ドラ「シュレーディンガーの猫?また急にどうして?」
のび「何となく?」
ドラ「何となくって…まあ、いいや。シュレーディンガーの猫っていうのはね」
のび「うんうん」
元スレ
のび太「シュレーディンガーの猫って、なあに?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364048504/
ドラ「(wikipedia)」
のび「???」
ドラ「…やはり君には難しかったか」
のび「もっと簡単に言ってよー」
ドラ「例えばここに死にかけの猫がいたとした」
のび「うん」
ドラ「その猫を箱に入れてしまうんだ」
のび「えー!かわいそうに!」
ドラ「猫を入れたままの箱を開けなければ、中で猫が死んでるか分からないだろう?」
のび「死にかけの猫なら死んでいるんじゃない?」
ドラ「そうだね。死んでるかもしれない。でも生きているかもしれない。箱の中を覗かない限り分からないけれど」
のび「まあ、確かに」
ドラ「箱の中の様子が分からなければ、箱の中で死んでいる猫、生きている猫が存在するって事がシュレーディンガーの猫だよ。分かったか?」
のび「うーん…多分?」
ドラ「結果が分からない状態じゃあ、いくつも可能性があるって事だよ」
のび「じゃあ…映画で見たけど、未来では僕と静ちゃんが結婚したよね?」
ドラ「そうだったね」
のび「でも第一話だと、僕はジャイ子と結婚していたよ?それもシュレーディンガーの猫?」
ドラ「ちょっと違うけれど、可能性があるって所は同じだな」
のび「えっ!?じゃ、じゃあ僕はまだジャイ子と結婚するかもしれないって事ぉ!?」
ドラ「むしろ今の所だと、結婚できない可能性の方が高いかもね」
-その夜-
のび(シュレーディンガーの猫かぁ…凄く難しかったなあ。でもしかし…)
のび(僕がジャイ子と結婚?冗談じゃない!!)
のび(僕のお嫁さんは静香ちゃんが良いのに…)
のび(どうすれば……)
のび「そうだ!!」
ガラッ
ドラ「…のび太君。まだ起きていたの?」
のび「あ、ごめん。起こしちゃった?」
ドラ「良いけど、早く寝なよ。明日も学校だろ?」
のび「うん、おやすみ」
-翌日放課後-
キーンコーンカーンコーン
ジャ「おい、のび太。帰ったら空き地に来い。野球の人数が足りないから特別に入れてやる」
スネ夫「ありがたく思えよー」
のび「あ、ごめん。ちょっと用事があって…」
ジャ「何だよ!この俺様が直々に誘ってやってるっていうのに。それよりも大事な用事だって言うのか~?」
スネ夫「のび太の癖に生意気だぞー!」
のび「うっ…ごめん!僕の将来の為なんだー!!」タタタタッ
ジャ「…何だよ、アイツ」
スネ夫「さあ?」
のび「ふう、危うく捕まるところだった」
のび「それじゃあ裏山に行こう。このスペアポケットから…」
のび「どこでもドアー」タッタタターターターター♪
-裏山-
ガチャ
のび「やあ、待ったかい?」バタン
ジャイコ「のび太さん?この手紙を出したのって、あんただったの?」
のび「いかにも。この僕さ」
ジャイコ「あんた、これ一体なんて書いてあるの?」
のび「え?君、字が読めないの?」
ジャイコ「『ヅャイ子へ。君に犬じな話があるやら、うらやまに未い。みらいの君の夫じゃない入より』」
のび「一体、何を言ってるんだ?」
ジャイコ「あんたからの手紙。これ、字が間違いだらけよ。あんた字もまともに書けないの?」
のび「それはっ間違いは誰にでもあるだろ!」
ジャイコ「じゃあ、何の用?」
のび「そうだ。君に言いたい事があるんだ」
ジャイコ「なによ」
のび「僕は君を好きに」
のび「好きにならない!絶対にだ!」
ジャイコ「!」
のび「だから僕の事は諦めてくれ!」
ジャイコ「…」
のび「僕は静ちゃんと結婚するんだ」
ジャイコ「…」
のび「だからっ頼む!この通りだよ」
ジャイコ「…ば、馬鹿にしないでよ!!」
のび「!?」
ジャイコ「黙って聞いてれば好き勝手言ってくれて…何が諦めてくれですって?私が、いつ、あんたを好きだと言ったの!?」
のび「だって未来では…」
ジャイコ「成績も運動神経も顔も悪い。おまけに弱虫で泣き虫。人に頼ってやっと生きている勘違い男なんて、億積まれたって好きにならないわ!!」
のび「うぅ…酷い!酷すぎる!」
ジャイコ「しかも源さんと結婚したいなんて、おこがましいにも程があるわ」
のび「何だとぉ!?」
のび「お前なんかあ」ガシッ
ジャイコ「何よ!叩くつもり?」
のび「お前なんかあ」ガチャ
ジャイコ「…え?」
のび「お前なんか!!」ドン
ジャイコ「あ…いや…」
バタン
のび「はあ…はあ…はあ…酷い…」
・
・
・
のび「酷いよ。あんまりだ」
のび「いくらなんでも、酷すぎる。言って良い事と悪い事も分からないのか。あいつは」
のび「…ジャイ子をどこでもドアに突き飛ばしたけど、ドアの向こうはどこだったっけ?」
のび「…」
のび「頭にきてたからちゃんと考えていなかった…」
のび「もしかして、これは不味い事になったのでは?」
のび「あ、そうだ!」
のび「シュレーディンガーの猫だ!」
のび「ジャイ子をどこでもドアに入れたけど、ジャイ子を探さなければ、ジャイ子が元気でいるって事になる」
のび「うん。探さなきゃ、結果が分からないもん。そういう事だよね?」
のび「しかも僕の前にもう現れないんだから。僕が静香ちゃんと…うふふ」
のび「思ってたのと違う結果になったけど…やったぞお!万歳ー!!」
-翌日学校-
のび「おっはよー」
ざわざわざわざわ
のび「ん?何だか騒がしいな」
スネ夫「あ、のび太だ!」
ジャ「のび太だと!?」
のび「え?なに、どうしたんだよ」
ジャ「お前、ジャイ子を…」
ジャ「ジャイ子を見なかったか!?」
のび「え?」
スネ夫「ジャイ子ちゃんが昨日から帰って来ないんだってさ。のび太は何か知らないか?」
のび「知らないよ!ぜーんぜーん知らないよ!」
ジャ「ちっ、使えねぇ」
静香「武さん。のび太さんどうだって?」
ジャ「知らないってよ」
静香「え?…そうなの」
スネ夫「そうだ!ドラえもんだよ!」
ジャ「おおう!そうだ!!ドラえもんだ!!」
のび「ええ!?」
ジャ「何だよ!」
のび「いや…何でもないけど」
スネ夫「ジャイアン。こんな奴、放っといて早く行こうよ」
ジャ「おう」
のび「…どうしよう」
静香「…」
-野比家-
ジャ「おっ邪魔しまーす」
ママ「あら、いらっしゃい。みんな揃ってどうしたの」
スネ夫「僕達、宿題しに来たんです」
ママ「まあ?本当に?偉いわね~。後でおやつを持っていくわ」
「「ありがとうがざいまーす」」
のび(ドラえもん…どうか出掛けていてくれ!)
-のび太の部屋-
ジャ「ドラえもーん!!」
ドラ「あれ、ジャイアン?それに皆も」
のび「あちゃー…」
ジャ「実は」カクカクシカジカ
ドラ「成る程。それは心配だ」
スネ夫「何とか探せない?」
ドラ「うーん。探せないことはないけれど、今は無理だよ」
ジャ「どうしてだよ!!」
ドラ「四次元ポケットの調子が悪くて、メンテナンスに出しているんだ」
スネ夫「じゃあ、スペアポケットは!?」
ドラ「それもない……見当たらないんだ」
ジャ「嘘だろ!?ちゃんと探したのかよ!!」
ドラ「探したさ。四次元ポケットが戻ってきたら、また道具を使って探そうと思っていたけど」
スネ夫「じゃあ、タイムマシン!」
ジャ「それだ!!」
ドラ「言いにくいんだけど、それも…」
ジャ「つ、か、え、な、い、とか、言うつもりじゃないよな?」
ドラ「…使えないんだ」
ジャ「このっ野郎!!」
スネ夫「ジャイアン落ち着いて!」
静香「タケシさんっ」
のび(やったあぁ!!)
静香「タイムマシンが使えないって、どういう事なの?」
ドラ「ほら、この通りだよ」ガラッ
のび「何だい、これ?」
ドラ「時空嵐さ」
ジャ「関係ない!ジャイ子の為なら日の中、時空嵐の中だ!!」
ドラ「うわあ!よせ!!タイムマシンもスペアポケットにしまっているんだ!」
スネ夫「あーもう!どうしてなくしたんだよー!」
ドラ「僕だって好きでなくした訳じゃない!それに例えタイムマシンがあったからって、時空嵐だもの。どの時代に飛ばされるか分からないぞ」
-夜-
のび(いよいよ大事になってきたなあ)
のび(…ジャイ子もジャイ子さ。とっとと出てきてくれれば良いのに)
のび(はっ!もしかして…僕を困らせて、仕返しのつもりか!)
のび(そう思えば、何だかムカムカしてきたぞ。よーし、このスペアポケットで見つけ出してやる)ガサゴソ
のび(思い出しトンカチ~)タッタタターターターター♪
のび(これで、僕の頭を叩くと…)
~
ジャイコ「成績も運動神経も顔も悪い。おまけに弱虫で泣き虫」
のび(僕だってやれば出きる!)
ジャイコ「人に頼ってやっと生きている」
のび(やっと、生きているだってえ!?)
ジャイコ「勘違い男なんて、億積まれたって好きにならないわ!!」
のび「うぅ…酷い!酷すぎる!」
のび(どうしてそんなに酷い事が言われなきゃいけないんだ!!僕だって一生懸命生きているのに!!)
ジャイコ「しかも源さんと結婚したいなんて、烏滸がましいにも程があるわ」
のび「何だとぉ!?」
のび(僕と静ちゃんの未来まで、馬鹿にするのかあ~)
のび「お前なんかあ」ガシッ
のび(なんて奴だ。なんて奴だ!!)
ジャイコ「何よ!叩くつもり?」
のび「お前なんかあ」ガチャ
のび(僕を、僕を、馬鹿にする奴は)
ジャイコ「…え?」
のび((消えてしまえ))
~
のび「…あ」
のび「そうだ。僕がどこでもドアを繋げた場所は……海だ」
のび「頭にきてたから、よく覚えてなかったけど、太陽が海に反射して眩しかった」
のび「ドアを閉める時、水に何か落ちる音とドアを叩くような振動があったんだ…」
のび「ああ…そうだ。僕は…」
のび「やったぞ!」
のび「うひゃあ!やった!ざまあみろ!!僕を僕を馬鹿にするからこうなるんだ!!」
のび「思い出しトンカチで思い出せたけど、凄くムカムカしてきたぞ。くそぅ」
のび「……でも、海か」
のび「いや、大丈夫。シュれーディンガーの猫だ。ジャイ子は海に落ちただけど、僕はその結果を知らないもの」
のび「つまりっジャイ子は死んでいない!多分、元気だ!だから、大丈夫」
-翌日-
ジャ「のび太!スペアポケットは見つかったか!?」ガシッ
のび「ま、まだだよ」
ジャ「…そうか」
のび「意外だ。もっと何か言われるかと思った」
スネ夫「ジャイ子ちゃんの捜索願いを出したんだってよ」
のび「えー!大袈裟な!」
スネ夫「大袈裟なもんか。女の子が二晩も帰って来ないんだぜ。ジャイアンとおじさんは寝ないで探しているし、おばさんは寝込んじゃったんだってさ」
のび「ふぅん、でも僕らだってよく行方不明になるじゃないか」
スネ夫「それは映画か漫画だろ。ここはSS速報VIPだ。何が起きても不思議じゃない」
のび「そういうものなのか」
のび(ジャイアンが静かだと、スネ夫も大人しい)
のび(クラスも暗いけど、先生も僕を含めた皆に気を使ってて、凄く優しい)
のび(今日は良い日だなあ)
静香「のび太さん」
のび「あ、静香ちゃあん」
静香「あの、放課後裏山に来てほしいの?良いかしら?」
のび「よっ喜んでっ!」
-放課後-
のび(静香ちゃんが裏山で話があるって…これはもしや、告白!)
のび(早速、ジャイ子がいなくなった効果が出てきたか)
のび「善は急げだ!」
のび「どこでもドアー」タッタタターターターター♪
-裏山-
のび「しーずかちゃん」
静香「きゃあ!のび太さん!?」
のび「話ってなに?」バタン
静香「…」
のび「あー、もしかしてその話って、最初に『こ』がついたりしない?」
静香「!?」
のび(ビンゴ!)
のび(本当は男の僕から言うべきだと思うけど、静ちゃんが言いたいなら…うふふ)
静香「…のび太さん」
のび「なあに?」
静香「本当はジャイ子ちゃんがどこへ行ったか、知っているんじゃないの?」
のび「な、なななななな何をっ根拠にっ」
静香「…私、ジャイ子ちゃんがいなくなった日、のび太さんがジャイ子ちゃんの下駄箱に手紙を入れたのを見たの」
のび「僕じゃないよ!人違い!」
静香「…それからこの手紙」
のび「それはっ」
静香「ここに落ちていたんだけど。のび太さん、あなたの字よね」
のび「僕の字はこんなに汚くないぞ!」
静香「…じゃあ、どうして?」
のび「え?」
静香「どうしてスペアポケットをあなたが持っているの?」
のび「あ…しまった」
静香「…のび太さん、正直に言って」
のび「酷い!僕を疑うの!?これは…そう!拾ったんだ!見つけたんだよ!」
静香「怒らないから、本当の事を言って。ジャイ子ちゃんはどこにいるの?」
のび「違うったら!僕じゃないよ!僕は…ジャイ子を海に落としたりなんか…」
静香「海に!?」
静香「どうしてそんな…恐ろしい事を…」
のび「違う違う!静香ちゃん誤解だよ!海に落としただけだからっ」
静香「落としただけ?ああ…どこの海?早く何とかしなくっちゃ…のび太さん、スペアポケットを渡して」
のび「大丈夫だよ!心配しなくても、ジャイ子は元気さ!」
静香「…それはどういう事?」
のび「ふふん、シュレーディンガーの猫って知ってる?」
静香「知らないわ。ドラえもんさんの道具?」
のび「違うよ」
のび「シュレーディンガーの猫とは、うーん…例えば猫がいるだろ?しかも死にそうなんだ」
のび「で、死にそうな猫を箱に入れる。外から見えない箱にね」
のび「するとどうだい?猫は死んでない。そういう事なんだ」
静香「あなたの言っている事、さっぱり分からないわ」
のび「あー、だから問題ないんだ。ジャイ子は海に落ちたけど、死んでるかもしれないけど、生きているかもしれないってこと」
静香「問題ない訳ないじゃない!」
静香「そうね。確認していないんだもん。生きてるかもしれない。けど、普通はただじゃ済まないわ」
のび「でも生きているかもしれないだろ?」
静香「もういいわ。スペアポケットを貸して。それからドラえもんさんに相談して」
のび「え!?嫌だよ!何言われるか分かったもんじゃない!」
静香「あなた、こんな時にまで何言ってんの!もう、いいわ。歩いて行くから」
のび「あ、待って…待ってよ静香ちゃああん!!」
静香(一番嫌な想像が当たってしまったようね)
静香(どこの海か分からないけど、とにかく探さなくちゃ…)
静香(万が一、手遅れだったとしても、タイムふろしきを使って元に戻して、それから記憶も消せれば)
静香(一番はタイムマシンが使えたら、のび太さんを止められるのに…)
のび「静香ちゃん!」
ドカッ
静香「のび、太さん…?」
のび「…あ」
静香「…」ドサッ
のび「静香ちゃん!」
静香「……」
・
・
・
のび「…めんよ…ごめんよ静香ちゃん…」
静香(ああ、のび太さんが泣いてる?)
のび「ごめんよ…僕が悪かった…」
静香(ううん、いいの。のび太さんは本当に駄目な人ね。やっぱり私がいないと…)
のび「もう…こうするしか…ないんだ」
静香(あら?のび太さんが大きい?違うわ。私をスモールライトで小さくしたの?)
静香(…どうして?)
ザクッザクッザクッザクッ
のび「シュレーディンガーの、猫」
静香「!?」
静香(そうだった…この人は…)
のび「シュレーディンガーの猫なんだ」
静香(この人は、話のタイトルになった道具を15分間ゴリ押しで使い続ける人だった)
のび「この穴に埋めてしまえば…」ザクッ
静香(もっと、違う方法があるでしょうに)
のび「僕も静香ちゃんは大丈夫」ザクッ
静香(私を…穴に埋めるつもりなの?嫌だ!声が、出ない!やめて!)
のび「静香ちゃん、ごめん」
静香(いや、手をはなさな…)
のび「大丈夫だから」ポイ
静香「~~~~!」
静香「」バキッグチャ
のび「後は埋めるだけか」
静香「」ピクピク
のび「よいしょっ」ザクッ
静香「」ピクピク
のび「うんしょ…疲れるなあ」ザクッ
静香「」ピクピク
のび「でも、これで大丈夫」ザクッ
静香「」
-夕方-
のび「いたたたた、掌に豆が!しかも破れそうだ!」
のび「でもよくスモールライトを思い出したな。あのまま埋めていたとしたら、もっと時間がかかったぞ」
のび「でも働いた後に見る夕日の美しさ!」
のび「…静香ちゃんにも見せたかったな」
のび「あ、でも僕と静香ちゃんは結婚するんだから、いつだって一緒に見られるや!」
のび「…あれ?」
のび「何だか、おかしいなぁ?」
のび「僕は静香ちゃんと結婚する」
のび「静香ちゃんと結婚する為に、ジャイ子を消した。いなくした」
のび「…」
のび「それが静香ちゃんにバレた」
のび「静香ちゃんに怪我をさせたから、嫌われないように、静香ちゃんを埋めた」
のび「??」
のび「待て!…待てよ」
のび「静香ちゃんを埋めた。そしたら静香ちゃんに嫌われたか、どうかは分からないから…」
のび「あれ?あれ?」
のび「静香ちゃんを…埋めた?」
のび「いやいや、埋めたけど、生きているかもしれない!」
『けど、普通はただじゃ済まないわ』
のび「!」
のび「静香ちゃん!!」ザクッザクッザクッ!!
のび「ああ!僕はなんて馬鹿なんだ!」ザクッザクッ
のび「何がシュレーディンガーの猫だ!何が大丈夫だ!大丈夫な訳あるか!!」ザクッザクッ!!
静香「…」
のび「静香ちゃん!!」
のび「静香ちゃん、ごめんよ!今助けるから…」
のび「お医者さんカバン!!」タッタタターターターター♪
ピーピーピーピー
のび「お願いだ!静香ちゃんを…」
『治療不能、デス』
のび「このポンコツ!」
のび「静香ちゃん!!目を覚まして…静香ちゃん!!」
静香「」
のび「ひっ冷たい!」
静香「」
のび「本当に、死…?」
のび「あああ?あああうあああ!?」
のび「違う!こんなの…そうだ!タイムマシン!!」
のび「アハハ、何で最初から思いつかなかったんだ。本当に僕って馬鹿だなあ」
のび「どこでもドアで一度家に帰ろう!」
のび「静香ちゃん、直ぐに生き返らせてあげるから、待っててね」ガチャ
-自宅-
のび「タイムマシン!」バタン
のび「はあ、はあ…」ガラッ
のび「…これは」
のび「…ただの引き出し?タイムマシンは?え?え!?」
のび「ああ、そうだ。時空嵐とか言ってたっけ。これはもうドラえもんに聞くしかない」
のび「ドラえもーん!!」
シーン
のび「どこ行ったんだ?」
-一階-
だだだだだだ
のび「ママ!!」
ママ「どうしたの?顔色が悪いわよ?」
のび「いや、僕の事はいいんだ。ドラえもんだよ!」
ママ「?」
のび「ドラえもんがどこへ行ったか知らない?」
ママ「ドラえもんって、誰の事?」
のび「!」
のび「ドラえもんはドラえもんじゃないか!!僕は急いでいるんだ!!」
ママ「まあ!親に対して何て口の聞き方ですか!」
のび「ママこそ、どうして酷い事言うんだ!ドラえもんは家族じゃないか!」
ママ「知らないものは知りません!夢でも見ていたんじゃない」
-1年後-
のび「スペアポケットがなくなってる…」ブツブツ
のび「パパもドラえもんを知らない…」ブツブツ
のび「タイムマシンが使えない…」ブツブツ
のび「どうして…」ブツブツ
ママ「のび太」コンコン
のび「」ビクッ
ママ「タケシさん達がお迎えに来ているわよ」
のび「違う!あれはジャイアンじゃない!」
のび「ドラえもんも知らないし!冒険も覚えていないんだ!!」
ママ「何を言ってるの」
のび「ママだって偽物だ!」
ママ「…」
‐玄関‐
ガチャリ
ママ「いつもごめんなさいね。のび太はまだ…」
ジャ「そうか。仕方がない奴だな」
スネ夫「学校来ないと修学旅行の班行、勝手に決めるからなって言ってやって下さい」
ママ「ありがとう…」グスッ
だだだだだだ
のび「ママ!!」
ジャ「のび太…お前、元気そうじゃ…」
のび「今っどこでもドアの!音が!」
ママ「のび太、だから何を言って」
のび「どこでもドアだよ!どこにでも行けるドアだよ。無人島にも海底にも宇宙にも行ったんだ。楽しかったなあ…」
ママ「のび太、お願いだから…」
のび「ああああ!?」
のび「しししし静香ちゃん!?どう、して…」
静香「おはよう、のび太さん。あのね」
のび「ひいいい!!ひいい!?」
静香「え?なに?私、なにか」
ママ「ごめんなさい。もう学校に行ってください」
ジャ「でも」
ママ「この通り、のび太は昔ののび太じゃないんです」
スネ夫「…行こうよジャイアン。のび太だって、あんな姿を僕達に見られたくないだろうし」
ジャ「分かったよ」
ママ「だから、迎えに来るのは…今日で最後に」
ジャ「おばさん。悪いが、それは聞けないぜ」
ジャ「のび太は俺の子分だ。子分の面倒を見るのはガキ大将の務めだろ」
スネ夫「そういう事だからおばさん。明日も来るよ。修学旅行のしおり持って」
静香「私達、いつまでも待ってます。お大事に」
ママ「…のび太は良い友達に恵まれたわね」
-その夜-
ママ「あなた、今朝もタケシさん達が来てくれてね」
パパ「うん」
ママ「のび太に修学旅行…一緒に行こうって言ってくれて」
パパ「うん」
ママ「のび太が降りてきて、また変な事を喚いたの。でもあの子達、のび太が良くなるのを待ってくれるって」
パパ「うん」
ママ「…のび太を入院させようと思うの」
パパ「!」
パパ「そ、そうか!やっと決心してくれたか」
ママ「それが…あの子を助けになるなら…私が悪いんだわ。ちょっと出来が悪いくらいで、叱っていたから現実逃避をして」
パパ「のび太がああなったのは君のせいじゃないよ」
ママ「可哀想なのび太…」
-数日後-
のび「…」
ママ「どうして…あなた起きているの…」
のび「やっぱり…」
のび「僕の食事に睡眠薬を混ぜたな!!」
のび「その人達は誰だ!!」
のび「タイムパトロールか!?それとも悪い奴か!?密輸組織か!?負けないぞおお!!」
ママ「のび太、これは」
職員「いけない奥さん。興奮しているので近付かないで下さい」
のび「ふー、ふー」
のび「そうだ!!タイムマシンだああ!!」ガラッ
ガターン
ママ「!」
のび「よーし、静香ちゃんを生き返らせなくちゃ!」
ママ「頭から引き出しに突っ込んで…机の下敷きになっているのに…笑って…ああ、本当にどうして…こんな事に?」ヘナヘナ
のび「そうだ!!これで大丈夫!!シュレーディンガーの猫だああ!!」
猫だあぁ…
・
あぁ…
・
ぁ…
・
のび「…」
のび「シュレーディンガーの猫って、なあに?」
ドラ「シュレーディンガーの猫?また急にどうして?」
のび「何となく?」
ドラ「何となくって…まあ、いいや。シュレーディンガーの猫っていうのはね」
おわり。
81 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/24 04:31:54.54 kZkAJelxo 72/74ジャイ子や静香ちゃんの死で未来が変わってドラえもんがこなくなったってことなんだろうけど
改変された現在では静香ちゃん生きてるよね、でものびたがおかしくなってるからやっぱりドラえもんは製造されないのか
のび太に中途半端なこと教えるもんじゃないな
82 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/25 01:18:52.31 L0J1UMTzo 73/74後半わからんかったけど
>>81そういうことか
にしても後味わるっ
83 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/03/25 20:07:45.47 6faolHc60 74/74>>81、>>82
分かりにくくてすみません。
一応補足です。↓
①結局のところ、結婚相手が死んだので、ドラえもんが20世紀に来ない事になりましたが、ドラえもんが20世紀に来なければ道具も使えないので、のび太は誰も殺していないことになりました。
後日、退院したのび太は全てを夢だと思い込み、支えてくれた友人の妹(ジャイ子)と結婚し、将来的にセワシが生まれ、またドラえもんが20世紀に来ます。
②それから『どこでもドア』を使えたのに、『タイムマシン』が使えなくなっていたのは、引き出しを引く直前に静香が完全に蘇生不能となったからです。
なので、のび太は静香の時間を止めてから、ドラえもんに助けを求めるべきでした。
静香の時間を止めれば蘇生不能な状態まで悪化(?)しませんので、二人で考える時間は十分あると思います。
もっと良い方法があるかもしれませんが、例えば時空嵐が収まり次第、タイムマシンで裏山に向かう静香を『コピーロボット』とすり替える。
更にタイムマシンでジャイ子が海に突き落とされた現場に行き、ジャイ子も救出し、しばらく隠れて貰い、全て終わった後に出て来れば、二人とも死なずに済んだと思います。
的を的を射てすぎワロタ