1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/15 23:47:05.32 BsRh6UKu0 1/33

─────────────────────
 
 ─────12月22日 放課後─────


    ガチャ…

「ごめん、少し遅れた…って」

「あっ、澪ちゃんお疲れ~」

「先輩っ、お疲れ様です」ペコッ

「…練習、してるのか」

「ま、まあね~」

「あ、唯先輩。ここのコードは──」

    ♪~─~─~

(……関心関心)ウンウン

(でも、聴いたことないコード進行だな……)

(ふわふわでもなければ、ふでペンでもホッチキスでも……ん?)

「ん~~~~……」

元スレ
澪「律が……転校?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358261225/

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/15 23:57:36.36 BsRh6UKu0 2/33

「……ムギ?」

「ん~~~~……」

「……ム~ギ」ポンッ

「っわあ! み、澪ちゃん……いつからそこに?」

「今来たところだ、どうした? 難しい顔して」

「っえ!? え、いや……なんでもないわぁ」ニコッ

「そうだッ! お茶にしましょう?」

「あ、うん。そうだな」ニコッ

(怪しい……)

(……あれ、そういえば──)

「律はどうした? 確か、私より先に教室でたと思うんだけど…」

    ♪~─……

唯・梓・紬「……」シンッ─

「? ……?」

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:07:36.56 wIv1LBsU0 3/33

(なんだ、いきなりみんな黙り込んで……気味悪いな…)

「ど、どうしたんだよみんなッ。揃いも揃って静かになっ──」

   ガチャ…

「おーっす……」

唯・梓・紬「……」

「…おお、律。なんだ、どこかいって──」

「っしょっと……」ドサッ

「えっ」

(……ダンボール?)

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:14:12.79 wIv1LBsU0 4/33

「あ~ぁ疲れたなっと……ムギ、お茶ちょうだい」

「う、うん……」カチャカチャ

「……あ、澪お疲れっ」ニコッ

「え、ああ……って、律。あのダンボール──」

「澪ちゃん、練習…しよ?」

「え……あ、そうだな」

(なんだこの感覚……モヤモヤする)


─────────────────────

   ───────────

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:22:43.33 wIv1LBsU0 5/33

─────────────────────

   ───────────



  ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

(唯のギターの音に元気がない…)

(梓も……気のせいか分からないけど、ツインテールの位置が少し下がってる気がする)

「ふ~飲んだ飲んだ」

「じゃあ食器は──」

「ああいいよ、自分で洗う」

「あ……、……ッ」

「!?」

(律が自ら食器洗いだと……!? いつも結局私が洗うことになるのに……)

9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:29:13.34 wIv1LBsU0 6/33

「……」ゴシゴシ…

「……りっちゃん! もういい──」

「唯先輩ッ! ……ッ」

「…ちょっとみんな、私なにが何だか……」

「……おし、みんなで合わせようぜっ」

「……そうねっ、それがいいわ」


「多分、〝最後〟の──みんなでの演奏だ」


「!!」

唯・梓・紬「……」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:34:27.06 wIv1LBsU0 7/33

(え、今……〝最後〟って)

「おーしッ! たったくぞー!!」

「律。どういうこ──」

「澪! ……終わったら、話すよ」

「ッ……」

唯・梓・紬「……」

(なんだよ……〝最後〟って)

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:43:41.68 wIv1LBsU0 8/33

─────────────────────

   ───────────


 ♪~─~フワフワタ-イム─~ ♪~─フワフワタ-イム~─~ ♪~─フワフワタ-イム~─~

「はぁ……はぁ……」

「っ……っ……」

(4曲続けてセッションって……私ららしくない、な……)

「っ……澪」

「なんだよ、律……」

「……私、転校することになった」

唯・梓・紬「……」

「……え」


嫌な予感は、私の思った以上のショックを運んできた。
律の口から放たれた一言は、確実な重さを持って、
私の全身を舐めまわすように駆け巡り、
律の淋しげな笑顔は、まるで絶望に拍車をかけるかのように、私の心にひどく突き刺さった。

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 00:52:53.76 wIv1LBsU0 9/33

─────────────────────

   ───────────


「悪いみんな、つき合わせちゃって……」スタスタ

「ドラムって、運ぶの大変だよね~」スタスタ

「桜高祭のときも大変でしたし、ね」スタスタ

「……」スタスタ

「み、澪ちゃん……」スタスタ

14 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:00:50.23 wIv1LBsU0 10/33

  ───────────

「転校……?」

「……お父さんの仕事の都合、でさ。九州に転校することになったんだ」

「……いつ」

「……一月の、中旬かな」

「っ!!」

唯・梓・紬「……」

「だからこーやって、ドラムを回収しに来たんだ。
  冬休み前ってことで……みんな、手伝ってくれるか?」カチャカチャ

「も、もちろんよ~……」

「は、はいっ…手伝いますっ」

「よ~しやりますか」

「……」

  ───────────

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:09:20.16 wIv1LBsU0 11/33

(私の、誕生日前後……)

(神様……こんなプレゼント、いらないよ)

「よ~し、ここらでいいよ。玄関まで車で迎えがくるからさっ」

「うぅ~~ん、ドラちゃ~~ん……」

「ってどこの人気漫画のロボットだよっ」ペシッ

「いてっ!」

「…ふ、ふっふふ」

「あは、アハハ……」

「……ハハッ」


私は必死に、無理やりにでも明るく振舞おうとした。
だけど私には、深い悲しみのベールが覆いかぶさっていて、
それから逃れることができなかった。
作り笑い──私の乾いた笑いは誰の耳に届くことはなく、
静かに空気の中にとけていって、消えた。

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:18:44.49 wIv1LBsU0 12/33

─────────────────────

   ───────────

「……く~まちゃん?」
   ギュウゥ…
「律が……転校?」

「……嘘だよな、アイツが転校なんて」

「そうか、嘘か! いやぁ~また騙された、律のやつ明日になったら……」

「……明日になったら、殴ってやる」

「……」

『バンドやろーよ! バンドッ!』

「……」

『み~お!』

「……」

『みお~!!』

「……」ジワッ

「……うぅ…………っく……」ポロポロ

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:28:22.77 wIv1LBsU0 13/33

─────────────────────

 ─────終業式──────


律がドラムを持ち帰って、みんなでセッションも出来なくなった私達は、
冬休みに入るまで、部室でずっと駄弁っていた。
今ある時間を大切にするため、
〝律〟といる残りの時間を大切にするため、私は変わる決心をした。


(いつまでも律に頼ってちゃいけない……)スタスタ

(依存しちゃだめだッ……でも正直、こわいな)スタスタ

(アイツがいなくなったら、アイツがいたから……今の私があるのに──)スタスタ

「おっと、澪……」バッタリ

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:36:38.47 wIv1LBsU0 14/33

「……おぉ律、まだ部室にいかないのか?」

「んぇ!? あ、ああちょっとしたら行くけど……」

(せめて、律の前ではもう泣き言はいわない、どうしようもないことは忘れる)

「新曲が出来たんだ。部室行ったら、ちょっと見てくれよ」

「……なにー? ま、期待しないで読むよっ……」

「どういう意味だそれはっ!」

「はははっ、んじゃ部室で~」

(せめて、残りの時間ぐらい楽しめるように……)

(もう律に…迷惑かけないようにしなくちゃ……!)

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 01:46:00.24 wIv1LBsU0 15/33

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 ─────クリスマス──────


「じゃあ、私達はここで…」

「メリークリスマスッ!!」ノシ フリフリ

澪・律「メリークリスマス!」

 ──────
  ───
  ──

「はぁ~~……楽しかったッ!!」

「そうだなっ」

「やっぱり憂ちゃんの料理は格別だ……」

「……そうだな」

「……」

「……」

「なぁ、澪?」

「なんだ、律」チラッ

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:08:09.12 wIv1LBsU0 16/33

「やっぱり、私がいなくなって……淋しいか?」

「……そりゃあな、淋しいさ」

「……」

「だけどさ、決めたんだ。〝たとえ律がいなくなっても、強く生きれる人間になろう〟って」

「……おいおいそれじゃ、まるであたしが死んだみたいじゃん!」

「ふふっ、ははは……っ!」

「なんだよ、調子くるうなぁ……ワァーハハハッ!」

 ──────
  ───
  ──

「はぁ…笑いすぎた……」

「わ、私も……」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:18:39.10 wIv1LBsU0 17/33

「……いつでも、会えるよ」

「だって、今ならメールもある」

「ま、まぁな」

「そうだ律! 文通をしようっ」

「えぇっ。文通~? メールがあるじゃん!」

「……九州だろ? だったら高速にのればすぐじゃないかっ!」

「飛行機だって……なんだってあるんだっ!」ジワッ…

「澪……?」

(ダメだ……また律に迷惑かける…)

「逢えないなんてことないッ……だって、だってぇ……!!」ブワッ

「え、ちょっ、どうしよう……澪~? 泣くなよ……」

「だ……ダメだ、律ッ……やっぱり私は、ダメらしいッ……」

(大人ぶって律に迷惑かけないなんて……そんなの無理だ)

やっぱり律との別れが、どうしても嫌だった。
寒空の中、私はなかなか泣きやめないままで、律はとにかく近くにいてくれた。
身体は触れ合っていないのに、その思いやりは触れ合う以上に暖かくて……。
優しく抱かれるかのような、私はそんな心地になった。

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:30:04.70 wIv1LBsU0 18/33

─────────────────────

  ─────1月4日──────

「えーっと、他に買うものは……あっ」

「おーーい! 聡~!」

「」ビクッ

「ひさしぶ──」

「……スマン、澪ねーちゃん!」ダーー!

「エエェェェーーーー……」

(エエェェェーーーー……)

  ポツーン…

(私……聡に嫌われるようなことしたっけ?)

(アイツも……もしかしたら転校のことで、悩んでるのかな?)

(そっとしておいた方が…いいのかもな)

「……さて、買い物の続きっと…」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:40:07.39 wIv1LBsU0 19/33

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  ───────────


「『で、今日聡に逃げられたんだ…私なんかしたかなー?』っと」

   ピロリーン♪

「……1月の中旬っていうと、あと一週間と少し……」

「…………ッ」

「ダメだダメだ! クリスマスでもう止めるって決めたんだッ!」

(そうだ、これは逆に神様がくれたプレゼントなのかもしれない)

(律を私から離して、私がどう生きていくか……)

(大人への第一歩……最近挫折したばっかりだけど…)

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:48:23.21 wIv1LBsU0 20/33

  ピロリーン♪

「おっ……」ピッ


『きっとアイツも、転校するし、澪のことを思い出したくなかったんじゃないかなぁ…』


「やっぱりそうか……聡らしいっちゃらしいけど」クスッ

「えっと…『そういえば、最近みんなで会ってないな 宿題とか個々にやってるんだろうな?』っと」

   ピロリーン♪

「最近、みんな用事があるな……暇で宿題やってるのは私だけか」

 ──────
  ───
  ──

「メールが返ってこない……さては律のやつ、さっきのメールで宿題に気付いたな?」

「私自身じゃなくて、逆に律が心配になってきた……」

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 02:56:51.58 wIv1LBsU0 21/33

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  ─────始業式──────

   ガチャ…

「おつかれ~…って、あれ」

唯・梓・紬・律「……」

「……な、何やってんだ?」

「!? み、澪ッ。いつからいた」

「今来たばかりだけど……」

「そうか……」

唯・梓・紬「……」ホッ…

「? ……?」


あっというまに、一日一日は過ぎていった。
もう泣くことはなかったが、それはまたそれで、自分が逃げている気がしてならなかった。
でもそれが、本当の大人ではないってことぐらい、分かっていた。

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:05:20.63 wIv1LBsU0 22/33

─────────────────────

 ─────1月15日──────

(今日は……違うのかな)ソワソワ

(ていうか、引越しの詳しい日時ぐらい教えろバカ律ッ!)

(なんで私が、そわそわしなくちゃならないんだっ)

「おっと…また澪か」バッタリ

「律…引越しって──」

「そのこと、だ……今日、お別れパーティをしたいと思う」

「……ッ。そうか」ニコッ

「あれ、案外驚かないんだな…またお姉さんのお胸で泣いてよろしくてよっ!」

「もう泣かんわっ」ペシッ

「あてっ! ……んまあ、今日だからな。うちでやる」

「ああ、楽しみにしてる」

(いきなりの宣告か……思ったよりドキドキしてきた…)

(でも、絶対に笑顔で律を送り出すッ!)

44 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:15:21.08 wIv1LBsU0 23/33

─────────────────────

 ───────────


「……」スタスタ


律の家までの道のりが、こんなに遠いと思ったのは初めてだった。
やはり、どこかでまだ認めたくない私が、必死に抵抗したんだと思う。


「……」

 ピンポーン

「あらっ、澪ちゃん」

「お久しぶりです」ペコッ

「ほんと…さ、上がって」

「……はいっ」

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:24:37.34 wIv1LBsU0 24/33

すでに見覚えのある靴が、玄関に並べられていた。一番早くくるつもりだったのに……。
足取りは重く、だけど確実に一歩を踏み出して──
私は一息して、リビングの戸をゆっくりと開けた。


「「「「ハッピー・バースデー!!」」」」


 パンッ! パパパンッ! パンッ!

「……えっ」ポカーン…

「澪ちゃんおめでとー!」

「先輩ッ、お誕生日おめでとうございますっ!」

「おめでとう澪ちゃんッ!」

「えっ、でも今日……律のお別れ…」

「澪ねーちゃん、なんのこと?」

「……聡、引越しは?」

「引越し? 誰んちが?」

「」

49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:34:57.96 wIv1LBsU0 25/33

「ふっふっふ……まんまと騙されたようですな」

「」ビキビキ

「そう……全ては澪の誕生日のため、引越しは…」

「嘘だよぉーんドッキリ大成こぉおぉぉぉ!? ちょ、みおクルシイぃぃぃ……!!」

「りぃいぃぃつうぅぅうぅぅ…………」

「み、澪ちゃん! りっちゃん死んじゃう死んじゃう!」

 ─────────────────────

「ギブ……ぅ…し、死ぬかと思った……」

「…………」プルプル

「ちょ、もう勘弁してみ──」

「よかったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「……」ニコッ

唯・梓・紬「……」ニコッ

「ッ……うぅっ」…ボロッ

「あぁ~だから泣くなよ澪~!」

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:45:27.02 wIv1LBsU0 26/33

─────────────────────

 ───────────


「落ち着いた?」

「大分と……」

「では、大まかなネタばらしをしようッ」ビシッ

「わーー!」パチパチ

「まず……何故、聡は逃げたか。これは……コイツから嘘がバレないための方法だったのだッ」

「なんだよっ、俺そこまで馬鹿じゃねぇよ」

「……じゃあお前に特別に上げた2000円は、なんだと思ったんだよ」

「だって…澪ねーちゃんから逃げ切ればくれるって」

「流石、律先輩の弟ですね……」

(馬鹿だ……)ハァ…

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 03:56:49.38 wIv1LBsU0 27/33

「……それと、軽音部からわざわざ持ち帰ったドラム!」

「そうだ、じゃああれはどこにやったんだ?」

「まあまあそれは後のお楽しみとして……あれによって大分と引越しに信憑性が増したなッ!」

「…あれは騙されるよ……さすが律は悪知恵がはたら──」

「流石は梓、知将だなっ」

「」

「当たり前ですっ、先輩からハンバーガー無料券もらいましたからっ」

(こっちも馬鹿だった…)ハァ…

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:09:09.04 wIv1LBsU0 28/33

「あとは。私達の迫真の演技っ……少しの間、演劇部で練習して正解だった…!」

「……そんなことまでしたのか」

「今までの茶番じゃ、多分バレちゃってたもの」ニコッ

「だねー」

「まったく、私はどれだけ心をいためて──」

「はい、バースデーケーキよー」

「うわぁ~おいしそー!」キラキラ

「あれ……いいんですか?」

「今年の誕生日は…澪ちゃんちと協力してたのよ?」

「え、ママが……?」

(みんな……まだまだ、かなわないな)

「ママ?」

「お母さんッ!」

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:19:48.37 wIv1LBsU0 29/33

「ほら、電気消すわよー」フッ

「よ~し、みんな! ……合唱ッ、せ~のっ──」


♪ Happy birthday to you, Happy birthday to you,♪

 ~♪ Happy birthday, dear 〝Mio〟 ♪

     ~♪  Happy birthday to you~♪

65 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:27:25.02 wIv1LBsU0 30/33

─────────────────────

 ───────────

「ケーキ美味しかったねぇ」ニコッ

「そうねぇ」

「律の部屋で組み立ててあったのか……」

「ほらムギ、唯! ねっころがってる場合かッ」ドドドンッ!

「そうですよっ、私達のプレゼントがまだじゃないですか!」

「え、プレゼント?」

「えーっとタオルを置いて防音して……」

「あっ、あずにゃん。半音の半音ずれてるよっ」キリッ

「この音でいいのよね、うんっ」

「……」

(もしかして……) 

68 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:40:42.19 wIv1LBsU0 31/33

「澪ちゃん、私達からは曲のプレゼントだよっ」

「──」コクッ

「──」コクッ

「改めて、誕生日おめでとう澪ちゃん。いつも澪ちゃんはみんなの頼れるお姉さん的存在で、
  いつも私達をまとめてくれたね」

「少しお茶目で暴走気味なところもあるけど、今までも、
  これからも、澪ちゃんは澪ちゃんとして宜しくねッ」

「〝秋空レイニー〟──」コクッ

「……ッ1、2、3──」

  
   ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

(この曲……どこかで…)

 ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

(そうか…あのときの聴いたことのなかったコード進行……これだったんだ)

   ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

(私、こんなに幸せでいいのかな……)ポロポロ…

 ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~…………

70 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:50:04.83 wIv1LBsU0 32/33

 ─────────────────────

  ───────────

 
「っは……ッ」

「……はぁ……っ」

「ッ……」

「っ…………」フンスッ

「……」パチパチパチパチパチ…


私は背伸びばっかりして、勝手に大人になろうとして……。
そんなの全部無駄だったんだ、させてくれないんだ。それから逃れる必要なんて、ないんだ。
だったら、もっと──……


「……あんまりうまくないなっ!」ニコッ


甘えても、いいんだよね────?


                  
☆おしまい☆

71 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/01/16 04:51:14.85 wIv1LBsU0 33/33

一日遅れたけど……

澪 誕生日おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

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