1 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:00:15.18 K5jtfln60

魔王「『ふん……この程度か』」

勇者父「『ぐ……ぐはっ……つ、強い……!これが、魔王……!』」

魔王「『愚かな人間だ。我に歯向かわずにおれば、もう少し長生きができたものを』」

勇者父「『馬鹿を言え!貴様を倒すまで、俺たち人間に未来はない!』」

魔王「『人間の未来……そんなものよりまず、自分の身を案じてはどうだ?』」

勇者父「『くそっ……俺もここまでか……』」

魔王「『終わりだ、人間よ』」

勇者父「『くそっ……すまない、我が子よ……』」

元スレ
勇者父「積みゲーするなら買うな」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1323612015/

2 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:01:26.97 K5jtfln60

魔王「と、まあこんな調子でいいか」

勇者父「……いいんじゃねーのー」

魔王「何だお前、テンション低いな。リハとはいえ、もう少し緊張感を持て」

勇者父「だってよ……俺らここでスタンバって何日よ」

魔王「さあな……十日を経過した辺りから数えておらん。このリハもゆうに四ケタだ」

勇者父「リハってレベルじゃねーぞ」

3 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:01:54.18 K5jtfln60

勇者父「だいたい、俺はその間腹に剣ぶっ刺さったままなんだぞ。ちったー気ぃ使え」

魔王「やかましいわ。私も立ちっぱなしで結構辛いんだ」

勇者父「くそー……なんだってこんなことになったんだ……」

魔王「……購入者が、すぐこのゲームを積んでしまったからに決まっているだろう」

勇者父「解せねー」

4 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:02:37.53 K5jtfln60

すまんsage忘れた


魔王「予約特典のドラマCDにまんまと釣られおって。買ったはいいが、いまいち気乗りせず放置ときた」

勇者父「せめて……せめて冒頭の俺らのこのシーンさえ終えてくれれば……!俺らのこのクソつまんねー待機も終わるのに……!」

魔王「まず、購入者には封を開けるところから始めてもらわねばな」

勇者父「予約までして未開封とかマジないわ……」

5 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:03:35.33 K5jtfln60

勇者父「しっかしあれだな」

魔王「なんだ」

勇者父「マジな話、俺らの出番ってーかこのゲーム、日の目を見る日が来るのかね」

魔王「日の目というより、蛍光灯だが……ま、しばらくは確実に無理な話だろうな」

勇者父「だよなー」

6 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:04:01.43 K5jtfln60

魔王「我らのこのゲーム以外にも、購入者は大量のゲームを積んでいるからなあ。ジャンル問わず」

勇者父「やりかけゲームもハードごとに最低三本はあるし……そんな中で、手堅い昔なつかしRPGなこのゲームがふと手に取られる可能性なんて」

魔王「せめてパッケージを女キャラの半裸絵などにしておけば……」

勇者父「それをやるにはジャンルを大幅に変えなきゃなんねーよ」

魔王「だがしかし、『これがエロゲだったらなー』と思った試しがないわけではないだろう?」

勇者父「えー……そりゃあるにはあるけどさあ。あのジャンルの仕事は結構キツそうじゃね?同じ二次元住民の搾乳プレイとかアヘ顔とかオークによる輪姦とか、間近で見たらフィクションとわかってても多分引くわあ」

魔王「なんでお前は純愛系のエロゲを想像せんのだ」

勇者父「逆にお前が純愛とか言うなよ」

7 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:05:39.49 K5jtfln60

魔王「しかし本当に……一向に出番が見えんというのも辛いものがあるなあ」

勇者父「そうそう……よっこいせ」

魔王「あ、おいお前。何腹の剣抜いてるんだ」

勇者父「いいじゃねえか別に。ゲーム起動からこのイベントが始まるまで、だいたい数分あるんだぞ。すぐ元の待機状態に戻せるさ」

魔王「なるほど……では、私も腰を下ろすか」

勇者父「もー適当に、気楽にいこうぜー」

8 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:06:17.69 K5jtfln60

魔王「というか、お前」

勇者父「なんだよ」

魔王「設定では今死ぬ間際だよな?」

勇者父「そうだけど?」

魔王「その割にピンピンしておるよな」

勇者父「まあ、特に痛みとかはないからな。見た目薄汚れてるだけだし」

9 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:06:45.00 K5jtfln60

勇者父「全年齢対象にするためには流血描写がNGなんだと。だから剣刺さっててもあんま死にかけに見えねーんだろうな」

魔王「コンセプトに救われたな」

勇者父「全くだ。ゲームと現実の区別のつかないお子様がたんまりといるから、俺ら二次元住人の快適ライフが保証されています」

魔王「これが洋物だったら、お前多分臓物まで見えてるぞ」

勇者父「まず洋物で魔王と勇者なRPGなんざ出ねーだろ」

魔王「それもそうか」

10 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:07:29.65 K5jtfln60

勇者父「しかし、いくら日本のお家芸って言ってもなあ」

魔王「今日び、単発で勇者が魔王を倒す手堅いRPGなど売れるものかなあ」

勇者父「この一本は確実に売れてるけどな。ストーリーもシステムもよく言えば無難、ってところだし」

魔王「売りはせいぜい我らの声とグラフィックか」

勇者父「ふはは!俺、なんだかんだで出番でちょこちょこあるから中の人イケメン声だろー!」

魔王「私の中の人だって渋いイケメン声だ。その上こいつ洋画引っ張りだこのベテランなんだぞ。最近名前が売れてきた貴様の中の人とはわけが違うわ」

勇者父「くっ……伊達にラスボスやってねーな……!」

魔王「まあ、出番は割とあるからな」

11 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:08:12.82 K5jtfln60

勇者父「いやでもほら、俺勝ち組だし?」

魔王「ここでくたばるのにか?くたばった上私に操られ、四天王の一人謎の黒騎士として実子と闘わされるはめになるというのに?」

勇者父「正味、自分でもそのテンプレ設定には赤面ものだわ……ちげーよ、俺には子供がいる。つまり?」

魔王「嫁がいるから勝ち組だとでも?馬鹿馬鹿しい。それなら名もなき村人Aなども勝ち組に」

勇者父「ちなみにこれが嫁のグラフィックね?」

魔王「くたばれ」

勇者父「うんうん!正直でいいねー!」

12 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:08:48.88 K5jtfln60

魔王「これが一児の母グラフィックだと……?そして貴様の嫁だと……?どう見ても妹キャラだろう……」

勇者父「いやー、ロリ巨乳とか素敵じゃーん?」

魔王「イベントシーンモード故、攻撃魔法が放てる仕様でないのが憎い」

勇者父「憎め!妬め!誹れ!それらが全て我が糧となるのだ!ふはははは!」

魔王「貴様を合法的に殺れる日が待ち遠しい」

13 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:09:16.47 K5jtfln60

魔王「とりあえずどこぞに通報しようと思う」

勇者父「どこだよ」

魔王「うーむ……開発元か」

勇者父「手段は聞かないけどよ。それ通報になるのか?」

魔王「彼女をネタにした純愛系エロゲの発売を意見する」

勇者父「まっとうな全年齢ゲーム作るとこだってーの!ってか純愛こだわるなお前!」

14 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:09:44.10 K5jtfln60

魔王「アンケートはがきか、ネットからの投書、どちらの方が意見を採用される可能性かわ高いだろうか……」

勇者父「どっち送っても即ゴミ箱行きだし、お前は人の嫁さん捕まえて何ほざいてんだ」

魔王「魔王と一町民の純愛エロゲ……これは売れる!」

勇者父「てめえが出るつもりかよ!?ますます認めるか!!」

魔王「やかましい!こんなありきたりなRPGより、エロゲの方がまだ需要は多いはずだ!!」

勇者父「ちょっと頷きかけちまうけど!俺らがそれ言ったら元も子もねーだろうが!!」

15 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:10:36.18 K5jtfln60

魔王「くそっ……世の中間違っている……こんな理不尽な世の中……私が正してくれる!」

勇者父「そんな理由で立ち上がるなよ魔王。非モテ儚んで世界征服とか儚すぎるわ」

魔王「しかし私が蘇り世界征服に励み始めた理由は『恋人を亡くした腹いせ』だからなあ」

勇者父「もう少し言葉選べ……『恋人が人間のせいで死んでその敵討ち』ってやつだろうが」

魔王「いやしかし、結局のところ腹いせだろう?」

勇者父「悲しくなるからフォローさせろ!」

16 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:11:04.82 K5jtfln60

勇者父「ほらあれだ、お前んとこの魔物にもいい女はごまんといるだろ」

魔王「いるにはいるが……」

勇者父「なんだっけかなー名前忘れたけど、四天王紅一点の、あの美人とかさー乳も尻もいい感じじゃん?お前立場利用してあんなの食いまくりなんだろ」

魔王「お前は私をどういう目で見ているんだ。そんなゲスい所業をするものか」

勇者父「お前の職業何だよ」

魔王「雇われ魔王だ」

17 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:11:41.98 K5jtfln60

勇者父「んでも立場関係なくさー、身近にいい女がいることは確かじゃん?」

魔王「いるにはいるが……お前のさっき言ってた四天王紅一点の彼女」

勇者父「あ、やっぱ見た目通り性格キツい?」

魔王「性格はおっとりしていて気立てがよく、料理上手で子ども好き」

勇者父「文句ねえじゃん」

魔王「だが残念なことに男がいる」

勇者父「……は?」

18 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:12:20.23 K5jtfln60

勇者父「え、何それ。そんな設定あったっけ?」

魔王「設定ではなく、オフというか舞台裏でな。付き合いだして日も浅く、ラブラブだそうだ」

勇者父「寝取りとかは?」

魔王「趣味ではない」

勇者父「つくづくお前はクリーンな魔王だよな」

19 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:12:52.01 K5jtfln60

魔王「まあこの設定なら女遊びしまくりじゃないのか?と思った試しがないことはないが」

勇者父「ある意味男の夢だもんなー絶対忠誠の美人の部下がわんさかって」

魔王「しかもモブモンスターでも中々のグラフィックだろう?」

勇者父「ああ……あの半裸サキュバスとか最高だよな。ストーリー上俺は無理だけど、なんとか手合わせ願いたいと思ってたわ」

魔王「同志よ。あの乳グラを組んだスタッフには敬意を評する」

勇者父「いや俺は尻の食い込みが」

魔王「乳は嫁で満足だとでも言いたいのかこの外道が……!!」

勇者父「お前が外道とか言うと、俺が異常に悪いやつみたいじゃねーか」

20 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:13:23.76 K5jtfln60

勇者父「あーでも胸もいいよなー……あれ何カップなんだろ」

魔王「公式設定ではGカップらしいぞ」

勇者父「……なんでモブ敵の乳設定があるんだ?」

魔王「スタッフの趣味だろう」

勇者父「エロゲ作る日も近いかもしんねーなこりゃ」

21 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:14:01.42 K5jtfln60

勇者父「もしマジでエロゲ作られたら、俺の息子が主役でお色気冒険ものになるのかねー」

魔王「お前の息子主役とは、つまりそれはどちらの意味だ?」

勇者父「血縁的な意味に決まってんだろが。絡み方がわけわけんねーよ」

魔王「下半身に血の繋がりがないと?お前それ教会で見てもらったらどうだ、不能どころか壊死しておるのでは」

勇者父「うるせえよ!元々血液描写アウトなんだから血なんか通ってるわけねーだろが!!」

22 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:14:34.04 K5jtfln60

勇者「けっ、お前なんかどうせ凌辱抜きゲーの主役に大抜擢なんだろ。いいねえ悪役は」

魔王「いいかお前……魔王だからといって贅沢三昧女喰い放題だと思ったら間違っている」

勇者父「んでも『そういうゲームだ』って大義名分あればヤリ放題じゃねーの」

魔王「甘い。私はな、まだ世の真理を悟る前、サキュバスの一匹に『一晩どうだ?』とニヒルに誘ってみたことがあった」

勇者父「腹立つわー」

魔王「すると彼女は真顔でこう言った……『そういったことは業務に含まれておりません』と」

勇者父「泣け……今ならプレイヤー含め誰も見てねーから」

23 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/11(日) 23:15:56.94 K5jtfln60

魔王「だからきっと業務上そういった所行が許されたとしても……!あとでオフの落差を見せつけられて死にたくなるのは必至!よって私はエロゲ主役など断固として拒絶する……!」

勇者「お前が拒絶したとしても、俺らは所詮雇われ二次元住民だから拒否権はねーんだけどな」

魔王「そうなったらそれはそれ。セーブが飛ぶレベルのバグなんぞを、あちこちにバラ撒きまくってやるわ」

勇者父「勇気ある会社はそれでも発売すっけどなー」

魔王「それはゲームや客に立ち向かうことを、端から放棄しているだけだ」

28 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:02:28.94 +OJoQjqs0

勇者父「あーしかし暇だー」

魔王「まあ、ひたすら座り込んで談話というのもシケた話だよな」

勇者父「しかもここ辛気くせーし暗いし」

魔王「わがまま言うな。ここは魔王の間なんだぞ。ラストダンジョン最上層部が無駄に照明効いていても困るだろう」

勇者父「照明の真下でパイプオルガン弾いて勇者待ちかまえる魔王だっているじゃねーか」

魔王「よそはよそ、うちはうちだ。贅沢言うな」

29 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:02:54.35 +OJoQjqs0

魔王「ちなみに、この部屋は勇者がやって来る時は絢爛豪華にラストバトル感満載に飾り付けられる」

勇者父「え、何。俺の場合はそんなもてなししてくんねーの」

魔王「負けると分かっているのに飾られたいのかお前」

勇者父「そりゃまあ錦を飾る的な?」

魔王「第一お前みたいに地味なキャラ、派手な背景なんぞ背負ってみろ。食われて存在感マッハで消滅するわ」

勇者父「一応俺勇者の父でメインキャラで、んでもってイケメン設定なんですけど!?」

魔王「しかし出で立ちが浮浪者」

勇者父「うるせえ!長旅の末に魔王の城までやってきて服に汚れの一つもねえ主人公パーティーが異常なんだよ!!」

魔王「どうどう。所詮イケメンでもお前は死にキャラだ。つまり時報」

勇者父「お前だって長い目で見りゃ死にキャラだろうが!」

30 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:03:43.64 +OJoQjqs0

勇者父「あーもうマジ無駄な論議」

魔王「とうとう床に寝そべるまでに」

勇者父「別にいいだろうが。どうせまだ始まんねーよ」

魔王「まあ、購入者も別のゲームにハマり初めておるようだしなあ」

勇者父「今何やってんだっけあいつ」

魔王「バーチャルな彼女といちゃつくゲームらしい」

勇者父「……前は確か女の子の体ひたすらタッチするゲームだったよな」

魔王「ますますどうして我らのゲームを買ったのだろうか」

勇者父「CDドラマだけが目当てだったのかもしんねーぞ」

31 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:04:46.87 +OJoQjqs0

勇者父「あんまよく知らねーんだけどさあ、俺ら以外の中の人って結構な豪華さなのか?」

魔王「うむ。主人公やら魔王にさらわれるヒロイン枠の姫君やら、わりと人気の女性声優ばかり起用しているぞ」

勇者父「へー無駄なところに金かけてんだなー……へ?」

魔王「どうした」

勇者父「主人公に、女性声優?」

魔王「何かおかしなことがあるか?」

32 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:05:14.64 +OJoQjqs0

勇者父「いやだって俺の息子よ?グラフィック見たけど女声似合わなくね?」

魔王「は?お前は何を言っているんだ」

勇者父「え、何その反応。お前は俺の息子の顔知らないかもしらねーけどさあ」

魔王「知っている。だがお前の息子の方は、ちゃんとイケメン声優が割り振られている。心配はいらん」

勇者父「なーんだそれなら」

魔王「女声優はお前の娘の方だな」

勇者父「え」

33 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:05:42.14 +OJoQjqs0

勇者父「……え?」

魔王「ゲームを始める前に、主人公は性別が選べただろう」

勇者父「……マジで?」

魔王「おう。と言うより、何故お前が知らん」

勇者父「だってお前正当派RPGで主人公で勇者って言ったら男だけかと思うじゃねーか!?それにテストプレイの時男の勇者だったし!!」

魔王「時間が間に合わず、男勇者のみでプレイしたのだろう」

剣士「世間のニーズ考えたら勇者一択だろ……片方でテストするなら、なんでそっちでしなかった……」

魔王「女勇者ルートで問題が発見された場合、本気で直さねばならなくなるので、敢えて目を瞑ったといったところかな」

勇者父「やっぱりこの会社死ぬわ。近々確実に」

34 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:06:10.24 +OJoQjqs0

魔王「そして勇者女のグラフィックはこんなもんだ」

勇者父「なんだこの痴女!?」

魔王「古きよきビキニ・アーマーというやつだな。ロマンだな。しかも母親譲りの巨乳で微ロリときた」

勇者父「……心なしか異常にグラフィック凝ってるよな」

魔王「お前がプレイヤーなら、どちらを選ぶ?」

勇者父「勇者女に決まってんだろが……はっ、ち、違うぞ!俺は別に娘を嫌らしい目で見ているわけではなくて一般的な男の目で」

魔王「そうだな、うん。その通りだと思う」

勇者父「汚物を見るその目をやめろ!」

35 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:07:06.78 +OJoQjqs0

魔王「いいじゃないか、どうせ他人に近い娘だ。好きに欲情するといい」

勇者父「誰が!欲情するか!!お前もそのグラフィック、とっととデータん中に戻せ!!」

魔王「ちっ……分かった分かった。ああ、せっかくむさ苦しい空間に花がきたというのに……」

勇者父「しかし娘かあ……マジあんな格好で外うろつかせたくねえ……」

魔王「装備でグラフィックが変化しないゲームなので、その望みは永劫叶わんな」

勇者父「いいや!購入者が俺らのゲームに手を出さない限り!娘の純血は守られる!」

魔王「お前このゲーム真っ当なRPGだということを忘れてはいないだろうか」

36 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:07:33.42 +OJoQjqs0

魔王「だが購入者、確実にこのゲームに手を出したら勇者は女を選ぶだろうなあ」

勇者父「ぎゃああああああ想像に難くねええええええええええ!!」

魔王「それでもって『勇者ちゃんぺろぺろ』とか言いつつプレイするのだろう」

勇者父「あああ……娘よ……無力なお父さんを許してくれ……」

魔王「HP真っ赤の勇者女をオカズにしたりとか」

勇者父「なんかまず倒すべきなのはお前じゃねーかな、と思ってしまうわ……」

37 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:09:14.94 +OJoQjqs0

者父「あーでも娘かー。さぞかし健気ないい子なんだろう」

魔王「会ってみたいか?」

勇者父「そりゃ会いたいけどよぉ。始まった時のために俺はここで待機してなきゃなんねーし、会いに行くのは無理だろ」

魔王「まあ、今頃勇者も自宅待機だろうし、私たちもこの場を長時間空けることは避けたい。だが、幸い、私のMPは腐るほどある。このゲーム中の魔法は全て覚えている」

勇者父「……つまり?」

魔王「ちょっくら飛んで連れてきてやろう」

勇者父「……魔王!お前ってやつは……」

魔王「正味、野郎二匹で延々同じ空間に缶詰とか死にたくなってきたところだ」

勇者父「お前娘に手出したらどうなるか分かってんだろうな」

魔王「はっ、どうなると言うのだ」

勇者父「魔王が『エロゲに出たいなー主役やりたいなー』とぼやいていたと、サキュバスさん辺りにそっと告げ口する」

魔王「やめろ!ますます職場での視線が冷たくなるだろうが!!」

38 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:09:50.81 +OJoQjqs0

上一行目勇者父「」ですすまん。


魔王「というわけで、穏便に連れてきた」

勇者父「よくやった……と言いたいとこだが」

魔王「何だ。何か文句でもあるのか」

勇者父「なんでベッドごと連れてきた」

魔王「仕方ないだろう」

39 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:10:22.01 +OJoQjqs0

魔王「我らのイベントが終わると、ゲームは勇者がベッドから目覚めるシーンから始まる」

勇者父「つまり俺ら同様、この子も待機場所が決まっちゃってると」

魔王「そういうことになるな」

勇者父「てか布団に潜ったままさっきから無言なんですけど。これ中身入ってんだよな、おい」

魔王「当たり前だろう。おい、顔だけでも出してみろ」

40 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:11:06.16 +OJoQjqs0

勇者「……」

魔王「ほら、いただろう」

勇者父「お……おー軽い感動。はじめましてーお父さんだぞー」

勇者「……」

勇者父「あの、この子無口すぎませんか」

魔王「まあそりゃ喋らんからなあ」

41 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:11:37.64 +OJoQjqs0

魔王「よくあるだろう、喋らない主人公。選択肢のみで意志疎通を図るタイプの」

勇者父「あー……なんかかけ声とか技名叫ぶときは声出る系か」

魔王「CDドラマではしゃべりっぱなしらしいがな」

勇者父「そりゃ主役が無口じゃ間が持たねーからな……」

42 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:12:21.60 +OJoQjqs0

勇者父「おーい。でも今は本番じゃねーんだし、好きにしゃべっていいんだぞー」

勇者「……」

勇者父「いやいや、って……」

魔王「ふむ、これがプロ根性というやつか。恐れ入ったな」

勇者父「ま、無口ってのも女の子って感じでいいかもしんねえな」

魔王「お前……やはり下劣な劣情を」

勇者父「父親目線だってーの!!」

43 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:12:49.41 +OJoQjqs0

勇者父「でも意志疎通どうすんのよ。せっかく来てもらったんだし、少しはしゃべりてーんだけど」

魔王「まあ、そこはほれ。これでも仕え」

勇者父「……何これ」

魔王「あ、枠はオプション画面で選べるからな。色もRGB指定で好きに調整できるぞ」

勇者父「……台詞とかが表示される、あれ?」

魔王「ああ、メッセージウィンドウだな。これで勇者と会話ができる」

勇者父「なんだってこんなとこで地味な筆談しなきゃなんねーんだろ……」

44 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/12(月) 23:13:24.22 +OJoQjqs0

勇者父「えーっと『初めまして』……っと」

魔王「こらこら」

勇者父「なんだよ」

魔王「質問の形にしないと勇者が答えづらいだろう」

勇者父「なるほど……えーっと『ご趣味は?』」

魔王「見合いか」

48 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:40:41.47 mHetTWdj0

勇者父「とりあえず『1:おしゃれ、2:スポーツ、3:読書』と選択肢を出してみた」

魔王「なんだろう……ゲーム冒頭に挟まれがちな、自己診断テストを彷彿とさせるな。主人公の成長パターンがそれで決まる的な」

勇者父「あれってなんかイライラするよなー意味あるんかと。こっちで勝手に主人公の型決めさせろ、と」

魔王「まあ、ああいうのは得てして制作側の自己満足であろうし……っと、無駄口たたく前に、勇者に聞いてみろ」

勇者父「おお、それもそうだ。さーどうかなー勇者ちゃん」

勇者「……」

49 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:41:30.62 mHetTWdj0

勇者父「……」

魔王「……」

勇者父「……」

魔王「……」

勇者父「……」

魔王「……」

50 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:42:00.01 mHetTWdj0

勇者父「お、おーい勇者ちゃん?」

魔王「完全に動きが止まっているな」

勇者父「これはなんだろ、選択肢が気に食わないとかか?」

魔王「もしくはお前との会話が単に苦痛であるか」

勇者父「俺ほとんど話しかけてねーよ!」

魔王「仕方ないな……では、あいうえお表のメッセージボードを開くとするか」

勇者父「あるなら最初っから出せよ」

51 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:42:43.72 mHetTWdj0

勇者父「まあいい。さー勇者ちゃん答えてくれるかなー?」

魔王「気色悪い……あからさま鼻の下伸ばしまくってからに」

勇者父「うるせえ。俺は子煩悩なんだよ。ほーれ勇者ちゃんどうかなー?」

勇者「……」

勇者父「おお勇者ちゃんがメッセージウィンドウをおもむろに掴み、ぽちぽちと打ち込み……!」

52 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:43:27.15 mHetTWdj0

勇者「『ねむい』」

勇者父「……」

魔王「……」

勇者父「……えーっと」

魔王「……うむ」

53 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:44:00.62 mHetTWdj0

勇者「『ねてもいいですか?』」

勇者父「……あ、あのー趣味は?」

勇者「『ねることです』」

勇者父「……」

勇者「『おやすみなさい』」

54 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:44:28.31 mHetTWdj0

勇者父「させるかあああ!!」

勇者「!?」

勇者父「年頃の女の子がそんなことでいいと思ってんのか!いいから起きろ!」

勇者「……だ、だって待機してなきゃ、だし」

勇者父「お前のそれは待機じゃなくて『怠惰』っつーんだよ!!」

勇者「うう……お布団かえしてー……」

55 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:45:09.12 mHetTWdj0

勇者父「おいこら!魔王もなんとか言ってやってくれ!」

魔王「いやービキニアーマーのままで寝てたのか。お前が布団はぎ取ってくれたお陰でいいものが見れ」

勇者父「ごめん、布団返すわ」

勇者「!」

魔王「裏切り者めがああああああああ!!」

56 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:45:36.97 mHetTWdj0

勇者「お布団……おふとんー……もう二度と放さないからね」

魔王「重症だなこれは」

勇者父「どう見てもよく訓練された引きこもり……こんなんでお前倒せるようになんのかね」

魔王「まあそりゃ、旅に出れば是が非でも戦闘せねばならんから」

勇者「いーやー!」

57 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:46:16.29 mHetTWdj0

勇者「わたしはもう一生お布団とともに生きるって決めたの!それを邪魔するやつらは許さない!」

勇者父「お前しゃべらないんじゃなかったのかよ。プロ根性はどうした」

勇者「そんなものより、ずっと大事なものがあるって気付いたんだもん」

魔王「物語終盤で吐くべきだな、そういった台詞は」

58 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:46:44.03 mHetTWdj0

勇者父「くそっ……娘がこんな自堕落な生き物だったなんて……!」

魔王父「まあ仕方ないだろう。始まるまでニートなのはお互い様なんだし」

勇者「もうこのままずっと始まらないでいてほしい……」

勇者父「それでいいのか主役よぉ……」

59 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:47:10.42 mHetTWdj0

勇者父「ゲーム始まったらめくるめく冒険がいっぱいできるんだぞー」

勇者「そんなものより寝ていたい」

勇者父「カジノとか闘技場だとか!おもしろい場所だっていくらでも」

勇者「宿屋でごろごろしてるだけのイベントなら大歓迎です」

勇者父「それでどんな世界が救われるってんだ起きろ!」

勇者「いーやー!!」

60 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:47:38.03 mHetTWdj0

勇者「主役なんてもうやだ……私はモブくらいがちょうどよかったのに……」

魔王「……ちなみにどんな役柄が良かったんだ?」

勇者「ずっとベッドで寝てる人。あ、でも寝言でヒントくれたりして、出番ちょこちょこあるような役回りがよかったかなーって」

魔王「ああ、そういうのあるよなあ。アイテムの場所とか教えてくれる類の」

勇者「そうそれ!魔王のくせに話がわかるんだねえ」

勇者父「謙虚なんだか大きく出てるのか、よくわかんねー希望転属だな」

61 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:48:11.05 mHetTWdj0

勇者「というわけで、私が主役やんなきゃいけないこのゲームはクソです。だから始まらなくていいんです」

勇者父「お前なあ……仮にも主役がそんなこと言うなっての」

勇者「なんで?」

勇者父「主役になれなかった人たちに悪いだろうが」

勇者「……そうだね、ごめんなさい」

勇者父「どうして俺に謝るのかな?頭を下げるのかな?」

62 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:48:32.14 mHetTWdj0

勇者父「ちっげーよ!俺は別に主役なんかにこだわりねーよ!」

勇者「……ほんとかなあ?」

魔王「まあ、本人がああ言っておるのだし、そっとしておいてやるべきだろう」

勇者「そうだねー中途半端な役でかわいそう……とか、思っちゃいけないんだよね」

魔王「ああ。重要と言っても所詮死体状態で中ボス止まり、などとは言ってはいかんのだ」

勇者父「お前ら何なの!?何でそんなに息合ってるの!?」

63 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:49:07.31 mHetTWdj0

勇者父「あとお前は魔王と親しげにしゃべってんじゃねーよ!宿敵だろうが!父親の仇だろ!?」

勇者「まあそうだけど……その父親ピンピンしてるから仇って感じしないし……大体、お父さんだって魔王としゃべってるじゃない。それはどうなの」

勇者父「あ、うん、そんなことよりもっかい。もっかいその『お父さん』っての言ってくれ」

勇者「うわあああんもうやだー!お母さんのとこ帰って寝たいー!」

魔王「どうどう。気色悪いのは分かる。分かるぞ」

64 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:49:30.56 mHetTWdj0

魔王「そういえば、お前の嫁さんにも会ってきた」

勇者父「え」

魔王「勇者を迎えに行くとき。いやあ、いい嫁さんだな。声もキャラ設定もいい」

勇者「お母さんのご飯おいしいんだよ、今度食べにおいでよ」

魔王「ほう。是非ともお願いしたい」

勇者父「ちょ、俺は?俺は誘ってくんねーの?」

魔王「お前は勝手に帰って食えばいいだろう」

勇者父「……」

魔王「お、おい、なんだその死相は」

65 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:50:19.05 mHetTWdj0

勇者「お父さんはね、家に来たことないんだ」

魔王「……は?」

勇者「だってそういうシーンがゲーム中にないから。回想でも別の場所だったりするから」

魔王「つまりお前……」

勇者父「はい……そうです。嫁さんとは喋ったことも、会ったこともありません」

66 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:50:40.31 mHetTWdj0

魔王「あ……あー、その。何というか……すまん」

勇者父「やめろ。お前から同情されると素直死にたくなる」

魔王「そうか?なら[ピーーー]。そうすれば嫁さん完全フリーだな」

勇者父「させるかあ!書類上の結婚より薄っぺらい夫婦だとしても……!俺の嫁だ!あの乳は俺のもんだ!」

魔王「笑わせる!触りもしない乳の所有権を主張するなど!」

勇者「帰って寝たいなあ……」

67 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:51:17.93 mHetTWdj0

勇者父「ち、ちなみに、嫁はなんか言ってたか?」

勇者「お母さん?魔王のお城に遊びにいってくるねーって言ったら『気をつけてねー』って」

勇者父「それ……だけか?」

勇者「あ、あとお父さんについても」

勇者父「おお!それだそれ!どんなこと言ってたんだ!?」

勇者「『お母さんの夫役の人がお城に今いるみたいだから、よろしく伝えておいてね』って」

勇者父「他人行儀!この上もなく赤の他人!まっ赤っか!」

68 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 00:54:04.69 mHetTWdj0

忘れてた…二つ上のピーーーは『死ね』で。
今日はここまで。積みゲー崩しながらお付き合いください。

70 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:36:10.37 mHetTWdj0

勇者父「よし死のう」

魔王「潔いな」

勇者「は、早まっちゃだめだよお父さん!私はお布団とラブラブしてるから物理的に止めることはできないけど!」

勇者父「お前は引きとめる気があるのかないのかどっちなんだ!」

勇者「お布団さえあれば別に……」

勇者父「娘もこの調子……やっぱ俺なんか死んだ方が……」

魔王「まあ私たちは所詮データなんだし、死ねるわけがないのだが」

71 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:36:37.05 mHetTWdj0

魔王「ほら、お前にだって生きる理由くらい他にいくらでもあるだろう」

勇者父「……おっパブに行きたい」

魔王「その言葉で娘が布団にくるまったまま、全力で距離を取っているんだが構わないのか?」

勇者父「……そうか娘!」

勇者「へ!?」

72 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:37:21.87 mHetTWdj0

勇者「な、なに?」

勇者父「嫁に捨てられた今!俺に残されたのはお前しかいない!」

勇者「す、捨てるもなにも、お母さん、お父さんのことどうとも思って」

勇者父「みなまで言うな!俺の生きる理由はお前だけだ!!」

勇者「……」

魔王「助けを求める目で見られても、困る」

73 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:38:20.10 mHetTWdj0

勇者「えーっと……ごめんなんだけど、私もう好きな人がいるから……」

勇者父「ちげーよ。男女の仲になりたいわけじゃなくて、単にこう、仲良し親子として」

勇者「さっき会ったばかりなのに、なんで設定準拠で親子貫き通そうとするの。違うから。なんとも思ってないから安心してね」

勇者父「じゃあ相手は誰なんだよ!」

勇者「い、言えるわけないでしょ!?」

74 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:39:31.55 mHetTWdj0

魔王「ああ、わかった。気になるやつ」

勇者「唐突に入ってきてなんで!?」

魔王「お前のような引きこもりに、選択肢がそうあるわけないだろう」

勇者「ぐっ……何も言い返せない」

魔王「つまり、勇者の片割れ。男主人公の方だろう?」

勇者父「何ぃ!?」

75 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:39:56.45 mHetTWdj0

勇者父「近親相姦とか……漫画やゲームの世界でも最近うるさくなってきたってのに……いかん!絶対にいかんぞ娘よ!」

魔王「全年齢対象どころか発禁ものだな」

勇者父「せめてお父さんにしときなさい!」

勇者「せめて、の理由がわかんないし。違うし」

魔王「なら私はどうだ?」

勇者「私、魔王みたいな将来性のない死にキャラには興味ないのーごめんなさーい」

魔王「はっはっ、レベル1の分際でよく言うわ。褒めてつかわすぞ」

勇者父「褒める前にその効果のわかんねー闇の背景エフェクトしまえ。大人げねーなおい」

勇者「うわっ……魔王の沸点低すぎ……?」

76 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:41:15.92 mHetTWdj0

魔王「沸点が低くなければ、魔王なんて短絡的な役職務まるわけがないだろう」

勇者「つくづく変な商売だね魔王」

勇者父「勇者もたいがいな職だがなー……ってかお前の好きなやつってーの、勇者片割れじゃないんだな?」

勇者「うん?」

勇者父「うん?」

勇者「勇者の片割れってなに?主人公私だけじゃないの?」

勇者父「……へ?」

77 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:41:51.76 mHetTWdj0

勇者父「いやほら、こんなグラフィックのやつ、家にいなかったか?」

勇者「えー……誰この地味な人。こんな人知らないよ?」

勇者父「あれ、このゲーム主人公女だけ?」

魔王「いんや、ちゃんと性別が選べたはずだが……」

78 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:42:38.91 mHetTWdj0

勇者「二週目から選べる隠れキャラかなにか?」

魔王「そんな無意味な特典いらんだろ」

勇者父「あー……もしかしてお前、ほとんど部屋から出ない?」

勇者「うん。お布団から出ない。ご飯はお母さんが持ってきてくれる」

魔王「完全なるヒキニートかお前」

勇者「だって、いつ出番くるか分かったものじゃないし……」

79 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:43:04.87 mHetTWdj0

勇者父「じゃああれだな、別の勇者も他の部屋で待機してんじゃね?」

魔王「ああなるほど、部屋が二種類あるのか。選ばれた主人公の部屋からスタートする、と」

勇者「えっ、じゃあ私の家って私とお母さん以外に、もう一人いるの!?お母さん何も言わなかったよ!?」

勇者父「知ってるものと思ってたんじゃねーの」

魔王「まあ、こいつも勇者女の存在を私に聞くまで知らなかったわけだし」

勇者「うぇええ……なんか怖くなってきたよ……私の知らない家族とか……」

勇者父「多分この場合、一番怖くてつらいのは母さんだと思うんだがな」

魔王「旦那は戦死し、子供たちは揃いも揃ってヒキニート……因果な役だな」

勇者「ぐううぅぅ……」

80 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:43:38.37 mHetTWdj0

勇者父「いやでも……そんな社会不適合者なお前でも好きな人とかいるんだな……逆に父さん安心したわ」

勇者「ねえねえ、魔王。何か攻撃翌力高めの武器とかないの?貸して」

魔王「城のあちこちに落ちてはいるが。今のお前のレベルだとその辺の雑魚に狩られるだけだ。諦めろ」

勇者「使えない!」

81 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:44:41.63 mHetTWdj0

勇者「っていうか、もういいでしょー……いい加減帰りたいんだけど」

勇者父「えっ、それは困る!まだろくに話もしてねーのに!」

勇者「でも呼んだ理由、暇だから私に会いたいってだけでしょ?」

勇者父「……はい」

勇者「私も暇じゃないんだよねー用が済んだら帰るよ」

勇者父「ちなみに暇じゃない、ってのは?」

勇者「夢の中でイメトレしてー、お母さんのご飯食べてー、夢の中でお昼寝するの」

魔王「そのうち干からびるぞお前」

勇者「作中に年取るイベントないから、ずっとピチピチのままですー」

82 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:45:44.19 mHetTWdj0

勇者「というわけで、待機がんばってね二人とも。魔王、家に送ってよ」

魔王「分かった分かった。はあ……これでまた野郎二人のむさ苦しい空間に逆戻りか」

勇者父「いや!まだだ!まだ用事は終わってねーぞ!」

勇者「はぁ……何ですか?」

勇者父「とうとう他人行儀に……いやでも俺は負けねえ!」

83 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:46:11.83 mHetTWdj0

勇者父「つまりお前!主人公たるお前のリハーサルを手伝ってやる!」

勇者「遠慮します」

勇者父「速攻で切るなよ!父さんはお前のことを思ってだな!」

勇者「私のことを思ってならもう寝かしてよ!」

魔王「しかしそうだな、心の準備くらいはしておいた方がいいんじゃないか?お前テストプレイでストーリー通っていないんだろう?」

勇者「えー……魔王も父さんの言うことにのっからないでよ」

84 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:46:41.05 mHetTWdj0

魔王「そうは言うが、ゲームが始まればお前はずっと画面に出ずっぱりなんだぞ。私たちはそうそう出番がないからいいが」

勇者「うう……プライバシーも何もあったもんじゃないよ」

勇者父「頑なにプライバシーを見せない主役ってのもどうかと思うがな」

魔王「いやまあ、見せないだけで馬車やら宿屋やらで歴代大物主人公たちも一体何をやらかしてきたものだか」

勇者父「その他の仲間に馬車を引かせて、自分は中でうんぬん……ってパーティーの空気最悪どころの騒ぎじゃねーな」

勇者「そういうゲスいプライバシーの話をしてるんじゃないから!女の子的な意味合いだから!」

魔王「しかし布団にくるまった痴女に言われても説得力が……」

勇者「この半裸鎧は私の趣味じゃないもん!そんな目で見るなー!」

85 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:47:14.99 mHetTWdj0

勇者「うう……ここにはろくな人がいないのね……」

勇者父「まあ俺死んだら人じゃなくなるし」

魔王「私は元々人ではないし」

勇者「屁理屈こねないの!いいからリハーサルとか!そんなの必要ないもん!」

勇者父「えー。そんならちょっとテストしてみる?」

勇者「て、テスト?」

86 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:47:46.86 mHetTWdj0

勇者父「よーっし、かかってこーい!」

勇者「……」

勇者父「おーいどうした!?」

勇者「ねえ」

魔王「何だ?」

勇者「バトンタッチ」

魔王「いや、戦闘用のステータスだと、私はこいつを瞬殺してしまいかねんのだが」

勇者「構わない、ううんむしろいい!殺っちゃってよこの目障りなの!」

魔王「勇者の吐く台詞がそれか」

87 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:48:38.81 mHetTWdj0

勇者父「はっは、俺のこの中ボスグラフィックに恐れをなしたか!」

勇者「それ、お父さんが操られてるって設定の“謎の黒騎士”だよね?」

勇者父「おう!いいだろーこの全身鎧にでっけー剣。顔はでねーけどイケメン臭がプンプンするだろ!」

勇者「今のご時世その狙い澄ましたポジションは受けないと思うの」

魔王「その、やたらゴテゴテ装飾過多の癖してスタイリッシュ気取った鎧のデザイン、既視感が半端ないんだが」

勇者「死んだと思っていた父親が云々ってパターン、王道だけど下手に使うともうギャグにしかならないよね」

魔王「ほら言ってみろ、『I'm your father.』って」

勇者「私、『Nooooooo!!』って言ってあげるよ?」

勇者父「うっせーよ!!これフルフェイス鎧ってだけでガスマスクじゃねーからな!」

88 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:49:19.82 mHetTWdj0

勇者父「ってか王道はそれだけですばらしいもんなんだよ!いいからほら掛かってこい!」

勇者「えー……だって端から勝負見えてるじゃない。私レベル1よ?」

勇者父「別に真面目に戦う気はねーよ。どんだけ手加減しても1ターンキル確定だしな」

勇者「腹立つ……じゃあ何しろっての」

勇者父「ほら、ゲーム中にあるだろ?強制負けイベント」

勇者「あー……あった気がするなあ」

89 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:50:18.36 mHetTWdj0

魔王「確か、突然現れる強敵・あっけなく破れる味方・味方を庇い一人立ち向かう勇者・あっけなく破れるも強敵は意味深な台詞を残し立ち去る……といったイベントだよな」

勇者「なんというテンプレ……っていうか、一応正体秘密のはずなのに喋っていいの?ボイス加工もなしだよね?声でバレるんじゃない?」

魔王「まあ、そういった正体バレバレなキャラクターは古今東西数多くいるだろう。『分かってる、分かってるから』感を楽しむというか何と言うか」

勇者「某中華麺男みたいな?」

魔王「あれは隠す気などサラサラないだろう」

勇者父「いいからかかってこいつってんだろ!意気投合してハブってんじゃねーよ俺だってこの一張羅で突っ立てるの恥ずかしいんだよ!」

90 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:52:30.96 mHetTWdj0

勇者「でもなんでまたあ……?」

勇者父「俺とお前の重要イベントの一つじゃん?テストプレイの時は男の勇者だったからなーお前との打ち合わせと、立派に勇者できるかのテスト、みたいな?」

勇者「本音は?」

勇者父「娘と遊びたい」

魔王「清々しいまでに自由だなお前」

91 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:53:21.86 mHetTWdj0

勇者「まあ……暇だし練習くらいいいよ……なんか拒否するのも面倒だし」

勇者父「そうかそうか。なんか引っかかるがまあいいだろ。んじゃあ魔王はこいつの仲間役で」

魔王「いいのか?」

勇者父「あ?お前も暇だろうが」

魔王「お前がそう言うのなら、別に構わんぞ」

勇者父「?」

92 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:53:54.12 mHetTWdj0

勇者父「はいじゃあ第二章終盤、四天王の一人を討ち取ったところから」

勇者「四天王の一人、そんな序盤で倒されるのね……」

魔王「筋肉だるま系の奴だからな。仕方あるまい」

勇者父「あと因みにそいつ土属性だから」

勇者「なんて納得の捨て牌ポジション」

魔王「土属性という時点で半分以上ギャグだからな」

93 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:54:19.13 mHetTWdj0

勇者「まあいいや……ごほん、えー……っと」

魔王「『やりましたね勇者様!』」

勇者「!」

魔王「『これで村も救われるはずです!さあ早く帰って村長さんに報告しましょう!』」

勇者「……」


勇者父「ノリの良さがきめえ……」

94 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:54:51.40 mHetTWdj0

勇者父「しかしすぐ俺の出番だし、こっから勇者が仲間と帰りかけたところを……と」

魔王「『ああ勇者様!』」

勇者「?」

魔王「『腕、怪我をしてるじゃないですか!』」

勇者「??」

勇者父「……はい?」

95 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:55:18.23 mHetTWdj0

魔王「『私たちを庇ったからですね……ああ、勇者様申し訳ございません』」

勇者「……」

魔王「『お力、勇敢さ、そして思いやり……やはり貴方は我らの勇者様です!』」

勇者「……」

魔王「『ですから勇者様、そのお怪我、私が治させてくださいませ』」

勇者「……?」

魔王「『さあ……傷をお見せくださいませ。舐めて差し上げます勇者様』」

勇者「ぶっ!?ちょ、ちょ!?」

魔王「『大丈夫何も怖くはありません。大人しく私に身を委ね』」

勇者父「ちょっと待てやてめえ!!」

96 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:55:55.00 mHetTWdj0

魔王「なんだ唐突に」

勇者父「何だ、じゃねーよお前俺の娘に何やってんだ!?」

魔王「お前が仲間ポジションをやれと言ったからやったのだが。因みに今のは本来女性キャラがやるはずの役だ。良かったな、百合ユリだぞ」

勇者「何がいいのかよくわかんないし、い、今のセクハラだよね!?訴えたら勝てるよね!?ね!?」

勇者父「完全勝訴で死刑確定だ。ってか男の勇者の時はあんなのなかったぞ!?」

魔王「あー、それはほら、女勇者を選んだ場合のファンサービスというやつだ。考えてもみろ、あんなの男主人公がされたら喜ぶどころか殺意沸くだろう、プレイヤーとしては」

勇者父「いやまあそうだけどさあ!?無理やりねじ込んだ感がひでえし、何よりよく審査通ったな!?全年齢だぞこのゲーム!」

魔王「バレなければ問題はない」

勇者「そういうイベント隠し通して、あとで審査やり直しになったゲームもあるけどね……」

勇者父「すまん!すまん娘!あんなイベントだったとはつゆ知らず……!!」

97 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/14(水) 23:56:22.61 mHetTWdj0

勇者父「ってかお前が気に食わねえ!なんださっきから娘と仲良くなりやがって!」

魔王「落ち着け。私はさっきお前の目の前でこいつにフラれたばかりだろう」

勇者父「それでも安心できるか!さあ娘、こっちに来い!そんな顔色悪い変質者から離れるんだ!」

勇者「どっち行っても変質者なんで、うるさくない方につきます」

勇者父「なんてことだ……娘が魔王に洗脳されちまった」

魔王「それはお前の方だろう、色んな意味で」

102 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:37:40.60 NO9M8jPIO

魔王「いやしかし、私ほど安心のおける男はいないと思うのだが」

勇者父「根拠は?」

魔王「沈着冷静な性格で、グラフィックはイケメン。一国一城の主であり、多くの部下を抱えるワンマン経営者だ。さらに仕事はいつ何時も手を抜かないという真面目ぶり」

勇者父「お前が真面目に仕事しちゃダメなんだよ、分かれよ」

勇者「でもすごく魅力的な物件に聞こえるのは何でだろ……」

勇者父「ちょ、娘!?騙されちゃいけないぞ!こいつチョイ悪ってレベルじゃねーから!触ったらヤケドどころか消し炭だからな!?」

魔王「そうだろうそうだろう。だが一つ残念なお知らせだ」

勇者父「なんだよ、この上さらに自慢か?」

魔王「ああ。売約済みなんだよな私」

勇者「は!?」

103 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:40:28.85 NO9M8jPIO

勇者「え、だってそんな設定なかったはずだし……はっ!まさか脳内彼女!?」

魔王「二次元の世界で脳内彼女を作ると、それは果たして何次元になるんだろうな」

勇者父「いや脳内彼女の時点で次元もクソも……ってかマジ?」

魔王「ああ。オフ、というやつだ」

勇者「……オフ?」

104 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:41:48.86 NO9M8jPIO

勇者父「あー、ゲームシナリオは仕事。裏方待機時はオフって割り切って好きにやってる奴結構いるみたいなんだよ」

勇者「へ……へー」

魔王「というわけで、私もオフではリア充だ。悪かったな負け組ども」

勇者父「あー悪い。微妙に腹立たねえわ」

魔王「はっ、僻みも大概に」

勇者父「だってお前ここでずーっと俺と待機してるよな?いつ彼女とリア充してるって言うんだよ」

魔王「…………」

勇者「魔王ってあっさり膝つくんだね」

105 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:43:29.87 NO9M8jPIO

魔王「貴様……!言ってはならんことを軽々しく……!!」

勇者父「ほら、どうよ。これでもこいつの方がマシだと思うか?」

勇者「うーん……かわいそうな具合だと、魔王に軍配がかなり上がってきたかなー」

勇者父「何しろ脳内充だもんな」

魔王「違う!違うと言うに!人の話を聞け!」

106 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:45:18.20 NO9M8jPIO

魔王「まず、私と彼女が出会ったのはテストプレイの中でだな」

勇者父「語りだしたよ」

魔王「その際諸々あって惹かれあい、交際がスタート」

勇者「端折った部分がなんだか怖いよね」

魔王「こうしてゲームスタート待機中のためろくに会えないが、連絡だけは欠かさず」

勇者父「ところでお前が言ってた好きなやつって脳内じゃないよな?」

勇者「いくらなんでもそこまで落ちていないよ。落ちるのは布団の魔翌力だけで十分だよ」

勇者父「はは、すまんすまん。さすがにこれはないよなー」

魔王「聞け!聞いてきっちり文面通りに大人しくとって把握しろ!!」

107 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:46:54.37 NO9M8jPIO

魔王「ええいそこまで言うならグラフィックを見せてやる!これだ!」

勇者父「……あ?」

勇者「……あれ?」

魔王「はっは驚いたかお前たち!」

勇者「だってこの人、あれだよね……?魔王がさらった、どっかのお姫様っていう」

勇者父「あー……『昔の恋人に生き写し』で『特殊な能力を持った末裔の』お姫様……だよな」

魔王「おおそうだとも!重要キャラクターなため、グラフィックは勇者女と比類なき力のいれ具合だ!美人だろう!」

勇者「結局オンオフどっちも全力ストーカーなだけじゃない!」

勇者父「うわーないわーマジ引くわー……」

魔王「だから違うと言うに……!」

108 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:48:31.51 NO9M8jPIO

勇者「くたばれ女の敵ー!」

魔王「やめろ殴るなレベル1。痛くはないが心にくる」

勇者父「そうだぞ娘よ、こんなの素手で殴ったらばい菌がつく」

勇者「はっ……どうしよう触っちゃったよ、私汚れちゃった……」

勇者父「心配するな、お父さんが装備したまんまのでっけーこの剣貸してやるから」

魔王「おいそれ設定上私が与えてやった剣」

勇者父「自分の剣に斬られて死ぬ、って悪役にはよくあるじゃん?」

魔王「よくあるが納得行くか」

109 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:50:09.21 NO9M8jPIO

魔王「くそ、そこまで言うならお前たちそこで待っているがいい。今すぐ本人をここにつれてきてやる!」

勇者「ちょ、待ちなさいそこの犯罪者!」

勇者父「素早く消えやがった……今ゲームが始まったらどうすんだあいつ」

勇者「でもそれはなさそうだよ。購入者、今パソコンでえっちなゲーム始めたみたいだから」

勇者父「ああうん、そりゃそのゲーム終わっても他に何もやる気にはならんだろな。ってか見るな。見ちゃいけない」

110 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:51:25.51 NO9M8jPIO

魔王「連れてきたぞ愚民ども!」

勇者父「はえーよ。ってか必死すぎるだろお前」

魔王「脳内認定される辛さが分かるか貴様に。ほら、じゃあ自己紹介を」

「勇者様、勇者様のお父上様。お初にお目にかかります。ゲーム中ではキーパーソンをさせて頂いております、姫ともうします」

勇者父「え、ああ……ご丁寧にどうも。声もかわいいのな」

魔王「そうだろう、今一番売りに売れてる有名女性声優が中の人をやっているからな」

勇者「くっ……ダメよ姫様!」

「は、はい?」

111 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:52:44.73 NO9M8jPIO

勇者「付きまとわれて嫌ならビシッと言わないと!下手にエサをやっちゃうと、こういう魔王は後々厄介だよ!」

「え、えーっと……何の話でしょうか?」

勇者「脳内彼女認定されてるんだよ!?怖くないの!?」

「別に怖いとかはありませんし……それに、本当のことですし」

勇者「……なにが?」

「恋人、ですし……きゃ、恥ずかしい……」

勇者「…………」

勇者父「…………」

魔王「この期に及んでその疑いの眼差しとはな」

112 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:54:47.59 NO9M8jPIO

勇者父「え、お前ちょっと吐いてみ。どんな洗脳術使ったんだよ」

魔王「使っておらん。マジだ。本気だ」

勇者「えー……姫様こんなののどこがいいんですか?」

勇者父「やっぱあれ?城目当て?」

魔王「うむ、そろそろ怒ってもいいよな?な?」

「どうどう、ですよ」

魔王「む……ぐ」

113 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:55:57.84 NO9M8jPIO

「イベント中とてもよくして頂いて……それでお付き合いを始めましたの」

勇者「イベント……って浚われてどうこう、ってイベント?」

「ええ、あとは回想イベントなどで」
勇者父「魔王の過去イベントか?あんた出てたっけ」

「いえ、魔王の昔の恋人が私に生き写しって設定じゃないですか」

勇者父「ああうん」

「あれ、私のグラフィックの差分使い回しなんです。声も一緒ですし、実質私の一人二役という仕様で」

勇者「もう少し捻れよってツッコミたくなる仕様だな……」

114 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:57:19.48 NO9M8jPIO

「そんなわけで、現在お付き合いをさせて頂いております」

勇者「う、嘘よ……これは何かそう、きっとやむにやまれぬ事情があるはず!」

魔王「人の色恋沙汰取り上げて、よくそんな暴言吐けるなお前」

勇者父「事情って例えば?」

勇者「よ、弱みを握られているとか!」

「そういった脅迫も受けてはおりませんよ?」

115 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 20:58:56.92 NO9M8jPIO

勇者父「まあ、設定通り可愛らしいお嬢さんだもんなー。弱みとかあるわけないか」

「あらお上手なんですから」

勇者「なんでこんな変質者がリア充なの……」

魔王「僻みが喜ばしいので聞き流しておいてやろうか。と、いうわけで帰ろうか、姫」

「はい?いえ、でももう少し勇者様方とお話してみたいです。女性の勇者様には私初めてお会いしますし」

勇者「そ、そうだよ。私だって家で引きこもってばっかだったから、お母さん以外の女の子と話すの初めてなんだよ!?」

勇者父「リアルで泣けるわー……おい魔王、どうせ購入者まだまだゲーム始める気なさそうなんだし、別にいいじゃねえか」

魔王「ぐっ……し、しかし姫も用事が」

「いえ別に。どうせ私登場の三話まではモブ声でしか出番がありませんし。いい息抜きです」

魔王「いやあの、そういうわけにも」

116 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:00:11.90 NO9M8jPIO

勇者父「お姫さんと俺らが喋ってたら何か不都合あるのかよ」

魔王「あ……るわけないだろう」

勇者父「よっしゃ痛い腹探ってやんよ!いけ!娘!」

魔王「貴様ぁぁあああ!!」

勇者「い、いけって言われても……えーっと、初めましてー」

「はい、初めまして」

117 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:01:17.80 NO9M8jPIO

「勇者様、なんですよね?」

勇者「え、う、うん」

「大変ですね……女の子なのに、厳しい旅に出なければならないだなんて……」

勇者「そ、そんなことないよ。戦えばそのうちレベルも上がって楽になるだろうし」

「ですが過酷なことには違いないでしょう」

勇者「ま、まあそうかもだけど」

「ああ……できることなら私が代わって差し上げたいものです……」

勇者「え、そ、その!泣かないで!?大丈夫だからね!」

118 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:02:28.39 NO9M8jPIO

勇者「お父さんお父さん!この子すっごくいい子だよ!」

勇者父「うん、見りゃ分かる」

魔王「ふ、ふはは……それ見たことか。我が姫に弱点などあろうはずもない」

勇者父「お前は黙ってろ。息もすんな」

勇者「とっととMP切らして私刑にさせなさい」

魔王「はっ、非リアどものさえずりが耳に心地よいわ!」

「こらこら喧嘩をなさらないの」

魔王「む……」

119 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:04:24.26 NO9M8jPIO

「まったく、あなたもあなたですよ。私をいきなり呼び出したりして」

魔王「あ……あーそれは……うむ、すまん」

「私はかまいませんが、勇者様方に迷惑をかけてはいませんよね?」

魔王「勇者どもに迷惑をかけてこそ魔王だと思うのだが……ああ、程良く仲良くやっている」

「もう、だったらいいのですけど。あなたは妙に人をからかう癖がありますし」

魔王「き、気をつける……」

「本当に、お気をつけくださいね」

120 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:12:50.70 NO9M8jPIO

勇者「うわああああああああリア充だよおおおお過度にイチャつかない代わりに絆の深さが浮き彫りのリア充だよおおおおお」

勇者父「落ちつけ、落ちつけっての頼むから。まあアレがほのぼのと幸せ満喫してるとか、途中で脱落する主力キャラよりぶっ殺したくなるよな」

勇者「うん。ゲーム中でフルボッコにできる日が待ち遠しくなったよ」

勇者父「俺の分まで……頼んだぞ娘」

勇者「もちろんだよ!」

魔王「負の方向に意気投合するな、そこのバカ親子ども」

121 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:15:08.78 NO9M8jPIO

勇者父「でもお姫さん、こいつろくな奴じゃねーぞ?付き合っていけるのか?」

「あら、魔王ですもの。ろくな方ではないことくらい、百も承知です」

魔王「お、おう……釈然としないがまあ」

勇者父「お姫さん以外にも、サキュバスとか色々口説いてるみたいだけど」

「……あら、そうなんですの?」

魔王「は……はは、何のことだか」

勇者父「あと俺の娘にセクハラしてたぞさっき。娘よ、証拠出せ」

勇者「あ、あったよー会話ログ。便利だよねえ今どきのRPGって」

「あらあら、まあ……」

魔王「貴様!今すぐここでキャラクターデータごと消し去って」

「魔王様」

魔王「すみませんでした」

122 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:16:13.69 NO9M8jPIO

勇者父「おー修羅場だ修羅場だ」

勇者「のっかった私が言うのもなんだけどさ、ちょっと可哀想かも……」

勇者父「いいだろ別に。それにほら、あの縮み上がってる魔王見てみろ」

勇者「心が安らぐね!」

勇者父「だろー?でもあのお姫さんのことだし、ちょーっと叱って終」

123 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:17:38.73 NO9M8jPIO

「おいお前……あたし一筋だ、って前に言ったよな?」

魔王「はい言いました」

「だったらこのログ何だこれ。あ?説明しろ」

魔王「出来心でその、昔、ちょーっと口説いた女の話をしました」

「どんな女だ」

魔王「いや、もうその話は」

「どんな女だ、っつってんだけど?」

魔王「雑魚キャラのサキュバスです。しかもあっけなくフラれました。だから全くの未遂というか誤解で」

「女とよろしくヤろうと一瞬でも思った時点で誤解もクソもあるかボケェっ!」

魔王「ひぃいい!」

124 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:19:05.30 NO9M8jPIO

勇者「……何あれ」

勇者父「……いや、俺にも何がなんだか」

魔王「お、おい姫!本性バレてる!バレてるからもうやめよう!なっ!?」

「黙れこの××カス野郎!ちょうど猫被りも飽きてきたからこれでいいんだよ!!」

魔王「開き直るの早いぞ!?折角私がボロの出ぬ内に城に帰してやろうとしたのに……!」

「浮気かましといて恩着せがましい物言いすんじゃねえ!どうせそこの勇者ちゃんも食い物にするつもりだったんだろ!頭のいらねえ職業だからって下半身オンリーで物事考えてんじゃねーよ去勢されてえのかゴミ!性欲持て余してんなら川原にでも行って清掃活動に励んで来いや!!あたしと人様の迷惑考えろ!!」

魔王「すみませんでした。私がすべて悪かったです」

125 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:20:11.67 NO9M8jPIO

勇者「あ、ついに無言の土下座を始めたよ」

勇者父「折れるの早かったなーってか、あの。お姫さん」

「何だよ」

勇者父「そっちがオフのしゃべり方?」

「あーそうそれ」

126 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/15(木) 21:21:22.57 NO9M8jPIO

「いやー正味、あのテンプレお嬢様口調しんどいんだよねー。キャラが崩れるからあんま外ではしねーようにしてるけど」

勇者「で、でも魔王を圧倒するあの迫力はすごいよ!見習いたいもん!」

「お、おお。ありがとう。でもあたしメインつっても仲間になんねーキャラだからなーいくら迫力あっても無駄っちゃー無駄なんで」

勇者「仲間になっていたらラスボスなんかワンパンで沈むだろうに……もったいない!」

魔王「ちなみに、こいつの中の人は完全自由人でな、ブログやTwitterでブチ切れ発言かましてよく炎上させるんだ……」

勇者「そんなところから性格由来せんでも……」

130 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:01:16.08 YFgqK1d70

「まーそんなわけだからよろしくー。どうせオフなんだし自由にいこうや」

勇者父「あんたは自由すぎると思うんだけどな」

「そうかぁ?でも自由っても、あんたたちと違って、あたしにはできないことが山ほどあるんだぜ」

勇者「……戦うこととか?」

「そうそれ」

131 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:01:48.47 YFgqK1d70

「あーあたしも戦闘キャラだったらなー。全力でこいつ叩きのめすことができたってのに」

魔王「すでに精神的に弱りきっているので、ご勘弁願いたい」

勇者「え、何、今MP尽きちゃってるの?タコ殴りにしていい?」

勇者父「くくく……ようやくこの、魔王様より託された宝剣を使う時が来たか」

魔王「断じて来とらん。何でお前たちは私を[ピーーー]ことに全力なんだ」

132 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:02:45.52 YFgqK1d70

上のピーーーは「殺る」で…


「あーダメダメ。こいつ殺っていいのはあたしだけだから」

魔王「ちょっと待て、お前はまたそんな」

「お前って……誰に言ってんだ?」

魔王「すみません姫様調子に乗りました」

「よろしい」

勇者(今のノロケだよね)

勇者父(ああ……どのみちリア充には変わりねえ)

133 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:03:59.58 YFgqK1d70

「いやほんと、いろんな意味で勇者ちゃんみたいなポジションは憧れる訳よ」

勇者「うーん……でもあんまりいいことなんかないよ?」

「まあ、主役なんだし大変なことも多いと思うし、下手にうらやましいとか言っちゃいけないんだろうけどさ」

勇者「ううん、その辺りは気にしないで!」

134 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:04:33.68 YFgqK1d70

勇者「私テストプレイで選ばれなかったからさー……結局主人公ってどんなことをするのか、いまいちわかんないままなんだよね」

「ああ、そういやそうだね」

魔王「主人公か……例えばどんな苦行があるだろう?」

勇者父「えーっと、メインの苦行は私生活四六時中監視される延々放浪の旅?」

魔王「あとあれか、ムービーをスキップされてテンポ狂わされたり、ポーズ画面でずっと放置されたり、カメラ操作などで下着確認されたりと、プレイヤーの好きに弄ばれる苦行か」

勇者父「あー……さっきみたいな女主人公のみのエロイベントってまだあるの?」

魔王「ああ。確か温泉シーンに中ボスの粘液まみれにされるシーン、触手に捕らわれるシーン、手頃な大きさの黒ナマコを口に突っ込まれるシーンなどなど」

勇者父「何が全年齢対象ゲームだよ!?」

「お前ら無駄に煽ってんじゃねーよ!!」

勇者「っていうか地味に初耳なんだけど……」

135 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:05:07.50 YFgqK1d70

勇者「ピンチになるシーンが多いのは主人公だからだよねー……って台本読んだ時は気楽に構えていたのに……私そんな汚れ役だったんだね……はは……デリートされたい」

「い、いやほら!旅に出れるってそれだけでいいじゃん!あたしなんかずーっとどっかに閉じこめられてるシーンばっかだし!お前らもなんか慰めろ!!」

勇者父「大丈夫だぞ娘よ。俺が中ボスとしてたまに会いに行ってやるからな。手加減はできねーから、レベルしっかり上げてないと二三回死ぬと思うけど」

魔王「私はそうだな……終盤になるまで直接顔を合わせることがないので……遠くからその痴態を拝んでおこう」

「おっさんは黙れ。魔王はのたうち回って死ね」

魔王「冗談。冗談です姫様」

136 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:05:43.75 YFgqK1d70

勇者「うう……やっぱり私もサブキャラがよかったよ」

勇者父「あー『ずっと寝てる村人A』がよかったとか言ってたな」

「えー……でもアレはアレで辛そうじゃね?ずっと同じ体勢、同じ台詞ってあたしなら発狂しかねーわ」

魔王「まあ、勇者がワープ魔法覚えてからはいつ村に来るか分からんし、スタンバイする村人は村人で苦労するだろうなあ」

勇者「一生お布団に潜っていられるならもうそれでもよかったのに……!」

137 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:06:09.25 YFgqK1d70

「まあゲーム始まったら面倒なのは仕方ないさ……こればっかりは実際問題誰も代わってやれないし」

勇者「うう……主人公なんて不幸すぎる」

「でもストーリー上死なないだけマシじゃん?あたしなんて何度も誘拐されたり救出されたりで、最後は魔王に殺される鬱ヒロインなんだぜー」

魔王「まあ私もすぐその後ラスボス戦で殺されるから、お互い様というわけで」

勇者父「俺なんか死んでるのにもう一回死ぬとか。割に合わねえわ」

勇者「慰めが重いよ!?」

138 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:06:46.65 YFgqK1d70

勇者「でも実際死ぬわけじゃないんだし……みんな裏で楽しそうにやっててうらやましいんだもん」

「あれ、勇者ちゃんはオフ充実してねーの?」

勇者「待機で……部屋で寝てるだけだよ」

「え、何それもったいない!」

139 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:07:21.29 YFgqK1d70

「ダメじゃねーか勇者ちゃん。オンオフはっきり分けて、せめてどっちか片方だけでも充実させとかねーと。割に合わねーよこんな仕事」

勇者「そ、そうかな」

「ああ、あたしが保証する!」

魔王「お前が言うと、少し言い過ぎの気がせんでもないが……」

勇者父「うーん、まあでもその通りかもなあ」

勇者「お、お父さんまで」

140 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:07:50.21 YFgqK1d70

勇者父「俺はこんなとこで死ぬし、道中お前の敵として出てくる」

勇者「う、うん」

勇者父「でもそれ以外の時は……なんつーか、仲良し親子みたいなことやってみたいわけよ」

勇者「……」

勇者父「主役ってのはやっぱ辛いことも多いと思う。だからお前にも、『主役以外の時間』を持ってもらいたいんだ。寝てるだけじゃなくて、なんだ、好きな奴と一緒に過ごすとかさあ」

勇者「……うん」

勇者父「まあそれは俺的に、甚だ不本意な話ではあるんだけどな……」

「そこは譲れよダメ親父」

魔王「娘の恋人をいびって、娘当人から嫌われるパターンだな」

勇者父「やかましいぞそこの外野ども!」

141 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:08:58.18 YFgqK1d70

勇者「分かった!私、もっとオフ充してみるよ!」

勇者父「そうか……正直布団に潜ったままでヒキってくれてた方が、視覚的にも優しかったんだけどな」

魔王「やはり性的な目で見ていたんじゃないか」

勇者「細かいことは気にすんな」

「あー……男はみんなこれだもんな。で、どうするのさ勇者ちゃん。勇ましく立ち上がった次にすることは?」

勇者「決まってるよ!うちに帰るの!」

「それで?」

勇者「お母さんに会って、ちゃんと言う!」

勇者父「おー……なんだか早速ほのぼのな予感」

勇者「『一人の女性として好きです!!』って!!」

勇者父「…………は?」

142 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:09:45.88 YFgqK1d70

勇者父「あ、あの、勇者さん?あなたの好きな人ってもしかして?」

勇者「お、お母さんだよ……やだもう決まってるじゃない」

勇者父「何が!どう!決まってるって!?」

勇者「お父さんは知らないだろうけどね!お母さんの笑顔はそりゃもう超可愛くって、間近で見ると食べちゃいたいくらいで……!それを我慢するためにも私はお布団にヒキっていたのです!」

勇者父「やっぱお前見た目通りの痴女じゃねーか!!」

143 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:10:12.89 YFgqK1d70

魔王「まあ、接点あるのは母親だけと言っていたしな。自ずと好きな相手など分かるだろうに」

「所詮ここゲームだし?設定上の身分とか血縁関係とか性別って、あんま意味ないよな確かに」

勇者父「いやだがしかし!嫁がお前の気持ちを受け入れると決まった訳じゃ……!!」

勇者「私とお母さんはずっと家で仲良く暮らしてきたんだよ!一線を越えてラブラブになるのは当然のこと!」

勇者父「親子関係は恋人になる下地にならねーよ!?ってかこらどこに行く!」

勇者「というわけで、お家に帰してください魔王」

魔王「ああ、いいぞ。帰って好きにやってこい」

勇者父「ええいなら俺も送れ!娘に嫁寝取られるとかどのユーザーにも受けねえよ!断固として阻止する!!」

「おー見事なまでに見苦しいなあ……さすが死にキャラ」

魔王「もういいからお前らまとめて行ってこい……」

勇者「負けないんだからねお父さん!」

勇者父「おう!こっちの台詞だ!」

144 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:11:24.56 YFgqK1d70

少し後――


「で、この結果か」

勇者「……ううううううううう」

勇者父「……クソがああああああ」

魔王「見事なまでに撃沈して帰ってくるとはな」

「ちょっと焚きつけた責任を感じる……」

魔王「姫が気に病む必要はない。所詮こいつらの家庭の事情だ」

勇者「……あ、あんまりだよこんなの」

勇者父「ああ……まったくだ」

145 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:13:22.34 YFgqK1d70

魔王「まさかもう一方の勇者に、とうの昔に寝取られ済みだったとは」

「昼ドラも真っ青だよ」

魔王「まあしかしあとの旦那と娘がこんな調子では……」

「手近な男にコロッといっちゃう気が分からんでもないってか。お前も手近な女に手ぇ出すんじゃねえぞ」

魔王「流石にまだ余生を楽しみたいので遠慮したいところだな」

146 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:13:52.19 YFgqK1d70

勇者父「くそ……嫁が庇ったりしなきゃあんなレベル1、さくっと始末できたってのに……」

勇者「失恋も痛いけど、あれだけ暴れたらもう家に帰るの気まずいよー……どうしよう……」

「ま、まあ二人とも元気出そうぜ」

魔王「そうだぞ。もう購入者の奴、このゲームの存在をすっかり忘れておる。このままだと中古屋に売り飛ばされでもしない限り、永遠に出番は皆無だろうな」

勇者父「なっ……それはそれで」

勇者「困る……よね」

魔王「は?」

147 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:15:15.28 YFgqK1d70

勇者父「購入者の嗜好を見る限り、どうせ主人公に選ばれるのはお前だ。つまり」

勇者「あの泥棒勇者は永遠に裏方行き……それにゲームが始まれば、家に帰る大義名分ができる……お母さんに会える!」

勇者父「俺も腹に剣刺さったままの待機が終わるし、割と自由に動ける……つまり」

勇者「早くゲームを始めろ購入者ー!!」

勇者父「そんでもってせめて主人公選んですぐセーブしろー!!」

勇者「エロゲばっかやってんじゃないわよこの童貞!!」

勇者父「少年だった頃のまっとうな心を思い出せー!!」

148 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:15:44.64 YFgqK1d70

魔王「えーっと……放っておくか」

「なんかよく分かんないけど、とりあえずもうしばらくここにいていいか?」

魔王「ああ、好きにしてくれ。折角久しぶりに会えたんだ。少し話そう」

「……ばーか」



勇者・勇者父「あとリア充どもを抹殺できるゲームを早く出してください開発元!!」



【終】

149 : SS寄稿募集中 SS速報... - 2011/12/17(土) 00:17:50.17 YFgqK1d70

数日間お付き合い頂き、まことにありがとうございました。
好き勝手書いてオチは放り投げてしまいました。少しでもお楽しみ頂けたのでしたら光栄です。ではでは。

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