先輩「…はぁ?」
後輩「だから、彼女さんがいるかどうか聞いてるんです」
先輩「日本語を勉強しような」
後輩「なんでですか」
先輩「私、女だぞ?彼女なんているわけないだろ」
元スレ
後輩「先輩って彼女いるんですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1366553700/
後輩「質問の意図は間違っていませんけど」
先輩「……じゃあなんでそう思った?」
後輩「だって先輩、かっこいいじゃないですか。男装の麗人って感じで」
先輩「男の格好はしたことないけど?私ってそういう風に思われてたのか。なんかショックだ」
後輩「とんでもない。ファン多いんですよ?先輩って」
先輩「そ、そうなのか?」
後輩「自分のことなのに気づいてなかったんですか?」
先輩「ま、まあね」
先輩「でもな」
後輩「はい」
先輩「私だって女の子だぞ」
後輩「それは勿論です」
先輩「なんていうか、ほら。もっと女子力が欲しいというか」
後輩「女子力、ですか」
先輩「格好良く見られているっていうのは裏を返せば、男性的ってことだろ?」
後輩「まぁ、そういうことになります」
先輩「私はそれが嫌だ」
後輩「えー」
後輩「先輩は、今のままの先輩でいいんですよ」
先輩「そういってもらえるのはありがたいが…」
後輩「格好いい先輩が好きですよ」
先輩「いや、ありがたいんだが」
後輩「納得できませんか?」
先輩「例えば、お前は可愛いだろ?」
後輩「え?」
先輩「女の子らしいというか、なんというか。よくわからんが可愛いんだ」
後輩「て、照れますね」
先輩「可愛くて、なんかムカつくんだ」
後輩「えっ?」
先輩「多分羨ましいんだ。私も、お前みたいに可愛くなりたい」
後輩「先輩」
先輩「どうすればなれる?」
後輩「(…可愛い)」
後輩「先輩、教えてあげます」
先輩「頼む」
後輩「乙女の秘訣は、恋をすることです」
先輩「恋?」
後輩「先輩は恋愛したことありますか?」
先輩「えっと……ちょっとまってくれ」
先輩「えーと、あ!ある!」
後輩「ほんとですか?」
先輩「小学生の頃、向かいの家のちぃちゃんに恋をしていた!」
後輩「それ、女の子ですか?」
先輩「ちぃちゃんは猫だが?」
後輩「もしかして先輩」
先輩「ん?」
後輩「人を好きになったこと無いんですか?」
先輩「……ないな」
後輩「それは重症ですね」
先輩「そ、そうなのか?」
後輩「18歳ですよ?JKですよ?」
先輩「お、おう」
後輩「恋愛したことないなんて、ありえません」
先輩「なにもそこまで言わなくても」
後輩「今恋愛しないと、一生独り身ですよ?」
先輩「だって、女子校だし…」
後輩「なんの言い訳にもなりません」
先輩「い、いや。なるだろ。男なんていないし」
後輩「女の子と恋愛すればいいじゃないですか」
先輩「は、はぁ?」
先輩「お前、それってレズだろ?」
後輩「呼び方なんてどーでもいいです」
先輩「そんなのあり得ないだろ」
後輩「あり得るんです。女子校という閉鎖的な環境下においては」
先輩「だ、だいたいお前はどーなんだよ。恋は乙女の秘訣とか言いながら、女子校には恋愛対象がいないだろ?」
後輩「だから、私がそうだって言ってるんです」
先輩「えっ?」
後輩「私、レズですよ?」
先輩「嘘つくな」
後輩「ホントですよ」
先輩「いや、まってくれ…お前、女の子が好きなのか?」
後輩「ええ。そうです」
先輩「じゃ、じゃあ聞いていいか?」
後輩「質問は受け付けます」
先輩「お前は、恋してるんだよな」
後輩「勿論。乙女の秘訣ですからね」
先輩「で、その相手っていうのは」
後輩「無論、女の子です」
先輩「….…そうか」
後輩「ショックですか?」
先輩「いや、そうじゃない。そうじゃないけども」
後輩「?」
先輩「いや、ある意味ショックだ。カルチャーショックだな」
先輩「他にもお前のように、女の子に恋している女の子がいるのか?」
後輩「結構います」
先輩「なぁ、これは勘なんだが」
後輩「?」
先輩「私のファンっていうのは」
後輩「みんな、先輩に恋をしてますよ」
先輩「きゃー!」
後輩「女の子っぽい悲鳴ですね」
先輩「だって恥ずかしいだろ!?」
後輩「(なんだろう。この可愛い生物は)」
後輩「(ここは一つ。吹き込んでやろうかしら)」
後輩「先輩」
先輩「な、なんだ」
後輩「女子力を上げる為には恋愛が必要ですよ」
先輩「それはさっき聞いた」
後輩「恋愛してみませんか?」
先輩「一体誰と。まさか、女の子同士じゃないだろうな」
後輩「そのまさか、ですよ」
先輩「おい、顔が近いぞ」
後輩「先輩、睫毛が長いんですね」
後輩「手、繋いでいいですか?」
先輩「き、聞く前に繋ぐな!」
後輩「先輩、顔赤い」
先輩「まったく、お前は何がしたいんだっ」
後輩「先輩に、恋愛を教えてあげようと思って」
先輩「余計なお世話だっ」
先輩「は、離れてくれ」
後輩「なんでですか?」
先輩「恥ずかしいだろ?」
後輩「なんで恥ずかしいんですか?女の子同士で手を繋ぐくらい、普通じゃないですか」
先輩「なんていうか。お前はイヤラシイ」
後輩「別にそんなつもりはないですよ?先輩が意識しすぎなんじゃないですか?」
先輩「うるさいっ」
後輩「先輩、可愛い」
先輩「か、可愛い?」
後輩「ええ。今の先輩、とっても可愛かったですよ」
先輩「なっ!?」
後輩「じゃあまた明日。部活で」
先輩「ちょ、ちょっと待て」
後輩「待ちません」
***
先輩「一体なんなんだあいつ」
先輩「……初めて、あんな近くで顔を見た」
先輩「可愛かったなぁ…やっぱり」
先輩「私も、あんな風になれたら……」
先輩「って、なに考えてるんだ私は」
先輩「ダメだ。頭から離れない。勉強に集中できん…」
先輩「寝てしまおう。そうすれば忘れるだろう」
先輩「…………眠れない」
先輩「目をつぶるたび思い出してしまう」
先輩「あー、もうっ」
先輩「これは一体なんなんだ」
翌日 放課後
後輩「先輩」
先輩「……ああ、後輩」
後輩「どうしたんですか、そのクマ」
先輩「一睡もできなかった」
後輩「そ、そうですか」
後輩「(余計なことしちゃったかしら)」
先輩「あのな…」
後輩「はい」
先輩「眠ろうとするたびに、誰かの顔や声が思い浮かんで、眠れないこと。お前はあるか?」
後輩「ありますよ」
先輩「そうか」
後輩「恋をしている時とか」
先輩「恋?なるほどな」
先輩「じゃあ、これも恋かもな」
後輩「?」
先輩「今日はちょっと寝かしてくれ」
後輩「ちょっと、先輩?」
先輩「zzz」
後輩「誰に恋をしているか。聞こうと思ったのに」
後輩「可愛い寝顔に免じて、寝かせておいてあげましょう」
後輩「先輩は、今のままで十分可愛いですよ」
後輩「なーんて」
後輩「起きてたら、どんな顔するかしら」
後輩「……」
後輩「寝顔にキスするくらい、許されるわよね」
おしまい