「ジングルベール♪ジングルベール♪鈴が鳴る♪」
ほむら「延々と流れ続けるクリスマスソング…」
ほむら「煌びやかに輝くイルミネーション…」
ほむら「そう、明日はクリスマス。人々の笑顔があふれる日」
ほむら「なのに、私の心は一向に晴れない…」
ほむら「はぁー…、一度だけでいいから、まどかと一緒にクリスマスをすごしたかったな…」
元スレ
ほむら「『クリスマスの夜』が来る!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1356370806/
ほむら「何度も同じ時間を繰り返して、まどかと一緒の時をすごしたわ…」
ほむら「でも、一度もクリスマスがやってきた事はなかった」
ほむら「せめてワルプルギスの夜が来るのが、クリスマスの後なら良かったのにね」
ほむら「でもワルプルギスの夜を倒せば、きっとまどかと一緒にクリスマスをすごせるはず…」
ほむら「そしてワルプルギスの夜はついに消えた…」
ほむら「でも、まどか…。あなたがいない…」
さやか「はぁー…」
杏子「どうした、ため息なんかついて?お前らしくないぞ、さやか」
さやか「そりゃあさ、ため息が出るに決まってるよ…」
さやか「ありったけの勇気を振り絞って、明日のクリスマスいっしょにすごそって声をかけたんだよ!なのに、『ごめん。明日は志筑さんと約束があって…』だと!ため息だけじゃなく血涙も出そうだよ!」
杏子(ああ、あの恭介ってやつに振られたのか…。これはちょっとめんどくさそーだな…)
さやか「恭介のアホー!仁美のボケー!あたしのバカー!」
杏子「おい、周りが見てるぞ!やめろ!」
さやか「クリスマスなんてなくなればいいのに…」
杏子「そこまでいうか」
さやか「誰かが幸せな分、幸せでない人間は誰かを呪わずにはいられない。クリスマスって、そういう仕組みだったんだね…」
杏子(このままだと、円環の理に導かれそうなぐらいやばいな…)
杏子「そうだ!せっかくのクリスマスだし、あたしがクリスマスソングを歌ってやる!だから元気だせよ」
さやか「正直、聴く気分じゃないなあ…。まあいいや、歌ってみて…」
杏子(思わず、言ってしまったけど…えーと何歌えばいいんだろ。あっ、あの歌でいいかな)
杏子「雨は夜更けすぎにー♪雪へと変わるだろう♪silent night♪holy night♪」
さやか「…杏子はあたしをいじめてるのかい?」
杏子「はぁ?だから、あたしはさやかを元気づけようと…」
さやか「だって…この後に続く歌詞が『きっと君は来ない♪ひとりきりのクリスマス・イブ♪』だよ!!なめてんの!?喧嘩売ってんの!?思わず、あたしも歌っちゃったんですけど!」
杏子「(しまった!)ごめん、次はそういうのは歌わないから!」
さやか「今度はちゃんとしてよね…」
杏子(えーと、他になんか良い歌ないかなー…あった!あたしの好きな曲!)
杏子「いーつまでも 手をつないで いられるような気がしていたー♪」
さやか(これは喧嘩売ってるんだよね?そうだよね?)
マミのテレパシー(みんなー!重大事件よ!すぐに私の家に集合して!)
マミ「みんないらっしゃい!」
さやか「マミさんありがとうございます。マミさんが呼んでくれなかったら、杏子を殺しちゃうとこでした!」
杏子「だから、ごめんってさやか!わざとじゃないんだよ!」
ほむら「それで何、重大な事件って?」
マミ「みんな明日が何の日か知ってる?」
ほむら「え?」
さやか「…クリスマス」
マミ「(何だか美樹さん、イライラしてるわね)そう、クリスマス!なのに、私には明日いっしょにすごす人がいないの。これって重大な事件だと思わない?」
ほむら・さやか・杏子「はぁ!?」
マミ「そんな何言ってんの?みたいな顔しないで!ねぇ、せっかくのクリスマスなんだし、魔法少女同士みんなでいっしょにすごしましょうよ!」
ほむら「何を言うかと思えば馬鹿らしいわ。せっかくパトロールをしていたのに」
マミ「暁美さんは誰かとすごす相手がいるの?いないでしょ?だからいいでしょー」
ほむら「え?…いるわよ、ちゃんといるわよ!私にはまどかという最高の友達が!」
さやか「まどか…?」
杏子「あー、あのエア友達ね」
ほむら「エア友達とか言わないでよ!ちゃんとまどかは存在するのよ!!」
ほむら「というわけで私はマミといっしょにはいられないわ」
マミ「えー。それじゃあ美樹さんは?」
さやか「…すいません。そういう気分にはなれません」
マミ「そう…(凄く沈んでるわね、そっとしてあげた方がいいかしら)。それじゃあ佐倉さん?」
杏子「あー、あたしもパス。明日はケーキを売るバイトがあるんだ」
マミ「そうなの…。ということは…明日クリスマスなのに一人!?ふぇぇ」
QB「いいや、明日は運の良いことに一人じゃいられない日になると思うよマミ。いや、むしろこの場合、運が悪いかもしれないね」
マミ「キュウべえ!そうね、私にはキュウべえがいたもんね!ごめんね、あなたの事を忘れていたわ。それじゃあ、キュウべえ明日は何が食べたい?」
QB「残念だけど、明日はローストチキンもクリスマスケーキも食べる余裕があるなんて思わない方がいい。明日は死闘になるだろう」
ほむら「…まるで明日は、恐ろしい敵でも来るみたいな言い方ね」
QB「そうさ…明日、この町に『クリスマスの夜』が来る」
マミ・さやか・杏子「!!!」
ほむら「はい?ちょっと待って…、キュウべえ。クリスマスの夜を死闘に例えるとか、あなたも人間みたいにクリスマスでは、意中のあの子のハートを掴むのに必死なのかしら?それとも、インキュベータの夜の営みはそれほど激しいって意味?」
マミ「ついにこの時が来たのね…」
さやか「あたしたちでも勝てるのかな…」
杏子「び、びびんなよ、さやか!やってやろうじゃねえか!」
ほむら(え!?何、この私だけ空気読めてないみたいな雰囲気…)
QB「『クリスマスの夜』…、どこからともなく現れる超ド級の魔獣の事さ」
QB「古今東西あちこちに出没が確認されていて、それでいて決まってクリスマスの夜に現れる事からその名がついたんだ。まさか、ほむら、君が知らなかったとはね」
マミ「人々の『孤独』という負の感情が集まって、この魔獣が生まれたそうよ」
マミ「クリスマスには、そういった負の感情が集まりやすいから、クリスマスに現れるのではないかって言われてるらしいわ。でも、どうしたの暁美さん?こんなの魔法少女なら誰でも知ってる伝承なのに」
杏子「『クリスマスの夜』っていう魔獣は、他の魔獣と違って、結界という領域を作って、そこに潜んでいるんだってさ。おい、ほむら、こんな事も知らないなんてお前らしくないぞ」
さやか「まさか、成績優秀、魔法少女としての知能も知識も抜群のあのほむらが『クリスマスの夜』の事を何も知らないなんてねー。いやー、でもまあそういう事もあるよ!誰でも知らない事の一つや二つ!」
さやか「でも、『意中のあの子のハートを掴むのに必死なのかしら?それとも、インキュベータの夜の営みはそれほど激しいって意味?』はないわwwww」
ほむら「」プルプルプルプル
ほむら(仕方ないじゃない!改変された世界に来てから、あまり時間も経ってないんだから!)
ほむら(…それにしてもこの世界には『クリスマスの夜』なんて魔獣がいるのね。前の世界の『ワルプルギスの夜』の代わりかしら?)
ほむら「だいたいの事はわかったわ。で、その『クリスマスの夜』が結界を作るって話だったけど、どうやって私たちはその結界を探せばいいのかしら?(前の世界の魔女だと、ソウルジェムを使って魔力の反応を頼りに結界を探していたわね)」
QB「探すなんて努力はほとんど必要ないだろうね。明日になれば、その意味はすぐにわかると思うよ」
ほむら「?」
次の日の夜
マミ「なんてどす黒い瘴気なの!町の光が闇に飲み込まれていく!」
杏子「あれが『クリスマスの夜』の結界ってやつか」
QB「そうさ、『クリスマスの夜』が発する大量の瘴気、それこそがやつの結界だ」
マミ「早くあの魔獣を倒さないと!この町が大変な事になるわ」
杏子「ああ。このままじゃこの町のクリスマスが中止になっちまうよ」
さやか「あたしはクリスマスが無くなってもかまわないけどね…」
ほむら(新しい世界に来てからは一度も感じる事のなかった戦慄。まるで、ワルプルギスの夜を前にした時のような…)
ほむら「キュウべえ!ほとんど期待してないけど、この『クリスマスの夜』を倒す攻略法なんてあるかしら?」
QB「残念ながら、『クリスマスの夜』に対する情報が少なくてね。なんせ、あの結界へ入って、生きて帰れた魔法少女は一人もいない。『クリスマスの夜』の事を僕たちが知る事ができるのは、結界に入る事無く怖気づいて逃げた魔法少女のおかげだ」
マミ「結界の外から、攻撃するのはどう?」
QB「それも実行してみた魔法少女がいるらしいけど、『クリスマスの夜』がまだ存在しているという事は、どうやら効果は無かったようだね」
杏子「ちぇっ!バイトさぼって戦うには割の合わない相手だな」
マミ「だからといって手を抜いたりなんかしないでよ、佐倉さん。私がその分ごちそうしてあげるから」
杏子「ほんとか!やったー!」
マミ「それじゃあ結界内に入るわよ。みんな生き残って、平和なクリスマスをすごしましょ!」
杏子「おう!」ほむら「ええ」
さやか「あたしはクリスマスなんかどうでもいいや…」
結界内
マミ「これが『クリスマスの夜』の結界の中…。真っ暗で何も見えないわ…」
マミ「あれ?さっきまで一緒にいたのに、みんないない!」
マミ「佐倉さーん!美樹さーん!暁美さーん!キュウべえー!」
マミ「もう!みんな迷子になってしまうなんて!だらしないわね」
マミ「あれ?何かしらあの光?行ってみましょ」
「ほうら、マミ。クリスマスプレゼントだぞ」
「良かったわねマミ」
マミ「そんな…お父さんにお母さん!二人とも死んだはずじゃ…」
「うわあ!かわいいくまさんだ!ありがとうお父さん!お母さん!」
マミ「あれは…小さいころのあたし!?」
「うれしいな二つもクリスマスプレゼントを貰えるなんて!」
「え?」
「だって、サンタさんからまだ貰ってないからねー!」
「あちゃー」「あらあら」
マミ「止めてよ!こんなもの見せないで!」
マミ「幻術系の魔法ね。悪趣味だわ、こんなものを私に見せるなんて!」
マミ「絶対に許しておけないわ!ティロフィナーレ!」
ドカーン!
マミ「はぁはぁ…」
「マミ…」「大きくなったわね…」
マミ「!!」
「もう大丈夫だ」「一人で辛かったでしょ」
マミ「止めて!近寄らないで!」
「もう何も怖がらなくていいんだ」「これからはずっと一緒よ」
マミ「ああ…お父さん…お母さん…」
杏子「たくぅーみんなどこ行きやがったんだ?方向音痴かよ、あいつら」
杏子「とりあえずソウルジェムの明かりを頼りに歩いてみるか…ん?なんだあの光は?」
「今まで質素な食事ばかりですまなかった。でも、今日は年に一度のクリスマスだ」
「ごちそうを用意したのよ」
杏子「親父と母さん!?」
「あーお姉ちゃん!食べすぎ!」「だってお母さんの作る料理美味しいんだもん!」
杏子「モモ!それに小さい頃のあたし!?」
杏子「おそらく魔獣が作る幻だな。はぁん!幻覚系の魔法を得意としていたあたしに、そんなものが通用すると思うなよ!」
「ごほっ!ごほっ!」「あーお姉ちゃん汚-い!」
「もう食い意地の汚い」「ははは!杏子は本当に食いしん坊だなあ!」
杏子「…この時が一番楽しかったかなあ。ひもじくても、みんな一緒で楽しかった…でも…」
「ソウダ。オマエガ、コワシタンダ」
杏子「!!」
「やめてーあなた!」「痛いよーお父さん!」
杏子「やめろ…」
「我々は魔女の手によって生き長らえていたんだ!その身を清めるには、死ぬしかない!」
杏子「やめろ!やめてくれー!!!」
ブン!
杏子が力のかぎり槍を振り回す。その槍は幻を切り裂いた。
杏子「はぁはぁ…ふざけやがって!出てこい魔獣!ぶっ殺してやる!」
「杏子…」
杏子「またしょうこりもなく親父の幻か。いいかげんワンパターンなんだよ!」
「すまなかったな杏子…お前を一人にして…」
杏子「親父…いや騙されるな!これは魔獣が作った幻だ!」
「私が悪かった…。私が、お前の事を信じなかったばっかりに…」
杏子「やめろ!そんな事言うな!そんな事言ったらあたしは…」
杏子の父親は、杏子の体を強く抱きしめた
杏子「この温もり…本当に親父なのか?」
「杏子…。もう寂しくなんかないぞ。お前を一人ぼっちにはしない」
杏子「父さん…」
さやか「恭介!何でここに!?」
恭介「君とクリスマスをいっしょにすごす約束だったろ」
さやか「なんだー、そうだったのかー、たはは…じゃない!恭介は仁美と一緒にクリスマスをすごすって言ってたじゃない!」
恭介「僕がさやか以外の女の子と一緒にクリスマスをすごすなんて、そんな事あるわけないだろ?」
さやか「くぅー!すんごく嬉しくて顔がにやけちゃうけど、そもそも恭介がこんなとこにいるはずがない!お前なんか魔獣が作った幻だ!」
恭介「今日はクリスマス。大好きなさやかのため曲をプレゼントするよ」
さやか(駄目だよ、あたし!聴いたら駄目!聴いたらきっと落ちちゃうよ!強い意志を持つんだ!)
恭介「へへへ、今日は色んな曲を用意してきたんだ。みんな聴いてね」
さやか(耐えなきゃ…!!今は耐えるしかない…!!)
恭介の奏でる曲はそれはもうこの世のものとは思えないぐらい素晴らしいものだった
さやか「こんな幻なんかに…くやしい…!でも…聴き入っちゃう!」ビクッビクッ
QB「なるほど。この結界の中に入ると自然と集団行動ができないよう、それぞれ結界に入った者はバラバラの場所に移動させられるようだね」
QB「いや、それとも本当はみんな近くにいるのに魔獣の魔法のせいで、そう感じるだけかもしれない」
QB「うん?僕の脳へ何者かが干渉を始めた!?」
QB「残念だけど、僕にはそういった幻覚は効かないよ」
QB「なんせ君の魔法は感情を持たない者にはまるで効果が無い」
グサッ!
QB「!?」
QB「脳への干渉が無理だとわかると、即座に物理的な攻撃とは参るね」
QB「だけど、僕たちインキュベーターは、一体が殺されても、記憶が次のインキュベーターに継承されるように…!?」
QB「僕の記憶が書き換えられていく!?」
QB「そうか!この『クリスマスの夜』について、僕たちインキュベーターがほとんど何も知らないわけがわかった!こうやって『クリスマスの夜』についての情報を僕たちインキュベーターから消していくんだ」
QB「何て用心深い魔獣なんだろう…うっ!」バタッ
ほむら「結界に入ったとたん一人になってしまうなんて、これが『クリスマスの夜』の力なのかしら?まさか、みんな殺されていないわよね」
ほむら「みんなを探すべきか、それとも先に『クリスマスの夜』を倒すべきか」
ほむら「でも、この闇の中だと、どこに行けばいいかまったく見当がつかないわ」
ほむら「とりあえず照明弾でも…」
「ほむらちゃん…」
ほむら「!?」
「やっと会えたね、ほむらちゃん…」
ほむら「そんな…まさかあなたはこの世界から存在を消したはずじゃあ?」
ほむら「本当にあなたなの?まどか!」
まどか「驚くのも無理ないよね、ほむらちゃん。でも、正真正銘、鹿目まどかだよ!ほむらちゃんに会うために帰ってきたんだ」
ほむら「いいえ、鹿目まどかは全ての魔女を消すため、概念となりこの世に存在しない者になったはず。これが『クリスマスの夜』の力なのね…」
ほむら「でも、この世に存在しなくなったまどかの幻をどうやって作ったっていうの?」
ほむら「そうか!このまどかは私の記憶から作られた幻。私の頭の中を暴くなんて、なんて卑劣な!」
まどか「ほむらちゃん、そんなとこに突っ立ってないで。早くこっちにおいでよ」
ほむら「え?」
まどか「だって今日はクリスマス。いっしょにクリスマスパーティーだよ、ほむらちゃん!」
まどか「綺麗な飾り付けもたくさんしたし、大きなクリスマスツリーもあるよ。それにたくさんのごちそうもあるんだ!」
ほむら「やめて!あの子の顔で声で、そんなに楽しそうにしないで!!」
ほむら「ちょっと待って!私とまどかは、一緒にクリスマスパーティーをすごした事もなければ、クリスマスパーティーの計画も立てた事もないはず!それじゃあ本当に…?」
まどか「そしてね、ウェヒヒ。ほむらちゃんへのクリスマスプレゼントもあるんだよ!」
ほむら「まどか…」
ほむら「違う!こんなのは違う!これは幻よ!まどかと一緒にクリスマスパーティーをすごした記憶が無いなら、私の記憶を元に捏造したのよ!」
ほむら「私の頭の中を覗くだけじゃなく、勝手に書き換えるだなんて!ますます許せないわ!」
ほむらは拳銃をまどかに向けた
まどか「!?やめて!ほむらちゃん!」
ほむら「黙りなさい!あなたはまどかじゃないわ!」
まどか「お願い!ほむらちゃん…」
ほむら「…」
ほむら「うっ…私にはできない。まどかを撃つなんて…」
ほむら「例え、幻だとわかっていても、まどかを撃つ事なんて…私にはできない!」
まどか「ほむらちゃん…信じてくれたんだね!」
ほむら「…」
まどか「それじゃあ私の家に行こう!早くしないとクリスマスパーティーが始まっちゃうよ!」
ほむら(まどかとのクリスマスパーティー…。一度も叶わなかった夢…)
「いらっしゃーいほむらちゃん!」
「あんたがまどかが言ってたほむらちゃんだね」
「ほむら!」
まどか「見て見てほむらちゃん!パパがこのごちそうを用意してくれたんだよ!凄いでしょ!」
ほむら「…ええ」
まどか「美味しい?」
ほむら「…とても美味しいわ」
まどか「良かったー!次はこれも食べてー!」
ほむら「うふふ。急かさないで、まどか」
まどか「それじゃあ、次はプレゼント交換会だね」
ほむら「しまったわ!私、プレゼント用意していない!」
まどか「ウェヒヒ!もうおっちょこちょいだな、ほむらちゃんは!それじゃあ代わりに歌でも歌ってもらおうかなー?」
ほむら「えー!!歌ー!?そんなの無理よ…ご家族もいるんだし…」
まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん歌上手いし」
ほむら「そんな事ないわ…」
ほむら(どうしたんだろう…幻だってことがわかっているのに…凄く楽しい!)
まどか「来年もクリスマスパーティーしようね、ほむらちゃん!」
ほむら「ええ」
ほむら(そうよ…現実の世界にはもう、まどかはいない。一生、一緒にクリスマスパーティーもする事なんてできないのよ…。それに…)
ほむら「まどか…」
まどか「どうしたの?ほむらちゃん?」
ほむら「あなたとずっと一緒にいたい!」
まどか「うん!ずっと一緒だよ」
ほむら(そうよ…これで良かったのよ…まどかのいない世界で戦い続けるなんて…」
「幻なんかに騙されないで!」
ほむら「!!」
「たとえ姿が見えなくても…声が聴こえなくても…ほむらちゃんのそばにずっといるから…」
ほむら「今の声は…」
ほむら「まどか!?」
ほむら「そうよ…まどかはこの世界を、私たち魔法少女を救うために存在まで消したのよ!それなのに私がこんな幻に負けてどうするの!」
ほむらはかつて友達が手にしていた弓を引き、矢をまどかに向けた
まどか「何をするのほむらちゃん!?」
ほむら「それにね…本当のまどかなら、人々が危険に脅かされているというのに、笑っていられるはずがない!」
ビューン!
矢がまどかを貫いた
まどか「ああああああああ」
ほむら「まどかの幻が消えた!」
まどか「酷いよ、ほむらちゃん…」
ほむら「あれ?また出た。それならもう一回」
ビューン!
まどか「いやん」
ほむら「よし消えたわ!」
まどか「もう流石に怒るよ!」
ほむら「またまた出た!?それならまたまた攻撃!」
ビューン!
まどか「うわーん」
ほむら「よし!また消えた!」
まどか「もう怒った!」
ほむら「どうして?…どうしてなの?何度やっても、まどかの幻を消せないッ!」
ほむら「いや、待てよ。何故一瞬でも幻が消えたのか考えるのよ…」
ほむら「…そうか光!私の放った攻撃の光によって幻が消えるのよ!」
ほむら「この結界の暗闇は、魔獣の幻影を写すために必要なスクリーンなのよ!」
ほむら「そうと分かれば、この闇を長く照らし続ける、それも強い光が必要…」
ほむら「矢に魔力を注入…、強くそして長く闇を照らすように…」
ほむら「いけー!!」
ピカー!
強い光がこの結界の中を照らした
マミ「お父さん、お母さん…このティロフィナーレてって必殺技どう思う?」
マミ「…あれ?いなくなった!?」
杏子「父さん…今日は一緒に寝てもいいかな?」
杏子「あれ?父さーん!?」
さやか「恭介の奏でる曲であたしの耳が妊娠しちゃうよ…」
さやか「あれ耳が聴こえなくなった?!」
ほむら「どうやらみんなも目が覚めたようね」
ほむら「まさか、こんなに近くにいたなんてね」
マミ「暁美さん!」
さやか「幻は何で消えちゃったの?つうか、まぶしっ!」
ほむら「この幻惑は暗闇じゃないと使えないようなのよ。だから強い光で消しただけ」
杏子「あたしが普通に槍で攻撃した時でも消えたけど、あれはなんでだ?」
ほむら「多分、魔力を込めた攻撃だったから、光ったんでしょうね」
ほむら「幻は消えたわ。さあ、後は『クリスマスの夜』を倒すだけよ!」
マミ・さやか・杏子「えー!!!」
ほむら「そこの三人!幻が消えてがっかりみたいな態度しない!」
ほむら「いたわ!あの僧侶みたいな姿が『クリスマスの夜』の正体よ!」
杏子「他の魔獣と姿は変わらないんだな!」
魔獣「ヴァァァァァ」
魔獣から鋼鉄の刃が放たれた
カキン!カキン!
さやかと杏子が魔獣の攻撃をはじき返す
さやか「姿さえわかれば、どこにでもいる変哲の無い魔獣だね」
杏子「こんなちんけな攻撃であたし達を倒せると思うなよ!」
ほむら「一斉に攻撃するわよマミ!」
マミ「オッケー!ティロ・フィナーレ!!」
ほむら「マジカルアロー!」
魔獣「グォォォォォ!!!」
ドカーン!
マミ「見て!結界が崩れていく!」
杏子「瘴気も消えていく!」
さやか「勝ったんだあたし達!」
ほむら「そうよ!私たちの勝利だわ!」
マミ「私たちが誰も倒した事のない『クリスマスの夜』を倒せたなんてね…」
杏子「しっかし、よくあの幻から正気を取り戻せたな、ほむら」
さやか「流石は優等生のほむらってわけだね」
ほむら「いいえ、私一人の力ではあの幻から勝つ事はできなかったわ」
マミ「え?私たち以外にも誰かいたの?」
ほむら「まどか…」
マミ・さやか・杏子「?」
ほむら「いいえ、今日はクリスマスなんだし、サンタさんが私に力を貸してくれた事にしとこうかしら。とびきり可愛い女の子のサンタさんがね」
杏子「それじゃあさ、戦いも終わったんだし、クリスマスパーティーをしようぜマミ!」
マミ「戦ったばっかりだっていうのに元気ね佐倉さん」
さやか「あたしもやっぱり参加しようかな…」
マミ「え?いいの美樹さん?」
さやか「やっぱりさ、クリスマスはみんなで楽しくすごした方がいいかなーなんて思っちゃって」
さやか「それに、一人ぼっちのクリスマスなんてしちゃうから『クリスマスの夜』みたいなんが生まれちゃうのかなーとか考えたりしてしまったんです。もちろん、マミさんが良ければですけど…」
マミ「もちろん大歓迎よ!佐倉さんもかまわないでしょ?」
杏子「ああ、あたしはかまわないよ。一人より二人、二人より三人の方が断然楽しいし」
ほむら「私も参加しようかしら」
さやか「あれ?まどかっていうエア友達は?」
ほむら「エア友達じゃない!まどかはどこにでも存在する永久不滅の私の友達よ!」
ほむら「まあ、そういう事は置いといて。まどかも大勢でクリスマスパーティーをする方が楽しいと思ってね」
ほむら(それに私ってば、まどかどころか、友達とクリスマスパーティーをする事なんてほとんど無かったしね…)
マミ「良かった!魔法少女4人でクリスマスパーティーができる事になって!」
ほむら「4人じゃない!5人よ!」
杏子「それじゃあ、ほむらプレゼントもってこいよ!もちろん、まどかとかいう奴のぶんも」
ほむら「何ですって!?」
杏子「それじゃあ、いっせいのーでで行くぞ!」
さやか「うん」マミ「まかせて」ほむら「ええ」
杏子「いっせいのーで!」
ほむら・マミ・さやか・杏子・まどか「メリークリスマス!!!!!」
さやか「あれ?今、あたし達以外にも声がしなかった?」
マミ「したような、しなかったような」
ほむら「また、幻だったりして」
杏子「怖い事言うなよ!」
ほむら「杏子がっつぎすぎよ」
杏子「だってマミの作る飯はうまいんだもん」
マミ「ありがとう美樹さん。このくまのぬいぐるみのクリスマスプレゼント大事にするわ」
さやか「マミさんもこのCDありがとうございます。このアルバム凄く欲しかったんですよ」
ほむら「杏子にしてはセンスの良い服ね。ありがとう」
杏子「お礼は良いけど、お前プレゼントはどうした?」
ほむら「あ!」
杏子「ほほー。それなら罰ゲームだな!そうだなー…よし!歌え!」
ほむら「!!無理よ、人前で歌うなんて!」
さやか「ほむらちゃんの良いとこ見てみたい!」
マミ「この場合聴いてみたいね」
ほむら「わかったわよ、歌うわよ…」
まどか(良かったねほむらちゃん…。楽しいクリスマスパーティーができて)
ほむら「うん?今、誰かの声が聴こえたような…」
終わり