、てれるにゃ~///」

「幼馴染斉藤ー!!」

「誰それ?」

「マスク・ザ・斉藤」

「だから誰それ?」

111 : 作者[] - 2012/01/26 02:30:10 7RP5g8qG0

「さて、そんなこんなでふざけているうちに就寝の時間になったわけだが……」

「男、寝るときはメイド服じゃなくてもいいにゃ?」

「ああ、寝るときはパジャマで」

「わかりましたにゃー!」

「幼、実はちょっと気に入ってるだろ?」

「えへへー、ばれた?」

112 : 作者[] - 2012/01/26 02:30:55 7RP5g8qG0

「俺は自室で寝ようと思うのだが、幼は……」ピカッ

(雷の轟音)♯

「キャッ!?」ギュッ

「ついに雷まで鳴りだしたか」

「雷……怖いよぅ……」

「そういえな幼、昔っから雷苦手だったよな」ピカッ

(雷の轟音)♯

「っつ…………!」ギュウウウウウ

「前は気持ちいいんだけどちょっと背中が痛い痛い痛い!!」

113 : 作者[] - 2012/01/26 02:31:20 7RP5g8qG0

「この調子じゃ……お前一人じゃ寝れないよな」

「…………無理」ブンブン

「男、一緒に……寝よ?」ウルウル

「……今日ばかりは仕方ない。一緒に寝るか、幼」

「うん。ありがとう、男」

(明日は寝不足決定だな。性的な意味ではなく、緊張で)

114 : 作者[] - 2012/01/26 02:31:50 7RP5g8qG0

布団の中

「男、そんなに端っこにいて寒くない?」

「大丈夫大丈夫」

「布団掛けないと風邪ひくよ」

「一人用の布団を、二人でかけるのは無理だ」

「もっと近寄れば入れるって」

「そうしたら俺は今日眠れなくなる」

「ん、何で♯(雷の轟音)♯わあっ!?」ギュッ

「今日の雷はかなりすごいな」

115 : 作者[] - 2012/01/26 02:32:27 7RP5g8qG0

「…………」

「…………」

「なあ、幼、大丈夫か?」

「何が?」

「いや、雷」

「大丈夫ではないかも」

「だよなあ……あ、寒くはないか?」

「それは大丈夫、今男にくっついてるから」

「そ、そうか……」

「……男の背中、あったかいね」

「俺だって人間だからな」

「温かくて、すごく大きい」

「…………」

116 : 作者[] - 2012/01/26 02:32:52 7RP5g8qG0

「お風呂で見たときも言ったけど、男の背中って、大きいんだね」

「まあな」

「優しくて、頼りがいがあって、強くって、いつも私を守ってくれて」

「…………」

「小さいころからずっと、私のそばにいてくれた男の背中」

「…………」

「こうやって抱きついていると、すごく安心するよ……」

「雷がきたって、へっちゃらなくらい」

「……なあ、幼。ちょっとそっちを向いてもいいか」

117 : 作者[] - 2012/01/26 02:33:17 7RP5g8qG0

「そして幼、ちょっと後ろを向いてもらってもいいか」

「? いいよ」

「……幼、俺もう我慢できないや」ギュッ

「えっ……男?」

「俺もこうして、お前の背中に抱きつきたかった」

「小さくて、かわいくて、少し天然な、守ってあげたくなる背中を」

「俺もこうして、抱きたかった」

「…………」


118 : 作者[] - 2012/01/26 02:33:43 7RP5g8qG0

「ここまで来たらもう言う」

「たとえどうもならないとしても、俺はこの気持ちを伝えようと思う」

「幼、俺はお前のことが好きだ」

「小さいころからずっと、お前のことが好きだった」

「こんなちっぽけな俺だけど、お前のことが誰よりも好きだ」

「……いうのが、遅いよ」

119 : 作者[] - 2012/01/26 02:34:13 7RP5g8qG0

「私はずっと、ずっと昔から男のことが好きなんだよ」

「いっぱいアピールもしてきたのに、全然気付いてくれないから」

「私のことなんて、興味ないんじゃないかって……ずっと不安だったんだよ」

「……悪いな、お前の気持ちに気付けなくて」

「……うん、今日気づいてくれたから許す」

「ってことは俺、今日一日、結構お前に無茶させちゃってたみたいだな」

「相合傘したところで、気付いて欲しかったんだけどなー」

「ああ、あれはやっぱり狙ってたのか」

「狙ってなきゃ、あんなに抱きついたりしないよ」

(相合傘することは普通なんだな)

120 : 作者[] - 2012/01/26 02:34:43 7RP5g8qG0

「でもほんと。今考えてみれば、お前からのアピールって結構あったんだな」

「今日一日で、どれだけしてきたことか」

「昼飯の食べさせあいっこしたり」

「いや、あれは単純に食べたかっただけ」

「お風呂にまで一緒に入ってきたり」

「いや、それは久しぶりに一緒がいいなーって思っただけ」

「……洗いっこを提案してきたり」

「いや、その時はただ単純に、昔みたいに洗いっこしたいなーって思っただけ」

「お前の中で頑張ったのはどこだ」

121 : 作者[] - 2012/01/26 02:35:09 7RP5g8qG0

「男をショッピングに誘ったりとかー」

「男と同じ漫画を買ってみたりとかー」

「男に褒めてもらおうと、頑張っておしゃれしてきたりとかかな」

「それはそれでがんばってくれたと思うのだが……」

(俺と幼って、一体どんな関係だったんだろ)

(裸になるのは当たり前で、あーんするのも当たり前の関係って……)

(ぶっちゃけ、その時点で恋人以上な気がする)

124 : 作者[] - 2012/01/26 02:36:36 7RP5g8qG0

「今だから言うが、俺さっき風呂に入ったとき、お前の裸に興奮しっぱなしだったんだぞ」

「うん、知ってた」

「知ってたなら、もうちょっと警戒心を持てよな」

「俺の理性のタガが外れたら、お前はどうするつもりだったんだ」

「男なら襲われてもいいかなーって思ってた」

「え、そういうモチベーションだったの!?」

「じゃなきゃ一緒になんか入らないって」


125 : 作者[] - 2012/01/26 02:37:03 7RP5g8qG0

「ってことは……いいのか?」

「私はぜんぜん……あっ、でもさすがに今日はちょっと……」

「今そんなことしようだなんて、全然思ってないから」

「だってほら、私、多分あと三日くらいで女の子の日が来るから……」

「あ、そういうことね」

「だからその……そういうのはそれが終わってからで……」

「そんな急がなくていいって。俺はお前の体目当ての男じゃないんだから」

「……うん、ありがとう」

126 : 作者[] - 2012/01/26 02:37:37 7RP5g8qG0

「雨、上がったみたいだな」

「雷の音、全く聞こえてこなくなったしね」

「ちょっとカーテン開けてみるか」シャーッ

「うわあ……って言いたいところだけど」

「雲で全く星が見えないな」

「あれがデネブ・アルタイル・ベガってやりたかったんだけどなー」

「今は春だぞ」

「じゃあ夏になったら、一緒に見にいこ♪」

「そうだな」

「……ねえ、男」

「なんだ?」

「大好きだよ♪」

「ああ、俺もだ」




130 : 作者[] - 2012/01/26 02:44:36 7RP5g8qG0

純粋すぎる幼馴染に、エロいことをするのは無理だった。

そしてこんな小説を最後まで読んでくれて、本当にありがとう!

こんな幼馴染が、俺にも欲しかった……。

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