1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:31:48.65 +FmiQ3SD0 1/57

月曜日

「ええと確か……
天界で失敗してしまって、神様に下界へ研修に行けって言われたから、家に泊まらせてほしい
って言ったんだよな?」

天使「はい」

「そんな急に言われても……
俺の家じゃなきゃダメなのか?」

天使「はい
神様がここへ行けって
あ、下界では神は賽を振らないと言いますよね
実際その通りで、きっと何か理由があるんです
人間なんかと同居するのは嫌ですが、私このままでは帰れませんから」

「この家1Kだけど大丈夫?」

天使「大丈夫です」

「それならいいけど……」

元スレ
男「家に1週間泊まらせてほしい?」天使「はい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359196308/

3 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:36:51.91 +FmiQ3SD0 2/57

「あ、もうこんな時間
学校行くから、大人しくしててよ」

天使「学校……ですか」

「ん?」

天使「私も着いていっていいですよね?」

「いやいや、ダメだよ!
その学校の生徒じゃなきゃ入れないって」

天使「この国の人間が必ず通う学校というものを知ることが、研修に繋がるような気がします」

「まいったな……
じゃあ、校長やってる伯父さんに頼んでみるから少し待ってて」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:39:11.82 +FmiQ3SD0 3/57

天使「待ってください」

「え?」

天使「出来るだけ私の身分は隠してほしいんです」

「何で?」

天使「それには深いわけが……」

「……分かった、聞かないでおくよ」

プルルルル

「もしもし、伯父さん?」

……

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:44:32.99 +FmiQ3SD0 4/57

「1週間限りの転校生って形で入れてくれるってさ
伯父さんも人の事情には深入りしないタイプだから、君のことはあまり言わずに受け入れてくれたよ
まあ今回は人じゃなくて天使なんだけど」

天使「そうですか、じゃあ行きましょう」

「(軽く流された……)」

……学校

先生「えー、今日は突然だが転校生が来ることになった」

「(何も僕のクラスに入れなくても……)」

天使「初めまして、女(偽名)と言います
よろしくお願いします」

「きゃあ可愛いー!」「これは天使ですな、フヒ」

先生「それじゃあ……お、ちょうど男の隣の席が空いてるな
そこに座ってくれ」

天使「分かりました」スタスタ

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:47:31.97 +FmiQ3SD0 5/57

「たぶんこの後の休み時間で質問攻めになるから、気をつけてね」ヒソヒソ

天使「そうですね」

……休み時間

「女ちゃんはどこ生まれなのかな?フヒ」

天使「遠いところです」

「(やっぱり質問攻めにあってる)」

「ねぇねぇ、女ちゃんは何処に住んでるの?」

天使「あの人と同じ所です」

「え?」

「(お、おいこら!)」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:50:26.01 +FmiQ3SD0 6/57

「へー、あのぼっちの男君と……
何で一緒に住んでるの?」

天使「え?それは……」

「い、いとこなんだよ!
その子の親の事情で1週間だけ僕が引き取ることになったんだよ」

「へえ~
1週間しかいられないんだね、残念」

「(危ない危ない……)」

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:54:51.86 +FmiQ3SD0 7/57

キンコンカンコン

「あ、授業だ」

天使「さっきは助かりました
人間の割には機転が聞きますね」

「人間の割にはって……」

数学教師「いきなりだが、この前の宿題……実力を図る為にも女、やってみろ」

「(大丈夫かな……)」

天使「f(x)=3x^2です」

数学教師「正解だ」

「凄いね」

天使「職業柄、処理能力はありますから」

「職業?」

9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 19:57:52.06 +FmiQ3SD0 8/57

天使「人間の運命を司る仕事です
正直、人間の為にやるこの仕事はあまり好きではないんですけど」

「じゃあその仕事でミスをして……」

天使「嫌いだから適当にやっていたんですよ」

「なるほど……
それにしても、結構人間を見下してるんだね」

天使「当然です
私の処理能力から見れば人間の処理能力は遥かに劣りますから」

「まあね」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:01:18.69 +FmiQ3SD0 9/57

……放課後

「そういえば、伯父さんが用意してくれた制服と初めに着ていた白い服以外ないけど、天使も洗濯とかするの?」

天使「天界は下界と違って綺麗ですからしません」

「じゃあ下界ではする必要があるわけだ
服買っていこうか」

天使「分かりました」

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:06:17.19 +FmiQ3SD0 10/57

……服屋

「この服なんかどうかな」

天使「あ、結構可愛いですね
試着してみます」

「どうぞ」

「(ファッションが好きだなんて人間の女の子らしいところもあるんだなあ)」

天使「どうですか?」

「すっごく似合ってるよ!」

天使「じゃあ、これ買いましょう」

「あ……」

天使「何ですか?」

「下着はいらないの?」

天使「代えは持ってきました
さすがに人間なんかに私の下着を買わせるのは恥ずかしいですから」

「(その恥ずかしいってのは多分下等な者にプライベートな事まで気にされるのが恥ずかしいってだけなんだろうな……)」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:09:11.44 +FmiQ3SD0 11/57

……家

「さて、いただきます」

天使「何ですかこれは」

「コンビニ弁当だけど」

天使「もっとこう……知恵の実とかないんですか?」

「知恵の実は天界でも食べちゃダメでしょ」

天使「知ってましたか
天界に比べれば陳腐ですが、いただきます」パクッ

天使「!!」

「どう?ハンバーグ弁当」

天使「天界に比べればまだまだですね」パクパクパクパク

「(美味かったんだ)」

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:20:05.32 +FmiQ3SD0 12/57

「突然の交通事故で両方ね」

天使「そうですか」

「天使には分からないだろうけど、ものすごく辛かった」

「頼れる人は伯父さんしかいなかったし」

「だから、君が来てくれて感謝してるよ
ちょっと賑やかだしね」

天使「……」

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:23:16.74 +FmiQ3SD0 13/57

「そろそろ寝ようか」

天使「はい……」

「あ、そういえば布団一つしかないや」

「この布団使ってよ
僕はキッチンで寝るから」

天使「でも」

「天使は人間より上なんだから当然でしょ?」

天使「……はい……」

……

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:26:37.10 +FmiQ3SD0 14/57

火曜日

「へえっくしょん!」

「37.8分か……さすがにキッチンで布団なしはきつかったかな」

天使「これが風邪ですか」

「まあね」

天使「では私も、今日は学校休みます」

「ダメだよ」

天使「この前みたいにフォローが必要になったとき困りますから
それに風邪には看病が付き物だと天界から見たことがあります」

「……ありがとう」

天使「いえ」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:30:17.10 +FmiQ3SD0 15/57

天使「おかゆ作りましょうか」

「ごめん、お米ないんだ」

天使「では私が買いに行きましょう
ちょうど昨日買った服を今来てますからね」

「分かった、お願い
これ財布だから……」

天使「はい、では行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「(天界から見てただけあって、ある程度常識あるし、大丈夫だよね)」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:34:13.66 +FmiQ3SD0 16/57

天使「こ、これがスーパーですか」

天使「広くて大変ですね……」

天使「お米の種類もいっぱいです……」

天使「これにしましょう」

店員「○○円になります」

天使「えーっと、これで」

店員「5000円札からでよろしいですか?」

天使「は、はい(5000円札から?)」

店員「お釣りになりまーす」

天使「え?(お釣りに変化するんですか?これ)」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:36:09.13 +FmiQ3SD0 17/57

天使「買ってきました
……そういえば、人間の言語は難しいですね」

「え?」

天使「何でもありません
早速作ります」

「うん」

「(一番高いお米買ってきたのか……)」

22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:40:04.22 +FmiQ3SD0 18/57

天使「どうぞ」

「いただきます」パクパク

「おいしい!」

天使「朝においしいおかゆの作り方がやっていましたから」

「そうなんだ」

「それにしても、わざわざ人間の為にありがとうね」

天使「べ、別に人間の為なんかじゃないです……!
私が布団を占領したから……」

「責任を感じてるんだね……」

天使「はい……」

「気にしなくていいよ
大分良くなってきたし、これも君のお陰だよ」

天使「本当ですか?」

「うん
ほら、もう熱も下がっちゃったし」

天使「本当ですね!」

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:41:46.80 +FmiQ3SD0 19/57



「一緒の布団なんかで大丈夫?」

天使「天使は風邪引きませんから」

「そうじゃなくてさ……」

天使「?」

「いや、何でもない!
お休み!」

天使「?
お休みなさい」

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:47:43.13 +FmiQ3SD0 20/57

水曜日

天使「さて、今日も学校に行きましょう」

「今日は開校記念日って言って、休みなんだよ」

天使「そうなんですか」

「だから、今日は出かけようと思うんだ
色々人間の世界を見て回れば何か学べるかもしれないだろ?」

天使「それもそうですね」

「買った服は干してあるから制服になるけど、大丈夫だよね?」

天使「はい」

「それじゃあ出かけよう」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:50:03.28 +FmiQ3SD0 21/57

……遊園地

天使「ここは……遊園地ですね」

「うん、見たことはあっても来たことはないでしょ?
やっぱり遊園地は体験しないとね」

天使「そうですね」

「それじゃあ早速、ジェットコースター乗ろうか」

天使「えっ」

「え?」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:52:50.10 +FmiQ3SD0 22/57

天使「」ガクガク

「大丈夫だって
というか普段めちゃくちゃ高い所にいるでしょ」

天使「高いと速いは別です!」

「それはまあ」

「あ、動き出した」



「この急落下からの流れが醍醐味なんだよね」

「おおー!」

天使「……」

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 20:54:52.53 +FmiQ3SD0 23/57

「ちょっ、大丈夫?」

天使「大丈夫じゃ……ないです……」

「ごめんごめん
今度はもっと穏やかなやつにするよ
あのメリーゴーランドに乗ってみようよ」

天使「見たことあります……急回転するやつですよね……」

「それはコーヒーカップ
メリーゴーランドはゆっくりだから本当に大丈夫だって」

天使「そこまで言うなら……」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:00:36.84 +FmiQ3SD0 24/57

天使「ゆっくりです!すごいです!」

「でしょ?」

……

天使「楽しかったですね!」

「うん!」

「次は……お化け屋敷でも行く」

天使「霊ならよく見かけるので行ってもしょうがないと思いますよ
ほら、後ろにも」

「そりゃそっか……ってええ!?」

天使「冗談です」

「それは良かった……
じゃあ観覧車でも乗ろっか
これも普段高いところから見てるからつまらないかもしれないけど」

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:06:29.29 +FmiQ3SD0 25/57

天使「天界からとはまた違った景色です!」

「今日は楽しめたみたいで良かったよ」

天使「ジェットコースターはこりごりですけど」

「そうだね」



「あ、もう観覧車終わりか」

天使「よいしょ」

「じゃあ、どこかで昼ごはんでも食べてから帰ろうか」

天使「そうですね」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:12:34.34 +FmiQ3SD0 26/57

ファミレス

「どれにする?」

天使「このハンバーグ定食を」

「(やっぱり気に入ってたんだ)」

「すみません」

店員「はい」

「ハンバーグ定食一つ」

店員「ハンバーグ定食お一つ」

「あとミートソーススパゲティ一つ」

店員「ミートソーススパゲティお一つ」

「以上で」

店員「かしこまりました」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:15:17.96 +FmiQ3SD0 27/57

「今日は疲れたけど、本当に楽しかったね」

天使「はい」

「また来ようよ」

天使「え……はい……出来たら行きたいですね……」

「(あ、そうか……天使が下界にいるのは1週間だけなんだ……
楽しくて忘れてたよ………………」)」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:17:37.20 +FmiQ3SD0 28/57

天使「ハンバーグ定食、ミートソーススパゲティお待たせしました」

「はい」

天使「いただきます!」パクパク

「(本当に美味しそうに食べるなあ)」

天使「何ですか?私のことじっと見て」

「いや、何でも」

天使「恥ずかしいからやめてください」

「恥ずかしい……か
そうだね、分かった」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:19:05.29 +FmiQ3SD0 29/57

「ふう、ごちそうさま」

天使「ごちそうさまでした」

「じゃあ、帰ろうか」

天使「そうですね」

「(こんな日が、ずっと続いたらいいのにな……)」

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:23:03.43 +FmiQ3SD0 30/57

木曜日

「女ちゃんはよくテレビとか見る?」

天使「はい、見ますよ」

「(まだまだ人気は衰えないなあ)」

「じゃあ火曜日のあのドラマ見た?」

天使「すみません、その日は看病してましたので」

「看病?男君の?」

天使「はい」

「何で男君の看病なんか?正直物静かだし何考えてるか分からなくて怖いじゃん」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:26:15.57 +FmiQ3SD0 31/57

天使「怖い?」

「(なんかやな流れに……)」

「いきなり殴ってくるとかしそうじゃん」

「(そんなことするわけ――――)」

天使「男君はそんなことしません!」

「え?」

天使「それに昨日、遊園地に連れていってくれましたし!」

「ゆ、遊園地!?」ザワザワ

「ちょ、ちょっと来て女さん!」ギュッ

天使「え!?」

「」タッタッタッ

44 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:31:18.65 +FmiQ3SD0 32/57

「だ、ダメだって!遊園地に行ったことを言ったら」

天使「何故ですか?私の正体に関わることではないのですが」

「別問題だよ!」

天使「?」

「一緒に遊園地行ったなんて知られたらデートだと思われるんだよ」

天使「私は別に思われてもいいと思います」

「僕は今の立場が気に入ってるんだ
学校を静かに過ごしたいんだよ」

天使「……」

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:37:39.00 +FmiQ3SD0 33/57

天使「前、言ってましたよね
『伯父さんしか頼れる人がいなかった』と
『私が来てくれて賑やかになって嬉しい』と」

天使「本当は、誰かが一緒にいないと寂しいのではないんですか?」

「……」

天使「私はそのうち帰ります
その時あなたは、どうするんですか?」

「今まで通り過ごすよ
君が来る前の時のようにね」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:45:01.67 +FmiQ3SD0 34/57

天使「それでいいんですか?本当は寂しいんでしょう?」

「……」

天使「確かに私は帰ります
でも、今は私はここにいます
私が今は支えますから、友達を作りましょう」

「どうしてそこまで」

天使「え?」

「どうしてそこまでするのさ!人間を見下してるんでしょ!?」

天使「確かに私は最初見下していました
ただ、看病や遊園地を通して知ったんです!
楽しんだり、相手を思いやったりできる心を!!」

天使「私は遊園地に行けてとても楽しかったんです!それを恥ずかしがってどうするんですか?」

天使「私は思いやる心を知ったんです、だからあなたを、男君を思いやります!」

49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:49:10.83 +FmiQ3SD0 35/57

「確かに僕は寂しかったんだ……」

天使「男君……」

「ありがとう……その事を知ることがでたのは君のお陰だよ」

天使「色んな心を知ることが出来たのは男君のお陰です
だからそのお返しです!」

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:52:46.35 +FmiQ3SD0 36/57

「戻ってきた……」ザワザワ

「いやーバレたか!」

「なんか変わったな、男……」「前までは暗かったのにな」

「その時の様子詳しく教えてほしいです!フヒ」

「ああ、いいよ!」

天使「(頑張ってね、男君
あなたは私を忘れることになるから……)」

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 21:58:25.79 +FmiQ3SD0 37/57



「今日はありがとう」

天使「いえ、いいんです
そもそも私は人の運命を司る仕事をしていますから」

「そういえばそうだね
もうミスで人を死なせることもないだろうね」

天使「はい……
旅行に行くはずだった人達の心を思うと胸が痛みます」

「え……旅行?」

天使「確か家族みんなで旅行しようとしてたところで交通事故に合わせてしまったんです……」

「……」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:00:03.41 +FmiQ3SD0 38/57

「確かちょっと前にミスを起こしたんだよね?」

天使「はい」

「そうなんだ……」

天使「?」

「もう遅いし寝ようか」

天使「あ、はい」

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:02:47.27 +FmiQ3SD0 39/57

真夜中

「うぅ……グスッ……」

天使「(え?泣いて……?
そういえば男君の家族もちょっと前に交通事故で…………
………………)」

……

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:06:59.60 +FmiQ3SD0 40/57

金曜日

「おはよう」

天使「お、おはようございます……」

「はい、朝ごはんのパン」

天使「ありがとうございます……」

「?」

天使「私……聞いてしまったんです」

「……」

天使「男君の泣き声を……」

天使「私がミスして事故らせてしまった人が、男君の親だったから……」

「そ、そんな偶然あるわけないでしょ」

天使「私がミスについて話したとき様子が変わったのも……そのせいですよね……」

「……」

天使「本当にごめんなさい……」

「もう人を思いやれるようになったんだからいいよ
気にしないで」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:12:22.67 +FmiQ3SD0 41/57

「ほら、学校行くよ」

天使「はい……」

……学校

「このアニメはおすすめですぞフヒ」

「へえそうなんだ
じゃあ見てみようかな」

「……ゃん」

天使「(男君……)」

「女ちゃん!」

天使「あ、はい!」

「どうしたの?ボーッとして」

天使「いえ……別に……」

「で、昨日のバラエティだけどさー」

天使「(私が原因なんだ……何か男君に出来ることはないのかな……)」

59 : 訂正[] - 2013/01/26 22:17:00.45 +FmiQ3SD0 42/57

放課後

「あのでかいデパートへ買い物に行きたい?」

天使「はい」

天使「付き合ってくれますか?」

「別にいいけど……」

天使「ありがとうございます」

天使「(買い物に付き合わせると見せかけて、男君を励まそう)」

「じゃあ明日、学校休みだし行こうか」

天使「え?いいんですか?」

「せっかくだからね」

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:21:09.86 +FmiQ3SD0 43/57

土曜日
……デパート

天使「お店がいっぱいありますね!」

「そうだね」

天使「あの服屋入ってみましょう!」

「うん」

天使「これなんかどうでしょうか?天界でも着てみようかな」

「よく似合ってるよ!」

天使「でもこっちもいいですし……」

「さすがに僕に二着買うほどのお金はないよ
一人暮らしだからね」

天使「それは大丈夫です
どちらかに決めますから」

天使「(ん?一人暮らし……
はっ、私の方が楽しんでしまってます……)」

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:24:46.79 +FmiQ3SD0 44/57

天使「次はですね、あの美味しそうなお店にしましょう」

「(高そうだなあ……まあ、奮発するか)」

天使「あ……お金を使わせてばかりですね……」

「ううん、大丈夫だよ」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:30:54.93 +FmiQ3SD0 45/57

天使「私はこのハンバーグで」

「僕はこれで」

店員「かしこまりました」

天使「実はですね……」

「?」

天使「本当は男君のことを勇気づけようと思ってたんです……
私が原因で悲しませてしまったから……」

「またそのことかい?あれはもう……」

天使「それなのに私ばかり楽しんで……」

「私ばかり?それは違う」

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:31:52.35 +FmiQ3SD0 46/57

天使「え……?」

「僕も楽しかったよ
それに元気付けられた」

「確かに君が原因だって分かったときは葛藤に悩まされたけど……
でも、今日の件も含めて分かったんだよ
今の君は本当に人のことを思ってるって
もうそんなミスはしないって
だから全然気にしてないよ」

天使「男君……」

店員「ハンバーグお待たせしました」

「あ、来たよ
さあ、食べな」

天使「はい……いただきます!」

65 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:34:06.60 +FmiQ3SD0 47/57



「今日はありがとう、僕の為に」

天使「い、いえ」

「さあ、寝ようか」

天使「はい……」

66 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:37:38.22 +FmiQ3SD0 48/57

日曜日

「おはよう」

天使「おはようございます」

「1日中一緒にいられるのは、今日が最後だね……」

天使「はい……」

「最後だし、どこか行きたいところある?
また連れてくよ」

天使「……あの時行った遊園地に行きたいです」

天使「だって、また行こうって言ってましたから……」

「そうだね、じゃあそこにしようか」

68 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:41:57.67 +FmiQ3SD0 49/57

遊園地

「またジェットコースター、乗る?」

天使「……挑戦してみます」

「その意気だ!」

……

天使「……」

「やっぱりこうなったか」

天使「次行きましょう……」

「今度はコーヒーカップに乗ろうか」

天使「えっ」

「ゆっくり回せば大丈夫だよ」

天使「それなら……」

70 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:43:37.89 +FmiQ3SD0 50/57

「ね?」

天使「はい、ゆったりしてますね」

「それ!」

天使「えっ!」

天使「目が……」

「ご、ごめんやり過ぎた」

天使「やっぱりアトラクション系は苦手です……」

72 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:45:42.02 +FmiQ3SD0 51/57

天使「メリーゴーランドは本当にゆったりしてていいですね」

「さっきは本当にごめん!」

天使「もう大丈夫ですよ」

……

「終わったね」

天使「はい、次は……あ、あのお店行ってみたいです」

「グッズ屋か、お土産とか買っていけば?」

天使「そうですね、仲間の天使とかに買っていきましょう」

73 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:48:55.77 +FmiQ3SD0 52/57

天使「あ、見てくださいこれ」

「ん?2つ繋げると輪っかになるのか」

天使「2人でこれ、買いませんか?」

「そうだね!」

店員「っしたー」

「じゃあ……携帯に付けておこうかな」

天使「後は……観覧車ですね」

「うん……」

74 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:51:56.31 +FmiQ3SD0 53/57

天使「相変わらず、いい景色です」

「うん」

天使「私、明日には帰るんですよね……」

「そうだね……」

天使「とても楽しかったです
色々なことも学べたし、男君には感謝しています」

「こっちこそ気づかせてもらったことがあるからね
僕も感謝してる」

天使「そうですね……
あ、そろそろ地面ですよ」

「本当だ、時が経つのは早いね……」

天使「そうですね……」

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:53:13.88 +FmiQ3SD0 54/57

天使「じゃあ、帰りましょうか」

「うん、帰ろうか」



「お休み」

天使「お休みなさい」

77 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 22:57:52.61 +FmiQ3SD0 55/57

月曜日

神様「天使よ」

天使「神様!」

神様「お前はいつも仕事を適当にやって、そしてついにミスまで侵した
しかし、この研修は成功のようだ
これからお前は真面目に仕事をするであろう」

神様「我々の記憶を消すのを忘れずにな
この者が誰かに天使が来たなんて言ったら大慌てになってしまう」

天使「そうですね……
えい!」

天使「消しました……」

神様「では、帰るか」

天使「はい……」

天使「(さようなら、男君)」

84 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 23:11:18.46 +FmiQ3SD0 56/57

「何か大事なことを忘れてる気が……
遊園地に行ってみよう」

遊園地

「このストラップ、2つで1つになってるんだ……
じゃあ僕のストラップも誰かのストラップと2つで1つ……
誰だっけ……」

「男君!」

「?
この声……何だっけ」

「家に1週間泊まらせてください」

「私も着いていっていいですよね?」

「天界に比べればまだまだですね」

「私は思いやる心を知ったんです、だからあなたを、男君を思いやります!」

「てん……し……」

「!!」

85 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/26 23:13:16.56 +FmiQ3SD0 57/57

「ご丁寧に記憶を消していくなんて……余計なお世話だよ……」

「男君!」

「まだ声が聞こえるみたいだ……」

「男君ってば!」

「なんかはっきりしてるな……って……え……?」

天使「記憶消すの失敗したから、またしばらくここで研修みたいです
これからもよろしく!」

「いきなり現れてまた研修だなんて……」

「でも……また会えて嬉しいよ……!」

「こちらこそ、これからもよろしく!」



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