勇者「魔王は一体どこにいる?」 【1】 【2】 【3】 の続きです。

433 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 00:39:51.11 NA2ng6bg0 387/698

---翌日---

商人「・・・じゃぁ囚人!作戦通りよろしく」

囚人「わかっている・・早く行け」

盗賊「この気球・・球皮がえらく小さくて細長い・・飛べるのか?」

商人「これは熱だけで浮くんじゃないんだ船の帆の原理と同じで飛ぶんだよ」

盗賊「言ってる意味が分からん」

商人「進む時の風の力を帆で受けて浮く方向に力を作用させるんだ」

盗賊「操作方法は?」

商人「前の気球とそんなに変わらないよ・・帆の操作も帆船と変わらない」

僧侶「ごーごーしゅっぱ~つ!!」

盗賊「い、いくぞ?」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワ フワ



商人「それで風の魔石のバルブを開けてみて」

盗賊「お、おう!」グイ プシュー

商人「後は帆の操作だけでどんどん高度が上がるよ」

盗賊「わかった・・じゃぁ出航する!!」

434 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 00:40:24.89 NA2ng6bg0 388/698

---飛行船---

ヒョーーーーウ バサバサ

盗賊「こりゃすげぇ!!めちゃくちゃ早えぇ!!」

商人「今までの気球は大きな球皮が進む速さを殺していたんだよ」

盗賊「なるほど・・高度上げれば上げるほど速度が出るな・・縦帆もあるから風上にも進める訳か」

商人「この技術は機械の国の気球を参考にしたんだ」

盗賊「空中で止まれるか?」

商人「それは出来ない・・すこしづつ高度が下がる」

盗賊「ふむ・・大体出来る事がわかった」

商人「後は慣れだね・・少し・・横になる」

盗賊「おい!大丈夫か?空気が薄いか?」

商人「平気さ・・横になれば多分良い」

435 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 00:40:52.23 NA2ng6bg0 389/698

---

商人「・・・何も言わず去ったらしい」

盗賊「そうか・・本物の勇者も行方不明か」

商人「でも女海賊が仲間になった・・あの子は勝機を見る才能がある」

僧侶「魔王城に行った時も罠だと察知していの一番で本物の勇者と一緒に逃げたんだって~」

盗賊「魔女が言ってた事と合致するな・・女海賊は本物の勇者だと知っているのか?」

商人「本人は気づいていない・・けど勘で察知してるかもね」

437 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:08:27.03 NA2ng6bg0 390/698

---翌日---

ヒョーーーーウ バサバサ

盗賊「何をそんなに熱心に勉強しているんだ?」

商人「古文書の解読さ・・過去の伝説ばかりだよ」

盗賊「伝説に興味があるとはお前らしくないな」

商人「なかなかに馬鹿にできないよ」

盗賊「どんな事が書いてある?」

商人「魔王が倒されたそのずっと昔の話さ」



第1の時代

エルフが世界を支配していた

エルフは祈りの指輪を用いその時代を築け上げた

しかしその祈りの指輪を封印しようとする者が現れた・・・後に魔王と呼ばれる


第2の時代

魔王はエルフから指輪を取り上げ指輪の乱用を禁止した

ところが魔王が持つ祈りの指輪を人間が盗み

人間は祈りの指輪の製法を復活させ時代を支配しようとした・・ここまでは割りと平和な時代


第3の時代

魔王は怒り狂ったが祈りの指輪を持つ人間に対して苦戦していた

魔王は人間は水が無いと生きていけない性質を逆手に取り

命の泉から湧き出る水を汚染する事で人間達は徐々に弱体していった

その後人間は滅ぶ寸前まで行ったが

突如、勇者を名乗る者が現れ魔王は倒された・・・これが200年前

438 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:08:54.89 NA2ng6bg0 391/698

盗賊「祈りの指輪を巡る争いだな」

商人「最後に走り書きで水が汚染されてる以上必ず人間は滅びるとある」

盗賊「続きは無いのか?」

商人「魔王が倒されて以降の記述が無い・・僕はこの古文書は魔王本人が書いた物だと見てる」

盗賊「なるほど・・・全部解読出来そうか?」

商人「まだ半分だよ」

盗賊「そうか・・解読も大変だな」

439 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:09:23.18 NA2ng6bg0 392/698

---3日後---

盗賊「漁師村が見えて来たぞ!」

僧侶「すご~く早かったね~ウフフ」

盗賊「これだけ早いと旅がラクだ」

商人「陸に降りる場合は広い場所に下りて」

盗賊「大丈夫だ!!空中で静止するように帆をそうさすれば良いんだろ?」

商人「ハハさすが飲み込みが早い」

盗賊「降りるぞ!!」



フワフワ ドッスン

440 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:10:11.16 NA2ng6bg0 393/698

---漁師村---

盗賊「・・・ようよう・・なんだか寂しい村だな・・本当に薬剤師居るのか?」

僧侶「わたし先に行って聞いてくるね~」

盗賊「おう!俺は商人背負って後から行く」

僧侶「迷子になったら宿屋でね~」ノシノシ

盗賊「俺達は先に宿屋に入る」

僧侶「オッケ~♪ウフフ」

盗賊「さぁ・・商人俺の背中に乗れ」よっこら



---

僧侶「ねぇねぇ~すみませ~ん・・薬剤師さんを探しているのですが・・」

村人「あんた何処から来なすった?悪いことは言わん・・早く村を立ち去れ」

僧侶「え~困ったなぁ・・何かあったんですか~?」

村人「1年程前にな・・疫病が流行って村人はみんな亡くなってしもうた・・」

僧侶「薬剤師さんはどうしてるのかなぁ?」

村人「村はずれで薬の研究をしておる・・魔物を捕らえてな・・」

僧侶「え!?魔物を??」

村人「なんでも疫病は魔物から移るという話だ・・近づかん方が良いぞ」

僧侶「た、大変・・・商人が病気になっちゃう」

441 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:10:40.64 NA2ng6bg0 394/698

---宿屋---

ガチャリ バタン

盗賊「おう!僧侶・・早かったじゃねぇか」

僧侶「あのね~疫病が流行ってるからね~精霊の加護の祈りをしておいた方が良いと思うんだ~」

盗賊「疫病?」

僧侶「商人と盗賊が病気になるといけないから・・」

商人「ハハハ君は割りと賢いね・・そうしよう」

盗賊「じゃぁ商人を背負って一緒に行動するか」

僧侶「うん・・そうした方が良いと思う~」

盗賊「付いたばかりで悪いが・・商人!背中に乗れ」ヨッコラ

僧侶「わたしはお祈りしておくね~」

442 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:11:13.67 NA2ng6bg0 395/698

---薬剤師の家---

『立ち入り禁止』

盗賊「・・・ここだな・・・立ち入り禁止となってるが」

商人「言ってみよう・・」



プギャー



盗賊「うお!!何だ?」

薬剤師「誰か来たの!!?・・・あ!!・・・ここは立ち入り禁止です!」

盗賊「立ち入り禁止って・・お前も立ち入ってるだろう」

薬剤師「あたしは・・病気に掛からないから・・」

盗賊「まぁよく分からんが・・・腕の良い薬剤師を訪ねに来た・・お前か?」

薬剤師「腕が良いかは分かりませんが・・一応薬剤師です」

盗賊「この商人は心臓に病気を持ってる・・良い薬を作ってもらいたい」

薬剤師「え!?あの・・困ります」

盗賊「作れないのか?」

薬剤師「今あたしは他の病気の薬を研究してる所でして・・」

盗賊「頼む!・・見てやってくれ・・もう死にそうなんだ」

薬剤師「・・・少し顔を・・・!!これは・・・」

盗賊「何だ?」

薬剤師「あの・・ここは魔物の病気が移るかもしれないので・・」

盗賊「宿屋なら良いか?待ってる」

薬剤師「・・・・・はい・・後で行きます」

盗賊「すまねぇ恩に着る」

443 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:11:58.50 NA2ng6bg0 396/698

---宿屋---

コンコン

薬剤師「あたしです」

盗賊「おぉ!待ってた・・入ってくれ」

薬剤師「失礼します・・」ガチャリ

僧侶「来てくれてありがと~うウフフ」

薬剤師「ベットで横になっている方ですね・・すこし見せてください」

商人「あぁ・・ありがとう」

---

---

---

薬剤師「・・・大分心臓に負担が掛かっています・・・この病気は治す事ができません」

商人「ハハそれは承知さ」

盗賊「数年の命と言われてもう数年経っているんだ」

薬剤師「症状を和らげる薬なら作る事ができます」

商人「それで良いよ・・僕は今死にたくない」

薬剤師「その保障は出来ません」

商人「問題ないよ」

薬剤師「ただ・・副作用がキツイです」

商人「どんな副作用なんだい?」

薬剤師「血液をサラサラにする薬ですが・・出血した時に止まり難くなります」

商人「出血しなければ良いんでしょ?」

薬剤師「体の中の出血は分からないので今よりも貧血気味になるのは間違いないです」

盗賊「じゃぁ増血剤も一緒に・・」

薬剤師「それだと血をサラサラにして心臓の負担を下げる意味が無くなります」

盗賊「・・・」

商人「数年の命はどのくらい伸びそうかな?」

薬剤師「数年と数ヶ月です・・・数年と言っても1年の人も居れば10年の人も・・」

商人「ハハハ気休めでも楽になるなら良いよ」

薬剤師「分かりました・・明日持ってきますので安静にして待ってて下さい」

商人「ありがとう」

444 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:12:32.21 NA2ng6bg0 397/698

---翌日---

薬剤師「持ってきました・・1週間です」

盗賊「なぬ!!?1週間分しか無いのか?」

薬剤師「この薬はすぐに痛んでしまうので1週間分しか出せません」

盗賊「・・・まいったな」

商人「まぁ良いよ・・飲ませておくれ」ゴクリ

薬剤師「30分程で効き目が出てきます」

盗賊「なぁ・・薬剤師・・俺達に付いて来てくれないか?」

僧侶「そうだね~その方が商人も安心~」

薬剤師「いえ・・・あの・・・わたしは疫病の薬を研究してるんです」

商人「・・その疫病の話を少し聞かせてくれないかな?」

薬剤師「構いませんが何かの役にでも立つのでしょうか?」

商人「辺境の村という所でも魔物を媒体とした疫病が流行ったらしいんだ・・そうだろ盗賊?」

盗賊「俺は見てないが・・そうらしい」

薬剤師「・・ではお話します」

カクカクシカジカ

---

---

---

445 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:13:07.81 NA2ng6bg0 398/698

商人「ちょちょっと待って!!君が言う火傷を負った人は勇者の証を持っていたんだね?」

薬剤師「はい・・間違いありません・・始まりの国の港町まで看護をしました」

商人「これは・・とんだ所から情報が入ってきたね」

薬剤師「え!?」

盗賊「騎士に間違いないな」

商人「それでその火傷を負った人から血清を作って疫病を治したんだね?」

薬剤師「はい・・でも量が少なくて」

盗賊「ドラゴンの耐性だ・・・毒の耐性が出来る」

薬剤師「え?え?ドラゴンの涙を服用していたのですか!!?」

商人「多分そうだよ」

薬剤師「・・・それでつじつまが合う・・・免疫だけ血清に出来たんだ・・」ブツブツ



盗賊「これで決まったな・・俺達はその火傷を負った人を探しているんだ」

僧侶「わたしの婚約者なの・・」グスリ

商人「薬剤師さん・・君と僕達の目的が一致してる・・付いてきて欲しい」

薬剤師「・・でも家に捕まえてる魔物を・・」

盗賊「それは俺が後で処分してやる」

薬剤師「魔物の体液が付着すると病気に掛かります」

商人「それは大丈夫さ・・ねぇ僧侶」

僧侶「グスン・・」コクリ

446 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 19:13:47.64 NA2ng6bg0 399/698

---

商人「じゃぁ旅の準備をしてきて・・薬を作る道具も全部飛行船に乗せて」

薬剤師「はい・・一つお願いが・・無害な魔物を一匹連れて行って良いでしょうか?」

商人「無害なら問題ないよ・・あ!あとあんまり大きいのは無理かな」

薬剤師「いえ・・大きさは手のひらに乗ります・・スライムと言うんです」

商人「スライム?・・古代の魔物だね・・僕も見て見たいな」

薬剤師「良かった・・魔物は知能が無い訳じゃなく教えられてないだけなんです」

商人「へぇ・・」

薬剤師「教えてあげれば良い子に育ちます」

商人「君はどうやら僕達の良い仲間になれそうだ・・スライム王国でも作ろう」

薬剤師「えへへ」

447 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:13:33.82 NA2ng6bg0 400/698

---飛行船---

盗賊「じゃぁ出発するぞー!!」

薬剤師「すごい!!こんな乗り物初めて」

商人「僕が造ったんだ・・ここでバーベキューだって出来るんだ」

僧侶「なんか商人元気でてきたね~ウフフ」

商人「うん・・元気になったらお腹が空いてきた」

盗賊「おぉ!!じゃぁ今日は飛行船でバーベキューだ・・保存肉しかないが・・」

僧侶「水で戻せば~?」

商人「ハハハ良いね・・そういえばスライムは何を食べるのかな?」

薬剤師「この子は毒を食べて体に蓄えるんです」

盗賊「ほー毒を・・」

薬剤師「体内で毒の免疫を作るのでそれを利用できないか研究していました」

商人「すごいね」

薬剤師「でも血液が無いので人間に効果のある血清は作れないんです」

僧侶「良くわかんな~い・・わたしバカかなぁ?」

盗賊「・・・・・」

商人「ま、まぁバーベキューしよう」

448 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:14:03.95 NA2ng6bg0 401/698

---

ジュージュー

僧侶「頂きま~パク」モグモグ

商人「まぁまぁ美味しいね」モグモグ

盗賊「薬剤師!何やってるんだ?」モグモグ

薬剤師「スライムに毒をあげてます・・このお肉にも微妙に毒が入ってます」

盗賊「肉にも毒が?」

薬剤師「どんな食べ物にも少しだけ毒が入っててスライムはその毒だけ食べます」

盗賊「・・・その肉はそのあとどうするんだ?」

薬剤師「あたしが食べる・・」

盗賊「おぇ・・・」

商人「ハハハ良いじゃないかハハハ毒の一切入ってない肉だよ」

僧侶「ねぇ~私も食べて見たいなぁ・・どんな味がするんだろ~」

薬剤師「味は・・無くなります」

盗賊「味が毒って事か」

商人「なるほど・・そうかもしれないね」


449 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:14:32.05 NA2ng6bg0 402/698

---

商人「・・・そうか・・その女性は海葬されたのか・・」

僧侶「ひっく・・ひっく・・」ポロポロ

盗賊「言葉もねぇな」

薬剤師「お知り合いでしたか?」

商人「仲間だったんだよ」

薬剤師「火傷を負った人はその女性の身に付けてた銀のアクセサリーを大事にしてました」

僧侶「うぇ~ん・・・一緒に買いに行ったのに」ポロポロ

商人「・・・でもどうして騎士は火傷を負ったんだろう?」

薬剤師「全身骨折もしていました」

商人「キマイラしか考えられないな」

盗賊「どこに居たんだ?魔王島には何も無かった・・」

商人「謎だね」

薬剤師「あの~・・キマイラとは何でしょう?」

商人「話すと長いんだけど・・遺伝子操作された魔物?って所かな」

薬剤師「遺伝子操作!!・・例の疫病も普通の病気と違って人工の病気じゃないかと疑っていました!」

商人「なるほど・・君の考えは正しいよ」

薬剤師「・・という事は」ブツブツ

盗賊「薬剤師は商人に似てるなヌハハ」

450 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:15:03.86 NA2ng6bg0 403/698

---中立の国の商人ギルド---

ワイワイ ガヤガヤ

商人「囚人!戻ったよ」

囚人「早かったな・・往復で10日程か」

盗賊「あの飛行船はめちゃくちゃ早かったぞ」

囚人「俺が組み立てたからだ」

商人「例の作戦は順調かい?」

囚人「この通り物流が停滞して大混乱中だ」

商人「王国の動きは?」

囚人「思惑通り・・闇商人と取引したがっている・・どうする?」

商人「よし!食料だけ流通させる・・但し・・塩だけは流通させない」

囚人「買い占めて良いんだな?」

商人「良い・・これで王国は戦争を出来ない・・」

囚人「クックックお前のやり方は本当に闇商人だな」

商人「今は君が闇商人さ」

451 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:15:46.68 NA2ng6bg0 404/698

---秘密基地---

商人「・・・情報が揃ったね多分こういう事だ」



騎士は始まりの国の監獄塔に幽閉されている

魔女の指輪で看守の力を吸いながら生き長らえてるんだ

でも僕達5人だけで1000人近い衛兵を潜り抜けるのは無理がある

やっぱりドラゴンを先に仲間にする必要があるかな



盗賊「・・まぁ・・その通りだな」

僧侶「心配だよ~う」ソワソワ

商人「きっと大丈夫さ・・僧侶は未来を知っている」

僧侶「・・・」

盗賊「これからどうするんだ?」

商人「砂漠の砂嵐を飛び越えてドラゴンの棲家に行く・・取引をする」

盗賊「終わりの国のドラゴンの子を解放するのか?・・被害が大きすぎないか?」

商人「もうほとんどの商船は僕の手にある・・海賊王に裏航路で待機させる」

盗賊「全部避難させるつもりか?」

商人「そうだよ」

盗賊「出来るのか?」

商人「出来るのか?じゃなくてやるんだよ」

452 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 21:16:21.75 NA2ng6bg0 405/698

やり方は終わりの国の地下墓地のゾンビを全部解放する

衛兵達はゾンビを相手にしなくてはならない

混乱に乗じて僕達は城の内部からドラゴンの子を解放する

城の内部は囚人が熟知している筈さ

ドラゴンの子を解放したら市民を全部船に乗せる

これは海賊王達がやるんだ・・話は付いてる



囚人「やっと復讐が出来る・・」

商人「今回は囚人と盗賊が肝だよ」

盗賊「俺が?」

商人「ドラゴンの解放は盗賊の鍵開けに掛かってる」

盗賊「!!!俺の専門分野か」



商人「中立の国での取引がひと段落したらドラゴンの棲家に行く」

商人「そこは命の泉という場所さ・・ドラゴンはそこを守っている」

453 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 22:02:49.65 NA2ng6bg0 406/698

---数日後---

僧侶「ねぇ・・塩が無いとどうして戦争ができないの?」

盗賊「おう!それはだな・・保存食が作れないからだ」

僧侶「保存食?」

盗賊「普通の食べ物は塩が無いとすぐに腐ってしまう・・1週間もすれば兵士は食べるのもが無くなる」

僧侶「へ~」

盗賊「その他にもな・・戦いで血を流すと動けなくなる・・塩水を与えないとしばらくは動けん」

僧侶「そんなに大事な物だったんだぁ~」

盗賊「塩が無いと逃げる敵も1週間で追えなくなる」



商人「よし!取引が終わった!明日ドラゴンの棲家に向かおう!」

囚人「商人ギルドは他の者に任せて良いのだな?」

商人「塩だけは流通させないように徹底させて」

囚人「わかっている」

454 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 22:03:17.60 NA2ng6bg0 407/698

---飛行船---

盗賊「よ~し荷物全部積んだぞ」

囚人「商人!お前はもう歩けるようになったのか?」

商人「薬剤師の薬のおかげで随分楽になったよ・・食欲もあるんだ」

囚人「食欲があるのは良い事だ・・」

商人「ハハハ君には関係の無い話か・・血は足りているかい?」

囚人「闇取引では生き血も手に入る」

商人「血を売って金貨を稼ぐ人もいるからね」



盗賊「おい!!早くのれぇ!!出発するぞぉ~」

僧侶「どれくらいかかるの~?」

盗賊「地図によると歩けば2ヶ月だ・・この飛行船なら10日で行けるかもしれん」

商人「砂漠を歩くのは大変だよ・・僕はムリだ」


ゴゴゴゴゴゴゴ プシュー フワフワ

455 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/30 22:03:50.49 NA2ng6bg0 408/698

---

僧侶「薬剤師は何してるの~?」

薬剤師「・・これはねスライムがあたしの体に入った毒だけ食べれるか実験してるの」

僧侶「なんか気持ち良さそ~うウフフ」

薬剤師「全身なめまわされてる感じよ・・・やっぱり・・・反応が消えてる」

僧侶「???」

薬剤師「すごい事を発見したかも・・・」

商人「どうしたんだい?」

薬剤師「スライム・・この子はどんな毒でも直せる事を発見したみたい」

商人「僕にもやってもらえるかな?」

薬剤師「多分・・大丈夫」

商人「どうすれば良い?」

薬剤師「少し横になって・・・ハイご飯でちゅよ~」ベチャ

商人「うはは・・くすぐったいな」

薬剤師「そのままじっとしててね」

---

---

---

商人「なんか体がすごい楽になった気がする」

薬剤師「多分商人は心臓の機能が低下した事で腎臓の機能も低下してて体の毒を排泄しにくくなってるの」

商人「体に溜まった毒を全部食べてくれた?」

薬剤師「・・・これはすごい発見だわ!!スライムと人間は共存出来る!!」

僧侶「ねぇねぇ私達ってさぁ~本当に魔王軍みたいだね~」

盗賊「ヌハハ薬剤師連れてきて本当に良かったな」


457 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:42:57.17 PDJX4b4O0 409/698

---砂嵐地帯---

ビョーーーーウ バサバサバサ

盗賊「・・・こりゃ巻き込まれたら終わりだな」

僧侶「地面から空まで渦が繋がってるぅ~」

商人「地上から見ると砂嵐だけど上空から見ると竜巻だね」

盗賊「この間を縫って行けば良いんだな?」

商人「そうだよ・・抜けると高い山がそびえ立ってる筈さ」

盗賊「ハンター達はここを通ってドラゴンを狩りに行くのか?」

商人「いや・・山の尾根沿いに行くと聞いてる・・普通に行くのは難しいらしい」

盗賊「・・その命の泉って所の場所は分かってるのか?」

商人「一番高い山の頂さ・・行って見れば分かるはず」

盗賊「いきなり山頂に降りるのか?」

商人「ハハハ盗賊ならできるだろう?」

盗賊「ドラゴンに襲われたらどうする?」

商人「その時はその時だよ」

囚人「クックック・・命がいくつあっても足りんな」

458 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:43:39.06 PDJX4b4O0 410/698

---山頂---

ビョーーーーウ バサバサバサ

盗賊「見えて来た・・た、高けぇ・・まだ高度上げるのか」

商人「はぁはぁ・・さすがに息苦しいね」

薬剤師「商人!ゆっくり深く呼吸をしてね・・息を乱さないで」

商人「僕はやっぱり背負ってもらわないといけない様だ」

盗賊「それは気にするな」

僧侶「ねぇねぇもしドラゴンさんが来たらどうするの~?」

商人「僧侶は精霊の加護の祈りをして欲しい」

僧侶「わかった~」

盗賊「よし!!じゃぁ直接命の泉の前に下りるぞ」



フワフワ ドッスン



シーン・・・



盗賊「何も居ない様だ・・商人背中に乗れ」

商人「先頭は囚人にお願い・・僧侶と薬剤師は後から付いてきて」

囚人「行くぞ」

僧侶「命の泉って言うのに草木も生えてないんだね~」

盗賊「ここは標高が高すぎる・・高山植物すら・・」

商人「よく足元を見てごらん」

僧侶「・・・苔だぁ・・すごく小さな花が咲いてる~かわいい~♪」

商人「古文書にはその苔に癒しの効果があると書いていた・・さわってごらん」

僧侶「・・やわらかくて気持ち良い~ウフフ」



商人「僕は少し確かめたい事があるんだ・・命の泉まで行ってくれるかな?」

囚人「泉のある場所だな?こっちだ」

盗賊「音が・・俺達の足音しか聞こえない」

囚人「下界とは隔離された場所の様だ」

商人「いや・・そうでもないよ・・微かに水の音がする」サラサラ

459 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:44:22.89 PDJX4b4O0 411/698

---命の泉---

サラサラ サラサラ

盗賊「ここが・・命の泉?」

商人「何か見えないかい?」

僧侶「湖の真ん中に何か突き立ってるぅ~」

商人「!!!やっぱり古文書の内容は本当だったんだ・・」

盗賊「なんだアレは?」

商人「多分魔王が突き立てた魔槍だよ・・囚人!!あの魔槍を抜けるかな?」

囚人「・・・」ジャブジャブ

僧侶「浅~いウフフ」

囚人「フン!フンッ!フーンッ!・・だめだ俺の力では引き抜けん」

商人「そうか・・仕方が無いね」

盗賊「あの魔槍がどうかしたのか?」

商人「古文書では魔王は命の泉を汚して人間を弱体化させたとある・・」

盗賊「伝説の話だろ?」

商人「ひょっとして僕達の飲む水はこの魔槍のせいですべて汚れているのかと・・」



ギャオース

460 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:45:04.14 PDJX4b4O0 412/698

盗賊「!!!ドラゴンが戻って来た!!!」

囚人「待て!!水場の方が都合が良い」

商人「僧侶・・精霊の加護を・・」

僧侶「は~い。オッケ~」



ギャオース バッサ バッサ ゴゴ~ン



盗賊「で、でけぇ・・」

商人「ドラゴンと取引をしに来た!!助けになって欲しい!!」



ギャオース ゴゥ ゴーン



盗賊「うわ・・いきなりブレスか」ヒヤ

商人「大丈夫だよ・・精霊の加護に守られている」

ドラゴン”精霊の加護を持つ人間か”

ドラゴン”人間よ我は下等な人間とは取引などしない”

ドラゴン”命の泉が汚れる・・立ち去れ”

商人「6匹のドラゴンの子を解放すると言ってもかい?」

ドラゴン”・・・・・”

商人「終わりの国でドラゴンの子が捕らえられてるのは知っている・・それを解放する」

ドラゴン”人間は信用出来ん・・立ち去れ”

商人「ならこうしよう・・僕達がドラゴンの子を解放する様を見ていてくれ」

ドラゴン”・・・・・”

商人「話はその後にしよう・・ただ・・少し協力してもらわないと解放できないかもしれない」

ドラゴン”・・・・・”

商人「解放したドラゴンの子を導いて欲しい・・なからず助ける」

ドラゴン”話は終わりか?・・・ならば立ち去れ”

461 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:45:36.18 PDJX4b4O0 413/698

---飛行船---

ゴゴゴゴゴゴゴ フワ フワ

盗賊「おい!良いのか?取引が成立したとは思えんが・・」

商人「フフならどうして僕達は自由に飛行船で帰れる?」

盗賊「・・・そういやそうだな」

商人「ドラゴンは僕達を殺すことなんて簡単な筈さ」

僧侶「商人!あったまい~~ウフフ」

商人「ドラゴンは何も言わないけど了解したんだよ・・僕達の行動を遠くで見てる」

盗賊「次はどうする?」

商人「海賊王と接触する・・いよいよドラゴンの子を解放する最後の調整だ」


462 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:46:04.55 PDJX4b4O0 414/698

---

僧侶「ねぇねぇ・・命の泉に突き立ってた魔槍・・なんか気になるなぁ・・」

商人「・・・君もそう思うかい?・・・僕もなんだ」

僧侶「あの魔槍は抜かないといけない気がするの~」

商人「水を汚して人間を弱体化さてたってどういう事なんだろう」

僧侶「もしもわたしが命の泉だったらね~あんなの刺さってたら痛いと思うんだ~」

商人「痛い・・ねぇ・・・」

囚人「痛みは憎悪に似た感情を産む・・それが流れ出てるのかもしれんな」

商人「その水を長い年月僕達は飲み続けてるのかな」

囚人「・・かもしれんな」


463 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:46:30.65 PDJX4b4O0 415/698

---

盗賊「ぬふふ・・」

僧侶「にま~」

盗賊「あの2人は相性が良さそうだ」

僧侶「うふふのふ~」



(・・僕はこう思うんだ)

(・・でもそれは・・)

(いいよ手伝ってあげる)

(あたしがやるからいい)

464 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:46:58.86 PDJX4b4O0 416/698

---1ヵ月後海賊船---

ザザー ザブーン

盗賊「この義手と義足すげぇな・・」

海賊王「それはなぁ・・機械の国で作った特注品や・・力の魔石と風の魔石が入っとる」

盗賊「どんな効果だ?」

海賊王「義手の方は力の魔石でな・・重い物でも持てるようになるんや」

盗賊「ほぅ・・」

海賊王「義足の方は風の魔石や・・すばやく動けるんや」

盗賊「・・でもなんでこんなに沢山・・」

海賊王「わいの趣味や・・海賊王たるものかっこ良くなくてはイカン」

盗賊「・・元がかっこ悪いのはどうする?」

海賊王「!!?なんやとぅ!!」

女海賊「まぁまぁまぁまぁ・・パパ落ち着いて」

盗賊「うはぁ・・恐えぇ恐えぇ」

465 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:47:28.83 PDJX4b4O0 417/698

---船長室---

商人「じゃぁ良いかな?海賊船は終わりの国の裏航路で待機」

海賊王「わかっとるわ・・市民を避難させれば良いんやな?」

商人「うん・・行き先はこの裏航路を通って辺境の村に降ろせば良い」

海賊王「辺境の村に全部移せるんか?」

盗賊「大丈夫だ・・十分な広さと最低限の食料も自給できる」

海賊王「怪我人も運んでえーか?」

盗賊「辺境の村には薬草が大量にある筈だ・・よほど足りる」

商人「・・それで終わりの国の地下墓地への横穴は完成したのかな?」

海賊王「大丈夫や!!教会の裏から斜めに地下墓地まで掘った・・鉄柵上げればわんさか出てきよるで」

商人「よし!!それは女海賊に任せる・・良いかい?」

女海賊「アタシに不可能は無いよ!!」

商人「ドラゴンの解放は囚人と盗賊の2人でお願い」

囚人「わかっている」

商人「僧侶と薬剤師は僕と一緒に怪我人の処置だ」

僧侶「は~い」

商人「じゃぁ行こうか・・」


---わたしたちがやっていることは正しいことなのかな?---

466 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:47:56.07 PDJX4b4O0 418/698

---終わりの国---

ガヤガヤ ガヤガヤ

盗賊(囚人!顔を隠しておけ!お前はこの国じゃ有名すぎる)

囚人(クックック・・早く無様な国王の顔が見たい)

盗賊(・・・そんなに酷い仕打ちを受けたのか?)

囚人(家族を全員な・・)

盗賊(・・・)

囚人(教会はこっちだ・・先に家族に会いたい)

盗賊(わかった・・手短に済ませろ)

467 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:48:26.26 PDJX4b4O0 419/698

---教会---

盗賊(・・・そうか・・子供が居たのか)

囚人(この日の為に苦難の道を歩んできた・・涙が出ないのが悲しい)

盗賊(死者だとバカにしてきて済まなかった・・お前の心はまだ人間のままだ)

囚人(よし・・行くぞ)

盗賊(教会の裏だったな・・あの林の中か?)

囚人(おそらくそうだろう・・待て!!・・上空でドラゴンが旋回してるな)

盗賊(ん??高い・・・見てるな?)

囚人「急ごう!」

468 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:48:55.23 PDJX4b4O0 420/698

---林の中の洞窟---

ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ

ガラガラガラガラ ガシャーン

盗賊「よし!開けた!ゾンビを誘ってくる!」タッタッタ

囚人「お前はムリをするな・・後で解錠の役がある」

盗賊「分かってる!だが俺の脚力もバカにはならんぞ?」

囚人「クックック・・好きにしろ」



ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ

盗賊「うはぁ・・大量だぜ!!100は居るぞ」

囚人「このまま洞窟を出ろ」

タッタッタ

469 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:49:25.92 PDJX4b4O0 421/698

---街道---

盗賊(・・・そろそろ騒ぎ立てるか)

囚人(よかろう)



盗賊「助けてくれええええゾンビの大群が出たぁぁぁぁ!!」

盗賊「早く逃げろおおおおぉぉぉ」

盗賊「すごい大群だぁぁぁぁぁ!!」

盗賊「海に向かって逃げろおおおぉぉぉ」



(なんだ?ゾンビだって?)

(どこだどこだ?)

(うわああぁぁ教会からゾンビがぁぁ!!)

(に、逃げろおぉぉ!!)



盗賊「よし!上手く行った・・次は城だ!!」

囚人「付いて来い!こっちだ」

470 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 14:49:56.36 PDJX4b4O0 422/698

---城門---

門番「止まれ~い!ここは終わりの国王様の城である・・」

盗賊「大変だ!!町にゾンビの大群が現れた・・100体以上居る!!」

門番「!!?な、なんだと?」

盗賊「一般民が襲われてる・・なんとかしてくれ!!」

門番「衛兵!!隊長に報告しろぉ!!」

衛兵「ハッ!」

盗賊「おい!!ここからでも見える・・ゾンビが100体じゃきかねぇ・・」

門番「・・どれ・・・うお!!・・・こりゃ大変だ」

盗賊「早く城門を空けてくれぇ!!みんなゾンビにやられちまう!!」

門番「わ、わかった・・」



ガラリゴロリガラリゴロリ

471 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 17:59:24.10 PDJX4b4O0 423/698

---

隊長「武器を持って町の守備につけぇ!!」

衛兵「ハッ!!」

隊長「手の空いてる者は大砲を一基1番塔から下ろせ!!」

衛兵「ハッ!!」



ゾロゾロ ゾロゾロ



囚人「よし・・1番塔のやつから行くぞ」

盗賊「どれだ?」

囚人「付いて来い・・途中で衛兵の兜をかぶって行く」

盗賊「ぬはは慎重じゃねぇか」

囚人「面倒は避ける・・これをかぶれ!」ガポ

472 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 17:59:56.09 PDJX4b4O0 424/698

---1番塔---

盗賊「隊長からこの1番塔の大砲を一基降ろせと指示があった」

衛兵「何!?町はそんなに大変な状況なのか?」

盗賊「ゾンビの大群が100体以上は居る!!」

衛兵「100体か・・」

盗賊「もっと居るかも知れない・・ここは俺達に任せて応援に行った方が良い」

衛兵「し、しかし・・」

盗賊「このままだとお前の家族もやられるぞ」

衛兵「!!!・・大砲の下ろし方は分かるか?」

囚人「わかっている・・魔法師はどうしてる?」

衛兵「魔法師は宿舎で休憩中だ・・呼んだ方がいいか?」

囚人「まだ呼ばなくて良い・・後で俺達が呼びに行く」

衛兵「わかった・・後は頼む!!」



囚人「盗賊!お前は上に上がって大砲の施錠を開けろ・・俺はここで大砲を降ろす」

盗賊「まかせろ!」

囚人「リミットは大砲が下に降りきるまでと思え・・降ろし始めるぞ」



ガラガラガラガラ



盗賊「そりゃ難易度高けぇな・・行って来る!!」ダダダ

473 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:00:24.90 PDJX4b4O0 425/698

---1番塔の上---

盗賊「おおぅ・・町が良く見える・・大混乱だな」

盗賊「こうしちゃ居られねぇ・・早く解錠しないとな」

盗賊「!!鍵も6つ有るのか・・間に合うか?」ガチャガチャ

盗賊「今出してやるからよ・・親ドラゴンが迎えに来てるぜ?」ガチャガチャ



ガラガラガラガラ

474 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:00:51.03 PDJX4b4O0 426/698

---1番塔の下---

盗賊「ふぅ・・ギリギリ間に合ったな・・鍵が6つあるなんて聞いてないぜ」

囚人「子ドラゴンを引きずり出すぞ」

盗賊「お、おう・・」グイ グイ

囚人「よし!いい子だ」グイ グイ



ギャオース



盗賊「上に親ドラゴンが迎えに来てる・・適当に城の中で暴れて良いぞ!」

囚人「次の塔に行く・・来い」

盗賊「俺達に攻撃すんなよ?他の子ドラゴンが助けられなくなるぞ?」

囚人「急げ!!こっちだ」


ギャオース

475 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:01:20.47 PDJX4b4O0 427/698

---終わりの国の街道---

ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ

衛兵「数が多すぎる・・」ダダダ ザク

一般民「船だ!!船が来てる!!船に逃げろ~!!」

衛兵「くそう・・倒してもキリが・・・うわ!!こんな時にドラゴンが」

海賊達「海賊が助けに来たぁ!!一般民は海賊船に乗れぇ!!」

一般民「たたた助けてくれぇ・・」



(海賊船が助けに来てるらしい・・船に向かって走れぇ)

(ド、ドラゴンも沢山来てるぅ)

(王国の大砲はどうなってる!?)

(家がぁ家が燃えるぅ~)

(早く海へ逃げろ!!)



衛兵「これは魔王軍の仕業なのか!?」


476 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:02:41.29 PDJX4b4O0 428/698

---城内---

ゴゥ ゴーン

盗賊「大砲がブレス打ち始めたぜ・・」

囚人「魔法師に感づかれたな・・あと2つ」

盗賊「次はあの塔だな?はぁはぁ」

囚人「魔法師だけヤレるか?」

盗賊「俺を誰だと思ってる・・隠密のプロだ」

囚人「よし・・5番塔の下は俺が守ってやる・・盗賊だけで上の大砲を処理しろ」

衛兵「見つけたぞぉ!!」

囚人「盗賊!早く行け!!」

盗賊「5分で片付ける・・持ちこたえてくれ」ダダダ

囚人「・・・ここは通さん」グイ ドサッ

衛兵「!!!お、お前は・・・」

囚人「元・終わりの国衛兵隊長だ・・顔に見覚えがあるだろう」

衛兵「この騒ぎ・・すべてお前が仕組んだのか!?」

囚人「借りを返して貰いに来ただけだ」

衛兵「全員弓を持てぇ!!」

囚人「クックック・・賢い選択だ・・」グワシ

衛兵「盾持ちか・・構わん!撃てぇ!!」



スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン

ドス カンカン ドス カカン ドスドス カン ドドドカカカン



囚人「クックック・・それだけか?」

衛兵「なにぃ・・まだ立ってる」

囚人「俺は死なん・・いや俺は不死者だ・・お前らでは倒せん」

衛兵「もっと撃てぇ!!」


ドラゴン「ギャオース」 バッサ バッサ ドッスーン


衛兵「うお!!ドラゴン・・」

囚人「逃げんとブレスが来るぞ?」

衛兵「散開!!散開!!」



ゴゥ! ボボボボボボボ



衛兵「うがぁぁぁぁ・・衛生兵!!衛生兵!!」

衛生兵「建物の影に!!」



盗賊「囚人!!大砲を下ろしてくれぇ!!」

囚人「・・・・」ガラガラガラガラ

477 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:03:14.11 PDJX4b4O0 429/698

---

盗賊「つつつ・・火傷しちまったぜ・・」

囚人「手は無事か?」

盗賊「あぁ手だけは無事だ・・魔法師が2人居て反撃された」

囚人「子ドラゴンを引きずり出すぞ」ズルズル

盗賊「お前はハリネズミみたいだな・・よくそれで生きてる」ズルズル

囚人「無駄口を叩くな・・あと1つだ」

盗賊「そういえば・・俺達の避難はどうする?」

囚人「聞いて居ないな」

盗賊「早くしないと船に乗り遅れるな・・行こう!!」

478 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:03:44.36 PDJX4b4O0 430/698

---6番塔---

隊長「この大砲だけは死守しろ!!」

衛兵「ハッ!!」

隊長「来たな!!」

衛兵「あの2人に間違いありません」

隊長「大砲を放て!!」



ゴゥ ゴーン



盗賊「うお!ブレス!!」ヒラリ

囚人「最後の大砲には近づけんな・・」

盗賊「ちぃ・・ここまでか・・」

囚人「考えがある・・来い!!」ダダダ

衛兵「逃げたぞ!!」

隊長「追うな!!今はこの大砲を守る事が優先だ」

衛兵「しかしあの先には姫君が・・」

隊長「んむむ・・精鋭兵が居る筈だ・・」

衛兵「くぅ・・」

479 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:04:22.71 PDJX4b4O0 431/698

---姫君の間---

「ハラハラ・・ソワソワ」



ゴゥ ゴーン ガガーン



ゴトリ・・

「!!?ハッ・・」

囚人「姫・・お助けに参った」

「・・あなたは・・元衛兵隊長様・・よくぞご無事で」

囚人「今は囚人だ・・囚人と呼んでくれ」

「なぜ秘密の裏口から?」

囚人「この国はもう終わりだ・・俺の理解者である姫だけは助けてやる」

「ついにお父様の悪行が払われるのですね?」

囚人「・・未練は無いか?」

「一般民が心配に御座います」

囚人「その心配は要らん・・船に避難を始めている」

「船に?」

囚人「そうだ・・すべての一般民を収容できる船を用意している」

「私はどうすれば良いのでしょう?」

囚人「囚われたドラゴンを解放している・・付いて来れるか?」

「はい・・やっと解放されるのですね?」

囚人「あと1匹だ」

盗賊「姫には捕らわれたフリをしてもらいたい・・・少々手荒になるが・・」

「終わりの国の業は謹んでお受けします・・」

囚人「業を受けるのは姫では無い・・姫の父君だ」

「・・・・」ポロ

囚人「心配するな・・民が生きてる以上この国はまだ復興が出来る」

「行きますわ・・私にも復興のお手伝いをさせて下さい」

盗賊「ようし!!姫の命預かった!!」

囚人「行くぞ・・裏口から出ろ」

ゴトリ・・

480 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:05:03.97 PDJX4b4O0 432/698

---6番塔---

ゴゥ ゴーン

スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン

隊長「ドラゴンは弓に弱い!!休まず撃てぇ!!」

衛兵「隊長!!例の2人が姫君を!!」

隊長「何ぃ!!?」



囚人「大砲を明け渡してもらおう」

隊長「ハッ・・お前は・・元衛兵隊長・・さては裏口から姫君を・・」

囚人「クックックその通りだ」

隊長「くぅ・・抜かった」

囚人「えらく出世したな」

隊長「だまれぇ!!このままだとこの国は滅ぶぞ!!」

囚人「もう遅い・・ドラゴンとゾンビの怒りはもう収まらん」

隊長「お前こそ不死者の癖に・・」

囚人「そうだ・・この国は不死者の怒りを買っている・・特にお前にな」

隊長「お前の家族を殺したのは・・国王の指示だ」

「・・・・」

囚人「もう失ったものは戻らない・・お前への信頼ももう戻らない」

隊長「姫をどうするつもりだ!?」

囚人「人質以外に何に見える?」

盗賊「大砲を渡さないと殺すぞ!?」

隊長「お前達にそれが出来るか?姫を育てたのはお前だろう!!」

囚人「・・・・」

盗賊「俺はこんな女に未練は無ぇ!」グサッ ポタポタ

「きゃあぁぁぁ・・痛いぃ」

衛兵「!!!姫ぇ!!!」

隊長「ま、待て・・分かった・・衛兵!!大砲から離れろぉ・・」

盗賊「さっさとどいてりゃ良いんだよ・・」---くぁぁ痛てぇぇ---

囚人「・・・・」---姫を刺すフリで自分を刺したか---

481 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:05:42.10 PDJX4b4O0 433/698

盗賊「ようし!!最後のドラゴンだ・・」---ちぃ出血が多い---

囚人「引きずりだすぞ」ズルズル

隊長「お、お前達・・なんと卑怯な」

囚人「クックックお前に言われたくないがな」

盗賊「大砲無しでドラゴンと戦う事を考えた方が良いぜ?」

隊長「姫君を放せ!!」

囚人「残念だが今放すと俺達の命が危ない」



ギャオース



盗賊「ドラゴンとやり合ってな!!」

囚人「行くぞ!!・・振り切ったら姫は自分の足で付いて来い!」

「は、はい・・」

盗賊「傷は痛むか?」

「かすり傷です・・あなたは?」

盗賊「ちぃと刺しすぎた・・力が入りすぎちまった」ボタボタ



ゴゥ ゴーン

スン スンスン シュン ススン スンスン スン フォンスススススン

482 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 18:22:50.75 PDJX4b4O0 434/698

---海賊船---

ザザー ザブーン

商人「ドラゴンが7匹・・上手くいったみたいだ」

海賊王「・・・この世の終わりの様な光景やな・・・」

商人「後は女海賊が盗賊と囚人を無事確保してくれれば良い・・」

海賊王「まだ避難民の収容は終わってないで?」

商人「・・にしても僧侶の回復魔法は凄いな」

海賊王「そうやな・・」

商人「正直驚いた・・あんなに回復魔法が回せるとは・・」

海賊王「魔力が良く持つのう」

商人「普通の10倍は回してる・・まだ魔力が持つのが不思議だ」

海賊王「勇者並みの魔力かえ?」



---僕は大きな勘違いをしているかもしれない---

---本当に世界を救えるのは心も癒せる彼女なのかもしれない---


483 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 19:58:25.03 PDJX4b4O0 435/698

---終わりの国の教会---

タッタッタ

盗賊「くそぅ・・目が霞んできやがる」ヨロ

囚人「女海賊が教会付近に居る筈だ・・もう少しだ」

盗賊「分かってるが・・血が足りねぇ」



女海賊「よ~し!!鉄柵から全部ゾンビ出たね?」

海賊「あっしらもそろそろ逃げた方が・・」

女海賊「銀製品全部積んだかい?」

海賊「手当り次第積みましたぜ」

女海賊「アタシが最初に気に入った奴選ぶかんね?」

海賊「分かってますぜ」

女海賊「お!!誰か来る・・飛行船の準備を!!」



盗賊「飛行船だ・・女海賊がまだ居る・・助かった」ヨロ

囚人「女海賊!盗賊の手当てを出来るか?」

「私がやります!」

女海賊「誰さ!?この女」

囚人「終わりの国の姫だ・・俺の理解者だ」

女海賊「早く飛行船に乗って!!」

484 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 19:58:55.82 PDJX4b4O0 436/698

---飛行船---

ゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー

女海賊「この飛行船凄いね!!」

盗賊「俺達の飛行船を勝手に・・」

女海賊「商人が使って良いってさ」

盗賊「お前こんなギリギリまで教会で何を?」

女海賊「あんた達が空けた地下墓地の鉄柵以外に何個もあるんだよ」

盗賊「1つだけじゃなかったのか・・」

女海賊「1つだけじゃ一気にゾンビ出すのはムリよ!!アタシのお陰なんだから」

盗賊「それにしちゃ・・この銀製品の山はなんだ?」

女海賊「ヘヘー戦利品」

盗賊「抜け目ねぇな・・」

女盗賊「ドラゴンはアタシ達をガン無視してるねぇ・・」

盗賊「恐くねぇのか?」

女盗賊「アタシの美貌を無視してるのが気に入らない!!キィィィ」

盗賊「・・・・・さすが海賊王の娘だ」


485 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 19:59:25.03 PDJX4b4O0 437/698

---海賊船---

ゴゴゴ フワフワ ドッスン

海賊王「おぉ!!我が自慢の娘!!戻ったか!!」

女海賊「もう!!パパ面倒くさい!!盗賊が重傷なの・・僧侶はどこ?」

海賊王「僧侶は他の船や」

女海賊「早く手当てしないと・・出血が多すぎる」

「わたしの血を使ってください!!」

海賊王「うお!!終わりの国の姫やないか・・」

商人「・・そんなに酷いのかい?」

盗賊「・・・・」グッタリ

商人「意識が無いな・・・薬剤師!!来て!!」

薬剤師「うん!!分かってる・・塩水を用意して!!」

商人「盗賊・・大丈夫だよね?」

薬剤師「早く血を入れてあげないと・・傷口はどこ?」

囚人「左腕だ」

薬剤師「針と糸を持って来て・・それから姫から皮袋1つ分の血を抜いて」

女海賊「手伝おうか?」

薬剤師「お願い・・他に血を抜いても良い人を探してきて・・皮袋10個は必要」

女海賊「野郎どもぉ~!!アタシに抜いて欲しい奴は並べぇ~」

海賊達「うおぉぉぉ抜いてくれぇぇ」



グサ・・うがぁ・・いてぇぇぇぇ

486 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 19:59:54.68 PDJX4b4O0 438/698

---翌日---

ザザー ザブ~ン

海賊王「一般民の避難は全部終わったで・・」

商人「よし・・僕達の船が最後かな?」

海賊王「そうや!!」

商人「ドラゴンは昼夜問わず終わりの国を攻撃してるね・・」

海賊王「塩が無いなら長いことは持たんやろ・・」

商人「僕がやっていることが恐くなってきたよ」

海賊王「そうやなぁ・・ほんまに魔王の仕業としか思えんわ」

商人「あそこで戦っている衛兵達を思うと心が痛い」

海賊王「もっと平和的に解決できたらなぁ」



---僕は魔王の心の一部が分かる---

487 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:10:53.88 PDJX4b4O0 439/698

---

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

盗賊「・・・すまねぇな僧侶」

僧侶「い~の~ウフフ」

盗賊「商人の言ってた意味が分かった・・僧侶の回復魔法を貰うと正義感が沸く」

僧侶「本当に~?うふふのふ~ウレシイなぁ~もっと言ってぇ~♪」

盗賊「そんなに魔法使って魔力は尽きねぇのか?」

僧侶「わかんな~い・・でもお腹は減る~」

盗賊「食ったもんが魔力になってるのかヌハハ」

488 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:11:30.88 PDJX4b4O0 440/698

---3日後---

盗賊「どうだ?」

商人「盗賊!もう立てるようになったのかい?」

盗賊「まぁな・・」

商人「盗賊も見ておいた方が良い・・国が滅ぶ様を」

盗賊「・・・・・」

囚人「言葉が無いな」

商人「軍事力で繁栄を極めた国も3日で滅ぶ」

囚人「一人も生きてはおるまい」

商人「これは人間が招いている人災だよ・・まだキマイラもゴーレムも居る」

盗賊「人間が持つ兵器にしちゃぁ部が大きすぎだな」

商人「僕はゴーレムが一番恐いよ」

盗賊「数百の巨人兵か・・」



ギャオース



商人「来たな・・」

海賊王「おわ・・わわわわ」

商人「慌てなくて良いよドラゴンは賢い」



バッサ バッサ ドッスーン

489 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:12:01.54 PDJX4b4O0 441/698

海賊王「うおぉ・・船が傾く・・」

商人「さぁドラゴン!取引だ!」

ドラゴン”我らは人間と取引はせぬ”

商人「僕の目的を話しておこう!人間が造るキマイラとゴーレムを止めさせる」

ドラゴン”下等な人間の言葉にしては良く言う”

商人「キマイラやゴーレム相手ではドラゴンでも只では済まないだろう?」

ドラゴン”・・・・”

商人「世界を救いたいんだ・・協力して欲しい」

ドラゴン”汝が王となるのか?”

商人「王?ハハハハ僕はもう世間では魔王さ」

ドラゴン”フォッフォッフォかつての魔王も始めは小さき力しか持っておらぬ”

商人「魔王を知っているのか?」

ドラゴン”我は1000年を生きる時の証人なり”

商人「では今変わろうとする時代に少し汲みする気は無いか?」

ドラゴン”汝は何を望む?”

商人「まず始まりの国で囚われの身になっている仲間を救いたい・・」

ドラゴン”何故その仲間にこだわる”

商人「今祈りの指輪を持っているのは彼だからだ」

ドラゴン”!!?祈りの指輪がまだ存在するか・・”

商人「フフ協力する気になったかい?」

ドラゴン”良いだろう・・但し・・祈りの指輪は破壊すると約束せよ”

商人「わかった・・事が済んだら破壊する」

490 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:12:40.23 PDJX4b4O0 442/698

---

ザザー ザブーン

海賊王「うっはっは~ドラゴンを載せた海賊なんざ他に居らんわぁ」

女海賊「パパ!アタシは飛行船で空から行くね」

海賊王「空からわいの勇士を眺めるんか?」

女海賊「・・え・・あ・・うん!そうそう」

海賊王「うっはっは~そうやろそうやろ」



商人「じゃぁ作戦通り一般民を辺境の村に降ろしたら中立の国の海域で」

海賊王「わかっとる・・終わりの国の姫はどうするんや?」

「私も辺境の村で復興のお手伝いを・・」

盗賊「それが良い・・子供達が沢山居るぞ」

商人「僕達はドラゴンの背に乗って始まりの国へ向かう・・武闘会まであと2ヶ月だ」

僧侶「私も行く~」

商人「もちろんだよ・・君が居ないとこの作戦は失敗する」

盗賊「しばらくは船旅だな?」

商人「そうだね・・海図で言うとこの辺でドラゴンに乗ろう」

海賊王「2週間って所やな」

商人「それまではゆっくりしよう」

492 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:48:45.10 PDJX4b4O0 443/698

---1週間後---

僧侶「商人と薬剤師はドラゴンに付きっ切りだね~」

盗賊「そうだな・・良い先生になってるんじゃないか?」

僧侶「ドラゴンさんっておとなしいんだね~」

海賊王「ドラゴンは賢いから無暗に襲ったりはせんらしいわ」

僧侶「神話で聞くドラゴンとは違うんだね~」

盗賊「どんな神話だ?」

僧侶「ドラゴンは私みたいな姫を捕まえて閉じ込めるとか~」

盗賊「僧侶みたいな姫かは知らんが理由があるんだろ・・」

僧侶「あ!!!薬剤師がドラゴンにスライム乗せてる~ウフフ面白そ~う♪」トコトコ

493 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/31 23:49:30.44 PDJX4b4O0 444/698

僧侶「ねぇねぇ何してるの~?ウフフ」

薬剤師「ドラゴンの毒を吸ってあげてるの・・高齢で毒の耐性が弱くなってるって」

僧侶「高齢だったんだ・・へぇ~」

薬剤師「ドラゴンの寿命は約1000年でもう1000歳を超えてるみたい」

商人「ドラゴンは寿命で死ぬ間際に子孫を産むんだってさ」

僧侶「へぇ~それで6匹の子ドラゴンが居るんだぁ~」

商人「間際と言ってももう10年以上前に生まれたそうだけどね」

僧侶「どれどれ私にも見せて~・・・あれ?目が白く濁ってる?」

商人「もう目は微かにしか見えてないらしい・・もうすぐ寿命だよ」

僧侶「良く見ると傷だらけだぁ・・回復魔法してあげよっか?」

商人「そうだね・・それが良い」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



ドラゴン”汝は浄化の力を持って居るな”



僧侶「へ?」

商人「そうなんだよ・・僧侶は魔力も尽きることが無い」



ドラゴン”その力・・役に立つかも知れぬ・・事が済んだら命の泉へ向かえ”



商人「え!?どういう事かな?」

ドラゴン”命の泉の中にある命の源から憎悪が流れ出して数百年”

ドラゴン”人間はその水を飲み現在に至る”

商人「!!?やっぱり僕の考えが正しかったのか・・」

ドラゴン”浄化には命の源を回復させる必要がある”

商人「じゃぁ突き刺さった魔槍を抜かないと・・」

ドラゴン”魔槍は普通の人間では抜く事は出来ぬ”

商人「抜く事が出来たとしてその後の手順を教えて欲しい」

ドラゴン”銀を使い穴を埋め浄化の回復魔法で命の源を復元させる”

商人「浄化の回復魔法が必要って事は・・命の源は憎悪で満たされてる?」

ドラゴン”汝は人間にしては賢いのう”

496 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:54:02.56 2w2T7GxR0 445/698

---2週間後---

商人「・・僕と薬剤師はドラゴンに2人で乗るよ」

僧侶「え~私達は~?」

商人「後で子ドラゴンが飛んでくるから僧侶と盗賊と囚人は一人ずつ乗って」

盗賊「子ドラゴンは話通じるのか?」

商人「さぁ?なんとかなるでしょ?」

盗賊「・・おいおい」

商人「冗談だよハハハ港町の宿屋で落ち合おう・・じゃぁ先に行くね」



ギャオース バッサ バッサ



盗賊「お~い!!・・行っちまった・・」

僧侶「大丈夫かなぁ・・」

497 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:54:34.77 2w2T7GxR0 446/698

---数時間後---

僧侶「おそいな~・・本当に来るのかなぁ・・」

盗賊「ん~む・・もう日が暮れる・・今日は来んかもしれんな」

海賊王「お~い!!そろそろ進路変えるけの~!!」

僧侶「大丈夫かな~・・」ソワソワ

盗賊「まぁ仕方ないな・・まだ1ヶ月半有る・・慌てないで待とう」

囚人「商人は何か考えが有りそうだな」

498 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:55:05.55 2w2T7GxR0 447/698

---翌日---

僧侶「ねぇねぇ今どこら辺?」

盗賊「海図だと・・この辺りだ」

僧侶「港町に遠ざかってるね・・」

盗賊「ん~む飛行船の方が確実だったな」

囚人「海賊王の娘が乗り回している」

盗賊「あのアバズレ・・親の教育が悪い!」

海賊王「う~はっくしょ~ん!!」ズル



盗賊「おい!!なんだありゃ・・」

海賊王「んん?・・・ありゃ機械の国の船や・・・遠いな」

盗賊「望遠鏡あるか!?」

海賊王「でかいのはわいのや・・お前はこの小さいのを使え」ポイ

盗賊「・・・・」パス

海賊王「どれどれ・・」

盗賊「うわ!・・クラーケンに襲われてやがる」

海賊王「まてまて・・ドラゴンもおるで?」

盗賊「おい!!甲板の上に乗ってる奴は何だ?何撃ってる?」

海賊王「巨人や・・あれがゴーレムちゅうやつか?」

盗賊「ちぃ・・望遠鏡が小さくてよく見えん!」

海賊王「巨人が手に大砲を持っとる・・クラーケン1匹とドラゴン6匹相手にしとるわ・・」

盗賊「巨人は・・・1体しか見えねぇな」

海賊王「そうやな・・あの大砲・・火吹いとるで?」

盗賊「でかいイカ焼きが出来そうだな・・・うわぁすげぇクラーケンが船持ち上げやがった」

海賊王「がははは巨人が海に落ちよったわ」

盗賊「あの船相当硬いな・・普通ならへし折れてるぞ」

海賊王「鉄の塊や・・中に閉じこもりゃぁ亀みたいなもんや」

盗賊「ドラゴンじゃ攻略できそうに無いな」

海賊王「そうやな・・クラーケンでも無理やろ」

499 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:55:36.33 2w2T7GxR0 448/698

---

僧侶「きた~子ドラゴンさんがこっちにきた~♪」

盗賊「機械の国の船は諦めたか」

僧侶「・・アレ~なんか様子がヘンだなぁ~」

盗賊「巨人に大分やられたな・・僧侶!近づいたら回復魔法してやってくれ!」

僧侶「わかった~」

海賊王「クラーケンはまだ機械の国の船に抱きついとるで・・今の内に離れとかな・・」



ギャース バッサ バッサ ドサ



僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「子ドラゴンは傷だらけやな・・」

盗賊「囚人!!子ドラゴンが来たぞ!!行けるか?」

囚人「乗れば良いのか?」

盗賊「先に乗ってくれぇ!!俺は次に乗る!!」

僧侶「話できるのかなぁ?」

子ドラゴン「ギャース」

盗賊「・・・ダメそうだ・・囚人!!行ってくれぇ!!」

囚人「先に行く」ドサ



ギャース バッサ バッサ



盗賊「僧侶は子ドラゴン回復して最後に来てくれ」

僧侶「なんかこわいよぅ・・わたし馬にも乗れないの~」

盗賊「つかまってれば何とかなるだろう!!」

僧侶「ええええ~大丈夫かなぁ・・困ったなぁ・・」

500 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:56:09.86 2w2T7GxR0 449/698

---

僧侶「・・最後の子ドラゴンさん回復魔法!」ボワー

子ドラゴン「ギャース」

僧侶「ここここわいよぅ・・どうすればいいの?」



ギャース バッサ バッサ グワシ



僧侶「!!?お?捕まえられた?・・・あれ?捕らわれた姫の感じかも~ウフフ」

僧侶「ねぇねぇ子ドラゴンさん今から何処行くの~?」

子ドラゴン「ギャース」

僧侶「うわぁぁぁ・・早~い!!」

僧侶「ねぇねぇ皆に追いついてくれるかなぁ?回復魔法してあげるからさぁ」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



ギャース バッサ バッサ

501 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 22:56:37.67 2w2T7GxR0 450/698

---砂浜---

ザザー ザザー

僧侶「・・・困ったなぁ・・こんな所に降ろされてどうしよう」トボトボ

僧侶「ここは何処かなぁ・・」

僧侶「砂浜沿いに行けば何処かに着くかなぁ・・」

僧侶「え~っと・・迷った時は・・」

僧侶「1:水の確保 2:食料の確保 3:体力温存 だったっけ・・」

僧侶「もうすぐ日が暮れちゃうなぁ」

僧侶「海辺は寒くなりそうだなぁ~林を探さないと・・」トボトボ

502 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 23:30:45.04 2w2T7GxR0 451/698

---林---

ワッサ ワッサ

僧侶「よし!これで寝床はヨシと・・次は火を起こさなきゃ」

僧侶「火魔法!」ポ

僧侶「ふ~ふ~ふ~」メラ メラ

僧侶「騎士って一人でこんな事してたのかなぁ・・」

僧侶「罠張っておこ~っと」

僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルリ

僧侶「よし!っと・・・寂しいなぁ」

僧侶「焚き木は足りるかなぁ・・お腹空いてきたなぁ・・」



??「明かりが見えるぞ」

僧侶「!!?」---まずいかも---

??「しっ・・」

僧侶「どかーん!!!!」

??「うお!!!僧侶か?」

僧侶「その声は盗賊さん?」

盗賊「おいおい探したぜ・・囚人!!こっちだ」

僧侶「良かった~~ふぇ~ん」

盗賊「・・・良かったはいいが・・どかーん!!は無ぇだろ」

僧侶「先制攻撃~ウフフ」

盗賊「まぁ・・僧侶にしちゃ上出来だなヌハハ」

囚人「寝床まで作ってある」

盗賊「もう燃やしちまえ!港町はすぐソコだ・・こんな所で野営してるこっちが恥ずかしい」

僧侶「え!?そうなの~?」

盗賊「この林の先だ・・あんまり遅いから探しに来たんだよ」

僧侶「えへへ~」

盗賊「えへへじゃねぇ!早く来い!」

503 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 23:31:13.31 2w2T7GxR0 452/698

---港町の宿屋---

ガチャリ バタン

盗賊「僧侶見つけたぜ・・すぐそこの林で野営してやがった」

商人「ご馳走用意してるよ」

僧侶「わ~い!食べていいの~?ウフフ」モグモグ

盗賊「ったく世話がやける・・」

商人「今日は疲れただろうから話は明日にしよう」

盗賊「そうだな」

僧侶「は~い」モグモグ

商人「薬剤師!後で例の奴おねがい」

薬剤師「うん」

504 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/01 23:31:48.85 2w2T7GxR0 453/698

---

僧侶「え!?何するの~?」

薬剤師「僧侶の髪の毛伸びっぱなしでしょ?」

僧侶「・・そういえば3年程手入れしてないな~」

薬剤師「少し色を変えるのと髪の毛を切ってあげる」

僧侶「色?」

薬剤師「そう・・これからあなたは昔の自分に会う事になるって商人に聞いたわ」

僧侶「・・・」

薬剤師「面倒にはなりたくないでしょう?・・だから色を少し変えるの」

僧侶「色もお薬で変わるの~?」

薬剤師「簡単な薬で変わるわ・・すこし時間掛かるけどね」

僧侶「眠たくなってきたなぁ・・ふぁ~あ」

薬剤師「目をつぶってて良いよ」

僧侶「うん・・そうする~むにゃ」

506 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:53:44.25 oNdQKWDv0 454/698

---翌日---

僧侶「おっは~♪」

盗賊「うお!!金髪か!!」

僧侶「うふふのふ~今日からエルフになるの~♪」

盗賊「エルフ狩りに合うぞ?」

商人「さて・・揃ったね・・今後について話すよ」

盗賊「おう!!」

商人「まず僧侶・・君は武闘会に出てもらう」

僧侶「やっぱりそうだと思った~うふふ」

商人「武闘会参加登録の為に身分証明を偽装する必要がある・・2週間は港町に居てもらう事になるかな」

僧侶「オッケ~♪」

商人「僕と薬剤師と盗賊はその間ちょっと探したい物があるんだ」

盗賊「何を探すんだ?」

商人「ドラゴンの話だと予言の書という物が始まりの国にあるらしい」

盗賊「なんだそれ?」

商人「どうやら僕が読んでいた古文書の続きらしいんだ・・複製されたものが各王国にある」

盗賊「城に有るのか?」

商人「城の書物庫だよ・・盗賊と女盗賊で忍び込んで欲しい」

盗賊「ふむ・・武器屋と防具屋のフリか?」

商人「察しが良いね・・その通りだよ」

僧侶「私と囚人はお留守番で良いの~?」

商人「君達はしばらくお休みだ・・自由にしていて構わない」

盗賊「今日行くのか?」

商人「そうだね・・馬車で行って2日かな」

507 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:54:14.00 oNdQKWDv0 455/698

---馬車---

僧侶「じゃぁ行ってらっしゃ~い!!」

盗賊「おう!エルフ狩りだけは注意しろよ!」



グイ ヒヒ~ン ブルル ガタガタ



盗賊「良いのか?僧侶を自由にして・・」

商人「ハハ良いんだよ・・港町で目立つように行動してもらった方が良い」

盗賊「なんでだ?」

商人「僧侶は武闘会に出るから王国にマークされるんだ・・僕らとは別の方が良いんだよ」

盗賊「ふむ・・囚人はそれを知ってるのか?」

商人「囚人からの提案だよ・・上手くやるさ」

盗賊「ヌハハ抜かり無いな・・ところで予言の書の事だが・・」

商人「気になるかい?」

盗賊「あぁ・・お前も気になってるんだろ?」

商人「王国は予言の書に記されている予言を回避する為に軍事力に力を入れているらしい」

盗賊「何!?」

商人「ただ他国を凌駕する為じゃないかもしれないんだ・・気になるだろう?」

盗賊「そんな話聞いたこと無いぞ?」

商人「多分機密事項だろうね・・ただ僕は真実が知りたい」

盗賊「そんな重要機密が簡単に盗めると思うか?」

商人「解読する前の原本の写しなら割と沢山出回ってるってさ」

盗賊「じゃぁ解読にまた時間が掛かるな」

商人「ハハハその通りだよ・・でも僕はもう本を読むくらいしか君達の役に立てないからね」

盗賊「・・・心臓は悪化してるのか?」

商人「僕はもう薬剤師無しでは生きていけないよ」

薬剤師「・・・・・」

508 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:54:39.47 oNdQKWDv0 456/698

---始まりの国---

ガタガタ ヒヒ~ン ブルル

盗賊「さあ!付いたぜ!」

商人「まず防具屋に行こう」

盗賊「んむ・・女盗賊に会うのは久しぶりだな」

商人「ハハ気になるのかい?」

盗賊「薬漬けになってなけりゃ良いが・・」

商人「防具屋は何処かな?・・宿屋の近くらしいけど」

盗賊「あそこじゃねぇか?」

509 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:55:10.49 oNdQKWDv0 457/698

---防具屋---

店主「いらっしゃいま・・せ」

盗賊「よう!変わってないな商売はどうだ?」

店主「来月の武闘会のおかげで良く売れています」タラリ

盗賊「そりゃ良かった」

店主「装備品をお求めでしたら奥の部屋に・・」

盗賊「そうか・・じゃぁ奥の部屋から見させてもらおう」



---奥の部屋---

女盗賊(来るなら来るって先に言ってよ!!)ヒソ

盗賊(まずかったか?)

女盗賊(衛兵に少し疑われ出してる・・時間の問題よ)

盗賊(悪かったな・・今晩宿屋に来れるか?)

女盗賊(分かったわ・・配達で行くから待ってて)

盗賊(何か買っていった方が良いか?)

女盗賊(当たり前でしょ!)



盗賊「ゴホン!じゃぁこの皮鎧を頼む!」

女盗賊「かしこまりました・・サイズを合わせて配達致します・・」


510 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:55:43.36 oNdQKWDv0 458/698

---宿屋---

コンコン

女盗賊「装備品をお届けに参りました・・」

盗賊「鍵は開いているから入ってくれぇ」



ガチャリ バタン



商人「やぁ!女盗賊!久しぶりだねぇ」

女盗賊「・・・連絡くらいして欲しいわ」

商人「ハハいつも感謝しているよ」

女盗賊「今回は私を迎えに来たのかしら?それともまた何かやらかす気?」

商人「両方だよ」

女盗賊「危険な仕事じゃないでしょうね?」

商人「結論から言うよ・・武闘会の後に君は僕達と一緒に来てもらう・・それと」

女盗賊「それと?」

商人「最後の隠密だよ・・城の書物庫から予言の書という物を盗んできて欲しい・・盗賊と一緒にね」

女盗賊「書物庫は衛兵宿舎の反対側ね・・入るのは簡単・・でも時間が掛かりそう」

盗賊「書物庫で予言の書を探すのは俺がやってやる・・どのくらい時間が作れる?」

女盗賊「武器と防具の交換で大体30分ね・・それ以上は無理」

商人「次に城へ交換に入るのはいつになるんだい?」

女盗賊「10日後」

商人「そうか・・じゃぁ盗賊は10日間防具屋で働いておいた方が良さそうだね」

盗賊「なぬ!!?」

女盗賊「フフ怪しまれないようにするんだったらその方がいいわね」

商人「良いじゃないかハハハどうせ10日間はヒマさ」

女盗賊「お手伝いという事で良いかしら?」

盗賊「ん~む・・仕方があるまい」

商人「僕と薬剤師はその間情報でも集めておくよ」

511 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:56:10.77 oNdQKWDv0 459/698

---翌日防具屋---

盗賊「・・・おいおい・・これ全部手直しするのか?」

女盗賊「その装備品を直して衛兵宿舎の壊れた装備品と交換するのよ」

盗賊「防具屋は結構大変だな」

女盗賊「・・・その大変な仕事を私にやらせてたって訳よ」

盗賊「武器屋の方が良かったかもな」

女盗賊「武器屋はもっと大変よ」

盗賊「うへぇ・・」

女盗賊「早くしないと食事に間に合わないわよ!」

盗賊「お前もヤレよ」

女盗賊「私は店番よフフ」


512 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:56:43.51 oNdQKWDv0 460/698

---10日後---

女盗賊「城門くぐったら書物庫まで行って!見つからないように」

盗賊「分かった・・書物庫には誰も居ないよな?」

女盗賊「普段は人が入ることは滅多に無いわ」

盗賊「他に注意する事は?」

女盗賊「もし衛兵に見つかっても騒ぎは起こさないで・・私が何とかする」

盗賊「わかった」



---城門---

門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」

女盗賊「武器と防具の交換に来ました」

門番「むむ・・もう一人は誰だ?」

女盗賊「見習いです・・人手が足りないので来月から配達を任せようかと」

門番「ん~む・・武闘会の前では仕方ないか」

女盗賊「入ってもよろしいでしょうか?」

門番「防具屋の店主・・今度食事でも・・」

女盗賊「はい!喜んでお受けいたします」

門番「!!!衛兵!門を開けよ!」ニヤ

衛兵1「ハッ!!」

衛兵2「ハ~イ!!」



ガラリゴロリガラリゴロリ ガタン



女盗賊「では失礼します」ペコリ

盗賊「・・・」ペコリ

女盗賊(今よ!!)ヒソ

盗賊(すぐ戻る!)コソ~リ

513 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 22:57:16.96 oNdQKWDv0 461/698

---書物庫---

コソ~リ コソ~リ

盗賊(まず鍵開けか・・)カチャ カチャ カチン

盗賊(楽勝、楽勝・・)

盗賊(・・・こりゃまずい・・書物が多すぎる)

盗賊(予言の書って言うくらいだからそれなりに風格のある書物か?)ガサ ゴソ

盗賊(まいったな・・書物の色だけでも分かってれば)ガサ ゴソ

盗賊(原本の写しとか言ってたな・・まてよ?)

盗賊(解読する必要があるって事は俺は読めない書物だな)

盗賊(背表紙で読めない奴は・・・あれ?無いぞ?)

盗賊(・・・・・おかしい・・やっぱり無い)

盗賊(!!?ん?違うなあれは地図だ・・)

盗賊(・・まぁ見たことのある普通の地図だが・・地名が読めんな)

盗賊(まさかこれか?・・・矢印と謎の文字)

盗賊(だめだ時間が無い!この地図がきっとそうだろう・・)


コソ~リ コソ~リ

514 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 23:28:22.51 oNdQKWDv0 462/698

---衛兵宿舎前---

女盗賊「・・・はい・・では武闘会の後に又交換に参ります」

隊長「ご苦労であった!まっすぐ帰られよ」

女盗賊「え、えぇ」ソワソワ

隊長「んん?どうした?」

女盗賊「いえ・・忘れ物は無いかと思い直しております」---遅い---

隊長「あぁ何か見つけたら防具屋まで届けさせる。心配しなくて良い」

女盗賊「はい・・よろしくお願いします」



衛兵「ねぇねぇ防具屋さんの見習いさんはここで何してるの~」

盗賊「どかーん!!」

衛兵「わお!!ウフフ~ばっかみた~い」

盗賊「驚かそうと思ったんだが・・」タラリ



隊長「おい!衛兵を小馬鹿にするな!衛兵!お前もしっかり見張っていろ!」

衛兵「は~い!!」

女盗賊「・・・見習いが失礼しました・・ただいま連れて返ります」

隊長「気を付けてな」

女盗賊「ありがとう御座います隊長様」

515 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 23:28:48.54 oNdQKWDv0 463/698

---街道---

女盗賊「・・まったくヒヤヒヤしたよ・・そして上手くいった?」

盗賊「ん~む予言の書らしき書物は無かったが・・見たことの無い文字が書いてある地図を見つけた」

女盗賊「見せてもらって良い?」

盗賊「構わんが・・お前に読めるか?」パサ

女盗賊「・・・う~ん確かに読めないわね」

盗賊「もう同じ手で書物庫に入るのは無理だな」

女盗賊「そうね・・私も大分目を付けられてる」

盗賊「まぁ・・まずこの地図を商人に見てもらうだな」

女盗賊「私は防具屋に戻るからあなたは宿屋に行って」

盗賊「おう!夜は宿屋に来いよ?」

女盗賊「フフ行けたら行くわ」

516 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/02 23:46:14.83 oNdQKWDv0 464/698

---宿屋---

盗賊「予言の書かどうか分からんが謎の地図を持ってきたぜ」

商人「待ってたよ・・見せて」

盗賊「俺には読めん文字が書いてある」パサ

商人「・・・いや僕にも読めないんだけど・・待てよ・・」

盗賊「何か分かるか?」

商人「○印の位置が・・・これは辺境の村辺りかな?」

盗賊「んむ・・その辺りだが」

商人「各王国の場所には沢山文字が書いてあるね・・何だろう?」

盗賊「王国に起きる惨事が書いてあったりしてなヌハハ」

商人「エルフの森は特に文字が多いね」

盗賊「こりゃエルフの文字か?」

商人「それは無いよ・・エルフは書物を残さない・・オーブを使って知識を残すんだ」

盗賊「そりゃ知らなんだ」

商人「この文字・・魔女なら読めたりするかもしれないなぁ」

盗賊「お前の持ってる古文書の文字と違うのか?」

商人「全然違うね・・さっぱり分からないよハハハ」

盗賊「これが予言の書だと良いな」

商人「そうだね・・まぁ信じよう」

518 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:48:48.02 9urEw9ic0 465/698

---翌日---

商人「じゃぁ盗賊は港町まで僧侶と囚人を迎えに行ってくれるかな?」

盗賊「うむ・・お前は予言の書の解読か?」

商人「そうしたい所だけどちょっとね・・」

盗賊「む?また何か考えてるな?」

商人「違うんだよ・・薬剤師の飼ってるスライムが分裂しそうなんだ」

盗賊「なぬ?増えるのか?」

商人「僕も見ておきたいと思ってね」

盗賊「ヌハハ勝手にしろ」

商人「新たな命の誕生の瞬間だよ?馬鹿にしちゃいけない」

盗賊「まぁ俺は興味ないな」

商人「免疫がそのまま遺伝するか・・変異するか・・興味深いよ」

盗賊「あ~分からん分からん・・港町まで行ってくる・・じゃぁな!」ノシ

519 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:49:16.16 9urEw9ic0 466/698

---港町の宿屋---

盗賊「よう!戻ってきたぜ」

囚人「・・・」

盗賊「おい!僧侶はどうした?」

囚人「教会に行っている」

盗賊「そうか・・武闘会の参加証はもらえたか?」

囚人「あと1週間掛かる」

盗賊「なんだ!?遅いな・・」

囚人「塩不足の影響で羊皮紙も不足してるらしい」

盗賊「そんなところにも影響出てるのか・・原皮の保存が出来んのか」

囚人「さぁな・・だが武闘会には間に合う」

盗賊「しょうがねぇな・・待つか」


520 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:49:43.31 9urEw9ic0 467/698

---1週間後---

盗賊「お~い!!早く乗れぇ!!」

僧侶「・・・」

盗賊「どうした?腹でも痛てぇのか?」

僧侶「教会で司祭様に言われたことがあるの・・運命を受け入れなさいだって」

盗賊「なんだ?運命って・・」

僧侶「わかんな~い・・私の運命って何かなぁ?」

盗賊「さぁな・・良いから早く乗れ!騎士を助けに行くぞ」

僧侶「うん・・でもこわいの」

盗賊「大丈夫だ!」

僧侶「また同じ場面に出くわして・・違う事が起こるのがこわいよぅ」

盗賊「良く分からんが・・それを超えればやっと前に進みだす筈だろ?」

僧侶「うん・・でもこわいよぅ・・わたしが消えてしまいそうで」

盗賊「・・・・・なるほど」

僧侶「違うことが起きた時・・わたしが消える気がしてこわいの」

盗賊「運命を受け入れろって事だな」

僧侶「うん」

盗賊「行くぞ!!」グイ ヒヒ~ン ガラガラ

521 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:50:12.02 9urEw9ic0 468/698

---始まりの国の宿屋---

商人「やぁ!遅かったね」

盗賊「塩不足で羊皮紙も不足してるんだとよ・・武闘会の参加証も発行が遅れた」

商人「ハハハそんな所まで影響が出てるんだ」

盗賊「スライムは無事に分裂したか?」

僧侶「え!?分裂?なになに?」

商人「すごい事が分かったよ・・スライムは分裂して片方は変異するんだ」

僧侶「え?え?え?」

商人「変異というか・・進化になるのかな?」

盗賊「まぁ無事に増えた訳だな?」

僧侶「見せて見せて~ウフフ」

薬剤師「ほら!2匹」

僧侶「小さくなってる~かわいい~」

薬剤師「毒をあげないと大きくならないのよ」

商人「分裂を繰り返すといつか知能の高いスライムが生まれるかもね」

僧侶「ねぇねぇどうやって見分けるの~?」

薬剤師「・・・あたしもどっちがどっちか分からなくなった」

僧侶「わたしもほし~い」

522 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:50:41.73 9urEw9ic0 469/698

---

商人「・・・もうすぐ武闘会だ・・ドラゴンには足枷で繋がれた騎士だけ助けて欲しいと言って置いた」

僧侶「わたしは何をすれば良いのかなぁ?」

商人「君は足枷に繋がれた騎士に回復魔法を掛けて欲しい」

僧侶「え!?回復魔法?」

商人「それが一番重要なんだ」

囚人「牢の中で捕えられている間は自分が正気では無くなる・・憎悪が膨れ上がる」

商人「そういう事なんだ・・救えるのは僧侶・・君しか居ない」

僧侶「うん!わかった・・目いっぱい癒してあげる」

商人「はっきり言うと今の騎士は祈りの指輪で看守の力を吸って手に負えないくらい強くなってる」

僧侶「・・・」

商人「正気に戻してあげないとドラゴンだって殺されかねない」

盗賊「ドラゴンを倒すとかそんなに強くなる物なのか?」

商人「かつての魔王もそうやって力を得たのさ」

盗賊「騎士を救出した後はどうするんだ?」

商人「ドラゴンは海賊船まで騎士と僧侶を運んでくれる筈・・後で海賊船で落ち合うかな」

僧侶「やっと騎士に会える~」ポロリ

商人「僕達は観客席かな・・混乱に乗じてさっさと始まりの国を離れよう」

523 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:51:11.04 9urEw9ic0 470/698

---武闘会2日前の監獄塔---

ピチョン ピチョン

隊長「・・・」スタスタスタ

騎士「がががが」ガシャン!! ガシャン!!

隊長「予見していた通り・・武闘会の2日前に選ばれた勇者が来た」

隊長「お前は私に結局何も話さなかったが・・何故来ることを知っている?」

騎士「ぐっぐっぐっぐ」

隊長「・・・衛兵に内通者が居るとは思えん・・・お前は本当は何者だ?」

隊長「お前の望み通り・・・選ばれた勇者と闘う事も決まった」

隊長「選ばれた勇者に何か伝言でもするつもりか?」

騎士「ぐっぐっぐっぐ」

隊長「その笑い声・・まさにバケモノだな・・寒気がする」

隊長「選ばれた勇者はまだ死なせる訳には行かない・・お前は足枷手枷付きで闘う事になるが・・」

隊長「何の意味がある?」

騎士「ぐっぐっぐっぐ」

隊長「・・・結局何も語らずか」

524 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:52:21.34 9urEw9ic0 471/698

---武闘会当日---

ザワザワ勇者が出るんだってさー

ザワザワどんな奴?

ザワザワ誰か知ってるか?

ザワザワ多分あいつだよ

ザワザワほらあのでかい奴

ザワザワあっちも強そうだよ

ザワザワ女だっていう噂

ザワザワ今回の勇者は女か?

ザワザワあの檻に入ってるのは何だ?

ザワザワ囚人じゃないか?

ザワザワ魔物だって噂

ザワザワなんか見たこと有る気が

ザワザワ・・でどれが勇者?

ザワザワ勝てば勇者だよ

525 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:52:48.10 9urEw9ic0 472/698

---檻---

騎士(ドラゴンはどこだ?)

騎士(僧侶達は何処に居る?)

騎士(観客席の何処かに居るのか?)



ガチャン ギギー



審判「出ろ!!次はお前の番だ!!」

騎士「・・・」ズル ズル

526 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/03 23:53:29.18 9urEw9ic0 473/698

---闘技場---

司会「さぁいよいよ選手が出て参りました」

司会「正統派剣士と正統派僧侶の対決はAブロック・・なぜか僧侶の装備はこん棒です・・どうなるのでしょうか?」

司会「魔法剣士と聖戦士の対決はBブロック・・聖と魔の魔法対決!!魔法剣士は優勝候補と言われている様です!」

司会「勇者とレンジャーの対決はCブロック・・噂の勇者の実力はいかに!!」

司会「盗賊と謎の囚人の対決はDブロック・・囚人は重い足かせを付けての対戦となります」

司会「少し天気が悪くなって来ましたが決勝までは持つでしょう!」ドヨー



ワーワーワーワーワーワー



ヤンヤザワザワヤンヤ魔法剣士さまあああ?

ヤンヤザワザワヤンヤあいつが勇者?

ヤンヤザワザワヤンヤ囚人が出て来たぞー

ヤンヤザワザワヤンヤなんだあいつ?

ヤンヤザワザワヤンヤ剣士えらく小さいな

ヤンヤザワザワヤンヤ弓は反則じゃねーか?

ヤンヤザワザワヤンヤ盗賊の癖になんかでけぇ

ヤンヤザワザワヤンヤ聖戦士は美人らしいぞ

ヤンヤザワザワヤンヤキャーキャー魔法剣士様あ



ワーワーワーワーワーワー

529 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:08:10.56 o6XQlM4D0 474/698

---闘技場Dブロック---

騎士(懐かしい・・あの時のままだ)

審判「お前はこれを使え!!」

騎士(鉄槌・・)

審判「両者!!闘技場へ上がれ!!」

騎士「・・・」ズル ズル

「ぐあっはー・・どっかで見たと思えば・・まだ囚人やってんのかぁ」

騎士「!!?」---あいつは---

「今度こそギッタギタのボッコボコにしてやんよ!」

騎士「うががががが」---怒りが溢れて来る---

「こっちぁ即効性の毒ナイフだ・・一発で決めてやんよ」

騎士「ヴォオオオオ」---収まらない---

「お~恐えぇ恐えぇ・・負け犬にはお仕置きが必要だな」

530 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:08:42.68 o6XQlM4D0 475/698

審判「3・・・2・・・1・・・始め!!!」



「ひゃっほ~う」ダダッ グサ

騎士はダメージを受けた

「ぐあっは~即効性の毒だぁ!!」



騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!

「ぐはぁぁぁぁ・・」

賊はパリーをしたが効果が無かった



審判「!!?」---片手で鉄槌を!?---



騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!

「「ぐあぁ・・」グチャ

賊はダメージを受け異様な形に曲がった



審判「し、勝負あり!!」---まずい!死ぬ---



騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!

「ぐえ・・うがが」グチャ

賊はダメージを受け破裂した



審判「え、衛兵!!止めろ!!」---ミンチになる---



衛兵「は、はい!!」ダダダ

騎士「ヴォオオオオ」ブン ドカン!

衛兵「押さえろぉ~!!・・・ぐあ」

審判「もっとだ!!押さえつけろぉ!!」

騎士「ががが・・」

531 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:09:27.92 o6XQlM4D0 476/698

---檻---

騎士「ハァ・・ハァ・・」---自分が自分では無いみたいだ---

騎士「・・・」---次は昔の自分と戦う事になる---

騎士「ぐがが」---自分を保てるか---

騎士「うがああああ」---これが憎悪か?---

騎士「ハァ・・ハァ・・」---魔王の呪いか?---



ボエーーーー

騎士「!!?」---耳鳴り---

ボエーーーー

騎士「うがががが」---頭が割れそうだ---

532 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:09:56.02 o6XQlM4D0 477/698

---闘技場---



司会「準決勝の組み合わせを発表します

司会「正統派剣士vs怒涛の魔法剣士」

司会「期待の勇者vs謎の囚人」ボエーーー

司会「・・・」

司会「少し小雨がパラついて来ましたが問題ないでしょう!!」

司会「次の試合は試合終了の早かった勇者vs囚人から行います」ボエーーー

司会「・・・」



ドヨドヨザワザワ何か聞こえなかったか?

ドヨドヨザワザワ気のせいだろ

ドヨドヨザワザワさっきの囚人すごかったな

ドヨドヨザワザワこれは面白い試合になるぞ


533 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:10:24.26 o6XQlM4D0 478/698

---闘技場中央---

ガラガラガラガラガラガラ ガシャン

司会「いよいよ暴れん坊の囚人が出てきました



騎士「ガガガ グァ・・・・プシャー」ズル ズル

騎士「・・・」---なんと弱々しい---



ズルズル チャラン ズルズル チャラン



騎士(勇者下がれ!!)ズル ズル

勇者「何!?」

審判「それではこれより準決勝を始める」

騎士(近づくと死ぬぞ)

審判「黙れ囚人!!両者位置に付いて・・・」

騎士(来るな!!)

勇者「い・いくぞ!!」



審判「3・・・2・・・1・・・始め!!!」

534 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:11:03.20 o6XQlM4D0 479/698

---シーン---



勇者「来ないならこっちから行くぞ!」ダダダ ギーン

騎士は勇者の攻撃をパリーした

勇者「っつぅ!!」タジ

騎士(やめろ!!近づくな!!)ブン ガギーン

勇者は囚人の攻撃をパリーし損ねて吹っ飛んだ

勇者は武器を落とした

勇者「ぐあぁ」

騎士(下がれ!!・・)---上だ!!来てる---

勇者「・・・」ダダダ チャキン

勇者は武器を拾って身構えた



審判「何をしているバケモノ!!お前の望みを忘れたのか!」

勇者「え?!」

審判「勇者!!何を躊躇している!早くこのバケモノを倒せ!」

勇者「くっ」ダダダ シュ ザクン

騎士はダメージを受けた

騎士「ヴヴヴヴヴヴヴォォォ・・・」グイ ブン ガッサー

勇者は囚人の攻撃をヒラリとかわした

騎士(今ドラゴンが来る!!近づけば殺されるぞ!!)ブン

勇者「・・・」ユラリ ブシュ

勇者は騎士の攻撃をかわしカウンター攻撃を与えた

騎士はダメージを受けた

勇者「やったか!?・・・・回復が早い!」

囚人「ヴヴヴヴヴウヴォォォー」---仕方が無い---

ブン ドカン!

勇者「ぐあ・・」

勇者はダメージを受けた

騎士(下がれぇ!!)ブン ドサー

勇者は囚人の攻撃をヒラリかわした



ギャオース

535 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:11:51.63 o6XQlM4D0 480/698

騎士(僧侶達は!?)---何故だ?---

勇者「試合どころじゃなくなったな」

騎士(迎えに来た・・筈だ)

勇者「何?」

騎士(・・・そうだ・・ここで指輪を渡すんだ)

勇者「どういう事だ?」

騎士「ヴォォエー」ゲロゲロ コロン

勇者「指輪?」

騎士(魔女に返せ・・魔女の塔に居る!)ポイ

勇者「マジョ?おい!どういう事だ」パス

騎士(北の森だ!北へ行け!!)

勇者「森?・・・森って何だ?おい!」



ギャオース バサッ バサッ ゴウゥ ゴーン

536 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 22:12:34.45 o6XQlM4D0 481/698

---

??「私がおとりになる~」

??「何処に行く?!」

??「勇者の所まで~援護してね~」タッタッタ



ギャオース バッサ バッサ



??「ドラゴンさんこっちこっち~」

??「そっちじゃないよぅ」



ギャオース ドスドスドス



騎士(・・あれは誰だ?僧侶か?)

??「助けに来たよ」

騎士(ドラゴンと僧侶か!?)---金髪?---

??「回復魔法!」ボワ

騎士「!!?」

??「勇者下がってぇ~」

騎士「ハッ・・」---何が起こってる!?---



ギャオース ドシッ



勇者「ぐああああ」

??「あ!ダメ~~・・このぉ~やめ・・」ゴン ゴン



---思い出した---

---この光景は何度も見ている---

---これは魔王が掛けた呪いだ---

---この世界は幻だ---

---ループするように造られている---



ギャオーース バクッ ゴクリ

---

---

---

---

---

537 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 23:31:13.40 o6XQlM4D0 482/698

---海賊船---

ザザー ザザー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「おいおい・・もう十分やろう・・」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「まぁしゃぁないなぁ・・わいの義手と義足使ったらええ」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「失った手足はもう生えて来んが・・それほど不自由はせんで?」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「それより心の方やな・・生きる事を拒否しとるかもしれんわ」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「!!?なんやそれ・・・鎖で繋いどるんか?」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「がはは・・もう置いて行かれんようにしとるんか?」

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

海賊王「わいから言わすと置いて行ったのはどっちや?って話やな」



---『わたしを置いていかないで』---

---君だったのか---



海賊王「お!?指が動いたで?」

僧侶「え?え?え?・・・」グイット

騎士「・・・・・」

僧侶「・・・・・」

海賊王「無理やり目を開けんでもえーがな・・」

騎士「・・置いていって・・ごめんよ」

海賊王「うお!!なんちゅう目覚めの言葉や!!」

僧侶「うわぁぁぁぁぁん・・」グスグス

海賊王「目ぇ覚ましよった・・えらいこっちゃ」

538 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 23:31:57.40 o6XQlM4D0 483/698

---翌日---

海賊王「もうすぐ商人達が海賊船まで来る筈や・・・」

僧侶「シクシク」

海賊王「なんやまだ泣いとるんか?」

僧侶「騎士の手と足が無いの・・」シクシク

海賊王「わいの義手と義足があるがな・・今持ってくるわ」

騎士「・・僧侶・・も・・う大丈夫・・だよ」

僧侶「ごめんね」

海賊王「ほれ!!この義手と義足を使ってみぃ!!」ドサリ

騎士「・・・」

海賊王「こうやってはめるんや・・」グイ ガチャ ジャキン

騎士「立て・・るの・・か?」

海賊王「立ってみぃ!!慣れれば普通に走れるで?」

騎士「んむむ・・」ヨッコラ ヨロ

僧侶「!!!手を・・」グイ

騎士「・・・」ギッタン バッタン

海賊王「その義足は風の魔石が付いとるけー慣れれば今までより早く動けるで?」

騎士「義手の・・方は?」

海賊王「力の魔石が付いとる!!おっ!!そうや!!巨人用の武器を海で引き上げたんやった」

騎士「巨人?」

海賊王「お~い!!お前らぁ~巨人の武器を引きずって来い~~!!」

海賊達「へい!!お頭ぁ!!」ダダダ

海賊王「2メートル越えの馬鹿でかい両手剣や・・わいは持てんかったがお前なら持てるか思うてな」

海賊達「持ってきましたぜぇ・・はぁはぁ」ズル ズル

海賊王「持ってみぃ!!」

騎士「・・・」グイ ブン!

海賊王「!!!た、たまげた・・・片手で持ちよるんか!!」



盗賊達「頭ぁ!!娘さんの飛行船が来やしたぜ!!」

海賊王「がはは・・予定通りやな・・商人達が乗っとる筈や!」


539 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/04 23:32:38.08 o6XQlM4D0 484/698

---

フワフワ ドッスン

女海賊「はろはろ~・・アレ?僧侶元気無いねぇ~」

盗賊「騎士!!!無事か!!?」

騎士「・・なん・・とか」

盗賊「喉がやられてるのか・・」

商人「やぁ!!良かった・・心配してたんだよ」

盗賊「それにしても大変だったな」

商人「ハハ僧侶は大分目が腫れてるね」

盗賊「無理も無ぇだろ!」

騎士「皆と・・少し話・がした・・い」

商人「そうだね・・ご馳走でも食べながら話そう!・・体は大丈夫そうかな?」

盗賊「うお!!・・お前手と足はどうした?」

海賊王「手と足はもう壊死しとったから切り取ったわ・・放っておくと広がるけな」

盗賊「切り取った・・て・・おい」

海賊王「わいの義手と義足があるけぇ不自由はせん筈や」

盗賊「ん~む・・良いのか悪いのか・・」

海賊王「僧侶は大分落ち込んどるがな~」

僧侶「シクシク」

商人「・・・まぁまず美味しいご馳走でも食べよう」

544 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:22:42.18 jTBnjwbd0 485/698

---

商人「喉に効く薬だよ・・薬剤師が作ってくれた・・飲んで見て」

騎士「ゴクリ・・」

商人「それからスライムに体の毒を抜いてもらおう」

薬剤師「・・・じっとしてて」ポイ

スライム「プギャー」ニュルリ

商人「あとご馳走と一緒にハチミツ酒も仕入れてきた」

僧侶「!!?」モジモジ

盗賊「僧侶!お前も飲め!!悪いことは忘れろ!!」

僧侶「グビビ・・プハァ」ジャラリ

盗賊「んん?なんだぁ?僧侶・・お前騎士と鎖で繋いでるのか?」

僧侶「わたしはもう騎士のそばを絶対離れないもん」

盗賊「鎖で繋ぐのはやりすぎな気がするがな・・」

商人「さて・・お腹も膨れたところで騎士に今までの事を教えてもらいたい」

盗賊「まだ喉の調子が悪いんじゃないのか?」

商人「ゆっくりでいいさ」

騎士「・・・」

商人「まぁ・・まず僕達の事から話そうか・・魔王城の後からで良いかな」

---

---

---

---

---

545 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:23:19.07 jTBnjwbd0 486/698

商人「・・・そしてやっと騎士を見つけた訳だよ」

盗賊「エルフの娘は海葬されたと聞いたが本当なのか?」

騎士「・・・エルフ・・の娘は・・・」

---

---

---

---

---

商人「そうか・・キマイラにされたって言うのか」

盗賊「なんてこった」

騎士「・・もう一つ気が付いた・・事がある」

商人「ん?何かな?」

騎士「信じられない・・かもしれないけ・・ど・・きっとこの世界は・・幻だよ」

商人「幻?」

騎士「魔王が仕組んだ幻・・・魔王の予定通りにループする世界」

商人「・・ハッ・・もしかして予言の書の事か!?」

盗賊「何の事だか分からんが俺達は幻なのか?」

商人「僕達自体が幻?・・・まてよ・・そういえば古文書には200年前より以前の事は良く書かれている」

商人「どうしてそれ以降の記述が一切無いんだろう・・もしかして今は本当はまだ200年前なのか?」

盗賊「言ってる事がさっぱりわかんねぇぞ」

商人「騎士はこれからどうすれば良いと思う?」

騎士「魔女・・を探す」

商人「やっぱりそう来るか」

僧侶「・・・あのねぇ~私見たの~」

商人「見た?って?」

僧侶「武闘会で闘った魔法剣士さん・・瞳が青かったの~」

商人「なんだって!?」

僧侶「無口で瞳が透き通った青色だったよ~魔女の愛しき人かも~ヒック」

盗賊「そりゃ気が付かなかったな」

商人「ハハハ・・最初から君達のすぐ近くに居た訳か」

盗賊「どうする?探す相手が2人になったぞ」

商人「こうしよう・・エルフの森の上なら飛行船で飛べる。エルフの森経由で魔女の塔まで行こう」

盗賊「全員飛行船に乗れるか?」

商人「いや・・行くのは騎士、僧侶、女海賊だけさ・・僕達は魔法剣士の行き先を探ろう」

女海賊「何処で落ち合えば良い?」

商人「中立の国かな・・一番情報が集まる」

546 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:23:51.20 jTBnjwbd0 487/698

---翌日---

海賊王「えらい格好やな・・でかい両手剣が目立ち過ぎや」

商人「ハハハ完全に黒騎士って感じだね」

女海賊「アタシのコーディネイトだからぁ」

僧侶「ねぇねぇ私は捕らわれた姫に見えるかなぁ~」

盗賊「お前らぁ!!無駄口叩いてないでさっさと行けぇ!!」

女海賊「はいはい・・じゃぁパパ行ってくるね~」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



騎士「・・・」

僧侶「ねぇ何考えてるの?」

騎士「すべてが幻なんて・・」

僧侶「わたしの想いも幻なのかなぁ?」

騎士「少し思い出したんだ・・この光景も見たことがある」

僧侶「え!?わたしたちどうなるの?」

騎士「・・予言の通りになる」

僧侶「予言って?」

騎士「そして元に戻る」

僧侶「ねぇ・・だっこして」

騎士「・・・」グイ ギュー



女海賊「!!?ベタベタしてんじゃねぇ!!アタシが居るの忘れないでよ」

547 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:24:19.66 jTBnjwbd0 488/698

---飛行船---

ビョーーーウ バサバサ

女海賊「どうだい?めちゃめちゃ早いでしょ!?」

僧侶「どれくらいで着くの~?」

女海賊「2日で森の町付近まで行ける筈!森の外れに降ろすからさ・・あんた達2人で魔女を探して来て」

僧侶「え~女海賊はどうするの?」

女海賊「アタシは飛行船が盗まれないように森の上空で旋回してるさ」

僧侶「迷子にならないかなぁ~?」

女海賊「煙玉と閃光玉を渡しておくよ・・魔女を連れてきたらソレを使ってネ」ポイ

僧侶「どうやって使うのかなぁ~?」

女海賊「紐みたいな所に火を着ければ良いさ」

僧侶「火魔法!」ポ チリチリ もくもくもくもく

女海賊「あわわわわわ・・こんな所で使うなって!!」

僧侶「オッケ~使い方わかったぁ~ウフフ」

女海賊「フフ僧侶!少し元気出てきたネ」

548 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:24:49.97 jTBnjwbd0 489/698

---2日後---

フワフワ ドッスン

女海賊「着いたよ!ここからしばらく東に行けば森の町よ」

僧侶「うん!わかった~ウフフ」

女海賊「アタシは上空で待つから魔女を連れてきたら合図して!」

僧侶「は~い!!行こ!!騎士ぃ」

騎士「・・・」ノソリ

女海賊「フフ惚れ惚れする黒騎士っぷりネ」

僧侶「だめぇ~騎士はわたしのもの~」

騎士「僧侶・・行こう」

僧侶「は~い!!」ルンルン

549 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:25:21.46 jTBnjwbd0 490/698

---森の町---

ガヤガヤ ガヤガヤ



(偽勇者が逃げてるらしいよ?)

(物騒だねぇ・・)

(何か悪いことでもしたのか?)

(さぁ?兵隊が沢山捜索に来てる)



僧侶「ねぇねぇ・・偽勇者ってさぁ」

騎士「昔の僕達の事だ・・多分宿屋に馬が繋がれてる」

僧侶「馬?・・・初めて乗ったあの黒くて大きなお馬さんの事?」

騎士「宿屋に繋いでる馬に乗って行こう」

僧侶「ウフフ~騎士の喉良くなってきてるね~」

騎士「僧侶と薬剤師のお陰だ・・」

僧侶「毎日癒してあげる~ウフフ」

550 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:25:51.02 jTBnjwbd0 491/698

---宿屋---

ヒヒ~ン ブルルル

僧侶「あ!!お馬さんが沢山居るぅ~」

騎士「王国からの追っ手かな・・さぁ馬に乗ろう」グイ

僧侶「ねぇねぇ覚えてる?わたし達この宿屋で結ばれたの~」

騎士「・・・」

僧侶「全部・・幻なの?わたしの気持ちも幻なの?」

騎士「・・・ずっと一緒に居よう」

僧侶「うん」

551 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:26:36.82 jTBnjwbd0 492/698

---遺跡の森---

パカラッタ パカラッタ



衛兵「馬に乗った怪しい2人が来ます!!」

精鋭兵「止めて確かめろ!」

衛兵「おい!!そこの2人!!止まれ!!」



パカパカ ブルル~



衛兵「顔を見せろ!!」

騎士「・・・」

衛兵「怪しい!!馬から下りろ!!」

騎士「邪魔をするな」

衛兵「なにぃ!!」スラン チャキリ

僧侶(精霊の加護!!)

衛兵「止まれ!!」



パカパカ パカパカ



衛兵「止まれと言っている!!」

精鋭兵「構わん!!馬から引きずり降ろせ!!」

衛兵「このぉ・・」ブワッ

精鋭兵「!!?なぬ?」

衛兵「何だ?吹き飛ばされた・・」

精鋭兵「衛兵!!全員集まれぇ!!」ゾロゾロ

552 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:27:17.00 jTBnjwbd0 493/698

パカパカ パカパカ



僧侶(ねぇ覚えてる?あの精鋭兵・・闘士だよ)ヒソ

騎士(分かってる・・)

僧侶(魔女どこだろう?)

騎士(追憶の森へ行って見よう)

精鋭兵「弓を構え!!」ギリリ

精鋭兵「止まらんと撃つぞ!?」

騎士「邪魔をするな」

精鋭兵「ぐぬぬ・・構わん!!馬を射抜け!!」



シュン シュン シュン シュン



衛兵「あ、当たりません・・」

精鋭兵「馬にも当てれんのかぁ!!貸せ!!」ギリリ シュン

騎士(少し脅かす)グイ ジャキリ

衛兵「あわわわわ・・・あんなでかい武器を片手で・・」

精鋭兵「・・・」ゴクリ

騎士「邪魔をすると・・こうなる」ブン! ザクリ!



グラグラ ドッスーン!!



衛兵「かかか片手で大木を切り落とした・・」

精鋭兵「お、お前は何者だ!!?」タジ

騎士「・・・騎士だ」

精鋭兵「魔王の手先だな?」

騎士「・・・フフフ・・ハッハッハ」

精鋭兵「な何が可笑しい」

騎士「邪魔をするな」グイ



ヒヒ~ン パカラッタ パカラッタ

553 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:27:43.93 jTBnjwbd0 494/698

---追憶の森---

♪ラ--ララ--♪ラー

僧侶「魔女の声だぁ!」

魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」

僧侶「魔女~迎えに来たよ~」

魔女「おやおや・・僧侶かい?わらわを迎えに来たという事は愛しき人が見つかったかの?」

僧侶「うん!!見つけた~」

魔女「では一緒に行くかのぅ・・ここは危ない様じゃ」

僧侶「馬にもう一人乗れるかなぁ?」

魔女「わらわの心配はせんで良い・・兵隊が乗ってきた馬が居るでのぅ・・すこし待っておれ」

554 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:28:39.96 jTBnjwbd0 495/698

---

パカラッタ パカラッタ

僧侶「すご~い!魔女はお馬さんに乗れるんだぁ~」

魔女「わらわの生まれは古き王族じゃ・・乗馬は小さき頃よりたしなんでおる」

騎士「ついて来い・・」

魔女「!?騎士は少々人が変わったのぅ」

僧侶「でも騎士は騎士なの~」

魔女「甘さが抜けたかの?」

騎士「このまま森沿いに西まで走る・・」

魔女「その容姿は黒騎士にしか見えん・・他人に恐怖を与えるのは良くないぞよ?」

僧侶「この格好はね~女海賊のセンスなの~海賊はまず格好からなんだって~」


555 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:29:09.92 jTBnjwbd0 496/698

---エルフの森のはずれ---

僧侶「上に飛行船見える~?」

騎士「いや・・見えない」

僧侶「大丈夫かなぁ・・煙球と閃光球使うね?・・火魔法!」ポ チリチリ



もくもくもくもく



僧侶「・・・・・」

魔女「女海賊が迎えに来るんかの?」

僧侶「うん・・その筈~」

魔女「来んのぅ・・」

騎士「・・・来てる」

僧侶「どこどこ~?アレ~?何かヘン?」

騎士「様子がおかしい・・」

僧侶「あ!!他の気球も見える~」

騎士「あれは・・追われてるな」

僧侶「!!?煙球を落とした・・」

騎士「行こう!!」

556 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/05 21:29:49.13 jTBnjwbd0 497/698

---

僧侶「見つけたよ~~ビンの中に手紙が有る~」



”王国の気球に見つかった”

”砂漠の町まで自力で来い”

”酒場で待つ”



騎士「・・・早くこの場所を離れよう・・時期に面倒が起きる」

魔女「わらわの後について参れ・・エルフの森の道を知っておる」

僧侶「騎士の持ち物のエルフのオーブもわたしが持ってるよ~ウフフ」

騎士「馬で行くと森を抜けるまで・・」

魔女「10日は掛からんと思うがの」

僧侶「食べ物が無いカモ~」

魔女「木の実はいくらでも有るから心配せんでも良い」

僧侶「ウフフ~わたしエルフになろっかな~」

558 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 00:09:39.93 sK+0Hxpu0 498/698

---エルフの森---

パカ パカ パカ パカ

魔女「森の中央に長老の住まう村があるのじゃ・・寄って行くか?」

僧侶「食べ物とかもらえるかなぁ?」

魔女「それは期待せん方が良いな・・」

僧侶「ん~今は寄り道しない方が良いかなぁ~?」

魔女「砂漠の町へ抜けるなら森の奥へは入らず川沿いを行った方が早よう抜けれる」

騎士「早く森を抜けよう・・理由は分からないけど長老に会ってはいけない気がする」

魔女「・・気になる言葉じゃのぅ・・なぜ長老に会うのを避けるのじゃ?」

騎士「分からない・・心の奥で『ダメだ』と感じる」

魔女「言っている事が分からんのぅ」

僧侶「この世界は幻という事と関係あるの~?」

魔女「!!?騎士・・・お主も気がついたのかえ?」

騎士「魔女も知っているのか?」

魔女「魔王は死ぬ間際に人間に呪いを掛け滅んだのは知っておる・・何の呪いかは知らんが・・」

騎士「この世界は幻だと気が付いた・・世界は200年前から何度も同じ繰り返しをしている」

魔女「やはりお主もそう感じたか・・それが何故長老と関係するのじゃ?」

騎士「わからない・・ただ感じるだけだ」

魔女「気になるのぅ・・」

559 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 00:10:12.05 sK+0Hxpu0 499/698

---
パカ パカ パカ パカ

魔女「そなたらは一時も離れんのじゃな」

僧侶「わたしと騎士は鎖で繋いでるの~ウフフ」

魔女「のう・・騎士や・・わらわは少し思い出した事がある」

騎士「??」



わらわは光の国の姫じゃった・・

世界が魔王に滅ぼされようとしておった200年前

どこからか預言者が現れたのじゃ

その預言者は異世界から勇者が現れると言い残し

数日後に亡くなったと聞いておる

わらわはその言葉を信じ、わらわの塔・・光の塔で祈った

ほどなくして予言の通り・・勇者が舞い降りた



魔女「今思えば・・その預言者は何故勇者が現れると知っておったのじゃろう?」

騎士「・・・・・」

僧侶「魔女って姫だったんだぁ~いいなぁ~」

560 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 00:10:45.48 sK+0Hxpu0 500/698

---

僧侶「なんだか暖かくなってきた~ウフフ」

魔女「エルフには会わず森を抜けれそうじゃの」

僧侶「火を使わなきゃエルフの森も危険じゃないんだね~魔女の照明魔法のお陰かも~」

騎士「風下だったのもある」

僧侶「もうすぐ砂漠の町だよね?はやく体洗いたいよぅ・・」ポリポリ

魔女「そなたらは体洗うときも鎖は外さんのか?」

僧侶「うふふのふ~秘密~」

騎士「森を抜ける・・馬を走らせる」グイ

パカラッタ パカラッタ

561 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 00:11:20.58 sK+0Hxpu0 501/698

---砂漠の町---

女海賊「!!?来た!!遅っそい!!もう」プン

僧侶「あ!女海賊さんみーっけウフフ」

騎士「酒場に行く手間が省けた」

女海賊「あんたら遅すぎなんだよ!!アタシは待つのがキライなの!!」プン

僧侶「ねぇねぇ女海賊さんは大丈夫だったの~?」

女海賊「エルフの森の上をさぁ~王国の気球が飛びまわってるなんて聞いてなかったさ」

僧侶「あれ~??王国は気球を禁止してた筈だけどなぁ~」

女海賊「禁止してるのは始まりの国の上空だけでしょ!?」

僧侶「平気だったの~?」

女海賊「アタシの飛行船はあんな気球の10倍速いから大丈夫!」

僧侶「ねぇねぇ馬は乗せれるかなぁ?」

女海賊「それは・・無理・・というか臭いのがダメ」

僧侶「ええええええ~」

女海賊「てか僧侶!あんたも臭い!何日アソコ洗ってないのよ!」

僧侶「!!?」ギクリ

女海賊「早く宿屋で綺麗にしてきて!じゃないと飛行船に乗せてあげない」

僧侶「う、うん・・行って来る~」

563 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:43:05.02 sK+0Hxpu0 502/698

---飛行船---

女海賊「ハイハイ!乗った乗ったぁ!!」

僧侶「うわぁ~飛行船に色塗ったの~?」

女海賊「あんた達があんまり遅いからアタシ色にしたの」

魔女「これはトカゲを模擬しとるのか?」

女海賊「トカゲじゃなくてドラゴンよ!!中はピンク色」

魔女「目がチカチカするのぅ」

女海賊「良いから早く乗って!!人に見られると面倒臭いの」

僧侶「は~い!!」



ゴゴゴゴゴゴゴ フワフワ プシュー



女海賊「ふぅ・・間に合った」

僧侶「え?どうかしたの?」

女海賊「砂漠のリザードマンの動きが変なの・・群れで移動してるみたい」

僧侶「砂漠の町は大丈夫かなぁ?」

女海賊「町まで来るかと思ったけど・・違うみたいね・・どこに向かってるんだろ」

騎士「・・見えるかい?」

女海賊「ほら・・あそこ」

騎士「南を目指してる・・かな」

魔女「中立の国は南の方角じゃろう?」

女海賊「そう!だから早く行かなくちゃいけないの」

僧侶「中立の国までは飛行船で2日くらい?」

女海賊「そんなもんかな」

僧侶「商隊で行くと20日くらい掛かるのにね~」

女海賊「飛行船は高度上げると超速いから」

564 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:43:34.73 sK+0Hxpu0 503/698

---翌日---

僧侶「ねぇねぇ見て見て~ドラゴンさんの群れも南の方角に飛んでる~」

女海賊「!!?どこだい?」

僧侶「下の方~」

女海賊「・・・7匹居るネ」

僧侶「何かあるのかなぁ?」

女海賊「ちょっと待って・・方角は・・・中立の国の進路からは少しずれてる」

僧侶「ズレた先に何があるの~?」

女海賊「いや・・・海だよ」

僧侶「その先は~?」

女海賊「ずっと先には機械の国があるけど・・遠いヨ」

騎士「・・・・・」

魔女「何か・・動き出したかのぅ」

565 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:44:06.71 sK+0Hxpu0 504/698

---中立の国のとある倉庫---

フワフワ ドッスン

女海賊「はろはろ~」

囚人「女海賊か・・手伝って行け」

女海賊「また飛行船作ってるの?」

囚人「お前に一基盗られたからもう一基作っている」

女海賊「アタシは忙しいの!魔女を商人の所に連れて行かないと」

囚人「それは騎士と僧侶にまかせて良い・・」グイ

女海賊「ちょちょ・・ちょっとぉ~」

僧侶「ウフフ~先行ってるね~」

囚人「次の飛行船は縦帆だけで軽量化する・・そっちを引っ張れ」

女海賊「ちょ・・アタシは忙しいから・・」

囚人「だまってヤレ」

女海賊「もう!!」

566 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:44:38.53 sK+0Hxpu0 505/698

---商人ギルド---

商人「やぁ!無事に戻ってきたね・・遅かったじゃないか」

僧侶「うん・・色々合って」

商人「丁度良い時に戻ったね・・魔女の愛しき人が中立の国に来てるらしい」

魔女「!!?それは本当か?・・どこじゃ?」

商人「今盗賊と女盗賊が宿屋と船まで捜しに行ってる」

魔女「おおぅ・・やっと会えるか」

商人「終わりの国の調査に向かっているらしい」

僧侶「どうして~?」

商人「終わりの国が滅んだ噂が始まりの国まで届いたのさ・・調査隊に入っているって」

魔女「ここで待っておれば良いのか?」

商人「それが・・終わりの国まで海路で行くか陸路で行くのかが分かっていない」

商人「もし陸路で行く場合もう出発してしまった可能性があるんだ」

僧侶「陸路だったらどうするの~?」

商人「ハハ心配しなくてももう考えてあるよ・・それより・・」

僧侶「ん??」

商人「中立の国はもう危ない・・早くこの国を出たい」

僧侶「どういう事かなぁ~?」

商人「どうやら僕達は王国から指名手配されてるんだ」

僧侶「ええええええ??もう町を歩けない?」

商人「そうだね・・目立った事は出来ないよ・・だから先に秘密基地に行っておいて」

僧侶「わかった~」

567 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:45:26.55 sK+0Hxpu0 506/698

---秘密基地---

魔女「早よぅ愛しき人に会いたいのぅ・・」ソワソワ

僧侶「もうすぐだよ・・魔女」



ガチャリ バタン



商人「まだ盗賊達は戻って来てないかな?」

僧侶「戻ってないよ~」

商人「じゃぁ先に・・魔女に見てもらいたい物がある・・コレさ」パサ

魔女「・・・コレは魔族が使う文字じゃ・・わらわは読めんがの」

商人「読める人を知らないかい?」

魔女「エルフの長老なら読めるやもしれん・・一応魔族じゃ」

商人「魔女はこの地図が何か想像つくかい?」

魔女「・・・何じゃろうのぅ?」

商人「僕は魔王が残した予言の書だと思ってるんだけど・・内容が分からなくてね」

僧侶「そういえばさぁ~複製されたものが各王国にあるって商人言ってなかったっけ~?」

商人「そうだね・・翻訳された物も各王国にあると思うよ」

僧侶「それなら終わりの国に探しに行った方が早いカモ~」

商人「ハハその通りだよ・・それを今から言おうとしてたんだ」



ガチャリ バタン



盗賊「ハァハァ・・帰ったぜ」

女盗賊「ダメね・・ハァハァ例の人は船には乗ってないわ」

商人「どうしたんだい?息を切らして」

盗賊「もう自由に動き回れねぇ・・俺の顔は割れてしまってる」

商人「囚人も危ないな」

盗賊「そうだな・・早くここを離れた方が良い・・この秘密基地も時期にバレる」

商人「物資は海賊船に積み終わったかな?」

盗賊「それは終わった・・どうする?」

商人「ゆっくり出来ないね・・囚人の所に行こう」

568 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:45:56.55 sK+0Hxpu0 507/698

---とある倉庫---

タッタッタ

盗賊「囚人!!終わったか!?」

囚人「女海賊の働きが悪くてな・・もう少しだ」

女海賊「もう!!アタシに力仕事なんかさせるなよ!!」プン

囚人「良いからソコを押さえてろ」

盗賊「どうやらすぐに出発しなきゃならねぇ様だ」

囚人「そうか・・あと1時間待て」

商人「じゃぁこうしよう・・盗賊と女盗賊!秘密基地に火をつけて来てくれないか?」

盗賊「良いのか?」

商人「時間を稼ぎたい・・もう戻ることも無いと思う」

盗賊「わかった!・・女盗賊行くぞ!」

女盗賊「フフ忙しいわね」

囚人「騎士!お前も手伝ってくれ・・ロープを張るのに力がいる」

騎士「わかった・・」

569 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:46:23.94 sK+0Hxpu0 508/698

---

女海賊「今度の飛行船はどんなの?」

商人「横帆無しで軽量化してるんだ・・操作は難しいけど低空で小回りが利く筈」

女海賊「速さは?」

商人「どうかな?横帆の抵抗が無い分早くなるかもね」

女海賊「こっちの方が欲しくなってきた!!」

商人「僕達にあんな派手な飛行船に乗れと言うのかい?ハハハ」

女海賊「軽い分垂直上昇が出来る?」

商人「どうだろうね?やってみないとね」

女海賊「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい~~」

商人「わかったよ・・事が済んだら使って良いよ」

女海賊「いえ~~~い!!」

570 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 22:47:04.96 sK+0Hxpu0 509/698

---

商人「女海賊は海賊王にこの手紙を渡して・・作戦が書いてある」

女海賊「うん!!じゃぁ先に飛ぶね」



ボボボボボボボ フワフワ プシュー



僧侶「盗賊さんと女盗賊さん遅いなぁ・・」

商人「彼等なら大丈夫さ・・・囚人!飛べる準備は良いかな?」

囚人「大丈夫だ・・ロープを切れば真っ直ぐ上に上がる」

僧侶「来た!!来た来た・・早く乗ってぇ~」

商人「追われてるな・・」

僧侶「早く~~乗ってぇぇ!!」



盗賊「ハァハァ・・」ダダダ

女盗賊「ハァハァ・・」ダダダ



囚人「ロープを切れ!!」

騎士「・・・」ブン! スパ!



??「まてぇ~~~!!」

??「なんだあの気球は!?」



フワフワフワ



盗賊「ギリギリセーフ・・ハァハァ」

女盗賊「フフフ・・ハハハハハ」

盗賊「なかなかヤルじゃねぇか!相棒!」

商人「さて・・中立の国はもう見納めだよ・・みんな良く見ておいて」

僧侶「塩の香りをもっと嗅いでおけばよかったなぁ~」

商人「今日はこの飛行船でバーベキューでもしよう!お酒もあるよ」

僧侶「わ~い!!ウフフ」

571 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 23:30:46.16 sK+0Hxpu0 510/698

---飛行船---

ジュージュー

僧侶「おいひい~♪」モグモグ



商人「じゃぁみんな食べながら聞いてくれるかな・・」モグモグ

商人「これから行くのは終わりの国だよ・・魔女の愛しき人の先回りをする」

商人「それから・・終わりの国で亡くなった衛兵達の埋葬と・・予言の書を翻訳した物を探したい」

商人「海賊王には衛兵達の埋葬の為に応援してくれと手紙を出しておいた」



盗賊「ゾンビがウヨウヨしてるんじゃねぇか?」

商人「ソコは抜かりない・・銀製の武器を用意してある」

盗賊「俺達がゾンビ退治して海賊が死体の片付けって感じか?」

商人「そうだね・・あと戦利品の略奪も海賊にお願いする」



魔女「わらわの愛しき人は本当に来るんじゃろうな?」

商人「間違いないよ・・必ず来る」

僧侶「ねぇねぇ・・そういえばさぁ・・砂漠のリザードマンとドラゴンさんがね?」モグモグ

商人「ん?」

僧侶「群れで南の方に移動してたの~女海賊が言うには海に向かってるって~」モグモグ

商人「海に?・・・そういえば海賊王もクラーケンがおかしいって言ってたな」

盗賊「気になる話だな」

商人「次海賊王に会ったら話を聞いて見よう」

572 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 23:31:28.13 sK+0Hxpu0 511/698

---夜---

騎士「・・・・・」

魔女「騎士や・・おぬしは言葉が少なくなったのぅ」

騎士「これから起こる事を少し知っているんだ・・」

魔女「商人には話したか?」

騎士「いや・・話せない」

魔女「わらわには話せるか?」

騎士「・・魔女も知っているのかい?」

魔女「わらわは定めを受け入れておる・・人間はすでに魔王の呪いに捕われて生きておる」

騎士「どうして急に思い出したのか・・」

魔女「お主は囚われの身の間魔王の心を少し覗いたのじゃろぅ」

騎士「憎悪が溢れて来た・・でも僧侶の回復魔法で・・」

魔女「それだけか?」

騎士「他には何も・・」キラン!

魔女「ん?それは何じゃ?」

騎士「・・これはエルフの娘が使ってた銀のアクセサリー」



ガバッ!!



商人「・・・・・」

魔女「商人・・聞いておったのか」

商人「呪いを解く方法はソレだ!・・銀が必要なんだ!」

騎士「銀?」

商人「ドラゴンが命の源を修復するには銀が必要だと言ってた・・・これが呪いを解くって事だ」

騎士「あふれ出てくる憎悪と混じって記憶も思い出すんだ」

商人「どんな記憶かは言いたくなったら言ってくれれば良いよ」ブツブツ

573 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/06 23:32:05.46 sK+0Hxpu0 512/698

”そういえば銀ってどうやって作るんだ?

”ドワーフが生んだんだ・・

”だからドワーフは滅ぼされた

”銀を作ることが出来たのは・・終わりの国と機械の国

”そうか!!憎悪が僕達を突き動かしてる・・

”次は機械の国だ

”機械の国は自分達を守るためにゴーレムを・・

”でもそれをドラゴン達は許さない

576 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:26:54.38 834oAEOv0 513/698

---翌日---

ビョーーーーウ バサバサ

商人「さぁみんな一人ずつ銀の装備を持って」

盗賊「なんだ?何するんだ?」

商人「良いから早く・・出来ればその装備をずっと持ってて欲しい」

盗賊「じゃぁ俺は銀の短剣だな」

女盗賊「私もね・・」

薬剤師「あたしはアクセサリーかな」

囚人「俺は剣だ」

魔女「わらわは腰巻かのぅ」

商人「僕は筆ペンかな」

僧侶「わたしは~?」

商人「君はもう銀のロザリオがあるよね?・・じゃぁ僧侶!一人ずつ回復魔法をお願い」

僧侶「は~い♪回復魔法!回復魔法!回復魔法!・・・」ボワー


577 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:27:20.74 834oAEOv0 514/698

---

盗賊「・・・なんだ?何のおまじないだ?」

商人「これで僕達は皆呪いが払われた筈・・何か変わった事はないかい?」

盗賊「ん~む・・何も変わってないが・・」

商人「ハハハ何も感じないね・・でもこれで間違った判断をしなくなるかもしれない」

盗賊「・・なんのこっちゃ」

商人「僕は良く寝てる間夢を見るんだ」

盗賊「俺も夢は見るが・・何か関係あるのか?」

商人「さぁね?わからないよ・・でもこれで悪夢を見なくなるかもしれないな~って」

盗賊「悪夢・・そういやあんまり良い夢は見たことが無ぇな」

魔女「わらわの夢は愛しき人を失う夢ばかりじゃ」

薬剤師「あたしも良い夢は見たことが無いよ・・気にしてなかったけど」

僧侶「私は夢なんか見たこと無いよ~ウフフいつもぐっすり」

盗賊「・・・だろうなお前のイビキのせいで俺は悪い夢を見る」

僧侶「ええええええ?そんなにイビキひどいの~?」

盗賊「特に酒を飲んだ後だな・・騎士は良くガマンしてる」

僧侶「そんなぁ~・・」モジモジ

578 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:27:47.47 834oAEOv0 515/698

---

ビョーーーーウ バサバサ

盗賊「よし!!じゃぁ高度下げるぞ!!」

僧侶「ねぇねぇ!あの黒い塊って何かなぁ?」

盗賊「んん?・・・なんだありゃ動いてるな」

商人「どこだい?・・・あれはカラスの群れかな?」

盗賊「ぬははカラスか・・いかにもって感じだな」

商人「大分荒らされてそうだね」

盗賊「終わりの国の城に直接降りるぞ?」

商人「うん・・そうして」

魔女「・・ひどい有様じゃのぅ・・数年前に来た時とはえらい変わり様じゃのぅ」

商人「多分誰も生き残ってないよ」

囚人「いや・・わからんぞ・・城には地下がある」

僧侶「うわぁぁ・・ゾンビがいっぱい~」

盗賊「町の方はゾンビだらけだな・・城までは上がって来てないが」

商人「盗賊!あそこの広間に着陸しよう」

盗賊「わかった」

579 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:28:14.18 834oAEOv0 516/698

---終わりの国---

フワフワ ドッスン

盗賊「やっぱりここまではゾンビは来ない様だな」

商人「騎士と僧侶は手当り次第にゾンビを掃除して来てくれるかな?」

騎士「・・・武器はどうしよう?」

商人「銀の槍が有った筈・・それでゾンビの心臓を突いて来て」

騎士「わかった」

商人「盗賊と女盗賊は町の状況を見てきて!使えそうな物資とかね」

女盗賊「わかったわ」

商人「囚人は城の中を案内して・・予言の書を探すのと生存者が居ないか調べよう」

囚人「付いて来い」

商人「夕暮れまでにはみんな戻って来てね」


580 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:28:43.37 834oAEOv0 517/698

---街道---

ヴヴヴヴヴヴヴ

騎士「・・・フン!」ブシュ

僧侶「いっぱい居るねぇ~」

騎士「歩いてゾンビ退治するのは手間が掛かる・・フン!」ブシュ

僧侶「お馬さん居ないかなぁ・・」

騎士「!!?そうだ・・城の宿舎に馬小屋が有るかも知れない」

僧侶「行ってみようよ~」

騎士「そうだね」

タッタッタ

581 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:29:17.58 834oAEOv0 518/698

---馬小屋---

ブルル~ ガフガフ

僧侶「居たぁ~!!ウフフ」

騎士「・・この馬だけ生き残ってる」

僧侶「回復魔法してあげる~回復魔法!」ボワー

騎士「牧草と水をあげないと」ガッサ ガッサ



ブルル~ ヒヒ~ン もしゃもしゃ



僧侶「ウフフ~食べてる食べてるぅ~」

騎士「僧侶はまだ馬に近づかないで・・警戒してる」

僧侶「すごく大きなお馬さんだね~」

騎士「丈夫な馬じゃなきゃ生き残れなかったんだと思う」

僧侶「ねぇねぇあそこにあるのってお馬さんに着せる物かなぁ?」

騎士「ん?あぁ・・この馬用の鞍だね・・軍馬だったみたいだ」

僧侶「お腹空いてたんだね~・・・いっぱい食べてね~」

騎士「僕が馬に寄るから何かあっても僧侶は動かないで」

僧侶「は~い」



ブルル~ ガフガフ ガシャン ガシャン



騎士「よしよし・・もう大丈夫だ・・解放してあげる」ガチャリ

---

---

---

582 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:29:45.61 834oAEOv0 519/698

僧侶「お、おさまった?・・大分暴れたね」

騎士「やっと納得してくれた」

僧侶「お馬さん乗せてくれるかなぁ?」

騎士「大丈夫!もう落ち着いてる」グイ

僧侶「わたしも乗って良い?」

騎士「おいで」グイ

僧侶「わぉぉ~大きいぃ~ウフフ」

騎士「僧侶は精霊の加護の祈りをしておいてくれるかな?」

僧侶「は~い!」

騎士「行くよ!」グイ パカパカ

パカラッタ パカラッタ

583 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:30:14.01 834oAEOv0 520/698

---街道---

パカラッタ ブシュ! ブシュ!

騎士「ゾンビは何体居るんだろう・・キリが無い」

僧侶「もう暗くなってきたよ~」

騎士「そろそろ帰ろうか」

僧侶「うん・・お腹も減ったよぅ」

騎士「これはしばらくゾンビ退治が続きそうだ」

僧侶「明日もがんばろ~」

584 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:30:41.28 834oAEOv0 521/698

---城門---

盗賊「おお!!馬が居たのか!!丁度良かった手伝ってくれ」

僧侶「どうしたの~?」

盗賊「暗くなる前に食料を町から運びたい」

僧侶「え?どうして~?」

盗賊「城の地下にまだ衛兵達が生き残ってたんだ・・えらく衰弱してる」

僧侶「本当に~?何人くらい居るの?」

盗賊「よく分からんが100人は居るんじゃねぇか?・・みんな怪我してる」

僧侶「たいへんだぁ~」

盗賊「治療は薬剤師がやってる・・まず食料を運ばねぇと!来てくれ」



パカパカパカ



盗賊「この荷車を引っ張って城まで運んでくれ」

騎士「わかった」

盗賊「俺はもう少し集めてから戻る」


585 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 19:31:16.94 834oAEOv0 522/698

---城---

商人「やぁ!戻ったね」

僧侶「ねぇねぇ衛兵さんが見つかったって・・」

商人「・・早速だけど僧侶は衛兵達に回復魔法を掛けて欲しい」

僧侶「うん!わかった~」

商人「一人ずつ銀のロザリオを持たせてから回復してあげて」

僧侶「オッケ~ウフフ」

商人「それから衛兵達の治療を薬剤師と交代してきてくれるかな?」

僧侶「は~い」

商人「薬剤師には魔女の料理を手伝ってもらいたいんだ・・どうやら魔女の料理が怪しい」

僧侶「え?」

商人「見た目の話さ・・栄養はありそうだけどやっぱり魔女は魔女だ」

僧侶「どういう意味~?」

商人「魔女っぽい料理なんだよ・・なんというかブツ切りで煮込むみたいな・・」

僧侶「ウフフ~わかった~」

586 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 21:12:13.10 834oAEOv0 523/698

---

僧侶「!!?んま~~~い!!」モグモグ

商人「見た目は別にして・・魔女の料理おいしいね」モグモグ

盗賊「本当だな!!」モグモグ

薬剤師「衛兵達も喜んで食べてるみたい」

商人「衛兵達の様子はどうかな?」

薬剤師「怪我の方はもう良いからあとは栄養かな」

商人「動けないのは変わらないか・・海賊達が来たら辺境の村まで運んでもらおう」

薬剤師「それが良いと思う」

商人「盗賊!町の様子はどうだい?」

盗賊「ゾンビ退治に1~2週間かかりそうな数居るぞ・・・1000体以上だな」

商人「物資は?」

盗賊「大分焼けてしまってるが金属製の物はほとんど使える・・食料は100人居るとすると1週間分だな」

商人「城の備蓄と合わせて10日って所かぁ」

魔女「わらわの愛しき人はいつ来るのじゃ?」

商人「陸路で向かってる筈だから・・あと2週間くらいかな」

盗賊「海賊船待ちだな」

商人「先に女海賊が飛行船で来てくれると助かるなぁ・・」

囚人「あの娘は行動が読めん」

商人「ハハそうだね・・他に食料を確保するとしたら・・」

盗賊「よし!俺と女盗賊で近くの森まで行って狩りをしてくる」

商人「大丈夫かい?」

盗賊「騎士が馬を見つけた・・馬で荷車引かせれば大物の獲物も狩れる」

商人「じゃぁ明日から頼むよ」

587 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 21:12:42.25 834oAEOv0 524/698

---翌日---

商人「じゃぁ皆!作戦通り頼むよ」

盗賊「まかせろ!」

商人「僕は城で予言の書を探す」

僧侶「ねぇねぇカラスが沢山来てる~」

商人「カラスも食料目当てかな?」

薬剤師「カラスはあたしにまかせて」

商人「何するつもりだい?」

薬剤師「リーダーのカラスだけ餌付けすれば言う事聞く様になると思う」

商人「へぇ・・そんな事できるんだ?」

薬剤師「カラスは色々な病気を持ってるから飼いならして見たかったの」

商人「君は又変な趣味を持ってるんだね」

薬剤師「これも研究よ」

588 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 21:13:10.26 834oAEOv0 525/698

---

ヴヴヴヴヴヴヴ

パカラッタ パカラッタ ブシュ!ブシュ!

騎士「それにしてもこんなに沢山のドラゴンの涙を使ったんだろうか・・」

僧侶「違うと思うなぁ~」

騎士「どうしてそう思う?」

僧侶「ほら~衛兵さんと同じ装備のゾンビが居るもん」

騎士「!!?そうか・・伝染してるのか」

僧侶「あとで薬剤師に相談しないとね~」

騎士「どうやって伝染するんだ?」

僧侶「カラスかも~」

騎士「なるほど・・それで薬剤師が興味持ってたのか」

僧侶「わたしって賢い~?」

騎士「見直したよ」

僧侶「惚れた~?ウフフ」

騎士「・・・・・」

僧侶「惚れたって言ったらもっと癒してあげるよ~」

589 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/04/07 21:13:45.97 834oAEOv0 526/698

---数日後---

商人「・・・なんて事だ・・でたらめばかりじゃないか」

僧侶「なんて書いてあるの~?」

商人「この予言の書には・・



勇者は人間を裏切り世界を滅ぼすと書いてある

他にはドワーフの滅亡や銀の生産

始まりの国の滅亡、中立の国の滅亡、終わりの国の滅亡、機械の国の滅亡

エルフの森での戦争、ドラゴンの襲撃、クラーケンの襲撃

新たな武器や病気の誕生・・・まことしやかに書いてあるけど・・



盗賊「見方によっては全部当たってるんじゃないか?」

商人「いや・・どれ一つ具体的な数字や方法は書いてない」

盗賊「それを予言と言うんじゃないか?」

商人「僕に言わせるとこんなの只の暗示だよ」

盗賊「暗示?」

商人「そうさ・・魔王が残した予言の書というだけで国王達は信じてしまっている・・ただの暗示さ」

魔女「人間は頼るものが無い時に暗示に従うものじゃ・・」

盗賊「その予言の書の地図にある○印は何だ?」

商人「ここに記述は無いけど後から書き足した物に見える」

騎士「・・僕は知っている」

商人「どういう事だい?」

騎士「そこは人間が最後に戦う場所・・最後に疫病で僕達は死ぬ」

商人「騎士がどうしてそんな事を?」

魔女「騎士は僧侶によって魔王の心から解放されたとき思い出したと言うておる」

騎士「人間がすべて滅んだ後・・気が付いたら又初めに戻っているんだ」

商人「この世界は幻?・・・また予定通りに事が進んでいく?」

僧侶「呪いは解けた筈なのにね~」

商人「そうさ!僕達はもう呪いに縛られない・・ここから先は僕達の世界だ!」

盗賊「こういう考えが出来るのも呪いが解けたおかげかもな」

薬剤師「・・ねぇ・・最後に疫病で皆死ぬって言ったよね?」

騎士「僕が思い出した過去だとそうだよ」

薬剤師「あたし何となく分かる・・もしあたしのスライムが攻撃されたら吸い取った毒が散らばると思う」

商人「・・・・・」

薬剤師「スライムを増やせば毒が散らばっても又吸わせれば良いと思うんだけど」

商人「少し考えたい・・」

勇者「魔王は一体どこにいる?」【5】に続きます。

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