魔法少女らんまマギカ あとがき&キャラ解説

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興味の無い方は読まずにここで終わっておくことを推奨します。
また、作品に関する疑問などは元スレを見ていただいた方が良いかもしれません。
まとめる際に本文以外はカットしましたが、多くの疑問に答えていらっしゃいます。

元スレ
QB「魔法少女になってよ」らんま「てめー、ぶん殴られてーか?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316929971/

867 : 楽屋にて ◆awWwWwwWGE... - 2013/01/04 12:22:47.45 Dk94MvZo0 385/394

~あとがき&キャラ解説~

良牙「……なあ、俺ってvsキュゥべえ編じゃただのやられ役になってないか?
   主役待遇だと思ってたのに……しまいにゃ告白玉砕とか……」

乱馬「バカ野郎、キュゥべえ編どころかキャンデロロ編でもただの足手まといだぜ。
   あっさりほむらに騙された上に、まどかを殺しかけやがって」

良牙「ぐ……お前だって俺が助けに入らなけりゃキュゥべえのヤツに
   やられてただろうが。しかも九能なんかにも負けやがって」

乱馬「だとしても、俺はキャンデロロ編でもキュゥべえ編でも十分活躍してるし
   ワルプルギスの夜にもトドメをさしてるぜ? お前は?」

良牙「シャルロット戦とか……」

乱馬「倒したのはほむらだろ」

良牙「パトリシア戦とか……」

乱馬「それはさやかが倒したよな、ついでにエリー戦でもさやかに助けられてる」

良牙「あ、そうだキュゥべえを倒したのは俺だろ!」

乱馬「それもほむらじゃねーか」

良牙「あ……れ? 俺、何やってたんだ……」orz

まどか「大丈夫だよ! 良牙さんは要所要所で活躍してるよ!」

良牙「ま……まどかちゃん」ホロリ

さやか「あれ、ふり返ってみたらあたしもしかして良牙さんより活躍してた?」

乱馬「ああ。あのバカよりよっぽどな。良牙みたいに使い魔倒すだけだったら
   さやかは魔法少女にならなくてもできるわけだしな」

良牙「ぐはっ! なぜだ、主役待遇なのに、なぜ美味しいところを
   他人にもっていかれるのはサブキャラ扱いのままなんだ!?」

まどか「良牙さん、私、その気持ち分かります!このSSではともかく、
    アニメ本編じゃ私も主人公()扱いで、ますます自信なくしちゃって……」

さやか「まどか、それで良牙さんの肩持ったわけね。
    まあ、あたしもこのSSでの扱いに少し不満はあるかなー」

乱馬「へぇー、意外だな。出番は多いし結構敵倒してるし、
   最後のドッキリなんて完全主役扱いじゃねーか。何が不満なんだ?」

さやか「そういうのは良かったんだけどさ……
    マミさんと杏子はらんま1/2の影響でやたらパワーアップしてるし、
    ほむらはらんま1/2の醍醐味の呪泉郷の呪いが付いたりしてるのに
    あたしはそっちの世界の影響が小さいような気がするんだよね」

868 : 楽屋にて ◆awWwWwwWGE... - 2013/01/04 12:24:03.18 Dk94MvZo0 386/394

良牙「何を言うかと思えば……ちゃんと技を身につけたじゃないか」

さやか「それって脇固めのことでしょ……らんま1/2の技じゃないじゃん
    らんま世界の影響って意味ならあたしは早乙女先生以下だよ」

まどか「そういう考え方だと私もほとんど影響ないような?」

QB「それについては作者代理としてボクが答えよう!」

乱馬「ひっ……ねk……あ、なんだキュゥべえかよ」

QB「みんな分かっていると思うけど、このSSは互いに好意を持つマミ=良牙と
   ライバル関係になる杏子=乱馬の二つの関係を軸にしている。
   でも、始めは4人の魔法少女と4人の武闘家をそれぞれ異なる関係で
   結び付ける予定だったんだ」

まどか「え? 4人の魔法少女ってことは、私は始めから仲間外れだったんだ」orz

QB「そのかわり、一番のチートキャラにしたつもりだよ」

さやか「まどかを魔法少女にしちゃったらそれだけでifモノになっちゃうからねー」

乱馬「その4つの関係の一つがムースとほむらってわけか」

QB「その通り。マミと良牙は大砲的な攻撃を持ち、イメージカラーが共に黄色。
   杏子と乱馬はトリッキーな戦術を持ち、イメージカラーが共に赤。
   そのようにまとめていくと、ほむらとムースは非常に共通点が多い。
   どちらもおかっぱで、メガネを取ると美形で、一途で、多彩な武器を使う。
   イメージカラーこそ逆だけど他の組み合わせはあり得ないと思ったよ」

まどか「えー、でもこのSSの中だと、半端な感じだよね?」

QB「うん、二人とも一途……というか好きな相手以外はどうでもいいという
   性格だから絡ませ辛かった。利害を一致させて共闘させれば良かったのかも
   知れないけど、そんなエピソードを無理にねじ込んでもストーリーが
   ガタガタになりそうだったから半端なままにしたんだ」

さやか「ふーん、で、そうやって組み合わせる場合、あたしの相手は誰になるの?」

良牙「イメージカラーが青で、剣を使う……っ!? まさか!?」

乱馬「九能……以外に考えられねーよな」

まどか「九能さんってどんな人なのかな? ちらっと出てたけど……」

QB「風林館高校の剣道部主将で、乱馬には及ばないけどかなりの実力者さ。
   成績は良好で、顔もよくて高身長、家は裕福で父親は校長をしているよ」

さやか「何それ! らんま1/2にはそんな完璧な男がいるワケ!?
    なんでカップリングしてくれなかったの!?
    そりゃあたしは恭介一筋だけどさ、クロスSSでぐらい良い男から
    ちやほやされたっていいじゃない!!」

良牙「さやかちゃん、冷静になるんだ……」

869 : 楽屋にて ◆awWwWwwWGE... - 2013/01/04 12:25:05.56 Dk94MvZo0 387/394

乱馬「ほれ、コレ読んでみ」つ【らんま1/2単行本】

さやか「どれどれ……九能さんの出ている刊は……」

まどか「あ、見せて見せて!」

さやか&まどか「…………」パタンッ

さやか「お断りします」

まどか「……だよねー」

QB「その反応だとやっぱり、九能先輩が一方的にさやかに言い寄る展開しか
   ありえないようだね。
   さやかが恭介にきっぱりフラれて傷ついた所に九能先輩が言い寄って……
   という展開を考えていたんだけど、これもストーリーの中に入れにくかった。
   そして、九能先輩との接触がなくなったさやかはらんま世界からの影響が
   小さくなってしまったのさ」

良牙「さやかちゃんが九能の剣術を身につけたらもっと強くなりそうだったのにな」

乱馬「九能先輩が見滝原にでも消えてくれたら俺も少しは楽になったのにな」

まどか「でもさやかちゃんにも予定としては相手がいたんだね。
    私も恋愛関係じゃなくていいから、誰かと組み合わせてほしかったなぁ」

さやか「それじゃ、まどかはらんま1/2の登場人物だったら誰がいいの?」

まどか「えーっとね……あ、この人がいいな!」

良牙「ん? こんなキャラいたっけ?」

さやか「え、良牙さん覚えてないの?」

乱馬「誰のことだ? ……ああ、東風先生か」

まどか「うん! この人すごく優しそうで賢そうで、こういう人いいなって!」

良牙「……真剣に思い出せん」

QB「小乃東風はらんま1/2の作者の高橋留美子先生にも忘れられたのか、
   中盤以降全く登場しないから、思い出せないのも無理はないよ。
   ストーリー的にもあかねの片思いの相手で無くなった時点で不要なキャラだ。
   しかし、かなりの実力者でありながら、らんま1/2の世界には珍しい
   まともな性格で、好印象をもたれやすいキャラクターだろう」

さやか「っていうか、ぶっちゃけファザコンでしょ、まどかの場合」

乱馬「あかねにしたってファザコンみたいな感覚があったんじゃねーのかな」

良牙「あかねさんの片思いの相手だと!? そんな話があったのか……」

QB「天道あかねと小乃東風の声優は、日高のり子と三ツ矢雄二、つまり
   『タッチ』の主人公カップルだ。この辺りからもらんま1/2の初期構想が
   うかがわれるね。しかし、良牙の登場の時点でその初期構想は崩れていた。
   だから、良牙とはあまり関わりのない話なのさ」

870 : 楽屋にて ◆awWwWwwWGE... - 2013/01/04 12:26:32.92 Dk94MvZo0 388/394

まどか「いい人なのに、途中から出なくなるなんてもったいないなぁ」

乱馬「その『いい人』っていうのがギャグ漫画では使いづらいんだよ」

???「それじゃ私もいい人だったから今回は出番が少なかったのかしら?」

さやか「あなたは!?」

???「でもさぁ、トラックに轢かれたあげく、中盤までただの置物扱いで
    最後まで真相を知らず、サブヒロインのシャンプーや右京より影薄いって
    ちょっとヒドいんじゃない?」

良牙「あ、あかねさん! た、確かに出番は少なかったが物語中ずっと
   あかねさんの存在が影響していたわけで……」

???→あかね
   「良牙くんはいいわよね! ほとんどずっと出番があって。
    らんま1/2のメインヒロインの出番が無いってどういうことよ!?」

乱馬「あかね……何か勘違いしてねーか? らんま1/2のタイトルで分かるだろ。
   メインヒロインは女らんまだ。ただでさえ、まどかマギカとのクロスで
   女性キャラが多いのに、あかねみたいにかわいくないサブヒロインを
   出してる余裕なんてねーんだよ」

あかね「あんたはメインヒロインでうれしいワケ!? 男のくせに!」

良牙「乱馬、あやまれ! らんま1/2のメインヒロインはあかねさんだ!
   お前みたいなオカマ野郎がヒロインなんてみんな願い下げなんだよ」

乱馬「てめー、誰がオカマ野郎だって?」

あかね「乱馬に決まってるでしょ」

まどか「あ……え? みんな険悪な雰囲気に?」

さやか「あーそっか。あかねさんが出てきたら茶番になるから出番少なくしたんだ」

QB「さやかの言う通りさ。乱馬とあかねは好きあってるくせに素直になれず
   結果的に他人を巻き込んで大暴れしちゃうからね。
   仲が良いほどケンカするとは言うけど、巻き込まれる人間にとっては
   ハタ迷惑もいいところさ」

あかね「だ、誰もす、好きあってなんかないわよ!」バキッ

QB「ギャッ」

乱馬「ん、んなわけねーだろ!」ドガッ

QB「グハッ」

良牙「」orz

QB「……ね?」ボロ

まどか&さやか「納得」

871 : キャラクター解説① ◆awWwW... - 2013/01/04 12:28:21.85 Dk94MvZo0 389/394

【キュゥべえ】

 このキャラクターを書くのにあたって、まず自分なりの分析をしたわけですが、結論から言うと「感情が無い」とはあまり思えませんでした。
本当に感情のない効率至上主義者なら他の生物に遠慮なんてしないわけですから、もっとえげつないこともできますし、もっと効率的な方法もあるはずです。
権力に取入ったり、戦争を起こしたり、人類を完全に家畜管理したりやりようはいくらでもあるでしょう。
じゃあ、なんでそうしないの……という理由は、少なくともTVアニメ中では一切示されていません。
私が思いついた理由としては、以下の通りです。
①インキュベーターの上位にある存在により規制されている
これは、契約について何か決まりがあるかのようなキュゥべえの口ぶりから考えられます。
②労働力が足りない
公式作中では、インキュベーターはキュゥべえしかいないみたいです。しかも、二匹以上同時に動くこともありません。
それでは全世界をコントロールするどころか、数名の魔法少女でも手一杯でしょう。
③表舞台に出たくない、批判の矢面に立ちたくないという感情がある
TVアニメ中でまどかに弁明になっていない弁明をしていたり、資源としか思っていない相手に友好的なフリをしたり、いちいち契約と言う形をとったり……そういうところから推測されます。
キュゥべえをあくまで感情のない存在としたいのなら①番を採用すべきですが、らんま1/2とのクロスを書く上でインキュベーターの上位存在なんて作ってもからませようがありませんし、本編に影も形もない存在を出すのもどうかと思ったので①番は却下しました。
(あのインチキ契約を通すような高度文明も考えにくいですしね)
それでは②番はどうかと言いますと、確かにキュゥべえは手が回っていないのですが、それだけでは理由が足りません。
労働力が必要ならば、忠実な魔法少女や人間を組織化して自分の支配下にすればいいだけです。
②番を採用するとしても組織化ができない理由として、③番がどうしても必要になります。
さて、③番に対してはキュゥべえがその場その場で効率的と思える行動をとっているだけだという考え方、契約に関しても絶望させるために希望を与えているだけという見方もできるかも知れません。
しかし、責任や敵視されることから逃げるような手ばかり打っていることもまた事実です。
そこで、私はこのSSを書くのに当たってキュゥべえは③のような感情を持っているが自覚をしていないというキャラクター設定にしました。

 そのように批判を恐れながらも、キュゥべえは決して人間と相入れるような存在ではありません。
「家畜に対するよりは譲歩している」発言、契約内容を明示しないブラック企業ばりの契約、「聞かれなかったからさ」。
キュゥべえには相手をバカにしていないと絶対に出てこないような言動があふれています。
そして相手のルールに一切乗ろうとせず、一方的に自分のルールを主張するその姿勢は、価値観の違う存在に受け入れられる可能性を自ら放棄しています。
こんな存在と利害が対立すれば、普通は排除か服従かの二択しかありえません(アニメではまどかが利害対立自体を消してしまいましたが)
しかし、キュゥべえは人間には排除しえないチートてんこもりの存在です。
ここに、「絶対負けない超チートで一方的に自分のルールを押しつけながらも批判はされたくない」というすさまじいエゴイズムが存在します。
とんでもなくワガママで酷いヤツに思えますが、それは人間の家畜に対するやり方と実は同じです。
あるいは大企業家、大資本家の末端労働者に対する態度にも近いものがあるかも知れません。
他者を劣った存在とみなしている者がそのようなエゴイズムを持つのはごく自然なことです。
ただ、キュゥべえには自分の感情やエゴイズムを自覚する能力が無かった。
それが「感情が無い」発言になったのではないでしょうか。

 アニメ中のキュゥべえより行動が過激だというご指摘をいただいていますが、以上のような前提でアニメのキュゥべえを見た場合、「批判を受けたくない」という感情や「自分は悪いことをしていない」という自分への言い訳が強いキャラクターになります。
 しかしあのインチキ契約の時点で被害者側からすればもうどんな言い訳をしようが関係なくキュゥべえはただの悪党としか言いようがないわけですし、それ以外の部分でもはっきりと騙す意図を持って思わせぶりな発言をすることがあるわけで、その辺は開き直らせました。
 本人が「感情が無い」と自覚しているなら汚い手段を避ける理由もありませんしね。

872 : キャラクター解説② ◆awWwW... - 2013/01/04 12:30:17.51 Dk94MvZo0 390/394

【暁美ほむら】

 このキャラクターは、自分の書くキャラクターとして落とし込むのに本当に苦労しました。
と、言うのも、メインキャラの一人であるにも関わらず心理描写がほとんどないからです。(おそらく意図的だと思いますが)
劇中から分かることは、まどか以外の死にはほとんど動揺せず、さやかに至っては魔女化した瞬間ためらわず爆殺、まどか魔女化で滅びゆく世界からあっさり逃げるなど、価値判断の基準が相当かたよっているということです。
そんなほむらの内面が吐露されている数少ないシーンが3周目終わりの「魔女になって世界を無茶苦茶にしちゃおう」発言や最終話の「救いようのない世界」発言です。
ほむらは世界そのものがどうしようもなく、まどか以外はすべて価値のないものだと思っているようです。
しかし、ほむらがそこまで思うようになった理由は明かされていません。
少なくとも公式作品中はたちの悪いイジメがあったわけでもありませんし、病弱児のほむらが生きていくために必死に頑張った両親すらも無価値とみなす理由もありません。
私が暁美ほむらを自分のキャラクターとして動かすには、どうしてもそこに理由が必要でした。
そう考えた結果、追加した設定が例の大荒れに荒れたエピソードなわけです(笑
まあその設定の追加によって、美形設定にもかかわらず男に言い寄られてその気になるような展開が無かったり、自分自身の人生について投げやりなところも説明がついたので個人的には違和感の少ない後付けだったと思っています。
もっとも、そういキャラクターとして暁美ほむらを再構成した結果、より過激になってしまったことは否定できませんが(汗

【ワルプルギスの夜】

 あっさりやられちゃいました(笑
なんでこうもあっさりにしたのかと言いますと、ぶっちゃけワルプルはちょっと強い魔女でしかないからです。
2周目のまどか&メガほむ、そしてマミの参戦は不明、ワルプルギスの夜はそんな面子で勝てるぐらいの魔女でしかありません。(裏返ったら分かりませんが)
ワルプルギスの夜がアニメ中で特別な扱いだったのは、まどかの死……つまり、ほむらにとっての絶望の象徴だったからです。
だから、アニメの中ではまどかの死を受け入れられないほむら単独では、どうやってもワルプルギスの夜に勝てないのでしょう(まどポはおいといて)
そして、まどか神化によって、ようやくまどかの死を受け入れて、ほむらはワルプルギスの夜よりも後の時間を生きることができたわけです。
では、このSS中ではどうかと言いますと、ほむらはワルプルギスの夜と対峙するより前に、もう彼女にとっての鹿目まどかは死んで返ってこないということを強制的に受け入れさせられました。
全てに納得はいっていないとしても、すでにまどかの死を受け入れている以上、ワルプルギスの夜はどうしても越えられない絶望ではありません。
もちろん、他のキャラにとってもワルプルギスの夜にどうしても越えられない何かがあるわけではありません。
そんなワケで、このSSではワルプルさんに「レベルを上げ過ぎた主人公パーティに一方的にボコられるRPGのボスキャラ」の役割をしていただきました。
マミと杏子は後半、アニメと比べてかなり強化していますし、あながち間違いではないかと思います。


【鹿目まどか】

 このSS中でまどかにやらせたかった役割は、「何の能力も持たないチートキャラ」です。
だからまどかは魔法少女にも神にもなりませんし、体力知力といった一般的な能力ですら別段優れているというわけではありません。
そんなキャラクターをチート化するにあたって必要なものは何かと言えば、まず運という要素ははずせませんが、ただ運が良いだけでは人間大したことはできません。
例え宝くじで大金が当たってもほとんどの人はただの「運が良い成り金」で終わります。
訪れたチャンスを、それ以上のものに結び付ける何かが必要です。
しかし、一個人の力ではすべてのチャンスを最大限に活用することは困難でしょう。
その点、周りの人間が協力したくなるような人間であれば、他人の幸運も自分のものとし、さらに自分の持っている能力以上にチャンスを生かすことができます。
項羽と劉邦のようにチート級の武勇を持つ項羽が、指揮能力としては凡将で特に教養や知識が深いわけでもない劉邦に負けてしまうということが、現実世界でもあるわけです。
まどかの場合は、誰であれ他人を大事にするところが元々あるわけで、それが周りの人間に「この子は守らなければ」という気持ちを持たせます。
後は、他者の意見に惑わされたり屈したりしない強い意思と、時には他人を利用するずるさがあれば結構いけるんじゃないかと思いました。
ただし、まどかの優しさは自信のなさの裏返しであるわけで、それが変身願望につながっているわけです。
そのため、いったん完全に安易な変身願望をポッキリと折って、ただの人間の身で何ができるかという方向転換をさせる必要がありました。
逆にある日突然特別な能力を身につけたり大金を手に入れても、その人の内面が良い方向に変わらなければ実は何の解決にもならないわけでそういう意味でもこのSSではまどかを魔法少女として活躍させることは考えていませんでした。

882 : キャラクター解説③ ◆awWwW... - 2013/01/05 23:52:10.53 e72jlXb30 391/394

【巴マミ】

 事実上、メインヒロイン待遇にしたキャラクターですが、それにはいくつかの要素があります。
まず、一人暮らしでクロスする上では非常に絡ませやすいキャラであること。
まじめに魔女退治をやっている魔法少女という点が、『まどかマギカ』の世界へのガイダンスとして使いやすいこと。
そして、『正義の味方』を演じるために孤独に陥っているという、まどかマギカに限らず多くの変身ヒーローなどに共通するテーマを背負っていること。
また、まどかマギカのほとんど全キャラに言えることですが、自分自身の命をあまり大切にしていないことがあります。
以上四点のうち、後ろの二点はらんま1/2やギャグ系の高橋留美子作品ではありえないキャラクター性です。
らんま1/2のキャラは全員、徹底的な自己中心主義者だからです。
つまり巴マミはテーマ性として、らんま1/2とは非常に対照的なキャラであり、メインに据えるにはちょうど良かったのです。
そして、ストーリーを通してマミをらんま1/2的なキャラに改変することがこのSSのひとつの方向性でした。
そのため、魔法少女でなくてもマミを大切にする周囲の人間が必要でした。
しかし、自分が生きることに価値を感じると言うことは、死に対して恐れを持つことになります。
アニメでのマミの死については油断だとか相性だとかいろいろ言われていますが、私はその最大の理由をその「死への恐れ」だととらえました。
人間に限らず、多くの生き物は本当に恐いモノが迫った時には動きが止まります、何も考えられません。私には立ちすくんだマミがちょうどその状態に見えました。
死を恐れない人間は戦士として優秀です。だから、まどかやさやかに出会わなかったおりこマギカのマミはシャルロットに勝てたと解釈しました。
しかし、それは駒としての優秀さでしかありません。駒はどんなに優秀でも不要なら捨てられるだけの存在でしかありません。
キュゥべえにそう扱われるだけならまだしも、マミは自分自身にも駒以上としての価値を見いだせなかったのかもしれません。
一方で、死を恐れるようになったマミは駒としての機能は低下します。
そして魔女退治をする駒としての役割を失ったマミは、かえって自分自身の存在価値を疑うことになりました。
スランプに陥り「だったら戦わなくていいよ」と言われて「ラッキー」と思うようなキャラ……るーみっく世界ならありえますが、さすがにマミをいきなりそうするのは無理ありますしね(笑
そのタイミングで、魔女化バレ。この辺の負の連鎖は虚淵玄先生へのリスペクトです。
アニメ中のマミならあっさり自殺できた……と私は思っていますが、このSS中で駒として役割を果たす以外に生きる喜びを与えられたマミは簡単には[ピーーー]ません。
魔女化するのがさやかなら、それでも自[ピーーー]る可能性がありそうなので、魔女化バレ役はキリカにお願いしました。

逆魔女はこのSSを書くにあたって絶対にやりたいオチのひとつでした。
そのために反転宝珠を出したと言っても間違いじゃないぐらいに。
負の感情だろうが正の感情だろうが、過剰なのはどっちにしても迷惑ですよね(笑

復帰後は影が薄くなったマミですが、彼女にはもう絶望するなんて許されません。
もちろん、自分自身の人生を粗略に扱うこともできません。
彼女を元に戻すために頑張った人たちの努力を全て無に帰すことになりますから。
マミに限らず、人から生まれちゃんと育ててもらった人には全部同じことが言えます。
幸福は義務です……って、あれ?
えーと、それはともかく、自分自身のために生きると言うことは必然的に泥臭い部分をはらむことになります。
獅子咆哮弾で八つ当たりしたり、振っておいて嫉妬をするという自分勝手な感情を持ったり、赤貧にあえいで贈り物を売りさばこうとしたり。
どれもあまりほめられた言動ではありませんが、自分自身のために生きていなければ絶対に起こらないことです。
そうなるまでの過程をもうちょっとしっかり書くべきだったかも知れませんがね(汗
そこが目標だったので、マミを誰か一人に依存させるということも避けたつもりです。
誰かのために全てを捧げる……っていうのは美しいけれど、自分自身に存在意義を認めていない不健康な精神状態でもあります。
そうさせないためにも、良牙無双にはせず、マミが良牙をふるというラストになりました。

883 : キャラクター解説④ ◆awWwW... - 2013/01/05 23:53:39.13 e72jlXb30 392/394

【佐倉杏子】

マミとの師弟設定以外は、ほとんどSS中に活かせませんでしたね(汗
佐倉杏子もまた、扱いに困ったキャラクターです。
動かしやすさは良牙に匹敵するほど良好なのですが、彼女の働いた悪事をどうすればいいのかと。
そのやったことがアニメ中では直接描写されていませんが、使い魔放置だけでもかなりやりにくかったりします。
例えば、まどかの家族が杏子の放置した使い魔に殺されたりしたら、もうまどかやさやかと杏子の間はほぼ完全に修復不能ですよね。
まどかが殺されれば、ほむらが殺しに来るでしょう。見滝原高校の生徒が死んだりしたら、マミはいつまで見て見ぬフリをできるのか……
アニメ以外には、ATM強盗したとかとんでもない設定もあるらしいですし、突っ込んでいけばキリがない、叩けばホコリというよりもホコリまみれ。
その辺が非常に使いづらかったので、早々に社会復帰してもらいました(笑
右京のところに預かってもらったのは、たぶん、そこが杏子にとって一番居心地がいいと思ったからです。
右京の性格ならば、杏子に偽善者と思われることも無ければ、元浮浪児とか不登校児とか細かいことも気にしないでしょう。
ツッコむ時は容赦しませんが、マミのようにキチンとした生活を押しつけることもなくバイトとしての役割さえ果たせば身内として扱ってくれる。
これなら杏子のツンの部分を刺激せずに共存できると思いました。
その杏子のツンデレ属性に関しては愛と勇気(藍と悠木?)の魔法少女に憧れてたけど、拗ねてグレちゃったと自白してるぐらいですから、問題ない……と、思います。
そして、憧れた愛と勇気の魔法少女は、師弟設定を取る以上マミに象徴されるわけで、執着するには十分な理由に……なってますよね?
ただし、このSS中の杏子はグレる前からフリーダムなキャラだったという前提で書いています。
単純に、グレる前のキャラがつかみにくかったということもありますが、つらいことがあったからって敢えて野宿&コソ泥生活を選ぶようなキャラは元々結構フリーダムなんじゃないかと思えたからです。
基本的にあまり後先考えず刹那的な行動しかとってませんしね。
また、さやかとの関係はこのSS中では特に対立要素がないので、劇的に戦ったり和解したりも無い代わりに、徐々に気の合う奴だと認識していく感じに書いたつもりです。


896 : キャラクター解説⑤ ◆awWwW... - 2013/01/09 00:33:03.92 oRdfQrdI0 393/394

【美樹さやか】

魔女化ギリギリまで追い込んでおいて、寸止めにしました。
当然展開上の都合でもあるわけですが、その背景として負担の違いがあります。
アニメの方ではさやかは、既に亡きマミ以外は「使い魔放置上等、一般人はエサ」って感覚の魔法少女しかいないと思っているわけですから、肩の荷が重すぎる。さやか視点では一日魔女退治使い魔退治さぼっただけで、まどかも恭介も仁美も食われてるって可能性があるわけで、街全体の命がさやかの手にかかっているわけです。
さやかは逃げ道も用意せず勝てない相手に噛み付くぐらい向こう見ずな正義感を持ってるわけで、そんな人間が街全体の人命に対して責任負ったら……そりゃあ当然もちません。
一方、このSS中でさやかは他の街にまともな魔法少女が居ると思っていて使い魔放置するような魔法少女なんて知りません。このSS中のさやかにとっての負担はあくまで自分ひとりの罪がメインです。
それだったら、自分ひとりが消えてしまえば済む話、この方がさやかにとってはよっぽど負担が軽いでしょう。
あと、気を紛らわしてくれるキャラの存在。
欝に浸ってるときに横から関係ない話を振られたら腹が立ちますが、そういうイライラってけっこう憂鬱な気分を吹き飛ばしちゃうもんですよね。さらに、能天気な態度をとられたらもうマジメに考えるのがバカらしくなってきます。
このSSではその役割をシャンプーにお願いしましたが、初期の予定では九能にさせるつもりでした。しかし、正直いって九能はフリーダム過ぎて使いにくかったので予定変更しました。

さて、アニメ中ではさやかだけが魔女化していますが、私はこれには理由があると思っています。元々魔法少女のほむらも杏子も、おそらくマミも自分の中に未来を持っていないのに対して、さやかは平凡な一般人としての未来を思い描いていたはずでした。それを完全に喪失してしまったことが絶望のひとつになっているわけです。
一方、ほむら杏子マミは元から未来に希望を抱いていないので、失って絶望することはありません。ただし、未来への希望がないので当然、三人とも誰も幸せそうには生きていません。また、まどかは幸せそうに生きていますが、その反面今の自分のコンプレックスに精一杯で、まだ未来まで考えていません。
そういう意味ではさやかはまどかマギカの魔法少女の中ではやや異色のキャラ付けであると言えるでしょう。


【織莉子&キリカ】

正直、この二人の扱いが一番苦情が出ると思っていましたが、案外それが少なくて驚いております。
この二人に関しては、話の都合で貧乏くじ引かせるためだけに出したと言われても言い訳のしようもありません。
風林館と見滝原を繋ぐのにも、ほむらが一切誰にも情報を漏らさない理由をつけるのにも、中盤に敵キャラを作るのにも、魔女化バレにも非常に使い勝手が良かったので……
いろいろ言われているキャラですが地球が滅びるぐらいならまどかぶっ[ピーーー]っていう発想自体はごく自然だと思います……が、やり方はもっとありましたよね。
でも、このSSでも『おりこマギカ』でも、まともに手段を選ぶおりキリだとアニメの魔法少女たちが貧乏くじ引くことになっちゃうんですよね。
そういう大人の都合を感じながらも、『おりこマギカ』は一般人の犠牲をはっきりと描写するなど負のシーンの描写から逃げていないところや魔女化を逆に利用するような逆転の発想があるところが好きな作品です。
しかし『おりこマギカ』のキャラで一番貧乏くじを引かせたのはゆまでしょうね……

915 : キャラクター解説⑥ ◆awWwW... - 2013/01/10 23:25:07.91 /qlFOJ5z0 394/394

【らんま1/2のキャラ全般に関して】

らんま1/2のメインキャラ勢、男女各4名の全8名はその性質によってくっきりとペアに分けられています。
乱馬とあかねの二人は素直になれないツンデレ同士。
九能帯刀と九能小太刀の二人は自信過剰で電波な兄妹。
ムースとシャンプーは手段を選ばない「恋は戦争」タイプ。
そして、よく余り物コンビとされる良牙と右京はおそらく不器用者同士でしょう。
ただ、右京の場合、良牙と共通するはずだった不幸属性やテレ屋属性が関西弁キャラの明るいイメージによって抑えられてしまったんじゃないかなと思います。
さて、そのように色分けされるキャラクターたちですが、この8名以外も含めてほとんど全員が欲望に溢れていたり自分に都合のいい未来を夢想していたりします。
何度か同じようなことを書いたかもしれませんが、この点は非常に「まどかマギカ」のキャラクターとは対象的です。
「らんま1/2」のキャラクターの中で言うならば、表面上は超前向きに見える乱馬が実は一番未来があやふやで寡欲なんじゃないかと思えます。
そしてそういうキャラクターだからこそ、私の中では乱馬が魔法少女の契約を結ぶ姿がしっくり来ました。
契約ギリギリのラインで踏みとどまらせたシャンプーに関しては、魔法少女になることにはためらいなさそうですが、なった後に何も悲観しそうにないので、100%ギャグじゃないと使えないと思いました。(洗脳されても何も変わらないキャラですからね)
その点に関しては、小太刀も同様です。
右京は自分の気持ちに素直なので、悩んだ挙句にNoと答える……そんなギャグでは使いにくい普通の対応しか浮かびませんでした。
あかねは契約したらさやかとキャラが被りそうですね。いつでも真正面からつっこんでそうなイメージです。
かすみお姉ちゃんは……この人は魔法少女うんぬん以前に元からギャグにしかなりませんね。
なびきは情報や利益を提供させておきながら怪しいと思ったら絶対契約しないタイプでしょう、彼女は搾取される側ではなくする側です。
個人的に、魔法少女にしたら一番強そうと思っているのはひな子先生です。
闘気での遠距離攻撃にすぐれているところは魔女退治に向いていますし、魔法少女同士の戦いでも八宝五円殺は有効でしょう。……魔女の負の感情を吸っちゃうかも知れませんが
ただ、彼女もあまり契約する姿が浮かびませんでした。動機云々以前に、キュゥべえの話を聞かなさそうでw
ギャグだったら、八宝五円殺で無気力になったキュゥべえが母星に帰っちゃうなんてオチでも良かったかもしれません。

らんま1/2の人物は、普段は出し抜くことばっかり考えているくせに、いざという時になったら協力します。
その関係性はとくに乱馬と良牙の関係性において特徴的でしょう。
乱馬は、良牙の変身体質があかねにバレないようにすることには不言実行で協力的です。
一方、良牙は乱馬が弱くなってしまったときに涙を流すほどに悲しみ(逆に乱馬が困るほどに)、復活のために協力します。
これもまた、いざという時ほど歯車がかみ合わないまどかマギカとは対象的でしょう。

さて、その良牙ですが、原作では乱馬が自ら認めるライバルであり、らんま1/2のライバルキャラと言えば良牙がまず挙がるでしょう。
しかし彼の初登場は2巻からで、それまでは九能帯刀が主なライバルキャラとして設定されていたようです。
あかねを巡る乱馬のライバルとして帯刀がいるけれど、その後ろにもっと強い東風先生が控えている……天道三姉妹と東風・帯刀・乱馬の6人メイン、おそらくはそんな構図だったのでしょう。
みなぎる自信とそれを裏付けるだけの背景があるいかにもなライバルキャラの帯刀がライバルとして成立せず、不幸属性でヒロインにペットにされて喜ぶどこか情けない良牙がライバルになるというのは中々興味深い現象だと思います。
やはりそれには話を作るうえでの良牙の使いやすさもあるのでしょう。
方向音痴&放浪設定でいつどこに出てきてもOKなキャラクター、そのうえ根は単純で篭絡も騙されもしやすい。
こんなに使いやすいキャラは滅多に居ないでしょう。
私がメインで使った理由も一番はそれです。
単純だから勝たせるのも負けさせるのもやりやすいですしね。
逆に、本格的に魔法を使えるようになったらんまは明らかに強すぎるので、使うとしたら敵キャラだろうと考えていました。そして考えた結果、キュゥべえに使わせることになった次第です。



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