京子「結衣って将来行き遅れそうだよね」
結衣「……」ペラッ
結衣「あ、このお料理美味しそう……」
京子「良く言えばボーイッシュ、悪く言えばガサツというかさ」
京子「言葉遣いも男の子みたいだし、……まぁそれがいいっていう子もいるんだけど」
京子「ごらく部の面々に比べて女の子らしさが無いんだよなぁ……」
結衣「京子、今夜はこのロールキャベツでいいかな?」
京子「ろ、ロールキャベツ……!」ジュル
元スレ
結衣「もっと女の子らしく」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348316602/
京子「ほ、ほんと?ロールキャベツ作ってくれるの!?」ガタッ
結衣「はいはい、あまり興奮しないの……おすわり」
京子「へっへっ……くぅ~ん」ペタッ
結衣「ぷ、プライドは無いのか京子には……」ナデナデ
結衣「でもさ、初めて作る料理だから失敗するかもしれないよ?」
京子「ううん、結衣の腕ならレシピ通りやれば事故は起きないって」
京子「いつも結衣のご飯を食べてきた私が保証するよん」ニコッ
結衣「……あ、ありがと」
京子「いやぁ楽しみだな~、ふふ~ん♪」
結衣「じゃあ今日のおかずはロールキャベツにしてっと……」メモメモ
結衣「待てよ……」ピタッ
結衣「主食をご飯にするとちょっと組み合わせとしてどうなんだろう?」
京子「えっ、私は別に問題ないと思うけど」
京子「ご飯+ロールキャベツ、だけでいいじゃん」
結衣「うーん……」
結衣「でも、それはちょっと寂しくない?」
京子「ノンノン、……気にし過ぎ、それだけでも十分ご馳走だよ」
京子「ポイントなのは結衣の手料理ってことで、それだけで嬉しい……」
京子「はっ!?……な、なーんちゃって」アセアセ
結衣「へっ?どうしたのそんなに慌てちゃって」
京子「な、なんでもない、それより今日の晩ご飯はどうするの?」
結衣「えっと……」
結衣「適当にパスタでも作って、それとロールキャベツ入りのコンソメスープかな」
京子「おぉ……」
結衣「失敗したらゴメンな、先に謝っておく」
結衣「京子とはいえ不味いのを食べさせると思うとちょっと気が引けるな……」
京子「京子とはいえ、ってちょっと失礼じゃないの?」ジッ
結衣「あはは……」
京子「ま、期待して待ってますよ結衣シェフのお料理」ニコッ
結衣「……もう、プレッシャーかけるなよ」
京子「~♪」ゴロゴロ
結衣「あのさ、さっきのってどういう意味なの」
京子「うん?」
結衣「わ、私が行き遅れるってハッキリ言ったよなお前……」ジトッ
京子「あぁ……」
結衣「行き遅れるって、……つまりおばさんになるまで独身ってこと?」
京子「ま、まぁそういうこと……」
結衣「むっ……」
結衣「はぁ、あかりやちなつちゃんに言われるならともかく」
結衣「……」ジトッ
京子「いやんっ、そんなジト目で見つめちゃダメよ」
結衣「割りとズボラなところがある京子にそんなこと言われるとは……」
京子「わ、わたしってズボラなの!?」
結衣「自覚無かったんかい」
京子「むむむむ……」ムスッ
結衣「ご、ごめん、ズボラって言うのは少し言い過ぎた……」
京子「……」スッ
結衣「どうしたの急に立ち上がって?」
京子「今日はただ遊びに来ただけだっていうのに……」
京子「私服はちゃんとよそ行きの可愛いの選んだぞ!!」ズイッ
結衣「そうだね、そのシャツとネクタイの組み合わせ可愛いな」
京子「へっ!?……あ、ありがと」
結衣「うん、チェックのスカートも似合ってる」
京子「うっ……と、とにかくだ!」
京子「ジャージでもいいのに、可愛くおめかしをしてきた幼なじみにズボラとは……」ムスッ
結衣「だから悪かったって、ごめんな京子」
結衣「ズボラって言うより慌てん坊かな、……ちょいちょい」
京子「ん、ゴミでも付いてる?」ススッ
結衣「ネクタイ曲がってる、せっかくオシャレしたんだから……」クイッ
京子「あっ……」
結衣「よっと、ほら完成」キュッ
京子「ふへへ……」
結衣「惚けた顔してどうしちゃったの?」
京子「はっ!?な、なんでもない!」
結衣「寝ぐせも付いてるし、……そのまま座ってて、櫛持ってくるから」
京子「う、うん……」
結衣「……」スッスッ
結衣「京子の髪思ったよりサラサラ、手櫛でもいいくらい」
京子「思ったより、は余計」
結衣「まぁまぁ、素直に褒めるのも照れくさいしさ……」スッ
結衣「私の髪じゃとてもこうはいかないな、……あー、羨ましい」
京子「嘘つけー、確認のためにもあとで結衣にもやってあげる」
結衣「……じゃ、じゃあお風呂上りにでも」スッス
京子「らじゃっ♪」
結衣「……」スッス
京子「んー……♪」
京子(なんか落ち着くなぁ、髪をとかしてもらってるだけなのに……)
京子(結衣の匂いがふわっと頭に広がって、……えへへ)トサッ
結衣「っと、……こっちに寄りかかったら重いんですけど」
京子「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃないし!」
結衣「た、体力が減る」スッスッ
京子「その答えじゃダメ、重いけど我慢してね」
結衣「もう、しょうがないな……」
結衣「うん、もう寝ぐせはないみたいだな」
京子「ご、ごくろーであった結衣君」
京子「……」トサッ
結衣「だ、だから寄りかかるなって、終わったからそっち行ってもいいよ」
京子「んー……もう少しこのまま」
結衣「……少しだけだからな」
京子「えへへ」
京子「……♪」スリスリ
結衣「あのさ、自分でも薄々気づいてたんだ」
京子「えっ?」
結衣「さっきの話だよ、私が行き遅れるってやつ」
結衣「……私にはあかりみたいな誰からも好かれる可愛さは無いし」
結衣「……それこそちなつちゃんみたいな女の子らしさも無い」
結衣「……」ギュッ
京子「んっ……ゆ、結衣……」
結衣「京子みたいに誰とでもすぐ打ち解ける明るさも無いからさ」
結衣「はぁ……」ギュッ
京子「ぐえっ、ゆ、結衣苦しいよ~」
結衣「お母さんにも言われたんだ、もっと女の子らしくしなさいって……」
京子「えっ……?」
結衣「可愛いとか女の子らしさとは無縁だもん、自覚はしてるけど」
結衣「……してるけど、ちょっと泣きそう」
京子「あ、あの、私そういうつもりで言ったわけじゃ……!」
結衣「いいよ隠さなくて、……京子なりに心配してくれたんでしょ」
結衣「あーあ……」
結衣「まだ気は早いと思うけどなんか怖くなってきた」
結衣「自分もテレビの婚活女子みたいになるのかな……」グスッ
京子「あ、あのね、だから私と……」
結衣「うん?」
京子「わたっ、わた……わた、わたわたわた……」カァー
京子「わ……私と練習してみないかな、なーんて……」
結衣「練習?」
結衣「練習ってどういう意味……?」
京子「だ、だからね、結衣はこのままじゃ婚活女子になっちゃうから……」
京子「三十路で独り身の寂しい婚活女子になっちゃうからね」モジモジ
結衣「くっ……血も涙も無いな、京子は」グスッ
結衣「いつもならツッコミ入れてるけど、自覚があるから言い返せない……」
京子「……」ジッ
結衣「な、なんだよ、この距離で見つめてくるなって」
京子「わ、私と練習がてら一日新婚ごっこ、しよう!」
結衣「……」
結衣「……」
京子「……」カァー
結衣「ごめん、意味がよく分からない」
京子「だ、だから、新婚ごっこをすれば、結衣の女子力が上がって……」
京子「もしかしたら貰い手が見つかる、……かも」
結衣「京子……」ジッ
京子「……あ、あはは、なーんて」
結衣「そこまで私のこと心配してくれたんだ、……ありがとう」ギュッ
京子「うひゃあ!?」
結衣「……京子」ギュッ
京子「ちょ、ちょっとどうしちゃったの結衣!?」
京子「いつもならこんな冗談ツッコミ入れて終わりでしょ!」アセアセ
結衣「……冗談で言ったの?」
京子「うっ……そ、そんなワケないじゃん!」
結衣「でしょ、私のこと心配してくれたんだよな」
京子「……う、うん」
結衣「いつもはおちゃらけてるけど、やっぱり根は優しいままだ……」ギュッ
結衣「昔からずーっと変わってないな、……ありがとう京子」
京子「っ……うぁぁぁぁ……」カァー
結衣「じゃあ今日は一日新婚ごっこするってことでいいの?」ギュッ
京子「と、とりあえず、一回離れようか!?」
結衣「……っと、ご、ゴメン!」パッ
京子「あ、いや、別にいいけど……」
結衣「京子の久しぶりの優しさでちょっと思考回路が……」ホロリ
京子「むっ……、久しぶりの優しさってなんだよ~!」
結衣「ははは、悪い悪い」
結衣「それじゃあ今日一日、私は京子のお嫁さんってことで」
京子「……お、おう」
結衣「ん、ちょっと食器の洗い物してくるからダラダラしてて」
結衣「……」トテトテ
京子(うぅぅ、結衣ってば相当日和ってるなぁ……)
京子(いつもなら怒りの鉄拳が飛んでくるのに、……割りとノリノリじゃん)
京子(やっぱり気にしてるのかなぁ、ちょっとボーイッシュってことを)
京子(……だとしたら悪いこと言っちゃたな、あとで謝らないと)
京子(で、でも、……今日一日新婚ごっこ、えへへ……)モジモジ
結衣「お待たせ、どうしても洗い物って溜めちゃうんだよね……」ポスン
京子「しょうがないよ、私だって宿題は溜めちゃうし」ニヘラ
結衣「それで結局、宿題見せて~、だもんな」
京子「……えへへ」
結衣「……」クスッ
結衣「でも、こんなんじゃいいお嫁さんとはとても言えないよな」
京子「そ、そんなことないって!」
結衣「京子……、無理して褒めなくてもいいよ」
京子「無理してなんか褒めてない!」グイッ
結衣「うわっ、ちょ、ちょっと引っ張るなって」
京子「ほらこの鏡で見てみなよ、結衣のエプロン姿様になってるよ?」
結衣「……うそ」
京子「ううん、可愛いって、……私が保証する」ニコッ
結衣「さっきからそればっかり……」
結衣「でもありがとう、……お世辞でも嬉しい」
京子「お、おぉう……デレ期?」
結衣「……うっさい」
結衣「京子、悪いんだけどお使い行ってくれない?」
京子「……」ズーン
結衣「うっ、……そこまで露骨に嫌そうな顔されても」
京子「だって、せっかくの新婚ごっこなのに、……離れ離れなんて」ポッ
結衣「買い物行かなきゃパスタがただの素面になるけど」
京子「!?」
結衣「買ってきて欲しいものはメモにしたから、お金も入ってるよ」
結衣「……お願いね、……あ、あなた」
京子「は、はい……」カァー
結衣「う……ぁぁぁ……、さ、さっさと行ってくれ、お願いだから!!」
結衣「京子がいない間に掃除機で居間のお掃除……」ゴォォォォ
結衣「京子がいない間にお風呂の準備もしておこう……」キュッキュ
結衣「ちょっと休憩……」
結衣「よし、京子がいない間にロールキャベツを作っておこう」ゴソゴソ
結衣「えぇっと、ボウルで合いびき肉などをこねこね」
結衣「キャベツの葉っぱをたっぷりのお湯で茹でて、こっちでスープを……」イソイソ
結衣(うーん、……どうやったらいいお嫁さんになれるんだろう)
結衣(やっぱり笑顔か?パートナーを癒す笑顔?)
結衣(……)ニコッ
結衣(うっ……慣れないことはするもんじゃないな)
結衣「……」グツグツ
結衣(新婚といったらよくマンガで見る、お帰りなさいあなた~、がある……)
結衣(やってみようかな、どうせ私にお嫁スキルなんて無いんだし)
結衣(笑顔もぎこちない、女の子らしさもないし)ハァ
結衣(しかし、それを京子相手に……)
結衣(京子相手に……)モンモン
グツグツグツグツグツグツ
結衣「う、うわぁあっつ!吹きこぼれた!!」カチッ
京子「~♪」
京子「ベーコンと生クリームってことはカルボナーラかな?」ガサッ
京子「……」グゥー
京子「お腹の虫は正直だなぁ、あはは……」
京子「たっだいまー、あなたの京子がいま帰ったわよ……」ガチャッ
結衣「……」
京子「結衣どうしたん、そんなとこに突っ立って?」
結衣「あ、いや、その……」モジモジ
結衣「お、お帰り京子……」
京子「うんっ、ただいま!」
京子「いきなり尻に敷かれるとは、だいたい想像出来たけど」
結衣「……」
結衣「ご、ご飯にする?お風呂にする?」
京子「へっ……」
結衣「……そ、それともわたし?」
京子「……」
結衣「……」
京子「お風呂で」
結衣「はい」
結衣「……」チョコン
結衣「座布団、あった……」ポフ
結衣「……」ギュッ
結衣『……そ、それともわたし?』
結衣「ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」カァー
結衣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ジタバタ
結衣「ああああああああああああああああああ!!!」バタバタ
京子「あーいいお湯だった、結衣お風呂上がったよ~」ホクホク
結衣「……」カチャカチャ
京子「おっ、やっぱりカルボナーラだね!」
京子「……」グゥー
京子「あはは、もうお腹ペコペコだ~晩ご飯にしよう!」
結衣「……」ジッ
京子「なぁに?」
結衣「べ、べつに、なんでもない」
京子「あーむっ、……はむはむ、……ん~♪」
京子「結衣ぃ、このパスタすっげー美味い!明日も作ってくれ!!」
結衣「そんなもんでいいならいつでも作るよ」
結衣「あ、パスタ少なかったら私の少し分けるけど……」
京子「んーん」フルフル
京子「確かにちょっと少なめかなぁと思ったけど、お腹に溜まるもんだね」
結衣「生クリーム入ってるからね」
結衣「胃もたれするかもと思って、パスタは2人で1.5人前の分量にしておいたんだ」
結衣「パートナーの栄養管理もお嫁さんの仕事だしな……」モグモグ
京子「……えへへ」
京子「スープも野菜たっぷりでうめぇ!」
結衣「……ごめん」
京子「えっ?」
結衣「案の定ロールキャベツ失敗しちゃってさ……」
結衣「あーあ、キャベツが破けてお肉と分離しちゃってるし」モグモグ
京子「でも美味しいじゃん、十分立派なロールキャベツだよ」
結衣「……そ、そうかな」
結衣「まぁどっちにしろ京子にはしばらく作られない、一人のときに練習しておく」
京子「むむっ!」
京子「なんだよそれ~、じゃあ私がしばらく食べられないじゃないか!」
結衣「でも、形がいびつなのを出すわけにもいかないだろ」
京子「……じゃあ次は私も手伝うから、ロールキャベツ作るの」モグモグ
結衣「えっ?」
京子「2人で一緒に作って、2人で一緒に食べよ?」
京子「……わ、私はもっと結衣の手料理食べたいもん」
京子「だからそんな形が変だとか気にしなくていいから――」
結衣「デレ期?」
京子「な゛っ!?」
京子「ち、違う、デレとかそういうのじゃなくて……!!」カァー
結衣「でもいい心がけだよ、働かざる者食うべからずって言うし」
京子「なっ……ふんっ、もう知るか」モグモグ
結衣「あー……あの、ほ、ほんとはとっても嬉しかったよ」
結衣「冗談でもそんなこと言われてもリアクションに困るというか……」
京子「……本音だからね、さっきのは」
結衣「……」
京子「へへへ、結衣ってば、ほほ緩んでるし顔真っ赤じゃん」ニコッ
結衣「っ、ゲホッゲホッ!!」
結衣「ごちそうさま」
京子「あれ、もう食べちゃったの!?」
結衣「いいよ急がなくても、喉に詰まっちゃうから」
京子「……」モグモグ
京子「んぐっ、じゃあ洗い物は私に任せて、お風呂行っておいで」
結衣「えぇ、京子にできるかな……」
京子「大丈夫、割ってもちゃんと片付けておくから」ニコッ
結衣「……割るの前提かよ」
結衣「バスタオルどこだっけ……」イソイソ
京子「結衣、流しながらでいいから耳貸して欲しいんだけど」
結衣「うん?」
京子「ほんと大した話じゃないから」
結衣「まぁ大方食後のラムレーズンとかだろ、いつもの場所にある――」
京子「あの時、ご飯でもなくお風呂でもなく……」
京子「結衣を食べたいって言ったらどうなってたの?」
結衣「ぶっ!!」
結衣「い、いきなりなに話を蒸し返してんだよ!?」カァー
京子「あ、いやその……」
京子「結衣って冗談とか言わない人だから、ビックリしてついスルーしちゃって……」
結衣「……けっこう、本気だった」
京子「えっ?」
結衣「私には何もないから……」
結衣「ああやって行動するしか無かった、……でも結局はギャグにしかならない」
結衣「はぁ……、空回りしてばっかりだ」テクテク
結衣「お風呂行ってくるから、お皿よろしくね……」バタン
京子「あっ、結衣……」
結衣「んーいいお湯だった……」ホクホク
結衣「あれ、居間に電気が付いてない」ガラッ
結衣「京子、電気も付けないで何してるの……」
京子「……」ガバッ
結衣「うわっ!?」
結衣「いたたたたた……ど、どうしたの急に飛びかかってきて?」
京子「……」ギュッ
結衣「……とりあえず電気付けるよ、何も見えないから」
京子「だ、だめ、……電気付けないで、顔見られたくない」ギュッ
結衣「……ん、じゃあこのままでいい」
京子「……ありがと」ギュッ
結衣「く、苦しい」
京子「……」ギュッ
結衣「とりあえず一回離れない?」
京子「……やだ」
結衣「……へ、変な匂いとかしないよね私」
京子「……」ギュッ
京子「いい匂い、ずーっとこうしていたいくらい」
結衣「……そっか、良かった」
結衣「……」
京子「結衣、ゴメンね……」
京子「今日結衣に酷いこと言って傷つけちゃったよね」
京子「結衣?」ギュッ
結衣「はっ!……ね、寝てないよ、ちょっとウトウトしただけ」
京子「もう!ちゃんと起きてて、少し話したいから」
結衣「いいよ、付き合ってあげる」
京子「結衣はボーイッシュってこと、気にしてたんだよね……」
京子「結衣には可愛いとこたくさんあるのに、悪いところなんて無いのに」ギュッ
京子「……ちょ、ちょっとにぶちんなところがあるけど」
京子「それなのに私は――」
結衣「もういよ京子、ちょっと落ち着いて」
京子「で、でも……結衣……」グスッ
京子「……怒ってる、でしょ」
結衣「もちろん」ギュッ
京子「あいだだだだだだ、く、くるしっ!」
結衣「私がこうなったのって全部京子のせいなのに……」
結衣「それをやれ女っ気がないだの、ガサツだの……」
結衣「挙句の果てに三十路まで独り身?」
結衣「コイツ、だんだん腹が立ってきた……」ギュギュッ
京子「あいたたた……だ、だって、こうすれば結衣と!!」
京子「……結衣と新婚ごっこ出来ると思ったから」
結衣「……」
結衣「ふーん」
京子「……ご、ごめんなちゃい」
結衣「それでついつい毒を吐いた、ってこと?」
京子「わ、私だって本心にもないことを言うのは辛かったんだよ……」
結衣「京子の毒で私のプライドはボロボロなんですけど」
京子「……だ、だから本心じゃ」
結衣「……それでも、京子に言われるのは傷つくよ」
結衣「他の誰に言われるより、ずーっと心が痛いんだ」
京子「ゆ、結衣……!」
結衣「っ……うっ、うぅぅ……」グスッ
京子「ゆ、結衣、ゴメンね、ごめんなさい……」
結衣「ううんっ、き、気にしなくていい、……私は平気だから」
京子「泣かないで、結衣、……結衣」グスッ
京子「わ、私が責任持って、お嫁さんに貰ってあげるから、泣かないで!!!」
結衣「……」カチッ
京子「ま、眩しい、急に電気つけないで!!」
京子「ゆ、結衣……?」
結衣「なに?」
京子「な、泣いてないじゃん!!嘘泣きかよさっきのは!?」
結衣「あれくらいで泣くわけないだろ、京子じゃあるまいし」
京子「な゛っ……」グスッ
結衣「ぷっ……、くふふふ……」ピクピク
京子「もおおおおおおおお!!結衣の馬鹿、アホ!!!」ポカッポカ
結衣「いたたたた、く、クッションで叩くなって!」
京子「はー、はぁー……」
結衣「これでおあいこ、チャラってことでいいよね」
京子「こ、こっち見るなバカ……」
結衣「ひどい言われようだな、あはは……」
結衣「ふぅ……」
結衣「あのさ、私はこのままでいいんだよね?」
結衣「おかしくなんかないよな、それだけは聞きたい」
京子「おかしくなんかない、ずっとこのままでいてほしい」
京子「……他の人はどう思ってるか分かんないけど」
京子「私はいまの結衣が一番好き、……た、たぶん」プイッ
結衣「……」クスッ
結衣「期待しないで待ってるよ、京子がお嫁さんに貰ってくれるの」ナデナデ
京子「んっ……、女の子と女の子なのに?」
結衣「別にいいんじゃない、変だとは思わないけど」
京子「そっか、……えへへ」ギュッ
京子「じゃあ中学卒業するまで売れ残っててね?」
結衣「中学卒業で売れ残り扱いか……」
京子「男の子とか女の子に言い寄られても絶対断ること!」
結衣「ん、ずーっと待ってるからな」
結衣「おやすみ……」
京子「おやすみ~……」
京子「ね、ねえ結衣、……素直に言っちゃえば?」
結衣「お前もな」
京子「いや、だから私のこと恋愛的に好きでしょ?」
結衣「京子こそ私のこと好きでたまらないだろ」
京子「さ、さぁ~どうかな」
結衣「じゃ、じゃあ私もどうかなぁ」
結京「……はぁ」
京子(ほんと甲斐性なしだなぁ結衣は……)
結衣(ほんと甲斐性なしだな京子は……)
おしまい
95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/22 23:20:19.73 UYM0O6zS0 51/53乙
結京最高
102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/22 23:41:02.40 2T+Rm6byO 52/53乙
素晴らしい結京でした
106 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/23 00:06:02.02 XguNq0f20 53/53いい子にするんでもっと書いて下さい・・・