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コナン「でも怪盗紳士って絵画専門の泥棒だよね?」

1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:16:25.16 LdGDAvCj0 1/50

山村「こんばんは。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?群馬県警の山村です。
  
   解決編にあたりまして事件の概要の説明を…って、いやー、やっぱりこれですよね!暗転にスポットライト!

   TVドラマとかではよく見るんですけど実際の現場では初めてですよ。僕、感激しちゃいました!

   え?事件の説明?

   …えぇ…今回の事件…非常に狡猾な犯人に骨が折れました…しかしながら…犯人は決定的なミスを犯した…
  
   どうです?似てました?僕あのドラマの大ファンなんですよ。イチローとの対決しびれましたよねぇ

   あ、じょ、冗談ですよ~、そろそろ真面目にやりますから。だから、警部さんたち、銃を収めてください!」


※コナン「でも怪盗紳士って絵画専門の泥棒だよね?」の解決編です

元スレ
怪盗キッド「探偵やめて怪盗にならねーか?金田一」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303902985/

2 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:19:45.99 LdGDAvCj0 2/50

山村「さて、怪盗たちから予告状を受けてコナンくんと金田一くんたちは、関東の端にある『十二星館』にやって来ました。
   
   この館は、丸いホールを中心に12個の部屋が歯車の出っ張りのようについた形をしていて、玄関はひとつ。

   部屋はドアを入ってその正面の壁に窓があり、出入りができるとしたらその二箇所くらいです。

   もしかするとそのあたりが事件の鍵なんじゃないカナとか思っちゃっているんですけど…

   ともあれ、彼らはここで絵と宝石の警備を始めます。

   しかし予告の時刻を過ぎても怪盗は現れず、なにも起こらないまま朝が訪れ、そして死体を発見することになります
   
   死んでいたのは、家の主治医、その現場には窓とドアに鍵がかけられ中には睡眠薬で眠り続ける館の主人の姿が…

   捜査を続けるにつれ明らかになる被害者の不可解な行動…主人の秘密…やがて物語は核心に迫る…ってとこですかね」

3 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:23:25.03 LdGDAvCj0 3/50

山村「次に、僕が美夏さんをなぜ犯人だと考えるかの推理についてお話ししましょう。

   まず、被害者は栄一さんの秘密を暴くために睡眠薬を盛り、部屋でファイルを探しました。

   それに気づいた美夏さんは、父親の秘密を守るため窓から部屋に侵入、被害者を殺害します。

   その後自分の部屋に帰る途中にうっかりハンカチを落とし、草むらに凶器のベルトを隠し何事も

   なかったかのように朝を迎えたのです。どうです?隙のない推理でしょう?

   え?なんで美夏さんがが部屋には入れたかって?窓を開けて捜し物をしてたんじゃないですか。景色もいいし

   それに、どうやって密室を作ったのかですって?ふふふっ。それはですね。美夏さんは作家をされてます。

   もしかして、そういう知識もあるんじゃないですか?そう…黒魔術のね!」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:26:29.67 LdGDAvCj0 4/50

山村「彼女は、何らかの方法で悪魔と契約し犯行後窓に鍵を掛けたのです。きっとその対価に寿命の半分くらいは

   支払ったんでしょうねぇ。ああ恐ろしい!な、なんですか!なんで、拳銃の弾数を確認してるんですか!

   えー他に質問は…はい?今日のこの街の緊急車両の出動数ですか。いま確認してみますが…

   …今日の午前0時から今までで三件報告されてますね…って事件に関係ない質問をしないでください!

   まあ、こんなところですかね。えっ?読者への挑戦?ああ、はいはい、忘れてました。行きますよー!

   『ここまでで犯人を特定するために必要なデータはひと通り揃ったと思います。推理の前提として…
    
   ・犯人は単独犯であり共犯者はいない
   
   ・動機の強弱は関係しない
  
   ・少なくともこの事件については超自然的な現象は起きていない

   ・例えこちらの用意した真相が穴だらけでも、あたたかい目で見守る

   以上のことを踏まえ聞きたいことはただひとつ。Who done it?』
  
   …ってコレ、前回やるべきでしたよね?しかも、これじゃあ僕の推理が成立しないじゃないですかー!   

   ともかく前置きはここまでです。では引き続き本編をお楽しみください。山村ミサオでした」


7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:32:54.14 LdGDAvCj0 5/50

―ホール―

剣持「金田一、容疑者を全員集めたぞ。」

洋文「おいおい、なんだよ。急に呼び出して」

紗仁「犯人は姉さんだったんじゃないのか?」

美夏「…私じゃない…」

桧垣「お嬢様…」

新一「さて、皆さんに集まってもらった理由は他でもありません。この事件の真犯人についてです」

三郎丸「なんだよ。もう犯人は見つかっただろ。まさか俺が決定的な証拠を見つけたのが気に入らないのか!?」

新一「ですが、その前にこの事件…その流れを追っていこうと思います。真実を知るためにね…」

三郎丸「俺様を無視するな!今回の手柄で俺はAクラスに返り咲くんだ!大体お前らは東大生の俺を《パシュ!》…うッ!」

コナン(うるさい)

はじめ「………」

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:34:09.58 LdGDAvCj0 6/50

コナン「(おい、あんまり演技過剰にやりすぎんなよ)」

新一「(大丈夫、大丈夫。探偵に変装するための予習はしてっから)」

「本当にわかるんだよね?真実が」

新一「おう、まかせとけ。愛ある限り戦いましょう。命、燃え尽きるまで」

「し、新一!?」

コナン(こいつはいったい何を参考に勉強したんだ?)


9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:35:46.62 LdGDAvCj0 7/50

はじめ「と、ともかく。まず、夕食を終えた俺達はホールで絵の見張りを始めた」

コナン「そして10時頃、栄一さんが部屋に戻り、その後東方さんが栄一さんの部屋に入ったんだよね」

新一「翌朝、東方さんは死体で見つかるわけですが、東方さんは何をしに部屋に入ったのでしょうか」

紗仁「親父から相談ごとで呼ばれたんじゃないのか?」

はじめ「ところがどっこい、東方さんは栄一さんの飲み物に睡眠薬を盛り、寝ていること知っていて部屋に入ったんだ。」

新一「そこで出てくるのがこのファイルです」

山村「それは、栄一さんの悪事が書かれた書類ですね」

新一「そう、東方さんはこのファイルを探すために栄一さんを眠らせ部屋に入ったのです」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:37:55.69 LdGDAvCj0 8/50

山村「ということは、目が覚めてそれを見つけた栄一さんが殺したんですか?」

はじめ「そうじゃない、さっきも言ったが老人である栄一さんでは体格的に無理がある」

コナン「つまり、その部屋には誰か他の人がいたってことだよね」

はじめ「そのもう一人の人物こそ、この事件の犯人なんだ」

新一「犯人はまず、東方さんと協力し栄一さんを眠らせ、窓を開けてもらいそこからから侵入したんです」

コナン「栄一さんは他人が部屋に入るのを嫌ってたから、他の人に怪しまれないようにね」

新一「そしてファイルを探し、その時に被害者をベルトで絞め殺した」

剣持「ちょっと待て、被害者と犯人は仲間同士じゃなかったのか?」

新一「犯人もそう思っていたと思います。ですが、何かのアクシデントがあったのか殺すことになった」

コナン「計画殺人じゃなく衝動的な犯行だったってことだよ。警官のいるところで人殺しの予定立てる人も少ないだろうしね」

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:40:38.76 LdGDAvCj0 9/50

はじめ「その後、犯人は部屋を抜け出し、睡眠薬の切れ目覚めた栄一さんが死体を見て幻覚だと思い込み

    自前の睡眠薬を大量に飲んだんだ。その時、空いていた窓を閉めついでに鍵をかけたんだ」

山村「でもなんで、窓を閉めたんです?昨晩は風もなかったし寒くもなかったはずですよ」

コナン「だけど、閉めなきゃいけない理由があったんだよ。一刻も早く眠りについて幻覚から逃れるためにね」

洋文「もしかして、サイレンか!」

はじめ「そう、栄一さんはサイレンの音が気になったから窓を閉めたんだ。目がさめたのもそのためかもしれないしな」

新一「サイレンが鳴ったのは二時と六時の二度だけ、睡眠薬の効き目から考えて一度目のサイレンがそれでしょう」


13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:41:51.81 LdGDAvCj0 10/50

山村「ちょっと待ってください!僕が確認したところでは今日、緊急車両の出動は三件ありますよ!」

新一「…それが?」

山村「『それが?』じゃありませんよ!もしかして、そのもう一回の時に栄一さんが目覚めたのかもしれないじゃないですか?」

新一「………」

コナン「………」

山村「痛いところを突かれてぐうの音もでないんですか?なんとか言って下さいよっ!」

はじめ「…あのなぁ、山村警部。あんたこの館に来るとき何に乗ってきたんだよ」

山村「そりゃあ、パトカーですよ。パトカーに乗って現場に向かうときが一番、警官やってるなぁ気分に…ああッ!」

新一(どうやって警官になったんだこの人は)

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:44:31.36 LdGDAvCj0 11/50

コナン「とにかく、被害者が殺されたのは二時より前ってことだから、それまでアリバイのある美夏さんは犯人じゃないって事になるね」

美夏「ほら、だから言ったじゃないの!」

山村「じゃあ、どうして、美夏さん部屋の前に被害者のベルトが落ちてたり、外にハンカチが落ちてたんですか?」

新一「それは当然美夏さんに罪を着せるためです。でもおかしな点がある…」

はじめ「三郎丸さんはこれを被害者と栄一さんの部屋の間で見つけたと言っているがそもそもこれがおかしいんだ」

山村「どうしてです。美夏さんを犯人に仕立てるなら事件現場と彼女の部屋の通り道に置くのは普通でしょう」

新一「では、この部屋割り表を見てください」

―部屋割り表―

1美夏
2使用人
3剣持、中森
4醍醐
5はじめ・コナン・新一
6洋文
7美雪・蘭
8桧垣
9紗仁
10主人
11東方
12三郎丸

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:47:06.57 LdGDAvCj0 12/50

新一「この館は上からみると歯車の形をしていての歯の部分が部屋になってる訳です」

山村「それがどうしたんですか?丸い形をしているわけですから。10→1のルートなら被害者の部屋の前も通るでしょう」

はじめ「そう、問題ないんだ。俺達が玄関で見張りをしていなかったらね」

新一「僕らが見張りをしていた玄関は1と12の間にあります。そして、それは死亡推定時刻の大半を覆っている」

コナン「だから、美夏さんに罪を着せたいのなら、そのことを考慮する必要があるんじゃない?」

はじめ「つまり、俺達が証言することを考えるなら館をぐるりと回るルート上に置くべきなんだ。」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:50:04.63 LdGDAvCj0 13/50

美夏「ならどうして、犯人はそんなところにハンカチを置いたの?」

はじめ「犯人は知らなかったんだよ。俺達が玄関で見張りをしていたことをね」

剣持「そうか、お前らの見張りは警備の途中で思いついたことだからな」

「それを知らない人もいるってことね」

中森「それは、誰なんだ?」

新一「まず、僕らが外に行くのを見ていた醍醐さんと洋文さんは除外されます。当然、美夏さんもね」

コナン「次に加地兄ちゃんだけど、彼の部屋から事件現場の部屋に行くには玄関の前を通る方が早いはずだから

    もし彼が犯人ならボクらのことに気づいたはずなんだ」

はじめ「つまり十時から二時までのアリバイがなく、玄関での見張りを知らなかったあんたが犯人なんだよ」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:52:10.83 LdGDAvCj0 14/50

コナン・はじめ・新一「「「桧垣大赤さん!」」」

洋文「そんな…まさか」

紗仁「桧垣が犯人だったなんて…」

桧垣「ははっ…よくできた冗談ですね…」

新一「認めないんですか?あなたが犯人だということを…」

桧垣「だいたい、そのハンカチだって犯人が見張りを知らない人に罪を向けるためのミスリードかもしれませんよ」

コナン「もしそうだとしたら、その人は見張りを知らない人がいること知っていたって事だよね。
  
    一晩中ホールで監視でもしていない限り確証を持つのは難しいんじゃないかな」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:54:49.16 LdGDAvCj0 15/50

桧垣「…それに、犯行現場に行くのに玄関を通るはずだからという理由だけで加持君も見張りを知っていたと断定するのは
  
   少し無理があるんじゃないでしょうか?」

新一「それはたしかにそうかも知れませんね…」

桧垣「そうでしょう、そうでしょう!そんな曖昧な推理で人を犯人扱いするのはいかがかと思いますよ」

新一「その理由だけでは…ね」

はじめ「根本的な問題なんだけど、そもそも今回の事件の凶器って何だろう」

山村「そりゃあもちろん被害者のベルトでしょう。現場から持ち出されていたわけだし」

はじめ「でも良く考えてくれ。生きている相手から腰に巻いているベルトを取り上げることは可能なのか」

コナン「被害者には他に外傷がなかったから、弱ってる相手から取り上げたってわけでもなさそうだよね」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:56:18.59 LdGDAvCj0 16/50

新一「もちろん、犯人自身が事件当時にしていたベルトです」

はじめ「つまり、和服だけでベルトを持っていない栄一さんと女子の制服しか持っていない加地も犯人じゃないってことさ」

桧垣「で、でも、自分の嫌疑をそらすためにベルトを持っていったってことも…」

新一「そこまで考えてやるのならば、和服の帯を使いますよ。もっとも怪しい人に嫌疑がかかりますから」

山村「そろそろ認めてもいいんじゃないですか?桧垣さん」


22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:58:00.99 LdGDAvCj0 17/50

桧垣「さっきから聞いていれば状況証拠ばかりで、すべて机上の空論ですよ。そんなに私を犯人にしたいんですか!」

新一「…桧垣さんは確か普段は本館で生活されていて今日だけこっちにいるんですよね」

コナン「だったら持っていないかもしれないね。換えのベルトなんて」

はじめ「よかったら調べさせてもらえないか、今付けてるベルトをな」

桧垣「…自信があるんですね」

新一「はい。未来の妻の名に賭けてもいい」

剣持「よろしいですかな?」

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 20:59:42.13 LdGDAvCj0 18/50

桧垣「……いや、する必要はないよ。洗ったんだけどね、とりあえず。爪の跡までは消えなかったよ」

中森「犯行を認めるのか」

桧垣「ここまで来たら仕方ない。そう、僕が東方医師を殺した。認めるよ」

新一「聞かせてもらえますか…昨晩一体何をしていたのか」

桧垣「知っての通り、相上栄一のファイルを探してたのさ。あいつの罪を告発するためにさ」

紗仁「親父の罪っていったい…」

桧垣「殺したんだよ。僕の恋人、『旗寺あかり』を…ね」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:01:23.45 LdGDAvCj0 19/50

美夏「旗寺あかりって…5年前に不審死した、ルポライターの旗寺あかり!?」

桧垣「そう、彼女はあいつの大学の不正について取材をしていてね。真相に近づくことを恐れた大学側に消されたんだよ」

剣持「どうしてそう言い切れるんだ?」

桧垣「彼女の日記にあったんだよ。『最近誰かにつけられている』って死ぬ前日まで何回も!そして彼女は死体で見つかった…」

中森「なんで警察に行かなかったんだ!相談していればこんな事しなくても良かっただろう!」

桧垣「したさ!日記も持って警察署に相談に行ったんだ!だけど、結局すぐに捜査は打ち切り、日記も帰って来なかった…」

はじめ「…きっと大学とつながりのある政治家や警察関係者が圧力を掛けたんだろうな」

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:02:54.87 LdGDAvCj0 20/50

桧垣「だから俺は自分で犯人を罰することにしたんだ。まず俺は事件の後、急に金回りの良くなった関係者を探した」

コナン「人を殺したわけだから相応の報酬をもらってるってことだよね」

桧垣「そして、相上にあたりをつけ秘書として近づいたんだ。ボロを出すのは早かったぜ、金を持って浮かれてたからな」

美雪「本館を増築したのも、絵や宝石を買ったのもその事件の後だものね」

剣持「館のからくりを再現できなかったのは今ほど金を持っていなかったからか」

新一「でもその客観的な証拠は手に入らなかった」

桧垣「だからあいつが信頼してる東方医師を巻き込んだのさ、あいつが肌身離さず持ってるファイルを手に入れるためにね」

コナン「東方さんが協力してくれるのを待っていたから何年もかかったんだね」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:04:13.90 LdGDAvCj0 21/50

はじめ「そして、そのファイルを圧力の効かない県外の警察に見せようとしたんだな。指名手配の怪盗の予告文を使って」

桧垣「そう、だがあの守銭奴、結局土壇場でやっぱり協力できないって言い出しやがって、だからついね」

新一「それで、殺したあとにあなたは一旦部屋に戻った」

桧垣「途方にくれたよ…予定外だったからね。それで落ち着くために水でも飲もうかと思ってホールに出たときに…」

コナン「美夏さんのハンカチを見つけたんだね」

桧垣「…お嬢様には申し訳ないけど、僕はまだ捕まるわけにはいかなかったからね。すぐに仕掛けに行ったよ」

はじめ「たぶん、その時俺達はホールで夜食をとってたから、鉢合わせなかったんだ」

桧垣「まったく…絶望的にタイミングが悪い…笑えるよね」


27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:05:57.65 LdGDAvCj0 22/50

加地「で…でも、そこまでするのにどうして御主人様を…その…殺さなかったんですか?恋人の敵なのに?」

桧垣「なにを言っているんだ?ただ殺しただけじゃ、彼女の分の復讐にしかならないじゃないか。
 
   まず僕の分の復讐を…不正が発覚してどん底を味わわせて、その上で彼女の分の復讐をしなければ意味が無い」

「そんな…」

桧垣「まあ、僕の復讐もここまで…出所する頃には相上も歳で勝手に死んでるだろうしね。

   だったら僕は早いとこ彼女に復讐を果たせなかったことをわびに行くことにするよ。これでね」

剣持「そのラベルは…青酸カリの瓶を、きさまいつのまに!」

美夏「桧垣さんやめてッ!」

加地「死んでも何も解決しませんよ!」

桧垣「じゃあね、さよなら名探偵…(グッ!)」

美雪「桧垣さんッ!!」

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:07:35.74 LdGDAvCj0 23/50

桧垣「!?……甘ッ!!!」」

はじめ「残念だけど、それを飲んだって死ねないぜ」

新一「中身をすでに入れ替えてありますからね」

コナン「死んで逃げるなんて…できないよ」

桧垣「…もう、僕にやれることは何もないのに…生きていく意味もないのに…どうして死なせてくれないんだ!」

美夏「桧垣さん…」

桧垣「…どうして死なせてくれないんだ…」

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:08:45.80 LdGDAvCj0 24/50

新一「なあ、死なせてやった方がよかったんじゃねぇか。あいつ」

コナン「バーロ…犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は…殺人者と変わんねーよ…」

はじめ(最近は頑張ってます)

新一「…ったく、探偵の鏡ってやつだなお前は」

コナン「今後の参考にしとけよ」

はじめ「そうだ。加地、今砂糖の入れ物には青酸カリが入ってるから使っちゃだめだぜ」

加地「は、はい。気を付けます…」

山村「…あとの話は署で聞きます。こちらへ…」

桧垣「………」

剣持「俺も同行しよう」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:09:44.25 LdGDAvCj0 25/50

中森「それにしても、栄一さんも残忍なやつだな。人を殺しておいて自分はのうのうと暮らしていたとは」

はじめ「…そうでもないかもな」

コナン「東方さんのカルテでは2年前から幻覚を見るようになったんだよね。そして奥さんが亡くなったのも…」

「それってもしかして…」

新一「…大事な人を失って気づいたんじゃないのか、自分の罪の大きさに」

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:18:16.16 LdGDAvCj0 26/50

―ホール―

中森「みんな、もう部屋から自分の荷物は持ってきたか?」

はじめ「おう、もうだいぶ日が暮れちまったからな。早く帰らねえと明日の授業遅刻しちまう」

「金田一君はいつも遅刻してそうだけどね」

コナン「あれっ、洋文さんその絵のケース、はずしちゃうの?」

洋文「本館に運ぼうと思ってな。親父のお気に入りだから後でベッドの横にでも掛けてやろうと思って」

美夏「もともとは本館に飾ってあった絵だしね」

醍醐「ふ~ん、思ったより父親思いなのね」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:21:50.65 LdGDAvCj0 27/50

洋文「だいぶ悪どいことをやってる様だけど、たったひとりの親だからな。それくらいのことはさせてくれ」

加地「洋文さん…」

紗仁「兄貴も、大人になったってことか」

美夏「よかったじゃない紗仁に認めてもらえて」

洋文「ったく、馬鹿にされてんのか俺は」

「でも、生で見るとやっぱり違うね。絵も宝石も」

美雪「うん、書き手の気迫が伝わるような感じがするわ。こんな感じで」

コナン(片目で筆を立てるポーズなんて最近の画家はしないんじゃないか)


35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:25:31.07 LdGDAvCj0 28/50

「額縁の下の部分にダイヤモンドが嵌めこまれておしゃれな感じよね」

中森「わざわざ特注で作ったらしいからなその額縁は。簡単には取り外せないようだ」

洋文「そのダイヤモンドは運慶がブリリアントカットにしたって言われてる一品だからな」

美雪「それは、国宝級ね…」

はじめ「あれっ?三郎丸さんはどこいった?」

中森「足元で寝ていて邪魔だったからな。テーブルの下にどかしておいた」

加地「テーブルクロスを避けると…ここに」

はじめ(三郎丸さん…)

コナン(やっぱ、慣れてない人にはきついか…)

「そういえば、新一もいない…きゃ!」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:27:05.75 LdGDAvCj0 29/50

洋文「なんだ、なんだ?」

中森「どうした?停電か!」

紗仁「どうして突然!?」

美雪「そうだ…ブレーカー!」

はじめ「ブレーカーはどこだ!?」

加地「僕が行ってきます!」

「私も行きましょうか?」

加地「いえ、ひとりで行けます」

コナン「それより明かりを!」

中森「あ、あぁライターがあったはず……!」

洋文「絵は…なくなってないようだな」

「ダ…ダイヤモンドが消えてる!」


37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:29:35.83 LdGDAvCj0 30/50

中森「なにっ!」

美雪「見て!絵の上にカードが!」

はじめ「『後ろの柱に貼ってある怪盗キッドからのメッセージをお読みください』だと?」

中森「洋文さん、額縁のそっち側を持ってくれ!」

洋文「わ、わかった」

「ライターは私が持ちます!」

中森「たのんだ。いっせーの、っと。ん!なんだ今の足音は!」

美夏「玄関の方に走っていったような…」

紗仁「それよりほら!あれ!」

「柱になにか貼ってある!」

はじめ「『哲人の永遠の愛しかと受け取りました。 怪盗キッド』」

中森「くそっ!やられた!」

洋文「あっ!電気がついたぞ」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:30:37.09 LdGDAvCj0 31/50

「あれっ?醍醐さんがいない!」

美雪「じゃあさっきの足音って…」

美夏「怪盗キッドに会えるのね!走らなくちゃ!」

「わ、私も行きます!」

中森「ワシも行くぞ!まってろキッド!」

美雪「本当に来るなんて…早く追いかけないと!」

コナン「ちょっと待ってよ。美雪姉ちゃん」

美雪「そんな、早く行かないと逃げられちゃうよ!」

はじめ「逃げやしないさ。だろ美雪、いや怪盗キッドさんよぉ!」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:33:53.34 LdGDAvCj0 32/50

美雪「やぁねぇ、はじめちゃん、なんで私が怪盗キッドなのよ」

コナン「オメーが事件解決の後姿を消したのはブレーカーの仕掛けをするため」

はじめ「その後予告状が偽物だと安心してケースを外すのを待ち、停電を起こしたんだ」

コナン「そして停電してから誰かが明かりを出すまでの間にオメーはカードを貼り、ダイヤを見えなくしたんだ。マジックでな」

美雪「マジックって、どんなマジックなのよ。絵からダイヤは簡単に取れないようになってるんじゃないの?」

コナン「そのままマジックだよ。ダイヤモンドは油脂になじむ性質があるから、インクが乗りやすい。

    額縁の色に合わせて塗ればライターの明かりだけなら、数秒ごまかすことも不可能じゃない」

はじめ「まさか、高価なダイヤモンドをそんな扱いするとは思ってもみないからな」

文洋「だから気付かれないようにすぐカードのことを指摘したのか!」

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:34:45.40 LdGDAvCj0 33/50

美雪「ちょっと待って、じゃあ醍醐さんはどこにいったのよ?彼女が怪盗キッドだったんじゃないの」

はじめ「停電してすぐに眠らせたんだよ。だからあの時ブレーカーはどこか聞いて手元の明かりを点ける事から気を逸らしたんだろ」

コナン「時間稼ぎが必要だったからな。ディナーテーブルの下で三郎丸さんと仲良く寝てるぜ」

紗仁「でも、その時はまだダイヤは額縁に付いてたんだよな。いつ盗ったんだよ」

コナン「だから、もう一枚のカードが柱にあることにして絵を取り外さないといけないようにしたのさ」

はじめ「そして、足音の騒ぎで注意が玄関に向いてる隙に二枚目のカードを貼り、

    柱から外された絵に注目が集まらないうちに額縁からダイヤを外したんだよ」

美雪「でもそれなら誰でもできるんじゃない。わたしがキッドだって根拠は何?」

コナン「最初停電になったときの仕掛けは闇に目が慣れていなきゃできない芸当だ」

はじめ「だから、片目をつぶってたんだよ。絵かきの真似をしてるフリをしてな」


41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:36:18.74 LdGDAvCj0 34/50

美雪「ふっ、やっぱりバレちまったか。ほら、ダイヤは返すよ。でも、即興にしては悪くない手際だったろ?」

コナン「ったく、偽物が誰か確かめるだけじゃなかったのかよ」

美雪「お宝の前でじっとしてられたら怪盗なんてやってねぇよ。そうだ、この携帯返すぜ」

コナン「っと、投げんなよ」

はじめ「それで本物の美雪はどこにいるんだ?」

美雪「そうそう、この服を借りた女の子、早く行ってやらねーとカゼ引いて…あれっ?」

はじめ「美雪はこんな大人っぽい下着は着ないから、服までは…ってヤローの下着触っちまった!」

美雪「…その手癖の悪さ、探偵なんかやめて怪盗やってみねぇか?なんてな。よっと!」

コナン「閃光弾!!」

怪盗キッド「じゃあな名探偵たち!」

はじめ「くそっ!逃げるな!」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:42:44.40 LdGDAvCj0 35/50



紗仁「っ!やっと目が開けられる…」

コナン「もう消えちまったか…」

洋文「この高台からならグライダーで飛び放題だしな」

はじめ「まぁ、ダイヤは無事だったからよしとしようぜ。……っと、嵌ったか」

洋文「さて、じゃあ本館に運ぶか。紗仁手伝え」

紗仁「しょうがないな。一旦外で台車にでも載せようか」

はじめ「俺達も手伝おうか?」

紗仁「それより、テーブルの下の二人を見ててあげなよ」

洋文「こっちは二人で十分だからな」

はじめ「そういやそうだったな。っていうかなんで三郎丸さんは寝てるんだ?」

コナン「ハハハ…昨日の徹夜で疲れが出たんじゃないかな」

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:44:17.20 LdGDAvCj0 36/50

はじめ「それもそうか。ん?携帯の着信音が…お前のじゃねえか?」

コナン(新一の方か…蘭からだな…ってやべぇ!蝶ネクタイ型変声機を美夏さんの部屋に置いたままだ!)

はじめ「…でないのか?」

コナン「それは…えっと…その…あっ、ちょっと!」

はじめ「アーアー…よう。どうしたんだ蘭?」

『どうしたんだじゃないわよ!キッドが現れたのよ!』

はじめ「何だそのことかよ…ダイヤは取り返したから問題ねぇよ」

『なら良かったけど…もう、いつの間にかどこかにいっちゃうんだから』

はじめ「わりぃわりぃ、それより美雪を探してくれねぇか?キッドがどっかに眠らせてるみてぇだからさ」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:46:57.34 LdGDAvCj0 37/50

『キッドは美雪ちゃんに変装してたのね。探してみるね…ってなんでアンタが呼び捨てにしてるのよ!』

はじめ「と、ともかく頼んだぜ。オレは次の事件に行くからさ。」

『ちょっと新一!…その…また帰ってくるよね?』

はじめ「…あぁ、必ず戻ってくるさ。じゃあ、またな」

『うん…待ってるから…』

はじめ「っと…よくわからないけど、これでよかったんだろ?」

コナン「…助かったぜ。サンキューな金田一」

はじめ(でも、なんでこいつが工藤の携帯を持ってんだ?それにキッドが工藤新一に変装していたことを最初から
    
    知っていたみてーだ。そーいえば最近工藤新一は活動していないって言ってたな…まさかコナン=新一!?)


46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:48:35.58 LdGDAvCj0 38/50

コナン「…そうだ!醍醐さんたち起こさないと」

はじめ「…その前に、ちょっと面白い物みせてやるよ」

コナン「面白い物って?」

はじめ「へへ、この醍醐真紀の首のあたりをな…こう引っ張ると…」

醍醐「…痛ッ!ちょっと何すんのよ!」

はじめ「…へ!?」

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:52:49.48 LdGDAvCj0 39/50

醍醐「この館に来た時もあの刑事から顔引っ張られるし…何がしたいのよ!」

はじめ「まさか…ん、オッサンから電話だ。どうしたオッサン?」

剣持『桧垣が吐いたんだが、やつの出したのは怪盗キッドの予告状だけだそうだ』

コナン「それって…つまり…」

紗仁「大変だ!兄貴が…絵を持ってどっかいっちまった!」

はじめ「なんだと!?」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:53:58.94 LdGDAvCj0 40/50

―館の外―

コナン「見て!あのアドバルーンって!?」

はじめ「!?ポケットにトランシーバーがっ!?」

怪盗紳士『ハーイ、金田一君。醍醐真紀は無事かしら?』

はじめ「ハーイじゃねぇよ!怪盗紳士!」

怪盗紳士『キッドから宝石取り返してくれてありがとうね』

はじめ「今回の予告状はお前がだした物じゃないんじゃなかったのか!」

怪盗紳士『あら?私が言ったのあの(怪盗キッドの)予告状は私じゃないって言ったのよ。日本語って難しいわね』

コナン(おいおい…)

49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:55:20.20 LdGDAvCj0 41/50

はじめ「屁理屈コネやがってぇ!おいオッサン!怪盗紳士が現れたぞ!」

剣持『ああ、聞こえてはいるが…停電していて、あたりの道路が渋滞してるんだ』

コナン「見て!街の灯りが…」

紗仁「怪盗紳士のマークになってる!」

怪盗紳士『大変だったのよ、電線切ったりつないだりするの。でもモチーフは盗まなきゃね』

紗仁「なんだよモチーフって?」

コナン「『アテネの学長』はアカデメイアを作ったプラトンのこと。ダイヤモンドの宝石言葉は純愛だから

    二つが合わさったあの絵はつまりプラトニックラブってことか」

怪盗紳士『よくわかったわね。でも知ってた?プラトンって少年愛者で男色家だったのよ』

紗仁「じゃあ、街を停電にしたのって…」

怪盗紳士『やっぱり、愛しあうのは男女じゃなくっちゃね!愛の結晶ができないと!』

コナン(都市伝説だよ…そりゃあ)

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:56:23.26 LdGDAvCj0 42/50

怪盗紳士『そうそう、この絵の額縁にダイヤを埋め込んだのは美夏さんなんだって。彼女そういう趣味みたいよ』

はじめ「…美夏さんが作家として書いてる物って…」

コナン「まさか、本棚に並んでた推理小説は…」


― 美夏「ニヤリ」 ―


怪盗紳士『ふふ、今回はなかなか楽しめたわ。また会いましょうね金田一君』

はじめ「前回の金塊といい…次は絶対お前の正体を暴いて警察につきだしてやるからな!じっちゃんの名にかけてぇ~!」

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:58:03.81 LdGDAvCj0 43/50


―上空―

怪盗紳士「はじめまして、怪盗キッドくん」

怪盗キッド「やっぱり来てたんだな。怪盗紳士。」

怪盗紳士「怪盗っていうのは約束を守るものなのよ。どの辺から気づいてたの?」

怪盗キッド「まず、怪しいと思ったのは、今朝の寝る前さ。醍醐真紀が手品勝負について感想を言ってただろ?」

怪盗紳士「それが?」

怪盗キッド「でも俺と金田一が手品を見せていた場に醍醐さんはいなかったんだ。つまり、どんな理由があるか知らないが

      今朝の醍醐さんは手品を見ていたときにいた誰かが変装していたってことだろ?」


52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 21:59:20.80 LdGDAvCj0 44/50

怪盗紳士「…他にはあるのかしら?」

怪盗キッド「次は、推理ショーの時の発言だ。窓を閉める理由にお前はサイレンについて言ってただろ。
   
      それって今朝、自分の部屋から醍醐さんの部屋に行く時に聞いたから思いついたんじゃないかってな」

怪盗紳士「桧垣さんの話を聞いて予告状が偽物かもしれないとは思わなかったの?」

怪盗キッド「いいや、逆に確信にかわったね。怪盗紳士を追ってる金田一たちはともかく、
 
      3000万の絵と2億の宝石なら宝石を心配するのが普通だろ」

怪盗紳士「…そうね」

怪盗キッド「でも、二人だけ絵が盗まれるかどうかを気にしている人がいた。桧垣さんと東方さんだ。

      彼らは知ってたんだよ。怪盗が本当に来るとしたらその目的は絵のほうだとね」

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:00:38.66 LdGDAvCj0 45/50

怪盗紳士「…ふふふ。あなたが探偵じゃなくて本当によかったわ。ねぇ、よかったら私と組まない?」

怪盗キッド「遠慮しとくさ。俺は孤高の芸術家なんだ。それにその衣装…怪盗は大胆不敵で華麗であるべきだからな」

怪盗紳士「あら、黒のスーツもいいものよ。汚れも目立ちにくいし。その衣装でカレーうどんなんて食べられないでしょ」

怪盗キッド「なんだそりゃあ。意見が主婦だぜ」

怪盗紳士「組織のボスも大変なのよ。大規模な計画の時は経費もかさむしね」

怪盗キッド「なら良かったじゃねぇか。ダイヤも手に入ってよ」

怪盗紳士「どこかの気前のいい怪盗さんのおかげでね。じゃあ、捕まらなかったらまたどこかで会いましょう」

怪盗キッド「おう、家につくまでが怪盗だぞ(ニヤリ)」


54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:02:41.02 LdGDAvCj0 46/50

―後日談・通学路―

快斗「にひひw」

快斗(念の為に偽のダイヤを持って行っていて正解だったぜ。さすがにあんな短時間じゃ鑑定ができねーからな。

   怪盗まで騙すって俺って悪党?結局、目当ての物じゃなかったけど、返しに行くまでは俺が持ってねーとな。

   家に置いとくのは不安だし。でもやっぱ、インクで着色したのは失敗だったかな。洗ってもとれねーし。   

   あとでカニでも持ってあの贋作屋にでも…ん?)

老婆「んーしょ…どっこいしょ…」

快斗「おいおい、ばあさん、大丈夫かよ。そんなんで歩道橋を上がろうなんて」

老婆「昔、足をやってしまってねぇ…」

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:03:42.46 LdGDAvCj0 47/50

快斗「しゃーねーなぁ。ほら、背中に乗れよ。階段登ってやっから」

老婆「ありがとねぇ。学生さん。お言葉に甘えて…よっこいしょ」

快斗「よっと…!?」

快斗(なんだこの背中に触れる感触は!?母なる大地を感じさせる存在感!広大な海に包み込まれるような心地良さ!

   澄み渡る空を行く一陣の風のように俺の胸の中を駆抜けるこれは…!いや、ちょっと待て…相手は老婆だぞ。

   だけど、耳にソッとかかる吐息が…見た目にそぐわない艶めかしさを帯びているような…〈…かい…〉
 
   何を考えている俺!そんなバカなことがあるわけがないじゃねーか!〈…いとー…〉この年でそんな…目覚めてしまうわけが…

   しかし、ありのままの自分を認めなければいけないのかも…〈…かいと…〉いや、ダメだ!負けるな俺…)

青子「快斗ッ!!!!!」
            
快斗「ぎゃあ!!なんだ、青子かよ…わりぃが俺は今、青春の…いや人生の岐路にだな…」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:05:03.66 LdGDAvCj0 48/50

青子「なにいってのよ。そんな変なモノ背負っちゃって」

快斗「変なモノ?あっ!マネキンに変わってる!それにカバンもない!」

青子「カバンなら、さっきそこで女の人に…ってそうだ!快斗!あんたあの女の人とどういう関係なのよ!」

快斗「だ、誰のことだよ…その女の人って?」

青子「このカバンを渡してくれた女の人に聞かれたのよ。『あなたは黒羽くんのガールフレンド?』って。

   それで青子がそうですって答えたら…も、もちろん女友達って意味でのガールフレンドよっ!と、当然…そしたらその人が
 
   『彼に伝えてくれる?永遠の愛をありがとうって』だって。ねぇ!あの女の人は誰!永遠の愛ってどういう意味!」

快斗(あんにゃろ…)

青子「どういう関係なのよー!答えなさーい!」


怪盗紳士「くすくす…わたしをだましたお返しよ」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:07:00.20 LdGDAvCj0 49/50

―おまけ・DDS本校舎―

まどか「あー、8の字の意味ってそういう事だったのね」

みずき「スゴイじゃん、マコト。よくわかったねっ」

マコト「ヒントも多かったから…それにみずきだって旧日本軍の暗号を解いたじゃないか」

飛鳥「一方、ダイのギャグ推理は的はずれだったとさ」

ダイ「なんだよお。飛鳥だってわかってなかったじゃないかあ」

片桐「ふふ、DDSではこんな風に生徒が実際に解決した事件の演習や校外から講師を招いて授業をするんですよ。

では、皆さん興味があったらまた体験授業に来て下さいね」

一同「ハーイ!」

三郎丸「………」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/04/27 22:08:41.04 LdGDAvCj0 50/50

―屋上―

三郎丸「はぁ…」

三郎丸(事件解決の時に寝てたばかりか、怪盗共が現れた時も寝ていた所為でDクラスどころか遊び半分の中学生

    たちが来る体験入学クラスに落とされてしまうとは…学費払ってるのに)

三郎丸「最近、大学にも行けてないし…死んじゃおっかなぁ…」

高遠「死ぬ前にしなくてはならないことが、あるのではないですか?」

三郎丸「!?」

                                      ―完―

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