関連記事: 【前編】 【中編】

440 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:26:57 8PNg91Hw 400/623


 ――決戦の日の朝――

 ――見滝原駅・改札口付近――



     ビュオオオオオッ……

鳴上「…………」

鳴上「! ……みんな」

杏子「よう!」

さやか「まってたよ、悠!」

マミ「お迎えに来ました、悠さん」 ニコ

ほむら「頑張りましょう」

ほむら「……悠」 ///

441 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:27:45 8PNg91Hw 401/623


杏子・マミ・さや「!!」

鳴上「…………」

ほむら「い、いいでしょ!? 別に!?」 ///

ほむら「みんなも、そう呼んでるし!!」 ///

鳴上「……ああ、構わない」

鳴上「よろしくな、ほむら」 ニコ

ほむら「……ええ」 ///モジモジ

杏子・マミ・さや(ライバルが、また一人増えた……?)

442 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:28:26 8PNg91Hw 402/623


     テク テク テク…

マミ「……ところで、悠さん」

マミ「その荷物は何ですか?」

さやか「釣竿?」

鳴上「まさか……」 クスッ

鳴上「俺の切り札の……武器だ」 スッ…

     キラン…!

杏子「へえ! なんか凄そうな剣だね」

ほむら「神々しい、と言うか……ちなみに名前ってあるのかしら?」

鳴上「神剣グラム、という名前だ」

443 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:29:30 8PNg91Hw 403/623


さやか「おおー……神剣、かぁ」

杏子「どうやって手に入れたんだ?」

鳴上「買った。 7万8200円(税込)もした……」

ほむら「一気にありがたみが無くなるわね……」

鳴上「代償で俺の財布は、北極になったんだぞ……」 シクシク…

マミ「げ、元気を出してください、悠さん」




 ――ワルプルギスの夜・出現ポイント付近――



ほむら「…………」

ほむら「……来る!」

444 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:30:52 8PNg91Hw 404/623


 ほむらの その言葉を皮切りに 異常現象が起こり始める。

まるでマスコットキャラの様な、小さな使い魔が足元を走り抜けた。

一匹だけではない。 何匹も何匹も……。

 続いて緑色の象の群れ。 赤いものも居る。

まるでパレードの様に着飾ったそれは、悠々と歩いて行く。

 そして……






     5……、4……、3……、2……、1……







445 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:31:45 8PNg91Hw 405/623


杏子「うっ!? おおおおっ……!」

さやか「これが……ワルプルギスの夜……!」

マミ「史上最悪の……そして、超ド級の魔女……!」

ほむら「今度こそ、決着を付ける!」

ほむら「まどかの……ううん、ここに居る頼もしい仲間と」

ほむら「私を想ってくれる、みんなの為に!!」

杏子「よく言った! ほむら!」

さやか「さやかちゃんも、その期待に答えて見せるよ!」

マミ「頑張りましょう、みんな!」

鳴上「…………」

446 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:32:27 8PNg91Hw 406/623


鳴上(……この感覚)

鳴上(確かに、『結界』の概念は無かったが……)

鳴上(似ている)

鳴上(魔女の結界内の『空気』に……!)

鳴上(…………)

鳴上(……試してみるか)

447 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:33:17 8PNg91Hw 407/623


マミ「? どうかしました? 悠さん」

鳴上「…………」 グッ…



     ペ  ル  ソ  ナ!!



杏子「!?」

さやか「イ、イザナギ!?」

ほむら「ペルソナ能力が……使える!?」

マミ「ど、どうして……!?」

鳴上「……俺にもわからない」

鳴上「でも……今は、そんな事はどうでもいい」

鳴上「これで俺も、役に立てる……!」

448 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:34:47 8PNg91Hw 408/623


ほむら「ええ、そうね。 あてにしてるわ、悠」 ニコ

さやか「ニシシ……何? もしかして今のあたし達って、最強?」 ニカッ

杏子「へへ……案外、神様ってのは、居るのかもな!」 ニコ

マミ「みんな、油断は禁物よ? 気持ちは分かるけど」 クス

鳴上「そうだな、マミ」 クスッ

鳴上「みんな、作戦通り行こう。 ただし、俺も前線に加わる」

鳴上「代わりに、さやか。 ポジションを下げて、マミのサポートに回ってくれないか?」

さやか「えー!! ……って言いたい所だけど」

さやか「あたしの能力を考えたら、それがベストっぽいね……」

さやか「わかったよ! 悠!」

さやか「マミさんの事は、任せて!」

鳴上「頼んだぞ、さやか」

449 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:35:46 8PNg91Hw 409/623


 ――見滝原市・市民会館・避難所――



ラジオ「……現在、瞬間最大風速は40mを超えており、首都圏は厳戒態勢を……」

まどか「…………」

     トトン…

Qべえ「やあ、鹿目まどか」

まどか「! ……Qべえ」

Qべえ「僕がここに来た理由は、わかっているかい?」

まどか「魔法少女になれって言うんでしょ?」

Qべえ「正解だよ、まどか」 ニコ

450 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:36:26 8PNg91Hw 410/623


まどか「でも……無駄足だと思うけどな」

Qべえ「どうしてさ?」

まどか「みんなは、必ず帰ってくるから」 ニコ

まどか「ワルプルギスの夜に勝ってね」

Qべえ「……その根拠は、どこにあるんだい?」

まどか「う~ん、そうだね……」

まどか「たぶん、Qべえにはわからないと……ううん」

まどか「わかってもらえないと思う」 クスッ

Qべえ「……そうかい」

Qべえ「でも、願い事を叶えたくなったら、いつでも呼んでね?」

Qべえ「待ってるから!」 ニコ

     トトト…

451 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:37:48 8PNg91Hw 411/623


詢子「まどかー? こんな所で何やってんのさ?」

まどか「ママ」

詢子「ところで昨日、山ほど食材買い込んで料理したいって」

詢子「急にどうしたんだい? 5、6人分は、あるよね? あれ」

まどか「ウェヒヒ……結局、ほとんどパパに手伝ってもらっちゃったね……」

詢子「それはいいんだけど……パパを説得するのは、一苦労だったわ」

まどか「ママにも迷惑かけちゃったな……」 ハア…

詢子「誰の為に作ったのかなぁ~? ママにこっそり教えなよ☆」

まどか「ふふ……大切な友達の為、だよ?」

詢子「友達ィ~? なあんだ……てっきり、大食らいの男の子でも居るのかと思った」

まどか「一人居るけどね、男の人」 クスッ

452 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:38:47 8PNg91Hw 412/623


詢子「お!? ついに、まどかも色気づいたかぁ~?」 ウリウリ☆

まどか「そ、そんなんじゃ、無いから」 ///

まどか(ミステリアスで、ちょっといいなって思うけど……) ///

詢子「…………」

詢子「……もしかしたら、その『男の人』のせい、なのかな?」

まどか「え? 何が?」

詢子「最近、さ」

詢子「まどか、落ち着いた感じになったから……」

まどか「…………」

453 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:39:45 8PNg91Hw 413/623


詢子「ほんの少し前まで、何か悩んでたっぽいのに」

詢子「今のあんた、すっごく吹っ切れた顔をしてる」

詢子「いい意味でね」 クス

まどか「…………」

まどか「……自分じゃわからないな、そういうの」

まどか「でも」

まどか「もしかしたら、そうかもしれない」

まどか「きっと、あの人は、私にそういう『きっかけ』をくれたんだと思う……」 ニコ

まどか「……ううん」

まどか「私だけじゃなく、私にとって大切な友達全てに……!」

詢子「…………」

詢子「……なんて言うか、ママもその人に会ってみたいな」

まどか「!? えっ!?」

454 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:41:19 8PNg91Hw 414/623


詢子「だって……愛娘の成長を促してくれたんだし」

詢子「個人的興味もあるかなぁ~?」 フフッ

まどか「ママ……絶対、面白がってるでしょ……」

詢子「そりぁあね!」 ヌフフ!

詢子「だからさ、ここはひとつ、女同士の話って事で」

詢子「話せる範囲でいいから……ママに教えてくれないかな? まどか?」

まどか「…………」

まどか「うん、わかったよ、ママ」

まどか「上手く話せるか、わからないけど……」

まどか「でも、家族の中では、私達だけの秘密だからね?」

詢子「おう! どんとこい、まどか!」

455 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:42:27 8PNg91Hw 415/623

BGM
http://www.youtube.com/watch?v=iAme1GnVgh8&feature=related

456 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:44:57 8PNg91Hw 416/623



―――――――――――


鳴上「タムリン!!」

     シュバババババッ!!

鳴上「杏子!」

杏子「ああっ! 任せなっ!!」

     ヒュバッ!!  ガキィィィィンッ!!

杏子「ちっ……! ここも違うっぽいな!」

ほむら「! 杏子! 反撃が来るわ!」

杏子「!!」

     ヒュゴウッ!!

杏子「うひゃあっ! 危ねぇ!!」

杏子「すまねぇ、ほむら! 助かった!」

457 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:45:48 8PNg91Hw 417/623


ほむら「礼はいい! 次が来るわ!」

杏子「……! 空気読めよ! ワルプルちゃんよう!!」 回避!

鳴上「スカアハ!!」 ガルダイン!!(単体攻撃 最大風魔法)

     ゴオオオオオオオオオッ!!

杏子「サンキュー! 悠!」

杏子「おりゃああああああああああああああっ!!」

     ガギィンッ!!

鳴上「……ここも違うか!」

杏子「奴の弱点は、どこだ!?」

ほむら「今のところ、あの逆さになった、真下の頭部が一番攻撃が効いている感じだけど!?」

458 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:47:02 8PNg91Hw 418/623


鳴上「わかっている……だが、どうも胡散臭い」

鳴上「兵法には弱点をワザとさらして、そこを攻めさせ」

鳴上「罠にはめる戦法がある!」

杏子「だから逆に硬そうな、歯車の部分を探ってるのか……」

ほむら「でも、残念だけど有効そうな打撃は与えてられていない!」

鳴上「それもわかっている!」

     ヒュゴウッ!!

杏子「どうする!? もうすぐ、ほむらの爆破ポイントだぜ!?」

鳴上「はあっ!!」

     ガキンッ! キィンッ!!

鳴上「くっ! ワルプルギスの夜から出る使い魔達も厄介だ……!!」

鳴上「やむを得ん……! 確証を得られなかったが……」

鳴上「イチかバチか、歯車の方を弱点と考えて、行動する!!」

459 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:47:59 8PNg91Hw 419/623


杏子「わかった! 悠!」

ほむら「あなたの判断を信じる!」

鳴上「たああっ!!」

     ゴキンッ! ズバァ!

鳴上「ポイントに達したら、合図を!!」

ほむら「わかった!」

杏子「それまで……凌いでみせるぜぇ!!」

杏子「だあああああっ!!」


―――――――――――



460 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:49:00 8PNg91Hw 420/623


さやか「……まだ? 合図は?」

さやか「杏子、ほむら、悠……!!」

マミ「落ち着いて、美樹さん……」

マミ「今は、自分の役割に集中するのよ……!」 グッ…!

さやか「……くっ!」

さやか「はあっ!」

     シャキン! シャキン!

さやか「どうやら、気づかれたみたいです! マミさん!」

マミ「ええ……お願いね、美樹さん!」

さやか「任せてください! マミさん! たああっ!!」

     シャキン! シャキン!

さやか(あたしはここで、無防備になるマミさんの身を全力で守る!!)

さやか「はあっ!!」

461 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:49:42 8PNg91Hw 421/623


鳴上「よし!」

鳴上「ほむら、合図を!!」

ほむら「わかったわ!」 シュバッ!



     パンッ! ヒュルルルルッ……(信号弾)



さやか「!!」

さやか「マミさん!」

マミ「ええ……わかってるわ!!」

マミ「弱点は歯車側……!!」

     バッ!!

462 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:50:44 8PNg91Hw 422/623


鳴上「杏子! 撤退する!」

杏子「わかってる! しんがりは任せな!」

ほむら「待って! 二人とも私と手をつないで!!」

鳴上・杏子「え!?」

ほむら「いいから早く!!」

     スッ……

ほむら(…………)

ほむら(私は考えた……)

ほむら(時間を止めるのは有効だけど、魔力の消費が激しいし止めている時間も短い……)

ほむら(何とか出来ないか、と……。 でも)

ほむら(時間の流れをせき止めるのではなく……遅くするだけならば)

ほむら(魔力の消費を抑えられる上に、長い間、その状態でいられる事に気がついた!!)

463 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:52:52 8PNg91Hw 423/623


     ピシ……ン

鳴上・杏子「!!」

ほむら「さ、二人とも! 手を離さないようにして、ここから離れるわよ!」

鳴上「……すごいな」

杏子「妙な気分だ……周りがゆっくり動いてる」

ほむら「説明は後回し! 急がないと、私達も爆破に巻き込まれるわ!」

鳴上「わかった!」

杏子「マミ……! 後は頼むぜ……!」

―――――――――――

マミ「はあああああああああああああああっ!!!」

     シュルッ シュルッ シュルルルルルルルルッ!!

マミ「グッ……! クッ……!!」 ギリッ……!

464 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:53:45 8PNg91Hw 424/623


マミ「さすがに……大人しく……私のリボンに……捕まってくれないみたいね……!!」

マミ「でも……!!」


マミ(私は考えた……!)

マミ(どうやってリボンの強度を増大させるか……!)

マミ(その答えは、ワイヤー条により合わせる事……!)

マミ(魔力の消費は激しくなるけど、爆破の瞬間まで持てばいい!!)

マミ(さあ、ワルプルギスの夜!! 大人しく、爆炎の洗礼を受けなさい!!)

     シュルッ シュルッ シュルルルルルルルルッ!!

さやか「はあっ!!」

     ザシュ! ズバッ!

さやか「くっ……!!」

     シャキン! シャキン!! ズババッ!!

465 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:54:29 8PNg91Hw 425/623


さやか(数が多い!!)

     ドスッ!

マミ「あぐっ!」

さやか「マミさん!!」

マミ「……大丈夫! あなたに教えてもらった、無痛の魔法があるから!」

マミ「最悪、ソウルジェムと頭が無事なら、なんとかなる!」

さやか「……!!」

さやか「すみません、マミさん!!」 ズバッ! ズバッ!

マミ「いいのよ……後で、ちゃんと直してくれれば……」 ドクッ ドクッ

さやか「もちろんです!! はあっ!!」 ズバッ! ズバッ!

466 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:55:14 8PNg91Hw 426/623


さやか(あたしに杏子くらいの力があれば……!)

さやか(……ううん、無い物をねだってもしょうがない!)

さやか(あたしは、今のあたしに出来る事を、全力でやる!)

さやか(他の事は、考えない! もっと集中するのよ! さやか!)

さやか「はあああああああああああっ!!」

―――――――――――

鳴上「はあっ!」

     ズバッ! ズバッ!

杏子「てやぁあああああああああっ!!」

     ジャキン! ジャキン!

杏子「そろそろいいんじゃねえのか!? ほむら!!」

ほむら「もう少しよ!」

鳴上「だが、マミの拘束も長くは持たないぞ!!」

467 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:56:16 8PNg91Hw 427/623


ほむら「くっ……!!」 タタタタタッ!

ほむら「仕方ない……もう少し離れたかったけど、起爆するわ!」

ほむら「いい!? おそらく、ものすごい爆風が来るわ! 覚悟して!」

鳴上「それは、俺が引き受ける! やってくれ!!」

ほむら「喰らいなさい! ワルプルギスの夜!!」

ほむら「すべての労力をつぎ込んで集めた……!!」



     TNT爆弾1500トンを!!



ほむら「起爆!!」 カチッ!

468 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:57:56 8PNg91Hw 428/623








           カッ!!










     ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!











469 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:58:43 8PNg91Hw 429/623


鳴上「ルシファー!!」 物理攻撃無効!!

鳴上「二人とも、俺の傍へ!!」

杏子「言われなくても!!」 ダダッ!

ほむら「くっ……!!」 ダダッ!




     ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!




マミ「くっ……あああああああああああああっ!!」

さやか「!! マミさん!!!」

さやか「もうリボンを放して!!」

マミ「いいえ……!! ギリギリまで、あいつを……!!」

マミ「ああああああああああああっ!!!」

470 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 17:59:23 8PNg91Hw 430/623




     オオオォォォッ………………



さやか「はあ、はあ、はあ……」

さやか「マミさん、今怪我を治しますから……!」



さやか(あたしの祈りは、恭介の怪我の治癒だった)

さやか(Qべえは言っていた……魔法少女の魔法は、捧げた祈りによって大きく個性が出る、と)

さやか(だったらあたしは、これからも願う……!)

さやか(救いたいと思う人の怪我の治癒を!!) グッ!

さやか(それが、あたしの出来る事!!)

     ヒィイイイン……!!

471 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:00:30 8PNg91Hw 431/623


鳴上「ルシファー!!」 コンセイトレイト!

杏子「や、やったか!?」

ほむら「…………」

ほむら「……!!」

ほむら「あれを!!」



     ゴゴゴゴゴゴ……



杏子「うへぇ……!」

鳴上「……実際、この目でみると驚愕するな」

ほむら「でも、ここまでは予想の範囲内よ、悠」

472 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:01:40 8PNg91Hw 432/623


鳴上「わかっている……!」 グッ…!

杏子「頼んだぜ、悠!」

ほむら「やって……!」

鳴上「……はああああああっ!!」

鳴上「ルシファー!!」






     ブ フ ダ イ ン !!(単体攻撃、最大氷結魔法)







473 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:02:35 8PNg91Hw 433/623




     ガキキキキィン!!



杏子「うっひょー!!」

ほむら「見事に……凍っていく!!」

鳴上「物理の法則が通じるかわからないが」

鳴上「超高温からの超低温攻撃……! これで奴の歯車はもろくなるはず!!」

鳴上「杏子!!」

杏子「おうっ! 任せな!!」 ヒュン!

474 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:03:38 8PNg91Hw 434/623


杏子(……あたしは、小難しい理屈なんてわからない)

杏子(とてもじゃないが、悠やほむらの様な考えなんて浮かばない……)

杏子(けど)

杏子(あたしには、経験がある)

杏子(魔法少女として培ってきた、技とスピード……)

杏子(それらは……誰にも負けない自信がある!!)

杏子(だからあたしは、それらを磨く事が、自分の出来る事だと思った!!)

杏子「はあああああああああああああああああああああっ!!」 ジャキン!!

     ゴウッ!!

杏子「砕け散れええええええええええええええっ!!」




     ガギィンンッ!!





475 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:04:32 8PNg91Hw 435/623


杏子「なっ……!?」

鳴上「……!!」

ほむら「!! 杏子!! 避けて!!」

杏子「!? し、しまっ――」



     ドガァア!!



杏子「あああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

ほむら「杏子ぉ!!!」

鳴上「俺が行く! ほむら! 援護を!!」

ほむら「わかったわ!!」 スチャ(地対空ロケット弾スティンガー)

476 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:05:17 8PNg91Hw 436/623


鳴上「イシュタル!!」 メシアライザー!!(味方全員の完全回復)

杏子「……っ!」

杏子「す、すまねえ……悠」

鳴上「いや、こっちこそ済まない……」

鳴上「歯車は……弱点じゃ無かったのかもしれない」

杏子「待ってくれ、悠」

杏子「それがさ、完全じゃなかったけど……手応えはあったんだ」

鳴上「!?」

杏子「大丈夫。 ちゃんとダメージは食らってる」

杏子「奴も決して楽な戦いじゃ無いはずだ!」 ニコ!

鳴上「杏子……」

鳴上「そうだな……!」 ニコ!

477 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:06:15 8PNg91Hw 437/623




     ドゴオッ!  バゴオッ!



鳴上「くっ……!」

杏子「これくらいの苦戦は予想出来てるさ! はあっ!」

     シャキン! シャキン!

ほむら「そうよ! 悠!」

ほむら「まだまだ、これからよ!」

     タタタタタッ!!

鳴上「ああ……その通りだ!」

鳴上「……ベルゼブブ!!」 イノセントタック!!

     シュバァアアアンッ!!

478 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:07:00 8PNg91Hw 438/623


杏子「どうだ!?」

     ゴゴゴゴゴゴ……

鳴上「あまり効いてないか……!」

ほむら「それでも……!」 ジャキン!(バズーカ砲)

     ドォン!!   ドガァッ!!

ほむら「全く効いてないわけじゃない!」

杏子「おうさ! とことん同じ所を……」 ススッ…

     シャキン! シャキン!

杏子「責め続ける!!」

鳴上「杏子……よし!」

鳴上「ベルゼブブ!!」 イノセントタック!!

479 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:08:35 8PNg91Hw 439/623




―――――――――――



鳴上「ハアッ、ハアッ、ハアッ……!」

鳴上「ルシファー!!」



     ブ フ ダ イ ン !!(単体攻撃、最大氷結魔法)



     ガキィンンンンッ!!




480 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:09:28 8PNg91Hw 440/623


鳴上「ベルゼブブ!!」



     ア ギ ダ イ ン !!(単体攻撃、最大火炎魔法)



     ゴオオオオオオオッ!!



鳴上「ハアッ、ハアッ、ハアッ……!」

鳴上(これで6発目……!)

杏子「はあっはあっはあっ……! おりゃああああああああっ!!」

ほむら「援護するわ!」 タタタタタッ!



     ガギィン!! ゴガアッ!!



杏子「いけるぜえええええっ!! 悠!!」

481 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:10:58 8PNg91Hw 441/623


鳴上「ベルゼブブ!!」 イノセントタック!!

     シュバァアアアンッ!!

ほむら「!! 歯車が……!」

杏子「少し欠けたな!」

鳴上「ハアッ、ハアッ、ハアッ……!」

鳴上(だが……こちらの疲弊も激しい……!)

杏子「はあっはあっはあっ……」

ほむら「ゼエッ……ゼエッ……」

鳴上(……最後まで……もつか……!?)



     オオオオオオオオオオンッ!!




482 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:13:18 8PNg91Hw 442/623


鳴上「!?」

杏子「ワルプルギスの夜から……!?」

ほむら「何かが出た……!!」

     キャハハハハハ

ほむら「!! 使い魔!?」 タタタタタッ!

杏子「ちっ……!」 シャキン! シャキン!

杏子「嘘だろ……! あの黒い点々、全部そうなのかよ!!」

鳴上「くっ……スカアハ!」 マハブフダイン!!(全体攻撃、最大氷結魔法)

     ヒャアアアアアッ……

鳴上「……! 焼け石に水か……!」

杏子「悠! 雑魚はあたしらに任せな!」 シャキン! シャキン!

ほむら「あなたは、ワルプルギスの夜に攻撃し続けて!!」 タタタタタッ!

483 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:14:19 8PNg91Hw 443/623


鳴上「し、しかし!」

杏子「悠のペルソナが、一番効果ありそうなんだよ!!」 シャキン! シャキン!

ほむら「でも援護は出来ない! 危ないのは、みんな同じよ!!」 タタタタタッ!

鳴上「……!」

鳴上「くっ……ルシ」



     ヒュゴオッ!!



鳴上「!! し、しまっ――」

484 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:15:07 8PNg91Hw 444/623


??「ふん!」

     シュルルルッ! パシッ!

鳴上「!! マミか!?」

マミ「遅れてすみません、悠さん!」

さやか「さかちゃんも居るよ!」 ズバッ! ズバッ!

杏子「さやか! おせーじゃねーかよ!」 シャキン! シャキン!

さやか「正義の味方は、遅れてくるものなの!!」 ズバッ!ズバッ!

杏子「ハハッ! ちげーねえな!」 シャキン! シャキン!

ほむら「みんな! 雑魚を悠に近づけさせないように全力で援護して!」 (M16)リロード

マミ「任せて! 明美さん!」 ドンッ! ドンッ!

さやか「わかった! ほむら!」 ズバッ!ズバッ!

杏子「ワルプルギスの夜は、任せたぜ! 悠!!」 シャキン! シャキン!

鳴上「……わかった!」

鳴上「ルシファー!!」

485 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:15:48 8PNg91Hw 445/623





     ブ フ ダ イ ン !!(単体攻撃、最大氷結魔法)



     ガキィンンンンッ!!




―――――――――――





486 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:16:50 8PNg91Hw 446/623


     トトン……

Qべえ(…………)

Qべえ(鹿目まどか……)

Qべえ(家族の元から離れようとしない)

Qべえ(やれやれ……)

Qべえ(これじゃあ、話しかける事も出来やしない) フウ…

Qべえ(…………)

Qべえ(今まさに、鳴上 悠達が、死にかけているというのに……)

Qべえ(その根拠の無い自信は、どこから来るんだい?)

Qべえ(…………)

Qべえ(まあいい)

Qべえ(彼らがどうなろうとも)

Qべえ(それは些細な事だ)

487 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:17:55 8PNg91Hw 447/623


Qべえ(何しろ)

Qべえ(鳴上 悠以外の魔法少女達の魔女化で手に入る、感情エネルギーの総量より)

Qべえ(君一人から得られる感情エネルギーの方が、はるかに大きいからね)

Qべえ(…………)

Qべえ(さて、もうすぐここに、ワルプルギスの夜はやってくるだろう)

Qべえ(その時まで――)

Qべえ(ゆっくり待たせてもらう事にさせてもらうよ)

Qべえ(鹿目まどか)

488 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:18:35 8PNg91Hw 448/623


―――――――――――



鳴上「ハアッ、ハアッ、ハアッ……」

鳴上「ル、ルシファー……!」




     シーン……




鳴上「……ぐっ!?」

鳴上(つ、ついにガス欠か……!!)

さやか(……!!)

ほむら(悠……!)

杏子(ちいっ……!)

マミ(悠さん!!)

489 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:19:21 8PNg91Hw 449/623


鳴上「ハアッ、ハアッ、ハアッ……」

さやか「はあっ……はあっ……」

マミ「はあっはあっはあっ……」

ほむら「ゼエッ……ゼエッ……」

杏子「はあっ……はあっ……」





     ゴゴゴゴゴゴゴ……





鳴上「くっ……! みんな! 今度は杏子を援護するんだ!」

490 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:20:04 8PNg91Hw 450/623


杏子「!」

ほむら「わかったわ!」

さやか「頼んだよ、杏子!」

マミ「ワルプルギスの夜までの、道を作るわ!」

杏子「ああ……! 任された!!」 ヒュン!



杏子「はああああああああああああっ!!」





―――――――――――

491 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:20:48 8PNg91Hw 451/623


     キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

     ウフフフフフフ    ヒハハハハハ

鳴上「ぐはっ!!」 ドサッ!

杏子「悠!!」

さやか「あたしが行く! 杏子は攻撃を続けて!!」

杏子「くっ……ソッタレえええええっ!!」 ヒュン!!

     ヒハハハハハ

      キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

              ウフフフフフフ 

マミ「ああああああっ!!!」 ドサッ!

ほむら「マミ!!」 タタタタタッ!

492 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:21:38 8PNg91Hw 452/623


鳴上「ま、まだまだ……!」 ヨロッ…

さやか「悠、待ってて。 今、怪我を……!」

     ヒハハハハハ

      キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

              ウフフフフフフ 

     キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

     ウフフフフフフ    ヒハハハハハ

鳴上「があああああああああっ!」

さやか「きゃああああああああっ!!」

杏子「悠!! さやかぁっ!」

ほむら「!! 杏子! 前!!」

杏子「!!」

493 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:22:19 8PNg91Hw 453/623




     ドガァアアッ!!



杏子「ぐあああああっ!!」

ほむら「杏子!!」



鳴上「ぐっ……くっ……」

さやか「うっ……くうっ……」

マミ「………あ…………が…」

杏子「く……そぉ……」

ほむら「み、みんな……」

494 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:23:02 8PNg91Hw 454/623


鳴上「…………」 ヨロ…

鳴上「……ほ、ほむら」 チラ

ほむら「……!!」

ほむら(悠……今の目配せ……)

ほむら(…………っ)

ほむら(時間の逆行を……しろって事!?)

鳴上(…………正直、ここまで力の差があるとは思わなかった)

鳴上(だが……)

鳴上(ここでの敗北や、この時間軸での経験は)

鳴上(次に生かせるはずだ……ほむら) ニコッ

ほむら(……っ!!)

ほむら(…………)

495 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:23:54 8PNg91Hw 455/623




     ――私は――



     ドガッ!

鳴上「ぐはっ!」

鳴上「……はあっ!」 ズバッ!

ほむら「悠!」

杏子「……ほむら」 ヨロッ…

ほむら「! 杏子……」

杏子「すまねぇな……どうやら……ここまでみたいだ……」

ほむら「きょ、杏子……!」

496 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:24:44 8PNg91Hw 456/623




     ――時間の逆行を――



杏子「今なら、ほむらの気持ち……わかる……でも……頼まれてくれ」

杏子「次の時間軸でも……あたし……意地張って、じゃじゃ馬で……寂しがり屋だろうけど」

杏子「また、仲良くなろうな……!」 ニコ

ほむら「……や」

さやか「……ほむら」

ほむら「! さやか……!」

さやか「そんな顔しないでよ……あたし、ほむらの事がわかって嬉しかった」

さやか「次の時間軸でも……たぶんバカなあたしが、苦労をかけるけど……」

さやか「一緒に……お昼しようね!」 ニコ

ほむら「や……やめて……」

497 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:25:35 8PNg91Hw 457/623




     ――初めて――



マミ「暁美さん……」

ほむら「! マ、マミ……さん……」

マミ「フフ……さん付けなんて……くすぐったい」 クスッ

ほむら「…………」

マミ「ごめんなさい……あなたに、また過酷な運命を背負わせてしまう事を……」

ほむら「……っ」 (首を)フルフル

マミ「次の時間軸……私もあなたの事を覚えていられればいいのに……」

マミ「でも……また一緒に、お茶会を楽しみましょうね」 ニコ

ほむら「っ! ……っ!」 グスッ…

498 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:26:46 8PNg91Hw 458/623




     ――嫌だと思った――



ほむら「……うっ……ぐすっ……ひっく……」 ポロポロ…

ほむら「やだぁ……こんなの……いやだぁ……私……わた、し……!」 ポロポロ…

ほむら「せっかく……仲、良く……なれ、たの……に」 ポロポロ…

ほむら「また……無かった事に、なって……やり、直して……」 ポロポロ…

ほむら「まどかと……同、じ……様に……時間が……ぐすっ……ズレて……」 ポロポロ…

ほむら「わた、し……私!……また……ひとりに……」 ポロポロ…

ほむら「ひとりに、なりたくないよっ……!!」 ポロポロ…



ほむら「この時間で過ごした出来事を、みんなを、無くしたくないっ!」 ポロポロ…




499 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:27:32 8PNg91Hw 459/623


鳴上「…………ほむら」

ほむら「何か……何か、方法を探しましょう! 悠!」

ほむら「以前、悠が言ってたみたいに、一人一人が出来る事を考えて」

ほむら「そうすれば、きっと……きっと――」

杏子「ほむら……」

杏子「見ろよ……ワルプルギスの夜を」

ほむら「…………」

さやか「あいつ……もうあたし達には目もくれずに……」

さやか「避難所に向かい始めてる……」

ほむら「…………」

500 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:29:21 8PNg91Hw 460/623


マミ「今の私達にはもう……止める術がない……」

ほむら「…………っ」

鳴上「……済まない、ほむら」

ほむら「…………」 ポロポロ…

ほむら「うっ……ううっ……」 ポロポロ…

ほむら「うううっ……うっうっ……ううううっ!!」 ポロポロ…

ほむら「ううう―――――――――――っ!!」 ポロポロ…


     スッ……



501 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:32:10 8PNg91Hw 461/623









     ガ  ル  ダ  イ  ン  !!(単体攻撃 最大風魔法)









     ヒァアアアアアアアアアアァァァッ!!









502 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:32:59 8PNg91Hw 462/623


鳴上「!!!?」

ほむら「え!?」

杏子「い、今のって……!?」

さやか「ペルソナの……魔法だよね!?」

マミ「いったい、誰が!?」






??「……水くせーじゃねーかよ」






鳴上「!!」

503 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:34:01 8PNg91Hw 463/623









??「相棒!」








504 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:34:59 8PNg91Hw 464/623

BGM
http://www.youtube.com/watch?v=TzFl6sWHmXI&feature=related

505 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:36:08 8PNg91Hw 465/623


鳴上「陽介!?」

花村「話は後だ! 悠!」

花村「あの化け物を倒せばいい。 そうだな?」

鳴上「あ、ああ! そうだ、陽介!」

花村「ようし、りせ! アナライズ、頼むぜ!」

りせ「アイアイサー!! ヒミコ!!」 アナライズ中……


さやか「悠、誰なの!?」

鳴上「安心しろ……」

鳴上「以前話した、八十稲羽で出来た」

鳴上「心強い仲間達だ!」

魔法少女ズ「!!!!!」

506 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:36:54 8PNg91Hw 466/623


りせ「見えたよ! 花村先輩!」

花村「うし! 弱点はどこだ!?」

りせ「一見すると、あの逆さになってる下の頭だけど」

りせ「あれはフェイク!」


鳴上「!!」

魔法少女ズ「!!」


りせ「歯車の部分から目に見えない、特殊な薄い膜が何十層も出てて」

りせ「それが弱点を防御してるわ!!」

花村「了解だ! まずは歯車をぶっ潰せばいいんだな?」

りせ「その通りだけど、歯車の中心点……ど真ん中にある軸を攻撃すると、もっと効果的だよ!」

507 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:37:41 8PNg91Hw 467/623


花村「よっしゃ! みんな、聞いたな!?」

完二「おう! しっかりとなぁ! タケミカヅチ!!」 イノセントタック!

里中「完二くん、あたしも手伝うよ! トモエ!」 ゴッドハンド!

クマ「援護は任せるクマー! キントキドウジ!」 マハブフダイン!(全体攻撃 最大氷結魔法)



     ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!



     ヒァアアアアアアアアアアァァァッ!!



直斗「雑魚は任せてください! スクナヒコナ!」 メギドラオン!(全体攻撃 最大無属性魔法)

天城「鳴上くん、それに他の娘の怪我も、今、治すね? コノハノサクヤ!」 メシアライザー!

鳴上「すまない、天城」

天城「どういたしまして!」 フフフ♪

508 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:38:17 8PNg91Hw 468/623


さやか「! す、すごい……! 怪我が治った!」

杏子「悠のペルソナ見てていつも思うけど……チートだよなぁ」

マミ「まあまあ……助かっているのは事実だし」

マミ「それに本来は、現実世界で使えない能力なのよ?」 ニコ

杏子「そういや、そんな事言ってたな」 ニコ

さやか「くうううっ! 燃える展開だね! ほむら!」 ニコ

ほむら「…………」

さやか「ほむら?」

ほむら「……良かった」

杏子「……ほむら」

マミ「暁美さん……」

510 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:39:29 8PNg91Hw 469/623


ほむら「時間を戻らなくて……本当に……良かった……!」 ポロポロ…

さやか「……へへ」

杏子「ああ……そうだな、ほむら」

マミ「本当に……」 グスッ…

鳴上「…………」

鳴上「……水を差すようで悪いが……みんな」

鳴上「まだ終わったわけじゃない」

ほむら「ええ……! わかってる、悠!」

杏子「どうする? 今のあたし達じゃ役に立てそうにもないし……」

さやか「そうだ! ほむら! ほむらの持ってる武器を貸してくれない? それなら……」

ほむら「そうしたいけど……もう残弾が、ほとんど残ってない」

ほむら「このM16のマガジン4つしか……」

511 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:40:03 8PNg91Hw 470/623


マミ「……どうすれば」

鳴上「休む事だ」

ほむら「え?」

鳴上「今は俺の仲間達を信じて、休んで、少しでも精神力を回復させる」

鳴上「これがベストじゃないだろうか?」

魔法少女ズ「…………」


天城「それなら鳴上くん」

鳴上「天城……」

天城「これを使って!」つ(やそぜんざい)(胡椒博士NEO)(盆ジュース)

鳴上「…………」

512 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:40:51 8PNg91Hw 471/623


鳴上「……他に無かったのか?」

天城「い、言いたい事はわかるけど……急ぎだったし……我慢して!」

天城「じゃ!」

     タッ タッ タッ…

鳴上「…………」

さやか「悠? どうしたの?」

杏子「何だ? その大量の缶ジュース?」

マミ「変わった銘柄のジュースですね?」

鳴上「あー……」

鳴上「理由はわからないんだが……これを飲むと、何故か精神力が少し回復する」

杏子「へえ! そりゃあいい! ちょうど喉も渇いてたしな! んじゃさっそく……」 グビグビ…

鳴上「あ」

513 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:41:32 8PNg91Hw 472/623


杏子「……!?」

杏子「ぶふぉっ!!」

さやか「きょ、杏子!?」

杏子「ゲホゲホッ……! なんじゃこりゃあ!? クッソマズイ!!」

ほむら「……え?」

マミ「…………」

鳴上「…………」

鳴上「……良薬、口に苦し、ということわざもある」

鳴上「覚悟を決めて飲むぞ……!」 プシュッ…

杏子「うええっ……マジかよぉ……」

ほむ・さや・マミ(えー…………)

514 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:43:08 8PNg91Hw 473/623


花村「行くぜ! 化物! ジライヤ!」 ブレイブザッパー!

完二「……ちいっ! ホントに効いてんのかよ!?」

りせ「それは大丈夫! すでに、かなりのダメージをあの歯車は受けてる!」

直斗「さすが鳴上先輩……!」

里中「りせちゃんのアナライズ無しで、それを見抜いてたなんて……」

クマ「センセイに不可能は無いクマ!」

天城「コノハノサクヤ!」 マハラギダイン!! (全体攻撃 最大火炎魔法)


     ゴオオオオオオオッ!!


     ヒァアアアアアアアアアアァァァッ!!


天城「みんな、油断禁物だよ!」

里中「ごめん、雪子! トモエ!」 ゴッドハンド!!

515 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:44:18 8PNg91Hw 474/623


花村「ようし! 燃えてきたぜ!」

クマ「みんな! 援護するクマ! キントキドウジ!」 マハタルカジャ!(味方全体攻撃力UP)

完二「よっしゃ! タケミカヅチ!」 イノセントタック!

里中「もう一丁! トモエ!」 ゴッドハンド!

直斗「雑魚はお任せを! スクナヒコナ!」 メギドラオン!(全体攻撃 最大無属性魔法)

天城「私も手伝う! コノハノサクヤ!」 マハラギダイン!(全体攻撃 最大火炎魔法)

りせ「いけいけ! ゴーゴー!」


     ヒハハハハハ

      キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

              ウフフフフフフ 

     キャハハハハハ     オホホ  ホホホホ

     ウフフフフフフ    ヒハハハハハ

516 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:45:02 8PNg91Hw 475/623


花村「!?」

直斗「新手!?」

完二「ちっ……! キリがねえ!」

クマ「クマも雑魚掃除に加わるクマ!」

りせ「!! うそ……!! こんな事って……!」

里中「どうしたの!? りせちゃん!」

りせ「ふわふわ浮いてるあのビルが……こっちに向かってくる!!」

天城「なんですって!?」

花村「冗談じゃねえ! 防げねえぞ、あんなの! みんな散らばれ!」

クマ「りせちゃん! クマにつかまるクマ!」

517 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:46:09 8PNg91Hw 476/623


花村「うわあああああああああっ!」

クマ「オヨヨ――!!」

りせ「きゃああああっ!!」

里中「ひゃああああっ!!」

天城「!! 千枝っ!!」

直斗「里中先輩!!」

     バッ!!

完二「直斗っ!? ダメだ! もう間に合わ……!」

完二「直斗―――――――――――!!」



     ドゴォオオオオッ!!




518 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:47:07 8PNg91Hw 477/623


完二「…………」

完二「……クソがぁああああっ!!」

花村「待て、完二!」

完二「放してくれよ! 花村先輩!!」

花村「痛て! 暴れんな、完二! あれを見ろっての!」

完二「え?」

完二「!!」


さやか「ふう……ギリギリだったね!」

里中「あ、ありがとう……」

直斗「……すみません、助かりました」

さやか「ふふ、どういたしまして!」

519 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:47:47 8PNg91Hw 478/623


完二「な、直斗……! よ、良かった……」 グスッ

花村「へへ……泣いてんじゃねーよ、完二」

完二「!! な、泣いてなんか……!」 ///

花村「それに、まだ終わっていない」

花村「戦いは、まだまだこれからだ……」

花村「そうだろ?」

花村「相棒!」


鳴上「……そうだな、陽介」 ニコ

花村「指示を頼めるか?」

鳴上「わかった」

520 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:49:22 8PNg91Hw 479/623


鳴上「まず、雑魚は俺と魔法少女達で何とかする」

鳴上「陽介達は、ワルプ……あの化物への攻撃に専念してくれ」

花村(ま、魔法少女……!?)

花村「わ、わかった!」

花村「背中は預けたぜ、悠!」

鳴上「任せろ」

杏子「悠! またゾロゾロ使い魔が出てきたよ!」

花村「悠って……おいおい、えらい仲良しだな」

鳴上「……詳しくは、終わったら話す」

花村「……なんか聞きたくない気もするが、その通りだな」

花村「よし! 行くぜ、みんな! ペルソナで総攻撃だ!!」

P4組「おおー!!」

521 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:50:51 8PNg91Hw 480/623


鳴上「俺達は、陽介の援護に徹する!」

鳴上「ここが踏ん張りどころだ!」

杏子「わかってるって!」

マミ「任せてください、悠さん」

ほむら「……さっきのジュースのお礼も言いたいし」 ウプ…

さやか「……文句って素直に言いなよ。 同感だけど」

鳴上「だが、飛ばすなよ、みんな。 慎重に行け!」

魔法少女ズ「もちろん!」



―――――――――――




522 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:52:07 8PNg91Hw 481/623




時間にしたら、どのくらいだろう?

俺達は、ワルプルギスの夜と戦い続け、終わりが無いのではないか?

と思えるほどだった。



実際ワルプルギスの夜は、使い魔をこれでもか、というほど出してきたし

ワルプルギスの夜自身の攻撃も、少しも衰えを見せなかったからだ。



だが……それでも俺達は、攻撃を続けた。

誰かの為に。 何かの為に。 信じる者の為に……!




523 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:53:52 8PNg91Hw 482/623




―――――――――――



花村「はあっはあっはあっ……!」

花村「りせ……! どうだ!?」

りせ「もう少し……もう少しなのに!!」

りせ「歯車の中心軸は、崩壊しかかってるっ!!」

りせ「後一撃……! 大きな一撃、一発でなんとか出来るの!!」

完二「ぜえっぜえっ……クソがぁっ」

クマ「く、クマ~ん……」

里中「まだよ……! あたしは、まだやれるっ……!」

天城「私も……まだ…………頑張れるっ……!」

直斗「いざとなったら……生身でかじりついてやりますよ……!」

524 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:54:38 8PNg91Hw 483/623


さやか「はあっはあっはあっ……」

杏子「ちくしょう……! 何とか、ならねえのかよっ……」

マミ「くっ……」

ほむら「もう……使える武器は……使い果たして……」

鳴上「…………」



イゴール「お客様は……」

イゴール「何かをお忘れでは、ございませぬかな?」



鳴上「…………」

525 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:55:16 8PNg91Hw 484/623




 ――何故か――

 ――いつ言われたのか――

 ――俺は、イゴールの言葉を思い出した――



鳴上「…………」

鳴上(何だ……? 俺は、何を忘れている?)

鳴上(…………)

鳴上(集められるだけの戦力は、ここに集結している……)

鳴上(ほかのどこに、力が残っていると言うんだ……)

526 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:55:56 8PNg91Hw 485/623




イゴール「八十稲羽でおやりになられた事を、ここでも行えばよろしいのです」



鳴上「…………」

鳴上「……まさか」

鳴上「…………」

鳴上(出来るのか……? 今の俺に……?)

鳴上(…………)

鳴上(……いや)

鳴上(出来るか? じゃない)

鳴上(やるんだ!!)

527 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:56:54 8PNg91Hw 486/623


鳴上「……陽介」

花村「ん?」

鳴上「時間を……時間を少し稼いでくれ」

花村「…………」

鳴上「正直……出来るかどうか、わからない」

鳴上「だが」

鳴上「必ず、成功させる!」

花村「…………」

花村「へっ……待ってたぜ、お前がそう言ってくれるのを」

花村「その言葉一つで、俺は……俺達は――」

花村「繋がってるって、思えるってもんだ、相棒!」

528 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:57:37 8PNg91Hw 487/623


花村「ようし! みんな!」

花村「疲れているところ悪いが……」

花村「悠が、『時間を稼いでくれ』ってさ!」

完二「!!」

クマ「セ、センセイ!!」

直斗「鳴上先輩……」

りせ「悠先輩……!」

里中「その言葉……」

天城「待ってたよ! 鳴上くん!」

鳴上「……みんな」

529 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:58:19 8PNg91Hw 488/623


花村「! ……ペルソナも喜んでるみてーだな」

花村「スサノオ!」

完二「ロクテンマオウ!」

里中「スズカゴンゲン!」

直斗「ヤマトタケル!」

天城「アマテラス!」

クマ「いきり立ってきたクマー! カムイ!」

りせ「カンゼオン!」


さやか「……!?」

杏子「ペルソナチェンジ!?」

ほむら「形状が変わった!?」

マミ「もう、何がなんだか……」

530 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 18:59:18 8PNg91Hw 489/623


里中「後は任せたよ! 鳴上くん!」

天城「私、信じてるから……!」

完二「あのヤローを抑えときます!」

直斗「頼りにしてます!」

りせ「悠先輩、愛してる!」

クマ「センセイ! ガツンと一発、お願いするクマー!」

花村「美味しいとこ……」

花村「もってけ――!」



魔法少女ズ(一人、どさくさに紛れて何言ってるの……) イラッ

531 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:00:15 8PNg91Hw 490/623


     スッ……

鳴上「…………」



     俺は、静かに目を閉じた。



鳴上「…………」



     意識を集中させ



鳴上「…………」



     イザナミと戦った時の事を思い出す。




532 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:01:10 8PNg91Hw 491/623


鳴上「…………」



     何故、俺は真実を求める?



鳴上「…………」



     何故、戦う?



鳴上「…………」



     何故、ここに居る?




533 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:01:51 8PNg91Hw 492/623


鳴上「…………」 クスッ



     俺は、何故か笑った。



鳴上「……!」

鳴上(聞こえる……)

鳴上(…………)

鳴上(……これは、誰の声だ?)

鳴上(…………)

鳴上(……!)

534 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:02:39 8PNg91Hw 493/623


鳴上(……そうか)

鳴上(お前なのか)

鳴上(ワルプルギスの夜……)

鳴上(…………)

鳴上(…………)

鳴上(お前も……Qべえにそそのかされ)

鳴上(願いを叶え、魔法少女になり……)

鳴上(その……成れの果てだったのか)

鳴上(…………)

鳴上(…………)

535 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:03:40 8PNg91Hw 494/623


鳴上(…………)

鳴上(そうか……)

鳴上(それが、お前の叶えた願い……か)

鳴上(…………)

鳴上(すまない……それは出来無い)

鳴上(…………)

鳴上(いや……礼を言うのは、俺の方だ)

鳴上(ありがとう)

536 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:04:53 8PNg91Hw 495/623






     カ  ッ  !!





     ペ    ル    ソ    ナ    !!






537 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:05:46 8PNg91Hw 496/623


花村「!?」

里中「何あれ!?」

天城「初めて見る……ペルソナ!」

りせ「す、凄い……! あたしのペルソナでも計測不能!!」

完二「よっしゃ!! 一発、お願いしますぜ!!」

クマ「センセイー!! 頼んだクマ!!」

直斗「行ってください!!」


ほむら「お願い! 悠!!」

杏子「やっちまえ!!」

マミ「頼みます!!」

さやか「行け―――――――――――!!」

538 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:07:24 8PNg91Hw 497/623


     スッ

鳴上「……伊邪那岐大神」

鳴上「頼む!!」 グッ……!!





     幾    万    の    真    言




     ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!




     ズガァアアアアアアンッ!!





539 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:08:28 8PNg91Hw 498/623


花村「よっしゃあ!!!」

里中「さっすが、鳴上くん!!」

天城「これでようやく、終わったね!」

りせ「アハハハ……ん?」

完二「? どうした? りせ?」

クマ「あ……クマのペルソナが……!」

直斗「ペルソナが、消えてゆく……」

直斗「そうか、あの化物が倒された事で、異常な空間状態が元に戻ったから……」


ほむら「!!!!」

ほむら「み、みんな!!」

ほむら「ビルが……そっちに向かってくる!!」

P4組「!!?」

540 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:09:28 8PNg91Hw 499/623


花村「ちぃ!! みんな、ずらかれ!!」

里中「で、でも、どこに!?」

天城「どこでもいい!! 早く!!」

完二「くそったれ!! 最後の最後に足掻きやがって!!」

直斗「ペルソナさえ使えれば……!!」

クマ「クマー!! 何とか出来るクマに!!」

りせ「悠先輩も早く逃げて―――――――――――!!」


ほむら「……だめ! 悠の仲間は……もう間に合わない!!」

ほむら「私に、魔力さえあれば……! 時間を……」

ほむら(…………)

ほむら(くっ……! それでも人数が多すぎて、無理だわ!)

541 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:10:45 8PNg91Hw 500/623

BGM
http://www.youtube.com/watch?v=6pAb68IUR3E&feature=relmfu

542 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:11:39 8PNg91Hw 501/623


鳴上「ぐっ……、よ、陽介!!」 ヨロッ……

杏子「悠!? 待ちな! あたしが行くよ!!」

さやか「!! ダメだよ!! 二人とも!! もう……もう、間に合わない!!」

杏子「じゃあ、どうすんだよ!? このまま見捨てるのかよ!?」

     ジャキン!!

鳴上「!!」

ほむら「マミ!?」

マミ「私のティロ・フィナーレなら……何とか砕けるかもしれない!!」

マミ「砕けなくとも、少しでも勢いを殺せれば……!!」

杏子「その手があったか!!」

さやか「待って、マミさん!!」

さやか「あたしの……残りカスみたいな魔力だけど……使って!!」 スッ…

543 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:12:59 8PNg91Hw 502/623


杏子「おう! そうだな、あたしのも使ってくれ!!」 スッ…

マミ「二人とも……」

ほむら「巴マミ、私の……ううん、時間逆行の魔力も含めて、使って!」 スッ…



 ――私に、もう迷いは無かった――

 ――時間逆行の魔力――

 ――それは、時間を逆上らないと戻らない、特殊なもの――

 ――つまり――

 ――それを別の用途で使ってしまば、二度と、時間の逆行が出来無い、という事――




544 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:13:52 8PNg91Hw 503/623


ほむら(私は、覚悟を決めた! どんな結果になろうとも……)

ほむら(この世界で……みんなで紡(つむ)いだ、この世界で、生きていく!!)



マミ「暁美さん……ふふ、責任重大ね」

杏子「頼むぜ、マミ!」 (魔法少女解除)

さやか「大丈夫、きっと上手くいきます!」 (魔法少女解除)

鳴上「頼む……マミ」

鳴上「みんなを……大切な仲間を、救ってくれ……!」

マミ「はい! 悠さん!! ……ティロ・フィナーレ!!」



     ドォオオオオオオオオンッ!!



ほむら(お願い……!!) (魔法少女解除)

545 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:14:48 8PNg91Hw 504/623







     ???『大丈夫』 クスッ






ほむら「!?」







546 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:15:58 8PNg91Hw 505/623


     …………キュンッ!!












     バゴォオオオオオオオオオオオンッ!!!














547 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:16:55 8PNg91Hw 506/623


杏子「よっしゃあああああっ!!」

さやか「やったああああっ!! さっすが、マミさん!!」

鳴上「ありがとう、マミ……!!」

マミ「い、いえ……!」 (魔法少女解除)

マミ(全力だったけど……正直、あんなに破壊力があるなんて思わなかった……)

マミ(考えてた以上にあのビルは、もろくなってたのね)



ほむら「…………」

548 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:18:09 8PNg91Hw 507/623


ほむら(みんな、気がついてない。 あの悠でさえも……)

ほむら(でも)

ほむら(私には……わかった)

ほむら(あれは…………、まどか……!)



     ひとつ前の時間軸のまどかだ……!



ほむら「……うううっ……ぐすっ……」 ポロッ

ほむら「うああああああっ……まどかっ……」 ポロポロ…

ほむら「まどかあああああ……ぐすっ…………ひっく……」 ポロポロ…

ほむら「あり、が、とっ…………ありがとう、まどかっ……ぐすっ……」 ポロポロ…

ほむら「まどかああああっ…………あっ……あっ……ひぐっ……」 ポロポロ…

ほむら「わたし……わた、しっ、……ああああっ……ひっく……」 ポロポロ…

549 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:18:57 8PNg91Hw 508/623


杏子「ほむら……」 グスッ

さやか「良かったね、ほむら……」 グスッ

鳴上「ほむらの長い旅が、今、終わったんだ」

鳴上「そっとしておこう……」

マミ「そうですね……」 グスッ


花村「おお――い! 悠!!」

完二「最後のなんスか!? すごかった!!」

里中「もしかしてそっちの女の子の力? やるじゃん!」

天城「魔法少女? とか言ってたけど……」

鳴上「……話すと長くなる。 ペルソナの別系統の力だ、と思ってくれ」

550 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:19:40 8PNg91Hw 509/623


     タッ タッ タッ

りせ「悠せんぱ~い♡」 抱きっ

魔法少女ズ「!!!」

鳴上「り、りせ……」

りせ「んもう、恥ずかしがっちゃって、悠先輩、可愛い♡」

直斗「久慈川さん……」

クマ「りせちゃん、クマにもぷりーず」


さやか「……久慈川……りせ……?」

さやか「…………」

さやか「あ――!」

杏子「ど、どうしたんだよ!? さやか!?」

さやか「ほら! りせちーだよ! 一年くらい前に休業宣言して最近復帰した!」

551 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:20:52 8PNg91Hw 510/623


マミ「……あ!!」

ほむら・杏子(……だれ?)

さやか「すごーい! 悠、芸能人と知り合いなんだ!」

さやか「サイン、もらおうよ!」

マミ(わ、私、かなみん派なんだけど……黙っておこう) ///

りせ「……って、さっきから何? この娘達?」

りせ「悠先輩を、気安く呼び捨てにしないでよね」

さやか「……うわ、感じ悪っ」

杏子「いいじゃねーかよ、別に。 本人に許可はもらってるし」

りせ「……悠先輩、本当?」

鳴上「あ、ああ……」

552 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:21:23 8PNg91Hw 511/623


りせ「! ……じゃ、じゃあ、あたしも……悠って呼んでいい?」 ///

里中「ちょっ、ちょっと! どさくさに紛れて何を」 ///

天城「わ、私も呼んでいい?」 ///

里中「! ゆ、雪子!?」

直斗(……ぼ、僕は後で頼もう) ///


花村「…………」

花村「……そういやさ、悠」

鳴上「ん?」



     バキッ!



鳴上「ぐっ……!」 ドサッ…!

553 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:42:51 8PNg91Hw 512/623


一同「!!!」


里中「ちょ、ちょっと! 花村! 何してるのよ!?」

天城「鳴上くん!」

杏子「てめえ! 何しやがる!?」

花村「少し黙ってろ、お前ら……」

一同「…………」

鳴上「…………」

花村「どうして俺が殴ったか、わかるか? 悠……」

鳴上「…………」

花村「電話があった時、俺は聞いたな? 『何かあったのか?』って……」

鳴上「…………」

554 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:43:31 8PNg91Hw 513/623


花村「お前の事だ……俺達を巻き込みたくなかった。 そんな所だろう?」

鳴上「…………」

花村「ショックだったぜ……」

花村「俺達は、悠の信頼を得るに足りる人間じゃなかったのか?って……」

鳴上「……!」

花村「案の定、こんな大事に巻き込まれていやがった」

花村「どうして黙ってた?」

花村「お前は、俺達に気を使ってくれたのかもしれない」

花村「でも……」

花村「上手く言えねーけど、裏切られた気分だった」

鳴上「…………」

555 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:44:39 8PNg91Hw 514/623


鳴上「すまない、陽介……」

鳴上「俺が悪かった、許してくれ」

花村「……へっ、わかってくれたなら、それでいい」

花村「だが次は、こんなもんじゃ済ませねえからな?」

鳴上「わかった、陽介。 次は正直に話す」

一同「ホッ……」

花村「んじゃ、この話はおしまいだ」

花村「つーか悠! お前、ここでもフラグ建築しやがったな!?」

花村「何だよ!? この将来有望そうな女の子達は!?」

花村「うらやましい!!」

魔法少女ズ「…………」

556 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:45:33 8PNg91Hw 515/623


杏子(……顔はそんなに悪くねーのに)

さやか(なんて言うか……)

マミ(残念な性格……)

ほむら(がっかりイケメンね……)


鳴上「ところで、どうやってここに来たんだ?」

花村「天気が悪くなってたから危なかったけど、電車を乗り継いでな」

直斗「まず、先輩の家に向かいました」

里中「そしたら鳴上くんの親御さんに、最近、見滝原によく行ってるって聞いてね」

りせ「業界人に報道の知り合いがいるんだけど」

りせ「このところ、見滝原市じゃ行方不明事件が相次いでいたって聞いてたから……」

天城「これは何かある、って思ったの」

クマ「でも電車が止まって、センセイの家から歩いてきたから、ちょっと時間がかかったクマ」

557 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:47:05 8PNg91Hw 516/623


完二「したら、ドンパチ始まってるじゃねースか」

完二「おまけにペルソナ能力まで使ってるのがわかったし」

花村「ギリギリだっだけど……ホント、間に合ってよかったぜ」

鳴上「そうだったのか……」

鳴上「ありがとう、陽介、それにみんなも。 使った交通費は貸しにしといてくれ」

鳴上「必ず返す」

花村「いいって事よ……気にすんな」

花村「ここに居る誰もが、そんな事は気にしてねーから」

クマ「ぷぷぷ~! ぜーんぶ、りせちゃんに払ってもらったクマ!」

花村「おま! それを言ったら台無しじゃねーかよ!!」


魔法少女ズ(残念度が半端ない……)

558 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:48:30 8PNg91Hw 517/623


完二「それにしても、ひと仕事終えた後だから、腹減ってねえスか?」

完二「開いてるコンビニ探して、何か食いたいっス」

里中「いいね! 出来れば飲食店に行きたい!」

天城「私は、お風呂に行きたいかな……」

りせ「あたしも~」

直斗「僕もです」

クマ「ぬほっ! クマがお背中流すクマ~!」

里中「ちょーしにのんな!」 バゴッ!

クマ「あごばっ!!」

花村「ははっ……悠もどうだ? そっちの娘達も一緒に」

鳴上「楽しそうだな」 クスッ

鳴上「でもすまない、陽介。 先約があるんだ」

559 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:49:33 8PNg91Hw 518/623


花村「そうか……」

鳴上「だけど必ず近いうちに、みんなでご飯を食べよう」

花村「ああ、待ってるぜ!」

花村「じゃあな! そっちの魔法少女?の娘達も!」

杏子「ああ、またな。 助かったよ!」

ほむら「ありがとう!」

マミ「いつか、必ずお礼に行きます!」

さやか「何かあったら、今度はあたし達が力になるね!」

鳴上「またな、陽介」

花村「ああ!」

560 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:51:04 8PNg91Hw 519/623


鳴上「…………」

鳴上「……さて、俺達も行くか」

さやか「うん!」

マミ「鹿目さんのご飯、楽しみですね」

杏子「ニシシ……! どんなメシ、作ったかな?」

ほむら「…………」

ほむら(……まどか)

561 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:55:52 8PNg91Hw 520/623


ほむら(…………)

ほむら(いったい、どうやって……? ううん……そんな事、どうでもいい)

ほむら(私……あなたを忘れない)

ほむら(今まで繰り返して、多くの時間軸で出会ってきた)

ほむら(あなたと共に……)

ほむら(私は、忘れないから……!)



 ――まどか、ありがとう――




562 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:56:48 8PNg91Hw 521/623




俺達は、避難所に向かった。

戦い始めた時とは打って変わって、晴れ渡った空の下……

笑顔で待つ、少女の姿が見えた。


俺達は、ボロボロの姿だった。

でも、少女は、そんな事お構いなしに ほむら達に飛びつき

抱き合って喜び合う。


そんな彼女達を、俺はただ――

目を細めて見ていた。




563 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:58:12 8PNg91Hw 522/623


???『…………』

???『ほむらちゃん』

???『そっちの私と仲良くね』

???『そして……数多の時間と空間を超えて』

???『いつかまた会おうね……』

???『大丈夫』

???『いつか、きっと会えるから……』 ニコ

???『…………』

???『それまで、ほんのちょっと……お別れだね』

???『…………』

???『じゃあ、またね』

???『ほむらちゃん』

564 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 19:59:11 8PNg91Hw 523/623







     ――私の最高の友達――







565 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/25 20:00:21 8PNg91Hw 524/623


Qべえ「…………」

Qべえ「やれやれ、まさか本当にワルプルギスの夜まで倒してしまうなんて」

Qべえ「でも」

Qべえ「僕は……僕達は諦めないよ、まどかを」

Qべえ「まあ、次の手を打つまでは、しばらく間が空くけど」

Qべえ「それまでは……」

Qべえ「ゆっくり休んでるといい」

Qべえ「…………」

Qべえ「さて……次はどんな手を打つかな?」

     トトト……

569 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:38:43 wM.Sasc6 525/623


 ――見滝原・市民会館・避難所――



一同「おおー!」

鳴上「美味しそうだな」

まどか「正直言うと……ほとんどパパに作ってもらいました……」

杏子「んじゃさっそく……」 ヒョイパク

杏子「ん! んまい!」

マミ「お行儀が悪いですよ、佐倉さん」

詢子「ふふ、別にいいのよ。 今日だけは無礼講!」

詢子「さ、みんな食べて食べて」

一同「はーい!」

鳴上「いただきます」

     ワイノ ワイノ

570 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:39:31 wM.Sasc6 526/623


詢子「…………」 ジー

鳴上「…………」

詢子「…………」 ジー

鳴上「…………」

鳴上(どうしよう……すごい見られてる)

詢子「……君が、鳴上 悠くん……かぁ」

鳴上「は、はい……」

詢子(何だか、不思議な雰囲気を持ってる男の子だなぁ……)

まどか「ところで、ママ。 パパとタツヤは?」

詢子「ああ、警報も解除されたし、タツヤがおうちに帰りたいって、ぐずりだしてね……」

詢子「先に帰ってもらったんだ」

まどか「そうなんだ……」

571 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:40:20 wM.Sasc6 527/623


ほむら「美味しいわ、まどか」 シミジミ

まどか「ウェヒヒ……」

まどか(それはパパが作ったから揚げ……)

まどか「鳴上さん、どうですか?」

鳴上「美味い、まどか」 ニコ

まどか「えへへ……」 ///

さやか「…………」

さやか(……あたしも料理覚えようかな) チラ

鳴上「……?」

マミ(今度は、私もお弁当を作ってみよう) ///

詢子(……天然ジゴロね。 まどか……こりゃ苦労するよ……)

572 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:41:08 wM.Sasc6 528/623


杏子「…………」

杏子「…………っ」 ポロッ

さやか「!? 杏子!? どうしたの!?」

杏子「い、いや……何でも無いんだ」 ///

杏子「……ただ、こうやってみんなで食べるの……なんかいいなって思ったら」

杏子「勝手に……こう、ポロっと……」 ///

さやか「杏子……」

ほむら「…………」

マミ「…………」

杏子「あーもう! 湿っぽいのは無し!」 ///

杏子「もう、どんどん食う!」 ///

まどか「うん、どんどん食べて、杏子ちゃん」 クスッ

573 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:41:41 wM.Sasc6 529/623


鳴上「…………」 モグモグ

まどか「……あの、鳴上さん」

鳴上「? どうした?」

まどか「…………」

まどか「相談したい事があるんです」

鳴上「…………」

まどか「後で時間をもらえますか?」

鳴上「…………」

鳴上「わかった」

574 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:42:23 wM.Sasc6 530/623


 ――????――



????「ふふふ……ようこそ、ベルベット・ルームへ」

イゴール「お疲れ様でしたな、お客様……」

イゴール「む……?」

イゴール「…………」

イゴール「ほう……それはまた、大きな事を頼まれましたな」

イゴール「神にも等しい力を持つ願い……」

イゴール「いやはや……わたくしめにもどうなるのか、予測できませぬな……」

イゴール「ただ……」

イゴール「一つ言えるのは」

575 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:43:22 wM.Sasc6 531/623


イゴール「その願いは、世の理(ことわり)を書き換える様なものであります」

イゴール「…………」

イゴール「左様でございますな」

イゴール「…………」

イゴール「…………」

イゴール「なるほど」

イゴール「しかしながら――」

イゴール「いかに止めようとしても……その鍵を握るのは、お客様ではございませぬ」

イゴール「おっと……これは言いすぎてしまいましたな?」

イゴール「わたくしめからは、これ以上言う事は出来ませぬ」

イゴール「…………」

イゴール「すみませぬな……」

576 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:43:58 wM.Sasc6 532/623


イゴール「ですが……」

イゴール「お客様は、類まれなる”ワイルド”の持ち主」

イゴール「今回の事象にも見事に対応なされました……」

イゴール「……そういえば、八十稲羽では」

イゴール「一度歩みを止め、過去を振り返った事がありましたが……」

イゴール「今回もそれに類する事が、必要なのやもしれません」

イゴール「…………」

イゴール「おお……そろそろお目覚めの時刻の様ですな」

イゴール「それでは、最後になりますが」

イゴール「お客様の選ぶ道に多くの幸あらん事を……」

―――――――――――

577 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:44:53 wM.Sasc6 533/623


 ――数日後の夜――

 ――巴マミの部屋――



鳴上「Qべえ」

     トトン……

Qべえ「やあ、鳴上 悠」

Qべえ「僕に用があるんだって?」

Qべえ「一体何かな?」

鳴上「…………」

鳴上「時間が欲しい」

Qべえ「時間?」

鳴上「そうだ」

578 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:45:37 wM.Sasc6 534/623


鳴上「俺たちに対する、お前達インキュベーターからの無干渉の時間が欲しい」

Qべえ「…………」

Qべえ「理由を聞いてもいいかな?」

鳴上「……まどかが」

鳴上「願い事をしたい、と俺に相談を持ちかけた」

Qべえ「!?」

鳴上「…………」

Qべえ「…………」

Qべえ「なるほど」

Qべえ「君はまどかに、何か入れ知恵したいのか」

鳴上「…………」

579 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:46:36 wM.Sasc6 535/623


Qべえ「わかったよ、鳴上 悠」

Qべえ「ただし、一ヶ月とか、一年とかは、無理だよ?」

鳴上「3日でいい。 今から72時間」

Qべえ「3日? たったそれだけでいいのかい?」

鳴上「それでいい」

Qべえ「…………」

鳴上「…………」

Qべえ「わかった。 じゃあ今から72時間」

Qべえ「君達に干渉しない事にしよう」

鳴上「不十分だ」

鳴上「『観察』も無しにしてくれ」

Qべえ「……わかった」

580 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:47:21 wM.Sasc6 536/623


Qべえ「話はそれだけかい?」

鳴上「そうだ」

Qべえ「そうかい」

Qべえ「じゃあ僕はこれで失礼させてもらうよ」

     トトト……

鳴上「…………」

鳴上「ふう……」

鳴上「ありがとう、マミ」

マミ「いえ……」

マミ「でも、いいんですか? 悠さん」

鳴上「…………」

鳴上「正直、わからないが……決めるのは、まどかだ」

581 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:48:01 wM.Sasc6 537/623


マミ「いえ、そうじゃなくて、Qべえを信用していいんですか? という意味で……」

鳴上「それは問題ない」

鳴上「インキュベーターは俺達を『少々知恵のある下等生物』としか見ていない」

鳴上「お手並み拝見、ぐらいにしか感じていないだろう」

鳴上「だから約束は守る。 魔法少女の契約と同様にな」

マミ「…………」

マミ「暁美さん……納得してくれるかしら」

鳴上「…………」

鳴上「難問だな」

582 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:51:54 wM.Sasc6 538/623


 ――翌日の休日・午前中――

 ――巴マミの部屋――



鳴上「みんな、すまないな」

杏子「いや、別に構わないよ、悠」

ほむら「あなたの頼みなら、多少無茶でも聞くわ」

さやか「それで? 話って?」

鳴上「ああ……それなんだが……まどか」

まどか「…………」

まどか「私、Qべえに願い事をしようと思うの」

杏子・さや・ほむ「!?」

583 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:52:41 wM.Sasc6 539/623


ほむら「まど――」

まどか「ほむらちゃん、最後まで聞いて……」

まどか「お願いだから」

ほむら「…………」

まどか「……私ね」

まどか「ずうっと考えてた」

まどか「避難所に居る時に」

さやか「…………」

まどか「みんなばっかり戦って、傷ついて、それでも戦って……」

まどか「私一人だけ戦わないのは……やっぱり嫌だなって……」

杏子「…………」

584 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:53:24 wM.Sasc6 540/623


まどか「だから私」

まどか「みんなを……ううん、全ての魔法少女を救う、願いを叶えられないかって」

まどか「考え続けたの」

マミ「…………」

まどか「でも……これでいいのか、やっぱり自信なくて」

まどか「そこで鳴上さんに相談してみたんだ」

まどか「そしたら――」

鳴上「そこからは、俺から話そう」

鳴上「……正直、無茶苦茶な願い事だった」

鳴上「たぶん……ほむらの知っている内容だと思う」

585 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:54:14 wM.Sasc6 541/623


ほむら「過去、現在、未来、全宇宙に存在する魔女を」

ほむら「生まれる前に自分の手で消し去りたい……かしら?」

まどか「!!」

鳴上「……それが以前話していた、とんでもない願い事、か……」

ほむら「ええ……。 それで? まどかは、どんな願い事を?」

まどか「……ウェヒヒ……」

鳴上「一言一句、間違いなくそれだ」

ほむら「…………」 ハア…

杏子「それで? その願いを叶えたまどかは、どうなったんだ?」

ほむら「……わからないの」

ほむら「その時のQべえの慌てぶりから、とんでもない願い事なのは確かで」

ほむら「まどかは……『まどか』で居られなくなる……みたいな事を言ってたわ」

さやか「それで時間の逆行を……」

ほむら「その通りよ」

586 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:55:13 wM.Sasc6 542/623


ほむら「…………」

ほむら「今日、みんなでここに集まったのは」

ほむら「その願い事を決める為なの?」

鳴上「……いや」

鳴上「実を言えば、もう素案は出来ている」

ほむら「!!」

鳴上「だが……まどかが願い事をするにあたり」

鳴上「皆に納得してもらおうと思ったんだ」

ほむら「…………」

杏子「つまり、あたしらを説得しようってわけか」

さやか(もっと言えば、ほむらに、ね……)

587 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:56:01 wM.Sasc6 543/623


ほむら「……話を聞くわ、悠」

鳴上「……みんなも聞いてくれるか?」

杏子「ああ」

さやか「もちろん」

まどか「が、頑張ります」

マミ「お手柔らかに、悠さん」

鳴上「よし……それじゃあまず……」 コホン



鳴上「諸君、正義の話をしよう!」



一同「…………」 キョトン

鳴上(いかん……外した……) ///

鳴上(みんなマイ○ル・サ○デルを知らないのか……) ///

588 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:57:18 wM.Sasc6 544/623


ほむら「……なんなの?」

鳴上「つ、続けるぞ」 ///

鳴上「……ある仮定の話だが」

鳴上「『君』は、一人で飛行機に乗っていた」

鳴上「ところが、その飛行機は、事故で不時着を余儀なくされてしまう」

鳴上「乗っていた乗客・乗員は『君』を含めて3人しか生存できなかった」

一同「…………」

鳴上「『君』は奇跡的に擦り傷程度で済んだが」

鳴上「他の二人は怪我をしていた」

一同「…………」

589 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:58:19 wM.Sasc6 545/623


鳴上「飛行機の不時着した場所は、ステップ地帯の様な場所で」

鳴上「雑草こそ生い茂っているが、食べられそうなものは見当たらない」

一同「…………」

鳴上「最初こそ生き残った三人は、残った機内食などで飢えをしのいで救助を待っていたが」

鳴上「やがてその食料も腐ってしまい、水も乏しくなってきた」

一同「…………」

鳴上「そんな時」

鳴上「怪我をした内の一人の様子が悪化し始めた」

鳴上「……それを見て、もう一人が『君』に、こう、ささやく」

     『こいつ、食っちまおうぜ』

一同「!!」

鳴上「だが……それを怪我の悪化した方に聞かれてしまった」

鳴上「そいつは、泣きながら『自分を食わないでくれ!』と、君に頼む」

590 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:59:03 wM.Sasc6 546/623


一同「…………」

鳴上「ちなみに」

鳴上「容態の悪化してない方は、食べる気満々なので」

鳴上「『君』が目を離した隙に何をするか、わからない」

鳴上「けが人を襲うかもしれないし、もしかしたら『君』にも襲いかかるかもしれない」

鳴上「だが、真正面から戦えば怪我の事もあって、間違いなく勝てるだろう」

一同「…………」

鳴上「そして、容態の悪化した方は、確かに苦しそうだが」

鳴上「意識もあり、今すぐ死ぬ、という訳でも無さそうだった」

一同「…………」

591 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 21:59:58 wM.Sasc6 547/623


鳴上「さて、『君』はどう決断する?」

鳴上「怪我の軽い方の言うとおりにする?」

鳴上「それとも」

鳴上「容態の悪化した方を守る?」

鳴上「または、他に何かいい手があるのなら、それを実行する?」

杏子「…………」

杏子「ちょっと聞いてもいいかい?」

鳴上「かまわない」

杏子「生き残った三人の性別は?」

鳴上「どちらでもありだ。 ただし、全員同じ性別、と仮定してくれ」

さやか「救助は来そうなの?」

鳴上「残念ながら、わからない。 ただ、三人は、こないかもしれない、と思い始めてる」

さやか「絶望的ね……」

592 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:00:47 wM.Sasc6 548/623


ほむら「飛行機に積まれてる無線は使えないの?」

鳴上「不時着時に飛行機の電子機器は、全て壊れた」

ほむら「ラジオは?」

鳴上「三人とも聞いた事もない言語で何か言っている」

ほむら「…………」

マミ「三人の体力は、どのくらい持ちそうなんですか?」

鳴上「三人とも医者じゃないので詳しくわからないが」

鳴上「容態の悪化した怪我人は2~3日くらい?」

鳴上「『君』を含めた残りの二人は、食料と水さえあれば生きられそうだ」

鳴上「ただ、その食料は尽き、水もあとわずかしか無い」

マミ「……本当に絶望的」

593 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:01:54 wM.Sasc6 549/623


鳴上「少しまとめよう」

鳴上「まず、『君』は、五体満足で一番体力がある」

鳴上「次に、怪我の悪化した方は死にかけているが、『自分を食うな、殺すな』と」

鳴上「泣きながら懇願している」

鳴上「最後に、怪我をしているが、それなりに動ける方は」

鳴上「怪我の悪化した方を食う気満々で、邪魔をする様なら『君』にも襲いかかるかもしれない」

鳴上「体力的に決断は早くした方がいいだろう」

鳴上「さて」

鳴上「『君』は、こんな時どうすれはいい?」

杏子「そんなの決まってる」

杏子「食う気満々の怪我の軽い方を殺して食う!」

鳴上「ほう……」

鳴上「怪我の悪化した方は、数日も生きられないかもしれないのにか?」

594 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:02:48 wM.Sasc6 550/623


杏子「だって、自分の身の安全のためでもあるし、そうするのがベストだろ?」

鳴上「なるほど」

鳴上「杏子は自分の身の安全を考慮に入れて、人を殺す事を『正義』とするのか」

杏子「そ、そんな言い方ないだろ!?」

杏子「じゃあ、悪化した怪我人を殺して食えばいいのかよ!?」

マミ「待って、佐倉さん」

マミ「それは短絡的な発想よ」

杏子「…………」

マミ「私だったら……」

マミ「怪我の軽い方を動けない様に拘束して」

マミ「しばらく様子を見ます」

鳴上「怪我の悪化した方が死んだ時はどうする?」

595 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:03:25 wM.Sasc6 551/623


マミ「……埋葬します」

鳴上「それだと数日持たずに全員死ぬ事になる」

マミ「それでも、人として、人間として、立派な最後を……」

鳴上「それに付き合わされる怪我の軽い方は、さぞ迷惑だろうな?」

マミ「! そ、それは……!」

鳴上「マミは『拘束して』と言った」

鳴上「死に際までマミの理屈を強要する事が」

鳴上「マミの『正義』なのか?」

マミ「…………」

さやか「……じゃあ、どうすれば」

ほむら「助けを呼びに行けば、いいんじゃないのかしら?」

さやか「その手があった!」

596 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:04:10 wM.Sasc6 552/623


鳴上「どうやって?」

ほむら「……歩いて?」

鳴上「最初に言ったが、ステップ地帯のど真ん中で」

鳴上「周りは草だらけで街はおろか集落すら、目で見える範囲にない」

ほむら「…………」

鳴上「それに」

鳴上「怪我人はどうする?」

ほむら「!」

鳴上「怪我の悪化した方は元より、もう一人も歩く事が出来ても」

鳴上「確実に命を縮める事になる」

ほむら「…………」

597 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:05:01 wM.Sasc6 553/623


鳴上「言わなくてもわかってると思うが……」

鳴上「怪我人だけを残した場合、一人がもう一人を食う事になる」

ほむら「…………」

杏子「どうすりゃいいんだよ、悠」

杏子「結局、最初から無理ゲーじゃねーかよ」

マミ「正解は何ですか?」

さやか「教えてよ、悠」

ほむら「私も知りたい」

鳴上「…………」

鳴上「まどか」

まどか「……はい」

鳴上「まどかは、どう思う?」

まどか「…………」

598 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:05:36 wM.Sasc6 554/623


まどか「私は……」

まどか「三人が、三人とも、生き残れる方法を探します」

鳴上「その方法とは?」

まどか「……わかりません」

鳴上「…………」

まどか「でも、私は……三人とも生きられる方法を探し続けます!」

ほむら「まどか……」

マミ「…………」

さやか「…………」

杏子「…………」

鳴上「…………」

599 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:06:26 wM.Sasc6 555/623


鳴上「……そうか」

鳴上「…………」

鳴上「Qべえなら、どうすると思う?」

一同「?」

ほむら「……そもそも、こんな仮定に意味なんてないって」

ほむら「取り合わないと思うわ」

鳴上「そうだな」 クスッ

鳴上「じゃあ、俺の推測だけど……もし、Qべえがこの『君』だった場合」

鳴上「おそらく、怪我人を二人とも殺すだろう」

一同「…………」

鳴上「最初に殺すのは、元気な怪我人」

鳴上「もちろん悪化した怪我人に食わせる事なく、死ぬのを待ち……」

鳴上「食料が尽きても生きているのなら殺して食う」

600 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:07:25 wM.Sasc6 556/623


まどか「止めて!」

鳴上「…………」

鳴上「だが、『効率』だけを考えれば、最も救助される可能性が高くなる」

鳴上「そういう方法をQべえは取るだろう」

一同「…………」

杏子「……で? 結局、悠は何が言いたいんだよ?」

杏子「人を嫌な気持ちにさせたかったのか?」

鳴上「それは、明日までの宿題にしておく」

さやか「い!? し、宿題!?」

鳴上「みんなで、それぞれ考えてみてくれ」

鳴上「もちろん誰かに聞くもよし、ここに居るみんなで相談するのも構わない」

鳴上「『何か』の形で答えを出してみてくれ」

601 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:08:24 wM.Sasc6 557/623



―――――――――――


さやか「……う~ん」

さやか「よくわからないな~」

杏子「あたしもこういうの苦手だ……」

マミ「私は……きっと、悠さんに深い考えがあるんだと思うわ」

ほむら「だとしても、抽象的すぎる」

まどか「……Qべえを引き合いに出したのには、意味があるのかな?」

さやか「あるんじゃない? 実際、効率がどうとか言ってたし」

杏子「あたしは、改めてQべえが気持ち悪いって思ったけどな」

ほむら「……確かにそうね」

まどか「…………」

602 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:09:12 wM.Sasc6 558/623


まどか「ねえ、みんな」

ほむら「どうしたの? まどか」

まどか「Qべえが私達に……ううん、地球人にやっている事って」

まどか「悪い事なんだよね?」

杏子「あったりまえじゃん!」

マミ「魔法少女になるという事が、どういう意味かを詳しく教えないし」

さやか「魔法少女の成れの果てが『魔女』だって事も隠してた!」

ほむら「宇宙のためとか言われても納得できないわ」

まどか「…………」

まどか「じゃあ」

まどか「私達はどうなの?」

603 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:10:21 wM.Sasc6 559/623


ほむら「え……?」

まどか「私達は、ふだん牛や豚、鶏の肉を食べてるよね?」

まどか「当たり前の様に」

さやか「……けど、それとこれは違う話じゃない?」

まどか「どこが違うの? 家畜は私達より知性が劣って、美味しいというだけで」

まどか「私達に食べられてる」

まどか「Qべえのやってる事と何が違うの?」

さやか「…………」

マミ「……それだわ」

まどか「え?」

マミ「たぶん、悠さんは……私達とQべえとの『違い』を見つけて欲しかったんじゃないかしら?」

一同「!!」

604 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:11:38 wM.Sasc6 560/623


杏子「……だとしても、難しい問題だな」

さやか「最初の『君』の問題と同じくね」

マミ「みんな、悠さんは、はっきりとした『答え』を求めたわけじゃないわ」

マミ「『何か』の形で、と言ってた」

ほむら「まるで禅問答ね……」 フウ…

まどか「…………」

まどか「私達とQべえ達との、違い……」

まどか「それは……?」


―――――――――――



605 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:12:35 wM.Sasc6 561/623


 ――翌日の夕方――

 ――巴マミの部屋――



鳴上「お邪魔します」

鳴上「それから、ゲストを連れてきた」

??「ええと……改めまして、魔法少女の皆さん」

??「白鐘 直斗です。 直斗、で構いません」

鳴上「今回の願い事の件で、ブレーンになってもらってる」

魔法少女ズ「よろしく」

鳴上「それで……昨日の話なんだが……」

鳴上「答えは出ただろうか?」

魔法少女ズ「…………」

まどか「あの、鳴上さん」

鳴上「うん?」

606 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:13:18 wM.Sasc6 562/623


まどか「昨日の……飛行機の事なんですが」

まどか「もう少し聞いてもいいですか?」

鳴上「構わない」

まどか「じゃあ……まず、飛行機の状態を教えてください」

鳴上「……飛行機の状態、とは?」

まどか「そうですね……」

まどか「どんな風に『壊れて』いるのか……特に、『火災』があったのかどうか」

まどか「それから、乗客が何人乗っていたのかも、知りたいです」

鳴上「……!」

まどか「…………」

607 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:14:10 wM.Sasc6 563/623


鳴上「……火災は起きていない」

鳴上「不時着の際、翼がモゲたりしたが、胴体部はダメージが少ない」

鳴上「次に乗客だが、100人乗れる飛行機で、座席は半分ほど埋まっていた」

杏子「!」

さやか「いけそうだね!」

マミ「鹿目さんの言う通りでしたね」 クスッ

ほむら「さ、まどか」

まどか「うん、ほむらちゃん」

鳴上「…………」

まどか「鳴上さん、私が『君』の立場なら」

まどか「亡くなった乗客の荷物を調べます!」

まどか「乗客の荷物から、日持ちのしそうな食料品がないかを!」

鳴上「……なるほど」

608 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:15:03 wM.Sasc6 564/623


鳴上「よくそれに気がついたな」 ニコ

まどか「!!」

杏子「うし! 正解みてーだな!」

さやか「すごいよ、まどか!」

鳴上「だが」

マミ「え?」

ほむら「……だが?」

鳴上「それだと、やはり一時凌ぎにしかならないし、それに……想像すると恐ろしいが」

鳴上「亡くなった乗客は『腐っている』だろう……」

鳴上「そんな中を這いずり回らなければならない」

魔法少女ズ「…………」

609 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:15:45 wM.Sasc6 565/623


鳴上「でも、着眼点は正しい」

鳴上「人を食うか、食わないかの前に、何ができるか?」

鳴上「何をすべきか?」

鳴上「よく考えたな、みんな」

杏子「……う~ん。 それでもまだまだって感じだな。 あたし達……」

さやか「ちなみに、悠は、どんな答えを出したの?」

鳴上「俺はまず、『君』はどうして『助かった』のか?に疑問を感じて質問した」

鳴上「その過程で、飛行機の胴体がほぼ無事なのを確認して」

鳴上「まどかと同じように乗客の荷物を調べる事にしたんだ」

まどか「ふわぁ……さすがだなぁ」

鳴上「ただし、俺が探したのは『携帯電話』だ」

魔法少女ズ「!!!」

610 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:16:45 wM.Sasc6 566/623


ほむら「……なるほど。 確実、かつ、怪我人達に救助が来る、という」

ほむら「『希望』を持たせたかったのね」

鳴上「その通りだ、ほむら」

鳴上「……まあ、いずれにしてもバッテリーが切れてて使い物にならない」

鳴上「というオチがついたがな」

杏子「なんだよそれ!」

鳴上「まあ怒るな、杏子」

鳴上「昨日、杏子が言った通り『無理ゲー』なんだ。 これは」

鳴上「他にもサバイバル技術で水を作ったり、何とかしようとしたんだが」

鳴上「どの道を選んでも、どこかにしこりが残る結果になる」

魔法少女ズ「…………」

611 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:18:00 wM.Sasc6 567/623


マミ「それじゃあ、悠さん」

マミ「私……考えてみたんです」

マミ「どうして悠さんは、こんな話をしたのか?と……」

鳴上「…………」

マミ「悠さんは、私達『人間』とQべえ達との違いを」

マミ「見つけて欲しかったんじゃないか……と思ったんです」

マミ「合っているでしょうか?」

鳴上「…………」

鳴上「この話で俺が言いたかった事は……」

さやか「事は?」

鳴上「この世界は、『残酷』なんだ、という事だ」

魔法少女ズ「!?」

612 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:19:03 wM.Sasc6 568/623


鳴上「……酷な言い方だが、ほむら」

ほむら「…………」

鳴上「今回、まどかを含めた、魔法少女全員とここに居る事が出来たが」

鳴上「『明日』はわからない」

ほむら「……!」

鳴上「特に魔女退治をやっている限り、危険性は格段に増大する」

鳴上「次の魔女退治で……誰かがここに居なくなるかもしれない」

ほむら「…………っ」

鳴上「……まどか」

まどか「!? は、はい!」

613 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:20:18 wM.Sasc6 569/623


鳴上「まどかに頼まれて俺が考えた願い事は」

鳴上「まどかの望み、すべてを叶えているわけじゃない」

鳴上「……どうしてそうしたか、わかるか?」

まどか「……!?」

まどか「…………」

まどか「……!」

まどか「それは……」

まどか「この世界が『残酷』だから……ですか?」

鳴上「そうだ」

鳴上「先の話に戻るが……」

鳴上「この世界は、誰もが『君』の立場でいられるわけじゃない」

魔法少女ズ「……!!」

614 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:21:08 wM.Sasc6 570/623


鳴上「もしかしたらこの先、軽い怪我人の立場になるかもしれないし」

鳴上「症状の悪化した怪我人かもしれないし、そもそも墜落の際に死ぬ乗客の一人かもしれない」

鳴上「さらに言えば、人は、生まれた瞬間」

鳴上「不平等の確定した、『残酷』な世界に生きる事を強いられてもいる、と言える」

魔法少女ズ「…………」

鳴上「…………」

杏子「……上手く、言葉に出来ないけど」

杏子「あたし、悠の言いたい事……なんとなくわかる」

さやか「……あたしも」

マミ「私もです……」

615 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:22:24 wM.Sasc6 571/623


ほむら「でも……待って、悠」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「この世界は……確かに『残酷』だわ」

ほむら「それに『理不尽』と『非情』を付けてもいい」

鳴上「…………」

ほむら「けど……」

ほむら「多くの時間を繰り返して来た私にはわかる」

ほむら「どうしようもないと思ってた世界も、みんなも」

ほむら「今、ここに居る事が嬉しい、と思うのは……思えるのは」

ほむら「この世界は『残酷』なだけじゃないって、やっと理解できたから……!」

まどか「ほむらちゃん……!」

鳴上「…………」

鳴上「そうか……」

616 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:23:38 wM.Sasc6 572/623


鳴上「みんな、話が長くなってしまったが」

鳴上「別に俺の考えに従って欲しいわけじゃない」

鳴上「それぞれが、それぞれで、『何か』を感じてくれたなら、それでいい」

鳴上「そして、疑問に思ったら遠慮なく聞いてくれ」

杏子(……たぶん無いと思うけどな)

さやか(正直……重い話だったし)

マミ(これで暁美さんは、納得してくれたのかしら?)

ほむら「…………」

ほむら「じゃあ……そろそろ、悠の考えた願い事を話してもらえるかしら?」

まどか「お願いします、鳴上さん」

鳴上「わかった」

617 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:24:53 wM.Sasc6 573/623



―――――――――――


鳴上「――というのが、俺の考えだ」

魔法少女ズ「…………」

直斗「Qべえが、どういう対処をするのか未知数です……」

直斗「ぜひ、Qべえに詳しい、ほむらさんの意見を聞かせてください」

ほむら「……ごめんなさい、見当もつかないわ」

ほむら「それに……その……なんて言うか」

ほむら「こんな国際条約みたいな願い事を聞いてくれるのか、どうか……」

直斗「やはりそうですか……」

鳴上「ぶっつけ本番で試すしかないか……」

杏子「……なんつーか」

さやか「ケムにまかれた気分にさせられるね……」

618 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:25:56 wM.Sasc6 574/623


まどか「…………」

鳴上「……どうだろう? まどか」

鳴上「よくわからないのなら、どうしてこうなったのか説明する」

まどか「……そうですね、お願いします」

まどか「でも、その前に、ひとつ聞いてもいいですか?」

鳴上「構わない」

まどか「えと……鳴上さんは、私達とQべえは」

まどか「どこが違うと思いますか?」

鳴上「違い?」

まどか「ええと……私達人間は、家畜の肉を食べていますけど」

まどか「Qべえのやっている事の違いってありますか?」

619 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:26:55 wM.Sasc6 575/623


鳴上「……そうだな」

鳴上「やっている行為『そのもの』に違いは無いかな」

まどか「…………」

鳴上「だが、Qべえには『いただきます』がない」

まどか「……は?」

鳴上「これは日本人に限るかもしれないが……」

鳴上「感情を無くしたQべえ達に『感謝の気持ち』は無いだろうし」

鳴上「それに『いただきます』自体を無駄な行為だと言うだろう」

まどか「…………」

まどか「でも……もし、牛や豚に人間並みの知能があって」

まどか「自分達を食べないで、と言われたら……私達人間は食べるのを止めますか?」

鳴上「それだ、まどか」

まどか「え?」

620 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:27:38 wM.Sasc6 576/623


鳴上「Qべえは、今、まどかの言った様な事『事体』を考えない」

まどか「!!」

鳴上「それこそが、Qべえと、俺達人間の、大きな『違い』だ」

鳴上「まどか」 ニコ

まどか「…………」

まどか「そうですね」

まどか「鳴上さん」 ニコ

621 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:29:16 wM.Sasc6 577/623


 ――翌日の夜――

 ――巴マミの部屋――



     トトン…

Qべえ「やあ、鳴上 悠。 それに鹿目まどか」

Qべえ「ん? それに他のみんなも居るね?」

杏子「あたし達は、ただのギャラリーさ」

さやか「別に邪魔はしないよ、Qべえ」

マミ「鹿目さんは、自分の意志で願い事をすると決めたし……」

ほむら「見届けるだけなら構わないでしょ?」

Qべえ(……なんだい? この落ち着きようは?)

Qべえ「まあ、邪魔をしないのなら、僕は別に構わないけどね」

Qべえ「……じゃあ、始めてもいいのかな?」

まどか「うん、Qべえ」

鳴上「…………」

622 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:30:06 wM.Sasc6 578/623


Qべえ「じゃあ始めるよ」

Qべえ「鹿目まどか」

Qべえ「君は願い事があるそうだが、その願いは君の魂を差し出す価値のあるものかい?」

まどか「うん」

Qべえ「ならば言ってごらん、まどか」

Qべえ「その魂を対価にしてでも叶えたい願い事を」

Qべえ「そして――」

Qべえ「契約して魔法少女に」

まどか「うん」

Qべえ「どんな願い事かな?」

まどか「私の願い事は――」

623 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:31:18 wM.Sasc6 579/623


まどか「まず、願い事にあたり、条件として次の文言を含むものとする」

Qべえ「……え?」

まどか「1、この願いに際し」

まどか「対象者は、今現在、宇宙に居る全ての魔法少女と」

まどか「私を含めた、これからなる全ての魔法少女とする」

Qべえ「……」

まどか「2、また、これからなる魔法少女には、願い事の内容を魔法少女になった瞬間に」

まどか「完全なる告知がなされる事を常とする」

Qべえ「……」

624 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:32:23 wM.Sasc6 580/623


まどか「…………」 スーハースーハー

まどか「私の願いは」

まどか「魔法少女は、いつでも自分の好きな時に自分の意志で」

まどか「どんなに濁りきったソウルジェムであろうとも」

まどか「その魔法少女自身の魔法少女になる『資質』を対価に」

まどか「精神的、肉体的、後遺症の無い状態で」

まどか「元の生命体に戻れる様になる事を願う!」

鳴上(……よし、とりあえず言い切った)

Qべえ「……」

Qべえ「え!?」

Qべえ「ちょ、ちょっと待って!」

Qべえ「それじゃあ僕達は、願い事の叶え損――」

625 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:33:35 wM.Sasc6 581/623



     ヒィイイイン……!


まどか「ひぐっ!?」

まどか「ぐっ……くっ……」

まどか「……ああっ!!」

杏子「ソウルジェムだ!」

さやか「……叶った……のね」

マミ「……信じられない」

ほむら「……これで、みんな望んた時に」

マミ・さや・杏子・ほむ「人間に戻れる……!」

Qべえ「」

Qべえ「……」

626 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:34:38 wM.Sasc6 582/623


Qべえ「……おめでとう、まどか」

Qべえ「君の願いは、エントロピーを凌駕した」

Qべえ「……はあ」

ほむら「まどか!」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「ありがとう、まどか!」

杏子「悠、ありがとう!」

マミ「これで私達、救われます!」

鳴上「……だといいんだが」

杏子「……相変わらず水を差すなよ、悠」

627 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:35:32 wM.Sasc6 583/623


Qべえ「…………」

Qべえ「やれやれ、してやられたよ、鳴上 悠」

鳴上「……こういう時、お前に感情があれば」

鳴上「心の内が探れるんだがな」

Qべえ「……」

鳴上「まあそれも含めて」

鳴上「俺と二人で話をしないか?」

鳴上「聞きたい事がある。 インキュベーター」

Qべえ「…………」

Qべえ「それもいいかもね」

628 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:36:19 wM.Sasc6 584/623


 ――鳴上の部屋――



Qべえ「それで? 僕に話って何かな?」

鳴上「…………」

鳴上「……そうだな」

鳴上「まず、先に礼を言っておく」

Qべえ「何の事だい?」

鳴上「3日の約束を守ってくれた事だ」

Qべえ「ああ……そんな事は、別に気にしなくてもいい」

Qべえ「当然の事を したまでだ」

629 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:37:04 wM.Sasc6 585/623


鳴上「それじゃあ本題に入るが……幾つか、聞きたい事がある」

Qべえ「奇遇だね。 僕もだよ」

鳴上「……Qべえが俺に?」

Qべえ「そうさ。 良かったら、先に聞いてもいいかい?」

鳴上「……構わない」

Qべえ「じゃあ、単刀直入に聞くよ?」

Qべえ「君は何故、鹿目まどかに、真実を教えなかったんだい?」

Qべえ「あの願いは、おそらく君の入れ知恵なんだろ?」

Qべえ「あそこまで踏み込んだ内容を言えるのなら……」

Qべえ「もっと有利な条件を言えたはずだ」

630 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:37:58 wM.Sasc6 586/623


鳴上「…………」

鳴上「一番の理由は……」

鳴上「質量保存の法則に基づく、まどかへの被害を防ぐためだ」

Qべえ「……!」

鳴上「あの願いの文言で言うのなら……」

鳴上「例えば、【精神的、肉体的、後遺症の無い様に】という部分」

鳴上「本当は【契約前の元の姿に】だった」

Qべえ「…………」

鳴上「だが、それでは、記憶や資質も戻ってしまうと、俺は考えた」

鳴上「つまり、またQべえ達に魔法少女にされてしまう可能性を……な」

鳴上「そして、それは無限ループの因果が願いを叶えた、まどかに集約させる事になり」

鳴上「まどか一人にとてつもない量の負のエネルギーを背負わせてしまう……」

Qべえ「…………」

631 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:38:38 wM.Sasc6 587/623


鳴上「……違うか?」

Qべえ「続けて」

鳴上「…………」

鳴上「だから、俺は、あの文言にした」

鳴上「ああすれば、その行為に対する代償は、望んだ個人に行くのではないか?」

鳴上「と、推測した」

Qべえ「…………」

Qべえ「どうしてそう思った? そして、その代償とは?」

632 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:39:35 wM.Sasc6 588/623


鳴上「ソウルジェムだ」

Qべえ「……!」

鳴上「ソウルジェムは、魔法少女ごとに色が違う」

鳴上「それはつまり個性がある、という事」

鳴上「魔法少女になる為に何らかの、一定の異なる資質がいる、という事」

鳴上「でなければ、皆、同じ色になるか、虹色にならないとおかしい」

Qべえ「…………」

鳴上「……そして、人間に……元の生命体に、後遺症なく戻る【対価】として」

鳴上「その【資質】を失うのならば……」

鳴上「【どれほど濁りきったソウルジェムであろうとも】という条件をクリアできる」

鳴上「そう、考えたんだ……」

Qべえ「…………」

633 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:40:29 wM.Sasc6 589/623


Qべえ「……驚いたよ、鳴上 悠」

Qべえ「数少ない情報を元に、よくそこまでの考察が出来たね」

鳴上「…………」

Qべえ「正解だ。 鹿目まどかの願いによって、元の生命体に戻った魔法少女達は」

Qべえ「もう二度と、魔法少女になれないだろう……」

Qべえ「おかげでボク達は仕事が、やりにくくなった」

Qべえ「おまけに、この願いは、魔法少女に『きっかけ』を与えるだけなので」

Qべえ「鹿目まどかに因果は絡まない」

Qべえ「彼女が魔女化しても僕達が予測したほどのエネルギーは」

Qべえ「たぶん得る事は出来ないだろうね……」

鳴上「…………」

634 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:41:30 wM.Sasc6 590/623


Qべえ「だけど……この内容では、魔法少女の魔女化は完全に防げない」

Qべえ「まどかは【宇宙に居る全ての魔法少女と自分を含めた、これからなる全ての魔法少女】を」

Qべえ「対象にしたけど」

Qべえ「もうすでになっている魔法少女は【元の生命体に戻れる事】を知る機会は少ない」

Qべえ「それに死に際を間違う者だって居るだろう」

Qべえ「しかも、魔法少女は地球だけに居るワケじゃないしね」

Qべえ「まどかなら、すべての魔法少女を救おうとするだろうに……」

鳴上「…………」

鳴上「Qべえ」

Qべえ「何だい?」

635 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:42:20 wM.Sasc6 591/623


鳴上「お前は、最初に俺にたずねたな?」

鳴上「『何故、鹿目まどかに真実を話さなかった?』と……」

Qべえ「うん」

鳴上「俺は、今、話した内容を」

鳴上「偽り無く、すべて話している」

Qべえ「!?」

鳴上「その上で、あの願いを彼女は願ったんだ」

Qべえ「…………」

Qべえ「どうやって、彼女を説得したんだい?」

Qべえ「しかも、たったの3日で?」

鳴上「…………」

636 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:43:11 wM.Sasc6 592/623


鳴上「世界の……いや、お前風に言えば宇宙の法則を」

鳴上「俺のやり方で伝えた……」

鳴上「それだけだ」

Qべえ「…………」

鳴上「詳しく話してもいいが、感情の無いお前達には」

鳴上「きっと理解出来ないだろう」

Qべえ「……だろうね」

Qべえ「念の為に聞くけど まどかは、最初」

Qべえ「どんな内容の願いを叶えようとしたんだい?」

鳴上「…………」

637 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:43:59 wM.Sasc6 593/623


鳴上「過去、現在、未来、全宇宙に存在する魔女を」

鳴上「生まれる前に自分の手で消し去りたい……だ」



Qべえ「!!?」

Qべえ「な、なんて願いだ!」

Qべえ「そんな願い、時間干渉なんてレベルじゃない!」

Qべえ「宇宙『そのもの』に対する反逆だ!」

鳴上「俺も驚いた」

鳴上「まあ…叶うかどうかは、難しいと思うけどな」

Qべえ「当たり前だよ! そんな願いが叶ったら」

Qべえ「まさに神の所業だ!」

638 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:45:11 wM.Sasc6 594/623


Qべえ「…………」

Qべえ「君には、本当に驚かされる」

Qべえ「君が、まどかに提案した願いは、彼女の妥協があったとはいえ」

Qべえ「ほぼ、まどかの希望を叶えている」

Qべえ「それも宇宙のルールを変えないで、だ」

Qべえ「見事、と言わせてもらうよ」

鳴上「そう言ってもらっても嬉しくはないが、まどかと他の少女達の為だ」

鳴上「ルールの『書き換え』と『書き足し』は、似ている様で大きく違う」

鳴上「俺は少し、それを知っていた。 それだけにすぎない」

鳴上「そして、これからの魔法少女達は、ルールを知らない多くの魔法少女達に会いに行き」

鳴上「人間に……元の生命体に戻れる事を伝え続けるだろう」

Qべえ「……君は、そこまで考えていたのか。 恐るべき慧眼(けいがん)だよ」

639 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:46:35 wM.Sasc6 595/623


Qべえ「……それで? 君が僕に聞きたい事って何だい?」

鳴上「そうだな……まず」

鳴上「インキュベーターは、感情を『無くした』のか? 『無くなった』のか?」

Qべえ「それはわからない。 長い年月の内に消えてしまったと言われている」

鳴上「…………」

鳴上「では、もう一つ」

鳴上「インキュベーターには、『上位種』の生命体が存在しているか?」

Qべえ「…………」

Qべえ「どうして、そんな事を聞くんだい?」

鳴上「その前に、質問に答ええくれ」

Qべえ「……イエスだ」

640 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:47:19 wM.Sasc6 596/623


鳴上「…………」

鳴上「……そうか」

Qべえ「それが、どうかしたのかい?」

鳴上「…………」

鳴上「……以前、お前は宇宙のエネルギーが、不足しつつあって」

鳴上「エントロピーを超える、感情エネルギーを集め」

鳴上「それで宇宙の補完をしている、と言っていたな?」

Qべえ「ああ」

鳴上「そしてそれは俺達、後から来る知的生命体の為だ、とも言っていたな?」

Qべえ「そうだとも」

641 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:48:09 wM.Sasc6 597/623


鳴上「それだと 矛盾が生じるんだ」

Qべえ「…?」

鳴上「インキュベーターに感情が無いのなら、何故、俺達の事を気遣う?」

鳴上「何故、先の未来を案じ、俺達、下等生物の」

鳴上「『同情』をする?」

鳴上「人間の個人個人が、どうなろうが知った事では無い、お前達が」

鳴上「何故、人間という『種』に関して『だけ』同情的なのか?」

Qべえ「…………」

鳴上「だから、俺は想像した」

鳴上「インキュベーターは、ただの使いパシリで」

鳴上「命令を出す『何か』の存在を……」

Qべえ「…………」

642 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:49:02 wM.Sasc6 598/623


Qべえ「……で? 君の想像は、どんなものだい?」

鳴上「命令を下す存在は、感情があって、かつ、エネルギーを欲している」

鳴上「表向きは『宇宙の存続』という崇高な目的の為に、だ」

鳴上「だが……俺の推測は、こうだ」

Qべえ「…………」

鳴上「宇宙に関する話はデタラメで、単純に家畜的な要素で」

鳴上「俺達を見ている……と」

Qべえ「…………」

643 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:49:56 wM.Sasc6 599/623


鳴上「そう考えると、合理的な説明が 出来る」

鳴上「人間という『種』に絶滅されては、エネルギーが手に入らない」

鳴上「それはインキュベーターと『上位種』にとって都合が悪い」

鳴上「何故か?」

鳴上「単純に 『上位種』と、お前達の文明を支えるエネルギーが、欲しいからだ」

Qべえ「…………」

鳴上「感情のある俺達にだって、『畜産資源』という言葉がある」

鳴上「感情を無くした存在のお前達が」

鳴上「枯れ果てた宇宙に残される種の存在を憂うハズがない」

鳴上「それが……俺の推論だ」

Qべえ「…………」

644 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:51:13 wM.Sasc6 600/623


Qべえ「……なかなか面白い推論だね」

Qべえ「でも」

Qべえ「それが正しいとして」

Qべえ「自分が消される可能性を考えなかったのかい?」

鳴上「…………」

鳴上「確信に近い推測で」

鳴上「それは無い、と思っている」

Qべえ「ほう?」

鳴上「……俺のやっている事は、所詮」

鳴上「家畜が、超える事の出来無い柵の中から」

鳴上「『こうやって俺達を食っているのだろう?』と言っているだけだからな」

Qべえ「さすがだね」

645 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:51:58 wM.Sasc6 601/623


Qべえ「それじゃ、そろそろ僕は おいとまさせてもらうよ」 タッ…

鳴上「待て」

Qべえ「やれやれ……まだ何か聞きたいのかい?」

鳴上「もう一つ、くだらない推測をした」

Qべえ「ふうん?」

鳴上「最初に話した、『質量保存の法則』」

鳴上「感情エネルギー『だけ』、例外なのは変じゃないだろうか?」

Qべえ「…………」

646 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:52:42 wM.Sasc6 602/623


鳴上「仮に、このまま俺達から感情エネルギーを吸い続けたとして」

鳴上「いつか……俺達、人間という『種』から」

鳴上「感情エネルギーが、無くなるんじゃないのか?」

Qべえ「…………」

鳴上「そして」

鳴上「お前達、インキュベーターは」

鳴上「『上位種』に感情エネルギーを吸われ続けた」

鳴上「成れの果て、じゃないのか?」

Qべえ「!!?」

Qべえ「な………」

647 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:53:35 wM.Sasc6 603/623


鳴上「どうした? Qべえ」

Qべえ「……バカバカしい」

Qべえ「本当にくだらない推測だね」

鳴上「だからこそ、俺は聞いたんだ」

鳴上「お前達は感情を『無くした』のか 『無くなった』のか」

Qべえ「…!!」

鳴上「どうやらお前達は」

鳴上「『上位種』の与えられた情報を鵜呑みにしていた様だな」

Qべえ「…………っ」

鳴上「…………」

648 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:54:23 wM.Sasc6 604/623


鳴上「引き止めて悪かったな」

鳴上「これで終わりだ」

Qべえ「…………」

Qべえ「そうかい」

Qべえ「鳴上 悠……」

Qべえ「なかなか興味深い話だったよ」

Qべえ「…………」

Qべえ「でも、出来るなら」

Qべえ「もう君とは会いたくないね」

鳴上「そうか……」

鳴上「褒め言葉として 受け取っておこう」

649 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:56:01 wM.Sasc6 605/623

BGM
http://www.youtube.com/watch?v=3e8G7vious0&feature=related

650 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:57:10 wM.Sasc6 606/623




その日、まどかは魔法少女になった。

俺の考えた、魔法少女の『希望』となるかもしれない願いを叶えて。




651 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:58:14 wM.Sasc6 607/623




その日以降も俺は、彼女達と魔女退治に協力している。

だが、まどかの力は凄まじく、大抵の魔女は一撃でカタが着くほどだ。

Qべえの言うとおり、おそらく歴代最強の魔法少女だろう。



しかし、それは俺とまどかだけの秘密だった。

普段は力をセーブして戦い、いざという時に力を発揮する、という演出をしている。

……まあ、みんな薄々気がついているけど、それをまどかに内緒にしていたりする。

何故か、みんな俺と秘密を共有したいようだ……。




652 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 22:59:34 wM.Sasc6 608/623




俺の方は、約束していた陽介達との食事会を楽しんだりした。

もちろん、魔法少女の話をした。 皆、一様に驚いていた。

だけどみんな(特にクマは)協力を申し出てくれた。

きっと、魔法少女達も喜んでくれるだろう。



その後で、魔法少女達とも一緒に陽介達と食事会を開いた。

規模的に相当賑やかになったが、みんな楽しんでくれたようだ。

特に女子は、相当意気投合したみたいで何だかわからないが、『協定』を結んだそうだ。

……どうも俺絡みらしいが、詳しくは知らない。




653 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:00:50 wM.Sasc6 609/623




そういえば、まどかのソウルジェムは最初からP状態だった。

まどかにとって、今回の一件そのものがそうさせたのだと思うが……詳しくはわからない。

P状態も含めて。



イゴールには、もう連絡がつかなくなった。

聞きたい事はたくさんあったのだが……話せないのでは、どうしようもない……。

この7万8200円(税込)の神剣グラムをどうするのか、真剣に悩んでいる。



最近は……Qべえ達が次に何をするか、よく考えてしまう。

俺がQべえの立場なら……何をするだろうか?




654 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:02:05 wM.Sasc6 610/623




まず、魔法少女になった者に、『魔法少女』の素晴らしさを伝える。

そして人間(元の生命体)に戻れるが、二度と魔法少女に戻れないとデメリットを強調するだろう。

もちろん聞かれない限り『魔女化』の話はしない。



実際、魔女化の話をなり立ての魔法少女に教えるのは困難だ。

ほむらがそれを一番理解しているだろう……今後の課題は、その辺りになりそうだな。




655 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:03:00 wM.Sasc6 611/623




それからもう一つ……考え過ぎかもしれないが、魔法『少年』の可能性。

Qべえ達が、感情エネルギーを取るために『少女』を選んだのは、より『効率的』だからだろう。

だが、魔法少女は魔女化の可能性がかなり低くなり、感情エネルギーの回収は困難になった。



それを考えれば、今後は魔法少年にシフトするかもしれない。

魔法少年に関しては、何の障害もないのだから。

……余計な事だが、魔法少年の魔女化に当たる呼称は何になるかな?

魔男……じゃ間抜けだし、魔獣とか魔法使い?になるのだろうか……。



ともかく、今は様子を見るしかなかった……。




656 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:04:59 wM.Sasc6 612/623


 ――数日後の夜――

 ――見滝原市・某所――



里中「これが魔女との戦いかぁ……」

天城「本当にマヨナカテレビに迷い込んだみたいだったね、千枝」

里中「まあ、あたしらは『ワルプルギスの夜』っていう、とんでもないのが初戦だったけどね」

鳴上「すまないな、二人とも」

鳴上「せっかく休日に訪ねてきてくれたのに……」

里中「いいっていいって! 気にしないの、悠くん!」 ///

天城「そうだよ、悠くん」 ///

天城「役に立てたのなら、嬉しいから、私達」 ///

鳴上「いずれ埋め合わせするから」 ニコ

里中・天城「~~~~!!」 ///

657 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:06:15 wM.Sasc6 613/623


さやか「……ちょっと悠」

ほむら「私達の存在も忘れないでくれる?」

まどか「ほ、ほむらちゃん」

マミ「まあまあ……私達は後でゆっくり話せますし」 ニコ

里中・天城(可愛くない皮肉の言い方……) グヌヌ

杏子「それにしてもさやか」

杏子「今日見せた必殺技、かっこよかったな」

さやか「ああ、『さやかストラッシュ』の事?」

杏子「そう、それ。 剣を逆手に持つやつ」

658 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:07:02 wM.Sasc6 614/623


さやか「大地を斬り、海を斬り、空を斬る……そして!」

さやか「すべてを斬るのが、『さやかストラッシュ』!!」

杏子「そうそう! その前口上が最高にかっこいい!」 ///

さやか「ニシシ……!」 ///

マミ(中二病全開ね……実際中二だけど)

まどか(いいなぁ……さやかちゃん)

ほむら(……私はついていけない)

天城「?」

里中・鳴上(さやか……何の漫画読んだか、丸解り……)

659 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:08:12 wM.Sasc6 615/623


里中「そういえばさ、杏子は、みんなと同じ中学に通う事になったんだって?」

杏子「え!? あ、ああ……」 ///

杏子「まだちょっと……色々ついていけない所もあるけど」 ///

天城「ふふっ、気にする事ないよ、杏子ちゃん」

天城「八十稲羽に転校してきた頃の悠くんも、ちょっと戸惑ってた所あったし」

杏子「へえ? そうなの? 悠?」

鳴上「…………」

鳴上「その頃の俺は」

鳴上「心貧しく、ちぐはぐな伝達力で、世間知らずな上に」

鳴上「意気地無しの腑抜けだったからな……」

里中「ゆ、雪子は、そこまで言ってないじゃん!!」

魔法少女ズ(……何があったの? 八十稲羽で……)

660 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:09:17 wM.Sasc6 616/623


詢子「……あら? 鳴上くん? まどか?」

鳴上「あ……まどかのお母さん」

まどか「ママ!」

詢子「偶然ね~。 っていうか……」

詢子「こんなにたくさんの女の子に囲まれて、すごいわね……」

まどか「ま、ママ……みんな、今帰るところだから」 ///

詢子「ん~? ママは別にゆっくりでも構わないわよ~?」 ニヤニヤ

詢子「もういっその事、鳴上くんに『大人』にしてもらったら~?」 ニヤニヤ

まどか「ん?」

661 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:09:59 wM.Sasc6 617/623




まどか「それなら、(精神的な意味で)もう『大人』にしてもらったよ、ママ!」 ///ニコ!



鳴上「」

里中「」

天城「」

さやか「」

杏子「」

マミ「」

ほむら「…………」

詢子「…………」

662 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:11:06 wM.Sasc6 618/623


詢子「えと……」

詢子「責任は取ってもらえるのかしら? 鳴上くん?」

鳴上「べ、弁解を! 弁解をさせてくd」

里中「……悠くん?」 ゴゴゴ……

天城「悠くん」 ゴゴゴ……

さやか「悠……」 ゴゴゴ……

杏子「まあ……その……悠?」 ゴゴゴ……

マミ「悠さん……」 ゴゴゴ……


鳴上「」


まどか「え? え!?」

まどか「ど、どうしたの!? みんな!?」

ほむら「……まあいいから」

663 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:11:55 wM.Sasc6 619/623


まどか「私のせい……なのかな?」

ほむら「きっかけはね」

ほむら「でも……時には、これくらいの目に会うべきだと思う」

ほむら「悠は」

まどか「…………」

詢子「私もそう思うなー」

詢子「大事な愛娘をキズモノにされたくないし~」

まどか「えっと……どうしたらいいのかな……?」 オロオロ

ほむら「とりあえず、見ておけばいいと思う」

まどか「えー……?」

664 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:13:53 wM.Sasc6 620/623




その後、悠さんがどうなったのか……数日後には、普通にみんな話してたけど……

さやかちゃんは、何か約束をしたって言ってた。

他のみんなもそうらしい。 いったい何の約束だろう?



それからも私達は魔女退治を続けていた。

……いずれ、悠さんの言う通り、この中の誰かが、突然居なくなるのかもしれない。

それは……きっと、とっても悲しい事だろう……それこそ自分の身を引き裂かれるくらいに。

でも

それが『悲しい』と思えるのは、『楽しい』時間を一緒に過ごしたからだと思う。

だから私は……人は……悲しくない方法を取りたがるのだと思う。




665 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:15:20 wM.Sasc6 621/623




Qべえは、そんな人の心を利用している。

だから……私は……Qべえが許せないって感じるんだ。



それを悠さんは教えてくれた。

ううん……これで合っているのかわからないし、悠さんにたずねても……

きっと、「そうか」と言って、笑うだけなんじゃないかな?と思う。 ふふっ。




666 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:16:34 wM.Sasc6 622/623




私は、みんなといろんな話をした。 みんな真剣に聞いてくれた。

時々、ケンカしたりもするけど……私は、みんな大好き。



だから、自信を持って、こう、言える。




667 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/26 23:17:12 wM.Sasc6 623/623








     ――もう何があっても、くじけない――






     おしまい

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