男(ん…あれ、俺寝てたのか…?)
男「(ぽかぽか陽気が気持ちいいなー…)
男(枕も柔らかくていい匂いが…って、あれ?)
男(俺が寝てる所って…)
許嫁「………」ぺらっ
男(い、許嫁の膝の上だよな…)カァァ
許嫁「…………」ぺらっ
男(なんかのほほんと本読んでるけど…)
男(というか、俺なんでこんなことしてるんだ?)
男(たしか…)
関連スレ
男「ええ!?俺に許嫁!?」【前編】
元スレ
男「ええ!?俺に許嫁!?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1301860111/
許嫁「男」
男「な、なに?いきなり教室に入ってきて…」
許嫁「いいでしょう、別に」
許嫁「用があるの。ちょっと顔貸しなさい」
男「いやでも俺これから昼飯…」
許嫁「ならお弁当も持ってきなさい。長くなるから」
男「えー…」
男友「行ってこいよ」
男「悪いな」
男(そうだ…許嫁に呼び出されて中庭に連れ出されて…)
男(一緒に弁当食ってたら、本題を聞く前に俺が寝ちゃったんだ…)
男(うぅ…なんか悪いことしたな…)
許嫁「……」ぺらっ
男(というか…)
男(すごい落ち着かないんですけど…)もじもじ
男(くそう…もし俺の手が許嫁の足の上に置かれてたら、寝たふりをしながら触りまくってたのに…)
男(もどかしい…せめて顔だけででも)もぞもぞ
許嫁「………」
男(んはぁ…柔らかいぃん…)もぞもぞ
許嫁「…………」ぽいっ
男(っ!!!今わざとだ!絶対わざと本を顔に投げ捨てた!)
男(あ、あれ、というか今の起きないと不自然だよな…)
許嫁「………」
許嫁「……」そっ
男(ん、な、なんで急に俺の手に手を重ねて…)
許嫁「………」なでなで
男(うっ、そんな艶かしく撫でられたら…)
許嫁「いつまで寝たフリしてるのよ」ぎゅううう
男「いたたたた!ごめんなさい!!」がばっ
許嫁「この変態。おかげで足に血が回ってないじゃない」ぱたぱた
男「いてて、うわ、すごい爪の跡ついてるし…」
許嫁「それで済んで安い方だわ」
男「…というか、なんであんなこと…」
許嫁「何を思い上がっているのか知らないけど、膝の上にいきなり倒れてきたのはあなたよ」
男「え」
許嫁「挙句膝、いえどちらかといえば足の付け根だったわね。そんな所に顔をすり寄せてくるんだもの」
男「う…」
許嫁「ここが銃社会なら私はあなたを躊躇なく殺してるわ」
男「す、すみません…」
男「ところで、話ってなんなんだ?まだ何も聞いてないんだが…」
許嫁「あら、話ならとっくにしたじゃない」
男「え、そうだっけ?ごめん、覚えてない…」
許嫁「ひどい話ね。相槌だって打っていたじゃない」
男(そう言えば聞いたかもしれない…横になりながら…)
男「ごめん、もう一回…」
許嫁「あら、もうこんな時間」
男「ん…?何時?」
許嫁「午後の授業に40分遅刻ね」
男「え」
男友「なんだよお前、授業サボって。夫婦でいちゃついてたのか?」
男「ち、ちげーよ、昼寝してただけだよ」
男友「はーん?」
男(さっきの話って結局なんだったんだろう…悪いことしたな…)
男(わざわざ呼び出したくらいだしなにか重要な話だったんだろうか)
男(やっぱり後で頭下げてもう一回聞こう…)
男「というわけで、この通りです。もう一回話してください」
許嫁「…わざわざもう一回言わなきゃいけないの?」
男「すいません、大事な話みたいなので」
許嫁「ふう、わかったわ」
男「……」
許嫁「今度の日曜日…」
男「日曜日…?」
許嫁「やっぱりいいわ。おやすみなさい」
男「え、ちょっとまっ…えー…」
男(ん…俺も寝そう…)うとうと
許嫁「ねえ、もう寝ちゃったかしら」
男「ん、うん?起きてるよ」
許嫁「そう。あ、あのね、こ、今度の…」
男「ん?」
許嫁「今度の日曜日…」
許嫁「…今度の日曜日、家の外に出ていってくれないかしら」
男「…へ?」
許嫁「もう一度言った方がいい?」
男「いや…え、なんで?」
許嫁「邪魔だから」
男「邪魔だからって…家に人呼ぶのか?」
許嫁「いいえ、そんな予定はないわ」
男「んー?」
男「他になにか予定でもあるの?」
許嫁「…外でお買い物をしようと思ってるけど」
男「それだったら俺がわざわざ追い出される必要は…あっ」
許嫁「じゃあ今度こそおやすみなさい」
男「お、おい…」
男(これってつまり…)
男(すごい遠回しにデートしろってことだよな!!)
男(あああ、なんか興奮しちゃってなかなあ眠れないなああ)
男(いい夢見れそうだ)
男「ちゅっ…れろっ…んん」
許嫁「んんぅ…ちゅぅっ…ちゅむ…」
男(あれ、なんで許嫁の上に乗っかってこんなことしてるんだ?)
男(あ、夢か…またこんな夢…いっか)
許嫁「れろっ…ちゅっ…ちゅぱっ…」
男(ああ…いい…夢心地だぁ…)
許嫁「んちゅっ…れろっ…んふぅ…」ぎゅうっ
男(許嫁が抱きしめてくれて…ああ、いいっ…)
許嫁「ちゅうぅっ…ちゅっ…ちゅっ」
男(柔らかいいぃ…あっ、)
男(また、これで夢精しちゃうのかな…っ…)
許嫁「んんっ…ちゅっ…れろっ…んちゅっ…」
男(ああ、もうこれ出ちゃうっ)
男(あっ…あっ…!)
男「んんううぅぅっ!!」びくっ
男(はぁ…はぁ…またやっちゃった…)
男(って…え…!?)
許嫁「んっ…ふぅ…」
男「ゆゆ、夢じゃなかったの!?」
許嫁「らによぉ、あなたが寝ぼけて襲ってきたんじゃない」
男「え、ご、ごめんなさ…」
許嫁「しかも嫌な固さと熱を私に伝えるどころか、なんてことをしてくれてるのよ」
男「ひっ…」
許嫁「早くどいて頂戴。汚いし万が一でもシミになってたら殺すわよ」
男「ごめんなさいいい!」
許嫁「うわ、最悪…私の着物にちょっとついてるわ」
男「俺の着物がはだけてたから…」
許嫁「本当節操がないわね。この万年発情犬が」
男「うう…」
許嫁「ほら、下着脱いで。洗うから」
男「度々すいません…」
許嫁「やっ…なんかすごい垂れてくるし…」
男「なんか前よりも興奮しちゃって…」
許嫁「どんだけ出してるのよ…もう、最低」
男「うう…」
許嫁「あなたは早くお風呂に入ってきて。青臭くてたまらないわ」
男「……」
男「許嫁、めっちゃ怒ってたな…そりゃそうか…」
男「でも許嫁だって舌絡ませたり、俺に抱きついたりしたじゃないか…」
男「って、それは俺の都合のいい夢か…」
男「日曜日のこと、まだ話残ってるかなー…」
男「はぁ…」
男「……」
男「ふー、さっぱりした…って」
許嫁「……」がさごそ
男「なにか探してるの?」
許嫁「洗面台が詰まっちゃったのよ」
男「げ…」
許嫁「それでパイプクリーナーを探してるんだけど…」
男「どこだろう…」がさごそ
許嫁「あー…」イライラ
男「んー…わ、もう明るくなってきてるし…」
許嫁「…もうこれあなたが一人でなんとかして」
男「えっ…」
許嫁「ふんっ」
男「完璧にブチ切れてたな…どうしよう…」
男「あー…見つからないなあ…」
義母「あら男君、朝から裸でなにしてるの?」
男「うわあああ、おは、おはようございます!!」
義母「お風呂入ってたの?というかそんな低い姿勢でなにしてるのよ」
男「あ、これは…そ、そう!気分悪くなっちゃって!」
義母「あら大丈夫?」
男「大丈夫!もう大丈夫なんで!それじゃあ!」
義母「…?なんだったのかしら」ジャーー
義母「あらやだ、排水溝詰まってるじゃない。パイプクリーナーはどこかしら」
男「はぁ…」
男友「どうしたんだよ急に」
男「だるい」
男友「ははーん、昨日はお楽しみだったか」
男「死ね」
男友「まあまあそう言うなって。で、なんだ」
男「許嫁と喧嘩した」
男友「いつもそんな感じじゃん」
男「はは…」
男友「なるほどねえ。デートに誘われたのにそれじゃあね」
男「いや、その話も流れたかもしれないけど」
男友「まあツンケンしてるのはいつものことじゃ…」
バンッ
男「ひっ!」
許嫁「これ、お弁当。朝渡すの忘れてたから」スタスタ
男「…あんな感じだよ」
男友「確かにあれはいつもとは違うわな…」
男「はああ……」
男友「ま、飯食おうぜ。その弁当毒入ってそうだな」
男「ははっ、まさか」カチャ
男「っ!!」
男友「おい、なんだよ。また蓋とじて」
男「な、なんでもねえって!」
男友「いいから見せてみろ!」
男「やだーーー!!!」
カパッ
男友「…あららー、でっかいハートマークだこと」
男「……」カァァ
男友「でっかいハートマークだこと!!」
男「静かにしろよ!!」
友1「なんか隣の教室うるさいね」
許嫁「そうね」
友2「あの声、男友とあんたの旦那じゃないの?」
友1「言われてみればそうかも」
許嫁「ふふっ」
友1「ん?どうかしたの?」
許嫁「なんでも」
男(いよいよ明日はデートか)
男(な、なんか落ち着かねえ)
許嫁「なによ、朝からそわそわ落ち着かないわね」
男「あ、いや…」
許嫁「ずいぶん挙動不審ね。なにか隠し事でもあるのかしら」
男「いや、そんなことないけど…」
男(照れ臭くて顔見れないんだよ…)
男「ん、こんな所に縁側なんてあったのか」
男「日当りもいいし、ここで日向ぼっこでもしようかな。暇だし」
男「んー、陽射しが気持ちいい…」
許嫁「あら、私の読書スポットに先客がいるなんて」
男「あ、許嫁…」
許嫁「いいわよ、ここにいて」
男「あ、うん…」
男(な、なんかこういうのキンチョーするな…)
許嫁「……」ぺらっ
男(ドキドキする…)じーっ
許嫁「……」ちらっ
男(やべ、目合っちゃった…さっきからずっとこれじゃ不自然すぎるよ…)
許嫁「あなたぼーっとし続けるのによく飽きないわね」
男「え?ああ、まあ…」
許嫁「つまらない人間ね」
男「あ、はは…」
許嫁「ふあぁ…ねむいわ…」
男「そうだな…ぽかぽか陽気だし…」
許嫁「……」うとうと
男「って、聞いちゃいないか」
許嫁「………」くたっ
男「っ!」
男(い、許嫁が俺の肩に…うおおおぉ……)ドキドキ
男(全身の神経が肩に集中してるぜ…)
男「最終的に俺の膝の上で寝てるし…」
許嫁「すぅ…すぅ…」
男「撫でたい…頭を…すっごく…」
男「…い、いいよな…寝てるし…」そぉー
女中「男さん、男さん!お父さんから電話ですよ!男さん!」
男「父さんから?はあーい!」
男「もしもし?父さん?」
父「ああ、久しぶりだね。元気でやってるか?」
男「ああ、うん。ぼちぼち」
父「そうかそうか。そっちでの生活も落ち着いてきただろうし、今晩家族でご飯食べに行こうと思っててね」
男「あー、うん。遅くならないなら別にいいよ」
父「そうかそうか、よかった。ちょうど姉も留学先から帰っててな」
男「姉さん帰ってきてたの?そりゃ楽しみだ。すぐ準備するから」
父「ああ」
許嫁「あら、いつの間に寝ちゃってたのかしら」
許嫁「もう夕方…さむ…」
許嫁「…男は?」
許嫁「お母さん、男は?」
義母「男君は向こうの家族と食事しにいってるみたいよ」
許嫁「あ、そう。急にいなくなっちゃうから…」
義母「急にって、もう2時間も前に出て行ったわよ。あんた寝てたでしょ」
許嫁「うん。…っ」ぶるっ
義母「やだ、風邪?ちゃんと布団で寝ないから」
許嫁「そうかな…」
prrrrrrr
義母「あら、また電話。今日はなんだか電話がかかってくることが多いわねぇ」
男「ん…ここは……」
許嫁「男?起きたの?」
男「んん…許嫁…?」
許嫁「ずいぶんお寝坊さんだったわね」
男「ん…ああ、ごめん…今日デートだっけ…」
許嫁「ちょっと待ってなさい。動かないでいいから」
許嫁「っ…」タッタッタ
男「なんだ…?駆け足で部屋出てって…」
男「というかここって…」
許嫁「すいません!男が、男が目をさましました!」
男「病室?」
医師「おお、目をさましたのかね!男君」
男「…?」
医師「君は二週間近く眠り続けていたんだよ」
男「え…?どうして…」
看護師「何か覚えていませんか?」
男「何って…んん…?なんだ?俺に何かあったのか、許嫁…?」
許嫁「………………」
医師「記憶が曖昧なようだね。まあいい、もう一回脳に異常がないか検査するから」
男「???」
許嫁「それで、男は…」
医師「うむ。脳に異常は見られなかった。目立った外傷は腕の骨折だけだね」
許嫁「じゃあ…」
医師「二週間も眠っていたのも、やはりショックからきていたんだろうね。記憶も少し飛んでいるようだし…」
許嫁「…………」
義母「あの…このことは本人に伝えた方がよいのでしょうか…」
医師「今はまだ…そっとしておいた方がいいでしょう…」
男「脳にはどこにも異常なかったってさ」
許嫁「らしいわね。とりあえず明日には退院できるらしいわよ」
男「いいのか?そんなんで。俺2週間ずっと寝てたんだろ?」
許嫁「いいんじゃないの。お医者様が言っているんだから」
男「うーん…まあなんにせよ心配かけて悪かったな」
許嫁「思い上がりもいい加減にして頂戴」
男「…」
許嫁「今日はたまたま学校帰りに病院寄ったら、あなたが起きてしまったんだもの」
男「なんだよその言い方…ひでえ…」
許嫁「それじゃあ、また明日来れたら来るから」
男「いいよ、そんな無理しなくても。俺どうせ明日退院できるんだし」
許嫁「無理なんかするわけないじゃない。必要ないと思ったら来ないわ」
男「あ、そう…」ずーん
許嫁「じゃあね」
男「……」
男「2週間か…そんなに寝てたなんて信じられないな…」
男「2週間前…俺はなにやってたんだ…?」
男「……」
父「家族でこうしているのも久しぶりだなあ」
姉「あんたいつの間に婚約者こしらえたんだって?むかつくぅ」
男「そ、そんなんじゃないって…」
父「向こうでの生活はどうだ?」
姉「ラブラブぅ?」
男「うっせ」
姉「相手の人ってどんな人なの?」
母「可愛い子よ」
男「でもおっかないぞ」
父「将来尻にしかれるなーこりゃ」
男「ははは…」
姉「ねえねえ、もう毎晩しっぽりしちゃってる仲なの?ねえねえ」
男「おま…ちげーよ!」
姉「はーん?」
母「なによ後ろでこそこそ話してー」
父「あれ、なんか後ろのトラックの様子がおかしいぞ」
姉「え…なんかフロントガラスなヒビが入ってるよ!」
父「あ、危ない!!」
姉「キャーーーーー!!!」
男「っ!!はぁ、はぁ、はぁ!」
男「ゆ、夢か?」
男「……」
男「…………」
看護師「あら、男さん起きましたか?」
男「……」
看護師「どうかしましたか?」
男「なんで俺の家族は見舞いに来ないんですか?」
看護師「え、えっと…」
男「どうして…ねえ、どうして!!」
看護師「男さん、落ち着いてください!」
男「なんで何も言ってくれないんですか!!あああああああ!!!!」
許嫁「っ!」
許嫁「男、落ち着きなさい」ぎゅうっ
男「い、許嫁…」
許嫁「大丈夫だから…ね」ぎゅっ
男「……」ぎゅうっ
許嫁「落ち着いたかしら」
男「うん…あ、あの」
許嫁「なに?」
男「もうちょっとこうしてていい…?」
許嫁「ええ」ぎゅっ
義母「おはよ。男君」
男「すいません…朝から呼び出して…」
義母「いいのよ。それより許嫁、あなた学校サボったのね?」
許嫁「いいじゃない今日くらい。あ、お父さんには言わないでね」
義母「はいはい…それじゃあどこから話そうかしら」
男「あの…俺の家族は…」
義母「……」
義母「あなた達家族は、2週間前事故にあったの」
男「えっ…」
許嫁「っ…」ぎゅっ
義母「その事故で…お父さんとお母さんは…」
男「そ、そんな…嘘ですよね?」
義母「……」
男「うそだ…そんな…」
義母「ふたりの葬儀もこの前取り行ったわ」
男「うそだ…うそだうそだ……」
許嫁「男…」ぎゅうっ
男「姉さんは…姉さんは生きてるんですか!?」
義母「お姉さんは…生きているわ。かろうじて…」
男「っ!!どこにいるですか!」
義母「お姉さんもこの病院に入院しているわ」
男「よ、よかった…」
義母「ただ」
男「へ…?」
義母「お姉さんは植物状態で…それで今も危ない状態よ…」
男「は、はは…は……」
男「ただい…ま…」
女中「アラ男さん、お元気になったのですね」
男「ええ、まあ…」
義父「おお、男君じゃないか。退院おめでとう」
男「どうも…」
義父「……」スタスタ
男「…?」
許嫁「お父さん、最近ずっとカリカリしてるのよ」
許嫁「あなたも病み上がりの身なのに申し訳ないけど、あんまり触れないであげて」
男「あ、うん…」
許嫁「それより、あなたなんか臭いわ」
男「病院生活でろくに風呂入ってなかったから…」
許嫁「今すぐ入ってらっしゃい。不快だわ」
男「あ、はい…」
男「にしても…利き手が骨折してるから脱ぎにくいな…」
男「ああ…せめて包帯だけでも外してもらえばよかった」
許嫁「あら、ずいぶん時間がかかってるみたいね」
男「ぎゃあああ!!入って来ないでよ!!」
許嫁「なによ、今更裸見られたくらいで」
男「いや…でも…」
許嫁「その手じゃやりにくいでしょ。手伝ってほしい?」
男「え、も、もちろん…」ドキドキ
許嫁「それじゃあ女中さん呼んでくるわね」
男「え…ちょ…ちょっと…」
許嫁「なによ」
男「いや…なんでも…」ずーん
許嫁「そう。それじゃ」スタスタ
男「……はぁ」
許嫁「ねえ、本当に女中さんでいいの?」ひょこ
男「うわ!びっくりした!」
許嫁「どうなの?」
男「え、えっと…」
許嫁「……」
男「い、許嫁にしてもらいたい…です…」
男「うおお…許嫁とお風呂だなんて…」
男「やばい…興奮がおさまらない…」
しゅるしゅる
男「すりガラス一枚の向こうで許嫁が服を脱いで…」
許嫁「男、入るわよ」
男「ひゃ、ひゃい!」
男「……」
許嫁「なによ」
男「いや、裸じゃないんだなって…」
許嫁「当然よ。濡れてもいい服だし」
男(期待して損した…)
男(でも…)
許嫁「頭にお湯かけるわよ」
男(薄着だし…いいか…許嫁の薄着は貴重だ…)
男(いかんいかん…こんなことばっかり考えてたら…)
許嫁「シャンプーするわよ」しゃこしゃこ
男「んっ…気持ちいい…」
許嫁「そう。…あら」
男「なんだ?」
許嫁「あなた将来ハゲそうね。突然ズルっときそう」
男「嫌なこと言わないでよ!」
許嫁「体も洗うわよ」
男「あひっ」
許嫁「変な声出さないで」
男「だ、だって…」
男(たまにタオルからはみ出る許嫁の指がくすぐったくて…)
許嫁「あら。背中にすごい長いほくろ毛」
男「ああ、それ育てて…」ブチッ
男「いって!」
許嫁「見て、こんなに長かったのよ」
男「ひどい!」
許嫁「じゃあ前も洗うから」
男(ついにきたか…)
許嫁「~♪」しゃこしゃこ
男(変なこと考えちゃだめだ変なこと考えちゃだめだ)
許嫁「手、どかして。下の方洗えないわ」
男「で、でも…」
許嫁「そっちの毛もずいぶん長いわね。全部で何本くらいあるのかしら」
男「ひっ!どけるから怖いこと言わないで!」
男(どかしたものの…股間はわざと避けて洗ってるのか?)
男(そりゃそうか…)
男「あっ!」
許嫁「だから変な声出さないで」
男「オトコはみんな内股は弱いんだよ!」
許嫁「そんなこと知ったこちゃないわ」ぬりゅ
男(くっ…我慢だ我慢だ…)
男「んっ…くっ…」
許嫁「なによ、そんなにダメなの?だらしないわね」
男「そんなこと言われたって…ひゃっ」
男(変なこと考えちゃだめだ変なこと考えちゃだめだ)
男(考えちゃだめだ…許嫁の指が細くて柔らかいなんて…)
男(許嫁の細くて柔らかい指が…俺の股間の間際を…)
男「あっ…だめっ…!」むくむく
許嫁「…っ!」
男(許嫁の冷やかな視線がつらい…)
男「あの…これは…)
許嫁「いいわよ、見逃してあげる。病院生活長かったものね」
男「……」
許嫁「じゃあ、最後にそこ洗うから」ぬりゅ
男「うっ…くっ…はぁ」
男(そんな優しく撫でるように洗われたら…変な声出ちゃう…っ)
許嫁「…はい、おしまい」
男「…え」
許嫁「あとは石鹸流すから」
男「ま、待って!」
許嫁「なによ。手離しなさい」
男「あ、あの…えっと…」
許嫁「いつまでもこんな所に触っていたくないんだけれど」
男「そ、その…」
許嫁「………」
男「………」
許嫁「はぁ、いいわよ」
男「えっ?」
許嫁「もう少しだけ『洗って』あげるだけだからね」
男「んっ…くっ…」
許嫁「こうかしら」
男「もっと強くしてくれても…あっ…」
許嫁「はぁ、絶対こうなると思ってた」
男「…すいません」
男(タオルが柔らかくて…いいっ…)
男(手じゃしてくれないのかな…それでも…)
男「うぅっ…はぁっ…」
許嫁「腰そんなにくねくねさせないで。洗いにくい」
男「そんなこと…言われたって」
許嫁「この辺もよく洗ったほうがいいかしら」
男「うわあっ!そ、そんな先っぽばっかり責められたらっ!」がくがく
許嫁「……」
男(許嫁が恥ずかしそうにしてる顔…すごく可愛い…)
許嫁「ひ、人の顔じろじろ見ないでよ。ばか。」くちゅくちゅ
男「あっ、あっ!」
男「あっ…許嫁…そろそろいきそう…っ」
許嫁「えっ…えっ?」
男「もっと速くっ」
許嫁「っ…」ぬりゅぬりゅ
男「くっ…許嫁っ…許嫁ぇ…」
許嫁「……………ちゅっ」
男「っ!!」
許嫁「んちゅっ…れろっ…ふっ…」
男(そんな…今キスされたら…あっ…!)
男「んっ…んううぅぅ!!!」
許嫁「ちゅっ…ちゅぷっ…れろっ…」
男(んはあぁ…脳がとろけそう……)
許嫁「…はい、今度こそおしまい。石鹸流すわよ」
男「……」ぼぉぉ
許嫁「湯舟で温まって、お風呂から出たらまた呼んで頂戴。体拭いてあげるから」
男「…うん」
男「………はあぁ」
男「寝る前に水飲んでから寝るかな…」
男「ん…?居間から声が…」
義父「向こうの会社は乗っ取られたよ」
男(うちの…?)
義父「もともと社長のワンマン経営だったからな。亡くなってから社内でごたごたがある内に…」
義母「それじゃあ…」
義父「最善を尽くしてるがね…」
男「………」
男「ただいまー」
男「父さん?母さん?いるんでしょ?」
父「やぁ、おかえりなさい」
男「う、うわあああぁぁっ!!」
父「私の腕が見つからないんだ…私の腕がぁ…」
男「うわあああぁぁぁぁっ!!」どんっ
男「って…母さん…?」
母「男、私の目がないのぉ…探してくれないかしらぁ…」
男「わあああぁぁぁぁっ!!」
男「ね、姉さん!よかった、無事だったのか」
姉「………」
男「父さんも母さんもなんか変なんだ!ふたりとも…」
姉「………」
男「姉さん…?」
姉「………」
男「こっち見てないでさ…なにか喋ってよ…ねえ…」
………と…こ……
姉「…………」
男「う、うわあああああああああああ!!!」
……とこ…
男「なんで…なんでこんなことに!」
男「あああああああああああああああああああ」
許嫁「男!」
男「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
許嫁「男?」
男「はぁ、はぁ…夢…?」
許嫁「かなりうなされていたわよ」
男「はぁ…はぁ…」
許嫁「お水飲みにいきましょ。落ち着くから」
男「うん…」
男「ごく…ごく…」
許嫁「どう、落ち着いた?」
男「…うん」
許嫁「そう。寝れそう?」
男「…寝たくない」
許嫁「じゃあ一緒に朝まで起きてましょ」
許嫁「今日からもう学校行ける?」
男「うん…家にいたってしょうがないし」
男(居辛いし…)
許嫁「そう。それなら久しぶりにお弁当つめなきゃね」
男「あ、ありがと…」
許嫁「なにか入れてほしいおかずはある?」
男「うーん…ハンバーグ?」
許嫁「じゃあそれは外しておくわ」
男「なんだよそれ…」
男友「お、男!」
男「おっす」
男友「よかったぁ…心配したんだぞ、お前お見舞いに行っても全然起きねえし」
男「はは…」
男友「あ、安心しろ。クラスでお見舞いに行った奴ほとんどいないから」
男「そんなこと聞きたくなかった…」
男友「クラスで作ってた千羽鶴も結局間に合わなかったしな。ドンマイ!」
男「はあ、なんかショックだ…許嫁も学校帰りにたまにしか来なかったって言うし…」
男友「ははは」
友1「あ、許嫁ちゃんじゃん!」
友2「超久しぶり!2週間くらい学校来てなかったじゃんあんた!」
許嫁「ちょっと…声大きいって…」
友1「旦那は?よくなったの?」
許嫁「ええ、まあ…」
友2「そっかぁ。よかったねぇ。付きっ切りで見たかいがあったわけだ」
男友「聞きました、今の?」
男「……」カァァ
男友「いやぁ、通りで最近許嫁さんを見なかったわけだ。くうぅ、なんか無性に腹立って来たぞ俺」
男友「さ、飯にするか」
男「おう」
男友「って、お前その手でどうやって食うんだ?」
男「左手でスプーンで…って箸しか入ってないし…」
男友「なら俺が食わせてやろうか?あーん」
男「やめろきもい」
許嫁「男、いる?こっちの教室きなさい」
男「っ!」
男友(あっ、なるほど…)
許嫁「ほら、あーん」
男「あ、あのさ、食べさせてくれるのは嬉しいんだけどさ」
許嫁「なに?」
男「ここ教室じゃん…」
許嫁「仕方ないでしょ。外で食べようにもさっきから雨降ってきちゃったんだから」
男「は、恥ずかしい…」
許嫁「あなたに恥ずかしいなんて感情があったなんて驚きだわ」
男「ひどい!」
男「………」ぷしゅー
男友「おお、燃え尽きてるなー」
男「穴があったら入りたい…」
男友「人集りができてたもんな。俺も見てたぞ^^」
男「はああぁ……」
男友「童貞どもは悶えるわ、さっきまで調子に乗ってたチャラ男はキレて出ていくわ、見てて飽きなかったぞ」
男「もうやだ…」
男(はぁ…帰ってきてしまった…)
男(家、居辛いんだよなぁ…)
男「はあぁ…」
許嫁「なによ、元気ないわね」
男「いや…うん…」
許嫁「…そうだ。お風呂に入りましょ」
男「えっ」
許嫁「今なら誰もいないし…家族がいるときじゃ入りづらいでしょ?」
男「う、うん…」
男(こんなに気が滅入ってるのに、こういうのには期待しちゃうなんて、俺人間として最低だな…)
男(いや、こんなときだからこそ誰かに甘えたいのかな…はは」
許嫁「入るわよ」
男(どうせまた服を着て…ぶっ!?」
男「な、なんで裸なんだよ!」ぷいっ
許嫁「なんでって…一緒に入る方が効率いいじゃない」
男「それは…そうだけど…」
許嫁「昨日あのあと入り直したらのぼせちゃったんだから」
男「ごめん…」
許嫁「とにかく、さっさと洗って出るわよ」
許嫁「……」しゃこしゃこ
男(昨日もしてもらったのに…なんかドキドキが全然違う…というか…)
男(胸が…度々直にくっついて…あっ、またっ…!)
許嫁「ちょっと、鼻息荒いわよ。気持ち悪い」
男「は、鼻息なんてしてねえよ!」
許嫁「はいはい流すわよ」ジャーーー
男「がばぼがぼぼぼ」
許嫁「ほら、ばんざいして」
男「ん…」
男(夢にまで見た許嫁の胸が…俺の目の前に…)
男(さ、触りたい…)
許嫁「ちょっと…そんなに舐め回すように見ないでくれる?」ぱっ
男「て、手で隠すくらいなら最初からタオルとかまいてよっ…」ぷいっ
許嫁「そんな手間かけるくらいなら、あなたの目に石鹸を入れた方が早いけど」
男「ごめんなさいやめてください石鹸近づけないで」
男(昨日みたいにまたしてくれるのかな…)びくっ
許嫁「あなたのそれ、さっきから何もしていないのに跳ね回ってるけど」
男「これは…だって…」
許嫁「悪いけど今日はなしね。体に障るから」
男「そ、そんな…」
許嫁「ほら、石鹸流すわよ」
男「うう…」
許嫁「先に湯船に浸かってなさい。出たいなら体拭いてあげるから、そのときは言って」
男「うん…」
許嫁「……」しゃこしゃこ
男(女の子が体洗ってるところを見るのってなんか不思議だな…)
男(というかやっぱりまじまじと見てしまう…)びんびん
許嫁「ん…」
男(抜きたい抜きたい抜きたい…)
男(女の子の風呂って長いんだなぁ、やっぱ…)
許嫁「ずいぶん長湯ね。のぼせるわよ」
男「あ、うん…」
男(せっかく許嫁の裸を見れるチャンスなのに、途中で出るなんてもったいない…)
許嫁「そろそろ私も入るわね」
男「っ!」
許嫁「…」ちゃぷ
男「……」ぎらぎら
許嫁「どう、少しは気分が晴れた?」
男「え…?」
許嫁「お風呂入るまでずっと陰鬱としていたから」
男「あ、うん…お陰様で」
許嫁「そう。よかった」てれっ
男「っ!!!」
男「許嫁っ!!」ぎゅっ
許嫁「え、ちょ、ちょっと、なに?」
男「っ…」ぎゅうっ
許嫁「なんなのよ…」
男「お、俺…許嫁が…」
許嫁「…私がほしくなっちゃったの?」
男「っ…」ぎゅうっ
許嫁「男…」
男「ごちそうさま…」
義母「あら、もういいの?」
男「はい、なんか食欲がなくて…」
義母「そう…」
義母(やっぱりショックなのかしら…それに…)
義母(もう、二人が結婚する必要なんてないんだものね…)
男「ここは…車の中…?」
姉「………」
男「ね、姉さん…?」
父「………」
母「………」
男「父さん、母さんも…」
父「なんだい…男」ぐちゃっ
母「どこにいるの、男」ぐちゃぐちゃっ
男「うわああああぁぁぁっ!!」
男「明かりもなにもついてない高速道路…」
男「ど、どこへ連れて行くんだよ!」
姉「………」
男「おいっ!おいってば!」
キキーーーーーッ
男「わあああああぁぁぁぁぁっ!!」
男「はぁ、はぁ、はぁ、また変な夢…」
許嫁「男…?」
許嫁「またうなされていたわよ」
男「うん…」
許嫁「またお水飲みに…」
男「許嫁、話があるんだ…」
許嫁「…何?」
男「俺たち…別れよう…」
許嫁「……」
男「俺の父さん…死んじゃっただろ」
許嫁「そうね」
男「社長もう関係ない人に変わっちゃった」
許嫁「そうだったわね」
男「だから、お互いが人質になる必要なんてもうないんだ…」
許嫁「……」
男「多分俺が何も言わなくても、お義父さんが何か言ってくると思うよ」
許嫁「……」
男「はは…よかったじゃん…許嫁ももともと嫌だったんだろ、この結婚」
許嫁「よくない…」
男「え…?」
許嫁「あなたはそれでいいの?私と別れたらあなたはもうほんとに一人きりなのよ?」
男「……」
許嫁「黙ってないでなんとか言いなさいよ」
男「許嫁とは離れたくないけど…でも許嫁が…理由だって…」
許嫁「じゃあ言うわ。私はあなたのことが…」
許嫁「あなたのことが好きだったわ。結婚の話が出る前から」
男「え…でも…」
許嫁「あなたはどうなのよ。ぐちぐち言い訳ばっかりして」
男「お、俺だって…」
男「俺だって許嫁のことが好きだよ!」
許嫁「それならお父さんに頭でもなんでも下げなさい。私もそうするから」
男「はい…はい……」
許嫁「なに泣いてるのよ…ばか」ぎゅっ
男「うっ…ううっ…」
許嫁「落ち着いた?」
男「…うん」
許嫁「…だいたい言ってることが無茶苦茶なのよ」
男「ごめん…」
許嫁「私の体をさんざ弄んだくせに、後ろ向きな気持ちになったらそれ?」
男「うっ…だってあれは…」
許嫁「赤ちゃんだってできたかもしれないのに」
男「……」
許嫁「初めては固いタイルの上じゃなくて、ちゃんとお布団でしたかったわ」
男「ごめん…」
許嫁「悪いと思うなら、これから私を、あなた自身も全力で幸せにしなさい」
終わりました
レスの進み具合に泣きそうになりながら書いたんで、
オチも弱いしおかしいところだらけだと思います。すいません
途中でID変わりまくってるけど、多分全部自分です
さるさんに引っかかりまくったんで変えてました
しかし 二人に幸あれ。