-毛利探偵事務所-
蘭「怪盗キッドから犯行予告があったんですか!?」
中森「あぁ、先日ヤツから警視庁に予告状が届いたんだ。宝石を盗みに入るとな」
コナン(毎回まめだねぇ。あのこそ泥は)
蘭「それにしても珍しいですよね。中森警部が事務所に来るなんて。」
中森「それが、その宝石の持ち主が事を大きくしたくないらしくてな…」
蘭「いつものような警備ができないってことですか」
元スレ
コナン「でも怪盗紳士って絵画専門の泥棒だよね?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303635020/
小五郎「なるほど、そこで民間人である名探偵毛利小五郎に白羽の矢がたったということですな!」
中森「あんたに用があるんじゃねぇよ。今回来た理由はそっちの小僧だ」
コナン「えっ、僕?」
中森「それに言い忘れてたが相手はキッドだけじゃないからな」
コナン「キッドだけじゃ…ない?」
―Donny's―
美雪「怪盗紳士から犯行予告があったんですか?」
剣持「そうなんだ。怪盗紳士のやつが性懲りも無く予告状を送ってきやがったんだ」
はじめ(いつものファミレスに呼ばれた時点でわかってたけどね)
はじめ「なになに『週末の闇夜に紛れて『アテネの学長』をいただきに参上します 怪盗紳士』
ん?あいつの予告状ってですます調だったか?」
美雪「なんかあやしいわね…」
剣持「それも気になるんだが、今回はややこしい事になっていてな」
はじめ「ややこしい事って?」
剣持「お前ら怪盗キッドって知ってるか?」
美雪「怪盗キッドってあの怪盗キッドですか!?」
はじめ「へ?怪盗キッドって誰?」
美雪「最近、世間を騒がせてる大泥棒よ!ニュースとか見てないの?」
はじめ「うるへー、悪かったなバラエティしか見なくてよ。で、その怪盗キッドがどうしたんだ?」
剣持「その怪盗キッドも犯行予告を出してるんだよ。しかも同じ相手にだ。」
はじめ(世の中にゃ、怪盗紳士以外にも暇なやつがいるもんだね~)
美雪「それで、はじめちゃんについてきて欲しいってことね?」
剣持「そうなんだ。キッドと怪盗紳士の両方止めるにはお前の力が必要なんだ。頼む!」
はじめ「やれやれ、この俺がオッサンの期待を裏切ったことがあるか?」キョウハフレンチノキブン
剣持「さすが金田一、俺が見込んだ男!お前の誠実さには頭が垂れるぜ。」マカセロサクラダモンノナニカケテ
美雪「……それで、狙われてる絵はどんなものなんです?」
剣持「えぇと、これだ。この『アテネの学長』って絵が狙われてる。3000万は下らないシロモノらしいぞ」
はじめ「へぇ、こんなヒゲのおっさんの絵がねぇ。俺にゃわからん」
剣持「なんでもこの持ち主の相上って大学教授が3年前にイタリアで購入した物だそうだ」
美雪「あれっ、でも怪盗キッドって宝石専門の泥棒のはずよね?なんでこの絵を狙うのかしら?」
剣持「あぁそのことか。それはだな…」
―電車内―
蘭「…それでその『アテネの学長』の額縁にはめられてるダイヤモンドが今回のキッドの目的みたいね」
コナン「へぇ、だから怪盗紳士と同じものを盗むって言ってるんだね」
蘭「うん。しかもかなり高価な物みたいよ。時価2億円だってこの『金剛力士の涙』って宝石。」
コナン(えらく渋い名前だな、おい)
蘭「お父さんも来ればよかったのにね」
コナン(おっちゃん、指名されたのがオレで不貞腐れてたからな…)
コナン「そういえば、園子姉ちゃんは呼ばなかったの?キッドが来るかもしれないのに」
蘭「聞いたんだけどね…京極さんの足取りがつかめたから会いに行くって」
コナン「…まえは北海道でクマと立ち会ってるってうわさだったよね」
蘭「うん。今度は北米で目撃されたって」
コナン(次は北極だな)
コナン「そうだ、警部にもらった資料にキッドの予告状入ってなかった?」
蘭「入ってたよ。でも、なんかいつもと違うみたいだけど…」
コナン「なになに…
『次の土曜日、夜中の12時丁度に「金剛力士の涙」を頂戴しに参上します 怪盗キッド』
何だこりゃ?これじゃあまるで…」
新一「『偽物みたいだ』な」
コナン「あぁ、やつならもっと凝った予告状を…っておい!」
蘭「新一!?なんで新一がここにいるのよ!」
新一「なんでって幼なじみが心配になって付いて来ただけだ。それ以上の理由がいるか?」
コナン(いるだろ。色々と)
蘭「だ、だったら、先に連絡しなさいよ!その…びっくりしたじゃない!」
新一「わりぃ、わりぃ。ちょっと事件が立て込んでてさ。でもそんなサプライズも嫌いじゃないだろ?」
蘭「それは…そうだけど…って何言わせんのよ!」
コナン「ねぇ新一兄ちゃん、僕トイレに行きたいんだけどどこの車両にあるかわかんないんだ。
一緒についてきてくれるよ…ね?」
新一「…しょうがねぇ坊主だなぁ。ってことだから蘭、ちょっと行ってくるぜ」
蘭「…うん」
―トイレ―
コナン「で、なんでオメーがここにいんだよ?」
新一「お前だってさっき言ったろ。予告状が偽物くさいって」
コナン「じゃあ、あれってやっぱり…」
新一「御名答、あの予告状は俺が出したやつじゃねぇ。」
コナン「だと思ったぜ。もし本物なら無駄に『女神を救う』とか『満月の夜に』みたいな恥ずかしい言葉が並んでるはずだからな」
新一(恥ずかしい?)
コナン「それで、偽物の予告状が出された理由を確かめるために俺達について来たってことか」
新一「そうゆうこと。怪盗キッドの名を語る不届き者を突き止めるためにな。ってことでよろしく!」
コナン「だからってその格好でくるこたぁねぇだろ」
新一「でもそんなサプライズも嫌いじゃないだろ?」
コナン「まぁ…あいつがあんなに喜んだ顔見せるなんて…って何言わせてんだよ!」
新一「にひひw」
―電車内2―
はじめ「ふぁ~あ。ったく、いつまで電車乗ってりゃいいんだよ。」
美雪「夕方くらいには着くと思うけど。たまには電車で遠出もいいじゃない。景色も綺麗だし」
はじめ「同じ綺麗なら、俺は綺麗なお姉ちゃんが見たいね」
醍醐「私じゃだめかしら?」
はじめ「ん~なかなか魅力的な腰回りをお持ちで…っておい!」
美雪「か、か、怪盗紳士!?」
醍醐「しー!声が大きいわよ。久しぶりね金田一君、元気にしてた?」
はじめ「ど、どうしてお前がここに?」
醍醐「どうしてって、貴方達と同じ目的よ。犯行予告のあったお屋敷に行くためにね」
美雪「でもなんでわざわざ電車に乗って?」
醍醐「それは貴方達に伝えたい事があったからよ」
はじめ「なんだよ、その伝えたい事ってのは」
醍醐「あの犯行予告を出したのは私じゃないわ、別の誰かよ」
美雪「それ、本当ですか!?」
醍醐「信じても信じなくてもいいけどね。私は怪盗の名を語る恥知らずを見学しに行くつもりよ。
美術記者・醍醐真紀としてね」
はじめ「それで悪いことしないから見逃してくれってことか」
醍醐「わかってるじゃない。おねがいできるかしら?」
はじめ「わあったよ。そういう事にしといてやる」
醍醐「ふふ、物分りがいいのね」
美雪「いいの、はじめちゃん?この人の言う事を信じちゃって」
はじめ「しょうがねぇよ。今あいつを捕まえても怪盗紳士だって証拠を持ってないだろうしな」
美雪「そっか、醍醐さんの変装してるだけじゃ罪にはならないものね」
醍醐「あ、そうそう怪しまれないように醍醐真紀と貴方達は初対面ってことでよろしくね。じゃあ、またね」
はじめ「おう、おまえは俺が現行犯で警察に突き出してやるから安心しな。
ということで俺はもう一眠り…ぐがー」
美雪「もう、頼りになるんだか、ならないんだか」
―目的地の駅前―
新一「ふぅ、やっと到着か」
蘭「へぇ、意外と発展してるのね。関東の端っこって言うからもっと田舎かと思ってたけど」
コナン「そういえば、ここから目的地まではどうやって行くの?」
蘭「ええっと、迎えの人が来てくれてるはずだけど…もしかしてあれじゃない」
コナン「…それって『歓迎!江戸川コナン様』って大きな看板持ってる人のことだよね」
新一(大事にしたくねぇんじゃなかったのかよ)
蘭「す、すみません。江戸川コナンとその連れですけど…」
桧垣「これはこれは、お待ちしておりました。私は屋敷の主である相上栄一の秘書の桧垣大赤(ひろあき)です。
皆様をお迎えに上がりました」
※犯行予告があった家の住人はオリジナルです
蘭「はじめまして、私は毛利蘭と言います(いかにも秘書って感じの人ね。スーツにオールバックなんて)」
桧垣「それにしても江戸川様のお連れは女性の方一人と聞いておりましたが、そちらの方も?」
蘭「えぇ、彼は此処に来る途中で突然付いて来るって言い出したんです。名前は…」
新一「工藤新一…探偵ですよ…」
桧垣「工藤新一?まさか、あの東の高校生探偵の工藤新一ですか!?」
新一「ちょうど担当していた事件が終わったんで、平成のルパンと戦うのも悪くないと思いまして」
コナン(ちょっと演技過剰過ぎやしねぇか)
蘭(なんだか、新一が帰ってきたって改めて実感するわ)
桧垣「ははっ、それは頼もしい。そういえば、もう一人の助っ人も高校生と聞いておりますよ」
コナン「もう一人の助っ人?」
美雪「はじめちゃん、シャキッとしてよ。なかなか起きないから危うく乗り過ごすところだったじゃない!」
はじめ「しょうがねぇだろ、普通の土曜なら昼間で寝てんだから」
美雪「子供じゃないんだから。もう少ししっかりしてちょうだい」
はじめ「ったく、電車に乗り遅れ無かった事を褒めてほしいぐれぇだ」
桧垣「すみません。そちらの方は金田一様ではございませんか」
はじめ「そうだけど…おニイちゃんもしかして迎えの人?」
桧垣「相上栄一の秘書の桧垣と申します。そちらのお嬢様はお連れの方ですね」
コナン(助っ人として呼ばれた高校生、金田一か…)
桧垣「これで皆、集まりましたね。では車にお乗りください。あの高台にある屋敷に向かいましょう」
―迎えの車内―
はじめ「いやー、やっぱり金持ちの車は違うね~。座席の座り心地も格段だぜ」
美雪「恥ずかしいからやめてよ、はじめちゃん。他の人も乗ってるのに」
蘭「ははは…仲がいいんですね。もしかして恋人同士とか?」
美雪「そ、そんなのじゃありません!私はコレの幼なじみ…というか保護者みたいなもんですから」
はじめ(誰が『コレ』だよ)
美雪「自己紹介がまだでしたね。私は七瀬美雪、高校二年生です。こっちが同級生の金田一はじめです。」
はじめ「おう、よろしく!」
蘭「二年生なら同学年だね。私は毛利蘭で、この子が江戸川コナンくん」
コナン「よろしくね、美雪お姉さんとはじめ兄ちゃん」
新一「俺の名前は工藤新一。よろしくな」
美雪「工藤新一って、あの工藤新一!?」
はじめ「なんだ美雪、こいつのこと知ってんのか?」
美雪「知ってるも何も有名な高校生探偵よ」
はじめ「高校生探偵ねぇ」
美雪「でも、しばらく活動してなかったわよね。この前の探偵甲子園の時だって…」
はじめ「なんだよその探偵甲子園って」
美雪「そういえば言ってなかったっけ。はじめちゃんが居なかった時におばさんにTV局から電話があったんだって
今度探偵甲子園っていう番組をやるから高校生探偵として出てくれないかって」
はじめ(居なかった時って俺が日本中回ってた時か)
美雪「それで連絡が取れないから出られないって伝えると『工藤新一といい東の探偵は何処に行っているんだ』
ってため息ついてたらしいの」
はじめ「なんだよ、俺は外れ一位ってことかよ」
蘭「まぁまぁ、新一は自己主張が強いところがあるから新聞とかに結構載ったり知名度だけは高いからそのせいよ、きっと」
コナン(ほっとけ)
はじめ「そーいや、桧垣さん。向こうには警官以外はどんな人がいんの?」
桧垣「まず主人である栄一様とその家族である長女の美夏様、長男の洋文様、次男の紗仁(すずひと)様。」
新一「家族以外には?」
桧垣「使用人が数名と英一様の主治医の東方樟司(しょうじ)様、あと今は美術記者の醍醐様がおられますね」
はじめ(怪盗紳士か…)
桧垣「他には…あっ、そろそろ到着しますよ」
―相上邸 本館―
はじめ「おじゃましまーす」
剣持「おう、金田一!やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
はじめ「ようオッサン。それにしてもいかにもって感じの屋敷だな。ここまで来ると嫌味だぜ」
剣持「なんでも4年ほど前に大改築したらしくてな。それでこんな豪邸になったみたいだぞ」
中森「ほれ、早く中にはいれ。家の人達を紹介してやるから、ってお前は!?」
新一「はじめまして、中森警部。工藤新一です。警部の評判は伺ってますよ。怪盗キッドの好敵手だとね」
中森「フン、キッドのやつが勝手に来るだけでワシは好敵手なんぞ思っとらんがな」
新一(それはこっちも同じですよ。警部どの)
コナン「ほら、早く中に入ろうよ。みんな待ってるんでしょ?この部屋だよね、ってうわあ!」
美夏「いらっしゃいっ、コナン君!ずっと待ってたのよ、いや~実物は本当にかわいいわね~うりうり」
コナン「ち、ちょっと降ろしてよ、お姉さん!だっこされたままだと、えっと、その不都合が…」
美夏「あら、だっこされたままじゃ自己紹介しにくいものね。ゴメンなさい。」
はじめ(おぉ~きれいなオネーさん登場!)
新一(フリフリの服でその胸は反則だろ!)
美雪「なに鼻の下伸ばしてるのよ、はじめちゃん!」
蘭「新一もでれでれしないの!」
コナン(ッ!!)
美夏「改めまして…私はこの家の長女の相上美夏。よろしくネ、コナン君!」
コナン「よ、よろしく」
蘭「桧垣さん…もしかして今回コナンくんが呼ばれた理由って…」
桧垣「…はい。お嬢様は江戸川様の大ファンなのです」
新一(あの看板作ったのもこの人ってコトね…)
洋文「全くそろそろ落ち着いて欲しいもんだぜ。俺は長男の洋文だ。職業は…旅人ってとこかな」
はじめ(このおっさん、すげー筋肉だな)
紗仁「旅人なんて言ってる兄貴も人のこと言えないだろ。僕は紗仁、高校一年生です」
美雪(ちょっとさわやかな感じかも…)
はじめ「…美雪、お前も人のこと言えねえな」
栄一「お前達、客人の前で恥ずかしい真似を…ようこそいらっしゃいましたな。私はこの家の主、相上栄一です。そして彼が…」
東方「医者の東方樟司です。この家の主治医をしております。私もあの絵を気に入っていますからな。よろしく頼みますぞ」
コナン(じいさんは高そうな和服着てるな。医者の方は阿笠博士っぽいけど。特に腹が)
栄一「そういえば、聞いていたしていたより一人多いようですが、彼はいったい?」
新一「工藤新一…探偵ですよ。僕が来たらには安心してください。相手が月下の奇術師であろうともね」
はじめ(ったく、よく真顔で言えるもんだぜ)
栄一「あの名探偵の…よろしく頼みますぞ。探偵が三人入れば心強い。きっと宝石も盗まれることはないだろう」
美夏「ふふっ、うれしい誤算じゃない。じゃあそろそろ別館に行きましょうよ」
蘭「あれっ、この建物に宝石があるんじゃないんですか?」
剣持「この家にはもう一つ建物があって、やつの狙う絵はそっちにおいてるんだ」
桧垣「では、みなさんついてきてください」
―別館に向かう道―
蘭「その別館って遠いんですか?」
桧垣「ええ、歩いて十分くらいですかね。でも景色が素敵なところですよ」
美雪「ここからでも街を見下ろせるものね」
コナン「そういえば栄一さん、探偵が三人ってボクも入れてくれたの?」
栄一「おおそうか、君もいれれば四人だったな。すまんすまん」
新一「ってことは、ボク達の他に探偵がいるんですか?」
栄一「そう、君たちより早く着ておるよ。怪盗キッドの天敵の後継者がな」
コナン「怪盗キッドの天敵の後継者?」
中森「怪盗キッドが今までに苦戦した相手は3人いる。まずはそこの坊主、次に推理作家の工藤優作、
そしてもう一人は警視庁特別公認探偵、団守彦だ」
美雪「団守彦って確かこの前亡くなった…」
コナン「キッドと対決してたの?」
剣持「何度か二課の方の手伝いもしていたらしくてな、今回はDDSから生徒が協力に来てくれている」
はじめ「なんだそのJDCって?」
美雪「DDSよ。団守彦の作った探偵養成学校のこと」
蘭「それで、その生徒さんってどんな方なんですか?」
中森「…それは、あってからのお楽しみというやつだな。ワシは得意なタイプじゃなかったが…」
桧垣「みなさん、着きましたよ。ここが皆様に滞在していただく別館『十二星館』です」
新一「十二星館か…」
はじめ「さっきの建物と比べるかなり古そうだな…って、オッサンそういえば醍醐真希は今どこにいる?」
剣持「先にその探偵と絵を見に行ってるが…」
はじめ「なんで、それを早く言わねえんだ!」
美雪「ちょっとはじめちゃん!」
洋文「なんだぁ、一番乗りじゃない時が済まないのか?」
東方「若いのぉ」
コナン(…おいおい)
―十二星館 ホール―
はじめ「怪盗紳士!」
醍醐「きゃ、なによ突然入ってきて大声で…ってあなた…」
新一「ったく、どうしたんだよ。いきなり走りだして」
美夏「まさか、宝石が盗まれて…はいないようね」
はじめ「へ?盗まれてないの」
紗仁「全く人騒がせな」
はじめ「わりぃわりぃ。気が焦っちまったみたいだ」
醍醐「それより、あなた金田一君よね?はじめまして、私は美術記者の醍醐真希。よろしくね」
はじめ「……よろしく。そういや、もう一人の探偵ってのはどこだ?」
???「ようやく僕の出番ですか…って、あー!?お前は!」
はじめ「えっ誰?美雪知り合い?」
美雪「ほら、あの恋琴島のクイズ番組で確か名前は…第三協栄丸さん!」
三郎丸「三郎丸だっ!第三協栄丸でも第四共栄丸でもないわッ!」
美雪「もしかして、探偵学園からきた探偵って…」
三郎丸「ああ、俺だよ!悪いか!だいたいどいつもこいつも東大生の俺を…」
はじめ「なんで中森のオッサンはこんな人呼んだんだよ」
中森「それが、ケルベロスとかいう犯罪者の対応で成績優秀者がみんな出払ってるらしく…」
三郎丸「それで、Cクラス筆頭の俺が送り込まれたんだ!有り難く思え!」
新一(もしかしてDDSにナメられてる?オレ)
剣持「と、ともかく。警備するにあたっていくつか説明があるからよく聞けよ」
桧垣「まず館の説明をしましょう。この館は今我々のいるホールとそれを囲む12個の部屋で出来ています。」
英一「ホールの中央に柱があるから上から見ると歯車の形をしている訳だ」
桧垣「部屋にはトイレがありますがお風呂はありません。それで部屋割りですが、まず水瓶の間に…」
中森「というややこしい説明だと理解しにくいので、上面図で今入ってきた玄関の右側を1、左側を12としてコレを見てくれ」
―部屋割り表―
1美夏
2使用人
3剣持、中森
4醍醐
5
6洋文
7
8桧垣
9紗仁
10主人
11東方
12三郎丸
中森「…って事だから、あとから来たお前らは5と7のどっちかに分れてくれ」
はじめ「さて美雪、俺達はどっちの部屋にする?」
美雪「そうねぇ…ってなに、さりげなく同じ部屋に泊まろうとしてるのよ。私は蘭ちゃんと一緒に泊まるわよ」
蘭「えっ、あぁ、そうだよね。普通に男女別だよね…じゃあ私たちは7の部屋にしようかな。コナン君も一緒に泊まる?」
コナン「僕は兄ちゃん達のの方の部屋にするよ」
???(…ニヤリ)
剣持「次に、警備についてだが、一晩中絵の前で見張る!それだけだ」
美雪「そんなので大丈夫なんですか?この中央の柱にある絵には透明のケースが掛かってるだけですよ」
中森「なにせ少人数だからな。だが、この強化アクリルケースは外すのに時間がかかるからな。その時になんとするさ」
新一(ザルもいいとこだな)
はじめ「そんなことより飯はまだ食わないのか。これってディナーテーブルだろ。俺お腹ペコペコだぜ」
美雪「もう、はじめちゃんったら。食事は本館から運ばれてくるんですか?」
中森「いや、ホールには簡単なキッチンがついてるから、今使用人の子がそこで作ってるはずだ」
美夏「そうだ!まだ料理が来るまで時間がありそうだから、それまで私の部屋に来ない?ね、コナン君」
コナン「へっ?」
―美夏の部屋―
美夏「ん~、やっぱりこっちかな?」
蘭「右のほうが可愛いんじゃない?」
美雪「この服なんてどうでしょう?」
コナン(おいおい、俺は着せ替え人形じゃねぇぞ)
蘭「それにしても結構な数ですね。どうしてこんなに子供服をもってるんですか?」
美夏「昔、正人くんのためを買ってたらこんなに集まっちゃったのよ」
美雪「正人くんって?」
美夏「あ、まだ会ってなかったのよね。加地正人くん、使用人の男の子で今は中学生よ」
蘭「今、料理してる子のことですよね」
美夏「そうよ。今は体が大きくなって着せ替えられなくなったから、コナンくんが来るの楽しみだったのよ」
新一(ショタコンだな)
はじめ(ん~ざんねん)
コナン「ねえ。美夏さんはここで暮らしてるみたいだけど、他にもこっちを普段から使ってる人っているの?」
美夏「私と父だけよ。他の人は本館を使ってるけど今日は人が多いほうが安心だからって」
コナン「ふーん、そうなんだ」
はじめ「みろよ、これ。胸元スゲー開いてんぞ」
新一「オレは、むしろこっちの開いてないほうが逆にあの胸が強調されて…」
美雪「女性のクローゼットをじろじろ見るんじゃありません!」
―ホール―
はじめ「いや~食った食った。これだけでもここに来たかいがあったぜ」
加地「お気に召していただけたようで何よりです」
中森「おいおい、まだ満足するなよ。お前の仕事はこれからなんだからな」
美雪「でも、本当に美味しかったよ」
はじめ(まさか年下趣味じゃねえよな)
蘭「中学生なのにすごいよね」
コナン(まさか年下趣味じゃ…いやむしろそっちの方が)
はじめ「っていうかなんでセーラー服着てるんだよ。しかもスカート結構短いし」
加地「そ、それはですね…」
美夏「私の趣味よ。だってこんな可愛いのに男の子の服なんて勿体無いじゃない」
加地「僕の服はお嬢様が買ってきてくださるんですが、最近はすべて女学生の制服で…」
美夏「しかも、全部ミニスカよ」
加地「今日も、せめて自分の学生服でお客様のお相手をしたかったのですが…
お嬢様に隠されてしまって…」
美夏「せっかくみんなに見てもらえるチャンスなんだからむしろ誇りに思いなさい」
美雪(美人お嬢様とそれに服従する女装美少年…禁断の世界ね)
剣持(なんだ、この熱く込み上げてくるものは…?)
加地「では、僕は食後のコーヒーを淹れてきます」
美雪「うん、お願いね」
蘭「あれ、コナンくん口にケチャップついてるよ」
コナン「えっほんと?」
美夏「ほら、お姉さんがハンカチで拭いてあげるわ。でも、本当に似合ってるわ、その衣装」
はじめ「ホームズの衣装なんてよく持ってたな」
美夏「もしもの時のために買っておいたの。加持君はもう着られないから、コナン君はにあげるね」
コナン(…ははは)
美夏「でも、大変よね刑事さんって。わざわざこんなトコロまで出張しなきゃいけないだから」
剣持「ただの泥棒なら県警に任せるんですが。なんせ相手は東京での犯罪で指名手配になってますからな」
中森「キッドを捕まえるためなら喜んででかけますよ」
美雪「そういえば、美夏さんって職業はなにをされてるんですか?」
美夏「作家よ。まだまだ駆け出しだけどね」
コナン(そういえば本棚に推理小説があったな)
蘭「へー意外。大学生かと思ってました。洋文さんは旅人と言ってましたけど…」
美夏「それは冗談よ。この人は事件記者をやってるの。まあ、日本中回ってるのは本当だけどね。今回だって久しぶりに帰ってきたんだから」
洋文「なんせこの辺りは平和そのものだからな。事件らしい事件なんて5年前に旗寺ってルポライターが不審死したくらいで…」
栄一「…洋文!お客さまにそんな話をするもんじゃない!」
洋文「悪かった。気をつけるよ」
はじめ(…?)
三郎丸「そんなことより、東大生のこの僕にはなにか聞きたいこととかはないのかな?」
加地「お待たせしました。コーヒーをどうぞ」
新一「おう、サンキュー」
三郎丸「普通に無視するなよ…」
コナン「あれれ、栄一は飲み物コーヒーじゃないの?」
栄一「これは、漢方茶だよ。健康のためにね」
コナン「へー、そうなんだ」
中森「ったく、気を抜きすぎるなよ。あと4時間したら予告の時刻だからな…王手!」
醍醐「そうだ。みんなでトランプしない?私持ってきたのよ」
美夏「やるやるー」
剣持「お前らなぁ…ふっ、逆王手だ」
―ホール―
醍醐「ふふ貰ったわね、フルハウス!」
はじめ「甘いな、フォーカードだっ!」
新一「残念、ロイヤルストレートフラッシュ!」
蘭「じゃあ私の勝ちね、ファイブカード!へへ~、これで8連勝~!」
はじめ(イカサマしても…)
新一(勝てない…だと?)
美夏「また三郎丸くんが一番下ね。もうコイン無くなっちゃうんじゃない」
剣持「ったく、刑事の前で賭け事はするなよ」
美雪「大丈夫ですよ。コインのチョコレートでゲームしてるだけですから」
三郎丸「俺のコインチョコが…IQ180の東大生のこの俺が負け続けるなんて…」
醍醐「本当に180もあるのかしら?そういえば怪盗キッドのIQは400もあるって話しよ」
新一(おいおい、世間ではそんなことになってんのかよ)
コナン「へーすごいんだねキッドって。IQ400(笑)」
新一(このガキ…)
栄一「さて、私はそろそろ寝に行きますかな」
中森「キッドはあと2時間で来るんですよ。待たないんですか?」
栄一「初めはそのつもりでしたが、今日はよく眠れそうなのでね。それでは」
コナン(…?)
加地「あの僕も、もう寝ていいですか」
中森「ああ、済まなかった。構わんよ」
加地「お休みなさい」
紗仁「僕も部屋に戻ろうかな。来週のテストの勉強をしないと」
醍醐「だったら美雪ちゃんと蘭ちゃんに教えてもらえばいいんじゃない。二人とも優等生みたいだし」
蘭「一年の勉強ならなんとか教えられるかもしれないけど」
紗仁「じゃあ、お願いできますか?」
はじめ・コナン「ダメ、ダメだ<だよ>!」
美雪「何よ二人して」
はじめ「いや…ほら、せっかく東大生がいるんだからそっちに教えてもらったほうがいいよ、うん」
コナン「う…うん、そうだよ」
三郎丸「なんで俺がガキのおもりなんか…」
新一「(三郎丸さん。キッドは若い男といわれています。つまり、簡単にできる高校男子に変装している可能性が高いんです)」
三郎丸「(なるほど!つまり俺が監視してボロを出したときに捕まえれば!)わかりました!引き受けましょう!」
紗仁「じ、じゃあよろしくおねがいします。では宝石の警備頑張って下さいね」
コナン「(サンキュー)」
新一「(貸し一だからな)」
醍醐「紗仁って結構かっこいいわよね」
美夏「見た目に騙されちゃダメよ。あいつのベッドにはアブノーマルな本がわんさか入ってるんだから」
美雪「…ははは。そうだ、蘭ちゃんと工藤くんってどういう関係なの?もしかして恋人同士?」
新一「ええ、オレ達二人はロミオとジュリエットも嫉妬するような熱い…ギャ!」
コナン(貸しゼロだな)
新一(悪かったけど、その靴で腿蹴りはやめろ)
蘭「全然そんなんじゃないよ!コレとは…ただの幼馴染みです」
コナン(誰が『コレ』だよ)
蘭「桧垣さんには恋人とかいないんですか。スタイルよくてモテそうだし」
桧垣「残念ながらいません。それに昔はかなり太ってましたから根が卑屈でね。なかなか難しいですよ」
美雪「へー、意外ですね」
桧垣「では私も部屋に戻ります。まとめなきゃいけない書類もあるものですから。それでは」
蘭「大学教授の秘書もたいへんなんだね」
コナン「そうだ、新一兄ちゃん、僕らは玄関の外で見張りをしない?」
新一「ん、そうだな。じゃここは任せたぜ」
はじめ「おう、じゃあな」
コナン「あっ、そうだ。せっかくだから虫めがねでも持って行こうかな」
新一(結局、気に入ってるみたいだな。その服)
東方「じゃあ私は、栄一さんの部屋に向かいますかな。なにやら相談事があると言ってましたから」
はじめ(…?)
???(…ニヤリ)
―玄関―
新一「で、なんだ。あと数時間で予告の時間だぜ?」
コナン「バーロー。だからオメーを宝石から遠ざけたんだよ」
新一「ったく信用ねえなあオレ」
コナン「泥棒がよくいうぜ。でも、オメーが出したんじゃねぇとすると一体誰が?」
新一「考えられるのは怪盗紳士だろうな。目的は警察の注意を分散させるため」
コナン「それならそもそも予告状を出さないほうがいいだろ」
新一「確かに最近は怪盗紳士が予告状を出さない時もあるみたいだからな。じゃあいったい?」
コナン「そうだ、とりあえずこれをオメーに預けとくよ新一の携帯だ。万が一目の前で電話されたら面倒だからな」
新一「意外とまめだよな、お前」
コナン「うるせー」
―ホール―
剣持「12時まであと1時間か…」
はじめ「そういえば、栄一さんの奥さんってどうしたんですか?」
美夏「母さんは死んじゃったのよ二年前に。交通事故でね」
はじめ「それはその…変なコト聞いてすみません」
美夏「気にしないで。それより、コナンくんと工藤くんって仲いいよね。苗字が違うから兄弟じゃないと思うけど」
蘭「うん、親戚同士なんです。そのせいか二人ともどこか似てるとこあるのよね」
美雪「なんとなくわかる気がする。そうだ、はじめちゃん、外にいる二人に飲み物持って行ってあげなよ」
はじめ「ああ、そうだな。外で大変だろうし、コーヒーでも持って行ってやるか」
洋文「そろそろ俺も、部屋に戻るかな。原稿も途中だったし。じゃあな」
蘭「…意外とみんな。怪盗キッドに興味ないんだね」
―玄関―
はじめ「よう。飲み物持ってきたぜ」
新一「サンキュー。助かるぜ」
コナン「ありがとー」
はじめ「外って思ったよりと寒くないんだな」
新一「あぁ、天気も悪くないし過ごしやすくて良いぜ。風も殆ど無いしな」
コナン「ねぇねぇ。はじめ兄ちゃんも探偵なんだよね?」
はじめ「一応な。自分で名乗ることは少ないけど」
コナン「じゃあじゃあ、なにか事件とか解決してるんだよね。?」
はじめ「あんまりガキにきかせるもんじゃねえけど…そうだな、あれは俺が演劇部の手伝いをしに…」
―ホール―
中森「さて、12時を回ったわけだが」
美雪「何も起きませんね」
蘭「まさかもうすり替えられてるとか?」
剣持「そんな様子はないが…」
醍醐「空振りって訳ね」
美夏「怪盗キッドの登場に期待してたのに…」
醍醐「私はもう寝ようかしら。じゃあまた明日ね」
―玄関―
はじめ「…それで、チャネラー桜庭が…」
コナン「うんうん」
―ホール―
美雪「もう一時過ぎましたよ…」
剣持「そうだな」
蘭「もう来ないんじゃないですか」
―玄関―
はじめ「…その時、自殺しようとした犯人を地獄の傀儡師が…」
コナン「うんうん」
新一「地獄の傀儡師がどうなったんだ」
はじめ「…包丁をバラに…って何の音だ。これは」
コナン「消防車のサイレンみたいだね」
新一「ここは高台だからよく見えるけど、燃えているところはないみたいだな」
はじめ「大変だね~誤報で呼び出されるなんて。消防士は将来なりたくない仕事にランクインしたね」
新一(将来の仕事か…俺はこのままキッドを続けていくんだろうか…)
コナン(将来の仕事か…将来…将来ずっとこのままなのか?…)
はじめ「しかもこんな時間に…ってもう二時じゃねえか」
新一「話しに聞き入ってる間にそんな時間になってんのか!?」
はじめ「とりあえず、中に入ろうぜ」
コナン「僕は外で待ってるよ。一人で考えたいこともできたし…運動がてら館の外側を一周してくるかな」
―ホール―
はじめ「オッサン!絵はどうなった?」
剣持「まだ何も起きてないぞ」
はじめ「なんだよ、結局怪盗キッドのやつは現れなかったのかよ」
新一(横にいるんだけどな)
桧垣「おや、まだ絵は盗まれていないのですか?」
洋文「なんだ、怪盗は来なかったのか?」
蘭「えぇ、無事です。お二人とも用事は終わったんですか」
桧垣「はい、なので寝る前に水をもらおうと思って」
洋文「俺も同じだな」
はじめ「ふーん。ていうか、お前らまだトランプやってたのか」
美雪「うん、結構白熱しちゃって」
蘭「そうだ!美雪ちゃんに聞いたけど金田一くん手品ができるんだよね。見せて欲しいな」
美夏「うん!みたいみたい!」
はじめ「しょうがねぇなぁ…好きな数字を言ってくれ」
蘭「ハートのジャックかな」
はじめ「じゃあ自分の胸ポケットを触ってみな」
蘭「え…あ、すごい!カードが入ってる、しかも私が言った絵柄!」
美夏「やるじゃない金田一くん!」
新一「ったく、それくらいなら俺にもできるぜ。蘭、ズボンの右ポケット触ってみな」
蘭「は、入ってる!」
はじめ「左のポケットも確認したほうがいいかもな」
蘭「ほんとだ…」
新一「あと尻ポケットと椅子の下とコップの下と服の間と冷蔵庫の中と…」
はじめ「他にも携帯の間と壁の隙間とポシェットの中と天井裏と…」
美雪「ふたりとも落ち着いて、ハートのジャックだけでトランプタワーができちゃうわよ!」
蘭「というか新一ってマジックもできたんだ」
新一「あ、あぁ、ハワイで親父に習ったんだ(やべぇやべぇ)」
桧垣「お二人ともすごいですね。さっぱりタネが解らない。では、私は寝てきます。失礼」
はじめ「そーいや、この十二星館って古そうですけど、いつ頃できたものなんですか?」
洋文「んー、この館は元からあったもんじゃなくて8年前に移築してきたものなんだ」
美夏「だからいつ頃できたのかはわからないのよ」
美雪「なにか『いわく』とかはないんですか?」
洋文「確か建築家がだいぶ前に孤島で焼死したくらいでたいしたことはないな」
新一(十分いわくつきだろ)
蘭「そうだ、コナン君はどうしたの?」
新一「えっ?」
コナン「…遅いよ。二人とも、なにやってたの?」
はじめ「わりぃ、ちょっとな。じゃあなんか腹ごしらえして、見張りの続きすっか」
洋文「外で見張りとは関心だねぇ。俺は寝てくるかな。じゃあ宝石が盗まれたら呼んでくれ」
美夏「私も寝てこよっと。キッドが現れたらよろしくね」
―玄関―
コナン「それって看板にトリックが隠されてるんじゃない?」
はじめ「よくわかったな、それでその看板が…」
新一「ふぁ~あ、良く飽きねえなお前らもう夜が明けてるってのに」
はじめ「俺は徹夜なれしてるからな…ってまた消防車が鳴ってるな。これで二度目だぞ」
コナン「新一兄ちゃんだってときどき真剣に聞いてたじゃない」
新一「オレは高遠ってやつが気になっただけだ。早く中にはいろうぜ」
はじめ「そうだな」
―ホール―
はじめ「おい、起きろ美雪。朝だぞ」
美雪「ん、はじめちゃん。私寝ちゃってたの」
蘭「ん~、新一ぃ~なんで美雪ちゃんを…あ、金田一くんだったの」
コナン(おいおい)
醍醐「あら、みんなまだ起きてたの?もう6時よ」
新一「まだ何があるかわかりませんからね。って警部たちは爆睡しているようですが…」
中森「ばかも~ん ムニャムニャ そいつがキッドだ~ ムニャムニャ」
剣持「なに~ ムニャムニャ 明智警視がガス爆発だと~ ムニャムニャ」
はじめ「(…チャンスだなんて思うなよ)」
醍醐「(安心して、こんな相手じゃ仕事する気にならないわ)」
加地「みなさんお早いですね。僕は朝食の支度をしてきます。」
はじめ「よろしくたのむぜ」
蘭「さて、じゃあまたトランプの続きでもする?」
美雪「また蘭ちゃんの一人勝ちになっちゃうよ。それにハートのジャックが多すぎるし」
コナン「なにそのハートのジャックって?」
美雪「はじめちゃんと工藤くんが手品でそこら中から取り出しまくったのよ」
コナン「へー新一兄ちゃん手品できたんだ。知らなかったよ」
新一「ま、まあな」
醍醐「ふふっ、二人とも素敵だったわよ。じゃあ私は朝食までひと眠りしてくるわね」
三郎丸「お~い、工藤ぅ~全然ボロ出さねぇ~ぞ~」
はじめ「三郎丸さん…紗仁君の部屋から出てきたってことは…」
コナン(本気にして見張ってたんだな…)
新一「おかげ様で宝石は盗まれませんでしたよ。大殊勲です」
三郎丸「そうか~じゃあ~俺は外の空気吸いに~散歩に~行くぞ~」
蘭「…い、いってらっしゃい」
はじめ「んじゃ、俺らは少し寝てくっか」
新一「そうだな」
―はじめ、コナン、新一の部屋―
美雪「はじめちゃん、起きて大変なのよ!」
はじめ「なんだよ騒々しい。まだ九時だろもっと寝させろよ」
美雪「ダメよ、起きなきゃ!だって東方さんが殺されちゃったのよ!」
―栄一の部屋―
はじめ「オッサン!東方さんが死んだって本当なのか?」
剣持「残念なことにな、見ての通り首をしめられて亡くなっていた」
コナン「吉川線があるから絞殺なのは確実だよ。でも、絞めたあとに赤くなってない点が等間隔であったから
凶器はベルトかな。被害者のベルトが無くなってるみたいだし」
はじめ(こいつホントに小学生か?)
新一「でも問題はそれよりも、この部屋に入った状況が…」
はじめ「どういう事だよ?」
山村「ここからは僕が説明しましょう」
はじめ「誰この人」
コナン「通報を聞いて来てくれた県警の刑事さんだよ」
山村「こほんっ。では改めて、まず午前8時頃朝食ができたことを伝えに加地くんが栄一さん呼びに行きました」
加地「何度か扉を叩いたのですが返事がなく不思議に思いましたが、起こしてもらいたくないのだろうとその時は納得しました」
山村「その後ホールに人が集まってきて、その時に東方さんが栄一さんの部屋に入ったままだったことに気がついた」
美雪「確か何かの相談にいくって話だったけど」
山村「そして、何かあったかもしれないと思いみんなで扉を押し破ると…」
中森「仏さんが転がってたわけだ」
山村「もう、盛り上がるところをとらないでください。そして窓は内側から閉まったまんまだったんです」
はじめ「ということは密室殺人ってことか」
山村「そういうわけじゃなく、部屋の中には眠っている栄一さんがいたんです」
新一「それで、栄一さんの話が聞ければいいんだけどな…」
山村「眠りが深いみたいで、今は本館に移されて寝かされている状態で…」
はじめ「そういえばなんで、東方さんは部屋に入れたんだ?鍵がかかってなかったのかよ」
山村「栄一さんはもしもの時のために、合鍵を渡していたんです。それも遺体のポケットから見つかっています」
中森「栄一さんは自分の部屋に入られることをひどく嫌ってないてな。医師は信頼されていたようだ」
剣持「外部犯の可能性も考えてみたんだが、この館の周りって崖になってるから見晴らしはいいけど入ってこれないんだよ」
コナン「それに、本館から続く唯一の道もボクたちが見張ってたけど誰も来なかったしね」
剣持「だから、中にいる容疑者は外に出さないようにしてるんだが」
山村「それなんですが、僕の知恵の泉が囁いちゃったりしてるんですよね、犯人は栄一さんだって」
中森「はぁ?」
山村「栄一さんは殺すために東方医師を部屋に呼んで、殺して、密室にしたんですよ。これ以外ないでしょう」
三郎丸「ま、まあ俺もそうだろうと、現場を見た時点でわかったけどな」
はじめ(いたのか三郎丸さん)
コナン「でも、それなじゃあなんでわざわざ密室にしたの?犯人が自分だってすぐにわかっちゃうじゃない」
山村「それは…犯人っぽくして逆に犯人っぽく無くそうとしたんです!」
新一「それに、東方医師は結構恰幅がいいのにお爺さんと戦って負けますかね?」
山村「もうそれ以上、僕を責めないでください!わかってますよ無茶だっていうのは。でも、そうなると密室が説明できないでしょうよ」
三郎丸「前座が終わったようだから言うが、密室なんて問題でもなんでもない、作ったのは栄一さんだ」
はじめ「どうして?」
三郎丸「犯人に頼まれたんだろ。相談事中に犯人が入ってきて、医師を殺して、殺されたくなかったら密室にしろと言って脅したんだ」
山村「すごい!さすがDDSのクラス筆頭!」
コナン「それでも結局犯人が密室を作りたかった意味はわからないよね?」
三郎丸「それは…栄一さんを犯人に仕立てたかったんだ。実際そこのへっぽこ刑事は誘導されてるし」
山村「へっぽこは言わないでくださいよ」
はじめ「それに、犯人がいるときになんでドアを開けて助けを呼ばなかったんだよ。ホールに人がいるんだから。」
三郎丸「それはだな…被害者なりのプライドみたいな?」
剣持「そんなところで、推理はひとまずおいておけ。金田一も起きたことだし事情聴取を始めるぞ」
遅れたけど〈人物紹介〉
金田一はじめ 高校生探偵
七瀬美雪 その連れ
剣持警部 警部
醍醐真紀 美術記者・怪盗紳士に変装される
江戸川コナン 名探偵
毛利蘭 その連れ
工藤新一 高校生探偵・怪盗キッドに変装される
中森警部 警部
山村警部 警部
相上英一 大学教授
相上美夏 作家
相上洋文 事件記者
相上紗仁 学生
東方樟司 主治医
桧垣大赤 秘書
加地正人 使用人
怪盗キッド 怪盗
怪盗紳士 怪盗
―ホール―
はじめ「そういや、オッサン。死亡推定時刻はわかってんのか?」
剣持「死亡推定時刻は昨日の午後10時から今日の午前3時ってとこだな」
はじめ「結構広いな」
新一「でも、検死まえだからそんなモノでしょう。死因は絞殺で決まりですか?」
剣持「それは間違いない。他に外傷がないしな。それと、栄一さんはやっぱり睡眠薬で眠っているようだぞ」
コナン「死亡推定時刻全部にアリバイを持っている人は少ないよね」
剣持(なんでこのガキは場に溶け込んでるんだ)
山村「そうだねぇ、事情聴取して完全なアリバイを持ってるのは両警部のお連れ以外だと紗仁くんだけだから」
新一(三郎丸さんが役に立つとはな…)
美雪「そうよね。それにホールにずっと居たけど英一さんの部屋に入った人は本人と東方医師だけだもんね」
剣持「そうだな。上面図を見てもドアと窓の二つしか…んっ?」
はじめ「どうしたオッサン?」
剣持「よしわかった!密室を作ったトリックがな!桧垣さん、この館に隠し地下室か何かはありませんか?」
コナン(おいおい)
桧垣「よくわかりましたね!?ホールの隅に取っ手があってそこから入るんです」
新一(マジであんのかよ)
剣持「フッフッフ、残念ながら今回は金田一の出る幕はなかったな!桧垣さん、案内してくれ」
―隠し地下室―
はじめ「これは!?何かの制御室か」
剣持「やっぱりな。お前らこの館がどんな形をしているかは知ってるな?」
コナン「歯車みたいな形だったよね」
剣持「そうだ、そして犯人はここにある装置を利用してドアから入ったんだよ。ホール自体を回転させてな!」
山村「どういうことです?」
剣持「まず犯人は栄一さんを眠らせて、その部屋に栄一さんの名を騙って東方医師を呼び出す。
そして、ホールを回転させ自分の部屋のドアを栄一さんの部屋とつなげそこで殺したんだ」
三郎丸「そうか、それだったら自分の部屋に戻る振りをして犯行現場にいける!」
剣持「そして、何食わぬ顔でホールに戻りもう一度ホールを回転させもとに戻せば密室が完成する」
山村「すごい!すごいです!さすが警視庁捜査一課!こんなに早く問題を解決するなんて!」
三郎丸「まあ、俺の推理と被害者が殺されてるところとか似てるし今回はイーブンってとこだな」
はじめ「あのなあオッサン…ホールが回転して誰も気づかないと思うか?」
剣持「それはもうゆっくりとゆっくりと動いていたんだろうな、きっと」
コナン「それなら、東方医師が気づくんじゃない。だって、呼び出した人が眠ってたら出直そうと思って
ドアを開けて外に出ようとするんじゃないかな。その時、ドアが開かなかったら変だと思うよ」
はじめ「それに他の人だって、部屋の出入りはあるんだからリスクがでかすぎるぜ」
剣持「は~…いい推理だと思ったんだがな」
コナン(それに、そのトリック使うにはこの館は星が多いしな)
新一「だとしても、この部屋はなんの部屋なんですか」
桧垣「これは剣持さんの仰るとおり、ホールを回転させる装置でした」
コナン「でした?」
桧垣「はい、この館を移築する際に予算でそのからくりは無くなったんです。ここはその名残です」
はじめ「なるほどね」
中森「おい、お前ら朗報だ。漢方茶の出がらしから残留した睡眠薬が検出されたぞ」
三郎丸「ってことは、犯人はあの使用人か!大人しい顔しやがってなんと残忍な!」
コナン「そうとは限らないんじゃない?栄一さんが漢方茶を飲むって知ってる人なら簡単にできるかもしれないよ」
はじめ「とりあえず、加地にその話を聞いたほうがいいんじゃないか」
―キッチン―
加地「僕じゃありませんよ!睡眠薬なんて…」
コナン「ねぇねぇ、あの漢方茶っていつもどこで買ってくるの?」
加地「あれはお店で買うんじゃなくて、毎回渡されてたんだよ。東方さんからね。昨日もそうだったよ」
山村「ということは、栄一さんに睡眠薬を盛ったのは被害者だったんですか!?」
剣持「他にはもう残ってないのか。あるなら鑑識にまわすが」
加地「ありますよ、昨日もらったばかりですから。今から取ってきます」
―栄一の部屋―
剣持「やっぱ現場だよな現場。刑事は足で稼がなきゃな」
コナン「かなりシンプルな部屋だよね。机と本棚とベッド、それからテレビがあるくらいで」
はじめ「部屋の奥にひとつある窓は磨りガラスなっていて外が見えないな。景色がきれいなのに勿体ねぇ」
中森「それは、防音のためらしいぞ。今は透明な防音ガラスもあるようだが、古い建物だからな」
三郎丸「なんで防音する必要が有るんだよ。ピアノなんてどこにもなかったぞ」
コナン「それはたぶん、あの装置の音が聞こえないようにじゃない?今ではあまり意味ないけどね」
はじめ「やっぱり服は和物ばっかりだな。ひとつも洋服がない」
剣持「なかなか渋いこだわりのある人のようだ」
はじめ「そーいや工藤のやつが見当たらねえけど、どこ行ってんだ?」
コナン「新一兄ちゃんは部屋で休んでるよ。仮眠するって」
はじめ「ふーん、もっと積極的に捜査するもんだとおもってたけどな」
コナン「ど、どっちかって言うと安楽椅子探偵だからさ。ボクが捜査を手伝うんだよ」
はじめ「…そっか。オッサン、この机や本棚って調べたのか?」
剣持「調べたぞ。凶器は入ってなかったが、どうやら荒らされた様子があるがな」
コナン「あれれ~、ベッドの下にはなにかあるよ」
中森「どれどれ…これは、鞄か。これはいつも栄一さんが持ち歩いてたもののようだな」
剣持「凶器のベルトは入ってないようだな。めぼしいものはこのファイルと…!睡眠薬の空き瓶が!」
はじめ「なんでそんなもんがこの部屋に!?」
コナン「それもだけどこっちのファイルも重要みたいだよ」
中森「なになに…!裏口入学の顧客情報だと!」
コナン「他にもいろいろ悪いことしてるみたいだね。それも大学ぐるみで。しかも政治家の名前もある」
剣持「県警のお偉いさんも絡んでるようだな。いくつか知ってる名前がある」
はじめ「ってことは、もしかして部屋が荒らされてる理由ってそのファイルを探したからか!」
コナン「そして東方さんが睡眠薬を使って栄一さんを眠らせたわけもね」
山村「みなさん、新しい情報ですよ!栄一さんはどうやら睡眠薬のオーバードースで眠ってるらしいです」
はじめ「なんだよそのオーバードーズって?」
山村「簡単に言うと薬の飲み過ぎですね。この場合は睡眠薬を多く飲み過ぎて効果が強く出ています」
コナン「でもそれってつまり…」
はじめ「ああ、今までの推理と食い違うな」
三郎丸「なんの話だ?いっぱい睡眠薬を飲まされたってだけだろ?」
コナン「漢方茶の中に睡眠薬がいっぱい入ってたら流石に味が変わって気づかれちゃうんじゃない」
山村「そうそう、そういえばさっきの余っていたお茶っ葉からも睡眠薬が出てきましたよ」
はじめ「それで、その量はオーバードーズ出来るのか?」
山村「いえ、どちらかというと少量で、コップ一杯分だと4、5時間眠れる程度の量みたいですね」
はじめ「ってことはやっぱり本人が飲んだのか…」
山村「でも一体どうしてそんなことしたんですか?」
コナン「それは、東方さんの部屋に行けばわかるかもしれないよ」
―東方の部屋―
はじめ「オッサン、そっちのファイルはどうだ?」
剣持「いや、見つからないな…ん?何だこの小瓶は」
コナン「(ペロッ)これは…!」
はじめ「馬鹿、なにやってんだよ!」
コナン「はは、粉をつけたのは人差し指で舐めたのは中指だよ。
でもラベルを見るとこれはほんとに青酸カリみたいだね」
はじめ(このガキ…)
中森「死んだ人を悪くいうのもなんだが、持ち物を見る限り東方さんも真っ当な人じゃないようだな」
剣持「怪しげな名刺も多いしな。こっちの手帳を見る限りいくらか借金もあったようだぞ」
山村「ありました、ありましたよ!栄一さんのカルテが!」
コナン「それで何が書いてあるの?」
山村「えぇと…幻覚が見えて夜眠れないってありますね。二年前から」
はじめ「他にはないのか?」
山村「他には…幻覚を見たときに睡眠薬を多めに飲んで無理に寝ようとすることについて、注意を何度かうけてます」
コナン「幻覚を見ると…」
はじめ「無理に寝ようとする…?」
―はじめ、コナン、新一の部屋―
新一「よぉ、二人とも。捜査は進んだか?」
はじめ「だいぶな。もう必要な情報は殆ど出揃ったはずだ」
コナン「ってオメーは寝っ転がってるだけかよ」
新一「俺は…ほら、安楽椅子タンテーってやつだから」
はじめ「コナン、お前って素だとそんな口調なのか?」
コナン「えっ!あ、こ、これは…その…」
はじめ「無理にキャラ作る必要はねぇだろその歳で…俺は気にしねえから楽な方でいいぜ」
コナン「…すまねぇな金田一」
はじめ(いきなり呼び捨てかよ)
新一「で、結局、全部謎はとけたのか?」
はじめ「いや、まだわからないことがある。なぜ一度起きた栄一さんは窓の鍵を掛けてから寝たのか」
コナン「ああ、睡眠薬が切れてた栄一さんが死体を見て幻覚だと思い睡眠薬を飲んで寝たってのはわかるが、鍵を掛ける理由がない」
新一「…鍵を掛けたのはついでだったんじゃねぇのか?窓を閉める時の。条件反射ってやつだ」
はじめ「なるほどな、犯人は密室を作ったわけじゃないから窓を開けたままってこともあり得るな」
コナン「オレが夜中に散歩したときは窓があいた部屋はなかったから…そうか!」
新一「あぁ、『アレ』の為に栄一さんは窓を閉めそのついでに鍵を閉めたんだろうな」
はじめ「これで容疑者は3人に絞られたな」
コナン「なにいってんだ4人だろ?」
???(…ニヤリ)
―館の外―
山村「ついにみつけましたよ!被害者のベルト!」
コナン「どこにあったのそれ?」
山村「美夏さんの部屋の前の草むらだよ。つまり相上美夏さん、あなたが犯人だ!」
美夏「ちょっと待って私は犯人じゃないわよ!離して!」
山村「はいはい、あとは署で聴きますよ。キリキリ歩いて!」
コナン(おいおい)
三郎丸「やっぱりな、始めから臭いと思っていたぜ。このハンカチも外に落ちてたしな」
はじめ「外に?…そのハンカチって昨日美夏さんが使ってたやつか?」
コナン「そうみたいケチャップがついてるし。これどこにあったの?」
三郎丸「被害者の部屋と主人の部屋の間あたりで朝の散歩をしてたときに見つけたんだ。
昨日から今朝はほとんど無風だってTVで言ってたから言い逃れはできないぜ」
はじめ「なんで!それを早く言わなかったんだよ!」
三郎丸「えっ?なに、怖っ、いや、だってハンカチが関係あるなんて思わないから普通…」
コナン「美夏さん、このハンカチがどうして外にあったか知ってる?」
美夏「知らないわ。だって昨日食事の後にどこか無くなっちゃったから…」
山村「そんな嘘ついてもだめですよ。ほらパトカーは向こうです!」
はじめ「ちょっと待ってくれ。その人を連れていくのはまだ早い」
山村「なんですか、まだなにか言いたいことがあるんですか」
コナン「始めるんだよね?推理ショーを」
はじめ「あぁ、謎は…全て解けた!」
って事で事件編は終了です