1 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:18:52.14 G9yMGEHa0 1/69

~屋上 昼休み~

「ふぁ~ ねむい......」

「バイトの疲れがま~だ残ってるよ......」

「だが......ふっふっふ、もう少しだ、もう少しで......」

         バン!

「ん?」

「アナタ......男ね?」

「そうだけど、おたくはどちらさま?」

「私は女、学籍番号は3424」

「三年四組二十四番......か」

「俺は三年五組二十四番だ、奇遇だな」

「番号が同じなのはどうでもいいわ」

「へいへい、で俺になんか用か?」

「話が早くて助かるわ」

「男、アンタ、アルバイトを止めなさい」



元スレ
男「はっはー!! 犯してやるぜー!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368271131/

2 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:20:04.07 G9yMGEHa0 2/69


「......は?」

「聴こえなかった?」

「アルバイトを止めなさい、といったのよ」

「なんで?」

「なんで!?」

「アンタ生徒手帳見た!? 校則ではアルバイトは禁止になっているのよ!!」

「まあ、知ってるけど......」

「だったら今すぐ止めなさい」

「そうしないと、生徒指導委員会<委員長>として黙ってないわよ」

「生徒指導委員会......」

「そうよ、アンタは校則違反をしているの」

「だからこうして、委員長としての義務を私は果たそうとしているのよ!」

「............」

「何よ、その呆れたような顔は?」



3 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:21:12.48 G9yMGEHa0 3/69

「あのさ、聞いていいか?」

「な、なによ......」

「女ってさ、転校生?」

「なによ...突然...」

「で、転校生?」

「そ、そうだけど......」

「あ~やっぱり......」

「やっぱりって何がよ!」

「その生徒指導委員会ってのはな」

「文字通り、生徒の素行に指導をする委員会だ」

「まあ、指導されることで、よく思わない奴もいる」

「そ、そんなの百も承知よ!」

「そうか、じゃあ前の委員長のように恨みもらってリンチにされんようにな」

「え」

「じゃあな、授業始まるからよ」

「あ......ちょっと! 話は終わってないわよ!」

「コラ!! まちなさーい!!」

4 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:27:19.11 G9yMGEHa0 4/69

~数週間後~

~昼休み 屋上~

「......はあ」

ダダダダダ!!

「ああ、また来たな」

バン!!

「男ー! 今日こそ首を縦にふってもらうわよ!!」

「ああ、もう! しつこい!!」

「ふ、順調にダメージは蓄積しているようね」

「あのさぁ、俺がアルバイトしてるのは」

「学校公認なんだからさ、問題ないんだぞ?」



5 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:33:49.97 G9yMGEHa0 5/69

「だったらその学校公認になった理由を教えてもらおうじゃない!!」

「ああ、無理」

「ということは、しょうもない理由でアルバイトしているということ!!」

「許すまじ!!」

「クソ! 人の気もしらないで!!」

「ああ、もう、わかった!」

「言えばいいんだろ?」

「あら、喋るの?」

「そうだよ」

「なら聞かせてもらおうじゃない!!」

「なんでそんなに偉そうな態度なんだよ......」

6 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/11 20:40:35.18 G9yMGEHa0 6/69


「はぁ......まあいいや」

「ほら、はやく言いなさいよ」

「あ~、俺にはな、叶えたい夢がある」

「え、そうなの?」

「最後まで聞け」

     ぺし

「イタ!?」

「でだその夢を叶えるのに金がいる」

「だからバイトして金を貯めているんだ」

「そ、そうだったんだ......」

「な? 俺にはちゃんとした理由があってバイトしてるんだ」

「変わりに学校の美化運動を任されたがな」

10 : 投下[saga] - 2013/05/11 21:56:36.15 G9yMGEHa0 7/69


「......」

「ん? どうしたよ黙りこんでさ」

「......なさい」

「は?」

「ごめんなさい!!」

「うぉ!?」

「アンタがそんな志しを持ってバイトしてるとは思わなかった」

「勘違いしてごめんね、男」

「......」

「なによ、その鳩に豆鉄砲があたったような顔は......」

「な、なんか言いなさいよ......」

「.......態度変わりすぎだろ」

11 : 投下[saga] - 2013/05/11 22:02:35.73 G9yMGEHa0 8/69


「べ、別に、男が以外にも真面目な理由でバイトしていたことに驚いただけよ!」

「見直してなんかないんだからね!?」

「ああ、そう......」

「そ、それに私も夢があるから......」

「ふーん」

「ねぇ、男の夢って何?」

「やだ、教えない」

「なんでよ!」!

「私も言うから! 教えなさいよ!」

12 : 投下[saga] - 2013/05/11 22:12:02.66 G9yMGEHa0 9/69


「あ~わかった、ジャンケンで負けた方が言うということで」

「ジャンケン? いいわよ、のぞむところよ!」

「よしいくぞ、ジャ~ンケ~ン」

「ポン!」

「ああ、ぐーね。じゃあ俺パーな。ポン」

「は?」

「はい、俺の勝ち~」

「ちゃんとジャンケンしなさいよ!!」

「いいじゃん、どのみち喋るんだからさ」

「ジャンケンで反則したから反則まけ!!」

「へいへい、わかったよ。俺の夢は日本一週だ」

「はい、終わり」

「ちょっと! 真面目に答えなさい!」

「いや、これが俺の夢だ」

「え!? それが男の夢?」

「そうだよ」

15 : 投下[saga] - 2013/05/12 07:21:15.05 DVinzaMU0 10/69


「日本一週......」

「そ、それが俺の最終的な夢の形だな」

「? どういうこと?」

「自転車で日本一週するのは定年退職したあとの夢なんだ」

「え、自転車で日本一週するの!?」

「そうだ、自分で作った自転車でな」

「......」

「日本をまわる自転車を、作るための技術を学ぶ学校へいく」

「これが俺の目標」

「で夢は自転車業界に勤めて、定年退職したあとに日本一週する!」

「完璧だろ?」

17 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 07:29:49.31 DVinzaMU0 11/69


「......」

「まぁ、俺の夢はこんな子供みたいな夢なんだ」

「笑いたきゃ笑えよ」

「......とない」

「ん?」

「そんなことない!!」

「え......」

「男はすごいよ、ここまで自分の将来を見通している」

「そしてその夢を叶えるための努力をしている」

「女......」

「だから笑わない」

「夢に向かって努力している男を」

「私は笑わない」

18 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 07:44:11.81 DVinzaMU0 12/69


「......!!」

「そんな風に言ってくれたの、女が初めてだよ」

「ありがとな」

「な!? か、勘違いしないでよ!!」

「私はただ男の夢に対する姿勢に感銘を受けただけで」

「男自身のことはこれっぽっちも、気になんてしてないんだから!!」

「はいはい」

「さて授業の準備しないとな」

「じゃあな、バイトする理由は言ったんだ」

「俺にもう、かまうなよ」

        バタン

「あ......」

「......」

「............」

「......日本一周か」

「........大きいな」

19 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 07:50:18.95 DVinzaMU0 13/69

~数週間後 教室 昼休み~

「男ー!! 一緒にお昼食べよ!!」

「なんだまた来たのか」

「かまうなって言ったのに」

「ええ、生徒指導委員としてはね」

「......そうですか」

「ほらいくわよ」

      グイグイ

「わかったから服を引っ張るな」



20 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 07:56:22.70 DVinzaMU0 14/69

~屋上~

「いただきます」

「いただきま~す」

     モシャ パク モグリン

「ねぇねぇ」

「ふぁ?」

「男のお弁当、美味しそうね」

「なんだ突然」

「いや、ただ思ったことを言っただけで......」

「そんなに気になるなら食うか?」

「え?」

「ほれ」

「まぁ......くれるなら食べてやるわよ」

      パク

「......!!」

「美味しい......!!」



21 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 08:01:01.78 DVinzaMU0 15/69


「おお、そうかそうか」

「男のお母さん料理上手なのね!!」

「いや、これは俺が作った弁当だ」

「え!?」

「なんだよ、その驚きっぷりは......」

「お、男のくせに......生意気じゃない......」

「おい、なぜ睨む」

22 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 08:05:09.22 DVinzaMU0 16/69


「さては、女は料理が苦手なのか?」

「はぁ!? そんなわけないでしょ!!」

「私だってお弁当くらい作れるんだから!!」

「ほう、なら明日、お弁当を作ってこいよ」

「のぞむところよ!!」



23 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 08:09:22.59 DVinzaMU0 17/69


~女の家~

「いったぁ......」

女母「ちょっと、大丈夫ー?」

「ふ、こんなのへっちゃらよ」

「男に私が料理できるということを」

「証明するんだから!!」

女母「今まで作ったことないのに......」

      プス

「いったぁ!?」

女母「......絆創膏たりるかしら?」

25 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 09:31:27.72 DVinzaMU0 18/69

~翌日~

「.......」

「ふっふーん」

「俺の目の前には何がある?」

「弁当だ」

「まさか本当に作ってくるとは......」

「私にかかれば、こんなのちょいちょいよ!!」

「さぁ、食べなさい男!!」

「まぁ、作ってくれたのはいいが味はどうかな?」

「では.......試食!!」

      パカ

「からあげ、たまごやき、プチトマト、サラダ」

「中身はいたって普通だな」

「さて、味はいかほど......」

        パク

「............」



26 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 09:35:05.49 DVinzaMU0 19/69


「.......ど、どう?」

「........不味い」

「え.......」

「不味い」

     パク

「なによ、だったら食べなくていいわよ!!」

「不味い」

     パク

「だから食べなくて.......」

「不味い」
   
    パク

「なによ......なんなのよ.......」



28 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 09:42:03.34 DVinzaMU0 20/69


「うん........不味い」

パク パク パク

「.......うぅ」

「ふぅ......ごちになりました」

「おう、なに泣いてんだ」

「はぁ!? あんたが私のお弁当を不味いって言ったからでしょ!?」

「うーん、まぁちょっと言い過ぎた」

「でよ、お前料理したことないだろ?」

「ない.......ないわよ!!」

「はぁ......味見とかしてないだろ?」

「してないわよ!!」

「開き直るな」
  
     ぺし

「イタ!?」

29 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 09:46:45.00 DVinzaMU0 21/69


「でも、まぁ、初めてなら許す」

「は?」

「なんにでも、最初から完璧にできる奴はいないからな」

「これからの頑張りに期待するよ」

「.............」 

「じゃあ、俺戻るわ」
  
「じゃあな」

     バタン

30 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 09:50:17.27 DVinzaMU0 22/69


~帰り道~

「これからの.......頑張り.......か」

「たしかにぶっつけでお弁当作るのはだめ.......だよね」

「でも、あそこまで言うことないじゃないのよ......」



31 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:00:57.63 DVinzaMU0 23/69


~女の家~

「ただいまー」

女母「あ、女、おかえり......」

「ちょ、どうしたのお母さん!? 顔真っ青よ!?」

女母「女の作ったお弁当のあまりを食べたら......ね」

「......え」

「............」

 タタタタタ

~数分後~


「.......うぇ」

「不味い.......」

「まさか、こんなに不味いとは思わなかった........」

「............はぁ、最悪」

「でも..........」

「男は、これを全部食べてくれたんだよね?」

「食べて.......くれた」

「全部......」

「...............」

「ふん、別に感謝なんてしてないんだから.......」

「このままじゃかっこ悪いから、練習するだけなんだから.......」

32 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:08:44.22 DVinzaMU0 24/69


~数週間後 学校~


「持ち物チェーック」

「チェック」

「はい、軍手」

「つけてる、チェック」

「次、ゴミ袋」

「持ってるわよ、チェック」

「ティッシュ」

「確認、あるわよ、チェック」

「最後に......えーと、これなんだっけ、しゃもじ?」

「それはガムとり用のへらよ、チェック」

「よし確認終わり、じゃあいくぞ」

「月に一度の校内ゴミ拾いをな」



33 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:17:53.82 DVinzaMU0 25/69


~廊下~

「めんどくさい役、押し付けられてるわね」

「バイトしていい変わりに、これをしろって言われたんだ、仕方なし」

「慣れるとけっこう楽しいぞ?」

「ふーん」

「で、今更だが、なんで女は付いてくるんだ?」

「なによ.......私と一緒にいるのは不満なの?」

「いや、むしろ嬉しいな」

「へ?」

「だってよ、いつも一人でやってたからさ」

「隣に話し相手がいるだけでも、いいもんだ」

「ああ、そう.......」

34 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:25:22.99 DVinzaMU0 26/69


「あ、ゴミ発見」

  スタスタ

「.......」

「........期待させんな、バカ.......」

~数分後~


「あ、男、ゴミ発見」

「まて、女、お前が指を差しているものは人間だ、ゴミじゃない」

「テラスからガム吐き捨ててた」

「あ~、生ゴミ用のゴミ袋持ってくればよかったな」

「そうね」

「.............」

「.............」

35 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:31:55.61 DVinzaMU0 27/69

「女」

「ん?」

「俺な、こういうときにピッタリな漢字、思いついたぞ」

「どんな漢字?」

「抹殺」

「物騒な響きね」

「...........」

「...........」

「ガムをしゃもじで取るの大変なんだからな!!」

       ダ!!!

「ちょっと! しゃもじじゃなくて、ヘラだってば! 待ちなさいよ!!」

36 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:42:30.79 DVinzaMU0 28/69


~おい糞餓鬼!! まちやがれ!!~

~やべ!!~

  ダ!!!

~待てって言ってるだろうが!!~

~待てと言って、待つ奴はいないわよ!!~

~よし、だったらこれでもくらえ!!~

~ブラックボード・イ・レイザー!!~

       ブン!!

~黒板消し!?~

~うわ!? なんだ......~

      ズドーーーーン!!

~あぶち!?~

       バタン!!

~あ! 男凄いわね! 仕留めたわよ! ~

~ぎゃぁぁぁぁ!? ~

~て、なんでアンタまで倒れてんのよ!! ~

~うでつったーーー!!?~

~よわ!!~

37 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 10:47:43.36 DVinzaMU0 29/69


「もう、ほら腕だして、伸ばしてあげないと」

「くそ、あの糞餓鬼やりやがる.......」

「物理的なことはなに一つされてないわよ.......フン!!」

「痛い!!」

「我慢しなさい」

※数分後、ガムを吐き捨てた糞餓鬼はもれなく生徒指導の教師に連行した

42 : 再開[saga] - 2013/05/12 13:51:09.43 DVinzaMU0 30/69


~数ヶ月後 昼休み 屋上~

「女~」

「なに?」

「俺さ、女の夢まだ聞いてないんだけど」

「......あ」

「俺の夢教えたんだから、女の夢も教えろよ」

「わ、笑わない?」

「内容による」

「そこは笑わないって言いなさいよ!!」

「へいへい、で女の夢はなんだ?」

「......マン」

「ん?」

「プロの......カメラマン......」



43 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 13:56:55.51 DVinzaMU0 31/69


「カメラマンか......」

「いい夢じゃないか」

「笑わないの?」

「なんで?」

「だって......みんななれっこないって言うし......」

「プロになるまで貧しい生活だし......」

「男みたいに堅実とは言いがたいし......」

「だから......」

「バカたれ」

      ぺし

「イタ!?」



44 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 14:03:30.63 DVinzaMU0 32/69


「その夢はお前の物だ」

「お前がそれを自分の夢と思っている間はな」

「その間に誰も入ることはできない」

「お前の道は自分自身で開くものだからだ」

「そうだろ?」

「男......」

「...........ありがとう」

「分かればいい」

「...............」



45 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 14:12:14.70 DVinzaMU0 33/69


「男」

「ん?」

「あの......隣でお昼食べてもいいかな?」

「.......いいぞ」

「.......!!」

「男にしては....上出来ね......!!」

     いそいそ

「それ褒めてんのか?」

「褒めてるわよ」

「てか、ちょっと近いぞ」

「うっさぃ......男は黙って座っていればいいの......!」

「ああ、もう、わかったよ......」

「ふん!」

「......はぁ......近い」



46 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 14:25:21.19 DVinzaMU0 34/69


~数週間後 放課後 教室~

「男ー! 帰ろー!」

「ん、ちょっと待ってろ」

「なにしてるの?」

「日記書いてる」

「へ~! どんなこと書いてるの?」

「その日に強く印象に残ったことを極限まで突き詰めて、書き記している」

「そうなんだ......」

「ねぇ、その日記、私にも見せてよ!!」

「いやだ」

「なによ! 見せてくれたっていいじゃない!」

「人のプライバシーを見る奴は嫌いだ」

「はぁ? 何よそれぇ......」

「もう......わかったわよ、見ないわよ......バカ」

「分かればよろしい」

       ナデナデ

「何よ......頭撫でないでよ......」

「嫌なら手を払えよ」

「......嫌なら手ぇどけてるわよ......アホ」     

「そうか」

「そうよ......」

「.........」

「.........」

「帰るか?」

「............うん」

47 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 14:40:23.00 DVinzaMU0 35/69


~数時間後 女の家~

「ただいまー」

女母「おかえり、今日は帰ってくるの随分遅かったわね?」

「うん......まぁ、ちょっとね?」

女母「もしかして......男君絡み?」

        二ヤ二ヤ

「ちょ、なんで知ってるのよ!?」

女母「あら図星?」

「あ..........///」

女母「だって女ったら、最近男君の話ばかりなんだもの~」

「あ.......あう......///」

女母「男が~とか、男とね~とか、男ってね~とか」

女母「あんなニンマリした顔で話されたら、そりゃ感ずくわよ」

「だ、だって......」

女母「まったく男性になんて目もくれない娘だったのに......」

女母「いまじゃこんなに色気づいちゃって」

「う、うっさい......」

女母「あとはその性格をどうにかしないとね?」

「ぐぬぅ.......」

50 : 早く帰ってきたから投下[saga... - 2013/05/12 19:42:54.94 DVinzaMU0 36/69


~数ヶ月後~

「ふぅ、相変わらずこの学校ゴミが多い......許すまじ」

「あ、またあったよ」

ペットボトル「......」

「お前も悲しいよな......」

「すぐそこにゴミ箱があるのに、ここに置き去りにされてよ」

ペットボトル「......」

「まったく......」

     ポイ

「男ー」

「ん?」

     パシャ

「ぐはぁ!? 目が!?」

「あ、ごめん! 眩しかった?」

「いや、大丈夫だ。いきなりでびっくりしただけだ」

「てか、また写真とってるのか」

「だって私の夢はカメラマンだもん!!」

「日常の何気ない一コマを撮っているのよ!!」

51 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 19:51:06.46 DVinzaMU0 37/69


「日常ねぇ.......」

「だったら俺ばっかり撮らんでもいいだろ?」

「......は?」

「バレてないとでも思ったか?」

「............」

「だったら何よ......悪い?」

「いや、別に......俺で良かったらいくらでも撮れよ」

「え.......」

「女に撮られんの......けっこう好きだ......」

「.......!!」

52 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 19:57:33.88 DVinzaMU0 38/69





~あとはその性格をどうにかしないとね?~




「.......」

「そんじゃあな、まぁ頑張れよ」

         ポン ナデナデ

「..........たい.......」

「ん?」

「男のこともっと撮りたい......」

「いやだから撮ってもいいってーー」 女「気づけバカ!!」



53 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 19:58:12.96 DVinzaMU0 39/69










               ガバ!!!












54 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:04:56.28 DVinzaMU0 40/69


「うぉ!? どうしたんだ突然......」

「うっさい! バカ! バカ! バカ!」

「イテ......おいこら叩くな」  

「この数ヶ月!! 散々、アンタにアプローチしてたのに!!」

「気づかないなんて.......ニブすぎよ!!」

「ああ? なんだと?」

「そういうお前だって気づいてないだろ?」

「は?」


55 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:10:17.77 DVinzaMU0 41/69


「お前の頭撫でたり......」

「お前との帰り道、もっと一緒にいたいから遠回りしたり......」

「わかりずらいわよ!!」

「もっとマシなアプローチはなかったの!?」

「ああ、もう、うるせぇ!!」

           ギュ!!

「ちょ!? 男...くるし....」

「好きだよ!! お前のことが大好きだよ!! バカ野郎ーー!!」

「なぁ!?」

56 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:29:07.01 DVinzaMU0 42/69


「見た目も! 性格も! 声も! 匂いも! 全部もれなく大好きだーー!!」

「ちょっと!! なに恥ずしいこと言ってんのよ!?」

「なんだよ、不満か? ええ!?」

「え、いや......別に不満じゃ......」

「むしろ、嬉し......かったり.......///」

「お? なんだ女、頭に血でものぼったか? 顔真っ赤だぞ?」

「なぁ......!! み、見るな......バカぁ......」

「女.......」

「な、なによ......」

「好きだ」

「~~~~~///」

「ああーーー!!! もう! 離れなさいよ!」

         ジタバタ

57 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:36:05.80 DVinzaMU0 43/69


「いやだね、返事を聞くまで離さなねーよ」

「はぁ!?」

「俺は......女、お前のことが好きだ」

「........ぁ」

「お前の返事、聞かせてくれ」

「.............」

58 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:42:16.48 DVinzaMU0 44/69


「..........」

「.........だって」

「.........私だって......男のこと......」

「前からずっと......」

「ずっと.........」











「うぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!」

59 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:52:57.17 DVinzaMU0 45/69





          ギュゥウ!!

「ぐほぁ!! ちょ、くるし......」

「好きよ!! 好きに決まってるじゃない!!」

「男の全部が全部、もれなく大好きなんだからー!!」

「嬉しいが、頼むから力緩めて......」

「責任取りなさいよ!! 男のバカ野郎ーーーーー!!!」  

「あだだだだだ」

「はぁ.....はぁ.....はぁ」

「うぁ、はぁ.......はぁ......やっと解放された......」

60 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 20:58:55.24 DVinzaMU0 46/69


「ふぅ......どう、満足した?」

「あ、ああ、大いに満足したぞ......」

「す、すごく恥ずかしかったんだからね......」

「いや、いい告白だった」

「え......そ、そう......?」

「ああ、俺メロメロ」

「ふふ、男が言うと気持ち悪いわよ?」

「すまん、俺も思った」

「でも嬉しいよ」

「それはなにより」


61 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:03:44.93 DVinzaMU0 47/69


「男.......」

「ん?」

「浮気したら許さないからね?」

「それはこっちのセリフだ」

      ギュ ナデナデ

「へへ......///」

「ふぅ.......よしよし」

62 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:05:32.38 DVinzaMU0 48/69



















63 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:13:10.10 DVinzaMU0 49/69


~半年後 屋上 放課後~




「男」

「なんだ?」

「もう卒業だね」

「そうだな」

「男と出会って.......一年だね」

「はやいな」

「うん......」

「......」

「......」

「ねぇ、男」

「ん?」

「日本一周するって夢、私も入れてよ」

「オイオイ、それは俺が定年退職した後の夢で.......」

「......」

「......」

「はぁ......本気なのか?」

「本気よ」

「つまり俺とその.......」

「そうよ」

64 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:19:49.45 DVinzaMU0 50/69


「女ってさ、たまにすごいことを言うよな」

「でも......悪くないでしょ?」

「まあ......そうだな」

「でもまずは、当面の目標を叶えようぜ」

「うん、私はプロのカメラマン!」

「俺は、えっと、自転車業界で働く!」

「で、一人前になったら......迎えにいくよ」

「ん、待ってる、約束よ?」

「ああ、約束だ」

65 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:26:39.76 DVinzaMU0 51/69


「さて今日はもう帰るか」

「うん」

「あ、わりぃ今日バイトだった......」

「え、そうなの? むぅ......」

「まあ、そう拗ねるなって」

「じゃあ女、また明日な」

「うん、じゃあね男」

「女、好きだからなー」

「....../// バイト遅れるわよ?」

「わかってるよ、そんじゃあな」

「ん、また明日」


66 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:28:18.63 DVinzaMU0 52/69





















               しかし、明日はこなかった



















68 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:30:30.30 DVinzaMU0 53/69


~翌日~


「......え」

「お、男が.......」

「登校中に車に跳ねられて.......」

「そ、即死.......?」

70 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:42:27.28 DVinzaMU0 54/69



~~~~~~~



~遺体安置室~



運転手「すいません.......でした.......」

「返してよ.......!! 男を返してよぉ!!」

運転手「すべて私の不注意です......」

「謝ってないで早く男を返しなさいよ!!」

運転手「.......本当に......申し訳......ありませんでした......!!」

「土下座なんていらないわよ!!」

運転手「すいません............」

「なにアンタまで泣いてんのよ!!」

運転手「お嬢さん.....すいませんでした.....」

運転手「本当に.....すまなかった.....」



71 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:47:32.93 DVinzaMU0 55/69


「また明日って言ったのよ!!」

「夢を叶えるって約束したのよ!!」

「日本一周するって約束したのよ!!」


「今ならまだ許してあげるから.......」 ポロ


「男を.......男を返してよ......」 ポロ ポロ


「おねがい.......だから......」 ポロ ポロ ポロ



72 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 21:53:40.55 DVinzaMU0 56/69


~~~~~~~~~~~~~






「..............」

「............男」

「おとこぉ......ヒック........おとこぉ.......グスン」

「あの........」

「?」

「もしかして女ちゃん?」

「え?」

「あのどちら......さまですか?」

「そうね、まずは自己紹介ね」

男母「私は男母、男の母よ」

73 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:00:12.33 DVinzaMU0 57/69





~~~~~~~~~~~~




~女の家 自室~

「...........」

「...........」



~男がよくあなたのこと話してたわ~

~そう、ですか......~

~ええ、それと女ちゃんにこれを~

~これって、男の日記........~

~私がもっているより、女ちゃん、あなたがもっていた方が~

~息子も喜ぶと思うの~

~...................~

74 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:06:33.46 DVinzaMU0 58/69


「男の日記......」

     ペラ







○月○日 変なやつに会った。名前は女。胸がない。<小丘>

「みじか!? しかもなによ、この漢字ムカつく......!!」

            ペラ

○月○日 女に自分の夢を言った。初めて笑わない奴に会った。<意外>

「い、意外で悪かったわね.......」

            ペラ

75 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:17:21.07 DVinzaMU0 59/69


○月○日 女の料理を食べた。不味いを超越した味だった。 <天災>

「うまいこと言ってんじゃないわよ.......」

          ペラ

○月○日 女とゴミ拾いした。うでをつった。女のマッサージが容赦ない。<忍耐>

「アンタがほぐせって、いったからでしょ......」

            ペラ

○月○日 女の夢を聞いた。応援したいと思った。<支援>

「う、嬉しくなんかないわよ.....///」

ペラ

○月○日 女と一緒に帰った。あと頭を撫でた。心地よかった。<思慕>

「................///」

76 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:25:36.14 DVinzaMU0 60/69


      ペラ

○月○日 女に告白した。相思相愛だった。<抱擁>

「.....................」

     ペラペラペラ

○月○日 女と夢を叶えると約束を交わした。責任重大だ。<決意>

「ここで日記は終わってるわね......」




「.............」

「みじかい、みじかいわよ男......」

「.........男」ポロ ポロ

         スル バサ

「あ、落としちゃった......」

77 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:26:06.01 DVinzaMU0 61/69












                  女へ









  

78 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:31:43.42 DVinzaMU0 62/69


「え?」

「最後のページに........」






女へ 

俺がこの日記を書いている間は、お前にいつか見られるというリスクを
   
背負っていることになる。だから俺は、いつか俺の日記を見るであろう
   
お前に、とびっきりのメッセージを送ろう。
   
まぁ長くは書かない。安っぽくなるからな。
             

79 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:33:16.66 DVinzaMU0 63/69











             女、大好きだよ。ずっと一緒にいてくれ。











80 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:38:59.21 DVinzaMU0 64/69


「.........」

「........」

「.......バカ」
     
     パタン

「男のバカ.......」

「私も.......」

「私も大好きだよ...........男」

「...........グスン.......グス.......」

「..............グス、ん..........」

        グイグイ

「..............よし」

「..............」

「男............」

「.............見ててね?」

81 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 22:51:00.99 DVinzaMU0 65/69


~~~~~~~~~~~~


~数十年後 あるTV番組~

「皆さん、こんにちは」

「今日はあるカメラマンについてお話したいと思います」

「そのカメラマンの名は女」

「雑誌、業界紙、広告、ブライダルなど」

「様々な分野で活躍し、その溢れんばかりの才能をふるっていました」

「しかし、彼女は突然とこの業界から姿を消しました」

「後に彼女の知人から聞いた情報ですが」

「彼女はある夢があるのだそうです」

「それは、日本をまわるのだとか」

「自分の自転車を作るだとか」

「どれが本当に夢かは定かではありません」

「しかし、どんな夢であれ彼女は輝いていることでしょう」

「それが夢を追いかける者の特権なのだから」



83 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 23:12:38.10 DVinzaMU0 66/69


       パシャ

のどかな陽光が照らす野原にカメラのシャッター音が響く

「よし、いい写真がとれた」

そう言い、満足気に彼女は頷き、カメラから顔を離す。

「うん、この県もあらかた見て回ったし、そろそろ違う県にいこうかな」

彼女は踵を返す

そして彼女の視線に自転車が映る。

フレームには3524と刻まれている。

彼女は自転車にまたがり、おもむろに胸のロケットをとりだす。

ロケットの中には、こちらを眩しそうに見ている男性の写真があった。

彼女はロケットの中の男性に優しく微笑みかけ

「さぁ、行こっか」

自転車のペダルを漕ぎ出した。

「今度はどこにいく?」

彼女はペダルに乗せている脚に力を入れ、漕ぎ出す。

流れるゆく風を一身に受け、彼女は前へ、前へと漕ぎ出す。

強く、力強く


彼女は進む。

彼との夢を叶えるために


強く、ただ強く









終わり

87 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 23:19:08.93 S1+UNHHq0 67/69

イイハナシダナー

スレタイの意味が最後までよく分からんかったが

89 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 23:21:50.66 DVinzaMU0 68/69


スレタイは適当につけました。

93 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/12 23:41:50.59 lAcW99y8o 69/69


スレタイ詐欺もいいところの純愛

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