最近youtubeにハマってる先輩のマミさんから、奇妙な噂を聞いた。
マミ「こんな噂知ってる?」
マミ「youtubeの動画の中に、絶対に消してはいけない動画があるんですって。」
マミ「他のページに移動するのもダメ」
まどか「消しちゃダメってどういうことですか?」
さやか「お金でも取られるの?」
マミ「その程度の動画なら可愛いもんじゃない。」
元スレ
まどか「黄色い部屋」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1310212383/
マミ「噂によるとその動画を消すと首を食いちぎって殺されるんですって。」
まどか「殺されるって誰にですか。」
さやか「マミさんはそういう出所のわからない噂話好きですね。」
さやか「流した人は今頃喜んでるかもね。」
マミ「まあ最後まで聞いて」
マミ「その動画は目と口だけの顔みたいなのがアップになった画像が載ってるだけ。」
マミ「そしてこんな言葉を言う」
マミ「僕と契約してなってよ!」
マミ「って言うだけの数秒の動画で、何のために作ったのかわからないらしい。」
マミ「そしてその動画の投稿者のIDは QB っていうそうよ。」
まどか・さやか「・・・」
マミ「今度の学校新聞のネタに使おうと思って、今その動画を探してるんだけど、なかなか出てこないのよ。」
マミ「だから一緒に探してほしいんだけど。」
さやか「出てくるわけないですよ。所詮ただの噂ですって。」
まどか「私は今日暇で家でインターネットすると思うんで、探してみます。」
さやか「まどか本気にしてんの? 私はやらないよ。 恭介のお見舞いにも行かなきゃいけないし。」
マミ「ありがとう。じゃあ鹿目さん、見つけたら電話して。」
外は日が西に沈み、夕日に照らされていた。
第1部 黄色い部屋
ほむら「あなた、その動画探すの?」
まどか「うん、何か面白そうだし。」
ほむら「やめなさい。その噂、本当よ。」
まどか「え?」
ほむら「絶対に探しちゃダメよ。本当に殺されちゃうわよ。」
杏子「なあ、青い部屋って知ってる?」
さやか「何それ?」
杏子「何人もの魔法少女の中から、魔女を探し出すゲーム。これが超面白いんだぜ。」
さやか「へえ、やってみようかな。」
まどか「えーっと、僕と契約して なってよ だっけ。」
検索サイトを使って色々調べた。
まどか「なんだ。どれも噂ばかりじゃん。やっぱり嘘だったんだ。」
夕食の時間になったので、パソコンを切った。
さやか「なんだこれ。糞ゲーじゃん。」
さやか「杏子、こんなのやってたの。」
さやか「youtubeで動画でも見よう。」
さやか「あの噂のことはいいよね。どうせ嘘だろうし。」
カチッ カチッ
カチャッ
さやか「!?」
『僕と契約して なってよ』
さやか「あっ!」
静寂の中の不気味な声。 不意打ちのことに驚愕してしまった。
さやか「出てきやがった・・・」
噂のとおり、目と口だけの顔がアップになった画像。そして「僕と契約してなってよ」って言っただけだった。
良く聞き取れなかったけど、「僕と契約して」と「なってよ」の間に何か言っていたような気がする。
さやか「とりあえずマミさんに電話しよう。」
さやか「あれ? 出ない。」
さやか「留守なの? もう夜なのに、おかしいな。」
さやか「じゃあまどかに」
まどか『あ、さやかちゃん』
さやか「噂の動画見つけたよ。突然出てきた。」
まどか『噂? あれ嘘だよ。』
さやか「いや、本当に出てきたんだって。」
まどか『誰かがいたずらで作ったんでしょ。』
さやか「まどかは探すって言ってたじゃない。」
まどか『でも嘘だってわかったから。切るよ。』
さやか「なんだよ。信じてたくせに。」
さやか「タイトルは黄色い部屋。投稿者は・・・QB、言われた通りだ。」
さやか「そうだ。」
この動画の一番の噂を思い出した。
さやか「この動画を消すと首を食いちぎられる。」
さやか「本当なのか?」
心臓がドキドキする。
さやか「そんなわけないよな。」
さやか「まどかの言ったとおり誰かのいたずらだろう。」
さやか「じゃあ消すとどうなるんだろう?」
ドキドキしながら、意を決してマウスを閉じるボタンに近づける。
カチッ
『僕と契約して なってよ』
さやか「ぷっ、ぷははははは」
さやか「殺されることはないが、消すこともできない。」
さやか「そういうことか。やっぱりいたずらだったな。」
さやか「でもyoutubeでそんなことできたっけ?」
そんなことも気にせず、滑稽に思えて何度も消した。
『僕と契約して なってよ』
『僕と契約して なってよ』
・・・
さやか「ん? あれ?」
さやか「さっきより顔が近づいてないか?」
『僕と契約して なってよ』
さやか「もうクリックしてないよ?」
『僕と契約して魔法少女になってよ』
さやか「魔法少女?」
カチッ
さやか「なんだろうここ? 別のサイトに飛んだみたい。」
さやか「これ人の名前? 何か気味悪いな。」
さやか「虚淵玄、蒼樹うめ、新房昭之・・・、誰の名前なんだろう?」
さやか「あっ!?」
さやか「巴マミ・・・」
さやか「一番最後にマミさんの名前が!」
さやか「どうしてマミさんの名前が?」
さやか「もういい。パソコンを止めよう。」
さやか「すごくやばい予感がしてきた。」
さやか「ボタン押して強制終了しよう。」
さやか「!?」
さやか「何かいる・・・。私の後ろに誰かいる・・」
さやか「助けて・・・」
「キャー!」
翌朝
まどか「おはよう。」
知久「おはよう。ご飯できてるぞ。」
知久「ママはもう出かけた。今日は早いみたいだね。」
プルルル
まどか「あれ? 電話だ。」
知久「誰からだろう?」
知久「はい、鹿目です。」
知久「はい、いつもお世話になってます。」
知久「え、なんだって!?」
知久「はい。わかりました」
まどか「パパ、どうしたの?」
知久「連絡網だ。まどか、落ち着いて聞け。」
知久「美樹さんが、昨日の夜、亡くなったそうだ。」
まどか「え?さやかちゃんが?」
知久「さらに今朝、巴さんも亡くなっていたそうだ。」
まどか「そんな・・・」
知久「念のため、今日は休校にする、ということだ。」
まどか「・・・」
知久「連絡網急いで回さないと。次は上条さんだったな。」
知久「はい、ありがとうございました。」
知久「上条さんが留守だったから先生に掛けた。」
まどか「上条君は今入院してる。」
知久「そうなんだ。」
プルルル
知久「まどか、出てくれ。」
まどか「今度は誰から?」
まどか「もしもし、鹿目です。」
詢子『まどか、学校はどうしたんだ?』
まどか「休みだって。さやかちゃんと、マミさんが・・・」
詢子『ああ、もう聞いたか。』
詢子『さっき警察の人に聞いたんだが、2人とも首を切られて、部屋中が血で真赤になっていたらしい。』
まどか「首を、切られてた!?」
詢子『美樹さんは昨日の夜母親が帰宅後に死んでいるのを発見し、
巴さんはマンションの隣の人が部屋から血の匂いがすると通報があったところ警察が見つけたとのこと。』
まどか「犯人は? 一体誰がそんなのことしたの?」
詢子『それが2人とも家の鍵がかかっていて、何者かが侵入した痕跡も争った痕跡もないことから、
自殺の可能性が高いとのことだ。』
まどか「そんな、自殺なんてあるわけない。」
詢子『お前、さやかちゃんに何か変わったところなかったか。』
まどか「ないよ。さやかちゃんとは昨日の夜電話したよ。」
まどか「怪しい動画を見つけたって・・・、あ!?」
詢子『どうした?』
まどか「消したら首を食いちぎられる。まさか・・・」
詢子『おいどうしたんだよ。』
まどか「なんでもないよ。じゃあまたあとでね。」
まどか「あの噂が本当だとしたら、さやかちゃんとマミさんは・・・」
結局事件性が薄いことから、翌日は学校が再開した。
女子「ニュース見た?」
中沢「何があったんだ?」
仁美「美樹さんと巴さんが自殺したんですって。」
中沢「マジかよ!!」
女子「しかも2人とも首を取られて、部屋中が血で真赤になってたらしいよ。」
仁美「一体どうやって死んだのかしら」
黄色い部屋の名簿には、巴マミの後ろに「美樹さやか」が追加されていた。
中沢「殺人事件って可能性はないのか?」
仁美「ニュースでは家の鍵がかかっていて、何者かが侵入した痕跡はないって言ってました。」
中沢「でもさ、トリック使えば家の鍵くらい開けられるんじゃね? あるいは窓から入ったとか。」
女子「家の鍵も窓の鍵もかかった状態で発見されたんだよ。犯人はどうやって家から出たの?」
仁美「もしそうだとしても、わざわざ密室にする理由ってないわよね。」
中沢「サンタさんみたいに煙突から出入りしたとか。」
仁美「あら、中沢くんまだサンタさんなんか信じてるの?」
女子「巴さんはマンションだから煙突ないよ。」
まどか「自殺は嘘だよ」
仁美「え?」
まどか「さやかちゃんとマミさんは殺されたんだよ。」
中沢「ほら言ったじゃん。やっぱり・・・」
女子「中沢は下がってろ。」
まどか「youtubeに消すと殺される動画があるって聞いたよ。2人ともその動画を消して殺されたんだと思う。」
女子「何それ。」
仁美「都市伝説でしょ?私も聞いたけど、あてにならないわよ。」
杏子「なあ、マミとさやかについてどう思う? 自殺って信じられるか。」
まどか「自殺なわけないよ。」
杏子「youtubeの動画を消すと殺されるって奴? あんな非科学的なこと信じてるんだってな。」
まどか「でもそれ以外には・・・」
杏子「まあ確かに自殺というのは信じられない。だから例えばこんな説はどうだ。」
杏子「犯人は超能力者で、家の中にテレポーテーションした。」
まどか「それも非科学的だよ。」
杏子「ちょっとマミとさやかの家に行ってみないか。何かわかるかもしれないぞ。」
まどか「勝手に入るのまずいんじゃない?」
杏子「大丈夫だって。」
さやかの家
杏子「なんだ、鍵あいてるじゃん。」
まどか「でもダメだよ。警察の人が来るかもしれないよ。」
杏子「推理しに来たって言えばいい。」
杏子「確かに完全な密室だ。犯人が入りこめそうなところはない。」
まどか「パソコン、ちゃんと切ってあるね。」
杏子「何ならつけてみるか?」
まどか「だめだよ。」
杏子「結局手がかりゼロか。これからマミの家に行くには時間がかかるし、また今度にするか。」
杏子「ごめんな、変なことに付き合わせちゃって。」
まどか「杏子ちゃんってどこに住んでるの?」
杏子「こないだ引っ越して、今はぱんてぃに。」
まどか「あ、そこは・・・。」
杏子「どうした?」
まどか「なんでもない。」
第1部 終わり
第2部 ぱんてぃ
夜
杏子「今日も1人か。」
杏子「もうすぐ9時か。」
杏子「えーっとTBSは・・・。」
杏子「あれ?チャンネルが変わらない。 故障か?おかしいな」
杏子「ん? なんだこの映像は?」
杏子「どこのチャンネル回しても同じ映像だ。まさかアナログ放送が終わっちゃったのか?」
杏子「いや、移行はまだのはずだ。でも地デジに買い換える金ないんだよな。」
まどか「9時か。」
まどかはマミから聞いた別の都市伝説を思い出していた。
~~~
マミ「噂は他にも聞いたわよ。」
マミ「聞きたい?」
まどか「何?」
マミ「見滝原に、魔女が棲みついてる家があるんですって。」
まどか「魔女?」
マミ「夜の9時、その家の人が1人でいるとき、突然テレビに変な映像が映っている。」
マミ「それは家の玄関で、さらに魔女の人影が横たわってるのが見える。」
マミ「後ろを振り返ると、テレビに映っている玄関は自分の家の玄関と似てる。」
マミ「そしてもう一度テレビのほうを向きなおすと、さっきの魔女が立ち上がっているの。」
まどか「・・・」
マミ「そうして魔女は一歩一歩近づいてきて・・・」
マミ「殺されてしまうんですって。」
まどか「うわー!」
マミ「そうして今度はその人が魔女になって、また新たな人を襲う。」
マミ「そして襲われた人が次々魔女になって・・・、というエンドレス。」
まどか「それ本当なの?」
マミ「本当かどうかはわからない。」
マミ「でもぱんてぃって家で、次々と住んでいた人が行方不明になっているのよ・・・。」
~~~
杏子「ん? なんか人影が映ってるぞ。」
杏子「げ、これうちの玄関に似てないか?」
(振り向いて家の玄関を見る)
杏子「まさかな・・・」
(テレビに向き直る)
杏子「!?」
杏子「立ってる・・・。人影が立ってる・・・。」
杏子「こっちに来る・・・」
杏子「うわー、来るな、来るな!」
「キャー!」
1週間後
女子「ねえ、杏子知らない?」
まどか「知らないよ。 何かあったの?」
女子「もう1週間も学校に来てないんだよ。」
まどか「え?」
女子「お見舞いに行ったんだけど、誰もいなくて。」
女子「先週の水曜日を最後に誰も杏子の姿を見てないの。」
まどか(先週の水曜日・・・、私とさやかちゃんの家に行った日)
女子「確かその日鹿目さんと一緒にいたって聞いたから。何か知ってる?」
まどか「知らない。普通に帰ったし。」
女子「おかしいわね。」
まどか(まさか、マミさんが言ってた魔女に・・・)
先生「さて、今日から上条恭介君が復活しました。」
先生「足は治りましたが、手が動かないとのことなので、皆さん色々手伝ってあげてくださいね。」
まどか(上条君、まださやかちゃんのこと知らないみたい。でも言えないよ・・・)
第2部 終わり
第3部 ワルプルギスの箱庭
まどか「都市伝説、もう1つあったっけ。」
~~~
マミ「まだあるわよ。聞きたい?」
まどか「もういいよ。」
マミ「聞いていってよ。その名もワルプルギスの箱庭。」
マミ「見滝原にあるとある喫茶店、ワルプルギスの箱庭に10000人目に入った者は、出て来れなくなる。」
マミ「出て来れないだけでなく、全ての人間からその人に関する記憶が消される。」
マミ「まるで最初からなかったかのように。」
まどか「残念だけどあんまり怖くないよ。」
まどか「だいいちそんな喫茶店聞いたことないよ。」
~~~
ほむら「まどか、あの店には絶対入っちゃダメよ。」
まどか「え? なんで?」
ほむら「そこがワルプルギスの箱庭。入ったら出て来れなくなるわよ。」
まどか「あそこは見滝原ティータイムでしょ。まあいつもガラガラだけどね。」
恭介「歩けるようになって退院したけど、手は・・・。」
恭介「もうバイオリンは諦めろ、か。」
恭介「なんで神様は、僕から何もかも奪ってしまうんだろう。」
恭介「喫茶店か、入ってみるか。」
QB「おめでとうございます。あなたが10000人目です。」
恭介「10000人目?」
QB「そう。君は当店はじまってから10000人目の記念すべき客だよ。」
恭介「そんな、僕ついてるのかも。」
QB「僕はここワルプルギスの箱庭の店長、インキュベーター。」
QB「ゆっくりしていってね。」
恭介「ありがとうございます。」
「10001人目かよ。惜しかったな。」
「10000人目って仁美?」
「いいえ、私は9999人目でした。残念。」
「じゃあ誰?」
恭介「僕みたいだよ。」
さやか「恭介かよ。ここ初めてだろ。それで10000人目って運良すぎじゃないか。」
仁美「私たちは毎日来てますものね。」
恭介「そうだったんだ。」
恭介「さやか、なんで今日学校に来てなかったんだ?」
さやか「10000人目狙おうと思ってちょっと休んじゃった。」
恭介「ダメじゃないか。」
さやか「いいじゃないか。お見舞い行けなくてごめんね。」
恭介「僕のほうこそ、いつもさやかに迷惑かけてすまなかった。」
さやか「恭介は私のことどう思ってる?」
恭介「え?」
仁美「実はさやかさん、この店で私に恋の相談をしてたんですよ。」
恭介「恋の相談?」
仁美「さやかさん、丁度いいじゃない。ここで言っちゃいなさい。」
さやか「恭介」
さやか「私、あんたのことが好きだ。」
恭介「・・・」
仁美「よく言ったわ。」
さやか「毎日お見舞いに行ったのだって、恭介が好きだったからだよ。」
恭介「あ、その。」
仁美「おや、突然のことに恭介さん混乱ですか。」
恭介「僕、もうバイオリン弾けないんだよ?」
恭介「もう右手は治らない。今の医学じゃ無理だって言われたよ。」
恭介「僕にはもう何も残されてないんだ。 奇跡や魔法でもない限り。」
さやか「奇跡も魔法もあるんだよ。」
さやか「私、恭介とずっと一緒にいたい。」
恭介「僕は・・・」
仁美「男ならビシっと言ってしまいなさい」
恭介「僕もさやかのことが好きだ」
仁美「おお、おめでとう!」
恭介「もうバイオリンは無理だけど新しい目標を探してみるよ。」
QB「何か羨ましいことになってるね。」
QB「さやか、君はどうやってこの店にメールを送ったんだ?」
さやか「何のこと?」
QB「この店のメール、実はつながってなかったんだ。」
QB「お客からメールが届かないって苦情があってね。調べてみたんだけど、接続自体されてなかった。」
QB「でも届いてた。そう美樹さやかからのメールだけは。」
QB「仁美、君はこの人を見て何とも思わないのか?」
仁美「QBは下がってなさい。」
さやか「そうだよ、いきなり私たちの場に入り込んで。」
QB「ここは僕の店なんだけどな。」
さやか「仁美も恭介のこと好きだったんだろ?」
仁美「でも2人の中には負けますわ。幼馴染ですものね。」
さやか「恭介、ずっと私と一緒にいて」
恭介「うん、ずっと一緒」
仁美「私はこれで失礼しますわ。2人ともお幸せに。」
さやか「じゃあ私と遠いところまでついてきてよ。」
恭介「遠いところって?」
さやか「そう。ここよりずっと綺麗な世界に。」
恭介「今からか?もう夕方だぞ。」
さやか「いいじゃない。」
さやか「恭介なら、ずっと私のそばにいてくれると思ってた。」
恭介「さやか、体が透けてるぞ。 まさか・・・」
さやか「気づいてなかったの? 私、死んでるんだよ?」
恭介「何?」
さやか「さあ、あなたも私と一緒に、夢の国に。」
恭介(嫌だ、僕はそんなところに行きたくない)
恭介「そうだね、僕もそんな場所に行ってみたかったんだ。」
さやか「ありがとう。あなたならそう言ってくれると信じてた。」
恭介(こいつさやかじゃねえ。誰か助けてくれ・・・)
恭介「もちろんだよ。僕は君のいる所にだったらどこへでもいける。」
さやか「さあ、私の手を取って・・・」
さやか「私が恭介がいた証拠を全部消しておくから大丈夫だよ。」
恭介「や、やめろ・・・」
「ワー!」
「恭介、これからはずっと一緒だね。」
翌朝
詢子「隣のクラスが1人行方不明って本当か?」
まどか「うん、杏子ちゃんなんだけど。」
詢子「こないだの2人の死亡といい、嫌な世の中だな。」
詢子「さやかちゃんには入院してるお友達がいたよな。 あの子はどうしたんだ。」
まどか「え? そんな子いたっけ?」
詢子「ほら、たしか・・・」
詢子「上なんとか君」
まどか「上なんとかって誰?」
知久「不思議なことに気がついた。」
まどか「どうしたの?」
知久「この連絡網、24人がだいたい6人ずつ並べられている。」
知久「しかし一番左の段は7人で、右から2番目の段は5人だ。おかしくないか?
普通5人ずつにするよな。」
まどか「本当だ。確かにおかしいね。」
まどか「一番左はほむらちゃんが入ったから7人なんだけど、なんで私の段は5人なんだろう。」
知久「あとこないだ連絡網が回ったよな。」
知久「あのとき菊池さんにかけたはずなのにリダイアルに別の電話番号が入ってた。」
まどか「間違えたんじゃないの?」
知久「そんなことないよ。」
先生「皆さん、ちょっと奇妙なことに気が付きました。」
先生「このクラスは今23人なのですが、25人分いた記録があるんです。」
生徒「えー?」
先生「1人は亡くなった美樹さんなのですが、もう1人いた痕跡がありません。」
先生「しかし机も25個、教科書も25人分ありました。しかし暁美さんの転入以降、転校した生徒はいませんし。」
中沢「そういえば俺の出席番号、20番のはずなのにどの教科書にも21番って書いてある。
なんで間違えたんだ俺。」
女子「私の出席番号も1つずれてます。教科書だけでなく前に受けたテストまで。」
先生「おかしいですね。」
第3部 おわり
第4部 解決編
仁美「このクラスから消えた謎の1人。その人の正体も名前も誰も覚えてない。」
仁美「そして出席番号が1つずつ繰り下がっている。」
まどか「私の出席番号は教科書に書いてあるのと同じだよ。」
女子A「1番の朝倉さんから8番の鹿目さんまでの番号は間違ってないけど、
9番の菊池さんは教科書の名前欄では10番だった。」
女子A「菊池さんから全員1つずつ繰り下がっている。」
仁美「ということは鹿目さんと菊池さんの間に誰かいたってことね。」
仁美「巴マミさんと美樹さやかさんの謎の死、佐倉杏子さんの失踪と何か関係あるのかしら。」
女子B「幻の9番、一体誰なんだろう。」
女子B「『か』か『き』で始まる人でしょ?」
仁美「確か・・・、思い出せない。クラスメートの名前みんな覚えてたのに。」
まどか「もしかして、事件の真相を全て知ってる人が誰かいるんじゃないかと思ったんだけど。」
まどか「いたよ。」
ほむら「そう。」
女子A「暁美さん? 全部知ってるの?」
ほむら「知ってる。」
女子A「消えた1人の名前も?」
ほむら「上条恭介。事故で半年ほど入院してた。」
ほむら「美樹さやかとは幼馴染で彼女がよくお見舞いにきてたそうよ。」
ほむら「昨日ワルプルギスの箱庭で襲われたわ。」
女子A「上条? 聞いたことないわ。」
ほむら「巴マミと美樹さやかは黄色い部屋に、佐倉杏子はぱんてぃの魔女にやられたわよ。」
女子B「そんな話信じて何になるの?」
中沢「まあ噂だとワルプルギスの箱庭に10000人目に入った者は記憶からも消えるから、確かに辻褄は合うけどな」
ほむら「誰も信じてくれなくて当然よね。」
ほむら(前もそうだったから)
まどか「私は信じるよ。さやかちゃんから電話があったし、ほむらちゃんも嘘をついてるとは思えない。」
ほむら「ありがとう。」
まどか「でもなんで知ってるの?」
ほむら「いろいろ調べたから。」
まどか「その・・・、上条って子のことはなんでほむらちゃんだけ覚えてるんだろう。」
ほむら「それは私が時空を越えてるからよ」
まどか「???」
~~~
ループ1回目
まどか「消すと殺される?」
マミ「今度の学校新聞のネタに使おうと思って、今その動画を探してるんだけど、なかなか出てこないのよ。」
マミ「だから一緒に探してほしいんだけど。」
まどか「私は今日暇で家でインターネットすると思うんで、探してみます。」
マミ「ありがとう。じゃあ鹿目さん、見つけたら電話して。」
まどか「なんだ。どれも噂ばかりじゃん。やっぱり嘘だったんだ。」
まどか「えーっと、これなんかは・・・。」
カチャッ
まどか「!?」
『僕と契約して なってよ』
まどか「え?」
まどか「まさか、本当に出てくるなんて・・・」
まどか「マミさんに電話しなきゃ!」
まどか「あれ? 出ない。」
まどか「留守なの? もう夜なのに、おかしいな。」
まどか「この動画を消すと首を食いちぎられるんだっけ?」
まどか「いくらなんでも嘘でしょ?」
カチッ
『僕と契約して なってよ』
まどか「消せない?」
まどか「殺されることはないが、消すこともできない。」
まどか「なんだ。やっぱりいたずらだったんじゃん。」
『僕と契約して なってよ』
『僕と契約して なってよ』
・・・
『僕と契約して魔法少女になってよ』
まどか「魔法少女?」
まどか「あれ? 別のサイトに飛んだみたい。」
まどか「これ人の名前?」
まどか「あっ!? 一番最後にマミさんの名前が!」
まどか「!?」
まどか「何かいる・・・。私の後ろに誰かいる・・」
まどか「助けて・・・」
「キャー!」
知久「まどか、どうしたんだ? 返事は?」
知久「まどか・・・」
知久「ウワー、警察ー!」
警察「あなたはまどかさんの叫び声を聞いたんですよね?」
知久「はい」
警察「しかし家には誰も入ってこなかった。」
警察「鍵もかかってますよね。」
知久「はい。」
警察「犯人はどこから入ってきたのか、非常に謎です。」
警察「実は今朝遺体で発見された巴さんも同じような状況で見つかりました。」
知久「同じ、ですか?」
警察「はい全く同じ、首が切り取られてました。そしてこちらも密室。」
知久「一夜にして2人、ますます謎ですね。」
その後学校は休校に
ほむら「鹿目さん、どうして?」
ほむら「しかも巴さんも一緒?」
ほむら「おかしい。何かあったに決まってる。」
実は昨日のマミとまどかの噂話をこっそり聞いていたほむらは、怪しいと思いインターネットで検索。
ほむら「黄色い部屋」
ほむら「『僕と契約して魔法少女になってよ』と出てくる」
ほむら「その動画を消したら首を食いちぎられて殺される。」
ほむら「しかし契約すれば何でも1つ願いを叶えてもらえる。」
インターネットサイト2ちゃんねるで偶然見つけたURLからついに黄色い部屋を探し当てた。
『僕と契約して なってよ』
ほむら「私、契約する」
『その言葉は本当かい?暁美ほむら。』
ほむら「パソコンが喋った!」
『戦いの定めを受け入れてまで、叶えたい望みがあるなら、僕が力になってあげられるよ。』
ほむら「あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?」
『そうとも。君にはその資格がありそうだ。』
ほむら「私は、助けたい。大切な友達を失いたくない。」
『契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した。さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!』
~~~
ループ2回目
ほむら「あの日に戻った・・・」
学校
ほむら「まどか、黄色い部屋は絶対に開いちゃだめよ。」
まどか「え?」
ほむら(あ、まだ巴さんから話聞いてないんだ・・・。)
マミ「youtubeの動画の中に、絶対に消してはいけない動画があるんですって。」
マミ「じゃあ鹿目さん、見つけたら電話して。」
まどか「はい。」
まどか(そういえば今朝ほむらちゃんが言ってた黄色い部屋ってなんだろう?)
・・・
『僕と契約して魔法少女になってよ』
まどか「何かいる・・・。私の後ろに誰かいる・・」
まどか「助けて・・・」
ほむら「開いちゃダメって言ったのに・・・」
~~~
ループ3回目
ほむら「こうなったら、まどかのパソコンからyoutubeをブロックするしかないわ。」
ほむら「マミさんのも・・・、あれ、鍵が開けられない。頑丈みたい。」
ほむら「これじゃブロックできない。」
ほむら「仕方ない・・・」
マミ「殺されるかどうかなんてわからないでしょ」
ほむら「本当なんです。絶対に開かないで。」
マミ「それを確かめるために探すんじゃない。」
ほむら「あなた、その動画探すの?」
まどか「うん、何か面白そうだし。」
ほむら「やめなさい。その噂、本当よ。」
まどか「え?」
ほむら「絶対に探しちゃダメよ。本当に殺されちゃうわよ。」
ほむら「念のためまどかにも忠告しといたけど、大丈夫かな?」
まどか「なんだ。どれも噂ばかりじゃん。やっぱり嘘だったんだ。」
知久「ご飯できたぞ」
まどか「はーい。」
数分後
まどか「電話だ。」
まどか「もしもし」
まどか「あ、さやかちゃん」
さやか『あの動画見つけたよ。突然出てきた。』
まどか「噂? あれ嘘だよ。」
さやか『いや、本当に出てきたんだって。』
まどか「誰かがいたずらで作ったんでしょ。」
さやか『まどかは探すって言ってたじゃない。』
まどか「でも嘘だってわかったから。切るよ。」
翌朝
まどか「パパ、どうしたの?」
知久「連絡網だ。まどか、落ち着いて聞け。」
知久「美樹さんが、昨日の夜、亡くなったそうだ。」
まどか「え?さやかちゃんが?」
知久「さらに今朝、巴さんも亡くなっていたそうだ。」
まどか「そんな・・・」
叫び声を聞いた者がいなかったため警察からは自殺と断定され、学校も1日で再開。
ほむら「まどかは無事だったけど、これでよかったのかな。」
ほむら「変わりにさやかが犠牲になるなんて。」
ほむら「マミさんは私の話に耳を貸さなかったし。」
しかし数日後
まどか「杏子ちゃんがいないんだって。」
ほむら「まさか、また首を取られて」
まどか「違うよ。行方不明だって。」
まどか「1週間で3人もいなくなるなんてどうして」
まどか「たまには喫茶店に入ってみようかな」
QB「おめでとうございます。あなたが10000人目です。」
まどか「10000人目?」
QB「そう。君は当店はじまってから10000人目の記念すべき客だよ。」
まどか「ラッキー。」
・・・
まどか「や、やめて」
「キャー」
?「ずっと一緒だよ」
翌朝
先生「皆さん、ちょっと奇妙なことに気が付きました。」
先生「このクラスは亡くなった美樹さんを入れて24人なのですが、25人分いた記録があるんです。」
恭介「あれ? 僕の出席番号8番だったはずなのになぜ9番?」
中沢「俺も20番のはずなのにどの教科書にも21番って書いてある。
仁美「私の出席番号も1つずれてます。教科書だけでなく前に受けたテストまで。」
ほむら「あの、鹿目さんは・・・」
先生「鹿目さん? とは誰でしょうか?」
ほむら「え?」
ほむら「出席番号8番、鹿目まどか」
仁美「誰ですか? 聞いたことないですね。」
恭介「鹿目なんて人このクラスにはいないよ。」
先生「暁美さん、他のクラスと勘違いしてるのでは?それに8番は上条君です。」
ほむら(どういうこと?)
ほむら「すいません。気分が悪くなったので保健室に行きます。」
ほむら(あ、保健委員は確かまどか。でも今は・・・)
先生「保健委員は美樹さんでしたが、いないので学級委員の志筑さんお願いします。」
仁美「はい。」
ほむら「保健委員って鹿目さんじゃ。」
仁美「だからそんな人いないって。早めにさやかさんの代わり決めなきゃいけないけど。」
ほむら「あの、本当に何も覚えてないの? 鹿目まどかという名前に何か心当たりは?」
仁美「よっぽど疲れてるのね。ゆっくり休んだほうがいいわ。」
放課後
ほむら(まどかの家に行けば何か)
ほむら「ごめんください。」
知久「はい、どちらさまですか?」
ほむら「暁美ほむらです。そちらの娘さんのお友達、中学のクラスメートです。」
知久「いや、あの、うちに中学生の娘などいませんよ。」
知久「もしかしてママの中学時代のお友達かな? 詢子は今仕事で留守なんですよ。」
ほむら「違います。」
ほむら「本当に覚えてないんですか? 娘さんのこと。」
知久「覚えてるもなにも、うちには3歳の男の子が1人だけ。」
ほむら「鹿目まどかって名前に心当たりは。」
知久「知らないね。他の家じゃないかな。でもこの近くに鹿目って苗字の人が他にいたかな。」
知久「ちょっとわからない。お力になれなくてごめんね。」
ほむら「いいえ、それでは失礼します。」
ほむら(一体どういうこと? 誰もまどかを覚えてないなんて。)
「その答えは僕が知ってるよ」
ほむら「え? 誰?」
QB「姿は見えないかもしれないけど、君と契約しただろ?」
ほむら「じゃああなたは・・・・」
QB「インキュベーターさ。君は鹿目まどかを助けたいと言った、だから特別に教えてあげるよ。」
QB「鹿目まどかは喫茶店、ワルプルギスの箱庭で襲われて消えた。」
QB「ワルプルギスの箱庭に10000人目に入ると出てこれなくなり、
それどころか最初から存在しなかったことになる。」
QB「今は誰からも認識されてない。君以外からはね。」
ほむら「どうすればいいの?」
QB「どうすることもできないよ。これだけは。」
QB「まあ僕が言ったことを信じるか信じないかも、君次第だ。」
ほむら「また戻る。」
QB「え?」
ほむら「私は繰り返すことができるから。」
~~~
ほむら「そして、ようやくまどかを黄色い部屋からもワルプルギスの箱庭からも救えた。」
ほむら「私の使命は終わった。」
まどか「そんなこと言わないで。4人も亡くなってるんだよ? 助けてあげてよ」
QB「無理だね。時間は3回までしか遡れない。」
まどか「え?誰?」
ほむら「インキュベーターよ。黄色い部屋にいた。」
QB「僕と契約すればなんでもできるよ。」
まどか「じゃあ」
QB「君はダメだね。黄色い部屋からブロックされてる。」
まどか「でも時間を遡ることなら・・・」
まどか「その砂時計貸して。」
ほむら「え、ちょっと・・・」
~~~
まどか「今はいつ・・・」
まどか「あ、あの家、魔女が出るっていう・・・。」
ぱんてぃの家
まどか「表札がない。ってことはまだ・・・」
杏子「お前誰だ?」
まどか「杏子ちゃん。今度この家に引っ越すの?」
杏子「そうだけど、何で知ってるんだ?」
まどか「この家はダメ。」
杏子「何でだよ。」
まどか「ここには魔女が棲みついてるんだよ。夜1人でいると襲われちゃうんだよ。」
杏子「何それ。非科学的じゃねえか。」
まどか「本当だよ。ここに住んでいた人はみんな行方不明になっているんだよ」
杏子「確かに、前に誰が住んでたか知らんな。」
まどか「私、未来から来たの。杏子ちゃんも行方不明になったんだよ。」
杏子「は? そんなこと言われたって信じないぞ。」
まどか「お願いだから、他を探してよ。」
杏子「そこまで言うなら、わかった。他を当たる。」
まどか「よかった。」
まどか「次は黄色い部屋。一体どうすればいいんだろう。」
家
まどか「こうやって、えーっと」
まどか「あ!」
『僕と契約して なってよ』
まどか「間違えて開いちゃった・・・」
まどか「とにかく落ち着こう。」
まどか「消さなければいいんだよね。強制終了でもすれば・・・」
>強制終了
>他の方法
~~~
強制終了
プチッ
まどか「さあかかってこい!」
まどか「やった! 何も起きない。」
まどか「あれ? 後ろ・・・」
まどか「まさか・・・」
「キャー!」
マミ「ねえこんな噂知ってる?」
マミ「youtubeの動画の中に、絶対に消してはいけない動画があるんですって。」
さやか「知らない」
BAD END
~~~
他の方法
まどか「よし」
まどか「私、契約する。」
QB「本当かい?」
まどか「約束する。」
QB「でも難しい。」
まどか「どうして?」
QB「君はこの時間軸の人間じゃないな。」
QB「でも事態は把握した」
まどか「何でもできるんだよね?」
QB「そうだよ」
QB「願い事は」
まどか「言うよ」
「・・・」
まどか「黄色い部屋とワルプルギスの箱庭を消して。」
QB「なんだって!」
まどか(念のため)
まどか「ここには入っちゃダメだよ。出て来れなくなるから。」
さやか「入らないよ。そこ居酒屋じゃん。」
仁美「いくらなんでも年齢的にまずいですわ。」
まどか(ちゃんと変わったんだ)
マミ「ねえこんな噂知ってる?」
マミ「youtubeの動画の中に、絶対に消してはいけない動画があるんですって。」
さやか「知らない。」
まどか「もうないよ。」
マミ「え?」
杏子「新しい家いいな!」
仁美「へえ」
さやか「恭介、もう弾けないのか。可哀想だな。」
おわり
150 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/09 23:10:18.35 gjUVoCGe0 95/98支援ありがとうございました。
一応バッドエンドが苦手な人のために最後は強引な終わり方だったかもしれませんが。
元ネタ
赤い部屋
ぱりてぃ
ここはどこの箱庭じゃ
151 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/09 23:10:30.76 6Q/NvcUz0 96/98ほむらちゃんが……
152 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/09 23:11:18.04 TYjKp1yp0 97/98元ネタがあったのか
ちょっと見てくる
153 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/09 23:11:50.65 T0ForOXe0 98/98赤い部屋しか知らなかったわ
調べる勇気もないけど