1 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/09 15:52:41.35 ePdsSAuAO 1/83

【俺、会社に辞意を表明する】

「すいません、課長」

課長「……ん?何?」

「突然で申し訳無いんですが……来月一杯で辞めさせて頂きたいんですが」

課長「……………」

課長「……もう少ししたら締め日なんだけどさ」

「……はい?」

課長「別に来月一杯いなくても、今月の締め日までで構わないよ。お疲れさん」

「(……と、まあ、これが俺が仕事を辞めた時の経緯だ)」

「(特別会社に必要とされているとは思ってなかったが、ここまで
あっさりとさよならされると、何だか複雑ではある)」

「(……まあ、俺より後に入った社長の息子があっさり主任に
昇進した時点で、全てお察しなんだが)」

「(ともかく、俺は会社と言う軛から解放されたのだ)」

「(取り敢えず、先の事を今から考えていても仕方が無い)」

「(少しなら蓄えもある。暫しのんびりしながら……考えるのは
それからでもいいか)」

「(俺は自転車を漕いでいた)」

「(漸く夏の残滓も影を潜め始め、涼しげな風が頬を撫でる……)」

「うわっ!」

きききぃぃっ!

元スレ
言うほど新しくもないジャンル『狸娘』
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1355035961/

2 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/09 15:53:25.07 ePdsSAuAO 2/83

……………………。

「ふぅぅぅぅ……何だよ……犬か?」

ひょこひょこ

「……きゅうん」

ひょこひょこ……ぱたん

「おいおい」

がちゃん

「犬にしちゃあえらくしっぽが……えっ?」

「きゅう」

「た……タヌキ?こんな所にか?」

タヌキ「きゅうん」

「……お前……怪我してんじゃないか」

タヌキ「……きゅうん」

「ちょっと見せてみろ……こりゃひでぇ……血が出てんじゃん」

タヌキ「きゅんっ!」

「っと、悪い悪い。痛かったか?」

通りすがりのオッサン「おーい、あんちゃん」

「……はい?」

通りすがりのオッサン「ほっとけほっとけ。最近は街にも野良タヌキが
下りてくる様になってな。ノコノコ歩いてくっから、車にでも跳ねられ
たんだろうよ」

タヌキ「……きゅうん」

通りすがりのオッサン「ほっときな。大体野良タヌキなんてどんな
病気持ってっか分かんねえからな」

きこきこ……

タヌキ「……きゅうん」

「ほっとけっつったってなぁ……あ、そうだ」

がさごそ

「あった、ハンカチだ。ちょっと足貸してみ」

3 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/09 15:54:08.20 ePdsSAuAO 3/83

タヌキ「きゅ、きゅうん」

「痛いだろうけどちょっと我慢しろよ……っと、出来た。こうやって
ハンカチでも巻いとけばちっとはマシだろう」

タヌキ「きゅうん」

よろよろ……

「……おい……大丈夫か?」

タヌキ「……きゅうん」

「………………行っちゃったか……」

16 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 01:08:57.27 93mCQUFAO 4/83

【俺家、内紛戦争勃発】

~それから数日経って~

ぴろぴろぴろん♪

「……あ?電話?……親父からか……」

ぴっ

「もしも……」

男父『馬鹿野郎!お前は何をしてるんだ!』

……………………

「……何なんだよ」

男父『お前は一体、自分のしでかした事を解ってるのか!』

男母『……お父さん、そんなに怒鳴らないで……』

男父『お前は黙ってろ!……おい、聞いてるのか?』

「……何言ってんだよ、訳が……」

男父『お前、会社を辞めたそうだな』

「……ああ」

男父『ったく……お前は自分のやった事がどれだけの人に迷惑をかけたか
自覚してるのか?』

「……そうは言うけどよ。毎日毎日日付変わるまで働かされて、
それで給料なんか変わらねえし……
社長の馬鹿息子が何にもしねえのにいきなり主任とか……」

男父『黙れ!大学まで出してやったのに仕事も決めず、ふらふら
してたお前の為に私がどれだけ西村専務にお願いをしたのか解ってるのか!』

「……何だよそれ?」

男母『お父さん、ちょっと……ねえ、聞いてる?お父さんはね。あんたの
為に西村専務さんに何度も何度も頭を下げてお願いしたのよ?』

17 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 01:09:56.41 93mCQUFAO 5/83

「……何だよそれ。そんな話聞いてねえぞ」

男父『変われ……ったく……お前は私の顔に泥を塗るつもりか!』

「………………」

男父『今からでも遅くない。お前の方から頭を下げて、会社に置いて
下さいとお願いするんだ』

「……………………」

男父『……何でうちにこんな出来損ないが出来たのか……おい!
聞いてるのか!おい!』

「………………」

ぷちっ

つー、つー、つー

「……何も分からねえくせに勝手な事言ってんじゃねえよ……」

「俺が……俺があそこでどんだけ一杯一杯だったか……知らねえのかよ
……知る訳ねえよな」

「……着信拒否しとくか」

ぽいっ

「(……下らねえ)」

「(両親は自分達の時代と較べて俺の就職難を詰り)」

「(当たり前の様なサビ残、休日出勤を自分達の時代と較べて肯定する)」

「(……出来損ない?)」

「(……あんたらの息子だからな)」

……………………

かさっ…………

かりかり…………

「……ん?何の音だ?」

かりかり…………

…………とんとん

「……ドアの方か?」

20 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 16:00:09.06 93mCQUFAO 6/83

【タヌキ、恩返しに来る】

「……泥棒?」

「まさか、こんな男の独り暮らしの部屋に……いや、解らんな……」

がさごそ

「何か武器になるモノ……包丁……しか無いか」

「誰だ?………………」

「……ん?誰もいない……」

……かちゃ

がちゃっ

ばっ

タヌキ「……きゅんっ!」

「うわっ!」

「………………」

タヌキ「……きゅうん♪」

「えっ?……その後ろ足のハンカチは……お前、こないだのタヌキか?」

タヌキ「きゅん♪きゅん♪」

「それと……何だ?この木の実の山は」

タヌキ「きゅうん」

「ドングリとか椎の実とか……」

タヌキ「きゅん!」

「……お礼?」

タヌキ「きゅん♪」

「はあ……でも木の実とか貰ってもなぁ」

タヌキ「……きゅうん……」

「あー、解ったよ。そんなに落ち込むなって。ありがたく頂くよ」

タヌキ「きゅん♪」

がさがさ

「じゃあな。気を付けて帰れよ」

タヌキ「きゅ、きゅきゅきゅ!」

「うわっ!な、何だよ」

てててっ

タヌキ「きゅうん」

「おいおい、勝手に上がるなって」

タヌキ「きゅん!」

21 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 16:00:56.82 93mCQUFAO 7/83

「あのなぁ……このアパート、ペット禁止なんだよ。バレたら
大家に追い出されるんだぞ」

タヌキ「……きゅう」

「………………」

タヌキ「………………」

「……解った解ったよ。但し、今晩だけだからな?明日になったら
きちんと出て行けよ」

タヌキ「きゅうん♪」

「はぁ……参ったな……まあ、今晩だけだし、寝床でも作って
やるか。どっかに段ボール箱あったかな……って、おい!」

タヌキ「きゅうん?」

「そこは俺のベッドだぞ。ほら、お前の寝床作ってやるから、ちゃんと
こっちで寝ろ」

タヌキ「きゅんきゅん」

「やだやだじゃないよ。確かに最近寒くはなったけどな。あんまり
動物と一緒に寝るの慣れてないんだよ」

タヌキ「きゅうん……」

「……またそんな目で見る……好きにしろ」

タヌキ「きゅん♪」

「あ、そうだ。お前、足の具合どうだ?そのハンカチ、さすがに
巻きっぱなしじゃマズいだろ。新しいのに替えてやるよ」

タヌキ「きゅん」

「ほら、見せてみろ……なんだ、お前メスだったのか」

タヌキ「きゅっ……///////」

「……人間に見られて恥ずかしがるタヌキなんか初めて見るぞ」

22 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 16:01:45.42 93mCQUFAO 8/83

「ほれ、ハンカチ解いてやるよ」

……………………

タヌキ「きゅきゅきゅきゅきゅきゅ!」

「おっと、ハンカチがかさぶたにくっついちまってるな……痛かったか?」

タヌキ「きゅうん」

「ちょっと待ってろ……あったあった、消毒液。これで拭きながら
外してやるからな」

……………………

タヌキ「きゅ……きゅうん……」

「痛いだろうけど我慢しろ……っと、取れた」

タヌキ「……きゅう」

「よし、消毒液塗ってやるからな……ちょっと染みるぞ」

タヌキ「……きゅんっ!きゅんっ!」

「こら!暴れるなっつうの!」

……………………

「……ふう。消毒して薬塗って、包帯巻いとけばすぐに治るだろ」

タヌキ「きゅきゅきゅきゅう♪」

「『ありがとう』?……まあ、お返しは今後してもらうからいい……
…………んん?」

タヌキ「きゅうん?」

「何か今の今まで気が付かなかった俺も俺だが……会話が……
成り立ってる……?」

タヌキ「きゅうん♪」

「お前……人間の言葉が……えっ?」

タヌキ「………………」

23 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/10 16:02:31.13 93mCQUFAO 9/83

「な、何だよ……急に真剣な顔しちゃって」

タヌキ「んー………………」

「……………………」

タヌキ「きゅう………………」

「……まさか!ウンコとかじゃねえよな?待て!そこでやるな!
トイレ!トイレでやれ!」

タヌキ「んんんんん」

「わわわわっ!」

がばっ

どたばた

……………………

ぼむっ!

「うわっ!」

「煙……?ごほごほ」

狸娘「やったぁ!今度はうまく化けれたぁ♪」

29 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/11 11:52:41.23 UGNyCW+AO 10/83

【俺と狸娘、時々タヌキ。】

「(ちょっと待て…………)」

「(俺が抱っこしてたのはタヌキの筈だ)」

「(もこもこして毛むくじゃらのタヌキ……)」

「(しかし、今俺が抱っこしてるのは……)」

「(細くて、柔らかくて、髪のいい匂いがして……)」

「(そして何より、この2つの柔らかい感触は……)」

狸娘「わ……わわわわっ!」

どさっ

狸娘「……いったーい……」

「………………」

狸娘「もー、男さんびっくりするじゃないですかぁ!」

「………………」

狸娘「……てか、あたしちゃんと化けれてます?」

狸娘「あの日男さんに助けてもらってからどーしてもお礼がしたくて、
でもタヌキのまんまじゃ人間語がしゃべれないから、一生懸命練習
したんですよ♪」

「………………」

狸娘「ね、ね、上手く化けれてますよね?そりゃあ血も滲む様な変身の
練習したんですもん……って、男さん?どーしたんですか?」

がばっ

狸娘「きゅうんっ!」

「あ、あ、あ、」

……………………

「うわーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!」

30 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/11 11:53:24.98 UGNyCW+AO 11/83

狸娘「きゅうんっ!」

「な、な、何だよお前は!」

狸娘「え?え?え?な、何ですかぁ?」

「ば、化け物め!」

がちゃっ

狸娘「きゅうんっ!ほ、包丁っ!」

狸娘「きゅぅぅぅんっっっ!!」

……………………

狸娘「はい、お水です。落ち着きました?」

「あ、ああ……うん」

ごくごく

狸娘「てゆーか!びっくりしたからって、包丁持ち出すなんてヒドい
です!ケガしたらどーするんですか!ぷん!」

「ぷん!じゃねえよ!タヌキが人間と会話してて、んで目の前で
人間に変身されてびっくりしない奴がいるかってえの!」

狸娘「そんなにびっくりする様な事じゃないじゃないですか。タヌキとか
キツネとか、時々ネコもですけど、化けるの知らないんですか?」

「それは知ってるけどさ、昔話とかおとぎ話の類だろ?」

狸娘「昔話もおとぎ話も、ホントにあったお話も混ざってるんですよ?」

「……嘘言うな、あんなお話が現実に有り得る訳ないだろ」

狸娘「じゃあ、今男さんの目の前にいるあたしはどーなるんですか」

「んー……………」

31 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/11 11:54:15.74 UGNyCW+AO 12/83

ずいっ

狸娘「……ね、ね、ね」

「な、何だよ」

狸娘「あたし、ちゃんと化けれてますよね?100点満点で、何点ですか?
100点?」

「……70点」

狸娘「……えええ?なんでぇ?自分で言うのもなんですけど、めっちゃ
可愛いですよ?ほら、男さんの大好きなショートカットですし、ミニスカにニーソとか萌えません?」

「……自画自賛発言で60点に減点だな」

狸娘「きゅうん……」

「……自分で確認してみな」

狸娘「へ?」

さわさわ

狸娘「……あっ!耳としっぽがタヌキのまんまだぁ!」

「……おい、そんなにしっぽを振るな……パンツが丸見えじゃないか」

狸娘「えーん!あんなに一生懸命練習したのにぃ!」

「そんなに泣く事はないじゃないか。……ほれ、見ててやるから、
もう一回変身し直してみな?」

狸娘「あ、それダメなんです」

「何でだよ」

狸娘「あたしみたいに変身に慣れてない子ダヌキは、一度変身を
解いちゃうと、大体1日ぐらい休まないと次の変身が出来ないんです。
こう見えて、化けるのって結構体力とか精神力使うんですよ」

「RPGのMPみたいなもんか」

32 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/11 11:55:02.96 UGNyCW+AO 13/83

狸娘「もっと練習するといつでもどこでも化けられる様になるんです
けどね…………あっ!」

「な、何だよ」

狸娘「すいません、あたしがここにお邪魔してどれぐらい経ちました?」

「えっ?……えーと、1時間ぐらいかな?」

狸娘「じゃあ……ごめんなさい」

「えっ?」

ぼむっ

タヌキ「……きゅうん」

「………………」

「……ああ、まだ練習が足りないから変身してられる時間もまだ
短いって事ね」

タヌキ「……きゅうん」

「さぁてと……今何時だ?……もう12時か。今日は色々あったから
疲れたな……お前も疲れたか?」

タヌキ「ふぁぁぁぁぁ」

「……じゃあ、もう寝るか。そこに段ボール箱で寝床作っといたから、
今日はもうそこで寝な」

タヌキ「きゅうん……」

「ワガママ言わない」

タヌキ「……きゅん」

「ふぁぁぁ、俺も貰い欠伸で眠くなっちまったぜ……寝るか」

タヌキ「きゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ」

「はいはい、お休みなさい」

かちっ

41 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:26:36.71 VZVutx2AO 14/83

【人はそれを三角関係と呼ぶんだぜ】

ふみふみ

「んんんんん…………」

ふみふみ

「ううん…………」

……くんかくんか

がばっ

「…………だぁぁぁっ!もうっ!」

タヌキ「きゅうんっ!」

「お前なあ…人がせっかく寝てんだから無理矢理起こすなよ……」

タヌキ「きゅん」

「……まだ朝の6時じゃねえか!」

タヌキ「きゅうんっ!」

「ふぁぁぁ……解った解ったよ起きるよ起きますよっと」

タヌキ「きゅん♪」

「……さぁて、と。お前、約束だからな」

タヌキ「……きゅん?」

「一晩だけ泊めてやるって約束だっただろ。さ、帰るんだ」

タヌキ「……きゅ……きゅうん」

がちゃっ

「ほら」

タヌキ「きゅう……」

「………………」

タヌキ「………………」

~5分経過~

「…………ふう」

ばたん

タヌキ「…………!」

「……解ったよ、俺の負けだ」

タヌキ「……きゅっ!」

「その代わり!これだけは守れ。余り鳴くな。昨日も言ったけど、
大家にバレたらここにいられなくなるんだからな」

タヌキ「きゅ、きゅん♪」

42 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:27:21.23 VZVutx2AO 15/83

「……まあ、言ってもこの部屋角部屋だし、隣との間には階段が
あるし、滅多な事じゃ音なんて漏れないんだけどな」

タヌキ「きゅん♪きゅん♪」

てててっ

ぴょんっ

「うわっ」

タヌキ「きゅん♪きゅん♪」

「わわわっ、顔を舐めるな!そんなに嬉しいのかよ」

タヌキ「きゅうん♪」

すりすり

「……ったく……」

……………………

「(こうして、俺と狸娘の同居生活が始まった)」

「(鶴は聞いた事あるが、タヌキの恩返しなんて初めてだ)」

「(ましてや、俺自身がその当事者になるなんて)」

「(さて……これからどうなるんだろう……)」

……………………

「さて……そうこうしてる間に昼か……腹減ったな」

ぐぅぅぅぅ

タヌキ「///////////////」

「何だよ、お前も腹減ってんのか」

タヌキ「……きゅうん」

「何か食うか?……つっても、カップラーメン位しか無いしなぁ。
お前、その状態でカップラーメンとか食えるか?」

タヌキ「……きゅうん」

「……だろうな。……ああ、化ければ食えるんじゃないか?」

タヌキ「……きゅうん、きゅうん」

「……あ、まだ1日経って無いのか……」

43 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:28:14.62 VZVutx2AO 16/83

「どうしようかな……あ、そうだ。昨日お前が持って来てくれた
ドングリ、あれ一緒に食うか?」

タヌキ「……きゅん♪」

「っつっても……ドングリって人間が食って大丈夫なのか?」

タヌキ「きゅうん……」

「お前、自分が持って来といて解んないのかよ……まあいいや、
ちょっとGoogle先生に訊いてみるか」

かたかた

「『ドングリ 食べ方』……と。……何だ、第2検索ワードで
『食べ方』ってあるんだな」

「さて、適当なサイトを開けて……と」

タヌキ「きゅうん♪」

「な、何だよ……お前、パソコンいじってみたいのか?」

タヌキ「きゅん♪」

「じゃあ、やってみろよ。マウス動かして、ポインタをこの一番上の
リンクに合わせて左クリックだ」

タヌキ「きゅんっ」

ずりずり……

「………………」

タヌキ「………………」

「………………」

タヌキ「………………」

「お前のその手じゃ左クリック無理か……」

タヌキ「きゅうん……」

「そんなに落ち込むこた無いじゃないか……」

「さて……と。結構ドングリ料理のサイトってあるんだな」

44 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:29:11.81 VZVutx2AO 17/83

「まずこのサイトは……一番簡単な茹でドングリか」

「……美味いとは書いてあるが、結構めんどくさいもんなんだな」

「さて、作ってみるか」

……………………

「よし、出来たぞ」

タヌキ「きゅうん♪」

「俺はカップラーメンも食うから、一緒に食べればいいよ」

タヌキ「きゅうん」

……………………

もぐもぐ

「……うん、サイトに書いてあったみたいに軽く塩振れば美味いな。
塩味の栗みたいだ」

タヌキ「はふ、はふ」

「……タヌキにも猫舌っているのか……ゆっくり食えよ、ドングリは
逃げやしないからさ」

タヌキ「きゅうん」

……………………

「さぁ、食った食った」

タヌキ「げふ」

「……お前、女の子のくせにげっぷとかはしたないぞ」

タヌキ「きゅ、きゅうん」

「んー……いざ仕事してないと時間が余りまくって、何していいやら
解らないな……」

「……取り敢えず風呂入るか。仕事してなくてもダラダラしてちゃ
いけないもんな。2日入ってないし」

……………………

ざばーん……

タヌキ「きゅうん……」

携帯「ぴろぴろぴろん♪」

タヌキ「……きゅうんっ!」

45 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:30:02.65 VZVutx2AO 18/83

携帯「ぴろぴろぴろん♪」

タヌキ「きゅ、きゅうん」

うろうろ

『着信:幼馴染』

てててっ

とんとん

かりかりっ

タヌキ「きゅうん、きゅうん」

『何だよ、もうすぐ出るから待ってろ』

携帯「ぴろぴろぴろん♪」

タヌキ「きゅうん……」

タヌキ「………………」

タヌキ「……きゅぅぅぅぅ……」

……………………

ぼむっ

狸娘「ぷはぁっ、何とか化けれたぁ!」

携帯「ぴろぴろぴろん♪」

狸娘「男さん、携帯鳴ってますよってばぁ」

ざばーん

『あー?何か言ったかぁ?』

狸娘「もー…………仕方ないなぁ」

ぴっ

狸娘「もしもーし♪」

幼馴染『……あれ?』

狸娘「……もしもし?」

幼馴染『……これ、男君の携帯……ですよね?』

狸娘「はい♪男さんは今お風呂に入ってまぁす」

幼馴染『……って言うか……あなたどなた?お風呂って……』

狸娘「え?あ、あたしはぁ……えっとぉ……」

狸娘「(うう……耳の場所がタヌキのまんまだから電話しにくいよぅ……)」

46 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:31:29.83 VZVutx2AO 19/83

がちゃっ

「ったく、何なんだよ、さっきから…………っ!」

狸娘「あ、男さん今出ましたんで変わり……」

だだだだっ

ばっ

「わぁっ!お前何勝手に携帯出てんだよっ!」

狸娘「きゅうんっ!」

「……も、もしもし?」

幼馴染『あ、男君?』

「あー、何だ、君か」

幼馴染『……ねえ、今の女の子誰?……お風呂って……?』

「え?あ、えーと……妹!そう、妹!」

幼馴染『はあ?男君妹さんなんかいなかったじゃん』

「……あのさ、親父が年甲斐も無く離婚して再婚しやがってさ、
その相手の人の娘さん!うん!」

幼馴染『……そんなに離婚と再婚って慌ただしく出来るもんなの?』

「あー……まあ、それが大人の恋愛ってヤツじゃない?」

幼馴染『……良く意味解んないけどまあいいわ。あのさ、同窓会の
連絡行ってる?』

「同窓会?」

幼馴染『何?聞いてないの?高校の同窓会。来月あるんだけど、男君、
来るでしょ?』

狸娘「…………同窓会?」

「(こら!こっそり聞くな!)」

幼馴染『え?何?』

「あ、いや、何でもないよ……同窓会か……いいや、俺は行かないよ」

47 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:32:21.54 VZVutx2AO 20/83

幼馴染『えー?どうしてよ?友君とかも来るんだよ?』

「……いや、いいよ。今回は遠慮しとくわ」

幼馴染『……解った。幹事の女友ちゃんに言っとくね』

「ああ、頼むよ」

ぴっ

……………………

「こらっ!」

狸娘「きゅうんっ!」

「人の携帯に勝手に出るなよ。向こうがびっくりするだろ?」

狸娘「だってぇ……男さん携帯鳴ってるの気づかないんだもん」

「切れちゃっても着信履歴からかけ直すからいいんだよ」

狸娘「それに……一度でいーから携帯でお話ってしてみたかったんですぅ」

「………………」

狸娘「……ごめんなさぁい」

「まあ、いいよ。今度から気を付けろよな」

狸娘「ね、ね、ね」

「何だよ」

狸娘「さっきの女の人って誰なんですか?ひょっとして……コレ?」

「小指を立てるな!オッサンか!」

狸娘「ひゅー、ひゅー、男さんも隅に置けないなぁ♪」

「痛い痛い、しっぽで叩くな!」

狸娘「こーゆーのって、なんて言うんでしたっけ?焼け木杭に……ええと」

「おいおい、あの娘と俺は何かあった訳じゃないぞ?ただの幼馴染だ」

48 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/12 12:32:55.71 VZVutx2AO 21/83

狸娘「でもでもぉ、同窓会っていいきっかけですよね♪」

「あのなあ……まあいいや。お前、風呂でも入るか?」

狸娘「お風呂、ですか?」

「ああ。俺の残り湯で良ければ、だけど」

狸娘「でも……あたしお風呂って入った事ないからなぁ」

「何だよきったねぇなぁ」

狸娘「汚いとかヒドいです!お風呂入るタヌキなんて聞いた事ありますか?」

「……ああ、そうか。でも、北海道あたりのタヌキは温泉に入るとか
聞いた事あるぞ」

狸娘「あたしはエゾタヌキじゃなくてホンドタヌキですよ」

「……違いが良く解らんが……まあ、風呂入って来いよ。すっきり
するぞ」

狸娘「……じゃあ、お言葉に甘えまして……」

「だぁっ!ここで服を脱ぐな!」

狸娘「きゅっ!?」

「いいから!風呂場に脱衣所があるからそこで脱げ!」

狸娘「はぁい」

たたたっ

「ふぅ……そう言えばタヌキとか常に裸みたいなもんだからな……
抵抗が無いっちゃあ無いんだろうな……」

狸娘『ねぇ、男さぁん』

「あー?」

狸娘『お風呂の入り方とか解んないんですけどぉ。教えて下さぁい♪』

「…………何だとぉ?」

60 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 10:30:42.57 nlTGUHUAO 22/83

【俺んち湯けむり事件簿】

「風呂の入り方解んないってお前……」

狸娘『お湯につかるのは解るんですけど……身体とか洗うのって
どれで洗ったらいいんですかぁ?』

「ボディソープって書いてあるのがあるだろ、それをタオルに
付けてだな……」

がらっ

狸娘「そんな事言われても解んないですってばぁ!」

「おわっ!」

狸娘「……どーしたんですか?」

「(み、見えたどころか……まともに……)」

狸娘「ねー、男さん洗って下さい♪」

「な…………」

……………………

狸娘「わあ、泡だらけだぁ」

こしこし

「(い、いかん…………)」

ちらっ

「(別に女の裸を見る事自体は初めてでもないんだが……こいつって
見た目16~7ぐらいだし……さすがにその年代の娘のオールヌードなんか
……)」

狸娘「男さん、次はお腹お願いします♪」

「……へっ?」

くるっ

「!!!!!!!!!」

「(……どっかでタヌキ顔の女は巨乳が多いって聞いた事があるが、
それより……)」

ちらっ

「(……うっわー……やべ、モロじゃん……)」

61 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 10:31:28.52 nlTGUHUAO 23/83

「(まあ、こいつは元々タヌキなんだし、普通に身体洗って貰ってる
ってな感覚なんだろうが……)」

「(……実にヤバい)」

こしこし

狸娘「んー、お腹気持ちいい♪」

ひょい

「……ほれ」

狸娘「はい?」

「後は自分で洗え。もう洗い方解っただろ?」

狸娘「なんで男さんはうつむいてるんですか?」

「いいから!」

狸娘「……ぶー」

「じゃ、じゃあ俺は出るから。上がったらちゃんと身体拭くんだぞ」

狸娘「はぁい」

……………………

「はぁ……はぁ……」

「ヤバい、実にヤバい……」

「……これから毎日、こう言う事になるのか?」

「……正直、我慢出来る自信が無いぞ」

「……生殺しだ……」

がらっ

狸娘「ふああ、気持ちよかったぁ♪」

「……っ!」

「……ちゃんと服着てるか……」

狸娘「……男さん、何かさっきから変ですよ?」

「えっ?……いや、何でもないよ」

狸娘「どーして前屈みなんですか?」

「(こいつ……本当に自覚無いんだな……)」

狸娘「………………」

「な、何だよ」

くんかくんか

狸娘「……あー!男さん、発情期だぁ!」

62 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 10:32:15.38 nlTGUHUAO 24/83

「………っ!ななな何を言い出すんだよ!」

狸娘「だってぇ、身体から発情のフェロモンがぷんぷん匂ってますもん」

「うっ…………」

狸娘「……あ」

「……あっ!」

「(やべっ!チンコフルボッキじゃんか!)」

ばっ

「……い、いいじゃないか!そんなに見るなよ!」

狸娘「……タヌキに発情するなんて……男さん、変態……」

「あ、あのなあ!お前はタヌキかも知れないが、今は人間に化けてる
から見た目は人間なのであってだな……」

狸娘「……うふふ、男さん、交尾したいんですか?」

「こ……交尾?」

狸娘「照れなくてもいいですよ♪発情期に発情するのは動物として
正常な事なんですから」

「そ……そうなのか」

狸娘「そうだなぁ……まず、手近なとこで……」

「(どきっ)」

狸娘「さっきの幼馴染さん!幼馴染さんと交尾しちゃえばいーじゃ
ないですか!」

「待て待て待てーい!お前はどう思ってるか知らんが、俺はあいつと
交尾……げふんげふん、セックスしたいなんて考えた事も無いぞ」

狸娘「えー、もったいないなぁ」

63 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 10:33:04.36 nlTGUHUAO 25/83

「もったいないてお前……」

狸娘「あたしとか、もうそろそろ最初の子供産まないといけない
歳だったんですけどねー。幼馴染さんって、男さんと同い年ぐらいでしょ?」

「ああ、まあな」

狸娘「じゃあ、幼馴染さんの最初の子作りは男さんとですね♪」

「解っとらん……お前は何も解っとらん。人間の世界ではな、
タヌキの世界と違って交尾のハードルが違うんだよ」

狸娘「ハードル?」

「発情してヤりたくなったからってヤらせて下さいはいどうぞってな
訳にはいかないんだよ」

狸娘「あたしだってそうですよ?発情期来るとしょっちゅうオスが
寄って来て乗っかって来るし」

「乗っかってって……そんなガキみたいな顔してやる事はしっかり……」

狸娘「あ、でもあたしまだなんですよ?好みじゃなかったりしつこい
から、いつも噛み付いてました」

「タヌキの好みってどんなんなんだ……」

狸娘「んー、毛並みだったり、タヌキクマの形だったり……でも、
タヌキが交尾出来る期間って決まってるからそんな事言ってられ
ないんですけどねー」

64 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 10:34:00.05 nlTGUHUAO 26/83

……………………

タヌキ「くー……くすぴー……」

「………………」

「(……冷静に考えたら、こいつは人間に化けてても中身はあくまで
タヌキな訳で……)」

「(俺はうっかりこいつを人間の女として見ちゃうけど……)」

「(こいつから俺を見たら、やっぱり違う動物な訳であって……)」

「(……………………)」

タヌキ「……くー……きゅうん……」

なでなで

タヌキ「……きゅ……」

「(……何馬鹿な事考えてるんだろうな、俺……)」

「(俺は人間、こいつはタヌキ。それ以上でもそれ以下でもないんだ)」

「(……寝るか)」

69 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 16:36:48.78 nlTGUHUAO 27/83

【狸娘、人間の交尾に興味を持つ】

AV男優『ああ、ああ、いいよ、イっちゃっていい?ねえ、イっちゃっていい?』

AV女優『ああん!ああん!』

狸娘「んー……一時停止、と」

狸娘「……この四角いの邪魔だなぁ……よく見えない……」

狸娘「再生、と」

AV男優『ああ、イクよ、イクよ……ああ!』

狸娘「……変な事するなぁ……なんで顔なんかにかけるんだろ……」

がちゃっ

「ただいまー。いやースーパーのレジが混んでてさ、遅くなっちまった。
大人しくし…て…た……か……」

「うわーっ!」

狸娘「きゅうんっ!お、お帰りなさぁい!」

「何!何見てんだよお前はっ!」

狸娘「あ、あのぅ、せめてお部屋の掃除でもしようかなって思ってたら
人間の交尾全集が出て来たから……つい」

「こ……交尾全集ってなぁお前……」

狸娘「麻美ゆまさんって、お知り合いですか?」

「いいから!もう!」

ぴっ

狸娘「あー!いいとこだったのにぃ!」

「いいとこってなぁ……しかもなんであんな食い入る様に見てたんだ」

70 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 16:37:17.20 nlTGUHUAO 28/83

狸娘「だってぇ、このジャケット見てたらスッゴく興味が出て来ちゃって……」

「だからって何本見たんだよ……」

狸娘「…………ん?あれ?」

「?どうした?」

狸娘「……お、男さん、ちょっと向こう向いてて下さい!」

「な、何だよ」

狸娘「……やだっ、発情期じゃないのになんでこんなに濡れてるの?」

「向こう向いた意味が無いやろが」

ぺしっ

狸娘「やだっ、どうしよう?病気ですかね?いつもは春ぐらいに
ならないと発情しないのに……」

「ちょっと落ち着けって」

狸娘「きゅうん……」

「……あれだな、今お前は半人半タヌだから、一部の身体の構造が
人間準拠になってるんだ……多分」

狸娘「そ、そうなんですか?」

「人間には発情期が無い。と言うより一年中発情期みたいなもん
だからな。で、どうするかっつうと、他人の裸とか、こ……セックスを
見たりする事で、いわゆるお前達で言うところの発情状態になるんだ」

狸娘「……昨日の男さんみたいに?」

「古傷をえぐらんでくれ」

狸娘「でも、あたしタヌキですよ?」

71 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 16:37:43.03 nlTGUHUAO 29/83

「人間は他の動物と違って発情フェロモンを嗅ぎ分ける力が弱いからな、
だいたい視覚に頼るしかないんだよ」

狸娘「勉強になりました」

「いえいえこちらこそ。DVD片付けろ」

狸娘「……はぁい」

……………………

「さあ、昼飯にするか……って、お前本当にあんパン一個でいいのか?」

狸娘「はい♪」

「……まあいいや。いただきまーす、と」

狸娘「ね、ね、男さん」

「何だよ」

狸娘「人間の交尾について質問があるんですが」

「飯時に何つう事を」

狸娘「さっきの交尾全集見てたら、精液をわざわざ外に出してた人が
いたんですけど、あれどうしてなんですか?後、アソコに何か被せてた
人もいたんですけど……」

「こんなにずけずけと質問されるとやりづらいな……まあ、一言で
言うと妊娠しない為だな。前者は余り効果が無いとも言われてるが……」

狸娘「……えー?何で妊娠しちゃダメなんですか?子供作る為に
交尾するんですよね?」

「んー………………」

「(そうか……タヌキつうか動物だから、ここらへんが理解出来ない
んだな……)」

72 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/13 16:38:13.81 nlTGUHUAO 30/83

「まあ、まず、だ。人間は子供が出来ると結構大変なんだ。子育ても
そうだし、産まれるのに10ヶ月もかかる」

狸娘「ふえ、長い!」

「無事子供が産まれても、育てて行くのに莫大なお金がかかる……」

「でも、やっぱり気に入った相手同士とは交尾……人間界では
セックスと言うけどな。セックスしたい。でも子供が出来るとちょっと
困る人もいる。その為に、精液を外に出したり、アソコに被せる……
コンドームって言うんだけどな、そう言うのを使ったりするんだ」

狸娘「ふぅん……じゃあ、さっき麻美ゆまさんと交尾してた人は麻美ゆまさんを
気に入ってるんですか?」

「あの人達は……何て言うか、自分達より自分達のセックスを見せる事に
よって見る人が発情するのを手助けする仕事をしてるんだ」

狸娘「麻美ゆまさんは発情してないのに交尾出来るんですか?」

「んー……まあ、発情してない事は無いだろうけどな」

狸娘「……でも、子供出来るのが嫌なんて間違ってます」

「ま、まあ、本当に子供が欲しくてセックスする人もいるからな。
一概には言えないよ」

狸娘「……赤ちゃんが可哀想だなぁ……」

76 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:42:27.40 Heo9SMhAO 31/83

【恩返しの方法を見つけた狸娘】

タヌキ「ふぁぁぁぁ」

タヌキ「んんん…………」

タヌキ「(男さんは……そっかぁ、買い物だね)」

タヌキ「(タヌキって基本夜行性だから……昼間は眠くって仕方ないや……)」

タヌキ「(ヒマだなぁ……化けてお掃除でもしたげよっかなあ……)」

うろうろ

タヌキ「(うっ……何よこのゴミ箱……何で丸めたティッシュが……)」

くんかくんか

タヌキ「きゅうんっ!」

タヌキ「(く……くっさ!これって……精液の匂い……って……男さんの?)」

タヌキ「(てか……何で精液だけ出してんの?)」

タヌキ「(……そー言えば、あの『えーぶい』の男優さん、交尾中とか
精液出す時『気持ちいい』って言ってたよね……)」

タヌキ「(あたしは良くわかんないけど……人間の交尾ってそんなに
気持ちいいものなのかな……)」

タヌキ「……きゅうんっ!きゅうんっ!」

タヌキ「(わーっ!わーっ!あたしったら何を考えてんだ!散れ!散れ!)」

タヌキ「(……そー言えば男さん、交尾したくても出来ないみたいな
事言ってたよね)」

タヌキ「(交尾したくても出来ないから自分で……?)」

タヌキ「(……それは情けなさすぎるよ……)」

77 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:43:13.97 Heo9SMhAO 32/83

がちゃっ

「ただいまー」

タヌキ「きゅ……きゅうん!」

「……お前、何やってんだ?」

タヌキ「きゅうん……」

「……?変な奴だな……まあいいや」

「(おっと……昨日オナった後のティッシュがそのまんまだ)」

「(あんな裸見せられた後だしな……あいつ寝てたから見られて
ないとは思うが……)」

「(……片付けるか)」

……………………

「ふぃー、さすがにこの季節になると夜はちょっと寒くなってくるなー」

タヌキ「きゅうん」

「お前も寒いか?」

タヌキ「きゅうん」

「まあ、かと言ってヒーター点けるには灯油買ってないし……
酒でも飲んで暖まるかな」

タヌキ「……きゅうん♪きゅうん♪」

「……何でお前がそんなに喜ぶんだよ」

ぼむっ

狸娘「はぁい、はぁい!あたしお酒大好きでぇす♪」

「……………………」

……ごすっ

狸娘「いったぁい!何で殴るんですかぁ!?」

「当たり前だ不良ダヌキ。お前はまだ未成年だろ。未成年の飲酒は
警察に捕まるんだぞ」

狸娘「それは人間のお話ですよね?あたしタヌキだから関係ないもんっ!」

78 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:44:03.32 Heo9SMhAO 33/83

……………………

狸娘「ふぁー、お腹いっぱいだぁ♪」

「お前、酒好きって言ってた割には一杯で酔っちゃうのな」

狸娘「だってタヌキですもん♪にひひ♪」

「気持ち悪い笑い方すんなっての……そう言やタヌキの置物って
大抵酒瓶と通い帳持ってるもんな」

狸娘「あーっと、お皿とか片付けなきゃ……うぃー」

「おいおい、無理すんな、俺が……」

ふらっ

狸娘「きゅうんっ!」

「危ないっ!」

どさっ!

……………………

狸娘「……きゅぅぅぅ……」

「いてて……だから言ったじゃないか、酔ってんだから無理すんなよ」

「………………っ!」

「(……お、おっぱいが……丸見えじゃん……)」

「(や、ヤバい……)」

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

狸娘「(あっ…………)」

狸娘「(男さんが……発情してる……)」

狸娘「(………………)」

狸娘「(てか……あたしも……何だろ、この気持ち……)」

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

「(う……そんな目で見るなよ……)」

「(酒の匂いとの相乗効果で……)」

79 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:44:53.24 Heo9SMhAO 34/83

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

狸娘「(そう言えば男さん、人間は一年中発情期だって言ってたっけ……)」

狸娘「(あたし……発情してるのかな……)」

狸娘「(……でも……こーゆー時って何て言えば……)」

~5分経過~

……………………

「……あ、あーっと……悪い悪い。お皿なら俺が片付けるから、
お前は……」

ぎゅっ

「……え?」

狸娘「あ、あ、あのぅ……」

狸娘「(な……何て言おう……)」

……………………

狸娘「お、男さん、あたしの身体で精液出して下さいっ!////////」

ごすっ

狸娘「いったぁい!また殴ったぁ!」

「突然何を言い出すんだお前は!」

狸娘「……だってぇ……あたし、車に跳ねられてケガしてるのを
男さんに手当てしてもらって……だから、あたし、恩返しに来たんです」

「え?だって、恩返しはあのドングリ……」

狸娘「違います!あんなの恩返しのうちに入りません!恩返しって
言うのは……もっと……こう……男さんに喜んでもらえる様な……」

「………………」

80 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:45:40.24 Heo9SMhAO 35/83

狸娘「……メスと交尾出来ないからって、自分で精液出すのって
不健康だと思います、だから……」

「見たのかよ」

狸娘「ご、ごめんなさい……」

「でもなぁ、俺は人間でお前はタヌキ……」

狸娘「でもでもっ!今は人間の身体ですっ!男さんと交尾出来ますっ!
あ、あたし頑張りますからっ!」

「頑張るって……」

狸娘「きゅ、きゅうん……ひっく」

「……大丈夫か?」

狸娘「だ、大丈夫ですっ!」

「………………」

ぐいっ

ちゅっ……

狸娘「あっ…………」

狸娘「(こ、こーゆー時って……どうすれば……じっとしてればいいのかな?)」

むにゅっ

狸娘「んっ……」

狸娘「(あ、おっぱい……)」

狸娘「(あたし……男さんに、触られてる……)」

狸娘「(何か……ぼーっと……)」

狸娘「(きゅう……)」

…………ぽむっ

「……えっ?」

狸娘「……えっ?」

「お前……鼻が……タヌキに」

ぽむっ

狸娘「えっ?……わっ、今度はヒゲが……」

ぽむっぽむぽむぽむっ!

狸娘「わわわわわっ!」

……………………

タヌキ「……きゅうん……」

81 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/14 17:46:56.33 Heo9SMhAO 36/83

「ひょっとして……酔っ払ったのと俺が触ったので集中力が途切れて
変身が解けちゃった……とか?」

タヌキ「きゅ、きゅうん……」

「………………」

タヌキ「きゅうん、きゅうん!」

タヌキ「んんんんんんっ……」

タヌキ「……はあ、はあ」

「おい、無理して化けようとすんなって」

タヌキ「きゅきゅきゅうん!」

「……………………」

「……まさか、この状態じゃあヤろうにも……」

タヌキ「きゅ……」

「………………」

なでなで

「……まあ、いいさ。体調が悪いんなら仕方ないさ」

タヌキ「きゅうん……」

「また、体調のいい時に、な?」

タヌキ「きゅうん」

「……よし、今日は一緒にベッドで寝るか」

タヌキ「きゅ、きゅうん♪」

てててててっ

ぴょんっ

タヌキ「きゅうん♪」

「よいしょっと……さ、電気消すぞ」

かちっ

タヌキ「……きゅうん」

すりすり

「……もこもこしてて暖かいな」

タヌキ「……きゅうん♪」

89 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/16 13:47:36.62 gO07miDAO 37/83

【好きだよと言えずに初恋は】

~翌朝~

「(うーん)」

「(昨夜は……いわゆる寸止めで終わっちまったからなぁ)」

「(あいつは……まだ寝てるか)」

「(気まずいっちゃあ気まずいが……)」

タヌキ「きゅう……」

「(あ、起きた)」

タヌキ「ふぁぁぁぁ……」

「お……おはよう」

タヌキ「……きゅうん♪」

「………………」

「(あんまり……気にしないタチなのかな……)」

……………………

「さて、洗濯も終わったし、飯の買い出しにでも行くか……おい、
悪いけど留守番しててくれるか?」

タヌキ「きゅうん」

……………………

~しばらくして~

タヌキ「うつらうつら………」

ぴろぴろぴろん♪

タヌキ「きゅっ!」

びくっ!

ぴろぴろぴろん♪

『着信:幼馴染』

タヌキ「きゅ、きゅうん……」

ぴろぴろぴろん♪

タヌキ「きゅう……きゅう……」

うろうろ

ぴろ…………

タヌキ「……きゅうん……」

……………………

ぴんぽーん

タヌキ「きゅうんっ!」

90 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/16 13:48:29.22 gO07miDAO 38/83

……ぴんぽーん

タヌキ「きゅう、きゅう……」

タヌキ「……んんんっ」

……ぼむっ

狸娘「ふあ、男さん携帯置いてっちゃってるし、今度は誰か来るし……
どうしよう……」

ぴんぽーん

狸娘「……もー、しょうがないなぁ……」

がちゃっ

狸娘「はぁい、どなた……」

幼馴染「あ…………」

~しばらくお待ち下さい~

狸娘「(えっ……誰?この女の人……)」

……ちくん……

狸娘「(あたしなんかよりすらっとしてて背も高いし、髪も長くて
瞳なんか切れ長で綺麗……)」

……ちくん……ちくん……

狸娘「(男さんの……知り合い……?)」

幼馴染「あ……あの」

狸娘「は、はいっ!」

幼馴染「男君、いるかな?さっき電話したんだけど出なくって」

狸娘「あ、あのぅ……男さんは、今……お買い物に……」

幼馴染「あ、そうなんだ……」

狸娘「……携帯、出た方が良かったですかね……?」

幼馴染「……あー、男君また携帯置いて出掛けてんのね。……ったく、
そんなんじゃ携帯電話じゃないっての……」

幼馴染「……あ、あなたひょっとしてこないだの妹さん?」

91 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/16 13:49:20.01 gO07miDAO 39/83

狸娘「え、えっ?」

幼馴染「ほら、私がこないだ男君のお風呂中に電話しちゃって、代わりに
出てくれた」

狸娘「えっ?……あ、ああ、はい……」

幼馴染「男君もいきなりこんな可愛い妹さんが出来て羨ましいなあ……
ね、それってコスプレか何か?」

狸娘「はい?」

幼馴染「その、頭の耳と……しっぽ」

狸娘「………………っ!」

狸娘「(しまったっ!タヌ耳としっぽしまい忘れてるっ!)」

狸娘「あ、あはは、まあ、そんなとこで……」

幼馴染「そう、可愛いわね……そうだ、お願いしていいかな?」

狸娘「は、はい」

幼馴染「男君に借りてたDVD、返しに来たんだ。はい」

狸娘「あ、はい」

狸娘「(えーぶい、じゃないんだ……)」

幼馴染「すごく面白かったよって言っといてね。じゃ」

……………………

「たっだいまー……って、お前、そんなとこで何でダウンしてるんだ」

狸娘「きゅう……」

「……あれ?このDVD、幼馴染の奴に貸してた奴じゃないか……
え?あいつ来てたのか?」

狸娘「……きゅうん」

92 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/16 13:50:19.21 gO07miDAO 40/83

「そうか……って、おい!お前、そのタヌ耳としっぽで出たのか!?」

狸娘「きゅうん」

「あっちゃあ……何か言われなかったか?」

狸娘「……コスプレって事になりました……」

「そうか……おい、どうしたんだよ?そんなグダーっとして。
こっちぐらい向けよ」

狸娘「……ほっといて下さい。あたしは今、メスとしての敗北感に
打ちのめされているのですから」

「……はあ?何を言ってるんだ。意味が解らんぞ」

狸娘「……幼馴染さんがあんなに綺麗な人だとは思いもしませんでした」

「……はあ」

狸娘「あたしと違ってすれんだーで、髪の毛も長くて、いい匂いも
するし、瞳もシュッとしてるし……そうだ、幼馴染さんはきっと
キツネが化けているに違いないんだ。やっぱりタヌキはキツネには
永遠に適わない……」

「……ぷっ!ぶははははっ!」

がばっ!

狸娘「うーっ!何で笑うんですかぁ!」

「何だお前、あいつに負けたとか思って、それで落ち込んでたのか?」

狸娘「笑うなんてヒドいですっ!……男さん、キツネの方が好み
なんですね……」

93 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/16 13:51:41.80 gO07miDAO 41/83

「ああ?何言ってんだよ。こないだも言ったけど、あいつとは
何も無いし、ましてやあいつなんか好みじゃないんだよ。ただの
幼馴染、それだけだって」

狸娘「……ホント……ですか?」

「何言ってんだよ、全く。お前の方がずっと可愛いよ」

狸娘「(…………えっ?)」

…………きゅん

狸娘「え?あの……今何て……」

「え?……ああ、そうそう。腹減ったろ?お前の大好きなあんパン
買って来たぞ」

狸娘「あっ!あんパンだぁ♪わあい!」

「お前、本当にあんパン大好きなのな……」

狸娘「はい♪焼酎に浸したあんパンなんか絶品ですよ♪」

「うげ……肝臓ぶっ壊すぞ……」

狸娘「もぐもぐ……おいひいおいひい……ところで何の話してましたっけ」

「さあ?」

99 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:25:34.67 zDPIi5AAO 42/83

【世界で一番あたたかい、夜。】

・『好き』名詞、形容動詞 異性に対し、心が惹かれる事。

狸娘「……ふーむ」

狸娘「心が惹かれる事、かぁ……よくわかんない……」

狸娘「じゃあ……」

ぴっ

AV女優『ああん!ああん!』

AV男優『ああ、イクよ!イクよ!』

狸娘「この人たちも、お互いの事を『好き』なのかな……?」

狸娘「でも、見るたびに交尾の相手違う人いるし……」

狸娘「『発情』と『好き』って、違うのかな……」

がちゃっ

「ただいまー……って、お前またAV見てんのかよ……あーあー、
辞書まで引っ張り出しちゃって、何やってたんだよ。辞書にはフェラチオ
なんて載ってねーぞ」

狸娘「ふぇらちお……?」

「何でもねえよ。さ、早く片付けろ」

狸娘「はぁい」

……………………

「……さぁて、昼飯も食ったし……暇だな」

狸娘「ですねー」

「……TSUTAYAにDVDでも借りに行くかぁ……」

狸娘「えーぶいの新作ですか?」

「あのなぁ……普通の洋画だよ。ちょうど見たかった映画があった
しな……ところでお前、変身は大丈夫なのか?」

100 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:26:38.49 zDPIi5AAO 43/83

狸娘「修行の甲斐あって、何とか5時間ぐらいなら化けてられますよ♪」

「へえ、凄い上達じゃないか……じゃあ、一緒にTSUTAYA行くか?」

狸娘「……えっ?いいんですか?……やったあ♪男さんとお出かけだぁ♪」

「その代わり、ヤバくなったらすぐに言えよ?」

狸娘「はぁい♪」

「……っと、そのままじゃちょっとマズいな……ほれ、この帽子
かぶってけよ」

狸娘「帽子、ですか?」

「今日はしっぽ出てないからいいけど、タヌ耳はさすがにそのままじゃ
マズいだろ」

狸娘「はぁい」

……………………

狸娘「わぁ、すごーい♪色んなDVDが一杯ある!これって、みんな
借りていーんですか?」

「ああ。でも色んなジャンルがあるからな、よく選んで……って、
おい、そっちはAVコーナーだぞ」

狸娘「え?でも、新しいの借りて勉強しないと♪」

「何の勉強だよ!おい、やめろ、入んなって」

狸娘「きゅうん……」

幼馴染「……あれ?男君?」

「……えっ?」

幼馴染「どうしたの?男君もDVD借りに来たんだ?」

狸娘「(……女狐っ……)」

101 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:27:25.42 zDPIi5AAO 44/83

「あ、ああ、たまにはね」

幼馴染「へえ、偶然だね。いつもこのお店に来てるの?」

「まあ、家から近いし品揃えもいいからな」

幼馴染「何か借りた?」

「いや、今から借りるとこだよ。こんなに一杯あると却って迷うしな」

幼馴染「うふふ、そうね」

狸娘「……うー」

「……あ?」

狸娘「……あたし、先帰ってます」

たたたたたっ

「お、おい!」

幼馴染「……妹さん、どうしたの?」

「いや、良く解んないけど……じゃあ、また今度な」

幼馴染「うん、じゃあね」

……………………

~自宅にて~

「おい、どう言うつもりだよ」

狸娘「………………」

「体育座りしてないでちゃんとこっち向け」

狸娘「………………」

「何が気に入らなかったか解らないが、あの態度は良くないぞ。
別に愛想を振りまけとは言わないが、最低限……」

狸娘「だって……」

「……何?」

狸娘「だって……男さんと幼馴染さん……あんなに仲良くお話し
してるし……」

「……お前はまだそんな事言ってるのか?」

狸娘「だって!こないだから胸のあたりが変なんですっ!」

102 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:28:14.60 zDPIi5AAO 45/83

「……え?」

狸娘「男さんと幼馴染さんが話してるの見るだけで、なんだか胸の奥が
ちくちくってするんです……それで……苦しくって……」

「………………」

狸娘「男さんちに初めて来た時はこんなの無かったのに……なんで……
なんで……ふぇぇぇん!」

「わ、解ったから泣くなって」

狸娘「どーせあたしは子ダヌキですよ!幼馴染さんには適わないもん!」

「えーと、あの……」

「………………」

「……よし、解った」

狸娘「……ふえ?」

「立場が幼馴染と対等か、それ以上ならいいんだろ?」

狸娘「え…………」

……ちゅっ

狸娘「んっ……」

……………………

「……これでいいか?幼馴染とは何にも無いんだし、これで対等
どころか……あいつ以上だよ」

狸娘「あ、あの……」

狸娘「……何ですか?今の……」

ずるっ

「この場面でそう言う事を言うか」

狸娘「だって……口と口くっつけるなんて聞いた事無いから……」

「あー……そうか……しかし、ここで説明すんのも些か間抜けだな……」

狸娘「あ、あの……」

「ん?」

狸娘「今の……もう一回……やってもらっていいですか……?」

103 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:29:01.31 zDPIi5AAO 46/83

……………………

ちゅっ……

狸娘「んっ……」

狸娘「(何だろ……何だか胸がドキドキする……)」

狸娘「(……っ!あ、アソコが……やだ、恥ずかしい……)」

「……なあ」

狸娘「は……はい?」

「絶対に無いけどさ……どうせなら幼馴染に絶対に追い付かれない
とこまで行くか?」

狸娘「えっ?……どこまで行くんですか?」

ぎゅっ

もみっ

狸娘「……きゅうん!」

「……こないだの続きだよ」

ちゅっ

狸娘「きゅん……」

ぎしっ……

狸娘「えっ……」

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

狸娘「こ、これって、いわゆるその、こ、交尾を……」

「……嫌か?」

狸娘「い、いえ……嫌じゃないですけど……どうしよう、なんか
緊張……」

「大丈夫だって。いつもタヌキの時に俺に撫でられてる時みたいに
リラックスしてれば」

狸娘「きゅうん……」

するっ

狸娘「んっ……なんで……恥ずかしいんだろ……」

むにゅっ

狸娘「きゅっ!」

狸娘「(お、おっぱい……)」

104 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:29:54.89 zDPIi5AAO 47/83

ちゅぱっ

れろっ……

狸娘「きゅうん!」

「下……脱がすぞ」

するっ

……………………

狸娘「やだ……恥ずかしいです……」

「何言ってんだよ、タヌキの時はいつもこの状態なんだぞ?」

狸娘「だ、だって……」

「じゃあ、俺も脱ごうか。なら同じだろ?」

するっ

狸娘「…………///////」

狸娘「(お、男さんの裸……ってか、人間のオスのアソコって、こんな
形してんだ……)」

「……おい、そんなにガチに見つめんなよ、俺も恥ずかしいじゃないか」

狸娘「……これが……入るんですよね?」

「……大丈夫か?大丈夫じゃないんなら無理しなくて……」

狸娘「いえ!大丈夫ですっ!」

「気合い入ってんな……」

狸娘「じゃ……んしょっと」

ぎしっ

「……えっ?いきなり……バック……?」

狸娘「……え?何か変ですか?」

「(あ、そうか……タヌキだからな……)」

「いや、何でもないよ……じゃ……行くぞ」

狸娘「は、はいっ!」

「力抜いて……」

……………………

狸娘「きゅうん……っ!」

「……っ、」

105 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:30:58.09 zDPIi5AAO 48/83

狸娘「あ、あ、熱いです……なんか……熱い……」

「……行くぞ」

狸娘「へ?………」

ずっちゅずっちゅずっちゅ

狸娘「きゅうんっ!ああんっ!」

「はぁ、はぁ、はぁ!」

パンパンパンパンパン

狸娘「きゅうんっ!なんか、溶け、ちゃうんっ!」

ぎしっぎしっぎしっぎしっぎしっ

狸娘「きゅうんっ!きゅうんっ!」

狸娘「男……さんっ!……好きっ!好きっです……っ!」

「うっ……俺も……好きだ……ぞっ……うっ!」

ずびゅっ!ずびゅっ!

狸娘「きゅうんっ!」

ずびゅっ!ずびゅっ!

「……ああっ……!」

……………………

「はぁ……はぁ……ちょっと夢中で……時間制限の事すっかり
忘れてたぜ……」

タヌキ「きゅうん……きゅうん……」

「おい」

タヌキ「……きゅう?」

「もうこの際だから言っとくぞ。幼馴染の事だけどな」

タヌキ「……きゅう」

「あいつ、結婚するんだぞ。相手知らないけど」

タヌキ「……きゅうんっ?」

がばっ

「うわっ!……だからさ、俺と幼馴染がどうこうってのは絶対に
無いんだよ。解ったか?」

106 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/18 17:31:41.66 zDPIi5AAO 49/83

タヌキ「……きゅうん」

すりすり

「ったく、しょうがないヤツだ」

なでなで

タヌキ「……くー、くすぴー」

「……な、何だ?……安心して寝ちゃったのか……ったく」

タヌキ「すー……すー……」

タヌキ「(男さん……すごく……あたたかいです……)」

125 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 02:38:41.25 49eoiGKAO 50/83

【タヌキとして、人間として】

「んっ……ふぁぁぁ……良く寝た……今何時だ?」

………………

「もう昼かよ……さすがにこう言う生活は不健康だな……」

タヌキ「んっ……ふぁぁぁ」

「……お、お前も起きたか」

タヌキ「……///////」

「……何だよ、その上目遣い」

なでなで

タヌキ「きゅうん……」

すりすり

「おいおい、何だよっての。随分と甘えてくるな……」

タヌキ「きゅうん♪きゅうん♪」

「………………」

「あのな、一応言っとくが……今はヤらないからな?」

タヌキ「きゅ、きゅうん?」

「きゅうん?じゃねえよ。さすがにタヌキの姿でヤるのはマズいだろうが」

タヌキ「……きゅうん……」

「まあ、確かに俺も童貞捨てた頃は猿の様にヤりまくったもんだが……」

タヌキ「きゅうん」

「それとだ。一応俺自身の名誉の為に言っとくと、今のお前じゃ
入らないからな?物凄く痛いぞ?」

タヌキ「……きゅうん」

くるっ

タヌキ「……きゅうん……」

「確認してんじゃねえよ」

ぺしっ

タヌキ「きゅうんっ!」

126 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 02:39:12.92 49eoiGKAO 51/83

「さぁ、例によって今日も暇なんだが……」

タヌキ「きゅうんっ」

ずりずり

「何だよ、その袋……あっ!こないだ借りたDVD、期限が今日まで
じゃないか!」

タヌキ「きゅうん、きゅうん」

「ふぃー、危ねえ危ねえ。返しに行く……ついでに飯でも買いに行くか」

タヌキ「きゅうん♪」

「……お前も一緒に行くか?」

タヌキ「きゅうん」

タヌキ「んんんんんっ……」

……………………

タヌキ「はぁ……はぁ……はぁ……」

「……えっ?おい、どうしたんだよ……化けられないのか?」

タヌキ「……きゅうん」

「えっ……まさか……化ける力が無くなっちまったとか……」

タヌキ「きゅうん、きゅうん」ふるふる

「……お前……もしかして、こないだ修行して化ける力がアップ
したとか言ってたけど……無理してたな?」

タヌキ「……きゅう」

「全くお前ってヤツは……どうする?留守番か?」

タヌキ「きゅう、きゅう!」

「やれやれ……じゃあ、そのままで一緒に行くか?」

タヌキ「きゅうん♪」

127 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 02:39:46.86 49eoiGKAO 52/83

……………………

タヌキ「きゅっ♪きゅっ♪きゅっ♪」

「おーい、あんまりハシャぐなよ。こないだみたいにまた車に
跳ねられっぞ」

タヌキ「きゅうん♪」

「(そう言やこいつ、あんまり外出ないもんな)」

「(変身の時間制限の事もあるが……たまには散歩もいいかも知れないな)」

タヌキ「きゅうん♪きゅうん♪」

「……あんまり道端の雑草食うんじゃないぞ。腹壊すぞ」

タヌキ「きゅうん」

「(こいつも……楽しそうだしな)」

「さて、着いた着いた」

タヌキ「きゅう♪」

「さて、俺はDVD返して来るから、お前はここで待ってろ」

タヌキ「きゅ、きゅうん?」

「あのな、TSUTAYAに限らず大抵の店は動物は立入禁止なんだよ」

タヌキ「きゅうん……」

「今日はまだ変身出来ないんだから、我慢しろ。な?」

タヌキ「……きゅうん」

……………………

タヌキ「……きゅうん」

タヌキ「(男さん、まだかな……)」

タヌキ「(またえーぶい探してるのかな)」

タヌキ「ふぁぁぁ……」

「(おい)」

タヌキ「……ふにゃ?」

128 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 02:40:36.06 49eoiGKAO 53/83

「(お前……こんなとこで何やってんだ)」

タヌキ「(あ……オスダヌキ君……)」

オスダヌキ「(随分と久し振りじゃないか。里からいなくなったから、
心配したんだぜ)」

タヌキ「(べ、別にいいじゃない!)」

オスダヌキ「(あの時君に交尾を断られて噛みつかれて以来だから……
半年以上振りか?)」

タヌキ「……うーっ!」

タヌキ「(うるさいなぁ!また噛みつくよ!)」

通りすがりの女子高生A「ねー、何かタヌキがケンカしてるよ?」

通りすがりの女子高生B「あ、ホントだー。可愛い♪」

タヌキ「(もう、あたしの事はほっといてよ!)」

オスダヌキ「(そうはいかないんだよな……君、化け力を人間の前で
使ってるだろ?)」

タヌキ「(うっ……)」

オスダヌキ「(無闇に人間の目の前で化け力を使っちゃいけない……
ってタヌキの掟、知らない訳じゃないよな?)」

タヌキ「(そ、それは……)」

オスダヌキ「(……ん?)」

くんかくんか

オスダヌキ「(君……まさか……さっきの人間の男と……)」

タヌキ「(///////……い、いいじゃないっ!別に、あんたの知った事じゃ
ないでしょっ!)」

129 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 02:41:33.01 49eoiGKAO 54/83

オスダヌキ「(何てバカな事をしたんだ……いいか、タヌキは人間の
子供なんか産めやしないんだ。そんな事をして何になる?)」

タヌキ「(う……うるさぁい!いいじゃないっ、男さんの事、好き
なんだからっ!)」

オスダヌキ「『すき』……?君は一体何を言ってるんだ」

タヌキ「(オスダヌキ君には一生解んない気持ちよ!)」

オスダヌキ「(……いいか、里に帰れ。ここは君のいる場所じゃないし、
ましてやあの人間の男と一緒にいたって幸せになれない。君のやってる
事はタヌキとして間違ってる)」

タヌキ「(うるさいうるさいうるさぁい!あたしは里に帰らない!
男さんとずっと一緒にいるんだもん!)」

「おーい、待たせたな。麻美ゆまの新作が出てて……あれ?どうしたんだ、
このタヌキは……」

タヌキ「(あ、男さん……)」

オスダヌキ「(……また来るよ。それまでに考え直しとく事だな)」

……………………

「あれ?どっか行っちゃった……なあ、知り合いか?」

タヌキ「……きゅん」

てててっ

「おいおい、何だよ」

133 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 17:58:27.53 49eoiGKAO 55/83

【掴んだ拳、殴る拳1】

社長「おい、課長」

課長「あ、はい社長。何でしょう?」

社長「お前……男を辞めさせたそうだな」

課長「……辞めさせたと言うか、あの馬鹿から辞めるって言い出した
だけでして。だったら締め日までで良いよってそれだけですよ」

社長「それがマズいんだよ」

課長「は、はあ……」

社長「確かにな、社員には2、3年でさっさと辞めて貰ってサイクルを
早くした方が給料を下手に上げなくて済むから人件費が浮く。だがな、
やり方だよ、やり方」

課長「やり方、ですか」

社長「最近、労基にチクった馬鹿がいたらしくてな。昨日も労基に
突っつかれたんだよ。サビ残とか、給料の中抜きとか」

課長「……誰なんですかね、チクった馬鹿野郎は……捜しますか?」

社長「てめえは余計な事考えなくていいんだよ……まあ、労基なんざ
端っからやる気の無い木っ端役人の集まりだから何とかやり過ごしたが
……今まで出て来た事の無い連中が出て来たって事は、これから余り
派手にやれないって事だ。こんだけ言やあ、お前の少ない脳みそでも
解るだろ?」

課長「……はい」

134 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 17:58:55.01 49eoiGKAO 56/83

社長「とにかく、次からは目立たない様にやれよ。でないと……
次はお前だからな」

課長「……はい」

……………………

課長「(……何言ってやがる)」

課長「(人件費削減だと……一番の無駄は……てめえの馬鹿息子
だろうが……)」

つかつかつか

社長息子「よお、課長さん♪何怖い顔してんすかぁ?」

課長「あ……これは……主任……おはようございます」

社長息子「なぁなぁ、今のどったの?親父に怒られた訳?ギャハハハ!
だっせえ!クビになんよ?ク・ビ・に!」

先輩「何お前、こいつクビに出来んの?ギャハハハ!」

課長「……あの……主任……こちらの方は?」

社長息子「あ?お前にカンケーねえだろ?俺の先輩だよ」

課長「主任……社内に部外者を入れるのはどうかと……」

社長息子「……ああ!?」

がすっ!

課長「ぐあっ!」

社長息子「お前口に気を付けろよ?俺の先輩だぞ?部外者じゃねえんだぞ?あ?」

課長「……は、はい……」

先輩「ひゅう、お前やるじゃん♪」

社長息子「楽勝っすよ、こいつカスだから♪」

課長「ぐっ……」

ぎりっ……

135 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 17:59:36.68 49eoiGKAO 57/83

……………………

~コンビニにて~

課長「いてて……ちくしょう……」

課長「あのクソガキ、社長の息子でさえなけりゃぶっ殺してやるんだがな……」

コンビニ店員「ありがとうございます、1350円になります」

課長「……おい」

コンビニ店員「……はい?」

課長「はい?じゃねえだろ、誰が雑誌とビール一緒に入れていいっつったよ?
雑誌が濡れるだろうがコラ」

コンビニ店員「も、申し訳ございません!」

課長「てめえ名前何てんだ……ああ、しっかり覚えたからな、次は
覚えとけよ」

コンビニ店員「あ、あの……」
がーっ

課長「ちっ……イライラがおさまんねえや……帰って酒でもかっくらって
寝るか……ん?」

「ふぅ、寒い寒い。狸娘のヤツ、ビール苦いからヤダとか贅沢
言うなよな……酔えりゃ酒なんて何でもいいだろっつうの……おかげで
買い出しだよ……」

課長「おい!」

「……ん?」

「(ば……馬鹿課長……)」

「…………」

すたすた

課長「………………」

ぐいっ

課長「おい、何シカトしてんだよ?挨拶はねえのかよ挨拶はよ?」

「………………」

136 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 18:00:32.41 49eoiGKAO 58/83

課長「おいこら、ナメてんのか?」

「……する必要、無いでしょう」

課長「……んだと?」

「部下を奴隷みたいにこき使ってぶん殴っといて、辞めるとなったら
ゴミみたいに捨てる……お互いもう上司と部下でも無いんですから関係無い
でしょう」

課長「……お前、誰に向かって口きいてんだ?あ?」

……………………

オスダヌキ「(うー、寒い寒い)」

オスダヌキ「(最近は人間も景気が悪いからな、残飯の質も落ちて
仕方がない……)」

オスダヌキ「(……あいつにはえらそうに言っちまったが……こんな
とこ……見せられないな)」

オスダヌキ「(ったく……俺みたいな見栄っ張りな馬鹿ダヌキもいないよな……)」

オスダヌキ「(ま、俺みたいな野良ダヌキがメシにありつけるだけまだ
マシか……ん?あれは……)」

オスダヌキ「(あいつと一緒に済んでる男じゃないか……片方は……
誰だ?)」

オスダヌキ「(何か……揉めてる様だな……)」

……………………

「……誰でもないですよ、ただの他人でしょう」

課長「てめえ……」

ぼかっ!

「ぐわっ!」

どさっ!

オスダヌキ「(お、おいおい)」

137 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 18:01:34.65 49eoiGKAO 59/83

課長「てめえのせいでな、俺は社長からドヤされるわ社長のクソガキに
ど突かれるわで散々なんだよ!」

どかっ!

「ぐっ!」

課長「ったく……てめえみてえなのが下にいたのがけちだったんだよ。
ちいっと厳しくしただけでごねやがってクソが……」

「うう……」

課長「くそったれが……」

つかつかつか

……………………

オスダヌキ「(なるほど……何となく見えてきたな)」

オスダヌキ「(ふ……弱い者ほど牙を剥きたがるのは、人間も同じか……
ん?また誰か来たぞ……この匂いは……)」

狸娘「男さぁん!」

たたたたっ

オスダヌキ「(あいつじゃないか……おっと、ここで見つかりたく
ないな……隠れるか)」

「うっ……」

狸娘「……っ!男さんっ!どうしたんですか!?」

だっ

狸娘「ち……血が出てる!誰にやられたんですか?」

「くっ……ちょっとな……前の職場の上司に因縁付けられちまってさ……」

狸娘「怪我が……舐めたげましょうか……?」

「い、いいよ」

狸娘「ごめんなさい……あたしがビールやだって言ったばっかりに……」

138 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/21 18:03:01.63 49eoiGKAO 60/83

「はは、大丈夫だよ……いてて」

狸娘「肩、貸しましょうか?」

「……ああ、頼むよ……あいつ、ちっとは手加減しろっての……いてて」

狸娘「どうしよう……警察とか、行きます?」

「……いいよ。どうせ警察に行ったってこっちもめんどくさいだけだし、
あいつらにはもう関わりたくないからな」

狸娘「きゅうん……じゃあ、今晩の交尾はお預けですね……」

「いや、それは別腹で」

狸娘「……もう!心配して損したっ!」

「いててっ、痛いのはマジなんだってば」

狸娘「もう、化けてあげないっ!ずっとタヌキのままでいるっ!ぷんっ!」

「おいおい、怒んなよ」

……………………

オスダヌキ「(………………)」

オスダヌキ「(……やれやれ、世話の焼ける2人だ……)」

146 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:46:31.62 KTE/8XxAO 61/83

【掴んだ拳、殴る拳2】

狸娘「はぁい、出来ましたぁ♪特製茹でドングリ♪」

幼馴染「へえ、ドングリって食べれるんだ?」

狸娘「はい、とってもおいしいですよ♪」

「………………」

「(幼馴染に婚約者がいると知ってから、狸娘の機嫌がすこぶるいい)」

「(ったく……)」

幼馴染「ところでさぁ、男君」

「ん?」

幼馴染「警察、行きなよ。ばったり会った元部下に因縁付けて暴力なんて
普通じゃないよ?」

狸娘「だってぇ、あたしも言ったんですけど、男さん、どうしても
行きたがらないんです」

「……あのな、無駄なんだよ」

幼馴染「無駄?」

「……一度、会社であいつに殺すぞって脅された事があって、それで
警察に行った事があるんだ」

幼馴染「そうだったんだ?で、どうだったの?」

「そしたら警察が、『被害を受けたって証拠を提出出来るか』ってさ」

幼馴染「つまり……どう言う事?」

「証拠さ。脅されたって証拠、つまりは録音したモノがあるかって
事さ」

幼馴染「そんな!じゃあ、会社で一日中ボイスレコーダー回したまま
仕事しろっての!?」

147 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:46:58.60 KTE/8XxAO 62/83

「まあそう言う事らしい。提出出来なかった場合は嘘の被害届を
出したって事で逆に罪になる可能性があるよって言われて、それで
どうしようもなくて帰って来たんだ」

幼馴染「無茶苦茶じゃない、そんなの……」

「まあ、他にも色々あるんだけどな。給料全額貰えてなかったり、
でも当時はそんな事考える余裕すら無い生活してたからな……今と
なっちゃもうどうでもいいけどさ」

幼馴染「でも……泣き寝入りってムカつくよね……」

……………………

~ギコネコ興産社内~

どっがぁぁん!

課長「ボケがぁゴルァ!てめえ全然ノルマ達成出来てねえじゃねえか!
何やってたんだ!」

社員「は、はい……」

課長「はいじゃねえだろ!前月比200%だぞコラ解ってんのかぁ!
出来なきゃ土下座でも脅してでも契約取ってくんだよ!」

社員「す、すみません」

課長「謝る暇があったら……とっとと外回り行きやがれぇっ!」

がっしゃぁぁん!

社員「………………」

社員「ぶつぶつ……殺してやる……ぜってえに……」

さっ

新聞屋「毎度ぉ♪」

148 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:47:38.17 KTE/8XxAO 63/83

課長「ああ?んだぁ?」

新聞屋「毎度毎度、ぬるぽ新聞の者ですが♪」

課長「……ちっ、勧誘か?うちぁな、別の取ってっからいらねーんだよ」

新聞屋「そんな事言わないで、ひと月だけでいいですから?今ならほら、
洗剤も付けちゃいますよぉ♪」

課長「いらねぇっつってんだろが!帰れ!」

新聞屋「ひぃぃっ!」

ドタバタ

……………………

新聞屋「………………」

新聞屋「(なるほど……さっきの社員と言いヤツの言動と言い、この
会社も一枚岩ではないと言う事か……)」

新聞屋「(ふ……崩すのは意外と容易そうだな)」

新聞屋「(少し、遊んでやるか)」

……………………

課長「おい、お前」

社員「………………」

課長「……聞こえねえのかっ!」

社員「……聞こえてるよ。どうせノルマがどうのって話だろ?」

課長「なっ………!」

社員「やれやれ……俺が契約取って来ねえとあんたのクビも危ない
みたいだからな。外回り、行って来てやるよ」

課長「てめえっ!その口の利き方は何だっ!」

課長「……くそっ!」

どかっ!

149 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:48:42.95 KTE/8XxAO 64/83

……………………

社長「おい、課長」

課長「……はい?」

社長「お前のところ、今月の営業成績が振るわないよな。ちゃんと
やらせてんのか?」

課長「……へっ」

社長「……何?」

課長「そんなに契約が欲しけりゃあんた直々に営業に回りゃいいじゃ
ないですか。みんなやってるみたいに、頭下げて、土下座でもして
みりゃどうですか?まあ、あんたにゃ無理でしょうがね」

社長「き……貴様っ!」

……………………

先輩「よう」

社長息子「……はい?」

先輩「……んだよ、連れねえ返事だな。なあ、また女回してくれよ。
お前んとこ、女子社員新しいの入ったんだろ?」

社長息子「……ふぅ」

先輩「……あ?」

社長息子「ったく、女女って、その包茎粗チンでよく女抱きたいとか
思えますよね」

先輩「なっ…………!」

社長息子「あんたに回す女がいたら俺がヤりますよ。あんたにゃ、
俺の中古で充分だよ」

先輩「て、てめえっ!」

社長息子「おっと怖い怖い。じゃ、また」

たたたたっ

先輩「野郎!ぶっ殺してやる!」

150 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:49:46.13 KTE/8XxAO 65/83

……………………

社長息子「………………」

さっ

ぴっぽっぱっ

ぷるるる……

社長息子「……あ、週刊NIPさんですか?実はですね、飛びっきりの
ネタを提供しに電話したんですよ……ええ、おたくも知ってるでしょ?
ネットでも噂のギコネコ興産ですよ……」

……………………

「ふーむ……」

かちかち

狸娘「あーっ!男さん、またエロ画像集めてる!」

「エロ画像じゃねえよ、エロ動画だよ」

狸娘「おんなじですっ!」

「……あれ?」

狸娘「……どうしたんですか?」

「Yahoo!のニュース……俺が働いてたギコネコ興産が出てる……」

『ネットで噂のブラック企業、遂に警察のメス』

『社内の惨劇……会社社長が密室で部下を殺害』

『労働基準法違反発覚……給料の中抜き、社内の暴力も』

『VIP町繁華街で男性の死体発見』

『身元はギコネコ興産社長の息子と判明』

『前代未聞のスキャンダル……社内の女子社員をレイプ!』

『ソース:週刊NIP』

狸娘「うひゃあ……ものすごい事になってますねぇ……」

「……どっからバレたんだろうな……あの馬鹿社長、悪知恵だけは
働くのに」

151 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:50:43.18 KTE/8XxAO 66/83

ぴろぴろぴろん♪

狸娘「あ、電話……」

『着信:幼馴染』

「やれやれ……あいよ」

幼馴染『ねえ、大ニュース、大ニュース!』

「……ああ、俺も今ネットで見てるよ」

幼馴染『……なぁんだ、つまんない』

「まあ、いずれはこうなるとは解ってたけどね」

幼馴染『そうね……ね、ところでさ』

「何だよ」

幼馴染『私さ、来年結婚式挙げるんだけど、来てくれるよね?もちろん、
妹さんも一緒に』

「……ああ、結婚するんだったな。すっかり忘れてた」

幼馴染『もう!』

「スピーチでありもしない君とのスキャンダルをぶちまけていいか?」

幼馴染『男君ならやりかねないわ……』

「ははは、詳しい日取りが決まったら連絡くれよ」

……………………

~その夜~

ぎしっ……ぎしっ……

狸娘「あうっ……んんっ!」

「……痛いか?」

狸娘「……ううん、痛くないです……どっちかと言うと……気持ち……
いいです」

「ふふふ……気持ち良かったら、声出してもいいんだぞ?」

狸娘「そんな……ネコみたい……」

ぎしっ……ぎしっ……

狸娘「や、やぁぁぁんっ!」

152 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 11:51:37.40 KTE/8XxAO 67/83

……………………

オスダヌキ「(狸娘………………)」

オスダヌキ「(最後に……君の顔が見られて良かったよ)」

オスダヌキ「(本当は……君といたかったんだが……)」

オスダヌキ「(………………)」

オスダヌキ「(不思議だな、こんな気持ち……)」

オスダヌキ「(男君…………)」

オスダヌキ「(ささやかだが、あれは俺からのお礼だ)」

オスダヌキ「(あいつを……幸せにしてやってくれ)」

オスダヌキ「(……じゃあな)」

……………………

「(気怠い眠りの中、俺は狸娘の暖かさを感じていた)」

「(暖かさ。匂い。柔らかさ))」

「(そのどれもが心地良い)」

「(俺は夢を見ていた)」

「(この部屋で、二人寄り添って暮らす俺とあいつ……)」

「(そして……いつものように遅い朝)」

「(目が覚めた時……あいつは、いなくなっていた)」

157 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 14:49:22.36 KTE/8XxAO 68/83

【世界で一番寒い、夜。】

「(夕方近くになっても、あいつは帰って来なかった)」

「(留守番したり、一緒に出掛ける事はあってもあいつ一人で
どこかに行くなんて事は今まで無かったのに……)」

……………………

「おーい、狸娘ー!」

「…………ったく、どこに行ったんだよ……」

「あ……ここは確か……あいつと初めて会った場所だ……」

きこきこ

通りすがりのオッサン「……よお、あんちゃんじゃないか」

「え?……あ、あの時のおじさん……」

通りすがりのオッサン「どうしたんだよ、こんなとこでキョロキョロして。
探し物かい?」

「え、ええ、まあ」

ぶろろろ……

通りすがりのオッサン「おっと危ねえ。この国道は車がやたらと
車が飛ばすから危なっかしくて仕方ねえや」

「そうですね……」

通りすがりのオッサン「この前もさ……そうそう、あんちゃんに会った
次の日かな。ほれ、そこの川縁の草むらでタヌキが死んでてな。
多分、車にでも跳ねられたんだろうが……」

「……タヌキが?」

158 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 14:50:04.04 KTE/8XxAO 69/83

通りすがりのオッサン「ああ。だがよ。不思議な事に足にハンカチ
巻いててな。……まあ、誰かが手当てしたんだろうが助からなかった
んだろうなぁ」

「っ!」

がばっ!

通りすがりのオッサン「な、何でえ?」

「……それ……本当……ですか?」

通りすがりのオッサン「ほ、本当さ。ここらへんはタヌキの事故が多いからな。
定期的に役所の連中が死んだタヌキの処理に
くっからよ。俺はいつもここ散歩してんだが、たまたま遭遇しちまったって訳さ」

「……そ……そんな……それで!そのタヌキはどうなったんですかっ?」

通りすがりのオッサン「良くは知らないがよ、どうせ焼却処分だろ?」

……………………

「(それから……どうやって家に帰り着いたか覚えていない)」

タヌキ『きゅうん♪』

タヌキ『きゅ♪きゅ♪きゅ♪』

狸娘『やったぁ!今度はうまく化けれたぁ♪』

狸娘『あの日男さんに助けてもらってからどーしてもお礼がしたくて、
でもタヌキのまんまじゃ人間語がしゃべれないから、一生懸命練習
したんですよ♪』

狸娘『お、男さん、あたしの身体で精液出して下さいっ!////////』

159 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 14:50:58.41 KTE/8XxAO 70/83

狸娘『……だってぇ……あたし、車に跳ねられてケガしてるのを
男さんに手当てしてもらって……だから、あたし、恩返しに来たんです』

……………………

「(……馬鹿野郎……)」

「(たかがハンカチ巻いてやったぐらいで……死んでから恩返し
なんかに来るなよ……)」

「(なんで……なんで……)」

「(会いたい……会いたい……)」

「(お前と……一杯行きたい所あったのに……見せたい物も一杯
あったのに……)」

「(お前だけ……勝手にいなくなるなんて……ずるいぞ……)」

……………………

「(……俺はそれから、この寒く、暗い部屋でどれぐらいの時間を
過ごしたか覚えていない)」

「(ただ覚えているのは、人間ってこんなに涙が出るんだって事)」

「(……あいつが好きだった焼酎)」

「(好きなくせに、たったの一杯でへろへろになる焼酎)」

「(俺は、空っぽの胃の中にその焼酎を流し込んだ)」

「(あいつとの思い出を、体の中に流し込んだ)」

「……うぐっ!げほっ!」

「ごぼっ!おえっ!」

「(……このまま死んでも構わない)」

「(あいつがいないなら……生きていても仕方無い)」

160 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/23 14:51:49.39 KTE/8XxAO 71/83

「(俺は……狸娘に……惚れていたんだ)」

「(人間だとか、タヌキだとか関係無い)」

「(たまたま好きになった相手が、人間に化けられるタヌキだった、
それだけの事だ)」

「(でも……今はもう……)」

「(寒い…………)」

「(狸娘……暖めて……くれよ……)」

「(狸娘……愛しているよ……)」

164 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/24 01:00:33.89 75Ge5Z8AO 72/83

【さよならの向こう側】

~市役所、鳥獣害対策室~

職員「あのぅ、室長」

室長「ん?何だ?」

職員「何か、事故タヌキの処分の事で訊きたいって人が来てるんですけど」

室長「……うん、対応してくれよ」

職員「でも……なんか髪とかヒゲとかボサボサで、顔色もスッゴく
悪くてげっそりやつれてて」

室長「………………」

職員「………………」

室長「……解ったよ、俺が対応するよ」

……………………

室長「はい、どうされましたか?」

「あの……えっと……10月23日にモナー町2丁目で事故って死んだ
タヌキの事で訊きたいんですが……」

室長「10月23日ですか?」

「はい……足にハンカチを巻いたタヌキなんです」

室長「……事故で死んだ動物は供養した後、焼却処分になる事に
なっておりまして……ハンカチの持ち主の方ですか?」

「ええ……はい」

室長「まあ……野生動物の死体に巻かれていたハンカチですから、お引き取りに
なるのは余りお勧め出来ないんですが……少々お待ち下さい」

……………………

室長「お待たせ致しました。確かに10月23日、うちの方で事故タヌキを
処理しております」

「やっぱり……」

165 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/24 01:01:20.14 75Ge5Z8AO 73/83

室長「当該のタヌキの死骸は既に焼却処分しておりまして……こちらがその
ハンカチです。どうぞ」

「……えっ?」

室長「……どうされました?」

「違う……俺があいつに巻いてやったのは、こんなレースが付いた
ピンクのハンカチなんかじゃない……もっと普通の……グレーの……
すいません、他にいないんですか?ハンカチ巻いたタヌキ!」

室長「(……めんどくせえ野郎だな)」

室長「……少々お待ち下さい」

……………………

室長「お待たせ致しました。10月23日から前後1ヶ月の記録を調べましたが、
事故タヌキの処理記録自体こちらにはございませんでした」

「そう……ですか。……ありがとうございました」

……………………

「(俺の足は、もう一度、あいつと初めて会ったあの場所に向かっていた)」

「(道端の側溝……)」

「(近くの田んぼ……)」

「(そして、川縁の草むら……)」

「(俺は探した)」

「(『確証』を得る為に……)」

がさがさ

「いない……」

がさがさ

「ここも……いない……」

子供「ねーママー、あの人何してるの?」

母親「しっ!見ちゃいけません!」

166 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/24 01:02:31.45 75Ge5Z8AO 74/83

……ざーっ

「……っ、雨かよ……」

がさがさ

「狸娘…………」

「……うわっ!」

ずるっ!

ずざざっ!

……ばっしゃぁん!

「……くそっ!」

「(雨はいつしか、少し先すらも見えないぐらいの土砂降りに
なっていた)」

「(それでも何故か……ここを立ち去る事が出来なかった)」

……………………

「(いつの間にか、雨は上がっていた)」

「(寒い風が、俺の体から体温を奪う)」

ぱしゃ……

ぱしゃ……

「(今更……家に帰ったって、誰もいないのに……)」

かつ……かつ……

「(髪から滴る雨の水滴が、階段に染みを作る)」

「(俺は、顔を上げた……)」

「…………っ!」

狸娘「……あっ!男さん!」

だっ

がばっ!

「お……お前……」

狸娘「ふえーん!」

「ど……今までどこに……その袋は……ドングリ?」

狸娘「ぐすっ……あの、初めて来た時にドングリが美味しいって
言ってくれたから……もうすぐ男さんの誕生日だし……山にドングリ
取りに行ってたら道に迷っちゃって……匂いたどって帰ろうと思ったら
雨降って来ちゃうし……」

167 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/24 01:03:39.83 75Ge5Z8AO 75/83

「……馬鹿だなぁ……お前……俺の誕生日、先月だぞ?」

狸娘「……へ?」

「ははは、まったくお前らしいよ」

狸娘「ってか……男さん、どうしたんですか!?こんなにべしょべしょに
濡れちゃって……服も泥だらけだし……顔色も悪いですよ!?」

「え?は、はは、ちょっとな……」

狸娘「早くお風呂一緒に入ってあったまりましょうよ♪……んで、
その後は……うふ♪」

「……全く……俺がこんなに心配してたっつうのに、お前って奴は……」

狸娘「きゅ、きゅうん」

「さ、中に……は……い……」

ふらっ

どさっ!

狸娘「男さん!?」

狸娘「男さん!男さん!」

173 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/25 01:20:12.22 AXOKfUKAO 76/83

【I LOVE YOU】

医者『アルコールの過剰摂取によって内臓が傷んでいるところへ
風邪のウィルスが入った事による炎症でしょう』

医者『2、3日入院して頂いて、後は自宅療養で構わないでしょう』

医者『主にスポーツドリンクを飲ませてあげて、食欲が戻ったら
お粥等の消化の良い物を食べさせてあげて下さい』

……………………

幼馴染「全くもう、あんたは何やってんのよ!」

「いいじゃねえか、色々あんだよ」

狸娘「きゅうん……ごめんなさい、あたしが黙って出てっちゃったり
したから……」

幼馴染「いいのよ。悪いのはこの馬鹿なんだから」

ぺしっ

「いてぇ!ちくしょう、こっちは病人だぞ!ちったあいたわれっての!」

ぐつぐつ……

狸娘「あ、ドングリおかゆ出来たみたい!」

たたたっ

狸娘「はい、おまちどおさま♪」

……ぐうぅぅぅ

「……………………」

幼馴染「それだけ食欲が回復してりゃ、もう大丈夫ね。おかゆ、
イッキする?」

「お前はいつからそんなキャラになったんだ」

狸娘「はい、男さん、あーん」

174 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/25 01:20:40.00 AXOKfUKAO 77/83

「あーんて」

狸娘「いーから!食べさせてあげるの!」

「……解ったよ」

ぱくっ

「あちぃっ!おい、ふーふーぐらいしてくれよ!」

狸娘「ご、ごめんなさい……」

幼馴染「………………」

幼馴染「あ、私飲み物買って来るわね」

狸娘「あ、あたしも行きます♪」

幼馴染「いいのよ、男君のそばにいてあげて」

狸娘「……はぁい」

がちゃ

ばたん

「(あいつ…………)」

狸娘「ふーふー……はい、あーん」

「………………」

ぱくっ

もぐもぐ

狸娘「どお?おいしい?」

「………………」

狸娘「……あれぇ?おいしくなかったんですか……?」

「……なあ」

狸娘「はい?」

「タヌキってさ……人間と違って、一度くっついた夫婦は絶対に
別れないんだってな」

狸娘「んー、そうですね。その代わり、子供の独り立ちは早かったり
しますけど」

「そのさ……相手が、俺じゃダメかな……?」

狸娘「……へ?」

「あ……いや、何でもない」

狸娘「………………」

「………………」

狸娘「……でも……あたし、時々タヌキですよ?」

175 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/25 01:21:09.80 AXOKfUKAO 78/83

……………………

「(その日の夜は、いつにもまして冷えた)」

「(吐く息は白く、上着の下に何枚も重ね着しないととてもじゃないが
外なんか歩けやしなかった)」

狸娘「あ……ここは……あたしが車に跳ねられちゃったとこだ」

ぶろろろ

狸娘「きゅんっ!びっくりしたぁ!」

「……ここでさ、同じ様に車に跳ねられちゃて死んだタヌキが
いたんだ」

狸娘「………………」

「どこかの誰かが俺と同じ様に怪我をした足にハンカチを巻いて
やったんだけど……そのタヌキは、結局助からなかった」

狸娘「可哀想……」

「……よし、ここらへんでいいかな」

がさがさ

狸娘「ね、男さん」

「ん?」

狸娘「あたし、お墓ってとこでも見た事あるんですけど……どうして
死んじゃった人に食べ物とかあげるんですか?」

「そうだな……人や動物は死ぬと大抵天国に行くんだが、たまに
帰って来た時に好きな食べ物があると嬉しいだろ?」

狸娘「……そのタヌキ君も、帰って来るかな?」

「多分な」

狸娘「……あっ!」

「うー……冷えると思ったら雪か……」

176 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/25 01:21:42.18 AXOKfUKAO 79/83

狸娘「うー……さむ……雪が積もったら遊びたいけど……ちょっと
寒すぎますね……」

「この辺じゃ雪は降ってもなかなか積もらないよ」

ぎゅっ

「……おい」

狸娘「……うん、ちょっとあったかい……」

「……俺もさ」

狸娘「あたし……男さんの……お嫁さんになったんですよね……」

「えっ」

狸娘「えっ」

「………………」

狸娘「………………」

狸娘「だって!だって!あの時ぃ!」

「あはは、怒るなって」

狸娘「もう!」

ぼむっ

タヌキ「きゅうん!きゅうん!うーっ!」

てててっ

「おーい!俺が悪かったってば!待てよ!」

タヌキ「きゅうんっ!」

~おわり~

183 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/28 17:24:43.33 7LpgC0fAO 80/83

【おまけ1:狸娘と俺の発情期】

「(あれから1ヶ月)」

「(荒れていた俺の体もすっかり回復し、相変わらず俺と狸娘は
のんびりとした生活を送っていた)」

「(彼女はまだまだ未熟で、人間に化ける時も、相変わらずタヌ耳
だけは隠し切れていない)」

「(しかし……こいつって元々タヌキとは言え、化けてる時は
16~7ぐらいの女の子だから……つまり、俺達人間で言うところの
女子高生である訳で……)」

「(……俺は何を考えているんだ、法令遵守法令遵守)」

「(……今更何を言ってるんだと言う気もしないでもないが)」

「(さすがにタヌキ状態でセックスは出来ない)」

「(その代わりと言っては何だが……狸娘が人間状態の時は、
大抵セックスしている)」

「(タヌキの発情期は数ヶ月だと聞いた事があるが、いわば彼女の
場合はそれが365日に無限延長されてしまった訳で……)」

「(化けてるとは言え男は人間で彼女はタヌキだから避妊の必要も
無いし……)」

「(そして何より彼女はあくまで『タヌキ』だから、半ば合法的に
16歳の女の子とげふんげふん)」

184 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/28 17:25:32.75 7LpgC0fAO 81/83

……………………

「ふぃー、やっぱり寒い時にはゆっくり風呂に浸かるに限るな……って、おい」

狸娘「……きゅうん?何ですかぁ?」

「お尻なんか突き出して何て格好してんだよ」

狸娘「だってぇ、ペットボトルの蓋がベッドの下に転がってっちゃって
……ああん、取れないぃっ」

「……………………」

狸娘「……男さん、なんで発情してるんですか?」

「……ホント、お前は鼻が良く利くよなぁ」

狸娘「だってタヌキですもん♪……取れたぁ♪」

「……ったく……」

狸娘「……きゅうん?何ですか?」

「……いいか。今お前は人間に化けてるが、その見た目は16~7歳だ」

狸娘「はい」

「16~7歳と言えば、いわゆる女子高生だ」

狸娘「あたしタヌキだから学校なんか行ってないですよ?」

「話をちゃんと聞け。建前上、女は16歳で結婚出来るから俺が16歳と
セックスする事は理論上は不可能ではない」

狸娘「はい」

「しかしながら27歳が16歳と結婚すると言うのは、これは理論上
ほぼ不可能だ。と言うか現実的ではない」

185 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/28 17:26:20.46 7LpgC0fAO 82/83

狸娘「はい」

「よって、27歳と16歳がセックスする事はほぼ不可能で、婚姻関係に
無い限り警察に捕まってしまう」

狸娘「はい」

「しかし禁じられているからこそ湧き上がる欲望と言うのもある訳で」

狸娘「はい」

「要するに、俺の前で余りエロい格好しないでくれ。理性に自信が
持てない」

狸娘「えー。いいじゃないですかぁ。発情しちゃったら交尾すれば」

がばっ

ぎゅっ

「ダメだ、解っていない……」

「取り敢えず……おい、さっきの格好もう一回やってくれ」

狸娘「え?……こ、こうですか?」

ずるっ

狸娘「きゅうんっ!い、いきなり脱がさないで下さいっ!」

「何言ってんだよ。今さっき、発情したら交尾すればいいって
言ったばかりじゃないか」

狸娘「お、襲われるぅ!」

「ニヤニヤしながら言ってどうするんだよ……っと」

ずぶぶ……

狸娘「んんっ!」

「そのままじゃしんどいだろ?ベッドにもたれなよ」

狸娘「きゅ、きゅうん……せ、せめて服脱がせて下さい……」

「え?たまにはいいじゃん、着たままセックスってのもさ」

狸娘「……前にも言ったけど、やっぱり男さん変態だぁ……」

186 : ◆My48Vfouj.[sag... - 2012/12/28 17:27:08.77 7LpgC0fAO 83/83

ぎしっ、ぎしっ、ぎしっ

狸娘「きゅうん、きゅうん、きゅうんっ!」

「はぁ、はぁ、はぁ」

ぬちゅぬちゅぬちゅ

「たっ……狸娘っ……うっ!」

ずびゅっ!ずびゅっ!

「……っ、はぁっ、はぁっ、」

狸娘「はぁ、はぁ、……きゅうん?……ああっ!」

「はあはあ……何だよ」

狸娘「ふ……服に付いてるっ!」

「え……?……あっ!……途中で抜けちゃってたんだ……夢中で
気づかなかった……素股みたいになってたのか……」

狸娘「きゅうん……だから服脱ごうって言ったのに!」

「わ、悪い悪い……」



おまけ おわり

記事をツイートする 記事をはてブする