915 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:12:57 cNcYBOpQ 789/819

――赤騎士の屋敷――

ギィ…ミシッ

「…」

ヒタ ヒタ

ボッ

「!」

赤騎士「ずいぶんと静かな客だな」

関連記事:【①】 【②】 【③】 【④】

元スレ
姫「御主人…様」赤騎士「あ?何か言ったかプリンセスマ○コwww」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1338725753/

916 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:13:33 cNcYBOpQ 790/819

シスター「…」

赤騎士「ちょうど紅茶が沸いた所だ。飲むか?」

シスター「なんで解ったのさ」

赤騎士「ここは私の屋敷だ」

赤騎士「何処に誰が居ることくらい、解らないでどうする」

シスター「…」

赤騎士「盗賊か」

917 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:15:20 cNcYBOpQ 791/819

シスター「フン。だったらどうだってんだ」

赤騎士「ならばフードは被らないほうがいいぞ。生臭くなる」

シスター「なんでだよ」

赤騎士「シーフがフードを被ってシーフードwww笑えるだろうwww」

シスター「…」

シスター「いや…無表情でそんなこと言われてもね」

赤騎士「済まぬな。父に表情を変えるなと教わったせいでいつもこうだ」

918 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:19:35 cNcYBOpQ 792/819

シスター「…あんた、相当変わってるね」

シスター「他の権力者はプンプンさせてるってのに」

シスター「まったく金の匂いがしないよ」

赤騎士「最近の盗賊は人物評価を無料でやるサービスがあるのか」

シスター「こんな時に皮肉言えるのも対したもんだよ」チャキ

赤騎士「よしておけ。私は女に剣は振らん」

赤騎士「殺すなら好きにすれば良いが、困るのはお前だぞ」

919 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:21:29 cNcYBOpQ 793/819

シスター「…」

赤騎士「どこにいく」

シスター「帰る」

赤騎士「お前の分の菓子まで用意したのだぞ」

シスター「帰る」

赤騎士「ならこの菓子袋をもっていけ」ブンッ

シスター「!」パシッ

920 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:24:56 cNcYBOpQ 794/819

赤騎士「次来る時はそんな物騒なものはいらん。正面から堂々と来い」

シスター「…」

シュンッ

赤騎士「…」

赤騎士(この香り…教会の香か)

ホー…ホー…

シスター(…)タタタ

921 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:28:45 cNcYBOpQ 795/819

シスター(赤騎士か…)

シスター(フン、何が菓子袋だよ)

シスター(こんな重い菓子、あってたまるかい)チャリチャリ

タタタ…



バン

シスター「マザー、私に客だって?」

マザー「ええ、シスター」

922 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:30:48 cNcYBOpQ 796/819

シスター「どこにいんだい?」

マザー「あれ、おかしいね。礼拝堂にいなかったかい」

赤騎士「ここにいる」

マザー「お、おお?」

シスター「!?」

赤騎士「いい葉だな。この紅茶は、この村で作っているのか」

シスター「あ、あんたは…いえ、あなたは…」

924 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:54:07 ckpplJoY 797/819

マザー「こちら赤騎士様だよ。なんでも奉仕にいらしたらしくてね」

マザー「シスターに師事したいとのお申し出なんだよ」

シスター「はあ、わたしにですか…」

赤騎士「…」



シスター「この教会ではお祈りの他に、村でとれる名産品の加工などを…」

赤騎士「…」

925 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:54:23 ckpplJoY 798/819

シスター「…聞いてるのかい」

赤騎士「美しいな」

シスター「は?」

赤騎士「景色の話だがな」

シスター「ああ、そうかい…」

赤騎士「良い香りもする」

シスター「え?」

926 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:55:25 ckpplJoY 799/819

赤騎士「そよ風の話だ」

シスター「ああそう…」

赤騎士「どうして盗賊をしているのだ」

シスター「!?」

赤騎士「…」

シスター「…」

シスター「フン、理由なんて…」

927 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:55:40 ckpplJoY 800/819

孤児A「しすたー」

孤児B「こんにちは、シスター」

シスター「ああ。あんたたち」

孤児A「きょうのおひるは、ぱんをたべられるの?」

シスター「うん、ごめんよ。ちょっと皆にまわせる分はないんだ」

シスター「夜まで我慢してね」

孤児B「シスター…僕の分を、Aにあげてください」

928 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:56:15 ckpplJoY 801/819

孤児B「僕のほうが大きいから、二回くらいぬいても」

シスター「そういうわけには行かないよ。皆一緒じゃないとダメなんだからね」

孤児B「…わかりました」

タタタ…

シスター「…戦争がおきるたびに孤児が増えてね」

シスター「騎士団ってのは、死んだ親の子の面倒は見ないんだね」

赤騎士「…」

929 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:56:44 ckpplJoY 802/819

シスター「だから別に、ちょっとくらい手助けしてもらったっていいだろう」

赤騎士「お前が見つかったらこの子達はどうなる」

シスター「…そうだね。その時はさ」

シスター「吊られながら、貴族と騎士共に文句言ってやるよ」

赤騎士「…」

カシャーン

シスター「!」

シスター「あいつら…」

930 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:57:20 ckpplJoY 803/819

赤騎士「ぬ」

タタタ…

黄従騎士A「さあマザー、今月の上納をいただきにきたぞ」

黄従騎士B「茶葉販売の権利を与えているのだからな。感謝を桁にして込めろよ!」

マザー「ああ、解ったよ…解ったから乱暴にしないどくれ」

マザー「ほら。これだよ」

黄従A「フン、素直でよろしい」

黄従B「せいぜい稼いでくれよ。われわれの懐も潤うわ!」

931 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 00:57:37 ckpplJoY 804/819

シスター「…あんたら」

黄従A「おおシスター殿。奉仕活動の途中かな」

シスター「ここは貴族領主様の領地だ。なんで黄騎士様のお許しを頂かないといけないんだい!」

黄従B「販売権利と土地とは無関係なんだよ」

黄従B「この地域の茶葉の利権はすべて黄騎士様にある」

シスター「…くっ…」

黄従A「つまらぬ疑問を持たず身体を動かしなされ」

932 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:10:54 ckpplJoY 805/819

黄従A「人生というものは短いからな!はっは!」

赤騎士「…」ズズイ

黄従A「どわぁっ!」

黄従B「あ、赤様!?なぜここに」

赤騎士「茶葉の権利書というのは持ってきているのか」

黄従A「う、ううん?」

赤騎士「提示しないと徴収は出来ないはずだがな」

933 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:11:07 ckpplJoY 806/819

黄従A「も、もちろんここにあるぞ。ホレ」

赤騎士「…」

赤騎士(デタラメだな。無効の記述だ)

赤騎士(こんなものがまかり通っているのか。領主様に報告せねば)

赤騎士「買おう」

黄従A「は?」

赤騎士「この権利書だ。言い値で買うぞ」

934 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:11:21 ckpplJoY 807/819

黄従A「あ、いえこれはその…」

赤騎士「言わないのならばこちらで査定して適当に金額を出す」

黄従B「いえそのような、赤様の手を煩わせるわけには!」

赤騎士「ならばまあ、商談といこうか」

シスター「…」ポカーン



赤騎士「黄殿によろしくな」

935 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:12:00 ckpplJoY 808/819

黄従A「ははっ、失礼いたす!」

シスター「…」

シスター「何のつもりだい」

赤騎士「金になりそうだからな。俺がかわりに搾り取ってやる」

シスター「ああ、そういうこと…」

シスター「情けのつもりかい」

赤騎士「お前は耳が遠いのか?搾取するといったのだぞ」

936 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:12:12 ckpplJoY 809/819

シスター「いっただろ。あんた、金の匂いしないんだよ」

シスター「何のつもりだよ」

赤騎士「…」

赤騎士「お前が欲しい」

シスター「は?」

赤騎士「ここの茶葉を私の騎士団で買おう。言い値でな」

赤騎士「さらに寄付金もつけよう。いずれ良い茶の名産地になるだろうからな」

937 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:12:30 ckpplJoY 810/819

赤騎士「その交換条件だ。結婚してくれ」

シスター「な、な…?///」

赤騎士「まあ、断っても茶は買うがな」

シスター「それは交換条件っていわねえよ…」

赤騎士「そうだな」

シスター「…」

938 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:17:15 ckpplJoY 811/819

シスター「わたしでいいのかよ」

赤騎士「違う」

赤騎士「お前が、良いのだ」

……



「っていう話なんだがな。何回聞かされたか解らねえぜ」

「…素敵な出会いだったんですね…お義父様も、お義母様も」

940 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:22:17 ckpplJoY 812/819

緑妹(冗句のセンスの無さはしっかり受け継いでますね)

「ま、寝る前の昔話にしてはちょっと短すぎたかな」

「そんなことありませんわ」

緑妹「旦那様がヘタレなルーツも解りましたし」

「あのなあ…大体よ」

「せっかくベッド三つかったのに、なんで俺のとこで寝ようとしてんだよ!」

「あなたの心音、とても落ち着くんですもの…」

941 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:22:35 ckpplJoY 813/819

「ひ、姫様…そんなひっつくと」

緑妹「ロリコンの血が騒ぎますか」

「緑妹…お前まだそんなことを」

「…わたくし、緑妹様がうらやましい」

「わたくしも敬語ではなく普通に接して欲しいですわ」

「いや、でもそれは…」

「…」ジッ…

942 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:27:17 ckpplJoY 814/819

「ひ…姫様…」

「…あなた…」

「す、少しずつ慣れる様、努力してみます」

「本当ですの?」

「はあ、はい」

「ふふ、嬉しいですわっ」

「ちょ、そんなしがみつ…!」

943 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:27:35 ckpplJoY 815/819

緑妹「あーあ。すっかり二人だけの世界ですか?」

「とか良いながらお前まで何してんだよ」

緑妹「私の役目をお忘れみたいですね、旦那様」

緑妹「これでも精一杯誘惑してるんですよ」

「ばっ、何言って!///」

「わたくしも…早くあなたのややこが欲しいですわ」

「姫様まで!?」

944 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:27:57 ckpplJoY 816/819

「あなた…」

緑妹「旦那様…」

「あ、ちょまって、そうだ、馬小屋!塗装して、赤いペンキあそこに置いたままだった」

「どかさねえと愛馬が蹴る!か、片付けねえと!」

「…」スルスル…

緑妹「…」シュルッ…

「あ、待って、ちょっと、二人とも待っ…」

「アッ―――――――――――!!」

945 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:29:20 ckpplJoY 817/819

アッ――――――――!!

愛馬「…」モッシャモッシャ…

愛馬「…?」

『 THANK YO FOR YO R TIME! 』

愛馬「…」パッカパッカ

946 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:29:40 ckpplJoY 818/819

愛馬「…」

チャプッチャプッ

パコッ! パコッ!

愛馬「…ブルルッ…」

パカッ…パカッ…

947 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/27 01:30:29 ckpplJoY 819/819


カナカナカナカナ…

リーリー…

『 THANK YOU FOR YOUR TIME! 』

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