1 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:35:14.64 iCiGS43ho 1/130



人間は弱い生き物だ。

恨み、妬み、嫌悪し、諦める。


人間はいつも無力だ。

どんなに強い決意も、命を賭けた祈りでさえも、

神様の決めた『運命』の前では何の役にもたちはしない。

………おそらく、人は自らの意志さえ自由には出来ない。



だからこそ、無力な人間は心に深い闇を生み、醜い願望の代行者たる魔獣を造り出すのだ。

それすらも、神が決めたルールであるのだとしても―――。



元スレ
【ホムラ】劇場版 魔法少女ほむら☆マギカ【アスミン】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1345329314/

2 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:36:39.07 iCiGS43ho 2/130




劇場版 魔法少女ほむら☆マギカ ~はじまりの物語~



3 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:37:45.36 iCiGS43ho 3/130


ェヘヘヘーエヘー      ェヘヘヘーエヘー

マミ「暁美さん!魔獣がそっちにいったわ!」ティロッ…

      イツカキミガヒトミニトモスアイノヒカリガ

杏子「へへっ。マミのお守りとは、ほむらの奴も大変だなぁ、っと…!」オラァ! ザシュッ!

    トキヲコエテ…


――……スッ
  
       ホロビイソグセカイノユメヲタシカニヒトツ


ほむら「………」ググっ

           コワスダロウ…


――ザンッ!ザンッ!ザンッ!


トマドイヲノミホシテ、キミガノゾムモノハナニ…?コンナ



4 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:38:44.23 iCiGS43ho 4/130


杏子「やっぱ便利だよなぁ、ほむらの弓は…っと、危ねぇ…!どりゃぁ!」ザシュ!

    ヨクブカイアコガレノユクエニハカナイ

マミ「ふふっ。無駄口叩いていると、やられちゃうわよ、佐倉さん…?っ、ティロ・フィナーレ!!」ドゴォォー!


ア シ タ ハ ア ル ノ !?


杏子「ふんっ…、アタシがそんなヘマするかよ…っ、ウラァァ!」 ザザザザザザッ!

コドモノコロユメニミテタイニシエノマホウノヨウニ


ほむら「二人とも、下がって…」ギューン…

    ヤミサエクダクチカラデホホエムキミニアイタイ


マミ「OK…――、」ダッ

杏子「そんじゃぁ…後は任せたぞ、ほむらっ!」ダッ

オビエタコノテノナカニハ タオラレタハナノユウキ


ほむら「消えなさい…。目障りな魔獣共……っ!」 ギュィーン―――、


――――ズバババババババババ!!



オモイダケガイキルスベテ

イノチヲツクルノハネガイ―――…。


魔獣「#$%!!@}\(゙……ッ…」シュゥゥ

魔獣「…………

魔獣「……

……………コロコロコロ


杏子「おっしゃ!グリーフキューブGET!」



ほむら( ………………)


5 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:40:14.79 iCiGS43ho 5/130


マミ「二人ともお疲れ様。よかったらこの後、私の家でお茶しない?美味しいケーキもあるわよ?」

杏子「いくいく!流石マミ!気が利くじゃんか。勿論ほむらも行くだろ?」


ほむら「……いえ、遠慮しておくわ」



マミ「そ、そう………」


ほむら「ごめんなさい…。それじゃ、また―――。」スタスタ


―――――……………、


マミ「暁美さん……」

杏子「あいつ、大丈夫なんだよな…?」

マミ「わからないわ…。美樹さんが導かれたあの日から、いつも辛そうにしているから…」

杏子「さやか…、それに『まどか』か………」

マミ「ええ……」


――――
―――
――


6 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:41:38.79 iCiGS43ho 6/130


ほむら(まどか…どうしてこんな事…)

ヒョコッ

QB「やぁ、ほむら。リボンなんか握りしめてどうしたんだい?」

ほむら「……、お前には関係のない事よ。餌が欲しいなら巴マミの所へ行きなさい」

QB「相変わらず辛辣だね」キュップイ

QB「今日はキューブの回収に来た訳じゃないんだ。少しばかり君の様子が気になってね」

ほむら「……気味の悪い話だわ」

QB「そう邪険にしないで欲しいな。君達魔法少女のケアもボクの大切な仕事の一つなのさ」

QB「なんていったって君達魔法少女が魔獣から集めるキューブのエネルギーは、この宇宙を救う最後の希望なんだ。何時だって万全の状態でいてもらわないとね」


ほむら「―――………」




『全宇宙を代表してお礼を言わせてもらうよ――。』




ほむら「ふふっ…。そういう所は変わらないのね」



QB「ん?」

QB「今の話に笑える要素は無かったと思うんだけど…」キュップ



ほむら「……っ…お前には関係の無い事よ…。さぁ、早く消えなさい。私はお前の事が好きではないと、前にも言ったはずだけれど?」

QB「わかったよ。でも、君にはまだまだ頑張ってもらわないと困るんだ。簡単に死んだりしないでおくれ。それじゃ、またくるね」キュップイ


ほむら「……本当に、気味の悪い世界…だわ…」ボソッ


7 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:42:52.99 iCiGS43ho 7/130


――――
―――
――

ーマミ ほーむー

杏子「ほむらが笑った…だと!?」ガタッ

QB「ああ。何が可笑しかったのか感情の無い僕には訳がわからないけどね」キュプ

マミ「笑いのツボは人各々ですもの、別にそれ自体は何でもないのだけど…」

杏子「いつも般若の面を貼り付けたような顔してるほむらが笑うなんて…想像できねぇ……」

オコラレルワヨ?


マミ「ねぇQB、他に何か変わった所はなかった?」

QB「さぁ?君達に言われて様子を見に行ったのはいいけれど、いつもの調子で早々に追い返されてしまったからね」

杏子「でもよぉ、QBの話が本当なんだったらあたしらが心配する程の事でもないんじゃねぇの?」ハフハフ

マミ「そう…、なのかしら…」


8 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:44:15.72 iCiGS43ho 8/130


杏子「あいつだってクラスメートで魔法少女仲間のさやかが逝っちまった事で思う事もあるだろうし――、」ゲプ

ハシタナイワヨ、サクラサン…

杏子「そういう事なら、時間が解決してくれるのを待つ他にできる事はないのさ」オカワリ

QB「それには僕も同意するね」

マミ「そうだといいのだけれど…」

QB「暁美ほむらに引き摺られて、君達にまで魔獣狩りを疎かにされてしまっては大問題だよ。ただでさえ人手が足りないって言うのに…」

マミ「安心してQB。皆を守る為にも魔獣狩りを疎かにするつもりは無いわ。ただ――、」



マミ「やっぱり暁美さんが心配なの。暫くの間、定期的に顔を出してあげてくれないかしら?」

QB「ボクがかい?暁美ほむらからの好感度を考慮すれば、適任はボクではないと思うけどな」

杏子「なんてったって、あのほむらを笑わせたんだ。お前以上の適任者なんていねぇーよ」モグモグ、オカワリ!

QB「まぁ、別に断る理由もないからいいんだけど…」キュップイ

モゥ、サクラサンッタラ……


QB「ああ、そうそう。それから君達に伝えなきゃならない事が一つあるんだ」

杏子「なんだよ、改まって」モグモグ


QB「近頃、魔法少女が『魔 獣 以 外 の 何 か』によって倒される事例があってね」


杏子「魔獣以外の何か…?魔法少女が通り魔にでも殺られたってのか?そんなのありえねぇーな」ハフハフ

マミ「……でも…。もしそんな事ができるとしたら…それは……」


QB「おそらくは―――、

    君達と同じ

     『魔 法 少 女』
  
          の仕業だろうね」



9 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:45:09.32 iCiGS43ho 9/130


――――
―――
――

少女「今日は一段と瘴気が濃いね…」

魔獣「ゥァァ……ァァ……ゥ」

少女「このままじゃ魔獣が人に危害を加え兼ねない…。なんとしてでもここでアタシが食い止めるんだ……」パァァ!

少女「行くよ、怪物共!悪いけど、この正義の魔法少女ちゃんが――、即効で…、片付けさせて…もらうから、ねっ!」ジャキン!!

少女「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

―――ザシュッ!ザザザザザッ、ズシャッ!!

少女「ラストぉぉぉぉぉ!」ダッ!

―――――!!


少女「うわぁぁっ!」ドン!




10 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:46:45.87 iCiGS43ho 10/130


???「ダメだよお姉ちゃん…。こいつらは人が作り出した願いの塊なんだ。どうして殺しちゃうかなぁ………」


少女「何…ゲホ、言ってんだよ、アンタっ…!」 ハァ、ハァ

???「魔獣とは弱者がすがる最後の希望。それを邪魔する正義の味方なんか、アタシが 殺 し て あ げ る 。」

少女「……っ、ふざけるなぁぁぁっ!」ダッ!


―――シュッ!スパッ、シュザッ!!


???「あはっ☆ 遅い、遅い!そんなんじゃ全然当たんないよ?」クスクス

少女「このこのこのこのこのぉっ!!」

―ブンッ!ブンブンブンッ――!


―――シュルシュルシュルシュルシュル、ガキンッ!!

少女「あが……っ!」



???「……つーかまーえたぁ♪」クス

少女「はな…せっ…!」ギリギリ

???「そう言われて離す人っていると思う……?」クスクス


11 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:47:43.61 iCiGS43ho 11/130


???「さぁ、正義の味方のお姉ちゃん。あなたの心にへばりつく醜い絶望を、アタシに覗かせて………」スッ、ピタッ

―――ゾワッ!!



少女「…やめ……ロ…」ギリギリ




???「 ダ ぁ ~ メ っ ♪ 」アハッ☆




ぅっ―――………、





あすみ「これで あすみ のサヨナラ勝ちだね、正義の味方のお姉ちゃん…アハッ☆」 ペロッ



…―――ぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛!



――――
―――
――

12 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:49:04.99 iCiGS43ho 12/130


ほむら(まどかの願いにより世界は改編された…)

ほむら(魔女の産まれない世界。誰も絶望する必要のない優しい世界…)

ほむら(けど…、ここにあなたはいない………)

ほむら(私が命をかけて守りたかったあなたは何処にもいない。私に残されたのは、このリボンとあなたが使っていた弓だけ……)


ほむら(こんな結末になるならいっそ……。こんなの…あんまりよ。だったら、だったら私は何の為に――――!)ギリッ!


――メザメタココロハハシリダシタミッ…♪
――(着信)巴マミ

ほむら「……もしもし、どうかしたの?」


13 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:51:07.35 iCiGS43ho 13/130


『暁美さん、今すぐTVのニュースを見て!』

ほむら「……巴マミ がアイドルみたいに歌って踊る愉快な姿でも拝めるのかしら?」

『もう、冗談を言ってる場合じゃないのよ…』

ほむら「…………」

―ポチッ

サクヤ、カザミノシデオキタムサベツサツジンジケンノゾクホウデス……
35メイノシショウシャヲダシ、ジサツヲハカリビョウインニシュウヨウサレ……
ヨウギシャハシボウ………
ツギノニュースデス、マタシテモカザミノシニテギンコウゴウトウ…

ほむら「風見野ってこんなに治安の悪い場所だったかしら…?」

『いくらなんでも、こんなに酷い事件が立て続けに起こるなんてありえないわ…』

ほむら「まるで世紀末ね…」

『暁美さん、何か匂うと思わない?』

ほむら「……」ビクッ


14 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:52:03.11 iCiGS43ho 14/130


『風見野の魔獣退治は佐倉さんが後輩の魔法少女に引き継いでいたのだけど、その子とも連絡が取れない状況なのよ』

ほむら「その子が魔獣にやられたって事…?」

『その可能性もあるわ。でも、もっと別の可能性もある……………』

ほむら「別の…可能性…?」

『詳しくは会って話ましょう。これから私の家で―――』

ほむら「………?」

『ちょっと佐倉さん!…待って!何の対策もなしに行くのは危険よ――、』

ほむら「巴マミ ?杏子もいるのね?」

『……――とにかく、すぐに来てちょうだい!お願い!』

ブツ――、プープープー………


ほむら「そう…………」



15 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:53:09.64 iCiGS43ho 15/130


―――――
――――
―――

ーマミ ほーむー


ピーンポーン

ガチャ!

マミ「暁美さん!遅いじゃないのもう!」

ほむら「……っ、ごめんなさい。少し……あって…ね…」

マミ「佐倉さんは勝手に飛び出していっちゃうし、暁美さんはなかなか来てくれないし……っ!」

マミ「私…、どうしたらいいかって………っ」ウルウル

ほむら「ごめんなさい……」

マミ「…………………っ」


マミ「………とにかく入って。詳しく話さなくちゃ…」

ほむら「ええ…」

――バタン。


16 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:54:20.87 iCiGS43ho 16/130


マミ「大体は電話で話した通り。けど――、」

ほむら「あなたの言っていた別の可能性について、ね?」

マミ「QBが言っていたのよ。魔法少女を狩る魔法少女がいるって」

ほむら「それが杏子の後輩を殺した…。そう言いたいのね」

マミ「可能性はあるわ…」

ほむら「でも、魔法少女が魔法少女を殺した所で何の得もないでしょう?」

マミ「わからないわ。縄張りを拡大してキューブを独占したいのかもしれない…」

ほむら「現状でも魔獣共の数は魔法少女のそれを大きく上回ってる。むしろ人手が足りないくらいだと言うのに」

マミ「そんなの知らないわよっ…!でも、魔獣じゃないなら誰が魔法少女を殺したって言うの!?」ガタッ


17 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:55:40.28 iCiGS43ho 17/130


ほむら「落ち着きなさい、巴マミ …」

マミ「ごめん…なさい……」フルフル


ほむら「概ね話はわかったわ。それで、その魔法少女狩りが実在するとして、どうしようと言うの?」

マミ「戦うわ……。もし本当に魔法少女を殺して回っているのなら、そんな事許せない」

マミ「それに、次の標的は私か佐倉さんか…暁美さんかもしれない……」

ほむら「…………巴マミ 」

マミ「私、もう嫌なのよ…友達を、失うのだけは……」


ほむら「……………」


ほむら「わかったわ…。とにかくまずは杏子と合流しましょう」ファサ

マミ「ええ…ありがとう…暁美さん」


――――
―――
――


18 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:57:00.51 iCiGS43ho 18/130


ー風見野市ー

杏子「何処にいやがるんだよ…、くそっ!まさかマジで魔法少女狩りなんかに………!」

―ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!


魔獣「ゥァァァァゥ」
魔獣「ゥァ…ァァァゥ」
魔獣「ァァ……」

杏子「魔獣…!?」サッ

杏子「こんな時に…」ギリッ!


――シュパッ!ジュザッ!ジュザザザッ!

杏子「おらぁぁ!消えやがれっ!!」

魔獣「@$!<;\゙゙;魔獣「…………


………………サァァァ
………
……………
…………………………


19 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 07:57:55.09 iCiGS43ho 19/130


魔獣「ゥァァァァゥ」    魔獣 「ゥァァァァゥ」
魔獣「ゥァァァァゥ」
魔獣「ゥァァァァゥ」


杏子「次から次へとキリがねぇぜ…」


杏子「チッ…。やってやる。あたしは今最高に機嫌が悪いんだ…。テメェら、簡単に[ピーーー]ると思うなよ」


魔獣「ゥァァァァ」    魔獣 「ァァァァ」
魔獣「ァァァァ」
魔獣「ァァァァ」    魔獣 「ァァァスミーン!」



―――スタッ、




あすみ「ねぇ、お姉ちゃん。楽しそうだからアタシも混ぜてよ……」クスクスクスっ

―――――
――――
―――


20 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:02:01.55 iCiGS43ho 20/130


ー教会ー

ほむら「他に杏子が行きそうな場所に心当りは?」

マミ「この教会にいないとなれば…繁華街なんかの魔獣が出やすい場所を回っているのかもしれないわ…」

ほむら「行きましょう。……大丈夫、あの子がそう簡単にやられるような事はない。それはあなたも良くわかっているはずでしょう?」

マミ「ええ…」


マミ(佐倉さん…。無事でいて……。お願い………)


――――
―――
――


21 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:02:58.57 iCiGS43ho 21/130



杏子「……なんだテメェ」ギリッ

あすみ「魔法少女狩り…って言ったらどうする……?」クス

杏子「………っ!」ジャキン!

あすみ「あははっ!いきなり臨戦体勢ですかぁ? 怖いお姉ちゃんだなぁー☆」クスクス


杏子「一度だけ聞いてやる…。この街にいるはずの、剣を使う魔法少女を知っているか?」

あすみ「……ぁぁ、あの青臭い正義の魔法少女ちゃんの事?それなら、円 環 の 理 に 行 く っ て さ ぁ 」クスッ☆


杏子「…………

    ロッソ…ファンタズマ!」


――ジュイイイン!


22 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:04:24.85 iCiGS43ho 22/130


杏子「おらぁぁ!」ザッ!
杏子「ぁぁぁ!」ザッ!
杏子「ぁぁ!」ザッ!


あすみ「へぇ…」ニタァ


――――――――ブオンッ!

――――ガッ!!



杏子「チッ…」



あすみ「分身…?と思ったけどスッカスカの幻覚だったかぁ」フフ

杏子(あの妙な鉄球振り回してあたしの幻覚をかき消しやがった…)

あすみ「ねぇ、もしかしてもう終わり?今のが全力? あはっ!何それショボ~イ♪」クスクス

杏子「舐めた口聞いてられんのも今のうちだ…」ギリッ!


23 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:05:55.22 iCiGS43ho 23/130


――ガガッ!

杏子「うらぁぁ!」

あすみ「あはっ☆ あとはゴリ押しするしかないのかなぁ…!?」ドッ!

杏子「そんなもん当たるかぁぁ!」

――シュバッ、シュシュシュシュ!ズハッ!!

あすみ「それはこっちの台詞だよ、能無しおバカのお姉ちゃん♪」アハッ!

―――ドゴッ!ドガガガガガ!ガシャン!


杏子「へっ……。だったら―――、


――ロッソファンタズマ!

杏子「殺すッ!」  杏子 「殺すッ!」
杏子「殺すッ!」 杏子 「殺すッ!」


24 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:06:56.84 iCiGS43ho 24/130


あすみ「だからさぁ…。脱け殻の数だけ増やしても、何の意味も無いんだって。お姉ちゃんって馬鹿なの?死ぬの?死にたいの!?」クスクス


あすみ「………だったら、即行で 殺 し て あ げ る よ ッ」 グッ…

杏子「……黙れ」



――ダッ!!

あすみ「あはっ!無駄無駄無駄無駄ァァ!」ブンブンブン!

杏子「らぁぁ!」   杏子 「…がっ
杏子「……っ!
杏子「でりゃぁ!」


―――スカスカスカスカッ!


あすみ「…………は?」


………………………………………。



――グサッ!!

あすみ「―――……?」

………ダラリ

あすみ「……ぁ…!ぁぁっ!…っ!」



杏子「――ふん。ボディがお留守なんだよ…、クソガキ」ググッ


25 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:08:08.57 iCiGS43ho 25/130


あすみ「っ…、なんで……」ダラッ


杏子「あたしとアンタじゃ圧倒的に経験が違うのさ……」



あすみ(……分身して正面から突っ込んでくるだけの、単調な攻撃だと…思ったのに……。狙いは最初から、幻惑の魔法で…本体を隠す事…だった…?)

あすみ(……そして、アタシが、分身に…気を……取られてるうちに、死角に回り…込んで……)


あすみ「…………あは。直情型の馬鹿野郎かと思ってたけど……っ…。なんだ…ぁ、結構やれるんじゃん……」


杏子「いい手本に恵まれたんでな…」



26 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:09:17.90 iCiGS43ho 26/130


―――グッ!

杏子「……これが最後のチャンスだ。あたしの機嫌を損ねれば、テメェの腹にぶっ刺さったこの槍を、即座に真横に凪ぎ払う」

あすみ「ふふっ…、そんなに……アタシの腸が見たい…?……変態………アハ…っ」ポタポタ

杏子「答えろ……」

杏子「あたしの可愛い後輩は何処だ?」


あすみ「………ふふっ。

       円環の…、理って…

         …と・こ・ろっ…☆」
 


杏子「そうか……」


杏子「だったら、テメェもあの世で詫びて―――、」


あすみ「――――………」 ニタァ


27 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:10:36.24 iCiGS43ho 27/130


――ズズズッ!!

杏子「――――!?」

―ギュッ



あすみ「……お姉ちゃん、つーかまぁえ…た…ぁ…」


杏子「な、………!」

あすみ「もう離さない…、絶対…離さないよ、お姉ちゃん……」ハァ、ハァ、ハァ、

杏子(こいつ、自分で槍を根元まで貫通させやがった……!)

杏子「はな……っ、せっ!!」

あすみ「ははは…。やだやだ絶対イヤ……」グググッ!

―――ギュルギュルギュルギュルギュル

杏子「薔薇の……蔦……!?」


28 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/19 08:11:51.34 iCiGS43ho 28/130


――ギュルギュルギュルギュル

あすみ「これで…お姉ちゃんは私の物……。お姉ちゃんの絶望も、その魂も…ぜぇんぶ……」

―――ギュルギュルギュルギュルギュル

杏子「くそっ…!ほどけ…ねぇ…」

―ギュルギュルギュルギュル

あすみ「お姉ちゃんには特別に、アタシの花びら…直にご馳走してアゲル…よ…」スッ


杏子(なんだ…アレ…っ!?…ヤバイ匂いがプンプンしてやがるっ…!)



あすみ「あすみ特製…絶望味で、…ね…っ☆」


杏子「ヤメ……ロ……!」


あすみ「あはは…っ。これで、アタシの…サヨナラ勝ち…!」フゥ、フゥフゥ




ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!








41 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:42:45.13 AgXE/Cfzo 29/130


―――――
―――

マミ「何処にいるの…。佐倉さん」

ほむら「…………」

マミ「やっぱりあの時、私が無理矢理にでも止めて…せめて一緒に行ってあげていれば……」ブツブツ





ほむら「……そんなに苦しむくらいなら、いっその事諦めてしまえばいいのよ」ボソッ





マミ「…? 今何か言った?」

ほむら「い、いいえ…。何も……」


ほむら(…私は、何て事を…………)



――ザッ

マミ「ねぇ、暁美さん見て!」



42 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:43:37.51 AgXE/Cfzo 30/130


ほむら「このコンクリート、明らかに普通じゃない力で砕かれてるわね…。それも一ヵ所や二ヵ所じゃない………」


マミ「魔法少女同士で争った痕跡、と言ったところでしょうね。それにこれ……」


ほむら「どうしたの …?」


マミ「血だわ……。まさか、佐倉さんの…!」


ほむら「……待って。まだ杏子の物だと決まった訳じゃない。相手の魔法少女が流した可能性だってあるわ」

ほむら「それに、どちらにしてもこの血痕の主はまだ生きているわよ?ご丁寧に行き先を指し示してくれているもの……」

マミ「急ぎましょう暁美さん!もしこれが佐倉さんの物なら、一刻も早く治療しないと!」


――――
―――
――

43 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:44:37.21 AgXE/Cfzo 31/130


ー廃ビルー


ほむら「どうやらこのビルに入ったみたいね」

マミ「ええ…」


――……ズズ

……


マミ「ここに佐倉さんが………」


ほむら「そう…ね――、……。」ピタッ

マミ「どうしたの暁美さん?急に立ち止まったりして」


ほむら「血痕が途切れた…」


マミ「………。移動しながら回復魔法を使い止血に成功したのか、それとも私達をこのビルに誘い込む為の罠だったのか……」

ほむら「仕方ないわ。ここから先は二手に別れましょう。私は上から、あなたは下から」

マミ「……そうね。なんにせよ、あまり時間を掛けたくはないもの」


―   ズ  ……ズズズ





             アハ……


ズズズズズズズ……      


44 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:45:26.15 AgXE/Cfzo 32/130


―カツ、カツ、カツ、カツ


ほむら(私は何の為に生きて……何故この世界に残されたのか…)



『――諦めてしまえばいいのよ』



ほむら(…この世界に…私は…)


ズズズズズ……




―ガタッ!



ほむら「誰っ!?」


…………………………



――ササササッ


45 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:46:22.13 AgXE/Cfzo 33/130


ほむら(杏…子?……いえ、それならコソコソと隠れる理由がない。つまり……)



ほむら「隠れてないで出てきたらどうかしら、魔法少女狩りさん?」


ヌッ……

              アハハ…


 「魔法少女狩りだと思った…?」



ほむら「っ!なんで ……!!」



   「残念―――、」


ほむら「だって、だってあなたは………!!」




さやか「 さやかちゃん でしたっ!」



ほむら「 美 樹…さやか……!!」



さやか「あはっ」


ズズズズ…ズズ……


46 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:47:22.40 AgXE/Cfzo 34/130


ほむら「嘘…でしょ……」


さやか「ねぇ、ほむら…。あたし、全部知っちゃったんだよ。アンタが繰り返してきた時間の事」

ほむら「っ!!」

さやか「だからさ、今日はそのお礼をしたくて戻ってきたんだ…。『お礼』を、ね………」

ほむら「………………、」


さやか「アンタはまどかを救う為に、何度も、何十回も何百回も繰り返して――、」



ほむら「……――さい」




さやか「その度に――、」


さやか「あたしの事を見殺しにした…」

ほむら「ごめん、なさい…っ!」



47 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:48:23.70 AgXE/Cfzo 35/130


さやか「まどかに導かれたあの日、あたしはこれまでの全てのあたしと一つになったの」

さやか「だから、今のあたしには全てのあたしの痛みと絶望があるんだ」

さやか「…こんなの、死ぬよりもっと酷いよ。ほむら」

ほむら「っ…」


さやか「でもまぁ、まどかはあたしにとっても大切な親友だからさ。まどかを救う為だったら、あたしもアンタと同じ事をしたかもしれない」

ほむら「…………」

さやか「だから、あたしの事はいいんだ…。それより何より問題なのは、アンタがまどかを救わなかった事……」


ほむら「…それは…!…だって……」



さやか「まどかを救う為だけに全てを犠牲にした結果がこんな世界かよ!!」

ほむら「ちが…うの、違…う…のよっ!」

さやか「その癖アンタは何? まどかの創った優しい世界で今でも一人だけのうのうと生き続けてる……」

ほむら「っ……、ぁぁ……あ…!」ガクッ


48 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:49:19.86 AgXE/Cfzo 36/130



さやか「そんなのあたしは許さないから…」


ほむら「…ごめ…っ、なさ…ぃ!」



さやか「……アンタ、さっきからそればっかり言ってるけど、本当にそんな事思ってんの?」

ほむら「……本当…本当よ…お願い、信じて………」

さやか「アンタのせいであたしはこんなに痛いんだ…。アンタのせいでまどかは、あの子の魂は、宇宙が滅びるその時まで永遠に囚われ続けなきゃならないんだ!!」

ほむら「…そ……んな…つもり、無かっ…たの……私…は…私は…ただ……っ」



さやか「ねぇ、ほむら……?」

さやか「本当に悪いと思ってるんだったら、アンタがあたしと代わってよ……。あたしの痛みも絶望も、アンタが全部引き受けなさいよ…」


              ンフフ…


―……ズズズズズズズ!




ほむら「…………それで、」




49 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:50:14.30 AgXE/Cfzo 37/130



ほむら「…それで…美樹さんは救われる…の………?」

ズズ… ズズズズ

さやか「そうだよ、転校生」


ズズズズズズ……



ほむら「……そうしたら…鹿目さんは戻ってこれるの……?」

さやか「そうだね、ほむら」


ー ズ、ズ、ズ、ズ、ズ、ズ、ズ!!



ほむら「……なら、私は―――、」


               ニタァ…






   「ティロ・フィナーレ!!」

――ドゴォォ!!


50 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:50:49.30 AgXE/Cfzo 38/130



さやか「……………
さや…………
………




あすみ「ちっ………!」


マミ「待ちなさい!」ジャキっ!


あすみ「……んふふっ。また今度遊んでね、お姉ちゃん♪」アハッ

ズズ……――

あすみ……
あす……
……       ズズ……


マミ「消えた…」


51 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:51:40.58 AgXE/Cfzo 39/130




ほむら「巴……さん……――」フラっ、


――バタッ


マミ「……! 暁美さん!暁美さん!?しっかりして!暁美さんっ!」


ほむら「………――」


―――――
―――

あすみ「あっ…、はぁ。おしかったなぁ……フゥ、フゥフゥ…」

杏子「……」ビク、ビク

あすみ「…っ、…でも、お姉ちゃんに刺されたお腹すっごく痛いし……」

あすみ「…直接戦うのはまだキツいかも…アハッ」

あすみ「だからさ、あのお姉ちゃん達をぐちゃぐちゃにするのは次回までのお楽しみにしなきゃね…ンフフッ…」

杏子「……―――」


あすみ「それにしても…、ほむらお姉ちゃんって何者なの?『神様』とお知り合いだなんて……。あすみ、気になっちゃうなぁ………」フフッ☆


……―――ズズズズズズズ、

――――
―――

52 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:52:32.21 AgXE/Cfzo 40/130


ほむら(……)

ほむら(…………)



『暁美さん…。どうして助けてくれなかったの?あなたは、こうなる事を知っていたのに』

だって、あの時は…巴さんが―――!


『どうして教えてくれなかったのさ転校生…。知ってたら契約なんかしなかった!』

何度も忠告したじゃないっ!なのにあなたが――、


『お前、それでも人間かよ…』

だって…だって……っ……



どうして……。なんで誰もわかってくれないのよっ!





    「ほむらちゃん……」



53 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:53:27.59 AgXE/Cfzo 41/130


まど…か……? あなたなら私をわかってくれるでしょ? ねぇ!?



「どうしてあの時、あのまま死なせてくれなかったの……」



……えっ、


「私は、誰も殺したくなかったのに…」

まど…か…?

「ほむらちゃんのせいで、私は世界を滅ぼす魔女になったの」

……  ………

「見て…?私の手、こんなに血だらけだよ……。全部、全部全部ほむらちゃんのせい」

ちが…… …う…



「あの時ほむらちゃんを助けてしまった事、私、今も後悔してる」

信じ… て……


「私だけじゃない。みんなみんな、あなたに裏切られたの…」

…やめ  て……っ…



「あなたになんか、優しくするんじゃなかった……」



もうやめてよ、まどかぁぁぁぁ!!!



54 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:54:11.28 AgXE/Cfzo 42/130

――――
―――

ーほむ ほーむー


――バッ!


ほむら「…っ、づ、ぅぅぅぅぅ!!」ザッ




ぬぅぅぅぅぅぅぅぅうう!!!

―――グサッ!!


グサッ、 グサッ、 グサッ、 グサッ、グサッ、



―ガチャ


マミ「どうしたの!?暁美さ――」

マミ「暁美さんっ!!」

アケミサンガボールペンデジブンノウデヲ!!



ほむら「ぁぁぁ!…あああああ!!」ガチガチガチ


55 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:54:50.66 AgXE/Cfzo 43/130


マミ「やめて!やめなさい暁美さんっ!」グッ

ほむら「いやぁぁぁ!!いやっ!イヤァァァァァァァ!!」 バタバタ

マミ「お願い、落ち着いて…暴れないで……大丈夫、もう大丈夫だから!」ギュッ、

ほむら「はなしてぇぇぇ!!はなしてぇぇぇ!!ぇぇぇ!!」

マミ「暁美……さ…んっ!!」


マミ「お願いよ!暁美さんっ…、いつものあなたに戻って……!こんなのあなたらしくない!いつもの、冷静なあなたに戻ってっ……!!」




――ピクッ







ほむら「…………ナニヨ、ソレ」


56 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:55:30.74 AgXE/Cfzo 44/130


ほむら「……いつもの私って何よっっ!!」

ほむら「私の事なんか何もしらない癖に!覚えてないクセにっ!!」


マミ「暁美…さん……?」

ほむら「あなたの友達の暁美ほむらは私じゃない!!まどかが作った別人なのよ!!」

マミ「何、言ってるの…?私達何度も一緒に戦ってきたじゃない…。私も佐倉さんも、美樹さんだって幾度となくあなたに助けられてきた」

ほむら「それは私じゃない!!私はあなた達を助けたりしなかった!救おうとしなかった……!!」

ほむら「いつだって、諦めて…まどかの為と言い訳をして……壊して、棄てて、見殺しにし続けてきたんだものっ!!」




マミ「何を言ってるのよ、暁美さん……」



ほむら「………コロシテヨ、」


57 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:56:29.92 AgXE/Cfzo 45/130


ほむら「……私を殺しなさいよ…。あなたにはその権利がある……」

マミ「……っ!馬鹿な事言わないで!いい加減に怒るわよ、暁美さんっ!!」


ほむら「私は皆を苦しめただけで、結局何もできなかった…」

ほむら「今となっては救おうとする事さえ拒まれて…」



ほむら「何度繰り返しても状況を悪化させるばかりの私に、神様は見切りをつけてしまったの…。そしてあの時、私の役目は終わった…」


ほむら「だからもう…、この世界に、私は必要ない……」



マミ「馬鹿っっ!!」


――バシン!!


58 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:57:26.15 AgXE/Cfzo 46/130



ほむら「………」

マミ「……ごめんなさい。ちょっと、強く叩き過ぎたわ」


ほむら「………」



マミ「正直、暁美さんの言ってる事なんて全然わからない」

マミ「『まどか』とか『魔女』とか笑っちゃうくらい理解出来ないの…」

マミ「だって、今までもこれからも私の知ってる暁美さんは、今目の前にいるあなた一人。その他になんていないんだもの……」

ほむら「………」

マミ「あなたがどうしてそんなに自分を責めるのか、私にはわからない……」

マミ「けど、もしそうする事をやめられないと言うのなら、それ以上に私があなたを守ってみせる……」ウルウル

ほむら「…なんでよ……なんでそこまで……」



マミ「だって…グスッ、あなたは、私の…大切な友達なんだからっ」 ニコッ



59 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 11:58:41.20 AgXE/Cfzo 47/130


 『あなたを守ろうとしていた人はどうなるの!?』

 『……お願いだから私にあなたを守らせて!!』

 『ほむらちゃんは、私の最高の友達だったんだね……』



ほむら「…………」 ズキっ


マミ「…あはは。可笑しいな…。笑いたいのに、なんで涙なんてでちゃうかな……グスッ」 ヒグッ、エグッ



ほむら「…ごめんなさい…少しだけ、一人にして………」


―――
――


60 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:00:02.40 AgXE/Cfzo 48/130


ヒョコ


QB「やぁ、マミも来ていたんだね 」

マミ「……QB」


QB「だいぶ疲れているみたいだけど、どうかしたのかい?」

マミ「色々有りすぎてどう説明していいかわからないわ……」

QB「そうかい。それじゃぁ、気が向いたら話しておくれよ。家主のほむらも眠っているし、回収が必要なキューブもここには見当たらないね。今度は杏子のところにでも行ってみるとするかな」キュプ


マミ「…っ、…佐倉さんならいないわよ………」

QB「そう…。それじゃ、他の町まで足を運んでみるよ」キュプ



マミ「……待って!……ここにいて、QB………」

マミ「お願い………」



QB「マミ、君は泣いてるのかい?」

ヒグッ、エグッ…

マミ「怖いの……もう、失いたくないの…一人はイヤよ…お願い、一緒にいてQ
B……」ポロッ、ポロッ


QB「御安い御用さ。君達魔法少女のケアも、ボクの大切な仕事だからね」




―ぎゅぅ



ヒグッ、エグッ、ウワァァン…ウワァ……


61 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:00:51.89 AgXE/Cfzo 49/130


チュン チュンチュン チュン


ほむら「………いやな朝…」


――ガチャ

スタスタ

ほむら「…………」



ヒョコ

QB「やぁ、ほむら」キュプ

ほむら「…………」




QB「あれ?聞こえていないのかい?」

ほむら「……………」




QB「やぁ、ほむら!」キュップィ

ほむら「…………………」



QB「やぁ!ほむ―――、」キュ―!!

ほむら「うるさい……」ボソ



QB「なんだ。聞こえてるなら始めから反応してくれればいいじゃないか」


62 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:01:36.28 AgXE/Cfzo 50/130


ほむら「……何の用?」

QB「マミに頼まれてね。キミについていてくれってさ」


ほむら「必要ない…」



QB「そうもいかないかな。前にも言った通り君にはまだまだ魔獣を狩ってもらわなくちゃ困るんだ。今ソウルジェムを砕かれちゃたまらないからね」

ほむら「代わりの魔法少女なんていくらでもいるでしょ……」

QB「キミ程の逸材となると、なかなか難しいかな」


ほむら「……忌々しい台詞」


QB「 ? とにかくそういう事だから暫くここにいさせてもらうよ」キュプ

ほむら「そう。勝手になさい……」

QB「ああ、そうさせてもらうね」


63 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:02:12.81 AgXE/Cfzo 51/130


ほむら「ところで巴マミはどうしたの…?」

QB「さぁ? でも、一つだけキミに伝言がある。杏子の事は自分に任せて体を休めてくれってさ」

ほむら「そう……」

QB「昨日のマミといい、キミといい……もしかして杏子と喧嘩でもしたのかい?」キュプ??




ほむら「………」


――――
―――
――

64 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:02:50.81 AgXE/Cfzo 52/130


ー風見野市ー

マミ「あの、すいません。小学生くらいで銀髪の……」

――スタスタスタ…!

マミ「振り返ろうとすらしてくれないなんて…」

マミ(でも、この治安状況じゃ誰だって不安になるわよね……)

マミ(ここへ来るまでに何十匹もの魔獣を狩った…)

マミ(大通りは昼間から閑散として、パトカーや制服の警察官がピリピリとした空気を垂れ流しているし……)

マミ「こんな時、あの子達なら何て言うのかな……」


――スッ

あすみ「……………」

………スタスタスタ

マミ「ん…?あの子……」

―キラッ

マミ「……っ!指輪……!あれはソウルジェム!!」ハッ!



65 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:03:33.38 AgXE/Cfzo 53/130


あすみ「…………」スタスタスタ


マミ(間違いない!あの時の魔法少女だわ…!)

あすみ「……………」 スタスタスタ


マミ(こちらには気が付いていない…? 好都合ね…。このまま佐倉さんの所まで案内してもらうわよ)キッ、




あすみ「………ンフッ」 スタスタ

――――
―――

66 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:04:22.07 AgXE/Cfzo 54/130


マミ(ここって、あの廃ビルじゃない!)

あすみ「………」 スタスタスタ


マミ(なるほど……。やっぱりあの時も、『消えた』って訳じゃなかったのね)


あすみ「…………」スタスタ


マミ(暁美さんを襲った幻覚魔法の応用で姿を隠していただけだったんだわ)

あすみ「………―」スタスタ


マミ(薔薇の蔦が張り巡らされたフロア……)

マミ(おそらくは自分に有利なフィールドを造る為の結界の一種ね。当然トラップも仕掛けてある…)

マミ(でも……)パァァ



マミ「小細工は無用よ!出てきなさい、神名あすみ…!」ギリッ


――コツコツコツ


   「いらっしゃい…。お姉ちゃん」



67 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:05:09.97 AgXE/Cfzo 55/130


あすみ「それとも、こうゆう時の挨拶は サ ヨ ウ ナ ラ かなぁ…。あはっ」クスクス

マミ「出たわね……」


あすみ「酷いなぁー、もう。……ところで、なんでお姉ちゃんがアタシの事知ってるワケ?」


マミ「ちょっとだけ、古い友人から話を聞いたわ」


あすみ「…ふーん。あの馬鹿猫、今度会ったら百万回殺してあげなきゃねぇ」アハッ


あすみ「そういえば、ほむらお姉ちゃんは一緒じゃないのかなぁ?」

マミ「察しが悪いのね…。あなたなんて私一人で十分って事よ」

あすみ「へぇ…。本当はダメージが大きくて出てこれないって所?」

マミ「……っ」

あすみ「なぁーんだ。『神様』とお知り合いだって言うから、どんなスゴい魔法少女なんだろって思ったけど、あんな程度か……。ガッカリ…」

マミ「……あまり私の友達を侮辱しないでくれるかしら」キッ、

あすみ「ま、マミお姉ちゃんでもいいよ。それはそれで面白そうだし…」アハッ


68 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:05:53.77 AgXE/Cfzo 56/130


マミ「それで、佐倉さんは何処かしら?今ならまだギリギリ許してあげられそうなのだけど」ギッ


あすみ「んふっ…☆ 杏子お姉ちゃんならここだよ…?ホラ……」

ギュルギュルギュルギュル…

杏子「………」


マミ「……っ、薔薇の蔦で触手ごっこだなんて悪趣味極まりないわね」ギリッ

ァ…、ガ……

あすみ「えー…、お姉ちゃんのそのコスだって、限界近いと思うけどなぁ…」クスクスっ


あすみ「…ねぇ、それより杏子お姉ちゃんを見てあげてよ。凄く可愛い顔してるでしょう?光の無い目…締まりのない口…血の気の引いた真っ白な肌………」

あすみ「なんだかあすみ、とってもゾクゾクしちゃぅ…何でだろうねぇ……」クス


マミ「……狂ってる」

マミ「どうしてこんな酷いことが出来るのよ…」ギリッ、


あすみ「さぁ…?強いて言うなら、お姉ちゃん達が闇雲に魔獣を狩るからかな」

マミ「冗談はよして!魔獣を狩る事に何の問題があるって言うのよ!」


69 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:08:12.98 AgXE/Cfzo 57/130


あすみ「じゃぁ、聞くけど。お姉ちゃんはなんで魔獣を狩るワケ?」


マミ「魔獣から人々を守る事、それは契約により願いを叶えた私達の責任。何より、力を持つ者なら当然の義務だわ!」

あすみ「あはっ。すごいすごい…。責任感と正義感?」クスッ


マミ「私は笑い話をしたつもりは無いんだけれど」キッ、


あすみ「でも、それならアタシも同じかも?アタシはアタシの正義の為に邪魔な要素を排除してるだけ…」

マミ「……っ、ふざけないで!あなたの様な人に正義なんてないわ!」ギリッ、


あすみ「だってさ、魔獣は人の心から産まれるんだよ?疎まれ、虐げられ、傷つけられた人々の絶望の中から…」

あすみ「だからこそ魔獣は人を襲うの。神様に見棄てられた弱者達の代行者として、この世界に復讐する為にね…」

マミ「そんなのただの方便よ!」

あすみ「アタシには聞こえるんだ…。 恨めしい、憎い、許せない…殺したいって叫びが…」


70 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:09:12.33 AgXE/Cfzo 58/130


マミ「大体そんなの矛盾してるわ!もしあなたが魔獣を狩るべきでないと言うのなら、そのソウルジェムはとっくに砕けていなくては可笑しいもの」

あすみ「勿論アタシだってキューブは使うよ…?でも、だからこそ私は、その嘆きも叫びも絶望もぜぇ~んぶ引き受けて、この世界にバラ撒いてるの…」

あすみ「そうだなぁ…。お姉ちゃん流に言うと、それがアタシの『責任』?みたいな…アハッ☆」


マミ「…っ、!」ギッ、



マミ「……どうやらあなたとは一生解り合えそうににないわね」

マミ「なら、これ以上の問答は無用よ!」ザッ!


あすみ「あれれ?もしかして怒った?ごめんごめん。でもさぁ、お姉ちゃん一人でアタシに勝てる…?」クスクス


マミ「確かにあなたの使う幻覚や精神攻撃はとても強力な魔法よね…。でも、種のわかってる手品なんて何も怖くないっ!」ジャキッ!


あすみ「へぇ……」



マミ「私の可愛い後輩を二人も傷つけた事、一生かけて後悔させてあげるわッ!」ジャッ!

ズズ……


あすみ「あははっ☆」

            ズズ… ズズ


71 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:10:04.51 AgXE/Cfzo 59/130


―――


コンバンワ、クジノニュースデス
グンマーケンカザミノシデ………


ほむら「…………」



QB「最近はやたらと変な事件が多いね。これはきっと魔獣の仕業に違いないよ、ほむら」

ほむら「知ってる」

QB「……………」



QB「人間は一日に三度程体外から栄養素とエネルギーの補給をするだろう?ほむらはしないのかい?」

ほむら「食事ならいらないから」

QB「………」



QB「この年代の女の子はお喋りと可愛らしい小動物が大好きなはずだけど、ほむらはどちらも嫌いなんだね」キュプ

ほむら「そうね」



Q B 「…………」
ほむら「…………」




ほむら「…………ねぇ、QB…」ボソッ

QB「なんだい?」キュプキュプっ!



72 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:10:52.46 AgXE/Cfzo 60/130


ほむら「あなた達はどうして宇宙を守ろうなんて思ったの…?」


QB「なんで、と聞かれても答えようがないかな。どうしてこの宇宙に生命が生まれ、何を目的に生きているのかと同じ事さ」キュプ

QB「強いて言うなら、ボク達の遺伝子に組み込まれた生存本能って奴じゃない?それか、そもそもボク達はこの宇宙を生き長らえさせる為に造られた存在だからなのかもしれない」

ほむら「造ったって誰がよ……」



QB「『神様』ってのがいるんだとしたら、きっとその人だろうね」

QB「この宇宙のエネルギーは常に減退を続けている。枯渇していくエネルギーを補う為に人間に感情を与えて魔獣を生んだ。そして、エネルギーの変換器としての役割をボク達インキュベーターに与えたのさ。……なんて、空想の世界のお話だけどね」キュプ

ほむら「神様の……」


『それでも、この世界には守りたいものが沢山あるから――』


『――絶望で終わらせたりしない!』


『あなたに守られて、望まれたから今の私があるの――』



ほむら「…………」


73 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:11:43.75 AgXE/Cfzo 61/130


ほむら「なら、ここに私がいる事にも意味がある? 私は神様に望まれて、ここにいるの……?」

QB「さぁね。それは、その『神様』に聞いておくれよ。本当にそんな人物がいるのならだけど」キュプ


QB「もっとも、ボクとしては神様の意思なんて物に関係なく、その存在意義くらい自分で決めればいいと思うけどね」

ほむら「自分、で……?」

QB「だってそうだろう?あるかどうかもわからない運命や神の意思なんて物、いくら考えたって時間の無駄じゃないか。もったいない」キュプ



ほむら「私が……この世界に残された…意味……」

ほむら「私が…この世界で生きる……意味……」


ほむら(私は………)

『いらっしゃい、暁美さん』『よっ、ほむら』
『ほむらも嫁になるのだぁ~!』『ほむらちゃんっ』ティヒヒ


74 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:13:12.63 AgXE/Cfzo 62/130



ほむら(肉親以外の誰かにあんなに優しくされたのは初めてだった…)

ほむら(私の事を友達だと言ってくれた。手を繋いでくれた…)

ほむら(まどかがそうしてくれたから、私は皆に心を開く事ができた…)

ほむら(私にとってのあなたはいつだって優しくて格好いいヒロインだった…)



ほむら(だからこそ、私はあなたを失って…救う事すら拒まれて…、何の為に生きているのかわからなくなってしまった……)


ほむら( でも――――、)


『―――それ以上に私があなたを守ってみせる』




ほむら( もう、大丈夫だよ。まどか )

――スタッ…、


                ウン

75 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:13:58.70 AgXE/Cfzo 63/130


ヒョコっ

QB「おや、何処か行くのかい?もしコンビニに寄るなら―――」


ほむら「お前もついて来なさい…」

ローソソ?マミマ?


―シュッ、キュッキュッ…









リボほむ「魔法少女の活躍には、マスコットのサポートが定番でしょう?」ファサ


――――
―――


76 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:14:42.86 AgXE/Cfzo 64/130


あすみ「ふふっ…。お姉ちゃん、ボロボロの雑巾みたい」ニタァ


マミ「………っ、フゥ……フゥ…」


あすみ「そうだ…。あはっ☆ お姉ちゃんには特別に、ナマの絶望を味あわせてあげる…」

マミ「……っ、」



あすみ「アタシね、これからこの街に絶望を撒き散らそうと思うの。それを特等席で見せてアゲルよ。正義の魔法少女さんに、ね……」フフッ

マミ「そんな事…させ…なぃ……!」

あすみ「縛られて身動き一つ取れない上に、お姉ちゃんのソウルジェムはアタシの手の中…。この状態で何ができるって言うワケ?」アハッ、

マミ「……くっ」


77 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/08/24 12:16:31.76 AgXE/Cfzo 65/130


あすみ「ねぇ、気づいてる?この街を覆う瘴気の濃さ…」

あすみ「凶悪な犯罪が繰り返される事で、みーんな病んじゃってるみたい。怯えて暮らすストレスや他者への不信不満が蓄積されて今にも溢れ出しそう…」

あすみ「きっと、本当にちょっとしたきっかけで、簡単に弾けちゃうんだろうなぁ…」クスっ

マミ「や…め、なさ…ぃっ!」キッ、


あすみ「きっかけは、どんな事件がいいと思う?お姉ちゃんも一緒に考えようよ。とぉっても愉しいからっ☆」 アハッ…。




あすみ「そうだなぁ……。例えば、小学校の校門に赤い髪の女の子の首を置く、とか……?」クスっ

マミ「……なっ!」

あすみ「アハッ!アハハ!アハハハハハハハハハハハハハ!!」


マミ(佐倉さん!目を覚ましてっ!このままじゃ……)

マミ(お願い、神様でも何でもいい…誰か……佐倉さんを、私の友達を守って……っ!!)


杏子「……――」


あすみ「んふふっ……」



――――
―――


85 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:49:17.73 wxmSL3ojo 66/130

――――
―――
――

タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ……

杏子「来るな! やめろ…… 違う。あたしは魔女なんかじゃない!!」
      ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…

『魔女め…! 魔女め……!! 』


杏子「何でわかってくれないんだ!親父っっ!!」
     ゼェゼェ、ゼェゼェ、ゼェゼェ……


人殺し… 犯罪者… 悪徳魔法少女……
魔女め… お前が、殺した……
…魔女が …コロシタ………



タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ……
…………
……

杏子「っ、ハァ、ハァ…… 」

杏子「っ……」



86 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:50:47.16 wxmSL3ojo 67/130


杏子「なぁ、神様……。これはあんたが下した罰…なのか……?あたしがやって来た沢山の馬鹿を、やっと裁いてくれる気になったっのか……」

杏子「…………いいよ。……地獄でも何処でも連れて行ってくれよ……」

杏子「それで、あたしの罪が償えるんなら、それで……」


シクシク…… シクシク… グスッ、エグッ……


  『グスッ……、イタイヨ……ツライヨ…』


杏子「……? 誰―――、」



あすみ「パパ……、ママ……」




杏子「おまえ……」


――――
―――
――

87 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:52:13.68 wxmSL3ojo 68/130


あすみ「ごめんね杏子お姉ちゃん…。新しい玩具も手に入ったし、古いのはもういらないや……」フフッ


杏子「………――」 ピクッ…

ギュルギュルギュルギュル!

マミ「やめて…っ……」


あすみ「このまま首を捻切ってアゲル☆」

ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュル!

マミ「お願い!誰か……!」

      


―ヒュッ!




ブチンッ!!









    「待たせたわね、マミ」




あすみ「……っ!蕀が切れた!?」



88 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:53:16.92 wxmSL3ojo 69/130


スタッ、

ほむら「後は私に任せて体を休めるといいわ」ファサ、


マミ「暁美さんっ!」ウル

ヒョコ
QB「ボクもいるよ」


マミ「QBっ……!!」ウルウル


マミ「二人とも……。遅いじゃないのよ、もう」グスッ




あすみ「……ほむらお姉ちゃんに馬鹿猫じゃんか。まだ生きてたんだ」


ほむら「当たり前よ。私はあの程度で殺られる訳にはいかないの」

あすみ「こないだは、あんなに泣き喚いてたのに?」クス


ほむら「そうね……。私は弱虫で泣き虫で、一人じゃ何もできない奴よ」

ほむら「けど、どんな事があっても私は負けないわ。私はこの世界を守る」ファサ


あすみ「……あは。こんな壊れた世界の何を守りたいって?」


89 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:54:40.77 wxmSL3ojo 70/130


あすみ「人間は欲望の為だけに自分より弱い誰かを痛め付ける、陥れる」

あすみ「自分さえよければ後の事はどうだっていい。自分の為だったら、友達も仲間も我が子でさえも平気で見棄ててしまえる生き物なんだよ……。現にお姉ちゃんだってそうしてきたんじゃないの?」クスクス



ほむら「……ええ、そうね。私はいつだって愚かだった」

ほむら「一人で暴走しては失敗ばかり。誰も救えやしなかったわ。いつしか自分に言い訳をしてその弱ささえ正当化して」

ほむら「気がつけば、私の願いは一人よがりな物になっていた。相手の為と言ってはいても、その実、自分の為でしかなかったのだから……」


ほむら「けどね……。今は違う」


ほむら「まどかが私に託してくれたこの世界は…… 何度も何度も繰り返して、やっとたどり着いた答えなの」

ほむら「そして、私はようやく見つける事が出来た。守りたい沢山の人を、沢山の想いを……」

ほむら「この願いは、もう私一人の物じゃない。だから、絶対に負ける訳にはいかない」

ほむら「どんな事があっても、この世界を否定させる訳にはいかない!」


あすみ「……」イラッ


90 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:56:03.51 wxmSL3ojo 71/130


ズズズ……
フッ、

QB「気を付けてほむら!この匂いを吸っちゃダメだ!」

QB「あの薔薇そのものが神名あすみの固有魔法で出来ている。あれが振り撒く匂いは相手の精神に入り込んで心を暴くんだ」

QB「精神世界に入り込まれたら最後、後はあすみの思うままだよ!」


あすみ「おいおい、インキュベーター君さぁ……、契約者の個人情報漏洩してんじゃねーぞ?」イラッ

QB「悪いねあすみ。でも、ボクらは宇宙の為に有益な方に味方させてもらうよ」キュプ

ズズズ…

ほむら「それは心強い申し出ね、QB。でも……、その必要はないわ」

         ズズズ…

あすみ「…… カッコつけてられるのも今のうちだよお姉ちゃん」

ズズズ…


あすみ「さぁ、ほむらお姉ちゃんの絶望もアタシが貰ってばらまいてアゲル……」

      ズズズ…

ほむら「私には絶望なんない……」

ズズズ…

あすみ「……ふふっ。そんな人間いるワケないじゃん」ケラケラ、


ズズズ!
……………
………………
………………………

『――――もういいんだよ。


あすみ「……っ!?」


  ―――あなたはもう誰も呪わなくていいんだよ……』


91 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:56:59.67 wxmSL3ojo 72/130


あすみ「…………なっ!!」


『全ての因果は私が受け止める――』

『 最後まで自分を信じて―――― 』


あすみ「あっ……、っ、」ハァ、ハァ、

ウゲッ、オェ、


ほむら「……これが、私達のたどり着いた答えよ」



ゲェ、…エグッ、ドシャ……

ハァ、ハァ、ハァ、……




あすみ「…は?…こいつが神様だって…?っ……自己犠牲に酔しれちゃった、ただの ク ソ ガ キ じゃんか………」


あすみ「こんな世界、何の解決にもなってない……」

あすみ「親に裏切られた子供の嘆きが……、豚に犯された少女の呪いがっ!!こんなんで消せるワケねぇだろーがッ!」

QB「それは君自身の事かい?」


あすみ「黙れッ!!」
―ズガッ!

QB「キュップイ」サッ


92 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:58:12.18 wxmSL3ojo 73/130


あすみ「…ハァ、…ハァ、…っ、ムカつく!!自分の都合で世界を作り変えて、神様なんか気取って!」

あすみ「まるで全てを救ったような台詞を吐いてるけど、その根本は何も変わっちゃいない!腐った世界のまんまだ!!」

あすみ「結局弱者は虐げられて、苦しんで、忌野際にしか現れない神の救いなんて何の有り難みもないんだよ……………」

あすみ「アタシなら、今スグに救ってあげられる。その呪いを振り撒いて望を叶えてあげられる……」



あすみ「ふふっ……。やっぱりさ、こんな世界壊しちゃうしかないよねぇ。魔法少女とか神様とか、邪魔な物全部潰したそのあとで、私が本物の『神様』になってあげるんだ」アハッ☆


ほむら「そんなにこの世界を否定したいと言うのなら、私を否定してみせなさい……」


あすみ「ハッ、上等だよ、クソババァ!!」シャゴッ

――ズシャァ!!




―――
――



93 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 01:59:01.74 wxmSL3ojo 74/130



あすみ「パパ…… 行かないで……ママ……戻ってきて……」


杏子「おまえ……」


フッ…、

「 …… 」 影 「……」

あすみ「いや……来ないで……やだ!いやだ!!」
ガシッ!

杏子「なんだ……これ……影がアイツを……」


ドガッ、バキッ、グシャッ!!

あすみ「ぅっ、ぁっ!痛い!痛いよ!やめて…殴らないで……っ!ぁぁっ!!」

「   」 影 「   」


杏子「おい!やめろ!何やってやがるんだお前ら!!」

あすみ…
影……
…      フッ……



杏子「消え、た……?」



フッ…

あすみ「いやぁぁ!いやぁぁ!!」

杏子「なっ……!?」クルッ、


94 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:00:19.46 wxmSL3ojo 75/130


あすみ「やめて……!いや、触らないで……いや!いや!いやぁぁぁ!!」

「    」ドガッ!

あすみ「あ゙っ゙……!」ガクッ、


杏子「何…だ……」


「   」カチャカチャ……、

あすみ「ひっ!!いやだ……っ、アタシそんなの舐めたくないよっ!!」

バシッ!
あすみ「あ゙がっ゙――!!」

「 …… …」グッ… グイ…ググッ… 

あすみ「ぁぁっ!!……ぅぅっ……、…ぅが、あ……ぐがっ……!」

「 …… … …  」



杏子「……!! やめ……、やめろっ!!」
――ガッ!!

影  スカッ……!

フッ、


杏子「……。何なんだよ……、何なんだよこれはっ!!」


95 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:01:25.66 wxmSL3ojo 76/130


イャ… …… ァ… ガァ゙ …… ギッ…… …


杏子「さっきまであたしが追いかけ回されてたのは、あたし自身の心の闇だった……。馬鹿な願いで家族を殺しちまった事も、受け入れて貰えなかった事も、罪を上塗りして逃げていた事も……」

杏子「あたしの心に刻まれたトラウマ……、罪、絶望……」

杏子「じゃぁ、これは全部……コイツの心の闇だっていうのか……?」

ゥ…… …ゥッ、…… ゥ… ギシッ、ギシッ、
…ァ…、…… …ッ、… ……ッ、…


杏子「こんな……、これが人間のやる事かよ…」


ギシッ、ギシッ、ギシッ……

あすみ「 ゥ… ゥ……ァ… 」ジト

「…………」


―――
――


96 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:02:34.17 wxmSL3ojo 77/130


あすみ「調子乗ってんじゃねェーゾ、クソババァ!!」シャゴッ

――ズシャァ!!

 ―サッ

ほむら「少なくとも、感情に任せて暴れるようなガキではないわね」ファサ

あすみ「黙れッ!」
―ドガッッ!

―! ――!! ―! ―――!

あすみ「アンタの大事な神様はなんで魔獣なんか残した!?」
―ドドッ!

あすみ「結局は、自分らが魔女にならなきゃなんでも良かったんだろーがッ!」
――ゴシャァ!!

あすみ「なんでこの世界の歪みをッ、呪いをッ!全て無くせと願わなかったァァっ!!」
―ズガッ!



ほむら「神様なんてそんな都合のいい物じゃない」
―スッ、

ほむら「だからこそ、私達が存在する意味がある……」
―ザザッ、

ほむら「その歪みを生み出すのも正すのも、私達人間がする事よ」
―サッ、


97 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:03:36.16 wxmSL3ojo 78/130


あすみ「救われる者と救われない者!権力を振りかざす奴と、そいつらに玩具にされる存在をッ!!」
―ガガッ!

あすみ「不公平な運命を……、呪いをッ!!なんでこの世界に残したァァ!!」
―ドシャァ!!


ほむら「あなたがどれ程の苦痛を抱えてきたのかなんて私には計れない……」
――スルッ、

ほむら「きっと、この世界だって完璧なんかじゃない」

ほむら「世界は残酷で、人間は憎しみと悲しみばかり繰り返す愚かな生き物なのかもしれない……」スッ


ほむら「でも―――――、」

スタッ、


ほむら「私はこの世界を信じているの。私の最高の友達が命をかけて祈った『希望』が、ここにはあるから……」



あすみ「…っ…ハァ、ハァ、」




ほむら「暴れるだけ暴れて気がすんだのなら、暫く大人しくしていてもらうわよ……」
キュィィン…


98 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:04:27.43 wxmSL3ojo 79/130


あすみ「……ハァ、ハァ、」


あすみ「…………ふふっ」ニタァ…

――キラッ


ほむら「……それは…マミのソウルジェム!?」


あすみ「……あはっ」 ニタァ

―ドガッ!!


ほむら「きゃっ……!!」




あすみ「あはっ☆ んふっ、一方的になぶり殺すのってきっもちぃー!!」アハッ
――ドドド!


ほむら(これじゃ迂闊に攻撃できない……っ、)


―――
――



99 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:05:17.96 wxmSL3ojo 80/130


ザァァ…

杏子「雨……」


あすみ「……パパ、たすけて…パパ……」トボ、…トボ…



「……」スタスタ



あすみ「パパ…っ!」

「……」スタスタ


あすみ「待って!パパ、アタシだよ!あすみっ、あすみだよ!!」ダッ!

「……」スタスタ

あすみ「ねぇ、何処に行ってたの?ママが、ママが死んじゃったんだよ?なのに、……パパ!!」

あすみ「あすみ、ずっとパパの事探して――――、」ズルッ、

――!

あすみ「あっ!」
ドシャッ、


100 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:06:19.46 wxmSL3ojo 81/130


「………」スタスタ

「…… スタスタ
「… ス…


あすみ「パパ、まっ―――、」

オカエリナサイ、アナタ…
 パパっ!
アハハ、ママノイウコトヲキイテイイコニシテタカイ?



あすみ「パ……パ … 。」


ザァァ… ザァァ… ザァァ…… ザァァ…




あすみ「……っ、エグッ……ヒッ、アッ、」

あすみ「ぁぁっ…ヒグッ…ぁぁぁぁぁぁッ…… …!!」

………
……
…      フッ、


杏子「……これがお前の記憶なのか?」

ケイヤク…? … ……ネガ…イ、 ……ナラ
 … …… …… アハッ…… … ……

杏子「あすみ……」

グチャ―…… ボギ―… … ……ベチャ…
フフッ…… … ……アハハ… …… ンフッ


………   フッ、


101 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:07:44.66 wxmSL3ojo 82/130

――――
――


――ドドドドドドドドド!!

あすみ「あはっ☆ どうしたの?攻撃してこないの~?今更気にする事ないじゃんかぁ……」クス

あすみ「これまでと同じ様に、また見殺しにしてやればいいんだよ……」クスクス


ほむら「……随分と汚ない手を使うのね」


あすみ「そ・れ・も、今更だよねぇ…」アハッ
―ドシャァ!

あすみ「アハハ!あははははは!!」
ドガッ!ドドッ、ガシャ!

ほむら(くっ……!!)サッ


QB「どうするつもりだい、ほむら?」

―アハハ!ドシャッ、

ほむら「今、考えてるわよ……っ!」ササッ

――ドドッ!ドガッ、ギャハッ☆

ほむら(マミのソウルジェムを無傷で奪い返し、神名あすみを鎮圧する)

ほむら(まずはこの鉄球の嵐を掻い潜って接近して、………ダメ。自在に伸縮する鎖が懐へ入る隙を与えてくれない……あの武器をなんとかしないと…)

――ドドドドドドドド!ドガッ!!

ほむら(くっ、、なんて連打なのよ……!弓を構える暇も……っ、)


102 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:08:52.85 wxmSL3ojo 83/130


――アハッ!シネシネシネシネシネッ!!

ほむら「……時間でも止めれば、っ、一瞬で片が付くんだけどねっ……」

QB「そんな事できるのかい?」

ほむら「出来たら、とっくにやってるわよ……っ、」


――アハハ!アハハ、アハハッ!!

QB「でも確かに、時間を止めでもしなければ、彼女の掌からソウルジェムを奪い返すなんて不可能だ」

QB「その気になれば何時だって握り潰せるんだからね」

――ドドド!ズギャッ!!

ほむら「言われなくても、……わかってるっ!!」

QB「杏子かマミが動ける状態だったらツーマンセルで虚を付く事も容易いはずなんだけど……。さて、どうしたものか」キュプ

ほむら「全くっ、お前はお気楽よねっ、人の肩に…しがみついて、講釈垂れてるだけなんだから……っ」ザザッ、

―オラオラオラオラオラッ!ドドド!

ほむら(せめて杏子が……)チラ、


杏子「……ゃ…ロ…」ピクッ……、

ほむら「………!?」


――ツブレロ、ツブレロッ!!ドドドドド!

QB「酷いなぁ。ボクだって最大限に協力しているつもりだよ。大体ボク達の様な個体に戦闘ry―――……」


ほむら(杏子…!?)


103 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:10:09.93 wxmSL3ojo 84/130


―――
――



キーンコーンカーンーン

教師「今日は皆さんに街の緑化運動に参加してもらいます」

リョッカ? …ナニソレ ……リョカン?… チゲーヨバカ

あすみ「………」

教師「緑化運動とは、街に花や木を植えて自然の保護をすると共に、そこに暮らす人々の心を癒す運動なのです」

イヤス?  …… ……ナンデー? …

教師「皆だって、お花を見たら優しい気持ちになるでしょう?だから、街中にお花を咲かせて、お父さんもお母さんもお祖父ちゃんもみーんなに優しい気持ちになってもらうのよ」

ハーイ!ヤルヤル!…オレハ、ハナヨリカラアゲノホウガ…

あすみ(馬鹿馬鹿しい……)イラッ


教師「はい、じゃぁ皆はこの中から好きな植物の種を選んでお家の庭や学校の周りに植えてあげて下さいね」

オオ!コレトマトジャネーカ ……コノオハナキレイ… ワタシコレガイイ! … ……ガヤガヤ……

あすみ「………」


104 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:10:46.90 wxmSL3ojo 85/130


教師「あら……?まだ選んでない人は――」

あすみ「………」



教師「はい。これが神名さんの分」

あすみ「……いらない」

教師「どうして?この種が育てば 黄色い スイセン ってお花が咲くわ。それはもう、とっても綺麗なお花なのよ?」


あすみ「ウチ、庭ないし……」

教師「なら、校庭の周りに植えてあげて。皆が植えたお花が沢山咲いたら、素敵だと思わない?」

あすみ「…………」


教師「それじゃ、コレ、ちゃんと植えてあげるのよ?」

あすみ「…………」

キーンコーンカーンコーン… キーンコーンカーンコーン……
ヨッシャーオワッタ! ナァ、サッカーシヨウゼ… キョウジュクナンダヨナ……


105 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:12:05.93 wxmSL3ojo 86/130


あすみ「   」スタスタ


イラッシャイマセー タイセツナヒトニオクルハナコトバフェアカイサイシテマス- イラッシャイマセー イラッシャイマセー

あすみ(花なんか全然綺麗じゃない)

あすみ(咲いてられるのなんて一瞬で、すぐに萎れて、枯れて……。そうしたら、もう誰からも見向きされなくなる)

あすみ(道端に落ちてる吸い殻と同じ、ただのゴミだ……)

イラッシャイマセー イラッシャイマセー コイビトヤカゾクニ、フダンイエナイソノキモチヲ、オハナデツタエテミマセンカー? イラッシャイマセー


あすみ(……………)



ー???総合病院ー

ナース「その人の病室なら――」

「……」ペコッ、スタスタ……



ナース「ふふっ。可愛いい娘さんね♪」

看護師「あれ?でもあそこの患者さんって、お子さんは男の子じゃ――」

…………
……       フッ、


106 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:12:46.19 wxmSL3ojo 87/130


杏子「もういい……。やめろよ、あすみ……」

ステテシマイマショウ… ……キタナイ…… … ……
ァ… ……… ヒグッ  …エグッ ……


杏子「お前の気持ちは十分わかったよ……」

ニクイ… ……ウラメシイ …ユルセナイ ……

杏子「そうじゃない……。そうじゃないんだろ、あすみ……」

ノロウ…… … ……コロス、コロス、コロス、
コロスコロスコロス
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
…………コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス


杏子「いいよ……。自分じゃできねぇって言うんなら、あたしがそこから引っ張り出してやる」


杏子「お前の、本当の気持ちを……」



―――
――



107 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:13:42.75 wxmSL3ojo 88/130


杏子「……ヤル…」ボソッ


――アハッ、アハハッ!オラァ!!

ほむら「ふふっ。ツーマンセルで虚を付く、ね……」

QB「ん?」

ほむら「QB、あなたの仕事は魔法少女をサポートする事だったわよね?」

QB「勿論だとも。それが宇宙に有益である限り、なんだってやるさ」キュップイ!


ほむら「安心したわ。なら、ちょっとだけ体張ってもらうわよ、QBッ!!」ムギュ、


QB「キュップイ!?」
――シュッ!!



マミ「暁美さん!?」

ヒドイヨ ホムラ ボクヲナゲルナンテ ェェェー……!!


グシャッ!

あすみ「……ァ?」


マミ「 QBっ!!」ガタッ

QB「」グチャー


108 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:14:30.51 wxmSL3ojo 89/130


マミ「あけ、暁美さ……っ、QBを……なんて、なんて事を………」ガタガタガタ

あすみ「あーあ……。汚いの潰しちゃった。えんがちょ………」


――ザッ!

ほむら「上出来よ、QB。後でマタタビでも、奢ってあげるっ!!」キュィィ
――シュパン!


あすみ「……っが!!」コトン…

ダラリ……



あすみ「あは…っ…。アタシの利き手、潰されちゃった……。これじゃ鉄球くんは振り回せないじゃんか……」ハァ、ハァ、

あすみ「ズルいな……ほむらお姉ちゃんって……」ダラッ、


ほむら「どの口がそんな事言うのかしらね……」


あすみ「ねぇ、お姉ちゃん、ちょっとタイムしない?あすみの利き腕回復タイム……」ハァ、ハァ…

ほむら「それで私に何の特があるって言うのかしら?」


109 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:15:24.27 wxmSL3ojo 90/130


あすみ「……ほむらお姉ちゃんに選択肢は無いんだよ……ハァ、今攻撃してきたら、ハァ…、マミお姉ちゃんのソウルジェム握り潰しちゃうんだから……」


ほむら「そう……」キュィィ


あすみ「本当に撃てる……?もしも一発で急所を仕留め損なえば、アタシはマミお姉ちゃんのソウルジェムを道ずれにするよ?ねぇ?」クスクス


ほむら「アナタには出来ない――――、」スッ



あすみ「ちょっ……。本気かよ…」

あすみ「潰すぞ!本当に潰すからねッ!本当に――――ッ!!」


ほむら「この勝負、『私達』の勝ちよ。神名あすみ」

――シュバッン!!

ドガッ!!








               ピクッ…


110 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:16:18.15 wxmSL3ojo 91/130


あすみ「……?」


あすみ「…………あは、アハッ、あはははっ!笑える笑えるっ!!結局ビビって外してやがんのぉ~っ、あはははっ!」


マミ「今の流れ矢、佐倉さんを掠めて―――」



     ヨォ……



ほむら「おかえりなさい―――」


あすみ「………っ!?」クルッ!



杏子「………救いに来てやったぜ、神名あすみッ!」ジャキッ

あすみ「なんでっ―――」


杏子「オラぁ!!」
―ガキンッ!

あすみ「くっ……、」


111 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:17:02.55 wxmSL3ojo 92/130


ほむら「今よQBっ!!」

ヒョコ
QB「キュプっっ!」パクっ、


あすみ「なっ、ソウルジェムが……!」


マミ「QB…!?あなた、さっき……え??」キョトン

QB「説明は後さ。とにかくこれを返すよ、マミ」キュプ


マミ「え、えぇ!」アタフタ



杏子「ったく、大人しくぶっ倒れてくれよな……。世話の焼けるガキんちょだぜ」

――ギリギリ、ガチッ、

あすみ「はっ……、本当意味わかんないよ。あんだけドップリ漬け込んでやったのに…っ…、どうやって…戻って、きたのかな…ぁ…」アハッ、


杏子「知らなかったのかい……?この世界はね、愛と勇気が最後に勝つ、そういう風にできてんのさ!」


あすみ「っ、ふざけんなッ……!!」イラッ
――ドガッ!!

杏子「……っ!」ズサァァ


マミ「佐倉さん!」


112 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:18:24.11 wxmSL3ojo 93/130


杏子「……ッ、こんぐらい何でもねー…。まだ少し体が寝惚けてるだけさ。それよりアイツ……」




あすみ「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…っ…」 ジワッ…、




杏子「アイツはもう限界だよ。魔法を闇雲に使い過ぎてソウルジェムの濁りが酷い。これ以上……戦わせるワケにはいかねぇぞ……」

マミ「……え?」




あすみ「ああ…!イライラするッ!何だ、何だよオマエラ!!」

あすみ「愛だ勇気だ友情だ……?現実ってのは、そんなんでどうにかなるようなもんじゃねぇだろーがッ!」ドン!


ほむら「案外に『そんなん』でどうにかなるものよ」


あすみ「そんなワケあるかッ!!」



ほむら「強い想いは、時に『本当の奇跡』だって呼び起こす。それを今、アナタは自分の目で確かめたんじゃないのかしら?」


あすみ「……っ、っ、っ!!」


113 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:19:41.97 wxmSL3ojo 94/130


あすみ「ウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいッ!!そんな嘘、今時少年漫画でも言わねえんだよッ!!」



マミ「これじゃぁ、まるで駄々をこねる子供みたいね……」


杏子「いいや……。コイツはガキなんだ。何処からどう見てもお子ちゃまだよ」

杏子「だからこそ、もっとガキらしく素直になれよ。神名あすみ……」



あすみ「……素直…?」


あすみ「っ……、あははっ!何それ、何その勘違いっ、ぷっ、ふふっ、あははっ!」ゲラゲラ

あすみ「……ふぅ、 ぶっ!……ダメ、お腹痛い……っ、あははっ!」ハァ、ハァ


杏子「そうやって自分を誤魔化したって何の解決にもならねぇぞ……。そいつはあたしが一番良く知ってる」

あすみ「黙れッ!!」ギリッ、


114 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:20:23.38 wxmSL3ojo 95/130


あすみ「………… そこまで言うなら教えてあげる」

あすみ「……アタシはね、アタシを苦しめた人間に復讐する為に契約したんだ」クス

あすみ「アタシを殴ったクラスメイトも、玩具にした豚野郎も、アタシを捨てて新しい家庭なんか作りやがった父親も……。みーんなこの力で呪ってやったんだ」クスクス

あすみ「そのアタシが愛だの勇気だのって?ふふっ、ぶっ……」ケラケラ

アハハ!マジウケルンデスケドー、アハハっ!



杏子「そうかよ……。だったら何で、テメェの父親は生きてるんだろうな」


あすみ「…………っ!!」

マミ「!?」


115 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:21:09.82 wxmSL3ojo 96/130


杏子「お前はアタシの真相心理に土足で上がりこんで、思い出したくない過去のトラウマをグチャグチャに掘り返してくれた」


杏子「情けない話だけど、あたしは必死で逃げ惑ったよ。何処までも続く闇の中を走って、逃げて……。そこでさ、小さくなって咽び泣く銀髪の女の子を見つけたんだ……」


あすみ「違う!…っ、それは、そんなのアタシじゃない……!!」


QB「……なるほどね。あすみの精神攻撃は一方的に相手の精神を犯す様なものじゃなかったという事か」


マミ「どういう…事なの……?」


ほむら「相手の真相心理に入り込むには、自分自身の精神と相手のそれとを繋がなければならなかった……」

マミ「佐倉さんの心を覗く事で、それと同じ様に自分自身の心の中も覗かれてしまった……?」

QB「おそらくは、そんな所だろうね」キュプ

ほむら「皮肉な物ね……。相手の心を砕く精神攻撃は、心で人と繋がる為の魔法だったなんて」

マミ「………」


116 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:22:07.84 wxmSL3ojo 97/130


杏子「あたしは見たよ。お前が理不尽に殴られる様を……、汚される所を………」

あすみ「やめろッ!!やめろ……っ」


杏子「辛かったよな……。苦しかったよな……。あんなの、誰だって耐えられねぇさ」

杏子「もしあたしがあの状況でQBと契約したんなら、きっとお前と同じ事を望んだかもしれない……」

あすみ「ヤメロ……、ゃ……メ……テ…」


杏子「お前はQBと契約し、クラスメイトも養父もその祈りで不幸にした。ある者は事故で、ある者は首を吊って。皆最後は悲惨な死を迎えていた」

杏子「なのに、なぜか今でもお前の父親だけは生き続けている……。あそこって見滝原の総合病院だよな……?」


あすみ「知らない……」


杏子「風見野を襲ったのも、それが関係してたんだろ?」


あすみ「……だから、わかんないってばッッ!!」


117 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:23:32.62 wxmSL3ojo 98/130


杏子「あたしにはわかるよ……。苦しくて、憤って、声に出して叫びたいのに、伝えたいのに、どうやってもそれが出来ない。それでも気づいて欲しいから……近くにあった壁を殴って、思い切り音を立ててやったんだろ?」

あすみ「違う……全然違うっ……!!」



杏子「……あたしもさ、突き詰めていけばお前と同じだ」

杏子「自分の馬鹿な祈りのせいで家族をみんな殺しちまってる」


マミ「佐倉さん……」



杏子「その罪から目を背けたくて、罪を上塗りしてみた事もあった……」

杏子「けどさ、本当はずっと戻りたかったんだ……マミさんの所に……。ほむらや、さやか達のいる場所に……」


あすみ「……わかんない……全然なにいってるかわかんないからッ!!!」


118 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:24:43.10 wxmSL3ojo 99/130


杏子「……いい加減目覚めろよ、神名あすみ!!」


あすみ「………っ!!」




杏子「テメェの親父の病室に『黄色いスイセン』届けたのは、テメェが愛して欲しかったからだろうが!!」



―――!!


あすみ「ちが……っ、」ポロっ、



『――ねぇ、お母さん。このお花土が付いてるよ?』
『――――悪いけど、このお花は捨てちゃいましょうかね……』




あすみ「違う……アタシ…そんな事してない……」ポロポロっ、




マミ「神名さん……。あなたは……」


119 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:25:31.53 wxmSL3ojo 100/130


あすみ「ちがう……。アタシは確かに祈ったんだ!あのクソ親父が不幸になれって!死んじゃえばいいんだって!」



あすみ「それをそこの馬鹿猫が叶えそこなったってだけだ!それだけだ………っ!」ポロポロポロ



QB「それは心外だなぁ。ボク達インキュベーターがそんなミスをする訳がないじゃないか。なんてったって―――、」


あすみ「ウルサイっ!!ヒグッ……、ヘマったらヘマったらヘマなんだからっ!グスッ……」


QB「やれやれ……」キュプ




あすみ「…ヒグッ…が…う………」グスッ

あすみ「……ヒグッ…っ、…ェグツ」ポロポロ、


120 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:26:10.32 wxmSL3ojo 101/130


ほむら「もう、降参なさい……」


あすみ「っ、…ふざけ…んな…。。」



ほむら「この状況では、どのみちあなたに勝ち目はないわ」


あすみ「……だったら……さっさと殺せよ………」



マミ「神名さん……。アナタのしてきた事は許される事じゃない。でも、アナタが心から望むならきっと――、」


あすみ「やり……直せる…ッテ?」



マミ「ぇぇ……。だから殺せなんて言ってはダメよ………」

………
…………アハハ…



あすみ「……………ソンナノ、ウソ……」ボソッ、


121 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:27:20.01 wxmSL3ojo 102/130


あすみ「アタシは知ってルの。一度無クしたもノは……二度と戻っテこなインダ……ママも、パパもそウ……」アハハ…。


ほむら「やめなさい……。そうやって意地になっても、大切な物を見失うだけよ」


……大切ナもノなんて、 とっクの昔ニ失ってル………


マミ「失った物は帰ってこないかもしれない……。けど、これから先の未来に、アナタが得られる物は沢山あるはずだわ」


いツカの未来ナんテ…… そんナノ遅過ぎル… 耐エラれナイ……


杏子「お前はあたしの大事な後輩を殺した。それは絶対に許される事じゃない。でもな、それはあたしも一緒さ……」

杏子「あたしらはどんなに後悔しても取り返しのつかない事をしちまってる……。けど、だからこそ……、辛くて苦しくても生きて償わなきゃなんねぇ……」






杏子「逃げ出した先に、楽園なんてありゃしねぇ……。そうだろ?あすみ」


122 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:28:15.60 wxmSL3ojo 103/130


無理ダ…… アタシは、 モう、 そンナ風ニは 生キれナイ……


………… …


……… 今サラ……

アタシハ………



… …… 、 …… 



あすみ「………」

あすみ「………………」



あすみ「………」パァァ



杏子「変身を解いたって事は、降参でいいんだな……?」


123 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:29:31.89 wxmSL3ojo 104/130


あすみ「違ウ…よ …」


あすみ「…あすミはマダ終わっテナんカなイ……」


あすみ「この世界に希望ナンテ… アルワケ、そんなの ないんだ… ……救い… ナンテ、ない… 壊さナキャ…イケナイ…んだ……」ブツブツ…、


あすみ「…… …あは…… …。そうだ…… イイコト思いついちゃった よ…… あはは…」


あすみ「この街は今、限界ギリギリまで負の感情を … …溜め込んで、る。パンパンに膨らんだ …風船みたい…… …今にも破裂しそう… で…」


あすみ「ちょっとしたきっかけ ……それで、… …溢れて …魔獣を生み出す糧になる……」


アハ……。



マミ「……もうやめて、神名さん…」


124 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:30:14.81 wxmSL3ojo 105/130


あすみ「切っ掛け… …それは何でもいいんだ……。例えば… …さ―――、」

フラフラ…

あすみ「… ……小学生の女の子… …それが ……ビルから飛び降りて…潰れたりする… ……それだけでも……」


ほむら「っ!? 馬鹿な真似は止めなさい!!」ダッ、


あすみ「… …アハハッアハハッ!アハッ、アハッ……アハハハッ!!」

――スタッ、

ほむら「今のアナタの魔力残量で大怪我を負えば回復は不可能だわ!」


あすみ「 … ふふっ……。いいんだ ……。これでアタシの、『サヨナラ勝ち』だか ら……」クス

――バッ!!


クスクスクス、クスクスクス、アハハッ!アハッ、ア……
………………………………
……………………
       ……ドンッ!! ガ…ァ!


125 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:31:05.57 wxmSL3ojo 106/130


マミ「っ……」


杏子「バカ……野郎……っ!!」


ほむら(ソウルジェムさえ無事ならば魔法で肉体は再生できる。彼女のソウルジェムを――――、)


ナンダ……?ナ…!!オイ!ダレカキュウキュウシャ!
……アリャ、モウタスカンネェッテ
ヒドイ……アンナチイサナコガ……マタナノ?…モウイヤヨ!
ケイサツハナニヤッテルンダ!!ギョウセイハドウシタ!


QB「マズイ事になったね……。これじゃぁ神名あすみの体はおろか、ソウルジェムの回収も難しい」

QB「そして何より、パニックに陥った人々が騒ぎたてる事で恐怖や不信といった感情は爆発的に広がり出すだろう」

QB「それは瞬く間に瘴気と変わり、この街を覆い尽くす程の魔獣を生み出す事になる……」

ほむら「…………っ、」


126 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:31:47.96 wxmSL3ojo 107/130


QB「神名あすみの事は諦めた方がいい。それより魔獣の方を放っておけば、比にならないくらいの被害が出るよ」

QB「それに、彼女のソウルジェムの濁りは限界に達していた。今からじゃ絶対に間に合いっこないね」


ほむら「こういう時は流石に、感情の無いお前の事を羨ましく思うわ……」

QB「そう……」


QB「………さて、ボクは屋上から街の様子を見てくるとするよ」キュプ



ほむら(…神名あすみ。人の心の闇に狂わされた可愛そうな子……。まどか……せめて、あなたの所へ……)



―――――
―――

127 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:32:41.36 wxmSL3ojo 108/130

イイカゲンニシロ!ヤルキアンノカゼイキンドロボウ!!
コンナマチイヤヨ……イヤ…
オイオイ……ナ…ナンダヨコレ……  ガヤガヤ

ゥゥゥ-… ゥゥゥ-… ピーポーピーポー…

ナニ… ガヤガヤ… 

~~~~~~~~~~~

ヒッ……ゥワァ、グロッ…… ガヤガヤ 
ケッコウカワイイジャン、モッタイネ…シヌマエニヤラセテクレリャイイノニ…… ガヤガヤ… ガヤガヤ…

…………
………
……
…五月蝿いな、もぅ……

…静かにしてよ、キズに響くじゃんか……


『アスミチャン』

… …?  あぁ、アンタか……

やっぱり、ここでアタシは終わりなんだね……

『モウクルシマナクテイイノ』

回復が追い付かない……

『ワタシガウケトメテアゲルカラ――』

懐かしくて… 暖かい…… 何だっけコレ……

コレが……アンタの救いなのか………

心地好くて……溶けていくような…

何もかも…… 何もかもが…… 消えて…

『オイデ、アスミチャン』

アタシ… アンタに会ったら
 
…言ってやろうと思ってた事があったんだよね……

アレ? ……なんだっけ そうだ……



  そうそう……




アタシね……、 アンタの事が、





 大 っ 嫌 い 。





          ――ガシャッ


128 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:33:49.37 wxmSL3ojo 109/130


―ゾゾゾゾゾ

杏子「くっ……」

マミ「この感じ……」ピクッ



『みんな!今すぐ屋上に来てくれ!』


…………
……
魔獣「ゥァァァ」 魔獣 「ァァァ」
魔獣「ゥァァァ」   魔獣 「ァァ」




ほむら「なんて……数…」

マミ「そんな…こんなのって………」


…………
……
魔獣「ゥァァァ」 魔獣 「ァァァ」魔獣 「ゥァァァ」 魔獣 「ァァト」  魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「ァァ」    魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「ァァ」
魔獣「ゥァァァ」 魔獣 「ァァチョ」    魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「ァァ」魔獣 「ゥァァァ」 魔獣 「ァァァ」    魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「ァァ」魔獣 「ゥァァァ」 魔獣 「ァァァ」   魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「ァッ」魔獣 「ゥァァァ」 魔獣 「ァァァ」    魔獣 「ゥァァァ」   魔獣 「トォ」

……………………ァァ
…………ッァァ!!
…ァァ!
ァァ!


129 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:34:34.66 wxmSL3ojo 110/130


QB「パトカーのサイレンが人々の不安を煽っている。あれは完全に逆効果だね」

QB「どうやら、既に被害も出始めてるみたいだよ……」


杏子「くそっ!絶対に止めてやる……。あたしがあのガキんちょのケツを拭いて―――、」

――グラッ


マミ「佐倉さん!」


杏子「……っ、大丈夫だ……大丈夫だって、このくらい……ハァ、ハァ、」


ほむら「……杏子 、無理はしないで」

杏子「そんな事……言ってられる状況かよ……」ガクッ、


130 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:35:37.07 wxmSL3ojo 111/130


ほむら「さっきから本当は立ってるのだってやっとのクセに……。マミ 、杏子をお願い」

マミ「ぇ、ええ。でも、あの魔獣の群……どうするつもりなの……?」


ほむら「私に任せて……」

ほむら「神名あすみがこの世界を否定する為に魔獣を呼んだと言うのなら、私にはそれを受け止める責任がある……」

マミ「そんな……ムチャよ!」


ほむら「あなた達はソウルジェムの濁りも厳しい。まずは回復に専念して頂戴」

マミ「暁美さん……」


ほむら「大丈夫よ。スグに片付けて帰ってくる……。だから、紅茶とケーキの準備をしていて……」ファサ



ほむら「おいで、QB」サッ

QB「安心してよ、マミ。ほむらの事はボクに任せて」キュップイ!


マミ「でも……」



杏子「おい、ほむら……!」


杏子「………頼んだぞ」




ほむら「ええ……」

――ダッ、





131 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:36:51.60 wxmSL3ojo 112/130


エヘヘーエヘー    エヘヘーエヘー


QB「勝算はないんだろう?」

ほむら「無くたってやるの」


QB「やれやれ。それが、君の見つけた存在意義なのかい?」

―――――――サァァァァ!!

 イツカキミモ…


タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、
―バシュッ! バシュッ ――ズババ!!


ほむら「神名あすみ!これがあなたの嘆きだと言うのなら、私が全部受け止めてあげる!!」キュィィ

――ズシャァ!!    ダレカノタメニ…

QB「ほむら、右だ!」   

魔獣 ァァァ!!     ツヨイチカラヲ…


ほむら「っ!!」    ノゾムノダロ…
―パシュン!

QB「左!!」  

バシュ!      アイガムネヲ、トラエタヨルニ…

QB「後ろっ!」     ミチノコトバガ…

ズババ!!       ウマレテクル…

魔獣―
魔―
―  サァァ―――


132 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:37:40.99 wxmSL3ojo 113/130


マヨワズニ、イケルナラ…

ほむら「……っ、QB、キューブは!?」

QB「言われた通りバッチリ回収してるさ」
          ココロガクダケテモイイワ…

ほむら「ソウルジェムの浄化はあなたに任せたわよ!!」
―シュババ!
        イツモ、メノマエノ、カナシミニ…          
QB「ああ。了解だよ」
            タチムカウタメノ…

ほむら「来なさい、魔獣ども。どこまででも付き合ってあげるわ!!」
―ズシャ! シュパッ、 ズババババ!!

            ジュモンガホシイ…

魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣

魔獣 グワァァァ!!
―シュン!
           キミハマダユメミルキオク…


QB「ほむら、危ない!!」


133 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:38:30.52 wxmSL3ojo 114/130


           ワタシハネムラナイアシタ…
ほむら「っ!」バスッ!

           フタリガデアウキセキヲ…

ほむら「……っ、こんな痛みっ!!」

ほむら「あの夜の半分にもならないっっ!!」 キュィィ
            カチトルタメニススムワ…
ドン!!    

――――――――ズシャァァァァ!!


             
魔―― 魔―  ――――獣
      魔 ― ―――

              サァァ――



ほむら「ハァ、ハァ、ハァ……」
       
           オビエタコノテノナカニハ…

QB「気を抜かないで!またスグに来るよ、ほむら!!」

           タオラレタハナノヤイバ…


134 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:39:33.56 wxmSL3ojo 115/130


ほむら「……、いくらだって、何度だって押し返してみせる……」キュィィ

           オモイダケガ…

ほむら(まどかが命を掛けて作ったこの世界でも、救えない嘆きは溢れている)

ほむら(神名あすみだけじゃない。きっと、沢山の苦しみや憎しみに、世界は耳を塞いでいるんだ……)
           タヨルスベテ…

ほむら「それでも、この世界は私にとって唯一無二。かけがえのない大切な世界なのよ……。だから私は、受け止めてみせる――、例えこの命と引き換えにしても!!」

            イノチヲ…

ほむら「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――キュピィィー………ン、

             ツクルノハ…

ゥァァァ… …ァァァ ……ァァ ……
魔獣 魔獣 :::魔獣 魔獣 魔獣 魔獣
魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣
魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 :::
魔獣 魔獣 魔獣 :::魔獣 魔獣 魔獣
:::魔獣 魔獣 魔獣 :::魔獣 魔獣
魔獣 魔獣 魔獣魔獣 :::魔獣
魔獣 魔獣 魔獣 魔獣
:::魔獣 魔獣 魔獣 魔獣 :::



―ズガッッッッッ!!!

……………
……
…         サァァ!!



135 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:40:53.79 wxmSL3ojo 116/130


―――――
―――



ほむら「全て、ハァ…、受け止めて、やった……わよ、神名あすみ…ハァ……」ガクッ


QB「お疲れ様、ほむら……」


ほむら「QB……、残りのキューブ……は… ?」ハァ、ハァ、ハァ…



――人間は弱い生き物だ。



QB「キューブは、もう………」

ほむら「そう……」


136 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:41:36.44 wxmSL3ojo 117/130


ほむら「ふふっ。せっかく魔獣どもを倒したのに……。最後の最後で、やっぱりカッコ悪いんだなぁ、私……」

QB「……残念だよ、ほむら」


ほむら「仕方ないわ。私の運命はここまでだったって事よ……」



――こうやってスグに諦める。



137 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:42:17.23 wxmSL3ojo 118/130


ほむら「この世界を作ったのは私。神名あすみをあそこまで追い詰めてしまったのも私なのかもしれない……」

ほむら「だから、これは、私の責任なの……」


―――人間はいつも無力だ


ほむら「でも、マミ や杏子を、かつて私が見捨ててしまった沢山の命を繋ぐ事が出来た。それだけでも、私は満足しているのよ?」


―――どんなに成したい事があっても、
――こんな小さな掌で出来る事なんて、
―決して多くはないのだろう


138 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:43:27.93 wxmSL3ojo 119/130


ほむら「本当にこれで良かったのかは、あの子に会って聞いてみなくちゃわからないけどね……」


でも―――



イタワ!… ……コッチヨ、サクラサン!!


――だからこそ、人は、一人じゃない。




ホムラ!! …… … ハヤク!キューブヲ!…



QB「それで……。これも、神様の決めた運命なのかい?」


……… マミ… キョウコ……っ、



139 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:44:06.77 wxmSL3ojo 120/130



いなくなってしまった誰かの想いを、

  ヒトリデムチャシヤガッテ…

これからを生きる誰かの希望を、

             グスッ…

共に生きる誰かの弱さを。

   アケミサンノナキガオ、ケッコウカワイイワネ…


誰しもが背負って生きている

            バカ…ぁ、ヒグッ


140 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:44:39.42 wxmSL3ojo 121/130


一人では切り開けなかった明日も、

  イマヒキアゲテヤルヨ…  

嘆くばかりの昨日も。
             グスッ…

 アケミサン、ツカマッテ…


それを変える力が、この手の中にはあるんだ―――。


まどか……。あなたの創ったこの世界で、私は……


――――
―――



141 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:45:41.60 wxmSL3ojo 122/130



杏子「ばか野郎の墓が、また増えちまったな……」

杏子「なぁ、さやか。今度そっちに行ったガキんちょはさ、意地っ張りで可愛くねぇし、とてつもなく憎たらしい奴だ」

              
杏子「そのクセ本当は人一倍寂しがり屋で、誰かの温もりを求めている……」


杏子「……そうだな。ははっ、あたしにそっくりなガキんちょさ」

杏子「だからこそ、お前にならちゃんと心を開いてくれるかもしれねぇ。あたしがそうだったみたいに……」



杏子「宜しく頼むよ、さやか……」



―――
――


142 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:46:33.35 wxmSL3ojo 123/130


マミ「んーー……」カリカリ

ヒョコ
QB「やぁ、マミ !」キュプ

マミ「ここがこうなって……これが……」カリカリ

QB「受験勉強かい?精が出るね」

マミ「そう思うなら静かにしてね?集中したいのよ」カリカリ

QB「試験なんて、魔法を使えばどうにでもなるじゃないか」

マミ「それじゃ意味がないのよ。将来私が先生になった時、恥ずかしい目に会っちゃうでしょ?」カリカリ

QB「先生、ね……」

マミ「正義の味方だなんて言っても、私達は小さな子供一人救えなかった」カリカリ

マミ「もう、あんな悲しい事、誰にもさせたくないの……」カリカリ

マミ「だから、私は先生になるって決めたの……」カリカリ



QB「そう。それじゃ、マミ の生徒に優秀な魔法少女候補がいたら紹介してよね」キュプ!

ボキッ!

マミ「QBぇ……!」イラ、


――――
――


143 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:47:11.36 wxmSL3ojo 124/130


ほむら「なによ……」
 
QB「確かに君の話は一つの仮説としては成り立つ」キュプ

ほむら「だから本当だってば」

QB「だとしても証明しようがないよ」

ほむら「ふん……」


QB「でも確かに興味深くはあるね。浄化しきれなくなったソウルジェ――」


キューブヲ…、ポイポイポイ……ット。

QB「きゅっぷい!!」ズバッ!!

ほむら「ふふっ。将来仕事に困っても、あなたがいれば猿回しで食っていけるわね」

フツウノヒトニハミエナイヨ?キュプ!


144 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:48:08.47 wxmSL3ojo 125/130


ほむら「さて……」

QB「今日はやけに瘴気が濃いみたいだ」モグモグ


ほむら「いくわよ…」


ほむら(例え魔女が生まれなくなった世界でも、世界の歪みが、呪いが消えた訳じゃない)

ほむら(世界の歪みは神名あすみという悲しみを生み、呪いをばら蒔いた……)

ほむら(きっと、ここは今でも、憎しみと悲しみばかり繰り返す、救いようのない世界なのかもしれない……)


―スタッ、


 『ガンバッテ』


ほむら「………?」


145 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:48:43.32 wxmSL3ojo 126/130


ほむら(それでもここは、かつてあの子が守ろうとした世界なんだ。私が守りたい世界なんだ……)

ほむら(これまで託された想いを、共に歩む力を、守るべき未来を――、私は決して忘れたりしない……)


ほむら(だから、私は―――、)


ほむら(その全てを受け止めて――、)


ほむら(――――――――戦い続ける!)


―シュバ!!



―――
――


146 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 02:50:36.85 wxmSL3ojo 127/130


《 in the far distant future... 》



ゴーン…… ゴーン… ゴーン… ゴーン…


ほむら「教会の鐘……」

QB「珍しい事もないさ。元々この地域にはクリスチャンの国があったからね」

QB「結婚式でもしてるんじゃないかな?」


ほむら「あら……?あの子……」


マーム!タディ!!

QB「これまた随分可愛らしい花嫁だね。でも、この地域の宗派には些か問題があるんじゃないかい?」

ほむら「ふふっ、あなたって本当に馬鹿ね……。結婚したのはあの子の親よ。連れ子が母親とお揃いのドレスでバージンロードを歩くなんて良くある事じゃないの」

QB「なんだ、そういう事か。紛らわしいなぁもう」キュプ


アハハ。ソーキュート、 ヘイ、キスミーハニー?…ワォ… 

ゴーン… …… ゴーン… ゴーン…… …

  ゴーン… ゴーン…… ゴーン… ゴーン…




ほむら「おめでとう……。」




ーおわりー


148 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 03:25:09.58 dk3RzwqAO 128/130

乙、心が惹き付けられた
改変後SSは面白いね

150 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 14:37:05.72 YuTE+3oMo 129/130

完全に劇場版じゃねーか

151 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/09/09 16:02:50.58 klVO4hiIO 130/130

惚れ惚れする


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