1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/01 23:47:04.75 Ksi++tH00 1/28

「パーティー凄かったねー」

「ふふっ、招待したかいがあったわ」

「うん。みんなすっごい綺麗なドレスに着飾ってて、料理もみんな美味しくて」

「唯ちゃんのドレス姿も綺麗だったわー」

「そんな。私なんて孫にも意匠だよ」

「唯ちゃん。色々間違ってます」

「えっ、そうなの?」

「そうです。唯ちゃんはとってもかわいいです」

「そんなー。私なんてまだまだだよー」

「そんなことないと思うなー」

「でも、よかったの? パーティーに招待してもらった上、ムギちゃんに家まで送ってもらっちゃって」

「いいの。ちょっとだけ歩きたい気分だったから」

「ふぅん」

「……月がきれいですね」

「!?」ドキッ

元スレ
紬「月がきれいですね」唯「!?」ドキッ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346510824/

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/01 23:51:01.10 Ksi++tH00 2/28

___

「着いたね」

「……」

「……? 唯ちゃん、どうかした?」

「あっ、うん。慣れないパーティーで疲れちゃったかな」

「そう。今日はゆっくり休んでね。おやすみなさい」

「うん。おやすみ」



(ムギちゃんは「月がきれいですね」って言った)

(これってそういう意味なのかなぁ)


7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/01 23:53:48.08 Ksi++tH00 3/28

>数日前

「うーいー。これわかるー?」

「あっ、クロスワードパズルだ」

「うん。ここがわからないんだけど」

「なになに。夏目漱石が『I love you』をなんと訳したか」

「うん。9文字で、2文字目が『き』、8文字目が『す』なんだけど」

「つきがきれいですね」

「へっ」


9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/01 23:58:08.75 Ksi++tH00 4/28

_4

「夏目漱石はI love youを『月がきれいですね』って訳したんだよ」

「えーーーっ!」

「ロマンチストなんだよ。夏目漱石は」

「ふぅむ……」

「ちなみに二葉亭四迷は『わたし、死んでもいいわわ』って訳したんだよ」

「憂はなんでも知ってるねー」

「えへへ」


>回想終わり

(月がきれいですね=I love you!?)

(ムギちゃん Love 私ってこと!?)

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:05:36.66 sLBUdeg/0 5/28

>翌朝-通学路

「あっ、唯ちゃん!」

「ムギちゃん?」

「ふふっ、朝から唯ちゃんに会えるなんて今日はついてるわ」

「あっ、うん」

「あれっ、憂ちゃんは?」

「うん。用事があるとかで先に出ちゃった」

「そうなんだ」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:17:25.59 sLBUdeg/0 6/28

(ムギちゃんと二人きり……)

「唯ちゃん?」

(今はちょっと気まずいかな)

「唯ちゃんってば!!」

「へっ」

「唯ちゃんどうしちゃったの。今日はなんだか変だよ」

「な、なんでもないよ」

「うーん怪しい。熱でもあるのかしら。ちょっとおでこを拝借するね」

「へっ」

「手じゃよくわからないから、オデコとオデコをくっつけて……」

(わっわっ、近いよムギちゃん)

「うーん。熱はないみたいね」

(……キスされるかと思っちゃった)

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:25:26.69 sLBUdeg/0 7/28

「またぼーっとしてる。本当に今日はどうしちゃったの?」

「えっと……そう、あれだよ、あれ」

「あれって?」

「昨日のパーティーの疲れが残っちゃってて」

「えっ、そうなの……」

「うん……」

「……」

「ムギちゃん?」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:35:41.01 sLBUdeg/0 8/28

「悪いことしちゃったなって」

「へっ」

「昨日は唯ちゃんが疲れてることに気づかずにはしゃいじゃったし」

「そ、そんなことないよ」

「ううん。ごめんなさい、唯ちゃん」

「だからっ、ムギちゃんは悪くないよ」

「でも……」

「昨日は御馳走だって美味しかったし、とっても綺麗なドレスも着れたし、それに、
  綺麗に着飾ったいつもと違うムギちゃんも見られてとっても楽しかったんだって!」

「///」

「あっ、えっ」

「///」

「あのーそのー」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:42:23.30 sLBUdeg/0 9/28

「///……ハッ。…………あっ、うん。唯ちゃんは楽しかったんだね」

「……うん」

「それならいいのかな……。でも今日は無理しないでね。風邪ひいたら嫌だし」

「気をつけるよ」

「じゃあ行きましょ」

「うん」


(ムギちゃん顔真っ赤にしてたな)

(やっぱり私に気があるのかなー)

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 00:48:06.76 sLBUdeg/0 10/28

(……! そうだ。ちょっと試しちゃおう)

「むーぎーちゃん」

「なぁに?」

「手、繋いで行こ」サッ

「えっ」

「……ほら、ムギちゃんも手を出して」

「えっと、なんでいきなり?」

「理由なんていいじゃない。ほらほら手を出してー」

「……」

「ムギちゃん?」

「ごめんなさい」


27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 01:00:52.70 sLBUdeg/0 11/28

「へっ」

「ほら、唯ちゃん行きましょ。あんまりゆっくりしてると遅刻しちゃうわ」

(……)

(……断られちゃった)

(なんで?)

(冬の間はよく手を繋いでたのに)

(ムギちゃん……どうして?)

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ


(ムギちゃんのこと、わかんなくなっちゃった)

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 01:20:48.51 sLBUdeg/0 12/28

>放課後

「なるほどね。二人の様子がおかしかったのはそれが原因だったんだ」

「どう思う? 和ちゃん。ムギちゃんの気持ちわかる?」

「わからないわ」

「へっ」

「ムギのことなら唯のほうが良く知っているでしょ」

「……」

「ただね……ムギが告白しようとしたわけじゃないのは確かだと思うわ」

「なんでー?」

「唯が「月が綺麗ですね」の意味を知ってるなんて、誰も思わないもの」

「ひどい」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 01:28:31.88 sLBUdeg/0 13/28

「事実よ」

「そっかぁー。じゃあ別にムギちゃんは私のこと好きじゃないんだね」

「残念そうね。でも落ち込むのはまだ早いわ」

「えっ?」

「告白する勇気がないから、さり気なく言ってみた可能性も否定できないわ……」

「……」

「どちらも推測に過ぎないから、確かめたいなら直接ムギにあたりなさい」

「はーい」

「……」

「はぁ……」

「…………ひとつだけ言えることがあるわ」

「……?」

「恋愛感情は別にして、ムギが唯のことを大好きなのは間違いないってこと」

「ほんとうに?」

「ええ。それだけは保証してあげる。それじゃあ私生徒会に行くね」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 01:37:43.94 sLBUdeg/0 14/28

___

ガラッ
「あっ、唯先輩」

「おっ、やっときたか」

「遅いぞー」

「ごめんごめん。ちょっとね」

「唯ちゃん……ひょっとして体調が優れないの?」

「へっ、違うよー。ちょっと和ちゃんとお話してただけだよ」

「そうなんだ。じゃあすぐにお茶を入れるね」

(ムギちゃん……)

「今日のお茶請けはモンブランだぞ」

「モンブラン?」

「あぁ。唯があまりにも遅いから、唯の分も食べちゃおうか、って話してたところなんだ」

「ダメッ!」

「わかってるよ。ちゃんと残してあるからさっ、ほら」」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 01:45:40.73 sLBUdeg/0 15/28

「唯ちゃん。お茶が入りましたよ、どうぞ」

「もぐもぐ……やっぱりムギちゃんのケーキとお茶は美味しいねぇ」

「ケーキは貰い物だけどね」ニコ

(あっ、ムギちゃんが笑った)

(この笑顔を見るのも久しぶりな気がするよー)

(……昨日はいっぱい見たけど)

「唯ちゃん?」

(なんかいいな、こういうの)

「どうしたの? フォークも止めてぼーっとしちゃって」

「……へっ?」

「……やっぱり昨日の疲れが残ってるのね」

「へっへっ」

「……決めたっ! 唯ちゃん、それ食べたら帰りましょ。私が家まで送っていくから」

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:02:04.42 sLBUdeg/0 16/28

>通学路

(強引にムギちゃんに押し切られて家に帰ることになってしまった)

(ムギちゃんはとってもにこやか)

(今なら……)

「ねぇ、ムギちゃん」

「なぁに?」

「手、繋ごう」

「……」

「いや?」

「どうして、手を繋ぎたいの?」

「ムギちゃんと手を繋いでると、優しい気持ちになれるんだ」

「優しい気持ち?」

「そう。暖かくて、ふんわりした気持ち」

「でも今は夏だよ」

「そんなの関係ないよ」ガシッ


41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:05:36.39 sLBUdeg/0 17/28

「あっ……」

(無理やり手をとっちゃった……)

「……」ギュ

(握り返してくれた!)

「……行きましょ」

「うんっ!」

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ

「……」タッ


42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:08:38.83 sLBUdeg/0 18/28

「……ねぇ、唯ちゃん」

「なぁにー?」

「私の手、熱くない?」

「暖かいよー」

「私、手に汗、かいてない?」

「うーん。ほんのちょっとだけ湿っぽいかな」

「……っ」

「でも暖かくて柔らかくて優しい手だよー」

「……」

「ねぇ、ムギちゃん」

「なぁに?」

「月がきれいですね」

「……月なんて出てないよ」

44 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:20:29.16 sLBUdeg/0 19/28

「ぷっ、あはははははははは」

「ゆ、唯ちゃん?」

「あはははははははははははは」

「大変!! 唯ちゃんが壊れちゃった!」

「ごめんごめん。ちょっとおかしくてさ」

「えっと……なにが?」

「秘密」

「えっ」

「秘密なんだ」

「そう」


(ムギちゃんは『月が綺麗ですね』の意味を知らなかったんだね)

(私が一人で空回りしてただけなんだ)

(馬鹿馬鹿しくて笑っちゃったよ)

(……)

(はぁ……)

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:34:15.93 sLBUdeg/0 20/28

___

「着いたね」

(もうお別れかぁ)

「それじゃあバイバイ」

「うん。また明日--」

ガラッ
「あっ、お姉ちゃん帰ってきたんだ。それに紬さん」

「憂ちゃん、こんばんは」

「こんばんは。紬さん」

「じゃあ私は帰るね」

「あのっ」

「うい?」

「どうかしたの?」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:34:47.15 sLBUdeg/0 21/28


「昨日はお姉ちゃんがとってもお世話になってみたいで、ありがとうございました」

「いいの。私もとっても楽しかったから」

「それで、よかったら今晩は家で夕飯食べていきませんか? あの……都合が良かったらでいいんですが」

「……いいの? 迷惑じゃないかしら」

「憂もこう言ってるんだしさー、食べていきなよ」

「はいっ、全然迷惑じゃないです」

「それじゃあお邪魔しちゃおうかしら」


49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:42:10.20 sLBUdeg/0 22/28

_____
____ 
___
__

>帰宅

(ムギちゃんと憂が一緒に料理を作って)

(一緒に御飯を食べて)

(しばらくお話して)

(今日は私がムギちゃんを送って行く事になりました)

(なんだかよくわからないけど、さっきからムギちゃんがすっごいニコニコです)

(放課後と比べ物にならないぐらい……)

(どうしたんだろう……)


「ねぇ、唯ちゃん」

「なぁに?」

「月がきれいですね」


51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:45:43.90 sLBUdeg/0 23/28

「……」

「……」

「……ねぇ、ムギちゃん」

「なぁに?」

「その言葉、勘違いされるからやめたほうがいいよ」

「勘違い?」

「『月がきれいですね』には別の意味があるんだよ」

「そうなんだね」

「えっ」

「唯ちゃん、空を見て」

「月が……出てない」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:50:35.75 sLBUdeg/0 24/28


(えっ、どういうこと?)

(月は出てないのに、月はきれいですねって言ったムギちゃん

(当のムギちゃんがいたずらっぽい笑みを浮かべてる……)


「ごめんね、唯ちゃん。さっき読んじゃったの」

「えっと、何を?」

「クロスワードパズル」

「へっ」

「よく考えてみれば、あの言葉から唯ちゃんの調子がおかしくなったんだよね。勘違いさせてごめん」

「えっと……」

「でも、勘違いしてくれていいの。だって、月がとっても綺麗に見たのは唯ちゃんと一緒だったからだもの」

「……ムギちゃん」

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 02:55:39.23 sLBUdeg/0 25/28

「コホン。ちゃんと言葉にするね」

「……」ゴクリ

「あい・らぶ・ゆー」

「……プッ」

「唯ちゃん?」

「プッ、アハハハハハハハハハハ」

「唯ちゃん、ひどい」

「だって、プッ、アハハハ、だめっ、笑いがとまらない」

「もうっ、唯ちゃんなんて知らないっ!」

「プッ……ゴホッゴホッ、ごめんごめん」

「ぷんす」

「ねぇ、ムギちゃん」

「……」

「手、繋ご」

「……うん」

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 03:03:18.54 sLBUdeg/0 26/28

「ムギちゃんの手、暖かい」

「唯ちゃんの手、ちょっと湿っぽいね」

「え”っ、放して」

「だーめっ」

「ムギちゃんの意地悪」

「ふっふっふっ、仕返しよー」

「まぁいっか」

「あら、諦めたの?」

「でも、ちょっとだけ放してくれない? 握り直したいから」

「はい」

「そしてこうする」

「これは?」

「恋人繋ぎって言うんだ」

「こいびとつなぎ……」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 03:13:18.81 sLBUdeg/0 27/28

「ねぇ、ムギちゃん。どんな感じがする?」

「うん。とってもしっかり繋がってる感じ。きっと月がとっても綺麗に見えるわ」

「出てないのが惜しいね」

「機会はいくらでもあるわよ」

「うんっ!」

「こうやって繋がったまま、いろんなものを見てみたいわー」

「手を繋いで、いろんなところへ行こうね」

「うんっ!」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/09/02 03:14:21.97 sLBUdeg/0 28/28

「手始めに、明日は手を繋いで登校しよっか」

「ねぇ、唯ちゃん」

「なぁに?」

「わたし、死んでもいいわわ」

「死んだら一緒に学校に行けないよ」

おしまいっ!

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