1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 20:43:07.20 41Ol7JVD0 1/92

まどか「即座に生徒指導室に連れていかれてて盛大に吹いた」

ほむら「……」

元スレ
まどか「ほむらちゃんがリムジンで登校してきた」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1309779787/

2 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 20:44:28.86 41Ol7JVD0 2/92

ほむら「まどか、今度の休日、私の車でドライブに……」

まどか「ごめんほむらちゃん、無免許運転の車になんて乗りたくないよ」

ほむら「……」

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 20:47:17.58 41Ol7JVD0 3/92

ほむら(まどかに喜んで欲しくて頑張って買ったのに……)

ほむら(運転テクニックも、GBのドラえもんカートでたくさん練習したから大丈夫なのに……)

ほむら(悲しいわ……)

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 20:52:41.18 41Ol7JVD0 4/92

ほむら(地図も買ってきたわ……)

ほむら(ナビの便利さもいいけれど……)

ほむら(まどかと一緒に地図を見ながら行き先を決めたら、凄く楽しそうだから……)

まどか「あれ? 地図なんか抱えてどうしたの、ほむらちゃん?」

ほむら「まどかとのドライブで使おうと思ってたの」

まどか「だから車は駄目だって。法律は守らなくちゃ駄目だよ」

ほむら「……」

まどか「でも……」

ほむら「??」

まどか「魔法での運転なら、事故は起こさないよね?」

ほむら「ええ」

まどか「そっか。それなら―――」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 20:58:13.57 41Ol7JVD0 5/92

――――

土曜日


ぷっぷー

まどか「あ、クラクション!」

ほむら「迎えにきたわ、まどか」

まどか「ありがとう! それにしてもやっぱりリムジンは目立つねー」

ほむら「ええ……」

まどか「それじゃ乗せてもらうねー」

ほむら「どうぞ」

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:03:21.39 41Ol7JVD0 6/92

まどか「わぁー! すっごい広い!」

ほむら「……」ホムホム

まどか「シートも座り心地抜群!」

ほむら「……」ホムホム

まどか「これなら一泊二日のドライブもずっと快適に過ごせそう!」

ほむら「一泊二日?」

まどか「え、違うの? 土日ずっと小旅行するつもりでいたんだけど」

ほむら「……いえ、それでいきましょう」

ほむら(棚から苺大福ね……)

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:06:58.90 41Ol7JVD0 7/92

ぶろろろろー

まどか「ところでほむらちゃん。そこらへん曖昧だったけど、行き先はどうする?」

ほむら「そこに昨日私が持っていた地図があるわ。開いてみて」

まどか「あ、本当だ。えっと……、いくつか折り目がついてたり、ペンで印がつけてあったりするのは」

ほむら「良さそうな場所をいくつかピックアップしてみたの……」

まどか「なるほどー!」

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:10:08.72 41Ol7JVD0 8/92

まどか「ふふっ」

ほむら「??」

まどか「色々な場所が候補にあがってる」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん、今日のドライブを本当に楽しみにしててくれたんだね」

ほむら「……ええ」

まどか「そんなほむらちゃんのために、今日はお昼をつくってきたよ」

ほむら(まどかの手作りお昼!?)

まどか「どこか落ち着く場所で食べようね」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:15:08.26 41Ol7JVD0 9/92

まどか「あ、ここいいな!」

ほむら「何ページ?」

まどか「えっと、78ページのペンで印がつけてあるとこ!」

ほむら「ああ。海の方ね」

まどか「ほむらちゃんページ数で分かるの!?」

ほむら「たくさん地図と睨めっこしたから……」

まどか「すごーい! なんかかっこいいね!」

ほむら「……」ホムホム

22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:19:21.44 41Ol7JVD0 10/92

ほむら「そのページに、蛍光ペンで四角く囲ってあるところがあるでしょう?」

まどか「えーと。あ、これ? ○○公園ってとこ?」

ほむら「そこであっているわ。その公園には、海を一望できる展望台があるそうなの」

まどか「わぁー! いいね!」

ほむら「……」

まどか「それじゃあまずはそこに行ってみようか!」

ほむら「ちょうどお昼頃には到着できると思うわ」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:23:43.84 41Ol7JVD0 11/92

まどか「通り過ぎる人通り過ぎる人、みんなこっちの方を見ていくね」

ほむら「気になる?」

まどか「うーん、だんだん慣れてきた」

ほむら「もしも落ち着かないならカーテンを閉めるといいわ」

まどか「じゃあ、そうしよう」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:27:13.17 41Ol7JVD0 12/92

ほむら「……」

まどか「ふわぁー……」

ほむら「ごめんなさい、退屈かしら……」

まどか「あ、違う違う! わくわくしてるよ!」

ほむら「……」

まどか「ただ、お弁当作るために早起きしたから、眠くって……」

ほむら「公園に着いたら起こすから、寝ていても構わないわよ」

まどか「でもそれだとほむらちゃんが退屈じゃない?」

ほむら「大丈夫。私は……」

まどか「ほむらちゃんは?」

ほむら「いえ。やっぱりなんでもないわ」

まどか「??」

ほむら(私はまどかと一緒にいられるだけで幸せだから……)

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:32:29.38 41Ol7JVD0 13/92

ほむら「……」

まどか「すーすー」

ほむら「……」ホムホム

まどか「すー、すぅー」

ほむら(そろそろ国道にのるわね……)

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:38:00.27 41Ol7JVD0 14/92

ほむら(よく晴れた空……)

ほむら(この天気が明日までもてばいいのだけれど)

まどか「ん、んんー……。もうついたぁー?」

ほむら「いいえ。もう少しよ」

まどか「そっかぁ」

ほむら「もう海沿いを走っているから、カーテンを開けて景色を見てみたらどうかしら」

まどか「どれどれ……。わあっ、綺麗な海!」

ほむら(まどかの方が綺麗よ……)

まどか「日光できらきらして、きれーい」

ほむら「そうね」

まどか「あっ、船だ! おっきーい!」

ほむら(はしゃぐまどかも可愛いわ……)

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:39:46.82 41Ol7JVD0 15/92

ほむら「そろそろ到着するわ」

まどか「おっ、あれだね! あの灯台みたいな建物が展望台かな?」

ほむら「だと思うわ」

まどか「あそこからだったら水平線の向こう側まで見えちゃいそうだね」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:44:22.77 41Ol7JVD0 16/92

ききーっ

まどか「わっ!?」

ほむら「……」

まどか「きゅ、急に止まったからびっくりしちゃった」

ほむら「ごめんなさい……。まだリムジンの運転になれていなくて……」

まどか「あ、責めてる訳じゃないから大丈夫!」

ほむら「ほむぅ……」

まどか「それじゃ、降りよっか」

ほむら「そうね」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:47:54.43 41Ol7JVD0 17/92

まどか「潮風が気持ちいいー……」

ほむら「そうね……」

まどか「海鳥の鳴き声といい、いかにも海の近くー! ……って感じだよね」

ほむら「公園といっても遊具はないわね」

まどか「どちらかというと広場のような感じの場所だね」

ほむら「あら。あそこに屋根付きのベンチがあるわ」

まどか「お昼はあそこでにしよっか!」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:52:02.25 41Ol7JVD0 18/92

ほむら「そうそう。腰を落ち着ける前に、自販機で飲み物を買いましょう」

まどか「お弁当はサンドイッチ中心だから、お茶でもジュースでもどっちでも合うと思うよ」

ほむら「じゃあ……、コーラで」

まどか「わたしはおーい、お茶に」

ほむら「それだけは止めなさい」

まどか「えっ?」

ほむら「おーいお茶は良くないわ」

まどか「そうなの……?」

ほむら「許せないわ、おーいお茶」

まどか「ほむらちゃんがそこまで言うなら止めておくけど……」

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:56:05.50 41Ol7JVD0 19/92

まどか「けっきょくわたしもコーラにしちゃった!」

ほむら「おそろいね……」

まどか「飲みあいとかできないね」

ほむら「……」

まどか「さて、お待ちかねのお弁当です! じゃーん!」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら(ぐっ、ぐちゃぐちゃに崩れているわ……)

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 21:59:33.75 41Ol7JVD0 20/92

ほむら(もしかして、さっき私が急気味にブレーキをかけたから……)

まどか「てへへ……。なんか、ごめんね。こんなに汚くって」

ほむら「もぐもぐ……。いえ、とっても美味しいわ」

まどか「本当……?」

ほむら「ええ。ありがとうまどか」

まどか「そっか。なら、よかった」

ほむら「……」ホムホム

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:04:04.38 41Ol7JVD0 21/92

ほむら「お昼を食べ終えたら展望台に登ってみる?」

まどか「そうしよう! その後は、砂浜の方に降りてみよっか」

ほむら「ここは泳ぐにはあまり適していないそうだけど……」

まどか「ちょっと砂浜でちゃぷちゃぷするぐらいなら平気平気ー。
      それにどちらにしろ、水着が無いから本格的に泳ぐことはできないしね」

ほむら「いえ、水着なら用意してあるわ」

まどか「ほむらちゃんは水着があってもわたしが……」

ほむら「まどかにぴったりの水着も用意してあるわ」

まどか「……なんでサイズが分かったの?」

ほむら「ほむぅ……」

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:06:03.45 41Ol7JVD0 22/92

まどか「あ。ほむらちゃん、ちょっとじっとしてて」

ほむら「!?」

ほむら(ど、どどど、どうしてそんなに接近して!?)

まどか「はい。口の端にサンドイッチの卵がついてたよ」

ほむら「あ……」

まどか「勿体ないし食べちゃえ」パクッ

ほむら「!!」

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:10:52.70 41Ol7JVD0 23/92

まどか「あれ? どうしてほむらちゃん顔が赤いの?」

ほむら「……」

まどか「なっ、なんだかわたしまで恥ずかしくなっちゃうよ……」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「少しもたれかかってもいいかしら……」

まどか「うん。展望台へは、もう少しぼーっとしてからいこっか」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:14:11.53 41Ol7JVD0 24/92

――――


まどか「わーっ! 凄い景色ー!」

ほむら「写真をでも撮る?」

まどか「カメラ持ってきてたの?」

ほむら「ええ。愛用のポラロイドカメラを持ってきたわ」

まどか「何故ポラロイド!?」

ほむら「ほむぅ……」

まどか「あ、そうだ。せっかくだし、青空と海をバックに2人で写ろうよ!」

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:21:23.97 41Ol7JVD0 25/92

まどか「もっとこっちに寄って寄って!」

ほむら(ほとんど密着状態だわ……)ホムホム

まどか「はい、チーズ!」

ぱしゃっ

まどか「あれ? 失敗した?」

ほむら「いえ。現像は徐々に進んでいくのよ」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:24:22.99 41Ol7JVD0 26/92

まどか「こ、こんなにくっついてたんだ、わたし達……」

ほむら(一生の思い出ねの品……)

ほむら「写真の裏かはじっこに、ペンで日付でも記入しましょうか?」

まどか「いいねいいねー!」

ほむら「筆記用具は車の中にあるから、また少し後でになるけれどね」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:27:23.28 41Ol7JVD0 27/92

まどか「この100円双眼鏡使ってみようよ!」

ほむら「いいわよ。はい」チャリン

まどか「えっ? お金出してもらっちゃっていいの?」

ほむら「勿論よ。そんなことより、早く覗かないと時間が勿体ないわ」

まどか「わぁー! そうだった!」

ほむら(そうしてはしゃいでいるまどかを後ろからじっと観察するの)ホムホム

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:33:14.23 41Ol7JVD0 28/92

まどか(遠くの景色が、まるで目の前にあるみたいに見える……)

まどか(世界って広いなー、なんちゃって)

まどか(あ、レンズが遮られた)

まどか「ほむらちゃーん、終わったよ」クルッ

ほむら「!?」ホムッ

まどか「ちかっ!?」

ほむら(い、いいい、今唇が当たりそうになった!!)

ほむら(ほむーっ! ほむーっ!)

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:35:28.02 41Ol7JVD0 29/92

まどか「そろそろ浜辺に降りていこう?」

ほむら「……」

まどか「ん? どうしたの?」

ほむら「その……、よかったら、手を」

まどか「ああ! うん、いいよ。繋ごう!」

ほむら「……」ホムホム

66 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:39:15.38 41Ol7JVD0 30/92

ほむら(少しずつ……指を絡めて……)

ほむら(できたわ、恋人繋ぎ!)

ほむら(これでもう傍から見たら、仲の良い恋人……には、見えないわよね)

ほむら(せいぜい仲のいい友達ぐらいにしか見えないのでしょうね……)

67 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:41:45.78 41Ol7JVD0 31/92

まどか「ここまで海に近付くと、波の音もよく聞こえるね」

ほむら「海沿いなのに人の喧騒がないから、余計に音が際立つわね」

まどか「靴、そこらに脱ぎ捨てちゃおっか?」

ほむら「邪魔だものね」

まどか「えいっ」

ほむら(まどかの足、ちっちゃくて可愛いわ……)

69 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:45:23.79 41Ol7JVD0 32/92

まどか「あはは、お水つめたーい!」

ほむら(いつまでもこの笑顔を見守っていたい……)

まどか「あっ! 見てみてほむらちゃん、カニさんだよ!」

ほむら「つかまえてみる?」

まどか「うーん。可哀想だからいいや」

ほむら(優しいわ)

73 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:48:45.90 41Ol7JVD0 33/92

まどか「それにしてもほむらちゃんって脚きれいだね」

ほむら「そうかしら……」

まどか「クラスのみんなにはナイショにしちゃお。わたしだけの秘密」

ほむら「……」

まどか「そうだ! 砂でお城でもつくってみない?」

ほむら「いいわよ。それは私の得意分野だし」

まどか「へえー。でも確かにほむらちゃんって、手先器用そうだもんね」

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:53:06.17 41Ol7JVD0 34/92

まどか「よいしょ、よいしょ」

まどか(できた! まどか城!)

まどか(ほむらちゃんは……)

ほむら「……」ホムホム

まどか「本気で上手っ!?」

ほむら「小さい頃よく砂場でつくっていたから……」

まどか「それにしても凄いよ……。ああ、まどか城がまどかハウスぐらいに見えてきた」

ほむら「ほむら城に移住してくればいいわ。まどかなら歓迎よ」

まどか「本当ー? それなら一緒にほむら城に住んじゃおっかな」

ほむら(まどかと1つ屋根の下だなんて……)

ほむら(なんという天国なのかしら……)

78 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 22:59:39.49 41Ol7JVD0 35/92

ほむら「完成したわ」

まどか「凄いすごーい! せっかくだしこれも写真にとっちゃおうよ!」

ほむら「まどかが撮りたいというのなら……」

まどか「よーし。それじゃあ早速―――」

ザザーン

ほむら「波で……お城が……」

まどか「あ、あはは……、潮が満ちてきてるみたいだね」

ほむら「ほむぅ……」

まどか「でも大丈夫。ほむら城はなくなっちゃったけど……」

ほむら「??」

まどか「ほむらちゃんの隣は、まだ残ってるもんね!」

ほむら「……」ドキドキ

81 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:06:16.09 41Ol7JVD0 36/92

まどか「だいぶ陽も落ちてきたねー」

ほむら「夕暮れ時の海は綺麗ね……」

まどか「こうして波の音を聞きながら、2人で並んで座ってると……」

ほむら「??」

まどか「なんだか、世界中にわたし達しかいないみたいに思えてくるね」

ほむら「ふふ。そんな世界じゃ、退屈なんじゃないかしら」

まどか「どうかな。それはそれで、悪くないかなって思うよ」

ほむら「……」

まどか「ねえ、ほむらちゃんはどう思―――」

まどか(えっ!?)

まどか(なっ、なんでだろう……)

まどか(ほむらちゃんの横顔が、とっても綺麗に見える……)

まどか(オレンジ色の光で染まって……、少し、いつもより大人っぽいかも)

82 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:13:06.98 41Ol7JVD0 37/92

ほむら「少し、考えたのだけれど」

まどか「うん」

ほむら「貴女にそんな寂しい世界は似合わないんじゃないかしら」

まどか「そう、かな……」

ほむら「ええ。貴女には、優しい人達に囲まれて、
      いつまでもきらきら輝いた笑顔を絶やさずいて欲しいの」

まどか「その、優しい人達って言葉の中には……」

ほむら「……?」

まどか「ほむらちゃんも入ってなくちゃ嫌だからね」

ほむら「まどか……」

まどか「だから約束して。突然いなくなったりしないって」

ほむら「……約束するわ」

まどか「ゆーびきりげんまん」

ほむら「うそついたらはりせんぼんのーます」

「「ゆびきった!」」

86 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:19:00.37 41Ol7JVD0 38/92

ほむら「そろそろ車に戻りましょうか。
      できれば暗くなりきる前に銭湯に着きたいわ」

まどか「あ、ちょっと待って」

ほむら「??」

まどか「最後に1つやってみたかったことがあるの」

ほむら「やってみたかったこと?」

まどか「こうね、足で砂をぐりぐりーって削って」

ほむら(これってまさか……)

まどか「砂浜にかいた相合傘ー、なんてね!」

ほむら「ほびゃあああああああ!!!!」

まどか「ちょっ、ほむらちゃん!? 大丈夫!?」

ほむら「失礼。取り乱したわ」

まどか「平気なら良いんだけど……」

88 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:23:38.41 41Ol7JVD0 39/92

まどか「砂浜にかいた文字なんて、すぐに消えちゃう。
      世界中の誰も……、わたしとほむらちゃん以外は、誰ひとり知ることのないままに」

ほむら「そうね……」

まどか「それでもね。たとえ形に残らなくっても」


ざざーん


まどか「相合傘が存在したことは、事実だから」


ざざーん


まどか「けっして無意味なんかじゃないって、そう感じるんだ」

ほむら「……私も、同感よ」

まどか「この相合傘は、あえて写真には残さないでおこうか」

ほむら「クラスのみんなにはナイショね」

まどか「うん。世界中で2人だけの秘密」

90 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:27:57.83 41Ol7JVD0 40/92

――――

ぶろろろろろ


まどか「銭湯まではどのぐらいなの?」

ほむら「車なら……、10分とかからないんじゃないかしら」

まどか「近いんだね!」

ほむら「お風呂に入ったらそのまま夕食をとりましょう。
      せっかくだし、美味しい海鮮料理屋さんでも見つけられるといいわね」

まどか「海鮮料理! 海鮮料理!」

ほむら(まどかとお風呂! まどかとお風呂!)

91 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:30:27.91 41Ol7JVD0 41/92

ききーっ……

ほむら「到着よ」

まどか「今度はゆっくり停車だったね」

ほむら「……」

まどか「えらいえらい」

ほむら「ほむぅ……」

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:34:28.12 41Ol7JVD0 42/92

まどか「露天風呂もあるんだー」

ほむら「身体を洗ったらそっちも入ってみましょうか」

まどか「だね!」

ほむら(汗ばんだ服を脱ぐとすっきりするわね……)

まどか「んしょ、っと」

ほむら(まどかが服を脱ぐ音を聞いただけで胸が高鳴るわ)

まどか「それじゃ行こう、ほむらちゃん」

ほむら「ええ」

ほむら(まどかの身体に巻きついてるタオル、そこかわって)

99 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:39:20.97 41Ol7JVD0 43/92

まどか「シャンプーが目にはいったぁぁ……、染みるぅー」

ほむら(今なら裸をじろじろ見てもばれないんじゃないかしら!?)

まどか「ううぅ」

ほむら「……」ホムホム

まどか「ようやくひりひりがとれてきた」

ほむら「さっ、さあ。ボディーソープボディーソープ」

まどか「??」

102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:42:07.77 41Ol7JVD0 44/92

まどか「お風呂上がったらさ」

ほむら「??」

まどか「あれやろっか。コーヒー牛乳一気飲み」

ほむら「私はいちごミルクにしようかしら」

まどか「それもいいねー」

ほむら「さて、と。身体を洗い終わったわ。まどかは?」

まどか「もうちょっとかかるから、先に露天風呂に行ってていいよ」

ほむら「いえ。せっかくだしまどかが洗い終わるのを待つわ」

まどか「そう? なら急いで洗っちゃうね」

105 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:46:04.16 41Ol7JVD0 45/92

まどか「う……外への扉、重いぃー。えいっ!」

がらがらがら

ほむら「ああ、ほてった身体に夜の空気が心地いいわ。ね、まどか」

まどか「……」

ほむら「まどか……?」

まどか「ほむらちゃん、お空を見て」

ほむら「空?」

まどか「うん」

ほむら「……綺麗な星空」

まどか「おうちの近くじゃこんな空絶対に見れないよ……」

ほむら「そうね……」

109 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:53:27.18 41Ol7JVD0 46/92

ちゃぽん……

まどか「あったかーい……」

ほむら「こんなに幸せでいいのかしら……。
      宝石みたいな星空と、あったかい温泉と、それから……」

まどか「それから?」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「今日は一緒に着いてきてくれてありがとう、まどか」

まどか「ううん! こちらこそ、とっても楽しかったし、綺麗なものも見れたし……。
      今日は1日ありがとう。それと……、運転お疲れ様」

ほむら「星が、手に掴めそうね……」

まどか「そうだね……」

111 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/04 23:59:33.13 41Ol7JVD0 47/92

――――


ほむら「いいお湯だったわ……」

まどか「はい、ほむらちゃん。いちごミルク」

ほむら「お金、払うわね。いくらだった?」

まどか「秘密だよーん。さ、いいから飲もう飲もう」

117 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:12:30.04 uLh1uyTU0 48/92

まどか「あー。ほむらちゃん牛乳でひげができてる!」

ほむら「ふふっ。そういうまどかだって」

まどか「うそっ!? うわー、人にいっておきながら恥ずかしい……」

ほむら(まあそういう少し抜けてるところが可愛いのよね)

まどか「それじゃ、お食事どころを探しに行こうか!」

118 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:16:09.70 uLh1uyTU0 49/92

――――

かたかたかた


ほむら「このお店なんてどうかしら?」

まどか「おおっ、なんとなく地元の漁師さんと繋がりのありそうな感じのお店だね」

ほむら「決定ね」

「いらっしゃいませー」

ほむら「2人でお願いします」

ほむら「はい。座敷の席で」

120 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:22:15.39 uLh1uyTU0 50/92

まどか「きたきた、海鮮丼! 具が多いー!」

ほむら(しまった。ついまどかと同じものを頼んでしまったわ)

ほむら(お昼のジュースの時と同じ轍を踏んでしまうなんて……不覚)

まどか「はい、あーん」

ほむら「……え?」

まどか「あーん」

ほむら「あーん……」

まどか「美味しい?」

ほむら「ええ。とっても美味しいわ」

まどか「よかった!」

ほむら(まどかああああああああ!! 好きぃいいいいいいいいいいい!!)

126 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:28:59.75 uLh1uyTU0 51/92

――――


ほむら(もう頭がまどか一色で食べ物の味が分からなかったわ……)

まどか「美味しかったね!」

ほむら「そっ、そうね……」

まどか「さて、と。夜はどうしよっか?」

ほむら「いまから宿を探せるかは分からないし……。
      車の中で、ということになっても大丈夫かしら?」

まどか「うん、平気平気! あのリムジン、とっても広いもん!」

ほむら「……」ホムホム

まどか「ね。車まで、また手を繋いで歩こう?」

ほむら「ええ……!」

127 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:33:38.50 uLh1uyTU0 52/92

まどか「お店から車までだから、ほんの一瞬だったね」

ほむら「そうね。さ、今鍵を開けるわ」

まどか「……」

ほむら「まどか?」

まどか「ね! 車に戻るのは、やっぱり少し散歩してからにしようよ!」ギュッ

ほむら「別に構わないけれど……」

ほむら(気のせいかしら、まどかの指にこもる力が強くなったような)

ほむら(それにしても、まどかと手つなぎデートだなんて、まさしく至福の時だわ)

ほむら(まどかは、どう感じているのかしら)

134 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:46:24.42 uLh1uyTU0 53/92

まどか「流れ星はないかなー」

ほむら「うーん。狙って見つけられるようなものではないから、難しいんじゃないかしら」

まどか「そうだよねぇ」

ほむら「……」

まどか「だけど……、だけどもし、流れ星が落ちてきたら」

ほむら「??」

まどか「ほむらちゃんは、何をお願いする?」

ほむら「一泊二日の旅行を二泊三日にでも引きのばしてもらおうかしら」

136 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:48:11.62 uLh1uyTU0 54/92

まどか「あはは、謙虚だねー」

ほむら「謙虚なんかじゃないわ。この上なく欲張りなお願いよ」

まどか「そうかなぁー」

ほむら「で、まどかだったらどんなお願いをするの?」

まどか「わたし? わたしはね……」


かたかたかた


まどか「永遠をお願いするかな」

ほむら「永遠……?」

まどか「うん。永遠。ほむらちゃんとの永遠」

ほむら「……」

まどか「見つかるといいね、流れ星」

ほむら「そうね……」

140 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:54:29.60 uLh1uyTU0 55/92

まどか「はっくちゅん!」

ほむら「湯ざめしてしまったのかしら?」

まどか「そうかも……」

ほむら「そろそろ車に戻りましょう」

まどか「うん……」

142 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 00:56:42.11 uLh1uyTU0 56/92

まどか「ううぅ、いつの間にかだいぶ気温が下がってた……」

ほむら「……こうすると、あったかいわ」

まどか「ほっ、ほむらちゃん!?」

ほむら「私に抱きしめられるなんて嫌だったかしら?」

まどか「あ、ううん! 嫌なんかじゃないよ! ただ……」

ほむら「ただ?」

まどか「急だったから、驚いただけ」

ほむら「そう……」

まどか「このままだと歩きにくいね」

ほむら「手を繋ぐだけに戻す?」

まどか「ううん。歩きにくいけど、このままがいい」

ほむら「私もよ」

まどか「流れ星見つけたかったなぁ……」

ほむら「見つけたかったわね……」

148 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:06:19.40 uLh1uyTU0 57/92

――――

からからからから


まどか「なーんか、不思議」

ほむら「何が?」

まどか「ついちょっと前まで、リムジンはさすがに無いよー、なんて思ってたのにさ」

ほむら「ほむぅ……」

まどか「今、車内に戻ってきたら、なぜか凄くホッとした気持ちになった」

ほむら「そう……」

153 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:15:10.42 uLh1uyTU0 58/92

ほむら「まどか。これは提案……、そう、あくまで提案なのだけど」

まどか「何かな?」

ほむら「別に歩いている時でなくても、手は繋げるわ」

まどか「……とっても素敵な提案だと思うよ」

ほむら「まどかぁぁ……」

まどか(リムジンよりもっと不思議なのはね、ほむらちゃん)

まどか(わたしの貴女に対する気持ち)

まどか(これって恋、なのかなあ……)

まどか(そんなわけないよね、女の子相手に……)

まどか(そう、そんなわけないのに……)

まどか(胸の中がほむらちゃんでいっぱいなのは、なんでだろう……)

163 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:24:49.76 uLh1uyTU0 59/92

まどか「ほむらちゃんさ、好きな人いる?」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「わっ、私の、胸に……」

まどか「??」

ほむら「触ってみて……、くれるかしら?」

まどか「……」

ほむら「これが……、答えよ」

まどか(どくどくどくどく、って、ほむらちゃんの音がする)

まどか(張り裂けそうなぐらいに、指に伝わってくるよ……)

165 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:25:56.69 uLh1uyTU0 60/92

まどか「全然不思議なんかじゃなかったんだね」

ほむら「えっ?」

まどか「ううん。なんでも」

まどか(女の子だからとか、男の子だからとか、そういうのじゃなくて)

まどか(ほむらちゃんだから、わたしは大好きで)

まどか(きっとほむらちゃんも、同じなんだ……)

まどか(だから……)

まどか「今度はわたしの胸に触ってみて、ほむらちゃん」

170 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:37:22.42 uLh1uyTU0 61/92

まどか「どう、かな……?」

ほむら「伝わってきたよ、まどかの鼓動」

まどか「……」

ほむら「とっても……、とっても嬉しい……」

まどか「わたしも。えへへ……」

ほむら「私、さっきまで自分の気持ちは間違っていると思っていた」

まどか「えっ?」

ほむら「凄く独りよがりで、おまけにその、一般的な嗜好じゃないから……。
      どこかでまどかに触れることを後ろめたく感じる自分がいたの」

まどか「……今は?」

ほむら「前より躊躇わずに、まどかに触れられるわ」

まどか「じゃ、もう一回抱きしめてくれる?」

ほむら「ええ。今夜は……、抱き合ったまま眠りましょう」

まどか「そうだね。そうしよう」

174 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:42:31.74 uLh1uyTU0 62/92

からからから


まどか「あったかい……」

ほむら「暑い、じゃなくて?」

まどか「身体は暑いけど、心があったかいの」

ほむら「なんとなく分かる気がするわ」

まどか「ふぁあー……」

ほむら「あら、もしかして眠くなっちゃった?」

まどか「うん……。ごめんね、夜更かしは苦手で……」

ほむら「気にしないで。貴女は無理せず、ありのままのまどかでいてくれればいいのよ」

まどか「ありがとう……」

ほむら「それじゃあ、おやすみなさい」

まどか「うん。おやすみ」

179 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:49:45.68 uLh1uyTU0 63/92

――――

翌朝


まどか(ん……、ぐるじい……)

ほむら「うぅー……」

まどか(って、うわっ!? ほ、ほむらちゃんの顔近っ!?)

ほむら「ううーん……、まろかぁ……」

まどか(寝言でまでわたしの名前呼んでるや……)

180 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:50:09.00 uLh1uyTU0 64/92

まどか(ほっぺつついちゃおうかな)

まどか「えいっ」

ほむら「はむっ……」

まどか(く、くくく、口で咥えられた!?)

まどか(あわわわわわわ)

ほむら「ちゅぷちゅぷ……、まろらぁ……」

まどか(や、やっと抜けた!)

まどか(朝からどきどきしちゃった……)

まどか(指についたほむらちゃんのよだれ、どうしよう……)

183 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 01:55:56.91 uLh1uyTU0 65/92

まどか(直接口でなめとっても……)

ほむら「ほむー……、ほむー……」

まどか(だめだめ! そんなことしたら、なんかほむらちゃんに悪い気がする!)

まどか(わたし達は、そう……、プラトニックラブ? とかいうのなんだから!)

まどか(きちんとタオルか何かで拭こう、うん!)

まどか(ほむらちゃんのよだれに惑わされちゃうなんて、わたし変態なのかな……)

186 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:00:28.85 uLh1uyTU0 66/92

まどか(でも……)

ほむら「ほむぅ……」

まどか(指で唇をなぞるぐらいなら、いいよね?)

まどか(よーし。そーっと、そーっと)

ほむら「……」パチッ

まどか「わっ!? お、おお、おはようほむらちゃん!」

ほむら「おはよう、まどか……。あら? どうしてそんなに慌てた顔をしているの?」

まどか「なっ、なんでもないよ! あはははは……」

ほむら「??」

189 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:07:48.98 uLh1uyTU0 67/92

まどか「これからどうする?」

ほむら「そうね……。とりあえず歯を磨きたいわ」

まどか「泊まるつもりで来たから、歯ブラシなら持ってきたよ!」

ほむら「さすが保健委員ね。用意がいいわ」

まどか「保健委員関係ないような……。あっ、でも1本しかなかった」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「コンビニで買ってくるわ」

まどか「どちらにしろ水は必要だしね」

ほむら・まどか(まあ、私(わたし)はまどか(ほむらちゃん)と同じ歯ブラシを使ってもいいんだけど……)

193 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:16:12.31 uLh1uyTU0 68/92

――――


まどか「ドーナツ美味しいー」

ほむら「……」モッサモッサ

まどか「ほむらちゃんはカロリーメイトのポテト味?」

ほむら「ええ」

まどか「ポテト味って美味しいの?」

ほむら「……まずいわ」

まどか「あ、そうなんだ……」

ほむら「朝食が済んだらどこに行きましょう」

まどか「ほむらちゃんにお任せ、っていうのは、ありかな?」

194 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:21:45.33 uLh1uyTU0 69/92

ぶるるるる


まどか「しゅっぱーつ!」

ほむら「行き先は、本当に私に任せてくれていいのね?」

まどか「うん。ほむらちゃんの行きたいところがわたしの行きたいところだよ」

ほむら「そう……。わたしの行きたい場所は帰りの方角と一致しているから、
      夕方までには貴女を家に送れると思うわ」

まどか「じゃ、あと何時間かしたらこの旅行も終わりかぁー」

ほむら「……」

まどか「なんだかあっという間だったね」

ほむら「そうね……。まるで昨日という一日が、丸ごと1つの夢みたい」

まどか「でも、夢なんかじゃないよ」

ほむら「……うん」

195 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:25:29.97 uLh1uyTU0 70/92

まどか「朝の海も爽やかで綺麗だねー」

ほむら「いいものよね」

まどか「またこようね」

ほむら「……これたらいいわね」

197 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:31:45.57 uLh1uyTU0 71/92

――――

からからから


ほむら「さ、到着よ」

まどか「ほむらちゃんのきたかった場所って……、学校?」

ほむら「そう、学校よ」

まどか「でもどうして……?」

ほむら「ここが私と貴女の始まりの場所だから……」

まどか「あ」

ほむら「魔法を使えば施錠は外せるわ。こっそり侵入してしまいましょう」

まどか「ふふっ。なんだかわくわくしてきたよ」

199 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:39:27.99 uLh1uyTU0 72/92

まどか「誰もいない校舎って、靴の音がよく響くんだね」

ほむら「まったく別の場所みたいね」


かつかつかつ


まどか「あ。気が付いたら自分のクラスの教室にきてた」

ほむら「ふふっ。私の最初の目的地はここだからいいのよ」

まどか「そうなの?」

ほむら「……まどか。自分の席についてくれるかしら」

202 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:50:44.14 uLh1uyTU0 73/92

まどか「席に着いたよー!」

ほむら「そう。それじゃあいくわね」

まどか(いくって、何を……?)

がらがらがら……、かつかつかつ、ぴたっ

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

まどか(これって、転校初日の……)

ほむら「……何もかも、ここから始まったわ」

まどか「うん……、そうだね」

ほむら「隣の席に失礼してもいいかしら?」

まどか「うん!」

ほむら「よいしょ、と。……これが本当の私の席だったらよかったのにね」

まどか「てへへ。そうだね」

ほむら「まったく、先生ときたら気がきかないんだから」

まどか「あはは、ホントだよー」

204 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 02:57:11.45 uLh1uyTU0 74/92

まどか「わーい、座りながらほむらちゃんに手が届くー!」

ほむら「せっかくだし少しの間だけ隣の席を満喫しましょうか」

まどか「だね!」

ほむら「こんなに近かったら……、手を繋ぎながら授業を受ける、なんてこともできるかもね」

まどか「そしたらクラス中から噂になっちゃったりして!」

ほむら「その前に2人して先生に怒られるでしょうね」

まどか「2人で廊下に立ってろー、なんて?」

ほむら「それじゃあご褒美じゃない」

まどか「確かに!」

ほむら「とにかく、とっても楽しそうね」

まどか「だね。一緒なのがほむらちゃんになるだけで、こんなにも違うんだね」

208 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:10:32.64 uLh1uyTU0 75/92

ほむら「そうだわ。記念に黒板に落書きでもしていかない?」

まどか「ほむらちゃんいけないんだー」

ほむら「無免運転、不法侵入ときたら、もう怖いものなしよ」

まどか「そしてわたしもその片棒を担いでいるのでしたー!」


からからから


まどか「見てみて。ほむらちゃんだよー」

ほむら(まどかの絵はいつ見ても可愛いわ……)

まどか「ほむらちゃんは何描いてるの?」

ほむら「私? 私は……、まどかのつもり、だけど……」

まどか「なんで羽が生えてるの!? しかも頭にわっかまで!」

ほむら「まっ、まどかが天使すぎるのが悪いのよ!」

まどか「ええーっ!?」

211 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:18:20.82 uLh1uyTU0 76/92

ほむら「さて、次はグラウンドへ行きましょう」

まどか「その前にあれもやろうよ!」

ほむら「あれ?」

まどか「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」

ほむら「……よくそこまでしっかり覚えていたわね」

まどか「だってインパクトあったもん」

ほむら「あれは勘弁してもらえないかしら……」

まどか「ええーっ」

215 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:35:00.50 uLh1uyTU0 77/92

――――

グラウンド


ほむら「さて。まどか、今から貴女に魔法をかけてあげるわ」

まどか「魔法を?」

ほむら「そう。少し走ってみてくれる?」

まどか「走ってって……わっ!? は、早っ!?」

ほむら「その状態でジャンプしてみて。大丈夫、着地の衝撃は和らげるから」

まどか「わ、分かった! えいっ!!」

まどか(やっぱり高っ!?)

まどか(でも……、風を切る感覚がとっても気持ちいい)

216 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:35:41.03 uLh1uyTU0 78/92

ほむら「ずるっこだけど、いいものでしょう?」

まどか「あーっ! もしかして……、体育の時は、いつも魔法を使ってたの?」

ほむら「ふふっ、ばれなければいいのよ」

まどか「ほむらちゃんやっぱりいけないんだー」

ほむら「まどかだって人のことは言えないのよ?」

まどか「えっ……?」

ほむら「さあ。次に行きましょう」

まどか「あ、うん!」

218 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:45:38.34 uLh1uyTU0 79/92

――――

からからから


まどか「屋上まできて、何をするの?」

ほむら「私ね。前から一度やってみたいことがあったのよ」

まどか「やってみたいこと?」

ほむら「この場所で、2人きりでのんびり話してみたかった」

まどか「えーっ。そんなのいつだってできるよー!」

ほむら「ううん。やっておける時にやっておかないと」

まどか「……」

ほむら「美樹さやかと貴女は、時々ここでお喋りしてたわよね」

まどか「ああ……、うん。」

ほむら「実はあれにちょっと嫉妬しちゃってたんだ。
      それで、同じことを私もまどかとやりたいなって」

まどか「嫉妬だなんて、わたしとさやかちゃんはただの仲の良い友達だよー!」

221 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:56:06.44 uLh1uyTU0 80/92

ほむら「空が綺麗ね……」

まどか「魔法の力で空を飛んだりできないの?」

ほむら「それはちょっと……」

まどか「そっかぁ。ちょびっと残念」

ほむら「案外不便なものなのよ、魔法って」

まどか「そっかぁ……」

222 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:56:19.08 uLh1uyTU0 81/92

ほむら「まどかは今、幸せ?」

まどか「幸せだよ。ほむらちゃんは?」

ほむら「私もよ」

まどか「こんな幸せがいつまでも続けばいいのにね」

ほむら「ええ。本当に……」

224 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 03:59:14.12 uLh1uyTU0 82/92

まどか「なんだか少しうとうとしてきちゃった……」

ほむら「膝枕してあげるわ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「どういたしまして」

まどか「ほむらちゃんのお膝、気持ちいい……」

ほむら「まどか。そのままでいいから聞いてくれる?」

まどか「うん……」

226 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:05:56.15 uLh1uyTU0 83/92

ほむら「来週、この町に……」

まどか「この町に?」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「……ねえ。まどか」

まどか「うん……?」

ほむら「すぐに形が消えちゃった砂浜の相合傘にも、意味はあったのよね?」

まどか「あったよ。少なくとも私は、そう信じてる」

ほむら「そう。それならいいの……」

まどか「……」

ほむら「それなら私は、頑張れる……」

229 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:09:40.73 uLh1uyTU0 84/92

ほむら「さて、と。それじゃあそろそろ行きましょうか」

まどか「待って」

ほむら「……?」

まどか「キスしようよ」

ほむら「……」

232 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:16:30.54 uLh1uyTU0 85/92

からからから


まどか「こっ、こんなに恥ずかしいんだね……、キスって」

ほむら「そ、そそ、そうね……」

まどか「……」

ほむら「でも……、キスして良かったと思うわ」

まどか「うん。同じく」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「来週」

まどか「??」

ほむら「来週、もう一度ここで、お話ししましょう」

まどか「えっ?」

ほむら「そしてそこで……、二度目のキスを、しましょう」

まどか「……うん。いいよ」

233 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:19:25.41 uLh1uyTU0 86/92

――――


からからからから


まどか「嘘つき!!」

まどか「ほむらちゃんの馬鹿ぁ!」

まどか「黙っていなくならないって言ったのに!」

まどか「来週もう一度屋上で話そうって約束したのに!」

まどか「こんな……」


ぶつっ

235 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:22:45.92 uLh1uyTU0 87/92

――――



「思い出の上映会はどうだった、ほむらちゃん」

「今のは全て幻なの?」

「砂浜にかいた相々傘と同じだよ」

「……」

「わたしにはあらゆる並行世界が見える」

「その並行世界の内の1つから、更に一場面だけを切り出したものが、今のフィルムなの」

「だから、幻だけど幻じゃない」

「つまり……、どこかで確かに存在した出来事なのね」

「そう。だから、思い出上映会」

236 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:24:08.18 uLh1uyTU0 88/92

「わたしの魔法少女絡みの仕事は、ほむらちゃんを導いたことでひと段落ついた」

「ほむらちゃんも、ここにきたということは……、もう役目を終えたといっていいよね」

「そうなるのでしょうね……」

「それじゃさ。これから2人で、思い出上映会をのんびり楽しもうよ」

「2人で?」

「うん、2人で。これからずーっと、ずーっとね」

「そんなに幸せで……、いいのかしら……」

「いいんだよ」

「まどか……」

「……さ、次の思い出が始まるよ」

映画館のような装いの空間に、ぽつりと2人だけ、隣り合わせで座る少女達
2人の手は、指と指で深く繋がっている

239 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:26:29.58 uLh1uyTU0 89/92

黒塗りの細長い車がスクリーンから消え、一瞬だけ、場が完全な暗闇に支配された

―――その僅かな隙をついて
黒い長髪の少女は、桜色の唇で、現在進行形の思い出をつくった

「てへへ。ほむらちゃんにキスされちゃった」

「愛してるわ、まどか」

「うん。わたしも」

かたかたと、次の思い出のフィルムが回り始める
フィルムの中では、桃色の髪の少女と黒髪の少女が、2人肩を並べて歩いていた

「やっと見つけられたね、わたし達の永遠」

「ええ……」

2人の視線は、再びスクリーンにそそがれた





おわり

242 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 04:30:47.74 bfnLo9fbO 90/92


切なくて甘酸っぱくて良かったよ

257 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 08:19:26.46 7s85rB/PO 91/92


やはりまどほむが宇宙の真理

275 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/07/05 12:57:28.69 oFEW8C4k0 92/92

タイトルはギャグっぽかったのにこんな展開になるなんて・・・

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