【前編】の続き

203 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 18:59:22.96 fvXcJjEM0 166/327

【第四話 泥棒猫マミさん編】

~☆

現在私は4時間目の授業を受けています。

しかし先生が何を言ってるのかなんていつも以上に頭に入ってきません。

今頭にあるのはほむらちゃんとのこと、ただそれだけです。

私はほむらちゃんに放課後告白するのを諦めました。

しかし今日はそれにうってつけといえる程ではないのですが、

きっかけになるような事をちょうど計画していました。

204 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:06:10.86 fvXcJjEM0 167/327

ほむらちゃんはお昼ご飯をカロリーメイトで済ましていると、

以前帰り道家まで送って貰っている途中に言っていました。

なので、今日私はほむらちゃんをお昼に誘うべく、

こっそりお弁当をパパに手伝ってもらいながら朝作ってきたのです。

しかしドジな私は登校中にほむらちゃんと仲良く手を繋げた事に浮かれてしまい、

ついさっきまでそんな大事な事を忘れていました。

205 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:09:50.57 fvXcJjEM0 168/327

先ほどようやく浮かれ気分から嫌でも覚めて、

鞄を持ち上げるといつもより重いという事を意識して気づきました。

あのまま浮かれたままだったら下手をすると家に帰ってから気づく所でした。

危機一髪と云った所です。お昼休みになったらすぐ誘おう。

そしてお弁当を食べてもらってから思いを伝えよう。

そう思って今はただただこの時間が過ぎるのを待ちます。

206 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:12:43.74 fvXcJjEM0 169/327

~☆

予定通りにチャイムが鳴りました。
  
「ほむ…」

急いで立ち上がって、

前の方の席にいるほむらちゃんに後ろから呼びかけようとしますが、

チャイムが鳴るか鳴らないかの時点で既に立ち上がり、

早足で教室を立ち去ってしまいました。

いつもはお昼休みになるといつの間にかいなくなっているという認識でしたが、

まさかこんなに速くどこかに向かうなんて。慌ててほむらちゃんを追いかけます。

207 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:14:52.01 fvXcJjEM0 170/327

「おーいまどかーどこ行くのー?」

さやかちゃんには悪いけど

私には振り返る余裕なんて全くありませんでした。

208 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:16:49.95 fvXcJjEM0 171/327

~☆

ほむらちゃんが向かった先は屋上でした。

まさか誰かと待ち合わせ?…そのまさかです。

そこにいたのは私もよく知っている人物でした。
  
「マミ…あなたどうやってここに来てるのよ…」
 
「ほむらちゃーんこっちこっち!」


209 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:17:57.20 fvXcJjEM0 172/327

ほむらちゃん呼びだなんていったいいつそこまで親しくなったのでしょうか?

ほむらちゃんの表情はこちらからは伺い知ることはできません。

私の目に映るのはマミさんの笑顔とそちらに歩いていくほむらちゃんの背中だけでした。
  
「巴マミ。私をほむらちゃんと呼ぶのだけはやめなさい。

あの子以外にその呼び方で呼ばれるのは我慢ならない事だから」

それはいったいどういう意味なんでしょうか。

マミさんの笑顔が少し強張りました。

210 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:18:54.94 fvXcJjEM0 173/327

「ご、ごめんなさい次から気をつけるわ」

ほむらちゃんがマミさんの隣に腰をおろしました。

マミさんはなにか言いたそう顔をしています。

ほむらちゃんはそれに構わず無表情でお弁当を開けています。

マミさんが言いました。
  
「だったらほむほむって呼んでも構わないかしら?」

211 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:23:40.43 fvXcJjEM0 174/327

そんな…馬鹿な…。

私は足から力が抜けてしまい地面にぺたりと座り込んでしまいました。

それは前に私がマミさんにほむらちゃんと仲良くなるにはどうしたらいいかを相談した時に、

うっかりほむらちゃんをこう呼びたいと漏らしてしまったニックネームです。

…マミさんも敵なのかな?

212 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:25:47.83 fvXcJjEM0 175/327

一度心に膨れ上がった疑惑はとどまる所を知らず私の心をじわりじわりと蝕んでいきす。

…でもほむらちゃんはそんなおちゃらけた呼び方嫌がるに違いありません。

だから私も今までどういう話題を出していいのか困っていたのだから。

「別にかまわないわ。さっきの呼び方以外ならあなたが呼びたいように呼べばいい。

ただ前もって言っておいてくれないとそれに返事ができる保障は出来ないけれど」

213 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:26:37.34 fvXcJjEM0 176/327

「それじゃ呼ぶのが鹿目さんだったら?」
  
「ダメよそんなの」
  
「え!?」

そんな…そんなのってないよ…あんまりだよ…

私はもうほむらちゃんがマミさんに盗られてどこか遠くに行ってしまったような気がして、

そこから走って逃げ出してしまいました。 

   

214 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:29:35.66 fvXcJjEM0 177/327

______

「鹿目まどか。どうやら彼女の精神は今非常に不安定な状態にあるようだね」

まどかが走り去る姿を遠くから眺めながら誰に言うでもなく呟く。

僕は毎日まどかのことを遠くから見守ってきた。

たとえどんなにほむらから土下座をされてもそれは変わることがなかった。

ほむらの土下座の厄介な所はそれを否定する事によって、

周りの空気が僕を非難する物に自然と変わってしまう事だ。

215 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:31:25.54 fvXcJjEM0 178/327

美樹さやかにも邪魔をされるようになった。

佐倉杏子はボク達の姿を見かけると八つ裂きにするようになった。

ちょうどワルプルギスの夜が来た次の日くらいからだったか。

おそらく暁美ほむらに何か言われたのだろう。

それ以来彼女たちの距離は目に見えて接近している。

216 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:32:57.25 fvXcJjEM0 179/327

ソウルジェムが彼女らの魂であることを知ってからマミも僕を邪魔するようになった。

ソウルジェムはボク達がエネルギーを回収出来るようにするためのシステムであると同時に、

彼女たちが少しでも闘いという運命に抗っていける様にという、

人類でいう所の親切心が込められている。

どう考えてもソウルジェムを守っていれば死ぬことはなく、

痛みも無意識のうちにセーブできるというシステムは、

彼女らにとっても戦闘のリスクを単純明快にできるという点で合理的なはずだ。

217 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:37:01.25 fvXcJjEM0 180/327

それを事前に何も言われなかっただとか魂の在処とかいう些細な事で、

人間はすぐどちらに味方するかといった事を変えてしまう。

感謝してくれてもいいくらいの事だというのに、まったくもって訳がわからないよ。

確かにボク達は契約通りに彼女たちの願いを叶えた。

その契約内容について事前に尋ねなかったのは彼女たちの責任だというのに、

それをなぜかボク達だけのせいにしようとする。

218 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:39:57.09 fvXcJjEM0 181/327

彼女らは皆勝手に僕たちを、

願いを叶えてくれるボランティアか何かと勘違いしただけだというのにずいぶん身勝手な話だ。

誰だって自分にとって何らかの利益をもたらす事以外をしようとなんて思わない。

精神的な喜びとかいったものは人間にとって利益たり得ても、

ボク達インキュベーターにはそれを感じることができない。

219 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:42:58.16 fvXcJjEM0 182/327

ボク達が理解出来ないのは例えばマミについてだ。

マミとボク達が築いてきた時間は、

暁美ほむらがこの見滝原に来てマミと過ごした時間よりずっとずっと長い。

それが今となってはボクはただのグリーフシード回収係となり下がり、

対して暁美ほむらは「母性」とかいう曖昧かつ奇妙キテレツなものを感じさせると、

マミのお気に入りとなった。

隠し事をしているのは彼女も変わらないというのに。

220 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:44:45.93 fvXcJjEM0 183/327

ボクたちに何もマミに対して特別な思い入れがあるわけではない。

しかし彼女は優秀な魔法少女であり、佐倉杏子、そして美樹さやかに多大な影響を与えている。

彼女がまどかが魔法少女になる様動いてくれれば僕の仕事もより容易くなるに違いない。

もっとも彼女の寂しさといった感情は、

既にさやかという後輩を得たことと杏子との一応の和解。

221 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:48:11.44 fvXcJjEM0 184/327

そしてソウルジェムの秘密。

…僕自身このような言い方をするのは甚だ遺憾で、

機会があるならぜひ反論させて欲しいところだ。

それを知った辺りから、

ワルプルギスの夜襲来までの暁美ほむらのマミへのメンタルケアとそれに対する信頼。

こういった事のせいでそれはだいぶ薄らいでおり、正直なところ望み薄ではあったのだが。

222 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:49:17.24 fvXcJjEM0 185/327

宇宙のため信頼回復に努めた健気なある一個体はマミに向けて何と冗談を言ったのだ。

これは感情のない僕たちにとっては相当な努力を必要とする。

理解できないものを再現する苦労というのはそれこそ並大抵のものじゃあない。

そんな一個体も最近凶暴化している杏子の凶刃に一昨日散った。

まあ代わりはいくらでもいるけれど。

223 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:50:09.35 fvXcJjEM0 186/327

「なるほど、ボセイね。僕たちにも母星があるよ。その星のためにボクは働いてるのさ」
  
「QB、茶化すなら早く出て行って」

人間というものは実に自分勝手なもので「場の空気」とかいう存在しないもの物に呼応して、

「面白さ」「悲しさ」「怒り」などとといった感情の度合いを変化させる。

224 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:51:08.33 fvXcJjEM0 187/327

理解し難い事に同じ事をしてもその都度感じ方が違うのである。

いつも同じ様に物事に対処できないというのは実に不便だろうと思うが、

おそらくそれが感情という莫大なエネルギーを扱うことの代償なのだろうね。

さて、このまま校舎に出向いても構わないのだが、

そうすれば必ず暁美ほむらに邪魔されてしまう事だろう。

225 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:51:54.35 fvXcJjEM0 188/327

今はまどかが外に出てくるまで待つのがおそらく最善の手だ。

情報収集のためにもボクはマミたちの話に耳を傾ける。
  
「ど、どうしてし鹿目さんはダメなの?」
  
「そんな恥ずかしい呼び方まどかにさせられるわけないじゃない。

まどかに恥をかかせるわけにはいかないわ」

226 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:53:00.09 fvXcJjEM0 189/327

「あなたって本当に世界の中心鹿目さんよね…。

その百分の一でも自分の事に気を使ったらいいのに…」
  
「だからあなたは私を毎日お昼に誘っているというの?

どうせ一人さびしく教室で食べるのが嫌なだけでしょ」
  
「…それも理由の一つだというのは否定しないわ。

でもいくらなんでもお昼がカロリーメイト一本なんて…」

227 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:55:03.86 fvXcJjEM0 190/327

「死なない程度には普段から栄養を摂取しているつもりなのだけれど」
  
「それが良くないのよ。

確かに見た目としては私もそのすらっとした細い体はうらやましいわ。

…でもどう見ても体に悪いじゃない」
  
「私はその胸の二つの脂肪の塊のほうがよっぽどうらやましいのだけれど」
  
「これも結構あると大変なのよ?

みんなから見られるし肩は凝るし…嫌な所はこれだけじゃないわ。

ただそういうないものねだりは良くないと思うのよ私もあなたも」

228 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:57:33.30 fvXcJjEM0 191/327

「なるほど確かに。

私から見たらあなたの肉付きはどこも文句の付けようがないように見える。

私の体にも客観的に見れば何か魅力があるという事なのかしら?

自分ではごぼうみたいだって思ってるのだけど」

「じゃあもっと食べればいいじゃないの。

毎日少しそのお弁当の中身貰ってて思うけど、

暁美さんって料理ちょっと引いちゃうくらい上手じゃない。

なんでわざわざカロリーメイト食べるのよ」

229 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 19:58:48.78 fvXcJjEM0 192/327

「なにも死ぬわけじゃないのに、

料理なんかに時間をかけて味覚を喜ばせる必要を感じないのよ。

栄養分は必要最低限とれていれば構わない。

私が料理を覚えたのはまどかと話すきっかけ作りのためだし」
  
「そのためにプロ並みの腕前ってあなたどんだけ鹿目さんのことが好きなのよ…」
  
「そこまで褒めて貰える程とは思わないけど時間は腐るほどあったのよ」

230 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 20:00:41.21 fvXcJjEM0 193/327

「…はあ、まあいいわ。

じゃあ何か呼ばれたい呼び方とかある?

私誰かお友達の名前をお友達っぽく呼んでみたいのだけれど、

佐倉さんに暁美さん、美樹さんに鹿目さん。

みんな名前だけで呼ぼうとするとしっくりこないのよね」
  
「好きに呼んでくれてかまわないわ。

ただ美樹さやかなら自分でさやかちゃんって言ってるし、

もしかしたら親しく呼びやすいかもしれないわね」

231 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/22 20:02:25.27 fvXcJjEM0 194/327

「…ふふ、やっぱりほむほむは優しいわね。

第一印象はもっと冷たい人かと思ってたけど、

いざ深く接してみたら心の底ではなんだかんだで私達を心配してくれてるのが良くわかるわ。

今だって私の相談に何だかんだでのってくれるし」
  
「…私が気にかけてるのはあなたたちとまどかだけよ。他の人なんてどうでもいい」
  
「それでも思ったり思われるのって嬉しいものよ。

一人ぼっちじゃないってことだもの。…ごちそうさまでした」
 
「ごちそうさま」


236 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:29:51.12 401vb9yj0 195/327

どうやら二人とも昼食を終えたようだ。

マミが立ち上がりほむらの後ろに立ってほむらの髪をいじり始める。

ほむらはそれを特に制止することなく黙って空を見上げていた。マミの口が開く。
  
「どうしたら佐倉さんとまた仲良くなれるのかしら?」
  
「…少なくとも杏子自身の感情はあなたと別れる前とさほど変わっていないはずよ。

ただあなたと同じようにどう接していいのかわからないだけ」

237 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:30:54.27 401vb9yj0 196/327

「それは私もわかってるわ。ただ二人きりになると会話が続かないの。

失った時間をどう取り戻したらいいのか私良く分からなくて…」
  
「時間を取り戻すことができるのはやはり時間だけよ。

あなたたちは互いのことを大事だとまだ思いあっているのでしょう?

ならその思いを忘れないことね。

忘れないってことは何よりも願いを叶える為に必要なものだから」

238 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:33:32.47 401vb9yj0 197/327

「…やっぱり暁美さんはお母さんが似合うわ。

厳しいようで本当に困ってるときには精いっぱい助けようと優しく手を差し伸べてくれる。

母なる海のような温かさね」
  
「海で例えるのはやめて。

ぺったんこな事が嫌でも頭を掠めるから。

どうせだったら山にして頂戴。山の幸ってよく言うじゃない」
  
「胸の事どんだけ気にしてるのよ…」

239 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:36:40.79 401vb9yj0 198/327

「それはそうとあなたのお母さんって、

なんだかあなたの事をただひたすら甘やかしていそうなイメージがあるのだけれど、

私で代わりになるのかしら?」
  
「暁美さんは暁美さんよ。私のお母さんとあなたは別人でしょう?

誰かの代わりになる人なんていないわ。

私はただ暁美さんがお母さんが似合うって思ってるだけよ」

240 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:37:14.55 401vb9yj0 199/327

「…確かに死んだ人の代わりなんているはずないわね」

おや?鹿目まどかが屋上に戻ってきたようだ。

さっきも見たがお弁当を二つ持っているね。

しかもどちらも開けた様子がない。わけがわからないよ。

241 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:39:08.84 401vb9yj0 200/327

______

どうしても様子が気になって戻ってきてしまいました。まだです。まだ諦めません。

もしかしたらほむらちゃんは私だけにほむらちゃんと呼ばれたい…。

私にはほむらちゃんと呼んで欲しいからあんな事を言ったのかも知れないからです。

ただ告白はいったい何時したらいいんだろう…

242 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:40:09.71 401vb9yj0 201/327

お弁当も前日に言っておかなかった私のせいだけど渡せなかったし…。

頭の中に色々な事がぐるぐる回っています。
  
「ほむほむー。ほむほむー」
  
「暑苦しいからやめて。その二つの邪魔な塊を私の頭の上からどけなさい巴マミ」

243 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:42:02.30 401vb9yj0 202/327

何事かと二人のほうを見ると、

マミさんがその胸の脂肪の塊をほむらちゃんの頭に載せて、

後ろからぎゅーとしがみつくように彼女を抱きしめています。

今私の疑念は確信に変わりました。

今まで尊敬していたマミさんは実はあんな姑息な泥棒猫という正体を隠し持っていたのです。

こんな反則技を使われてしまっては私はどうすればいいのでしょう。

244 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:45:17.52 401vb9yj0 203/327

魔法少女という共通点。

料理もお菓子作りもできる。おっぱいが大きい。

優しくて気配りができる。おっぱいが大きい。

たとえ私の気持ちがわかっていて、

その上で私に見せつけるかの様に彼女をほむほむって呼ぶ。

なんていう姑息な事をしていたとしても、

私なんかと比べたら月とすっぽんといったスペックの差です。

245 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:46:51.67 401vb9yj0 204/327

いや…そもそもあんなに素晴らしい人間であるマミさんが、

そんな事をわざわざするでしょうか?

私は「ほむらちゃんと凄く仲良しになりたい」って相談したんだから、

マミさんは私がほむらちゃんに恋している事なんてわかるはずがないよね。

きっとマミさんはただ今までの寂しさをほむらちゃんに甘えることで解消しようとしてるだけ。

246 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:49:21.20 401vb9yj0 205/327

ほむほむ呼びは私が呼んでいいか確認するために呼び始めたと考えるとしっくりきました。

…頭ではわかってもこの心の奥底のもやもやはむしろ膨れ上がるばかりです。

じゃあこんな事になってしまっているのはいったい誰のせいなの?

私が全て悪いに決まっているのですから。

マミさんのお胸がほむらちゃんから離れて今度は肩がくっつくまで近くに座ります。

そしてほむらちゃんの頬を指で突っつくマミさんに私はもう我慢できませんでした。

そのまま今来た道を走って戻ります。

何にたいしての涙を流しているのかは自分でもよくわかりませんでした。


247 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:51:17.65 401vb9yj0 206/327

______

「いったい何がしたいのあなたは?面倒だからその頬を突っつくのやめてもらえるかしら」
  
「その必要はないわ」

マミの顔は何故だか凄く誇らしげだ。

おそらくロッソ・ファンタズマと杏子の技を命名した時以来の顔ではないかな? 

「…あなたまさかわざと私に叱られようと、

そんなふざけた事をしてるんじゃないでしょうね?」
  
「…」

248 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:52:32.92 401vb9yj0 207/327

図星のようだね。

マミの表情は見ていてずいぶんわかりやすい。

ほむらにもそれが通じたようだ。
  
「全くあなたはいつまでそんな子供っぽい事を…。大体思うのだけれど…」

それを聞くマミの表情は実に穏やかなものだ。

249 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:53:01.95 401vb9yj0 208/327

そういえば同じ怒りにも敵意からくる「怒り」と、

相手を思った愛ゆえの「怒り」があるらしいと前にマミから教わったことがあったね。

さて、そんな二人を眺めていると視界の隅の方に鹿目まどかが映る。

彼女はまだ授業が終わっていないだろうに昇降口を出て校門へ一直線に走っていく。

これは絶好のチャンスだ。僕はタイミングを見計らった。


250 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:55:25.09 401vb9yj0 209/327

私は学校から逃げるようにどこを目的地とするわけでもなくただ走ります。
  
「やあ、鹿目まどか」

どこからともなくQBが現れました。

止まらなくてはQBを踏んでしまう。

慌てて勢いのついた足をどうにかその場に固定しました。

251 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:56:51.11 401vb9yj0 210/327

突然全力で走るのをやめたから息がうまく吸えない。

QBは何も言わず私が息を整えるのをじっと見ていました。

私の息がある程度整ったのを確認するとQBはいつもの動かない口で喋り出します。
  
「なにか、君に叶えたい願いができたんじゃないかな?僕が叶えてあげるよ」

そのQBの言葉を聞いてとたんに私の感情が爆発しました。

252 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:57:43.66 401vb9yj0 211/327

ほむらちゃんは私が契約したらこの街にいる意味はなくなると言っていました。

どういう意味かはわからないけど私がそれを無視することはできません。

それにどうせQBが言うのは
  
「暁美ほむらが君を好きになるように仕向けたらいい」

とかそういう類の事でしょう。

253 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:59:03.98 401vb9yj0 212/327

そんな事をして彼女を手に入れて何の意味があるというのか。

誰も私を理解してくれない。

そんな気持ちがQBを全てのはけ口にしようと私を駆り立てます。

QBは私を心配してくれて言ってくれてるのかもしれないのに。
  
「どいてよQB!私なんかほっといてよ!

わたしなんかがなにをしたってもうどうしようもないんだよ!」

254 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 10:59:50.70 401vb9yj0 213/327

「だから願い事を決めてくれれば…」
  
「うるさい!どいてって言ってるでしょ!」
  
「やれやれ…今の君は冷静な判断力を失っている。

今の君に何を言っても無駄なようだ。またあとで来るよ」

そういってQBは現れた時と同じように忽然と消えてしまいました。

255 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 11:01:30.04 401vb9yj0 214/327

QBに八つ当たりなんかして私って本当に大バカ者だ…。

周りの皆は良い人達なのに私一人でカラ回って足を引っ張って…。

こんな私なんかいないほうがいいんじゃないかな?

もうこんな世界からいなくなってしまいたい。

256 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 11:02:26.67 401vb9yj0 215/327

そう思うと突然私の頭の中に声が聞こえてきました。

それは甘く脳を痺れさせ誘惑するような声でした
  
【だったらこっちに来なよ。こっちはいいよ。楽しいよ。

みんな誰も君を邪魔をしない。君も誰も邪魔しなくて済むんだよ】

257 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/23 11:04:22.69 401vb9yj0 216/327

誰も邪魔せずに済む。

ほむらちゃんが幸せになれる。

そう思うといてもたってもいられなくなった私は、

その声が聞こえた気がする方角に足を向け、

ふらふらと歩き始めたのでした。

【四話 終わり】

263 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:37:14.78 fXPiva+l0 217/327

【第五話 まどか懺悔編】

~☆

ここがどこなのかよくわからない。

周りのなんだか悪い夢でも見ているような浮ついた感じ。

そうだ、ほむらちゃんが私に初めて魔法少女としての姿を見せてくれた所もこんな感じだった。

いや、思えばほむらちゃんがあの後魔法少女の姿を私に見せてくれた事なんて、

他に一度もなかった気がする。

やっぱり私、ほむらちゃんの事何も知らないんだ。

264 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:38:34.31 fXPiva+l0 218/327

【辛い?苦しい?速くこっちに来なよ。そうすればすぐに楽にしてあげるよ】

もし、このまま楽になったらほむらちゃんとももう会えなくなっちゃうのかな?

それは嫌だなって思うと少し頭がはっきりしてきたような気がします。
  
【そのほむらちゃんにとってあなたは本当に必要な人間なの?

あなたは自分が何の役にも立たない邪魔な存在だって事を理解したからこそ、

私を呼んだんじゃないの?】

265 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:39:39.53 fXPiva+l0 219/327

そうだ、私はほむらちゃんに何ができるんだろう。

あんなことをしちゃったんだ。

きっと許してなんてもらえないよね。

また頭の中が霧がかかったようになりました。
  
【さあ急いで…!気付かれてたみたいだ…!奴が来る…!】

奴…?こんな変な所に来る人って誰だろう?

そうだほむらちゃんだ。私は歩みを止めました。

266 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:43:02.16 fXPiva+l0 220/327

【いったいどうしたの?そんな所にいても苦しいだけじゃないの?

あなたがどんなに周りに迷惑をかけてきたかようやくわかったんじゃないの?】

ほむらちゃんと一緒に居られるならどんなに辛く苦しい事だって乗り越えて行ける。

たとえ全てが間違っていたとしても私のこの本当の気持ちにだけは嘘をつきたくない。

そんなことしちゃダメだって誰かに言われた気がするから。

267 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:46:33.42 fXPiva+l0 221/327

【あなたはまた間違えようとしてる。わかったわ。私が迎えに行くから】

しばらくその場で何もせず、

ただじっと立っていると何かが前方からやってきました。

あんな妙な姿をした奴を前にどこかでで見ました。

恐ろしい姿をした怪物。

こうやって私がピンチになるといつも決まってほむらちゃんが助けに現れるのです。

私は嬉しい気持ちになりました。

268 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:48:30.91 fXPiva+l0 222/327

【しくじった…しくじった…引き際を間違えたんだ。

でもせめてこの子だけは楽園に連れて行ってあげなくちゃ…】

「そいつ」は私の眼前に迫りました。

ほむらちゃんはまだ現れません。

何だか嫌な予感がして思わず腰が引けてしまいます。

「まどかぁああああああ!」

後ろからの突然の大きな声にびっくりした私は思わず尻もちをついてしまいました。

269 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:49:34.46 fXPiva+l0 223/327

【!?】
  
「もらったぁああああああああああ!」

へたりこんだ私の頭上を飛び越えて飛んできた大きな槍が、

「そいつ」の体を突き破って地面に突き刺さります。
  
【ごめんね…あなたを救ってあげられなくて…。

苦しみから助けてあげられなくてごめんね…】

270 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:51:44.90 fXPiva+l0 224/327

そういうと「そいつ」、

初めてみたけれどおそらく「魔女」という存在は跡形もなく消滅しました。

異様だった周囲の景色もすぐに元に戻りました。

まるで今ここで起こったことは本当にすべて悪い夢であったかのように。
  
「きょ、杏子ちゃんありがとう」

271 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:53:15.86 fXPiva+l0 225/327

「はぁ、はぁ、びびらせんなよな。

ったくよー、アタシはマミたちに、

使い魔は倒さないって話をつけてこの街の魔女狩ってるつうのにさー。

あんたがやばそうな感じだったから来る途中に出てきた使い魔みんな倒しちゃったじゃん。

お前には凄い素質があるんだろ。

なにもあんなド低級中の低級な魔女に引っかからなくてもいいだろうが」

272 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:54:33.59 fXPiva+l0 226/327

さっきはあれほどいなくなりたいと思っていたのに、

いざ自分が本当に死にかけていたと思うと震えが止まりません。

どうしよう、今になって自分が置かれていた状況が凄く怖い…。

でもあの魔女は本当に悪い魔女だったのかな?

そんな事がふと頭をよぎります。

273 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:56:14.86 fXPiva+l0 227/327

「おいおい、大丈夫かよ。

…このまま家に帰してもし明日になってもこのままだったら、

アタシほむらに殺されるな」

ほむらちゃんたちには一般人を結界に巻き込んだら死とかいう鉄の掟でもあるのでしょうか?
  
「まあ落ち込んだ時には何か食うのが一番さ…食うかい?」

杏子ちゃんはそう言って今開けたばかりらしいポッキーの箱から、

ポッキー一本をこちらに向け差し出しました。  

274 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:57:59.36 fXPiva+l0 228/327

「だいぶ落ち着いてきたみたいだな」
  
「うん…何から何までごめんね杏子ちゃん」
  
「気にすんなよ。あたしらその…みんな友達だろ?

それにたまにはああいうのも悪くない。気分がすかっとする」

杏子ちゃんは照れ臭そうに頬をポリポリ掻きながら言います。

その様子が可愛らしくて、

なんだかいつもの杏子ちゃんとのギャップに少し笑ってしまいました。

275 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 13:59:31.09 fXPiva+l0 229/327

「へへ、笑うなよ。言ってるこっちも結構恥ずかしいんだぞ、今の」

今までの緊張が急に緩んでしまったからでしょうか?

尋ねるつもりのなった事が口からついこぼれてしまいました。
  
「魔女の口付けを受ける人っていったいどういう人なの?」

276 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:00:59.74 fXPiva+l0 230/327

杏子ちゃんの穏やかな表情が少し厳しいものに変わります。

みんなにはせめて日常の中ではこんな顔をさせたくないのに。

私は慌てて取り消そうとしましたが杏子ちゃんはそれを遮るようにしてしゃべり始めます。
  
「まず心に何か抱えてるやつさ。だれだって何かを嫌だと感じることはある。

その心のしこりを大きくして殺すのが魔女っていう存在。アタシら魔法少女の餌。これが一つ」

杏子ちゃんは私じゃないどこかを見ながら話を続けます。

277 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:03:05.81 fXPiva+l0 231/327

「あともう一つアタシにわかってるのはその魔女の波長との相性があるってことだな。

これが合うことで魔女とそいつとの間で架け橋が生まれて魔女の結界へと誘われるわけだ。

…なあまどかは今何を抱えてるんだ?これを取り除かない限りお前の素質とかを考慮すると、

今日みたいなことがまた起こらないとも限らない。

アタシに話してみなよ。なーにアタシは教会の娘だったからね。

懺悔の一つや二つしてくれて構わないよ、秘密も守る。

…もっともアタシはずいぶん薄汚れちまった。したくないならしなくてもいい」

278 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:04:33.76 fXPiva+l0 232/327

杏子ちゃんはまた私のほうを見ます。杏子ちゃんは汚れてなんかないよ。いい子だよ。

しかし杏子ちゃんの質問には答えず私は自分の質問を続けます。
  
「…じゃあそもそも魔女っていったいなに?

本当に悪い人…じゃないけど、

とにかく本当にそれだけなのかな?QBは魔女は悪いものだとしか言わないけど」

279 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:06:16.16 fXPiva+l0 233/327

杏子ちゃんの今までの険しい表情は今度は無表情に変わりました。

しかしほむらちゃんの表情からの感情の読み取れなさはこんなものじゃありません。

杏子ちゃんの目は私にこう語りかけていました。

…おまえはいったい何を知っている?と。

280 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:11:11.74 fXPiva+l0 234/327

「あのね、さっき杏子ちゃんが魔女を倒すまで魔女の声が聞こえていたの。

多分魔女の口付けを知らないうちに受けていたんだと思う。

それでね、結果的に彼女は私を殺そうとしたけど、

途中話しかけてきたのは「苦しいことから逃れられる」とか、

「こっちのほうが楽しい」みたいな事で、

私にはそれがただ私を誘うためのトラップだったとはどうしても思えないの。

なんだかまるで本当に私のためだと思ってくれてたような…」

281 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:14:10.47 fXPiva+l0 235/327

杏子ちゃんは私の話を聞く間なにやら苦しげな表情をしています。

私は聞いちゃいけないことを聞いちゃったのかな?

そう思って喋るのを止めると、

杏子ちゃんは囁くような声で語り始めました。

282 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:15:20.01 fXPiva+l0 236/327

「わからねえよ…そんなこと。アタシは魔女じゃないからね。

ただアタシの経験上言えるのは例外なく魔女は周りの人間を殺すってことさ。

どんな過程があっても結果はあんたの言った通り殺すんだよ魔女は。

そしてアタシたち魔法少女はそれを狩る必要がある。

たとえそいつがどんなにいい魔女だったとして、不幸をばらまくなら殺すしかねえだろ」

283 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:18:26.48 fXPiva+l0 237/327

そんな勇ましい事を言ってはいても、

それを口にする杏子ちゃんの様子はどこか悲しげでした。

そう、何かに悩んでいるのは私だけじゃないのです。

それにこんな事でいつまでもうじうじしていたら杏子ちゃん

…マミさん、さやかちゃん、そしてほむらちゃんに心配をかけるに決まっています。

だって私達は友達なのだから。

私は杏子ちゃんに自分の罪を懺悔することに決めました。
  
「あのね…杏子ちゃん、私ほむらちゃんのことが好きなの。

友達としてじゃないの。恋の対象として好きなの」     


284 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:19:45.54 fXPiva+l0 238/327

~☆

「そっか。そりゃまた大変だったな」

杏子ちゃんに私の気持ちをすべて話しました。

私のした事もすべて話しました。

ほむらちゃんのパンツを履いた辺りのくだりはさすがに杏子ちゃんの顔も引きつっていたけど、

これは仕方のない事です。明らかに正常な反応です。

285 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:21:37.30 fXPiva+l0 239/327

「ねえ、杏子ちゃん。私いったいどうしたらいいんだろう?

ほむらちゃんを傷つけたくないの。

それに友達だったらマミさんにさやかちゃん。そして多分杏子ちゃん。

魔法少女の皆のほうがふさわしいと思う。

…私もほむらちゃんの事友達だってそりゃ思ってるけど、

やっぱりみんなより少し遠いの。

もう嫌だよ…こんなに苦しいのは…こんなに好きなのに…。

こんな気持ちを知られてほむらちゃんに迷惑かけたくないよ…嫌われたくないんだよ」

286 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:22:57.07 fXPiva+l0 240/327

杏子ちゃんは私の両肩に手を添えて私の顔を覗き込むようにして言いました。
  
「なあ、まどか。そんなお前のしたくない事なんてどうでもいい。

お前自身はいったいどうしたいんだ」
  
「え?」
  
「お前の本当の気持ちさ」

287 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:24:17.08 fXPiva+l0 241/327

私の本当の気持ち…。
  
「ほむらちゃんが欲しい。ほむらちゃんには私のことだけ見ていてほしい」

自分の強欲さが情けなくなって杏子ちゃんから目をそらそうとしますが、

杏子ちゃんは肩に置いていた手で私の頬を挟み込みそれを許してくれません。

288 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:26:24.37 fXPiva+l0 242/327

「ならそれでいいじゃんか。周りに障害がいっぱいだなんだが重要なんじゃねえ。

結局お前が戦うかどうかなんだよ。自分が欲しいと思った物の為にな。

大切なのは相手に伝えることだ。自分の思いをさ」

戦う。その言葉に私の奥底の何か凄く熱い気持ちが滾るのを感じます。

そうだ、私の戦場はここなんだ。気持ちを伝えるんだ。

289 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:28:16.37 fXPiva+l0 243/327

「私ほむらちゃんに会いたい…」
  
「ああ、それなら心配しなくていい。アタシが連絡しといたから」
  
「え?」
  
「お前が魔女に襲われてあわや死にかけてた事、

正直にメールで送っといてやったからな。こってり絞られてこい」

そう言って杏子ちゃんは私から少し離れます。

なんで杏子ちゃんが自分の携帯を持っててほむらちゃんのアドレスを知ってるの?

凄く嫌な予感がしたので聞いてみました。

290 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:29:34.04 fXPiva+l0 244/327

「どうして杏子ちゃんが携帯を持ってるの?」
  
「ん?ああ、ほむらに連絡用として持たされてるんだよ。

…この街に来てからはアタシは毎日ほむらの家に泊まってるくらいの仲だからな」
  
「へーそうなんだ。ふーんそっか。そうなんだね…」

291 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:30:17.40 fXPiva+l0 245/327

こんなところに予想外の伏兵がいました。

さやかちゃんやマミさんとは比べ物にならないほどの強敵がいたのです。

思わずまた心の中にいやーな感じ、

あなたなんかに絶対負けないといった気持ちが膨れ上がってきます。

それを必死で沈めようとする私でしたが、杏子ちゃんは笑って言いました。

292 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:31:48.22 fXPiva+l0 246/327

「そう、その気持ちさ。忘れるなよ。

願いを叶えるために絶対に必要なのは奇跡じゃない。

ちょっとした偶然と想いさ。

お前がつかむのは奇跡じゃない。偶然であれ必然であれそれが運命なんだ」

そう言って杏子ちゃんは背を向けてどこかに歩きだしました。

293 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:33:50.16 fXPiva+l0 247/327

ありがとう杏子ちゃん。

きっとこの思いは言わなくても彼女に伝わっていることでしょう。

しかし思いは伝えることが重要なのです。黙っていたら何も伝わらない。

私がいつまでも黙って我慢していたところで、

都合良く誰かが手を差し伸べてくれるかはわからない。
  
「ありがとう杏子ちゃん」

杏子ちゃんは足を止めました。

294 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:35:36.69 fXPiva+l0 248/327

「もしお前らが凄く仲良くなったとしたらほむらの家も居心地が悪いからな。

これからマミと仲直りでもしに行くよ。

あの時あんな別れ方してごめんなさいって思いを伝えてな。

いいか、まどか。これは仕方のない事なんだからな」

なんで私に弁解しているのだろう。思わずおかしくて笑いだしそうになります。

295 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:37:36.19 fXPiva+l0 249/327

「ああ、そうだ…あなたの未来に幸多からんことを祈って…。

こういう時には何か食うのが一番ってね」

そう言って杏子ちゃんは振り返り早足で戻ってきて言いました。
  
「食うかい?」

296 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/24 14:39:12.09 fXPiva+l0 250/327

差し出されたさっきのポッキーの箱にはもう残り一本のポッキーだけ。

いったいいつのまに食べていたんだろう。

なんだかそれが妙におかしくって私は思いっきり大笑いしてしまったのでした。

【五話 終わり】

305 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:34:45.92 Tm9ZgNDG0 251/327

【第六話 告白編】

~☆

杏子ちゃんにそこで待ってろと言われたのでしばらくその場で待機していると、

ほむらちゃんが前方から走ってきました。
  
「ほ!ほむらちゃーん…」

彼女の姿を見た私は大きな声で名前を呼び注意を引こうとしますが、

その声は次第に小さく尻すぼみに消えてゆきました。

ほむらちゃんが鞄を大事そうに抱えながら走り泣いていたのです。

306 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:36:44.51 Tm9ZgNDG0 252/327

私は自分が彼女にどれほど心配をかけていたのかを今更理解して、

ほむらちゃんにいったい何て謝ったらいいのか分からなくなりました。

ほむらちゃんにとって私も大切な友達であるのはわかっていたはずなのに、

それを自分に自信がないからって勝手に妄想の産物みたいに思っていました。

307 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:37:57.62 Tm9ZgNDG0 253/327

ほむらちゃん自身の気持ちは何も聞こうとせずに。

ほむらちゃんはそのまま私の胸に飛び込むとそのまま泣き続けました。
  
「ほむらちゃん心配かけてごめんね」

しばらくほむらちゃんが泣きやむまで私はずっとその頭をなで続けました。

308 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:40:07.31 Tm9ZgNDG0 254/327

~☆

「ほむらちゃん…ちょっとは落ち着いた?」

落ち着いて話をしようと、

泣きやんだほむらちゃんを近くの公園まで引っ張ってきてベンチに隣同士で座りました。

ほむらちゃんはここに来るまで私の腕に必死でしがみついて離そうとしなかったので、

歩くのが凄く大変でした。

309 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:41:28.35 Tm9ZgNDG0 255/327

その姿はまるで迷子になった幼児がようやく親に巡り合えたようで、

少しほほえましくもありましたが、

ほむらちゃんにそんな思いをさせたのは私なんだと思うと、

そんな浮かれた気持ちもすぐにどこかに消えてしまいました。
  
「まどか、本当にごめんなさい…」
  
「ほむらちゃんは何も悪いことなんてしてないよ」

310 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:42:49.93 Tm9ZgNDG0 256/327

そう、悪いのは卑怯だった私。

しかしほむらちゃんは首を横に振って続けます。
  
「私がまどかから目を放さなければ…

私がまどかの悩みにもっと早くに気がついていたら…。

私がもっと…」

311 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:44:46.34 Tm9ZgNDG0 257/327

私が私が私が…ほむらちゃんはいつもそればっかり。

いっつも私を甘やかそうと優しくするばかりで私には何も返させてくれない。

私の心の中にはほむらちゃんへの愛しさがこんなに溢れているのに。

あなたの傍を歩く資格は私にはないのかな?

何だか悔しくなったので、

ほむらちゃんが私を凄く大切に思っている事がわかった今だからこそ出来る悪戯をします。

312 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:46:53.36 Tm9ZgNDG0 258/327

「もう一度言うけどほむらちゃんは何も悪くないよ。悪いのは全部私なんだから」
  
「だって…」  

「だってもへちまもないんだよほむらちゃん。

…もう私は怒ったんだから。ほむらちゃんのことなんか嫌いだよ」
  
「まどかぁ…」

ああ、ほむらちゃんが泣いてしまいそうです。慌ててフォローします。

314 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 00:52:29.40 Tm9ZgNDG0 259/327

「で、でも仲直りして欲しいんだったら一つ我儘を聞いてほしいなあ…なんて」
  
「まどかの頼みなら出来る事は精いっぱいやらせて貰うわ。」
 
「そ、それじゃあほむらちゃん。この後私と二人で学校を少しおさぼりしなさい」
  
「ああ、何だそんなことね。それならむしろ丁度良かったわ」

丁度良かったというのはいったいどういう事なのでしょう?

315 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:03:22.07 Tm9ZgNDG0 260/327

「私お昼休みにお弁当を屋上で食べて、

5時間目の始まる直前くらいに教室に戻ったの。

そしたらまどかが昼休みになってすぐどこかに行ってからずっと帰ってこないと、

さやかに言われて慌ててまず校内を探したわ。

その結果校内のどこにもまどかがいないことがわかったから、

騒ぎにならないようすぐにまどかと私の早退許可をとって街中探しまわったの。

けれど一人で探しても埒が明かなかったから、

杏子に手分けして探して欲しいとメールをしてみた。

するとしばらくたってあんな内容が返ってくるものだから本当に驚いて、

怖くてもうどうにかなってしまいそうだったわ」

316 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:05:12.53 Tm9ZgNDG0 261/327

「ほむらちゃん本当にごめんね…」

ほむらちゃんの目の前でそれこそ土下座でもしないといけないのでないか、

というくらい派手に迷惑をかけています。

でも土下座にかけて一流のほむらちゃんに中途半端な土下座なんて見せたら、

それこそ私の誠意を疑われてしまうのではないでしょうか?

私って何をやってもホントうまくいかないなあ…。

317 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:07:00.44 Tm9ZgNDG0 262/327

「あなたが無事元気でいてくれることが私にとっての幸せなの。そんなに謝らないで」

ほむらちゃんは本当に優しい。

なんだか今度は私が泣かされてしまいそうです。
  
「あなたにもこれから何か用事とかがあるかもしれないけど、

私は今日もうあなたが学校に戻る気がないようで嬉しいわ」

「え?どうして?」

318 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:07:55.86 Tm9ZgNDG0 263/327

なにげなく尋ねたその質問は、

時間が経って普段通りの無表情に戻ったほむらちゃんを少し動揺させました。

そこにはほむらちゃんが動揺するような何かがあるんだ…。
  
「ねえ、どうしたの?私凄い気になるよ」

319 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:10:43.07 Tm9ZgNDG0 264/327

「…あなたには今魔女を呼び寄せるほどの悩みがあるのでしょう?

出来るだけ今日は家で大人しくしていて欲しいの。

ここで下手に無理をするとまどかに一生消えないトラウマが残ってしまうかもしれないわ」

そう述べるほむらちゃんの表情には何の変化もありません。

320 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:12:19.69 Tm9ZgNDG0 265/327

しかしその左手の人差し指は小刻みに彼女の膝を叩いています。

私は直感しました。

ああこれは嘘なんだなって。

しかしこれ以上ほむらちゃんの主張を否定してまで聞くわけにはいきません。

私は話題を変えることにしました。

321 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:13:59.26 Tm9ZgNDG0 266/327

「でも鞄とかどうしようね…」
  
「ああまどかの鞄なら大丈夫よ。ここにあるから」

そう言ってほむらちゃんは自分の膝の上の鞄を指さします。

「あれ?ほむらちゃんの鞄は?」
  
「まどかがもし早退するなら鞄がないと困るでしょう?

私の鞄は邪魔だから置いてきたわ。大丈夫、ほとんど必要なものは入ってないから」
  
「もうほむらちゃんったら…」

322 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:16:02.45 Tm9ZgNDG0 267/327

これは優しいとかそんな言葉で表す限度を超えてる気がしてさすがにやりすぎだと思います。

もっと私なんかじゃなくて自分の事を考えたほうがいいよ。

心の中でそうは思っても、

ほむらちゃんが私の事を第一に考えてくれたと思うと幸せで、

私は彼女に結局何も言うことはできないのでした。


323 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:22:05.37 Tm9ZgNDG0 268/327

~☆

「はい、まどか」

「ありがとうほむらちゃん」

ほむらちゃんが「何か買ってきて欲しい飲み物はある?」と聞いてきたので、

私達二人分のペットボトルのお茶を買って来て貰う事にしました。

だいぶ予定とはずれましたが、

今がチャンスなので私手作りのお弁当を二人で食べるのです。

返して貰ったので今は私の膝の上に置いてある鞄を覚悟を決めて開けました。

324 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:25:30.62 Tm9ZgNDG0 269/327

「ねえ、ほむらちゃん、見て」
  
「これは…お弁当が二つあるわ」

わけがわからないという顔をほむらちゃんはしていますが、

私にも腑に落ちないことがあります。

325 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:26:25.44 Tm9ZgNDG0 270/327

ほむらちゃんは確かに先ほど、

全速力で泣きながらこちらに向かってきていた様に見えました。

しかし私の眼前にあるお弁当はパパと朝一緒に詰めた時と比べてまったく変わっていない様子で、

ほむらちゃんはなんだか無駄な所で凄いんだなあと感心してしまいます。

326 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:27:25.10 Tm9ZgNDG0 271/327

「こっちのお弁当をね、ほむらちゃんに食べて欲しいの」
  
「え?」

ますます不思議そうな顔をするほむらちゃん。それも当然のことです。

しかしここは折れてはならない場面です。
  
「なんでかはね、聞かないでほしいの。

たださっきわがままを聞いて欲しいって言ったでしょ。それじゃダメかな?」

327 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:29:53.13 Tm9ZgNDG0 272/327

我ながら無茶苦茶な事を言ってると思います。

そもそもさっきほむらちゃんはマミさんと一緒に自分のお弁当を食べているのです。

やっぱりこんなお願い叶いっこないよ。そんな思いが頭を掠めます。
  
「構わないわ。私もあなたとこういう事をしてみたいと思っていたの」

お弁当を私から受け取って蓋を開けお箸を持つほむらちゃん。

328 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:34:04.31 Tm9ZgNDG0 273/327

しかし中々おかずに手をつけようとはせず何かについて真剣に考え込んでいるようです。
  
「私も彼女のように覚悟を決めるべきなのかもしれないわね…」

「彼女」が誰なのかわかりませんがそんなに食べたくないのでしょうか?

ほむらちゃんに慌てて申し出ます。
  
「め、迷惑だったよね私のお弁当なんて…。ごめんね…」

329 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:38:53.53 Tm9ZgNDG0 274/327

ほむらちゃんの手からお弁当を取り上げようとします。

しかしほむらちゃんは箸を持っていないほうの手でピシリと私の手を払いのけました。
  
「そうじゃないわ。先ほども言ったでしょう。

私はあなたとこういう事をしてみたいとずっと前から思っていたの」

やっぱりほむらちゃんの表情は私に何も情報をもたらしてくれません。

しかし彼女の態度、声の迫力、払いのける手の強さは、

確かに彼女が私のお弁当を食べたいと思っているのだと私に語りかけているようでした。

330 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:42:46.30 Tm9ZgNDG0 275/327

「まどか、私からも一つお願いがあるのだけれど」

ほむらちゃんのお願い。

私にも何かほむらちゃんに頼られる事があるんだ。

そう思うと私は顔がニヤケてしまいそうなくらい嬉しくなりました。
  
「うん、いいよ。誰でもないほむらちゃんのお願いだからね。私出来るだけ頑張っちゃうよ」

いや、もうすでに多分顔がどうしようもないくらいにやけちゃってる気がします。

なんだかすごく恥ずかしいです。

331 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:44:28.71 Tm9ZgNDG0 276/327

「そう、ありがとう」

そういってほむらちゃんは美しい自身の長い黒髪をファサッってかきあげます。

この仕草はほむらちゃんがカッコつけたい時と照れてる時にしているんだろうなあって、

私は勝手に思ってます。可愛いです。

332 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:47:54.90 Tm9ZgNDG0 277/327

「ただ私は先ほど昼休みに巴マミとともに自分のお弁当を食べたから、

こんなにたくさんの量を食べ切ることはとてもできそうにないわ。

無理だと思う理由は他にも元々私はかなり小食な方だというのもあるわね。

そこでまどかにお願いしたいのだけれど私と一緒にこのお弁当を食べてくれないかしら?」

333 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 01:49:48.07 Tm9ZgNDG0 278/327

「な、なんだ良かった…。てっきりもっと大変なお願いかと思ってたよ」

私もパパに作ってもらったほうのお弁当があるけど、

ほむらちゃんに私のお弁当を食べてもらえるならお安いご用です。


339 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 11:39:44.24 Tm9ZgNDG0 279/327

~☆

私たちは先ほどよりほんの少し離れて座っています。
  
「はいまどか、あーん」

いったいほむらちゃんは何を考えているのだろう?

そんな事を頭の隅で考えつつも私は素直にほむらちゃんのお箸からおかずを受け取ります。

「どう?おいしい?」

自分の作ったお弁当について感想を求められるのも変な話です。

340 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 11:41:27.22 Tm9ZgNDG0 280/327

「う、うんおいしいと思うよ」

パパの監修の元で作ったので味に特に問題があるようには思えません。
  
「本当は私のお弁当でやりたかったのだけど全部食べてしまったし仕方ないわね。…はぁ」

ほむらちゃんはため息をつきました。

今なんだかよくわからないくらい幸せです。

私このまま幸せすぎて死んでしまうんじゃないかな?

341 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 11:42:52.48 Tm9ZgNDG0 281/327

「じゃ、じゃあほむらちゃん。あーん」
  
「あ、あのねま、まどか。恥ずかしいからあまりこっちを見ないで…」

先ほど私にあーんした時にはあれほどなんともなさそうだったのに、

いざ私にあーんされる番になるとまるで別人のようです。

私だって恥ずかしかったんだからね。

でも私はほむらちゃんにあーんするのも恥ずかしいのになあ…。

342 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 11:44:15.34 Tm9ZgNDG0 282/327

「ほむらちゃんは私にあーんするの恥ずかしくなかったの?」
  
「もし手元が狂ったら可愛い可愛いまどかの口の中を傷つけてしまうでしょ?

恥ずかしがっている場合ではなかったのよ」
  
「も、もうほむらちゃんったら…」

そんなこと急に言われたら勘違いしてしまいそうです。
  
「ほら、ほむらちゃん。あーんだよ」
  
「は、はい」

343 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 11:57:46.26 Tm9ZgNDG0 283/327

ごくりと息を呑み込んだほむらちゃんはギュッと目を瞑り、

大きく口を開け勢いよくこちらに向かって飛び込んできました。
  
「わっ!わっ!ほむらちゃん!めっ!」
  
「まどか?」
  
「まどか?じゃないよほむらちゃん。

危ないでしょそんな事したら。可愛い可愛いほむらちゃんが怪我でもしたらどうするの」

344 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:00:15.11 Tm9ZgNDG0 284/327

…これは予想以上に恥ずかしいです。

ほむらちゃん、

そしておそらく間違いなく私も顔が真っ赤になりました。
  
「…ほむらちゃん。次は目を瞑っちゃ駄目だからね。大丈夫だから落ち着いて」
  
「わ、わかったわ」

多少ぎこちないけれど今度はうまくいきました。

345 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:04:38.72 Tm9ZgNDG0 285/327

「どう?おいしい?」

「…ごめんなさいまどか。緊張しすぎて良く味わう前にうっかり飲みこんでしまったわ」

「もう、ほむらちゃんたら」

二人でほむらちゃんの可愛い失敗をひとしきり笑った後には、

さっき二人でこのベンチに座った時の陰鬱な空気なんてもうどこにも見当たりませんでした。

346 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:09:57.12 Tm9ZgNDG0 286/327

~☆

それからしばらくして徐々にコツをつかんだ私達は、

互いの口に箸を順番で効率良く向け続けています。

ほむらちゃんの持っていたお弁当がついに空になりました。
  
「食べ終わったわね」
  
「うん」

もし私の勘違いでないならば、

二人共が楽しい時間が終わってしまったことへの、

ちょっとした寂しさを感じていました。

347 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:11:50.41 Tm9ZgNDG0 287/327

ふと自分の膝元を見るとほとんど手つかずのお弁当がありました。
  
「あのね、ほむらちゃん」
  
「なにかしら、まどか」
  
「私はこれから自分の分のお弁当を食べなきゃならないんだけれど…。

ほむらちゃんが食べさせてくれないかな?」
  
「…ええ、もちろん喜んでやらせて貰うわ」

348 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:13:12.89 Tm9ZgNDG0 288/327

私達のしようとしている行為は間違いなく無意味で支離滅裂です。

でもその行為のまとまりのない意義は決して不愉快なものではなく、

なんだか理由もなく互いの心が通っているようなそんな気持ちにさせるものでした。

349 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:16:14.40 Tm9ZgNDG0 289/327

「はい、まどか。あーん」

そう言いながらにっこりするほむらちゃんを見て、

私はこれからしなくちゃならない告白という案件を、

一度全部忘れてしまいたいと思ってしまいました。

そしてこの幸せを今日という一日が終わるまで続けることができればいいのになんて、

贅沢な事を考えてしまいます。

…ただ少なくともこの幸せはまだしばらくは終わりそうにありません。

350 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:17:21.86 Tm9ZgNDG0 290/327

~☆

名残惜しいけれど最後の一口がほむらちゃんの手により私の口に運ばれます。
  
「ごちそうさまでした」
  
「ごちそうさま」

もう何も食べれそうにありません。今日の晩御飯どうしようかな。

そんな事を考えているとほむらちゃんが突然立ち上がりました。

351 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:19:40.30 Tm9ZgNDG0 291/327

「もう、こんな時間ねまどか。日が暮れる前に帰りましょう」

ほむらちゃんは私のほうに手を差し出しました。

確かに慣れない食べさせあいっこは予想以上に時間がかかっていました。

こんな絶好なチャンスはもう今しかない。

さあ言わないと、ほむらちゃんに。

352 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:23:13.17 Tm9ZgNDG0 292/327

「あのねほむらちゃん。私ほむらちゃんに言わなきゃいけないことがあるの」
  
「だけどその前にまどかに一つ言いたいことがあるの」

二人の口から同じ内容が飛びだします。

驚いた私たちは口を開けているのにしばらく何も話そうとしません。

先に話の口火を切ったのはほむらちゃんでした。

353 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:24:18.52 Tm9ZgNDG0 293/327

「まどかからでいいわ」
  
「でもほむらちゃんは…」
  
「大丈夫、私のほうは急ぐ話ではないから」

私にとってこれは急ぐ話でした。

今言わなくてはこの勇気がなくなってしまうかもしれない。

さやかちゃん、そして杏子ちゃんにもらったこの決意。

自分のために戦うと決めたのです。

354 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:25:39.75 Tm9ZgNDG0 294/327

「わかったよ、私から言うね。

…でも私も何から話していいかわかんないんだ」

あなたに伝えたい事が多すぎる。

きっと全てを言葉になんてできない。

だから本当に必要な事だけを言わなくちゃ。

355 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:35:31.71 Tm9ZgNDG0 295/327

「そういう時にはなるべく言い辛い事から言うといいわ。

そしたらもうそれ以下はないもの。

それに私はまどかが何を話したとしてもそれを否定する事はないから安心して話して頂戴」

なんだかさっきの時間がまだ続いているようです。

いつもどうやってとったらいいのか悩むほむらちゃんとの距離感は、

どこかに溶けてなくなってしまったようでした。

でも…。それでも…。

356 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:38:03.19 Tm9ZgNDG0 296/327

「私ね、今日の体育の時間の前の休み時間にね、

ほむらちゃんの制服の匂いを嗅いでたの」

言葉が途切れます。

やはり怖い。

戦うって決めたのに。

思わず俯いてしまいます。

357 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:44:36.79 Tm9ZgNDG0 297/327

すると一度下に向けた顔をほむらちゃんの方にまた向けることが出来なくなってしまいました。

言葉が何一つ口から出てこない。ただただ体を強張らせるばかり。

そんな私をほむらちゃんはいきなり優しく抱きしめました。
  
「続けて」

358 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:46:54.86 Tm9ZgNDG0 298/327

ほむらちゃんの体温と言葉が私の中にある恐怖を溶かしていくようでした。

促されるままに抱きしめられたほむらちゃんの胸辺りから少し顔を浮かしてまた喋り始めます。

「…それでね、ほむらちゃんのパンツを履いて、

ほむらちゃんのブラジャーを頭に巻いて、

ほむらちゃんの制服を着てその…えっちなことしてたの」

360 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:50:07.69 Tm9ZgNDG0 299/327

言葉にすると何だか笑えてきます。

しだいに涙もこぼれ始めて嗚咽交じりになった私の口から漏れる音は、

私にも笑ってるんだか泣いてるんだか判別のつかないものでした。

363 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:53:32.13 Tm9ZgNDG0 300/327

「気持ち悪いよね…。私もそう思うよ…。

ただ仲良くなりたかっただけだと思ってたのに、

どうしてこんなことになっちゃったのかな…?

グスッ

ほむらちゃんと私とでそういうことしたいって確かに思ってたの。

それにほむらちゃんと思ったように仲良くなれてる自信がなくて寂しかったの、怖かったの…。

だからやっちゃったんだと思う…。

グスッ

嫌な事から救ってくれるのはやっぱりほむらちゃんだったから。

だけど人の持ち物を勝手に使うなんてやっぱり間違ってるって思ったら私、

もうわけわかんなくなっちゃって…。

グスッ」

364 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:57:23.28 Tm9ZgNDG0 301/327

もう駄目だお終いだよ。

今度こそ完全に嫌われたに決まってる。

まだ私の思いは言えていないのに私はもう諦めてしまいました。

私はほむらちゃんを振りほどこうともがくけどほむらちゃんは私をさらに強く強く、

それでいて私が傷つくことのないよう抱きしめて離そうとしてくれません。

365 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 12:58:43.53 Tm9ZgNDG0 302/327

「それで今日のあなたは様子がおかしかったのね…やっと納得がいったわ」
  
「ごめんなさい…ほむらちゃん許して…」
 
「別に怒ってなんていないわ。暴れないでまどか。

まだ話は終わっていないのでしょう?

まさかこれ以上悪い事があるというの?

どちらにしても私はちゃんと聞くから私を信用して頂戴」

366 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:05:13.38 Tm9ZgNDG0 303/327

ほむらちゃんに気持ち悪がられてない?

まさかそんな奇跡みたいな事が…。

おそるおそるほむらちゃんの顔を見上げて見ると、

ほむらちゃんが今まで見たことがないくらい優しい表情をしていました。

367 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:06:46.23 Tm9ZgNDG0 304/327

「やっと私を見てくれたわね。

さあ、続きを話してもらえるかしら?

これから話してもらえるのはいい話?それとも悪い話?」
  
「…いい話だよ」

さやかちゃん、杏子ちゃん、そしてほむらちゃんに勇気をもらって、

私はほむらちゃんに思いを伝えるべく全てを語ります。

368 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:09:21.13 Tm9ZgNDG0 305/327

「私ね、ほむらちゃんと初めて会った日、

ほむらちゃんに会う前の朝に夢を見たの。

まずね、私…なんでかこの体は自分の物だってわかるの…。

とにかく私とほむらちゃんがどこかのお家で二人で裸で密着して抱き合ってるの。

私は突然綺麗な女の子と裸で抱き合ってるからすごいびっくりしてね。

退こうとするけど体がびくともしないの。

ただ感覚だけはいくら夢にしてもおかしいくらいリアルに感じられて…。

そしてね…時々まるで意思が通じ合ってるみたいに目が合ってそのままキスをするの。

初めてのキスだったから凄い身構えたんだけど凄い良い気持ちだったの、

びっくりしたんだからねほむらちゃん」

369 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:11:08.02 Tm9ZgNDG0 306/327

夢の中の事をほむらちゃんに言ってもしょうがないのに、

ついほむらちゃんに文句じみたことを言ってしまいます。

ほむらちゃんは何を考えてるのかな?

ほむらちゃんはただ私の頭をなでるばかりで何も言いません。

370 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:12:39.02 Tm9ZgNDG0 307/327

「そんな事がしばらく続いてだんだん慣れてリラックスしてきた頃に気付いたの。

窓の外はすごい嵐だって。

ちょうどワルプルギスの夜が来たときみたいな。

いよいよ私とこの綺麗な子は二人で何をしてるんだろ?

逃げなくていいのかなって思ってたら突然私の指についてた指輪がきれいな宝石。

…ソウルジェムになったの」

371 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:16:23.08 Tm9ZgNDG0 308/327

それを聞いたほむらちゃんの表情がどこか悲しげなものに変わります。

やっぱりほむらちゃんは魔法少女になった私を想像して悲しんでくれてたりするのかな?

でもどうしてそこまで私が魔法少女になったらいけないんだろう?

…今はそんな事よりまずほむらちゃんに私の思いを伝えなきゃ。

372 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:18:53.40 Tm9ZgNDG0 309/327

「そして私がこう言うの、「私、ほむらちゃんの事が大好き」って。

それにほむらちゃんが答えて「私もよ、まどか。あなたの事を愛してるわ。」って。

その時のほむらちゃんの悲しそうに笑う姿に私胸が締め付けられるような気持ちになってね、

多分それと一緒にもうあなたに恋をしていたんだと思う。夢の話なのにおかしいよね」

373 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:19:47.39 Tm9ZgNDG0 310/327

「いいえ、そんな事はないわ」

話を遮ってまでのほむらちゃんの強い否定。

少しびっくりしましたがそのまま話し続けます。

374 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:22:20.17 Tm9ZgNDG0 311/327

「これが私のあなたとの…やっぱりおかしいと思うんだけど初めての思い出。

朝起きた時に変な夢だなーって思ってそれはなんだかすぐにぼやけちゃったの。

そしてその日にほむらちゃんが登校してきたけど、

教室に入って来た時はただ綺麗な子だなーって思うだけだったんだ。

でもあなたがにっこり私に笑いかけたのを見て、

夢の中のあなたの笑顔を思い出してまたあなたに恋をしたの。

そしたらだんだん夢の中の事をリアルに思いだしていって、

それにつれてどんどんあなたのことが気になっていって…」

375 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:24:58.60 Tm9ZgNDG0 312/327

先ほどのほむらちゃんのあの悲しげな表情はもうどこかに消えてしまっていました。

こんなに悲しむ顔が気になるなんて私はほむらちゃんの悲しんでる顔が好きなのかな?

…やっぱり違います。

ただほむらちゃんに心から笑っていて欲しいって思ってるに違いありません。

だって教室で初めて会った時のほむらちゃんの笑顔は私にとってあんなに眩しかったんだから。

376 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:25:58.56 Tm9ZgNDG0 313/327

「ほむらちゃんはあの日私を使い魔からかっこよく助けてくれたよね。

それで確信したの。ほむらちゃんと私はきっと運命の赤い糸で結ばれてるんだって。

それからほむらちゃんの事を他にもいっぱい知って行くうちに、

知れば知るだけあなたの魅力の虜になって…」

377 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:27:40.97 Tm9ZgNDG0 314/327

そして一息つきます。もう気持ちを伝えたらどうなるかなんて考えない。

少なくともほむらちゃんはどんな私でも友達でいてくれるってわかったから。
  
「初めて会った日からあなたの事が大好きでした。

日が経つにつれてあなたの事をどんどん好きになっていきました。

私のしたことを許してなんて言いません。

ただ、ずっとずっと私の最高の友達でいてください」

378 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:28:55.16 Tm9ZgNDG0 315/327

そう言ってほむらちゃんの胸に顔を埋めます。

何だかんだ言ったってやっぱり気になるものは気になります。

「…まどか。先に私の話したかった事から言わせてもらうわね」

そう言ってほむらちゃんは私の頬を両手で挟み自分の顔のほうに向かせます。

ほむらちゃんの目を見ながら杏子ちゃんといい最近こういうのが流行ってるのかな?

なんて考えます。

379 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:30:21.11 Tm9ZgNDG0 316/327

「私はまどかの事が前からずっと好きでした。愛しています」
  
「…嘘だよ、そんなの」

ただの友達だって言われると思っていた不意を突かれて、

私は思わず思った事がすっと口に出てしまいました。

380 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:31:27.86 Tm9ZgNDG0 317/327

「嘘なんかじゃないわ。

あなたと初めて会った日からとは言わないけどずっとずっと前からあなたのことが好きでした。

私だってあなたとその…キスくらいしたいって思ってるのよ」
  
「そんな冗談やめてよ!私なんかを好きになるわけないもん…。

そんな幸せすぎる事いきなり言われても信じられない…」

381 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:32:17.21 Tm9ZgNDG0 318/327

思わず大きな声が出てしまいました。

涙がこぼれます。

ほむらちゃんが嘘をつくはずなんてないのに何かが私を邪魔してる。

素直になれない。

私とほむらちゃんとの間にまるで壁があるみたいだ。

言葉がうまく届かないし届いてこない。

382 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:33:29.16 Tm9ZgNDG0 319/327

「…まどか。

自分を必要以上に卑下するのはやめて。

私もあなたの事が本当に大好きなの。

ただ私はあまり話すのも空気を読む事も得意じゃない。

だから私の気持ち、こうやって今示すから」

383 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:38:13.05 Tm9ZgNDG0 320/327

「ほむらちゃ…ンッ!」

突然ほむらちゃんの唇が私の唇を塞ぎます。

私はもう心臓が止まっちゃうんじゃないかってくらいびっくりしてしまいました。

自分の体温で頭が沸騰してしまいそうなくらい顔が熱いし恥ずかしい。、

何が何だか訳もわかっていないのですから、

もちろんファーストキスの味なんてまったくわかりません。

ただそれは間違いなく幸せの味でした。 

384 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:39:07.06 Tm9ZgNDG0 321/327

~☆

「さあ、帰りましょうまどか」

ほむらちゃんがまた私のほうに手を伸ばします。

でも、私は思います。

まだほむらちゃんと一緒にいたいって。

だから私はほむらちゃんに少し嘘をつきました。

385 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:40:00.33 Tm9ZgNDG0 322/327

「今日魔女に襲われたせいで一人で眠るのが怖いの…。

ほむらちゃん、泊まりに来てくれないかな?」
  
「…今から急におたずねしても迷惑だと思うわ」
  
「じゃ、じゃあ許可がとれればいいんだね!」
  
「ちょ…ちょっと待ってまどか」

386 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:41:37.96 Tm9ZgNDG0 323/327

ほむらちゃんの制止を無視して家に電話をかけます。
  
「え、あ、うん。今帰るよごめんね。

それでね、今日急なんだけど友達連れて行っちゃダメかな…。

そうそうほむらちゃん…ってなんでわかったの!?

…うんうんわかった。じゃーねー」

電話を取ったのはママでした。それにしてもなんでほむらちゃんってわかったんだろ?

そんなに色々ママに話した覚えないのに。もうびっくりしたよ。

387 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:43:00.04 Tm9ZgNDG0 324/327

「それでご両親は?」
  
「ああ、ママがね、「ほむらちゃんなら大歓迎さ。

早くあんたのお気に入りの子の顔をみせとくれ。

くれぐれも迷子になるなよー」だって。

私がほむらちゃんが大好きだって事ママにばれちゃってるのかな?」

388 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:44:10.15 Tm9ZgNDG0 325/327

「…まあいいわ。

速く行きましょう。ご家族が心配するから」

そう言って私の手をとって早足で歩きだしました。

あっ、照れてる照れてる。

顔に出ないからこそ感じる事が出来るのがより一層嬉しいです。

389 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:45:27.62 Tm9ZgNDG0 326/327

「…まどか、さっきの告白の答えなのだけど…」
  
「うん」
  
「最高の友達と恋人。

どちらかあなたにとって親密なほうに私をカテゴリーしてくれて構わないわ」
  
「ふふ。じゃあ恋人だね」

なんだかほむらちゃんらしい言い方にほほえましくなります。

こんなに可愛い恋人が出来てやっぱり今日は朝の予感通り最高の一日です。

390 : ◆2DegdJBwqI[sag... - 2012/12/25 13:47:12.18 Tm9ZgNDG0 327/327

「…その、まどか。歩きながらでいいからもう一回かまわないかしら」
  
「ええーまたー?せめて家まで待とうよー」
  
「そしたらご家族が寝静まるまで待たなきゃいけないじゃない。

大丈夫周りに誰もいないわ。魔法少女を信用して。一回だけだから」

「もう、仕方ないんだからほむらちゃんは。」

急ぎ足でちょっと触れたか触れないくらいのキスをします。

             



それはやっぱり幸せの味でした。

【六話 終わり】

以上で完結となります。 この後、作者さんの時間が取れれば、 【後日談編+短編5つ】 が投稿される予定です。

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