1 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:23:07 sNLrORlw 1/42

「何で?」

「幼、お前とは長い付き合いだが…」

「そう言えばはっきり言った事が無かったな」

「え?何?まさかいきなり告白?」

「はっきり言うぞ」

「う、うん」

元スレ
幼馴染「次回作にご期待下さい!」 男「無茶言うな」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1358943787/

2 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:23:53 sNLrORlw 2/42

「こう見えても、俺はゲイじゃないんだ」

「だからこんな薄い本の次回作に期待しろと言われても、無理なんだ」

「ホントごめんな」

「ちょっと!哀れみたっぷりの目で見ないでよ!」

「他人の趣味に文句付ける訳じゃないけど」

「そう言うの、買うのも、描くのもさ」

「内緒にしておいた方が良いと思うぜ」

3 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:24:17 sNLrORlw 3/42

「個人の趣味だから買ったり、描いたりしても良いけどさ」

「俺に言うなよ、見せるなよ」

「ぶっちゃけ、反応に困る」

「良い物は良い!と、大きな声で伝えたい!君に!」

「だから…男同士の恋愛に興味が無いんで…」

「こんな漫画を見せられても困るんだよ!」

4 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:24:44 sNLrORlw 4/42

「え?だって男、タイバニ好きでしょ?」

「好きだが」

「じゃあ、バーナビーが虎徹とアントニオに…」

「待て!」

「何?」

「タイガーアンドバニーが好きって所はオーケーだが」

「その後の言葉はいらない」

5 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:25:06 sNLrORlw 5/42

「何で?」

「何で虎徹とバーナビーとアントニオなんだ?」

「普通に虎徹とカリーナじゃ駄目なのか?」

「二次創作なのに、何でそんな普通のカップリングなの?」

「カップリング?」

「本編では無い事を妄想して描くのが良いんじゃんか!」

6 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:25:26 sNLrORlw 6/42

「ごめんな、興味を持ってやれなくて」

「だから哀れまないでよ!傷つくでしょ!」

「もういいよっ!」

「せっかく新刊出来たから、一番に見せに来たのにっ!」

「だから、謝ってるだろ?」

「絶対、男が面白いって言ってくれるような漫画を描いて見せる!」

「努力の方向を間違わないでくれな?」

7 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:25:46 sNLrORlw 7/42



「男がBLに興味が無いって言うのは解るけどさ」

「少しくらい興味を持ってくれても…」

男の妹「いやあ、やっぱり一般人にはキツいよコレ」

「そう?」

「私は慣れてるけど…結構直接的な性表現が…」

「えへへ…妄想が止まらなくて…」

8 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:26:10 sNLrORlw 8/42

「即ちキャラへの愛だよ、愛!」

「それはもう充分伝わってくるんだけどね」

「例えば、タイバニで言ったら…」

「カリーナとホァンが絡む話しとか、どう思う?」

「…それ面白いの?」

「女同士の絡みなんて…」

「お兄ちゃんもそれと全く同じ感想だったんじゃない?」

9 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:26:31 sNLrORlw 9/42

「う…そっか…」

「幼お姉ちゃんさぁ」

「そろそろ、その『同人誌を通して愛を伝える作戦』止めにしたら?」

「でも、漫画は…男が私の事褒めてくれた、ただ一つの事だから…」

「やっぱり漫画で伝えたいよ」

「普通の恋愛漫画じゃ駄目なの?」

「例えば、自分達の事を題材にしてみるとか?」

10 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:27:03 sNLrORlw 10/42

「え?オリジナル?無理無理無理!」

「キャラ設定考えるだけでもう無理」

「既存のキャラだからこそ…」

「あ、ここでこのキャラならこう言うなーとか妄想出来る訳で…」

「その妄想で、お兄ちゃんと付き合うまでの話しを描けば?」

「そんな話し、即売会で売れないんじゃないかなぁ」

「オフセットじゃなくて、コピー本でいいじゃん」

「お兄ちゃんの為に、1冊だけ作れば」

11 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:27:34 sNLrORlw 11/42

「なんかそれって、ラブレターみたいじゃない?」

「文字の羅列か、絵が付いてるかの違いがあるけど」

「まぁ、そうだね。ラブレターだね」

「…」

「幼お姉ちゃん、絵は上手いんだから」

「ちょっと描いてみれば?」

12 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:28:01 sNLrORlw 12/42

「解った…頑張ってみるよ」

「相談に乗ってくれてありがとね!」

「じゃ、さっそく帰って描いて見る!」
ガラッ
ヒョイッ



「はぁ…年上なのに」

「世話の焼ける2人だこと…」

13 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:28:25 sNLrORlw 13/42



「…さて、実はキャラデザは前に描いた事あるんだよねー」

「…」

「ちょっと設定も含めて、手直ししよう」

「これ、私、ちょっと可愛すぎるな」

「もうちょっと地味な感じにしよう」

14 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:28:54 sNLrORlw 14/42

「…地味と言えば黒縁眼鏡かな?」

「髪型ももう少し抑えて…」

「こんな感じかな?」

「良い感じに地味になったなー」

「男は逆にもうちょっと格好良くしようかな」

「髪は金髪にしようか」

「…金髪は校則違反だから」

「ハーフって設定にしよう」

15 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:29:13 sNLrORlw 15/42

「それじゃ、瞳の色も黒じゃない方がいいかな」

「あ!オッドアイにしたら格好良いな!」

「ハーフなら、もっと身長高くないとおかしいよね」

「足は長くなっちゃうよね」

「こんな感じかな?」

「うん、中々良くなった」

16 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:29:44 sNLrORlw 16/42

「次は設定…」

「私は男の幼馴染だもんね」

「ここははっきり描いた方が良いよね」

「王道の幼馴染物と一緒の設定で」

「お互いの部屋が隣り合ってて」

「ひょいっと行き来出来るって事に…」

「まぁ実際は私の部屋の隣りは妹ちゃんの部屋だけども」

「そこは漫画だもんね」

17 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:30:07 sNLrORlw 17/42

「…でも、この地味な外見で」

「積極的に男の部屋に行ったりするかな?」

「やっぱり自由に行き来してるって設定は無くそう」

「私は男の事をそっと慕っている存在って事にして…」

「男はその外見と性格の良さから、学校中の人気者って事にしよう」

「…そんな地味な私と格好良い男に」

「お隣さんって事以外、どんな接点が?」

18 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:30:53 sNLrORlw 18/42

「あ、放課後花壇の花に水をやったり」

「先生の手伝いをしたり」

「捨て猫をこっそり面倒見たりって言う行動を」

「男はちゃんと見てて、私の事が好きって事にしよう!」

「それで…やっぱりライバルとか必要だよね」

「モデルは…友君で良いかな」

「友君か…外見はどうしようかな」

「実物はパッとしないもんね」

19 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:31:16 sNLrORlw 19/42

「うん、男とは真逆のタイプにしよう」

「黒髪短髪で、ワイルド系が良いかな」

「で、幼馴染の事を一途に想う男とは逆に…」

「学校中の可愛い娘は片っ端から…ってキャラにしよう」

「そんで、ある日、眼鏡を取った幼馴染が」

「実は可愛いって事に気付いて」

「超積極的にアプローチを開始する…と」

「おぉぉぉぉ、何か滾って来たーーー!」

「初めてオリジナルを描けるかもしんない!」

20 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:31:50 sNLrORlw 20/42




真也『あぁ、恭二、俺達にはもう…』

恭二『そうだな、俺達の間には永遠の愛がある』

真也『もう、離さねーぜ』

恭二『それはこっちの台詞だ…真也』


おわり

21 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:33:30 sNLrORlw 21/42



「…えーと、はい、ちゃんと最後まで読ませて頂きました」

「で?どうだった?次回作に期待出来た?」

「だから、無茶言うなよ」

「えー?何でー?」

22 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:34:01 sNLrORlw 22/42

「先週も言っただろ?」

「俺はゲイじゃないんだよ」

「こんな漫画読まされても、反応に困るんだよ」

「これね、私たちがモデルなんだよ?」

「えっと…どの辺が?」

「この主人公の『真也』が男なの」

「俺、ハーフじゃないし、金髪でもないけど…」

23 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:34:24 sNLrORlw 23/42

「それに身長173センチだけど?」

「そこはほら、漫画だからさー」

「じゃあ、この最初の方だけ出て来る『真希』が幼?」

「そう!私はちょっと地味目にして見たんだー」

「途中から全然出なくなっちゃうけど」

「代わりに友君がモデルの『恭二』が…」

「だから!何でそっちメインにしちゃった?」

24 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:35:01 sNLrORlw 24/42

「最初はこの『真希』をめぐってのライバルっぽかったのに」

「途中から、お互いの事が気になって…」

「最後やっぱり男同士で愛し合うって…」

「俺、これを読んで、どう返せば良いの?」

「ひょっとして、俺と友の奴が付き合えば良いと思ってる?」

「ち、違うよ」

「あのなぁ、幼」

25 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:35:25 sNLrORlw 25/42

「折角描いた同人誌を読ませたいのは解るけどさぁ」

「俺が何か変なものに目覚めたらどうすんだよ」

「えっと…そうじゃなくて…」

「描きたかったのは、男モデルのキャラと」

「私モデルのキャラの恋愛だったんだよ」

「俺も最初はそう思ったよ」

「でも途中から違うじゃん!」

「完全にいつものBLじゃんか!」

26 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:35:50 sNLrORlw 26/42

「描いてるうちに何か、滾ってきちゃって…」

「腐女子だな、幼」

「ウチの妹も大概酷いけど」

「幼も結構重度だな」

「あぅ…これは違うんだよー」

「だから、幼の趣味に文句は付けないからさー」

「俺に感想を求めないで欲しいぜ」

27 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:36:09 sNLrORlw 27/42

「…もう一度チャンスを!」

「描き直してくるから!」
タタタッ

「あ…」

「つまり最初の部分の延長って事は…」

「幼と俺が付き合うって話しになるんだよなぁ」


「…今度はちゃんと感想言いたいなぁ」

28 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:36:35 sNLrORlw 28/42



「これはお兄ちゃんに同意せざるを得ないよ、幼お姉ちゃん」

「違うんだよ…途中でアイディアが溢れちゃって…」

「その気持ちはこの本を見れば解るよ」

「でも、やっぱりこれは違うよ」

「ちゃんとさ、お兄ちゃんに似せて描いて」

「話しも脚色するんじゃなくて、ありのままを描けば良いと思うよ」

29 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:36:57 sNLrORlw 29/42

「幼お姉ちゃん、こんな地味じゃないし」

「花壇に水やりとか、絶対しないでしょ?」

「…うん」

「そんな少女漫画みたいな話しじゃなくてさ」

「お兄ちゃんに伝えたい事を描けば良いんじゃないかな」

「ヤマとかオチとか無くても良いじゃん」

「そこは同人作家としての意地が…」

30 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:37:22 sNLrORlw 30/42

「その意地は今は封印で!」

「いい加減、只の幼馴染から…」

「一歩進んだ関係になりたいって言ったの、幼お姉ちゃんでしょ?」

「気持ちを伝える為の手段としての漫画なんだからさぁ」

「BL要素は封印して」

「普通に描いてみれば良いと思うよ」

「…」

31 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:37:46 sNLrORlw 31/42

「だから、この『恭二』ってキャラ要らない」

「う…全カット?」

「うん、この『真也』と『真希』の二人だけで良いよ」

「そっか…」

「ラブレター代わりなんだからね?」

「最後は二人が良い感じになって終わり」

「性的なアレは無しで!」

「そんな話しで良いと思う」

32 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:38:09 sNLrORlw 32/42

「それでお兄ちゃんに感想聞けば良いと思うよ」

「解った!」

「全部描き直してくる!」

「頑張って、幼お姉ちゃん!」

「それでは!」
ガラッ
ヒョイッ


「…もう直接告白すれば良いのになぁ」

「お兄ちゃんだって絶対、幼お姉ちゃんの事好きだもんね」

「気付いてないのは幼お姉ちゃんだけで」

33 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:38:33 sNLrORlw 33/42



真也『真希』

真希『何?』

真也『ほ、星が綺麗だな…』

真希『そうだね…』

真希『あ、流れ星…』

真也『…ぁ』



おわり

34 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:39:19 sNLrORlw 34/42



「次回作にご期待下さい!」

「お、おう」

「何その微妙な返事」

「幼、漫画描くの上手くなったよな」

「そう?照れちゃうなぁ、えへへ」

35 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:39:58 sNLrORlw 35/42

「そんじゃ、感想言うぞ」

「は、はい、聞かせて下さい」

「これ、キャラのモデルは俺と幼だよな?」

「一昨日持って来た奴と違って」

「この『真也』って、俺に似てるし」

「こっちの『真希』は幼に似てるな」

36 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:40:18 sNLrORlw 36/42

「幼馴染で、お互い意識し合ってるんだけど、素直になれない」

「最後、流れ星を見ながら、男が何か言いかけて、終わり」

「読んだ人が想像出来る様にしてみました」

「それで、この話しの続きはいつ描くんだ?」

「え?それは…その…」

「んじゃ、この話しの続きを俺が教えてあげよう」

「え?」

37 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:40:58 sNLrORlw 37/42

「これはな、きっと男の方から告白するんだ」

「あなたの事が好きです、俺と付き合って下さい」

「ま、漫画の話しだよね?」

「それに対して、彼女はこう答えるんだ」

「私も大好き!って」

「ねぇ、それ漫画の話しだよね?」

「どう思う?」

「い、良いんじゃないかなと…思います」

38 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:41:21 sNLrORlw 38/42

「それじゃあ、ここから現実の話しな」

「幼、昔からずっとお前の事が好きだった」

「俺と付き合って欲しい」
ペコッ

「あ、あの…私」

「どうかな?」

「ほ、本当に私で良いの?」

39 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:41:48 sNLrORlw 39/42

「私、腐女子だよ?腐ってるよ?」

「あぁ、良く知ってるよ」

「それでも…いいの?」

「幼が良い、て言うか、幼以外考えられない」

「俺の彼女になって下さい」

「う、うん…あぁ…まるで夢の様だよ…」

「夢じゃねえよ?」

40 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:42:09 sNLrORlw 40/42

「じゃあ、ぎゅってしても良い?」

「おう」
ぎゅっ

「…暖かいね」

「そうだな」

「これからもずっとずっとよろしくね?」

「こちらこそ」

41 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:42:31 sNLrORlw 41/42



「次回作にもご期待下さい!」

「無茶言うな」

「えー?何でー?」

「これ、モデルはウチの妹だろ?」

「そう、結構似てるでしょ?」

「俺の幼馴染と妹がイチャイチャしてる漫画の」

「次回作に期待なんて出来るか!」

42 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2013/01/23 21:43:04 sNLrORlw 42/42

「えー?男の人って、こんなゆりゆりしたのが好きなんでしょ?」

「大嫌いだ!…とは言えないが…」

「これはモデルが悪い」

「えー」

「俺の彼女が、実の妹に寝取られた感じがして、気分悪い」

「男ってば…」

「何だよ…」

「漫画と現実をごっちゃにしない方がいいよ?」



「その台詞、幼にだけは言われたくなかった!」



ほんとにおわり

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