まどか「ほむらちゃん、マミさん、杏子ちゃんの3名には、
今から1ヶ月の間1万円で生活していただきます!」
杏子「1万円も使っていいのか!?」
マミ「1万円しか使えないの!?」
ほむら(司会をするまどかもかっこいい)
さやか「え……? あたしは……?」
元スレ
まどか「1ヶ月1万円生活」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303990261/
まどか「2週間無人島生活」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1304053110/
まどか「さやかちゃんは私と一緒に解説だよ」
さやか「あ、そ、そっか! そうだよね!」
マミ「鹿目さん。詳しいルールを説明してもらえないかしら」
まどか「はーい!」
ルール
・1ヶ月1万円以内で生活する(光熱費含む、家賃は除外)
・1ヶ月が経過した時点で最も残金の多かった者が勝者
・優勝者は解説のどちらかに何でも好きなお願いを1つできる
まどか「……と、こんなところかな。何か質問のある人はいますか?」
ほむら「1ついいかしら」
まどか「うん。何かな?」
ほむら「好きなお願いというのは、本当にどんなことでもいいの?」
まどか「もちろん! 法に抵触しない範囲でなら何でもいいよ!」
ほむら(ということは、優勝すれば……、まどかと……)
マミ(優勝したら、お友達になってくださいってお願いしようかしら)
杏子(1万円もあったら凄い贅沢ができるな!)
さやか「あの3人もう自分の部屋に入った?」
まどか「うん……、カメラを見た感じ、みんな今部屋に到着したみたい」
さやか「そういえばまどか」
まどか「ん?」
さやか「部屋の中にカメラをしかけてることって、あの3人に説明してたっけ?」
まどか「ううん。あの3人はカメラの存在を知らないよ」
さやか「いいのそれ!?」
まどか「大丈夫大丈夫ー! あの3人には赤裸々な私生活を公開していただきましょう!」
さやか(参加者じゃなくて良かった……)
――――
ほむほむルーム
ほむら「何でもお願い……」
ほむら(何にしようかしら)
ほむら(まどかとキス、まどかとデート、まどかと同棲、まどかと結婚)
ほむら(夢が膨らむわね)
ほむら「よし、本気で勝ちにいきましょう!」
ほむら「えーと、まずはコンセントを抜いて……」
――――
まどか「手堅くいってますね」
さやか「ですねー」
ほむら「……そういえば」
ほむら「魔法少女って、何か食べないと生活できないのかしら」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「1ヶ月ぐらいなら絶食しても……」
――――
まどか「無謀な決意を固めていますね」
さやか「本気すぎるでしょ、おい」
まどか「ほむらちゃん気合入ってるなぁ」
――――
マミルーム
マミ「1ヶ月で1万円だなんて本当に可能なのかしら……?」
マミ「10000を日数で割ると……、300ちょっと!?」
マミ「えーっと、えーっと……、1食100円として」
マミ「紅茶は魔法で出せばいいものの、ケーキはそうもいかないから……」
マミ「1日にケーキ1つ」
マミ「……いえ、スーパーで100円のケーキを買えば、1日3つも可能かしら」
――――
さやか「駄目そう」
マミ(とりあえずケーキを買いにスーパーにきたわ)
マミ(あら? 美味しそうなシュークリーム)
マミ(値段は98円……、買いね)
マミ(このチョコ菓子の大袋は398円のものが298円になっていてお得ね。買いましょう)
マミ(後は……、あっ! 新しい味のクッキーだわ!)
マミ(158円。少し高いけれど、最初の買い物ならこれぐらい大丈夫よね)
マミ(えーと、それからそれから)
店員「3980円になります」
マミ(10000の半分以下)
マミ(私って買い物上手かもしれないわね!)
マミ(これだけのお菓子やケーキがあれば半月は持つでしょう)
マミ「ふうっ、買った買った」
QB「随分たくさんの買い物をしたんだね」
マミ「あら、QB。きていたの?」
QB「ああ」
マミ「ちょうど良かったわ、一緒にお茶にしましょう。今ケーキを出すわね」
QB「ボクもいいのかい?」
マミ「1人でお茶をするよりお友達とお茶をした方が楽しいもの!」
マミ「美味しかったぁ! あのクッキーはまた買いね!」
QB「……」
QB(500円分はお菓子を食べたと思うんだけど、大丈夫なのかな)
マミ「1万円生活も意外となんとかなりそうね!」
――――
さやか「マミさん……、1位どころか、最後までもつのかな」
まどか「まあまあ! 1人ぐらいこういう人がいた方が楽しいよ!」
――――
あんこルーム
杏子「うおー! ここが1ヶ月間あたしの家なのか!」
杏子「すげぇ! この冷蔵庫部屋が3つもある!」
杏子「トイレとシャワーの部屋が別々だ!」
杏子「いっ、今のテレビってこんなにでかいのか!?」
杏子「やっほー! ベッドも柔らかすぎるだろ!」
杏子「やべぇ! 超やべぇよこの部屋!」
杏子「そうだ、こうしてる場合じゃない!」
杏子「さっそく買い物しに行こう!」
――――
まどか「どこに行くんだろう?」
さやか「というか杏子のやつ、お釣りの計算とかできんのかな」
駄菓子屋
お婆さん「いらっしゃい」
杏子「よっ、婆さん」
お婆さん「杏子ちゃん。今日もお手伝いしにきてくれたのかい?」
杏子「いいや! なんとそれがな……、じゃーん!」
お婆さん「あらあらまあまあ。お金じゃないの」
杏子「いつもはお手伝いのお駄賃でお菓子を貰ってたけど、今日はちゃんと買うからな」
お婆さん「まあまあまあ」
杏子「何買おうかな……、この輪投げチョコとか一回食ってみたかったんだよな……」
――――
さやか「あいつ盗んでたんじゃなかったの!?」
まどか「まあほら、杏子ちゃんって、お手伝いしてますなんてばれるの嫌がりそうだし……」
杏子「200円分も駄菓子買っちまった……」
杏子「ま、なんとかなるか!」
杏子「次は果物屋かな」
杏子「あそこは……、あそこでは、小さい頃にリンゴを万引きしちゃったんだよな……」
杏子「あの時の代金、まだ払ってなかったな……」
――――
さやか「アイツは贖罪の旅でもするつもり!?」
果物屋
杏子「よっ」
おっさん「ああ、お前さん教会の」
杏子「リンゴ1個でいくらするんだい?」
おっさん「1個100円だ」
杏子「そうかい。じゃあ、はい。1000円」
おっさん「10個だな。毎度」
杏子「バーカ。900円は数年分の利子だよ」
おっさん「……お前、もしかしてあの時のこと」
杏子「盗みなんてだっせぇことして……、悪かったな……」
――――
さやか「勝つ気ないでしょコイツ! ああ、なんかいらつくー!」
まどか「まあまあ。テレビ的にはこれはこれで美味しいよ」
杏子「なんかたくさん果物もらっちまった……」
杏子「いいって言ったのに……」
杏子「しばらくの主食はこの果物かな」
杏子「さて、帰るか」
――――
夕食時
ほむら(お腹が空いたわ……)
ほむら(でも……、食べるわけにはいかない)
ほむら(1ヶ月電気の無い部屋で絶食し続けさえすければ、消費するお金は0円)
ほむら(つまり確実にまどかと結婚することができる)
ほむら(目指すは1ヶ月0円生活よ!!)
ほむら(お風呂は……、お風呂も我慢しましょう)
――――
マミ「今日の晩御飯はモンブランとシュークリームよ」
QB「いつも思うのだけど、いくら魔法少女といえど、
こんな食生活を続けるのはあまり良くないんじゃないかな」
マミ「大丈夫大丈夫ー。ああっ、美味しい!」
晩御飯代
モンブラン:100円
シュークリーム:98円
紅茶:0円
合計:198円
――――
まどか「ちぇっ、意外と安い」
さやか「そこ残念がるところ!?」
マミ「さて、食後はお風呂に入りましょう」
QB「そういえばさっきお風呂場の方で何かしていたね」
マミ「ええ。浴槽にお風呂を溜めておいたの。……って、大変!
お湯を出し始めてから20分も経ってるじゃない!」
マミ「やっぱりお湯が溢れちゃってる……、今度から気をつけないとね」
QB(本当に節約をする気があるのかな……)
マミ「さて、と。それじゃあ一緒に入りましょう、QB」
QB「ボクは別にお風呂に入る必要はないのだけれど」
マミ「いいからいいから! お友達と一緒に入る方が楽しいもの」
QB「意固地になって断る必要もないし、マミがそう言うなら」
――――
まどか「QBってオスじゃないの?」
さやか「さあ……。って、うわ、マミさん胸でか!」
まどか「本当だー。ここ放送では、QBマークで色々と隠さないとね」
さやか「視聴者からQB死ねって声がきまくりそう」
まどか「うん。だからこそ放送できないものを隠すのにQBマークを使うんだよ」
――――
杏子「いっただきまーす!」
杏子「輪投げチョコうめぇ!」
杏子「穴に指をはめてくるくる回すの楽しいな」
杏子「さて、お次はメインディッシュ!」
杏子「果物屋で貰ったメロン!」
杏子「えーと、槍で真っ二つにして……」
杏子「うわ、汁が服に飛んだ!」
杏子「でも超うめぇ!」
杏子「次は身体を洗いに行くか」
――――
杏子「うわ、冷たっ!」
杏子「身体が冷える……、まだこの時期、川に入るのは無謀だったかな……」
杏子「明日からは大人しく部屋の風呂に入ろう……」
――――
さやか「ちょっ、杏子! 夜とはいえ外で裸になるのはまずくない!?」
まどか(通報したらどうなるのかな)
さやか「とりあえずここはテレビで放送しない方がいいわね……」
まどか(通報したいいいいいい)
――――
就寝前
ほむら「お腹空いた……」
ほむら「アレで気を紛らわしましょう……」
――――
さやか「おっ。何やら盾型収納スペースをごそごそ探り始めたぞ」
まどか「あれは……、アルバム?」
ほむら(うふふ、お気に入りのショットばかりを集めたまどかアルバムver93!)
ほむら(ああ、どのまどかも可愛いわ!)
ほむら(キスしちゃおうかな)
ほむら(ちゅっちゅ)
――――
さやか「うわぁ……」
まどか「……」モジモジ
さやか「転校生って、ああいう……」
まどか「……」モジモジ
さやか「さすがにあれは引くわ……。大丈夫まどか、気分悪くなったりしてない?」
まどか「あ、う、うん! 大丈夫! まあこれぐらいは思春期ならよくあることじゃないかな、うん」
さやか「まどか器ひろっ!」
――――
マミ「さってと、そろそろあれの時間ね」
QB「ああ。『神の如き創造・現世に舞い降りた天上人の業』を始めるのかい?」
マミ「ええ」
――――
まどか「え? 何、え? 神の如き……、現世が何ちゃら……?」
さやか「表紙に銀色で十字架の印刷された黒いノートを取りだしたわよ」
マミ「今日はー、4大悪魔のリーダーの設定を完成させましょう!」
QB「名前はアザゼルだったかな?」
マミ「正確には、ヘルプリンス・デス=アザゼルよ」
QB「そっか」
マミ「ヘルプリンスは地獄の最大勢力の生まれながら、その強大すぎる力を恐れられ、
輪廻の黒き鎖でその力の80%を封印されているの!」
QB「ふむ」
マミ「それでも地獄侯爵ベルゼブブと互角の力を持っているわ」
QB「うんうん」
マミ「左目は地獄の業火、右目は永久凍土の魔力を秘めていて、炎と氷の魔術を自在に操るの」
QB「それは凄いね」
マミ「でしょでしょ! 設定は固まってきたわね……、あとはイラストかしら」
――――
まどか「うわぁ……」
さやか(まどかもノートに魔法少女の設定画描いてたでしょうに)
マミ「できた! どうかしら?」
QB「うん。ヘルプリンセスって感じの顔だと思うよ」
マミ「うふふ、ありがとう」
QB「でも顔だけでいいのかい?」
マミ「身体を描くのは……、その、苦手なのよ」
QB「そうなんだ」
マミ「今日も相手になってくれてありがとう、QB。
1人で設定をつくっていた頃よりずっと楽しいわ」
QB「それはよかったよ」
――――
まどか「うわー、へちょいイラスト」
さやか「なんか悲しくなってきたわ」
――――
杏子「もう10時か……」
杏子「駄目だ、起きてられない……」
杏子「おやすみ親父、○○……」
杏子「zzz」
――――
まどか「○○って誰の名前?」
さやか「杏子の亡くなった妹さん」
まどか「ああ、なるほど……」
まどか「さて。そろそろ皆寝たかな?」
さやか「……あっ。明かりが消えてるけど、盗撮魔の部屋からまだ音が聞こえるよ!」
まどか「えっ!?」
――――
ほむら「はぁ……、はぁ……」
ほむら「まどかぁ……」
ほむら「うん、ぎゅってして」
ほむら「ありがとうまどか、暖かい……」
ほむら「ああ、そこは駄目よまどか、ああっ……」
――――
さやか「ストップすとーっぷ! カメラストップ!」
まどか「……」ドキドキドキ
さやか「ちょっ、まどか! だからカメラストップ!」
まどか「……えぇー。なんで?」
さやか「いや、なんでも何もないでしょ! さすがにこれはまずいって!」
まどか「オンエアしなければ大丈夫だよ」
さやか「それなら尚更カメラに収める必要はないでしょ!」
まどか「はぁ……、分かったよ、仕方ないなぁ」
ほむら「すぅ……すぅ……」
――――
まどか「ふわぁー……。ほむらちゃんも寝たみたいだね」
さやか「んじゃ、今日の状態を確認しようか」
ほむら:残金10000円、食料→無し
マミ:残金6020円、食料→お菓子3200円分
杏子:残金8800円、食料→リンゴ5個、ミカン10個、駄菓子140円分
そんなこんなで1週間が経過した
まどか「本来は半月を経過した時点で経過報告をするつもりだったのですが……」
さやか「色々とそうも言ってられない事態になりつつあるので、今経過報告をします!」
まどか・さやか「わーわー!」
杏子「いえーい!」
ほむら(生まどか……生まどか……)
まどか「まずマミさん!」
マミ「はい!」
まどか「光熱費を引きますと……残金は520円!」
マミ「え?」
マミ「え? え?」
まどか「このままだと半月ももたずにリタイアですね」
マミ「……じょ、冗談よね?」
さやか「マミさん、朝昼晩と風呂を沸かしてればこうもなりますって」
まどか「他にも、できあいのサンドイッチを買ったりだとか……、浪費が多すぎます」
マミ「……」
さやか「いやー、さすがにこれはちょっと引くレベルだよー」
マミ「引くレベル……?」
マミ(引かれたら……、お友達ができない……)
マミ(そんなの、嫌!)
ほむら(!! 巴マミの目が変わった!)
まどか「続いて杏子ちゃんは……7130円!」
杏子「おおっ! まだそんない残ってるのか!」
さやか「光熱費は風呂代のみだから、消費のメインは食費だね」
まどか「それでも自炊してない割には凄いよ」
さやか「アンタ、商店街の人からおまけしてもらったりしてるからねー」
杏子「えっ? なんで知ってるんだ?」
まどか「この前たまたまさやかちゃんが目撃したんだよね」
さやか「えっ? あ、うん! そうなのよー!」
杏子「なんだよー。声ぐらいかけろよな」
マミ「そういえば、私のお風呂のことも……」
まどか「やだなー、光熱費のメーターの動きを見てればお風呂のことぐらい分かりますよー」
さやか「続いて盗さ……転校生!」
まどか(というか、盗撮に関してはむしろ私達の方が酷いよね)
さやか「なんと驚異の……って、うわ! こうしてみると、アンタ頭がめちゃくちゃテカってない!?」
ほむら「お風呂に……、入って、ない……から……」
さやか「しかも頬コケすぎ!」
ほむら「何も、口に……して、ない……から……」
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「そんな転校生の残高は、なんと驚異の9999円!」
まどか「1円は、コンセントを抜く前にかかった電気代だね」
ほむら「やっ……、た……」
杏子「アンタ、本当に大丈夫か……?」
ほむら「心配には、およば……ない、わ……」
杏子「そうか……?」
さやか「最悪ドクターストップということも」
ほむら「だっだだだっ駄目!」
さやか「うおっ!? わ、分かったから落ち着いて!」
ほむら「はあっ、はぁ……」
まどか「頑張ってね、ほむらちゃん。でも無理はしないでね」
ほむら「ありがとう、まど……、か……」
――――
ほむルーム
ほむら(……つ、疲れ、た……)
ほむら(久しぶりに歩いた、から……体力が……)
ほむら(まどか……、私、1ヶ月間生き延びられるのかな……)
――――
さやか「ベッドでぐったりしてるね」
まどか「うん、可哀想……。今すぐ私を……、じゃなくて、私の手料理を食べさせてあげたい」
――――
マミルーム
QB「おかえりマミ。結果は残念だったけど……って、え? 何故銃を出しているんだい?」
マミ「生みなさい」
QB「え?」
マミ「施しを受けたら対価を払う、当然のルールよね。
食べさせてあげた分、卵なり何なり生みなさい」
QB「ちょっと待ってくれよマミ! そんな条件は言っていなかったじゃないか!」
マミ「聞かれなかったから言わなかっただけ。
果たしてそれは悪いことなのかしら? ねえ……、QB」
QB「……」ゾクッ
QB(な、なんだ!? 今、イレギュラーが……、感情がボクの中に芽生えたような……)
QB「きゅっ……っぷい!」
マミ「小さな卵。腹の足しにもならないわ」
QB「そんなこと言ったって……」
マミ「釣り合いをとるために、明日からも毎日生んでちょうだいね」
QB「そんな……。あっ、そ、そうだ! いい情報があるよ、マミ!」
マミ「情報?」
QB「お菓子を生みだすことのできる魔女がいるんだ!」
マミ「……、場所を教えなさい。魔女を見逃すことはできないわ。
ましてやそれが、お菓子を生み出せる魔女ならなおさらのこと、ね」
QB(よし、かかった! シャルロッテなら恐らくマミを打ち倒せる!)
――――
結界内
シャルロッテ【あかん……もう堪忍……】
マミ「はい? ごめんなさいね、私魔女語は分からないの。
いいからさっさとお菓子を出しなさい。でないと何度だって半殺しにしてあげるわよ」
シャルロッテ【堪忍してや……】
マミ「ああそうそう、私チーズケーキが好きなの。出してちょうだい」
QB「ま、待ってくれマミ! その魔女はチーズだけは……」
マミ「卵もろくに産めない家畜は黙っていて」
QB「はっ、はい……」
マミ「さあ、早く出しなさい! さあ、さあ!」
シャルロッテ【鬼や……、鬼がおる……】
まどか「……」
さやか「……」
まどか「マミさんって……」
さやか「……うん」
まどか「ほむらちゃんを見て癒されよう……」
さやか「いや、順番的に次は杏子でしょ」
――――
海
杏子(さすがに暁美ほむらも最後まで消費0って訳にはいかないだろ)
杏子(逆転の目は0じゃあない筈)
杏子(別に優勝賞品には興味は無いけど、勝ちを諦めるのは性にあわない)
杏子「だったらあがいてみるしかねぇよな……」
漁師「嬢ちゃん、本気で海へ出るのかい? 今日は荒れるぜ」
杏子「ああ! 思い立ったら即行動、これがあたしの信条だ」
漁師「ふっ、面白ぇ……。乗りな!」
杏子「いいのか?」
漁師「ああ。チャーター代は1円とお前の熱い魂だ!」
杏子「おやっさん!」
どんよりと黒い空
横殴りの雨が拭きつける
海は荒れ、強風により引き起こされた波が絶え間なく船を襲う
時折ごろごろと雷が鳴り響くもまた、不安を煽るのに一役買った
漁師「くそっ! まさかここまでとは!」
杏子「負けるもんか! どりゃあああ、マグロの一本釣りー!」
と、その時
風に煽られ、漁師が船から転落しそうになった
漁師「うおおおおおおおおおお!」
杏子「おやっさん!」
マグロのかかっていた竿を離し、漁師の手を掴む
杏子「大丈夫か!?」
漁師「あ、ああ、すまねぇ」
杏子「いいよ。当たり前のことだ」
漁師「けどよ、せっかくの獲物が……」
杏子「……熱い魂も料金の一部、そうだろう?」
―――――
さやか「あの、さっきからカメラが映らないのはどういうこと」
ざぱんっ!
嵐の中でも一際目立つ大きな水しぶきが上がった
滝のように降り注ぐ水の中、杏子はめを凝らして水しぶきを起こした何かの正体を見極める
杏子「巨大な……クジラか?」
漁師「そいつは海の主だ!」
杏子「海の主、だと?」
漁師「ああ。30年に渡りこの近海に生息し、幾多の船を沈めてきた伝説の魚だ!」
杏子「……面白くなってきやがった」
不敵な笑みを浮かべ、心底楽しそうにそう言ってのける杏子を見て、
漁師は、若かりし頃に失った熱い何かを取り戻した
漁師「いくぞ、嬢ちゃん!」
杏子「おうよ、おやっさん!」
――――
さっきまでの嵐が嘘のように思えてしまうほど、晴れ渡った空の下
ところどころがボロボロになった一隻の船が寄港した
「なんだあの魚は!?」
「まさか海の主か!?」
その船は、極度に大きく成長したマグロを連れて帰ってきたという
この、海の主を捕まえた2人のことは、この港で色あせない伝説として語り継がれることになる
杏子「よっしゃああー! とっだどー!」
――――
さやか「なんじゃありゃあああああああ!」
まどか「なんか別のテレビ局とか新聞社もきてる……」
――――
ほむルーム
ほむら「ううぅぅ……」
ほむら(死ぬ……、そろそろガチで肉体が死ぬ……)
「ほむらちゃん!」
ほむら(……? まどかなの?)
「うん、そうだよほむらちゃん! 会いに来ちゃった!」
ほむら「まど、かぁ……、最後に一目会えてよかっ……、た」
――――
まどか「いやぁああああああああ! ほむらちゃんが! ほむらちゃんが幻覚を!!」
さやか「お、落ち着いてまどか!」
まどか「私はここだよほむらちゃん! 帰ってきてー! 帰ってきてよぉ!」
ほむら「ああ、まどか、くすぐったいよ……」
ほむら「もう、顔をペロペロなんてして……」
「にゃー」
ほむら「にゃー?」
エイミー「にゃーにゃー」
ほむら「あなたは……、黒猫ちゃん。どうしてここに」
※エイミー:OPの黒猫。名前はドラマCDにでてきた
――――
まどか「よかった! 錯乱したほむらちゃんが窓からダイブする前に、
エイミーがきてくれて本当に良かった!」
ほむら「もしかして……、心配して、くれてるの?」
エイミー「にゃーお」
ほむら「ふふ……、そっか、ありがと、ね……。
そうだよね、死んじゃったら元も子もないよね……」
ほむら(無理、しすぎてたのかな……)
――――
さやか「ふうっ、これで死人が出て番組打ち切りの可能性は消えたかな?
つーか3人とも番組内で死線を越えてるっちゃ越えてるのよね」
まどか「……ひどいよさやかちゃん」
さやか「えっ?」
まどか「ほむらちゃんの命の危機に、番組の命の方を考えるなんてひどいよ」
さやか「あ、ご、ごめん」
さやか(……なんかまどか転校生に甘くない?)
――――
ほむら「うぅ……久しぶりのシャワー……」
エイミー「ふぅぅっ」
ほむら「あはは、エイミーは濡れるの嫌いだった?
でもせっかくだし綺麗にしないとね。おいで、だっこして洗ってあげる」
エイミー「にゃー」
ほむら「よしよし……、まどかと仲良くなるきっかけを作ってくれたあなたには、感謝してるんだよ」
――――
まどか「おいエイミーそこ代われ」
さやか「ちょっ、まどか!?」
まどか「あの泥棒猫ー!!」
――――
マミ「さあ、まだ出せるでしょ!?」
シャルロッテ【あかんて……、もう無理や……】
マミ「あなたそれでも魔女!? そんなことでへばってどうするのよ!」
QB「ま、マミ様、本当にそれぐらいで勘弁してあげないと・…」
マミ「はぁ!? 人の絶望を食べて生きている存在が、人に奉仕できるチャンスなのよ!?
泣いて喜んで死力を尽くすのが筋ってものよ!」
QB「はははははいっ! その通りですっ!」
マミ「ふふ……、枯れ果てるまで絞りとってあげる」
――――
さやか「もう10時間責めてるよ」
まどか「マミさん、何かに目覚めちゃってるね」
そんなこんなで半月が経過した
まどか「やってまいりました、中間発表!」
ほむら「わーわー!」
さやか「アンタ賑やかしやるようなキャラだっけ?」
ほむら「貴女には関係の無いことよ、美樹さやか」
杏子「今回は自信あるぞ!」
マミ「……」
QB「だ、大丈夫ですよマミ様!」
マミ「根拠の無い励ましなんて、天使の羽よりも軽いわよ」
QB「すみません……」
まどか「まずはマミさんから! マミさんの残金は……466円!」
さやか「物凄い節約っぷりです!」
マミ「後輩にあまりかっこ悪いところばかり見せられないものね」
さやか「まあその、ちょっと引くぐらいのレベルの生活でしたが……」
マミ「……えっ?」
まどか「だねぇ。QBに卵産ませるのはちょっとねぇ」
さやか「魔女相手に絶望を与えるのも……、うん」
マミ「えっ? えっ? えっ?」
マミ(なんでぇえええええ!?)
まどか「お次は杏子ちゃん。……残金は6040円!」
杏子「おっ!」
さやか「食料の大部分を漁でまかなっていたのがでかいのかな」
まどか「マイナス1090円だから、かなり切り詰めたね!」
杏子「やったよおやっさん! あたしは、あたしは……!」
マミ(私の方が頑張って節約したのに……)ギリッ
QB(ひぃいいい!? マミ様がお怒りだ!)
まどか「最後はほむらちゃん! ほむらちゃんの残金は……」
ほむら「ごくり」
まどか「7973円!」
杏子「あれ? なんかあたしより減り幅大きくないか?」
さやか「アンタ4桁の引き算なんてできたのね……」
杏子「馬鹿にすんじゃねーよ! 小数の引き算だってできるぞ!」
マミ(このままでは2人とも3ケタ突入はしなさそうね……、まずいわ)
まどか「ちなみにほむらちゃんの出費のおおよそ半分は、エイミーの餌代です!」
1位、暁美ほむら、7973円(-2026円)
2位、佐倉杏子、6040円(-1090円)
3位、巴マミ、466円(-54円)
まどか「色々な意味でマミさんが突き抜けてるね」
さやか「このままのペースでいくと最終的に1位と2位が入れ替わる可能性も!?」
杏子「へへん」
ほむら(体力回復の為に精力のつくものを買ったのが痛かったわね。
おかげで色々とはかどったのだけれど)
まどか「3位に関してはまあ……、うん」
マミ「何よ、はっきり言われた方がマシよ……」
さやか「さてさて、ここでイベントタイム!」
ほむら「……」
まどか「なんとお互いの部屋を覗き見して、相手の節約術を探ることができます!」
ほむら「わーわー!」
さやか「ほむらは杏子の部屋、マミさんの部屋という順番で」
ほむら「……」
まどか「杏子ちゃんはマミさんの部屋、ほむらちゃんの部屋という順番で」
ほむら「わーわー!」
さやか「マミさんはほむらのへや、杏子の部屋という順番で、それぞれ部屋を覗いてください!」
ほむら「……」
さやか「ちなみに部屋を覗ける時間は各部屋5分ずつということで」
まどか「何か質問のある人はいますか?」
ほむら「1ついいかしら」
まどか「どうぞ」
ほむら「杏子と巴マミの部屋はいいとして……、まどかの部屋の中は覗かせてもらえないの?」
まどか「えっ!?」
さやか「なーに馬鹿なこと言ってんの!
まどかは節約バトルに参加してないから部屋を覗く意味が無いでしょうが!」
まどか「う、うん、そうだね……。ごめんねほむらちゃん、今回はそういうことみたい」
ほむら「そう……」
さやか(露骨にテンション下がりすぎ)
――――
あんこルーム
ほむら(まどかの部屋が覗けないなんて……こーい、ワルプルギスこーい)
ほむら(合法的に覗くというところに意義があるのよね……)
ほむら「あら? 何かしらこの写真は」
ほむら「……」
ほむら「港で巨大魚の前に大勢で並んで記念撮影?」
ほむら「何やってんのよ、杏子……」
ほむら「そういえばさっき、漁をしてるとかなんとか言われてたわね……」
ほむら「私も何か天然の食材を探してみようかしら」
ほむら「例えば、山菜をとるとか」
ほむら「エイミーには悪いけれど、猫缶のグレードも1つ下げましょう」
ほむら「……さて、次は巴マミの部屋ね」
ほむら「できれば巨乳の秘密も探りたいところだけれど……」
――――
まどか「いいよいいよほむらちゃん! 天然の食材に目を向けるのはいい傾向だよ!」
さやか「司会が贔屓してどうすんのよ……」
――――
マミルーム
ほむら「な、何ここ……」
ほむら「蝋燭に鞭に注射器に……」
ほむら「これ、メリケンサック?」
ほむら「よく分からない錠剤まで……」
ほむら「何があったのよ巴マミ……。いや、割と素で」
ほむら「……あら? 何、このノート」
――――
さやか「つか今回放送できない部分多すぎじゃない?」
まどか「まあ……、動物虐待っていうのも印象は良くないだろうしね」
ほむら「黒字に銀の十字だなんて、こんなノートどこで売ってるのやら」
ほむら「とりあえず中を見てみましょう」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……私は何も見なかったわ、ええ」
――――
さやか「ですよねー」
まどか「ねー」
――――
ほむルーム
マミ「一見普通の部屋なのだけれど……」
マミ「感じるわ。魔法少女としての勘が、この部屋に何かがあると告げている!」
QB「さすがマミ様です!」
マミ「ふふ、当然よ」
QB「ああ、見てくださいマミ様! こんなところに謎のアルバムがあります!」
マミ「まどかアルバムver877?」
――――
さやか「バージョンいくつまであんのよ」
まどか「恥ずかしいよぉ、もう……」
さやか(もうまどかと司会やるのが嫌になってきた……)
マミ「タイトルからして中身の予想はつくのだけれど」
マミ「一応中を見てみましょう」
マミ「……」
マミ「……」
マミ「……」
マミ「……」
マミ「……私は何も見なかったわ、ええ」
――――
さやか「どっちもどっちとしか言いようが」
マミ「そうそう、忘れずやっておかなければならないことがあったわ!」
マミ「QB! お風呂のお湯を全開にしてきなさい!」
QB「ははっ!」
マミ「私の方は全てのコンセントを刺し直して、スイッチをONにするとしましょう」
マミ「後は……、そうね、水道とコンロも全開にしなくちゃ」
QB「マミ様! シャワーを出してきました!」
マミ「ご苦労様」
――――
さやか「」
まどか「」
マミ「ドライヤーフルパワー!」
ぶおおおおおおおおおおおお
マミ「冷凍庫あけっぱ!」
びゅおおおおおおおおおおおお
マミ「テレビ最大音量! ……は近所迷惑だから、音量20!」
ざあああああああああああああ
マミ「エアコン設定温度28度!」
おんだんかあああああああああ
マミ「レンジは何もいれずに30分設定で回す!」
ぶうううううううううううううううううん
――――
さやか「あんなに輝いてるマミさん初めて見たわ」
まどか「ほむらちゃんに妨害するなんてひどい!」
さやか「でもルールにはこういうの禁止って書いてないんだよね……」
マミ「天上の使者の聖なる鉄槌、といったところかしら、私のこの行為は」
QB「素晴らしい命名にございます!」
マミ「当然よ。さ、QB.次は佐倉杏子に天罰をくだしに行きましょう」
QB「ははっ!」
マミ「天上の使者の聖戦はまだ終わらないわ」
――――
まどか「なーにが天罰だ! あんたに天罰下すぞ、こら! ほむらちゃんに土下座しろ!」
さやか「まどか口調変わってる変わってる」
――――
あんこルーム
マミ「……?」
マミ「この、写真は……まさか……」
マミ「そんな、佐倉杏子はリヴァイアサンを仕留めたというの!?」
マミ「侮れないわね……」
マミ「いいわ。貴女の実力に敬意を表して、テレビの音量を10にしてあげる」
QB「さすがマミ様! 寛大であられる!」
――――
まどか「こーい、ワルプルギスこーい」
――――
マミルーム
杏子「なんだこのノート?」
杏子「黒い表紙に銀の十字?」
杏子「……」
杏子「……」
杏子「……」
杏子「やべぇ、超やベぇ」
杏子「超かっこいいじゃねーか、おい」
杏子「後で巴マミと色々話してみようかな……」
杏子「い、いやいや!」
杏子「そんなことしたら、あたしがこのノート覗いたってばれちまう!」
杏子「……人のノート勝手に見るなんて、よく考えると悪いことしちまったな」
――――
まどか「いやもうそのノート破くぐらいのことしていいと思うよ」
――――
ほむらルーム
杏子「うおっ!? な、なんでこんなに色々とガンガンなんだ!?」
杏子「こういうライフスタイルが流行ってんのか!?」
杏子「……」
杏子「あ。これ火を出す機械だったんだ」
杏子「おおっ! あたしが冷蔵庫だと思っていたものって、
扉を開けて冷房代わりに使うのが正しかったのか!」
杏子「勉強になるな」
――――
さやか「杏子……」
まどか「ほむらちゃん派の私でもさすがに杏子ちゃんに同情するよ」
さやか「って、とうとう口に出して認めたか!」
>>664の続き
――――
ほむらルーム
ほむら「な……、なんなの、この惨状は……」
ほむら「あああ……、早く止めないと……」
ほむら「……!! 私のまどかアルバムver877が机の上に!?」
ほむら「まさか見られた!?」
ほむら「最後にこの部屋を見ていったのは……杏子、よね」
ほむら「問い詰めましょう」
――――
まどか「ほむらちゃん焦ってるのは分かるけどちゃんとお風呂のお湯止めてから出かけてぇえええええ!」
さやか「死にかけるような真似までして節約してたからね……、無理もないよ。
いや、問題はむしろアルバムか」
――――
あんこルーム
杏子「うおっ!? あたしの部屋も近代的ライフスタイル風に!?」
ほむら「おじゃまします! ……佐倉杏子ぉおおおお!」
杏子「暁美ほむら!? お、おおおお、落ち着け! なんか様子がおかしいぞ!?」
ほむら「見たのよね? 見たのよね私のアルバム!?」
杏子「つ、机の上に置いてあったまどかアルバムのことか?
あれなら見てないぞ。人のものを勝手に見たら悪いなと反省したからな」
ほむら「そう、それなら……。いえ。むしろ、なんであの可愛らしい
まどかのアルバムを発見しておきながら、中身を覗かないのよぉおおおおお!」
杏子「ええっ!? 中身を見なくても怒られるの!?」
ほむら「いい? あのアルバム最大の見どころは、長距離走で汗を流したまどかの写真よ。
あの健康的な可愛らしい中にほのかに漂うエロスの素晴らしさといったら……」
杏子「はあ」
ほむら「いえ、貴女の言いたいことは分かるわ! 確かにどのまどかもナンバー1よ!」
杏子「いやそんなこと別に言ってな」
ほむら「だけどね、かなしいけど全ての写真を平等に眺めることは難しいの。
だから私は血を吐く思いでまどかフォトに脳内ランクをつけてるのよ」
杏子「な、なるほど。分かったような分からないような」
ほむら「ところで……、あなたのこの部屋の惨状、どうしたの?」
杏子「これなら帰ってきたら自然と」
ほむら「それに、さっき貴女、まどかアルバムのことを尋ねた時、
『“机の上に置いてあった”アルバムか』、とかなんとか言ってたわよね?
まさかアルバムは初めから机の上に放置してあったんじゃ」
杏子「ああ。そうだけど」
ほむら「元凶は巴マミかぁあああああ!」
――――
マミルーム
ほむら「巴マミ!」
ほむら「……いない?」
ほむら「まさか外に出かけているの?」
――――
まどか「ほむらちゃん自室自室!」
さやか「早く自分の部屋に戻れ転校生ー!」
――――
ほむらルーム
マミ「ルールには別に、他の参加者の持ち金を盗んではならないとは書かれていなかったわよね」
QB「その通りでございます! そこに気がつくとはさすがマミ様!」
マミ「ふっ……。財布を放りっぱなしで出かけるのが悪いのよ、暁美ほむら」
――――
まどか「しーね! しーね!」
マミ「これで暁美さんの持ち金を焼却すれば……」
マミ「ふふっ。敵は佐倉さんだけになるわ!」
マミ「しかし……、さすがにお金を盗むのは、後付けで反則行為にされかねないわよね」
――――
まどか「そういう問題じゃないわボケ!」
――――
マミ「よし。あなたが盗みなさい、QB」
QB「ははっ!」
マミ(期を見て佐倉さんのお持ち金も処分するとしましょう)
マミ(これで勝利は必定!)
マミ「財布は咥えたわね、QB」
QB「……」コクン
マミ「では凱旋しましょう」
ほむら「待ちなさい!!」
マミ「……暁美さん」
ほむら「な、何をしているのよ貴女は!」
マミ「くっ……、だらだらし過ぎた……」
ほむら「私の……、頑張って集めた愛のアルバムに……。
そしてまどかとの結婚への花道への切符になるお金に……、よくも手を出してくれたわね」
マミ「待ちなさい、暁美さん。全ての元凶にはQBがいるのよ」
QB「えっ」
ほむら「……信じられると思う?」
マミ「そのアルバムを探し出してきたのはQBよ。
アルバムの上部に、わずかにQBの歯型がついているでしょう?」
ほむら「ま、まどかアルバムに……、汚らわしい傷が……」
マミ「それに今財布を咥えているのもQB。
ついでに言うなら風呂のお湯を出しっぱなしにしたのもQBよ」
QB「!?」
――――
まどか「あー、早く死なないかなー」
さやか「でも微妙に嘘はついてないんだよね。巧妙に嘘を掻い潜ってる感じ」
ほむら「インキュベーター……」
QB「ひいっ!?」ガタガタガタ
ほむら「殺してあげるわ」カチャ
マミ「あら? 暁美さん、その銃……、あなた一体どうやって調達したのかしら」
ほむら「……?」
マミ「私のように魔力で作り出した様子もない。日本の女子中学生が銃を買える筈もない。
となれば……、盗んだ、のよね?」
ほむら「……」
マミ「さあ、どうする? 通報されるか、このまま大人しく私達を見逃すか」
ほむら(まどかと結婚するためには、ここで捕まるわけにはいかない……)
ほむら「見の……、がす、わ……」
マミ「賢明な判断ね。では行きましょう、QB」
QB「きゅっぷい!」
ほむら「くっ……」
ほむら「まさかこんな手に出るなんて……」
ほむら「ここから先の戦いは一筋縄ではいかないわね」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「悔しいよ、まどか……」
――――
まどか「マジ今度マミさんブッチしね?」
――――
マミ「ふうっ、危ないところだったわね」
QB「……」
マミ「ごめんなさいねQB、あなたを囮になどしてしまって。
でもこうして2人で無事に帰れてよかったわ」ギュウウッ
QB「マミ様……?」
マミ「今の私にとってあなたは唯一のお友達だから、失うわけにはいかないのよ……」
QB「勿体ないお言葉です……」
マミ「いつも辛く当たってしまってごめんなさいね?
でもあれは、あなたに気心を許しているからこそできることなのよ」
QB「マミ様……」
――――
まどか「そいつの言葉に耳を貸しては駄目ぇー!」
――――
あんこルーム
杏子「なんだか向こうの部屋が騒がしいけど……、まあいいか。
あたしは漁に出よう! 海があたしを呼んでいる!」
――――
さやか「帰ってきた時には部屋が水浸しになっているに1000円」
まどか「あー、マミならやるだろうね、うん」
――――
港
漁師「おう、きたか嬢ちゃん!」
杏子「もっちろん!」
漁師「なあ、1つ提案があるんだがよ……」
杏子「ん?」
漁師「俺がよぉ、てめぇ新しいの親父になって……。い、いや、なんでもねぇ! 忘れてくれ!」
杏子「なんだよー、言いかけて止めるなよ」
漁師「老いぼれのふざけた戯言さ。だが、そうだな、
この漁から無事に生きて帰ってこれたら……、その時はもう一度、戯言抜かすかもな」
杏子「おう! 約束だからな!」
漁師「今日は海が荒れそうだぜ……」
その日、海は大荒れに荒れた
漁師「うおおおおおおお! あれは100年に1度くるかこないかと言われている規模のビックウェーブ!」
杏子「何ぃ!? どのぐらいの強さの波なんだ!?」
漁師「製造から25年の漁船を粉々に破壊できるレベルだ!」
杏子「ちなみにこの船はいつ買ったんだ!?」
漁師「えーっと、昭和の……、おお! 今日でちょうど25年じゃねえか!」
杏子「マジかよ、おめでとうおやっさん!」
漁師「ありがとよ! くうっ、目から汗が出やが」
波
波
波波波 ざっぱあああああああああああああん!
漁船→。波波波波波波波
漁師「ぎゃあああああああああああ」
杏子「うわああああああああああああ」
――――
ざざーん……
杏子「ん……、ここ、は……見慣れない砂浜?」
杏子「はっ! おやっさんは!?」
漁師「うう……」
杏子「おやっさん!」
漁師「はは……耄碌しちまった……、俺ぁもう駄目だ」
杏子「そんな! 駄目だなんて言うなよ!」
漁師「俺ぁなあ、杏子。お前といる間、まるで、死んだ娘が傍にいるような気持ちに……がくっ」
杏子「おやじぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
――――
さやか「だからアイツはカメラの外で何をしてるのよぉおおおおお!」
杏子「くそっ……。何がベテラン、魔法少女だ……。
結局あたしは、壊すことばかり上手くなって、守る方はちっとも……」
杏子「墓、作ってやらないとな……」
杏子「……」
杏子「……」
杏子「つーかどこだよここぉおお!? 無人島!? 無人島パターン!?」
杏子「ここでサバイバらなきゃなんないわけ!?」
――――
さやか「ヘリ班が杏子ちゃんを発見したよ!」
まどか「どこにいたの?」
さやか「無人島! 今すぐ救助に……」
まどか「あー、番組的に面白いから続行」
――――
あんこルーム
マミ「あはははははっ! いいわよQB! その調子で電化製品をMAXにするのよ!」
QB「ははあっ! 仰せのままに!」
――――
まどか「マジ最低だなコイツ」
――――
あんこルーム
数分後
ほむら「……やっぱりひどいことになってる」
ほむら「水道を止めて、ガス栓締めて、コンセント抜いて、と……」
――――
まどか「きゃー! ほむらちゃん可愛い! 結婚しようほむらちゃーん!!」
さやか「もう転校生勝つ必要なくない、これ?」
――――
ほむらルーム
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「なんで杏子の部屋に出掛けた一瞬の間にフル稼働状態になってるのよ……」
ほむら「巴マミのやつぅううう!」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「もういい。電源と水道とガス管全て破壊する。強制光熱費0で」
――――
まどか「あ! 生活中に生じた部屋の故障を後から修繕する費用は局が持つ方針で!」
さやか「だから贔屓が露骨すぎ。とはいえこれはマミさんが悪いか……」
まどか「うんうん」
ほむら「さて。色々と破壊して後顧の憂いも断ったことだし……」
ほむら「そろそろ山へ出かけましょう」
ほむら「おいで、エイミー」
エイミー「にゃー」
ほむら「ええ、頑張りましょう」
――――
まどか「山へ行ったところ、何故かそこで芝刈りをしていた司会と
偶然出会うなんてシチュエーション、シュールで受けそうじゃない?」
さやか「アンタは転校生といちゃつきたいだけでしょうが」
まどか「い、いちゃつくなんてそんな……、私はほむらちゃんとお話しできればそれで……」モジモジ
――――
ほむらルーム
数分後
マミ「……ちっ。再び聖なる鉄槌を下される前に対策してきたわね、暁美さん」
QB「いかがいたしましょう、マミさん」
マミ「そうねぇ……。直接勝負に影響は与えられないけれど、少し嫌がらせをしておきましょうか」
QB「さっすがマミ様! 容赦が無い!」
マミ「ふふ、ありがとう。さて、まどかアルバムは……、あったあった」
QB「いかがいたすおつもりで?」
マミ「どうしようかしら」
――――
まどか「うがぁあああああああああ! ほむらちゃんの私メモリーに手を出すなー!」
さやか「まどか、どうどう」
ぱらぱらとアルバムをめくる
マミ「……」
ページを読み進めるうちに、マミの表情に変化が生じ始めた
マミ「なんという、愛の、つまったアルバムなの……」
QB「マミ様?」
マミ「どの写真も、鹿目さんの魅力を引き出せるよう、様々な工夫が凝らされて……。
しかもそれを何百、何千、何万枚と……」
マミ「まあ嫌がらせはするのだけどね」
QB「ですよねー」
――――
まどか「あんのアマぁああああああああああああ!」
マミ「エターナルディストーション!」
マミ「うふふふふ、黒き漆黒の刃(マッキー・黒)が鹿目さんを切り裂くわ!」
マミ「切り裂かれた次元は、黒き歪みとなり永遠に残り続ける!」
QB「いわゆる落書きですね!」
マミ「は?」
QB「え」
マミ「今何と言ったの?」
QB「あ、あのその」
マミ「落書き?」
QB「えー、あのー」
マミ「違うわよね? これは聖なる鉄槌よ」
QB「おっしゃる通りです!」
――――
まどか「さっき自分で嫌がらせとか言ってただろうがボケー! ひっこめー!」
さやか「でもテレビ的にはウケそうだから困る」
さやか「そうそう。次番組のタイトルは、2週間無人島生活になる予定よ」
さやか「もう一度言うわ。次番組のタイトルは、2週間無人島生活」
さやか「チャンネルはそのままで」
――――
ほむらルーム
マミ「ぷっ……、あっはははは!」
マミ「傑作ねこの鹿目さんの顔!」
QB(マミ様……、もはや目的を見失っていませんか?)
――――
まどか「マジあいつ死にたがってねマジFUCK」
さやか「あはは……」
まどか「もういい。ラブリーほむらちゃんを見よう」
さやか「いや、そろそろ杏子の様子を」
まどか「えー。別にいいじゃん、さやかちゃんのケチー」
さやか「そうは言われても段取りというものが……」
まどか「ほむらちゃんネルー!」
――――
ほむら「ここ、どこ……?」
エイミー「にゃー」
ほむら「……」
ほむら「遭難したくさい」
――――
まどか「」
さやか「」
――――
時間は少しさかのぼる
ほむら「ここがあの伝説のキノコの山……」
エイミー「にゃーお」
ほむら「そうね、さっそく登りましょう!」
――――
まどか「タケノコの里派から寝返ろうかな」
さやか「あたしは切り株派」
ほむら「あら? このキノコ、綺麗な色……」
ほむら「食べられると思う?」
エイミー「にゃー」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「そうよね。青とピンクの縞模様のキノコなんて滅多に食べられるものじゃないものね。
ちょっと食べてみようかしら」
――――
まどか「ほむらちゃーん! 思いとどまってー!」
さやか「青とピンクはまずいって、青とピンクは!」
まどか「ピンクはともかく青はまずいよ!」
さやか「って、なんでよ!」
まどか「せめて火を通して! きのこは無魔じゃ駄目ー!」
杏子「漁船が難破した末に流れ着いたこの島……」
杏子「海岸沿いを一周して分かった」
杏子「ここ、無人島じゃねーかぁああああああああ!!」
――――
まどか「杏子ちゃんファイトー」
さやか「マジで助けなくていいの?」
まどか「大丈夫大丈夫。電波少年よりはライトだってー」
――――
ほむら「青とピンクのキノコ……、やっぱり思いきって食べてしまいましょう」
ほむら「よーし、いっただきま……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「青い部分だけ取り除いてピンクの部分だけ食べようかしら」
――――
まどか「さっすがほむらちゃん!」
さやか「あたしが何したってのよ……」
ほむら「う……苦っ……、な、何これ……?」
ほむら(まずいまずいまずい)
ほむら(意識が朦朧と……)
ほむら「……あ、まどかが見える」
ほむら「まどかぁー……」
――――
さやか「えー、ここで医療班から入った情報です。
あのキノコはまどまどタケといい、
吐き気と頭痛と目眩と腹痛と幻覚を引き起こす作用があるようです」
まどか「今すぐ迎えに行こう! ドクターストップ!」
さやか「いや、杏子よりはましでしょう、この状況。致死毒は無いようだし」
――――
ほむら「まどかー、まどかー」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「ハッ! わ、私は一体何をしていたのかしら」
ほむら「え? あれ?」
ほむら「ここ、どこ……?」
エイミー「にゃー」
ほむら「……」
ほむら「遭難したくさい」
――――
まどか「ちなみに青い方を食べたら空気が読めなくなって死に至るそうです」
さやか「なんでよ!」
ほむら「これからどうしようかしら……」
エイミー「にゃー」
ほむら「エイミーの餌のこともあるし……」
ほむら「とりあえず、えーっと」
ほむら「歩きましょう!」
――――
まどか「ああもう、そんな無謀な……」
さやか「まあ何とかなるでしょ」
まどか「……決めた、迎えに行く! ほむらちゃんを迎えに行く!」
さやか「落ち着けって! ああもう、スタッフ! まどかを取り押さえて!」
まどか「離してよー! ほむらちゃんを助けに行かせてー!」
1時間後
ほむら「……?」
ほむら「明かりが見えた! ぼんやりと明かりが見えたわ!」
エイミー「にゃー」
ほむら「あら。村のようだけれど、建物が……廃屋みたいにボロボロなものばかりで……」
ほむら「あ、薄汚れた看板が……」
ほむら「すぎのこ、村……?」
――――
さやか「すぎのこ村!? あの、きのこタケノコ戦争に巻き込まれて消え去ったという、幻の村!?」
まどか「そんなところに行って大丈夫かな……」
さやか「CMで飛ばすネタが増えたわね! お手柄よほむら!」
――――
一方、杏子ルーム
マミ「ああもう、なんで電気ガス水道が止まってるのよ! QB!」
QB「はい!」
マミ「もう一度よ! もう一度全開にしなさい!」
――――
まどか「杏子ちゃんが帰ってくるまでに光熱費どこまで膨らむのやら……」
さやか「マミさんは1人平和よね……」
――――
マミルーム
マミ「ふうっ。やっぱり自室は落ち着くわね……」
ぽたっ
マミ「あら?」
ぽたっぽたっ
マミ「な、何かしら? 天井から水が……」
ぽたっぽたっぽたっ
マミ「あ、ああああっ! わ、私の創生ノートにみ、み、水が!?」
――――
まどか「ちなみに真上の階にあるのは杏子ちゃんの部屋でーす」
さやか「自業自得よね……」
マミ「ああ、ああああ……」
マミ「私のノートが……、水でぐちゃぐちゃに……」
マミ「ヘルプリンス……」
マミ「黒姫……」
マミ「地獄竜……」
マミ「ぜ、全部全部ふやけて台無しに……」
QB「マミ様……」
マミ「QBのせいよ」
QB「えっ」
マミ「上の階の水道の蛇口をひねったのはあなたよ」
QB「で、ですが……、より効果的に嫌がらせをするためにと、
排水溝を塞いで水を溢れさせたのはマミ様で……」
マミ「うるさいうるさいうるさい! QBが悪いの! QBのせいだもん!」
マミ「う、ぐすっ……、ひっく……」
マミ「頑張って考えたのに……」
マミ「うううぅ、ぐすぐすっ……」
QB「……」
――――
まどか「ざっまあああああああwwwwwwwwwwwwww
ほむらちゃんに嫌がらせなんかするのが悪いんだよ!」
さやか「いやー、今回のこの企画は起伏が激しい」
マミ「……QB、覚えてる? 私とあなたが初めて会った時のこと」
QB「その時のマミ様は……、事故で亡くなりかけていましたね」
マミ「ええ。当時、私の目にはね。あなたが、まるで天使みたいに見えたの」
QB「ボクはそんな綺麗な存在じゃ……」
マミ「それでね。ああ、こんな綺麗な天使が出てくるようなお話が読みたいなって、神話に興味を持って。
ファンタジックなことって素敵だなって、どんどんのめり込んでいって」
QB「……」
マミ「身寄りの無い私には、本と空想の中の住人、そしてあなただけがお友達だった」
QB「マミ……」
マミ「他の人から見たら馬鹿みたいかもしれない。
でも私にとってこの創生ノートは、本当に大切なものだったの」
――――
まどか「適当に綺麗に誤魔化そうとすんな無駄乳女ー!」
マミ「だから……、大切なノートが駄目になって、本当に辛くって……」
QB「ああ、分かるよ。マミとの付き合いはもう何年にもなるからね」
マミ「うん……」
QB「……感情のないボクには、友達という存在の必要性は分からないけれど」
マミ「……」
QB「誰か一人、友達を作れと言われたら、きっと迷わずその相手にマミを選ぶだろうね」
マミ「QBぇ……」
――――
まどか「だから何綺麗におさめようとしてるの!? いらつくー!」
さやか「てか絶対感情が無いとかウソでしょ、QBのやつ」
――――
そうこうしている内に3週間
まどか「さて。今まで1週間刻みにやってきたので、今回もこの時点で経過報告をします!」
さやか「わーわー!」
マミ「……」
等身大ほむら人形「……」
等身大杏子人形「……」
まどか「まずはマミさんから―――」
マミ「ねえ、その前に1つ聞かせて」
まどか「何ですか?」
マミ「暁美さんと佐倉さんは?」
まどか「あー、そのー……」
さやか「……さあ、いってみましょう!」
マミ「ええっ!?」
>>96
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1303990261-0.html
――――
まどか「マミさんの残金は……」
マミ「残金は?」
まどか「359円! 差額は107円!」
マミ「最初からこのペースだったら……」
さやか「続いては杏子です! 実は中継が繋がっています!」
まどか「おーい! 杏子ちゃーん!」
『はあ、はぁ……、はあ。う、うっせえ! 今ちょっと虎と戦ってて忙しいんだ!』
まどか「戦いながらでいいから聞いてー! 杏子ちゃんの残金はー」
『うおっ!? くそ、後ろから狼の群れがきやがった! 何なんだよこの島はぁあああ!!』
マミ(何を!? 一体何をやっているの佐倉さんは!?)
まどか「どうやらそれどころでは無いようなので、愛しのほむらちゃんに映像を移します」
さやか「あんた転校生に関しては本当に開き直り始めたわね……」
まどか「ほむらちゃーん! 聞こえるー!?」
『メーデー! メーデー! こちらすぎのこ7。すぎのこ6が負傷したわ。
キノコ軍とタケノコ軍のいざこざの真っただ中で身動きが取れない。応援を頼めるかしら』
まどか「ななな何やってるのほむらちゃん!? 大丈夫!?」
『え……? そ、その声、まどか? ひっ、久しぶドッカーン』
まどか「爆発音!? 何今の爆発音!?」
『だ、大丈夫よ……、タケノコ軍のミサイルが近くに飛んできただけだから』
まどか「本当に大丈夫? 心配だよ……」
『まどか……。あ、ごめんなさい、ちょっと待って! すぎのこ6……、えっと、私の友軍が、吐血して。
ああ、し、しっかり! しっかりしてすぎのこ6!』
さやか「どうやら小数派のすぎのこ勢についてきのこタケノコ戦争の中動いているようですね」
まどか「いやぁああああああ!! ほむらちゃん帰ってきてほむらちゃあああん!!」
『ごめんなさいまどか。すぎのこ村には私の力が必要なの』
まどか「そんな……」
『分かって、お願い……』
まどか「わっ、私にだって! 私にだってほむらちゃんは必要だもん!」
『まどか……?』
まどか「だから……、必ず生きて、帰ってきてね」
『ええ。まどか……、この戦争が終わったら、私……。
……くっ、場所が割れた!? ごめんなさいまどか、通信を切るわ。……愛してる』
まどか「ほむらちゃああああああああん!!」
さやか「もはや番組変わってますよね、これ……」
マミ「そ、そうね……」
まどか「うああー! もう無理! 私QBと契約してほむらちゃんに加勢しに行く!」
さやか「だーから落ち着いてって! なんとかなるなる!」
まどか「そんなこと言ったってぇ……」
マミ(万一、2人が死んだ場合……私の不戦勝かしら?)
――――
杏子ルーム
マミ「ふうっ……」
マミ「何もせず勝てる可能性はあるものの、やっぱり出来る限り出費は抑えるべきよね」
マミ「今日も佐倉さんの部屋のお風呂を借りるとしましょう」
――――
さやか「せこっ」
まどか「ほむらちゃんが大変な時にマミの奴ときたら!」
まどか「もう1ヶ月1万円生活とかどうでもいいからほむらちゃんを助けたい」
さやか「いや、さすがにここまで撮っちゃったら
無しってことにはできないよ……、費用かかってるもん」
まどか「ううううー」
さやか「個人的に杏子の様子が気になるからちょっと見てみよう」
――――
杏子「今日で……何日目だっけなあ。まあいいか」
杏子「ふう、火でも焚くかな……」
杏子「……そういやぁ」
杏子「塩水でふにゃふにゃになったけど、まだお札がポケットに入ってたな」
杏子「……」
杏子「……」
杏子「燃料にするか」
――――
さやか「おーい」
杏子「おー、燃える燃える」
杏子「風で乾いて水分が抜けてパリパリになってたからなあ」
杏子「これで残りは500円硬貨2枚と10円玉4枚か」
杏子「……」
杏子「……」
杏子「昔5円チョコってあったよな」
――――
さやか「おいまさか」
まどか「ほむらちゃんアルバムver1009はやっぱり傑作だなあ……」
杏子「うお、かってぇ!」
杏子「500円玉超かてぇ!」
杏子「でも……」
杏子「食いものを粗末にするわけにはいかないよな」
――――
杏子「刻んで焼いたら意外といけた」
――――
さやか「あほー! あほー!」
まどか「ほむーほむー」
杏子「さて、そろそろイカダ作りに戻るか」
――――
さやか「果たして佐倉杏子は勝負の終了日までに日本に戻ってこれるのか!?」
さやか「この後の展開にも、目が離せない!」
まどか「ほむー」
さやか「あのさあ、まどかもちょっとはまともに解説してよ」
まどか「だって……、気になるんだもん、ほむらちゃん」
さやか「あの転校生のどこにそう惹かれるのよ……」
まどか「えーっとまず、綺麗な黒髪でしょ、スッとした目でしょ、
一途な性格でしょ、ふとした時に見せる柔らかな笑顔でしょ、
猫ちゃんに優しいとこでしょ、黒パンストでしょ、感極まると泣いちゃうとこでしょ、
燃えあがれーって感じの名前でしょ、可愛い声でしょ、恥ずかしくなると―――」
さやか「ごめん、聞いたあたしが馬鹿だった」
――――
なんやかんやで1ヶ月後
まどか「それではこれより、最終結果発表を始めたいと思います!」
さやか「いえーい!」
マミ「待ってました!」
ほむら(優勝して結婚、優勝して結婚……)ドキドキ
杏子(甘いものが……甘いものが食いたい……。あと、いかだこぎ過ぎてだりぃ……)
まどか「いやー、参加者3人の内2人が当日の朝に帰ってくるという異例の事態でしたが」
さやか「無事に済んで何よりですねー」
まどか「まずはマミさんからです!」
マミ「……」
さやか「前回は359円でしたが、最終結果は……」
まどか「355円! なんと-4円です!」
マミ「!! やったわ! やったわQB!」
QB「おめ……でと、う……ございま……す……マミ様……」
マミ「うふふ。気分がいいからおっぱいでマミマミしてあげる」
杏子「-4円って……、その割にはマミの奴、清潔そうだし、やつれてもいないし……」
QB「あ、た……り、前……だよ……」
杏子「って、うおっ!? おいQB! お前なんでそんなに干物みたいになってんだ!?」
まどか「1日10個ペースで卵を産んでマミさんに尽くしていたみたいですね」
杏子「頑張りすぎだろ!!」
まどか「では続いて杏子ちゃん!」
杏子「あー、あたしなら540円だよ。ほら、ここにある硬貨がそれだ」
さやか「と、思いきや……」
杏子「へっ?」
まどか「なんと驚きの、-12068円!」
杏子「はぁああああああああああ!? おい、待てよ! 光熱費はかかってない筈だろ!?」
まどか「戦犯はマミさんですね。杏子ちゃんの家のお風呂から何から勝手に使いまくったので」
杏子「と、巴マミぃいいいいいいいい!!」
マミ「あはは……。だ、だって仕方ないじゃない。
暁美さんの部屋は先手を打ってライフラインが破壊されていたんだもの」
杏子「なんで他人の部屋の設備を使う前提になってんだよこの黄色女!」
まどか「最後は鹿……、じゃなくて暁美ほむらちゃん!」
ほむら「私は山で自給自足の暮らしをしたわ。
お金は帰りのバス代以外ほとんど使っていない筈」
さやか「あ。帰りはバス使ったのね」
ほむら「疲れていたのよ」
まどか「そんなところもチャーミングなほむらちゃんの残金は……」
さやか「なんと驚きの6877円! ダントツです!」
ほむら「よし!」
マミ(くっ……、勝手に暁美さん名義で出前でも頼んでおくんだったわ……)
まどか「ほむらちゃん優勝おめでとうございます!」
ほむら「ありがとう、まどか」
まどか「早速だけど、誰に何をお願いするかはもう決まってる?」
ほむら「ええ。私はまどかに……、これを受け取って欲しいの」
まどか「えっ!? こ、これ」
ほむら「ダイヤの指輪よ……、け、結婚指輪」
さやか「はい、暁美ほむらさんの残金が修正されました。-239万3123円です!」
ほむら「え? ま、待って! これは帰り道にポケットマネーから」
さやか「残念でしたー。期間内に消費したお金全てが計算されます」
ほむら「えええっ!? そ、そんなバカな……、嘘ぉ……」
まどか「ええーっ。それぐらい見逃してあげようよー」
さやか「駄目駄目。そういう決まりなの!」
まどか「この学級委員気質ー! 鬼ー! 悪魔ー! ビッチー!」
さやか「そこまで言うか!?」
マミ「そ、それじゃあ……」
まどか「あー、はいはい。優勝はマミさんでーす。わーわー」
さやか「おめっとーっす」
杏子「うぜぇ超うぜぇ」
ほむら「しくしく……」
マミ(どうして優勝したのにこんな白けムードなの!?)
さやか「んじゃ、マミさーん。とっとと優勝者の権利使っちゃってください」
マミ「わ、私のお願いは……」
まどか「早くー。尺もったいないんで」
マミ「鹿目さんが、お、お友達に……なってくれたら嬉しいかなって、思ってみたりなんかしちゃって……」
さやか(まどか指名かい!)
まどか「ふーん。いいですよ。別にそれぐらい」
マミ「本当に!?」
まどか「ええ。どうせ拒否権ありませんし」
マミ「う」
まどか「本当はそう思っていようと、嫌だって言ってもどうしようもないですし」
マミ「うぅ」
まどか「まあ友達っていっても程度の差がありますし」
マミ「ううぅ」
マミ「どうしてそんなに刺々しいの……?」
まどか「自分の胸に聞いてみてくださいよ」
マミ「……」
まどか「どうですか?」
マミ「思い当たる点が1つもないわ……」
さやか「って、おい! あれだけアンフェアなやり方しておいてよくそんなこと」
マミ「えっ? だって、勝負をする以上、本気で勝ちを狙うのは……当然のことじゃないの……?」
さやか(ああ、そっか。この人、友達と競争とかゲームとかした経験があんまりないから、
そういうところの力加減がよく分からないんだ)
まどか「考えてみてもください。自分が頑張って節約してるのに、
留守中にそれを妨害されたら、どんな気持ちになるのか」
マミ「……」
まどか「ほむらちゃんがどんなに苦しんだか」
杏子「いや、苦しめられたのはあたしだろ!?」
まどか「嫌な気持ちになりますよね?」
マミ「……ええ」
まどか「他にも、人の写真を勝手にマジックで塗ったりだとか、酷すぎます」
マミ「ごめんなさい……。クラスの人が私の教科書に落書きをよくするから、
そういうことって普通なんだと思い込んでて……」
まどか(それいじめられてるんじゃ)
マミ「ごめ……、ん、なさい……。もうこんなことしないから……、嫌いにならないで……」
さやか「あたしはなんだかんだで好きですよ、マミさんのこと」
マミ「えっ……?」
さやか「いやー、あたしも恥ずかしながら、ムキになり過ぎるところがあるというか。
なーんかマミさんにはシンパシー感じる部分があるんだよね」
マミ「美樹さん……」
さやか「あたしなんかでよければ……、優勝どうこうと関係なく、お友達になりましょう?」
マミ「ありがとね……、本当に……、なんか、ごめんね……」
QB(うぁあああああ! ようやくマミにボク以外の生命体友達ができた!)
QB(よかった。本当によかった……)
QB(感情が無いのに涙が出てきたよ……)
杏子「いい話だなぁ……」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「……」ビクッ
ほむら「ま、まどか、あの……」
まどか「……待ってるから」
ほむら「!?」ドキッ
まどか「ほむらちゃんが勇気を出してくれる時まで、ずっと待って――――」
ほむら「結婚して下さい!!!!!」
まどか「覚悟決めるのはやっ!?」
ほむら「ずっとずっと……、思ってたから」
まどか「そっか。そうだよね……」
まどか「結婚は……、法律的に色々難しいかもだけど。
その一歩手前なら……」
ほむら「まどか!」
まどか「ほむらちゃん!」
杏子「うおー、なんか熱いな! そんじゃ景気づけに……、食いに行くかい?」
マミ「!! みんなでお食事!? ああ、夢みたい!」
さやか「あはは。大げさだなー、マミさんは」
QB(よかったよかった)
ほむら「隣に座りましょうね、まどか」
まどか「えー、私はほむらちゃんの顔が見える正面の方がいいなぁ」
ほむら「!! な、なるほど」
そうして1万円生活は、爽やかな余韻を残して終了した……、かに思われたが
ほむら「巴マミぃいいいいい! よくも私のアルバムをぉおおおお!!」
マミ「お、落ち着いて暁美さっ……、ひいっ!?」
しばらくは、騒がしくなりそうだった
おわり