1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:32:53.90 Tax9mU3L0 1/42

-教会-

ほむら「久しぶりね、佐倉杏子」

杏子「よう、ほむら。久しぶり。
   アンタから連絡があるなんて、めずらしいじゃんか」

ほむら「ふふ、実はちょっとお願いがあってね……」

杏子「お願い?」

ほむら「教会を貸して欲しいのよ。その……挙式を上げるために」

杏子「マジか!」

元スレ
ほむら「鹿目ほむらになります」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355142773/

3 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:34:16.33 Tax9mU3L0 2/42

杏子「あ~、でもアンタら、ワルプルギスの夜の後から、ずっと同棲してただろ?
   もう15年か?
   今更結婚なんてしてもしなくても同じじゃないのか?」

ほむら「同棲って……。鹿目家に居候していただけよ。
    まあ私も今更形にこだわるつもりはないのだけど、ひとつの節目というか」

ほむら「私たちの場合は、日本の法律上どうしても無理だったから。
    それが今度、やっと結婚できるようになったからね」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:35:23.63 Tax9mU3L0 3/42

杏子「ふーん、なるほどねー」

杏子「ただ前にも言ったけど、この教会はもう私のものじゃない。別の人間が所有してる。
   今の私は、この教会に住み込みで働いている掃除のおばさんさ」

ほむら「ええ、分かっているわ。
    それでも<ここ>は、私たちにとっては、<あなたの教会>なのよ。
    もちろん後で、所有者の方にも話をするけど、まずはあなたに許可を取っておこうと思って」

杏子「まあ好きにすればいいさ。
   こんな寂しいところじゃなくて、ちゃんとした教会なりホテルなりの方が良いんじゃねーの?」

ほむら「いえ、私たちはやっぱり。あなたの教会で式を挙げたいわ。
    思い入れがあるところの方がやっぱり良いのよ」

杏子「まあ、そう言うことなら、分かったよ。
   所有者にも私から言っておくよ。そのくらいの融通は利くさ」

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:37:27.66 Tax9mU3L0 4/42

ほむら「魔法少女のお仕事はどう?」

杏子「最近はソウルジェムの濁りが少なくてな。
   グリーフシードもあまり必要なくなってきてるから、なるべく若手にやらせるようにしてるよ」

ほむら「年齢を重ねるごとにソウルジェムの濁りが鈍くなってる。
    おそらく、感情が高ぶったり絶望することがなくなってきたから。
    私たちは色々なことを経験して、諦めも妥協も覚えた。
    希望を捨てることがイコール絶望ではないことも知った。
    感情をコントロールする術も身につけた。
    少女から大人の女になることで、魔法少女のシステムから外れかけているのかもしれない」

杏子「……なあ、ほむら。
   大人の女って響き、エロくないか」

ほむら「なんでこの流れで中学生みたいなことが言えるのかしら?」

杏子「まあ後は、経験の差だな。
   同じように魔力を使っているようでも、昔より効率良くコントロール出来ているんだろう。
   たぶん、魔力の消費が少ないから、濁りも少ないんだ」

ほむら「そうね。戦闘に関しては、そう言うことだと思うわ」

9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:38:44.11 Tax9mU3L0 5/42

ほむら「マミとは会ってる?」

杏子「いや……最近は全然だな。さやかとは良く会うんだけどな。」

ほむら「たまには会いに行ってあげなさいよ。寂しがってるわよ?」

杏子「いやー。マミに子供産まれてから行きづらいんだよ。
   旦那とも顔合わせづらいし」

ほむら「あなたがそんな事を気にするとわね。
    昔はそれこそ同棲しているようなもんだったのに」

杏子「いやいや。昔は確かに飯をたかりにいったけどな。悪かったと思ってるよ。
   今思えば旦那とのデートの邪魔したことも何度かあったしな……」

ほむら「ふふ。マミは気にしてないと思うわよ」

杏子「それなら良いんだけど。
   まあでも、……そうだな。今度、連絡とってみるか」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:40:31.11 Tax9mU3L0 6/42

ほむら「あなたはどうなの?」

杏子「あん?」

ほむら「恋人はいないのかしら?」

杏子「残念ながら、独り身さ。でも私は別に、このままでも良いと思ってる」

ほむら「そんなこと言ってると手遅れになるわよ」

杏子「良いんだよ別に。まあ、なるようになるさ。
   私のことよりさやかだよ。
   この前も一人失恋旅行に行ってたみたいだけど、悲しすぎるだろアレ」

ほむら「……あれ時々明るい文面で写メが来るのが怖すぎるのよね。
    すっごく明るい写真のはずなのに、全体から悲しみのオーラが半端なく出てるのよ」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:41:35.76 Tax9mU3L0 7/42

ほむら「じゃあ、そろそろ失礼するわ。
    今は色々あって無理だけど、落ち着いたら遊びに来て欲しいわ。
    まどかも喜ぶと思うし」

杏子「ああ、わかった。
   まどかによろしく言っといてくれ」

杏子「教会の件は、まかせときな」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:44:43.63 Tax9mU3L0 8/42

-マミ家-

ほむら「こんにちは、マミさん」

マミ「いらっしゃい、暁美さん。
   良く来てくれたわね。まあ、上がって?」

ほむら「今日は旦那さんは?」

マミ「子供を連れて、公園に行ってもらっているわ」

ほむら「わざわざすみません。迷惑でした?」

マミ「全然! 私も久しぶりに会えて嬉しいわ!」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:46:12.12 Tax9mU3L0 9/42

マミ「魔法少女の活動を休止してから、あなたたちとはあんまり会う機会がなくて。
   ちょっと寂しかったのよ。
   佐倉さんもちっとも来なくなっちゃったし」

ほむら「実は午前中に杏子の所に行ってたんですけど、あの子なりに遠慮している風でしたよ」

マミ「そんなこと気にしなくても良いのにな。
   もちろん、あなたもよ、暁美さん」

ほむら「はい」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:47:02.59 Tax9mU3L0 10/42

ほむら「魔法少女の活動は、やっぱり休止してるんですね」

マミ「ええ。流石に子育てをしながら出来るほど、魔法少女は甘くないわ」

ほむら「グリーフシードは足りてます?」

マミ「それは大丈夫。もともと貯めていた分があるし、それに慕ってくれる後輩がね、ときどき届けてくれるの。
   口は悪いんだけど、良い子よ。佐倉さんみたいな感じかな?」

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:48:59.56 Tax9mU3L0 11/42

ほむら「お仕事は、まだ続けてらっしゃるんですか?」

マミ「もちろん。
   魔法少女として活動できない分、こっちは頑張らないとね」

ほむら「そういえば、ずっと聞きそびれていたんですけど、マミさんはなんで保育士になったんですか?」

マミ「そうね……。暁美さんには話したことなかったか。
   私が保育士になったのはね。魔法少女として魔女退治をしていても、それだけでは解決にならないと思ったからなの」

マミ「前に佐倉さんが言っていたけど、魔女に魅入られるような人は、遅かれ早かれ死んでしまうことが多いの。
   口づけは、きっかけにしか過ぎないのね。
   当時の私は、そのことに気づくことは無かった。
   正義の魔法少女は、悪の魔女を倒せばハッピーエンドだと思っていたから……」

マミ「実際には、使い魔や魔女を倒しても、その後で自殺してしまったりすることがある。
   もちろん例外はあるわよ。あなたのクラスメイトの仁美さんとかね。
   あのときはたまたま弱っていた心につけ込まれただけで、その後は自殺なんてすることはなかった。
   だけど、くり返し死のうとする人もいる……」

マミ「保育士になったのはね。
   精神が幼い子供は、魔女に魅入られやすいでしょ。それは、魔女を倒せば救われるんだけど。
   だけど、やっぱり強い心を持って、魔女に魅入られないようになって欲しい。
   大人になっても、強い心を持ち続けて欲しい。
   そんな願いを込めて、私は保育士として、できることをやっているつもりよ」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:50:00.72 Tax9mU3L0 12/42

ほむら「そんな考えがあったんですね……」

マミ「ふふ。でもね。これも私のワガママなのかもね。
   どうあがいても、救えない人たちはいる。私はそれを切り捨てて、助けられる人だけを助けている。
   いえ、助けている気持ちになっているだけかもしれない」

ほむら「そんな!
    ……そんなこと、ないですよ」

ほむら「すごく、立派、だと思います」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:51:35.80 Tax9mU3L0 13/42

マミ「しかしあなた。プライベートで会うと大人しいわね……」

ほむら「はい」 ///

マミ「魔法少女の時はあんなに気が強いのにね。
   私のことも呼び捨てだし?」

ほむら「そ、それは……」 ///

マミ「ふふ。攻めてる訳じゃないけどね。もっと心を許してくれてもいいのに」

ほむら「いえ、そう言うわけではないんですけど……。
    マミさんは……魔法少女のイロハを教えてくれた師匠ですし、私の尊敬する魔法少女ですから」

ほむら「ただその、……戦闘のときは、やっぱりあんな感じになってしまって……すみません」

マミ「良いのよ。気にしてないわ」

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:53:31.91 Tax9mU3L0 14/42

マミ「ところで、何か用があって来たんじゃないのかしら?」

ほむら「あ、そうでした」

マミ「私は別にお茶会だけしてても良いのだけどね?」

ほむら「ええ、私も、半分くらいは、お茶会目的です」

ほむら「もう半分はですね、実は結婚することになりまして」

マミ「あら。おめでとう! 相手は鹿目さんかしら?」

ほむら「はい」 ///

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:54:54.90 Tax9mU3L0 15/42

マミ「でも私の次は美樹さんだと思ってたけど……意外だったわね」

ほむら「あの……さやかはこの前、別れたらしいですよ」

マミ「えええっ! あれだけ仲よさそうだったのにっ!」

ほむら「はい……。一人で失恋旅行に行ってました」

マミ「それは……悲しすぎるわね……」

ほむら「ええ……」

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:55:59.13 Tax9mU3L0 16/42

ほむら「それじゃ、今日はこの辺りで失礼します」

マミ「あらそう? もっとゆっくりしていっても良いのに」

ほむら「いえ、あまり長居をしてしまうと……旦那さんやお子さんにも悪いですし」

マミ「そんなに気にしなくても良いのに……。
   今度は鹿目さんも連れてきてね。
   美樹さんも、佐倉さんも呼んで、お祝いしたいわ」

ほむら「そうですね。久しぶりにみんなでお茶会、したいですね」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 21:58:57.77 Tax9mU3L0 17/42

-さやか家-

ほむら「こんばんは、美樹さやか」

さやか「おー、転校生。どしたー?」

ほむら「……連絡したわよね? 今日行くって」

さやか「あー、今日だったか。悪い悪い。忘れてた」

ほむら「相変わらずね……」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:00:11.84 Tax9mU3L0 18/42

さやか「そんで、何用じゃ?」

ほむら「あなた、だらしなさそうな雰囲気なのに、部屋はしっかり片付いているのよね。
    自炊もするし、意外と女子力(笑)高いのかしら」

さやか「その『女子力(笑)』に悪意を感じる……」

ほむら「いえ、あなたは美人だし、スタイルも良いし、女子力(笑)も高いのに、
    なぜ彼と別れたのかと思って……」

さやか「いやー。あれはさー。まあ細かいすれ違いってのもあったんだけど。
    一番の決め手は、結婚したら仕事を辞めるかどうかってとこなのよ。
    私は看護師の仕事を辞める気はないんだけど、ヤツは仕事を辞めて家に居て欲しいわけね」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:01:29.07 Tax9mU3L0 19/42

さやか「色々話し合ったんだけど駄目だね。一回こじれちゃったら、もう無理。泥沼。
    あとはお互いただの悪口の言い合いになってね」

さやか「旅行先で別れちゃった」

ほむら「あの失恋旅行ってまさか!」

さやか「そ。その旅行」

ほむら「まさに失恋ほやほやだったわけね」

さやか「どっかにいい男は転がってないかな」

ほむら「失恋したてでその発言はどうかと思うわよ」

さやか「ほむらの会社にいい人いない?」

ほむら「いても紹介しないわよ」

さやか「残念っ」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:04:20.88 Tax9mU3L0 20/42

さやか「ゲスい言い方だけど、恭介ってかなりの優良物件だったよね。
    幼馴染みだったから気づかなかったけど割とイケメンだし、金持ちで優秀なバイオリニストでさ。
    何か惜しいことをしたなあとか思っちゃうわけよ」

ほむら「急にどうしたのよ」

さやか「中学生の頃さ、確かに恭介のことは好きだったし、恭介のために願いを使ったりしたけどさ。
    後になって考えると、もしかしたら思春期で男の子を意識し始めたときに、一番近い位置にいただけかもしれないなあ、って。
    初恋ってそんなもんじゃない?」

ほむら「……」

さやか「実際のところ、何年かしたら未練もなくなったし、仁美のことも素直に祝福できるようになったしね。
    仁美は本気で恭介のことを好きになってたからね……」

ほむら「仁美の献身は見ていて分かるけど、あなたも結構なものだったと思うわよ」

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:07:06.44 Tax9mU3L0 21/42

さやか「でも今になるとねえ、ほら……。もう色々妥協するんだよ。分かるでしょ?
    そうすると『ああ、恭介惜しかったなあ……』とかね。たまーに思っちゃうわけよ……」

ほむら「まあ……分からないでもないわ」

さやか「でも恭介と結婚ていうのは無理だよねえ……
    恭介はアレで結構メンタル弱いから、常に支えてくれる人が隣に居ないと駄目なんだよ」

ほむら「知ってるわ。ある意味では、あなた以上に彼のことを知っているわ」

さやか「仁美は凄いよね。お稽古事とかレッスンとかずっとやっててさ、それまで積み上げてきたものとか、
    そういうの全部捨てて恭介と一緒になろうとしててさ」

さやか「私は無理だね。やっぱり今の仕事に誇りを持っているし。
    魔法少女としての活動も止められないしね」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:08:50.97 Tax9mU3L0 22/42

ほむら「あなたその割には仕事の愚痴が多いじゃないの」

さやか「いやー。それはもう仕方ないよ……。
    仕事が大変なのはまあ我慢できるんだけど、人間関係がね……」

さやか「患者さんに感謝されるとさ、嬉しいし、それで癒されるんだけど。
    中には看護師を奴隷みたいに扱うヤツもいるしさあ。
    自分のミスじゃないのに怒られるなんて日常茶飯事だし、
    その割に可愛いだけの甘えた新人がちやほやされたりしてさ」

ほむら「ストップ。それ以上は止めましょう」

さやか「そうだね……。うん。止めよう」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:10:16.46 Tax9mU3L0 23/42

さやか「でさー。最近、出会いがなくてちょっとね……。アラサー女子としては、危機感を感じているわけですよ。
    このままいつまでも独り身なんじゃないかと思うとね……」

ほむら「職場に出会いは……まあ、無理かしらね」

さやか「うん……ちょっとね……もう医者とか看護士はいいや。
    それよりさぁ、合コン設定してよ」

ほむら「いやよ! 前に開催したとき、とんでもないことになったじゃない!
    もう二度とあなたと合コンはしないわ!」

さやか「えー。親友を助けると思ってさー」

ほむら「残念だけど他を当たって頂戴」

さやか「けちー」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:11:26.48 Tax9mU3L0 24/42

ほむら「……こうやってさやかと話していると、ちょっと安心するわ」

さやか「お、さやかちゃんの母性に目覚めちゃった?」

ほむら「それはないわ」

さやか「否定するのが早いよ!」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:13:09.02 Tax9mU3L0 25/42

ほむら「正直言って私の周りは特殊な人が多いのよ。
    杏子は聖女、マミは聖母、まどかは天使、といったところかしら」

さやか「さやかちゃんは?」

ほむら「他人に対する愛とか、自己犠牲の精神が強すぎて。
    それはもちろん、素晴らしいことなのだけど……」

さやか「……さやかちゃんは?」

ほむら「マミは自分が死にそうだったから仕方ないとしても、その後は他人を守ろうと闘っている。
    杏子もあなたも、他人のために願いを使っている」

さやか「さやかちゃんキタ!」

ほむら「まどかも契約するとしたら、他人のため……(とかネコとかマミのためとか……)」

さやか「でも転校生もまどかのために契約したんでしょ?」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:15:40.12 Tax9mU3L0 26/42

ほむら「私の願いは結構な自己満足なのよ」

ほむら「私は、自分を変えたかった。“まどかを守れる自分”になりたかったの。
    まどかを助けたかったわけではないのよ……」

ほむら「そこには、まどかを助けて感謝されたい、仲良くなりたいという独善的な想いがあった。
    更に言えば、願いの効果で助けるのではなく、私自身の力で助けることで、
    恩を売れるという打算的な考えもあったに違いないわ」

さやか「うーん。それは違うと思うよ。
    私バカだから上手く言えないけど、転校生はさ、そのとき本心からまどかを救いたいと思ったんだよ」

さやか「だけど、マミさんも死んじゃってるし、ワルプルギスの夜は迫っていて街は崩壊している。その惨状を見て。
    きっと、みんなを救いたいと思ったんじゃないかな。そのためには、“やりなおす”必要があったんだよ。
    だから転校生はさ、まどかを守るための盾の他に、やり直すための砂時計があるんだよ」

ほむら「!!!」

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:17:34.21 Tax9mU3L0 27/42

ほむら(そうか……、今まで考えたことはなかったけど、そうかもしれない)

ほむら(それが事実はどうかは分からない。インキュベーターの考えることは分からないから)

ほむら(だけど……)

ほむら「ありがとう、美樹さやか。
    今のあなたの言葉で、私は救われたわ」

ほむら「ありがとう……」

さやか「転校生……」

さやか(泣いてる……。どうしよう……。結構適当に喋ったんだけど……)

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:18:52.12 Tax9mU3L0 28/42

ほむら「見苦しいところを見せてしまったわね」

さやか「あはは。気にしない気にしない」

ほむら「それじゃ、そろそろ失礼するわ」

さやか「あれ? 転校生って結局何しに来たの? 用事があったんじゃ……?」

ほむら「あ……。忘れていたわ……」

さやか「まあ私としては、ただお喋りするだけでも良かったけど」

ほむら「ふふ。私もそうよ。半分は、あなたとお喋りするのが目的」

さやか「おおう。転校生がデレとる……」

49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:20:32.99 Tax9mU3L0 29/42

ほむら「もう半分は、報告。
    実は、結婚することになって。鹿目ほむらになるわ」

さやか「おおー、ついにかー。おめでとう-。
    いやー、15年くらいかな? 長かったねー」

ほむら「違うわよ。そんなに昔からつきあってはいないわ」

さやか「でも出会ったのは中2のときでしょ?」

ほむら「そうね。出会いはそうよ」

ほむら「でも、意識するようになったのはずっと後。
    つきあい始めたのは、ここ1~2年のことなのよ」

さやか「そうかなぁ。
    てっきり、ワルプルギスの夜を倒して、まどかの家に住み始めてから、
    すぐにつきあい始めたものかと思ってたけど。
    イチャイチャが半端なかったよ?」

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:21:39.53 Tax9mU3L0 30/42

ほむら「あ、あのねえ」

ほむら「まどかの家に住み始めたときは、まだ3歳よ? 私にショタコンの属性はないわよ。
    確かに可愛いな……とは思っていたけど」 ///

さやか「おお、惚気ですか?」

ほむら「茶化さないでよ」 ///

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:23:33.61 Tax9mU3L0 31/42

ほむら「でも実際、たっくんのことは、まどかの弟としか見てなかったわ。
    たっくんの方も、姉の友達とか、もう一人のお姉ちゃんくらいの感じだったわよ」

ほむら「意識し始めたのは中学生の頃ね。
    つきあい始めたのは高校生になってからよ」

さやか「転校生……」

ほむら「なによ」

さやか「中学生(10代前半)に特別な感情を抱くのは立派なショタコンだと思う」

ほむら「違うのよ! 急に真面目な顔しないで!」

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:25:06.49 Tax9mU3L0 32/42

ほむら「もういいわ。私はあくまで、鹿目タツヤのことが好きなのであって。
    ショタコンだったわけではないわ」

ほむら「言っておくけど、女装させたりもしてないわよ!」

さやか「わ、分かってるよ。落ち着け」

ほむら「もうっ……」


QB「11歳の差くらいなんてことないと思うけどね」

ほむら「キュゥべえ! あなたいったい」
さやか「あ、おかえりキュゥべえ」

QB「ただいま、さやか」

ほむら「え……」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:27:01.08 Tax9mU3L0 33/42

ほむら「どういうこと? まさか同棲?」

QB「せめて同居と言って欲しいな。暁美ほむら」

さやか「私はペットを飼ってるくらいのつもりだった」

QB「酷いなぁ」

ほむら「あなた、マミのところに住んでたんじゃなかったの?」

QB「マミが結婚したからね。
  流石に新婚夫婦を邪魔するのも申し訳ないと思って、しばらくは杏子の所に行ってたんだよ」

QB「ただ、あちらは別の個体の管理下だからね。
  僕も少々居心地が悪かったので、さやかのところに来たわけだ」

さやか「まどかのとこにも行ったみたいだけど、転校生が怖くて逃げ帰ってきたみたいよ」

QB「そ、そう言うことは言わないで欲しいなあ」

ほむら「私は昨日もキュゥべえに会ったけど、そんなこと言ってなかったわよ」

さやか「聞かれなかったからね」 キリッ

ほむら「あなた良くそう言う冗談言えるわね……」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:28:38.93 Tax9mU3L0 34/42

QB「ほむらの会っている個体は、僕とは別の個体だよ」

さやか「転校生は何か気づかない? まあ短時間じゃ気づかないか」

ほむら「何よ?」

QB「この僕はね。『極めてまれな精神障害』を負ってしまった個体なのさ。
  要は感情を持ってしまったということだね」

ほむら「なるほど。さっきから気になっていた違和感はそれだったのね。
   『申し訳ない』とか『居心地が悪い』とか『怖くて』とか。
   何か引っかかっていたのよ」

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:30:13.18 Tax9mU3L0 35/42

ほむら「でもさやか。良くこんなのと一緒に生活できるわね」

さやか「いやー、まあね。
    正直言って、キュゥべえがやってきたことを許せるかというと、
    まあ完全には許せてはいないんだけどさ」

さやか「大人になって、価値観の違いで衝突する人たちを見てきたし。
    騙された私たちにも、問題がなかったとは言えないし」

さやか「それに感情を持ってしまったコイツを無下に出来るほど、私は冷酷にはなれないわ」

ほむら「さやか……」

ほむら「……ふん。どうやらさやかも特殊な人だったようね。
    さしずめ聖騎士といったところかしら」

さやか「さやかちゃんは、もうちょっと女の子っぽいのが良いな」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:31:13.04 Tax9mU3L0 36/42

ほむら「さて、それじゃあ用事も済んだし、失礼するわ」

さやか「うん。まあ、またね」

QB「僕は少し、ほむらについていくよ」

QB「ちょっと、話したいこともある」

66 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:32:30.99 Tax9mU3L0 37/42

-帰り道-

ほむら「……何を企んでいるの? インキュベーター」

QB「うん。まあ、ちょっと聞いて欲しいことがあってね」

QB「さっきも言ったけど、この個体は、感情を持ってしまった。
  『極めてまれな精神障害』を負ってしまった。
  そのため、他の個体とはリンクを切られている。
  もし君にその気があれば、僕を殺すことも可能だ」

ほむら「どうせ他の個体が来るだけでしょう?」

QB「いや、この街の担当は別の個体さ。
  昨日、君が話した個体がそれだ。
  僕が死んでも、もう代わりは来ない」

ほむら「……それで、何を言いたいのかしら」

69 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:34:19.60 Tax9mU3L0 38/42

QB「……一言、謝りたくてね」

QB「もちろん、感情を持ったとしても、僕たちと君たちでは、
  価値観に対して大きな隔たりがある。
  僕たちがやってきたことが間違いだったとは思わないさ」

QB「ただそれでも……申し訳なかったとは、思った」

ほむら「……ふん」

QB「言いたかったのは、それだけだよ」

ほむら「……」

70 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:36:37.84 Tax9mU3L0 39/42

ほむら「……私は、まどかさえ契約しなければ、まどかさえ幸せならば、後のことはどうでもいいわ。
    宇宙のエネルギーがどうなったって、他の誰かが魔法少女になったって、構わない」

ほむら「だから、さやかがあなたを許したのなら、私に謝罪する必要はないわ」

QB「……でも僕は、君を騙して契約を」

ほむら「私はあなたとは契約してないわ。
    私が契約したのは、別の時間軸の、別の個体よ」

ほむら「……だから、気にしないで、いいわ」

QB「……ありがとう。ほむら」

72 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:38:44.19 Tax9mU3L0 40/42

QB「じゃあ、僕は帰るよ」

ほむら「あ、待って。
    あなた、他の個体と紛らわしいから、何か目印を付けなさい」

QB「目印?」

ほむら「本当は焼き印を入れてやりたいところだけど……。
    そうね、このリボンをあげるわ」

QB「これは……?」

ほむら「いつかの時間軸で。マミが付けていたリボンよ」

QB「……それは、君にとっても重要なものじゃないのかい?」

ほむら「いいの。今の私にとっては、必要ないものよ」

QB「……そう。分かった。もらっておくよ」

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:39:44.21 Tax9mU3L0 41/42

QB「じゃあ、またね」

ほむら「ええ、また」

ほむら「……」

ほむら「これで、良かったのかしら……?」

ほむら「……」

ほむら「良かったのよね……」


終わり

76 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/12/10 22:40:56.67 Tax9mU3L0 42/42

-おまけ-

QB「ところでさやかは、いつまで転校生って呼ぶんだい。
  下の名前で呼んであげればいいじゃないか」

さやか「これはねえ、まあ、私と転校生の間だけにしか通じないんだけど、
    親しい=名前を呼び合うとは限らないってことだね。
    転校生にとって、『転校生』って呼ばれることは、意味があることなんだよ」

QB「訳が分からないね」

さやか「いいんだよ。それで」


終わり

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