宜野座「何故俺にドミネーターを向けているんだ!」
常守「ご、ごめんなさい」
宜野座「全く、君にはもっと監視官としての自覚を持って・・・」
ドミネーター「犯罪系数オーバー470、執行対象です」
宜野座「……え?」
常守「う、うそ」
ドミネーター「執行モード、リーサル・エリミネーター」
ドミネーター「照準を定め、速やかに対象を」
宜野座「ちょ、ちょっと待て!」
元スレ
ドミネーター「執行モード、リーサル」宜野座「え?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355146089/
宜野座「何故だ、俺のサイコパスは濁っていないはずだ!」
常守「でもこれは・・・」
ドミネーター「執行対象です」
宜野座「何かの間違いだ、ともかく銃口を下ろせ常守監視官」
常守「は、はい」
宜野座「・・・・・・このことは口外しないでほしい」
常守「で、でも早くセラピーを受けた方が」
宜野座「放っておけ!とにかく、誰にも漏らすな」
常守「は、はい・・・・・・」
宜野座(どういうことだ・・・!)
宜野座(何故いきなり俺の犯罪係数が跳ね上がった!)
宜野座(ドミネーターの故障・・・いや、ありえない)
宜野座(シビュラ判定に間違いは起きないはずだ。だとすると・・・)
宜野座「俺は、本当に・・・」
征陸「よう、どうした伸元。暗い顔してるぞ」
宜野座「・・・・・・!」
宜野座「なんでもない」
征陸「そんな顔しておいてなんでもないはねえだろう」
宜野座「うるさい!お前には関係のないことだ!」
征陸「むきになるとこ見ると、本当に何かあったようだな」
宜野座「黙れ、お前を監獄に送ってやることもできるんだぞ」
征陸「そりゃ困るな。まあ、俺でなくてもいいさ。困りごとなら誰かに相談しろよ。じゃな」
宜野座「・・・・・・」
宜野座「誰に相談しろというんだ・・・」
宜野座「・・・・・・」イライラ
縢「ギーノさん、何やってんすか?」
宜野座「・・・・・・」
縢「ありゃ、無視は酷くないっすか?」
宜野座「・・・・・・うるさい、あっちへ行け」
縢「ご機嫌斜めってやつっすか。ま、ギノさんはいつでもそんな感じで」
宜野座「うるさいと言ってるんだ!」
縢「ひーおっかねえなあ。わあったよ」
宜野座「・・・・・・もしも誰かに知られたら、俺もあいつと同じ潜在犯になるのか」
宜野座「くそっ!!」
六合塚「・・・・・・」
宜野座「・・・・・・何か用か」
六合塚「顔、歪んでますよ」
宜野座「なに・・・?」
六合塚「何か悩み事ですか?」
宜野座「・・・!・・・・・・なんでもない」
六合塚「そうですか」ツカツカ
宜野座「・・・待て」
六合塚「?」
宜野座「お前は・・・いや、なんでもない」
六合塚「本当に何かあったんですか」
六合塚「私でよければ相談に乗りますよ」
宜野座「・・・やめておこう。お前に話した所でどうにもならん」
六合塚「そうですか」ツカツカ
宜野座「なあ」
六合塚「はい?」
宜野座「・・・・・・人が問題に突き当たるのは、一体何が原因だと思う?」
六合塚「日ごろの行いじゃないですか?」
宜野座「ふっ、そうか。日ごろの行いか・・・」ツカツカ
六合塚「・・・・・・」
宜野座「どうすればいいんだ」
宜野座「このままでいれば、俺はやがて犯罪を犯すかもしれない」
宜野座「だが470なんて数値、セラピーを受けたとしても・・・」
宜野座「悪ければ獄中で一生終え、良くても執行官といったところか」
宜野座「それだけは・・・絶対に」
狡噛「一人でぶつくさ喋って、本当にどこかおかしいようだなギノ」
宜野座「狡噛・・・」
狡噛「他の連中から聞いたぜ。お前の様子がおかしいってな」
狡噛「顔色も悪い。何かあったのかギノ」
宜野座「・・・・・・」
狡噛「そうとう不味いことのようだな」
宜野座「なぜ、分かる」
狡噛「悩んだ時や後悔した時に黙り込むのは昔からの癖だろ。この間、常守と言い合った時も結局は黙り込んだ」
宜野座「・・・・・・良く見ているものだな」
狡噛「元とはいえ、お前の相棒だったからな」
宜野座「ふっ・・・・・・そんな時期もあったか」
狡噛「ああ。で、どうしたんだ」
宜野座「お前は、自分が潜在犯だと分かった時どんな気持ちだった」
狡噛「なんだ突然。関係あるのか?」
宜野座「いいから答えてくれ」
狡噛「・・・さあ、どうだったかな。あの時は他の事で頭がいっぱいで、自分のことを省みる余裕もなかった」
狡噛「後悔する間もなくここまで来たってところか」
宜野座「そうか・・・」
狡噛「珍しいな。お前が執行官の心情を気にするなんて」
宜野座「・・・・・・」
宜野座「少しばかり、興味があってな」
狡噛「どういう風の吹き回しだ?」
宜野座「・・・・・・狡噛、もう一つ聞いてもいいか」
狡噛「ああ、構わない」
宜野座「もしも、もしももう一度俺と組んでくれるかと聞いたら、お前はどう答える」
狡噛「・・・そのもしもはありえないことだろうが、答えは決まってる」
狡噛「もちろんOKだ。断る理由は何もない」
宜野座「・・・俺は今までお前を無下にし、意見さえまともに聞かずに済ませたこともある」
宜野座「それでもか?」
狡噛「当たり前だ。悩む理由も断る理由もない」
宜野座「そうか」フッ
宜野座「少し気が軽くなった」
狡噛「そりゃ良かった。で、結局何をそんなに悩んでたんだ」
宜野座「・・・・・・さっき、常守監視官と訓練をしていた時のことだ」
宜野座「彼女がたまたま俺に向けたドミネーターは、俺を犯罪係数オーバー470の潜在犯だと断じた」
狡噛「なに?」
宜野座「シビュラは俺も用なしと判断し、執行対象とまで言った」
宜野座「これで俺も、お前と同じ潜在犯の仲間入りだ」
狡噛「ギノ」
宜野座「これから出頭して、そこからはどうなるか分からないが・・・」
宜野座「もし俺が執行官になれたら、その時は・・・・・・」
狡噛「ギノ!!」
宜野座「な、なんだ?」
狡噛「お前・・・」
狡噛「誰かに担がれたな」
宜野座「・・・・・・は?」
狡噛「冷静なお前らしくもない、何を馬鹿なことで悩んでるんだ」
狡噛「もしシビュラ判定が本物なら、俺とこうして話していられるわけがないだろ」
狡噛「今頃お前は指名手配されて、この署内で取り囲まれているか、執行されているかのどちらかだ」
宜野座「しかし、常守監視官のドミネーターは確かに・・・」
狡噛「お前がそんな数値を叩き出したと、常守がそう言ったのか?」
宜野座「いや、だが彼女のドミネーターが・・・・・・あ」
狡噛「ドミネーターの音声は使用している本人にしか聞こえないだろうが」
宜野座「・・・・・・」
宜野座「これは一体どういうことだ」
縢「いや~見事に上手く行ったな~」
常守「うぅ、どうしよう。絶対に怒られるよ・・・・・・」
縢「平気だっての、朱ちゃんだってこないだの一件、まだ腹に据えかねてたんだろ?」
常守「それはそうだけど、宜野座さんすっごく落ち込んでたよ?」
縢「たまには良い薬だって!しっかし、すげえよなあ唐之杜さんは」
縢「頼んでたまんま、見た目はちっとばかし雑だけどドミネーターのおもちゃ手配してくれちゃって」
縢「これだったら他の連中も騙して遊べちゃいそうだな!」
ドミネーター「犯罪係数130、執行対象です」
縢「うお、やっぱ良い出来だわこれ」
常守「か、縢くん」ガクブル
縢「ん?どったの朱ちゃん。そんなに震えて」
常守「」ガクブル
宜野座「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
縢「あ、やばい」
ドミネーター「執行モード、ノンリーサル・パラライザー」
宜野座「先に眠りたいのはどっちだ?」
常守「」
縢「」
宜野座「だんまりか、では主犯格と思わしき容疑者の方から行こうか」
ドミネーター「慎重に狙いを定め、対象を排除してください」
常守「ご、ごめんなさい!」
縢「ぎ、ギノさんやりすぎだって!」
宜野座「問答無用だ・・・!」ドーン!
狡噛「で、常守監視官は全治3日。縢の方は倍以上ってとこらしい」
六合塚「唐之杜も同じく」
征陸「全く人騒がせもいいとこだな。ええ、伸元」
宜野座「・・・・・・うるさい」
六合塚「でも、良かったですね。改めて受けたら色相も濁ってなかったんでしょ?」
宜野座「・・・まあな」
狡噛「これからは何かあったらすぐに相談しろよギノ。一人で考え込んでドつぼに嵌るの、悪い癖だぞ」
宜野座「・・・・・・ああ」
征陸「おしゃべりはそこまでだ。どうやら奴さん、逃げるのを諦めたらしい」
宜野座「分かっているだろうが、普段よりも人数が少ない」
宜野座「相手は単独犯で、大した武器も持っていないようだが油断はするなよ」
六合塚「了解」
征陸「じゃあ行こうかね」
狡噛「さあ、さっさと片付けるか」
宜野座「・・・狡噛。今回のことは礼を言う」
狡噛「水臭いこと言うな。元相棒だろ?」
宜野座「・・・・・・いや」
宜野座「元はいらない。だろ、相棒」
狡噛「・・・・・・そうだな」
宜野座「ふっ・・・背中は任せる。突入は俺と狡噛で行く、六合塚と征陸は援護しろ」
狡噛「了解だ」
宜野座「よし、行くぞ!」
常守「・・・・・・こんなに痛いんだパラライザーって」
常守「狡噛さんにもう一回謝ろう・・・」
縢「」
終わり